説明

作業車の作業装置姿勢変更構造

【課題】 作業装置が目標姿勢に維持されるようにアクチュエータを作動させる姿勢制御手段を備えた作業車の作業装置姿勢変更構造において、作業装置の姿勢が急速に変化した場合、作業装置が目標姿勢に維持されていない状態をできるだけ少なく(短く)する。
【解決手段】 作業装置5の姿勢を検出する姿勢検出手段と、作業装置5の姿勢変化の変化速度を検出する変化速度検出手段とを備える。姿勢検出手段の検出値が目標姿勢から外れるほど、アクチュエータ4を第1制御ゲインに基づいて高速で作動させ、変化速度検出手段の検出値が高速になるほど、アクチュエータ4を第2制御ゲインに基づいて高速で作動させて、作業装置5を目標姿勢に維持する姿勢制御手段を備える。第2制御ゲインを変更可能な制御ゲイン変更手段を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、機体に連結された作業装置の姿勢を変更するアクチュエータを備え、作業装置が目標姿勢に維持されるようにアクチュエータを作動させる姿勢制御手段を備えた作業車の作業装置姿勢変更構造に関する。
【背景技術】
【0002】
作業車の一例である乗用型田植機では、例えば特許文献1に開示されているように、機体の後部に苗植付装置(作業装置に相当)(特許文献1の図1の4)を昇降自在に連結して、苗植付装置を昇降駆動する油圧シリンダ(アクチュエータに相当)(特許文献1の図1及び図2の2)を備えている。田面(作業地に相当)に接地追従する接地フロート(接地体に相当)(特許文献1の図1及び図2の15)を、苗植付装置に昇降自在に備えており、接地フロート(田面)から苗植付装置までの高さを検出する高さセンサー(姿勢検出手段に相当)(特許文献1の図2の39)を備えている。
【0003】
これにより、高さセンサーの検出値が目標値から外れるほど、油圧シリンダが高速で作動するのであり、高さセンサーの検出値と目標値との偏差に基づいて、高さセンサーの検出値が目標値となるように、油圧シリンダにより苗植付装置が昇降駆動される。高さセンサーの検出値が目標値となることによって、苗植付装置が田面から設定高さに維持されるのであり、苗植付装置による苗の植付深さが設定深さに維持される(姿勢制御手段に相当)。
【0004】
【特許文献1】特開2003−92903号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1では、高さセンサーの検出値と目標値の偏差に基づいて、油圧シリンダにより苗植付装置を昇降駆動しているので、高さセンサーの検出値と目標値との偏差が発生した後に、油圧シリンダが作動する(高さセンサーの検出値と目標値との偏差が発生しないと、油圧シリンダは作動しない)。
これにより、例えば機体の車輪が凸部に乗り上げたり凹部に落ち込んだりして、苗植付装置が急速に上昇又は下降した場合(高さセンサーの検出値が目標値から急速に外れた場合)、この後に油圧シリンダが作動することになるので、油圧シリンダが高速で作動したとしても、苗植付装置が急速に上昇又は下降した初期の時点では、苗植付装置が田面から設定高さに維持されていないことがあり、苗植付装置による苗の植付深さが設定深さに維持されていないことがある。
【0006】
本発明は、機体に連結された作業装置の姿勢を変更するアクチュエータを備え、作業装置が目標姿勢に維持されるようにアクチュエータを作動させる姿勢制御手段を備えた作業車の作業装置姿勢変更構造において、作業装置の姿勢が急速に変化した場合、作業装置が目標姿勢に維持されていない状態を、できるだけ少なく(短く)することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
[I]
(構成)
本発明の第1特徴は、作業車の作業装置姿勢変更構造において次のように構成することにある。
機体に連結された作業装置の姿勢を変更するアクチュエータを備える。作業装置の姿勢を検出する姿勢検出手段と、作業装置の姿勢変化の変化速度を検出する変化速度検出手段とを備える。姿勢検出手段の検出値が目標姿勢から外れるほど、アクチュエータを第1制御ゲインに基づいて高速で作動させ、変化速度検出手段の検出値が高速になるほど、アクチュエータを第2制御ゲインに基づいて高速で作動させて、アクチュエータにより作業装置を目標姿勢に維持する姿勢制御手段を備える。第2制御ゲインを変更可能な制御ゲイン変更手段を備える。
【0008】
(作用)
本発明の第1特徴によると、作業装置の姿勢を検出する姿勢検出手段と、作業装置の姿勢変化の変化速度を検出する変化速度検出手段とを備えている。
例えば作業装置が目標姿勢から急速に外れる場合、姿勢検出手段の検出値と目標姿勢との偏差が発生する前に(一般に目標姿勢に不感帯が設定されることが多いので、姿勢検出手段の検出値が目標姿勢(不感帯)から外れて偏差が発生するまでに、少し時間が掛かる)、変化速度検出手段により作業装置の姿勢変化の変化速度が検出されるので(作業装置の姿勢変化の変化速度が急変するので)、姿勢検出手段の検出値と目標姿勢との偏差が発生する前に、変化速度検出手段の検出値によりアクチュエータが作動を開始する。
【0009】
これにより、本発明の第1特徴によると、姿勢検出手段の検出値と目標姿勢との偏差によってのみアクチュエータを作動させる構成に比べて、アクチュエータが早い時点で作動を開始して作業装置を目標姿勢に戻そうとするので、作業装置が目標姿勢から急速に外れた場合の初期の時点において、作業装置が目標姿勢に維持されていない状態を少なく(短く)することができる。
この場合、変化速度検出手段の検出値が高速になるほど(作業装置の姿勢変化の変化速度が急変するほど)、アクチュエータが高速で作動して作業装置を目標姿勢に戻そうとするので、作業装置が目標姿勢から急速に外れた場合の初期の時点において、作業装置が目標姿勢に維持されていない状態をさらに少なく(短く)することができる。
【0010】
作業装置の姿勢変化の変化速度が検出される毎に(作業装置の姿勢変化の変化速度が変化する毎に)、変化速度検出手段の検出値によりアクチュエータが作動を開始する場合、作業地の状態や作業形態によっては、作業装置の姿勢が頻繁に変更される状態になって、作業装置の姿勢が安定しないような状態になることがある。
本発明の第1特徴によると、第2制御ゲインを変更可能な制御ゲイン変更手段を備えている。これにより、第2制御ゲインを小側に変更すると、前述のように変化速度検出手段の検出値によりアクチュエータが作動を開始する場合、変化速度検出手段の検出値の割りに(作業装置の姿勢変化の変化速度の割りに)、アクチュエータが低速で作動するように設定することができるのであり、アクチュエータが高速で作動することにより作業装置の姿勢が安定しないような状態を避けることができる。
【0011】
逆に作業地の状態や作業形態により、作業装置が目標姿勢から急速に外れた場合の初期の時点において、作業装置が目標姿勢に維持されていない状態をさらに少なく(短く)することが必要な場合、第2制御ゲインを大側に変更することにより、変化速度検出手段の検出値の割りに(作業装置の姿勢変化の変化速度の割りに)、アクチュエータが高速で作動するように設定することができるのであり、作業装置が目標姿勢から急速に外れた場合の初期の時点において、作業装置が目標姿勢に維持されていない状態をさらに少なく(短く)することができる。
【0012】
(発明の効果)
本発明の第1特徴によると、機体に連結された作業装置の姿勢を変更するアクチュエータを備え、作業装置が目標姿勢に維持されるようにアクチュエータを作動させる姿勢制御手段を備えた作業車の作業装置姿勢変更構造において、作業装置の姿勢と作業装置の姿勢変化の変化速度とによりアクチュエータを作動させるように構成することによって、作業装置が目標姿勢に維持されていない状態を少なく(短く)することができるようになり、早期に作業装置が目標姿勢に戻されるようにすることができて、作業装置が目標姿勢に維持されないことによる作業能率の低下を防止することができた。
本発明の第1特徴によると、変化速度検出手段の検出値によりアクチュエータが作動する第2制御ゲインを変更することによって、作業地の状態や作業形態に対応することができるようになり、姿勢制御手段の性能の向上を図ることができた。
【0013】
[II]
(構成)
本発明の第2特徴は、本発明の第1特徴の作業車の作業装置姿勢変更構造において次のように構成することにある。
機体の走行速度を検出する走行速度検出手段を備える。機体の走行速度が低速側になると第2制御ゲインが小側に変更されるように、制御ゲイン変更手段を構成する。
【0014】
(作用)
本発明の第2特徴によると、本発明の第1特徴と同様に前項[I]に記載の「作用」を備えており、これに加えて以下のような「作用」を備えている。
機体の走行速度が低速側になると、作業装置の姿勢変化が少しゆっくりとしたものになるので(作業装置の姿勢変化の変化速度が小さなものになるので)、変化速度検出手段の検出値によりアクチュエータが作動を開始する場合、アクチュエータを高速で作動させると、アクチュエータの高速の作動により作業装置の姿勢が安定しないような状態になることが考えられる。
【0015】
本発明の第2特徴によれば、機体の走行速度が低速になると第2制御ゲインが小側に変更されるので、変化速度検出手段の検出値によりアクチュエータが作動を開始する場合、変化速度検出手段の検出値の割りに(作業装置の姿勢変化の変化速度の割りに)、アクチュエータが低速で作動するように設定することができるのであり、作業装置の姿勢が安定しないような状態を避けることができる。
【0016】
(発明の効果)
本発明の第2特徴によると、本発明の第1特徴と同様に前項[I]に記載の「発明の効果」を備えており、これに加えて以下のような「発明の効果」を備えている。
本発明の第2特徴によると、機体の走行速度が低速になると第2制御ゲインが小側に変更されるように構成することによって、作業装置の姿勢が安定しないような状態を避けることができるようになり、姿勢制御手段の性能の向上を図ることができた。
【0017】
[III]
(構成)
本発明の第3特徴は、本発明の第1又は第2特徴の作業車の作業装置姿勢変更構造において次のように構成することにある。
機体が走行停止状態になると第2制御ゲインが零に変更されるように、制御ゲイン変更手段を構成する。
【0018】
(作用)
本発明の第3特徴によると、本発明の第1又は第2特徴と同様に前項[I][II]に記載の「作用」を備えており、これに加えて以下のような「作用」を備えている。
機体の走行停止状態において、例えばエンジン等の振動により作業装置の姿勢が僅かに変化することが考えられる。
この場合、姿勢検出手段の検出値と目標姿勢との偏差は発生しないが(一般に目標姿勢に不感帯が設定されることが多いので、姿勢検出手段の検出値が目標姿勢(不感帯)から外れて偏差が発生するまで、作業装置の姿勢が変化することはない)、変化速度検出手段により作業装置の姿勢変化の変化速度が検出されることがある(作業装置の姿勢変化の変化速度が変化することがある)。このような状態になると、機体の走行停止状態において変化速度検出手段の検出値によりアクチュエータが作動し、作業装置の姿勢が変更される状態となる。
【0019】
本発明の第3特徴によると、機体が走行停止状態になると第2制御ゲインが零に変更されるので、機体の走行停止状態において、変化速度検出手段により作業装置の姿勢変化の変化速度が検出されても(作業装置の姿勢変化の変化速度が変化しても)、変化速度検出手段の検出値によりアクチュエータが作動することがない。
【0020】
(発明の効果)
本発明の第3特徴によると、本発明の第1又は第2特徴と同様に前項[I][II]に記載の「発明の効果」を備えており、これに加えて以下のような「発明の効果」を備えている。
本発明の第3特徴によると、機体の走行停止状態において、変化速度検出手段により作業装置の姿勢変化の変化速度が検出されても(作業装置の姿勢変化の変化速度が変化しても)、変化速度検出手段の検出値によりアクチュエータが作動することがないようにすることにより、機体の走行停止状態での作業装置の姿勢の安定化を図ることができた。
【0021】
[IV]
(構成)
本発明の第4特徴は、本発明の第1〜第3特徴の作業車の作業装置姿勢変更構造のうちのいずれか一つにおいて次のように構成することにある。
作業地に接地追従する接地体を作業装置に昇降自在に備える。接地体から作業装置までの高さを作業装置の姿勢として検出するように姿勢検出手段を構成し、接地体の昇降速度を作業装置の姿勢変化の変化速度として検出するように変化速度検出手段を構成する。接地体の作業地への接地追従感度を変更する感度変更手段を備える。感度変更手段が鈍感側に設定されると第2制御ゲインが小側に変更されるように、制御ゲイン変更手段を構成する。
【0022】
(作用)
本発明の第4特徴によると、本発明の第1〜第3特徴のうちのいずれか一つと同様に前項[I]〜[III]に記載の「作用」を備えており、これに加えて以下のような「作用」を備えている。
本発明の第4特徴によると、作業地に接地追従する接地体を作業装置に昇降自在に備えて、接地体から作業装置までの高さを作業装置の姿勢として検出するように姿勢検出手段を構成し、接地体の昇降速度を作業装置の姿勢変化の変化速度として検出するように変化速度検出手段を構成しており、接地体の作業地への接地追従感度を変更する感度変更手段を備えている。この場合、一般に作業地が固く凹凸が多い場合には、感度変更手段が鈍感側に変更され、作業地が柔らかく凹凸が少ない場合には、感度変更手段が敏感側に変更される。
【0023】
作業地が固く凹凸が多い場合、作業装置の姿勢が変化し易く、作業装置の姿勢変化の変化速度も速くなり易いので、感度変更手段を敏感側に変更することにより、作業装置の姿勢の頻繁な変更を抑えて、作業装置の姿勢の安定を図ることがある。
この場合に、本発明の第4特徴によれば、感度変更手段が鈍感側に設定されると、第2制御ゲインが小側に変更されるので、前項[I]に記載のように、変化速度検出手段の検出値によりアクチュエータが作動を開始する場合、変化速度検出手段の検出値の割りに(作業装置の姿勢変化の変化速度の割りに)、アクチュエータが低速で作動するように設定することができるのであり、作業装置の姿勢の安定をさらに図ることができる。
【0024】
(発明の効果)
本発明の第4特徴によると、本発明の第1〜第3特徴のうちのいずれか一つと同様に前項[I]〜[III]に記載の「発明の効果」を備えており、これに加えて以下のような「発明の効果」を備えている。
本発明の第4特徴によると、接地体の作業地への接地追従感度を変更する感度変更手段を備えた場合、感度変更手段が鈍感側に設定されると、第2制御ゲインが小側に変更されるように構成することにより、作業地が固く凹凸が多い場合での作業装置の姿勢の安定を図ることができて、姿勢制御手段の性能の向上を図ることができた。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
[1]
図1に示すように、右及び左の前輪1、右及び左の後輪2で支持された機体の後部に、リンク機構3が昇降自在に支持されて、リンク機構3を昇降駆動する単動型の油圧シリンダ4(アクチュエータに相当)が備えられており、リンク機構3の後部に苗植付装置5(作業装置に相当)が支持されて、作業車の一例である乗用型田植機が構成されている。
【0026】
図1に示すように、苗植付装置5は、4個の植付伝動ケース6、植付伝動ケース6の後部の左右に回転駆動自在に支持された回転ケース7、回転ケース7の両端に備えられた一対の植付アーム8、複数の接地フロート9、苗のせ台10等を備えて、8条植型式に構成されている。これにより、苗のせ台10が左右に往復横送り駆動されるのに伴って、回転ケース7が回転駆動され、苗のせ台10の下部から植付アーム8が交互に苗を取り出して田面Gに植え付ける。
【0027】
図1に示すように、運転座席13の後側に、肥料を貯留するホッパー14及び2条単位の4個の繰り出し部15が備えられて、運転座席13の下側にブロア16が備えられている。接地フロート9に作溝器17が備えられて、繰り出し部15と作溝器17とに亘ってホース18が接続されている。これにより、ホッパー14の肥料が繰り出し部15により所定量ずつ繰り出されホース18を介して搬送され、作溝器17によって田面Gに形成された溝に供給される。
【0028】
[2]
次に、苗植付装置5の昇降制御手段(姿勢制御手段に相当)について説明する。
図2に示すように、油圧シリンダ4に作動油を供給する電磁操作式の上昇制御弁24、及び油圧シリンダ4から作動油を排出する電磁操作式の下降制御弁25が備えられて、制御装置23により上昇及び下降制御弁24,25がデューティ制御により操作される。上昇制御弁24により油圧シリンダ4に作動油が供給されると、油圧シリンダ4が収縮作動して苗植付装置5が上昇し、下降制御弁25により油圧シリンダ4から作動油が排出されると、油圧シリンダ4が伸長作動して苗植付装置5が下降する。
【0029】
図2に示すように、苗植付装置5の横軸芯P1周りに中央の接地フロート9(接地体に相当)の後部が上下に揺動自在に支持され、中央の接地フロート9の上方の苗植付装置5の固定部にポテンショメータ22(姿勢検出手段に相当)が固定されており、ポテンショメータ22の検出アーム22aと中央の接地フロート9の前部とに亘ってロッド26が接続され、ポテンショメータ22の検出値B1が制御装置23に入力されている。機体の進行に伴って中央の接地フロート9が田面Gに接地追従するのであり、ポテンショメータ22の検出値B1により、田面G(中央の接地フロート9)からポテンショメータ22までの高さを検出することができ、田面G(中央の接地フロート9)から苗植付装置5までの高さを検出することができる。
【0030】
図2に示すように、人為的に操作可能な感度ダイヤル27(感度変更手段に相当)が備えられており、感度ダイヤル27の操作位置が制御装置23に入力されている。図2に示す状態は、感度ダイヤル27が中立位置Nに操作された状態であり、中央の接地フロート9の底面が水平となるポテンショメータ22の検出値B1が、植付設定高さA0(設定深さ)に対応する設定検出値A1(目標姿勢に相当)として設定された状態である。
【0031】
図2に示す状態において、中央の接地フロート9が田面Gに接地追従するのに対して、苗植付装置5が上下動すると、これに伴って田面G(中央の接地フロート9)から苗植付装置5までの高さ(苗の植付深さ)が変化しようとする。
後述する[4][5]に記載のように、田面G(中央の接地フロート9)から苗植付装置5までの高さ(苗の植付深さ)がポテンショメータ22により検出されて、ポテンショメータ22の検出値B1が設定検出値A1(植付設定高さA0(設定深さ))となるように、制御装置23により上昇及び下降制御弁24,25が操作され、油圧シリンダ4により苗植付装置5が昇降駆動されて、苗植付装置5が田面Gから植付設定高さA0(設定深さ)に維持されるのであり、苗植付装置5による苗の植付深さが設定深さに維持される(昇降制御手段)。
【0032】
図2に示すように、感度ダイヤル27を中立位置Nに操作していると、中央の接地フロート9の底面が水平となるポテンショメータ22の検出値B1が、植付設定高さA0(設定深さ)に対応する設定検出値A1として設定された状態となる。
田面Gの泥が柔らかく(田面Gの水が多く)、田面Gの凹凸が少ない場合、一般に感度ダイヤル27を中立位置Nから敏感側に操作する。感度ダイヤル27を中立位置Nから敏感側に操作すると、設定検出値A1が感度ダイヤル27の操作位置に対応して少し低側に変更される。これによって、設定検出値A1での中央の接地フロート9の底面が少し下向きとなり、中央の接地フロート9の田面Gへの接地面積が大きくなって、中央の接地フロート9が田面Gに敏感に追従するようになる(接地体の作業地への接地追従感度が敏感側に変更された状態に相当)。
【0033】
田面Gの泥が固く(田面Gの水が少なく)、田面Gの凹凸が多い場合、一般に感度ダイヤル27を中立位置Nから鈍感側に操作する。感度ダイヤル27を中立位置Nから鈍感側に操作すると、図2に示す設定検出値A1が感度ダイヤル27の操作位置に対応して少し高側に変更される。これによって、設定検出値A1での中央の接地フロート9の底面が少し上向きとなり、中央の接地フロート9の田面Gへの接地面積が小さくなって、中央の接地フロート9が田面Gに鈍感に追従するようになる(接地体の作業地への接地追従感度が鈍感側に変更された状態に相当)。
【0034】
[3]
次に、上昇及び下降制御弁24,25のデューティ制御(デューティT1)について説明する。
図2に示すように、上昇制御弁24は作動油の供給位置及び遮断位置の2位置に操作自在で電磁操作式に構成されており、下降制御弁25は作動油の排出位置及び遮断位置の2位置に操作自在で電磁操作式に構成されている。図3に示すように、上昇及び下降制御弁24,25が供給位置(排出位置)及び遮断位置に高速で繰り返して操作されるデューティ制御が行われており、単位時間T3に対する供給位置(排出位置)に操作されている時間T4の比(T4/T3)であるデューティ比T1を変更することによって、上昇制御弁24から供給される作動油の流量(下降制御弁25から排出される作動油の流量)を変更することができる。
【0035】
これにより、制御装置23によりデューティ比T1が設定され、制御装置23の操作信号(デューティ比T1)により、上昇及び下降制御弁24,25が供給位置(排出位置)及び遮断位置に高速で繰り返して操作されて、上昇及び下降制御弁24,25による作動油の流量制御が行われるのであり、油圧シリンダ4の伸縮速度(作動油の流量)を任意に設定及び変更することができる。図2に示すように、リンク機構3の上下角度を検出するポテンショメータ11が備えられ、ポテンショメータ11の検出値が制御装置23に入力されており、ポテンショメータ11の検出値により油圧シリンダ4の停止及び伸縮作動、停止位置の検出を行うのであり、ポテンショメータ11の検出値を微分処理して、油圧シリンダ4の伸縮速度を演算する。
【0036】
デューティ制御では、デューティ比T1は0%から100%まで設定が可能である。しかしながら、油圧シリンダ4、上昇及び下降制御弁24,25においては、デューティ比T1を0%から100%まで設定しても、デューティ比T1が0%に近い付近では作動油の流量が少なすぎて、油圧シリンダ4は伸縮作動しない。デューティ比T1が100%に近い付近では、作動油の流量が飽和状態となって、デューティ比T1を変更しても油圧シリンダ4の伸縮速度(作動油の流量)は変化しない。
多数が生産される上昇及び下降制御弁24,25には個体差が存在しており、例えば一つの上昇制御弁24をデューティ比T1で操作した際の油圧シリンダ4の収縮速度(作動油の流量)と、別の上昇制御弁24を同じデューティ比T1で操作した際の油圧シリンダ4の収縮速度(作動油の流量)が異なることがある。
【0037】
前述のような状態に対して、制御装置23に修正モードが設定されており、生産工場の出荷時、上昇及び下降制御弁24,25の交換やメンテナンスを行った場合に、修正モードを作動させる。
図1に示すように、苗のせ台10に標準的な数の苗を載置した状態(例えば苗のせ台10の1つの苗のせ面に1〜2枚の苗を載置した状態)において、修正モードを作動させると、図4に示すように、上昇制御弁24に対する制御装置23の操作信号(デューティ比T1)が0%から少しずつ上昇していき、油圧シリンダ4が停止状態から収縮作動を開始するデューティ比T11が検出される。この場合、一般に油圧シリンダ4は停止状態に近い超低速で収縮作動するのではなく、ある程度の大きさの収縮速度(作動油の流量)V01で、急に収縮作動を開始するような状態になることが多い。
【0038】
図4に示すように、制御装置23の操作信号(デューティ比T1)と作動油の流量(油圧シリンダ4の収縮速度)とが線型関係になると考えられるデューティ比T1の範囲において、下限及び上限と思われるデューティ比T12,T13が事前に設定されている。これにより、制御装置23の操作信号(デューティ比T12)により上昇制御弁24が操作されて、このときの油圧シリンダ4の収縮速度(作動油の流量)V2がポテンショメータ11の検出値に基づいて検出され、次に制御装置23の操作信号(デューティ比T13)により上昇制御弁24が操作されて、このときの油圧シリンダ4の収縮速度(作動油の流量)V3がポテンショメータ11の検出値に基づいて検出される。
【0039】
図4に示すように、デューティ比T12,T13及び油圧シリンダ4の収縮速度(作動油の流量)V2,V3に基づいて、一次関数としての関係式Y1が設定される。関係式Y1をデューティ比T11まで延長した場合、関係式Y1によるデューティ比T11の油圧シリンダ4の収縮速度(作動油の流量)V1が得られるとする。
前述のように、デューティ比T11で油圧シリンダ4が停止状態から収縮作動を開始した際の油圧シリンダ4の収縮速度(作動油の流量)V01と、関係式Y1によるデューティ比T11の油圧シリンダ4の収縮速度(作動油の流量)V1とが一致しなくても、油圧シリンダ4の収縮速度(作動油の流量)V01,V1の差は小さいはずなので、関係式Y1によるデューティ比T11の油圧シリンダ4の収縮速度(作動油の流量)V1が、デューティ比T11で油圧シリンダ4が停止状態から収縮作動を開始した際の収縮速度(作動油の流量)として設定される。
【0040】
これにより、上昇制御弁24において、デューティ比T11,T13及び油圧シリンダ4の収縮速度(作動油の流量)V1,V3の範囲で、関係式Y1が設定される。下降制御弁25においても前述の上昇制御弁24での操作と同じ操作が行われ、下降制御弁25において、デューティ比T11,T13及び油圧シリンダ4の収縮速度(作動油の流量)V1,V3の範囲で、関係式Y1が設定される。
【0041】
[4]
次に、昇降制御手段の作動の前半について、図6に基づいて説明する。
田面G(中央の接地フロート9)から苗植付装置5までの高さ(田面G(中央の接地フロート9)からポテンショメータ22までの高さ)として、ポテンショメータ22の検出値B1が制御装置23に入力され(ステップS1)、ポテンショメータ22の検出値B1と設定検出値A1との差が、偏差B3(B3=A1−B1)(姿勢検出手段の検出値と目標姿勢との偏差に相当)として検出される(ステップS2)。
【0042】
この場合、偏差B3が正の値であると、田面G(中央の接地フロート9)から苗植付装置5までの高さ(田面G(中央の接地フロート9)からポテンショメータ22までの高さ)が、植付設定高さA0(設定深さ)よりも上側(高側)に位置していることを意味し、偏差B3が負の値であると、田面G(中央の接地フロート9)から苗植付装置5までの高さ(田面G(中央の接地フロート9)からポテンショメータ22までの高さ)が、植付設定高さA0(設定深さ)よりも下側(低側)に位置していることを意味している。
【0043】
ポテンショメータ22の検出値B1が微分処理されて、中央の接地フロート9の昇降速度が検出され、これによって苗植付装置5の昇降速度B2(作業装置の姿勢変化の変化速度に相当)が検出される(ステップS3)(変化速度検出手段に相当)。苗植付装置5の昇降速度B2が正の値であると、苗植付装置5が上昇状態であることを意味し、苗植付装置5の昇降速度B2が負の値であると、苗植付装置5が下降状態であることを意味している。
【0044】
設定検出値A1に対して、不感帯H1が設定されている。ポテンショメータ22の検出値B1が、設定検出値A1の不感帯H1に入っていると(ステップS4)、第1制御ゲインK1が「0」に設定され(ステップS5)、ポテンショメータ22の検出値B1が、設定検出値A1の不感帯H1から外れていると(ステップS4)、第1制御ゲインK1が事前に記憶されている一定値に設定される(ステップS6)。
この場合、第1制御ゲインK1が事前に記憶されている一定値に設定されるように構成するのではなく、後述する第2制御ゲインK2と同様に、図5の実線Y3及び一点鎖線Y4に示すように、感度ダイヤル27の操作位置に応じて、第1制御ゲインK1が設定されるように構成してもよい。
【0045】
苗植付装置5の昇降速度B2において、「0」(苗植付装置5の昇降が停止した状態)に対して、不感帯H2が設定されている(不感帯H1に比べて、不感帯H2は十分に小さい)。苗植付装置5の昇降速度B2が「0」の不感帯H2に入っていると(ステップS7)、第2制御ゲインK2が「0」に設定される(ステップS8)。苗植付装置5の昇降速度B2が「0」の不感帯H2から外れていると(ステップS7)、この時の感度ダイヤル27の操作位置に応じて、第2制御ゲインK2が設定される(ステップS9)(制御ゲイン変更手段に相当)。
【0046】
図5の実線Y3に示すように、感度ダイヤル27が中立位置Nから敏感側に操作されると、第2制御ゲインK2が高い一定の値K22に設定される。感度ダイヤル27が中立位置Nから鈍感側に操作されると、第2制御ゲインK2の値K22及び小さい値K21(「0」ではない)との間において、感度ダイヤル27の操作位置が鈍感側であるほど、第2制御ゲインK2が小側の値に設定される。
この場合、図5の一点鎖線Y4に示すように、感度ダイヤル27が中立位置Nから鈍感側に操作されると、第2制御ゲインK2が低い一定の値K23に設定されるように構成してもよい。図5の実線Y3及び一点鎖線Y4において、感度ダイヤル27が中立位置Nから敏感側に操作されるほど、第2制御ゲインK2が高側の値に設定されるように構成してもよい。
【0047】
[5]
次に、昇降制御手段の作動の後半について、図6に基づいて説明する。
前項[4]に記載のように、偏差B3(正又は負の値)、苗植付装置5の昇降速度B2(正又は負の値)、第1及び第2制御ゲインK1,K2(正の値)が得られると、偏差B3に第1制御ゲインK1を乗じた値と、苗植付装置5の昇降速度B2に第2制御ゲインK2を乗じた値との和が、油圧シリンダ4の目標伸縮速度(作動油の流量)VKとして求められる(ステップS10)。
【0048】
ステップS10において、田面G(中央の接地フロート9)から苗植付装置5までの高さ(田面G(中央の接地フロート9)からポテンショメータ22までの高さ)が、植付設定高さA0(設定深さ)よりも上側(高側)に外れているほど(下側(低側)に外れているほど)、油圧シリンダ4の目標伸縮速度(作動油の流量)VKが大側の正の値(上側(高側))、又は大側の負の値(下側(低側))となる。
【0049】
ステップS10において、田面G(中央の接地フロート9)から苗植付装置5までの高さ(田面G(中央の接地フロート9)からポテンショメータ22までの高さ)が、植付設定高さA0(設定深さ)よりも上側(高側)に外れている状態において、苗植付装置5の昇降速度B2が正の大側の値であるほど(苗植付装置5が高速の上昇状態であるほど)、油圧シリンダ4の目標伸縮速度(作動油の流量)VKがさらに正の大側の値に補正され、苗植付装置5の昇降速度B2が負の大側の値であるほど(苗植付装置5が高速の下降状態であるほど)、油圧シリンダ4の目標伸縮速度(作動油の流量)VKが正の小側の値に補正される。
【0050】
ステップS10において、田面G(中央の接地フロート9)から苗植付装置5までの高さ(田面G(中央の接地フロート9)からポテンショメータ22までの高さ)が、植付設定高さA0(設定深さ)よりも下側(低側)に外れている状態において、苗植付装置5の昇降速度B2が負の大側の値であるほど(苗植付装置5が高速の下降状態であるほど)、油圧シリンダ4の目標伸縮速度(作動油の流量)VKがさらに負の大側の値に補正され、苗植付装置5の昇降速度B2が正の大側の値であるほど(苗植付装置5が高速の上昇状態であるほど)、油圧シリンダ4の目標伸縮速度(作動油の流量)VKが負の小側の値に補正される。
【0051】
前述のようにして求められた油圧シリンダ4の目標伸縮速度(作動油の流量)VKにより、図4に示す関係式Y1に基づいて、デューティ比T1が求められる(ステップS11)。油圧シリンダ4の目標伸縮速度(作動油の流量)VKが油圧シリンダ4の収縮速度(作動油の流量)V1よりも低側(小側)の値であると、デューティ比T1がT11に設定され、油圧シリンダ4の目標伸縮速度(作動油の流量)VKが油圧シリンダ4の収縮速度(作動油の流量)V3よりも高側(大側)の値であると、デューティ比T1がT13に設定される。
【0052】
偏差B3が正の値である場合、田面G(中央の接地フロート9)から苗植付装置5までの高さ(田面G(中央の接地フロート9)からポテンショメータ22までの高さ)が、植付設定高さA0(設定深さ)よりも上側(高側)に外れているとなって、制御装置23の操作信号(デューティ比T1)により、下降制御弁25が排出位置及び遮断位置に高速で繰り返して操作され、下降制御弁25による作動油の流量制御が行われながら、油圧シリンダ4の目標伸縮速度(作動油の流量)VKで油圧シリンダ4の伸長作動して苗植付装置5が下降する(ステップS12)。
【0053】
偏差B3が負の値である場合、田面G(中央の接地フロート9)から苗植付装置5までの高さ(田面G(中央の接地フロート9)からポテンショメータ22までの高さ)が、植付設定高さA0(設定深さ)よりも下側(低側)に外れているとなって、制御装置23の操作信号(デューティ比T1)により、上昇制御弁24が供給位置及び遮断位置に高速で繰り返して操作され、上昇制御弁25による作動油の流量制御が行われながら、油圧シリンダ4の目標伸縮速度(作動油の流量)VKで油圧シリンダ4の収縮作動して苗植付装置5が上昇する(ステップS12)。
【0054】
これにより、ステップS1〜S12が繰り返して行われ、ポテンショメータ22の検出値B1が、設定検出値A1の不感帯H1に入るように、油圧シリンダ4により苗植付装置5が昇降駆動されて、苗植付装置5が田面Gから植付設定高さA0(設定深さ)に維持されるのであり、苗植付装置5による苗の植付深さが設定深さに維持される。
【0055】
[発明の実施の第1別形態]
前述の[発明を実施するための最良の形態]の図6に代えて、図7に示すように構成してもよい。
機体の走行速度を検出する走行速度検出手段(図示せず)を備える。この場合、走行用の伝動軸の回転数を検出して機体の走行速度を検出したり、エンジン(図示せず)の回転数を検出して機体の走行速度を検出したりするように、走行速度検出手段が構成されている。図6に示すステップS9が廃止されて、図7に示すようにステップS21,S22が設定されている。
【0056】
図7に示すように、苗植付装置5の昇降速度B2が「0」の不感帯H2から外れている場合(ステップS7)、機体が走行停止状態又は機体の走行速度が極低速VV1未満の場合、ステップS8に移行して第2制御ゲインK2が「0」に設定される。機体の走行速度が極低速VV1以上の場合、機体の走行速度に応じて、第2制御ゲインK2が設定される(ステップS22)(制御ゲイン変更手段に相当)。
【0057】
図8の実線Y5に示すように、第2制御ゲインK2の小さい値K21(「0」ではない)と大きい値K22との間において、機体の走行速度が高速であるほど、第2制御ゲインK2が大側の値に設定され、機体の走行速度が低速であるほど、第2制御ゲインK2が小側の値に設定される。
この場合、図8の一点鎖線Y6に示すように、機体の走行速度が極低速VV1と中間速度VV3との間であると、第2制御ゲインK2が小さい一定の値K23に設定され、機体の走行速度が中間速度VV3と最高速度VV2との間であると、第2制御ゲインK2が大きい一定の値K22に設定されるように構成してもよい。
【0058】
[発明の実施の第2別形態]
前述の[発明を実施するための最良の形態][発明の実施の第1別形態]の図4に代えて、図9に示すように構成してもよい。
図9に示すように、苗のせ台10に標準的な数の苗を載置した状態(例えば苗のせ台10の1つの苗のせ面に1〜2枚の苗を載置した状態)において、修正モードを作動させると、上昇制御弁24に対する制御装置23の操作信号(デューティ比T1)が0%から少しずつ上昇していき、油圧シリンダ4が停止状態から収縮作動を開始するデューティ比T11が検出される。
【0059】
図9に示すように、制御装置23の操作信号(デューティ比T1)と作動油の流量(油圧シリンダ4の収縮速度)とが線型関係になると考えられるデューティ比T1の範囲において、下限及び上限と思われるデューティ比T12,T13が事前に設定されている。これにより、制御装置23の操作信号(デューティ比T12)により上昇制御弁24が操作されて、このときの油圧シリンダ4の収縮速度(作動油の流量)V2がポテンショメータ11の検出値に基づいて検出され、次に制御装置23の操作信号(デューティ比T13)により上昇制御弁24が操作されて、このときの油圧シリンダ4の収縮速度(作動油の流量)V3がポテンショメータ11の検出値に基づいて検出される。
【0060】
図9に示すように、デューティ比T12,T13及び油圧シリンダ4の収縮速度(作動油の流量)V2,V3に基づいて、一次関数としての関係式Y1が設定される。油圧シリンダ4が停止状態から収縮作動を開始するデューティ比T11において、油圧シリンダ4の収縮速度(作動油の流量)を「0」とし、デューティ比T11,T12及び油圧シリンダ4の収縮速度(作動油の流量)V2に基づいて、一次関数としての関係式Y2が設定される。
【0061】
これにより、上昇制御弁24において、デューティ比T11,T13及び油圧シリンダ4の収縮速度「0」,V3の範囲で、関係式Y1,Y2が設定される。下降制御弁25においても前述の上昇制御弁24での操作と同じ操作が行われ、下降制御弁25において、デューティ比T11,T13及び油圧シリンダ4の収縮速度「0」,V3の範囲で、関係式Y1,Y2が設定される。
【0062】
[発明の実施の第3別形態]
前述の[発明を実施するための最良の形態][発明の実施の第1別形態][発明の実施の第2別形態]において、ポテンショメータ22の検出値B1を微分処理して、苗植付装置5の昇降速度B2を検出するのではなく、専用の昇降速度センサー(変化速度検出手段に相当)を備えたり、昇降加速度センサー(変化速度検出手段に相当)を備え、積分処理によって苗植付装置5の昇降速度B2を検出するように構成してもよい。
【0063】
[発明の実施の第4別形態]
前述の[発明を実施するための最良の形態][発明の実施の第1別形態]〜[発明の実施の第3別形態]において、感度ダイヤル27の操作位置や機体の走行速度に関係なく、第2制御ゲインK2を人為的に任意に設定及び変更(「0」も含む)できるように構成してもよい。
【0064】
前述の[発明を実施するための最良の形態][発明の実施の第1別形態]〜[発明の実施の第3別形態]において、感度ダイヤル27の操作位置や機体の走行速度に応じて、第1制御ゲインK1も変更されるように構成してもよく、感度ダイヤル27の操作位置や機体の走行速度に関係なく、第1制御ゲインK1を人為的に任意に設定及び変更(「0」も含む)できるように構成してもよい。
本発明は乗用型田植機ばかりではなく、作業装置として直播装置や薬剤散布装置を機体に連結した水田作業機や、農用トラクタやコンバインにも適用でき、作業装置の昇降制御ばかりではなく、作業装置のローリング制御にも適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】乗用型田植機の全体側面図
【図2】油圧シリンダ、中央の接地フロート及びポテンショメータ、感度ダイヤルの関係を示す図
【図3】デューティ制御の状態を示す図
【図4】上昇及び下降制御弁におけるデューティ比及び油圧シリンダの収縮(伸長)速度(作動油の流量)の関係式を示す図
【図5】感度ダイヤルと第2制御ゲインとの関係を示す図
【図6】昇降制御手段の作動の流れを示す図
【図7】発明の実施の第1別形態において昇降制御手段の作動の流れを示す図
【図8】発明の実施の第1別形態において機体の走行速度と第2制御ゲインとの関係を示す図
【図9】発明の実施の第2別形態において上昇及び下降制御弁におけるデューティ比及び油圧シリンダの収縮(伸長)速度(作動油の流量)の関係式を示す図
【符号の説明】
【0066】
4 アクチュエータ
5 作業装置
9 接地体
22 姿勢検出手段
27 感度変更手段
A1 目標姿勢
B1 姿勢検出手段の検出値
B2 作業装置の姿勢変化の変化速度、接地体の昇降速度
K1 第1制御ゲイン
K2 第2制御ゲイン
G 作業地

【特許請求の範囲】
【請求項1】
機体に連結された作業装置の姿勢を変更するアクチュエータを備え、
前記作業装置の姿勢を検出する姿勢検出手段と、前記作業装置の姿勢変化の変化速度を検出する変化速度検出手段とを備えて、
前記姿勢検出手段の検出値が目標姿勢から外れるほど、前記アクチュエータを第1制御ゲインに基づいて高速で作動させ、前記変化速度検出手段の検出値が高速になるほど、前記アクチュエータを第2制御ゲインに基づいて高速で作動させて、前記アクチュエータにより作業装置を目標姿勢に維持する姿勢制御手段を備えると共に、
前記第2制御ゲインを変更可能な制御ゲイン変更手段を備えてある作業車の作業装置姿勢変更構造。
【請求項2】
機体の走行速度を検出する走行速度検出手段を備え、機体の走行速度が低速になると第2制御ゲインが小側に変更されるように、前記制御ゲイン変更手段を構成してある請求項1に記載の作業車の作業装置姿勢変更構造。
【請求項3】
機体が走行停止状態になると第2制御ゲインが零に変更されるように、前記制御ゲイン変更手段を構成してある請求項1又は2に記載の作業車の作業装置姿勢変更構造。
【請求項4】
作業地に接地追従する接地体を前記作業装置に昇降自在に備えて、
前記接地体から作業装置までの高さを作業装置の姿勢として検出するように姿勢検出手段を構成し、前記接地体の昇降速度を作業装置の姿勢変化の変化速度として検出するように変化速度検出手段を構成して、
前記接地体の作業地への接地追従感度を変更する感度変更手段を備えると共に、
前記感度変更手段が鈍感側に設定されると第2制御ゲインが小側に変更されるように、前記制御ゲイン変更手段を構成してある請求項1〜3のうちのいずれか一つに記載の作業車の作業装置姿勢変更構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2009−55810(P2009−55810A)
【公開日】平成21年3月19日(2009.3.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−224401(P2007−224401)
【出願日】平成19年8月30日(2007.8.30)
【出願人】(000001052)株式会社クボタ (4,415)
【Fターム(参考)】