説明

作業車両のエンジン制御装置

【課題】スターティングモータの破損を防ぎ、円滑なエンジン始動を可能とする、作業性および安全性を向上させた作業車両のエンジン制御装置を提供する。
【解決手段】エンジン6を始動するスタートスイッチ14と、このスタートスイッチ14に連係し、エンジン6の始動補助を行うスターティングモータMに電流を供給するスタータリレー47とをコントローラ32に接続するとともに、コントローラ32は、スタートスイッチ14の投入により、スタータリレー47を通電させ、スターティングモータの駆動に伴い、エンジン6を始動させ、かつエンジン制御装置31は、スタータリレー47の通電時間に応じて、スタータリレー47への通電を停止する、スターティングモータMの牽制機構Kを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コントローラが、スタートスイッチの投入により、スタータリレーを通電させることで、スターティングモータが駆動し、エンジンを始動させる作業車両のエンジ制御装置に関し、より詳細には、エンジン制御装置は、スタータリレーの通電時間に応じて、スタータリレーへの通電を停止する、スターティングモータの牽制機構を備える作業車両のエンジ制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、トラクタなど作業車両のエンジン制御装置には、キースイッチが投入され、バッテリからスタータリレーの励磁コイルに通電されると、スタータリレーが閉じて、バッテリからマグネティックスイッチを介して通電されたモータの回転により、エンジンが始動し、このエンジン始動後にキースイッチが戻されると、スタータリレーが開放され、マグネティックスイッチへの通電遮断に伴い、モータへの通電が遮断されて、スタータの動作が停止する(例えば、特許文献1)エンジン始動装置がある。そして、この特許文献1に記載のエンジン始動装置では、スタータのモータが、キースイッチの不良などで連続通電状態になり、外部部品の熱劣化が発生する前に、スタータへの通電を遮断するととともに、モータへの通電を遮断したことを警報装置で知らせる技術がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−207942号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、このような作業車両のエンジン制御装置では、キースイッチを投入してエンジンを始動させる際、気温が低い時などエンジン始動性の悪い(エンジンのかかりの悪い)状況において、作業者は、エンジンが始動されるまでの間、連続したキースイッチ操作に伴い、比較的長時間の連続したスターティングモータの駆動によるクランキングを行うことで、スターティングモータが発熱や発煙などを引き起こす恐れや、スターティングモータが破損してしまう問題があった。
そこで、この発明の目的は、スターティングモータの破損を防ぎ、円滑なエンジン始動を可能とする、作業性および安全性を向上させた作業車両のエンジン制御装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
このため請求項1に記載の発明は、エンジンを始動するスタートスイッチと、該スタートスイッチに連係し、前記エンジンの始動補助を行うスターティングモータに電流を供給するスタータリレーとをコントローラに接続するとともに、前記コントローラは、前記スタートスイッチの投入により、前記スタータリレーを通電させ、前記スターティングモータの駆動に伴い、前記エンジンを始動させる作業車両のエンジン制御装置において、前記エンジン制御装置は、前記スタータリレーの通電時間に応じて、前記スタータリレーへの通電を停止する、前記スターティングモータの牽制機構を備えることを特徴とする。
【0006】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の作業車両のエンジン制御装置において、前記牽制機構は、前記コントローラに内蔵するとともに、前記コントローラは、前記スタータリレーへの通電入切の切替えを、可変自在な所定時間または時間間隔で行うことを特徴とする。
【0007】
請求項3に記載の発明は、請求項1に記載の作業車両のエンジン制御装置において、前記コントローラには、前記エンジン点火に用いる予備加熱装置としてのグロープラグに電流を供給するグローリレーを接続することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
請求項1に記載の発明によれば、エンジンを始動するスタートスイッチと、このスタートスイッチに連係し、エンジンの始動補助を行うスターティングモータに電流を供給するスタータリレーとをコントローラに接続するとともに、コントローラは、スタートスイッチの投入により、スタータリレーを通電させ、スターティングモータの駆動に伴い、エンジンを始動させる作業車両のエンジン制御装置において、エンジン制御装置は、スタータリレーの通電時間に応じて、スタータリレーへの通電を停止する、スターティングモータの牽制機構を備えるので、キースイッチの操作の仕方や、気温が低い時などエンジン始動性の悪い状況では、キースイッチ操作に連動したスタータリレーの通電が所定の時間を越えると、牽制機構によりコントローラは、スタータリレーへの通電を遮断するため、スターティングモータの連続した不必要に長い駆動を防ぎ、スターティングモータの故障や発熱などを防止するほか、スターティングモータの製品寿命を延ばすことができる。従って、作業性および安全性を向上させた作業車両のエンジン制御装置を提供することができる。
【0009】
請求項2に記載の発明によれば、牽制機構は、コントローラに内蔵するとともに、コントローラは、スタータリレーへの通電入切の切替えを、可変自在な所定時間または時間間隔で行うので、簡単な回路構成にすることができるとともに、スタータリレーへの通電時間や通電間隔を任意に設定して、スタートスイッチの投入に伴うスタータリレーへの通電時間を、コントローラおよび牽制機構が、所定の時間で細かくON/OFFさせることで、スタータソレノイド48への連続した電流供給を防ぎ、スターティングモータの連続駆動を防ぐことにより、このスターティングモータの駆動負荷を軽減することができる。従って、作業性および生産性を向上させた作業車両のエンジン制御装置を提供することができる。
【0010】
請求項3に記載の発明によれば、コントローラには、エンジン点火に用いる予備加熱装置としてのグロープラグに電流を供給するグローリレーを接続するので、キースイッチの操作に伴いグローリレーを励磁させ、キースイッチ再操作時のエンジン始動性を向上し、スターティングモータの駆動時間を短縮させて、スターティングモータの消耗および破損を防ぐことができる。従って、作業性および生産性を向上させた作業車両のエンジン制御装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明のエンジン制御装置を備える作業車両の一例を示した、ホイール式トラクタの左側面図である。
【図2】トラクタの操縦部を後方から見た斜視図である。
【図3】エンジン制御装置の電気回路図である。
【図4】エンジン制御装置のブロック制御図である。
【図5】スタートスイッチおよびスタータリレーの動作図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照しつつ、この発明を実施するための最良の形態について詳述する。
図1は、本発明のエンジン制御装置を備える作業車両の一例を示した、ホイール式トラクタの左側面図、図2はトラクタの操縦部を後方から見た斜視図である。なお、図1に例示した作業車両としてのトラクタは、キャビン仕様のホイール式トラクタに限定されず、ロプス仕様や、クローラ式などであってもよく、さらには、トラクタに限定されず、コンバインや除雪車、建設作業車両など、エンジン制御装置を備える作業車両であればよい。
【0013】
この例の作業車両であるトラクタ1は、図1に示すように、機体フレーム2の前後に前輪3および後輪4を備え、前輪3の上方にボンネット5を形成し、その内側には原動機部としてのエンジン6およびエンジン6の後方にクラッチハウジング7が配置され、さらに、このクラッチハウジング7の後方には、ミッションケース8が配設されており、エンジン6からの動力が前輪3および後輪4に伝達される。そして、ボンネット5の後部に連続して、機体フレーム2上には、外周にそれぞれフロントガラス19、リヤガラス20、ドア21、屋根22などを取付けキャビン9が設けられる。
【0014】
次に、図2に示すように、キャビン9内には、車両の操縦部として、ブレーキペダル10やクラッチペダル11などの操作ペダル、ステアリングハンドル12、シート13などが設けられる。また、ステアリングハンドル12近傍におけるステアリングコラムの適宜位置には、キースイッチ14が設けられる。
【0015】
さらに、シート13の両側方に有する左右フェンダ15には、例えば、主変速レバー16や副変速レバー17、PTO変速レバー18などの各種操作レバーが突設される。なお、トラクタ1は、上述したキャビン仕様に限定されず、ロプス仕様であってもよい。
【0016】
そして、エンジン6からの動力は、ミッションケース8から突出した不図示のPTO軸からや、不図示の油圧ケースなどを介して、車両後部では、ユニバーサルジョイントや三点リンク式などの作業機装着装置を介して装着された図示しない後部作業機を駆動させることができるほか、車両前部では、機体の前部に設置した左右一対の図示しないヒッチを介して装着された前部作業機が駆動される。
【0017】
次に、本願発明の特徴である、作業車両のエンジン制御装置について、その具体的構成を説明する。図3はエンジン制御装置の電気回路図、図4はエンジン制御装置のブロック制御図、図5はスタートスイッチおよびスタータリレーの動作図である。
【0018】
コントローラ32を備えるエンジン制御装置31は、図3に示すように、まず、コントローラ31の入力側として、キースイッチ14と、車両走行系である主変速レバー15のニュートラル位置(走行系のシフト位置が非伝達状態であること)を検出するシフトニュートラルスイッチ34と、車両中央近傍に備えられる図示しないミッドPTO軸への動力伝達がニュートラル(非伝達)状態であることを検出するミッドPTOニュートラルスイッチ35と、車両後部に備えられる図示しないPTO軸に動力を伝達させるために、油圧クラッチを接続するリヤPTOニュートラルスイッチ36と、作業者のシート13着座を検出するシートスイッチ37とが、コントローラ31に接続される。
【0019】
また、車両の図示しないパーキングブレーキの作動を検出するパーキングスイッチ38もコントローラ32に接続される。なお、符号39は、前記パーキングブレーキがかかった状態であることを運転者に報知するランプ、符号40は、主変速レバー15がニュートラル状態であることを運転者に報知するランプ、符号41は、○○○するPTOソレノイド、符号42は、前記PTO軸が動力伝達状態により回転中であることを運転者に報知するランプである。
【0020】
前記キースイッチ14は、図示しないバッテリに接続されるとともに、このキースイッチ14は、回路内の全ての電源をオンオフするメインスイッチ14aおよびエンジン6 を、図4に示すスターティングモータMの駆動を介して始動させるスタートスイッチ14bから構成される。
【0021】
なお、上述したシフトニュートラルスイッチ34や、ミッドPTOニュートラルスイッチ35、PTOニュートラルスイッチ36、シートスイッチ37は、例えば、特開2007−230417や、特開2004−190636他に記載される周知技術であるため、それらの詳細な説明は省略する。
【0022】
次に、コントローラ32の出力側として、エンジン6の予熱装置としてのグロープラグ44に電流を供給するパワーリレーであるグローリレー43と、エンジン6に燃料を供給するためのエンジンストップソレノイド46に電流を供給するパワーリレーであるソレノイドリレー45とが、コントローラ32に接続される。また、前記スターティングモータ内の接点を励磁するためのスタータソレノイド48に電流を供給するスタータリレー47もコントローラ31に接続される。
【0023】
なお、符号49は、エンジン6始動のために、エンジン6に予熱を与えていることを作業者に報知するランプである。
【0024】
上記エンジンストップソレノイド46は、ソレノイドリレー45から得る大電流を吸引する吸引部46aと、吸引された電流を保持することで、エンジン6に燃料を供給可能とする保持部46bとから構成される。
【0025】
そして、本願発明のエンジン制御装置31におけるコントローラ32内には、前記スターティングモータMの駆動を牽制する牽制機構Kが設けられる。この牽制機構Kは、スタートスイッチ14bと、コントローラ32と、スタータリレー47とから構成された、コントローラ32によるスタータリレー47の通電を制御するものである。
【0026】
つまり、コントローラ32には、スタートスイッチ14bの連続操作時間(連続投入時間)に応じて、スタータリレー47への通電入切(ON/OFF)の切替を行う、牽制機構Kを含むタイマー機能が備えられており、このタイマー機能は、コントローラ32の外部から任意の設定時間に変更可能とされる。
【0027】
従って、コントローラ32が、牽制機構Kやタイマー機能を内蔵するこのような構成により、エンジン制御装置31を構成する電気回路内における、コントローラ32の外部に別途牽制機構やタイマーを接続させる必要がないとともに、温度条件などによるそれらの不具合や故障を発生させることなく、エンジン制御装置31を構成する電気回路を簡単にして、メンテナンス性を向上させることができる。
【0028】
本実施例では、コントローラ32における上記タイマー機能としての設定時間を30秒とする。これは、スタートスイッチ14bの投入によりコントローラ32が、スタータリレー47を30秒間通電させた後、牽制機構Kによりコントローラ32がスタータリレー47への通電を遮断するものである。この設定時間は、上述の30秒に限定されず、作業車両の車種や大きさ、作業環境などに応じて適宜時間を設定することができる。
【0029】
そして、作業者が、図4に示すように、車両のエンジン6を始動および駆動させるために、キースイッチ14のメインスイッチ14aを介して、スタートスイッチ14bを投入した際に、コントローラ32は、このスタートスイッチ14bが投入されたことにより、グローリレー43には、例えば15秒間(限定されない)などの一定時間、前記バッテリから得られた電流を供給して、このグローリレー43を励磁させるとともに、ソレノイドリレー45にも、例えば1秒間(限定されない)などの一定時間、前記バッテリから得られた電流を供給して、このソレノイドリレー45を励磁させてもよい。
【0030】
次いで、コントローラ32に、シフトニュートラルスイッチ34の検出による主変速レバー15がニュートラル位置であることと、ミッドPTOニュートラルスイッチ35およびリヤPTOニュートラルスイッチ36の検出による前記PTO軸への動力非伝達状態と、シートスイッチ37の検出による作業者のシート13着座状態との、これら全ての検出情報が入力されると、コントローラ32は、スタータリレー47を通電させ、スタータソレノイド48に電流を供給することで、スターティングモータMが作動し、エンジン6が始動される。
【0031】
ここで、例えば、車両が低温環境下にある場合において、スタートスイッチ14bを比較的長い時間操作し、スタータリレー47を長い時間通電させることで、スタータソレノイド48を作動させて、スターティングモータMを長い時間駆動させなければ、エンジン6が始動しないような、エンジン6の始動性が悪い(エンジン6のかかりが悪い)状況がある。
【0032】
この場合、コントローラ32は、図5(a)に示すように、スタートスイッチ14bの連続操作により、スタータリレー47の通電時間が30秒以内であれば、通常どおりスタータリレー47に電流を供給し、このスタータリレー47から得られた電流によりスタータソレノイド48の作動に伴うスターティングモータMの駆動でエンジン6が始動するが、その際コントローラ32は、エンジン6の始動に伴い作業者がエンジンキーをメインスイッチ14aの位置に戻すまで、あるいはエンジン6が始動されなくても、スタートスイッチ14bの操作時間が30秒以内は、スタータリレー47に電流を供給し続ける。
【0033】
その結果、スタータリレー47の通電時間が30秒以内では、スタータリレー47から電流が供給されたことでスタータソレノイド48が作動し、前記スターティングモータの駆動が可能とされる。なお、このスタータリレー47が通電している30秒以内にエンジン6が始動した場合には、スターティングモータMの駆動が停止されるため、該スターティングモータの不必要な駆動を防止することができる。
【0034】
しかし、スタータリレー47の通電時間が30秒を超えた場合には、牽制機構Kが作動し、コントローラ32は、スタータリレー47への電流の供給を停止する。
【0035】
この結果、スタータリレー47の通電が、30秒を超えるような長い通電時間になると、スタータリレー47からスタータソレノイド48に電流が供給されないため、スタータソレノイド48が作動されず、スターティングモータMの駆動が停止される。
【0036】
このような構成により、低温時などエンジン6の始動性の悪い状況において、エンジン6を始動させるまで、長時間のキースイッチ14投入に伴い、長い時間スタータリレー47を通電させようとしても、コントローラ32の牽制機構Kにより、所定の時間でスタータリレー47への通電が遮断されるため、スターティングモータMの連続した不必要に長い駆動を防ぎ、スターティングモータMの破損を防ぐとともに、スターティングモータMの発熱や発煙などを防止し、安全性を高めることができる。
【0037】
また、牽制機構Kは、スタータリレー47の通電入切を、予め設定した任意の時間や時間間隔で行わせることができる。この場合、例えば、図5(a)に示すように、スタートスイッチ14bがON(投入)されると、コントローラ32は、スタータリレー47への通電を、OFF(切)の状態から、まず5秒間だけON(入)の状態にした後、牽制機構Kにより1秒間OFFとする。その後、コントローラ32は、再びスタータリレー47の通電を、30秒間ONにした後、牽制機構KによりOFFとする構成をコントローラ32の牽制機構Kに設定することができる。
【0038】
なお、スタータリレー47のON状態における最初の5秒中や後の30秒中に、スターティングモータMの駆動を介してエンジン6が始動されると、エンジン6が始動された時点で、スタータリレー47への通電が遮断される。
【0039】
また、例えば、図5(b)に示すように、スタートスイッチ14bがONされると、コントローラ32は、スタータリレー47への通電を、OFF状態から、まず15秒間ON状態にした後、牽制機構KによりOFFとされる。そして、その間、スタートスイッチ14bの再投入により、コントローラ32は、スタータリレー47への通電を、OFF状態から、再び15秒間ON状態にした後、牽制機構KによりOFFとする構成をコントローラ32の牽制機構Kに設定することができる。
【0040】
そして、上述のような、スタートスイッチ14bのON操作により、コントローラ32は、スタータリレー47への通電を15秒間ONにするパターンを、スターティングモータMの駆動を介してエンジン6が始動されるまで繰り返し行わせる構成にすることもできる。
【0041】
このような構成により、スタートスイッチ14bの投入に伴うスタータリレー47への通電時間を、コントローラ32および牽制機構Kが、所定の時間で細かくON/OFFすることで、スタータソレノイド48への連続した電流供給を防ぎ、スターティングモータMの連続駆動を防ぐことにより、スターティングモータMの駆動負荷を軽減することができる。なお、スタータリレー47への通電時間および通電間隔は、上述に一例を示したものであり、適宜設定することができる。
【0042】
さらに、上述したように、コントローラ32は、スタートスイッチ14bが投入される毎に、グローリレー43には、例えば15秒間(限定されない)などの一定時間、前記バッテリから得られた電流を供給して、このグローリレー43を予め励磁させているため、グローリレー43によりグロープラグ44を介してエンジン6が予熱される。
【0043】
このような構成により、スタートスイッチ14bを操作する毎に、グローリレー43が励磁されているため、スタートスイッチ14b操作時または再操作時のエンジン6始動性が向上し、スターティングモータMの駆動時間を短縮できる結果、このスターティングモータMの消耗および破損を防ぐことができる。
【0044】
また、メインスイッチ14a投入の際、グローリレー43の励磁時間を、本発明の例では15秒程度としているため、グローリレー43への電流供給を、エンジン6の予熱に必要最小限とすることができ、電流の無駄な浪費を抑制することができる。
【0045】
以上詳述したように、この例の作業車両のエンジン制御装置31は、エンジン6を始動するスタートスイッチ14と、このスタートスイッチ14に連係し、エンジン6の始動補助を行うスターティングモータMに電流を供給するスタータリレー47とをコントローラ32に接続するとともに、コントローラ32は、スタートスイッチ14の投入により、スタータリレー47を通電させ、スターティングモータの駆動に伴い、エンジン6を始動させ、かつエンジン制御装置31は、スタータリレー47の通電時間に応じて、スタータリレー47への通電を停止する、スターティングモータMの牽制機構Kを備えるものである。加えて、牽制機構Kは、コントローラ32に内蔵するとともに、コントローラ32は、スタータリレー47への通電入切の切替えを、可変自在な所定時間または時間間隔で行う。
【産業上の利用可能性】
【0046】
なお、上述の例では、エンジン制御装置を備える作業車両の一例としてホイール式トラクタについて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、クローラ式トラクタなどの農作業車両や、建設作業車両など、エンジン制御装置を備えるあらゆる作業車両に適用できる。
【符号の説明】
【0047】
14b スタートスイッチ
31 エンジン制御装置
32 コントローラ
34 シフトニュートラルスイッチ
35 ミッドPTOニュートラルスイッチ
36 リヤPTOニュートラルスイッチ
37 シートスイッチ
43 グローリレー
44 グローランプ
45 ソレノイドリレー
47 スタータリレー
48 スタータソレノイド
K 牽制機構
M スターティングモータ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンジンを始動するスタートスイッチと、
該スタートスイッチに連係し、前記エンジンの始動補助を行うスターティングモータに電流を供給するスタータリレーと、をコントローラに接続するとともに、
前記コントローラは、前記スタートスイッチの投入により、前記スタータリレーにエンジン始動指示を出力することで、前記スタータリレーを通電させ、前記スターティングモータの回転に伴い、前記エンジンを駆動させる作業車両のエンジン制御装置において、
前記エンジン制御装置は、前記スタータリレーの通電時間に応じて、前記スタータリレーへの通電を停止する、前記スターティングモータの牽制機構を備えることを特徴とする作業車両のエンジン制御装置。
【請求項2】
前記牽制機構は、前記コントローラに内蔵するとともに、前記コントローラは、前記スタータリレーへの通電入切の切替えを、可変自在な所定時間または時間間隔で行うことを特徴とする、請求項1に記載の作業車両のエンジン制御装置。
【請求項3】
前記コントローラには、前記エンジン点火に用いる予備加熱装置としてのグロープラグに電流を供給するグローリレーを接続することを特徴とする、請求項1に記載の作業車両のエンジン制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−17270(P2011−17270A)
【公開日】平成23年1月27日(2011.1.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−161564(P2009−161564)
【出願日】平成21年7月8日(2009.7.8)
【出願人】(000006781)ヤンマー株式会社 (3,810)
【Fターム(参考)】