説明

作業車両

【課題】 本発明の課題は、マフラーをボンネット内に内装することによってマフラー全体の別カバーを不用とし、簡単な構成でもって安価に実施することのできる排気用マフラーを具現することにある。
【解決手段】 車体前部のボンネット(12)内部にエンジン(E)を搭載してある作業車両において、エンジン(E)のマフラー本体(18)をボンネット(12)内部に収納支持させて設け、マフラー本体(18)に接続するアンダーテールパイプ(19)の終端側部は、サイドカバー(16)の外側に配置して設けると共に、その終端部にはアッパーテールパイプ(20)を接続可能に構成してあることを特徴とする作業車両の構成とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、トラクタに関する。特に、マフラー支持構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば、特許文献1には、ボンネットの左右外側部にマフラーを前後方向に沿わせて配置し、マフラーの後側にはテールパイプを接続して上方に延出し、マフラーは別のマフラーカバーで被覆するようにした構成のものが開示されている。また、特許文献2においても同様に、ボンネットの左側外側部にマフラーを配置し、マフラーの後側にテールパイプを接続し、マフラーはマフラーカバーで被覆している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−357123号公報
【特許文献2】特開2003−63259号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来例では、マフラーをボンネットの外側に配置しているため、別のカバーによってマフラー全体をカバーする必要がある。
本発明の課題は、マフラーをボンネット内に内装することによってマフラーの全体を覆う別のカバーを不用とし、簡単な構成でもって安価に実施することのできるマフラー装置を具現することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この発明は、上記課題を解決すべく次のような技術的手段を講じた。
すなわち、請求項1記載の本発明は、車体前部のボンネット(12)内部にエンジン(E)を搭載してある作業車両において、エンジン(E)のマフラー本体(18)をボンネット(12)内部に収納支持させて設け、マフラー本体(18)に接続するアンダーテールパイプ(19)の終端側部は、サイドカバー(16)の外側に配置して設けると共に、その終端部にはアッパーテールパイプ(20)を接続可能に構成してあることを特徴とする作業車両としたものである。
【0006】
マフラー本体(18)は、ボンネット(12)内部に収納保持するので、ボンネット外部に配置する場合のようにマフラーの周囲全体をカバーする必要がなく、簡単な構成でもって安価に実施することができる。
【0007】
また、アンダーテールパイプ(19)の終端側部は、サイドカバー(16)の外側に配置することによってエンジン始動時の排ガスの濡れで、ボンネット内面が黒く汚れることがない。
【0008】
請求項2記載の本発明は、前記アンダーテールパイプ(19)は、サイドカバー部(16)よりボンネット(12)外部へ突出させて設けてあることを特徴とする請求項1記載の作業車両としたものである。
【0009】
アンダーテールパイプ(19)は、サイドカバー(16)部分から外部へ突出させるので、メンテ時におけるボンネットの開閉が容易に行える。
請求項3記載の本発明は、アンダーテールパイプ(19)の最終端部は、上向きのストレート部(19a)を構成すると共に、その上方部にアッパーテールパイプ(20)を接続する構成としてあることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の作業車両としたものである。
【0010】
アンダーテールパイプ(19)とアッパーテールパイプ(20)とのつなぎ目での排気漏れが少なくなり、排ガスの流れがスムーズである。
【発明の効果】
【0011】
以上要するに、請求項1の本発明によれば、エンジンのマフラー本体は、ボンネット内部に収納支持させるので、従来例のようにマフラーの周囲全体にカバーを設ける必要がなく、簡単な構成でもって安価に実施することができる。
【0012】
また、アンダーテールパイプの終端側部は、サイドカバーの外側に配置することによって排ガスによるボンネット内面の汚れを防止することができる。
請求項2の本発明によれば、請求項1の発明効果を奏するものでありながら、アンダーテールパイプは、固定状態にあるサイドカバー部分から外部へ突出させるので、エンジンやマフラー等のメンテ時におけるボンネットの揺動開閉が容易に行える。
【0013】
請求項3の本発明によれば、請求項1又は請求項2の発明効果を奏するものでありながら、アンダーテールパイプ最終端部の上向きストレート部にアッパーテールパイプを接続するので、上下両パイプのつなぎ目での排気漏れが少なくなり、排ガスの流れもスムースで、排気性能を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】散布作業車両の側面図
【図2】同上平面図
【図3】同上要部の側面図
【図4】同上要部の正面図
【図5】テールパイプの要部の正面図
【発明を実施するための形態】
【0015】
この発明の実施例を図面に基づき説明する。
図1及び図2は、作業車両の一例として乗用型防除機を示すものであり、この走行車体1前部のボンネット12内部にエンジンEを搭載し、このエンジンEの回転動力をミッションケース2内の変速装置に伝え、この変速装置で減速された回転動力を前輪3及び後輪4とに伝えるようにしている。
【0016】
機体後部には薬液を収容しているタンク5が設置され、該薬液タンク5の上部に運転席6が、その前方には前輪3,3を操舵するステアリングハンドル7が装備されている。薬液タンク5内の薬液は、ポンプ8により後述する散布ブーム9に設けられた散布ホース10のノズル11から噴出されるようになっている。
【0017】
機体の左右両側には散布ブームを収納支持するためのブーム収納支持枠13,13が立設され、受け具14によって係止保持されるようになっている。
前記の散布ブーム9において、中央のセンターブーム9Cは、機体の横幅に略一致し、その左右両側に連結される左右のサイドブーム9L,9Rは、中央のそれよりも長さが長く構成されている。左右のサイドブーム9L,9Rは、中央のセンターブーム9Cに対し回動自在に連結され、サイドブーム上下シリンダ15により上方へ回動させて収納状態に保持させたり、或いは地面と略平行となる産婦作業姿勢状態に回動させて支持させたりすることができる。
【0018】
ボンネット12は、後端側を支点として前端側が上下に揺動開閉するように構成されている。ボンネット12の左右両サイド及び前面下方には、サイドカバー16,16とフロントカバー17が設けられ、機体側に取付ステーを介して装着支持されている。
【0019】
エンジンEのマフラー本体18は、ボンネット12の内部で前後方向に沿わせて配置し、車体側又はサイドカバー16側から支持するように構成されている。 マフラー本体18に接続するアンダーテールパイプ19は、サイドカバー16を貫通して外部(ボンネット外)へ突出させている。そして、該パイプの最終端部は上向き鉛直状となるようストレート部19aが形成されている。
【0020】
アッパーテールパイプ20は、アンダーテールパイプ19よりも径大とし、アンダーテールパイプ19の上向きストレート部19a上部に上方から被せるようにして接続し、本機側のバンパフレーム23から突設する支持パイプ24によって装着支持されている。アッパーテールパイプ20と支持パイプ24を一体化構成とし、アンダーテールパイプ19とは、固定状態を独立化させた構成としている。
【0021】
アッパーテールパイプ20はテールカバー21によってカバーされており、また、該パイプ20の排気口20aは前方上方に向けられ、上方排気とすることで、排気熱による作物への影響を及ぼすことがなくなる。
【0022】
前記構成のマフラーにおいて、図5に示すように、アンダーテールパイプ19とアッパーテールパイプ20との間に所定の隙間Lを設けておくと、エンジンの振動によるアッパーテールパイプとアンダーテールパイプの干渉がないので、異音等の不具合を防止することができる。
【0023】
散布ブーム9の昇降用リンクフレーム25とボンネット12との間に前記アッパーテールパイプ20を配置することで、このリンクフレーム25がアッパーテールパイプの安全ガードの役目を果たしている。
【符号の説明】
【0024】
E エンジン
12 ボンネット
16 サイドカバー
18 マフラー本体
19 アンダーテールパイプ
19a 上向きのストレート部
20 アッパーテールパイプ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体前部のボンネット(12)内部にエンジン(E)を搭載してある作業車両において、エンジン(E)のマフラー本体(18)をボンネット(12)内部に収納支持させて設け、マフラー本体(18)に接続するアンダーテールパイプ(19)の終端側部は、サイドカバー(16)の外側に配置して設けると共に、その終端部にはアッパーテールパイプ(20)を接続可能に構成してあることを特徴とする作業車両。
【請求項2】
前記アンダーテールパイプ(19)は、サイドカバー部(16)よりボンネット(12)外部へ突出させて設けてあることを特徴とする請求項1記載の作業車両。
【請求項3】
アンダーテールパイプ(19)の最終端部は、上向きのストレート部(19a)を構成すると共に、その上方部にアッパーテールパイプ(20)を接続する構成としてあることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の作業車両。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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