説明

作業車両

【課題】作業車両におけるラジエータの塵埃除去装置であって、電動モータと拭い取り装置を備えた電動ワイパーをコンパクトに構成し、ボンネット内部のラジエータネット近傍の狭い空間に容易に配設し、電動ワイパーの駆動を適正化する。
【解決手段】基端部を往復揺動自在に軸支しているワイパーアームと、該ワイパーアーム駆動用のワイパーモータとを一体的に組み立て電動ワイパーを構成し、ラジエータネットの冷却風の流れ方向上手側部位に前記電動ワイパーを配設して前記ワイパーアームに取り付けたワイパーブレードを前記ラジエータネットの上手側に摺接させ、前記電動ワイパーの自動運転を入切する電動ワイパー自動入切スイッチを設け、前記電動ワイパーの自動運転時には、エンジンが始動し所定時間経過すると、前記電動ワイパーを間欠駆動するコントローラを設けたことを特徴とする作業車両とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、作業車両に関し、特にラジエータの塵埃除去装置に関する。
【背景技術】
【0002】
作業車両におけるラジエータの塵埃除去装置において、エンジン、ラジエータ、吸気ファンを備え、吸気ファンの回転によりボンネットの吸気部から外気を吸引しラジエータに通気し、ボンネットの吸気部に通気網体を張設し、通気網体の外側面沿って往復揺動する拭い取り体を設け、網体表面に摺接揺動しながらダストを拭い取るものは、公知である(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−335108号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記背景技術のものは、電動モータで駆動されるリンクを介して拭い取り体を往復揺動させる構成であり、拭い取り装置が大形となり、ボンネット内部のラジエータネット近傍に拭い取り装置を配置するのが困難であった。
【0005】
そこで、本発明は、電動モータと拭い取り装置を備えた電動ワイパーをコンパクトに構成し、作業車両のボンネット内部のラジエータネット近傍の狭い空間に配設できるようにし、更に電動ワイパーの駆動を適正化しながら塵埃を除去しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、このような問題点を解消するために、次のような技術的手段を講じた。
請求項1の発明は、走行車体(2)の前側から後側にかけて配設されているエンジン(E)、冷却ファン(51)、ラジエータ(52)及びラジエータネット(53)をボンネット(5)で被覆し冷却風が後側から前側に流れる作業車両において、基端部を往復揺動自在に軸支しているワイパーアーム(56c)と、該ワイパーアーム(56c)駆動用のワイパーモータ(56e)とを一体的に組み立て電動ワイパー(56)を構成し、前記ラジエータネット(53)の冷却風の流れ方向上手側部位に前記電動ワイパー(56)を配設して前記ワイパーアーム(56c)に取り付けたワイパーブレード(56d)を前記ラジエータネット(53)の上手側に摺接させ、前記電動ワイパー(56)の自動運転を入切する電動ワイパー自動入切スイッチ(71)を設け、前記電動ワイパー(56)の自動運転時には、前記エンジン(E)が始動し所定時間経過すると、前記電動ワイパー(56)を間欠駆動するコントローラ(20)を設けたことを特徴とする作業車両とする。
【0007】
請求項2の発明は、走行車体(2)の前側から後側にかけて配設されているエンジン(E)、冷却ファン(51)、ラジエータ(52)及びラジエータネット(53)をボンネット(5)で被覆し冷却風が後側から前側に流れる作業車両において、基端部を往復揺動自在に軸支しているワイパーアーム(56c)と、該ワイパーアーム(56c)駆動用のワイパーモータ(56e)とを一体的に組み立て電動ワイパー(56)を構成し、前記ラジエータネット(53)の冷却風の流れ方向上手側部位に前記電動ワイパー(56)を配設して前記ワイパーアーム(56c)に取り付けたワイパーブレード(56d)を前記ラジエータネット(53)の上手側に摺接させ、前記電動ワイパー(56)の自動運転を入切する電動ワイパー自動入切スイッチ(71)を設け、前記電動ワイパー(56)の自動運転時には、前記エンジン(E)が始動するとすぐに前記電動ワイパー(56)を間欠駆動するコントローラ(20)を設けたことを特徴とする作業車両とする。
【0008】
請求項3の発明は、前記電動ワイパー(56)を手動駆動する電動ワイパー手動スイッチ(72)を設け、前記電動ワイパー自動入切スイッチ(71)が切りのときには、前記電動ワイパー手動スイッチ(72)を入りにして前記電動ワイパー(56)を手動操作可能に構成したことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の作業車両とする。
【発明の効果】
【0009】
請求項1の発明によると、基端部を往復揺動自在に軸支しているワイパーアーム(56c)と、該ワイパーアーム(56c)駆動用のワイパーモータ(56e)とを一体的に組み立て電動ワイパー(56)を構成したので、冷却風の流れる機体内の狭い空間に電動ワイパー(56)を容易に配設することができる。また、エンジン(E)が始動し所定時間経過すると、電動ワイパー(56)を間欠駆動とするコントローラ(20)を設けたので、電動ワイパー(56)の駆動忘れを防止し、ラジエータネット(53)の塵埃を確実に除去することができる。
【0010】
請求項2の発明によると、電動ワイパー(56)をコンパクトに構成したので、冷却風の流れる機体内の狭い空間に電動ワイパー(56)を容易に配設することができる。また、エンジン(E)が始動するとすぐに、電動ワイパー(56)を間欠駆動するコントローラ(20)を設けたので、電動ワイパー(56)の駆動忘れを防止し、ラジエータネット(53)の塵埃を確実に除去することができる。
【0011】
請求項3の発明によると、請求項1又は請求項2の発明の前記効果に加えて、ラジエータネット(53)の塵埃の付着具合に応じて、オペレータの好みに合わせて電動ワイパー手動スイッチ(72)を操作して電動ワイパー(56)を駆動し、ラジエータネットの塵埃を確実に除去することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】作業車両の側面図。
【図2】作業車両の正面図。
【図3】作業車両の前側部の平面図。
【図4】防除散布装置、電動ワイパーのブロック図。
【図5】散布操作パネルの正面図。
【図6】操作パネルの表示部の正面図。
【図7】作業車両の前側部の側面図。
【図8】ラジエータ部の側面図。
【図9】ラジエータ部の正面図。
【図10】作業車両の前側部の側面図。
【図11】作業車両の前側部の側面図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
まず、図1乃至図3に基づき本発明を備えた薬液散布用の散布作業車1について説明する。
散布作業車1の走行車体2には略等径の左右前輪3,3、左右後輪4,4を設け、走行車体2の前側部には防除散布装置11を設けている。走行車体2の左右前輪3,3間上方にはエンジンEを搭載し、エンジンE回りをボンネット5で被覆している。左右前輪3,3と左右後輪4,4間上方には操縦席6を設け、操縦席6の前側部にステアリングハンドル7を設けている。ステアリングハンドル7を左右に操舵すると、左右前輪3,3及び左右後輪4,4が関連的に操舵されて小回り走行のできる四輪操舵構成としている。また、操縦席6の回りを取り囲むように薬液タンク9を着脱自在に設け、その下方に防除ポンプ10を設けている。
【0014】
防除散布装置11は機体前方中央部に位置するセンター散布ブーム11aと、センター散布ブーム11aの左右両側に設けている左右散布ブーム11b,11bとで構成している。また、防除散布装置11を昇降シリンダ15,15により昇降調節可能に構成し、また、開閉シリンダ17,17により左右散布ブーム11b,11bを左右に突出した散布作業状態としたり、あるいは、走行車体2の側方に沿わせた収納状態に回動できるように構成している。
【0015】
次に、図4に基づき防除散布構成について説明する。
薬液吸い込み吐出経路は、薬液タンク9から防除ポンプ10に至る低圧吸水経路35と、防除ポンプ10から流量制御弁36を経て各散布ブーム11a,11b,11bに至る高圧吐出経路37とからなり、ホース等で連結されている。高圧吐出経路37には、一定圧以上の薬液を逃がす安全弁38のある余水戻し経路40が設けられ、余分の薬液を薬液タンク9に還元している。また、この薬液タンク9の底部と高圧吐出経路37との間には撹拌経路41が連通されていて、吐出薬液の一部を薬液タンク9内に常時噴出還元し、薬液タンク9内の薬液を撹拌している。
【0016】
高圧散布経路37における流量制御弁36の下手側に噴霧マニホールド42を設け、噴霧マニホールド42から中央、左右噴霧コック43a,43b,43bを介して中央高圧散布経路37a、左右高圧散布経路37b,37bを分岐している。中央高圧散布経路37aの終端側には機体幅と略等しい長さの中央散布ブーム11aを設け、左右高圧散布経路37b,37bの終端側には左右散布ブーム11b,11bを設けている。また、高圧吐出経路37の流量制御弁36の下手側に流量センサ45、圧力センサ46を設けている。
【0017】
しかして、薬液タンク9の薬液は防除ポンプ10から安全弁38、流量制御弁36、高圧散布経路37a,37b,37bを経由してセンター散布ブーム11a及び左右散布ブーム11b,11bに送られ、散布ノズル14,…から散布される。
【0018】
次に、図5及び図6にについて説明する。
操縦席6の左右一側に散布操作パネル21を設け、散布操作パネル21には防除コントローラ20を内装し、散布操作パネル21には表示画面22を備えている。
【0019】
散布操作パネル21の上部には、防除散布装置11の上下スイッチ23、左右防除散布装置11b,11bの左右開閉収納スイッチ24,24を設けている。
散布操作パネル21の下部には、防除ポンプスイッチ30、防除散布装置11を所定高さに自動的に保持する自動ブームスイッチ31、左噴霧コック43bの左開閉スイッチ32a、中央噴霧コック43aの中央開閉スイッチ32b、右噴霧コック43bの右開閉スイッチ32cを設けている。
【0020】
更に、その下方には左ブームレバースイッチ33、右ブームレバースイッチ34を設け、これら左右ブームレバースイッチ33,34を左右に操作すると、左右ブームが伸長あるいは短縮し、上下に操作すると、左右ブームが上方回動あるいは下方回動するように構成している。
【0021】
また、図6に示すように、散布操作パネル21の上側部には表示画面22を設け、表示画面22の上部に表示部22aを設けている。表示画面22の表示部22aの下方は、自動入切スイッチ25、自動入切を表示するパイロットランプ26、散布設定スイッチ27、増スイッチ28、減スイッチ29及び累計リセットスイッチ30を左右方向に沿わせて設けている。
【0022】
表示部22aの左側部には、散布圧力指示器22b、散布流量指示器22c、流量累計指示器22dを設けている。また、表示部22aの右側方に表示切替スイッチ22fを設けている。
【0023】
前記構成によると、散布設定スイッチ27をONすると自動散布モードに切り替わり、表示部22aに少量散布モード、慣行散布モード、除草剤散布モードの何れかが表示され、散布設定スイッチ27を押す毎に順次切り換わり、いずれかを選択することができる。次いで、散布内容を変更したいときには、表示切替スイッチ22fをON操作し、散布圧力、散布流量を順次切り換え、変更設定項目を選択する。すると、選択された散布圧力表示部22b、散布流量表示部22cに対応する散布圧力指示器22b、散布流量指示器22cが点灯する。次いで、増スイッチ28あるいは減スイッチ29を操作し、当該表示項目の増減設定をすることができる。
【0024】
次に、図7乃至図9に基づきラジエータ52の冷却構成について説明する。
走行車体2の前側部にはエンジンEを搭載してボンネット5で被覆し、エンジンEの後側部に冷却ファン51を設け、エンジンEの出力軸(図示省略)からベルト伝動装置51aを介して冷却ファン51に動力を伝達している。冷却ファン51の後方にラジエータ52を設け、ラジエータ52の後方にラジエータネット53を設けている。
【0025】
走行車体2のボンネット5、ラジエータ52の後方部位にハンドルコラム61を立設し、ハンドルコラム61にステアリングハンドル7のハンドル軸7aを支架している。ハンドルコラム61をパネルフード62で被覆し、パネルフード62の上端部に操作パネル63を設けている。
【0026】
また、走行車体2には車速センサ73を設け(図1に示す)、冷却風の流れのラジエータネット53の下手側に冷却風量センサ75を設け(図7に示す)、前記ラジエータ52には冷却水の温度を検出する冷却水温度センサ76(図7に示す)を設けている。
【0027】
しかして、冷却ファン51が回転すると、ラジエータネット53を通過して冷却風が後方から前方に向かって流れ、ラジエータ52を通過して冷却水を冷却し、エンジンEの周辺を通りボンネット8の左右排風部から排出される。
【0028】
次に、ラジエータネット53の除塵用の電動ワイパー56について説明する。
電動ワイパー56は駆動手段であるワイパーモータ56eと除塵手段であるワイパーブレード56dとを一体的にコンパクトに構成している。
【0029】
この電動ワイパー56は、ケース状のワイパーフレーム部56aと、ワイパーフレーム部56aに前後方向のアーム軸56bに軸支されていて、所定範囲で往復揺動するワイパーアーム56cと、ワイパーアーム56cに着脱自在に取り付けているワイパーブレード56dと、駆動用のワイパーモータ56eと、ケース状のワイパーフレーム部56aに内装されていてワイパーモータ56eの出力軸からアーム軸56bに往復揺動する動力を伝達する伝動手段(図示省略)とで構成されていて、これらを組み立て一体的に構成している。
【0030】
なお、ワイパーブレード56dの表面にはダストを拭い取るブレードラバー(図示省略)を交換自在に取り付けている。
ハンドルコラム61に取り付けたブラケット64を操作パネル63の前方の空間部まで延出し、ブラケット64に電動ワイパー56のワイパーフレーム部56aを取り付けている。そして、ワイパーモータ56e及びアーム軸56bを上側に位置させ、ワイパーアーム56c及びワイパーブレード56dの先端を下側に向けて垂下状に取り付け、アーム軸56bを前後方向に沿わせてワイパーブレード56dの拭き取り面をラジエータネット53の後側面に密着させている。
【0031】
また、図9に示すように、ワイパーブレード56dの基部を軸支する軸56bを正面視でラジエータネット53の左右一側部上方部位で前後方向に沿うように配置し、ワイパーブレード56dの下側部が垂下状態で左右方向に往復揺動し、ワイパーブレード56dはラジエータネット53の左右両側までを揺動範囲とし、広範囲に接触しながらダストを落下させるようにしている。
【0032】
前記構成によると、ラジエータネット53の後側面をワイパーブレード53cが接触しながら左右に往復揺動すると、ダストを粉砕しながらラジエータネット53から離脱させる。離脱したダストはラジエータ52のコア部を通して冷却風と共に前方へ流れ、エンジンEの周辺部のボンネット5の左右通気部を通り排出される。また、ラジエータネット53の後側面に沿って落下したダストは下方空間を経て機体の下方に排出される。
【0033】
また、電動ワイパー56のワイパーモータ56eをラジエータネット53とハンドルコラム61の間の機体空間内に配置したので、ワイパーモータ56eに冷却風が当たり冷却することができる。
【0034】
また、電動ワイパー56のワイパーモータ56eをラジエータネット53の上方に配置したので、ラジエータネット53を通過する冷却風量を多くしながらワイパーモータ56eを冷却することができる。
【0035】
また、ワイパーブレード56dの基部が上側に軸支され、ワイパーブレード56dの先端側は垂下状態で左右傾斜状で左右に往復揺動するので、ワイパーブレード56dで除去されたダストがワイパーブレード56dの上側面に付着しにくく下方への落下が促進される。
【0036】
稲の防除作業では、散布作業中に稲の花粉が冷却ファン51の吸入空気に混じり、ラジエータネット53に滞積付着し、ラジエータ52の冷却性能を極度に低下させるので、その都度ラジエータネット53のメンテナンスをしなければならない。また、ダストの除去作業はオペレータが操縦部6から降り、ボンネット5を開けラジエータネット53を取り外して清掃しなければならず、手間がかかり、煩わしい作業である。
【0037】
散布操作パネル21に設けた電動ワイパー手動スイッチ58をオペレータが操作することにより、電動ワイパー56のブレード56dを遠隔操作で往復揺動させ、ラジエータネット53のダストを除去することができ、メンテナンス時間と労力を大幅に低減させることができる。
【0038】
また、ラジエータネット53の近傍は狭いスペースしかないが、電動ワイパー56を前記のようにコンパクトに構成しているので、例えば、ラジエータネット53の近傍の操作パネル63の下方空間を利用して電動ワイパー56を取り付けることができる。また、ブレード56dの基部を支点とした左右揺動回動方式のコンパクトな構成としたので、ラジエータネット53の狭い空間部に容易に配設することができる。
【0039】
また、図6に示すように、散布操作パネル21に電動ワイパー手動スイッチ58を設け、操縦席6のオペレータが電動ワイパー手動スイッチ58を操作すると、ワイパーブレード56dを遠隔操作で作動し、ラジエータネット53のダストの除去をするように構成している。
【0040】
また、散布操作パネル21の電動ワイパー手動スイッチ58の側方には電動ワイパー手動スイッチランプ59を設け、電動ワイパー手動スイッチ58をONにすると、電動ワイパー手動スイッチランプ59が点灯し、スイッチをOFFにしたり、防除コントローラ20の指令で電動ワイパー56が自動停止すると、電動ワイパースイッチランプ59が消灯するようにし、電動ワイパー56の作動状態を容易に確認できるようにしている。
【0041】
また、散布操作パネル21の電動ワイパー手動スイッチランプ59の側方に、電動ワイパー作動告知ランプ60を設けている。
防除コントローラ20の入力側に前記スイッチ類及びセンサ類を接続し、出力側に駆動手段を介して、流量制御弁36、電動ワイパー56のモータを接続し、散布制御をするように構成している。
【0042】
しかして、散布作業を開始すると、車速センサ73が車速を検出し、防除コントローラ20の散布制御手段が設定散布量と検出車速とから噴霧圧力を算出し、算出圧力値と圧力センサ46の検出値とが一致するように流量制御弁36を開閉調節し、散布ノズル14,…の噴霧量を制御するようにしている。従って、走行速度を速くした場合には、算出圧力値に検出圧力値が到達するまで流量制御弁36を開調節し、散布ノズル14の噴霧量を増加し、作物に対し常に定量の薬液散布をするようにしている。
【0043】
次に、電動ワイパー56の作動制御構成について説明する。
電動ワイパー自動入切スイッチ71が入りのときには、エンジンEが始動すると、所定時間が経過すると、電動ワイパー56が所定時間の駆動と、所定時間の停止とを交互に繰り返す間欠駆動とし、エンジンEが停止すると、電動ワイパー56の駆動を停止するようにしている。
【0044】
前記構成によると、電動ワイパー56の駆動忘れや、駆動停止忘れを防止することができる。
また、電動ワイパー自動入切スイッチ71が入りのときには、エンジンEが始動するすぐに、電動ワイパー56が所定時間の駆動と所定時間の停止とを交互に繰り返すようにし、エンジンEが停止すると、電動ワイパー56の駆動を停止するようにしても、同様の効果が期待できる。
【0045】
また、電動ワイパー自動入切スイッチ71が入りのときには、エンジンEが始動すると、所定時間経過後(あるいは始動と同時に)すると、電動ワイパー56の所定時間の駆動と所定時間の停止とを交互に繰り返す駆動制御を開始し、エンジンEが停止すると、電動ワイパー56の駆動制御を停止する。
【0046】
電動ワイパー自動入切スイッチ71が切りのときには、電動ワイパー手動スイッチ72を入りにして電動ワイパー56を作動し、切りにして電動ワイパー56を停止するようにしている。
【0047】
前記構成によると、電動ワイパー56の駆動忘れや、駆動停止忘れを防止し、また、ラジエータネット53の塵埃の付着具合に応じて、オペレータの手動スイッチ操作で電動ワイパー56を駆動し、ラジエータネットの塵埃を確実に除去することができる。
【0048】
次に、他の制御例について説明する。
電動ワイパー自動入切スイッチ71が入りのときには、車速センサ73から防除コントローラ20に走行信号が入力されると、所定時間経過後に電動ワイパー56の所定時間の駆動と所定時間の停止とを交互に繰り返す間欠駆動とし、車速センサ73から走行停止信号が入力されると、電動ワイパー56の駆動を停止する。
【0049】
前記構成によると、電動ワイパー56の駆動忘れや、駆動停止忘れを防止しながら、電動ワイパー56を適正に駆動することができる。
次に、他の制御例について説明する。
【0050】
電動ワイパー自動入切スイッチ71が入りのときには、車速センサ73から防除コントローラ20に走行信号が入力されると、所定時間の経過後に、電動ワイパー56の所定時間の駆動と所定時間の停止とを交互に繰り返す間欠駆動とし、車速センサ73から走行停止信号が入力されると、電動ワイパー56の駆動を停止する。そして、電動ワイパー自動入切スイッチ71が切りのときには、電動ワイパー手動スイッチ72を入りにして電動ワイパー56を駆動し、切りにして電動ワイパー56を停止するようにしている。
【0051】
前記構成によると、電動ワイパー56の駆動忘れや、駆動停止忘れを防止しながら、電動ワイパー56を適正に駆動することができる。また、ラジエータネット53の塵埃の付着具合に応じて、オペレータの好みにより手動スイッチ操作で電動ワイパー56を駆動し、ラジエータネットの塵埃を確実に除去することができる。
【0052】
次に、他の制御例について説明する。
電動ワイパー自動入切スイッチ71が入りのときには、防除ポンプスイッチ30がONになると、所定時間経過後に電動ワイパー56の所定時間の駆動と所定時間の停止とを交互に繰り返す間欠駆動とし、防除ポンプスイッチ30がOFFになると、電動ワイパー56の駆動を停止するようにしている。
【0053】
前記構成によると、電動ワイパー56の駆動忘れや、駆動停止忘れを防止し、ラジエータネット53に塵埃の付着する作業時に電動ワイパー56を的確に駆動し、ラジエータネットの塵埃を確実に除去することができる。
【0054】
また、電動ワイパー自動入切スイッチ71が入りのときには、防除ポンプスイッチ30がONになると、すぐに電動ワイパー56の所定時間の駆動と所定時間の停止とを交互に繰り返す間欠駆動にし、防除ポンプスイッチ30がOFFになると、電動ワイパー56の駆動を停止するようにしてもよい。
【0055】
また、電動ワイパー自動入切スイッチ71が入りのときには、防除ポンプスイッチ30がONなると、すぐに電動ワイパー56の駆動を開始し、所定時間経過後に所定時間の駆動と停止とを交互に繰り返す間欠駆動とし、防除ポンプスイッチ30がOFFになると、電動ワイパー56の駆動を停止するようにしてもよい。
【0056】
次に、他の制御例について説明する。
電動ワイパー自動入切スイッチ71が入りのときには、前記流量センサ45から検出情報が防除コントローラ20に入力されると、所定時間経過後に電動ワイパー56の所定時間の駆動と所定時間の停止とを交互に繰り返す間欠駆動にし、流量センサ45が流量検出無し検出をすると、電動ワイパー56の駆動を停止するようにしている。
【0057】
前記構成によると、電動ワイパー56の駆動忘れや、駆動停止忘れを防止し、ラジエータネット53に塵埃の付着する作業時に電動ワイパー56を的確に駆動し、ラジエータネット53の塵埃を確実に除去することができる。
【0058】
また、電動ワイパー自動入切スイッチ71が入りのときには、流量センサ45からの流量検出情報が防除コントローラ20に入力されると、すぐに電動ワイパー56の所定時間の駆動と所定時間の停止とを交互に繰り返する間欠駆動にし、流量センサ45が流量無し検出をすると、電動ワイパー56の駆動を停止するようにしてもよい。
【0059】
次に、他の制御例について説明する。
電動ワイパー自動入切スイッチ71が入りのときにおいて、前記散布操作パネル21の散布設定スイッチ27、増スイッチ28、減スイッチ29などを操作し散布量の設定操作が終了すると、すぐに電動ワイパー56の所定時間の駆動と所定時間の停止とを交互に繰り返す間欠駆動にし、防除ポンプスイッチ30がOFFになり散布作業が終了すると、電動ワイパー56の駆動を停止するようにしている。
【0060】
前記構成によると、電動ワイパー56の駆動忘れや、駆動停止忘れを防止し、ラジエータネット53に塵埃の付着する作業時に電動ワイパー56を的確に駆動し、ラジエータネット53の塵埃を確実に除去することができる。
【0061】
また、電動ワイパー自動入切スイッチ71が入りのときにおいて、散布操作パネル21の散布設定スイッチ27、増スイッチ28、減スイッチ29等を操作し散布量の設定操作が終了すると、すぐに電動ワイパー56の駆動を開始し、次いで、所定時間の駆動と所定時間の停止とを交互に繰り返す間欠駆動に移行し、防除ポンプスイッチ30がOFFになり散布作業が終了すると、電動ワイパー56の駆動を停止するようにしてもよい。
【0062】
また、電動ワイパー自動入切スイッチ71が入りのときにおいて、散布操作パネル21の散布設定スイッチ27等を操作し散布設定操作を開始し、散布圧力の設定操作が終了すると、すぐに電動ワイパー56の所定時間の駆動と所定時間の停止とを交互に繰り返す間欠駆動を開始し、防除ポンプスイッチ30がOFFになり散布作業が終了すると、電動ワイパー56の駆動を停止するようにしてもよい。
【0063】
また、電動ワイパー自動入切スイッチ71が入りのときにおいて、散布操作パネル21の散布設定スイッチ27等を操作し散布設定操作を開始し、散布圧力の設定操作が終了すると、すぐに電動ワイパー56の駆動を開始し、次いで、所定時間の駆動と所定時間の停止とを交互に繰り返す間欠駆動に移行し、防除ポンプスイッチ30がOFFになり散布作業が終了すると、電動ワイパー56の駆動を停止するようにしてもよい。
【0064】
次に、他の制御例について説明する。
電動ワイパー自動入切スイッチ71が入りのときには、圧力センサ46が所定値以上の散布圧力を検出しときには、電動ワイパー56の所定時間の駆動と所定時間の停止とを交互に繰り返す間欠駆動をし、防除ポンプスイッチ30がOFFになる散布作業が終了すると、電動ワイパー56の駆動を停止するようにしている。
【0065】
前記構成によると、電動ワイパー56の駆動忘れや、駆動停止忘れを防止し、ラジエータネット53に塵埃の付着する塵埃の多量発生時に電動ワイパー56を的確に駆動し、ラジエータネット53の塵埃を確実に除去することができる。
【0066】
また、圧力センサ46で散布圧力の所定値以上を検出したときには、電動ワイパー56の駆動をすぐに開始し、次いで、所定時間の駆動と所定時間の停止とを交互に繰り返す間欠駆動に移行し、防除ポンプスイッチ30がOFFになり散布作業が終了すると、電動ワイパー56の駆動を停止するようにしてもよい。
【0067】
また、圧力センサ46が散布圧力の所定値以下を検出したときには、電動ワイパー56の駆動を自動的に停止し、防除ポンプスイッチ30がOFFになり散布作業が終了すると、電動ワイパー56の駆動を停止するようにしてもよい。
【0068】
前記構成によると、散布圧力が低下し塵埃発生の少ない散布作業時に電動ワイパー56の駆動を自動的に停止するので、電動ワイパー56の耐久性を高めることができる。
次に、他の制御例について説明する。
【0069】
図11に示すように、冷却風量センサ75をラジエータ52の前側に設け、冷却風の温度を検出素するようにしている。電動ワイパー自動入切スイッチ71が入りのときにおいて、前記冷却風量センサ75が所定値以上の風量を検出しているときには、電動ワイパー56の駆動を停止し、冷却風量センサ75が所定値以下の風量を検出したときには、電動ワイパー56を駆動するようにし、防除ポンプスイッチ30をOFFにし散布作業が終了すると、電動ワイパー56の駆動を停止するようにしている。
【0070】
前記構成によると、ラジエータネット53に塵埃が付着し冷却風量が低下したときにのみ電動ワイパー56を駆動して塵埃を除去し、ラジエータネット53に塵埃の付着時に電動ワイパー56を的確に駆動し、ラジエータネット53の塵埃を確実に除去し、エンジンEのオーバーヒートを防止することができる。また、ラジエータネット53の塵埃の付着の少ないときには、電動ワイパー56を停止するので、電動ワイパー56の耐久性を高めることができる。
【0071】
次に、他の制御例について説明する。
図10に示すように、ラジエータ52の下部タンク52aからホース52bを経由してエンジンEのシリンダヘッドに冷却水を循環して冷却し、冷却後の温水をホース52cを介して上部タンク52dに循環し、上部タンク52dから下部タンク52aに流れる冷却水を冷却風で冷却するように構成している。
【0072】
そして、ラジエータ52の下部タンク52aに冷却水温度センサ76を設けている。シリンダ電動ワイパー自動入切スイッチ71が入りのときには、前記冷却水温度センサ76が所定値以下の温度を検出しているときには、電動ワイパー56の駆動を停止し、冷却水温度センサ76が所定値以上の温度を検出しているときには、電動ワイパー56を駆動するようにし、防除ポンプスイッチ30がOFFになり散布作業が終了すると、電動ワイパー56の駆動を停止するようにしている。
【0073】
前記構成によると、ラジエータ52の水温が高くラジエータネット53に塵埃が付着しているときにのみ電動ワイパー56を駆動して塵埃を除去し、ラジエータネット53の塵埃を確実に除去することができる。また、ラジエータ52の水温の低いラジエータネット53の塵埃の付着の少ないときには、電動ワイパー56を停止しているので、電動ワイパー56の耐久性を高めることができる。
【0074】
次に、他の制御例について説明する。
電動ワイパー自動入切スイッチ71が切りのときにおいて、冷却水温度センサ76が所定値以上の温度を検出したときには、電動ワイパー作動告知ランプ60を点灯し、オペレータに電動ワイパー56の駆動を促すようにしている。前記構成によると、電動ワイパー56の手動操作時にも、電動ワイパー56を的確に駆動し、ラジエータネット53の塵埃を的確に除去することができる。
【0075】
次に、他の制御例について説明する。
電動ワイパー自動入切スイッチ71が入りのときにおいて、散布操作パネル21の散布設定スイッチ27、増スイッチ28、減スイッチ29等を操作し散布量の設定をし、散布量設定が基準設定量(例えば、反当たり100l)以上のときには、電動ワイパー56の駆動を停止するようにしている。
【0076】
前記構成によると、散布量設定が基準設定量(例えば、反当たり100l)以上の場合には、例えば稲に対して多量の薬液を下方に向けて散布することになり、稲の花粉が舞い上がらず、ラジエータネット53へ花粉が付着するようなこともなく、電動ワイパー56を駆動しなくても、ラジエータ52の冷却水を適正に保ちエンジンEを冷却しながら散布作業をすることができる。また、電動ワイパー56の耐久性を高めることができる。
【0077】
なお、散布操作パネル21の散布設定スイッチ27、増スイッチ28、減スイッチ29等を操作し散布量の設定をした場合において、散布量設定が基準設定量(例えば、反当たり100l)以上のときには、電動ワイパー56を所定時間の駆動と所定時間の停止とを交互に繰り返す間欠駆動とし、防除ポンプスイッチ30をOFFにし散布作業が終了すると、電動ワイパー56の駆動を停止するようにしてもよい。
【0078】
前記構成によると、電動ワイパー56の駆動忘れや、駆動停止忘れを防止し、ラジエータネット53に塵埃の付着する作業時に電動ワイパー56を的確に駆動し、ラジエータネット53の塵埃を確実に除去することができる。
【符号の説明】
【0079】
2 走行車体
3 前輪
4 後輪
5 ボンネット
7 ステアリングハンドル
20 防除コントローラ20
51 冷却ファン
52 ラジエータ
53 ラジエータネット
56 電動ワイパー
56a ケース状のワイパーフレーム部
56b アーム軸
56c ワイパーアーム
56d ワイパーブレード
56e ワイパーモータ
61 ハンドルコラム
62 パネルフード
63 操作パネル
71 電動ワイパー自動入切スイッチ
72 電動ワイパー手動スイッチ
E エンジン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行車体(2)の前側から後側にかけて配設されているエンジン(E)、冷却ファン(51)、ラジエータ(52)及びラジエータネット(53)をボンネット(5)で被覆し冷却風が後側から前側に流れる作業車両において、基端部を往復揺動自在に軸支しているワイパーアーム(56c)と、該ワイパーアーム(56c)駆動用のワイパーモータ(56e)とを一体的に組み立て電動ワイパー(56)を構成し、前記ラジエータネット(53)の冷却風の流れ方向上手側部位に前記電動ワイパー(56)を配設して前記ワイパーアーム(56c)に取り付けたワイパーブレード(56d)を前記ラジエータネット(53)の上手側に摺接させ、前記電動ワイパー(56)の自動運転を入切する電動ワイパー自動入切スイッチ(71)を設け、前記電動ワイパー(56)の自動運転時には、前記エンジン(E)が始動し所定時間経過すると、前記電動ワイパー(56)を間欠駆動するコントローラ(20)を設けたことを特徴とする作業車両。
【請求項2】
走行車体(2)の前側から後側にかけて配設されているエンジン(E)、冷却ファン(51)、ラジエータ(52)及びラジエータネット(53)をボンネット(5)で被覆し冷却風が後側から前側に流れる作業車両において、基端部を往復揺動自在に軸支しているワイパーアーム(56c)と、該ワイパーアーム(56c)駆動用のワイパーモータ(56e)とを一体的に組み立て電動ワイパー(56)を構成し、前記ラジエータネット(53)の冷却風の流れ方向上手側部位に前記電動ワイパー(56)を配設して前記ワイパーアーム(56c)に取り付けたワイパーブレード(56d)を前記ラジエータネット(53)の上手側に摺接させ、前記電動ワイパー(56)の自動運転を入切する電動ワイパー自動入切スイッチ(71)を設け、前記電動ワイパー(56)の自動運転時には、前記エンジン(E)が始動するとすぐに前記電動ワイパー(56)を間欠駆動するコントローラ(20)を設けたことを特徴とする作業車両。
【請求項3】
前記電動ワイパー(56)を手動駆動する電動ワイパー手動スイッチ(72)を設け、前記電動ワイパー自動入切スイッチ(71)が切りのときには、前記電動ワイパー手動スイッチ(72)を入りにして前記電動ワイパー(56)を手動操作可能に構成したことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の作業車両。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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