説明

作業車

【課題】マフラー内部の触媒に対する熱の伝達を良好に行えながら、運転座席側への熱影響を少なくできるようにする。
【解決手段】前輪11と後輪12との間に配備された運転座席5の後方下部にエンジン40及びマフラー3が設けられた作業車において、マフラー3をエンジン40の上部前側に近接した箇所に配置し、エンジン40及びマフラー3よりも機体前方側にファン2を配置し、ファン2からマフラー3に向けて送風するようにしてある

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、前輪と後輪との間に運転座席が配備され、その運転座席の後方下部にエンジンが設けられた作業車に関する。
【背景技術】
【0002】
上記のように、前輪と後輪との間に運転座席を備えて、その運転座席の後方側にエンジンを備えた作業車としては、従来より下記[1]及び[2]に記載のものが知られている。
[1] 座席支持体を兼ねる遮蔽カバーと運転座席の横側部に位置する車体外板とを備えて、操縦者が位置する運転部空間と、エンジンが搭載される後方下部空間とを区画するように構成されている。そして、ラジエータに対する外気の取り込みは、ラジエータの吸気面に対向配置した車体外板に吸気用スリットを形成することによって車体の横側方から吸い込むように構成してある(特許文献1参照)。
[2] 運転座席の後方側にエンジンボンネットを設け、エンジンボンネット内で空冷エンジンが設けられる空間とマフラーが設けられる空間とを区画するようにマフラーカバーを設け、エンジンボンネットの上方側に設けた開口部分から吸い込んだ外気を、エンジン部分を経由してマフラー側へ送風する冷却ファンを備えた構造のもの(特許文献2参照)。
【0003】
【特許文献1】特開2005−178782号公報(段落番号〔0018〕、及び、図2、図3)
【特許文献1】特開2006−88524号公報(段落番号〔0008〕、〔0009〕、及び、図1、図3、図4)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記[1]に記載の技術では、運転座席下の空間をラジエータの配設用空間として利用し、作業車の配置スペースを有効利用できるものであるとともに、ラジエータからの排風が運転室側へ入り込むことを、座席支持体を利用して遮断し、しかもそのラジエータからの排風をエンジン冷却にも有効利用している点で有用なものである。
しかしながら、この構造のものでは、マフラーを単に機体後方側へ延設しているに過ぎない。したがって、近年のようにガソリンエンジンを採用し、かつ厳しい排ガス規制の条件を満たすために、排気ガスと高温で接触させることが必要な触媒をマフラー内に設置する構成を採用した場合、前記マフラーの配設位置を、エンジンの廃熱を効率良くマフラー側へ伝熱できるように、高温域であるエンジン上部近く位置に変更する必要がある。
【0005】
ところが、このような配置構成を採用すると、次のような問題がある。つまり、運転座席を前輪と後輪との間に配置し、運転座席の後方側にエンジン及びマフラーを配備すると、小型の作業車では運転座席と後車軸との間にあまり空間的余裕がなく、したがって、運転座席の下側に接近して高温のエンジンの上部、もしくは高温のマフラーが存在することになり、運転座席側が熱くなりすぎる虞がある。
このような問題を解決するには、運転座席の座席支持板側に強力な断熱構造を設けるとか、マフラーを運転座席から遠く離れた後方位置に配備して、そのマフラーに対する別途加熱手段を設けるなどの構造を採用することも考えられるが、何れによっても構造の複雑化や高コスト化を免れないという問題がある。
【0006】
また、上記[2]に記載の技術では、エンジン配設箇所とマフラー配設箇所とが別空間に区画されてしまうものであるから、前述したような、マフラーの配設位置を高温域であるエンジン上部近く位置にして、エンジンの廃熱を効率良くマフラー側へ伝熱できるようにする、ということ自体が実現不可能である。
【0007】
本発明の目的は、マフラー内部の触媒に対する熱の伝達を良好に行えながら、運転座席側への熱影響を少なくできるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために講じた本発明の技術手段は、次のとおりである。
〔解決手段1〕
本発明は、請求項1の記載のように、前輪と後輪との間に配備された運転座席の後方下部にエンジン及びマフラーが設けられた作業車において、前記マフラーをエンジンの上部前側に近接した箇所に配置し、前記エンジン及びマフラーよりも機体前方側にファンを配置し、ファンからマフラーに向けて送風するようにしてあることを特徴とする。
【0009】
〔作用及び効果〕
上記構成によれば、次の作用および効果がある。
すなわち、マフラーをエンジンの上部前側に近接した箇所に配置しているので、エンジン側の熱を伝達することができ、かつ、エンジン及びマフラーよりも機体前方側に配置したファンからマフラーに向けて送風することにより、マフラー側から運転座席への熱気による熱伝達を抑制することができる。
【0010】
〔解決手段2〕
本発明の作業車における第2の解決手段では、請求項2の記載のように、前輪と後輪との間に配備された運転座席の後方下部にエンジン及びマフラーが設けられた作業車において、前記マフラーをエンジンの上部に近接した箇所に配置し、前記運転座席下側に滞留する熱気を運転座席下側空間の外側へ排出するための滞留熱排出用ファンを配設してあることを特徴とする。
【0011】
〔作用及び効果〕
上記のように構成された解決手段2にかかる本発明の作業車では、次の作用効果をも奏する。
すなわち、マフラーをエンジンの上部に近接した箇所に配置しているので、エンジン側の熱を良好に伝達することができ、かつ、運転座席下側に滞留する熱気を運転座席下側空間の外側へ排出するための滞留熱排出用ファンを備えているので、エンジン側から運転座席への熱気による熱伝達を抑制することができる利点がある。
【0012】
〔解決手段3〕
本発明の作業車における第3の解決手段では、請求項3の記載のように、前輪と後輪との間に配備された運転座席の後方下部にエンジン及びマフラーが設けられた作業車において、前記エンジンの冷却用ラジエータを前記運転座席の下側でエンジンから機体横外側方に離れた位置に配備し、前記マフラーをエンジンの上部前側に近接した箇所に配置し、前記エンジン及びマフラーよりも機体前方側で、かつ前記ラジエータを配備した機体横外側方とは反対側の機体横外側方寄り箇所の運転座席下側に、前記ラジエータとマフラーとの間に形成される空間に向けて、後方斜め横向きに送風する滞留熱排出用ファンを設けてあることを特徴とする。
【0013】
〔作用及び効果〕
上記のように構成された解決手段3にかかる本発明の作業車では、エンジンの冷却用ラジエータを運転座席の下側でエンジンから機体横外側方に離れた位置に配備しているので、座席下側空間をラジエータの配設用空間として利用し、機体の前後方向長さを短縮する上で有効である。
また、マフラーをエンジンの上部前側に近接した箇所に配置しているので、エンジン側の熱をマフラーに対して良好に伝達することができ、触媒の反応を高める上で有効である。
そして、滞留熱排出用ファンは、エンジン及びマフラーよりも機体前方側で、かつ前記ラジエータを配備した機体横外側方とは反対側の機体横外側方寄り箇所の運転座席下側に、ラジエータとマフラーとの間に形成される空間に向けて、後方斜め横向きに送風するように構成されているので、マフラーに直接接触する風量は比較的少なくしながら、運転座席下側空間の熱気を、ラジエータとマフラーとの間に形成される空間から外部へ排出することができる。
すなわち、滞留熱排出用ファンからの送風量の大部分がマフラーやエンジンに直接的に接触するようにマフラーに向けて送風すると、エンジン側からの廃熱を効率良く受けられるようにエンジン上部に近接させてマフラーを設けていても、そのマフラー周辺の熱気が、滞留熱排出用ファンからの送風で取り除かれ、熱伝達の効率が低下する虞があるが、本発明では、上述のように、滞留熱排出用ファンの送風方向をラジエータとマフラーとの間に形成される空間に向けてある。したがって、滞留熱排出用ファンからの送風がマフラーに直接的に接触する度合いは少なくしながら、排気抵抗の少ないラジエータとマフラーとの間に形成される空間に向けて効率良く座席下側空間の熱気を排出することができる。
これによって、エンジン側からの廃熱を効率良くマフラー側に伝えられる状態を保ちながら、運転座席側への熱伝達の抑制を簡単な構造の付加によって回避することができる利点がある。
【0014】
〔解決手段4〕
本発明の作業車における第4の解決手段では、請求項4の記載のように、ラジエータと滞留熱排出用ファンとの機体左右方向での中間位置における運転座席下側にバッテリを配置し、前記滞留熱排出用ファンにおける送風方向を、前記バッテリよりも前記ラジエータとは反対側の機体他側方側から、バッテリとマフラーとの間に向かうように設定してあることを特徴とする。
【0015】
〔作用及び効果〕
上記のように構成された解決手段4にかかる本発明の作業車では、前記解決手段3にかかる発明と同等な作用効果の他に、次の作用効果をも奏する。
すなわち、ラジエータと滞留熱排出用ファンとの機体左右方向での中間位置における運転座席下側にバッテリが配置されており、バッテリとマフラーとの間に向かうように滞留熱排出用ファンにおける送風方向を設定してあるので、運転座席下側空間をバッテリ配設用空間として利用することができる。また、これとともに、ラジエータの冷却ファンによる送風と前記滞留熱排出用ファンにおける送風とが互いに衝突してスムーズな熱気排出が妨げられることを、中間位置に配設されるバッテリが送風ガイド的な役割を果たすことによって回避し易い。
【0016】
〔解決手段5〕
本発明の作業車における第5の解決手段では、請求項5の記載のように、ラジエータの冷却用ファンによる送風方向を、機体横外方側から機体内方側への吸い込み方向で、かつ、滞留熱排出用ファンによる排風方向とは逆の機体横外側方に向かう後方斜め横向きに設定してあることを特徴とする。
【0017】
〔作用及び効果〕
上記のように構成された解決手段5にかかる本発明の作業車では、前記解決手段3または4にかかる発明と同等な作用効果の他に、次の作用効果をも奏する。
すなわち、滞留熱排出用ファンが存在する側とは機体左右方向で反対側に位置するラジエータの冷却用ファンによる送風方向を、単に機体外方から内方へ向けるのではなく、滞留熱排出用ファンによる排風方向とは逆の位置からではあるが後方斜め横向きに設定してある。このことにより、滞留熱排出用ファンによる送風方向と、ラジエータの冷却用ファンによる送風方向は、共に後方斜め横向きで後方向きの分力を有した状態であるので、互いに衝突しても共に後方側へ無理なく排出され、熱気の排出を効率よく行える。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明の実施の形態の一例を図面の記載に基づいて説明する。
〔作業車の全体構成〕
図1乃至図3に示すように、左右一対の操向自在なタイヤ車輪で構成された前輪11と、左右一対のタイヤ車輪で構成された後輪12とを、車体フレーム1の前後に振り分けて配置し、その前後輪11,12の間に、前後輪11,12を駆動する原動部4と、運転座席5および操縦操作部6を備えた運転部7とを設けてある。そして、前記車体フレーム1の後部には、荷台8を車体後部に位置する横向きの水平方向軸芯xまわりで上下揺動自在に装備して作業車を構成してある。
【0019】
車体フレーム1は、図2に示す如く、左右一対の角鋼管材を主材として前後に長く延設された車体メインフレーム10、それらの左右の車体メインフレーム10,10同士にわたって設けられた座席支持枠50、及び平板状の運転部フロア70などによって構成されている。
【0020】
〔運転部の構成〕
運転部7においては、左右の車体メインフレーム10上に運転部フロア70が設けられ、その前方側にステアリングホイール60を備えた操縦操作部6が配設され、後方側に運転座席5が配設されている。
【0021】
運転座席5は、左右の車体メインフレーム10上に立設された座席支持枠50の前向き面及び上向き面にわたる遮蔽壁51を備えるとともに、その遮蔽壁51の上向き面51aの上側に着座シート52を設置し、前記座席支持枠50の後方側における立ち上がり部分51bに背当てシート53を固定して構成されている。
【0022】
図1,2、および図5に示すように、運転座席5の座席支持枠50の下側空間のうち右横側部近く位置には、ラジエータ42が座席支持枠50の下側空間に潜り込む状態で配置され、座席支持枠50の下側空間のうち左横側部近く位置には、燃料タンク46が配置されている。
上記ラジエータ42における熱交換部を内蔵するラジエータ本体43の吸気面43aと、座席支持枠50の右横側方箇所における前記遮蔽壁51の右横側面51cとの間には、外気吸入用の導風経路が形成されるように、所定の間隙sを形成してあり、ラジエータ42の背面側(機体内方側)に配置したラジエータファン44の吸引作用に伴って、座席支持台50の下方側から、および後方側から外気が導入できるように構成されている。
【0023】
また、この座席支持枠50の下側空間内には、燃料タンク46側に寄せて、電装品ボックス45や、後述する滞留熱排出用ファン2が配置されているとともに、バッテリ47も配設されている。
【0024】
〔原動部の構成〕
前記原動部4は、運転座席5の後方下部に配設されていて、水冷式エンジン40と、トランスミッションケース41とを左右に振り分け配置して、これらを前後に並べる場合に比べて前後長を短縮してあり、トランスミッションケース41からの出力が後輪12、および前輪11に伝達されるように構成されている。
【0025】
前記原動部4には、水冷式エンジン40がクランク軸軸心を機体左右方向に沿わせた横置き姿勢で左側に位置し、トランスミッションケース41が右側に位置する状態で、左右に並置されている。そして、これらの水冷式エンジン40およびトランスミッションケース41は、平面視で前記燃料タンク46およびラジエータ42の左右間隔幅内で、その機体後方側に配設されている。
すなわち、図2に示すように、エンジン40およびトランスミッションケース41は、前記燃料タンク46およびラジエータ42に対して、前後方向でも左右方向でも平面視で位置ずれした状態に配置されていて、原動部4全体の前後方向寸法を短くするように工夫されている。
【0026】
図2及び図4に示すように、前記エンジン40の上部前側におけるシリンダ室に相当する部位の横側部には、マフラー本体30の筒軸心方向を横向きにしたマフラー3がエンジン40に接近した状態で配置されている。このマフラー3は、マフラー内部のメタルハニカムに、Pt(白金)、Pd(パラジウム)、Rh(ロジウム)などの金属元素を含む溶液をコーティングして触媒としたものであり、高温で反応して排ガス中の有害成分を除去する機能を高めてある。
【0027】
上記のように、マフラー3をエンジン上部に接近させることにより、最も放熱量の多いシリンダ室近くの熱をマフラー3側へ伝達し易くなるので、高温で触媒を反応させる必要があるマフラー3の有害成分除去機能を、エンジン40の廃熱を利用して高めることができる。また、このマフラー3の排ガス吐出管31の終端部は機体後方側へ延出されている。
尚、図4における符号48はオルタネータ、符号49はスタータモータである。
【0028】
〔滞留熱排出に関する構成〕
図2乃至図5に示すように、エンジン40の上部前側に接近させて配置したマフラー3は、運転座席5の後端に対しても、かなり接近した状態で配置されている。しかも、このマフラー自体が、前述のように高温で所期の機能を発揮するものであるから、接近した箇所の運転座席5側もかなりの高温に晒されることになる。
このため、本発明では、前述した滞留熱排出用ファン2を次のように配置している。
【0029】
図2乃至図5に示すように、前記ラジエータ42を配備した機体横外側方とは反対側の機体横外側方寄り箇所の運転座席5の下側空間入り込ませて、かつ、マフラー3が配備された高さと同程度の対機体高さ位置に位置させて、運転座席5の下側空間に設けた取付板20を介して、滞留熱排出用ファン2を設けてある。
この滞留熱排出用ファン2は、その送風方向の中心線L1が、平面視では図2に示すように、前記マフラー3とラジエータ42との間に形成される空間に向かうように、さらに限定的に云えば、マフラー3とバッテリ47との間の通路を通って前記マフラー3とラジエータ42との間に形成される空間に向かうように後方斜め横向きに設定されている。
したがって、滞留熱排出用ファン2による送風量の分布は、前記中心線L1近くが最大となり、しかもその中心線L1近くには風の通過を阻害する装置類が存在しないように空間を設けてあるので、滞留熱排出用ファン2によって座席下側空間からの熱気の排出を効率良く行い易い。
【0030】
そして、前記滞留熱排出用ファン2による送風は、前記中心線L1の方向に向けられてはいるが、必然的に風の広がりがあるので、マフラー3に対しても滞留熱排出用ファン2による風がある程度は吹き付けられることになる。しかしながら、前述のように中心線L1から外れた位置にあるマフラー3に対する送風量は、前記中心線L1をマフラー3に向けて滞留熱排出用ファン2による送風を行う場合に比べれば、比較的少なく、したがって、その送風によってマフラー3周りの熱気が必要以上に取り除かれてしまう虞は少ない。
つまり、この滞留熱排出用ファン2による送風は、マフラー3を冷却するのが目的ではなく、運転座席5側に対してマフラー3側の熱気が伝えられることを抑制するのが目的であり、逆にマフラー3自体は、十分に高温に維持しておく必要がある。
【0031】
滞留熱排出用ファン2とは反対側の機体左右方向端部に設けられているラジエータ42は、その冷却用のラジエータファン44の送風方向の中心線L2が、前記滞留熱排出用ファン2による排風方向とは逆の機体横外側方に向かう後方斜め横向きに設定してあり、前記滞留熱排出用ファン2による送風方向の中心線L1と交差するように設定されている。
このように、ラジエータファン44による送風方向の中心線L2も後方斜め横向きに設定しておくと、滞留熱排出用ファン2側からの送風と衝突した際に後方向きの分力が大きく、スムースに両方の風が後方側へ流れ易くなる。また、バッテリ47の側面と衝突した風も後方向きにスムーズに流れ易くなる。
【0032】
〔制御系〕
上記ラジエータファン44と滞留熱排出用ファン2とは互いに同期して作動するように、制御装置9によって作動を制御されている。
この制御装置9は、図6に示すように、マイクロコンピュータを用いた制御ユニット90を備える制御回路に、ラジエータファン駆動用モータ91、及びそのモータ駆動用のラジエータファンリレー92、滞留熱排出用ファン駆動用モータ93、及び、そのモータ駆動用の滞留熱排出用ファンリレー94、を介装してある。また、この制御回路には、スタータスイッチを含むメインスイッチ95、スタータモータ96、スタータリレー97、安全スイッチ98、バッテリ47、及びヒューズ99等を組み込んである。
【0033】
したがって、メインスイッチ95がON作動すると、制御ユニット90の制御プログラムが起動し、図7に示すように、ファン駆動制御ルーチンが作動する。
このファン駆動制御ルーチンでは、エンジンの冷却水温度を検出する冷却水温センサー(図外)での水温検出結果に基づいて、ラジエータファン44、及び滞留熱排出用ファン2の作動を制御するものであり、下記[1]〜[5]のように制御する。
【0034】
[1] 冷却水温センサーの検出結果を得る(ステップ#1)。
[2] 水温が規定温度x℃以上であるか否かを判断する(ステップ#2)。
[3] 規定温度x℃以上であれば、ラジエータファン44、及び滞留熱排出用ファン2を駆動する(ステップ#3,#4)。
[4] 規定温度x℃未満であれば、ラジエータファン44、及び滞留熱排出用ファン2の駆動を停止する(ステップ#5,#6)。
[5] メインスイッチ95がOFFであるか否かを判断し、OFFでなければ、上記ステップ#1〜#6を繰り返えし、OFFならファン駆動制御を終了してメインルーチンに戻る(ステップ#7)。
【0035】
〔他の実施形態の1〕
上記の最良の実施形態では、エンジン40をクランク軸軸心方向が機体左右方向となる横置きで配置したが、クランク軸軸心方向が機体前後方向となる縦置きで配置しても良い。また、マフラー3も、マフラー本体の筒軸心方向が機体左右方向となる横置き姿勢で配置したが、これを前後方向に向けた縦置き姿勢で配置してもよい。
【0036】
〔他の実施形態の2〕
上記の最良の実施形態では、ラジエータファン44を走行機体の右横側方へ配置し、滞留熱排出用ファン2を走行機体の左横側方へ配置した例を示したが、これに限らず、左右逆に配置したものであっても差し支えない。
【0037】
〔他の実施形態の3〕
上記の最良の実施形態では、滞留熱排出用ファン2として専用のファンを用いたが、これに限らず、ラジエータファン44や、空冷用ファンの風を利用して座席下空間の熱気を排出するようにしてもよい。
また、座席下空間の熱気を排出するに当たり、ファンでの吹き出しによるものに限らず、座席下空間から離れた位置からの吸い出しによって排出するようにしてもよい。
【0038】
〔他の実施形態の4〕
滞留熱排出用ファン2は、ラジエータ42を備えていない空冷ファンを備える作業車に適用してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】作業車全体の側面図
【図2】運転座席の下部と原動部とを開放した状態の作業車全体の平面図
【図3】座席支持枠と原動部近くの車体フレーム部分を示す斜視図
【図4】運転座席の下部と原動部との位置関係を示す断面図
【図5】運転座席の下部を示す断面図
【図6】電気系統を示す回路図
【図7】滞留熱排出用ファンの駆動制御状態を示すフローチャート
【符号の説明】
【0040】
1 車体フレーム
2 滞留熱排出用ファン
3 マフラー
5 運転座席
11 前輪
12 後輪
40 エンジン
42 ラジエータ
44 ラジエータファン
47 バッテリ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
前輪と後輪との間に配備された運転座席の後方下部にエンジン及びマフラーが設けられた作業車であって、
前記マフラーをエンジンの上部前側に近接した箇所に配置し、
前記エンジン及びマフラーよりも機体前方側にファンを配置し、ファンからマフラーに向けて送風するようにしてあることを特徴とする作業車。
【請求項2】
前輪と後輪との間に配備された運転座席の後方下部にエンジン及びマフラーが設けられた作業車であって、
前記マフラーをエンジンの上部に近接した箇所に配置し、
前記運転座席下側に滞留する熱気を運転座席下側空間の外側へ排出するための滞留熱排出用ファンを配設してあることを特徴とする作業車。
【請求項3】
前輪と後輪との間に配備された運転座席の後方下部にエンジン及びマフラーが設けられた作業車であって、
前記エンジンの冷却用ラジエータを前記運転座席の下側でエンジンから機体横外側方に離れた位置に配備し、
前記マフラーをエンジンの上部前側に近接した箇所に配置し、
前記エンジン及びマフラーよりも機体前方側で、かつ前記ラジエータを配備した機体横外側方とは反対側の機体横外側方寄り箇所の運転座席下側に、前記ラジエータとマフラーとの間に形成される空間に向けて、後方斜め横向きに送風する滞留熱排出用ファンを設けてあることを特徴とする作業車。
【請求項4】
ラジエータと滞留熱排出用ファンとの機体左右方向での中間位置における運転座席下側にバッテリを配置し、
前記滞留熱排出用ファンにおける送風方向を、前記バッテリよりも前記ラジエータとは反対側の機体他側方側から、バッテリとマフラーとの間に向かうように設定してある請求項3記載の作業車。
【請求項5】
ラジエータの冷却用ファンによる送風方向を、機体横外方側から機体内方側への吸い込み方向で、かつ、滞留熱排出用ファンによる排風方向とは逆の機体横外側方に向かう後方斜め横向きに設定してある請求項3または4記載の作業車。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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