説明

作物整列装置

【課題】作物の姿勢を整えて一本ずつ搬送でき、搬送経路から落下した作物を搬送経路の始端に戻すことのできる作物整列装置を提供する。
【解決手段】作物を貯留する貯留部材4a,4bを設け、貯留された作物を搬送する汲上搬送装置を設け、汲上搬送装置から作物を受ける受け部材29を設け、受け部材29の底部に作物が搬送装置39の搬送方向に沿った姿勢で落下する開口部29aを設け、搬送装置39の上側に作物の姿勢を整える整列部材40を搬送下手側ほど間隔を小さく設定し、整列部材40の搬送下手側端部間の間隔40aを作物が一本のみ通過できる間隔に設定し、搬送装置39の下方に整列部材40との干渉により落下した作物を受けて左右一方側へ案内する案内部材33を設け、案内部材33の終端部の下側に案内部材33に案内された作物を引き継ぎ貯留部材4a,4bに供給する案内部材42の始端部を設けて構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、作物を整列しながら搬送し、一本ずつ同じ姿勢で選別装置や出荷用の収容箱等に排出する作物整列装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、作物整列装置としては、特許文献1に示されるように、貯留部に投入された作物を汲上搬送装置で搬送し、汲上搬送装置から整列搬送装置が作物を引き継ぎ、作物の姿勢を整えながら搬送方向下手側に搬送すると共に、整列搬送装置から落下した作物をシュータで貯留部に移動させるものが存在する。
【特許文献1】特開2006−088113号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、特許文献1に記載された作物整列装置は、整列搬送装置で作物を搬送しながら、整列搬送装置の搬送方向下手側ほど機体の一側方に傾斜させた整列ガイドによって整列させているので、整列ガイドに接触しない作物の姿勢が整えられず、姿勢が不揃いなまま選別装置や収容箱に排出されてしまうという問題がある。
【0004】
そして、整列搬送装置は汲上搬送装置から引き継がれた作物の前後及び左右の間隔を変更することができないので、整列ガイドの端部が最も傾斜している整列搬送装置の搬送方向下手側端部に複数の作物が搬送されて来ると、作物が整列ガイドに接触して整列搬送装置から落下して貯留部に戻ってしまい、作業能率が低下する問題がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1記載の発明は、作物を貯留する貯留部材(4)を設け、該貯留部材(4)に貯留された作物を上方に搬送する汲上搬送装置(17)を設け、該汲上搬送装置(17)の搬送終端部から落下する作物を受ける受け部材(29)を設け、該受け部材(29)の下方に搬送装置(39)を設け、前記受け部材(29)の底部には、該受け部材(29)内の作物が搬送装置(39)の搬送方向に沿う姿勢で落下する開口部(29a)を設け、前記搬送装置(39)の上側に該搬送装置(39)によって搬送される作物の姿勢を整える左右の第1整列部材(40,40)を搬送方向下手側ほど互いの間隔が小さくなるように設け、該左右の第1整列部材(40,40)の搬送下手側端部間に形成される第1間隔(40a)を作物が一本のみ通過できる間隔に設定し、搬送装置(39)の下方に前記左右の第1整列部材(40,40)との干渉によって搬送装置(39)上から落下した作物を受けて左右方向の一方側へ案内する第1案内部材(33)を設け、該第1案内部材(33)の案内方向終端部の下側に第1案内部材(33)で案内されてきた作物を引き継いで前記貯留部材(4)に供給する第2案内部材(42)の始端部を設けたことを特徴とする作物整列装置とした。
【0006】
請求項2記載の発明は、前記第1整列部材(40,40)よりも搬送方向下手側の搬送装置(39)上の部位に、該搬送装置(39)上から左右方向へはみ出した作物を第1案内部材(33)上に落下させる左右の第2整列部材(41,41)を搬送方向下手側ほど互いの間隔が小さくなるように設け、該左右の第2整列部材(41,41)の搬送下手側端部間に形成される第2間隔(41a)を前記第1間隔(40a)よりも大きく設定したことを特徴とする請求項1記載の作物整列装置とした。
【0007】
請求項3記載の発明は、前記第1案内部材(33)を、搬送装置(39)の左右一側に偏倚した部位から搬送装置(39)の下方を通過させ、左右他側に偏倚した部位に亘って設けたことを特徴とする請求項1または2記載の作物整列装置とした。
【0008】
請求項4記載の発明は、前記第1案内部材(33)による作物の案内方向を機体の左右両側に切換自在に構成したことを特徴とする請求項3記載の作物整列装置とした。
【発明の効果】
【0009】
請求項1記載の発明によれば、受け部材(29)の下方に作物が搬送装置(39)の搬送方向に沿う姿勢で落下する開口部(29a)を設けたことによって、汲上搬送装置(17)から受け部材(29)に投入された作物は搬送装置(39)に沿う姿勢でこの搬送装置(39)上に載置され、作物が受け部材(29)の内部に滞留することが防止されて円滑に搬送でき、作業能率が向上する。
【0010】
そして、搬送装置(39)の上側に作物の姿勢を整える左右の第1整列部材(40,40)を搬送方向下手側ほど互いの間隔が小さくなるように設け、左右の第1整列部材(40,40)の搬送下手側端部間の第1間隔(40a)を作物が一本のみ通過できる間隔に設定したことによって、作物を一本ずつ姿勢を整えて搬送させることができるとともに、左右の第1整列部材(40,40)に干渉する作物を搬送装置(39)上から落下させることができるので、作物は一本ずつ姿勢を整えられた状態で収容箱や選別装置に投入され、選別精度が向上する。
【0011】
また、搬送装置(39)の下方に第1整列部材(40,40)との干渉によって搬送装置(39)上から落下した作物を受ける第1案内部材(33)を設け、第1案内部材(33)で案内されてきた作物を引き継いで貯留部材(4)に供給する第2案内部材(42)を設けたことによって、搬送装置(39)から落下した作物を貯留部材(4)に供給することができ、作業者が作物を手作業で貯留部材(4)に再び供給する必要がなくなり、作業能率が向上する。
【0012】
請求項2記載の発明によれば、搬送装置(39)の上側で且つ第1整列部材(40,40)よりも搬送方向下手側に左右の第2整列部材(41,41)を搬送方向下手側に向かうほど互いの間隔が小さくなるように設け、左右の第2整列部材(41,41)の搬送下手側端部間の第2間隔(41a)を左右の第1整列部材(40,40)の第1間隔(40a)よりも大きく設定したことによって、搬送装置(39)から左右方向にはみ出した作物を左右の第2整列部材(41,41)との干渉によって第1案内部材(33)上に落下させることができ、作物が乱れた姿勢のまま搬送装置(39)から排出されることが防止され、作物の選別精度が向上する。
【0013】
また、第2整列部材(41,41)の第2間隔(41a)を第1整列部材(40,40)の第1間隔(40a)よりも大きく構成したことによって、搬送装置(39)で搬送中に姿勢が乱れた作物の姿勢を整えてから排出することができるので、作物は姿勢を整えられた状態で収容箱や選別装置に投入されるため、選別精度が向上する。
【0014】
請求項3記載の発明によれば、請求項1または2記載の発明の効果に加えて、第1案内部材(33)を搬送装置(39)の左右一側に偏倚した部位から搬送装置(39)の下方を通過させ、左右他側に偏倚した部位に亘って設けたことによって、作物が第1案内部材(33)の左右どちらから落下しても第2案内部材(42)に移動させることができ、第2案内部材(42)を左右いずれか一側に設ければよく、部品点数の削減及び製造コストの低減を図ることができる。
【0015】
請求項4記載の発明の効果は、請求項3記載の発明の効果に加えて、第1案内部材(33)の案内方向を機体の左右両側に切換自在に構成したことによって、作業場所に合わせて作物の落下方向を決めることができ、作業スペースの広狭にかかわらず安定した整列作業を行え、作業能率が向上する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
本発明の実施の形態について説明する。
図1〜図5に示すように、実施例の一つとして示す人参等の作物を整列させる整列装置は、投入した人参を貯留する貯留部Aと、貯留部Aから人参を汲上搬送する汲上搬送部Bと、汲上搬送部Bから排出される人参を受けて整列させながら搬送する整列搬送部Cとから構成される。以下、各部の詳細を具体的に記載する。
【0017】
まず、貯留部Aの構成について説明する。
図1及び図2で示すように、メインフレーム1の搬送方向上手側前部にパンタグラフ式の油圧ジャッキ2の下部を回転自在に取り付け、該油圧ジャッキ2の上部を支持フレーム3に取り付ける。そして、該支持フレーム3の上部に人参を貯留するホッパ4を取り付け、該ホッパ4の搬送方向上手側の前端部に下り傾斜姿勢の傾斜板4aを取り付けると共に、ホッパ4の左右両側端部に夫々下り傾斜姿勢の左右傾斜板4b,4bを取り付けることによって、貯留部Aが構成される。
【0018】
上記構成によれば、油圧ジャッキ2を昇降させることによってホッパ4と後述する汲上搬送部Bを構成する汲上搬送コンベア17とが連動して昇降するため、汲上搬送コンベア17の搬送終端部と後述する整列搬送部Cを構成する整列搬送コンベア39との落差を人参の品種やサイズによって変更することができるので、落下の衝撃で人参が傷付くことが防止されて人参の商品価値が向上する。
【0019】
そして、人参のサイズが大きい場合は、汲上搬送コンベア17の搬送終端部と整列搬送コンベア39の搬送始端部との間に人参が詰まることを防止できるので、作業が中断されることなく、作業能率が向上する。
【0020】
また、人参のサイズが大きい場合、汲上搬送コンベア17の搬送終端部と整列搬送コンベア39の搬送始端部との間の空間部が大きいほど人参が一度に入る量が増加するため、多くの人参を整列搬送コンベア39の搬送始端部に待機させることができ、作業能率が向上する。
【0021】
さらに、整列搬送部Cを汲上搬送部Bに対して略直角に配置する場合、汲上搬送コンベア17を上昇させることによって、汲上搬送コンベア17の左右一側から落下する人参を整列搬送コンベア39に引き継ぐ後述する排出シュータ16が十分な下り傾斜角度を確保することができるので、人参の引継が滞りなく行われて作業能率が向上する。
【0022】
そして、ホッパ4の上下位置が変更できることによって、ホッパ4に人参を投入するコンテナや軽トラの荷台、作物洗浄装置等の人参投入手段(図示せず)との落差を小さくすることができるので、落下の衝撃で人参が傷付くことが防止されて人参の商品価値が向上すると共に、人参をホッパ4へ滞りなく投入することができるので、作業能率が向上する。
【0023】
なお、本実施例ではホッパ4を取り付けた支持フレーム3を油圧ジャッキ2で昇降させる構成としているが、油圧ジャッキ2は電動ジャッキや空圧ジャッキ、あるいはハンドル5を取り付けて回転させる手動ジャッキとしてもよく、また油圧、電動、空圧等により伸縮するシリンダに置き換えても同様の効果を奏することができる。
【0024】
次に、汲上搬送部Bについて説明する。
図1及び図2に示すように、前記ホッパ4の上部で且つ搬送方向の左右両側に左右の側板7,7を取り付け、該側板7,7の後部を後上り傾斜姿勢に延設する。また、前記左右の側板7,7の前端部に左右の従動スプロケット8,8を搬送方向の左右両側に軸着した従動シャフト9を回転自在に取り付け、左右の側板7,7の後端部に左右の駆動スプロケット10,10を搬送方向の左右両側に軸着した駆動シャフト11を回転自在に取り付ける。そして、前記左右の側板7,7の後上がり傾斜姿勢に延設した部分に搬送方向の始端部に左右のテンションスプロケット12,12を左右両側に軸着した中間シャフト13を回転自在に取り付ける。
【0025】
さらに、前記駆動スプロケット10,10と従動スプロケット8,8とテンションスプロケット12,12とに左右の搬送伝動チェーン14,14を夫々無端状に巻回する。そして、該テンションスプロケット12,12の上部で且つ左右の側板7,7の後上り傾斜始端位置に、前記搬送伝動チェーン14,14の上方への移動を規制する左右規制プレート14a,14aを夫々左右の側板7,7に取り付ける。
【0026】
また、該左右の搬送伝動チェーン14,14の左右間に人参を搬送方向下手側へ搬送する複数の搬送ローラ15…を等間隔に回転自在に取り付けると共に、前記左右の側板7,7の搬送終端部の左右間に人参を排出するシュータ16を取り付けることによって、汲上搬送コンベア17が構成される。
【0027】
なお、前記左右の側板7,7の後上り傾斜部で且つ搬送伝動チェーン14,14の巻回域内に、複数の搬送ローラ15…を支持するとともに摺動させる支持底板を取り付ける(図示せず)。
【0028】
そして、前記左右の側板7,7の搬送方向の終端上部の左右どちらか一側に、該汲上搬送コンベア17に駆動力を供給する汲上駆動モータ18を設置する延長板19を取り付け、該汲上駆動モータ18の出力軸に第1伝動スプロケット20を取り付ける。また、前記従動シャフト9の汲上駆動モータ18と延長板19とを設けた側の端部に第2伝動スプロケット21を取り付け、該第1伝動スプロケット20と第2伝動スプロケット21とに伝動チェーン22を無端状に巻回し、チェーンカバー23で覆うことによって、汲上搬送部Bが構成される。
【0029】
なお、前記汲上駆動モータ18は汲上搬送コンベア17から40〜100mm程度上方に間隔を空けて設けていれば、汲上側板7の内側に設けても外側に設けても構わない。また、汲上駆動モータ18は電動式でも油圧式でもよい。
【0030】
そして、前記排出シュータ16は金属やプラスチック等の硬質部材で構成すると排出位置が安定しやすく、塩化ビニルやスポンジ等の軟質部材で構成すると排出シュータ16の端部に人参が接触しても傷付くことが防止されるので、人参の商品価値が向上する。
【0031】
次に、整列搬送部Cの構成について説明する。
図1〜図5に示すように、前記メインフレーム1の後側上部に平板状の整列フレーム24を取り付け、該支持フレーム24の搬送方向の前端部に支持板25を設けるとともに、後端部に後述する整列搬送コンベア39と人参とが通過する開口部26aを形成した門型フレーム26を取り付ける。該門型フレーム26の開口部26aの長さは、3Lサイズの人参(平均直径100mm)が通過できるように、上下及び左右方向に120〜150mm程度とする。
【0032】
そして、前記支持板25と門型フレーム26との前後間で且つ搬送方向の左右両側に左右の側板27,27を取り付け、該側板27,27に前記支持板25並びに門型フレーム26の搬送方向の左右中央部に向かうほど下方傾斜姿勢となる左右の傾斜板28,28を互いの内側端部が隣接しない開口部29aを空けて取り付けることによって、前記汲上搬送コンベア17から排出される人参を受ける受ホッパ29を構成する。
【0033】
なお、前記門型フレーム26を支持フレーム24に形成する溝部に差し込む差込式に構成する、あるいは門型フレーム26をボルト等の固定部材で支持フレーム24の底部から固定する固定式に構成し、受ホッパ29を着脱自在に構成する。
【0034】
さらに、搬送方向の左右いずれか一側に傾斜させた底板30と、該底板30の傾斜始端部側に取り付ける側板31と、該側板31の前後両端部に取り付ける底板30の傾斜角度に合わせて下部が搬送方向の左右いずれか一側に傾斜した前後の支持板32,32とから、後述する整列搬送コンベア39から落下した人参を移動させる案内シュータ33を構成する。そして、該案内シュータ33を前記受ホッパ29を構成する門型フレーム26の後側に着脱自在に取り付ける。
【0035】
また、該案内シュータ33の後側で且つ搬送方向の左右両側に左右の排出側板34,34を着脱自在に取り付け、該排出側板34,34の終端部近傍で且つ前記案内シュータ33よりも上方位置に正面(背面)視で凹字形状の整列従動プーリ35を回転自在に取り付けて、排出搬送領域Wを形成する。
【0036】
なお、前記左右の排出側板34,34は、人参の平均的な前後長さ(平均長さ150〜200mm)より少し長い、200〜250mmに設定しておくと、整列された人参が確実に一本ずつ排出されるので、姿勢を揃えて収容箱や人参整列装置の後方に設置する選別装置等に投入でき、作業能率を向上させることができる。
【0037】
そして、前記支持フレーム24の搬送方向の前端部近傍で且つ左右いずれか一側に整列駆動モータ36を取り付け、該整列駆動モータ36の出力軸に正面(背面)視で凹字形状の整列駆動プーリ37を取り付ける。さらに、該整列駆動プーリ37と整列従動プーリ35とに正面(背面)視で凹字(V字)形状の整列搬送ベルト38を無端状に巻回することによって、前記受ホッパ29の底部の開口部29aから案内シュータ33の上方を通過して排出搬送領域Wに人参の搬送姿勢を整えつつ1本ずつ間隔を空けて搬送する整列搬送コンベア39が構成される。
【0038】
このとき、案内シュータ33は、整列搬送コンベア39の左右一側に偏倚した部位から該整列搬送コンベア39の下方を通過させ、左右他側に偏倚した部位に亘って配置する。
なお、図4(a)、図4(b)、図4(c)に示すように、整列搬送ベルト38は、2本の整列搬送ベルト38a,38bを整列駆動プーリ37と整列従動プーリ35の左右側部に巻回してもよく、左右の整列搬送ベルト38a,38bに加えて整列駆動プーリ37と整列従動プーリ35の中央部に中央の選別搬送ベルト38cを巻回して正面(背面)視で凹字(V字)形状に構成してもよい。
【0039】
加えて、受ホッパ29に投入された人参が確実に整列搬送コンベア39に載置されて搬送されるために、開口部29aの間隔は50〜60mmとする。50mm未満では複数の人参が集まるといずれの人参も搬送されずに整列搬送作業が停滞して作業能率が低下してしまうおそれがあり、60mm以上にすると整列搬送ベルト38上に大量の人参が乗り込み、案内シュータ33の上方で殆どが落下してしまい、作業能率が低下するおそれがある。
【0040】
また、前記門型フレーム26の開口部26aの後側で且つ整列搬送コンベア39の搬送経路上方に、人参の搬送姿勢を整えて案内シュータ33の上方を移動させると共に、整列搬送コンベア39に複数の人参が載っているときには余分な人参を案内シュータ33に落下させる左右の第1ガイドプレート40,40を搬送方向下手側ほど整列搬送コンベア39の上方に向かわせて取り付ける。
【0041】
なお、該第1ガイドプレート40,40の搬送下手側端部の第1間隔40aは、人参が一本通過可能な間隔である60〜80mm程度に設定するとよい。
そして、前記案内シュータ33の終端部に、案内シュータ33の上方を通過する際に姿勢の乱れた人参の姿勢を修正して排出搬送領域Wに移動させると共に、姿勢が乱れて選別搬送コンベア39から大幅にはみ出した人参が接触すると案内シュータ33に落下させる左右の第2ガイドプレート41,41を搬送方向下手側ほど左右間隔が狭くなるように取り付ける。
【0042】
なお、該第2ガイドプレート41,41の搬送下手側端部の第2間隔41aは、前記第1ガイドプレート40,40の搬送下手側端部の第1間隔40aよりも大きい、整列搬送コンベア39の搬送方向に対して横向きになった人参が姿勢を修正されながら通過可能な間隔である80〜100mm程度に設定するとよい。
【0043】
また、前記左右の第1ガイドプレート40,40及び第2ガイドプレート41,41は、軟質ゴム、塩化ビニル等の軟質材で構成すると、人参が傷付くことを防止できるので人参の商品価値が向上すると共に、人参が接触した際に柔軟に屈曲するので、搬送中の人参を停滞させることが防止され、作業能率が向上する。
【0044】
さらに、前記案内シュータ33が最も傾斜した左右いずれか一側の端部に、案内シュータ33から排出される人参を受けて前記ホッパ4に帰還させるリターンシュータ42を搬送方向前側ほど下方に傾斜させて着脱自在に取り付けることによって、整列搬送部Cが構成される。
【0045】
なお、該リターンシュータ42は断面形状がV字形状となるように構成すると、案内シュータ33から落下した人参がV字の溝部を移動してホッパ4に戻るので、人参がリターンシュータ42上で停滞することなくホッパ4に戻り、再度整列搬送経路に復帰するため、作業能率が向上する。
【0046】
また、前記案内シュータ33やリターンシュータ42の表面には、軟質ゴム、塩化ビニル、ウレタン等の軟質材で構成する板体43を表面に載置しておく、あるいは接着しておくと、落下の衝撃から人参を保護できるので、人参が傷付くことが防止されて人参の商品価値が向上する。加えて、人参が滑りやすくなるので、案内シュータ33やリターンシュータ42に人参が停滞することなくホッパ4に戻り、再度整列搬送経路に復帰するため、作業能率が向上する。
【0047】
整列搬送部Cを上記のように構成したことによって、汲上搬送コンベア17から引き継いだ人参を受ホッパ29で貯留しながら随時整列搬送コンベア39で搬送方向下手側に排出することができるので、汲上搬送コンベア17から大量の人参が搬送されて来ても整列搬送コンベア39に一度に大量の人参が載り込むことが防止されて、整列搬送の停滞や案内シュータ33への大量落下が防止されるので、作業能率が向上する。
【0048】
また、門型フレーム26の開口部26aを前後及び左右方向に大径の人参が通過可能な幅の開口部を形成したことによって、受ホッパ29の強度を維持しつつ人参の搬送を滞ることなく行うことができるので、作業能率が向上するとともに、受ホッパ29の破損が防止できる。
【0049】
そして、受ホッパ29を支持フレーム24から着脱自在に構成したことによって、受ホッパ29を外すだけで整列駆動モータ36や整列搬送コンベア39を構成する整列駆動プーリ37、整列搬送ベルト38の交換作業やメンテナンス作業を行うことができるので、メンテナンス性が向上する。
【0050】
さらに、案内シュータ33は、整列搬送コンベア39の搬送領域の左右一側から下方を通過して左右他側に人参を移動させるので、人参が整列搬送コンベア39の左右どちらから落下しても、同じ方向に人参を案内することができるので、リターンシュータ42を1つ設けるだけで人参をホッパ4に帰還させられるため、部品点数の削減とコストダウンを図ることができる。
【0051】
加えて、案内シュータ33を着脱自在としたことによって、案内シュータ33の案内方向を左右一側から左右他側に変更することができるので、作業場所に応じて落下した人参の案内方向を変更し、リターンシュータ42が設置可能なレイアウトに容易に変更することができ、作業能率が向上する。
【0052】
また、整列搬送コンベア39の搬送終端側に排出搬送領域Wを形成したことによって、整列搬送コンベア39で搬送中に左右の第1ガイドプレート40,40及び第2ガイドプレート41,41の間隔部を通過するによって搬送姿勢を整えられると共に1本ずつ間隔を空けて並べられた人参を姿勢を崩すことなく収容箱や人参整列装置の後方に設置する選別装置等に投入できるので、作業能率が向上する。
【0053】
加えて、複数の人参が横並びになっている、あるいは重なり合っている等の状態では、左右の第1ガイドプレート40,40の搬送下手側端部間に形成する第1間隔40aを一本の人参のみ通過できる間隔に設定し、左右の第1ガイドプレート40,40の左右両側から落下した人参や、左右の第1ガイドプレート40,40の間隔部を通過する際に整列搬送コンベア39上からはみ出し、左右の第2ガイドプレート41,41に接触して落下した人参を案内シュータ33で受けてリターンシュータ42に戻すことができるので、整列搬送コンベア39から落下した人参を自動的に搬送経路の始端側に移動させることができ、作業能率が向上する。
【0054】
また、第2ガイドプレート41,41の搬送下手側端部間に形成する第2間隔41aを第1ガイドプレート40,40の第1間隔40aよりも大きく設定したことによって、人参の搬送姿勢が整列搬送コンベア39の搬送方向に対して横方向に向いていても、左右の第2ガイドプレート41,41が人参の姿勢を整列搬送コンベア39の搬送方向に沿った姿勢に修正することができるので、整列搬送コンベア39に一本載った人参を落としてしまうことが防止され、ホッパ4に戻る人参の数が減少するため、作業能率が向上する。
【0055】
そして、整列駆動モータ36を支持フレーム24の搬送方向上手側の前端部近傍に配置したことによって、整列搬送部Cの重心が搬送始端側に偏るので、整列搬送コンベア39の終端側を複数の大型の人参が通過して過重がかかっても、搬送方向下手側に傾斜したり揺れたりすることが防止できるので、整列搬送が正確に行われて選別精度が向上する。
【0056】
さらに、整列搬送ベルト38を凹字(V字)形状、左右2本の整列搬送ベルト38a,38b、あるいは左右と中央の3本の整列搬送ベルト38a,38b,38cとしたことによって、人参が正しい搬送姿勢になると凹字(V字)の略中央部に収まって搬送されるので、搬送姿勢の整った人参が案内シュータ33等から下方に落下して整列搬送経路の最初に戻されることが防止され、作業能率が向上する。
【0057】
また、案内シュータ33の最傾斜部の側方にリターンシュータ42を設けたことによって、案内シュータ33から落下した人参が自動的にホッパ4に戻るので、人手で人参をホッパ4に戻す必要が無くなり、作業能率が向上する。
【0058】
そして、案内シュータ33の人参の案内方向を機体の左右両側に切換自在に構成したことによって、作業場所に合わせて作物の落下方向を決めることができるので、作業スペースの広狭にかかわらず安定した整列作業を行えるため、作業能率が向上する。
【0059】
また、リターンシュータ42を着脱自在としたことによって、案内シュータ33の排出方向を変更する際に、リターンシュータ42を案内シュータ33の排出方向に合わせて配置しなおすことができるので、部品点数が削減とコストダウンを図ることができる。
【0060】
なお、支持フレーム24を受ホッパ29、案内シュータ33、整列搬送コンベア39等を取り付けた状態でもメインフレーム1から着脱自在に構成することによって、図6で示すように、整列搬送部Cを貯留部A及び汲上搬送部Bに対して略直角方向に向けて配置可能に構成してもよい。
【0061】
上記構成によれば、作業場所の間取りに応じて貯留部A及び汲上搬送部Bに対する整列搬送部Cの配置方向を、直線配置及び直角配置に任意に変更することができるので、作業場所の広狭や作業場所周辺の物の有無に関係なく最適な配置を行えるため、作業条件に合わせた最適な作業が行え、作業能率が向上する。
【0062】
以下、本件人参整列装置の別実施例を説明する。
図7で示すように、左右の第1ガイドプレート40,40及び第2ガイドプレート41,41に複数の孔を開け、受ホッパ29の後側に平面視でL字形状の左右のガイドステー44,44を取り付け、案内シュータ33の後側上部に平面視でL字形状の左右の規制ステー45,45を取り付ける。そして、左右の第1ガイドプレート40,40及び第2ガイドプレート41,41の任意の孔と左右のガイドステー44,44及び規制ステー45,45とを合わせ、ボルト・ナット等の固定部材等で連結する構成としてもよい。
【0063】
上記構成によれば、左右の第1ガイドプレート40,40及び第2ガイドプレート41,41の長さを変更可能となり、人参の品種や平均的な長さ等の作業条件に応じた最適な長さとすることができるので、人参の搬送姿勢をいっそう安定させることができるとともに、整列搬送ベルト38に複数載った人参を確実に落とすことができ、選別精度をいっそう向上させることができる。
【0064】
図8で示すように、門型フレーム26の前側と左右の側板27,27との間に左右の案内傾斜板46,46を搬送方向下手側ほど整列搬送コンベア39に近接する姿勢で且つ整列搬送コンベア39の搬送経路上に侵入しない位置に配置し、該左右の案内傾斜板46,46の搬送方向下手側と門型フレーム26との間の空間部に案内傾斜板46,46を振動させる左右の振動モータ47,47を取り付ける構成としてもよい。
【0065】
上記構成によれば、左右の案内傾斜板46,46が搬送方向下手側ほど整列搬送コンベア39に近接しているので、受ホッパ29内に複数の人参が投入されても、搬送方向下手側に移動するほど整列搬送コンベア39に載りやすくなるので、ホッパ29内に人参が滞留することを防止できるので、作業能率が向上する。
【0066】
また、案内傾斜板46,46と門型フレーム26との間の空間部に左右の振動モータ47,47を取り付けたことによって、振動モータ47,47を駆動させると案内傾斜板46,46が微細に振動するため、案内傾斜板46,46に接触して滞留している人参を振動によって整列搬送コンベア39に移動させることができるので、ホッパ29内に人参が滞留することを防止でき、作業能率がいっそう向上する。
【0067】
なお、受ホッパ29を構成する支持板25、門型フレーム26、左右の側板27,27、左右の傾斜板28,28及び案内傾斜板46,46を振動を伝達しやすい材質で構成すると、上記の振動による人参の受ホッパ29内への滞留防止効果が一段と高まり、作業能率が格段に向上する。
【0068】
図9で示すように、整列駆動プーリ37と整列従動プーリ35とに左右の整列搬送ベルト38a,38bを無端状に巻回するとともに、整列駆動プーリ37と整列従動プーリ35の中央の凹部に等間隔に突起を形成した突起付搬送ベルト38dを無端状に巻回する構成としてもよい。
【0069】
上記構成によれば、小径の人参や先端部が細い人参が左右の整列搬送ベルト38a,38bの左右間に入り込んでも、突起付搬送ベルト38dの突起が人参を押し上げながら搬送するので、人参が整列搬送ベルト38a,38bの左右間に挟まってしまい、整列搬送コンベア39の排出搬送領域Wから排出されることなく案内シュータ33の下部に衝突することを防止でき、人参が傷つくことを防止できるので人参の商品価値が向上する。
【0070】
また、人参が案内シュータ33に衝突した際、人参が引っ掛かって整列搬送コンベア39が動かなくなることを防止できるので、作業能率を向上させられると共に、整列駆動モータ36や選別搬送ベルト38に負荷を掛けることが防止され、機体の耐久性が向上する。
【0071】
図10で示すように、案内シュータ33の側方に設置する搬送方向下手側の左右幅が最も長く、搬送方向上手側に向かうほど左右幅が短くなる平面視台形形状にリターンシュータ48を形成してもよい。
【0072】
上記構成によれば、人参が案内シュータ33から排出される搬送方向下手側の左右幅を最も広くすることによって、人参が勢いよく排出されてもリターンシュータ48から飛び出すことを防止でき、落下の衝撃で人参が傷付くことを防止できるので、人参の商品価値が向上する。
【0073】
なお、リターンシュータ48が案内シュータ33の側方に隣接する部分に、案内シュータ33の搬送方向の前後長さと略同じ長さのゴムやスポンジ等の軟質材で構成する干渉体49を取り付けておくと、人参がリターンシュータ48の側壁に衝突しても、衝突の衝撃を干渉体49が緩和するので、人参がいっそう傷付きにくくなり、人参の商品価値がいっそう向上する。
【0074】
加えて、リターンシュータ48の表面に軟質ゴム、塩化ビニル、ウレタン等の軟質材で構成する板体50を表面に載置しておく、あるいは接着しておくと、落下の衝撃から人参を保護できるので、人参が傷付くことが防止されて人参の商品価値が向上する。さらに、人参が滑りやすくなるので、リターンシュータ48に人参が停滞することなくホッパ4に戻り、再度整列搬送経路に復帰するため、作業能率が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0075】
【図1】作物整列装置の側面図
【図2】作物整列装置の平面図
【図3】作物整列装置の伝動図
【図4】(a)V字型ベルトを巻回した整列搬送コンベアの平面図 (b)左右一対のベルトを巻回した整列搬送コンベアの平面図 (c)3本のベルトを巻回した整列搬送コンベアの平面図
【図5】リターンシュータとホッパの要部正面図
【図6】作物整列装置の別配置例の平面図
【図7】(a)作物整列装置の別実施例の要部平面図 (b)作物整列装置の別実施例の要部側面図
【図8】作物整列装置の別実施例の平面図
【図9】突起付ベルトを中央に巻回した整列搬送コンベア
【図10】作物整列装置の別実施例の平面図
【符号の説明】
【0076】
4 ホッパ(貯留部材)
17 汲上搬送コンベア(汲上搬送装置)
29 受ホッパ(受け部材)
29a 開口部
33 案内シュータ(第1案内部材)
36 整列駆動モータ(駆動装置)
39 整列搬送コンベア(整列搬送装置)
40 第1ガイドプレート(第1整列部材)
40a 第1間隔
41 第2ガイドプレート(第2整列部材)
41a 第2間隔
42 リターンシュータ(第2案内部材)
W 排出搬送領域(排出搬送部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
作物を貯留する貯留部材(4)を設け、該貯留部材(4)に貯留された作物を上方に搬送する汲上搬送装置(17)を設け、該汲上搬送装置(17)の搬送終端部から落下する作物を受ける受け部材(29)を設け、該受け部材(29)の下方に搬送装置(39)を設け、前記受け部材(29)の底部には、該受け部材(29)内の作物が搬送装置(39)の搬送方向に沿う姿勢で落下する開口部(29a)を設け、前記搬送装置(39)の上側に該搬送装置(39)によって搬送される作物の姿勢を整える左右の第1整列部材(40,40)を搬送方向下手側ほど互いの間隔が小さくなるように設け、該左右の第1整列部材(40,40)の搬送下手側端部間に形成される第1間隔(40a)を作物が一本のみ通過できる間隔に設定し、搬送装置(39)の下方に前記左右の第1整列部材(40,40)との干渉によって搬送装置(39)上から落下した作物を受けて左右方向の一方側へ案内する第1案内部材(33)を設け、該第1案内部材(33)の案内方向終端部の下側に第1案内部材(33)で案内されてきた作物を引き継いで前記貯留部材(4)に供給する第2案内部材(42)の始端部を設けたことを特徴とする作物整列装置。
【請求項2】
前記第1整列部材(40,40)よりも搬送方向下手側の搬送装置(39)上の部位に、該搬送装置(39)上から左右方向へはみ出した作物を第1案内部材(33)上に落下させる左右の第2整列部材(41,41)を搬送方向下手側ほど互いの間隔が小さくなるように設け、該左右の第2整列部材(41,41)の搬送下手側端部間に形成される第2間隔(41a)を前記第1間隔(40a)よりも大きく設定したことを特徴とする請求項1記載の作物整列装置。
【請求項3】
前記第1案内部材(33)を、搬送装置(39)の左右一側に偏倚した部位から搬送装置(39)の下方を通過させ、左右他側に偏倚した部位に亘って設けたことを特徴とする請求項1または2記載の作物整列装置。
【請求項4】
前記第1案内部材(33)による作物の案内方向を機体の左右両側に切換自在に構成したことを特徴とする請求項3記載の作物整列装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2010−155660(P2010−155660A)
【公開日】平成22年7月15日(2010.7.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−333409(P2008−333409)
【出願日】平成20年12月26日(2008.12.26)
【出願人】(000000125)井関農機株式会社 (3,813)
【Fターム(参考)】