説明

作用物質を含有する水性ポリマー分散液、その製造方法及びその使用

ポリマー粒子は、少なくとも1種のエチレン性不飽和モノマーから構成されたポリマーマトリックスをコアとして含有し、前記コアの表面に少なくとも部分的に作用物質が配置されていて、前記作用物質は粒子のポリマーマトリックスを形成するモノマー中に可溶性である、分散された粒子の平均粒子直径<500nmの、作用物質を含有する水性ポリマー分散液、エチレン性不飽和モノマーを少なくとも1種の作用物質及び界面活性剤の存在で水中に乳化させることにより乳化した粒子の平均粒子サイズ<500nmのミニエマルションを製造し、これを少なくとも1種のラジカル重合開始剤の存在で、まず重合区域中に存在するモノマーの最大で50%だけが重合するように重合させ、その際、乳化した粒子の表面に作用物質が移行し、生じたポリマー粒子の表面上に作用物質が十分に又は完全に集合した後に初めて前記重合を完結させる、エチレン性不飽和モノマーのミニエマルション重合によりポリマー分散液を製造する方法、及び分散液又は前記分散液から水の蒸発により得られた粉末の、UV線、酸素及び熱の作用に対するポリマーの安定化のための、化粧品及び医薬組成物中での、塗料層中での、紙、皮革及び織物の製造の際の、動物飼料用の調製物中での使用。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、作用物質を含有する水性ポリマー分散液、エチレン性不飽和モノマーを作用物質の存在でミニエマルション重合することによる前記水性ポリマー分散液の製造方法、及び化粧品及び医薬調製物中での、塗料層中での、紙、比較及び繊維の製造時に、及び動物飼料用の調製物中でUV線、酸素及び熱の影響に対してポリマーを安定化するための、前記の作用物質を含有するポリマーの使用に関する。
【0002】
JP-A-7-292009からは、機能性物質、特にUV吸収剤又はエポキシ樹脂を含有する水性ポリマー分散液は公知である。この水性ポリマー分散液は、不飽和モノマー中で機能性物質を溶解させ、界面活性剤の存在で水中に前記溶液を乳化させて平均粒径5〜500nmを有するモノマーエマルションにし、前記ミニエマルションをラジカル開始剤の存在で重合させることにより製造される。前記機能性物質、例えばUV吸収剤、エポキシ樹脂、アクリルベースのポリマー、フェノール樹脂、不飽和ポリエステル、フェノール系の材料並びに石油樹脂を含有する水性分散液は、結合剤として及び添加剤として保護層シート用に使用される。
【0003】
WO-A-99/40123から、分散されたポリマー粒子が有機着色剤を均質に、つまり分子分散で分配されて含有する水性ポリマー分散液の製造方法は公知である。このような水性分散液は、有機着色剤を溶解して含有するエチレン性不飽和モノマーを、水中油型エマルションの形で、ラジカル形成する重合開始剤の存在で重合させ、その際、固体含有の、主に<500nmの直径を有するモノマー液滴のエマルションの分散相を形成させることによるミニエマルション重合により製造される。本発明の有利な実施態様の場合には、重合の際に架橋性に作用するモノマーを含有するモノマー混合物を使用する。前記ポリマー分散液は沈殿安定性である。この分散した粒子は、100〜400nmの平均粒子直径を有する。前記粒子は、通常の乾燥方法を用いて水性分散液から得ることができる。前記の固体含有のポリマー分散液は、例えば高分子の有機及び無機材料の顔料添加のために、印刷インキ及びインクジェット印刷用のインキの顔料添加のために使用される。
【0004】
EP-A-1 092 416からは着色剤、蛍光増白剤又はUV吸収剤を含有する微細粒の水性ポリマー分散液又は前記分散液から得られる粉末状のポリマー(前記ポリマーのポリマーマトリックスは着色剤、蛍光増白剤又はUV吸収剤を均一に分布して含有する)の化粧品中での着色成分としての使用は公知である。前記分散液は、有利にWO-A-99/40123から公知の方法により、染料、蛍光増白剤又はUV吸収剤を溶解して含有するエチレン性不飽和モノマーのミニエマルション重合により製造される。
【0005】
着色剤含有ポリマー粒子が1000nmを下回る平均粒子直径を有する他の着色剤含有ポリマー分散液は、EP-A-1 191 041から公知である。着色剤として、有機着色剤の他にUV吸収剤及び蛍光増白剤を挙げられる。これは、着色剤を少なくとも1種のエチレン性不飽和モノマーに溶解し、前記溶剤を水中に乳化させ通常のマクロエマルションを形成させ、前記マクロエマルションを均質化して1000nmを下回る平均液滴サイズを有するミニエマルションを形成させ、前記ミニエマルションをラジカル生成重合開始剤、少なくとも1種の非イオン性界面活性化合物0.1〜20質量%及び少なくとも1種の両親媒性重合体1〜50質量%(それぞれ使用したモノマーに対する)の存在で重合させることにより製造される。このポリマー粒子は、少なくとも1種の有機着色剤、蛍光増白剤又はUV吸収剤0.5〜50質量%を均質に分配して含有し、これは有機着色剤がポリマーマトリックス中に単分子で溶解しているか又は二分子凝集体又は高分子凝集体の形で存在していると解釈される。
【0006】
WO-A-01/10936からはコア/外皮−構造を有する粒子が公知であり、この場合、コアは40℃を下回るガラス転移温度Tgを有するポリマーとUV吸収剤とを有し、かつ外皮は有利にメチルアクリラート、エチルアクリラート、エチルメタクリラート及び/又はメチルメタクリラートからなるポリマーからなる。前記粒子のコアを形成するポリマーは、場合により架橋されていてもよい。前記ポリマー粒子は、乳化重合により製造される。UV吸収剤を含有するポリマー粒子は、UV吸収性ポリマー組成物の製造のために使用される。
【0007】
先願のDE 102 48 879.7からはアルキルジケテンを含有する水性ポリマー分散液が公知であり、このポリマー分散液はアルキルジケテンの存在で疎水性モノエチレン性不飽和モノマーのミニエマルション重合により得られる。この分散液は、紙用のサイズ剤として、皮革、天然及び合成繊維及び織物用の疎水化剤として使用される。
【0008】
先願のDE 102 54 548.0からは、UV放射線の作用に対してポリマーを安定化するための、微細粒の少なくとも1種のUV吸収剤を含有するポリマー粉末の使用は公知である。前記ポリマー粉末のポリマー粒子は、500nm以下の粒子径を有する。このポリマー粒子は、有利に、上記文献のWO-A-99/40123, EP-A-1 092 415及びEP-A-1 191 041から公知の方法によるミニエマルション重合によって製造される。このポリマー粒子は少なくとも1種のUV吸収剤0.5〜50質量%を含有し、前記UV吸収剤は分子の形又はナノ結晶の形で均一に分配されて存在するか又は完全に又は部分的に前記ポリマーマトリックスにより被覆されている。
【0009】
US-B-6,309,787からは、ミニエマルション重合により着色剤をカプセル化する方法が公知であり、その際、このミニエマルションは界面活性剤、コサーファクタント及び非イオン性界面活性剤の存在で製造される。重合の後に、着色剤コアとポリマー外皮とから構成されている分散された粒子が得られる。
【0010】
DE-A-196 28 143からは、水性ポリマー分散液の製造方法が公知である。モノマーの重合は、ラジカル水性ミニエマルション重合の方法により行われ、その際、重合区域には持続的に重合させながら水性モノマーミニエマルションの少なくとも一部を連続的に供給する。
【0011】
本発明の根底をなす課題は、作用物質を含有する他の水性ポリマー分散液を提供することであった。
【0012】
前記課題は、本発明の場合に、ポリマー粒子は少なくとも1種のエチレン性不飽和モノマーから構成されたポリマーマトリックスをコアとして含有し、前記コアの表面に少なくとも部分的に作用物質が配置されていて、前記作用物質は粒子のポリマーマトリックスを形成するモノマー中に可溶性である、分散された粒子の平均粒子直径<500nmを有する、作用物質を含有する水性ポリマー分散液により解決される。前記作用物質は、有利に外皮として、前記ポリマー粒子のコアを取り囲むように配置されている。
【0013】
本発明の主題は、さらに、エチレン性不飽和モノマーを少なくとも1種の作用物質及び界面活性剤の存在で水中に乳化させることにより乳化した粒子の平均粒子サイズ<500nmを有するミニエマルションを製造し、これを少なくとも1種のラジカル重合開始剤の存在で、まず重合区域中に存在するモノマーの最大で50%だけが重合するように重合させ、その際、乳化した粒子の表面に作用物質が移行し、生じたポリマー粒子の表面上に作用物質が十分に又は完全に集合した後に初めて前記重合を完結させることによる、エチレン性不飽和モノマーのミニエマルション重合による分散されたポリマー粒子の平均粒子直径<500nmを有する、微細粒の作用物質を含有する水性ポリマー分散液の製造方法である。
【0014】
作用物質とは、本発明の範囲内で、例えばUV吸収剤、有機着色剤、蛍光増白剤、有機ポリマー用の安定剤及び助剤、IR着色剤、難燃剤、アルケニルコハク酸無水物、医薬作用物質及び殺生物剤のグループから選択される生成物であると解釈される。この挙げられた作用物質は、エチレン性不飽和モノマー中に可溶性であり、前記モノマーが水性分散液のポリマー粒子のコアを形成する。モノマー中での作用物質の可溶性は、20℃の温度及び1barの圧力で、例えば少なくとも1g/l、有利に少なくとも10g/lである。分散したポリマー粒子の表面上に配置されている作用物質の量は、ポリマーマトリックスに対して、例えば0.5〜50質量%、有利に2〜20質量%である。
【0015】
エチレン性不飽和モノマーの油溶性着色剤の存在でのミニエマルション重合は、例えば先行技術に引用されたWO-A-99/40123から公知である。この重合方法の詳細については、特にWO-A-99/40123の第3頁30行〜第38頁6行、及び第69頁11行〜第84頁43行に指摘されている。このWO出願のこの部分は本願発明の開示内容に援用される。ここに記載されたエチレン性不飽和モノマー、重合可能でない有機着色剤、助剤及びミニエマルションを製造する方法手段は、同じように本発明による方法の場合に適用される。公知方法との本質的な差異は、本発明の場合に重合の特別な実施にある。油溶性の、重合可能でない着色剤の他に、本発明による方法の場合に、同様にエチレン性不飽和モノマー中に可溶である他の作用物質も使用できる。作用物質として、同様に油溶性でありかつ有利に主にポリマーのコアを形成するモノエチレン性不飽和モノマー中に溶解されるUV吸収剤を使用するのが特に有利である。UV吸収剤は市販製品である。これは、例えばBASF Aktiengesellschaft, Ludwigshafen社の登録商標Uvinul(R)として販売されている。
【0016】
UV吸収剤とは、周知のUV線を吸収し、この吸収したUV線を非放射に不活性化する化合物であると解釈される。UV吸収剤は、波長<400nmの光を吸収し、これを熱放射に変換する。このような化合物は、例えばサンスクリーン剤において及び有機ポリマーの安定化のために使用される。UV吸収剤の例は、p−アミノ安息香酸の誘導体、特にそのエステル、例えば4−アミノ安息香酸エチルエステル及びエトキシ化4−アミノ安息香酸エチルエステル、サリチラート、置換されたケイ皮酸エステル(シンナマート)、例えばオクチル−p−メトキシシンナマート及び4−イソペンチル−4−メトキシシンナマート、2−フェニルベンズイミダゾール−5−スルホン酸及びその塩である。特に有利に使用されるUV吸収剤は、4−n−オクチルオキシ−2−ヒドロキシベンゾフェノンである。UV吸収剤の他の例は次のものである:
置換アクリラート、例えばエチル−又はイソオクチル−α−シアノ−β,β−ジフェニルアクリラート(主に2−エチルヘキシル−α−シアノ−β、β−ジフェニルアクリラート)、メチル−α−メトキシカルボニル−β−フェニルアクリラート、メチル−α−メトキシカルボニル−β−(p−メトキシフェニル)アクリラート、メチル−又はブチル−α−シアノ−β−メチル−β−(p−メトキシフェニル)アクリラート、N−(β−メトキシカルボニル−β−シアノビニル)−2−メチルインドリン、オクチル−p−メトキシシンナマート、イソヘプチル−4−メトキシシンナマート、ウロカニン酸及びその塩及びそのエステル;
2−ヒドロキシベンゾフェノン誘導体、例えば4−ヒドロキシ−、4−メトキシ−、4−オクチルオキシ−、4−デシルオキシ−、4−ドデシルオキシ−、4−ベンジルオキシ−、4,2′,4′−トリヒドロキシ−、2′−ヒドロキシ−4,4′−ジメトキシ−2−ヒドロキシベンゾフェノン並びに4−メトキシ−2−ヒドロキシベンゾフェノン−スルホン酸−ナトリウム塩;
4,4−ジフェニルブタジエン−1,1−ジカルボン酸のエステル、例えばビス−(2−エチルヘキシル)エステル;
2−フェニルベンズイミダゾール−4−スルホン酸並びに2−フェニルベンズイミダゾール−5−スルホン酸及びこれらの塩;
ベンゾオキサゾールの誘導体;
ベンズトリアゾール及び2−(2′−ヒドロキシフェニル)ベンズトリアゾールの誘導体、例えば2−(2H−ベンズトリアゾール−2−イル)−4−メチル−6−(2−メチル−3((1,1,3,3−テトラメチル−1−(トリメチルシリルオキシ)ジシロキサニル)−プロピル)フェノール、2−(2′−ヒドロキシ−5′−メチルフェニル)ベンズトリアゾール、2−(3′,5′−ジ−tert−ブチル−2′−ヒドロキシフェニル)ベンズトリアゾール、2−(5′−tert−ブチル−2′−ヒドロキシフェニル)ベンズトリアゾール、2−[2′ヒドロキシ−5′−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェニル]ベンズトリアゾール、2−(3′,5′−ジ−tert−ブチル−2′−ヒドロキシフェニル)−5−クロロベンズトリアゾール、2−(3′−tert−ブチル−2′−ヒドロキシ−5′−メチルフェニル)−5−クロロベンズトリアゾール、2−(3′−sec−ブチル−5′−tert−ブチル−2′−ヒドロキシフェニル)−ベンズトリアゾール、2−(2′−ヒドロキシ−4′−オクチルオキシフェニル)−ベンズトリアゾール、2−(3′,5′−ジ−tert−アミル−2′−ヒドロキシフェニル)ベンズトリアゾール、2−[3′,5′−ビス(α,α−ジメチルベンジル)−2′−ヒドロキシフェニル]ベンズトリアゾール、2−[3′−tert−ブチル−2′−ヒドロキシ−5−(2−オクチルオキシカルボニルエチル)フェニル]−5−クロロベンズトリアゾール、2−[3′−tert−ブチル−5′−(2−(2−エチルヘキシルオキシ)−カルボニルエチル)−2′−ヒドロキシフェニル]−5−クロロベンズトリアゾール、2−[3′−tert−ブチル−2′−ヒドロキシ−5′−(2−メトキシカルボニルエチル)フェニル]−5−クロロベンズトリアゾール、2−[3′−tert−ブチル−2′−ヒドロキシ−5′−(2−メトキシカルボニルエチル)フェニル]ベンズトリアゾール、2−[3′−tert−ブチル−2′−ヒドロキシ−5′−(2−オクチルオキシカルボニルエチル)フェニル]ベンズトリアゾール、2−[3′−tert−ブチル−5′−(2−(2−エチルヘキシルオキシ)カルボニルエチル)−2′−ヒドロキシフェニル]ベンズトリアゾール、2−(3′−ドデシル−2′−ヒドロキシ−5′−メチルフェニル)ベンズトリアゾール、2−[3′−tert−ブチル−2′−ヒドロキシ−5′−(2−イソオクチルオキシカルボニルエチル)−フェニル]−ベンズトリアゾール、2,2′−メチレン−ビス[4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−6−ベンズトリアゾール−2−イル−フェノール]、2−[3′−tert−ブチル−5′−(2−メトキシカルボニルエチル)−2′−ヒドロキシフェニル]−2H−ベンズトリアゾールのポリエチレングリコール300で完全にエステル化された生成物、[R−CH2CH2−COO(CH23−]2(その際、Rは3′−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5′−2H−ベンズトリアゾール−2−イルフェニルを表す)、2−[2′−ヒドロキシ−3′−(α,α−ジメチルベンジル)−5′−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェニル]ベンズトリアゾール、2−[2′−ヒドロキシ−3′−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−5′−(α,α−ジメチルベンジル)フェニル]ベンズトリアゾール;
ベンジリデンカンファー及びその誘導体、これは例えばDE-A 3 836 630に挙げられている、例えば3−ベンジリデンカンファー、3−(4′−メチルベンジリデン)d−1−カンファー;
α−(2−オキソボルン−3−イリデン)トルエン−4−スルホン酸及びその塩、N,N,N−トリメチル−4−(2−オキソボルン−3−イリデンメチル)アニリニウム−メトスルファート;
ジベンゾイルメタン、例えば4−tert−ブチル−4′−メトキシジベンゾイルメタン;
2,4,6−トリアリルトリアジン−化合物、例えば2,4,6−トリス−{N−[4−(2−エチルヘキシ−1−イル)オキソカルボニルフェニル]アミノ}−1,3,5−トリアジン、4,4′−((6−(((tert−ブチル)アミノカルボニル)フェニルアミノ)−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイル)イミノ)ビス(安息香酸−2′−エチルヘキシルエステル);及び
2−(2−ヒドロキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、例えば2,4,6−トリス(2−ヒドロキシ−4−オクチルオキシフェニル)1,3,5−トリアジン、2−(2−ヒドロキシ−4−オクチルオキシフェニル)−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン、2−(2,4−ジヒドロキシフェニル)−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス−(2−ヒドロキシ−4−プロピルオキシフェニル)−6−(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン、2−(2−ヒドロキシ−4−オクチルオキシフェニル)−4,6−ビス(4−メチルフェニル)−1,3,5−トリアジン、2−(2−ヒドロキシ−4−ドデシルオキシフェニル)−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン、2−[2−ヒドロキシ−4−(2−ヒドロキシ−3−ブチルオキシプロピルオキシ)フェニル]−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン、2−[2−ヒドロキシ−4−(2−ヒドロキシ−3−オクチルオキシプロピルオキシ)フェニル]−4,6−ビス−(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン、2−(2−ヒドロキシ−4−トリデシルオキシフェニル)−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン、2−[4−(ドデシルオキシ/トリデシルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)−2−ヒドロキシフェニル]−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン、2−[2−ヒドロキシ−4−(2−ヒドロキシ−3−ドデシルオキシプロポキシ)フェニル]−4,6−ビス−(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン、2−(2−ヒドロキシ−4−ヘキシルオキシフェニル)−4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン、2−(2−ヒドロキシ−4−メトキシフェニル)−4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン、2,4,6−トリス[2−ヒドロキシ−4−(3−ブトキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)フェニル]−1,3,5−トリアジン、2−(2−ヒドロキシフェニル)−4−(4−メトキシフェニル)−6−フェニル−1,3,5−トリアジン、2−{2−ヒドロキシ−4−[3−(2−エチルヘキシル−1−オキシ)−2−ヒドロキシプロピルオキシ]フェニル}−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン。
【0017】
他の適当なUV吸収剤は、刊行物Cosmetic Legislation, Vol.1, Cosmetic Products, European Commission 1999, p. 64-66から推知することができ、この刊行物は本願明細書に援用される。
【0018】
適当なUV吸収剤は、さらにEP-A-1 191 041の第6頁14行〜30行に記載されている。
【0019】
他の作用物質は有機着色剤及び蛍光増白剤であり、これらはそれぞれエチレン性不飽和モノマー中に可溶でありかつそれ自体重合可能ではない。このような着色剤及び蛍光増白剤は、先行技術に記載されたWO-A-99/40123の第10頁14行〜第25頁25行に詳細に記載されていて、この箇所も本願明細書に明確に援用される。有機着色剤は400〜850nmの波長領域において1つの吸収極大を有し、蛍光増白剤は250〜400nmの範囲内で1つ又は複数の吸収極大を有する。蛍光増白剤は、公知のようにUV光が照射された際に、可視領域の蛍光放射線を放射する。蛍光増白剤の例は、ビススチリルベンゼン、スチルベン、ベンゾオキサゾール、クマリン、ピレン及びナフタレンの種類からなる化合物である。市販されている蛍光増白剤は、商品名Tinopal(R)(Ciba)、Ultraphor(R)(BASF Aktiengesellschaft)及びBlankophor(R)(Bayer)で販売されている。蛍光増白剤は、さらにRoempp,第10版第4巻, 3028 - 3029 (1998)及びUllmanns, Encyclopedia of Industrial Chemistry, Vol. 24, 363 - 386 (2003)記載されている。
【0020】
作用物質として、さらに有機ポリマー用の安定剤が挙げられる。これは、酸素、光又は熱の作用の際の分解に対してポリマーを安定化する化合物である。このような安定剤は、酸化防止剤として又はUV安定剤及び光安定剤とも言われる(Ullmanns, Encyclopadia of Industrial Chemistry, Vol. 3, 629 - 650 (ISBN-3-527-30385-5)及びEP-A-1 110 999第2頁29行〜第38頁29行参照)。このような安定剤を用いて、実際に全ての有機ポリマーを安定化することができる(EP-A-1 110 999第38頁30行〜第41頁35行参照)。この文献箇所も、本願発明の開示内容に援用される。前記EP出願に記載された安定剤は、ピラゾール、有機ホスファイト又はホスホナイト、立体障害フェノール及び立体障害アミンの化合物種(いわゆるHALSタイプの安定剤、Roempp,第10版、第5巻、4206〜4207頁参照)に属する。市販の安定剤及び助剤は、Ciba社の商品名Tinuvin(R)及びCyasorb(R)及びEastman Kodak社のTenox(R)で販売されている。安定剤及び助剤は、例えばPlastic Additives Handbook,第5版, Hanser, ISBN 1-56990-295-Xに記載されている。前記安定剤及び助剤は、エチレン性不飽和モノマー中に可溶であり、その際、20℃の温度及び1barの圧力で少なくとも1g/l、有利に少なくとも10g/lが溶解する。
【0021】
他の適当な作用物質はIR着色剤(例えばBASF Aktiengesellschaft社からLumogen(R) IRとして販売されている)並びに難燃剤(例えばRoempp第10版、第1352〜1353頁並びにUllmanns, Encyclopedia of Industrial Chemistry, Vol. 14, 53-71に記載されている)である。この挙げられた難燃剤は、エチレン性不飽和モノマー中に可溶性である。
【0022】
作用物質はアルケニルコハク酸無水物であるとも解釈され、これは例えば紙の内部サイズ剤として公知であり、かつ広範囲に工業的に使用されている。このサイズ剤の例は、異性体の4−、5−、6−、7−及び8−ヘキサデセニルコハク酸無水物、デセニルコハク酸無水物、オクテニルコハク酸無水物、ドデセニルコハク酸無水物及びn−ヘキサデセニルコハク酸無水物であり、C.E. Farley及びR.B. Wasser著The Sizing of Paper, Second Edition, (3), Sizing With Alkenyl Succinic Anhydride, TAPPI PRESS, 1989, ISBN 0-89852-051-7も参照。
【0023】
作用物質として、さらにエチレン性不飽和モノマー中に可溶性である全ての医薬作用物質を使用することができる。医薬作用物質に関する概要は、例えばRoempp,第10版、第4巻、3235頁(ISBN-3-13-734910-9)及びUllmanns, Encyclopedia of Industrial Chemistry, Vol. 25, 549 - 579 (2003)に記載されている。医薬作用物質とは、本発明の範囲内でビタミンであるとも解釈される。ビタミンはエチレン性不飽和モノマー中に可溶性である。ビタミンに関する要約は、例えばRoempp,第10版、第6巻、4877頁〜4887頁(1999)及びUllmanns, Encyclopedia of Industrial Chemistry, Vol. 38, 109-294に記載されている。
【0024】
他の適当な作用物質は香料(Ullmanns, Encyclopedia of Industrial Chemistry, Vol. 14, 73-199参照)及び殺生物剤(Ullmanns, Encyclopedia of Industrial Chemistry, Vol. 5, 269-280参照)である。
【0025】
この分散された粒子のコアは、主に
(a) 水溶性>0.01g/lの、少なくとも1種のエチレン性不飽和モノマーAと、場合により
(b) 水溶性<0.01g/lの、少なくとも1種のエチレン性不飽和モノマーBと、場合により
(c) 少なくとも2つの二重結合を有する少なくとも1種のエチレン性不飽和モノマーと
からなるポリマーから構成されている。前記モノマーの水溶性は、それぞれ25℃の温度及び1barの圧力でモノマーの水中での溶解性に関している。
【0026】
この分散性ポリマー粒子は、たいていの場合、重合により組み込まれた形で
(a) 少なくとも1種のモノマーA 50〜99.5質量%、
(b) 少なくとも1種のモノマーB 0.5〜50質量%、及び
(c) 少なくとも1種のモノマーC 0〜30質量%を含有する。
【0027】
この挙げられたモノマーは、WO-A-99/40123,第4頁41行〜第10頁12行に明確に記載されていて、この箇所も本願明細書に援用される。グループ(a)〜(c)の個々のモノマーは例示的に挙げただけであり、グループ(a)のモノマーとして、スチレン、α−メチルスチレン、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、マレイン酸ジメチルエステル、マレイン酸ジエチルエステル、エチレン性不飽和C3〜C5−カルボン酸からなるエステル及び1〜6個のC原子を有する一価のアルコール及びアリルアセタートが挙げられる。
【0028】
モノマー(a)は、高められた水溶性を有する、つまり25℃及び1barで>60g/lの水溶性を有するようなモノマーA′をも含む。前記モノマーA′は、ポリマーの変性のために使用され、ポリマーマトリックスの構築に少なくとも0.1〜20質量%、有利に0.5〜10質量%の量で関与する。前記モノマーの例は、アクリル酸、メタクリル酸、スチレンスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸及びビニルホスホン酸並びにカチオン性モノマー、例えばジメチルアミノエチルアクリラート又は1−ビニルイミダゾール並びにN−ビニルホルムアミド、N−ビニルピロリドンである。この塩基性モノマーは、重合の際に遊離塩基の形で、塩として又は4級化された形で使用される。この酸基を有するモノマーは、重合の際に遊離酸の形で又は部分的に又は完全にアルカリ金属塩基又はアンモニウム塩基で中和された形で使用することができる。
【0029】
グループ(b)のモノマーとして、例えば2−及び4−メチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、エチレン性不飽和C3〜C5−カルボン酸と分子中で12個より多くのC原子を有するアルコールとからなるエステル、ビニルラウラート、ビニルステアラート並びにマクロモノマー、例えばオリゴプロペンアクリラートが適している。
【0030】
グループ(c)のモノマーの例は、グリコールジアクリラート、トリメチロールプロパントリアクリラート、ペンタエリトリットトリアクリラート、ペンタエリトリットテトラアクリラート、ブタンジオールジアクリラート、アリルアクリラート、ジビニルベンゼン、ジビニル尿素及びメチレンビスアクリルアミドである。
【0031】
例えば分散したポリマー粒子のポリマーマトリックスは、
(a) メチルメタクリラート、スチレン、酢酸ビニル、メチルアクリラート、エチルメタクリラート、アクリル酸及び/又はメタクリル酸と、場合により
(b) ラウリルアクリラート、パルミチルアクリラート及び/又はステアリルアクリラートと、場合により
(c) ブタンジオールジアクリラート、ジビニルベンゼン、ペンタエリトリットトリアクリラート及び/又はペンタエリトリットテトラアクリラートとからなるポリマーから構成されていてもよい。
【0032】
水中に分散された粒子のポリマーマトリックスは、有利に
(a) メチルメタクリラート、エチルメタクリラート及び/又はアクリル酸と、
(b) ステアリルアクリラート及び/又はパルミチルアクリラートと、
(c) ブタンジオールジアクリラート、ペンタエリトリットテトラアクリラート及び/又はペンタエリトリットトリアクリラートとの重合によって得られた共重合体からなる。
【0033】
本発明による水性ポリマー分散液は、平均粒子直径<500nm、有利に50〜400nmの分散された粒子を含有する。前記ポリマー粒子は、主にポリマーコアからなり、その表面に少なくとも1種の作用物質が配置されている。理想的な場合には、前記作用物質はポリマーコアを取り囲む外皮を形成する。ポリマー粒子のこの種の構造は図1から明確である。この図1は、水性ポリマー分散液から水の留去により得られた粉末試料の断面の電子顕微鏡写真である。この作用物質は、実際に、分散された粒子のコアを形成するポリマーとは非相容性であるか、もしくは前記ポリマー中に不溶性である。前記作用物質は、従ってポリマーマトリックスの表面上にナノスケールの外皮として見られる。
【0034】
分散したポリマー粒子が、
(a) メチルメタクリラート又はメチルメタクリラート及びアクリル酸、
(b) 場合によりステアリルアクリラート及び
(c) ブタンジオールジアクリラート、ペンタエリトリットテトラアクリラート及び/又はペンタエリトリットトリアクリラート
からなるポリマーから構成され、かつUV吸収剤、特に4−n−オクチルオキシ−2−ヒドロキシベンゾフェノンからなる外皮で包囲されている水性ポリマー分散液が特に有利である。
【0035】
前記モノマーは、重合の際に例えば、生じるポリマーが
(a) 少なくとも1種のモノマーA 50〜99.5質量%、有利に80〜99質量%及び
(b) 少なくとも1種のモノマーB 0.5〜50質量%、有利に1〜20質量%が重合により組み込まれて含有しているような量で使用される。
【0036】
分散された粒子のコアを形成するポリマーマトリックスは、有利にモノマー(c)を0.1〜30質量%、有利に0.5〜20質量%、大抵は1〜10質量%の量で重合により組み込まれて含有している。
【0037】
本発明による、分散されたポリマー粒子の平均粒子直径<500nmを有する、作用物質を含有する水性ポリマー分散液は、エチレン性不飽和モノマーのミニエマルション重合により製造される。この場合、例えばまず少なくとも1種の作用物質を少なくとも1種のモノマーに溶解させることが行われる。この作用物質は、たいていの場合に単分子で溶解しているが、しかしながらコロイド分散して溶解して存在していてもよい。作用物質を含有するモノマー溶液は、次いで水中に、少なくとも1種の界面活性剤の存在で乳化される。界面活性剤に代えて又は界面活性剤に対して付加的に、水及び/又はモノマー中で不溶性のマイクロ粒子又はナノ粒子を前記エマルション用の安定剤として使用することもできる(Pickering効果)。この種の安定剤は、例えばナノスケールの二酸化ケイ素、酸化アルミニウム及び硫酸マグネシウムである。乳化した液滴の平均粒子サイズ<500nmのミニエマルションが得られる。このエマルションは、WO-A-99/40123,第26頁11行〜第32頁4行に明確に記載されている方法により行われる。例えば、乳化のために多様な構造の高圧ホモジナイザーを使用するか、又は主成分として少なくとも1種のモノマー中に溶解している少なくとも1種の作用物質と水とを含有するマクロエマルションに超音波を作用させる。たいていの場合に、前記混合物は界面活性剤の存在で乳化する。しかしながら、作用物質をミニエマルションに供給することも可能である。しかしながら、前記したように、作用物質をまず少なくとも1種のモノマー中に溶解させ、かつ溶解した又はコロイド状で溶解した形で水中に乳化させるのが有利である。
【0038】
ミニエマルションの製造のために使用された水相は水からなり、かつ場合により界面活性剤を含有し、前記界面活性剤は水相中での有機相の乳化の際に形成される微細粒のモノマー液滴を安定化する。前記界面活性剤は、全体の分散剤に対して、例えば15質量%までの量で、例えば、0.05〜15質量%、有利に0.05〜5質量%、特に0.1〜2質量%の量で使用される。前記界面活性剤は、水相中、有機層中又は両方の層中に存在する。前記界面活性剤は乳化の前に水相に添加するのが有利である。原則として、全ての界面活性剤を使用することができる。有利に使用される表面活性剤は、アニオン性化合物である。適当な表面活性剤の例は、ラウリル硫酸ナトリウム、ドデシル硫酸ナトリウム、ヘキサデシル硫酸ナトリウム、スルホコハク酸ジオクチルナトリウム及び/又はエチレンオキシド15〜50MolのC12〜C22−アルコール1Molへの付加生成物である。
【0039】
ミニエマルションを安定化するために、このエマルションの製造の際に、例えば少なくとも1種の重合可能でない疎水性化合物、例えば炭化水素、10〜24個のC原子を有するアルコール、分子量Mw<50000、有利に<10000の疎水性ポリマー、テトラアルキルシラン及び/又は前記化合物の混合物が使用される。このような安定剤の例は、ヘキサデカン、デカヒドロナフタレン、オリーブ油、平均分子量Mw<50000、有利に500〜5000のポリスチレン、分子量Mw500〜5000のシロキサン、ポリ−n−ブチルアクリラート、例えばAcronal(R) A 150 F、セチルアルコール、ステアリルアルコール、パルミチルアルコール及び/又はベヘニルアルコールである。この疎水性の重合可能でない化合物は選択的に使用される。前記化合物は25℃及び1barで水溶性<0.1g/lを有する。前記化合物を使用する場合、前記化合物は、重合の際に使用されたモノマーに対して例えば1〜20、大抵は1〜10、有利に2〜6質量%の量で使用される。
【0040】
安定な水性ポリマー分散液を得るために、前記重合は場合によりなお付加的に保護コロイドの存在で実施することができる。これは、一般に500を上回る、有利に1000より高い平均分子量Mwを有する。保護コロイドの例は、ポリビニルアルコール、セルロース誘導体、例えばカルボキシメチルセルロース、ポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコール、酢酸ビニル及び/又はプロピオン酸ビニルのポリエチレングリコールへのグラフト重合体、片側又は両側がアルキル基、カルボキシル基又はアミノ基で末端封鎖されているポリエチレングリコール、ポリジアリルジメチルアンモニウムクロリド及び/又は多糖類、例えば水溶性デンプン、デンプン誘導体及びタンパク質である。このような生成物は、例えばRoempp, Chemie Lexikon第9版、第5巻、第3569頁又はHouben-Weyl, Methoden der organischen Chemie,第4版、第14/2巻、IV章Umwandlung von Cellulose und Staerke, E. Husemann及びR. Werner著,第862〜915頁及びUllmanns Encyklopaedia for Industrial Chemistry,第6版、第28巻、第533頁以降の多糖類(Polysaccharides)の項に記載されている。
【0041】
例えば全ての種類のデンプン、例えばアミロースもアミロペクチンも、天然デンプン、疎水性又は親水性に変性したデンプン、アニオン性デンプン、カチオン性に変性されたデンプン、分解されたデンプンが適していて、その際、デンプンの分解は例えば酸化、熱、加水分解又は酵素によって行うことができ、かつその際デンプンの分解には天然のデンプンも変性されたデンプンも使用することができる。他の適当な保護コロイドはデキストリン、架橋された水溶性デンプンであり、これらは水で膨潤可能である。
【0042】
有利に、保護コロイドとして、天然の水溶性デンプン(これは例えばデンプン蒸解を用いて水溶性の形に変換することがでる)、並びにアニオン性に変性されたデンプン、例えば酸化されたジャガイモデンプンが使用される。特に分子量低下にさらされたアニオン性に変性されたデンプンが有利である。この分子量低下は、有利に酵素により実施される。この分解されたデンプンの平均分子量Mwは、例えば500〜100000、有利に1000〜30000である。この分解されたデンプンは、例えば固有粘度[η]0.04〜0.5dl/gを有する。このようなデンプンは、例えばEP-B-0 257 412及びEP-B-0 276 770に記載されている。重合の際に保護コロイドを使用する場合には、使用された量は、例えば重合の際に使用したモノマーに対して0.5〜15、特に1〜10質量%である。
【0043】
ポリマーの特性を変性するために、重合を場合により少なくとも1種の重合調節剤の存在で実施することができる。重合調節剤の例は、結合した形で硫黄を有する有機化合物、例えばドデシルメルカプタン、チオグリコール、エチルチオエタノール、ジ−n−ブチルスルフィド、ジ−n−オクチルスルフィド、ジフェニルスルフィド、ジイソプロピルスルフィド、2−メルカプトエタノール、1,3−メルカプトプロパノール、3−メルカプトプロパン−1,2−ジオール、1,4−メルカプトブタノール、チオグリコール酸、3−メルカプトプロピオン酸、メルカプトコハク酸、チオ酢酸及びチオ尿素、アルデヒド、例えばホルムアルデヒド、アセトアルデヒド及びプロピオンアルデヒド、有機酸、例えばギ酸、ギ酸ナトリウム又はギ酸アンモニウム、アルコール、例えば特にイソプロパノール並びにリン化合物、例えば次亜リン酸ナトリウムである。重合の際に調節剤を使用する場合に、それぞれの使用される量は、例えば重合で使用されるモノマーに対して0.01〜5、有利に0.1〜1質量%である。重合調節剤と架橋剤とは、重合の際に一緒に使用することができる。
【0044】
このミニエマルションは、少なくとも1種のラジカル重合開始剤の存在で重合される。重合開始剤として、重合を引き起こすことができる全ての化合物が挙げられる。主に、これはペルオキシド、ヒドロペルオキシド、アゾ化合物及びレドックス触媒である。開始剤の例は、WO-A-99/40123,第32頁45行〜第34頁9行から推知することができる。この重合は、高エネルギー放射線、例えばUV放射線の作用によっても引き起こすことができる。この重合温度は、例えば0〜120℃であり、その際この重合は耐圧装置中で100℃を上回る温度で高めた圧力で行われる。大抵は、このミニエマルションは0〜95℃の温度範囲で重合される。
【0045】
この重合は、本発明の場合に、まず、重合区域中に存在するモノマーの最大50%だけが重合されるように実施される。この場合、乳化した粒子の表面に作用物質が移行する。おそらくは、作用物質と生成されるポリマーコアとの間で不相容性が生じるか、もしくは作用物質は生じるポリマー中でもしくはモノマー、オリゴマー及びポリマーからなる混合物中で溶解しない。重合する系に作用物質と生じるポリマーとの分離を行うことができる十分な時間を与えなければならないだけである。この重合は、作用物質が生じるポリマー粒子の表面に十分に又は完全に集合した後に初めて完結される。重合の間の試料の取り出しを用いて、作用物質と生成するポリマーとの分離を追跡することができる。この作用物質は、主にポリマー粒子の表面に残留するが、しかしながら重合条件に依存して場合により部分的に水相中へ入り込み、ポリマー粒子中でのドメインが形成されるか又は他のようにポリマー中で高濃度化されてもよい。
【0046】
例えば、有利にまず少なくとも1種の作用物質を含有するミニエマルションを、
(a) 水溶性>0.01g/l(25℃及び1barで)の少なくとも1種のエチレン性不飽和モノマーAと、場合により
(b) 水溶性<0.01g/l(25℃及び1barで)の少なくとも1種のエチレン性不飽和モノマーBと、場合により
(c) 少なくとも2つの二重結合を有する、少なくとも1種のエチレン性不飽和モノマーCと、
少なくとも1種の乳化剤と、水溶性<0.1g/l(25℃及び1barで)の疎水性有機化合物とから製造し、その際、前記作用物質は乳化工程の間又はその後でもミニエマルションに添加してもよく、前記ミニエマルションのモノマーを、高くても50%の転化率まで重合させ、引き続き分子中に少なくとも2つの二重結合を有する少なくとも1種のエチレン性不飽和モノマーCの水性マクロエマルションを供給し、かつこの重合を、生じるポリマー粒子の表面に作用物質が十分に集合した後に完結する。1種の架橋剤を使用する場合には、前記架橋剤をモノマー(a)及び(b)と一緒にミニエマルションに導入するか又は前記架橋剤を水に乳化させかつ前記架橋剤の水性エマルションを重合時に装入物として利用するか又はエマルション供給物としてバッチ式に又は連続式に供給してもよい。少なくとも2種の架橋剤を使用する場合には、前記架橋剤は混合物としても、相互に別個であるが同時に又は時間的にずらして供給してもよい。
【0047】
一般に、ミニエマルションの最大40質量%までを重合区域に装入し、次いで前記ミニエマルションの装入分を重合温度にまで加熱し、かつ装入されたモノマーの最大50%までが重合するのに十分な量の重合開始剤を添加し、次いで分子中に少なくとも2つの二重結合を有する少なくとも1種のエチレン性不飽和モノマーCの水性マクロエマルションを添加し、生じるポリマー粒子の表面に作用物質が十分に集合した後に、少なくとも1種の重合開始剤の更なる添加により重合を完結させる。
【0048】
有利に、少なくとも1種の作用物質を含有するミニエマルションは、最大で30質量%の量で、装入されたモノマーの5〜25%が重合するのに十分な量の重合開始剤と一緒に装入される。少なくとも1種の作用物質を含有するミニエマルションは、最大で25質量%の量で、装入されたモノマーの最大で15%が重合するのに十分な量の重合開始剤と一緒に装入される実施態様が特に有利である。
【0049】
本発明の他の実施態様の場合には、モノマー(a)と(b)とからなる装入された少なくとも1種の作用物質を含有するミニエマルションと、前記の装入されたモノマーの最大で25%を開始するために十分な重合開始剤とからなる重合温度に加熱された混合物に、前記ミニエマルションの残りの分と、モノマー(c)の水性混合物とを添加し、かつ添加された開始剤の重合による消費に応じてさらに重合開始剤を残りのモノマーの重合のために供給する。
【0050】
有利に、モノマーとして
(a) メチルメタクリラート、スチレン、酢酸ビニル、メチルアクリラート、アクリル酸及び/又はメタクリル酸と、
(b) ラウリルアクリラート、パルミチルアクリラート及び/又はステアリルアクリラートと、
(c) ブタンジオールジアクリラート、ジビニルベンゼン、ペンタエリトリットトリアクリラート及び/又はペンタエリトリットテトラアクリラートのグループが使用される。
【0051】
作用物質が分散されたポリマー粒子の表面に配置されている作用物質を含有する水性ポリマー分散液が得られる。この水性分散液の固体濃度は例えば10〜60、有利に20〜45質量%である。このような水性分散液から、水性の作用物質を含有するポリマー分散液の揮発性成分を蒸発させることにより作用物質を含有するポリマー粉末を得ることができる。粉末状の生成物を得るために、水性の作用物質を含有する分散液を有利に噴霧乾燥する。本発明による分散液及び前記分散液から得られたポリマー粉末は、作用物質をその表面に含有しているという利点を有する。前記作用物質は、従ってその適用のために特に有利に変性された形で存在する。この事実は、その表面にUV吸収剤、有利に4−n−オクチルオキシ−2−ヒドロキシ−ベンゾフェノンを含有するようなポリマー粉末に特に当てはまる。
【0052】
分散されたポリマー粒子の表面に作用物質を含有する前記した水性ポリマー分散液は、例えばUV線、酸素及び熱の作用に対するポリマーの安定化のために、化粧品及び医薬組成物中で、塗料層中で、紙、皮革及び織物の製造の際に、動物飼料用の調製物中で使用される。適用に依存して、本発明による分散液に、通常の添加剤、例えば消泡剤、増粘剤、殺生物剤、緩衝剤、不凍剤、脂肪及び/又は油を添加してもよい。本発明による分散液の適用は、主に分散液中に含まれる作用物質により決定される。例えば、UV吸収剤を含有する水性分散液又は前記分散液から得られた粉末は、化粧品中で又は、UV線の作用に対してポリマー、特にポリエチレン、ポリプロピレン、ポリビニルクロリド、ポリカーボネート、ポリアミド又はポリエステルのようなポリマーからなるシートの安定化のために使用される。UV線の作用に対するシートの安定化は、特に温室用に使用されるシートにとって重要である。シート分野での使用の他に、UV吸収剤を含有する本発明による生成物は、少なくとも1種の上記のポリマー、特にポリエチレン、ポリプロピレン、アクリルニトリル−ブタジエン−スチレン−重合体(ABS)及びPVCからなる任意の形状の成形品の安定化のためにも使用することができる。具体的な例は、窓枠用のPVCからなる異形材の安定化のための本発明の適用である。UV吸収剤を含有する水性分散液又は前記分散液から得られたポリマー粉末は、例えばポリマー用の安定剤、例えば酸化防止剤を含有する本発明による分散液と一緒に、ポリマー及び塗料層の安定化のために使用することもできる。
【0053】
本発明により得られる、アルケニルコハク酸無水物を含有する水性ポリマー分散液は、紙の製造の際に紙料に内部サイズ剤として添加される。本発明による方法により、C14〜C22−アルキルケテンダイマー、例えば他の前記した作用物質を<500nmの平均直径を有するポリマー粒子の表面に析出させることも可能であり、その際、同様に水性のアルキルジケテンを含有するポリマー分散液を生じ、これは紙用の内部サイズ剤又は表面サイズ剤として使用される。これは、紙の製造の際に紙料に添加するかもしくはフィルムプレス又はサイズプレス又はゲートロールで適用される。
【0054】
実施例
実施例中のパーセント表示は、質量パーセントを意味する。ミニエマルションの液滴サイズ及びミニエマルション重合により製造された水性ポリマー分散液の平均粒子サイズの測定は、エマルションの0.01質量%の試料に関してCoulter N4 Plus Particle Analyzersを用いて行った。
【0055】
分散されたポリマー粒子の平均粒子サイズは、水性分散液の0.01質量%の試料に関してCoulter LS 230を用いて測定した。
【0056】
実施例1
UV吸収剤モノマー溶液の製造
メチルメタクリラート156.7g、ステアリルアクリラート11.7g、アクリル酸7g及びブタンジオールジアクリラート11.7gからなる混合物中に、粉末状のUV吸収剤の4−n−オクチルオキシ−2−ヒドロキシ−ベンゾフェノン46.8gを室温で15分間で溶かした。
【0057】
ミニエマルションの製造
この溶液を、次いで撹拌しながら、水435.8g中の水性Steinapol NLS溶液(15%)3.5gからなる水溶液に導入した。マクロエマルションが得られ、これを次いで、APV-Gaulin高圧ホモジナイザーに3回通して約200nmの液滴サイズにした。こうして製造されたミニエマルションは貯蔵安定性であった。
【0058】
ミニエマルション重合
前記ミニエマルション161.5g(全体量の24%)を反応器中に装入し、80℃に加熱した。80℃で、次いでDissolvine E-Fe13の1%水溶液(鉄II塩溶液)0.7g及び2%の過硫酸ナトリウム水溶液9.35gを一度に添加した。その後に、ミニエマルション511.6g(全体量の76%)及び同時に別の供給路で2%の過硫酸ナトリウム水溶液112.2gをそれぞれ60分の間に添加した。
【0059】
エマルション重合
ミニエマルション重合に引き続き、メチルメタクリラート58.5g、ペンタエリトリットテトラアクリラート2.3g及び完全脱塩水30.4g中の15%のラウリル硫酸ナトリウム水溶液1.2gから構成された、撹拌したマクロエマルションを、ミニエマルション重合により得られた分散液中に60分間で添加しすることによりマクロエマルション重合を実施した。後重合のために、2%の過硫酸ナトリウム水溶液112.2gを60分間で添加し、引き続きこの反応混合物を室温で80℃で60分間撹拌し、次いで25℃に冷却し、500μm及び125μmのメッシュのスクリーンを介して濾過して、凝固物(7g)を除去した。ポリマー粒子の平均粒子直径62nmの水性ポリマー分散液が得られた。水性分散液の乾燥により得られた粉末状のポリマー粒子に関するElmi吸収が示すように、UV吸収剤がポリマー粒子を外皮状に包囲していた。
【0060】
実施例2
UV吸収剤モノマー溶液の製造
メチルメタクリラート156.7g、ステアリルアクリラート11.7g、アクリル酸7g及びブタンジオール−1,4−ジアクリラート11.7gからなる混合物中に、粉末状のUV吸収剤の4−n−オクチルオキシ−2−ヒドロキシ−ベンゾフェノン46.8gを室温で15分間で溶かした。
【0061】
ミニエマルションの製造
この溶液を、次いで撹拌しながら、水435.8g中の15%のラウリル硫酸ナトリウム水溶液3.5gからなる水溶液に導入した。マクロエマルションが得られ、これを次いで、APV-Gaulin高圧ホモジナイザーに3回通して200nmの液滴サイズにした。こうして得られたミニエマルションは貯蔵安定性であった。
【0062】
ミニエマルション重合
前記ミニエマルション161.5g(全体量の24%)を反応器中に装入し、80℃に加熱した。80℃で、Dissolvine E-Fe13の1%水溶液(鉄II塩溶液)0.7g及び2%の過硫酸ナトリウム水溶液9.35gを一度に添加した。次いで、なお残りの分のミニエマルション511.6g(全体量の76%)及び同時に別の供給路で2%の過硫酸ナトリウム水溶液112.2gをそれぞれ60分の間に添加した。
【0063】
エマルション重合
ミニエマルションと開始剤溶液との添加の完了直後に、この80℃に温めた水性分散液に、メチルメタクリラート58.5gと、ジビニルベンゼン2.3gと、完全脱塩水30.4g中の15%のラウリル硫酸ナトリウム水溶液1.2gとからなる撹拌したマクロエマルションを、60分間で添加した。
【0064】
後重合
前記反応混合物に、2%の過硫酸ナトリウム水溶液112.2gを60分間で添加した。その後、前記反応混合物をさらに80℃で60分間撹拌し、次いでこれを25℃に冷却し、500μm及び125μmのメッシュのスクリーンを介して濾過して、凝固物(7g)を除去した。ポリマー粒子の平均粒子直径64nmの水性ポリマー分散液が得られた。水性分散液の乾燥により得られた粉末状のポリマー粒子に関するElmi吸収が示すように、UV吸収剤がポリマー粒子を包囲していた。
【0065】
実施例3
UV吸収剤モノマー溶液の製造
メチルメタクリラート225.7g及びステアリルアクリラート11.9gからなる混合物中に、粉末状のUV吸収剤の4−n−オクチルオキシ−2−ヒドロキシ−ベンゾフェノン47.5gを室温で15分間で溶かした。
【0066】
ミニエマルションの製造
この溶液を、次いで、水626.4g中の15%のラウリル硫酸ナトリウム水溶液4.8gからなる水溶液に導入し、乳化させた。こうして製造されたマクロエマルションを、次いで、APV-Gaulin高圧ホモジナイザーに3回通して約200nmの液滴サイズにした。このミニエマルションは貯蔵安定性であった。
【0067】
架橋及び前重合
前記ミニエマルション219.8g(全体量の24%)を反応器中に装入し、80℃に加熱した。80℃で、Dissolvine E-Fe13の1%水溶液(鉄II塩溶液)0.7g及び5%の過硫酸ナトリウム水溶液2.9gを一度に添加した。引き続き、このミニエマルション(全体量の76%)696.3g及び同時に別個の供給路で、水23.8gとペンタエリトリットテトラアクリラート11.9gとからなる撹拌された混合物(エマルション)をそれぞれ60分間で添加した。その後、この反応混合物を80℃でさらに30分間撹拌した。この時間の後で、初めて約10%のモノマーが重合した。
【0068】
重合
モノマーをさらに重合させるために、80℃に加熱した反応混合物を60分間の期間にわたり、5%の過硫酸ナトリウム水溶液44.6gを添加し、この混合物を後重合のために引き続き80℃で60分間さらに撹拌し、次いでこれを25℃に冷却し、これを500μm及び125μmメッシュのスクリーンを介して濾過して、凝固物を除去した。
【0069】
ポリマー粒子の平均粒子直径61nmの水性ポリマー分散液が得られた。水性分散液の乾燥により得られた粉末状のポリマー粒子に関するElmi吸収が示すように、UV吸収剤がポリマー粒子を包囲していた。これは図1に明確に見ることができる。
【0070】
実施例4
UV吸収剤モノマー溶液の製造
メチルメタクリラート218.5g及びドデカヒドロナフタレン11.5gからなる混合物中に、Uvinul 3008(4−n−オクチルオキシ−2−ヒドロキシ−ベンゾフェノン)46gを室温で15分間で溶かした。
【0071】
ミニエマルションの製造
この溶液を、次いで完全脱塩水537.62g中の15%のラウリル硫酸ナトリウム水溶液4.6g中に導入し、乳化させた。こうして製造されたマクロエマルションを、次いでHilscher社のUltraschallfingerによる音波処理により200nmの液滴サイズにした。このミニエマルションは貯蔵安定性であった。
【0072】
ミニエマルション重合及びエマルション重合
前記ミニエマルション196.4g(全体量の24%)を反応器中に装入し、80℃に加熱した。次いで、80℃で2%の過硫酸ナトリウム水溶液6.9gを一度に添加した。引き続き、このミニエマルション(全体量の76%)621.9g及び同時に別個の供給路で、水23、ペンタエリトリットテトラアクリラート11.5gと、15%のラウリル硫酸ナトリウム水溶液1.15gとからなる撹拌された混合物(エマルション)をそれぞれ60分間で添加した。その後、この反応混合物を80℃でさらに30分間撹拌した。この時間の後で、初めて約10%のモノマーが重合した。
【0073】
重合を完結するために、80℃に加熱した反応混合物を60分間の期間にわたり、2%の過硫酸ナトリウム水溶液108.1gを添加し、この混合物を後重合のために引き続き80℃で60分間さらに撹拌し、次いでこれを25℃に冷却し、これを500μm及び125μmメッシュのスクリーンを介して濾過して、凝固物を除去した。
【0074】
ポリマー粒子の平均粒子直径492nmの水性ポリマー分散液が得られた。水性分散液の乾燥により得られた粉末状のポリマー粒子に関するElmi吸収が示すように、ほぼかなりの大きさ〜1μmまでの大きさの部分的に極めて不均一に形成された、乾燥工程の間にアグロメレーションする粒子が見られ、これは外皮の形でUV吸収剤を有し、コアは中にはほとんど有していなかった。
【0075】
実施例5
例3により製造された水性ポリマー分散液を粉末に乾燥させた。二軸押出機中で、引き続き200℃の温度で、ポリエチレン(Lupolen(R) 1840 D)96.88部に、前記分散液から得られた粉末3.12部を配合し、次いでこの顆粒を100μmの厚さを有するシートに加工した。このシートに関してまず200〜800nmのNull-UV-visスペクトルを測定した。このシートを、次いでISO 4892-2により耐候試験した。表中にそれぞれ記載した時間の後に、λmax265nmで透過率を測定した。その結果は表に記載されている。粉末の代わりに水性分散液を、水を蒸発させながら混練した場合にも、同様に結果が得られた。
【0076】
比較例1
実施例4を繰り返すが、実施例3により製造された水性分散液から得られた粉末の代わりに、ポリエチレン中にUV吸収剤4−n−オクチルオキシ−2−ヒドロキシ−ベンゾフェノン0.5%を混入し、これからシートを製造し、このシートを同様に、ISO 4892-2により耐候試験し、表中に記載された時間の後に透過率に関して試験した。
【表1】

【図面の簡単な説明】
【0077】
【図1】水性ポリマー分散液から水の留去により得られた粉末試料の断面の電子顕微鏡写真。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリマー粒子は、少なくとも1種のエチレン性不飽和モノマーから構成されたポリマーマトリックスをコアとして含有し、前記コアの表面に少なくとも部分的に作用物質が配置されていて、前記作用物質は粒子のポリマーマトリックスを形成するモノマー中に可溶性である、分散された粒子の平均粒子直径<500nmの、作用物質を含有する水性ポリマー分散液。
【請求項2】
作用物質が外皮として、ポリマー粒子のコアを包囲して配置されていることを特徴とする、請求項1記載の作用物質を含有する水性ポリマー分散液。
【請求項3】
作用物質の量は、ポリマーマトリックスに対して0.5〜50質量%であることを特徴とする、請求項1又は2記載の作用物質を含有する水性ポリマー分散液。
【請求項4】
作用物質は、UV吸収剤、有機着色剤、蛍光増白剤、有機ポリマー用の安定剤及び助剤、IR着色剤、難燃剤、アルケニルコハク酸無水物、医薬作用物質及び殺生物剤のグループから選択されることを特徴とする、請求項1から3までのいずれか1項記載の作用物質を含有する水性ポリマー分散液。
【請求項5】
分散された粒子のコアは、主に
(a) 水溶性>0.01g/l(25℃及び1barで)の、少なくとも1種のエチレン性不飽和モノマーAと、場合により
(b) 水溶性<0.01g/l(25℃及び1barで)の、少なくとも1種のエチレン性不飽和モノマーBと、場合により
(c) 少なくとも2つの二重結合を有する少なくとも1種のエチレン性不飽和モノマーとからなるポリマーから構成されていることを特徴とする、請求項1から4までのいずれか1項記載の作用物質を含有する水性ポリマー分散液。
【請求項6】
分散性ポリマー粒子は、重合により組み込まれた形で
(a) 少なくとも1種のモノマーA 50〜99.5質量%、
(b) 少なくとも1種のモノマーB 0.5〜50質量%、及び
(c) 少なくとも1種のモノマーC 0〜30質量%を含有することを特徴とする、請求項1から5までのいずれか1項記載の作用物質を含有する水性ポリマー分散液。
【請求項7】
分散したポリマー粒子は、
(a) メチルメタクリラート、スチレン、酢酸ビニル、メチルアクリラート、エチルメタクリラート、アクリル酸及び/又はメタクリル酸と、場合により
(b) ラウリルアクリラート、パルミチルアクリラート及び/又はステアリルアクリラートと、場合により
(c) ブタンジオールジアクリラート、ジビニルベンゼン、ペンタエリトリットトリアクリラート及び/又はペンタエリトリットテトラアクリラートとからなるポリマーから構成されていることを特徴とする、請求項1から6までのいずれか1項記載の作用物質を含有する水性ポリマー分散液。
【請求項8】
分散したポリマー粒子は、
(a) メチルメタクリラート、エチルメタクリラート及び/又はアクリル酸と、場合により
(b) ステアリルアクリラート及び/又はパルミチルアクリラートと、
(c) ブタンジオールジアクリラート、ペンタエリトリットテトラアクリラート及び/又はペンタエリトリットトリアクリラートとからなるポリマーから構成されていることを特徴とする、請求項1から7までのいずれか1項記載の作用物質を含有する水性ポリマー分散液。
【請求項9】
分散したポリマー粒子が、
(a) メチルメタクリラート又はメチルメタクリラート及びアクリル酸と、
(b) ステアリルアクリラートと
(c) ブタンジオールジアクリラート、ペンタエリトリットテトラアクリラート及び/又はペンタエリトリットトリアクリラートと
からなるポリマーから構成され、かつUV吸収剤、4−n−オクチルオキシ−2−ヒドロキシベンゾフェノンからなる外皮で包囲されていることを特徴とする、請求項1から6までのいずれか1項記載の作用物質としてUV吸収剤を含有する水性ポリマー分散液。
【請求項10】
エチレン性不飽和モノマーのミニエマルション重合による分散されたポリマーの平均粒子直径<500nmの、作用物質を含有する水性ポリマー分散液の製造方法において、エチレン性不飽和モノマーを少なくとも1種の作用物質及び界面活性剤の存在で水中に乳化させることにより乳化した液滴の平均粒子サイズ<500nmのミニエマルションを製造し、これを少なくとも1種のラジカル重合開始剤の存在で、まず重合区域中に存在するモノマーの最大で50%だけが重合するように重合させ、その際、乳化した粒子の表面に作用物質が移行し、生じたポリマー粒子の表面上に作用物質が十分に又は完全に集合した後に初めて前記重合を完結させることを特徴とする、作用物質を含有する水性ポリマー分散液の製造方法。
【請求項11】
まずミニエマルションを、少なくとも1種の作用物質を含有する
(a) 水溶性>0.01g/l(25℃及び1barで)の、少なくとも1種のエチレン性不飽和モノマーAと、場合により
(b) 水溶性<0.01g/l(25℃及び1barで)の、少なくとも1種のエチレン性不飽和モノマーBと、場合により
(c) 少なくとも2つの二重結合を有する、少なくとも1種のエチレン性不飽和モノマーCと、
少なくとも1種の乳化剤と、水溶性<0.1g/l(25℃及び1barで)の少なくとも1種の疎水性有機化合物とから製造し、前記ミニエマルションのモノマーを、高くても50%の転化率まで重合させ、引き続き分子中に少なくとも2つの二重結合を有する少なくとも1種のエチレン性不飽和モノマーCの水性マクロエマルションを添加し、かつこの重合を、生じるポリマー粒子の表面に作用物質が十分に集合した後に完結することを特徴とする、請求項10記載の方法。
【請求項12】
ミニエマルションの最大で40質量%までを重合区域に装入し、次いで前記ミニエマルションの装入分を重合温度にまで加熱し、装入されたモノマーの最大で50%が重合するのに十分な量の重合開始剤を添加し、次いで分子中に少なくとも2つの二重結合を有する少なくとも1種のエチレン性不飽和モノマーCの水性マクロエマルションを添加し、生じるポリマー粒子の表面に作用物質が十分に集合した後に、少なくとも1種の重合開始剤の更なる添加により重合を完結させることを特徴とする、請求項10又は11記載の方法。
【請求項13】
ミニエマルションを、最大で30質量%の量で、装入されたモノマーの5〜25%が重合するのに十分な量の重合開始剤と一緒に装入することを特徴とする、請求項12記載の方法。
【請求項14】
ミニエマルションを、最大で25質量%の量で、装入されたモノマーの最大で15%が重合するのに十分な量の重合開始剤と一緒に装入することを特徴とする、請求項12又は13記載の方法。
【請求項15】
モノマー(a)と場合により(b)とからなる装入された少なくとも1種の作用物質を含有するミニエマルションと、前記の装入されたモノマーの最大で25%を開始するために十分な重合開始剤とからなる、重合温度に加熱された混合物に、前記ミニエマルションの残りの分と、モノマー(c)の水性混合物とを供給し、かつ添加された開始剤の重合による消費に応じてさらに重合開始剤を残りのモノマーの重合のために供給することを特徴とする、請求項12から14までのいずれか1項記載の方法。
【請求項16】
モノマー(a)と場合により(b)とからなる装入された少なくとも1種の作用物質を含有するミニエマルションと、前記の装入されたモノマーの最大で15%を開始するために十分な重合開始剤とからなる、重合温度に加熱された混合物に、前記ミニエマルションの残りの分と、モノマー(c)の水性マクロエマルションとを供給し、かつ添加された開始剤の重合による消費に応じてさらに重合開始剤を残りのモノマーの重合のために供給することを特徴とする、請求項12から15までのいずれか1項記載の方法。
【請求項17】
モノマーとして
(a) メチルメタクリラート、スチレン、酢酸ビニル、メチルアクリラート、アクリル酸及び/又はメタクリル酸と、
(b) ラウリルアクリラート、パルミチルアクリラート及び/又はステアリルアクリラートと、
(c) ブタンジオールジアクリラート、ジビニルベンゼン、ペンタエリトリットトリアクリラート及び/又はペンタエリトリットテトラアクリラートのグループを使用することを特徴とする、請求項10から16までのいずれか1項記載の方法。
【請求項18】
請求項1から9までのいずれか1項記載の作用物質を含有する水性ポリマー分散液の揮発性成分の蒸発により得られる、作用物質を含有するポリマー粉末。
【請求項19】
作用物質として、UV吸収剤、有利に4−n−オクチルオキシ−2−ヒドロキシ−ベンゾフェノンを含有することを特徴とする、請求項18記載の作用物質を含有するポリマー粉末。
【請求項20】
UV線、酸素及び熱の作用に対するポリマーの安定化のための、化粧品及び医薬組成物中での、塗料層中での、紙、皮革及び織物の製造の際の、動物飼料用の調製物中での、請求項18又は19記載の作用物質を含有するポリマー粉末の使用。

【図1】
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【公表番号】特表2007−528926(P2007−528926A)
【公表日】平成19年10月18日(2007.10.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−502287(P2007−502287)
【出願日】平成17年3月9日(2005.3.9)
【国際出願番号】PCT/EP2005/002484
【国際公開番号】WO2005/087816
【国際公開日】平成17年9月22日(2005.9.22)
【出願人】(595123069)ビーエーエスエフ アクチェンゲゼルシャフト (847)
【氏名又は名称原語表記】BASF Aktiengesellschaft
【住所又は居所原語表記】D−67056 Ludwigshafen, Germany
【Fターム(参考)】