説明

併用療法

本発明は、モンテルカスト酸と、PDE−4阻害剤及び吸入コルチコステロイドから選択される第2の活性薬剤とを含む吸入組成物を提供する。また、このような組成物を用いて喘息などの呼吸器疾患を治療する方法も提供する。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
慢性喘息の治療においてよく用いられる主要な薬物のクラスとして、気管支拡張剤(β−アゴニスト、抗コリン薬)、コルチコステロイド、マスト細胞安定剤、ロイコトリエンモディファイヤー及びメチルキサンチンが挙げられる。これらの治療のほとんどは、エアロゾル化した形態又は粉末化した形態のいずれかで吸入経路によって患者に投与され、いくつかの最近導入された吸入製剤は、種々の治療薬クラスに由来する活性薬剤の組合せであり、ADVAIR及びSYMBICORTは両方とも、コルチコステロイド及び長期作用型β−アゴニストの組合せである。モンテルカストナトリウム(ロイコトリエンアンタゴニスト)は、SINGULAIR(登録商標)、即ち、喘息及びアレルギー性鼻炎の治療のために承認された製剤中の活性薬剤である。モンテルカストは、経口投与用の錠剤及び顆粒として入手可能であるが、吸入における活性成分の使用は、これまでに検討されてこなかった。
【発明の概要】
【0002】
発明の要旨
本発明は、吸入による投与のための組合せ製剤におけるモンテルカスト酸及び第2の活性薬剤を含む医薬製剤を提供する。また、このような吸入可能な組合せを用いる喘息の治療のための方法を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0003】
【図1】結晶性モンテルカスト酸のX線粉末回折パターンを示す図である。
【0004】
発明の詳細な記載
本発明は、吸入による同時、逐次又は別個の投与のための組合せ製剤として、モンテルカスト酸と、PDE−4阻害剤及び吸入コルチコステロイドから選択される第2の活性薬剤とを含む医薬製剤を提供する。
【0005】
一態様では、医薬製剤は、モンテルカスト酸及びPDE−4阻害剤N−シクロプロピル−1−[3−(1−オキシド−3−ピリジニルエチニル)フェニル]−1,4−ジヒドロ[1,8]−ナフチリジン−4−オン−3−カルボキサミド(本明細書において以下、化合物Xと呼ぶ)を含む。
【0006】
【化1】

【0007】
別の態様では、医薬製剤は、モンテルカスト酸及び吸入コルチコステロイドを含む。一実施形態では、吸入コルチコステロイドは、フロ酸モメタゾン及びシクレソニドから選択される。
【0008】
別の態様では、医薬製剤は、モンテルカスト酸と、PDE−4阻害剤及び吸入コルチコステロイドから選択される第2の活性薬剤とを含み、前記モンテルカスト酸及び前記第2の活性薬剤の少なくとも95パーセントが、10ミクロン以下の粒径を有する。本発明の医薬製剤は、加圧式定量噴霧式吸入器(pMDI)又はドライパウダー吸入器(DPI)のいずれかを用いて投薬されてもよい。
【0009】
本発明は、呼吸器疾患の治療のための吸入による投与用の組合せ製剤の製造における、モンテルカスト酸と、PDE−4阻害剤及び吸入コルチコステロイドから選択される第2の活性薬剤の使用をさらに提供する。
【0010】
本発明は、呼吸器疾患の治療方法であって、それを必要とする患者に、モンテルカスト酸の治療上有効な量と、PDE−4阻害剤及び吸入コルチコステロイドから選択される第2の活性薬剤の治療上有効な量とを、吸入によって同時、逐次又は別個に投与することを含む方法をさらに提供する。
【0011】
本発明は、上記の医薬製剤を含有するドライパウダー吸入器をさらに提供する。本発明は、上記の医薬製剤を含有する定量噴霧式吸入器をさらに提供する。
【0012】
本明細書において、用語「モンテルカスト酸」とは、図1に示されるX線粉末回折パターンを実質的に有する結晶性モンテルカスト酸を指す。用語「PDE−4阻害剤」とは、ホスホジエステラーゼ−4酵素の作用を阻害する化合物を指し、限定するものではないが、シロミラスト、ロフルミラスト及び化合物Xが挙げられる。化合物X、この化合物の使用及びその製造方法は、2003年3月6日に公開されたWO03/018579及び2004年6月10日に公開されたWO2004/048377に開示されている。「吸入コルチコステロイド」として、それだけには限らないが、デキサメタゾン、プロピオン酸フルチカゾン、ベクロメタゾン、ブデソニド、フルニソリド、フロ酸モメタゾン、シクレソニド及びトリアムシノロンアセトニド、並びに吸入コルチコステロイドと名づけられた各々の誘導体が挙げられ、好ましい吸入コルチコステロイドとして、製剤ASMANEX中の活性薬剤であるフロ酸モメタゾン及び製剤ALVESCO中の活性薬剤であるシクレソニドがある。
【0013】
本製剤のモンテルカスト酸及び第2の活性薬剤の重量比は、約10:1〜約1:10の範囲にある。化合物Xが第2の活性薬剤である製剤では、比は、通常、約5:1から約1:5の範囲内にある。フロ酸モメタゾンが第2の活性薬剤である製剤では、比は、通常、約5:1から1:5の範囲内にある。シクレソニドが第2の活性薬剤である製剤では、比は、通常、約10:1から約1:1の範囲内にある。
【0014】
一実施形態では、医薬製剤は、各作動時に定量の医薬を放出する加圧式定量噴霧式吸入器を用いて使用するのに適応している。pMDI用の製剤は、ハロゲン化炭化水素噴霧剤中の溶液又は懸濁液の形態であり得る。pMDIに用いられる噴射剤の種類は、クロロフルオロ炭素(フレオン又はCFCとしても知られる)の使用が、段階的に廃止されているので、ヒドロフルオロ炭素(HFC)としても知られるヒドロフルオロアルカン(HFA)に移行している。特に、1,1,1,2−テトラフルオロエタン(HFA134a)及び1,1,1,2,3,3,3−ヘプタフルオロプロパン(HFA227)が、いくつかの現在市販されている吸入医薬品で使用されている。組成物は、エタノール、オレイン酸、ポリビニルピロリドンなどといった吸入使用のためのその他の薬学的に許容される賦形剤を含んでもよい。
【0015】
加圧式MDIは、通常、2種の構成要素を有する。第1に、薬物粒子が、中に懸濁液又は溶液の形態で加圧下で貯蔵されているキャニスタ構成要素がある。第2に、キャニスタを保持し、作動させるために使用されるレセプタクル構成要素がある。通常、キャニスタは、複数用量の製剤を含むが、単回用量キャニスタを有することも同様に可能である。キャニスタ構成要素は、通常、そこからキャニスタの内容物が放出され得る吹き出し弁を含む。エアロゾル医薬は、キャニスタ構成要素に力を加えて、レセプタクル構成要素中に押し入れ、それによって、吹き出し弁を開け、医薬粒子が吹き出し弁からレセプタクル構成要素を通って運ばれ、レセプタクルの出口から放出されるようにすることによってpMDIから投薬される。医薬粒子は、キャニスタからの放出時に、「微粒化され」、エアロゾルを形成する。医薬粒子が、患者の呼吸の流れに取り込まれ、肺に運ばれるよう、患者が、エアロゾル化した医薬の放出を自身の吸入と合わせることが意図される。通常、pMDIは、噴霧剤を使用して、キャニスタの内容物を加圧し、レセプタクル構成要素の出口から医薬粒子を押し出す。pMDIでは、製剤は、液体又は懸濁液の形態で提供され、噴射剤とともに容器内に存在する。噴射剤は、種々の形態をとり得る。例えば、噴射剤は、圧縮ガス又は液化ガスを含み得る。
【0016】
別の実施形態では、医薬製剤は、ドライパウダー吸入器を用いて使用するのに適応している。DPIにおいて使用するのに適した吸入組成物は、通常、有効成分の粒子及び薬学的に許容される担体の粒子を含む。活性物質の粒径は、約0.1μm〜約10μmで変わり得るが、末梢の肺への送達に有効なためには、活性薬剤粒子の少なくとも95パーセントが、5μm以下である。各活性薬剤は、0.01〜99%の濃度で存在し得る。しかし、通常、各活性薬剤は、組成物の総重量の約0.05〜50%、より通常は、約0.2〜20%の濃度で存在する。
【0017】
上記のように、吸入可能粉末は、有効成分に加え、吸入のために許容される、任意の薬理学的に不活性の物質又はその物質の組合せからなるものであってもよい、薬学的に許容される担体を含むことが好ましい。担体粒子は、1種以上の結晶糖からなることが有利であり、担体粒子は、1種以上の糖アルコール又はポリオールからなるものであってもよい。担体粒子は、デキストロース又はラクトース、特に、ラクトースの粒子であることが好ましい。Rotohaler、Diskhaler及びTurbohalerなどの従来のドライパウダー吸入器を利用する本発明の実施形態では、担体粒子の粒径は、約10ミクロン〜約1000ミクロンの範囲であってもよい。これらの実施形態のうち特定のものでは、担体粒子の粒径は、約20ミクロン〜約120ミクロンの範囲であってもよい。特定のその他の実施形態では、少なくとも90重量%の担体粒子の大きさは、1000ミクロン未満であり、60ミクロンから1000ミクロンの間にあることが好ましい。比較的大きいサイズのこれらの担体粒子は、良好な流れ及びエントレインメント特徴を与える。担体粒子の量は、存在する場合には、通常、粉末の総重量に基づいて、最大95重量%、例えば、最大90重量%となり、最大80重量%が有利であり、最大50重量%が好ましい。任意の微細賦形剤物質の量は、存在する場合には、粉末の総重量に基づいて、最大50重量%であり得、最大30重量%、特に、最大20重量%が有利である。
【0018】
一実施形態では、本発明は、モンテルカスト酸及び化合物Xと、担体として吸入用ラクトースとを含む、ドライパウダー吸入器において使用するための組成物を提供し、前記組成物は、活性薬剤の同時、逐次又は別個の投与に適応している。ラクトース対モンテルカスト酸の重量比は、約1:1〜約30:1であり、ラクトース対化合物Xは、約20:1〜約30:1である。一例では、ラクトース対モンテルカスト酸の重量比は、約2:1〜約25:1であり、ラクトース対化合物Xは、約20:1〜約25:1である。
【0019】
一実施形態では、本発明は、モンテルカスト酸及び吸入コルチコステロイドと、担体として吸入用ラクトースとを含む、ドライパウダー吸入器において使用するための組成物を提供し、前記組成物は、活性薬剤の同時、逐次又は別個の投与に適応している。このような組成物では、ラクトース対モンテルカスト酸の重量比は、通常、約1:1〜約30:1である。吸入コルチコステロイドがフロ酸モメタゾンである組成物では、ラクトース対フロ酸モメタゾンの重量比は、約130:1〜約4:1であり、一実施形態では、比は、約124:1〜約60:1である。吸入コルチコステロイドがシクレソニドである組成物では、ラクトース対シクレソニドの重量比は、約350:1〜約100:1である。
【0020】
粉末はまた、例えば、担体物質と同程度に使用するのに適している、上記のものの1種などの物質、特に、デキストロース又はラクトースなどの結晶糖であってもよい賦形剤物質の微粒子を含んでもよい。微細賦形剤物質は、両方が存在する場合、担体粒子と同じ物質であっても異なる物質であってもよい。微細賦形剤物質の粒径は、通常、30μmを超えず、20μmを超えないことが好ましい。いくつかの状況、例えば、存在する任意の担体粒子及び/又は任意の微細賦形剤物質が、中咽頭領域における感覚を引き起こし得る物質のものである場合には、担体粒子及び/又は微細賦形剤物質は、指示物質を構成し得る。例えば、担体粒子及び/又は任意の微粒子賦形剤は、マンニトールを含んでもよい。
【0021】
本明細書に記載される製剤はまた、約0.1重量%〜約10重量%、好ましくは、約0.15重量%〜5重量%、最も好ましくは、約0.5重量%〜約2重量%の量の1種以上の添加剤を含んでもよい。添加剤は、例えば、ステアリン酸マグネシウム、ロイシン、レシチン及びフマル酸ステアリルナトリウムを含んでもよい。添加剤が、微粒子化ロイシン又はレシチンである場合には、約0.1重量%〜約10重量%、好ましくは、約0.5重量%〜約5重量%、好ましくは、約2重量%の量の微粒子化ロイシンが提供されることが好ましい。微粒子化ロイシンの少なくとも95重量%が、150ミクロン未満、好ましくは、100ミクロン未満、最も好ましくは、50ミクロン未満の粒径を有することが好ましい。微粒子化ロイシンの質量中央径は、10ミクロン未満であることが好ましい。
【0022】
ステアリン酸マグネシウム又はフマル酸ステアリルナトリウムが、添加剤として用いられる場合には、約0.05%〜約5%、好ましくは、約0.15%〜約2%、最も好ましくは、約0.25〜約0.5%の量で提供されることが好ましい。
【0023】
粉末の粒子の粒径について言及する場合には、反対に示されない限りは、粒径は、体積加重粒径であると理解されるべきである。粒径は、レーザー回折法によって算出されてもよい。粒子が、粒子の表面上に指示物質も含む場合には、被覆された粒子の粒径がまた、被覆されていない粒子について示される好ましいサイズ範囲内にあることが有利である。
【0024】
本発明に従うドライパウダー薬剤組成物は、標準法を用いて調製できる。薬学的に活性な薬剤、担体粒子及びその他の賦形剤は、ある場合には、任意の適したブレンド装置、例えば、タンブリングミキサーを用いて綿密に混合されてもよい。製剤の個々の成分は、任意の順序で混合してよい。個々の成分の予混合は、特定の状況で有利であるとわかる場合がある。次いで、ドライパウダー吸入器とともに使用するために、粉末混合物を用いて、カプセル、ブリスター、リザーバー又はその他の貯蔵装置に詰める。
【0025】
ドライパウダー吸入器では、投与されるべき用量は、非加圧乾燥粉末の形態で貯蔵され、吸入器の作動時に、粉末の粒子が患者によって吸入される。DPIは、粉末が個々のカプセル中に含まれる単位用量装置である場合も、複数のカプセル又はブリスターが用いられる複数単位用量である場合もあり、貯蔵容器からの投薬時に粉末が測定されるリザーバー装置である場合もある。ドライパウダー吸入器は、患者の呼吸を用いて肺への送達のために粉末を分散させる「受動」装置である場合も、呼吸作動以外の機構を用いて粉末を分散させる「能動」装置である場合もある。「受動」ドライパウダー吸入装置の例として、Spinhaler、Handihaler、Rotahaler、Diskhaler、Diskus、Turbuhaler、Clickhalerなどが挙げられる。能動吸入器の例として、Nektar Pulmonary Inhaler(Nektar Therapeutics)、Vectura Limited’s Aspirair(商標)装置、Microdose DPI(MicroDose)及びOriel DPI(Oriel)が挙げられる。しかし、当然のことながら、本発明の組成物は、受動又は能動吸入装置のいずれを用いて投与してもよい。
【0026】
本発明の別の態様は、呼吸器疾患の治療方法であって、それを必要とする患者に、モンテルカスト酸の治療上有効な量と、PDE−4阻害剤及び吸入コルチコステロイドから選択される第2の活性薬剤の治療上有効な量とを、吸入によって同時、逐次又は別個に投与することを含む治療方法を提供する。一実施形態では、呼吸器疾患は喘息である。別の実施形態では、第2の活性薬剤は、フロ酸モメタゾン又はシクレソニドであり、呼吸器疾患は喘息である。
【0027】
本発明の製剤は、喘息、COPD、肺繊維症、咳及びその他の肺の病態の治療に用いてよい。個々の活性薬剤の投与量は、通常、単一の治療薬として用いられるものであり、活性薬剤の組合せは、相乗的であり、活性薬剤の一方又は両方について低用量をもたらす場合もあり、投与の頻度の低減をもたらす場合もある。喘息の治療のためのモンテルカストナトリウムの経口用量は、小児患者の1日1回4mgから成人患者の1日1回10mgの範囲である。本発明の吸入組成物を用いて喘息を治療するためのモンテルカスト酸の用量は、経口用量以下であり得、1日あたり約100μg〜約10mgの範囲であり得、一実施形態では、用量は、1日あたり約200μg〜約5mgであり、別の実施形態では、用量は、1日あたり約250μg〜約2mgであり、別の実施形態では、用量は、1日あたり約600μg〜約4mgである。化合物Xの投与量は、WO03/018579及びWO2004/048377に開示されている。フロ酸モメタゾンの投与量は、1日あたり約220mcg〜約880mcgであり得、モンテルカスト酸と組み合わせて用いる場合には、より少ないものであり得、フロ酸モメタゾンの用量範囲の指導は、米国特許第5,889,015号に見ることができる。シクレソニドの投与量は、1日あたり約80〜約160mcgであり得、モンテルカスト酸と組み合わせて用いる場合には、より少ないものであり得、シクレソニドの投与量の範囲は、PCT公開出願WO2005025578に見ることができる。本発明の組合せは、1日あたり1回、2回又は3回投与してよく、各投与は、製剤、装置及び投与されるべき用量に応じて2回以上のパフを要してもよい。COPD、肺繊維症、咳及びその他のロイコトリエン媒介性の肺の病態を治療するための吸入用量は、喘息のために用いられるものと同様である。
【0028】
以下の実施例は、本発明を例示するために提示するものであって、決して、特許請求の範囲を限定しようとするものではない。
【実施例1】
【0029】
モンテルカスト酸
結晶性モンテルカスト酸の調製
モンテルカストナトリウム(100g、0.165mol)、トルエン(2.4L)及び水(1.6L)を入れた6Lのエルレンマイヤーフラスコに、酢酸(124ml、0.247mol)を加えた。このフラスコを、アルミホイルを用いて光から保護し、混合物をマグネチックスターバーを用いて10分間撹拌した。水層を分離し、有機層を水(3×1L)で洗浄した。有機層を、暗所で18時間撹拌した。得られた沈殿を濾過し、真空下、35℃で乾燥させると、62gの黄色固体が得られた。水性洗浄液をトルエン(1×800mL)で抽出することによって、14gの第2の生成物を回収した。第1の生成物をジェットミル処理すると、53gの物質が得られ、主に、<5ミクロンの不規則結晶を含み、いくらかの8×5ミクロンほどの大きさの矩形を含んでいた。この物質は、HPLCによって99.8%純粋であった。
【0030】
ドライパウダー吸入(DPI)製剤の調製
吸入等級ラクトース及びモンテルカスト酸を、Turbulaタンブリングミキサー(T2Fタイプ)中、32rpmで15分間ブレンドすることによって同じように2種の製剤を調製した。一方は、1gのスケールで、一方は、10gのスケールで4%モンテルカスト酸を含有する2種のブレンドを製造した。10gのスケールで20%モンテルカスト酸を含有する1種のブレンドを製造した。カプセルを、4%w/w薬物負荷については1mgの薬物、及び20%w/w薬物負荷については5mgに相当する25mgのブレンドで充填した。処方は表1に記載されている。
【0031】
【表1】

【0032】
ブレンド均一性
ブレンド均一性を評価するために、各ブレンドに由来するカプセルを開け、メタノールですすいだ。この溶液を、室温で5分間超音波処理し、3000rpmで15分間遠心分離し、次いで、346nmの波長でUV−VIS分光光度計を用いてアッセイした。
【0033】
4%w/w及び20%w/w薬物負荷のブレンドのブレンド均一性結果は、表2に要約されている。結果は、すべてのブレンドが均一であり、薬物含有量が名目上の用量の±10%内であったことを示す。4%w/wブレンドのブレンド均一性結果は、調製されたバッチサイズと無関係であった。
【0034】
【表2】

【0035】
用量均一性
用量均一性は、100L/分以下の流速で器具B(Dosage Unit Sampling Apparatus-DUSA)を用いて調べた(USP<601>に記載される試験)。現在のUSPは、吸入器中で4kPaの圧力低下を作り出す流速を選択することを推奨している。Spinhaler(登録商標)を用いて、4kPa圧力低下及び100L/分の流速は達成できなかった。Spinhaler(登録商標)は低抵抗装置であるので、Byronらの推奨[Hindle及びByron、Int.J.Pharmaceutics、116(1995年):169〜177頁]に基づいて、100L/分の流速が選択されるべきである。
【0036】
DUSA研究の間に、Spinhaler(登録商標)を用いて実施した第1の実験は、4kPa圧力低下及び約100L/分の流速を首尾よく達成し、比P3/P2<0.5(表3)であった。すべてのその後の実験については、約55L/分の流速しか達成できなかったが、比P3/P2>0.5であった。実施されたその後の実験が、100L/分未満の流速を有することを確実にするために、流量計を、流量制御器の吸気ポートに接続し、空気流速を約100L/分に調整した。上記のように空気流速を調整することによって、ポンプは、DUSA中に超音速気流を生じさせることができ、P3/P2の比<0.5であった。射出が送達された後、マウスピースアダプターをはじめとするDUSAすべての部品を、溶媒ですすぎ、適した容積に希釈し、超音波処理し、遠心分離した。吸入器中に保持されている薬物の量を調べるために、カプセルの内部を含めた吸入器のすべての部品を、溶媒ですすいだ。次いで、UV−VIS分光光度計を用いてサンプルをアッセイした。
【0037】
装置の作動による重量喪失を測定することによって射出重量を得た。装置の風袋の重さをはかり、「射出」がDUSA中で消費され、装置を再度秤量して、送達された射出重量を得た。用量及び射出重量は、理論値の75%〜125%内にある場合には許容範囲にあると見なされる(USP<601>)。
すべてのブレンドの用量均一性結果が表3に要約されている。
【0038】
【表3】

【0039】
表3は、4%w/wブレンド両方の射出重量が的確であったのに対し、20%w/wブレンドのカプセル剤Cの射出重量が理論値の75%及び125%の外側であったことを示す。DUSA及びDPI吸入器からの薬物の回収の際、粉末の一部が20%w/wブレンドのカプセル剤中に残存していることが観察された。少ない射出重量及びカプセル中に残存している粉末は、20%w/wブレンドは、4%w/wブレンドよりも多くの薬物を含んでいたという事実によって説明できる。これが、薬物負荷の高い製剤の低い流動性につながった可能性がある。この説明は、上記で論じられるように、薬物が凝集し、薬物とラクトース表面の間の相互作用を引き起こす傾向を有する20%w/wブレンドの形態学的観察によって支持され得る。Spinhaler(登録商標)を用いて実施したカプセル剤A及びB並びにHandihaler(登録商標)を用いて実施したカプセル剤C及びDの4%w/wブレンドについて測定される平均射出重量は、Spinhaler(登録商標)を用いて実施したカプセル剤A及びCの20%w/wブレンドの20.0mgと比較して、それぞれ24.8mg及び23.6mgであった。
【0040】
4%w/wブレンドのカプセル剤A及びB並びにC及びDのDUSAにおいて測定された薬物の平均量は、それぞれ、名目上の用量の38.5%及び54.5%であった。このデータはまた、カプセル剤から放出された薬物量は、Spinhaler(登録商標)について記載されたものよりもHandihaler(登録商標)を用いた場合に多かったことを示す。DUSAにおいて、20%w/wブレンドについて、パーセンテージでの回収された薬物の量(37.3%)は、4%w/wブレンドについて観察されたものに近かった。
【0041】
空気動力学的粒径分布
Andersen cascade impaction(ACI)(器具3)は、空気動力学的粒度分布を調べるために使用される装置であった。インパクションは、肺の肺胞領域へ到達する可能性を有するエアロゾルの画分のインビトロ測定値を提供した。この値は、プレート2より下で検出される粒子部分によって表される。インパクションは、USP<601>に記載される方法に従う流速及び試験時間で作動させた。上記で論じたように、Spinhaler(登録商標)は低抵抗装置であるので、4kPaの圧力低下を達成することが困難であり、流量制御の吸気口で空気流速の調整を実施した。各インパクションプレートは、シリコングリース(316Dow Corning)で被覆し、粒子がプレートを跳ね返って気流に戻るのを防いだ。試験流速が60L/分未満であったので、すべての段階を用いた。吸入器及びカプセル剤を含めたインパクションのすべての部品を、溶媒ですすぎ、適した容積に希釈し、超音波処理し、遠心分離し、UV−VIS分光光度計を用いてアッセイした。インビトロ微粒子画分及び微粒子質量によって呼吸域部分を定量した。用量均一性及びカスケードインパクション試験は、制御された温度(20〜25℃)及び湿度(50%RH)で実施した。
【0042】
3種のブレンドすべての空気動力学的粒径分布データは、表4に示されている。
【0043】
【表4】

【0044】
HandiHaler(登録商標)及びSpinhaler(登録商標)を用いて見られた平均微粒子画分は、4%w/wブレンドについて、それぞれ、30%及び29.5%であった。20%w/wブレンドについて、Spinhaler(登録商標)を用いて45.3%という平均微粒子画分が得られた。さらに、4%w/wブレンドについて、Handihaler(登録商標)及びSpinhaler(登録商標)を用いて実施した平均微粒子質量は、それぞれ、0.14±0.04mg及び0.06±0.04mgであった。20%w/wブレンドについて、0.45±0.4mgという微粒子質量が得られた。結果は、薬物は、HandiHaler(登録商標)を用いて実施した4%w/wブレンドにおいて最大程度に分散するということを示す。20%w/wブレンドについては、カプセル剤III/Fの放出された用量は極めて少なく、このことは、粉末がカプセル剤から、どういうわけか効率的に放出されなかったことを示す。カプセル剤の方向は、吸入器が発射される前にチェックした。したがって、第3の試験を、20%w/wブレンドのエアロゾル性能を確認するために開始した。カプセル剤III/Hについて得られたデータによって、20%w/w薬物負荷の微粒子画分は、Spinhaler(登録商標)を用いてACIが実施された場合には、4%w/wブレンドとほぼ等しいことが確認された。
【0045】
ブレンド特性決定/形態
ラクトースの走査電子顕微鏡写真(SEM)は、ラクトースが板状の形態を有することを示し、粒径は最大約140μmであり、凝集体は観察されなかった。4%微粒子化モンテルカスト酸及び96%ラクトースのブレンドについては、粒径が最大約10μmのモンテルカスト酸化合物に起因する小さな不規則な形の粒子が観察された。これらのSEM顕微鏡写真は、薬物が、ラクトース粒子の間に広く広がっていることを示す。20%微粒子化モンテルカスト酸及び80%ラクトースのブレンドについては、ブレンド中に、より多くの薬物粒子が観察された。薬物は、凝集する傾向を有すると思われ、薬物の一部分は、ラクトースの表面に蓄積すると思われる。この現象はまた、ブレンド4%w/wについても観察されるが、凝集の程度は、低い薬物負荷のためにあまり明らかではない。
【0046】
モンテルカスト酸DPI製剤のインビボ評価
アレルギーのヒツジモデルを用いて、アレルギーヒツジにおける回虫抗原投与に対する即時型喘息反応(EAR)、遅発型喘息反応(LAR)及び気道過敏性(AHR)反応に対する、吸入モンテルカスト酸の効果を試験した。化合物は、留置気管内チューブに直接取り付けたSpinhaler DPIを用いて肺中に直接投与した。Spinhalerに用いたカプセル剤は、約5mgの活性化合物に相当する、20%薬物/80%ラクトースの微粒子化ブレンドを含んでいた。化合物は、単回用量として、回虫抗原投与の30分前に投与した。送達を最適化するために、各Spinhaler作動を一連の呼吸周期と同期化した。
【0047】
吸入のための用量は、実施されたヒツジ研究において投与された総IV用量に基づいて選択した。3又は9カプセル剤の投与は、それぞれ、約0.1mg/kg及び0.3mg/kgの総吸入用量を達成するはずである。送達されるといわれる用量は、30%という実験により決定した微粒子画分効率に基づいた推定量である。血漿薬物レベルは、研究を通じて種々の時点で測定した。
【0048】
初期実験(n=2)は、0.1mg/kgのモンテルカスト酸を用いて実施した。この用量は、LAR及びAHRの部分阻害を引き起こしたが、EARは阻害しなかった。第2の一連の実験(n=4)は、0.3mg/kgのモンテルカスト酸を用いて実施した。3相の反応すべての著しい阻害が達成された。得られた結果は、表5に要約されている。
【0049】
【表5】

【実施例2】
【0050】
化合物X
化合物X説明
化合物Xの3種のジェットミル処理したサンプルから、X線粉末回折(XRPD)及び熱重量分析(TGA)を用いて、ジェットミル処理したサンプルは、ミル処理していないロットと同様の特性を有することが観察された。サンプルは、その結晶形態を保持していた。SEMによって、ジェットミル処理した薬物は、ミル処理していない薬物と比較して、粒径がより小さいが、針状の形態を維持していることが観察された。薬物粒径は、約2〜25μmの長さ及び約2μmの幅の範囲であり、直径最大50μmの凝集体を含んでいた。ジェットミル処理したロットの1種のみを、以下に記載した研究に用いた。ミル処理していない薬物とジェットミル処理した薬物の並べた比較が、表6に示されている。
【0051】
【表6】

【0052】
担体特性決定
化合物Xの担体として、3種の異なる等級のラクトースを調べた。調べた担体は、吸入用粉砕ラクトース、吸入用篩い分けラクトース及び吸入用顆粒化ラクトースであった。各担体を、Aerosizer(登録商標)LDを用いて幾何学的直径及びJSM−5900LV走査電子顕微鏡を用いて形態について特性決定し、担体流動挙動を評価し、担体指数(Carr’s index)の指数も得た。結果は、表7に要約されている。
【0053】
【表7】

【0054】
SEM顕微鏡写真から、顆粒化ラクトースは、粉砕又は篩い分けラクトースよりも大きな表面多孔性を有しているということが観察された。微粒子化薬物について針状粒子が観察され、これは、ミル処理していないGMPロットと同様であった。
【0055】
製剤
すべてのブレンドは、低剪断タンブリングブレンダー(TurbulaタイプT2F)において32rpmで15分間ブレンドすることによって同様に調製した。ブレンドは、4%APIを含んでおり、4mlガラス製琥珀色瓶において、1gのスケールで製造した(50%充填容量)。次いで、薬物1mgに相当する、ブレンド25mgを秤量して各カプセル剤に入れた(カプセルサイズ:2LLC白色不透明)。処方は表8に記載されている。
【0056】
【表8】

【0057】
ブレンド均一性
ブレンド均一性を評価するために、各ブレンドに由来する2個のカプセル剤を開け、溶媒ですすぎ、UV−Vis分光光度計を用いてアッセイした。DPI研究のために用いた溶媒は、メタノール及び水の60:40混合物であった。溶媒は、1000mlのバッチで調製した。400ミリリットルの水に、600ミリリットルのメタノールを加えた。次いで、この溶液を覆い、室温に放冷した。化合物Xを検出するために、UV−Vis分光光度計を用いて較正曲線を作成した。200〜400nm範囲では、化合物Xの最大吸光度は、257nmであるとわかった。
【0058】
製剤A、B及びCのブレンド均一性結果は、表9に要約されている。回収された薬物の量は、すべてのブレンドについて少ないことが観察された。さらに、カプセル剤A及びBにおける薬剤回収は、Cよりもかなり高かった。この可変性で、低い回収は、ブレンド均一性及び/又はサンプリング及び操作の際の分離の低さによるものであり得る。担体に頼らない、Spinhalerにおける化合物Xの挙動を観察するために、5mgの薬物のみを含むカプセル剤もまた調製した(表9)。
【0059】
【表9】

【0060】
用量均一性研究
器具B(Dosage Unit Sampling Apparatus-DUSA)を、100L/分の流速で用いて用量均一性を調べた(米国薬局方(USP)27第<601>章に記載される試験)。USPは、吸入器中で4kPaの圧力低下を作り出す流速を選択することを推奨している。Spinhalerを用いた場合、100L/分という最大流速でも4kPa圧力低下は達成できなかった。Spinhalerは低抵抗装置であるので、Byronらの推奨に基づいて、100L/分の流速を選択した。Michael Hindle及びPeter R.Byron、「Dose emissions from marketed dry powder inhalers」、International Journal of Pharmaceutics 116(1995年)169〜177頁参照のこと。試験は、4Lの空気を引き寄せるよう2.4秒間実施した。射出が送達された後、マウスピースアダプターをはじめとするDUSAのすべての部品を、溶媒ですすいだ。吸入器中に保持された薬物の量を調べるために、カプセル剤の内部を含めた吸入器のすべての部品を、溶媒ですすいだ。次いで、UV−Vis分光光度計を用いてサンプルをアッセイした。
【0061】
射出重量は、装置の作動による重量喪失を測定することによって得た。装置の風袋の重さをはかり、「射出」がDUSA中で消費され、装置を再度秤量して、送達された射出重量を得た。用量及び射出重量は、理論値の75%〜125%内にある場合に許容範囲にあると見なした(USP<601>)。
【0062】
製剤A、B及びCの用量均一性結果が表10に要約されている。製剤B及びCは、射出重量について的確であったが、製剤Aは、許容される射出重量の下限以下であり、これは、粉砕ラクトースの流動特性の低さに起因する可能性があるということが観察された。B及びCについて測定された平均射出重量は、Aの17.4±2.8mgと比較して、それぞれ、24.6±0.1mg及び24.6±0.5mgであった。
【0063】
【表10】

【0064】
すべての製剤について、用量重量は、1mgの標的値よりもかなり低かった。製剤A、B及びCについてDUSAにおいて測定された薬物の平均量は、それぞれ、名目上の用量の23%、28%及び16%であった。製剤Cについては、DUSAにおいて回収された薬物の低質量は、おそらくは、ブレンド均一性の問題の結果としての23%の総薬物回収に起因していた。ブレンド均一性の効果を除去するために、製剤A、B及びCの放出された用量を、系(DUSA+吸入器)中で回収された薬物の総量で除した、DUSA中で測定された薬物の量の点で比較する。したがって、製剤A、B及びCのDUSAにおいて測定された薬物の平均量は、総回収用量の25%、36%及び68%であった。担体を含まない薬物単独では、5mgの名目上の用量の約23%がDUSAにおいて回収され、これは、Spinhalerにおける薬物の流動性の低さを示す。製剤B及びCのみが、放出された用量の増大によって見られるように、吸入器から出た薬物粒子の流動を改善した。放出された用量は、製剤Cにおいてかなり高かった。1つの可能性ある説明として、顆粒化ラクトース(製剤C)が、粉砕ラクトース(製剤A)及び篩い分けラクトース(製剤B)よりもかなり多くの多孔性面を有しており、その結果、表面の割れ目及びくぼみ内での微細薬物粒子の捕捉による、より強い粒子間結合が得られたということがある。顆粒化ラクトースを用いて形成された、より強い粒子間相互作用によって、より多くの薬物がカプセル剤から引き出され、担体が、より少ない薬物を吸入器中に残してくることが可能となった。粉砕ラクトース(製剤A)及び篩い分けラクトース(製剤B)の表面は、より滑らかであり、このことが、薬物がラクトースと相互作用するのをより困難にした。粉砕ラクトースの表面特性に加え、担体の流動特性の低さが、製剤Aにおいて観察された放出された用量の低さの一因となった可能性がある。
【0065】
空気動力学的粒径分布
Andersen cascade impactor(器具3)が、空気動力学的粒度分布を調べるために使用された装置であった。インパクターは、肺の肺胞領域へ到達する可能性を有するエアロゾルの画分のインビトロ測定値を提供した。この値は、プレート2より下の粒子部分によって表される。インパクターは、USP27<601>に記載される方法に従って、100L/分で2.4秒間作動させた。各インパクタープレートは、シリコングリース(316Dow Corning)で被覆し、粒子がプレートを跳ね返って気流に戻るのを防いだ。試験流速が60L/分よりも高かったので、プレート6及び7は省いた。吸入器及びカプセル剤を含めたインパクターのすべての部品を、溶媒ですすぎ、UV−Vis分光光度計を用いてアッセイした。インビトロ微粒子画分及び微粒子質量によって呼吸域部分を定量した。用量均一性及びカスケードインパクション試験は、制御された温度(20〜25℃)及び湿度(35%RH)で実施した。
【0066】
製剤A、B及びCの空気動力学的粒径分布データは、表11に示されている。平均微粒子画分は、製剤A、B及びCについてそれぞれ54%、30%及び9%であった。さらに、平均微粒子質量は、A、B及びCについてそれぞれ、0.18±0.06mg、0.14±0.04mg及び0.02±0.01mgであった。これらの結果は、薬物が、製剤Aにおいて最大程度に、製剤Cにおいて最小に分散することを実証する。これまでに記載したように、これらの結果は、より高い表面多孔性のために製剤Cにおいて形成される、より大きい粒子間相互作用によって説明できる。
【0067】
担体を含まない5mgの薬物のみでは、65%の微粒子画分及び0.62±0.04mgの平均微粒子質量の最大の呼吸域部分が達成された。
【0068】
【表11】

【0069】
ブレンド脱塊ステップに関する調査
ブレンド均一性を改善しようとして、ブレンド脱塊ステップに関する調査を実施した。この研究のために2つの異なる脱塊法が検討された:粉砕及び幾何学的希釈。ブレンド脱塊は、異なるバッチサイズ(1g及び25g)の篩い分けラクトース及び薬物負荷(4%w/w及び10%w/w)を用いて調査した。処理条件は、表12に概説されている。
【0070】
【表12】

【0071】
ブレンドD(4%API)、F(4%API)及びG(10%API)は、それぞれ、1g、25g及び25gのスケールで粉砕ステップを用いて脱塊した。第1に、4ml又は4オンスのガラス琥珀色瓶(バッチサイズに応じて)に、篩い分けラクトース及び化合物Xを加え、約50%充填容量を達成した。次いで、ブレンドを、低剪断タンブリングブレンダーミキサーにおいて、32rpmで15分間混合した。ブレンドを、0.016”フラットスクリーン及び29rpmで四角の羽根車を用いてコミル(comill)に通した。次いで、脱塊したブレンドを、ミキサーにおいて32rpmで1〜2分間ブレンドした。4%製剤については、各カプセル剤に25mgのブレンドを秤量して入れて、カプセル剤あたり1mgの薬物を達成した。10%製剤については、各カプセル剤に10mgのブレンドを秤量して入れた。
【0072】
製剤E(4%API)は、25gのスケールで幾何学的希釈ステップを用いて調製した。薬物を、ラクトースの2つの層の間に挟み、低剪断力を用いて乳鉢及び乳棒中で注意深く粉砕した(triturated)。乳鉢の内容物を4オンスのガラス琥珀色瓶中に入れて空にし、ミキサーにおいて、32rpmで6分間混合した。次いで、各カプセル剤に1mgの薬物に相当する25mgのブレンドを秤量して入れた。
【0073】
ブレンド均一性を評価するために、各ブレンドに由来する2つのカプセル剤を開け、溶媒ですすぎ、UV−Vis分光光度計を用いてアッセイした。空気動力学的粒径も調べた。
【0074】
これらのアプローチの結果は、表13に要約されている。すべてのブレンドは均一であるが、製剤104の薬物回収は低く、これはスケーリングによるものである可能性があったということが観察された。1グラムのブレンドはコミル(comill)には少なすぎ、その結果、高い材料損失をもたらした(粉砕によってブレンドの24%が失われた)。バッチサイズを大きくすることによって、薬物回収が改善された。25gスケールでは、粉砕及び幾何学的希釈の両方とも、ブレンド均一性を改善した。
【0075】
【表13】

【0076】
用量均一性研究
用量均一性結果は、表14に要約されている。すべての製剤は、標的射出重量の75%〜125%内にあることが観察された。4%w/wブレンド104、114及び122の平均射出重量は、それぞれ、22.9±1.1mg、24.0±0.4mg及び23.1±0.7mgであった。10%製剤の射出重量は、標的値の85%でわずかに少なかった。この結果は、高い薬物負荷製剤の流動特性の低さによるものであり得る。化合物Xに関するその他の研究によって、薬物負荷が増大するにつれ、流動特性が低下することが示された。
【0077】
すべての製剤について、用量重量は、名目上の用量の75%〜125%の許容限界の外側であった。すべてのブレンドについて、DUSAにおける用量回収は、製剤Bと同様であった。製剤Eの放出された用量は、わずかに多かった。1つの可能性ある説明として、粉砕(trituration)の間に薬物と担体の間で、より強い粒子間相互作用が形成されたということがある。より強い付着によって、薬物が担体とともに吸入器を出ることが可能となる。
【0078】
【表14】

【0079】
空気動力学的粒径分布
Andersen cascade impactorによって作成した空気動力学的粒径データは、表15に示されている。ブレンド脱塊ステップを導入することによって、粉砕及び幾何学的希釈の両方とも、呼吸域部分(respirable portion)を減少させることが観察された。この結果は、粉砕及び/又は幾何学的希釈の結果として生じた、より多くの薬物/担体粒子間相互作用によって説明できる。薬物分散は、粉砕と比較して幾何学的希釈で少なかった。先に記載したように、この結果は、粉砕(trituration)の間に粒子にかかった、より大きな剪断力によって説明でき、これが薬物を担体粒子により接着させた。
【0080】
【表15】

【0081】
結論
4%w/w薬物負荷の種々の等級のラクトースを用いた化合物Xのエアロゾル性能に関する調査によって、篩い分けラクトースは3種の選択肢のうち最も適した担体であることが実証された。顆粒化ラクトースは、粉砕及び篩い分けラクトースと比較して、最も弱い薬物エアロゾル化を引き起こした。薬物分散は、粉砕ラクトースを用いた場合に最良であったが、担体の流動特性の低さが、可変性の射出重量をもたらした。篩い分けラクトースを選択したが、これは、微粒子質量が粉砕ラクトースと同様であり、篩い分けラクトースを用いた場合に、より良好な射出重量が達成されるからである。ブレンド均一性の問題には、すべての担体を用いて直面した。ブレンド脱塊ステップの導入は、ブレンド均一性を改善したが、呼吸域部分を減少させた。
【0082】
ブレンド調製の間に粉砕ステップを用いた、篩い分けラクトース中の4%w/w薬物負荷製剤は、優れた特性の組合せを有することがわかった。送達された射出重量は、標的の92%であり、26%というインビトロ微粒子画分及び34%という放出された用量であった。
【実施例3】
【0083】
モンテルカスト酸及び化合物X
以下のモンテルカスト酸及び化合物Xの製剤は、先の実施例において記載される方法に従って調製してよい:
【0084】
【化2】

【0085】
モンテルカスト酸及び化合物Xは両方とも、感湿性及び感光性であるとわかっている。この組合せ製剤のカプセル及び包装成分の選択は、湿度及び光の保護、並びに乾燥剤の付加を考慮すべきである。
【実施例4】
【0086】
モンテルカスト酸及びフロ酸モメタゾン
DPI製剤の調製
−予備ブレンド調製:まず、ステアリン酸マグネシウム(MgSt)を、300μmの開口ふるいを通して篩い分け、次いで、乳棒を用い乳鉢中で吸入用ラクトースとブレンドした。
【0087】
−製剤調製:フロ酸モメタゾンを乳鉢に移し、次いで、乳棒を用い、予備ブレンドしたラクトース及びMgStとともに穏やかにブレンドした。この3成分ブレンドを、乳鉢中でモンテルカスト酸と再度ブレンドし、次いで、残りの予備ブレンドしたラクトース及びMgStとブレンドした。最終ブレンドを300μmの開口ふるいを通して篩い分け、その後、Turbulaタンブリングミキサー(タイプT2F)において、32rpmで10分間ブレンドするためにamblerガラスバイアルに移した。
【0088】
製剤組成は、表16Aに示されている。
【0089】
【表16】

【0090】
ブレンド均一性
ブレンド均一性を評価するために、ブレンドをガラスバイアルから無作為にサンプリングした。実施例1のブレンド均一性の節に記載されるものと類似のように、薬物を抽出した。しかし、モンテルカスト酸及びフロ酸モメタゾンの含量は、50℃という制御された温度、流速2ml/分の、移動相としての0.2%トリフルオロ酢酸(TFA)を含有する水と、0.2%TFAを含有するアセトニトリルの混合物(53:47)及び248nmでのUV検出を用い、フェニルカラムを使用する高性能液体クロマトグラフィー(HPLC)によって分析した。
【0091】
ブレンド均一性結果は、表16Bに要約されている。結果は、ブレンドは均一であり、薬物含量は名目上の用量の±10%内であったことを示す。
【0092】
【表17】

【0093】
用量均一性
用量均一性(DU)は、実施例1の用量均一性の節に記載されるものと同様であるSpinhaler(登録商標)装置を用いDUSA器具Bを使用してUSP第<601>章に従って実施した。しかし、薬物の含量は、この実施例のブレンド均一性に記載されるようにHPLCを使用して分析した。
【0094】
用量均一性結果は、表16Cに要約されている。結果は、Spinhaler(登録商標)は、モンテルカスト酸及びフロ酸モメタゾンについて、それぞれ名目上の用量に基づいて49.3%及び55.5%という用量均一性を与えたことを示している。低抵抗Spinhaler(登録商標)装置を用いて得られた用量均一性は、許容され、60%〜100%の範囲である著名な製品について報告される用量均一性に匹敵すると考えられる。
【0095】
【表18】

【0096】
空気動力学的粒径分布
空気動力学的粒径分布は、USP第<601>章に従って、実施例1の空気動力学的粒径分布の節に記載されるものと類似のSpinhaler(登録商標)装置を用い、ACI器具3を使用することによって実施した。しかし、薬物の含量は、この実施例中のブレンド均一性に記載されるように、HPLCを用いて分析した。空気動力学的粒径分布結果は、表16D、16DA及び16DBに示されている。
【0097】
表16DA及び16DBは、Spinhaler(登録商標)は、モンテルカスト酸について、29%というFPF及び、4.5μmという空気動力学的中央粒子径(MMAD)並びにフロ酸モメタゾンについて、22%というFPF及びMMAD4.0μmを与えたことを示す。低抵抗Spinhaler(登録商標)装置を用いて得られたFPFは、許容され、20%〜30%の範囲である著名な製品について報告される用量均一性に匹敵すると考えられる。
【0098】
【表19】

【0099】
【表20】

【0100】
【表21】

【実施例5】
【0101】
モンテルカスト酸及びシクレソニド
DPI製剤の調製
製剤は、フロ酸モメタゾンをシクレソニドと置き換え、それに応じて賦形剤を調整した点を除いて実施例4に記載されるものと同様の方法で調製した。最終製剤組成は、表17Aに示されている。
【0102】
【表22】

【0103】
ブレンド均一性
ブレンド均一性は、モンテルカスト酸及びシクレソニドの含量を分析した点を除いて、実施例4中のブレンド均一性の節に記載されるものと同様の方法で、50℃という制御された温度、流速2ml/分の、0.2%トリフルオロ酢酸(TFA)を含有する水と、0.2%TFAを含有するアセトニトリルの混合物(40:60)及び248nmでのUV検出を用い、フェニルカラムを使用する高性能液体クロマトグラフィー(HPLC)によって評価した。
【0104】
ブレンド均一性結果は、表17Bに要約されている。結果は、ブレンドは均一であり、薬物含量は名目上の用量の±10%内であったことを示す。
【0105】
【表23】

【0106】
用量均一性
用量均一性は、この実施例中のブレンド均一性に記載されるように、HPLCを使用して薬物の含量を分析した点を除いて、実施例4中の用量均一性の節に記載されるものと類似の方法で、Spinhaler(登録商標)装置を用い、DUSA器具Bを使用することによって、USP第<601>章に従って実施した。
【0107】
用量均一性結果は、表17Cに要約されている。結果は、Spinhaler(登録商標)は、モンテルカスト酸及びシクレソニドについて、それぞれ、名目上の用量に基づいて47.8%及び61.7%の用量均一性を与えたことを示す。低抵抗Spinhaler(登録商標)装置を用いて得られた用量均一性は、許容され、60%〜100%の範囲である著名な製品について報告される用量均一性に匹敵すると考えられる。
【0108】
【表24】

【0109】
空気動力学的粒径分布
空気動力学的粒径分布は、USP第<601>章に従って、実施例4中の空気動力学的粒径分布の節に記載されるものと類似の方法で、Spinhaler(登録商標)装置を用い、ACI器具3を使用することによって実施した。薬物の含量は、この実施例中のブレンド均一性に記載されるように分析した。空気動力学的粒径分布結果は、表17D、17DA、17DBに示されている。
【0110】
表17DA及び17DBは、Spinhaler(登録商標)は、モンテルカスト酸について、38%というFPF及び3.9μmという空気動力学的中央粒子径(MMAD)並びにシクレソニドについて、31%というFPF及びMMAD3.7μmを与えたということを示す。低抵抗Spinhaler(登録商標)装置を用いて得られたFPFは、許容され、20%〜30%の範囲である著名な製品について報告される用量均一性に匹敵すると考えられる。
【0111】
【表25】

【0112】
【表26】

【0113】
【表27】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸入による同時、逐次又は別個の投与のための組合せ製剤としての、モンテルカスト酸と、PDE−4阻害剤及び吸入コルチコステロイドから選択される第2の活性薬剤とを含む医薬製剤。
【請求項2】
前記第2の活性薬剤が、次式:
【化1】

を有する化合物Xである、請求項1に記載の製剤。
【請求項3】
前記第2の活性薬剤が、フロ酸モメタゾンである、請求項1に記載の製剤。
【請求項4】
ドライパウダー吸入器又は定量噴霧式吸入器における使用に適応している、請求項1に記載の製剤。
【請求項5】
ドライパウダー吸入器又は定量噴霧式吸入器における使用に適応している、請求項2に記載の製剤。
【請求項6】
ドライパウダー吸入器又は定量噴霧式吸入器における使用に適応している、請求項3に記載の製剤。
【請求項7】
呼吸器疾患の治療のための医薬の製造のための、モンテルカスト酸と、PDE−4阻害剤及び吸入コルチコステロイドから選択される第2の活性薬剤との使用。
【請求項8】
前記第2の活性薬剤が、化合物Xである、請求項7に記載の使用。
【請求項9】
前記第2の活性薬剤が、フロ酸モメタゾンである、請求項7に記載の使用。
【請求項10】
前記第2の活性薬剤が、シクレソニドである、請求項7に記載の使用。
【請求項11】
呼吸器疾患の治療方法であって、呼吸器疾患の治療を必要とする患者に、モンテルカスト酸の治療上有効な量と、PDE−4阻害剤及び吸入コルチコステロイドから選択される第2の活性薬剤の治療上有効な量とを、吸入によって同時、逐次又は別個に投与することを含む方法。
【請求項12】
前記第2の活性薬剤が、化合物Xである、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記第2の活性薬剤が、フロ酸モメタゾンである、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
前記第2の活性薬剤が、シクレソニドである、請求項11に記載の方法。
【請求項15】
前記呼吸器疾患が喘息である、請求項11に記載の方法。
【請求項16】
請求項1に記載の医薬製剤を含むドライパウダー吸入器。
【請求項17】
請求項1に記載の医薬製剤を含む定量噴霧式吸入器。

【図1】
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【公表番号】特表2011−500731(P2011−500731A)
【公表日】平成23年1月6日(2011.1.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−530233(P2010−530233)
【出願日】平成20年10月23日(2008.10.23)
【国際出願番号】PCT/CA2008/001874
【国際公開番号】WO2009/052624
【国際公開日】平成21年4月30日(2009.4.30)
【出願人】(305042057)メルク フロスト カナダ リミテツド (99)
【Fターム(参考)】