説明

使い捨て可能で両端が尖った注射針

【課題】皮下注射のため、短くて細い、使い捨て可能で両端が尖った注射針を提供する。
【解決手段】使い捨て可能で両端が尖った注射針は小さいニードルカニューレ1が永久的に固定されるニードルハブ4を有し、ニードルハブ4は投与量設定及び注射機構と、人体中に皮下注射される薬液を収容するカートリッジとを有するシリンジ上に装着され得る。ニードルハブ4には、ニードルハブ4の外面上をガイドされる安全シールド10が装着される。安全シールド10は、ニードルハブ4と安全シールド10との間に位置されたばね21によってニードルハブ4から離れるような方向へ付勢される。安全シールド10は、ニードルハブ4の外面上のガイドトラック18内をガイドされる複数の突出部を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、皮膚に刺さる端部を有する注射部と、皮下注射される薬液を収容するカートリッジ中に挿入するためのカートリッジ部分とを有する、使い捨て可能で両端が尖った注射針に関する。注射針のカニューレが、シリンジに装着するためのニードルハブ中に装着されており、シリンジは、注射針のカートリッジ部分が中に貫通される(penetrate)カートリッジを支持している。
【背景技術】
【0002】
液体が人体中に射出される注射は、通常は、筋肉への注射、即ち、筋組織中への注射か、皮下注射、即ち皮膚と筋組織との間に存在する皮下組織中への注射のいずれかとして、行われる。
【0003】
筋肉へワクチンの注射を行う際には、非特許文献1、p931によると、赤みや腫れのような局所的な反作用を回避するために長い注射針を使用することが重要だとされている。この文献によれば、25mmの長さを有する注射針の使用が、16mmの長さを有する注射針と比較して、局所的な反応の比率を著しく減じた。
【0004】
長い注射針は、注射中に折れないように比較的大きな直径を有さなくてはならない。上記の文献で説明された注射針は、25mmの長さの注射針の場合には直径23Gを有し、16mmの長さの注射針の場合には直径25Gを有する。
【0005】
注射針の外径は、“G”とニードルが細くなるにつれて大きくなる規格番号(gauge number)とによって示される。かくして、G23の外径は、0、60mmであり、G25の外径は、0、50mmである。
【0006】
数年間、偶発的な針の刺し傷を防ぐために安全保護装置を有する長い注射針を提供することが公知だった。このような安全保護装置は、例えば特許文献1、特許文献2によって公知である。これら公知の安全保護装置は、複数の望遠スリーブ(telescope sleeve)を有し、これら複数の望遠スリーブは、使用されていないときは望遠スリーブで覆われている注射針を露出するように互いの中に摺動する。使用される注射針は、皮膚に刺さる端部とは反対側に、注射針を通常の皮下注射用シリンジと接続するためのニードルコネクタを有する。“通常の皮下注射用シリンジ(ordinary hypodermic sylinge)”という表現によって、注射される薬剤がバイアル(vial)からシリンジ中へと各注射前に取り込まれるタイプのシリンジが意味される。実際の使用では、このような通常の皮下注射用シリンジを用いる場合、薬剤は、各注射ごとに二度注射針を流れなくてはいけないが、長い注射針の大きな直径及び大きな孔によって、目詰まりが問題となることはない。
【0007】
特許文献3は、安全保護スリーブを有し、この安全保護スリーブがニードルカニューレの注射部を覆う位置へと動かされ得る、更に長い注射針を開示している。特許文献3の図1に見られるように、ニードルカニューレの注射部は、少なくとも1つのディスク21によってニードルカニューレを支持する必要を生じる長さを有する。シリンジは、注射される薬物を収容するフラスコを装填されている。シリンジがインシュリン注射ペン(insulin injection pen)として公知の物品のような投与量設定及び注射機構を有していないことから、フラスコの全内容物が、一回の注射で患者に射出される。これは、歯科で麻酔を注射するときの通常の処置である。図2、3に示されている実施形態を用いると、使用者は、第1のトラック23から第2のトラック24へと突出部26を動かすために、使用後にシールドを手動で回転しなくてはならない。そうすることによって、汚れたニードルカニューレが患者の体から引き抜かれた後に回転させなくてはならないので、使用者は大きな危険に晒される。
【0008】
安全保護スリーブを有する長い注射針が提供された場合、長さと直径との間の関係が望ましくない針の破損を防ぐために十分である限り、注射針の長さには制限がない。筋組織は、通常、人体中の、皮膚の表面下ほぼ10乃至14mm下に位置されている。かくして、長い注射針の人体に入る部分は、人体の筋組織中に到達するためには、少なくとも14mmはなくてはならない。先行技術の注射針に見られるように、ニードルカニューレの、ニードルコネクタ内の装着ポイントから皮膚に刺さる端部までの長さは、ニードルカニューレの注射中に人体に入る部分よりも実質的に長い。しかし、これは、針が破損に耐えるために十分に大きな直径を有することから、問題を生じない。
【0009】
しかし、幾つかの薬剤は、皮下に、即ち、横たわる筋肉を覆う筋肉膜組織と皮膚との間に位置する皮下部分に注射されなくてはならない。糖尿病を治療するための代用(for instead)インシュリンが筋組織中に注射される場合、このインシュリンは、体内に吸収され、急速かつ望ましくない血糖値の低下(drop)を引き起こす可能性がある。インシュリンが筋肉へ注射されるのを回避するために、糖尿病を患っている人が持上げられた皮膚の襞(lifted skin fold)に注射することは極めて一般的である。しかし、糖尿病の患者は、極めて短い針を用いて、皮膚の襞でなく90°の角度で直接的に注射することができるならそちらをより好むだろう。極めて短い針は、筋肉への注射を回避するために十分に短い、ニードルカニューレの注射部の全体の長さを有しなくてはならない。このような極めて短い針は、例えば特許文献4によって公知である。この特許は、4乃至6mmの間に位置する注射部の全長を有する注射針を開示している。
【0010】
非常に短い注射針は、長い注射針と同程度の損傷に晒されず、かくして、より小さな直径を有するように形成され得る。特許文献5は、8乃至12mmの間の長さの注射部を有する、インシュリンを注射するための短い注射針を明らかにしている。ニードルカニューレの直径は、G29より小さい。このような短くて細い針は、各注射ごとに薬剤が二回ニードルを通って流れる必要があり、特に薬剤が縣濁液である場合に注射針の孔の目詰まりを生じやすいことから、各注射前に薬剤がバイアルから取り込まれる通常の皮下注射用シリンジと共に使用できない。しかしながら、短く細い針が、注射される薬剤を収容するカートリッジを支持するシリンジと共に使用されるとき、薬剤は、注射針を通って一度流れなくてはならないだけであり、それ自体でも(in itself)目詰まりの危険が半減されるので、非常に短い注射針の使用が可能にされる。また、注射針が内側と外側との両方で小さい径のみを有するときは、液体が注射針の孔を通るように強制するために必要となる圧力は、注射針が長いときには高く、注射針が短いときには実質的に小さい。
【0011】
しかし、先行技術で公知の安全保護スリーブは、注射針の注射部の大部分を永久的にカバーして、短い注射針が、通常は2乃至3mmの厚さを有する皮膚の層を貫通し、人体の皮下層中へ入るのを防止しているけれども、これら公知の短く細い注射針には、いかなる安全保護装置も設けられていない。比較的小さい直径を有し、ニードルカニューレの注射部の長さが4乃至12mmである注射針は、多くは、自分によるインシュリンの注射のために、即ち、患者が自分自身に注射するために使用されている。しかし、プライベートな状況で行われる自分による注射(self-injection in private settings)の場合には、偶発的な針の刺し傷に備えて安全を提供する安全保護装置は、自分で注射を行う患者の近くにいる人が注射針に接触しないことから、重要と考えられていない。しかし、偶発的な針の刺し傷に備えて安全を提供する安全保護装置は、他の人、特に子供が家庭の住居内で一緒にいる場合の家庭の住居において好ましい。
【0012】
しかし、多くの人々が注射針を使用するために交流する病院のような状況では、注射針に、偶発的な針の刺し傷を防ぐために何らかの安全保護装置を設けることが、非常に重要である。安全保護装置が設けられた全ての先行技術の注射針は、筋肉への注射のための長い注射針であった。これらの長い注射針は、多くは、各注射ごとに薬剤が針の孔を通って2度流れなくてはならず、かくして、孔の最小限の直径と注射針の外径とが制限されている伝統的な皮下注射において使用されるタイプのものである。糖尿病を患う入院患者は、通常は、比較的大きな外径を有するこれらの長い注射針を用いて注射される。また、これは、老人ホームの住民の場合、学校や昼間保育施設内の子供にも、あてはまる。実際に、インシュリンの注射がプロの医療従事者によって行われるあらゆる場所で、長い注射針が、これが医療従事者に十分な安全を与える唯一のものであることから、必要とされている。長い針を用いて注射を行う医療従事者は、インシュリンが人体中に的確に吸収されるように皮下層中のみに浸透されるように非常に慎重にならなくてはいけない。また、長い注射針の大きな直径は、患者に大きな痛みを知覚させる。医療従事者がインシュリンを注射する際にどんなに慎重であろうとも、インシュリンは、インシュリンの吸収後の変化と糖尿病の制御とによって、時として、意図されずに筋組織中に注射される。新たに糖尿病と診断され、自分で注射するのに慣れていない患者の多くは、大きな直径を有する長い注射針を非常に威圧的に感じるだろう。これは、子供の場合も同様である。また、大きな直径を有する針は、細い針よりも皮膚を傷つける傾向がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】EP409.180号
【特許文献2】US4.813.940号
【特許文献3】US5.429.612号
【特許文献4】WO97.23253号
【特許文献5】WO93.00948号
【非特許文献】
【0014】
【非特許文献1】British Medical Journal、volume321
【発明の概要】
【0015】
本発明の目的は、先行技術の欠点を克服した、皮下注射のための、短くて細い、使い捨て可能で両端が尖った注射針を提供することである。更なる目的は、偶発的な針の刺し傷を防ぐための安全保護装置が設けられ、短くて細い、使い捨て可能で両端が尖った注射針を提供することである。この注射針は、薬液を収容するカートリッジを支持する最近のタイプのシリンジにおいても使用され得る。
【0016】
これは、請求項1に係わる、使い捨て可能で両端が尖った注射針によって果たされる。
【0017】
短くて細い注射針には、注射中に注射針の通常の使用を可能にする移動可能な針保護装置が設けられている。この移動可能な針保護装置は、注射が一度行われると、手動でもしくは自動的に、移動可能な針保護装置がニードルカニューレの皮膚に刺さる端部を覆う位置へと不可逆的な方法で変位され得る。カニューレの皮膚に刺さる端部が覆われているとき、注射針はシリンジから取り外すことができ、注射を行う人及び使用された注射針を処理する人を危険に晒さないようにされている。ニードルカニューレの注射部は、ニードルカニューレのカートリッジ部分が注射針を取り扱う人の皮膚を偶然に刺さ(penetrate)ないように防ぐハブによって、永久的に覆われている。
【0018】
従って、糖尿病もしくは同様の病気を患う入院患者には、注射中に人体の皮下層中にのみ貫通し、同時に、偶然に針が刺さるようなことに備えて十分な保護を与える、使い捨て可能で両端が尖った注射針が提供される。これは、長い注射針を用いて注射が行われているときに生じる貫通の深さの変動(variation)によって、患者を安心させ、同時に、医療従事者のための安全を提供する。使い捨て可能で両端が尖った注射針は、短くて細く、痛みは非常に小さくしか感知されない。
【0019】
特に子供が注射針の外観に非常に敏感であることから、注射前にはニードルカニューレの注射部の主要部が安全シールドの境界内に隠され、短く、使い捨て可能かつ両端が尖った注射針は、子供が、インシュリンもしくは成長ホルモンなどの薬液の日々の注射が必要であるという事実を、心理的に容易に受け入れられるようにする。
【0020】
請求項2に開示されているように、移動可能な針保護装置は、ニードルカニューレが使用されていない状態のときにニードルカニューレの注射部の少なくとも主要部を囲むシリンダー形状の安全シールドであり、このシリンダー形状の安全シールドは、カニューレの注射部が人体の皮下層へ貫通されるとまず基端の方向へ動かされるようにニードルカニューレに対して長手方向に動かされることができ、よって注射部の主要部は人体に対して露出され、また、この安全シールドが、カニューレの注射部が人体の皮下層から引きぬかれたときカニューレがこの安全シールドによって十分に囲まれるまで先端方向へ自動的に動くとき、ニードルカニューレ全体の注射部が注射中は常にしっかりと覆われることが、確実にされる。
【0021】
本発明に係わる使い捨て可能で両端が尖った注射針の好ましい実施形態では、安全シールドが、カニューレの注射部が人体の皮下層から引き抜かれたときに、ヘリカルばねのような弾性部材によって先端の方向へ自動的に動かされる。この弾性部材は、ニードルハブと安全シールドとの間に配置されており、カニューレの注射部が人体の皮下層中に貫通されているときには締められる(tighten)。ばねもしくは他の弾性部材によるこのような自動的な運動が、シールドが、これのカバーがニードルカニューレの注射部を覆う位置へと、使用者がこの位置へシールドを押して動かさなくても常に動かされることを、確実にする。任意のタイプの弾性部材が使用されることができるが、ヘリカルばねを使用することが好ましい。このヘリカルばねは、金属もしくは高分子材料のどちらでできていてもよい。
【0022】
請求項4に開示されているように、安全シールドがニードルハブの外面上をガイドされるときは、注射中に注射針のニードルカニューレの注射部の主要部が人体に対して露出され、よって注射針のニードルカニューレの全長が制限されるように、安全シールドが押し返され得ることが、確実にされる。
【0023】
請求項5に開示されているように、安全シールド5に、ニードルハブの外面上に設けられたガイドトラック内をガイドされる複数の内方に突き出た突出部が設けられているときは、シールドがニードルカニューレとニードルハブとに対して所定のパターンで動くことが、確実にされる。
【0024】
本発明に係わる使い捨て可能で両端が尖った注射針の更なる好ましい実施形態では、少なくとも2つのガイドトラックが互いに対向するようにニードルハブ上に位置されており、各々に、ニードルカニューレに対してほぼ平行にされた第1の部分と、この第1の部分に急角度に接続された第2の部分とを有している。2、3もしくはそれ以上のガイドトラックがシールドに安定性を与え、各トラックの2つの部分の間の急な角度が、シールドのスムーズな運動を与える。
【0025】
図7に開示されているように、各ガイドトラックの2つの部分の一方がニードルハブの先端部で開いて突出部が各ガイドトラックに入るのを可能にし、各ガイドトラックの先端部で開いた部分には、隆起部(elevation)が設けられているとき、突出部はトラック内に容易に挿入され、そして一度ガイドトラック内に配置されるとガイドトラックによる把持から摺動して外れないようにされることを、確実にされる。先端部で開かれているガイドトラックの一部分は、第1の部分、第2の部分のどちらでもよい。
【0026】
本発明に係わる使い捨て可能で両端が尖った注射針の他の実施形態では、各突出部は、ガイドトラック内の3つの異なる位置、即ち、
安全シールドがカニューレの注射部の少なくとも主要部を囲み、カニューレは使用されない状態にある第1の位置と、
注射部の主要部は人体に対して露出され、カニューレは人体中に挿入されている第2の位置と、
安全シールドがカニューレの注射部を十分に囲み、カニューレは人体から十分に引き抜かれ得る、第3の位置との間で移動され得る。
【0027】
突出部を有することと、そして、シールドが請求項8に示されるようなパターンでニードルハブに対して動くことによって、ニードルハブから先端方向へ延びているニードルカニューレの主要部が、注射中に人体中へと挿入されることを、確実にされる。
【0028】
図9に示されるように、少なくとも1つのガイドトラックが、突出部が第2もしくは/並びに第3の位置へ入るときにこの突出部がガイドトラック内を後方へ動くのを防ぐように急勾配の前面部を有する少なくとも1つの隆起部を備えているときは、いったん注射が開始されると安全シールドが後方へ動かないことを、確実にされる。
【0029】
請求項10に示されるように、隆起部の1つが、ニードルハブの先端部の上端部近くのガイドトラックの一方の端部に配置された孔もしくは凹部(well)として形成され、また、突出部が、カニューレが人体から十分に引き抜かれたときに安全シールドがニードルハブに不可逆的にロックされるように、突出部が前記第3の位置にあるときに孔もしくは凹部に落ちるときは、ニードルカニューレが人体から十分に引き抜かれると安全シールドがニードルハブに不可逆的にロックされ、かくして注射針の再使用の防止が確実にされる。
【0030】
本発明に係わる使い捨て可能な両端が尖った注射針の一実施形態では、注射針には、注射針が潜在的に危険な位置にあるときに使用者に視覚的な表示を与える手段が更に設けられている。本発明に係わる使い捨て可能で両端が尖った注射針の他の実施形態では、注射針には、使い捨て可能で両端が尖った注射針が潜在的に安全な位置にあるときに使用者に視覚的な表示を与える手段が更に設けられている。本発明に係わる使い捨て可能で両端が尖った注射針が先に説明されてきたように、使い捨て可能で両端が尖った注射針が使用されているときに使用者が目で見てチェックすることは、幾分困難である。この問題は、請求項11並びに/もしくは12に係わる手段を有する使い捨て可能で両端が尖った注射針によって解決される。
【0031】
請求項13に開示されているように、使用者に視覚的な表示を与える手段が、可動針プロテクター内の少なくとも1つの透明領域と、少なくとも1つの第1の領域並びに/もしくはニードルハブの外面に配置された少なくとも1つの第2の領域とを有し、また、請求項14に開示されているように、ニードルハブの外面に配置された第1の領域は、突出部が第1の位置にあるときに、透明領域を通して見ることができ、並びに/もしくは、ニードルハブの外面に配置された第2の領域は、突出部が第3の位置にロックされているときに、可動針プロテクター内の透明領域を通して見ることができると、使用者が、使い捨て可能で両端が尖った注射針が使用されているかいないかをチェックすることが、とても簡単になる。
【0032】
請求項15に開示されているように、第1の領域並びに/もしくは第2の領域に様々の種類の異なる色もしくは象徴(symbol)が設けられているとき、視界の悪い使用者でさえも、使い捨て可能で両端が尖った注射針が使用されているか否かを目でチェックし得ることが、確実にされる。
【0033】
本説明では、“注射(injection)”という用語は、中空の針、もしくは他の中空の導管に沿って人体中へ液体を射出することを意味する。この人体中に、中空の針もしくは導管の一部が一時的に挿入される。
【0034】
“人体(human body)”という用語は、この出願の全文を通して使用されているが、請求されている使い捨て可能で両端が尖った注射針は、請求項の範囲から逸脱することなくどんな哺乳動物の身体にも同様に使用され得る。
【0035】
本説明では、“カートリッジ”という用語は、膜によって永久的にシールされた一端部を有する中空の管のようなコンテナを意味する。膜は、両端が尖った注射針がカートリッジもしくはシリンジに取り付けられたときにニードルカニューレのカートリッジ部分によって貫通される。カートリッジの他端部は、カートリッジの内壁にしっかりと適合する移動可能なプレートもしくはシリンダーである。不連続的に投与される投与物が、プレートもしくはシリンダーが両端が尖った注射針のカートリッジ部分によって貫通される永久的な膜の方向に移動されるときに、カートリッジもしくはシリンジに取り付けられた両端が尖った注射針を通って射出される。
【0036】
薬剤を収容するカートリッジは、通常は、シリンジのハウジングの先端部内で支持されている。カートリッジは、ハウジング内に永久的に固定されるか、交換可能にされ得る。カートリッジがハウジング内に永久的に固定されている場合は、カートリッジが空になるとシリンジ全体が処分されるが、カートリッジが交換可能な場合は、空になったカートリッジのみが処分され、新しい中身の詰まったカートリッジがシリンジのハウジング中に装填される。
【0037】
この出願を通して使用されている“ペン形状のシリンジ(pen shaped syringe)”という用語は、楕円もしくは細長い形状を有し、幾分書き物のためのペンのような片手で持てるシリンジについて単に言及している。このような書き物のペンは通常は管状の断面を有しているが、現代の書き物のペンの多くは夫々に異なる、三角形、長方形、正方形などの断面を有している。ペン形状のシリンジは、同様に、幅広い様々の異なる断面を有し得る。
【0038】
本出願に係わる使い捨て可能な両端が尖った注射針について言及するとき、“比較的小さい外径”という用語は、G28より小さな外径を有するニードルカニューレを意味する。インシュリンの注射のためのG28のニードルカニューレの使用は、長年に渡って、標準的なサイズとして受け入れられてきた。かくして、G29もしくはより小さなニードルカニューレの多くは、“小さな注射針”と呼ばれる。使い捨て可能で両端が尖った注射針は、31Gもしくは32Gと同程度に小さくてよい。
【0039】
“G”と、針が小さくなるにつれて大きくなる規格番号とが、ニードルカニューレの外径を示す。以下の表は、本出願で言及されている規格番号の場合の、ニードルカニューレの規格番号と外径との間の関係を示す。
【0040】
規格 23G 25G 27G 29G 30G 31G 32G
直径 0,60mm 0,50mm 0,40mm 0,33mm 0,30mm 0,25mm 0,23mm
“カートリッジ部分”として言及されているニードルカニューレの一部分は、カートリッジに入る部分で、ニードルハブ中の装着ポイントから基端方向へ延びている部分と理解され、もう一方で、ニードルカニューレの“注射部”として言及されている部分は、注射中に人体に入る部分で、ニードルハブ中の装着ポイントから先端方向へ延びている部分と理解される。ニードルハブ中の装着ポイントから基端方向へ延びている注射部は、人体中に実際に貫通する部分より僅かに長い。注射部と人体中に実際に貫通する部分との間の長さの違いは、ハブタワーの高さと安全シールドの上面の壁の厚さとに対応している。通常は、ニードルカニューレの人体中に貫通する部分は、貫通の深さが4乃至12mmの間に位置するように、4乃至12mmの長さを有する。
【0041】
本説明では、“投与量設定及び注射機構(dose setting and injection mechanism)”という用語は、カートリッジ中に収容された所定量の薬液がまず設定され、続いて、カートリッジ中に薬液の残りの分を残して射出されるようにする機構を意味する。この機構は、機械でも電子でもよい。注射は、通常は、設定された投与量に関連してカートリッジ内でプレートもしくはシリンダーを前方へ押す機械的な部材を有することによって成される。この機械的な部材を前方へ駆動するために使用される力は、使用者によって物的に、もしくは電気モータによって伝えられるのが好ましい。
【0042】
本説明では、“subcutaneously(皮下に)”という用語は、人体の皮下層について言及している。この皮下層とは、皮膚と、筋組織を覆う筋肉の膜との間に位置している層のことである。複数の測定によって、筋肉の膜の平均的な深さが、人の皮膚の外側から測定すると男性の場合は9,5mm、女性の場合は13,8mmであることが分かった。注射針からの液体の射出は、ニードルカニューレの皮膚に刺さる端部の楕円形に切断された端部によって、皮膚に刺さる端部から0、4乃至1、2mmの範囲の距離内で行われ、皮下注射のための注射針は、好ましくは、約10mmより小さい、皮下層中に貫通する部分の長さを有する。しかしながら、女性の場合は、約14mmまでの、貫通の深さと等しいこの部分の長さを有する注射針が受け入れられ得る。人の皮膚の貫通を確実にするために、ニードルカニューレの、皮下層を貫通する部分の最小の長さは、約4mmより長くなくてはならない。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】図1は、本発明に係わる、使い捨て可能で両端が尖った注射針の分解図を示す。
【図2】図2は、本発明に係わる、使い捨て可能で両端が尖った注射針の断面図を示す。
【図3】図3は、本発明の実施形態に係わる、安全シールドの断面図を示す。
【図4】図4は、本発明の実施形態に係わる、ニードルハブの断面図を示す。
【図5】図5は、安全シールドの上部と、ニードルカニューレの皮膚に刺さる端部との断面図を示す。
【図6】図6は、本発明の実施形態に係わる、ニードルハブの斜視図を示す。
【図7】図7は、使い捨て可能で両端が尖った注射針がロックされていない位置にあることを示す視覚的な表示を備えた、使い捨て可能で両端が尖った注射針の斜視図を示す。
【図8】図8は、使い捨て可能で両端が尖った注射針がロックされた位置にあることを示す視覚的な表示を備えた、使い捨て可能で両端が尖った注射針の斜視図を示す。
【発明の実施の形態】
【0044】
本発明は、図面を参照しながら、好ましい実施形態に関連して以下に詳しく説明される。
図面は、明確にするために概略的かつ単純にされている。本発明を理解するために絶対不可欠な部分の詳細が示されているが、他の詳細は省略されている。全文を通して、同じ参照符号が、同じであるか対応する部分のために使用されている。
【0045】
最初に、本発明に係わる、使い捨て可能で両端が尖った注射針の“先端”という用語が人体11中に貫通される端部2を指し、もう一方で、“基端”という用語がカートリッジ12中に収容される、先の端部2に対向する端部3を指すように意図されていると規定すると、都合がよい。
【0046】
図1、2は、本発明に係わる、使い捨て可能で両端が尖った注射針を示す。注射針は、5つの主要部、即ち、ニードルカニューレ1、ニードルハブ4、安全シールド10、弾性部材21、コンテナ13からなる。
【0047】
ニードルカニューレ1は細長く、両端部2、3は通常は斜めにカットされることによって鋭くされている。ニードルカニューレ1は、ニードルハブ4内にしっかりと装着されている。ニードルハブ4内の装着ポイントから延びている、ニードルカニューレ1の先端部は、注射部8と呼ばれ、ニードルハブ4内のこれの装着ポイントから基端方向へ延びている部分は、カートリッジ部分9と呼ばれる。
【0048】
図4では別に示されている、ニードルハブ4は、先端部5と基端部6とを有する。基端部6は、これの内面に、スレッド7を設けられており、このスレッド7は、カートリッジ12上の外スレッド上か、カートリッジ12を支持する図示されていないシリンジ上に噛み合う。このように、使い捨て可能で両端が尖った注射針は、容易に、カートリッジ12もしくはこのカートリッジを支持するシリンジに接続及びこれから解放され得る。ニードルハブ4には、ニードルカニューレ1のカートリッジ部分9を覆う図示されていないカバーが設けられ得る。この図示されていないカバーは、ニードルハブ4をシリンジに接続する前に開かれ、ニードルハブ4がシリンジから解放されると閉じられるように、ヒンジによってニードルハブ4に接続され得る。
【0049】
ニードルハブ4は、丸い凹部14によって囲まれて中央に位置されたハブタワー15を先端部5に有する。また、ニードルハブ4を通って基端部6まで到達するチャネル16が、前記丸い凹部を通るように形成されている。ニードルカニューレ1が、チャネル16中に配置されるように製造される間、チャネルは、接着剤もしくは他の材料で満たされ、これらの材料は、ニードルカニューレ1をニードルハブ4に堅く装着し得る。使用される接着剤は、金属を重合体材料に接着するための例えば通常の接着剤、もしくは、UV光の使用によって硬くされる接着剤でもよい。接着剤を使用する代わりに、ハブ4の材料が、ニードルカニューレ1をハブ4に固定するように溶融されることもできる。ハブタワー15の高さと、チャネル16の長さとは、使い捨てで両端が尖った注射針のタイプに応じて変えることができる。比較的長いチャネル16は、製造中に、ニードルカニューレ1の横向き運動全体に渡ってより良い制御を与える。必要であれば、ハブタワー15は、このハブタワー15の先端部がニードルハブ4の先端の上面17と整列するような高さを有することができる。凹部14の深さは、この凹部14が、ニードルハブ4と安全シールド10との間に配置されて安全シールド10をニードルハブ4から離れるように押すヘリカルばね21の形状の弾性部材を支持し得るように、選択される。
【0050】
ニードルハブ4は、これの外面に、複数のトラック18を設けられ、この複数のトラック18内に、安全シールド10上に配置された複数の突出部22が適合する。ニードルハブ4は、基端部6に、複数の外方に突き出たリブ19を設けられ、これは、コンテナ13の内面に配置された複数の内方に突き出たリブ20と相互に作用する。
【0051】
図3に示された安全シールド10は、図2に示されるように、ニードルハブ4の外面上をガイドされる。安全シールド10は、これの内面に、複数の内方に突き出た突出部22を設けられている。これらの突出部22の各々は、示されるように、安全シールド10と一体的な部分として形成された弾性アーム部23上に支持され得る。しかし、突出部22は、安全シールド10の内面に直接にモールド成形されることもできる。この場合、突出部は、図7、8に示されるように、安全シールドの外から見えないようにされる。安全シールド10は、キャップ(cup)もしくはハットとして形成され、基端側を除いた全ての側で閉じられ、ニードルハブ4上に適合する。安全シールド10は、先端部に、ニードルカニューレ1が通るために十分に大きい孔25を設けられている。
【0052】
安全シールド10がニードルハブ4上に配置され、使い捨て可能で両端が尖った注射針が第1の位置にあるとき、ニードルカニューレ1の皮膚に刺さる端部2は、図2に示されるように、安全シールド10の少し上に位置され得る。各注射前に、使用者は、カートリッジ12中に含まれた空気をニードルカニューレ1を通して外に押出すための、いわゆる空振り(airshot)を行わなくてはならない。これを行うときには、使用者が、全ての空気が押出され、薬液のみがニードルカニューレから射出されることを視覚的にチェックできることが、幾分重要である。このために、ニードルカニューレ1の皮膚に刺さる端部2は、目に見えなくてはならない。ニードルカニューレ1の皮膚に刺さる端部2を十分に安全シールド10の上面と整列するようにさせることもできるが、ニードルカニューレ1の皮膚に刺さる端部2を目に見えるようにする1つの方法は、ニードルカニューレ1を安全シールド10を僅かに超えて延びるように十分に長くすることである。他の解決法は、ニードルカニューレ1を安全シールド10の境界内におさまるよう十分に短くし、安全シールド10を全体にもしくは部分的に透明にすることである。更なる解決法は、ニードルカニューレ1を安全シールド10の境界内におさまるよう十分に短く維持しながら、ニードルカニューレ1の皮膚に刺さる端部2を部分的に目に見えるようにするために、図5に破線で示されるように、安全シールド10の上部の一部分26を切り取ることである。
【0053】
ハブ4は、外に、複数のトラック18を設けられている。これら複数のトラックは、図4、6に最もよく示されている。各トラック18は、ニードルカニューレ1に対してほぼ平行にされてニードルハブ4の上面で開かれた第1の部分27を有する。トラック18の第2の部分28が、急角度に、第1の部分27に接続され、ニードルハブ4の先端部5へ向かう方向に延びている。安全シールド10がニードルハブ4に装着されると、突出部22は、トラック18の第1の部分27中を通る。トラック18の第1の部分27には、突出部22が隆起部29を超えて通るのを可能にするように傾斜した前面と、突出部22が配置されたあとにトラック18から動いてしまうのを防ぐための後方への勾配とを有する隆起部29が、設けられている。
【0054】
必要であれば、トラック18の第2の部分28は、ニードルカニューレ1に対して平行な部分にされることが可能で、第1の部分27は、前記第2の部分に急角度に接続される。
【0055】
突出部22とトラック18との間に所定程度の弾性が存在するのが好ましい。このような弾性は、安全シールド10に突出部を支持する弾性アーム部23を与えるか、トラック18の底部を弾性的にする、例えばトラック18の底部をニードルハブ4に幾つかの領域でのみ接続するかによって得られる。
【0056】
注射中、図2に示されるように、安全シールド10は、人体11の皮膚によって、ヘリカルばね21の力に抗するように押される。ニードルカニューレ1が、人体の皮下層中に十分に挿入されているときには、突出部22は、トラック18の第2の部分28内に入る。トラック18の2つの部分27、28は、更なる隆起部30によって互いに分けられ、この隆起部30は、突出部22がトラック18の第2の部分28内に入った後にトラック18の第1の部分27中に戻るように摺動させないための後方への勾配を有する。ニードルカニューレ1が使用者の皮下層から引き抜かれると、突出部22は、トラック18の第2の部分28に沿って摺動する。ニードルカニューレ1が使用者によって十分に引き抜かれ(retrace)ると、突出部22は永久的にロックされるように孔もしくは凹部31中に落ちる。
【0057】
注射を開始するとき、突出部22が、トラック18の位置が破線で示されている図2に見られるように、トラック18の第1の部分27内で、第1の隆起部29と第2の隆起部30との間に位置される。第2の隆起部30の前部は、傾斜面を有し、突出部22は、第2の部分28に入る前にこれを登らなくてはならない。この前部の傾斜は、使用者が、突出部22が隆起部の上部に到達する前に所定の力を克服しなくてはならないように、選択される。針の刺し傷を不安に思う人のために、ニードルカニューレの皮膚に刺さる端部2を視界外に、即ち、安全シールド10の境界内に位置させ、安全シールド10が動き始める前に使用者が適用すべき力を最大にすることが好ましい。第2の隆起部30の前面の傾斜を急にすることにより、この力を最大にすることができる。こうすることによって使用者によって加えられる所定の力が、安全シールド10が動き始める前に発生され、この動きは、従って、力が解放されるとかなり突然に生じる。これは、突出部22が隆起部30の上に持上げられ始められたときに成される。発生された力を突然に解放することによって、人体の皮下層中への、ニードルカニューレ1の皮膚に刺さる端部2が非常に迅速に挿入される。
【0058】
安全シールド10の最先端部は、注射中に人体の皮膚と安全シールド10との間の摩擦を増すようにテクスチャー加工された(textured)外面を有するようにモールド成形され得る。
【0059】
注射針が、人体中に挿入される状態である第1の位置にあるとき、安全シールド10は、図2に示されるように、空振りが行われるときに自由にチェックすることができるようにニードルカニューレ1の皮膚に刺さる端部2の先端のみを残して、ニードルカニューレ1の注射部8の少なくとも主要部を囲んでいる。ニードルカニューレ1が人体中に十分に挿入されると、注射部8の主要部は、人体に対して露出される。ニードルカニューレ1の注射部8の、人体に対して露出されない唯一の部分が、ニードルハブ4内の装着ポイントと安全シールド10の上面との間に位置する部分である。この部分の長さは、ハブタワー15の高さと、安全シールド10の上面の壁の厚さとに対応している。
【0060】
注射針が使用されていることをはっきり示す表示を使用者に与えるために、安全シールド10には、最も単純な形状としては安全シールド10内の孔のような、少なくとも1つの透明領域32が設けられ得る。この透明領域32を通して、使用者は、ニードルハブ4の外面上の第1の領域33を見ることができる。トラック18の第1の部分27が第2の部分28に対して急角度に配置されていることから、安全シールド10は、注射がなされているときに、ニードルハブ4に対し、これに対する角度に応じて幾らか回転する。この回転は、透明領域32を、同様にニードルハブ4の外面上に配置された第2の領域34へと運ぶ。
【0061】
1つより多い透明領域32が設けられている場合、これに対応した数の第1の領域33と第2の領域34とが、第1の領域33が使用前に各透明領域32を通して見られるように、また、第2の領域34がシールド10が使用後に第3の位置で不可逆的にロックされると各透明領域32を通して見られるように、設けられる。
【0062】
注射針が、人体中に挿入される状態である第1の位置にあるとき、突出部22は、トラック18の第1の部分27内に配置されている。この位置では、ハブ4の外面上の第1の領域33が、安全シールド10の透明領域32を通して見られ得る。挿入後に、突出部22は、孔もしくは凹部31内に配置され、安全シールド10の透明領域32は、第2の領域34が透明領域32を通して見られ得るように、移動される。
【0063】
第1の領域33の色は、使い捨て可能で両端が尖った注射針が使用できる状態にあるのを示すことから、この色は、通常は、緑、黒、青もしくは白である。使い捨て可能で両端が尖った注射針が使用されていることを示す第2の透明領域34は、典型的には赤、オレンジもしくは黄色である。しかし、第1の領域33を危険を表す色で示すことによって、安全ニードルが潜在的に安全でない位置にあるのを示すことができ、これから、また、第2の透明領域34を安全ニードルが潜在的に安全な位置にあることを表す色で示すこともできる。領域33、34を色付けする代わりに、使い捨て可能で両端が尖った注射針の状態を示す象徴もしくは文字を使用することもできる。色と、象徴もしくは文字とは、インク、コーティングもしくはモールド成形を利用して、ニードルハブの外面に適用され得る。領域33、34は、色の付着力を高めるために、押圧されるかテクスチャー加工された面を有するようにモールド成形され得る。
【0064】
使い捨て可能で両端が尖った注射針は、無菌ピールバッグ(peel bag)内かコンテナ13内かのどちらかで使用される状態にするように運ばれる。コンテナ13は、使用前に、ニードルハブ4と、ニードルカニューレ1と、ヘリカルばね21と、安全シールド10とを十分に収容する。コンテナ13の基端部は、周面24を構成しており、この周面上に、図示されないピール可能な(pealable)バリヤが装着されている。このバリヤは、紙で形成されたシートあるいはポリマーもしくは金属性のシートでよく、好ましくは、面24上に接着されるか、溶融もしくは溶接される。バリヤは、コンテナの内側がバリヤが壊されるまで無菌状態に維持されるように、細菌(germ)によって透明され得ない。バリヤは、細菌などによって透明され得ないが、シースの内側を例えば蒸気で殺菌することは可能である。
【0065】
コンテナ13の基端部は、内面に、複数の内方に突き出たリブ20を設けられている。これらリブは、ニードルハブ4の基端部6上に配置された外方に同様に突き出たリブ19と相互に作用する。ニードルハブ4の内面に配置された装着機構が図2に示されるようにスレッド7である場合、このスレッド7は、カートリッジ12のスレッドもしくは図示されないシリンジ上に、2つの部分を接続するために、ねじ付けされなくてはならない。これは、使い捨て可能で両端が尖った注射針を収容するコンテナ13を回転させることによって果たされる。コンテナ13がカートリッジ12もしくは図示されないシリンジに対して回転されるときに生じる回転力がニードルハブ4に直接的に伝達され、この回転力が、トラック18と突出部22とを損傷から守る。
【0066】
使い捨て可能で両端が尖った注射針を別々のコンテナで消費者へと運ぶ代わりに、安全シールド10自身が、安全シールド10が図2に示されるように既成の位置(ready-to-use position)にあるときニードルハブ4を十分に囲むように、単に安全シールド10を基端の方向へ長くすることによって、無菌コンファインメント(confinement)として使用されることもできる。安全シールド10の基端部は、ピール可能なバリヤによってシールされなくてはならない。また、注射中にニードルカニューレ1が中を通る孔25は、ピール可能なバリヤによって、もしくは、ニードルカニューレ1によって貫通され得る柔らかい材料、例えばシリコーンを落とす(drop)ことによって、シールされなくてはならない。突出部22を支持する弾性アーム部23は、安全シールド10の表面が図7、8に示されるように貫通されないように、形成され得る。
【0067】
幾つかの好ましい実施形態が、示されてきたが、本発明は、これらに制限されるものではなく、請求項に規定された主題の範囲内で、他の方法で実行されてもよい。
【符号の説明】
【0068】
1…カニューレ、2、3…端部、4…ニードルハブ、5…先端部、6…基端部、7…装着機構、8…注射部、9…カートリッジ部分、10…可動針プロテクター、11…人体、12…カートリッジ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
2つの尖った端部(2、3)を備え、比較的小さな外径を有する細長いカニューレ(1)を具備する、使い捨て可能で両端が尖った注射針であって、
前記ニードルカニューレ(1)は、先端部(5)と基端部(6)とを有するニードルハブ(4)中にしっかりと装着されており、基端部(6)には、シリンジにニードルハブ(4)を装着させるための装着機構(7)が設けられ、このシリンジは、投与量設定及び注射機構と、人体(11)中に皮下注射される薬液を収容するためのカートリッジ(12)とを有し、また、このカートリッジ(12)から、投与薬液が、前記投与量設定及び注射機構を用いてカニューレ(1)内の細長い孔を通して射出され、また、
前記ニードルカニューレ(1)は、注射部(8)と、カートリッジ部分(9)とを有し、カートリッジ中に挿入するためのカートリッジ部分(9)は、前記ニードルハブ(4)によって覆われ、注射中に人体(11)の中に入る部分(8)である注射部(8)は、皮下注射を確実にするために十分に短く、そして、カートリッジ部分(9)は注射針がシリンジに装着されているときにカートリッジ(12)の内側へ延びるように十分に長い、注射針において、
注射針には、ニードルハブ(4)に配置された可動針プロテクターが更に装着され、この可動針プロテクター(10)は、この可動針プロテクター(10)がニードルカニューレ(1)の注射部(8)の皮膚に刺さる端部(2)を覆う位置へと動かされ、不可逆的にロックされることができ、従って、針の刺し傷を防止することを特徴とする注射針。
【請求項2】
前記可動針プロテクター(10)は、前記ニードルカニューレ(1)が使用されていない状態にあるときに、ニードルカニューレ(1)の注射部(8)の少なくとも主要部を囲んでいる筒形状の安全シールド(10)であり、この筒形状の安全シールド(10)は、この安全シールド(10)がカニューレ(1)の注射部(8)が人体(11)の皮下層に注射されるときには基端の方向へとまず動かされるように、ニードルカニューレ(1)に対して長手方向に動かされ得、かくして、注射部(8)の主要部は、人体(11)に対して露出され、そして、安全シールド(10)は、カニューレ(1)の注射部(8)が人体(11)の皮下層から引き抜かれるときに、カニューレ(1)が安全シールド(10)によって囲まれるまで先端の方向へ自動的に動くことを特徴とする、請求項1の注射器。
【請求項3】
前記安全シールド(10)は、カニューレ(1)の注射部(8)が人体の皮下層から引き抜かれるときに、ヘリカルばねのような弾性部材(21)によって先端の方向へ自動的に動かされ、この弾性部材(21)は、前記ニードルハブ(4)と安全シールド(10)との間に位置されており、また、カニューレ(1)の注射部(8)が人体(11)の皮下層中に挿入されているときには締められることを特徴とする、請求項2の注射針。
【請求項4】
前記安全シールド(10)は、ニードルハブ(4)の外面上をガイドされることを特徴とする、請求項2もしくは3の注射針。
【請求項5】
前記安全シールド(10)には、ニードルハブ(4)の外面上に形成されたガイドトラック(18)内をガイドされる複数の内方に向いた突出部(22)が設けられ、また、所定の程度の弾性が、突出部(22)とトラック(18)の底部との間に存在することを特徴とする、請求項4の注射針。
【請求項6】
前記ニードルハブ(4)に互いに対向するように設けられた少なくとも2つのガイドトラックは、各々に、ニードルカニューレ(1)に対して実質的に平行な第1の部分(27)と、この第1の部分(27)に、急角度に接続された第2の部分(28)とを有することを特徴とする、請求項5の注射針。
【請求項7】
前記ガイドトラック(18)の部分(27、28)の一方は、突出部が各ガイドトラック(18)中に入るのを可能にするように、ニードルハブ(4)の先端部で開いており、ガイドトラック(18)の部分(27、28)は、先端部に、ガイドトラック(18)内に位置された突出部(22)がガイドトラック(18)から解放されて抜け出るのを防ぐ隆起部を設けられていることを特徴とする、請求項6の注射針。
【請求項8】
前記各突出部(22)は、ガイドトラック(18)内の少なくとも3つの異なる位置、即ち、
前記安全シールド(10)はカニューレ(1)の注射部(8)の少なくとも主要部を囲み、前記カニューレ(1)は使用されない状態にある第1の位置と、
前記注射部(8)の主要部は人体(11)に対して露出され、前記カニューレ(1)は人体中に挿入されている第2の位置と、
前記安全シールド(10)はカニューレ(1)の注射部(8)を十分に囲み、前記カニューレ(1)は人体(11)から十分に引き抜かれ得る、第3の位置との間で移動され得ることを特徴とする、請求項6もしくは7の注射針。
【請求項9】
少なくとも1つの前記ガイドトラック(18)は、前記突出部(22)が第2もしくは/並びに第3の位置へ入るとこの突出部がガイドトラック(18)内を後方へ動かないように急勾配の前面を有する少なくとも1つの隆起部(30、31)を備えていることを特徴とする請求項8の注射器。
【請求項10】
前記隆起部の1つは、ニードルハブ(4)の先端部の上端部(17)近くの、ガイドトラック(18)の一方の端部に配置された孔もしくは凹部(31)として形成されており、また、前記突出部(22)は、カニューレ(1)が人体(11)から十分に引き抜かれると安全シールド(10)がニードルハブ(4)に不可逆的にロックされるように、前記突出部(22)が前記第3の位置にあるときに孔もしくは凹部(31)に落ちることを特徴とする、請求項9の注射器。
【請求項11】
前記ニードルハブ(4)と、ニードルカニューレ(1)と、弾性部材(21)と、安全シールド(10)とを囲むコンテナ(13)を更に具備し、このコンテナ(13)は、このコンテナ(13)が回転されると発生する回転力がニードルハブ(4)に伝達されるように、ニードルハブ(4)上の外方に突き出たリブ(19)と係合する内方に同様に突き出たリブ(20)を有することを特徴とする、請求項1乃至10のいずれか1の注射器。
【請求項12】
インシュリンを収容しているカートリッジ(12)を支持するペン形状のシリンジと、投与量設定及び注射機構と、使い捨て可能で両端が尖った注射針とを具備しており、この両端が尖った注射針は、ペン形状のシリンジに交換可能なように接続されたニードルハブ(4)中にしっかりと装着された細長いニードルカニューレ(1)を有し、インシュリンは、カートリッジ(12)からニードルカニューレ中の細長い孔を通って投与量設定及び注射機構を用いて射出される、インシュリン注射システムにおいて、前記両端が尖った注射針には、ニードルハブ(4)を覆うように可動針プロテクター(10)が更に装着され、この可動針プロテクター(10)は、この可動針プロテクター(10)がニードルカニューレ(1)の注射部(8)の皮膚が刺す端部(2)を覆うような位置へと動かされ、ここで不可逆的にロックされることができ、従って、針の刺し傷を防止することを特徴とするインシュリン注射システム。
【請求項13】
前記使い捨て可能で両端が尖った注射針には、この使い捨て可能で両端が尖った注射針が潜在的に安全でない位置にあるときに使用者に視覚的な表示を与える手段が更に設けられていることを特徴とする、請求項1乃至12のいずれか1の注射針。
【請求項14】
前記使い捨て可能で両端が尖った注射針には、この使い捨て可能で両端が尖った注射針が潜在的に安全な位置にあるときに使用者に視覚的な表示を与える手段が更に設けられていることを特徴とする、請求項1乃至13のいずれか1の注射針。
【請求項15】
前記使用者に視覚的な表示を与える手段は、前記可動針プロテクター(10)内の少なくとも1つの透明領域(32)と、少なくとも1つの第1の領域(33)並びに/もしくはニードルハブの外面に配置された少なくとも1つの第2の領域(34)とを有することを特徴とする、請求項13もしくは14の注射針。
【請求項16】
前記ニードルハブ(4)の外面に配置された第1の領域(33)は、突出部(22)が第1の位置にあるときに、透明領域(32)を通して見ることができ、並びに/もしくは、ニードルハブ(4)の外面に配置された第2の領域(33)は、突出部(22)が第3の位置にロックされているときに、可動針プロテクター(10)内の透明領域(32)を通して見ることができることを特徴とする、請求項15の注射針。
【請求項17】
前記第1の領域(33)並びに/もしくは第2の領域(34)には、様々の種類の異なる色もしくは象徴が設けられていることを特徴とする、請求項15の注射針。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−235108(P2011−235108A)
【公開日】平成23年11月24日(2011.11.24)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−127190(P2011−127190)
【出願日】平成23年6月7日(2011.6.7)
【分割の表示】特願2001−587849(P2001−587849)の分割
【原出願日】平成13年5月29日(2001.5.29)
【出願人】(509091848)ノヴォ ノルディスク アー/エス (42)
【Fターム(参考)】