説明

使用済食用油脂の再生処理フィルタ及びそれを用いた再生処理装置

【課題】使用済食用油脂に含まれる様々な不純物を同時かつ効率的に除去する再生処理フィルタ及び再生処理装置を提供する。
【解決手段】遊離脂肪酸を選択的に吸着するか油脂にほとんど溶けない化合物に変換できる処理剤A(酸化マグネシウム、酸化カルシウム、水酸化マグネシウム及び水酸化カルシウムなどの塩基性化合物を、酸化ケイ素に担持してなる粉末)と着色物質を選択的に吸着できる処理剤B(酸化ケイ素、活性炭、活性白土の粉末)の混合物を、充填式フィルタまたは抄紙配合ロール状フィルタに加工したものを使用済食用油脂の再生フィルタとし、フライヤー油槽中の使用済油脂を取り出すための吸入チューブと、再生処理フィルタと該再生処理フィルタを収納する容器から構成する再生器と、送液ポンプまたは吸引ポンプと、再生油をフライヤー油槽に戻すための戻しチューブとからなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、酸価や色度や過酸化物価などの品質値が食用油脂の品質基準を超えている使用済食用油脂を精製処理し、食用可能な品質レベルまで再生処理するためのフィルタ及びそれを用いた再生処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
家庭や外食産業や食品製造業などから発生する使用済食用油脂には、油脂の加水分解により生成する遊離脂肪酸、熱劣化反応により生成する過酸化物、臭気物質、重合物、着色物質、揚げ鍋の内壁から溶出する微量金属、また料理に用いた材料から移行してくる様々な非油脂物質が含まれている。これらの劣化生成物が使用に伴い、蓄積していく傾向があり、一定使用時間を超えると、健康を損なう有害物質になる。料理に用いた材料から移行してくる様々な非油脂物質は揚げ粕等の固形物が該当するが、それらを除去するため濾布、濾紙、金網等で掬い取る方法や濾過する方法が採用されてきた。しかし、これらの方法では油脂の加水分解により生成する遊離脂肪酸、熱劣化反応により生成する過酸化物、臭気物質、重合物、着色物質等は除去することができず、再生処理としては不充分なものであった。
【0003】
使用済食用油脂中の着色物質は、油脂の熱酸化、熱重合、炭化脱水素生成物であり、このように分子量が大きい劣化生成物を選択的に吸着するには、より比表面積、細孔容積が大きく、着色物質の分子サイズに適切な細孔径を持った吸着剤が必要であるが、従来から脱色に使用されている活性白土、活性炭等では吸着性能は不十分であった。
【0004】
一方、食用油脂の脱酸剤としては、一般に遊離脂肪酸を吸着するか遊離脂肪酸と反応して遊離脂肪酸を分離除去しやすい石鹸に変換する機能を有する塩基性物質が提案されている。例えば、マグネシウムとカルシウムの酸化物、水酸化物又は炭酸塩の単一物質又はこれらの混合物が有効であることが知られている。しかし、これらの塩基性化合物を直接油脂と接触する場合、比表面積が低く本質的な吸着・反応能が小さいだけでなく、遊離脂肪酸との反応によって生成した金属石鹸が処理後の油に溶解・移行して、油の風味を損なう恐れがあった。
【0005】
使用済食用油脂の再生処理装置において、油をフライヤーから専用の受容器に移すタイプの装置では、使用済食用油脂の再生処理作業をする度に必ずフライヤーの稼動を停止する必要があり、連続してフライヤーを稼動させたい場合は特に不便であった。また、再生処理作業、及びその作業後の洗浄作業が新たな負担となっていた。フライヤーから排出した後に再生処理作業をするため、温度低下による油の粘度上昇や浄化効率の低下を防ぐ目的で、予めフライヤーで油を加熱しておくか、受容器にヒーターを設ける必要があった。
【0006】
これに対し、活性白土等の濾剤を袋詰めにしたフィルタを用い、ポンプで油を環流する方法が特許文献1に開示されている。また、ロール紙にトルマリン、及び活性剤を含有させ、ポンプで油を濾過する方法が特許文献2に開示されている。また、濾紙を用いて、ポンプで油を濾過する方法が特許文献3に開示されている。
【特許文献1】特開2001−190906号公報
【特許文献2】特開2002−58920号公報
【特許文献3】特開2004−267432号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであって、使用済食用油脂の加水分解により生成する遊離脂肪酸、熱劣化反応により生成する過酸化物、臭気物質、重合物、着色物質、揚げ鍋の内壁から溶出する微量金属、また料理に用いた材料から移行してくる様々な非油脂物質を従来のフィルタと比較して大幅に除去する能力を持つフィルタであるとともに、再生処理をする度にフライヤーの稼動を停止する必要がなく、再生処理作業及びその作業後の洗浄作業を大幅に低減しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第1番目の再生処理フィルタは、少なくとも使用済食用油脂中の遊離脂肪酸を選択的に吸着するか油脂にほとんど溶けない化合物に変換できる処理剤A(但し、処理剤Aは、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、水酸化マグネシウム及び水酸化カルシウムからなる群から選ばれる少なくとも1種類の化合物を、100〜800m2/gの比表面積を有する平均粒子径50〜400μmの酸化ケイ素(SiO2)に1〜40wt%担持してなる処理剤)50〜100wt%と、少なくとも使用済食用油脂中の着色物質を選択的に吸着できる処理剤B(但し、処理剤Bは、100〜800m2/gの比表面積を有する平均粒子径50〜400μmの酸化ケイ素(SiO2))0〜50wt%との混合物を濾紙、又は濾布製の袋に充填してなることを特徴とするものである。
【0009】
本発明の第2番目の再生処理フィルタは、少なくとも使用済食用油脂中の遊離脂肪酸を選択的に吸着するか油脂にほとんど溶けない化合物に変換できる処理剤A(但し、処理剤Aは、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、水酸化マグネシウム及び水酸化カルシウムからなる群から選ばれる少なくとも1種類の化合物を、100〜800m2/gの比表面積を有する平均粒子径50〜400μmの酸化ケイ素(SiO2)に1〜40wt%担持してなるもの)50〜100wt%と、少なくとも使用済食用油脂中の着色物質を選択的に吸着できる処理剤C(但し、処理剤Cは酸化ケイ素(SiO2)と酸化アルミニウム(Al23)との合計含有量が乾燥ベースで90wt%以上、Al/Si原子比が0〜0.3である天然粘土、物理化学的処理された天然粘土及び人工合成粘土から選ばれる少なくとも一種類で、平均粒子径が50〜400μmであるもの)0〜50wt%との混合物を濾紙、又は濾布製の袋に充填してなることを特徴とするものである。
【0010】
さらに本発明の第3番目の再生処理フィルタは、少なくとも使用済食用油脂中の遊離脂肪酸を選択的に吸着するか油脂にほとんど溶けない化合物に変換できる処理剤A(但し処理剤Aは、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、水酸化マグネシウム及び水酸化カルシウムからなる群から選ばれる少なくとも1種類の化合物を、100〜800m2/gの比表面積を有する平均粒子径50〜400μmの酸化ケイ素(SiO2)に1〜40wt%担持してなるもの)50〜100wt%と、少なくとも使用済食用油脂中の着色物質を選択的に吸着できる処理剤D(但し、処理剤Dは、300〜1500m2/gの比表面積を有する平均粒子径50〜400μmの活性炭を濾紙、又は濾布製の袋に充填してなることを特徴とするものである。
【0011】
さらに本発明の第4番目の再生処理フィルタは、少なくとも使用済食用油脂中の遊離脂肪酸を選択的に吸着するか油脂にほとんど溶けない化合物に変換できる処理剤E(但し、処理剤Eは、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、水酸化マグネシウム及び水酸化カルシウムからなる群から選ばれる少なくとも1種類の化合物を、100〜800m2/gの比表面積を有する平均粒子径100μm以下の酸化ケイ素(SiO2)に1〜40wt%担持してなる処理剤)50〜100wt%と、少なくとも使用済食用油脂中の着色物質を選択的に吸着できる処理剤F(但し処理剤Fは、100〜800m2/gの比表面積を有する平均粒子径100μm以下の酸化ケイ素(SiO2))0〜50wt%との混合物を、紙に対して5〜80wt%抄紙配合し、エンボス加工によるエンボス深さが0.01〜2.0mm、又はクレープ加工によるクレープ率が1〜20%になるようにロール状に巻き取り加工してなることを特徴とするものである。
【0012】
さらに本発明の第5番目の再生処理フィルタは、少なくとも使用済食用油脂中の遊離脂肪酸を選択的に吸着するか油脂にほとんど溶けない化合物に変換できる処理剤E(但し処理剤Eは、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、水酸化マグネシウム及び水酸化カルシウムからなる群から選ばれる少なくとも1種類の化合物を、100〜800m2/gの比表面積を有する平均粒子径100μm以下の酸化ケイ素(SiO2)に1〜40wt%担持してなるもの)50〜100wt%と、少なくとも使用済食用油脂中の着色物質を選択的に吸着できる処理剤G(但し、処理剤Gは酸化ケイ素(SiO2)と酸化アルミニウム(Al23)との合計含有量が乾燥ベースで90wt%以上、Al/Si原子比が0〜0.3である天然粘土、物理化学的処理された天然粘土及び人工合成粘土から選ばれる少なくとも一種類で、平均粒子径が100μm以下であるもの)0〜50wt%との混合物を、紙に対して5〜80wt%抄紙配合し、エンボス加工によるエンボス深さが0.01〜2.0mm、又はクレープ加工によるクレープ率が1〜20%になるようにロール状に巻き取り加工してなることを特徴とするものである。
【0013】
さらに本発明の第6番目の再生処理フィルタは、少なくとも使用済食用油脂中の遊離脂肪酸を選択的に吸着するか油脂にほとんど溶けない化合物に変換できる処理剤E(但し処理剤Eは、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、水酸化マグネシウム及び水酸化カルシウムからなる群から選ばれる少なくとも1種類の化合物を、100〜800m2/gの比表面積を有する平均粒子径100μm以下の酸化ケイ素(SiO2)に1〜40wt%担持してなるもの)50〜100wt%と、少なくとも使用済食用油脂中の着色物質を選択的に吸着できる処理剤H(但し処理剤Hは、300〜1500m2/gの比表面積を有する平均粒子径100μm以下の活性炭)0〜50wt%との混合物を、紙に対して5〜80wt%抄紙配合し、エンボス加工によるエンボス深さが0.01〜2.0mm、又はクレープ加工によるクレープ率が1〜20%になるようにロール状に巻き取り加工してなることを特徴とするものである。
【0014】
本発明の使用済食用油脂の再生処理装置は、フライヤー油槽に挿し込み、フライヤーから使用済食用油脂を取り出すための吸入チューブと、前記の再生処理フィルタと、前記再生処理フィルタを収納する容器を含む再生器と、前記吸入チューブと再生器の間に介在し、フライヤー中の使用済食用油脂を再生器に送る送液ポンプと、再生器内の再生処理フィルタを通過した油をフライヤーに返送するための戻しチューブを含み、前記フライヤー油槽中の50〜220℃の使用済食用油脂を、送液ポンプによって、30〜500h-1の空間速度で、5〜60min循環し、再生処理済油脂を得ることを特徴とするものである。
【0015】
本発明の別の使用済食用油脂の再生処理装置は、フライヤー油槽に挿し込み、フライヤーから使用済食用油脂を取り出すための吸入チューブと、前記の再生処理フィルタと、前記再生処理フィルタを収納する容器を含む再生器と、前記再生器内の再生処理フィルタを通過した油をフライヤーに返送するための戻しチューブと、前記再生器と戻しチューブの間に介在し、フライヤー中の使用済食用油脂を再生器に通過させるための吸引ポンプを含み、前記フライヤー油槽中の50〜220℃の使用済食用油脂を、前記吸引ポンプによって、30〜500h-1の空間速度で、5〜60min循環し、再生処理済油脂を得ることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明は、使用済食用油脂に含まれる様々な不純物を同時かつ効率的に除去する再生処理フィルタ及び再生処理装置を提供できる。また、酸価、光透過率ともに、再生処理により新油の特性に近い再生処理済油脂を提供できる。さらに、従来処理と比べて、脱酸効果、脱色効果ともに向上した再生処理済油脂を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
本発明で使用する処理剤Aは、少なくとも使用済食用油脂中の遊離脂肪酸を選択的に吸着するか油脂にほとんど溶けない化合物に変換できるものであって、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、水酸化マグネシウム及び水酸化カルシウムからなる群から選ばれる少なくとも1種類の化合物を、100〜800m2/gの比表面積を有する平均粒子径50〜400μmの酸化ケイ素(SiO2)に1〜40wt%担持してなるもの)50〜100wt%である。
【0018】
食用油脂の脱酸剤としては、一般に遊離脂肪酸を吸着するか遊離脂肪酸と反応して遊離脂肪酸を分離除去しやすい石鹸に変換する機能を有する塩基性物質が提案されており、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、水酸化マグネシウム及び水酸化カルシウムが好適に使用される。
【0019】
しかし、これらの塩基性化合物を直接油脂と接触する場合、比表面積が低く本質的な吸着・反応能が小さいだけでなく、遊離脂肪酸との反応によって生成した金属石鹸が処理後の油に溶解・移行して、油の風味を損なう恐れがあるため、酸化ケイ素に担持することにより、これらの課題を解決することが可能である。即ち、比表面積が高い多孔質の吸着剤である酸化ケイ素の表面にこれらの塩基性化合物を担持すると、吸着・反応能を充分に発揮でき、しかも、遊離脂肪酸との反応によって生成した金属石鹸が処理後の油に溶解・移行して、油の風味を損なう恐れがなくなる。
【0020】
酸化ケイ素は多孔質の吸着剤として利用されているが、その中でも比表面積が100〜800m2/gであれば好適に使用できる。比表面積が100m2/g未満であると、接触面積が小さく、脱酸、脱色の両性能が充分に発揮されず好ましくない。一方、800m2/gを超えると酸化ケイ素が担体としての形状を保つことが困難となり、構造が破壊されやすくなるため好ましくない。また、平均細孔径が小さくなり、油脂劣化生成物である着色物質や遊離脂肪酸の吸着、または反応に利用できる有効表面積が実質的に減るため、逆に脱酸、脱色の両性能が低下することになる。
【0021】
酸化ケイ素の平均粒子径は50〜400μmであるが、50μm未満であると、フィルタに加工し本装置に用いる場合に、圧力損失が過大となり好ましくない。一方。400μmを超えると、圧力損失は低くなるが、油脂との接触面積が低くなり、脱酸、脱色の両性能が充分に発揮されず好ましくない。
【0022】
上記、塩基性化合物の担持量は1〜40wt%であるが、使用済食用油脂中の酸価の度合いによって適宜、調整することが可能である。塩基性化合物の担持量が1wt%未満であると、脱酸性能が不十分となり、適切でない。一方、40wt%を超えると、それ以上の量を担持しても、脱酸性能は向上せず、過剰の担持になるため適切でない。
【0023】
処理剤Aの配合率は50〜100wt%であるが、50wt%未満であると、脱酸性能が不十分となり好ましくない。
【0024】
次に処理剤Bは、少なくとも使用済食用油脂中の着色物質を選択的に吸着できるものであって、100〜800m2/gの比表面積を有する平均粒子径50〜400μmの酸化ケイ素(SiO2)を0〜50wt%用いる。
【0025】
処理剤Bの比表面積は100〜800m2/gであるが、100m2/g未満であると、接触面積が小さく、脱酸、脱色の両性能が充分に発揮されず好ましくない。一方、800m2/gを超えると酸化ケイ素が担体としての形状を保つことが困難となり、構造が破壊されやすくなるため好ましくない。また、平均細孔径が小さくなり、油脂劣化生成物である着色物質や遊離脂肪酸の吸着、または反応に利用できる有効表面積が実質的に減るため、逆に脱酸、脱色の両性能が低下することになる。
【0026】
処理剤Bの平均粒子径は50〜400μmであるが、50μm未満であると、フィルタに加工し本装置に用いる場合に、圧力損失が過大となり好ましくない。一方。400μmを超えると、圧力損失は低くなるが、油脂との接触面積が低くなり、脱色性能が充分に発揮されず好ましくない。
処理剤Bの配合率は0〜50wt%であるが、50wt%を超えると処理剤Aの配合率が50wt%未満となり、脱酸性能が不十分となり好ましくない。
【0027】
次に前記処理剤AとBとの混合物を濾紙又は濾布製の袋に充填する。このようにして再生処理フィルタを作成する。
【0028】
本発明の第2番目で使用する処理剤Cは酸化ケイ素(SiO2)と酸化アルミニウム(Al23)との合計含有量が乾燥ベースで90wt%以上、Al/Si原子比が0〜0.3である天然粘土、物理化学的処理された天然粘土及び人工合成粘土から選ばれる少なくとも一種類で、平均粒子径が50〜400μmである。
【0029】
処理剤Cの原料として、例えば、スメクタイト系、カオリン系、セピオライト系天然粘土、これらの天然粘土を選別、粉砕、脱水、造粒などの物理的方法で処理して得たもの、硫酸などの鉱物酸またはギ酸などの有機酸で化学処理して得たいわゆる活性白土、純度が高められた人工合成粘土、無定形シリカ・アルミナ、無定形シリカなど、酸化ケイ素(SiO2)と酸化アルミニウム(Al23)との合計含有量が乾燥ベースで90wt%以上、かつAl/Si原子比が0〜0.3の範囲の条件を満たせば、どのようなものでも使える。その中でも、スメクタイト系に属するモンモリロナイト又はすでに鉱物酸で化学処理されたモンモリロナイトが好ましく、また、それらをさらに有機酸で化学処理したものがより好ましい。
【0030】
処理剤Cの平均粒子径は50〜400μmであるが、50μm未満であると、フィルタに加工し本装置に用いる場合に、圧力損失が過大となり好ましくない。一方。400μmを超えると、圧力損失は低くなるが、油脂との接触面積が低くなり、脱色性能が充分に発揮されず好ましくない。
【0031】
本発明の第3番目で使用する処理剤Dは、300〜1500m2/gの比表面積を有する平均粒子径50〜400μmの活性炭を濾紙、又は濾布製の袋に充填してなることを特徴とするものである。
【0032】
処理剤Dの原料としては、食品に使用できるヤシ殻活性炭が好ましい。処理剤Dの比表面積は300〜1500m2/gであるが、300m2/g未満であると、接触面積が小さく、脱酸、脱色の両性能が充分に発揮されず好ましくない。一方、1500m2/gを超えると活性炭が担体としての形状を保つことが困難となり、構造が破壊されやすくなるため好ましくない。また、活性炭の平均細孔径が小さくなり、油脂劣化生成物である着色物質や遊離脂肪酸の吸着、または反応に利用できる有効表面積が実質的に減るため、逆に脱酸、脱色の両性能が低下することになる。
【0033】
処理剤Dの平均粒子径は50〜400μmであるが、50μm未満であると、フィルタに加工し本装置に用いる場合に、圧力損失が過大となり好ましくない。一方。400μmを超えると、圧力損失は低くなるが、油脂との接触面積が低くなり、脱色性能が充分に発揮されず好ましくない。
【0034】
本発明の第4番目で使用する処理剤Eは、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、水酸化マグネシウム及び水酸化カルシウムからなる群から選ばれる少なくとも1種類の化合物を、100〜800m2/gの比表面積を有する平均粒子径100μm以下の酸化ケイ素(SiO2)に1〜40wt%担持してなる処理剤である。
【0035】
また、処理剤Fは、100〜800m2/gの比表面積を有する平均粒子径100μm以下の酸化ケイ素(SiO2))である。
【0036】
そして前記処理剤E50〜100wt%と前記処理剤F0〜50wt%との混合物を、紙に対して5〜80wt%抄紙配合し、エンボス加工によるエンボス深さが0.01〜2.0mm、又はクレープ加工によるクレープ率が1〜20%になるようにロール状に巻き取り加工する。
【0037】
ここでクレープ率とは、抄紙過程で乾燥ドライヤー(送り側)からクレープ(皴)を付けながら、リール(巻取り側)に巻き取る際の、前記ドライヤーの送り速度に対する、前記ドライヤー部とリール部との速度の比率(%)であり下式で表される。
【0038】
(ドライヤーの送り速度−リールの巻取り速度/ドライヤーの送り速度)×100(%)
本発明で用いる処理剤Gは、酸化ケイ素(SiO2)と酸化アルミニウム(Al23)との合計含有量が乾燥ベースで90wt%以上、Al/Si原子比が0〜0.3である天然粘土、物理化学的処理された天然粘土及び人工合成粘土から選ばれる少なくとも一種類で、平均粒子径が100μm以下である。
【0039】
本発明の第6番目で使用する処理剤Hは、300〜1500m2/gの比表面積を有する平均粒子径100μm以下の活性炭である。
【0040】
前記ロール状フィルタに含まれる処理剤の第1形態、第2形態、及び第3形態は、前記充填式フィルタに充填される処理剤の第1形態、第2形態、及び第3形態と同様である。但し、ロール状フィルタに含まれる処理剤E、処理剤F、処理剤G、及び処理剤Hの平均粒子径として、100μm以下、好ましくは40μm以下である。処理剤の平均粒子径が100μmより大きい場合、抄紙配合し、エンボス加工又はクレープ加工等によって仕上げたロール状フィルタの緻密性が低く、処理剤がフィルタから脱落しやすくなるので、好ましくない。
【0041】
本発明の第1番目の再生処理装置においては、使用済食用油脂吸入口又はフライヤーから使用済食用油脂を取り出すための吸入チューブの流路中に、60〜300メッシュのフィルタを着脱自在に取り付けたことが好ましい。
【0042】
前記の再生処理装置において、使用済食用油脂に含まれる揚げ粕などの固形夾雑物を除去するために、吸入チューブ5(図3)の吸入口又は吸入チューブ5(図3)の流路中に、60〜300メッシュの金網フィルタ12(図5)などを着脱自在に取り付けることができる。金網フィルタの目開きは60〜300メッシュであり、好ましくは80〜150メッシュである。60メッシュ未満であると大きな異物が濾過されず、送液ポンプ6へそのまま送られると、故障の原因となるため好ましくない。一方、300メッシュを越えると使用済食用油脂中の微細な固形夾雑物により、金網フィルタに目詰まりが生じやすくなるため好ましくない。
【0043】
本発明の第2番目の再生処理装置においては、使用済食用油脂吸入口又はフライヤーから使用済食用油脂を取り出すための吸入チューブの流路中又は再生処理フィルタを収納する容器を含む再生器の上部入口に、6〜300メッシュのフィルタを着脱自在に取り付けたことが好ましい。
【0044】
前記の再生処理装置において、使用済食用油脂に含まれる揚げ粕などの固形夾雑物を除去するために、吸入チューブ5(図4)の吸入口又は吸入チューブ5(図4)の流路中又は再生処理フィルタを収納する容器を含む再生器9(図4)の上部入口に、6〜300メッシュの金網フィルタ12(図5)などを着脱自在に取り付けることができる。金網フィルタの目開きは6〜300メッシュであり、好ましくは16〜150メッシュである。6メッシュ未満であると大きな異物が濾過されず、吸入チューブ5(図4)や再生器9(図4)へそのまま送られ、流路の目詰まりの原因となるため好ましくない。一方、300メッシュを越えると使用済食用油脂中の微細な固形夾雑物により、金網フィルタに目詰まりが生じやすくなるため好ましくない。
【0045】
また、流路中の冷却固化した油脂を50〜220℃に加熱し溶解可能なようにヒーター及び保温材を取り付けたことが好ましい。
【0046】
前記の再生処理装置において、流路中に残留する使用済食用油脂の固化による配管詰まりを防ぐために油脂を50〜220℃に加熱できるヒーター及び保温材を取り付けることができる。
取り付けるヒーターの設定温度は50〜220℃であり、好ましくは70〜150℃である。50℃未満であると使用済食用固形油脂の溶解が不十分であり好ましくない。一方220℃を超えると油脂の熱的劣化が進むため好ましくない。
【0047】
また、流路中又はフライヤー油槽中に光透過率又は吸光度を測定する光センサーを設置し、光センサーによって特定波長での油の光透過率又は吸光度をモニタリングし、前記の再生処理フィルタを用いて一定時間、使用済食用油脂を再生処理した後においても、光透過率、又は吸光度が特定の範囲を超えている場合に、フィルタ交換が必要であることを知らせる装置を備えたことが好ましい。
【0048】
フィルタの交換時期を知らせることで、フィルタの処理性能が無くなった場合においても、無駄に処理を継続することがなくなり、処理に要する電気代、あるいは処理時間の面でも効率的である。
【0049】
次に、本発明の使用済食用油脂の再生処理フィルタ及びそれを用いた再生処理装置を、図面を用いて詳細に説明する。
【0050】
図1は、再生処理フィルタに使用する充填式フィルタの構造を例示したものである。充填式フィルタは、図1に示すように、平均粒子径50〜400μmの再生処理剤1を袋2に詰めてなるものである。袋2の材質として、濾紙と濾布のいずれかを用いることができる。濾紙または濾布の孔径は、0.1μm以上で、処理剤の平均粒子径以下であり、好ましくは0.5μm以上であり処理剤の平均粒子径以下である。袋2の形状としては、円柱状、長方形、正方形のいずれかでも構わない。袋2に詰める処理剤1の量は、処理される使用済食用油脂の量、及び劣化程度によって異なり、適宜調整することができる。なお、処理剤1の充填高さ、つまりフィルタの厚みは、50〜220℃の油脂を30〜500h-1の空間速度でフィルタを通過する時の圧力損失が0.01〜0.5MPa、好ましくは0.05〜0.3MPaになるように調整される。
【0051】
前記充填式フィルタに充填される処理剤の第1形態として、少なくとも使用済食用油脂中の遊離脂肪酸を選択的に吸着するか油脂にほとんど溶けない化合物に変換できる処理剤A50〜100wt%と、少なくとも使用済食用油脂中の着色物質を選択的に吸着できる処理剤B0〜50wt%との混合物が用いられる。ここに、処理剤Aは、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、水酸化マグネシウム及び水酸化カルシウムからなる群から選ばれる少なくとも1種類の化合物を、100〜800m2/gの比表面積を有する平均粒子径50〜400μmの酸化ケイ素(SiO2)に1〜40wt%担持してなるものであり、処理剤Bは、100〜800m2/gの比表面積を有する平均粒子径50〜400μmの酸化ケイ素(SiO2)である。
【0052】
処理剤Aは、主に使用済食用油脂中の遊離脂肪酸を除去し、酸価を下げる役割を果すものであるが、脱酸機能だけに限定されず、脱色、高粘度重合物の除去、非油脂物質の除去などの機能を併せて持つこともできる。一方、処理剤Bは、主に使用済食用油脂中の着色物質を除去し、色度を低くする役割を果すものであるが、脱色機能だけに限定されず、脱酸、高粘度重合物の除去、非油脂物質の除去などの機能を併せて持つこともできる。処理剤Aと処理剤Bの混合比率は、使用済食用油脂の色度や酸価などによって、調整することができる。例えば、使用済食用油脂の色度が高く、酸価が低い場合、所定の範囲内で処理剤Bの混合比率を高くし、処理剤Aの混合比率を低くすれば、色度と酸価ともに、満足できるレベルまで下げられる。
【0053】
前記充填式フィルタに充填される処理剤の第2形態として、少なくとも使用済食用油脂中の遊離脂肪酸を選択的に吸着するか油脂にほとんど溶けない化合物に変換できる処理剤A50〜100wt%と、少なくとも使用済食用油脂中の着色物質を選択的に吸着できる処理剤C0〜50wt%との混合物が用いられる。ここに、処理剤Aは、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、水酸化マグネシウム及び水酸化カルシウムからなる群から選ばれる少なくとも1種類の化合物を、100〜800m2/gの比表面積を有する平均粒子径50〜400μmの酸化ケイ素(SiO2)に1〜40wt%担持してなるものであり、処理剤Cは、酸化ケイ素(SiO2)と酸化アルミニウム(Al23)との合計含有量が乾燥ベースで90wt%以上、Al/Si原子比が0〜0.3である天然粘土、物理化学的処理された天然粘土及び人工合成粘土から選ばれる少なくとも一種類で、平均粒子径が50〜400μmのものである。
【0054】
処理剤Aは、主に使用済食用油脂中の遊離脂肪酸を除去し、酸価を下げる役割を果すものであるが、脱酸機能だけに限定されず、脱色、高粘度重合物の除去、非油脂物質の除去などの機能を併せて持つこともできる。一方、処理剤Cは、主に使用済食用油脂中の着色物質を除去し、色度を低くする役割を果すものであるが、脱色機能だけに限定されず、脱酸、高粘度重合物の除去、非油脂物質の除去などの機能を併せて持つこともできる。処理剤Aと処理剤Cの混合比率は、使用済食用油脂の色度や酸価などによって、調整することができる。例えば、使用済食用油脂の色度が高く、酸価が低い場合、所定の範囲内で処理剤Cの混合比率を高くし、処理剤Aの混合比率を低くすれば、色度と酸価ともに、満足できるレベルまで下げられる。
【0055】
前記充填式フィルタに充填される処理剤の第3形態として、少なくとも使用済食用油脂中の遊離脂肪酸を選択的に吸着するか油脂にほとんど溶けない化合物に変換できる処理剤A50〜100wt%と、少なくとも使用済食用油脂中の着色物質を選択的に吸着できる処理剤D0〜50wt%との混合物が用いられる。ここに、処理剤Aは、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、水酸化マグネシウム及び水酸化カルシウムからなる群から選ばれる少なくとも1種類の化合物を、100〜800m2/gの比表面積を有する平均粒子径50〜400μmの酸化ケイ素(SiO2)に1〜40wt%担持してなるものであり、処理剤Dは、300〜1500m2/gの比表面積を有する平均粒子径50〜400μmの活性炭である。
【0056】
処理剤Aは、主に使用済食用油脂中の遊離脂肪酸を除去し、酸価を下げる役割を果すものであるが、脱酸機能だけに限定されず、脱色、高粘度重合物の除去、非油脂物質の除去などの機能を併せて持つこともできる。一方、処理剤Dは、主に使用済食用油脂中の着色物質を除去し、色度を低くする役割を果すものであるが、脱色機能だけに限定されず、脱酸、高粘度重合物の除去、非油脂物質の除去などの機能を併せて持つこともできる。処理剤Aと処理剤Dの混合比率は、使用済食用油脂の色度や酸価などによって、調整することができる。例えば、使用済食用油脂の色度が高く、酸価が低い場合、所定の範囲内で処理剤Dの混合比率を高くし、処理剤Aの混合比率を低くすれば、色度と酸価ともに、満足できるレベルまで下げられる。
【0057】
図2は、再生処理フィルタに使用するロール状フィルタの構造を例示したものである。ロール状フィルタは、図2に示すように、平均粒子径100μm以下の処理剤を、紙に対して5〜80wt%、好ましくは15〜50wt%抄紙配合し、エンボス加工によるエンボス深さが0.01〜2.0mm、又はクレープ加工によるクレープ率が1〜20%になるようにロール状に巻き取り加工してなるものである。
【0058】
ロール状フィルタの加工過程において、紙に対する処理剤の配合率は、処理される使用済食用油脂の量、及び劣化程度によって異なり、5〜80wt%の範囲内で適宜調整することができる。より好ましい処理剤配合率の範囲は10〜70wt%である。配合率が5wt%未満であると色度や酸価の改善効果が小さいため好ましくない。一方、80wt%を超えるとロール紙の強度が著しく低下し、好ましくない。
【0059】
前記ロール状フィルタに含まれる処理剤の第1形態、第2形態、及び第3形態は、前記充填式フィルタに充填される処理剤の第1形態、第2形態、及び第3形態と同様である。但し、ロール状フィルタに含まれる処理剤E、処理剤F、処理剤G、及び処理剤Hの平均粒子径として、100μm以下、好ましくは40μm以下である。処理剤の平均粒子径が100μmより大きい場合、抄紙配合し、エンボス加工又はクレープ加工等によって仕上げたロール状フィルタの緻密度が低く、処理剤がフィルタから脱落しやすくなるので、好ましくない。
【0060】
前記ロール状フィルタのエンボス加工によるエンボス深さは0.01〜2.0mm、又はクレープ加工によるクレープ率は1〜20%であるが、好ましくは、エンボス深さは0.05〜1.5mm、クレープ率は5〜15%である。エンボス加工によるエンボス深さが0.01mm未満、又はクレープ加工によるクレープ率が1%未満の場合、流路が狭くなりフィルタの圧力損失が大きくなり、送液ポンプへの負荷が過大となり好ましくない。一方、エンボス加工によるエンボス深さが2.0mmを超えるか、又はクレープ加工によるクレープ率が20%を超えると、ロール紙の弛みが大きくなり、フィルタ形状を保つことが困難になるため好ましくない。
【0061】
最終的に仕上げたロール状フィルタの内径、外形、及び高さは、50〜220℃の油脂を30〜500h-1の空間速度でフィルタを通過する時の圧力損失が0.01〜0.5MPa、好ましくは0.05〜0.3MPaになるように調整される。
【0062】
前記充填式フィルタによる使用済食用油脂中の再生処理は、図3または図4に示すような再生処理装置を用いて行われる。図3に示す再生処理装置において、フライヤー油槽4に入っている使用済食用油脂は、吸入チューブ5を通し、送液ポンプ6によって吸い上げられ、前記充填式フィルタ7と充填式フィルタ7を収納する容器13から構成される再生器9に送り込み、充填式フィルタ7を通過させる。使用済食用油脂は、充填式フィルタ7を通過しているうちに、一次的に再生される。一次的に再生される油脂は、返送チューブ10を通してフライヤー油槽4に返送される。
【0063】
前記の再生処理装置図3において、使用済食用油脂に含まれる揚げ粕などの固形夾雑物を除去するために、吸入チューブ5の吸入口又は吸入チューブ5の流路中に、60〜300メッシュの金網フィルタ12(図5)などを着脱自在に取り付けることができる。金網フィルタの目開きは60〜300メッシュであり、好ましくは80〜150メッシュである。60メッシュ未満であると大きな異物が濾過されず、送液ポンプ6へそのまま送られると、故障の原因となるため好ましくない。一方、300メッシュを越えると使用済食用油脂中の微細な固形夾雑物により、金網フィルタに目詰まりが生じやすくなるため好ましくない。
【0064】
前記の再生処理装置図4において、使用済食用油脂に含まれる揚げ粕などの固形夾雑物を除去するために、吸入チューブ5の吸入口又は吸入チューブの5の流路中又は再生処理フィルタを収納する容器を含む再生器9の上部入口に、6〜300メッシュの金網フィルタ12(図5)などを着脱自在に取り付けることができる。金網フィルタの目開きは60〜300メッシュであり、好ましくは16〜150メッシュである。6メッシュ未満であると大きな異物が濾過されず、吸入チューブ5(図4)や再生器9(図4)へそのまま送られ、流路の目詰まりの原因となるため好ましくない。一方、300メッシュを越えると使用済食用油脂中の微細な固形夾雑物により、金網フィルタに目詰まりが生じやすくなるため好ましくない。
【0065】
前記の再生処理装置において、流路中に残留する使用済食用油脂の固化による配管詰まりを防ぐために油脂を50〜220℃に加熱できるヒーター及び保温材14を取り付けることができる。
取り付けるヒーターの設定温度は50〜220℃であり、好ましくは70〜150℃である。50℃未満であると使用済食用固形油脂の溶解が不十分であり好ましくない。一方220℃を超えると油脂の熱的劣化が進むため好ましくない。
【0066】
前記の再生処理装置において、流路中又はフライヤー油槽中に入っている油脂の光透過率又は吸光度を測定する光センサー16を設置し、光センサー16によって特定波長での油脂の光透過率又は吸光度をモニタリングし、再生処理フィルタを用いて一定時間、使用済食用油脂を再生処理した後においても、光透過率、又は吸光度が特定の範囲を超えている場合に、フィルタ交換が必要であることを知らせる装備が付属することができる(図6)。
【0067】
図3に示す再生処理装置を用いた使用済食用油脂の再生処理は、フライヤー油槽中に入っている使用済食用油脂を所定の温度まで加熱してから、送液ポンプ6を作動し、一定空間速度で使用済食用油脂を所定時間循環させることによって行われる。
【0068】
使用済食用油脂の再生処理に当たって、フライヤー油槽4に入っている使用済食用油脂の温度は、50〜220℃であり、好ましくは80〜180℃の範囲である。使用済食用油脂の温度が50℃未満であると充分な脱酸及び脱色効果が得られず、220℃を超えると油脂の熱的劣化が進み、脱色効果が落ちる可能性がある。特に酸価が高く、劣化が激しい使用済油脂の場合、煙点が新油より低いため、高い温度で処理すると、熱分解に伴う煙が発生することがあるので、好ましくない。
【0069】
また、再生処理過程において、使用済食用油脂が充填式フィルタを通過させる空間速度は、30〜500h-1で好ましくは70〜400h-1である。空間速度が30h-1未満であると処理するために長時間を必要とし、業務上効率的ではない。一方、500h-1を越えるとフィルタの圧力損失が大きくなり、送液ポンプへの負荷が過大となり好ましくない。
【0070】
なお、使用済食用油脂をフィルタへ循環のために要する時間は5〜60minであり、好ましくは10〜40minである。循環時間が5min未満であると使用済食用油脂とフィルタとの接触時間が不十分であり、逆に60minを超えた場合、既にフィルタの脱酸能及び脱色能を使い切っており、これ以上脱酸及び脱色効果は向上しない。
【0071】
一方、図4に示す再生処理装置において、自吸式ポンプ11の吸引力によって、フライヤー油槽4に入っている使用済食用油脂を、吸入チューブ5を通し、充填式フィルタを収納している再生器を通過させる。使用済食用油脂は、充填式フィルタを通過しているうちに、一次的に再生される。一次的に再生される油脂は、ポンプ11により返送チューブ10を通してフライヤー油槽4に返送される。
【0072】
図4に示す再生処理装置を用いた使用済食用油脂の再生処理は、フライヤー油槽中に入っている使用済食用油脂を50〜220℃、好ましくは80〜180℃に加熱してから、自吸式ポンプ1を作動し、使用済食用油脂を循環させることによって行われる。図4に示す再生処理装置による使用済食用油脂の再生処理の最適条件は、図3に示す再生処理装置による使用済食用油脂の再生処理の場合と同様である。
【実施例】
【0073】
次に、本発明の使用済食用油脂の再生処理フィルタ及びそれを用いた再生処理装置に関する実施例を説明する。但し、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
【0074】
まず、再生処理装置の光透過率及び酸価の試験方法について、説明する。
(1)光透過率
本実施例において、脱色性能を評価するパラメータとして、波長530nmの光透過率を用いた。光透過率の測定は、島津製作所の吸光光度計UV−160を用いて行った。なお、光透過率とは、その波長の光の、油への透過強度を空気への透過強度で割った値の百分率であり、この値が小さい程、有色物質が多く、油の劣化が進んでいることを示す。
(2)酸価
本実施例における酸価測定は、日本工業規格(JIS K−3504)の油脂の酸価試験方法に準じて行った。なお、酸価は油中の遊離脂肪酸を水酸化カリウムを用いて中和滴定した値であり、この値が大きい程、水分による加水分解によって、油中の遊離脂肪酸が増加していることを示している。
【0075】
(実施例1)
炭酸マグネシウム(神島化学工業株式会社製)70gを含む懸濁水溶液1900mlを室温で攪拌しながら、76%のギ酸を懸濁水溶液が透明になるまで滴定し、マグネシウムイオン含有水溶液を得た。次に、二酸化ケイ素(水澤化学工業株式会社製、商品名:ミズカソーブC−6)1000gを前記のマグネシウムイオン含有水溶液に含浸した後、120℃で一晩乾燥し、さらに450℃で6時間焼成することによって、約3wt%のMgOを担持した二酸化ケイ素のケーキを得た。前記のケーキを粉砕し、篩にかけることによって粒径150〜300μmのものを処理剤A−1とした。
【0076】
(実施例2)
実施例1と同様な方法で、約15wt%のMgOを担持した二酸化ケイ素のケーキを得た。該ケーキを粉砕し、篩にかけることによって粒径150〜300μmのものを処理剤A−2とした。
【0077】
(実施例3)
(処理剤B−1の調製)
実施例1と同様な方法で、約27.5wt%のMgOを担持した二酸化ケイ素のケーキを得た。該ケーキを粉砕し、篩にかけることによって粒径150〜300μmのものを処理剤A−3とした。
【0078】
(実施例4)
酸化マグネシウム(神島化学工業株式会社製)150gを含む懸濁水溶液1500mlを室温で攪拌しながら、76%のギ酸を懸濁水溶液が透明になるまで滴定し、マグネシウムイオン含有水溶液を得た。次に、二酸化ケイ素(富士シリシア株式会社製、商品名:サイロピュート303)1000gを前記のマグネシウムイオン含有水溶液に含浸した後、120℃で一晩乾燥し、さらに450℃で6時間焼成することによって、約15wt%のMgOを担持した二酸化ケイ素のケーキを得た。前記のケーキを粉砕し、篩にかけることによって粒径150〜300μmのものを処理剤A−4とした。
【0079】
(実施例5)
実施例1で調製した処理剤A−1を直径21.1cmの円筒状濾紙袋に1.8L充填して充填式フィルタF−1を得た。
【0080】
充填式フィルタF−1を用いた使用済食用油脂の再生処理は、図1に示す装置を用いて行った。原料使用済食用油脂として、光透過率5.3%、酸価2.5 mg KOH/gを用いた。フライヤーに20Lの使用済食用油脂を入れて、投げ込み電気ヒーターによってフライヤー油槽の温度を150℃に加熱してから、循環ポンプを作動させ、8L/minの流量で20min循環した。終了後にフライヤー油槽内の油を採取し、その光透過率と酸価を測定した。その結果を表1に示す。
【0081】
(実施例6)
実施例2で調製した処理剤A−2を直径21.1cmの円筒状濾紙袋に1.8L充填してフィルタF−1を得た。フィルタF−2を用いた使用済食用油脂の再生処理は、実施例5と同様に行った。終了後にフライヤー油槽内の油を採取し、その光透過率と酸価を測定した。その結果を表1に示す。
【0082】
(実施例7)
実施例3で調製した処理剤A−3を直径21.1cmの円筒状濾紙袋に1.8L充填してフィルタF−3を得た。フィルタF−3を用いた使用済食用油脂の再生処理は、実施例5と同様に行った。終了後にフライヤー油槽内の油を採取し、その光透過率と酸価を測定した。測定結果を表1に示す。
【0083】
(実施例8)
実施例4で調製した処理剤A−4を直径21.1cmの円筒状濾紙袋に1.8L充填してフィルタF−4を得た。フィルタF−4を用いた使用済食用油脂の再生処理は、実施例5と同様に行った。終了後にフライヤー油槽内の油を採取し、その光透過率と酸価を測定した。測定結果を表1に示す。
【0084】
(実施例9)
実施例2で調製した処理剤A−4と市販二酸化ケイ素(水澤化学工業株式会社製、商品名:ミズカソーブC−6)を150〜300μmに造粒したものを体積比3:1で混合したものを直径21.1cmの円筒状濾紙袋に1.8L充填してフィルタF−5を得た。
【0085】
フィルタF−5を用いた使用済食用油脂の再生処理は、実施例5と同様に行った。終了後にフライヤー油槽内の油を採取し、その光透過率と酸価を測定した。測定結果を表1に示す。
【0086】
(実施例10)
実施例2で調製した処理剤A−4と市販粒状活性白土(水澤化学工業株式会社製、商品名:ガレオナイト#251)を粉砕し篩をかけることによって得た粒径150〜300μmのものを体積比3:1で混合したものを直径21.1cmの円筒状濾紙袋に1.8L充填してフィルタF−6を得た。
【0087】
フィルタF−6を用いた使用済食用油脂の再生処理は、実施例5と同様に行った。終了後にフライヤー油槽内の油を採取し、その光透過率と酸価を測定した。測定結果を表1に示す。
【0088】
(実施例11)
実施例2で調製した処理剤A−4と市販粒状活性炭(日本エンバイロケミカルズ株式会社、商品名:粒状白鷺W2C)を粉砕し篩をかけることによって得た粒径150〜300μmのものを体積比3:1で混合したものを直径21.1cmの円筒状濾紙袋に1.8L充填してフィルタF−7を得た。
【0089】
フィルタF−7を用いた使用済食用油脂の再生処理は、実施例5と同様に行った。終了後にフライヤー油槽内の油を採取し、その光透過率と酸価を測定した。測定結果を表1に示す。
【0090】
(実施例12)
実施例1と同様な方法で、約15wt%のMgOを担持した二酸化ケイ素のケーキを得た後、該ケーキを粉砕し、篩にかけることによって得た粒径20μm以下のものを得た。該15wt%MgOを担持した二酸化ケイ素と市販二酸化ケイ素(水澤化学工業株式会社製、商品名:ミズカソーブC−6)を体積比3:1で混合して、処理剤とした。
【0091】
パルプを溶解させて繊維を取り出す装置であるパルパーにパルプ9kgを仕込み、30分間離解した後、上記処理剤6kgを混合し、10分間離解後チェスト(貯蔵槽)に送り、水で1.5m3(濃度1.0%)まで希釈し、潤滑紙力増強剤0.7kgを加え、抄紙機を用いロール紙を作製した。出来上がったロール紙をエンボス加工機を用いて、7m/minのスピードで、エンボス深さ0.2mmのエンボス加工を施した後、約10m/minにて直径45cm、長さ16cmの紙管に直径21.1cmになるまで仕上げ巻取りを実施し、フィルタ R−1を得た。
【0092】
フィルタR−1を用いた使用済食用油脂の再生処理は、実施例5と同様に行った。終了後にフライヤー油槽内の油を採取し、その光透過率と酸価を測定した。測定結果を表1に示す。
【0093】
(比較例1)
市販シリカ・マグネシア(水澤化学工業株式会社製、商品名:ミズカライフF−1G)直径21.1cmの円筒状濾紙袋に1.8L充填してフィルタF−8を得た。
フィルタF−8を用いた使用済食用油脂の再生処理は、実施例5と同様に行った。終了後にフライヤー油槽内の油を採取し、その光透過率と酸価を測定した。測定結果を表1に示す。
【0094】
(比較例2)
市販二酸化ケイ素(富士シリシア株式会社製、商品名:サイロピュート303)を150〜300μmに造粒したものを直径21.1cmの円筒状濾紙袋に1.8L充填してフィルタF−9を得た。フィルタF−9を用いた使用済食用油脂の再生処理は、実施例5と同様に行った。終了後にフライヤー油槽内の油を採取し、その光透過率と酸価を測定した。測定結果を表1に示す。
【0095】
(比較例3)
市販粒状活性白土(水澤化学工業株式会社製、商品名:ガレオナイト#251)を粉砕し篩をかけることによって得た粒径150〜300μmのものを直径21.1cmの円筒状濾紙袋に1.8L充填してフィルタF−10を得た。
【0096】
フィルタF−10を用いた使用済食用油脂の再生処理は、実施例5と同様に行った。終了後にフライヤー油槽内の油を採取し、その光透過率と酸価を測定した。測定結果を表1に示す。
【0097】
(比較例4)
市販粒状活性炭(日本エンバイロケミカルズ株式会社、商品名:粒状白鷺W2C)を粉砕し篩をかけることによって得た粒径150〜300μmのものを直径21.1cmの円筒状濾紙袋に1.8L充填してフィルタF−11を得た。フィルタF−11を用いた使用済食用油脂の再生処理は、実施例5と同様に行った。終了後にフライヤー油槽内の油を採取し、その光透過率と酸価を測定した。測定結果を表1に示す。
【0098】
(比較例5)
パルプを溶解させて繊維を取り出す装置であるパルパーにパルプ9kgを仕込み、30分間離解した後、市販シリカ・マグネシア(水澤化学工業株式会社製、商品名:ミズカライフF−1G)6kgを混合し、10分間離解後チェスト(貯蔵槽)に送り、水で1.5m3(濃度1.0%)まで希釈し、潤滑紙力増強剤0.7kgを加え、抄紙機を用いロール紙を作成した。出来上がったロール紙をエンボス加工機を用いて、7m/minのスピードで、エンボス深さ0.2mmのエンボス加工を施した後、約10m/minにて直径4.5cm、長さ16cmの紙管に直径21.1cmになるまで仕上げ巻取りを実施し、フィルタR−2を得た。
【0099】
フィルタ R−2を用いた使用済食用油脂の再生処理は、実施例5と同様に行った。終了後にフライヤー油槽内の油を採取し、その光透過率と酸価を測定した。測定結果を表1に示す。
【0100】
【表1】

【0101】
使用済食用油脂の光透過率5.3%、酸価2.5 mg KOH/g、及び新油の光透過率100%、酸価0.22mg KOH/gを表1の値と比較すると、本発明の実施例は、酸価、光透過率ともに、再生処理により新油の値に近づいていることが分かる。また、従来処理と比べて、脱酸効果、脱色効果ともに一段と向上していることが確認できた。
【図面の簡単な説明】
【0102】
【図1】本発明の再生処理フィルタの充填式フィルタ構造の例示図。
【図2】本発明の再生処理フィルタのロール状フィルタ構造の例示図。
【図3】本発明の使用済食用油脂の再生処理装置の第1実施形態を説明するための装置構造図。
【図4】本発明の使用済食用油脂の再生処理装置の第2実施形態を説明するための装置構造図。
【図5】本発明の再生処理装置の使用済食用油脂吸入口に取り付けるフィルタの構造図。
【図6】本発明の再生処理装置において、フィルタ交換時期を知らせる光センサーの取り付け方の例示図。
【符号の説明】
【0103】
1 再生処理剤
2 袋
3 ロール状フィルタ
4 フライヤー油槽
5 吸入チューブ
6 送液ポンプ
7,8 フィルタ
9 再生器
10 返送チューブ
11 吸引ポンプ
12 金網フィルタ
13 フィルタ収納容器
14 ヒーター及び保温材
16 光センサー
17 光度計
18 光ファイバー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも使用済食用油脂中の遊離脂肪酸を選択的に吸着するか油脂にほとんど溶けない化合物に変換できる処理剤A(但し、処理剤Aは、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、水酸化マグネシウム及び水酸化カルシウムからなる群から選ばれる少なくとも1種類の化合物を、100〜800m2/gの比表面積を有する平均粒子径50〜400μmの酸化ケイ素(SiO2)に1〜40wt%担持してなるもの)50〜100wt%と、
少なくとも使用済食用油脂中の着色物質を選択的に吸着できる処理剤B(但し処理剤Bは、100〜800m2/gの比表面積を有する平均粒子径50〜400μmの酸化ケイ素(SiO2))0〜50wt%との混合物を、
濾紙又は濾布製の袋に充填してなる使用済食用油脂の再生処理フィルタ。
【請求項2】
少なくとも使用済食用油脂中の遊離脂肪酸を選択的に吸着するか油脂にほとんど溶けない化合物に変換できる処理剤A(但し、処理剤Aは、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、水酸化マグネシウム及び水酸化カルシウムからなる群から選ばれる少なくとも1種類の化合物を、100〜800m2/gの比表面積を有する平均粒子径50〜400μmの酸化ケイ素(SiO2)に1〜40wt%担持してなるもの)50〜100wt%と、
少なくとも使用済食用油脂中の着色物質を選択的に吸着できる処理剤C(但し、処理剤Cは酸化ケイ素(SiO2)と酸化アルミニウム(Al23)との合計含有量が乾燥ベースで90wt%以上、Al/Si原子比が0〜0.3である天然粘土、物理化学的処理された天然粘土及び人工合成粘土から選ばれる少なくとも一種類で、平均粒子径が50〜400μmであるもの)0〜50wt%との混合物を、
濾紙又は濾布製の袋に充填してなる使用済食用油脂の再生処理フィルタ。
【請求項3】
少なくとも使用済食用油脂中の遊離脂肪酸を選択的に吸着するか油脂にほとんど溶けない化合物に変換できる処理剤A(但し、処理剤Aは、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、水酸化マグネシウム及び水酸化カルシウムからなる群から選ばれる少なくとも1種類の化合物を、100〜800m2/gの比表面積を有する平均粒子径50〜400μmの酸化ケイ素(SiO2)に1〜40wt%担持してなるもの)50〜100wt%と、
少なくとも使用済食用油脂中の着色物質を選択的に吸着できる処理剤D(但し処理剤Dは、300〜1500m2/gの比表面積を有する平均粒子径50〜400μmの活性炭)0〜50wt%との混合物を、
濾紙又は濾布製の袋に充填してなる使用済食用油脂の再生処理フィルタ。
【請求項4】
少なくとも使用済食用油脂中の遊離脂肪酸を選択的に吸着するか油脂にほとんど溶けない化合物に変換できる処理剤E(但し、処理剤Eは、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、水酸化マグネシウム及び水酸化カルシウムからなる群から選ばれる少なくとも1種類の化合物を、100〜800m2/gの比表面積を有する平均粒子径100μm以下の酸化ケイ素(SiO2)に1〜40wt%担持してなる処理剤)50〜100wt%と、
少なくとも使用済食用油脂中の着色物質を選択的に吸着できる処理剤F(但し処理剤Fは、100〜800m2/gの比表面積を有する平均粒子径100μm以下の酸化ケイ素(SiO2))0〜50wt%との混合物を、
紙に対して5〜80wt%抄紙配合し、エンボス加工によるエンボス深さが0.01〜2.0mm、又はクレープ加工によるクレープ率が1〜20%になるようにロール状に巻き取り加工してなる使用済食用油脂の再生処理フィルタ。
【請求項5】
少なくとも使用済食用油脂中の遊離脂肪酸を選択的に吸着するか油脂にほとんど溶けない化合物に変換できる処理剤E(但し、処理剤Eは、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、水酸化マグネシウム及び水酸化カルシウムからなる群から選ばれる少なくとも1種類の化合物を、100〜800m2/gの比表面積を有する平均粒子径100μm以下の酸化ケイ素(SiO2)に1〜40wt%担持してなるもの)50〜100wt%と、
少なくとも使用済食用油脂中の着色物質を選択的に吸着できる処理剤G(但し、処理剤Gは酸化ケイ素(SiO2)と酸化アルミニウム(Al23)との合計含有量が乾燥ベースで90wt%以上、Al/Si原子比が0〜0.3である天然粘土、物理化学的処理された天然粘土及び人工合成粘土から選ばれる少なくとも一種類で、平均粒子径が100μm以下であるもの)0〜50wt%との混合物を、
紙に対して5〜80wt%抄紙配合し、エンボス加工によるエンボス深さが0.01〜2.0mm、又はクレープ加工によるクレープ率が1〜20%になるようにロール状に巻き取り加工してなる使用済食用油脂の再生処理フィルタ。
【請求項6】
少なくとも使用済食用油脂中の遊離脂肪酸を選択的に吸着するか油脂にほとんど溶けない化合物に変換できる処理剤E(但し処理剤Aは、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、水酸化マグネシウム及び水酸化カルシウムからなる群から選ばれる少なくとも1種類の化合物を、100〜800m2/gの比表面積を有する平均粒子径100μm以下の酸化ケイ素(SiO2)に1〜40wt%担持してなるもの)50〜100wt%と、
少なくとも使用済食用油脂中の着色物質を選択的に吸着できる処理剤H(但し処理剤Hは、300〜1500m2/gの比表面積を有する平均粒子径100μm以下の活性炭)0〜50wt%との混合物を、
紙に対して5〜80wt%抄紙配合し、エンボス加工によるエンボス深さが0.01〜2.0mm、又はクレープ加工によるクレープ率が1〜20%になるようにロール状に巻き取り加工してなる使用済食用油脂の再生処理フィルタ。
【請求項7】
フライヤー油槽に挿し込み、フライヤーから使用済食用油脂を取り出すための吸入チューブと、請求項1〜6のいずれか1項に記載の再生処理フィルタと、前記再生処理フィルタを収納する容器を含む再生器と、
前記吸入チューブと再生器の間に介在し、フライヤー中の使用済食用油脂を再生器に送る送液ポンプと、再生器内の再生処理フィルタを通過した油をフライヤーに返送するための戻しチューブを含み、
前記フライヤー油槽中の50〜220℃の使用済食用油脂を、送液ポンプによって、30〜500h-1の空間速度で、5〜60min循環し、再生処理済油脂を得ることを特徴とする使用済食用油脂の再生処理装置。
【請求項8】
フライヤー油槽に挿し込み、フライヤーから使用済食用油脂を取り出すための吸入チューブと、請求項1〜6のいずれか1項に記載の再生処理フィルタと、前記再生処理フィルタを収納する容器を含む再生器と、
前記再生器内の再生処理フィルタを通過した油をフライヤーに返送するための戻しチューブと、前記再生器と戻しチューブの間に介在し、フライヤー中の使用済食用油脂を再生器に通過させるための吸引ポンプを含み、
前記フライヤー油槽中の50〜220℃の使用済食用油脂を、前記吸引ポンプによって、30〜500h-1の空間速度で、5〜60min循環し、再生処理済油脂を得ることを特徴とする使用済食用油脂の再生処理装置。
【請求項9】
使用済食用油脂吸入口又はフライヤーから使用済食用油脂を取り出すための吸入チューブの流路中に、60〜300メッシュのフィルタを着脱自在に取り付けた請求項7に記載の使用済食用油脂の再生処理装置。
【請求項10】
使用済食用油脂吸入口又はフライヤーから使用済食用油脂を取り出すための吸入チューブの流路中又は請求項1〜6のいずれか1項に記載の再生処理フィルタを収納する容器を含む再生器の上部入口に、6〜300メッシュのフィルタを着脱自在に取り付けた請求項8に記載の使用済食用油脂の再生処理装置。
【請求項11】
流路中の冷却固化した油脂を50〜220℃に加熱し溶解可能なようにヒーター及び保温材を取り付けた請求項7又は8に記載の使用済食用油脂の再生処理装置。
【請求項12】
流路中又はフライヤー油槽中に光透過率又は吸光度を測定する光センサーを設置し、光センサーによって特定波長での油の光透過率又は吸光度をモニタリングし、請求項1〜6のいずれか1項に記載の再生処理フィルタを用いて一定時間、使用済食用油脂を再生処理した後においても、光透過率、又は吸光度が特定の範囲を超えている場合に、フィルタ交換が必要であることを知らせる装置を備えた請求項7又は8に記載の使用済食用油脂の再生処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−334221(P2006−334221A)
【公開日】平成18年12月14日(2006.12.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−164310(P2005−164310)
【出願日】平成17年6月3日(2005.6.3)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【出願人】(505404530)株式会社ダイキアクシス (9)
【Fターム(参考)】