説明

使用量測定システム、無線通信用センタ装置および使用量測定システム用プログラム

【課題】自動にて無線電波の通信経路を設定することが可能な使用量測定システム、無線通信用センタ装置および使用量測定システム用プログラムを提供する。
【解決手段】電気、ガス、水道等の使用量を測定する測定器の位置情報に基づき、1ホップにて通信可能な測定器に対しては、センタ装置から直接通信を行う通信経路を、1ホップまたは2ホップにて通信可能な測定器に対しては、センタ装置から直接通信を行う通信経路と1ホップにて通信可能な測定器を中継する通信経路とを、2ホップにて通信可能な測定器に対しては、1ホップまたは2ホップにて通信可能な測定器を中継する通信経路を選択するようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は被測定系の電力、ガス、水道等の使用量を測定する使用量測定システム、無線
通信用センタ装置および使用量測定システム用プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、一般家庭や工場、事業所の電力、ガス、水道等の使用量を測定する使用量測定
システムが普及してきている。当該使用量測定システムは被測定系の使用量を測定する測
定器と、当該測定器で検出された使用量データを特定小電力無線等にて通信する無線子機
と、無線子機から特定小電力無線等にて送信された使用量データを受信する無線親機とを
具備している。(例えば特許文献1)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平6−291867公報(第7頁、図1)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、電気、ガス、水道の無線検針・自動検針が行われるようになってきた。特に省エネ
ルギーが叫ばれている電力分野では、きめ細かな使用電力量の測定が必要とされ、通信機
能を有する使用量測定器が大量に導入されつつある。
【0005】
また、太陽電池の普及に伴い、電力の売買が行われるようになってきている。当該電力の
売買においても通信機能を有する使用量測定器が必要とされている。
【0006】
近年叫ばれているスマートグリッドでは消費電力、発電電力を把握し電力を融通しあうた
め、負荷ごと、家庭ごと、地域ごとに各需要家の消費電力・発電電力を累積計算し、電力
が余っている負荷等と不足している負荷等の間で電力を融通させることが必要とされてい
る。このため、負荷ごと、家庭ごと、地域ごとに電力を測定する使用量測定器が必要とさ
れる。当該使用量測定器は負荷の使用電力量や電力を通信にて送信し、負荷の制御にかか
るコマンドを受信するため通信機能が必要とされる。当該使用量測定器は大量に、既設の
負荷設備等の近傍に取り付けられるため、有線通信としたのでは、新たに通信線を設置す
る必要があり煩雑である。このため使用量測定器の通信媒体として無線電波が用いられる
ことが多い。
【0007】
しかしながら無線電波は、その伝播距離が限られており、無線電波を送受信するセンタ装
置から一定の距離内に設置された使用量測定器としか通信できない。このため、使用量測
定器が他の使用量測定器の無線電波を受信中継し、送信する「マルチホップ」なる通信方
式が存在する。当該「マルチホップ」を用いたネットワークは「アドホックネットワーク
」と呼ばれているが、当該ネットワークにおいては、使用量測定器の無線電波による通信
経路が自動的に決定される手段を有しておらず、人手にて通信経路を設定しなくてはなら
ないという問題点があった。
【0008】
本発明は前記問題点に鑑み、自動にて無線電波の通信経路を設定することが可能な使用
量測定システム、無線通信用センタ装置および使用量測定システム用プログラムを提供す
ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明による使用量測定システムは、需要家が使用した電気
、ガス、水道のうち少なくとも一つの使用量を計量する計量手段と、設置された現在位置
を表す位置情報を送信する第一の送信手段とを具備した複数の使用量測定装置と、
前記複数の使用量測定装置により形成された無線アドホックネットワークと、前記無線ア
ドホックネットワークを形成する前記複数の使用量測定装置の前記第一の送信手段から送
信された前記位置情報を各使用量測定装置毎に記憶する記憶手段と、前記記憶手段に記憶
された位置情報をもとに、各使用量測定装置と無線通信用センタ装置間および各使用量測
定装置間の通信距離を算出する通信距離算出手段と、1ホップにて通信可能な使用量測定
装置に対しては、無線電波にて直接無線通信用センタ装置と通信を行う通信経路を、前記
通信距離算出手段により算出された通信距離を参照して選択する第一の通信経路選択手段
と、1ホップまたは2ホップにて通信可能な使用量測定装置に対しては、無線電波にて直
接前記無線通信用センタ装置と通信を行う通信経路と、前記1ホップにて通信可能な使用
量測定装置により中継された無線電波にて前記無線通信用センタ装置と通信を行う通信経
路とを、前記通信距離算出手段により算出された通信距離を参照して選択する第二の通信
経路選択手段と、2ホップにて通信可能な使用量測定器に対しては、前記1ホップまたは
2ホップにて通信可能な使用量測定装置により中継された無線電波にて前記無線通信用セ
ンタ装置と通信を行う通信経路を、前記通信距離算出手段により算出された通信距離を参
照して選択する第三の通信経路選択手段とを具備した無線通信用センタ装置とを有するこ
とを特徴とする。
【0010】
上記目的を達成するために、本発明による無線通信用センタ装置は、無線アドホックネッ
トワークを形成する複数の使用量測定装置の位置情報を各使用量測定装置毎に記憶する記
憶手段と、前記記憶手段に記憶された位置情報をもとに、各使用量測定装置と無線通信用
センタ装置間および各使用量測定装置間の通信距離を算出する通信距離算出手段と、1ホ
ップにて通信可能な使用量測定装置に対しては、無線電波にて直接無線通信用センタ装置
と通信を行う通信経路を、前記通信距離算出手段により算出された通信距離を参照して選
択する第一の通信経路選択手段と、1ホップまたは2ホップにて通信可能な使用量測定装
置に対しては、無線電波にて直接前記無線通信用センタ装置と通信を行う通信経路と、前
記1ホップにて通信可能な使用量測定装置により中継された無線電波にて前記無線通信用
センタ装置と通信を行う通信経路とを、前記通信距離算出手段により算出された通信距離
を参照して選択する第二の通信経路選択手段と、2ホップにて通信可能な使用量測定器に
対しては、前記1ホップまたは2ホップにて通信可能な使用量測定装置により中継された
無線電波にて前記無線通信用センタ装置と通信を行う通信経路を、前記通信距離算出手段
により算出された通信距離を参照して選択する第三の通信経路選択手段とを具備したこと
を特徴とする。
【0011】
上記目的を達成するために、本発明による使用量測定システム用プログラムは、記憶手段
に記憶された、無線アドホックネットワークを形成する複数の使用量測定装置の位置情報
に基づき、各使用量測定装置と無線通信用センタ装置間および各使用量測定装置間の通信
距離を算出する第一のステップと、1ホップにて通信可能な使用量測定装置に対しては、
無線電波にて直接無線通信用センタ装置と通信を行う通信経路を、前記第一のステップに
より算出された通信距離を参照して選択する第二のステップと、1ホップまたは2ホップ
にて通信可能な使用量測定装置に対しては、無線電波にて直接前記無線通信用センタ装置
と通信を行う通信経路と、前記1ホップにて通信可能な使用量測定装置により中継された
無線電波にて前記無線通信用センタ装置と通信を行う通信経路とを、前記第一のステップ
により算出された通信距離を参照して選択する第三のステップと、
2ホップにて通信可能な使用量測定器に対しては、前記1ホップまたは2ホップにて通信
可能な使用量測定装置により中継された無線電波にて前記無線通信用センタ装置と通信を
行う通信経路を、前記第一のステップにより算出された通信距離を参照して選択する第四
のステップとを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、自動にて無線電波の通信経路を設定することが可能な使用量測定シス
テム、無線通信用センタ装置および使用量測定システム用プログラムを提供することがで
きる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の実施例1にかかる使用量測定システムの構成を示す図
【図2】本発明の実施例1にかかる測定器の構成を示す図
【図3】本発明の実施例1にかかるコンセントレータの構成を示す図
【図4−1】本発明の実施例1にかかるプログラムのフローを示す図
【図4−2】本発明の実施例1にかかるプログラムのフローを示す図
【図4−3】本発明の実施例1にかかるプログラムのフローを示す図
【図5】本発明の実施例1にかかる記憶部303の記憶状態を示す図
【図6】本発明の実施例1にかかる記憶部303の記憶状態を示す図
【図7】本発明の実施例1にかかる記憶部303の記憶状態を示す図
【図8】本発明の実施例1にかかる記憶部303の記憶状態を示す図
【図9】本発明の実施例1にかかる記憶部303の記憶状態を示す図
【図10】本発明の実施例1にかかる記憶部303の記憶状態を示す図
【図11】本発明の実施例1にかかる記憶部303の記憶状態を示す図
【図12】本発明の実施例1にかかる記憶部303の記憶状態を示す図
【図13】本発明の実施例1にかかる記憶部303の記憶状態を示す図
【図14】本発明の実施例1にかかる記憶部303の記憶状態を示す図
【図15】本発明の実施例1にかかる記憶部303の記憶状態を示す図
【図16】本発明の実施例1にかかる記憶部303の記憶状態を示す図
【図17】本発明の実施例1にかかる記憶部303の記憶状態を示す図
【図18】本発明の実施例1にかかる記憶部303の記憶状態を示す図
【図19】本発明の実施例1にかかる記憶部303の記憶状態を示す図
【図20】本発明の実施例1にかかる記憶部303の記憶状態を示す図
【図21】本発明の実施例2にかかる使用量測定システムの構成を示す図
【図22】本発明の実施例2にかかる測定器の構成を示す図
【図23】本発明の実施例2にかかるコンセントレータの構成を示す図
【図24】本発明の実施例2にかかるプログラムのフローを示す図
【図25】本発明の実施例2にかかる記憶部303の記憶状態を示す図
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施例を説明する。
【実施例1】
【0015】
本発明による使用量測定システムの実施例1について図1を参照して説明する。
【0016】
本使用量測定システムは一例として本発明における使用量測定装置としての測定器10
1〜114、無線アドホックネットワーク150、本発明における無線通信用センタ装置
としてのコンセントレータ151、既存ネットワーク152、センタ装置153からなる
ものとする。
【0017】
測定器101は、通信機能付きの電力量計、ガスメータ、水道メータや所謂スマートメー
タ等がこれに該当し、需要家により消費された電力使用量、ガス使用量、または水道使用
量を測定し、無線電波にて当該使用量データ等を送信する。測定器101は、後述する図
2に示す内部構成となっている。なお測定器102〜114も同様の構成となっている。
【0018】
測定器101〜114により無線アドホックネットワーク150が構成されている。なお
アドホックネットワークとは、「一時的で固定的なインフラや集中管理機構がないネット
ワーク」と定義されており、無線通信可能な端末で構成され、当該端末の無線通信による
通信経路は、各端末の位置や信号の変化に応じ自動的に最適なものが選択されるネットワ
ークをいう。なお図1では一例として、無線アドホックネトワーク150は、14台の測
定器により構成されるものとしたが、当該計量器の台数に限られるものではない。
【0019】
コンセントレータ151は、ハブ等により構成された集線装置であり、無線アドホックネ
ットワーク150に接続され、各測定器との間で無線電波による通信を行う。また、コン
セントレータ151は、インターネット等により構成された既存ネットワーク152に接
続されており、測定器101〜114と、既存ネットワーク152を介し接続されるセン
タ装置153との通信の仲介を行う。
【0020】
センタ装置153は、パーソナルコンピュータやミニコン等によりにより構成されており
、測定器101〜114から送信された各需要家の使用量データを受信し、各需要家の使
用料金を算出する。またセンタ装置153は、各測定器101〜114から電力の使用状
況・発電状況にかかる情報等を受信し、例えば電力が不足した需要家に、電力供給を行う
ことが可能な、当該需要家から短距離に位置する需要家を選出し、電力の託送を行う等の
指示を行う。なおセンタ装置153は通常、電力会社、ガス会社、水道局の事務所等に設
置される。
【0021】
次に、測定器101の内部構成について図2を参照して説明する。
【0022】
使用量測定部201は、各種センサやアナログ−デジタル変換器等により構成されており
、需要家により消費された電力使用量、ガス使用量、水道使用量、および発電された発電
量を測定し、デジタルデータとして出力する。
【0023】
通信部202は、RS232C等の有線通信を行う通信回路により構成されており、測定
器101が需要家に設置された時等に、接続される位置情報設定装置(図中不示)との間
で通信を行い、測定器の設置位置を示す緯度・経度・高度等の位置情報を受信する。
【0024】
記憶部203は、不揮発性のRAMのような半導体メモリ等により構成されており、後述
する制御部206により制御され、使用量測定部201により出力された需要家により消
費された電力使用量、ガス使用量、水道使用量、および発電された発電量にかかるデジタ
ルデータを記憶する。また、記憶部203は、通信部202により受信された、測定器の
設置位置を示す緯度・経度・高度等の位置情報を記憶する。
【0025】
無線通信部204は、特定小電力無線等の無線電波送受信回路等により構成されており、
後述する制御部206に制御され、無線アドホックネットワーク150を構成するコンセ
ントレータ151や他の測定器との間で無線電波による通信を行う。
【0026】
表示部205は、液晶表示器や発光ダイオード等により構成されており、需要家により消
費された電力使用量、ガス使用量、水道使用量、および発電された発電量にかかる使用量
データを表示する。また、表示部205は、記憶部203に記憶されている、測定器の設
置位置を示す緯度・経度・高度等の位置情報を表示する。また、表示部205は、通信部
202、無線通信部204の通信状態を表示する。
【0027】
制御部206は、マイクロコンピュータ等により構成されており、通信部202の通信動
作、記憶部203の記憶動作、無線通信部204の通信動作、表示部205の表示動作の
制御を行う。
【0028】
次に、コンセントレータ151の内部構成について図3を参照して説明する。
【0029】
通信部301は、有線通信を行う通信回路により構成されており、既存ネットワーク15
2を介しセンタ装置153との間で通信を行う。
【0030】
無線通信部302は、特定小電力無線等の無線電波送受信回路等により構成されており、
後述する制御部305に制御され、無線アドホックネットワーク150を構成する各測定
器との間で無線電波による通信を行う。測定器101〜114から、各測定器にて測定さ
れた電力使用量、ガス使用量、水道使用量、および発電された発電量、ならびに各測定器
の緯度・経度・高度等の位置情報を受信し、測定器101〜114に対し、電力の託送を
行うよう指示するコマンド等を送信する。
【0031】
記憶部303は、不揮発性のRAMのような半導体メモリ等により構成されており、無線
通信部302により受信された、各測定器の設置位置を示す緯度・経度・高度等の位置情
報を記憶する。また、記憶部303は、後述する制御部305で演算された、各測定器1
01〜114の通信経路にかかるデジタルデータを記憶する。
【0032】
表示部304は、液晶表示器や発光ダイオード等により構成されており、記憶部303に
記憶されている、各測定器の設置位置を示す緯度・経度・高度等の位置情報を表示する。
また、表示部304は、通信部301、無線通信部302の通信状態を表示する。また表
示部304は、後述する制御部305で演算された、測定器101〜114の通信経路に
かかるデジタルデータを表示する。
【0033】
制御部305は、マイクロコンピュータ等により構成されている。本発明にかかる使用量
測定システム用プログラムは制御部305に内蔵されている。制御部305は、通信部3
01の通信動作、無線通信部302の通信動作、記憶部303の記憶動作、表示部304
の表示動作の制御を行うとともに後述する演算を行い、測定器101〜114の、無線電
波による通信経路にかかるデジタルデータの作成を行う。
【0034】
次に、本実施例の動作を図4に示すプログラムのフロー図に基づき、図5〜20を参照し
つつ説明する。
【0035】
図4に示すプログラムは、本発明にかかる使用量測定システム用プログラムであり、コン
セントレータ151の制御部305に格納されている。測定器101が、需要家に新たに
取り付けられる場合、作業者により需要家まで持ち運ばれた、位置情報設定装置(図中不
示)により、測定器101に位置情報が設定される。位置情報設定装置はGPS端末等に
より構成されており、GPS衛星等から位置情報設定装置の現在の緯度・経度・高度等の
位置情報が取得される。当該、緯度・経度・高度等の位置情報は測定器101の通信部2
02を介し、記憶部203に測定器101の位置情報として記憶される。
【0036】
測定器101に記憶された緯度・経度・高度等の位置情報は、作業者の操作によるテスト
送信にて、無線通信部204から無線電波にて送信される。設定された測定器101の緯
度・経度・高度等の位置情報は、無線電波にて無線アドホックネットワーク150を介し
、コンセントレータ151の記憶部303に記憶される。
【0037】
なお、測定器101の記憶部203に緯度・経度・高度等の位置情報が記憶された後、位
置情報設定装置は、測定器101から取外され作業者により持ち帰られる。
【0038】
測定器102〜114についても、上記と同様の手順にて各測定器の記憶部に緯度・経度
・高度等の位置情報が設定される。設定された各測定器の緯度・経度・高度等の位置情報
は、無線電波にて無線アドホックネットワーク150を介し、コンセントレータ
151の記憶部303に記憶される。その結果、コンセントレータ151の記憶部303
には、測定器101〜114の緯度・経度・高度等の位置情報が記憶されている。
【0039】
上記では、各測定器の緯度・経度・高度等の位置情報が、各測定器の記憶部203に一端
記憶され、無線通信部204、無線アドホックネットワーク150を介し、コンセントレ
ータ151の記憶部303に記憶されるようにしたが、前述のGPS端末等からなる位置
情報設定装置(図中不示)を各測定器の設置されている場所にて、インターネット等によ
り構成された既存ネットワーク152に接続し、当該既存ネットワーク152を介しコン
セントレータ151の記憶部303に記憶されるようにしてもよい。
【0040】
コンセントレータ151の記憶部303に記憶された測定器101〜114の緯度・経度
・高度等の位置情報に基づき、測定器101〜114の無線電波にかかる通信経路は以下
の手順にて決定される。
【0041】
まず、測定器101〜114の各測定器とコンセントレータ151との距離を算出し記憶
部303に記憶する(ステップ401)。記憶の形式は、図5に示すように座標形式で記
憶するものとする。なお、単に数値として記憶するものとしてもよい。測定器とコンセン
トレータの距離Dは下記の数式により算出される。
【0042】
=(Xc−Xm)+(Yc−Ym)+k(Zc−Zm)
ここで、Xc、Yc、Zcはそれぞれコンセントレータ151の緯度方向の距離、経度方
向の距離、垂直方向の距離(高度)であり、Xm、Ym、Zmはそれぞれ測定器の緯度方
向の距離、経度方向の距離、垂直方向の距離(高度)である。またkはk≧1なる重み付
け係数である。無線電波は、水平方向より垂直方向の方が伝播しにくいため、垂直方向の
距離(高度)に一定の比率の重み付けを設けたものである。当該定数kは実験等にて得ら
れた定数であり、予めコンセントレータ151の記憶部303に記憶されている。なお、
当該定数kは各測定器ごと設置環境に応じて個別に設定されるようにしてもよい。
【0043】
次に、コンセントレータ側から見た、通信経路候補の選択を行う。
【0044】
コンセントレータ151から直接無線電波にて通信可能な距離(1ホップエリア)に位置
する測定器を選択し、A群として記憶部303に記憶する(ステップ402)。本実施例
では図6に示す測定器101、102、103がA群の測定器として記憶される。
【0045】
次に、無線電波の状態が悪化した場合には、他の測定器により無線電波が中継されるこ
とにより、コンセントレータ151と通信可能な距離(2ホップエリア)に位置する測定
器を選択し、B群として記憶部303に記憶する(ステップ403)。本実施例では図6
に示す測定器104、105、106、107がB群の測定器として記憶される。
【0046】
次に、コンセントレータ151と直接無線電波にて通信可能な距離(1ホップエリア)
および無線電波の状態が悪化した場合には、他の測定器により無線電波が中継されること
により、コンセントレータ151と通信可能な距離(2ホップエリア)に位置する測定器
以外の測定器を選択し、C群として記憶部303に記憶する(ステップ404)。本実施
例では図6に示す測定器108、109、110、111、112、113、114がC
群の測定器として記憶される。
【0047】
次に、コンセントレータ151と直接無線電波にて通信可能な経路(1ホップ)および
無線電波の状態が悪化した場合には、他の測定器により無線電波が中継されることにより
、コンセントレータ151と通信可能な経路(2ホップ)を各測定器毎に選択し、記憶部
303に記憶する(ステップ405)。例えば測定器104については、測定器104か
ら直接コンセントレータ151へ至る1ホップの通信経路、および測定器102を介する
2ホップの通信経路、2つの通信経路が記憶される。同様に各測定器について通信経路が
選択され、図6に示すような経路が記憶部303に記憶される。
【0048】
次に、A群の各測定器側から見た、通信経路候補の選択を行う。
まず、測定器101から直接無線電波にて通信可能な距離(1ホップエリア)に位置する
測定器を選択し、測定器101の1ホップエリア測定器群として記憶部303に記憶する
(ステップ406)。図7に示すとおり、測定器101の1ホップエリア測定器群として
、測定器102、103、106が記憶される。
【0049】
次に、無線電波の状態が悪化した場合には、他の測定器により無線電波が中継されること
により、測定器101と通信可能な距離(2ホップエリア)に位置する測定器を選択し、
測定器101の2ホップエリア測定器群として記憶部303に記憶する(ステップ407
)。図7に示すとおり、測定器101の2ホップエリア測定器群の測定器として、測定器
104、105、108、112が記憶される。
【0050】
次に、測定器101と直接無線電波にて通信可能な距離(1ホップエリア)および無線
電波の状態が悪化した場合には、他の測定器により無線電波が中継されることにより、測
定器101と通信可能な距離(2ホップエリア)に位置する測定器以外の測定器を選択し
、記憶部303に記憶する(ステップ408)。図7に示すとおり、測定器107、10
9、110、111、113、114が記憶される。
【0051】
次に、測定器101と直接無線電波にて通信可能な経路(1ホップ)および無線電波の
状態が悪化した場合には、他の測定器により無線電波が中継されることにより、当該測定
器と通信可能な経路(2ホップ)を各測定器毎に選択し、記憶部303に記憶する(ステ
ップ409)。例えば測定器105については、測定器105から直接測定器101へ至
る1ホップの通信経路、および測定器102を介する2ホップの通信経路、2つの通信経
路が記憶される。同様に各測定器について通信経路が選択され、図7に示すような経路が
記憶部303に記憶される。
【0052】
上記ステップ406〜409は、A群の各測定器について、コンセントレータ151に
近い順に繰り返される。
【0053】
その結果、測定器102については図8、測定器103については図9のような結果を
得る。
【0054】
次に、B群の各測定器側から見た、通信経路候補の選択を行う。
まず、測定器104から直接無線電波にて通信可能な距離(1ホップエリア)に位置する
測定器を選択し、測定器104の1ホップエリア測定器群として記憶部303に記憶する
(ステップ410)。図10に示すとおり、測定器104の1ホップエリア測定器群の測
定器として、測定器102、109が記憶される。
【0055】
次に、無線電波の状態が悪化した場合には、他の測定器により無線電波が中継されること
により、測定器104と通信可能な距離(2ホップエリア)に位置する測定器を選択し、
測定器104の2ホップエリア測定器群として記憶部303に記憶する(ステップ411
)。図10に示すとおり、測定器104の2ホップエリア測定器群の測定器として、測定
器101、103、105、107、111が記憶される。
【0056】
次に、測定器104と直接無線電波にて通信可能な距離(1ホップエリア)および無線
電波の状態が悪化した場合には、他の測定器により無線電波が中継されることにより、測
定器104と通信可能な距離(2ホップエリア)に位置する測定器以外の測定器を選択し
、記憶部303に記憶する(ステップ412)。図10に示すとおり、測定器106、1
08、110、112、113、114が記憶される。
【0057】
次に、測定器104と直接無線電波にて通信可能な経路(1ホップ)および無線電波の
状態が悪化した場合には、他の測定器により無線電波が中継されることにより、当該測定
器と通信可能な経路(2ホップ)を各測定器毎に選択し、記憶部303に記憶する(ステ
ップ413)。例えば測定器105については、測定器105から直接測定器104へ至
る1ホップの通信経路、および測定器102を介する2ホップの通信経路、2つの通信経
路が記憶される。同様に各測定器について通信経路が選択され、図10に示すような経路
が記憶部303に記憶される。
【0058】
上記ステップ410〜413は、B群の測定器について、コンセントレータ151に近
い順に繰り返される。
【0059】
その結果、測定器105については図11、測定器106については図12、測定器1
07については図13のような結果を得る。
【0060】
上記401〜413の各ステップで行われた動作により、記憶部303に記憶された通
信経路を総合すると、図14に示すようになる。当該通信経路はコンセントレータ151
から各測定器への、一次的に選択された通信経路であり、最終的に選択される通信経路の
候補となる。
【0061】
次に、図14に示した一次的に選択された通信経路の候補から、最終的な経路を選択す
る動作を行う。
【0062】
まず、コンセントレータ151から近い順に、A群、B群、C群の各測定器に対し、整
数部にてA群、B群、C群の別を表し、小数部で各群内におおけるコンセントレータ15
1からの距離を表した数値をランクとして付与し、記憶部303に記憶させる(ステップ
414)。例えばA群の測定器102には、実数部を「1」、少数部をコンセントレータ
からの距離に対応した「0.5」とした「1.5」なる数値がランクとして付与され、記
憶部303に記憶される。また、例えばB群の測定器107には、実数部を「2」、少数
部をコンセントレータからの距離に対応した「0.8」とした「2.8」なる数値がラン
クとして付与され、記憶部303に記憶される。また、例えばC群の測定器110には、
実数部を「3」、少数部をコンセントレータからの距離に対応した「0.3」とした「3
.3」なる数値がランクとして付与され、記憶部303に記憶される。各測定器は、整数
部によりコンセントレータ151のA群、B群、C群のいずれに属するかが示された、小
数部によりA群、B群、C群の中でコンセントレータ151からの距離が示された数値(
ランク)が付与される。
【0063】
次に、A群、B群に属する各測定器とコンセントレータ151を直接結ぶ経路を、第一
経路として記憶部303に記憶させる(ステップ415)。図16の太線に示すように、
例えば第一経路として、測定器104とコンセントレータ151を直接結ぶ経路や、測定
器107とコンセントレータ151を直接結ぶ経路などが、記憶部303に記憶される。
【0064】
次に、B群に属する各測定器から、一番近いA郡に属する測定器を、通信を中継する測
定器として選択し、当該通信を中継する測定器を介してコンセントレータ151とを結ぶ
経路を、第二経路として記憶部303に記憶させる(ステップ416)。図17の太点線
に示すように第二経路として、例えば測定器104から測定器102を介しコンセントレ
ータ151とを結ぶ経路や、測定器106から測定器103を介しコンセントレータ15
1とを結ぶ経路などが、記憶部303に記憶される。
【0065】
次に、A群に属する各測定器から、一番近いA郡に属する測定器を、通信を中継する測
定器として選択し、当該通信を中継する測定器を介してコンセントレータ151とを結ぶ
経路を、第二経路として記憶部303に記憶させる(ステップ417)。図18の太点線
に示すように第二経路として、例えば測定器102から測定器101を介しコンセントレ
ータ151とを結ぶ経路や、測定器103から測定器101を介しコンセントレータ15
1とを結ぶ経路などが、記憶部303に記憶される。
【0066】
次に、C群に属する各測定器から、一番近いB郡に属する測定器を、通信を中継する測定
器として選択し、当該通信を中継する測定器を介してコンセントレータ151とを結ぶ経
路を、第一経路として記憶部303に記憶させる(ステップ418)。図19の太点線に
示すように、測定器108については、第一経路として、測定器108から測定器105
を介しコンセントレータ151とを結ぶ経路が、記憶部303に記憶される。
【0067】
次に、C群に属する各測定器から通信可能な範囲で、付与されたランクが一番小さい測定
器を、通信を中継する測定器として選択し、当該通信を中継する測定器を介してコンセン
トレータ151とを結ぶ経路を、第二経路として記憶部303に記憶させる(ステップ4
19)。ここでは、測定器108から近い測定器を選択してもコンセントレータ151か
ら遠い場合、通信が不調となることを考慮し、コンセントレータ151から近い測定器、
つまりランクが小さい測定器を選択することとした。図19の太点線に示すように、測定
器108については、第二経路として、測定器101を介しコンセントレータ151とを
結ぶ経路が、記憶部303に記憶される。
【0068】
更に、C群に属する各測定器から通信可能な範囲で、付与されたランクが二番目に小さい
測定器を、通信を中継する測定器として選択し、当該通信を中継する測定器を介してコン
セントレータ151とを結ぶ経路を、第三経路として記憶部303に記憶させる(ステッ
プ420)。図19の点線に示すように、測定器108については、第三経路として、測
定器102を介しコンセントレータ151とを結ぶ経路が、記憶部303に記憶される。
【0069】
更に、ステップ418、ステップ419、ステップ420にて選択した経路のうち、通信
に適した上位二つの経路を、当該C群に属する測定器の第一経路、第二経路として記憶部
303に記憶させる(ステップ421)。当該通信に適した上位二つの経路の選択は、経
路の総合距離等によりプログラムにより選択するものとしてもよいし、人手による選択で
もよい。測定器108については、測定器108から測定器105を介しコンセントレー
タ151とを結ぶ経路が第一経路として、測定器108から測定器101を介しコンセン
トレータ151とを結ぶ経路が第二経路として、記憶部303に記憶される。
【0070】
これまでの処理により図20に示すように、各測定器につき第一経路ならびに第二経路が
記憶される。なお、測定器から通信可能な範囲に中継に利用できる測定器が複数存在しな
い場合は、第一経路のみが記憶されることになる。
【0071】
コンセントレータ151の制御部305は、記憶部303に記憶された第一経路に基づき
通信を行うよう、無線通信部302から各測定装置に対し指示を行う。また、各測定器の
第一経路にて通信を行い、伝送エラーの発生率が一定値以上となった場合には、各測定器
に対し第二経路にて通信を行うよう指示を行う。
【0072】
本実施例によれば、自動にて無線電波の通信経路を設定することが可能な使用量測定シ
ステム、無線通信用センタ装置および使用量測定システム用プログラムを提供することが
できる。
【0073】
本実施例を用いれば、位置情報に基づき選択された無線電波通信経路を得ることができる
ので、通信の信頼性が高い使用量測定システムを提供することができる。また、各測定器
につき、第一経路、第二経路が設定されるため、通信エラーの発生頻度が高い場合等には
、通信経路を変更することにより、通信エラーの発生頻度を低くすることが可能である。
特に各測定器を現地に設置後、木や建物等、電波の遮蔽物ができた場合等に、無線電波の
通信エラー頻度が上がることが想定されるが、このような場合にも自動で通信エラー頻度
の低い通信経路を選択することができる。
【0074】
本実施例を用いれば、無線電波中継用の測定器を、通信の対象となる測定器側、コンセン
トレータ側の両方から選択し、複数の通信経路として記憶しているため、通信エラーの発
生頻度に応じ、通信経路を選択することにより高品質な通信を行うことができる使用量測
定システム、無線通信用センタ装置および使用量測定システム用プログラムを提供するこ
とができる。
【0075】
本実施例を用いれば、測定器の位置情報は、緯度・経度・高度からなる三次元情報である
ので精度よく、コンセントレータ、測定器との距離を算出することができ、適切な通信経
路を選択することが可能である。
【0076】
無線電波は、水平方向より垂直方向の方が伝播しにくいため、本実施例では、重み付け係
数を用い垂直方向の距離(高度)に一定の比率の重み付けを行い、コンセントレータ、測
定器との距離を算出している。当該算出方法を用いることにより、高層ビル等の階にまた
がる通信等にも対応でき、高品質な通信を行うことができる使用量測定システムを提供す
ることができる。また、前述した重み付け係数をプログラム上、自由に変更することがで
きるようにしておけば、例えばマンションの吹き抜け等により無線電波の伝播が良好な場
合等にも対応することが可能である。
【0077】
本実施例にかかる測定装置の位置情報データ、ならびに無線電波の通信経路にかかるデー
タを、測定器を管理するコンピュータに転送し当該コンピュータの画面に表示させること
により測定器ならびに無線アドホックネットワークの維持管理に役立てることができる。
【0078】
本実施例では、緯度方向の距離、経度方向の距離、重み付け係数kを乗じた垂直方向の距
離(高度)により、測定器とコンセントレータ間の距離を算出するものとしたが、単に緯
度方向の距離と経度方向の距離から、または緯度方向の距離と経度方向の距離と垂直方向
の距離(高度)から測定器とコンセントレータ間の距離を算出するものとしてもよい。
【0079】
なお、本実施例では、コンセントレータ151の制御部305に制御用の使用量測定シス
テム用プログラムを設けることとしたが、センタ装置153内に設けるようにしても良い

【0080】
本発明によれば、自動にて無線電波の通信経路を設定することが可能な使用量測定シス
テム、無線通信用センタ装置および使用量測定システム用プログラムを提供することがで
きる。
【実施例2】
【0081】
本発明による使用量測定システムの実施例2について図21を参照して説明する。なお
、この実施例2の各部について、図1に示す実施例1の使用量測定システムの各部と同一
部分は同一符号で示す。
この実施例2が実施例1と相違する点は、実施例1では測定器101〜114、無線アド
ホックネットワーク150、コンセントレータ151、既存ネットワーク152、センタ
装置153により使用量測定システムが構成されていたのに対し、実施例2では、測定器
161〜174、無線アドホックネットワーク150、コンセントレータ181、既存ネ
ットワーク152、センタ装置153により使用量測定システムが構成されている点であ
る。
【0082】
また、実施例2の測定器161が、実施例1の測定器101と相違する点は、図22に示
すように測定器101では具備していない、他の測定器から送信される電波の強度を測定
する強度測定部210を具備している点である。
【0083】
また、実施例2のコンセントレータ181が、実施例1のコンセントレータ151と相違
する点は、図23に示すようにコンセントレータ151では具備していない、測定器から
送信される電波の強度を測定する強度測定部310を具備している点である。
【0084】
本発明による使用量測定システムの実施例2の動作について図24を参照して説明する
。図24に示すプログラムは本発明にかかる使用量測定システム用プログラムであり、図
4に示すプログラムとともに、コンセントレータ151の制御部311に格納されている

【0085】
測定器161の強度測定部210は、他の測定器から送信され無線通信部204にて受信
された電波の強度を測定する。当該測定された電波の強度にかかるデータは、制御部21
1による制御のもと、無線通信部204を介し、無線電波にて送信される。当該送信され
た電波の強度にかかるデータには、測定器を識別する符号が含まれており、どの測定器か
ら送信された電波の強度であるか識別することが可能である。同様に測定器162〜17
4も、他の測定器から送信された電波の強度にかかるデータを無線電波にて送信する。当
該送信された電波の強度にかかるデータは、無線アドホックネットワーク150を介し、
コンセントレータ181により受信され、コンセントレータ181内の記憶部303に記
憶される(ステップ501)。
【0086】
また、コンセントレータ181の強度測定部310は、測定器161〜174から送信さ
れ無線通信部302にて受信された電波の強度を測定する。当該測定された電波の強度に
かかるデータは、制御部311による制御のもと、記憶部303に記憶される(ステップ
502)。
【0087】
次に、記憶部303に記憶されている各測定器の位置情報に基づき、各測定器(または
コンセントレータ)と測定器間の理論上の電波の強度を算出する(ステップ503)。例
えば測定器162で観測された測定器164の理論上の電波の強度をP(162−164
)とする。
【0088】
次に、コンセントレータ181の制御部311は、ステップ503で算出された理論上
の電波の強度P(m−n)と、実測された電波の強度S(m−n)の差を、電波の伝播ロ
ス分L(m−n)として算出し、電波の伝播ロス分L(m−n)が、予め設定された一定
値Qより大きいかを判断する(ステップ504)。具体的には
L(m−n)=P(m−n)−S(m−n)
を算出しL(m−n)が予め設定された一定値Qより大きいかを判断する。ここでP(m
−n)は、測定器(またはコンセントレータ)mと測定器n間の理論上の電波の強度、S
(m−n)は、測定器(またはコンセントレータ)mと測定器n間の実測された電波の強
度、L(m−n)は、測定器(またはコンセントレータ)mと測定器n間の電波の伝播ロ
ス分である。
【0089】
電波の伝播ロス分であるL(m−n)が予め設定された一定値Qより大きい場合は、測
定器(またはコンセントレータ)mと測定器nの間に障害物があるものと判断し、記憶部
303に記憶する(ステップ505)。
【0090】
例えば、コンセントレータ181の制御部311は、記憶部303に記憶されている測定
器162と測定器164の緯度・経度・高度にかかる位置情報に基づき、両測定器間の理
論上の電波の強度P(162−164)を算出する。当該理論上の電波の強度P(162
−164)と、測定器162で受信された測定器164の電波の強度S(162−164
)とから、電波の伝播ロス分L(162−164)を算出する。
【0091】
L(162−164)=P(162−164)−S(162−164)
電波の伝播ロスL(162−164)が、予め設定された一定値Qより大きい場合は、図
25のイに示すように、障害物が存在する旨、記憶部303に記憶する。
【0092】
例えば、コンセントレータ181の制御部311は、記憶部303に記憶されているコン
セントレータ181と測定器164の緯度・経度・高度にかかる位置情報に基づき、両機
器間の理論上の電波の強度P(181−164)を算出する。当該理論上の電波の強度P
(181−164)と、コンセントレータ181で受信された測定器164の電波の強度
S(181−164)とから、電波の伝播ロス分L(181−164)を算出する。
【0093】
L(181−164)=P(181−164)−S(181−164)
電波の伝播ロスL(181−164)が、予め設定された一定値Qより大きい場合は、図
25のロに示すように、障害物が存在する旨、記憶部303に記憶する。
【0094】
同様に他の測定器(またはコンセントレータ)mと測定器nの間の電波の伝播ロス分L
(m−n)を算出し、電波の伝播ロスL(m−n)が、予め設定された一定値Qより大き
い場合は、障害物が存在する旨、記憶部303に記憶する。
【0095】
上記のピンポイント状の3次元分布を滑らかなペジエ曲面で接続することにより障害物
の分布を推定するようにしても良い。
【0096】
このようにして得られた障害物に関する情報は、コンセントレータ181から各測定器
に送信され、各測定器の記憶部203に記憶される。
【0097】
コンセントレータ181の制御部311は、記憶部303に記憶された障害物に関する
情報に基づき、障害物が存在しない通信経路を優先的に選択する(ステップ506)。
【0098】
本実施例によれば、自動にて無線電波の通信経路を設定することが可能な使用量測定シ
ステム、無線通信用センタ装置および使用量測定システム用プログラムを提供することが
できる。
【0099】
コンセントレータ181と測定器間の無線電波信号は、他の測定器により中継され送信
される。無線電波を中継する測定器は当該測定器の位置情報を有しており、当該障害物の
位置情報は、無線電波の通信経路となる当該測定器の選択に役立てることが可能である。
【0100】
また、各測定器の無線通信部204は、無線電波の出力強度を制御部211にて制御さ
れるようにしておいてもよい。コンセントレータ181は各測定器に最大出力での無線電
波によるデータ送信を行うよう指示を行い、図24に示されたプログラムにて障害物の位
置を推定し無線電波による通信経路を決定する。通信エラーが発生した場合は、各測定器
の無線通信部204の無線電波の出力強度を上げるよう、制御部211が制御するように
しておけば、自動車等の移動する電波遮蔽物や天候等の影響を受けにくい通信を行うこと
が可能となる。また、無線電波の強度に余力があると判断された場合は、無線電波の出力
を下げるよう測定器に指示を行う。無線電波の出力強度を下げることにより余分な送信電
力を節約することが可能である。
【0101】
本実施例を用いれば、測定器の位置情報ならびに障害物の位置情報に基づき選択された無
線電波の通信経路を得ることができるので、通信の信頼性が高い使用量測定システムを提
供することができる。また、各測定器につき、第一通信経路、第二通信経路が設定される
ため、通信エラーの発生頻度が高い場合等には、通信経路を変更することにより、通信エ
ラーの発生頻度を低くすることが可能である。特に各測定器を現地に設置後、木や建物等
、電波の遮蔽物ができた場合等に、無線電波の通信エラー頻度が上がることが想定される
が、このような場合でも自動で通信エラー頻度の低い通信経路を選択することができる。
【0102】
本実施例を用いれば、無線電波中継用の測定器を、通信の対象となる測定器側、コンセン
トレータ側の両方から選択し、複数の通信経路として記憶しているため、通信エラーの発
生頻度により、通信経路を選択することにより高品質な通信を行うことができる使用量測
定システム、無線通信用センタ装置および使用量測定システム用プログラムを提供するこ
とができる。
【0103】
本実施例を用いれば、測定器の位置情報は、緯度・経度・高度からなる三次元情報である
ので精度よく、コンセントレータ、測定器との距離を算出することができ、高品質な通信
を行うことができる使用量測定システム、無線通信用センタ装置および使用量測定システ
ム用プログラムを提供することができる。
【0104】
無線電波は、水平方向より垂直方向の方が伝播しにくいため、本実施例では、垂直方向の
距離(高度)に一定の比率の重み付けを行い、コンセントレータ、測定器との距離を算出
している。当該算出方法を用いることにより、高層ビル等の階にまたがる通信等にも対応
できる高品質な通信を行うことができる使用量測定システムを提供することができる。ま
た、前述した一定の比率の重み付けをプログラム上、自由に変更することができるように
しておけば、例えばマンションの吹き抜け等により無線電波の伝播が良好な場合等にも対
応することが可能である。
【0105】
本実施例にかかる測定器の位置情報データ、ならびに無線電波の通信経路にかかるデータ
を、測定器を管理するコンピュータに転送し当該コンピュータの画面に表示させることに
より、測定器ならびに無線アドホックネットワークの維持管理に役立てることができる。
【0106】
なお、本実施例では、コンセントレータ181の制御部305に制御用の使用量測定シス
テム用プログラムプログラムを設けることとしたが、センタ装置153内に設けるように
しても良い。
【0107】
以上のように本発明によれば、自動にて無線電波の通信経路を設定することが可能な使
用量測定システム、無線通信用センタ装置および使用量測定システム用プログラムを提供
することができる。
【符号の説明】
【0108】
101〜114 測定器
150 無線アドホックネットワーク
151 コンセントレータ
152 既存ネットワーク
153 センタ装置
161〜174 測定器
181 コンセントレータ
201 使用量測定部
202 通信部
203 記憶部
204 無線通信部
205 表示部
206 制御部
210 強度測定部
301 通信部
302 無線通信部
303 記憶部
304 表示部
305 制御部
310 強度測定部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
需要家が使用した電気、ガス、水道のうち少なくとも一つの使用量を計量する計量手段と

設置された現在位置を表す位置情報を送信する第一の送信手段とを具備した複数の使用量
測定装置と、
前記複数の使用量測定装置により形成された無線アドホックネットワークと、
前記無線アドホックネットワークを形成する前記複数の使用量測定装置の前記第一の送信
手段から送信された前記位置情報を各使用量測定装置毎に記憶する記憶手段と、
前記記憶手段に記憶された位置情報をもとに、各使用量測定装置と無線通信用センタ装置
間および各使用量測定装置間の通信距離を算出する通信距離算出手段と、
1ホップにて通信可能な使用量測定装置に対しては、無線電波にて直接無線通信用センタ
装置と通信を行う通信経路を、前記通信距離算出手段により算出された通信距離を参照し
て選択する第一の通信経路選択手段と、
1ホップまたは2ホップにて通信可能な使用量測定装置に対しては、無線電波にて直接前
記無線通信用センタ装置と通信を行う通信経路と、前記1ホップにて通信可能な使用量測
定装置により中継された無線電波にて前記無線通信用センタ装置と通信を行う通信経路と
を、前記通信距離算出手段により算出された通信距離を参照して選択する第二の通信経路
選択手段と、
2ホップにて通信可能な使用量測定器に対しては、前記1ホップまたは2ホップにて通信
可能な使用量測定装置により中継された無線電波にて前記無線通信用センタ装置と通信を
行う通信経路を、前記通信距離算出手段により算出された通信距離を参照して選択する第
三の通信経路選択手段とを具備した無線通信用センタ装置
とを有することを特徴とする使用量測定システム。
【請求項2】
前記第二の通信経路選択手段ならびに第三の通信経路選択手段は、無線通信用センタ装置
に近い、無線アドホックネットワークを形成する他の使用量測定装置に中継される通信経
路と、使用量測定装置に近い、無線アドホックネットワークを形成する他の使用量測定装
置に中継される通信経路を選択することを特徴とする請求項1記載の使用量測定システム

【請求項3】
前記使用量測定装置は、無線通信用センタ装置および他の前記無線アドホックネットワー
クを形成する複数の使用量測定装置から送信された無線電波の強度を測定する第一の測定
手段と、前記第一の測定手段により測定された無線電波の強度にかかるデータを送信する
第二の送信手段とを具備し、
前記無線通信用センタ装置は、前記無線アドホックネットワークを形成する複数の使用量
測定装置から送信された無線電波の強度を測定する第二の測定手段と、
計算上の無線電波の強度と、前記第二の測定手段により測定された無線電波の強度および
前記第二の送信手段により送信された無線電波の強度にかかるデータとの差を算出結果と
する演算を行い、前記算出結果が一定値以上である場合は、無線電波に対する障害物があ
るものと判断し、障害物が存在しない通信経路を優先的に選択する手段とを具備したこと
を特徴とする請求項1乃至2のいずれか1項記載の使用量測定システム。
【請求項4】
前記位置情報は緯度、経度に関する情報および高度に関する情報であることを特徴とする
請求項1乃至3のいずれか1項記載の使用量測定システム。
【請求項5】
前記高度に関する情報は、実際の高度に重み付け係数を乗じた値であることを特徴とする
請求項4記載の使用量測定システム。
【請求項6】
無線アドホックネットワークを形成する複数の使用量測定装置の位置情報を各使用量測定
装置毎に記憶する記憶手段と、
前記記憶手段に記憶された位置情報をもとに、各使用量測定装置と無線通信用センタ装置
間および各使用量測定装置間の通信距離を算出する通信距離算出手段と、
1ホップにて通信可能な使用量測定装置に対しては、無線電波にて直接無線通信用センタ
装置と通信を行う通信経路を、前記通信距離算出手段により算出された通信距離を参照し
て選択する第一の通信経路選択手段と、
1ホップまたは2ホップにて通信可能な使用量測定装置に対しては、無線電波にて直接前
記無線通信用センタ装置と通信を行う通信経路と、前記1ホップにて通信可能な使用量測
定装置により中継された無線電波にて前記無線通信用センタ装置と通信を行う通信経路と
を、前記通信距離算出手段により算出された通信距離を参照して選択する第二の通信経路
選択手段と、
2ホップにて通信可能な使用量測定器に対しては、前記1ホップまたは2ホップにて通信
可能な使用量測定装置により中継された無線電波にて前記無線通信用センタ装置と通信を
行う通信経路を、前記通信距離算出手段により算出された通信距離を参照して選択する第
三の通信経路選択手段と
を具備したことを特徴とする無線通信用センタ装置。
【請求項7】
前記第二の通信経路選択手段ならびに第三の通信経路選択手段は、無線通信用センタ装置
に近い、無線アドホックネットワークを形成する他の使用量測定装置に中継される通信経
路と、使用量測定装置に近い、無線アドホックネットワークを形成する他の使用量測定装
置に中継される通信経路を選択することを特徴とする請求項6記載の無線通信用センタ装
置。
【請求項8】
前記無線アドホックネットワークを形成する複数の使用量測定装置により測定された各使
用量測定装置と無線通信用センタ装置間および各使用量測定装置間の無線電波の強度にか
かるデータを取得するデータ取得手段を具備し、
計算上の無線電波の強度と前記データ取得手段により取得された無線電波の強度にかかる
データとの差を算出結果とする演算を行い、前記算出結果が一定値以上である場合は、無
線電波に対する障害物があるものと判断して、障害物が存在しない通信経路を優先的に選
択することを特徴とする請求項6乃至7のいずれか1項記載の無線通信用センタ装置。
【請求項9】
前記位置情報は緯度、経度に関する情報および高度に関する情報であることを特徴とする
請求項6乃至8のいずれか1項記載の無線通信用センタ装置。
【請求項10】
前記高度に関する情報は、実際の高度に重み付け係数を乗じた値であることを特徴とする
請求項9記載の無線通信用センタ装置。
【請求項11】
記憶手段に記憶された、無線アドホックネットワークを形成する複数の使用量測定装置の
位置情報に基づき、各使用量測定装置と無線通信用センタ装置間および各使用量測定装置
間の通信距離を算出する第一のステップと、
1ホップにて通信可能な使用量測定装置に対しては、無線電波にて直接無線通信用センタ
装置と通信を行う通信経路を、前記第一のステップにより算出された通信距離を参照して
選択する第二のステップと、
1ホップまたは2ホップにて通信可能な使用量測定装置に対しては、無線電波にて直接前
記無線通信用センタ装置と通信を行う通信経路と、前記1ホップにて通信可能な使用量測
定装置により中継された無線電波にて前記無線通信用センタ装置と通信を行う通信経路と
を、前記第一のステップにより算出された通信距離を参照して選択する第三のステップと

2ホップにて通信可能な使用量測定器に対しては、前記1ホップまたは2ホップにて通信
可能な使用量測定装置により中継された無線電波にて前記無線通信用センタ装置と通信を
行う通信経路を、前記第一のステップにより算出された通信距離を参照して選択する第四
のステップと
を有することを特徴とする使用量測定システム用プログラム。
【請求項12】
前記第三のステップならびに第四のステップは、無線通信用センタ装置に近い、無線アド
ホックネットワークを形成する他の使用量測定装置に中継される通信経路と、使用量測定
装置に近い、無線アドホックネットワークを形成する他の使用量測定装置に中継される通
信経路を選択することを特徴とする請求項11記載の使用量測定システム用プログラム。
【請求項13】
前記無線アドホックネットワークを形成する複数の使用量測定装置により測定された各使
用量測定装置と無線通信用センタ装置間および各使用量測定装置間の無線電波の強度にか
かるデータを取得する第五のステップを有し、
計算上の無線電波の強度と前記第五のステップにより取得された無線電波の強度にかかる
データとの差を算出結果とする演算を行い、前記算出結果が一定値以上である場合は、無
線電波に対する障害物があるものと判断して、障害物が存在しない通信経路を優先的に選
択することを特徴とする請求項11乃至12のいずれか1項記載の使用量測定システム用
プログラム。
【請求項14】
前記位置情報は緯度、経度に関する情報および高度に関する情報であることを特徴とする
請求項11乃至13のいずれか1項記載の使用量測定システム用プログラム。
【請求項15】
前記高度に関する情報は、実際の高度に重み付け係数を乗じた値であることを特徴とする
請求項14記載の使用量測定システム用プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4−1】
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【図4−2】
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【図4−3】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【公開番号】特開2013−21516(P2013−21516A)
【公開日】平成25年1月31日(2013.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−153365(P2011−153365)
【出願日】平成23年7月11日(2011.7.11)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】