説明

供給装置

【課題】供給装置において供給材の供給の迅速化と供給機構のコンパクト化を図る。
【解決手段】本発明の供給装置10は、複数の供給材16を縦に積み重ねて収容可能で、その端部に供給材を取り出すための取り出し口15cを備えた収容体15Aと、収容体の前記取り出し口に磁力により吸着保持される蓋体15Bと、収容体を着脱可能に装着する装着部13と、装着部に装着された収容体の取り出し口と対向する表面12aを備え、表面上に供給材に嵌合可能に構成された供給用収容凹部12c及び蓋体に嵌合可能に構成された蓋体用収容凹部12bを有し、少なくとも、蓋体用収容凹部が取り出し口に対向する初期位置、供給用収容凹部が取り出し口に対向する取出位置及び供給用収容凹部に嵌合した供給材を供給する供給位置の間を装着部に対して往復動作可能に構成された可動部材12と、を具備する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は供給装置に係り、特に、回路基板上に電子部品を実装する部品実装装置において用いられるハンダペレットを供給するユニットを構成する場合に好適な供給装置の構造に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、回路基板等に電子部品を実装するための実装装置には、電子部品を供給するための部品供給ユニット、ハンダペレットを供給するためのハンダ供給ユニットなどが設けられている。このハンダ供給ユニットとしては、ハンダシートをプレスで打ち抜いてハンダペレットを形成して回路基板上に移載するように構成された機構を備えたもの(例えば、以下の特許文献1参照)が知られている。
【特許文献1】特開平9−219416号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、前述の特許文献1に記載された方法では、ハンダシートを供給してパンチピンにより打ち抜いてハンダペレットを形成した後、基板を供給して押しピンによりハンダペレットを基板上に付着させるといったことを繰り返すので、供給速度の高速化を図ることが難しく、また、供給材を並列に供給することにより供給速度の高速化を図るために多連式構造を採用すると機構が大型化する。したがって、供給速度の高速化と機構のコンパクト化の両立が困難であるという問題点がある。
【0004】
また、予めハンダシートを打ち抜いて多数のハンダペレットを形成しておき、これらをトレイなどに格納して、移載ユニット等で回路基板上に搬送する方法も考えられるところではあるが、この場合にもトレイの設置スペースや移載ユニットの移動範囲によりコンパクト化が難しいという問題点がある。
【0005】
そこで、本発明は上記問題点を解決するものであり、その課題は、各種の供給材を供給する供給装置において供給材の供給の迅速化と供給機構のコンパクト化を図ることにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
斯かる実情に鑑み、本発明の供給装置は、複数の供給材を縦に積み重ねて収容可能で、その端部に前記供給材を取り出すための取り出し口を備えた収容体と、該収容体の前記取り出し口に磁力により吸着保持される蓋体と、前記収容体を着脱可能に装着する装着部と、該装着部に装着された前記収容体の前記取り出し口と対向する表面を備えるとともに、該表面上に前記供給材に嵌合可能に構成された供給用収容凹部及び前記蓋体に嵌合可能に構成された蓋体用収容凹部を有し、少なくとも、前記蓋体用収容凹部が前記取り出し口に対向する初期位置、前記供給用収容凹部が前記取り出し口に対向する取出位置及び前記供給用収容凹部に嵌合した供給材を供給する供給位置の間を前記装着部に対して往復動作可能に構成された可動部材と、を具備することを特徴とする。
【0007】
この発明によれば、収容体の内部に供給材を縦に積み重ねて収容し、その取り出し口に蓋体を磁力で吸着保持させるとともに、可動部材を初期位置に設定してから収容体を装着部に装着すると、取り出し口上の蓋体は蓋体用収容凹部に嵌合した状態とされる。この状態で、可動部材を移動させると、蓋体用収容凹部に嵌合した蓋体は取り出し口から可動部材の表面に沿って引き離されるので取り出し口が開口した状態とされ、その後、可動部材が取出位置に到達すると取り出し口から出た供給材が供給用収容凹部に嵌合する。そして、可動部材を供給位置にさらに移動させることで供給材を供給することができる。この後は、可動部材を取出位置と供給位置に交互に配置するように往復動作させることで、複数の供給材を次々と供給することができる。また、その後に可動部材を再び初期位置に戻すと、取り出し口は蓋体で閉鎖されるので、そのまま収容体を装着部から外すことが可能になる。
【0008】
本発明では、複数の供給材を収容体の内部に縦に積み重ねて収容し、この収容体に収容された供給材を可動部材の動作によって次々と供給していくことができるため、供給材の供給速度を高めることができるとともに、機構全体をコンパクトに構成することができる。また、収容体の取り出し口を磁力により吸着保持される蓋体で閉鎖し、収容体を装着部に対して着脱可能とすることにより、供給材の収容・取出し等の作業、その他の収容体の取り扱いが容易になる。
【0009】
本発明の一の態様においては、前記可動部材の往復動作を制御する制御部をさらに具備し、該制御部は、前記可動部材を前記初期位置に設定する初期設定ステップと、前記可動部材を前記取出位置と前記供給位置との間で交互に往復させる供給ステップと、を指令に応じて順次に実行する。これによれば、制御部が指令に応じて初期設定ステップと供給ステップを順次に実行するので、たとえば、初期設定ステップにおいて可動部材が初期位置に設定された状態で収容体を装着部に装着し、その後、供給ステップにおいて可動部材が取出位置と供給位置との間で交互に往復する状態として複数の供給材を供給し、さらに、初期設定ステップで可動部材が初期位置に戻して収容体を装着部より取り外すといった一連の作業を行うことができる。ここで、上記指令は、作業者が操作する操作手段(押しボタンやスイッチ等)の出力であってもよく、或いは、収容体が装着部に完全に装着された状態を検出する検出センサの出力信号の有無若しくは変化、収容体中の供給材がなくなったことを検知する検出センサの出力信号の有無若しくは変化、さらには供給材の供給先の装置から与えられる制御信号の有無若しくは変化などであってもよい。
【0010】
本発明の他の態様においては、前記供給材は導電接合材である。ハンダペレット、金ペレット、銀ろう等の導電接合材は高速供給及び供給コストの低減が要求されるために本発明の供給装置を用いることが効果的であり、また、供給材としての導電接合材は傷の発生等に対する高度の配慮を要しないことから本発明の供給装置の供給対象としての適格性を有している。
【0011】
本発明の別の態様においては、前記複数の供給材は前記取り出し口に向けて付勢されている。このように縦に積み重ねられた複数の供給材が取り出し口側に付勢されることにより、一つの供給材が供給用収容凹部に押し出されて取り出されると、次の供給材が取り出し口に押し出されるといったことが繰り返されるため、スムーズに複数の供給材を順次に連続して供給していくことができる。この場合、複数の供給材を取り出し口に向けて付勢する構成としては、供給材の積み重ね方向が垂直となるように収容体が配置されることで重力により供給材が取り出し口に向けて付勢されるようにした構造、これに加えて後述する実施例における挿入軸などを設けることで当該挿入軸等の重量をも用いて付勢する構造、或いは、コイルバネ等の弾性部材の弾性力で供給材を取り出し口に付勢する構造などが挙げられる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態を図示例と共に説明する。図1乃至図4は本発明に係る供給装置の各状態における縦断面図、図5乃至図7は同装置の各状態における平面図である。
【0013】
本実施形態の供給装置10は供給材としてハンダペースト、金ペレット、銀ろう等の導電接合材を供給するための供給ユニットに用いる機構である。ベース11上には水平方向に延長された形状の可動部材(スライダ)12が同方向に往復動作可能に案内される。可動部材12は、図示上面で構成される表面12aを有し、この表面12aには、後述する蓋体15Bに嵌合し、当該蓋体15Bの少なくとも一部を収容する蓋体用収容凹部12bと、後述する供給材16に嵌合し、当該供給材16の少なくとも一部を収容する供給用収容凹部12cとを備えている。
【0014】
図示例の場合、蓋体15Bと供給材16はいずれも薄板状に構成されたもので、蓋体用収容凹部12bと供給用収容凹部12cはいずれも上記薄板状の部材の平面形状全体を収容可能で、かつ、少なくとも当該薄板状の部材の厚みの少なくとも一部を収容可能な凹穴として構成される。また、上記蓋体用収容凹部12b及び供給用収容凹部12cは可動部材12に形成された貫通孔に通気孔17a,18aを備えた凹部形成部材17、18を装着することで構成される。
【0015】
ベース11上には逆U字状に構成された装着部13が上記可動部材12を跨ぐ姿勢で固定される。装着部13は垂直な軸線を有する装着孔13aを有し、この装着孔13aは後述する収容具15を挿通可能に構成される。また、装着部13には収容具15を固定するための固定手段(図示例では止めネジ)14が装備される。
【0016】
収容具15は、端部に取り出し口15cを備えた円筒状の収容筒15Aaと該収容筒15Aaに挿入される挿入軸15Abとを含む収容体15Aと、この収容体15Aの上記収容筒15Aaの先端に取り出し口15cを閉鎖するように取り付けられる蓋体15Bとを有する。図8はこの収容具15の斜視図である。図8に示すように、上記収容筒15Aaには、その先端に形成された取り出し口15cより外周面上を軸線方向に伸びるスリット15dが設けられ、当該スリット15dによって収容筒15Aa内に収容される供給材16(図1参照)を視認できるように、或いは、収容筒15Aa内の塵埃を容易に取り出すことができるように構成される。また、挿入軸15Abは収容筒15Aaの基端より内部に挿入され、収容筒15Aa内に収容される供給材16を取り出し口15c側へ押し出すことができるように構成される。図示例では挿入軸15Abは単に収容筒15Aaに挿入されているだけであるが、収容筒15Aaの内部において図示しない弾性部材等によってその挿入方向に付勢されていてもよい。これによって常時供給材16を取り出し口15cから押し出す応力が加えられた状態とすることができる。
【0017】
蓋体15Bは、収容筒15Aaに対して磁力により吸着保持されるように構成される。図示例の場合には、蓋体15Bが磁石(好ましくは永久磁石)で構成され、収容筒15Aaが強磁性体で構成される。これによって蓋体15Bが取り出し口15cを閉鎖する態様で収容筒15Aaの先端に吸着保持される。もちろん、収容筒15Aa側を着磁し、蓋体15Bを強磁性体としてもよく、双方が着磁されてその間に磁気吸引力が働くように構成しても構わない。
【0018】
また、可動部材12(の側部)には当接部21が設けられ、この当接部21に当接するストッパ(図示例ではネジ等で位置調整可能に構成された停止軸)22,23がベース11に固定され、当接部21とストッパ22,23で構成される位置決め手段により可動部材12の往復動作範囲(後述する初期位置と取出位置の間)が規定される。
【0019】
可動部材12は図示しない周知の駆動手段により図1及び図2の左右方向に往復駆動される。この駆動手段としては、たとえば、エアシリンダ、油圧シリンダ、或いは、送りネジ(ボールネジ)機構やクランク機構と電動モータ等の駆動源などからなる各種の駆動系を用いることができる。
【0020】
可動部材12に固定された上記凹部形成部材17、18の通気孔17a,18aには、図示しない排気装置に接続された吸気経路19が接続され、当該吸気経路19を介した吸気作用によって蓋体用収容凹部12b及び供給用収容凹部12cにそれぞれ蓋体15Bや供給材16を吸着保持できるように構成される。ただし、後述するように、上記吸気経路19を用いた吸着保持自体は必須のものではなく、吸着保持作用を用いずに動作させることも可能であり、特に、蓋体用収容凹部12bの吸引を行う代わりに磁気吸着力を用いることも可能である。
【0021】
本実施形態の供給材16は、例えばハンダペレット、金ペレット、銀ろう等よりなる薄板状の導電接合材であり、図示例では平面視円形のものとなっている。ただし、本発明の供給材16は、平面視円形に限らず、多角形などの任意の平面形状としても全く同様であり、また、薄板状に限らず、粒状、球状などの任意の形状としても構わない。
【0022】
以上説明した構成を有する供給装置10は以下のように動作させることができる。まず、収容具15を装着部13に装着していない状態で、図1及び図5に示すように、可動部材12を蓋体用収容凹部12bが収容具15の取り出し口15cに対向配置されるべき位置(以下、単に「初期位置」という。)に設定する。これが初期設定ステップである。このとき、装着部13の装着孔13aと同軸に可動部材12の蓋体用収容凹部12bが配置される。
【0023】
次に、収容筒15Aaに複数の供給材16を収容し、挿入軸15Ab及び蓋体15Bを装着した収容具15を装着孔13aに挿入し、固定手段14により固定することで装着部13に装着する。このとき、収容具15の先端部にある蓋体15Bは蓋体用収容凹部12bに嵌合し、その少なくとも一部が当該凹部に収容された状態となる。
【0024】
上記状態で、図2及び図6に示すように、可動部材12を図示右側に移動させると、蓋体用収容凹部12bに嵌合していた蓋体15Bは可動部材12とともに移動し、収容筒15Aaの取り出し口15cから離反するので、取り出し口15cは開放された状態とされる。そして、図3及び図7に示すように、可動部材12を供給用収容凹部12cが取り出し口15cに対向配置される位置(以下、単に「取出位置」という。)に到達すると、取り出し口15cを通して供給材16が供給用収容凹部12cに嵌合する。
【0025】
その後、可動部材12を図示左側へ移動させると、供給用収容凹部12cに嵌合していた供給材16は可動部材12とともに移動し、図4に示すように可動部材12が図示左方へ突出した位置(以下、単に「供給位置」という。)に配置され、供給材16もその左方位置で供給用収容凹部12c内に嵌合した状態に配置される。以上が供給ステップである。この状態で図示しない実装機等に設けられた移載機構が供給材16を受け取り、回路基板上などに配置する。
【0026】
上記のようにして、供給ステップでは、可動部材12を取出位置と供給位置との間で往復動作させることで、複数の供給材16を次々と供給していくことができる。そして、たとえば収容具15内の供給材16が全て取り出されて供給され尽くしたとき、可動部材12を再び図1に示す初期位置に戻すことで、蓋体15Bが取り出し口15cを閉鎖した状態となる(初期設定ステップ)。したがって、装着部13から収容具15を取り外せば、当該収容具15に新たな供給材16を収容するなどの作業を施すことが可能になる。もちろん、収容具15内に供給材16が残っている場合でも、可動部材12を初期位置に設定すれば蓋体15Bが取り出し口15cを閉鎖するので、収容具15を装着部13から取り外したときに内部に残った供給材16が零れ落ちることを防止できる。
【0027】
上記の動作は供給装置に設けられる図示しない制御部によって制御される。当該制御部は、例えば周知のマイクロプロセッサユニット、プログラマブルコントローラその他の構成を有する。この制御部は、何らかの指令、例えば、利用者の操作する操作手段(押しボタンや操作スイッチなど)の出力信号の有無若しくは変化等に応じて上記初期設定ステップを実行する。また、この初期設定ステップが実行された後に、利用者の操作する操作手段(押しボタンや操作スイッチなど)の出力信号の有無若しくは変化、装置各部の検出センサ(例えば装着部13に対する収容具の装着が完了したことを検出するセンサ)から出力される出力信号の有無若しくは変化、或いは、供給先の装置から出力される制御信号の有無若しくは変化等に応じて上記供給ステップを実行する。さらにまた、利用者の操作する操作手段(押しボタンや操作スイッチなど)の出力信号の有無若しくは変化、装置各部の検出センサ(例えば収容具内の供給材がなくなったことを検出するセンサ)から出力される出力信号の有無若しくは変化、或いは、供給先の装置から出力される制御信号の有無若しくは変化等に応じて上記初期設定ステップを再び実行する。
【0028】
上記の動作において、収容具15の取り出し口15cに磁力により吸着保持された蓋体15Bは、可動部材12の蓋体用収容凹部12bにより取り出し口15cの開口面若しくは開口縁の端面と平行な方向に引き離されるので、収容筒15Aaと蓋体15Bの間の磁気吸着力(上記端面と垂直な方向の吸着力)がきわめて大きい場合でも比較的容易に取り外すことができる。ここで、本実施形態では、収容具15を装着部13から取り外す際に収容筒15Aaから蓋体15Bが外れてしまうことを防止するために、蓋体用収容凹部12b(すなわち凹部形成部材17)を非磁性材で構成している。
【0029】
ただし、蓋体15Bの取り外し力をさらに低減して可動部材12の駆動負荷を小さくするためには、上記蓋体用収容凹部12bを強磁性体で構成する(すなわち、図示例では凹部形成部材17を強磁性体で構成する)ことも考えられる。この場合には、蓋体15Bと蓋体用収容凹部12bとの間の磁気吸着力を生じさせる一方、収容筒15Aaと蓋体15Bの間の磁気吸着力を減少させることができる。なお、この場合でも収容具15を装着部13から取り外す際に収容筒15Aaから蓋体15Bが外れてしまうことを防止するために、蓋体15Bの収容筒15Aaに対する磁気吸着力を蓋体用収容凹部12b(すなわち凹部形成部材17)に対する磁気吸着力より(好ましくは充分に)大きくなるように構成することが望ましい。
【0030】
この場合、図9に示すように、蓋体15B′を、厚み方向に着磁された磁石(表裏に両磁極を有する磁石、好ましくは永久磁石)よりなる板状の芯材15eを強磁性体よりなる磁性容器15fの内部に収容し、その上面を非磁性材料からなる非磁性板15gで覆った構造とすることにより、収容筒15Aaと蓋体15B′との間の磁気吸着力を比較的強く、蓋体15B′と蓋体用収容凹部12b(凹部形成部材17)との間の磁気吸着力を比較的弱くすることができる。これによって、収容具15を装着部13から取り外す際に蓋体15Bが蓋体用収容凹部12bに吸着して収容筒15Aaから外れてしまうといったことを防止できる。
【0031】
また、蓋体用収容凹部12bの通気孔17aを通して吸引することで、蓋体15Bと蓋体用収容凹部12bとの間の吸着力を生じさせて蓋体15Bの取り外し力を低減させることも可能である。この場合には、収容具15を装着部13から取り外す際には上記吸引を弱くしたり停止したりして上記吸着力を低減若しくは消失させることが好ましい。
【0032】
さらに、上記の動作において、供給材16を供給用収容凹部12cに吸着保持するために、通気孔18aを通して吸引するようにしてもよい。これによれば、取出位置において取り出された供給材16が供給用収容凹部12c内で吸着保持されるので、供給材16の供給用収容凹部12cへの嵌合状態の確実性及び安定性を高めることができ、供給材16の引っ掛かり等を防止できる。この吸引による吸着保持は、公知のバルブ切替等により可動部材12が供給位置に配置された状態で解除されるように構成すれば、供給材16の供給をさらにスムーズに行うことができる。
【0033】
本実施形態によれば、複数の供給材16を縦に積み重ねて収容した状態で可動部材12を往復動作させることにより供給していくため、供給速度を高めることができると同時に装置をコンパクトに構成できる。また、複数の供給材16を収容した収容具15を着脱可能に構成したことで、供給材16の追加や装置の整備が容易になる。さらに、収容具15の取り出し口15cを磁力により吸着保持される蓋体15Bで閉鎖することで、蓋体15Bの取り付け、取り外しがきわめて容易になり、可動部材12の動作によって取り出し口15cを迅速に開閉できる。
【0034】
尚、本発明の供給装置は、上述の図示例にのみ限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。例えば、上記実施形態では可動部材12により供給材16を一つずつ供給するように構成しているが、可動部材12に複数の供給用収容凹部12cを設けることで同時に複数の供給材16を供給可能とすることができる。また、複数の可動部材12を装備することで複数の供給材16を並行して別々に供給することも可能である。
【0035】
また、上記図示例では可動部材12の表面12aが収容具15の取り出し口15cの開口内縁とほぼ一致した面高さを有するとともに、蓋体15Bが嵌合時において蓋体用収容凹部12b内に完全に没し、供給材16が嵌合時において供給用収容凹部12c内に完全に没するように示されているが、上記取り出し口15cの開口内縁と表面12aとの間に隙間が存在し、蓋体15Bの上部が蓋体用収容凹部12bから多少突出するように、供給材16が供給用収容凹部12cから多少突出するように構成されていても構わない。この場合、供給用収容凹部12cの深さを供給材16の厚みより若干小さくし、供給用収容凹部12c内に供給材16が嵌合して収容されたときに供給材16の上部が可動部材12の表面12aより僅かに突出するようにすることで、可動部材12からの供給材16の取り出しが容易になる。
【0036】
次に、図10乃至図14を参照して本発明に係る別の実施形態について説明する。図10は本実施形態の主要部の縦断面図、図11は本実施形態の主要部の正面図(a)及び挿入軸を省略して示す部分平面図(b)、図12は本実施形態の概略側面図、図13は本実施形態の後述する可動停止部材が作動姿勢にあるときの部分側面図、図14は可動停止部材が退避姿勢にあるときの部分側面図、図15は供給材の厚み、供給用収容凹部の深さ及び取り出し口と可動部材の表面との間のクリアランスの関係を示す説明用拡大断面図(a)及び(b)、図16は蓋体の厚み、蓋体用収容凹部の深さ及び上記クリアランスの関係を示す説明用拡大断面図(a)及び(b)である。この実施形態では、図10及び図11に示すように、収容具15′の収容体15Aが収容部(収容筒)15Aa及び挿入軸15Abを有する点で先の実施形態と同様であるが、収容体15Aには収容部15Aaの後方(供給材を供給する側とは反対側)に突出する取付部15Acが設けられ、この取付部15Acが装着部13′に対して上方より取り付け可能に構成されている。
【0037】
取付部15Acの装着部13′に対する取付面(図示の下面)15pは、取付部15Acの下部に着脱可能に装着されたスペーサ15Adの表面によって構成される。スペーサ15Adは所定の厚みを有する板材であり、取付部15Acの取付面15pを装着部13′の被取付面(図示の上面)13pに当接させたとき、収容部15Aaの下端部の取り出し口15cと可動部材12′の表面12aとの間に既定のクリアランスが生ずるように予め厚みが設定される。図15に示すように、この既定のクリアランスCLは、収容部15Aa内に収容された供給材16の厚みT1より小さく、かつ、供給材16が深さD1の供給用収容凹部12cに嵌合したときに当該供給材16が表面12aより突出する高さT1−D1(負の値になる場合もある。)より大きくなるように設定される。すなわち、図15(a)に示すように表面12a上で収容部15Aa内に供給材16が保持されるためにはCL<T1が成立する必要があり、かつ、図15(b)に示すように供給用収容凹部12cに供給材16が嵌合したときに、嵌合した供給材16は取り出し口15cから出ていなければならないので、CL>T1−D1である。さらに、供給材16を一つずつ供給する場合には、次の供給材16の少なくとも一部が取り出し口15cの内部に配置されていなければならないので、2T1>CL+D1となる。これらの条件が満たされることで、先の実施形態で説明した動作が可能になる。
【0038】
一方、蓋体15Bが蓋体用収容凹部12bによって取り外し、取り付け可能に構成されるためには、図16(a)及び(b)に示すように、蓋体15Bの厚みT2、蓋体用収容凹部12bの深さD2とすると、CL>T2−D2(負の値となる場合もある。)で、かつ、収容部15Aaと蓋体15Bとが距離L=CL−(T2−D2)だけ離間したときに蓋体15Bが磁気吸引力で収容部15Aaに吸着可能となっている必要がある。以上の条件を満たす限り、先の実施形態と同様に蓋体15Bの取り外し、取り付けが可能になる。実際には、上記の条件に基づいてクリアランスCL、蓋体15Bの厚みT2及び蓋体用収容凹部12bの深さD2を定めておき、供給材16の厚みT1に応じて、供給用収容凹部12cの深さD1を決定すればよい。クリアランスCLの設定は、上記の条件を満たした上で、収容部15Aaの下端部と可動部材12′の表面12aとの間で供給材16が噛み込んで動作不良を起こしたり、供給材の変形や破断を招いたりすることが防止できる値に調整される。
【0039】
上記取付部15Acと装着部13′は、図11(b)に示すように、被取付面13pから突出するガイドピン13nと取付面15pに設けられたガイド穴15nの嵌合による位置決め構造によって平面的に位置決めされる。この位置決め機構は、上記のガイドピンとガイド穴の組み合わせに限らず、取付面15pと被取付面13pを相互に嵌合させるなど、種々の構造とすることができる。
【0040】
取付部15Acには固定手段14′が設けられ、この固定手段14′により取付部15Acを装着部13′に固定することができるようになっている。固定手段14′は、取付部15Acの上記取付面15pとは反対側の面上に配置された操作部14aと、この操作部14aから突出し、取付部15Acを貫通してその取付面15p上に突き出る、先端にねじ部を有する取付ねじ軸14bと、取付ねじ軸14bの上記ねじ部より操作部14a寄りの部位に装着された抜け止め14cと、操作部14aと取付部15Acとの間に圧縮状態で設けられ、操作部14a及び取付ねじ軸14bを取付面15pとは反対側の面側に付勢する弾性体(コイルばね)14dとを備えている。取付ねじ軸14bは装着部13′の被取付面13pに開口するねじ穴13bに螺合されることで、取付部15cを装着部13′に保持固定する。
【0041】
装着部13′は、可動部材12′と離間して可動部材12′の表面12aの上方に固定した状態で配置される。これは、先の実施形態と同様に装着部13′が可動部材12′を跨いだ状態に固定される構造により実現される。装着部13′(の内部)には光電センサ等の検出器13cが取り付けられ、この検出器13cにより収容部15Aa内の供給材の量を検出可能となるように構成される。図示例の場合、検出器13cは収容部15Aaの開口15w、15vを通過する検出軸を備え、この検出軸に沿った反射光の有無により、挿入軸15Abに設けられた環状溝15qを検出し、供給材が残り少なくなったことを図示しない制御部に通知する。制御部では当該通知後既定時間が経過すると可動部材12′の供給動作を停止させる。
【0042】
なお、開口15v及び15uは収容部15Aa内部の供給材の有無を確認するためののぞき孔、15sは挿入軸15Abの外面に設けられた軸線方向の長溝、15tは当該長溝15sに係合し、収容部15Aaに対する挿入軸15Abの軸線方向の移動を可能とするとともに、挿入軸15Abが収容部15Aaから抜け出ないように保持するための抜け止めピンである。また、可動部材12′は先の実施形態と同様に前後に移動可能に構成されるが、可動部材12′の先端部には凹所12tが設けられ、この凹所12t内に着脱可能に嵌合固定された取付ブロック18′を有し、この取付ブロック18′に供給用収容凹部12cが形成された供給部形成部材18sが着脱可能に嵌合固定される。このように構成すると、供給部形成部材18sを交換することで、異なる外形や厚みを備えた種々の供給材に容易に対応することが可能になる。
【0043】
本実施形態においては、収容具15′を装着部13′に装着したとき、収容部15Aaの下部は装着部13′の前方(供給材を供給する側)に配置される。したがって、収容部15Aaの前方には装着部13′が存在しないように構成されるので、供給材が供給されたときに供給材の受け渡しを行うためのスペースを十分に確保することができる。
【0044】
また、本実施形態では収容具15′の取付部15Acの取付面15pと装着部13′の被取付面13pとが可動部材12′の表面12aと実質的に平行に設けられ、取付面15pと被取付面13pの当接により収容具15′の可動部材12′に対する高さが規定されるので、収容部15Aaの下端部と可動部材12′の表面12aとのクリアランスを精密に設定することができる。特に、取付部15Acの取付面15pが着脱可能なスペーサ15Adによって構成されるため、供給材に合わせてスペーサ15Adを交換することで、上記クリアランスの調整、変更を容易に行うことができる。
【0045】
図12は本実施形態の駆動系を示す概略構成図である。可動部材12′はベース11′上においてリニアガイド等により直線状に往復移動可能に案内されるとともに、図示例ではエアシリンダ等により構成される駆動源30により駆動される。この可動部材12′には共に移動する当接部21′が設けられ、この当接部21′には前方当接点21aと、後方当接点21bとが設けられる。前方当接点21aに対するストッパ22′、後方当接点21bに対するストッパ23′は基本的に先の実施形態と同様の機能を有する。
【0046】
当接部21′には第2の前方当接点21cが設けられ、この前方当接点21cに対するストッパ24aは、フレーム25に対し回動軸24bを中心として回動可能に取り付けられた可動停止部材24(の端部)に設けられている。可動停止部材24はエアシリンダ等の駆動源31により回動されるように構成され、この回動動作により可動停止部材24が作動位置(作動姿勢)と退避位置(退避姿勢)に切り替えられる。図12は可動停止部材24が作動位置にある状態を示し、このとき、可動停止部材24は、フレーム25に設けられた支持部25aにより支持され、これによりストッパ24aが第2の前方当接点21cからの当接力を受け止めることができるようになっている。
【0047】
図13に示すように、駆動源31により作動位置にある可動停止部材24を回動させて退避位置に移行させると、当接部21′の第2の前方当接点21cがストッパ24aに規制されることがなくなるので、可動部材12′は前方当接点21aがストッパ22′に当接するまで前方へ移動可能となる。このように可動停止部材24が退避位置にあるときには、可動部材12′は、前方当接点21aとストッパ22′の当接位置(前端位置)と、後方当接点21bとストッパ23′の当接位置(後端位置)で規定される動作可能範囲S1を有する。上記前端位置は、収容部15Aaの取り出し口15cに対し蓋体用収容凹部12bが対向する上記初期位置に対応し、上記後端位置は、収容部15Aaの取り出し口15cに対し供給用収容凹部12cが対向する上記取出位置に対応する。
【0048】
一方、図14に示すように、可動停止部材24が作動位置にあるときには、当接部21′の第2の前方当接点21cがストッパ24aに規制されるので、可動部材12′は第2の前方当接点21cがストッパ24aに当接する位置を越えて前方へ移動することができなくなる。このように可動停止部材24が作動位置にあるときには、可動部材12′は、第2の前方当接点21cとストッパ24aの当接位置(前端位置)と、後方当接点21bとストッパ23′の当接位置(後端位置)で規定される動作可能範囲S2を有する。すなわち、後端位置は上記の可動停止部材24が退避位置にあるときと同じであるが、前端位置は、上記初期位置ではなく、供給用収容凹部12cが供給材の受け渡し位置に配置される上記供給位置に対応することになる。
【0049】
したがって、可動停止部材24を退避位置に配置させ、可動部材12′が動作可能範囲S1を往復動作可能となるようにすることで、可動部材12′を初期位置に配置することができるので、収容具15の装着及び取外しを行うことができる。一方、既に装着された収容具15′に収容された供給材を供給する場合には可動停止部材24を作動位置に配置し、可動部材12′が取出位置と供給位置の間で上記動作可能範囲S2を往復動作するように構成する。
【0050】
ここで、本実施形態では各当接点とストッパとの機械的当接によって可動部材12′の動作可能範囲S1とS2を切り替えることで、可動部材12′の初期位置、取出位置、供給位置を規定している。このとき、上記機械的当接或いはこれに伴う停止動作をセンサ等で検出し、この検出結果をフィードバックして駆動源30を制御することができる。ただし、このような機械的当接による位置検出に限らず、センサ等によって検出される位置情報に基づいて駆動源を制御することで、可動部材12′の位置及び駆動源の制御を実施することも可能である。
【0051】
なお、本実施形態において説明しなかった事項であって、先の実施形態において説明した各事項については、矛盾が生じない限り、本実施形態にも適用することが可能である。また、本実施形態において説明した各事項についても、矛盾が生じない限り、先の実施形態にも適用することができる。
【0052】
また、上記各実施形態において、前記複数の供給材は前記取り出し口に向けて付勢されている。このように縦に積み重ねられた複数の供給材が取り出し口側に付勢されることにより、一つの供給材が供給用収容凹部に押し出されて取り出されると、次の供給材が取り出し口に押し出されるといったことが繰り返されるため、スムーズに複数の供給材を順次に連続して供給していくことができる。この場合、複数の供給材を取り出し口に向けて付勢する構成としては、上記実施形態のように供給材の積み重ね方向が垂直となるように収容体が配置されることで重力により供給材が取り出し口に向けて付勢されるようにした構造、これに加えて後述する実施例における挿入軸などを設けることで当該挿入軸等の重量をも用いて付勢する構造とすることが最も好ましいが、積み重ね方向が垂直でない場合、例えば積み重ね方向が水平方向である場合には、コイルバネ等の弾性部材の弾性力で背後から供給材を取り出し口に付勢する構造を設けたり、流体圧シリンダなどによって背後から押し出す構造を設けてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】可動部材が初期位置にあるときの実施形態の供給装置の縦断面図。
【図2】可動部材が初期位置から取出位置へ向かう途中の実施形態の縦断面図。
【図3】可動部材が取出位置にあるときの実施形態の縦断面図。
【図4】可動部材が供給位置にあるときの実施形態の縦断面図。
【図5】可動部材が初期位置にあるときの実施形態の供給装置の平面図。
【図6】可動部材が初期位置から取出位置へ向かう途中、或いは、供給位置にあるときの実施形態の平面図。
【図7】可動部材が供給位置にあるときの実施形態の平面図。
【図8】収容具の概略斜視図。
【図9】蓋体の異なる構成例を示す縦断面図。
【図10】別の実施形態の主要部を示す縦断面図。
【図11】別の実施形態の収容具及び装着部を前側より見た様子を示す正面図(a)及び上方より見た様子を示す平面図(b)。
【図12】別の実施形態の駆動系をも含めた全体構成を示す側面図。
【図13】別の実施形態の駆動系の主要部(可動停止部材が退避位置にあるとき)を示す部分側面図。
【図14】別の実施形態の駆動系の主要部(可動停止部材が作動位置にあるとき)を示す部分側面図。
【図15】別の実施形態の供給材の厚みと収容部と可動部材のクリアランスの関係を説明するための拡大部分縦断面図(a)及び(b)。
【図16】別の実施形態の蓋体の厚みと収容部と可動部材のクリアランスとの関係を説明するための拡大部分縦断面図(a)及び(b)。。
【符号の説明】
【0054】
10…供給装置、11…ベース、12…可動部材、12a…表面、12b…蓋体用収容凹部、12c…供給用収容凹部、13…装着部、13a…装着孔、14…固定手段、15…収容具、15A…収容体、15Aa…収容筒、15Ab…挿入軸、15B…蓋体、16…供給材、17、18…凹部形成部材、17a、18a…通気孔、19…吸気経路、21…当接部、22,23…ストッパ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の供給材を縦に積み重ねて収容可能で、その端部に前記供給材を取り出すための取り出し口を備えた収容体と、
該収容体の前記取り出し口に磁力により吸着保持される蓋体と、
前記収容体を着脱可能に装着する装着部と、
該装着部に装着された前記収容体の前記取り出し口と対向する表面を備えるとともに、該表面上に前記供給材に嵌合可能に構成された供給用収容凹部及び前記蓋体に嵌合可能に構成された蓋体用収容凹部を有し、少なくとも、前記蓋体用収容凹部が前記取り出し口に対向する初期位置、前記供給用収容凹部が前記取り出し口に対向する取出位置及び前記供給用収容凹部に嵌合した供給材を供給する供給位置の間を前記装着部に対して往復動作可能に構成された可動部材と、
を具備することを特徴とする供給装置。
【請求項2】
前記可動部材の往復動作を制御する制御部をさらに具備し、
該制御部は、前記可動部材を前記初期位置に設定する初期設定ステップと、前記可動部材を前記取出位置と前記供給位置との間で交互に往復させる供給ステップと、を指令に応じて順次に実行することを特徴とする請求項1に記載の供給装置。
【請求項3】
前記供給材は導電接合材であることを特徴とする請求項1又は2に記載の供給装置。
【請求項4】
前記複数の供給材は前記取り出し口に向けて付勢されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の供給装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2009−283894(P2009−283894A)
【公開日】平成21年12月3日(2009.12.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−317961(P2008−317961)
【出願日】平成20年12月15日(2008.12.15)
【出願人】(592026901)マルゴ工業株式会社 (4)
【Fターム(参考)】