便座装置
【課題】支持体6に対する便座2の着脱が簡単且つ確実にできる。
【解決手段】支持体6に両方の取付用腕部4,5を介して便座2を揺動自在に枢支する一方の枢支部X1及び他方の枢支部X2を備え、他方の枢支部X2は、他方の取付用腕部5から突出する他方枢軸14と、膨出部7の他方側に横向き開設した嵌挿用凹部16へ他方枢軸14を出入れできる他方軸受部15とからなり、他方軸受部15は、支持体軸芯Y1と便座軸芯Y2との交差角θを大きくした便座傾斜姿勢E1のまま他方枢軸14を受け入れでき、他方枢軸14を受け入れたまま交差角θを小さくさせる便座傾斜姿勢E2へ移行させるのに伴い、一方の枢支部X1の一方枢軸10を一方軸受部13の開口部13bを通過させて軸装部13aへ入れることができるように、嵌挿用凹部16の奥側に比べて開口端16b側を大径に形成した。一方の枢支部X1にロック装置26を設けた。
【解決手段】支持体6に両方の取付用腕部4,5を介して便座2を揺動自在に枢支する一方の枢支部X1及び他方の枢支部X2を備え、他方の枢支部X2は、他方の取付用腕部5から突出する他方枢軸14と、膨出部7の他方側に横向き開設した嵌挿用凹部16へ他方枢軸14を出入れできる他方軸受部15とからなり、他方軸受部15は、支持体軸芯Y1と便座軸芯Y2との交差角θを大きくした便座傾斜姿勢E1のまま他方枢軸14を受け入れでき、他方枢軸14を受け入れたまま交差角θを小さくさせる便座傾斜姿勢E2へ移行させるのに伴い、一方の枢支部X1の一方枢軸10を一方軸受部13の開口部13bを通過させて軸装部13aへ入れることができるように、嵌挿用凹部16の奥側に比べて開口端16b側を大径に形成した。一方の枢支部X1にロック装置26を設けた。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、便器本体に取付ける支持体に便座を着脱ができる便座装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、便座を着脱に取り付ける便座取付構造は、便器に固定される固定部材と、固定部材に一対に設けられて対向する穴を備えた軸支持体と、便座軸を備えて軸支持体に回動自在に軸支される便座と、固定部材に装着されるカバーにて構成され、便座軸と穴との間には便座を便座軸の軸芯方向(以下、「便座軸芯方向」という。)へ摺動することにより固定部材から着脱自在とするための隙間を設け、カバーには便座を便座軸芯方向へ摺動するのを規制する摺動規制手段を備えたものがある(特許文献1)。
【特許文献1】特開2003−265361号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、従来の便座取付構造は、固定部材に設けられた一対の軸支持体の穴と便座軸との間に着脱自在とするための隙間が設けられているので、穴に便座軸を挿着しただけでは便座が便座軸芯方向へ摺動して脱落することがあり、便座軸芯方向へ便座が摺動するのを規制するカバーを固定部材に装着する必要がある。そのため、従来の便座取付構造は、大きなカバーを着脱するために多くの手間を要すると共に、カバーの規制を受ける所定位置に便座を配置しつつ固定部材にカバーを装着するのに注意を要し、もしカバーの装着が不完全であると便座の脱落や、便座軸芯方向への便座のガタ付きを招くことがある。
【0004】
本発明は、便座の摺動を規制するカバーを用いることなく、便座の便座軸芯方向へのガタ付きを抑制できると共に、便座の着脱が簡単且つ確実にできる便座装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
便座の便座軸芯方向へのガタ付きを抑制できると共に、便座の着脱が簡単且つ確実にできるようにするために請求項1記載の本発明が採用した手段は、座面を形成した本体部に左右の一方の取付用腕部と左右の他方の取付用腕部を突設した便座と、両方の取付用腕部で挟まれる膨出部を形成した支持体と、支持体に両方の取付用腕部を介して便座を揺動自在に枢支する一方の枢支部及び他方の枢支部とを備え、便座が支持体に対し着脱可能である便座装置において、一方の枢支部は、膨出部から突出する一方枢軸と、一方の取付用腕部に設けられ、軸装部及び軸装部へ一方枢軸を出し入れするための一方枢軸出入用開口部を有する一方軸受部と、ロック装置とを備え、ロック装置は、一方の取付用腕部に揺動自在に設けられ、軸装部から一方枢軸が出ることを阻止しない待機位置から阻止するロック位置まで進退自在なロック具と、ロック具に一体に突設され、ロック具が待機位置のときには膨出部の側面から離隔すると共にロック具がロック位置のときには該側面に対面するガタ防止用突起とを備えたことを特徴とする便座装置である。
【0006】
なお、請求項1に記載の前記他方の枢支部は、膨出部の他方側から突出する他方枢軸と、他方の取付用腕部に設けられ、他方枢軸用軸装部及びこの軸装部へ他方枢軸を便座着脱時に出し入れするための他方枢軸出入用開口部を有する他方軸受部と、他方の取付用腕部に設けられた他方のロック装置とを備え、他方のロック装置が、他方の取付用腕部に設けられ、便座軸芯に沿う揺動軸芯を中心にして、他方枢軸用軸装部から他方枢軸が出ることを阻止しない待機位置から阻止するロック位置まで揺動自在で、且つ便座軸芯に沿ってスラスト移動自在な他方のロック具と、他方の取付用腕部と他方のロック具の間に設けられ、他方のロック具を膨出部へ向かって付勢するスラスト移動用付勢具とを備えるようにすることもある。
【0007】
便座の着脱が簡単且つ確実にできるようにするために請求項2記載の本発明が採用した手段は、前記他方の枢支部は、膨出部及び他方の取付用腕部のいずれか一方から突出する他方枢軸と、これらの他方に開設した嵌挿用凹部へ他方枢軸を出入れできる他方軸受部とを備え、この他方軸受部は、便座枢支の中心となる支持体の支持体軸芯と分離状態の便座の便座軸芯との交差角を大きくした便座傾斜姿勢のまま他方枢軸を受け入れでき、他方枢軸を受け入れたまま両軸芯の交差角を小さくさせる便座傾斜姿勢を経て両軸芯を合致させる便座接合姿勢へ移行させるのに伴い、一方枢軸を一方枢軸出入用開口部を通過させて軸装部へ入れることができるように、嵌挿用凹部の奥側に比べて開口端側を大径に形成した請求項1に記載の便座装置である。
【0008】
なお、請求項2に記載の前記他方軸受部は、嵌挿用凹部の奥側突き当たりに、前記両軸芯を大きく交差させる便座傾斜姿勢のまま他方枢軸を受け入れるときに他方枢軸の一方側外隅部を侵入させる侵入用空間部と、前記両軸芯を小さく交差させる便座傾斜姿勢を経て両軸芯を合致させる便座接合姿勢へ移行させるのに伴い傾動する他方枢軸の先端面を当接させて一方側外隅部を侵入用空間部から引き出させる引出し面とを設けることで、両軸芯を小さく交差させる便座傾斜姿勢を経て両軸芯を合致させる便座接合姿勢へ移行させるのに伴い傾動する他方枢軸の一方側外隅部を侵入用空間部から引き出させて他方枢軸の先端面を引出し面に当接させることで、引き出させた分だけ便座軸芯方向に沿う移動を減少させるので、装着状態の便座の便座軸芯方向に沿うガタ付きを小さくすることができるようになる。
【0009】
便座の円滑な揺動を確保するために請求項3記載の本発明が採用した手段は、前記ガタ防止用突起は、ロック具がロック位置のときに、軸装部へ入っている一方枢軸の外側周囲に位置するように設けられている請求項1又は2記載の便座装置である。
【0010】
ロック状態を確実なものとするために請求項4記載の本発明が採用した手段は、前記ロック装置は、一方の取付用腕部とロック具の間に設けられ、ロック具をロック位置へ付勢するロック用付勢具を備えた請求項1、2又は3記載の便座装置である。
【0011】
支持体の膨出部にロック具を適切な押圧力で当接できるように請求項5記載の本発明が採用した手段は、前記ロック装置は、前記ロック具が便座軸芯に沿う方向へ移動自在に設けられ、一方の取付用腕部とロック具の間に設けられ、ロック具を膨出部へ向かって付勢するスラスト移動用付勢具を備えた請求項1、2、3又は4記載の便座装置である。
【0012】
便座に設けた電気式加熱手段に対してコードレスで且つ安定して給電できるように請求項6記載の本発明が採用した手段は、前記支持体に設けた制御部と、前記支持体における他方軸受部より奥側に設けて制御部に接続した一次コイルと、便座に設けた電気式加熱手段と、前記他方枢軸に設けて加熱手段に接続した二次コイルとからなり、両コイル間の電磁誘導で給電を行うようにした給電装置を備えた請求項2に記載の便座装置である。
【0013】
便座に設けた電気式加熱手段に対してコードレスで且つ安定して給電できるように請求項7記載の本発明が採用した手段は、前記支持体に設けた制御部と、前記支持体における他方枢軸に設けて制御部に接続した一次コイルと、便座に設けた電気式加熱手段と、前記他方軸受部より奥側に設けて加熱手段に接続した二次コイルとからなり、両コイル間の電磁誘導で給電を行うようにした給電装置を備えた請求項2に記載の便座装置である。
【発明の効果】
【0014】
請求項1記載の本発明に係る便座装置は、分離した便座を装着するときには、一方枢軸を一方枢軸出入用開口部を通過させて軸装部へ入れ又は出すことで便座の着脱ができるため、便座の着脱が簡単且つ確実にできる。また、本発明に係る便座装置は、便座装着のときにロック具をロック位置とすることで、軸装部から一方枢軸が抜け出るのを阻止して便座分離を規制できると共に、ロック具と一体のガタ防止用突起を支持体の膨出部の側面に当接又は接近させて、ロック具を設けた一方の取付用腕部の便座軸芯方向への移動を阻止して、便座の便座軸芯方向のガタ付きを抑制することができる。
【0015】
請求項2記載の本発明に係る便座装置は、分離した便座を装着するときには、支持体軸芯と便座軸芯を大きく交差させた便座傾斜姿勢のまま他方枢軸を他方軸受部の嵌挿用凹部の奥側へ挿入した後に、両軸芯を小さく交差させる便座傾斜姿勢を経て両軸芯を合致させるように移行させることで、一方枢軸を一方枢軸出入用開口部を通過させて軸装部へ入れて便座装着ができ、便座を分離するときには、上記操作と逆の操作を行うことで、両軸芯を大きく交差させた便座傾斜姿勢のまま他方枢軸を他方軸受部の嵌挿用凹部の奥側から抜き出して便座分離ができるため、便座の着脱が簡単且つ確実にできる。
【0016】
請求項3記載の本発明に係る便座装置は、便座装着状態でガタ防止用突起が、支持体の膨出部の側面に当接したときであっても、便座の揺動に伴って便座装着状態の一方枢軸の周囲で回動するので、便座の円滑な揺動を確保することができる。
【0017】
請求項4記載の本発明に係る便座装置は、ロック具について待機位置で手を離すとロック用付勢具でロック位置へ移動するので、ロック装置のロック状態を確実なものとすることができる。
【0018】
請求項5記載の本発明に係る便座装置は、便座装着状態でガタ防止用突起が、支持体の膨出部の側面に当接したときであっても、便座軸芯に沿って可動な状態で膨出部の側面へ向かって付勢されているので、支持体の膨出部に対してロック具を適切な押圧力で当接させることができる。
【0019】
請求項6記載の本発明に係る便座装置は、支持体から便座へ両コイル間の電磁誘導による無配線方式で給電を行うことができるので、支持体と便座の間に給電用コードを備える必要がなく、電気式加熱手段を設けた便座の分離をコードレスで簡単にできると共に、便座の便座軸芯方向のガタ付きを抑制することで、一次コイルと二次コイルの間の距離を一定に維持して安定した給電を確保できる。本発明に係る便座装置は、便座の他方の取付用腕部から突出する他方枢軸が支持体の膨出部側に備えた他方軸受部に比べて小さなスペースですむことから、他方の取付用腕部側をコンパクトにすることができ、便座の扱いがし易くなる。
【0020】
請求項7記載の本発明に係る便座装置は、支持体から便座へ両コイル間の電磁誘導による無配線方式で給電を行うことができるので、支持体と便座の間に給電用コードを備える必要がなく、電気式加熱手段を設けた便座の分離をコードレスで簡単にできると共に、便座の便座軸芯方向のガタ付きを抑制することで、一次コイルと二次コイルの間の距離を一定に維持して安定した給電を確保できる。本発明に係る便座装置は、便座の他方の取付用腕部に他方枢軸を出入れできる嵌挿用凹部を開設した他方軸受部を備えるので、便座を着脱するときに誤って便座を落としたとしても、他方の取付用腕部で保護される他方軸受部を破損させることもなく、便座を円滑に着脱させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
(第1の実施の形態)
図1乃至図15は本発明に係る便座装置(以下、「本発明便座装置」と言う。)の第1の実施の形態を示すものであって、図1は支持体6に便座2を装着した状態の本発明便座装置1の概略構成を示す平面図、図2は同装着状態の本発明便座装置1の左側面図、図3は図2の一点鎖線イで囲まれた箇所を拡大して示す断面図である。図4は一方の枢支部X1の一方軸受部13及びロック装置26を示すものであって、図(A)は右側面図、図(B)は背面図、図(C)は平面図、図(D)は底面図である。図5は一方の枢支部X1を示すものであって、図(A)は一方枢軸10と一方軸受部13の分離状態を示す左側面図、図(B)は同分離状態を示す正面図、図(C)は一方軸受部13に一方枢軸10を入れている途中の状態を示す左側面図、図(D)は同状態を示す正面図である。図6は一方の枢支部X1を示すものであって、図(A)は一方軸受部13に一方枢軸10を入れてロック装置26が非ロック状態の左側面図、図(B)は同状態を示す正面図、図(C)は一方軸受部13に一方枢軸10を入れてロック装置26をロック状態とした左側面図、図(D)は同状態を示す正面図である。
【0022】
図7は他方の枢支部X2を示すものであって他方軸受部15と他方枢軸14の接合状態の正面図である。図8は他方の枢支部X2の他方枢軸14を示すものであって、図(A)は部分断面した正面図、図(B)は左側面図である。図9は他方の枢支部X2の他方軸受部15を示すものであって、図(A)は便座接合作業の開始状態の他方枢軸14を二点鎖線で示す正面図、図(B)は右側面図である。図10は他方の枢支部X2の他方軸受部15を示すものであって、図(A)は便座接合作業の完了状態の他方枢軸14を二点鎖線で示す正面図、図(B)は同状態の右側面図である。図11は便座を水平な姿勢にして便座接合作業ができるようにした態様の他方の枢支部X2の他方軸受部15を示すものであって、図(A)は便座接合作業の開始状態の他方枢軸14を二点鎖線で示す平面図、図(B)は右側面図である。図12は異物侵入防止具41を備えた態様の他方の枢支部X2を示すものであって他方軸受部15と他方枢軸14の接合状態の正面図である。図13は異物侵入防止具41を備えた態様の他方の枢支部X2の他方枢軸14を示すものであって、図(A)は部分断面した正面図、図(B)は左側面図である。
【0023】
図14及び図15は支持体6に便座2を装着する手順を示す部分断面した正面図であって、図14(A)は支持体6と便座2を完全に分離した状態を示し、図14(B)は便座傾斜姿勢のまま他方軸受部15の嵌挿用凹部16へ他方枢軸14を挿入する装着開始状態を示し、図15(A)は一方の枢支部X1の一方枢軸10へ一方軸受部13を接近させた状態を示し、図15(B)は便座2の装着状態を示す。なお、図中に「伏倒状態」と記述されている便座2は、水平な状態に倒れて着座使用可能な状態になっており、図中に「起立状態」と記述されている便座2は、揺動中心側(便座後方側)を下にして揺動先端側(便座前方側)を起こした状態となっている(以下同様)。
【0024】
本発明便座装置1は、図1に示す如く、便器(図示省略)の後方上面に設置される支持体6と、支持体6に揺動自在に支持される便座2と、支持体6に便座2を揺動自在に枢支する左右の一方(本例では「左」を言う。以下同様)の枢支部X1及び左右の他方(本例では「右」を言う。以下同様)の枢支部X2を備え、支持体6に対して便座2が両方の枢支部X1,X2を介して着脱可能になっている。なお、本発明便座装置1は、図1に示す態様のものと左右対称に形成して、一方を「右」とすると共に他方を「左」とすることもある。
【0025】
前記便座2は、図1及び図2に示す如く、着座面(着座した使用者の臀部の接触が予定される部分)3aを形成した本体部3と、本体部3の揺動中心側となる後方の両側に突設した一方の取付用腕部4及び他方の取付用腕部5とからなる。便座2は、本体部3の内部に、電気式加熱手段H、温度センサT及び便座側制御部C2が設けられ、便座側制御部C2で加熱手段H及び温度センサTの通電を制御するようにしてある。
【0026】
前記加熱手段Hは、図1〜図3に示す如く、本体部3の着座面3aを形成する表面材3bの裏面側に設けた鉄・銅・アルミニウム等の金属や、これらを主体とする合金又は金属化合物などの導電性材料をシート状の形態とした発熱体17と、発熱体17の下方側で底板3c上に設けた誘導コイル18と、発熱体17と誘導コイル18の間に充填した断熱層19との組み合わせからなり、誘導コイル18で発熱体17に渦電流を生じさせて発熱体17を発熱させて着座面3aを迅速に昇温するようにしてある。加熱手段Hは、誘導加熱による迅速加熱方式に限定するものではなく、面状等の電気ヒータで構成することもある。便座側制御部C2は、温度センサTが出力する温度信号を高周波信号に変換して、図1に示す一方の枢支部X1に設けた信号伝達部20の一次信号コイル21及び二次信号コイル22を介して、後述する支持体側制御部C1へ伝送する機能を有している。
【0027】
前記支持体6は、図1に示す如く、例えば箱状の形態を有し、前記便座2の両方の取付用腕部4,5で挟まれる膨出部7を前面部に形成してある。前記支持体6は、その内部に、電源Wに接続されて電力の供給を受けると共に前記信号伝達部20の二次信号コイル22を介して温度信号を受ける支持体側制御部C1が設けられている。支持体側制御部C1は、他方の枢支部X2に設けられる給電装置23と、もう一方の枢支部X1に設けられる駆動モータMとに電力を供給する。給電装置23は、他方の枢支部X2に設けて制御部C1に接続した一次コイル24(図7参照)と、他方の枢支部X2に設けて加熱手段Hに接続した二次コイル25(図7参照)とからなり、両コイル間の電磁誘導で給電を行うようにしてある。駆動モータMは、便座2を強制的に揺動させたり、便蓋(図示略)を自動開閉したりするものである。
【0028】
本発明便座装置1は、図1に示す如く、便座2の温度センサTが出力する温度信号を信号伝達部20の一次信号コイル21及び二次信号コイル22による無配線方式で支持体6の制御部C1へ伝送できると共に、支持体6の制御部C1から便座2の加熱手段Hへ給電装置23の一次コイル24及び二次コイル25による無配線方式で給電できるので、支持体6と便座2の間に電気コードを備える必要がなく、電気式加熱手段Hを設けた便座2の分離をコードレスで簡単にできるようになっている。また、本発明便座装置1は、一方(左)の枢支部X1に後述するガタ防止用突起29を備えたロック装置26(図6(C)(D)参照)を設けて便座2の便座軸芯Y2に沿ったガタ付きを抑制してあるため、給電装置23の一次コイル24と二次コイル25の間の距離を一定に維持して安定した給電を確保できる。
【0029】
前記一方(左)の枢支部X1は、図1、図5及び図6に示す如く、前記モータMの出力軸であって支持体6の膨出部7の一方側面から更に一方方向(左方向)へ向かって突出する一方枢軸10と、一方の取付用腕部4に設けられ、軸装部13a及び軸装部13aへ一方枢軸10を出し入れするための一方枢軸出入用開口部13bを有する一方軸受部13とを備え、軸装部13aへ挿着した一方枢軸10が抜け出すのを阻止するためのロック装置26とを備えている。ロック装置26は、非ロック状態(図5(A)〜(D)及び図6(A)(B)参照)のときには、一方枢軸10が開口部13bを通じて軸装部13aへ挿着又は離脱でき、ロック装置26がロック状態(図6(C)(D)参照)のときには、一方軸受部13の軸装部13aから一方枢軸10が出ることを阻止するようになっている。枢支部X1は、前記信号伝達部20の一次信号コイル21を一方軸受部13に備えると共に、二次信号コイル22を一方枢軸10側となる膨出部7の一方側面近傍に備えている。
【0030】
前記一方枢軸10は、図5(B)に示す如く、同芯二軸の便座駆動用軸11と便蓋駆動用軸12からなり、便蓋駆動用軸12が便座駆動用軸11を貫通して突出している。便座駆動用軸11は、駆動力伝達用の角柱状の継手部11aと円柱状の軸部11bが形成され、一方軸受部13の軸装部13aに挿着して係合することで、駆動モータMの出力を一方軸受部13及び一方の取付用腕部4を介して便座本体3へ伝達して、便座2を電動式で強制的に仰伏揺動させるようになっている。便蓋駆動用軸12は、図示は省略したが、便蓋の軸受部が着脱自在に外嵌装着され、駆動モータMの出力を軸受部を介して便蓋へ伝達して、便蓋を電動式で強制的に仰伏揺動させるようになっている。
【0031】
前記ロック装置26は、図4乃至図6に示す如く、便座2の一方(左)の取付用腕部4に揺動自在に枢支27して設けられたロック具28と、ロック具28に一体に設けられて他方側(右側)ヘ向かって突出するガタ防止用突起29とを備え、ロック具28の進退自在な揺動範囲を、一方軸受部13の軸装部13aから一方枢軸10が出ることを阻止しない待機位置Kから阻止するロック位置Lまでとしてある。ロック具28は、図4に示す如く、左右の揺動片30,30を枢支側の連結軸31及び揺動先端側の操作棒32で連結して一体とし、各揺動片30に嵌合用凹部33を切込み形成し、待機位置Kからロック位置Lへ前進させたときに、図6(C)(D)に示すように、一方軸受部13の軸装部13aへ挿着している一方枢軸10を嵌合用凹部33,33で外嵌して、一方軸受部13と一方枢軸10との分離を阻止するようにしてある。本例では、一方枢軸10を構成する便座駆動用軸11の軸部11bと便蓋駆動軸12を、ロック具28の嵌合用凹部33,33で外嵌して、便座駆動用軸11の継手部11aを揺動片30,30で挟持するようにしてあるが、本例の態様以外に、一方枢軸10の適所を少なくとも一つの揺動片30で外嵌するように構成することもある。上記操作棒32は、ロック具28を揺動させるときに、指先で摘んで操作できるようになっている。
【0032】
前記ガタ防止用突起29は、図6に示す如く、支持体6の膨出部7の一方側(左側)の側面7cと対面する側(本例では右側)の揺動片30に設けられ、一方軸受部13の軸装部13aへ一方枢軸10を挿着して係合している状態のときに、ロック具28が待機位置K(同図(A)(B)参照)では膨出部7の側面7cから離隔し、また、ロック具28がロック位置L(同図(C)(D)参照)では側面7aに接近又は当接(本例にあっては当接)するように形成されている。また、ガタ防止用突起29は、図4(A)の左側面図に示すように、例えば略J字状に形成され、その高さ寸法Nについて、ロック具28を待機位置Kからロック位置Lへ向かって揺動するときに、側面7aへ最初に接近する部位を低くすると共に最後に接近する部位へ向かって次第に高くなるようにすることで、側面7aに当接するときの揺動を円滑にできるようにしてある。
【0033】
前記ロック装置26は、一方の取付用腕部4とロック具28の間に、ロック具28をロック位置Lへ付勢するロック用付勢具35を設け、ロック具28について待機位置Kで手を離すとロック用付勢具35に貯えられている反発力でロック位置Lへ自動的に移動させて、ロック装置28のロック状態を確実なものとするようにしてある。ロック用付勢具35は、例えば連結軸31に外嵌したつる巻バネを用い、連結軸31の中間に設けた鍔部36と一方の取付用腕部4との間に配置して、鍔部36と一方の取付用腕部4につる巻バネの端部を連結してある。
【0034】
前記ロック装置26は、一方(左)の取付用腕部4にロック具28が便座軸芯Y2に沿う左右方向(スラスト方向)へ移動自在に枢支27されて設けられ、一方の取付用腕部4とロック具28の間に、ロック具28を他方の方向(左方向)へ向かって付勢するスラスト移動用付勢具34を設け、便座装着状態でガタ防止用突起29が支持体6の膨出部7の一方側(左側)の側面7cに当接したときに、ガタ防止用突起29を便座軸芯Y2に沿って左右方向(スラスト方向)へ可動な状態で側面7cへ向かって付勢して膨出部7に対してロック具28を適切な押圧力で当接させるようにしてある。ロック具28の便座軸芯Y2に沿う左右方向の移動範囲(以下、「スラスト移動範囲」という)は、ガタ防止用突起29が、ロック具28の待機位置K(図6(A)(B))のときに膨出部7の一方側面7cの位置よりも他方(右)へ突出する前進位置からロック具28のロック位置L(同図(C)(D))のときに側面7dへ当接する位置から若干一方側寄りとなる後退位置(同図(C)(D)は左へ若干後退できる状態となっている)までとしてある。スラスト移動用付勢具34は、例えば連結軸31に外嵌した圧縮用コイルスプリングを用い、連結軸31の中間に設けた鍔部36と一方の取付用腕部4の間に配置してある。なお、ロック装置26は、前記ロック用付勢具35とスラスト移動用付勢具34との配置を左右入れ換えて、スラスト移動用付勢具34を引張用コイルスプリングに変更することも可能である。
【0035】
前記一方(左)の取付用腕部4及びロック装置26は、図15(A)、図5(A)〜(D)及び図6(A)(B)に示すように、ロック具28を待機位置Kに位置させたまま分離状態の便座2を支持体6に装着できるようにするために、他方(右)の枢支部X2の後述する他方枢軸14に他方軸受部15に挿入して便座2を装着方向へ揺動させたとき、支持体6の膨出部7にロック具28を衝突させないように便座本体部3に設けられている。
【0036】
前記他方(右)の枢支部X2は、図7乃至図10に示す如く、他方の取付用腕部5から一方の方向(左方向)へ向かって突出する短円柱状の他方枢軸14と、支持体6の膨出部7の他方側に開設した横向きの嵌挿用凹部16へ開口端16bから他方枢軸14を出し入れできる他方軸受部15とからなる。他方軸受部15は、便座2の装着手順を説明する図14に示す如く、支持体6の一方枢軸10及び他方軸受部15が形成する支持体軸芯Y1(便座2を揺動自在に枢支するときの支持体側の枢支中心となるもの)と分離状態の便座2の一方軸受部13及び他方枢軸14が形成する便座軸芯Y2(便座2を揺動自在に枢支するときの便座側の枢支中心となるもの)との交差角θを大きくした便座傾斜姿勢E1のまま他方枢軸14を受け入れでき、更に、同手順を説明する図15に示す如く、他方枢軸14を受け入れたまま両軸芯Y1,Y2の交差角θを小さくさせる便座傾斜姿勢E2(図15(A)参照)を経て両軸芯Y1,Y2を合致させる便座接合姿勢F(図15(B)参照)へ移行させるのに伴い、前記一方(左)の枢支部X1の一方枢軸10を、図5(A)(B)に示す如く一方軸受部13の開口部13bを通過させて軸装部13aへ挿着できるように、図9に示すように嵌挿用凹部16の奥側16aに比べて開口端16b側を大径となるように傾斜部16cを形成してある。嵌挿用凹部16は、この開口端16b側を大径にする傾斜部16cが設けられる領域を、便座傾斜姿勢E1の他方枢軸14を受け入れるときの便座軸芯Y2が通過する他方枢軸受入れ側とすることで、他方枢軸受入れ側以外の大径でない領域を設けて異物が嵌挿用凹部内へ侵入するのを抑制するようにしてある。嵌挿用凹部16は、この大径となる他方枢軸受入れ側を嵌挿用凹部16の下半側に位置させてあり、大径の他方枢軸受入れ側を便座使用者から見え難くして見栄えよくなるようにしてある。
【0037】
前記他方軸受部15は、図9に示す如く、嵌挿用凹部16の奥側突き当たりに、前記両軸芯Y1,Y2を大きく交差させる便座傾斜姿勢E1(図14(B)参照)のまま他方枢軸14を受け入れるときに他方枢軸14の一方側外隅部14aを侵入させる侵入用空間部16dと、前記両軸芯Y1,Y2を小さく交差させる便座傾斜姿勢E2(図15(A)参照)を経て両軸芯Y1,Y2を合致させる便座接合姿勢F(図15(B)及び図10参照)へ移行させるのに伴い傾動する他方枢軸14の先端面14bを当接させて一方側外隅部14aを侵入用空間部16dから引き出させる引出し面16eとを設けてある。侵入用空間部16d及び引出し面16eは、図15(A)に示す如く、便座2が両軸芯Y1,Y2を小さく交差させる便座傾斜姿勢E2で傾動するとき、一方(左)の枢支部X1の一方軸受部13が支持体6の膨出部7の一方側の外隅部7aの外側を通過し始めた後に、引出し面16e(図9参照)に対する他方枢軸14の先端面14bの当接を開始させ、一方側の外隅部7aの外側を通過するまでは便座2を他方(右)へ移動させないようにしてある。本例の他方軸受部15は、図9に示す如く、便座2を起立させた状態で着脱操作を行うようにするために(図14及び図15参照)、侵入用空間部16dを下方に設けると共に、引出し面16eを上方に設けてある。他方軸受部15は、嵌挿用凹部16の奥側突当りを、侵入用空間部16dから引出し面16eへ向かって連続的に傾斜するように形成し、侵入用空間部16dへ侵入したコイン等の異物が嵌挿用凹部16の奥側突き当たり面16gに密着して外れ難くなるのを防止するようにしてある。
【0038】
更に、前記他方軸受部15は、図10に示す如く、嵌挿用凹部16の傾斜部16cと侵入用空間部16dとの間に、軸受面16fを支持体軸芯Y1と平行に形成してある。軸受面16fは、正面側からみて半円状に形成され(図(B)参照)、他方枢軸14の下半外周面を軸支して便座2の荷重を受けるようにしてある(図7参照)。
【0039】
本発明便座装置1は、図9及び図10に示す如く、他方軸受部15に侵入用空間部16d及び引出し面16eを設けることにより、前記両軸芯Y1,Y2を小さく交差させる便座傾斜姿勢E2(図15(A)参照)を経て両軸芯Y1,Y2を合致させる便座接合姿勢F(図15(B)参照)へ移行させるのに伴い傾動する他方枢軸14の一方側外隅部14aを侵入用空間部16dから引き出させて他方枢軸14の先端面14bを引出し面16eに乗り上がるように当接させることで、引き出させた寸法分だけ便座軸芯方向Y2に沿う移動を減少させて、装着状態の便座2の便座軸芯方向Y2に沿うガタ付きを小さくすることができる。
【0040】
本発明便座装置1は、図1乃至図10に示す態様では便座2を起立させた状態で便座接合作業を行うようにしたものであるが、図11に示す如く、便座2を水平な姿勢にして便座接合作業ができるように、他方の枢支部X2の他方軸受部15を形成することも可能である。
【0041】
本発明便座装置1は、嵌挿用凹部16への異物の侵入防止を完全なものとするために、図12及び図13に示す如く、他方軸受部15と他方の取付用腕部5との間に異物侵入防止具41を設け、嵌挿用凹部16と他方枢軸14の隙間を異物侵入防止具41で覆うこともある。異物侵入防止具41は、硬質の合成樹脂やゴム素材からなる当接表面が滑り易い閉塞板41aと、軟質の合成樹脂やゴム素材又はバネ材からなる圧縮変形可能な弾性を有する環状の押圧部41bとを備え、図13に示すように他方枢軸14に押圧部41bを外嵌装着させると共に、他方枢軸14に閉塞板41aを遊嵌合させてある。異物侵入防止具41は、図14(B)に示すように支持体軸芯Y1と便座軸芯Y2を大きく交差させた便座傾斜姿勢E1のまま他方枢軸14を他方軸受部15の嵌挿用凹部16の奥側へ挿入するとき、この挿入を阻害しないように環状の押圧部41bの一部が圧縮変形し、また、図12に示すように支持体軸芯Y1と便座軸芯Y2を一致させるように便座2の装着状態を終了して便座2を揺動できる状態となったとき、嵌挿用凹部16の開口端16bの開口周縁に閉塞板41aの当接表面を押圧部41bの弾性押圧力で圧着させて、開口端16bを覆うようになる。異物侵入防止具41は、閉塞板41aの当接表面が滑り易くなっているため、便座2の揺動に伴い、嵌挿用凹部16の開口端16bの開口周縁に対して円滑に摺動して開口端16bを常に覆うことができる。
【0042】
本発明便座装置1は、図示は省略したが、他方の枢支部X2側に備えた図7に示す給電装置23の外回りに、一次コイル側シール具及び二次コイル側シール具からなる磁気シール具を設け、一次コイル24と二次コイル25の間の電磁誘導による低周波の磁界が給電装置23の外側へ漏れ出るのを抑制するように構成することもある。なお、給電装置23は、磁気シール具が設けられることで、磁界の漏れ出しを抑制すると共に、一次コイル24と二次コイル25の間の伝送効率を上昇させることができるようになる。
【0043】
前記他方(右)の枢支部X2の他方軸受部15は、図9及び図10に示す如く、侵入用空間部16d及び引出し面16eを設け、装着状態の便座2の便座軸芯方向Y2に沿うガタ付きを極力小さくなるようにしてある。しかし、一方(左)の枢支部X1に備えたロック装置26のガタ防止用突起29の高さ寸法N(図4(B)参照)を大きくしてガタ付きを解消できる範囲が大きいとき、他方の枢支部X2の他方軸受部15は、図示は省略したが、侵入用空間部16d及び引出し面16eを設ける必要がないため、嵌挿用凹部16の奥側突き当たりを平坦に仕上げることも可能である。
【0044】
前記他方(右)の枢支部X2は、図7に示す如く、他方軸受部15の嵌挿用凹部16より奥側に給電装置23の一次コイル24を埋設すると共に、他方枢軸14に給電装置23の二次コイル25を埋設してある。一次コイル24は、ボビン24aの内部にコイル24bを内蔵させたものであり、また、二次コイル25は、ボビン25aの内部にコイル25bを内蔵させたものである。
【0045】
本発明便座装置1は、便器(図示略)に固定されている支持体6に分離状態の便座2を装着するとき、図14(B)に示すように支持体軸芯Y1と便座軸芯Y2を大きく交差させた便座傾斜姿勢E1のまま他方側(右側)の他方枢軸14を他方軸受部15の嵌挿用凹部16の奥側へ挿入した後に、図15(A)(B)に示すように両軸芯Y1,Y2を小さく交差させる便座傾斜姿勢E2を経て両軸芯Y1,Y2を合致させる便座接合姿勢Fへ移行させることで、移動する一方軸受部13の開口部13bに固定状態の一方側(左側)の一方枢軸10を通過させて軸装部13aへ入れて便座装着ができる。このときに一方(左)の枢支部X1に備えたロック装置26は、図15(A)、図5(A)〜(D)及び図6(A)(B)に示す如く、一方の取付用腕部4及びロック具28が支持体6の膨出部7の一方側の側面7cの外側を通過して、一方軸受部13の軸装部13aに一方枢軸10を挿入させるまでは、ロック用付勢具35の付勢力に抗して指で操作棒32を操作してロック具28を待機位置Kに位置させたまま、ガタ防止用突起29を膨出部7に衝突させない状態にして、便座2の便座傾斜姿勢E1から姿勢E2を経て姿勢Fへの移動が円滑にできるようになる。
【0046】
そして、軸装部13aに一方枢軸10を挿入した後は、ロック装置26は、図15(B)及び図6(C)(D)に示す如く、操作棒32から指を離すことでロック用付勢具35の付勢力でロック具28をロック位置Lへ自動的に移動させて、ガタ防止用突起29を膨出部7の側面7cに当接させると共に、スラスト移動用付勢具34の付勢力でロック具28のガタ防止用突起29を膨出部7の側面7cに適切な押圧力で当接さて、便座2の便座軸芯Y2に沿ったガタ付きを防止できるようになる。ロック装置26は、膨出部7の側面7cにガタ防止用突起29を押圧させている状態のとき、一方の取付用腕部4,4に対してロック具28が便座軸芯Y2に沿って若干寸法移動できることで、便座本体3の両方の取付用腕部4,5間の寸法及び膨出部7の左右の幅寸法等の誤差を吸収できるようになっており、ガタ防止用突起29を膨出部7の側面7cに大きな押圧力で食い込ませないようにしてある。
【0047】
逆に、固定されている支持体6から便座2を分離するときには、上記操作と逆の操作を行うことで、図14(A)(B)に示すように両軸芯Y1,Y2を大きく交差させた便座傾斜姿勢E1のまま他方枢軸14を他方軸受部15の嵌挿用凹部16の奥側から抜き出して便座分離ができるため、便座2の着脱が簡単且つ確実にできる。
【0048】
なお、本発明便座装置1は、膨出部7の左右側面を挟む便座本体3の両方の取付用腕部4,5の間の寸法が設計上の予定されている寸法より大きいために、ロック具28のロック位置Lへ移動したガタ防止用突起29が膨出部7の側面7cに当接することなく接近する場合であったとしても、便座2の便座軸芯Y2に沿ったガタ付きを防止できることは勿論である。
【0049】
(第2の実施の形態) 図16乃至図18は、本発明便座装置1のロック装置の第2の実施の形態を示すものであり、図16は一方の枢支部X1の一方軸受部13及びロック装置46を示すものであって、図(A)は右側面図、図(B)は背面図、図(C)は平面図、図(D)は底面図である。図17はロック装置46を備えた一方の枢支部X1を示すものであって、図(A)は一方枢軸10と一方軸受部13の分離状態を示す左側面図、図(B)は同分離状態を示す正面図、図(C)は一方軸受部13に一方枢軸10を入れている途中の状態を示す左側面図、図(D)は同状態を示す正面図である。図18はロック装置46を備えた一方の枢支部X1を示すものであって、図(A)は一方軸受部13に一方枢軸10を入れてロック装置46が非ロック状態の左側面図、図(B)は同状態を示す正面図、図(C)は一方軸受部13に一方枢軸10を入れてロック装置46をロック状態とした左側面図、図(D)は同状態を示す正面図である。
【0050】
本実施の形態に係るロック装置46が図4乃至図6に示す前記ロック装置26と相違する点は、ガタ防止用突起49が、ロック具28のロック位置Lのときの軸装部13aへ入っている一方枢軸10の外側周囲に位置するように、右側面で略C字上に形成されて揺動片30に設けられていることである。この相違点以外のロック装置46の構成は、前記ロック装置26と実質的に同一であり、同一符号は同一構成要素等を示している。
【0051】
本実施の形態に係るロック装置46は、連結軸31の一方(左)側の軸端に、高さ寸法がガタ防止用突起49に比べて小さい小突起31a(図16(B)参照)を設けることもある。この小突起31aは、図17(C)(D)に示す如く、便座2の装着操作に伴い膨出部7の一方側の側面7cの外側を一方の取付用腕部4及びロック具28が通過するときに、小突起31aを膨出部7の側面7cに当接させてロック具28を若干寸法だけ移動させて、続いてロック操作へ移行することを認識させるようにしてある。
【0052】
本発明便座装置1は、便座装着状態でガタ防止用突起49が、支持体6の膨出部7の一方側の側面7cに当接したときであっても、便座2の開閉揺動に伴って便座装着状態の一方枢軸10の周囲で回動するので、便座2の円滑な揺動を確保することができる。
【0053】
(第3の実施の形態) 図19は本発明便座装置1のロック装置56の第3の実施の形態を示すものであり、図(A)は右側面図、図(B)は背面図である。本実施の形態に係るロック装置56が図4(A)(B)に示す前記ロック装置26と相違する点は、ロック装置26に設けたロック用付勢具35及びスラスト移動用付勢具34を省略したことであり、ロック具28を手動でロック方向へ移動させるようにすると共に、膨出部7の側面7cにガタ防止用突起29を自動的に押圧させないようにし、更に、各嵌合用凹部33の開口側両隅部に係止用突起33a,33bを設けて、嵌合用凹部33,33が外嵌した一方枢軸10(図6(C)(D)参照)を係止用突起33a,33bで無理バメ状態にして抜け難くしたことである。この相違点以外のロック装置56の構成は、前記ロック装置26と実質的に同一であり、同一符号は同一構成要素等を示している。なお、ロック具28は、便座軸芯Y2に沿う左右方向(スラスト方向)へ移動させないように、一方の取付用腕部4,4に揺動自在に設けることもある。ロック具28を便座軸芯Y2に沿う左右方向へ移動させない構造の本発明便座装置1の場合には、一方軸受部13の軸装部13aに一方枢軸10を入れた状態(図6(A)参照)でロック具28を待機位置Kからロック位置Lへ揺動させたときに、支持体6の膨出部7における一方側の側面7cに対面する揺動片30と側面7cとの間に、ガタ防止用突起29を侵入させることができるだけの隙間を生じさせる構造となる。
【0054】
(第4の実施の形態) 図20は本発明便座装置1のロック装置66の第4の実施の形態を示すものであり、図(A)は右側面図、図(B)は背面図である。本実施の形態に係るロック装置66が図16(A)(B)に示す前記ロック装置46と相違する点は、ロック装置66に設けたロック用付勢具35及びスラスト移動用付勢具34を省略したことであり、ロック具28を手動でロック方向へ移動させるようにすると共に、膨出部7の側面7cにガタ防止用突起49を自動的に押圧させないようにし、更に、各嵌合用凹部33の開口側両隅部に係止用突起33a,33bを設けて、嵌合用凹部33,33が外嵌した一方枢軸10(図18(C)(D)参照)を係止用突起33a,33bで無理バメ状態にして抜け難くしたことである。この相違点以外のロック装置56の構成は、前記ロック装置46と実質的に同一であり、同一符号は同一構成要素等を示している。なお、ロック具28は、便座軸芯Y2に沿う左右方向へ移動させないように、一方の取付用腕部4,4に揺動自在に設けることもある。ロック具28を便座軸芯Y2に沿う左右方向へ移動させない構造の本発明便座装置1の場合には、一方軸受部13の軸装部13aに一方枢軸10を入れた状態(図6(A)参照)でロック具28を待機位置Kからロック位置Lへ揺動させたときに、支持体6の膨出部7における一方側の側面7cに対面する揺動片30と側面7cとの間に、ガタ防止用突起29を侵入させることができるだけの隙間を生じさせる構造となる。
【0055】
(第5の実施の形態) 図21乃至図23は本発明便座装置の第5の実施の形態を示すものであり、図21は他方の枢支部X2を示すものであって他方軸受部15と他方枢軸14の接合状態の正面図である。図22及び図23は支持体6に便座2を装着する手順を示す部分断面した正面図であって、図22(A)は支持体6と便座2を完全に分離した状態を示し、図22(B)は便座傾斜姿勢のまま他方の枢支部X2の他方軸受部15の嵌挿用凹部16の奥側へ他方枢軸14を挿入させる装着開始状態を示し、図23(A)は一方の枢支部X1の一方枢軸10へ一方軸受部13を接近させた状態を示し、図23(B)は便座2の装着完了の状態を示している。
【0056】
本実施の形態に係る本発明便座装置71が図1乃至図15に示す前記第1の実施の形態に係る本発明便座装置1と相違する点は、他方(右)の枢支部X2について、他方枢軸14を支持体6の膨出部7の他方側(右側)に設けると共に、他方軸受部15を便座2の他方の取付用腕部5に設けたことである。本発明便座装置71におけるこの相違点以外の構成は、図1乃至図15に示す本発明便座装置1と実質的に同一であり、同一符号は同一構成要素等を示している。
【0057】
他方(右)の枢支部X2は、図21に示す如く、支持体6の膨出部7から他方の方向(右方向)へ向かって突出する短円柱状の他方枢軸14と、他方の取付用腕部5の一方側(左側)に開設した横向きの嵌挿用凹部16へ開口端16bから他方枢軸14を出し入れできる他方軸受部15とからなる。他方軸受部15は、便座2の装着手順を説明する図22に示す如く、支持体6の一方枢軸10及び他方枢軸14が形成する支持体軸芯Y1と分離状態の便座2の一方軸受部13及び他方軸受部15が形成する便座軸芯Y2との交差角θを大きくした便座傾斜姿勢E1のまま他方枢軸14を受け入れでき、更に、同手順を説明する図23に示す如く、他方枢軸14を受け入れたまま両軸芯Y1,Y2の交差角θを小さくさせる便座傾斜姿勢E2(図(A)参照)を経て両軸芯Y1,Y2を合致させる便座接合姿勢F(図(B)参照)へ移行させるのに伴い、前記一方(左)の枢支部X1の一方枢軸10を、図5(A)(B)に示す如く一方軸受部13の開口部13bを通過させて軸装部13aへ挿着できるように、嵌挿用凹部16の奥側16aに比べて開口端16b側を大径となるように傾斜部16cを形成してある。
【0058】
本発明に係る便座装置71は、便座2の他方の取付用腕部5に他方枢軸14を出入れできる嵌挿用凹部16を開設した他方軸受部15を内蔵するように備えるので、便座2を着脱するときに誤って便座2を落としたとしても、他方の取付用腕部5で保護される他方軸受部15を破損させることもなく、便座2を円滑に着脱させることができる。
【0059】
便座2を支持する支持体6から便座2へ給電する給電装置23は、図21に示す如く、他方枢軸14に埋設した一次コイル24と、他方軸受部15の嵌挿用凹部16より奥側に埋設した二次コイル25とからなる。
【0060】
本発明便座装置71は、分離した便座2を支持体6に装着するとき、図22(B)に示すように支持体軸芯Y1と便座軸芯Y2を大きく交差させた便座傾斜姿勢E1のまま他方側(右側)の他方軸受部15の嵌挿用凹部16の奥側へ他方枢軸14を挿入した後に、図23(A)(B)に示すように両軸芯Y1,Y2を小さく交差させる便座傾斜姿勢E2を経て両軸芯Y1,Y2を合致させる便座接合姿勢Fへ移行させることで、移動する一方軸受部13の開口部13b(図5及び図6参照)に固定状態の一方側(左側)の一方枢軸10を通過させて軸装部13aへ入れて便座装着ができる。このときに一方(左)の枢支部X1に備えたロック装置26は、図23(A)、図5(A)〜(D)及び図6(A)(B)に示す如く、一方の取付用腕部4及びロック具28が支持体6の膨出部7の一方側の側面7cの外側を通過して、一方軸受部13の軸装部13aに一方枢軸10を挿入させるまでは、ロック用付勢具35の付勢力に抗して指で操作棒32を操作してロック具28を待機位置Kに位置させたまま、ガタ防止用突起29を膨出部7に衝突させない状態にしておくことで、便座2の便座傾斜姿勢E1から姿勢E2を経て姿勢Fへの移動が円滑にできるようになる。
【0061】
そして、軸装部13aに一方枢軸10を挿入した後は、ロック装置26は、図23(B)及び図6(C)(D)に示す如く、操作棒32から指を離すことでロック用付勢具35の付勢力でロック具28を待機位置K(図23(A)、図6(A)参照)からロック位置Lへ自動的に移動させる。ロック装置26は、このロック具28の移動に伴い、ガタ防止用突起29を膨出部7の側面7cに当接させると共に、スラスト移動用付勢具34の付勢力でロック具28のガタ防止用突起29を膨出部7の側面7cに適切な押圧力で当接さて、便座2の便座軸芯Y2に沿ったガタ付きを防止できるようになる。
【0062】
逆に、固定されている支持体6から便座2を分離するときには、上記操作と逆の操作を行うことで、図22(A)(B)に示すように両軸芯Y1,Y2を大きく交差させた便座傾斜姿勢E1のまま他方軸受部15の嵌挿用凹部16の奥側から他方枢軸14を抜き出して便座分離ができるため、便座2の着脱が簡単且つ確実にできる。
【0063】
(第6の実施の形態) 図24乃至図27は本発明便座装置の第6の実施の形態を示すものであって、図24は支持体6に便座2を装着する手順を示す正面図であって、図(A)は支持体6と便座2を分離した状態を示し、図(B)は支持体6に便座2を装着した状態を示す。図25は他方(右)の枢支部X2を示すものであって、図(A)は他方枢軸84と他方軸受部83の分離状態を示す正面図、図(B)は同分離状態を示す右側面図、図(C)は他方軸受部83に他方枢軸84を入れて他方のロック装置86が非ロック状態の正面図、図(D)は同状態を示す右側面図である。図26は他方の枢支部X2を示すものであって、図(A)は他方軸受部83に他方枢軸84を入れて他方のロック装置86をロック状態とした正面図、図(B)は同状態を示す右側面図である。図27は便座2を装着した状態の本発明便座装置81の要部を示す左側面図である。
【0064】
本実施の形態に係る本発明便座装置81は、図1乃至図15に示す前記第1の実施の形態に係る本発明便座装置1と他方(右)の枢支部X2の構成が相違し、この相違する以外の構成については本発明便座装置1と実質的に同一であり、同一符号は同一構成要素等を示している。
【0065】
他方の枢支部X2は、図25に示す如く、支持体6の膨出部7の他方側面7dから更に他方の方向(右方向)へ向かって突出した他方枢軸84と、便座2の他方の取付用腕部5に設けられ、他方軸用軸装部83a及びこの軸装部83aへ他方枢軸84を出し入れするための他方枢軸出入用開口部83bを有する他方軸受部83とを備え、軸装部83aへ挿着した他方枢軸84が抜け出すのを阻止するための他方のロック装置86とを備えている。他方枢軸84は、膨出部7に固着され、便座2及び便蓋(図示略)を揺動自在に支持するようになっている。
【0066】
前記他方のロック装置86は、前記第1の実施の形態と同様に、非ロック状態(図24(A)び図25参照)のときには、他方枢軸84が他方枢軸出入用開口部83bを通じて他方軸用軸装部83aへ挿着又は離脱でき、ロック状態(図24(B)及び図26参照)のときには、他方軸受部83の軸装部83aから他方枢軸84が出ることを阻止するようになっている。他方のロック装置86は、一方(左)に設けた一方のロック装置26(図4乃至図6に示す第1の実施の形態のものと同一である。)と左右対称に構成されると共に一方のロック装置26に備えているロック用付勢具35が省略されたものであり、他方の取付用腕部5に揺動自在で且つ便座軸芯Y2に沿って左右方向(スラスト方向)へ移動(摺動)自在に枢支27,27された他方のロック具28と、他方のロック具28に一体に設けられて一方側(左側)ヘ向かって突出するガタ防止用突起29とを備え、他方のロック具28の揺動範囲を、他方軸受部63の他方軸用軸装部63aから他方枢軸64が出ることを阻止しない待機位置K(図25(C)(D))から阻止するロック位置L(図26)までとすると共に、他方のロック具28のスラスト移動範囲を、ガタ防止用突起29が、ロック具28の待機位置K(図25(C)(D))のときに膨出部7の他方側面7dの位置よりも一方(左)へ突出する前進位置からロック具28のロック位置L(図26)のときに側面7dへ当接する位置から若干一方側寄りとなる後退位置(図26は右へ向かって若干後退できる状態となっている)までとしてある。
【0067】
また、他方のロック装置86は、図25(A)に示す如く、他方の取付用腕部5と他方のロック具28の間に、他方のロック具28を後退位置へ向かう方向へ付勢するスラスト移動用付勢具34を設けてある。なお、スラスト移動用付勢具34は、省略されることもある。また、一方(左)のロック装置26に備えられロック具28をロック位置Lへ付勢するロック用付勢具35については、一方のロック装置26に備えることなく、他方のロック装置86に備えるようにすることも可能である。
【0068】
本発明便座装置81は、分離した便座2を支持体6に装着するとき、図24(A)に示すように支持体軸芯Y1と便座軸芯Y2を平行又は略平行にした状態のまま便座2を支持体6へ向かって移動させ、一方(左)の枢支部X1の移動する一方軸受部13の一方枢軸出入用開口部13b(図5及び図6参照)に固定状態の一方枢軸10を通過させて一方の軸装部13aへ入れると共に、他方(右)の枢支部X2の移動する他方軸受部63の他方枢軸出入用開口部63b(図25参照)に他方枢軸64を通過させて他方の軸装部63aへ入れて便座装着ができる。このときに一方の枢支部X1及び他方の枢支部X2に備えた両方のロック装置26,86は、上記便座装着ができるまでは、両方のロック具28,28を待機位置Kに位置させたまま、両方のガタ防止用突起29,29を膨出部7に衝突させない状態を維持させ、上記便座装着ができたときには、両方のロック具28,28を待機位置Kからロック位置Lへ移動させて、両方のガタ防止用突起29,29を膨出部7の側面7c又は側面7dに当接又は接近させ、便座2の便座軸芯方向(左右方向)のガタ付きを抑制することができる。
【0069】
逆に、固定されている支持体6から便座2を分離するときには、上記操作と逆の操作を行うことで、一方軸受部13から一方枢軸10を抜き出すと共に、他方軸受部83から他方枢軸84を抜き出して便座分離ができるため、便座2の着脱が簡単且つ確実にできる。
【0070】
なお、本実施の形態に係る本発明便座装置81は、一方の枢支部X1に備えたロック装置26のガタ防止用突起29及び/又は他方の枢支部X2に備えたロック装置86のガタ防止用突起29を、第2の実施の形態に係るロック装置46に備えたガタ防止用突起49に変更することも可能である。また、両方のロック装置26,86は、いずれか一つのロック装置のロック具28の左右方向の移動を省略し、他のロック装置28のロック具28のみを左右方向へ移動させるようにして、便座2の便座軸芯方向(左右方向)のガタ付きを抑制するように構成することも可能である。また、本発明便座装置81は、図20に示す態様のものと左右対称に形成して、一方を「右」とすると共に他方を「左」とすることもある。
【0071】
(その他の実施の形態) 前記ロック具28は、図6(C)(D)に示すように、一方軸受部13の軸装部13aへ挿着している一方枢軸10を嵌合用凹部33,33で外嵌して、一方軸受部13と一方枢軸10との分離を阻止すると共に着座使用時の便座2が前後方向へガタ付かないようにしてあるが、これに限定るものではなく、図示は省略したが、一方軸受部13の開口部13bを覆う覆蓋片を形成して、開口部13bから一方枢軸10から抜けでるのを防止する構造を採用することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0072】
【図1】本発明便座装置の第1の実施の形態を示すものであり、支持体に便座を装着した状態の概略構成を示す平面図である。
【図2】同装着状態の本発明便座装置の左側面図である。
【図3】図2の一点鎖線イで囲まれた箇所を拡大して示す断面図である。
【図4】一方の枢支部の一方軸受部及びロック装置を示すものであって、図(A)は右側面図、図(B)は背面図、図(C)は平面図、図(D)は底面図である。
【図5】一方の枢支部を示すものであって、図(A)は一方枢軸と一方軸受部の分離状態を示す左側面図、図(B)は同分離状態を示す正面図、図(C)は一方軸受部に一方枢軸を入れている途中の状態を示す左側面図、図(D)は同状態を示す正面図である。
【図6】一方の枢支部を示すものであって、図(A)は一方軸受部に一方枢軸を入れてロック装置が非ロック状態の左側面図、図(B)は同状態を示す正面図、図(C)は一方軸受部に一方枢軸を入れてロック装置をロック状態とした左側面図、図(D)は同状態を示す正面図である。
【図7】他方の枢支部を示すものであって他方軸受部と他方枢軸の接合状態の正面図である。
【図8】他方の枢支部の他方枢軸を示すものであって、図(A)は部分断面した正面図、図(B)は左側面図である。
【図9】他方の枢支部の他方軸受部を示すものであって、図(A)は便座接合作業の開始状態の他方枢軸を二点鎖線で示す正面図、図(B)は右側面図である。
【図10】他方の枢支部の他方軸受部を示すものであって、図(A)は便座接合作業の完了状態の他方枢軸を二点鎖線で示す正面図、図(B)は同状態の右側面図である。
【図11】便座を水平な姿勢にして便座接合作業ができるようにした態様の他方の枢支部の他方軸受部を示すものであって、図(A)は便座接合作業の開始状態の他方枢軸を二点鎖線で示す平面図、図(B)は右側面図である。
【図12】は異物侵入防止具を備えた態様の他方の枢支部を示すものであって他方軸受部と他方枢軸の接合状態の正面図である。
【図13】異物侵入防止具を備えた態様の他方の枢支部の他方枢軸を示すものであって、図(A)は部分断面した正面図、図(B)は左側面図である。
【図14】支持体に便座を装着する手順を示す部分断面した正面図であって、図(A)は支持体と便座を完全に分離した状態を示し、図(B)は便座傾斜姿勢のまま他方軸受部の嵌挿用凹部へ他方枢軸を挿入する装着開始状態を示す。
【図15】同手順を示す部分断面した正面図であって、図(A)は一方の枢支部の一方枢軸へ一方軸受部を接近させた状態を示し、図(B)は便座の装着状態を示す。
【図16】本発明便座装置のロック装置の第2の実施の形態を示すものであり、図(A)は一方の枢支部の一方軸受部及びロック装置を示す右側面図、図(B)は背面図、図(C)は平面図、図(D)は底面図である。
【図17】第2の実施の形態のロック装置備えた一方の枢支部を示すものであって、図(A)は一方枢軸と一方軸受部の分離状態を示す左側面図、図(B)は同分離状態を示す正面図、図(C)は一方軸受部に一方枢軸を入れている途中の状態を示す左側面図、図(D)は同状態を示す正面図である。
【図18】第2の実施の形態のロック装置を備えた一方の枢支部を示すものであって、図(A)は一方軸受部に一方枢軸を入れてロック装置が非ロック状態の左側面図、図(B)は同状態を示す正面図、図(C)は一方軸受部に一方枢軸を入れてロック装置をロック状態とした左側面図、図(D)は同状態を示す正面図である。
【図19】本発明便座装置のロック装置の第3の実施の形態を示すものであり、図(A)は右側面図、図(B)は背面図である。
【図20】本発明便座装置のロック装置の第4の実施の形態を示すものであり、図(A)は右側面図、図(B)は背面図である。
【図21】本発明便座装置の第5の実施の形態を示すものであり、他方の枢支部の他方軸受部と他方枢軸の接合状態の正面図である。
【図22】第5の実施の形態において支持体に便座を装着する手順を示す部分断面した正面図であって、図(A)は支持体と便座を完全に分離した状態を示し、図(B)は便座傾斜姿勢のまま他方の枢支部の他方軸受部の嵌挿用凹部の奥側へ他方枢軸を挿入させる装着開始状態を示すものである。
【図23】第5の実施の形態において支持体に便座を装着する手順を示す部分断面した正面図であって、図(A)は一方の枢支部の一方枢軸へ一方軸受部を接近させた状態を示し、図(B)は便座の装着完了の状態を示す。
【図24】本発明便座装置の第6の実施の形態を示すものであって、支持体に便座を装着する手順を示す正面図であり、図(A)は支持体と便座を分離した状態を示し、図(B)は支持体に便座を装着した状態を示す。
【図25】第6の実施の形態における他方の枢支部を示すものであって、図(A)は他方枢軸と他方軸受部の分離状態を示す正面図、図(B)は同分離状態を示す右側面図、図(C)は他方軸受部に他方枢軸を入れて他方のロック装置が非ロック状態の正面図、図(D)は同状態を示す右側面図である。
【図26】第6の実施の形態における他方の枢支部を示すものであって、図(A)は他方軸受部に他方枢軸を入れて他方のロック装置をロック状態とした正面図、図(B)は同状態を示す右側面図である。
【図27】第6の実施の形態のにおいて便座を装着した状態の本発明便座装置の要部を示す左側面図である。
【符号の説明】
【0073】
1…本発明便座装置、2…便座、4…一方の取付用腕部、5…他方の取付用腕部、6…支持体、7…膨出部、10…一方枢軸、13…一方軸受部、13a…軸装部、13b…一方枢軸出入用開口部、14…他方枢軸、15…他方軸受部、16…嵌挿用凹部、16c…傾斜部、16d…侵入用空間部、16e…引出し面、23…給電装置、24…一次コイル、25…二次コイル、26(46,56,66,86)…ロック装置、27…枢支、28…ロック具、29(49)…ガタ防止用突起、30…揺動片、31…連結軸、31a…小突起、32…操作棒、33…嵌合用凹部、34…スラスト移動用付勢具、35…ロック用付勢具、E…便座傾斜姿勢、E1…両軸芯Y1,Y2の交差角度を大きくした便座傾斜姿勢、E2…両軸芯Y1,Y2の交差角度を小さくした便座傾斜姿勢、X1…一方の枢支部、X2…他方の枢支部、Y1…支持体軸芯、Y2…便座軸芯、θ…交差角
【技術分野】
【0001】
本発明は、便器本体に取付ける支持体に便座を着脱ができる便座装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、便座を着脱に取り付ける便座取付構造は、便器に固定される固定部材と、固定部材に一対に設けられて対向する穴を備えた軸支持体と、便座軸を備えて軸支持体に回動自在に軸支される便座と、固定部材に装着されるカバーにて構成され、便座軸と穴との間には便座を便座軸の軸芯方向(以下、「便座軸芯方向」という。)へ摺動することにより固定部材から着脱自在とするための隙間を設け、カバーには便座を便座軸芯方向へ摺動するのを規制する摺動規制手段を備えたものがある(特許文献1)。
【特許文献1】特開2003−265361号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、従来の便座取付構造は、固定部材に設けられた一対の軸支持体の穴と便座軸との間に着脱自在とするための隙間が設けられているので、穴に便座軸を挿着しただけでは便座が便座軸芯方向へ摺動して脱落することがあり、便座軸芯方向へ便座が摺動するのを規制するカバーを固定部材に装着する必要がある。そのため、従来の便座取付構造は、大きなカバーを着脱するために多くの手間を要すると共に、カバーの規制を受ける所定位置に便座を配置しつつ固定部材にカバーを装着するのに注意を要し、もしカバーの装着が不完全であると便座の脱落や、便座軸芯方向への便座のガタ付きを招くことがある。
【0004】
本発明は、便座の摺動を規制するカバーを用いることなく、便座の便座軸芯方向へのガタ付きを抑制できると共に、便座の着脱が簡単且つ確実にできる便座装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
便座の便座軸芯方向へのガタ付きを抑制できると共に、便座の着脱が簡単且つ確実にできるようにするために請求項1記載の本発明が採用した手段は、座面を形成した本体部に左右の一方の取付用腕部と左右の他方の取付用腕部を突設した便座と、両方の取付用腕部で挟まれる膨出部を形成した支持体と、支持体に両方の取付用腕部を介して便座を揺動自在に枢支する一方の枢支部及び他方の枢支部とを備え、便座が支持体に対し着脱可能である便座装置において、一方の枢支部は、膨出部から突出する一方枢軸と、一方の取付用腕部に設けられ、軸装部及び軸装部へ一方枢軸を出し入れするための一方枢軸出入用開口部を有する一方軸受部と、ロック装置とを備え、ロック装置は、一方の取付用腕部に揺動自在に設けられ、軸装部から一方枢軸が出ることを阻止しない待機位置から阻止するロック位置まで進退自在なロック具と、ロック具に一体に突設され、ロック具が待機位置のときには膨出部の側面から離隔すると共にロック具がロック位置のときには該側面に対面するガタ防止用突起とを備えたことを特徴とする便座装置である。
【0006】
なお、請求項1に記載の前記他方の枢支部は、膨出部の他方側から突出する他方枢軸と、他方の取付用腕部に設けられ、他方枢軸用軸装部及びこの軸装部へ他方枢軸を便座着脱時に出し入れするための他方枢軸出入用開口部を有する他方軸受部と、他方の取付用腕部に設けられた他方のロック装置とを備え、他方のロック装置が、他方の取付用腕部に設けられ、便座軸芯に沿う揺動軸芯を中心にして、他方枢軸用軸装部から他方枢軸が出ることを阻止しない待機位置から阻止するロック位置まで揺動自在で、且つ便座軸芯に沿ってスラスト移動自在な他方のロック具と、他方の取付用腕部と他方のロック具の間に設けられ、他方のロック具を膨出部へ向かって付勢するスラスト移動用付勢具とを備えるようにすることもある。
【0007】
便座の着脱が簡単且つ確実にできるようにするために請求項2記載の本発明が採用した手段は、前記他方の枢支部は、膨出部及び他方の取付用腕部のいずれか一方から突出する他方枢軸と、これらの他方に開設した嵌挿用凹部へ他方枢軸を出入れできる他方軸受部とを備え、この他方軸受部は、便座枢支の中心となる支持体の支持体軸芯と分離状態の便座の便座軸芯との交差角を大きくした便座傾斜姿勢のまま他方枢軸を受け入れでき、他方枢軸を受け入れたまま両軸芯の交差角を小さくさせる便座傾斜姿勢を経て両軸芯を合致させる便座接合姿勢へ移行させるのに伴い、一方枢軸を一方枢軸出入用開口部を通過させて軸装部へ入れることができるように、嵌挿用凹部の奥側に比べて開口端側を大径に形成した請求項1に記載の便座装置である。
【0008】
なお、請求項2に記載の前記他方軸受部は、嵌挿用凹部の奥側突き当たりに、前記両軸芯を大きく交差させる便座傾斜姿勢のまま他方枢軸を受け入れるときに他方枢軸の一方側外隅部を侵入させる侵入用空間部と、前記両軸芯を小さく交差させる便座傾斜姿勢を経て両軸芯を合致させる便座接合姿勢へ移行させるのに伴い傾動する他方枢軸の先端面を当接させて一方側外隅部を侵入用空間部から引き出させる引出し面とを設けることで、両軸芯を小さく交差させる便座傾斜姿勢を経て両軸芯を合致させる便座接合姿勢へ移行させるのに伴い傾動する他方枢軸の一方側外隅部を侵入用空間部から引き出させて他方枢軸の先端面を引出し面に当接させることで、引き出させた分だけ便座軸芯方向に沿う移動を減少させるので、装着状態の便座の便座軸芯方向に沿うガタ付きを小さくすることができるようになる。
【0009】
便座の円滑な揺動を確保するために請求項3記載の本発明が採用した手段は、前記ガタ防止用突起は、ロック具がロック位置のときに、軸装部へ入っている一方枢軸の外側周囲に位置するように設けられている請求項1又は2記載の便座装置である。
【0010】
ロック状態を確実なものとするために請求項4記載の本発明が採用した手段は、前記ロック装置は、一方の取付用腕部とロック具の間に設けられ、ロック具をロック位置へ付勢するロック用付勢具を備えた請求項1、2又は3記載の便座装置である。
【0011】
支持体の膨出部にロック具を適切な押圧力で当接できるように請求項5記載の本発明が採用した手段は、前記ロック装置は、前記ロック具が便座軸芯に沿う方向へ移動自在に設けられ、一方の取付用腕部とロック具の間に設けられ、ロック具を膨出部へ向かって付勢するスラスト移動用付勢具を備えた請求項1、2、3又は4記載の便座装置である。
【0012】
便座に設けた電気式加熱手段に対してコードレスで且つ安定して給電できるように請求項6記載の本発明が採用した手段は、前記支持体に設けた制御部と、前記支持体における他方軸受部より奥側に設けて制御部に接続した一次コイルと、便座に設けた電気式加熱手段と、前記他方枢軸に設けて加熱手段に接続した二次コイルとからなり、両コイル間の電磁誘導で給電を行うようにした給電装置を備えた請求項2に記載の便座装置である。
【0013】
便座に設けた電気式加熱手段に対してコードレスで且つ安定して給電できるように請求項7記載の本発明が採用した手段は、前記支持体に設けた制御部と、前記支持体における他方枢軸に設けて制御部に接続した一次コイルと、便座に設けた電気式加熱手段と、前記他方軸受部より奥側に設けて加熱手段に接続した二次コイルとからなり、両コイル間の電磁誘導で給電を行うようにした給電装置を備えた請求項2に記載の便座装置である。
【発明の効果】
【0014】
請求項1記載の本発明に係る便座装置は、分離した便座を装着するときには、一方枢軸を一方枢軸出入用開口部を通過させて軸装部へ入れ又は出すことで便座の着脱ができるため、便座の着脱が簡単且つ確実にできる。また、本発明に係る便座装置は、便座装着のときにロック具をロック位置とすることで、軸装部から一方枢軸が抜け出るのを阻止して便座分離を規制できると共に、ロック具と一体のガタ防止用突起を支持体の膨出部の側面に当接又は接近させて、ロック具を設けた一方の取付用腕部の便座軸芯方向への移動を阻止して、便座の便座軸芯方向のガタ付きを抑制することができる。
【0015】
請求項2記載の本発明に係る便座装置は、分離した便座を装着するときには、支持体軸芯と便座軸芯を大きく交差させた便座傾斜姿勢のまま他方枢軸を他方軸受部の嵌挿用凹部の奥側へ挿入した後に、両軸芯を小さく交差させる便座傾斜姿勢を経て両軸芯を合致させるように移行させることで、一方枢軸を一方枢軸出入用開口部を通過させて軸装部へ入れて便座装着ができ、便座を分離するときには、上記操作と逆の操作を行うことで、両軸芯を大きく交差させた便座傾斜姿勢のまま他方枢軸を他方軸受部の嵌挿用凹部の奥側から抜き出して便座分離ができるため、便座の着脱が簡単且つ確実にできる。
【0016】
請求項3記載の本発明に係る便座装置は、便座装着状態でガタ防止用突起が、支持体の膨出部の側面に当接したときであっても、便座の揺動に伴って便座装着状態の一方枢軸の周囲で回動するので、便座の円滑な揺動を確保することができる。
【0017】
請求項4記載の本発明に係る便座装置は、ロック具について待機位置で手を離すとロック用付勢具でロック位置へ移動するので、ロック装置のロック状態を確実なものとすることができる。
【0018】
請求項5記載の本発明に係る便座装置は、便座装着状態でガタ防止用突起が、支持体の膨出部の側面に当接したときであっても、便座軸芯に沿って可動な状態で膨出部の側面へ向かって付勢されているので、支持体の膨出部に対してロック具を適切な押圧力で当接させることができる。
【0019】
請求項6記載の本発明に係る便座装置は、支持体から便座へ両コイル間の電磁誘導による無配線方式で給電を行うことができるので、支持体と便座の間に給電用コードを備える必要がなく、電気式加熱手段を設けた便座の分離をコードレスで簡単にできると共に、便座の便座軸芯方向のガタ付きを抑制することで、一次コイルと二次コイルの間の距離を一定に維持して安定した給電を確保できる。本発明に係る便座装置は、便座の他方の取付用腕部から突出する他方枢軸が支持体の膨出部側に備えた他方軸受部に比べて小さなスペースですむことから、他方の取付用腕部側をコンパクトにすることができ、便座の扱いがし易くなる。
【0020】
請求項7記載の本発明に係る便座装置は、支持体から便座へ両コイル間の電磁誘導による無配線方式で給電を行うことができるので、支持体と便座の間に給電用コードを備える必要がなく、電気式加熱手段を設けた便座の分離をコードレスで簡単にできると共に、便座の便座軸芯方向のガタ付きを抑制することで、一次コイルと二次コイルの間の距離を一定に維持して安定した給電を確保できる。本発明に係る便座装置は、便座の他方の取付用腕部に他方枢軸を出入れできる嵌挿用凹部を開設した他方軸受部を備えるので、便座を着脱するときに誤って便座を落としたとしても、他方の取付用腕部で保護される他方軸受部を破損させることもなく、便座を円滑に着脱させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
(第1の実施の形態)
図1乃至図15は本発明に係る便座装置(以下、「本発明便座装置」と言う。)の第1の実施の形態を示すものであって、図1は支持体6に便座2を装着した状態の本発明便座装置1の概略構成を示す平面図、図2は同装着状態の本発明便座装置1の左側面図、図3は図2の一点鎖線イで囲まれた箇所を拡大して示す断面図である。図4は一方の枢支部X1の一方軸受部13及びロック装置26を示すものであって、図(A)は右側面図、図(B)は背面図、図(C)は平面図、図(D)は底面図である。図5は一方の枢支部X1を示すものであって、図(A)は一方枢軸10と一方軸受部13の分離状態を示す左側面図、図(B)は同分離状態を示す正面図、図(C)は一方軸受部13に一方枢軸10を入れている途中の状態を示す左側面図、図(D)は同状態を示す正面図である。図6は一方の枢支部X1を示すものであって、図(A)は一方軸受部13に一方枢軸10を入れてロック装置26が非ロック状態の左側面図、図(B)は同状態を示す正面図、図(C)は一方軸受部13に一方枢軸10を入れてロック装置26をロック状態とした左側面図、図(D)は同状態を示す正面図である。
【0022】
図7は他方の枢支部X2を示すものであって他方軸受部15と他方枢軸14の接合状態の正面図である。図8は他方の枢支部X2の他方枢軸14を示すものであって、図(A)は部分断面した正面図、図(B)は左側面図である。図9は他方の枢支部X2の他方軸受部15を示すものであって、図(A)は便座接合作業の開始状態の他方枢軸14を二点鎖線で示す正面図、図(B)は右側面図である。図10は他方の枢支部X2の他方軸受部15を示すものであって、図(A)は便座接合作業の完了状態の他方枢軸14を二点鎖線で示す正面図、図(B)は同状態の右側面図である。図11は便座を水平な姿勢にして便座接合作業ができるようにした態様の他方の枢支部X2の他方軸受部15を示すものであって、図(A)は便座接合作業の開始状態の他方枢軸14を二点鎖線で示す平面図、図(B)は右側面図である。図12は異物侵入防止具41を備えた態様の他方の枢支部X2を示すものであって他方軸受部15と他方枢軸14の接合状態の正面図である。図13は異物侵入防止具41を備えた態様の他方の枢支部X2の他方枢軸14を示すものであって、図(A)は部分断面した正面図、図(B)は左側面図である。
【0023】
図14及び図15は支持体6に便座2を装着する手順を示す部分断面した正面図であって、図14(A)は支持体6と便座2を完全に分離した状態を示し、図14(B)は便座傾斜姿勢のまま他方軸受部15の嵌挿用凹部16へ他方枢軸14を挿入する装着開始状態を示し、図15(A)は一方の枢支部X1の一方枢軸10へ一方軸受部13を接近させた状態を示し、図15(B)は便座2の装着状態を示す。なお、図中に「伏倒状態」と記述されている便座2は、水平な状態に倒れて着座使用可能な状態になっており、図中に「起立状態」と記述されている便座2は、揺動中心側(便座後方側)を下にして揺動先端側(便座前方側)を起こした状態となっている(以下同様)。
【0024】
本発明便座装置1は、図1に示す如く、便器(図示省略)の後方上面に設置される支持体6と、支持体6に揺動自在に支持される便座2と、支持体6に便座2を揺動自在に枢支する左右の一方(本例では「左」を言う。以下同様)の枢支部X1及び左右の他方(本例では「右」を言う。以下同様)の枢支部X2を備え、支持体6に対して便座2が両方の枢支部X1,X2を介して着脱可能になっている。なお、本発明便座装置1は、図1に示す態様のものと左右対称に形成して、一方を「右」とすると共に他方を「左」とすることもある。
【0025】
前記便座2は、図1及び図2に示す如く、着座面(着座した使用者の臀部の接触が予定される部分)3aを形成した本体部3と、本体部3の揺動中心側となる後方の両側に突設した一方の取付用腕部4及び他方の取付用腕部5とからなる。便座2は、本体部3の内部に、電気式加熱手段H、温度センサT及び便座側制御部C2が設けられ、便座側制御部C2で加熱手段H及び温度センサTの通電を制御するようにしてある。
【0026】
前記加熱手段Hは、図1〜図3に示す如く、本体部3の着座面3aを形成する表面材3bの裏面側に設けた鉄・銅・アルミニウム等の金属や、これらを主体とする合金又は金属化合物などの導電性材料をシート状の形態とした発熱体17と、発熱体17の下方側で底板3c上に設けた誘導コイル18と、発熱体17と誘導コイル18の間に充填した断熱層19との組み合わせからなり、誘導コイル18で発熱体17に渦電流を生じさせて発熱体17を発熱させて着座面3aを迅速に昇温するようにしてある。加熱手段Hは、誘導加熱による迅速加熱方式に限定するものではなく、面状等の電気ヒータで構成することもある。便座側制御部C2は、温度センサTが出力する温度信号を高周波信号に変換して、図1に示す一方の枢支部X1に設けた信号伝達部20の一次信号コイル21及び二次信号コイル22を介して、後述する支持体側制御部C1へ伝送する機能を有している。
【0027】
前記支持体6は、図1に示す如く、例えば箱状の形態を有し、前記便座2の両方の取付用腕部4,5で挟まれる膨出部7を前面部に形成してある。前記支持体6は、その内部に、電源Wに接続されて電力の供給を受けると共に前記信号伝達部20の二次信号コイル22を介して温度信号を受ける支持体側制御部C1が設けられている。支持体側制御部C1は、他方の枢支部X2に設けられる給電装置23と、もう一方の枢支部X1に設けられる駆動モータMとに電力を供給する。給電装置23は、他方の枢支部X2に設けて制御部C1に接続した一次コイル24(図7参照)と、他方の枢支部X2に設けて加熱手段Hに接続した二次コイル25(図7参照)とからなり、両コイル間の電磁誘導で給電を行うようにしてある。駆動モータMは、便座2を強制的に揺動させたり、便蓋(図示略)を自動開閉したりするものである。
【0028】
本発明便座装置1は、図1に示す如く、便座2の温度センサTが出力する温度信号を信号伝達部20の一次信号コイル21及び二次信号コイル22による無配線方式で支持体6の制御部C1へ伝送できると共に、支持体6の制御部C1から便座2の加熱手段Hへ給電装置23の一次コイル24及び二次コイル25による無配線方式で給電できるので、支持体6と便座2の間に電気コードを備える必要がなく、電気式加熱手段Hを設けた便座2の分離をコードレスで簡単にできるようになっている。また、本発明便座装置1は、一方(左)の枢支部X1に後述するガタ防止用突起29を備えたロック装置26(図6(C)(D)参照)を設けて便座2の便座軸芯Y2に沿ったガタ付きを抑制してあるため、給電装置23の一次コイル24と二次コイル25の間の距離を一定に維持して安定した給電を確保できる。
【0029】
前記一方(左)の枢支部X1は、図1、図5及び図6に示す如く、前記モータMの出力軸であって支持体6の膨出部7の一方側面から更に一方方向(左方向)へ向かって突出する一方枢軸10と、一方の取付用腕部4に設けられ、軸装部13a及び軸装部13aへ一方枢軸10を出し入れするための一方枢軸出入用開口部13bを有する一方軸受部13とを備え、軸装部13aへ挿着した一方枢軸10が抜け出すのを阻止するためのロック装置26とを備えている。ロック装置26は、非ロック状態(図5(A)〜(D)及び図6(A)(B)参照)のときには、一方枢軸10が開口部13bを通じて軸装部13aへ挿着又は離脱でき、ロック装置26がロック状態(図6(C)(D)参照)のときには、一方軸受部13の軸装部13aから一方枢軸10が出ることを阻止するようになっている。枢支部X1は、前記信号伝達部20の一次信号コイル21を一方軸受部13に備えると共に、二次信号コイル22を一方枢軸10側となる膨出部7の一方側面近傍に備えている。
【0030】
前記一方枢軸10は、図5(B)に示す如く、同芯二軸の便座駆動用軸11と便蓋駆動用軸12からなり、便蓋駆動用軸12が便座駆動用軸11を貫通して突出している。便座駆動用軸11は、駆動力伝達用の角柱状の継手部11aと円柱状の軸部11bが形成され、一方軸受部13の軸装部13aに挿着して係合することで、駆動モータMの出力を一方軸受部13及び一方の取付用腕部4を介して便座本体3へ伝達して、便座2を電動式で強制的に仰伏揺動させるようになっている。便蓋駆動用軸12は、図示は省略したが、便蓋の軸受部が着脱自在に外嵌装着され、駆動モータMの出力を軸受部を介して便蓋へ伝達して、便蓋を電動式で強制的に仰伏揺動させるようになっている。
【0031】
前記ロック装置26は、図4乃至図6に示す如く、便座2の一方(左)の取付用腕部4に揺動自在に枢支27して設けられたロック具28と、ロック具28に一体に設けられて他方側(右側)ヘ向かって突出するガタ防止用突起29とを備え、ロック具28の進退自在な揺動範囲を、一方軸受部13の軸装部13aから一方枢軸10が出ることを阻止しない待機位置Kから阻止するロック位置Lまでとしてある。ロック具28は、図4に示す如く、左右の揺動片30,30を枢支側の連結軸31及び揺動先端側の操作棒32で連結して一体とし、各揺動片30に嵌合用凹部33を切込み形成し、待機位置Kからロック位置Lへ前進させたときに、図6(C)(D)に示すように、一方軸受部13の軸装部13aへ挿着している一方枢軸10を嵌合用凹部33,33で外嵌して、一方軸受部13と一方枢軸10との分離を阻止するようにしてある。本例では、一方枢軸10を構成する便座駆動用軸11の軸部11bと便蓋駆動軸12を、ロック具28の嵌合用凹部33,33で外嵌して、便座駆動用軸11の継手部11aを揺動片30,30で挟持するようにしてあるが、本例の態様以外に、一方枢軸10の適所を少なくとも一つの揺動片30で外嵌するように構成することもある。上記操作棒32は、ロック具28を揺動させるときに、指先で摘んで操作できるようになっている。
【0032】
前記ガタ防止用突起29は、図6に示す如く、支持体6の膨出部7の一方側(左側)の側面7cと対面する側(本例では右側)の揺動片30に設けられ、一方軸受部13の軸装部13aへ一方枢軸10を挿着して係合している状態のときに、ロック具28が待機位置K(同図(A)(B)参照)では膨出部7の側面7cから離隔し、また、ロック具28がロック位置L(同図(C)(D)参照)では側面7aに接近又は当接(本例にあっては当接)するように形成されている。また、ガタ防止用突起29は、図4(A)の左側面図に示すように、例えば略J字状に形成され、その高さ寸法Nについて、ロック具28を待機位置Kからロック位置Lへ向かって揺動するときに、側面7aへ最初に接近する部位を低くすると共に最後に接近する部位へ向かって次第に高くなるようにすることで、側面7aに当接するときの揺動を円滑にできるようにしてある。
【0033】
前記ロック装置26は、一方の取付用腕部4とロック具28の間に、ロック具28をロック位置Lへ付勢するロック用付勢具35を設け、ロック具28について待機位置Kで手を離すとロック用付勢具35に貯えられている反発力でロック位置Lへ自動的に移動させて、ロック装置28のロック状態を確実なものとするようにしてある。ロック用付勢具35は、例えば連結軸31に外嵌したつる巻バネを用い、連結軸31の中間に設けた鍔部36と一方の取付用腕部4との間に配置して、鍔部36と一方の取付用腕部4につる巻バネの端部を連結してある。
【0034】
前記ロック装置26は、一方(左)の取付用腕部4にロック具28が便座軸芯Y2に沿う左右方向(スラスト方向)へ移動自在に枢支27されて設けられ、一方の取付用腕部4とロック具28の間に、ロック具28を他方の方向(左方向)へ向かって付勢するスラスト移動用付勢具34を設け、便座装着状態でガタ防止用突起29が支持体6の膨出部7の一方側(左側)の側面7cに当接したときに、ガタ防止用突起29を便座軸芯Y2に沿って左右方向(スラスト方向)へ可動な状態で側面7cへ向かって付勢して膨出部7に対してロック具28を適切な押圧力で当接させるようにしてある。ロック具28の便座軸芯Y2に沿う左右方向の移動範囲(以下、「スラスト移動範囲」という)は、ガタ防止用突起29が、ロック具28の待機位置K(図6(A)(B))のときに膨出部7の一方側面7cの位置よりも他方(右)へ突出する前進位置からロック具28のロック位置L(同図(C)(D))のときに側面7dへ当接する位置から若干一方側寄りとなる後退位置(同図(C)(D)は左へ若干後退できる状態となっている)までとしてある。スラスト移動用付勢具34は、例えば連結軸31に外嵌した圧縮用コイルスプリングを用い、連結軸31の中間に設けた鍔部36と一方の取付用腕部4の間に配置してある。なお、ロック装置26は、前記ロック用付勢具35とスラスト移動用付勢具34との配置を左右入れ換えて、スラスト移動用付勢具34を引張用コイルスプリングに変更することも可能である。
【0035】
前記一方(左)の取付用腕部4及びロック装置26は、図15(A)、図5(A)〜(D)及び図6(A)(B)に示すように、ロック具28を待機位置Kに位置させたまま分離状態の便座2を支持体6に装着できるようにするために、他方(右)の枢支部X2の後述する他方枢軸14に他方軸受部15に挿入して便座2を装着方向へ揺動させたとき、支持体6の膨出部7にロック具28を衝突させないように便座本体部3に設けられている。
【0036】
前記他方(右)の枢支部X2は、図7乃至図10に示す如く、他方の取付用腕部5から一方の方向(左方向)へ向かって突出する短円柱状の他方枢軸14と、支持体6の膨出部7の他方側に開設した横向きの嵌挿用凹部16へ開口端16bから他方枢軸14を出し入れできる他方軸受部15とからなる。他方軸受部15は、便座2の装着手順を説明する図14に示す如く、支持体6の一方枢軸10及び他方軸受部15が形成する支持体軸芯Y1(便座2を揺動自在に枢支するときの支持体側の枢支中心となるもの)と分離状態の便座2の一方軸受部13及び他方枢軸14が形成する便座軸芯Y2(便座2を揺動自在に枢支するときの便座側の枢支中心となるもの)との交差角θを大きくした便座傾斜姿勢E1のまま他方枢軸14を受け入れでき、更に、同手順を説明する図15に示す如く、他方枢軸14を受け入れたまま両軸芯Y1,Y2の交差角θを小さくさせる便座傾斜姿勢E2(図15(A)参照)を経て両軸芯Y1,Y2を合致させる便座接合姿勢F(図15(B)参照)へ移行させるのに伴い、前記一方(左)の枢支部X1の一方枢軸10を、図5(A)(B)に示す如く一方軸受部13の開口部13bを通過させて軸装部13aへ挿着できるように、図9に示すように嵌挿用凹部16の奥側16aに比べて開口端16b側を大径となるように傾斜部16cを形成してある。嵌挿用凹部16は、この開口端16b側を大径にする傾斜部16cが設けられる領域を、便座傾斜姿勢E1の他方枢軸14を受け入れるときの便座軸芯Y2が通過する他方枢軸受入れ側とすることで、他方枢軸受入れ側以外の大径でない領域を設けて異物が嵌挿用凹部内へ侵入するのを抑制するようにしてある。嵌挿用凹部16は、この大径となる他方枢軸受入れ側を嵌挿用凹部16の下半側に位置させてあり、大径の他方枢軸受入れ側を便座使用者から見え難くして見栄えよくなるようにしてある。
【0037】
前記他方軸受部15は、図9に示す如く、嵌挿用凹部16の奥側突き当たりに、前記両軸芯Y1,Y2を大きく交差させる便座傾斜姿勢E1(図14(B)参照)のまま他方枢軸14を受け入れるときに他方枢軸14の一方側外隅部14aを侵入させる侵入用空間部16dと、前記両軸芯Y1,Y2を小さく交差させる便座傾斜姿勢E2(図15(A)参照)を経て両軸芯Y1,Y2を合致させる便座接合姿勢F(図15(B)及び図10参照)へ移行させるのに伴い傾動する他方枢軸14の先端面14bを当接させて一方側外隅部14aを侵入用空間部16dから引き出させる引出し面16eとを設けてある。侵入用空間部16d及び引出し面16eは、図15(A)に示す如く、便座2が両軸芯Y1,Y2を小さく交差させる便座傾斜姿勢E2で傾動するとき、一方(左)の枢支部X1の一方軸受部13が支持体6の膨出部7の一方側の外隅部7aの外側を通過し始めた後に、引出し面16e(図9参照)に対する他方枢軸14の先端面14bの当接を開始させ、一方側の外隅部7aの外側を通過するまでは便座2を他方(右)へ移動させないようにしてある。本例の他方軸受部15は、図9に示す如く、便座2を起立させた状態で着脱操作を行うようにするために(図14及び図15参照)、侵入用空間部16dを下方に設けると共に、引出し面16eを上方に設けてある。他方軸受部15は、嵌挿用凹部16の奥側突当りを、侵入用空間部16dから引出し面16eへ向かって連続的に傾斜するように形成し、侵入用空間部16dへ侵入したコイン等の異物が嵌挿用凹部16の奥側突き当たり面16gに密着して外れ難くなるのを防止するようにしてある。
【0038】
更に、前記他方軸受部15は、図10に示す如く、嵌挿用凹部16の傾斜部16cと侵入用空間部16dとの間に、軸受面16fを支持体軸芯Y1と平行に形成してある。軸受面16fは、正面側からみて半円状に形成され(図(B)参照)、他方枢軸14の下半外周面を軸支して便座2の荷重を受けるようにしてある(図7参照)。
【0039】
本発明便座装置1は、図9及び図10に示す如く、他方軸受部15に侵入用空間部16d及び引出し面16eを設けることにより、前記両軸芯Y1,Y2を小さく交差させる便座傾斜姿勢E2(図15(A)参照)を経て両軸芯Y1,Y2を合致させる便座接合姿勢F(図15(B)参照)へ移行させるのに伴い傾動する他方枢軸14の一方側外隅部14aを侵入用空間部16dから引き出させて他方枢軸14の先端面14bを引出し面16eに乗り上がるように当接させることで、引き出させた寸法分だけ便座軸芯方向Y2に沿う移動を減少させて、装着状態の便座2の便座軸芯方向Y2に沿うガタ付きを小さくすることができる。
【0040】
本発明便座装置1は、図1乃至図10に示す態様では便座2を起立させた状態で便座接合作業を行うようにしたものであるが、図11に示す如く、便座2を水平な姿勢にして便座接合作業ができるように、他方の枢支部X2の他方軸受部15を形成することも可能である。
【0041】
本発明便座装置1は、嵌挿用凹部16への異物の侵入防止を完全なものとするために、図12及び図13に示す如く、他方軸受部15と他方の取付用腕部5との間に異物侵入防止具41を設け、嵌挿用凹部16と他方枢軸14の隙間を異物侵入防止具41で覆うこともある。異物侵入防止具41は、硬質の合成樹脂やゴム素材からなる当接表面が滑り易い閉塞板41aと、軟質の合成樹脂やゴム素材又はバネ材からなる圧縮変形可能な弾性を有する環状の押圧部41bとを備え、図13に示すように他方枢軸14に押圧部41bを外嵌装着させると共に、他方枢軸14に閉塞板41aを遊嵌合させてある。異物侵入防止具41は、図14(B)に示すように支持体軸芯Y1と便座軸芯Y2を大きく交差させた便座傾斜姿勢E1のまま他方枢軸14を他方軸受部15の嵌挿用凹部16の奥側へ挿入するとき、この挿入を阻害しないように環状の押圧部41bの一部が圧縮変形し、また、図12に示すように支持体軸芯Y1と便座軸芯Y2を一致させるように便座2の装着状態を終了して便座2を揺動できる状態となったとき、嵌挿用凹部16の開口端16bの開口周縁に閉塞板41aの当接表面を押圧部41bの弾性押圧力で圧着させて、開口端16bを覆うようになる。異物侵入防止具41は、閉塞板41aの当接表面が滑り易くなっているため、便座2の揺動に伴い、嵌挿用凹部16の開口端16bの開口周縁に対して円滑に摺動して開口端16bを常に覆うことができる。
【0042】
本発明便座装置1は、図示は省略したが、他方の枢支部X2側に備えた図7に示す給電装置23の外回りに、一次コイル側シール具及び二次コイル側シール具からなる磁気シール具を設け、一次コイル24と二次コイル25の間の電磁誘導による低周波の磁界が給電装置23の外側へ漏れ出るのを抑制するように構成することもある。なお、給電装置23は、磁気シール具が設けられることで、磁界の漏れ出しを抑制すると共に、一次コイル24と二次コイル25の間の伝送効率を上昇させることができるようになる。
【0043】
前記他方(右)の枢支部X2の他方軸受部15は、図9及び図10に示す如く、侵入用空間部16d及び引出し面16eを設け、装着状態の便座2の便座軸芯方向Y2に沿うガタ付きを極力小さくなるようにしてある。しかし、一方(左)の枢支部X1に備えたロック装置26のガタ防止用突起29の高さ寸法N(図4(B)参照)を大きくしてガタ付きを解消できる範囲が大きいとき、他方の枢支部X2の他方軸受部15は、図示は省略したが、侵入用空間部16d及び引出し面16eを設ける必要がないため、嵌挿用凹部16の奥側突き当たりを平坦に仕上げることも可能である。
【0044】
前記他方(右)の枢支部X2は、図7に示す如く、他方軸受部15の嵌挿用凹部16より奥側に給電装置23の一次コイル24を埋設すると共に、他方枢軸14に給電装置23の二次コイル25を埋設してある。一次コイル24は、ボビン24aの内部にコイル24bを内蔵させたものであり、また、二次コイル25は、ボビン25aの内部にコイル25bを内蔵させたものである。
【0045】
本発明便座装置1は、便器(図示略)に固定されている支持体6に分離状態の便座2を装着するとき、図14(B)に示すように支持体軸芯Y1と便座軸芯Y2を大きく交差させた便座傾斜姿勢E1のまま他方側(右側)の他方枢軸14を他方軸受部15の嵌挿用凹部16の奥側へ挿入した後に、図15(A)(B)に示すように両軸芯Y1,Y2を小さく交差させる便座傾斜姿勢E2を経て両軸芯Y1,Y2を合致させる便座接合姿勢Fへ移行させることで、移動する一方軸受部13の開口部13bに固定状態の一方側(左側)の一方枢軸10を通過させて軸装部13aへ入れて便座装着ができる。このときに一方(左)の枢支部X1に備えたロック装置26は、図15(A)、図5(A)〜(D)及び図6(A)(B)に示す如く、一方の取付用腕部4及びロック具28が支持体6の膨出部7の一方側の側面7cの外側を通過して、一方軸受部13の軸装部13aに一方枢軸10を挿入させるまでは、ロック用付勢具35の付勢力に抗して指で操作棒32を操作してロック具28を待機位置Kに位置させたまま、ガタ防止用突起29を膨出部7に衝突させない状態にして、便座2の便座傾斜姿勢E1から姿勢E2を経て姿勢Fへの移動が円滑にできるようになる。
【0046】
そして、軸装部13aに一方枢軸10を挿入した後は、ロック装置26は、図15(B)及び図6(C)(D)に示す如く、操作棒32から指を離すことでロック用付勢具35の付勢力でロック具28をロック位置Lへ自動的に移動させて、ガタ防止用突起29を膨出部7の側面7cに当接させると共に、スラスト移動用付勢具34の付勢力でロック具28のガタ防止用突起29を膨出部7の側面7cに適切な押圧力で当接さて、便座2の便座軸芯Y2に沿ったガタ付きを防止できるようになる。ロック装置26は、膨出部7の側面7cにガタ防止用突起29を押圧させている状態のとき、一方の取付用腕部4,4に対してロック具28が便座軸芯Y2に沿って若干寸法移動できることで、便座本体3の両方の取付用腕部4,5間の寸法及び膨出部7の左右の幅寸法等の誤差を吸収できるようになっており、ガタ防止用突起29を膨出部7の側面7cに大きな押圧力で食い込ませないようにしてある。
【0047】
逆に、固定されている支持体6から便座2を分離するときには、上記操作と逆の操作を行うことで、図14(A)(B)に示すように両軸芯Y1,Y2を大きく交差させた便座傾斜姿勢E1のまま他方枢軸14を他方軸受部15の嵌挿用凹部16の奥側から抜き出して便座分離ができるため、便座2の着脱が簡単且つ確実にできる。
【0048】
なお、本発明便座装置1は、膨出部7の左右側面を挟む便座本体3の両方の取付用腕部4,5の間の寸法が設計上の予定されている寸法より大きいために、ロック具28のロック位置Lへ移動したガタ防止用突起29が膨出部7の側面7cに当接することなく接近する場合であったとしても、便座2の便座軸芯Y2に沿ったガタ付きを防止できることは勿論である。
【0049】
(第2の実施の形態) 図16乃至図18は、本発明便座装置1のロック装置の第2の実施の形態を示すものであり、図16は一方の枢支部X1の一方軸受部13及びロック装置46を示すものであって、図(A)は右側面図、図(B)は背面図、図(C)は平面図、図(D)は底面図である。図17はロック装置46を備えた一方の枢支部X1を示すものであって、図(A)は一方枢軸10と一方軸受部13の分離状態を示す左側面図、図(B)は同分離状態を示す正面図、図(C)は一方軸受部13に一方枢軸10を入れている途中の状態を示す左側面図、図(D)は同状態を示す正面図である。図18はロック装置46を備えた一方の枢支部X1を示すものであって、図(A)は一方軸受部13に一方枢軸10を入れてロック装置46が非ロック状態の左側面図、図(B)は同状態を示す正面図、図(C)は一方軸受部13に一方枢軸10を入れてロック装置46をロック状態とした左側面図、図(D)は同状態を示す正面図である。
【0050】
本実施の形態に係るロック装置46が図4乃至図6に示す前記ロック装置26と相違する点は、ガタ防止用突起49が、ロック具28のロック位置Lのときの軸装部13aへ入っている一方枢軸10の外側周囲に位置するように、右側面で略C字上に形成されて揺動片30に設けられていることである。この相違点以外のロック装置46の構成は、前記ロック装置26と実質的に同一であり、同一符号は同一構成要素等を示している。
【0051】
本実施の形態に係るロック装置46は、連結軸31の一方(左)側の軸端に、高さ寸法がガタ防止用突起49に比べて小さい小突起31a(図16(B)参照)を設けることもある。この小突起31aは、図17(C)(D)に示す如く、便座2の装着操作に伴い膨出部7の一方側の側面7cの外側を一方の取付用腕部4及びロック具28が通過するときに、小突起31aを膨出部7の側面7cに当接させてロック具28を若干寸法だけ移動させて、続いてロック操作へ移行することを認識させるようにしてある。
【0052】
本発明便座装置1は、便座装着状態でガタ防止用突起49が、支持体6の膨出部7の一方側の側面7cに当接したときであっても、便座2の開閉揺動に伴って便座装着状態の一方枢軸10の周囲で回動するので、便座2の円滑な揺動を確保することができる。
【0053】
(第3の実施の形態) 図19は本発明便座装置1のロック装置56の第3の実施の形態を示すものであり、図(A)は右側面図、図(B)は背面図である。本実施の形態に係るロック装置56が図4(A)(B)に示す前記ロック装置26と相違する点は、ロック装置26に設けたロック用付勢具35及びスラスト移動用付勢具34を省略したことであり、ロック具28を手動でロック方向へ移動させるようにすると共に、膨出部7の側面7cにガタ防止用突起29を自動的に押圧させないようにし、更に、各嵌合用凹部33の開口側両隅部に係止用突起33a,33bを設けて、嵌合用凹部33,33が外嵌した一方枢軸10(図6(C)(D)参照)を係止用突起33a,33bで無理バメ状態にして抜け難くしたことである。この相違点以外のロック装置56の構成は、前記ロック装置26と実質的に同一であり、同一符号は同一構成要素等を示している。なお、ロック具28は、便座軸芯Y2に沿う左右方向(スラスト方向)へ移動させないように、一方の取付用腕部4,4に揺動自在に設けることもある。ロック具28を便座軸芯Y2に沿う左右方向へ移動させない構造の本発明便座装置1の場合には、一方軸受部13の軸装部13aに一方枢軸10を入れた状態(図6(A)参照)でロック具28を待機位置Kからロック位置Lへ揺動させたときに、支持体6の膨出部7における一方側の側面7cに対面する揺動片30と側面7cとの間に、ガタ防止用突起29を侵入させることができるだけの隙間を生じさせる構造となる。
【0054】
(第4の実施の形態) 図20は本発明便座装置1のロック装置66の第4の実施の形態を示すものであり、図(A)は右側面図、図(B)は背面図である。本実施の形態に係るロック装置66が図16(A)(B)に示す前記ロック装置46と相違する点は、ロック装置66に設けたロック用付勢具35及びスラスト移動用付勢具34を省略したことであり、ロック具28を手動でロック方向へ移動させるようにすると共に、膨出部7の側面7cにガタ防止用突起49を自動的に押圧させないようにし、更に、各嵌合用凹部33の開口側両隅部に係止用突起33a,33bを設けて、嵌合用凹部33,33が外嵌した一方枢軸10(図18(C)(D)参照)を係止用突起33a,33bで無理バメ状態にして抜け難くしたことである。この相違点以外のロック装置56の構成は、前記ロック装置46と実質的に同一であり、同一符号は同一構成要素等を示している。なお、ロック具28は、便座軸芯Y2に沿う左右方向へ移動させないように、一方の取付用腕部4,4に揺動自在に設けることもある。ロック具28を便座軸芯Y2に沿う左右方向へ移動させない構造の本発明便座装置1の場合には、一方軸受部13の軸装部13aに一方枢軸10を入れた状態(図6(A)参照)でロック具28を待機位置Kからロック位置Lへ揺動させたときに、支持体6の膨出部7における一方側の側面7cに対面する揺動片30と側面7cとの間に、ガタ防止用突起29を侵入させることができるだけの隙間を生じさせる構造となる。
【0055】
(第5の実施の形態) 図21乃至図23は本発明便座装置の第5の実施の形態を示すものであり、図21は他方の枢支部X2を示すものであって他方軸受部15と他方枢軸14の接合状態の正面図である。図22及び図23は支持体6に便座2を装着する手順を示す部分断面した正面図であって、図22(A)は支持体6と便座2を完全に分離した状態を示し、図22(B)は便座傾斜姿勢のまま他方の枢支部X2の他方軸受部15の嵌挿用凹部16の奥側へ他方枢軸14を挿入させる装着開始状態を示し、図23(A)は一方の枢支部X1の一方枢軸10へ一方軸受部13を接近させた状態を示し、図23(B)は便座2の装着完了の状態を示している。
【0056】
本実施の形態に係る本発明便座装置71が図1乃至図15に示す前記第1の実施の形態に係る本発明便座装置1と相違する点は、他方(右)の枢支部X2について、他方枢軸14を支持体6の膨出部7の他方側(右側)に設けると共に、他方軸受部15を便座2の他方の取付用腕部5に設けたことである。本発明便座装置71におけるこの相違点以外の構成は、図1乃至図15に示す本発明便座装置1と実質的に同一であり、同一符号は同一構成要素等を示している。
【0057】
他方(右)の枢支部X2は、図21に示す如く、支持体6の膨出部7から他方の方向(右方向)へ向かって突出する短円柱状の他方枢軸14と、他方の取付用腕部5の一方側(左側)に開設した横向きの嵌挿用凹部16へ開口端16bから他方枢軸14を出し入れできる他方軸受部15とからなる。他方軸受部15は、便座2の装着手順を説明する図22に示す如く、支持体6の一方枢軸10及び他方枢軸14が形成する支持体軸芯Y1と分離状態の便座2の一方軸受部13及び他方軸受部15が形成する便座軸芯Y2との交差角θを大きくした便座傾斜姿勢E1のまま他方枢軸14を受け入れでき、更に、同手順を説明する図23に示す如く、他方枢軸14を受け入れたまま両軸芯Y1,Y2の交差角θを小さくさせる便座傾斜姿勢E2(図(A)参照)を経て両軸芯Y1,Y2を合致させる便座接合姿勢F(図(B)参照)へ移行させるのに伴い、前記一方(左)の枢支部X1の一方枢軸10を、図5(A)(B)に示す如く一方軸受部13の開口部13bを通過させて軸装部13aへ挿着できるように、嵌挿用凹部16の奥側16aに比べて開口端16b側を大径となるように傾斜部16cを形成してある。
【0058】
本発明に係る便座装置71は、便座2の他方の取付用腕部5に他方枢軸14を出入れできる嵌挿用凹部16を開設した他方軸受部15を内蔵するように備えるので、便座2を着脱するときに誤って便座2を落としたとしても、他方の取付用腕部5で保護される他方軸受部15を破損させることもなく、便座2を円滑に着脱させることができる。
【0059】
便座2を支持する支持体6から便座2へ給電する給電装置23は、図21に示す如く、他方枢軸14に埋設した一次コイル24と、他方軸受部15の嵌挿用凹部16より奥側に埋設した二次コイル25とからなる。
【0060】
本発明便座装置71は、分離した便座2を支持体6に装着するとき、図22(B)に示すように支持体軸芯Y1と便座軸芯Y2を大きく交差させた便座傾斜姿勢E1のまま他方側(右側)の他方軸受部15の嵌挿用凹部16の奥側へ他方枢軸14を挿入した後に、図23(A)(B)に示すように両軸芯Y1,Y2を小さく交差させる便座傾斜姿勢E2を経て両軸芯Y1,Y2を合致させる便座接合姿勢Fへ移行させることで、移動する一方軸受部13の開口部13b(図5及び図6参照)に固定状態の一方側(左側)の一方枢軸10を通過させて軸装部13aへ入れて便座装着ができる。このときに一方(左)の枢支部X1に備えたロック装置26は、図23(A)、図5(A)〜(D)及び図6(A)(B)に示す如く、一方の取付用腕部4及びロック具28が支持体6の膨出部7の一方側の側面7cの外側を通過して、一方軸受部13の軸装部13aに一方枢軸10を挿入させるまでは、ロック用付勢具35の付勢力に抗して指で操作棒32を操作してロック具28を待機位置Kに位置させたまま、ガタ防止用突起29を膨出部7に衝突させない状態にしておくことで、便座2の便座傾斜姿勢E1から姿勢E2を経て姿勢Fへの移動が円滑にできるようになる。
【0061】
そして、軸装部13aに一方枢軸10を挿入した後は、ロック装置26は、図23(B)及び図6(C)(D)に示す如く、操作棒32から指を離すことでロック用付勢具35の付勢力でロック具28を待機位置K(図23(A)、図6(A)参照)からロック位置Lへ自動的に移動させる。ロック装置26は、このロック具28の移動に伴い、ガタ防止用突起29を膨出部7の側面7cに当接させると共に、スラスト移動用付勢具34の付勢力でロック具28のガタ防止用突起29を膨出部7の側面7cに適切な押圧力で当接さて、便座2の便座軸芯Y2に沿ったガタ付きを防止できるようになる。
【0062】
逆に、固定されている支持体6から便座2を分離するときには、上記操作と逆の操作を行うことで、図22(A)(B)に示すように両軸芯Y1,Y2を大きく交差させた便座傾斜姿勢E1のまま他方軸受部15の嵌挿用凹部16の奥側から他方枢軸14を抜き出して便座分離ができるため、便座2の着脱が簡単且つ確実にできる。
【0063】
(第6の実施の形態) 図24乃至図27は本発明便座装置の第6の実施の形態を示すものであって、図24は支持体6に便座2を装着する手順を示す正面図であって、図(A)は支持体6と便座2を分離した状態を示し、図(B)は支持体6に便座2を装着した状態を示す。図25は他方(右)の枢支部X2を示すものであって、図(A)は他方枢軸84と他方軸受部83の分離状態を示す正面図、図(B)は同分離状態を示す右側面図、図(C)は他方軸受部83に他方枢軸84を入れて他方のロック装置86が非ロック状態の正面図、図(D)は同状態を示す右側面図である。図26は他方の枢支部X2を示すものであって、図(A)は他方軸受部83に他方枢軸84を入れて他方のロック装置86をロック状態とした正面図、図(B)は同状態を示す右側面図である。図27は便座2を装着した状態の本発明便座装置81の要部を示す左側面図である。
【0064】
本実施の形態に係る本発明便座装置81は、図1乃至図15に示す前記第1の実施の形態に係る本発明便座装置1と他方(右)の枢支部X2の構成が相違し、この相違する以外の構成については本発明便座装置1と実質的に同一であり、同一符号は同一構成要素等を示している。
【0065】
他方の枢支部X2は、図25に示す如く、支持体6の膨出部7の他方側面7dから更に他方の方向(右方向)へ向かって突出した他方枢軸84と、便座2の他方の取付用腕部5に設けられ、他方軸用軸装部83a及びこの軸装部83aへ他方枢軸84を出し入れするための他方枢軸出入用開口部83bを有する他方軸受部83とを備え、軸装部83aへ挿着した他方枢軸84が抜け出すのを阻止するための他方のロック装置86とを備えている。他方枢軸84は、膨出部7に固着され、便座2及び便蓋(図示略)を揺動自在に支持するようになっている。
【0066】
前記他方のロック装置86は、前記第1の実施の形態と同様に、非ロック状態(図24(A)び図25参照)のときには、他方枢軸84が他方枢軸出入用開口部83bを通じて他方軸用軸装部83aへ挿着又は離脱でき、ロック状態(図24(B)及び図26参照)のときには、他方軸受部83の軸装部83aから他方枢軸84が出ることを阻止するようになっている。他方のロック装置86は、一方(左)に設けた一方のロック装置26(図4乃至図6に示す第1の実施の形態のものと同一である。)と左右対称に構成されると共に一方のロック装置26に備えているロック用付勢具35が省略されたものであり、他方の取付用腕部5に揺動自在で且つ便座軸芯Y2に沿って左右方向(スラスト方向)へ移動(摺動)自在に枢支27,27された他方のロック具28と、他方のロック具28に一体に設けられて一方側(左側)ヘ向かって突出するガタ防止用突起29とを備え、他方のロック具28の揺動範囲を、他方軸受部63の他方軸用軸装部63aから他方枢軸64が出ることを阻止しない待機位置K(図25(C)(D))から阻止するロック位置L(図26)までとすると共に、他方のロック具28のスラスト移動範囲を、ガタ防止用突起29が、ロック具28の待機位置K(図25(C)(D))のときに膨出部7の他方側面7dの位置よりも一方(左)へ突出する前進位置からロック具28のロック位置L(図26)のときに側面7dへ当接する位置から若干一方側寄りとなる後退位置(図26は右へ向かって若干後退できる状態となっている)までとしてある。
【0067】
また、他方のロック装置86は、図25(A)に示す如く、他方の取付用腕部5と他方のロック具28の間に、他方のロック具28を後退位置へ向かう方向へ付勢するスラスト移動用付勢具34を設けてある。なお、スラスト移動用付勢具34は、省略されることもある。また、一方(左)のロック装置26に備えられロック具28をロック位置Lへ付勢するロック用付勢具35については、一方のロック装置26に備えることなく、他方のロック装置86に備えるようにすることも可能である。
【0068】
本発明便座装置81は、分離した便座2を支持体6に装着するとき、図24(A)に示すように支持体軸芯Y1と便座軸芯Y2を平行又は略平行にした状態のまま便座2を支持体6へ向かって移動させ、一方(左)の枢支部X1の移動する一方軸受部13の一方枢軸出入用開口部13b(図5及び図6参照)に固定状態の一方枢軸10を通過させて一方の軸装部13aへ入れると共に、他方(右)の枢支部X2の移動する他方軸受部63の他方枢軸出入用開口部63b(図25参照)に他方枢軸64を通過させて他方の軸装部63aへ入れて便座装着ができる。このときに一方の枢支部X1及び他方の枢支部X2に備えた両方のロック装置26,86は、上記便座装着ができるまでは、両方のロック具28,28を待機位置Kに位置させたまま、両方のガタ防止用突起29,29を膨出部7に衝突させない状態を維持させ、上記便座装着ができたときには、両方のロック具28,28を待機位置Kからロック位置Lへ移動させて、両方のガタ防止用突起29,29を膨出部7の側面7c又は側面7dに当接又は接近させ、便座2の便座軸芯方向(左右方向)のガタ付きを抑制することができる。
【0069】
逆に、固定されている支持体6から便座2を分離するときには、上記操作と逆の操作を行うことで、一方軸受部13から一方枢軸10を抜き出すと共に、他方軸受部83から他方枢軸84を抜き出して便座分離ができるため、便座2の着脱が簡単且つ確実にできる。
【0070】
なお、本実施の形態に係る本発明便座装置81は、一方の枢支部X1に備えたロック装置26のガタ防止用突起29及び/又は他方の枢支部X2に備えたロック装置86のガタ防止用突起29を、第2の実施の形態に係るロック装置46に備えたガタ防止用突起49に変更することも可能である。また、両方のロック装置26,86は、いずれか一つのロック装置のロック具28の左右方向の移動を省略し、他のロック装置28のロック具28のみを左右方向へ移動させるようにして、便座2の便座軸芯方向(左右方向)のガタ付きを抑制するように構成することも可能である。また、本発明便座装置81は、図20に示す態様のものと左右対称に形成して、一方を「右」とすると共に他方を「左」とすることもある。
【0071】
(その他の実施の形態) 前記ロック具28は、図6(C)(D)に示すように、一方軸受部13の軸装部13aへ挿着している一方枢軸10を嵌合用凹部33,33で外嵌して、一方軸受部13と一方枢軸10との分離を阻止すると共に着座使用時の便座2が前後方向へガタ付かないようにしてあるが、これに限定るものではなく、図示は省略したが、一方軸受部13の開口部13bを覆う覆蓋片を形成して、開口部13bから一方枢軸10から抜けでるのを防止する構造を採用することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0072】
【図1】本発明便座装置の第1の実施の形態を示すものであり、支持体に便座を装着した状態の概略構成を示す平面図である。
【図2】同装着状態の本発明便座装置の左側面図である。
【図3】図2の一点鎖線イで囲まれた箇所を拡大して示す断面図である。
【図4】一方の枢支部の一方軸受部及びロック装置を示すものであって、図(A)は右側面図、図(B)は背面図、図(C)は平面図、図(D)は底面図である。
【図5】一方の枢支部を示すものであって、図(A)は一方枢軸と一方軸受部の分離状態を示す左側面図、図(B)は同分離状態を示す正面図、図(C)は一方軸受部に一方枢軸を入れている途中の状態を示す左側面図、図(D)は同状態を示す正面図である。
【図6】一方の枢支部を示すものであって、図(A)は一方軸受部に一方枢軸を入れてロック装置が非ロック状態の左側面図、図(B)は同状態を示す正面図、図(C)は一方軸受部に一方枢軸を入れてロック装置をロック状態とした左側面図、図(D)は同状態を示す正面図である。
【図7】他方の枢支部を示すものであって他方軸受部と他方枢軸の接合状態の正面図である。
【図8】他方の枢支部の他方枢軸を示すものであって、図(A)は部分断面した正面図、図(B)は左側面図である。
【図9】他方の枢支部の他方軸受部を示すものであって、図(A)は便座接合作業の開始状態の他方枢軸を二点鎖線で示す正面図、図(B)は右側面図である。
【図10】他方の枢支部の他方軸受部を示すものであって、図(A)は便座接合作業の完了状態の他方枢軸を二点鎖線で示す正面図、図(B)は同状態の右側面図である。
【図11】便座を水平な姿勢にして便座接合作業ができるようにした態様の他方の枢支部の他方軸受部を示すものであって、図(A)は便座接合作業の開始状態の他方枢軸を二点鎖線で示す平面図、図(B)は右側面図である。
【図12】は異物侵入防止具を備えた態様の他方の枢支部を示すものであって他方軸受部と他方枢軸の接合状態の正面図である。
【図13】異物侵入防止具を備えた態様の他方の枢支部の他方枢軸を示すものであって、図(A)は部分断面した正面図、図(B)は左側面図である。
【図14】支持体に便座を装着する手順を示す部分断面した正面図であって、図(A)は支持体と便座を完全に分離した状態を示し、図(B)は便座傾斜姿勢のまま他方軸受部の嵌挿用凹部へ他方枢軸を挿入する装着開始状態を示す。
【図15】同手順を示す部分断面した正面図であって、図(A)は一方の枢支部の一方枢軸へ一方軸受部を接近させた状態を示し、図(B)は便座の装着状態を示す。
【図16】本発明便座装置のロック装置の第2の実施の形態を示すものであり、図(A)は一方の枢支部の一方軸受部及びロック装置を示す右側面図、図(B)は背面図、図(C)は平面図、図(D)は底面図である。
【図17】第2の実施の形態のロック装置備えた一方の枢支部を示すものであって、図(A)は一方枢軸と一方軸受部の分離状態を示す左側面図、図(B)は同分離状態を示す正面図、図(C)は一方軸受部に一方枢軸を入れている途中の状態を示す左側面図、図(D)は同状態を示す正面図である。
【図18】第2の実施の形態のロック装置を備えた一方の枢支部を示すものであって、図(A)は一方軸受部に一方枢軸を入れてロック装置が非ロック状態の左側面図、図(B)は同状態を示す正面図、図(C)は一方軸受部に一方枢軸を入れてロック装置をロック状態とした左側面図、図(D)は同状態を示す正面図である。
【図19】本発明便座装置のロック装置の第3の実施の形態を示すものであり、図(A)は右側面図、図(B)は背面図である。
【図20】本発明便座装置のロック装置の第4の実施の形態を示すものであり、図(A)は右側面図、図(B)は背面図である。
【図21】本発明便座装置の第5の実施の形態を示すものであり、他方の枢支部の他方軸受部と他方枢軸の接合状態の正面図である。
【図22】第5の実施の形態において支持体に便座を装着する手順を示す部分断面した正面図であって、図(A)は支持体と便座を完全に分離した状態を示し、図(B)は便座傾斜姿勢のまま他方の枢支部の他方軸受部の嵌挿用凹部の奥側へ他方枢軸を挿入させる装着開始状態を示すものである。
【図23】第5の実施の形態において支持体に便座を装着する手順を示す部分断面した正面図であって、図(A)は一方の枢支部の一方枢軸へ一方軸受部を接近させた状態を示し、図(B)は便座の装着完了の状態を示す。
【図24】本発明便座装置の第6の実施の形態を示すものであって、支持体に便座を装着する手順を示す正面図であり、図(A)は支持体と便座を分離した状態を示し、図(B)は支持体に便座を装着した状態を示す。
【図25】第6の実施の形態における他方の枢支部を示すものであって、図(A)は他方枢軸と他方軸受部の分離状態を示す正面図、図(B)は同分離状態を示す右側面図、図(C)は他方軸受部に他方枢軸を入れて他方のロック装置が非ロック状態の正面図、図(D)は同状態を示す右側面図である。
【図26】第6の実施の形態における他方の枢支部を示すものであって、図(A)は他方軸受部に他方枢軸を入れて他方のロック装置をロック状態とした正面図、図(B)は同状態を示す右側面図である。
【図27】第6の実施の形態のにおいて便座を装着した状態の本発明便座装置の要部を示す左側面図である。
【符号の説明】
【0073】
1…本発明便座装置、2…便座、4…一方の取付用腕部、5…他方の取付用腕部、6…支持体、7…膨出部、10…一方枢軸、13…一方軸受部、13a…軸装部、13b…一方枢軸出入用開口部、14…他方枢軸、15…他方軸受部、16…嵌挿用凹部、16c…傾斜部、16d…侵入用空間部、16e…引出し面、23…給電装置、24…一次コイル、25…二次コイル、26(46,56,66,86)…ロック装置、27…枢支、28…ロック具、29(49)…ガタ防止用突起、30…揺動片、31…連結軸、31a…小突起、32…操作棒、33…嵌合用凹部、34…スラスト移動用付勢具、35…ロック用付勢具、E…便座傾斜姿勢、E1…両軸芯Y1,Y2の交差角度を大きくした便座傾斜姿勢、E2…両軸芯Y1,Y2の交差角度を小さくした便座傾斜姿勢、X1…一方の枢支部、X2…他方の枢支部、Y1…支持体軸芯、Y2…便座軸芯、θ…交差角
【特許請求の範囲】
【請求項1】
座面を形成した本体部に左右の一方の取付用腕部と左右の他方の取付用腕部を突設した便座と、両方の取付用腕部で挟まれる膨出部を形成した支持体と、支持体に両方の取付用腕部を介して便座を揺動自在に枢支する一方の枢支部及び他方の枢支部とを備え、便座が支持体に対し着脱可能である便座装置において、
一方の枢支部は、膨出部から突出する一方枢軸と、一方の取付用腕部に設けられ、軸装部及び軸装部へ一方枢軸を出し入れするための一方枢軸出入用開口部を有する一方軸受部と、ロック装置とを備え、
ロック装置は、一方の取付用腕部に揺動自在に設けられ、軸装部から一方枢軸が出ることを阻止しない待機位置から阻止するロック位置まで進退自在なロック具と、ロック具に一体に突設され、ロック具が待機位置のときには膨出部の側面から離隔すると共にロック具がロック位置のときには該側面に対面するガタ防止用突起とを備え
たことを特徴とする便座装置。
【請求項2】
前記他方の枢支部は、膨出部及び他方の取付用腕部のいずれか一方から突出する他方枢軸と、これらの他方に開設した嵌挿用凹部へ他方枢軸を出入れできる他方軸受部とを備え、
この他方軸受部は、便座枢支の中心となる支持体の支持体軸芯と分離状態の便座の便座軸芯との交差角を大きくした便座傾斜姿勢のまま他方枢軸を受け入れでき、他方枢軸を受け入れたまま両軸芯の交差角を小さくさせる便座傾斜姿勢を経て両軸芯を合致させる便座接合姿勢へ移行させるのに伴い、一方枢軸を一方枢軸出入用開口部を通過させて軸装部へ入れることができるように、嵌挿用凹部の奥側に比べて開口端側を大径に形成し
た請求項1に記載の便座装置。
【請求項3】
前記ガタ防止用突起は、ロック具がロック位置のときに、軸装部へ入っている一方枢軸の外側周囲に位置するように設けられている請求項1又は2記載の便座装置。
【請求項4】
前記ロック装置は、一方の取付用腕部とロック具の間に設けられ、ロック具をロック位置へ付勢するロック用付勢具を備えた請求項1、2又は3記載の便座装置。
【請求項5】
前記ロック装置は、前記ロック具が便座軸芯に沿う方向へ移動自在に設けられ、一方の取付用腕部とロック具の間に設けられ、ロック具を膨出部へ向かって付勢するスラスト移動用付勢具を備えた請求項1、2、3又は4記載の便座装置。
【請求項6】
前記支持体に設けた制御部と、前記支持体における他方軸受部より奥側に設けて制御部に接続した一次コイルと、便座に設けた電気式加熱手段と、前記他方枢軸に設けて加熱手段に接続した二次コイルとからなり、両コイル間の電磁誘導で給電を行うようにした給電装置を備えた請求項2に記載の便座装置。
【請求項7】
前記支持体に設けた制御部と、前記支持体における他方枢軸に設けて制御部に接続した一次コイルと、便座に設けた電気式加熱手段と、前記他方軸受部より奥側に設けて加熱手段に接続した二次コイルとからなり、両コイル間の電磁誘導で給電を行うようにした給電装置を備えた請求項2に記載の便座装置。
【請求項1】
座面を形成した本体部に左右の一方の取付用腕部と左右の他方の取付用腕部を突設した便座と、両方の取付用腕部で挟まれる膨出部を形成した支持体と、支持体に両方の取付用腕部を介して便座を揺動自在に枢支する一方の枢支部及び他方の枢支部とを備え、便座が支持体に対し着脱可能である便座装置において、
一方の枢支部は、膨出部から突出する一方枢軸と、一方の取付用腕部に設けられ、軸装部及び軸装部へ一方枢軸を出し入れするための一方枢軸出入用開口部を有する一方軸受部と、ロック装置とを備え、
ロック装置は、一方の取付用腕部に揺動自在に設けられ、軸装部から一方枢軸が出ることを阻止しない待機位置から阻止するロック位置まで進退自在なロック具と、ロック具に一体に突設され、ロック具が待機位置のときには膨出部の側面から離隔すると共にロック具がロック位置のときには該側面に対面するガタ防止用突起とを備え
たことを特徴とする便座装置。
【請求項2】
前記他方の枢支部は、膨出部及び他方の取付用腕部のいずれか一方から突出する他方枢軸と、これらの他方に開設した嵌挿用凹部へ他方枢軸を出入れできる他方軸受部とを備え、
この他方軸受部は、便座枢支の中心となる支持体の支持体軸芯と分離状態の便座の便座軸芯との交差角を大きくした便座傾斜姿勢のまま他方枢軸を受け入れでき、他方枢軸を受け入れたまま両軸芯の交差角を小さくさせる便座傾斜姿勢を経て両軸芯を合致させる便座接合姿勢へ移行させるのに伴い、一方枢軸を一方枢軸出入用開口部を通過させて軸装部へ入れることができるように、嵌挿用凹部の奥側に比べて開口端側を大径に形成し
た請求項1に記載の便座装置。
【請求項3】
前記ガタ防止用突起は、ロック具がロック位置のときに、軸装部へ入っている一方枢軸の外側周囲に位置するように設けられている請求項1又は2記載の便座装置。
【請求項4】
前記ロック装置は、一方の取付用腕部とロック具の間に設けられ、ロック具をロック位置へ付勢するロック用付勢具を備えた請求項1、2又は3記載の便座装置。
【請求項5】
前記ロック装置は、前記ロック具が便座軸芯に沿う方向へ移動自在に設けられ、一方の取付用腕部とロック具の間に設けられ、ロック具を膨出部へ向かって付勢するスラスト移動用付勢具を備えた請求項1、2、3又は4記載の便座装置。
【請求項6】
前記支持体に設けた制御部と、前記支持体における他方軸受部より奥側に設けて制御部に接続した一次コイルと、便座に設けた電気式加熱手段と、前記他方枢軸に設けて加熱手段に接続した二次コイルとからなり、両コイル間の電磁誘導で給電を行うようにした給電装置を備えた請求項2に記載の便座装置。
【請求項7】
前記支持体に設けた制御部と、前記支持体における他方枢軸に設けて制御部に接続した一次コイルと、便座に設けた電気式加熱手段と、前記他方軸受部より奥側に設けて加熱手段に接続した二次コイルとからなり、両コイル間の電磁誘導で給電を行うようにした給電装置を備えた請求項2に記載の便座装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【公開番号】特開2010−82050(P2010−82050A)
【公開日】平成22年4月15日(2010.4.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−252470(P2008−252470)
【出願日】平成20年9月30日(2008.9.30)
【出願人】(000000479)株式会社INAX (1,429)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年4月15日(2010.4.15)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年9月30日(2008.9.30)
【出願人】(000000479)株式会社INAX (1,429)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]