説明

保守スキル者選定装置、選定システム、選定方法、及び選定プログラム

【課題】 故障通報時の顧客の音声についての音声認識及び音声解析を行い、その解析結果の情報に基づいて、迅速に適切なスキル者を選定する。
【解決手段】 スキル者自動アサインサーバ10は、音声を解析して、ユーザの心理状態のクレームレベルを数値化すると共に、音声からテキスト化する音声認識部101と、故障通報毎に、音声認識部101からのユーザとクレームレベルとトラブル内容とを受付DB105に登録する故障受付処理部102と、故障受付処理部102で受け付けた故障の対応優先順位をクレームレベルの降順に決定し、クレームレベルに対応可能能力のクレーム対応スキルを保有するスキル者を対象に、自動的に選定するスキル者指示監視部103とを備える構成としている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、保守スキル者選定装置、選定システム、選定方法、及び選定プログラムに係り、特に、顧客からの電話による故障通報に基づいて作動し、当該故障通報に対応する最適な保守担当者を自動的に選定することを内容とする保守スキル者選定装置、選定システム、選定方法、及び選定プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、故障等によるトラブル対応については、顧客からのトラブルの受付段階において、顧客の声による情報をもとにトラブル内容,緊急度及び顧客の心理状態を、受付担当者が個々に判断して、その対応優先順位及び保守担当者の選定を決定していた。その際に、トラブル内容についてのヒアリングミスや顧客の心理状態の誤認識が引き金となり、次の復旧段階のための準備段階において、保守担当者についてのクレームに対する保有スキルの有無や現在位置の認識が曖昧であることにより、対応優先順位及び保守担当者の選定に不適切な決定を行ってしまった。最終的には、保守担当者が現地で復旧作業を開始するまでに、無駄な時間を費やしてしまうことになり、トラブルの早期復旧の実現が課題となっていた。
【0003】
この種の従来技術としては、特許文献1や特許文献2等に記載のものが知られている。この内、特許文献1に記載の「保守支援端末及び保守業務支援システム」は、保守対象機器と,保守支援端末と,サポート側作業端末とから構成されている。又、保守支援端末は、保守対象機器からのセンサ情報,障害対応者の保守支援端末から入力を受け付けた障害対応者の能力,および障害対応者をサポートするサポート者の各重み(スケジュール,累積作業実績,障害との相性,現在位置,及び研修経験)とから算出した値に基づいて、最適なサポート者を選出して、そのサポート者のサポート側作業端末を通じて障害対応者とサポート者とが協調作業を行うことにより、障害発生時の問題解決を行うことができる構成になっている。
【0004】
次に、特許文献2に記載の「商品やサービスに関するクレーム対応システム」は、クレームサーバと,クレーム端末と,クレーム監視端末とを備えている。この内、クレームサーバは、顧客が受けたガイダンスに対するクレーム情報をデータベースに記録すると共に、各クレームについてクレーム端末を介して入力された担当者との折衝情報をデータベースに記録するクレーム受付部と,折衝情報の解析処理(問題言語マスタとの照合による過激な言葉や差別語のチェックを行う会話解析と,大きい音域幅の会話チェックを行う口調解析と,長い通話時間のチェックを行う会話内容解析とを備え、更に、同一案件や同一顧客のチェックを行う折衝回数の割り出しを行って問題点となる要点を抽出してクレーム監視端末に出力する解析機能部を備えている。これにより、受付担当者と顧客との折衝内容(対応状況,対応内容,音声等)で問題点となる要点がないかを自動的に把握できる構成になっている。
【特許文献1】特開2001−160097号公報
【特許文献2】特開2001−236367号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上述した特許文献1や特許文献2では、それぞれの目的は達成されているが、作今においては、トラブルの最適な保守担当者選定の際に、トラブル発生時の顧客側の心理状態についても考慮してほしいとの要請があり、又、(顧客側からの要請)として、クレームレベルに適応可能な保守担当者や最短時間で移動可能な保守担当者の選定を的確してほしい、等の社会的な要請が多い。また、管理者側からは、受付担当者による顧客から取得した苦情情報等について聞き漏らしのない対応が望まれていた(音声データを変換したテキストデータや会話スピードを考慮した解析等)。
【0006】
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたもので、顧客からの電話による故障通報の受付段階において、顧客の音声についての音声認識及び音声解析を行い、その解析結果の情報に基づいて迅速に適切な保守担当者を選定することを可能とした保守スキル者選定装置、選定システム、選定方法、及び選定プログラムを提供することを、その目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明にかかる保守スキル者選定装置は、顧客からの電話による故障通報に基づいて作動し当該故障通報に対応する最適な保守担当者を選定する保守スキル者選定装置において、前述した故障通報の音声を解析して当該顧客の心理状態からみた不満度の大きさと故障内容の程度とを認識する音声認識部と、この音声認識部で認識された前記不満度の大きさと前記故障通報の内容とを含む受付情報を予め別に登録された前記顧客情報と関連付けて登録処理する故障受付処理部とを備えている。又、本発明では、前述した登録処理された受付情報に対する対応優先順位を前記不満度の大きさ等に基づいて決定すると共に、予め別に登録されている保守担当者の中から、前記受付情報の不満度の大きさに対応し得るレベルのスキルを備えた保守担当者を選定するスキル者選定監視部を備えている(請求項1乃至5)。
このため、本発明によると、故障通報の内容をその不満度も含めて分析し対応するようにしたので、顧客の要望に対応し得るに充分なスキルを備えた適切なスキル者を保守担当者として迅速に決定し送り込むことが可能となるという利点がある。
【0008】
ここで、顧客情報については、前述した顧客の心理状態からみた不満度の大きさに応じて数値化されたクレームレベル毎に、当該クレームレベルに対応し得る必要スキル(必要クレーム対応スキル)や優先順位等が特定された顧客情報を予め登録する顧客データベースを装備してもよい。又保守担当者については、前述した必要スキルに対応した所定レベルの保守対応スキルを備えた複数の保守担当者にかかる情報を予め登録してなるスキル者データベースを備えておいてもよい(請求項2)。
このようにすると、過去の経歴も生かされて苦情処理を円滑に、且つ迅速に処理することができ、しかも対応範囲が広くなり且つ故障内容の難易度の高低にも充分に対応することが可能となるという利点がある。
【0009】
ここで、前述した顧客情報を登録した前記顧客データベースと前記受付情報等を登録した前記受付データベースとは、前記故障受付処理部に併設してもよい(請求項3)。情報処理の迅速化に好都合となる。
【0010】
又、前述したスキル者選定監視部が、前記受付情報の顧客に対処し得るレベルの保守担当者を前記スキル者データベースから選定する機能と、この選定した保守担当者を別に装備された対応可能スキル者データベースに登録する対応可能者選定登録機能とを備え、更に、この対応可能スキル者データベースに新たに登録されたスキル者から前記顧客に合った最適な保守担当者を選定するスキル者選定機能を備えた構成としてもよい(請求項4) このようにすると、対応可能スキル者データベースに予め想定される故障に合わせて複数ランクにわたって適任者(対応可能スキル者)を保有することとなり、顧客に対して充分に行き届いたスキル者の迅速な派遣が可能となるという利点がある。
【0011】
更に、前述したスキル者選定監視部は、前記選定の対象になった保守担当者の携帯端末の所在位置を監視する所在位置監視機能と、該所在位置監視機能で監視した前記保守担当者の携帯端末の中で当該顧客の前記所在地に最寄りの前記保守担当者を自動的に選定する最寄り保守担当者選定機能とを備えた構成としてもよい(請求項5)。
このようにすると、顧客に対する保守担当者の派遣時間までも的確に伝える事が可能となり、このため、顧客からの信頼度を著しく高めるこができる。
【0012】
本発明にかかる保守スキル者選定システムは、前述した保守スキル者選定装置と、この保守スキル者選定装置に対してネットワークを介して接続された保守担当者用の携帯端末とを備えている。そして、保守スキル者選定装置の前述したスキル者選定監視部は、選定の対象になった保守担当者の携帯端末の所在位置を監視するスキル者位置監視機能と、前述した保守担当者の携帯端末の中で当該顧客の所在地に最寄りの場所にいる前記保守担当者を選定する最寄り保守担当者選定機能と、選定した保守担当者の携帯端末と前記故障内容に関する情報を送受信する担当者連絡機能とを備えて構成されている(請求項6)。
このようにすることにより、前述した保守スキル者選定装置の有する作用効果をこの保守スキル者選定システムで有効に生かすことが可能となり、顧客の必要とするスキルを備えた保守担当者の所在の所在を常時把握し得るので、顧客からの故障通報に迅速に且つ的確に対応する事が可能となる。
【0013】
ここで、前述した保守スキル者選定装置は、管理責任者用の携帯端末とはネットワークを介して接続され、顧客からの故障内容に対応可能な保守担当者に関する情報を前記管理責任者用の携帯端末に送信する責任者連絡機能を備えた構成としてもよい(請求項7)。 これにより、顧客先への移動時間や顧客が必要とする必要スキルとに基づいた最適な保守担当者に対して、保守先の顧客情報、故障内容の情報及び顧客の心理状態の情報等を保守担当者の携帯端末に送信し、作業指示を行うことができる。また、最適な保守担当者が不在の場合は、管理責任者の携帯端末に特別緊急対応を行う必要がある旨の情報を送信することができる。
【0014】
又、本発明にかかる保守スキル者選定方法は、顧客からの電話による故障通報に基づいて機能し当該故障通報に対応する最適な保守担当者を選定する保守スキル者選定方法において、前述した故障通報の音声を解析して当該顧客の心理状態からみた不満度の大きさと故障内容の程度とを認識する音声認識工程と、この音声認識工程で認識された前記不満度の大きさと前記故障通報の内容とに関する受付情報を予め登録された前記顧客に関する顧客情報と関連付けて所定の登録部に登録する故障受付処理工程と、前記受付情報に対する保守対応優先順位を前述した不満度の大きさに基づいて決定すると共に予め登録された前記保守担当者の中から前述した受付情報の前記不満度の大きさに対応し得るスキルを備えた保守担当者を選定するスキル者選定監視工程とを有することを特徴とする保守スキル者選定方法(請求項8)。
このため、本発明によると、故障通報の内容をその不満度も含めて分析した後に顧客に対応するようにしたので、適切なスキル者を備えた保守担当者を迅速に且つ的確に選定することができるという利点がある。
【0015】
ここで、前述した各工程に先立って、予め設けられた顧客情報登録用のデータベースに、前記顧客毎に且つ該顧客の心理状態からみた不満度の大きさに応じて数値化されたクレームレベル毎に、該クレームレベルに応じた当該故障対応能力の高さに比例して数値化された必要スキルを含む顧客情報を登録する顧客情報登録工程と、予め設けられた保守担当者情報登録用のデータベースに、前記保守担当者毎に前記必要スキルと対応付けられた当該保守担当者の保有スキルを含む保守担当者情報を登録する保守担当者情報登録工程とを実行するように構成してもよい(請求項9)。
このようにすると、顧客情報と保守担当者情報とがその経歴を含めて大量に保持されるので、顧客に対するサービス及び故障内容の判断を的確に且つ迅速になし得るという利点が生ずる。
【0016】
更に、本発明にかかる保守スキル者選定プログラムは、保守担当者用のデータベースに、顧客からの電話による故障通報に対して対応可能な能力の高さを数値化して成る保有スキルを含む保守担当者情報を登録する保守スキル者登録処理と、顧客からの電話による故障通報の音声を解析して当該顧客の心理状態のクレームレベルを当該故障内容に対する不満度の大きさに比例して数値化し且つ前記音声から故障内容をテキスト化する音声認識処理と、前記顧客からの電話による故障通報毎に、前記顧客とクレームレベルとテキスト化した故障内容とを含む受付情報を受付用データベースに登録する受付情報登録処理と、
前記故障内容に対応した保守担当者の選定に際しては前記保守担当者用のデータベースから前記クレームレベルに対応可能な能力のスキルを備えた保守担当者を対象に選定する保守スキル者選定処理と、
をコンピュータに実行させることを特徴とする(請求項10)。
このようにしても、顧客の要望に対応し得るに充分なスキルを備えた適切なスキル者を最適保守担当者として迅速に選定することが可能となる。
【0017】
ここで、前述したスキル者選定処理で選定された複数の保守担当者の内から電話故障通報してきた前記顧客の住所地に最も近い位置に居る保守スキル者を最適保守スキル者として特定するスキル者選定監視処理、をコンピュータに実行させるようにしてもよい(請求項11)。
【発明の効果】
【0018】
以上のように、本発明によれば、顧客からの電話による故障通報に基づいて適切な保守担当者を選定することにより、迅速な対応を行うことができ、故障通報の受付担当者による故障内容のヒアリングミスや顧客の心理状態の誤認識等による二次トラブルの発生防止にも繋げることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。
〔全体的な構成〕
本実施形態における保守スキル者選定システムは、図2に示すように保守スキル者選定装置10と、この保守スキル者選定装置(スキル者自動アサインサーバ)10にインターネット等のネットワーク100を介して接続されたスキル者(保守担当者)用の携帯端末20と、これら保守スキル者選定装置10および保守担当者用携帯端末20にネットワーク100を介して接続された管理責任者携帯端末30とを備えている。ここで、スキル者(保守担当者)用の携帯端末20は、通信衛星による通信回線200によってその位置が把握されるようになっている。
【0020】
前述した保守スキル者選定装置10は、顧客からの電話による故障通報に基づいて作動し当該故障通報に対応する最適な保守担当者(保守スキル者)を選定する機能を備えている。この保守スキル者選定装置10は、図1に示すように、顧客からの前述した故障通報を受け付ける度毎に当該故障通報の音声を解析して当該顧客の心理状態のクレームレベルを前記不満度に応じて数値化すると共に前述した故障通報の内容から故障内容をテキスト化する音声認識部101を備えている。又、この保守スキル者選定装置10は、前述した音声認識部101から出力される前記顧客に関する情報,前記クレームレベル,及び前記テキスト化した故障内容を含む受付情報等を、予め別に装備された受付データベース105に登録する故障受付処理部102を備えている。更に、この保守スキル者選定装置10は、登録処理された受付情報に対する対応優先順位を前記不満度の大きさ等に基づいて決定すると共に、後述するスキル者データベース106に予め登録されている保守担当者の中から、前述した受付情報の不満度の大きさに対応し得るレベルのスキルを備えた保守担当者を選定するスキル者選定監視部103を備えている。
【0021】
ここで、前述した故障受付処理部102には、顧客情報等を登録した顧客データベース104と、顧客からの故障通報およびその故障内容等を含む受付情報を登録する受付データベース105とが併設されている。又、前述したスキル者選定監視部103には、顧客からの故障情報に対応し得る保守対応スキルを備えた複数の保守担当者にかかる情報を予め登録してなるスキル者データベース106と、顧客からの特定の故障情報に迅速に対応し得る所定レベル以上の保守スキルを備えた保守担当者にかかる情報を登録する対応可能スキル者データベース107とが併設されている。
【0022】
更に、前述した保守スキル者選定装置10の一部を成すスキル者選定監視部103は、選定の対象になった保守スキル者(保守担当者)の携帯端末の所在位置を監視するスキル者位置監視機能と、当該保守担当者の内中で当該顧客の所在地に最寄りの前記保守担当者を選定する最寄り保守担当者選定機能と、この選定した保守担当者の携帯端末と前記故障内容に関する情報を送受信する担当者連絡機能とを備えている。
このため、前述した保守スキル者選定装置の有する作用効果をこの保守スキル者選定システムで有効に生かすことができ、顧客の必要とするスキルを備えた保守担当者の所在の所在を常時把握し得るので、顧客からの故障通報に迅速に且つ的確に対応する事が可能となっている。
【0023】
以下これを、更に具体的に説明する。
図2において、前述したスキル者携帯端末20は、携帯電話機等の携帯通信端末であり衛星通信200を介して接続されており、これよりスキル者携帯端末20を携帯した保守スキル者の所在位置が、前述した保守スキル者選定装置10に対して常時明確にされた状態になっている。又、管理責任者携帯端末30は、携帯電話機等の携帯通信端末であり、前述したスキル者選定監視部103からのメールを(ネットワーク100を介して)いつでも受信し得るようになっている。
【0024】
〔保守スキル者選定装置10〕
図1に、本実施形態(保守スキル者選定システム)の一部を成す保守スキル者選定装置10の全体的な構成を示す。この保守スキル者選定装置10は、サーバ等の情報処理装置であり、図1に示すように、音声認識部101,故障受付処理部102,スキル者指示監視部103,顧客データベース104,受付データベース105,スキル者データベース106,および対応可能スキル者データベース107を備えた構成となっている。
【0025】
この図1において、音声認識部101は、電話を自動着信し発信相手の音声を基に心理状態を解析しクレームレベルを決定し、更に音声をテキスト化する機能を有する。又、故障受付処理部102は、音声認識部101の情報(受付日時、通知電話番号、クレームレベル)をもとに、顧客データベース104にアクセスし、受付データベース105に登録し若しくはその内容を更新する機能を有する。スキル者指示監視部103は、衛星通信200を介してスキル者携帯端末20から定期的に送信される現在位置情報を監視する機能を有し、更に、前述した受付データベース105とスキル者データベース106にアクセスして、対応可能スキル者データベース107に登録,更新し、保守スキル者の選定機能及びスキル者携帯端末20とのメールの送受信機能を備えている。
【0026】
顧客データベース(以下、「顧客DB」と略す)104は、住所,電話番号,クレームレベル,優先順位,必要クレーム対応スキル等の情報を予め格納したデータベースであり、ユーザ毎に且つユーザの心理状態からみた不満度の大きさに応じて数値化されたクレームレベル毎に、当該各クレームレベルに応じた故障対応の対応能力の高さに比例して数値化された必要クレーム対応スキル等の顧客情報が登録される。
【0027】
受付データベース(以下、「受付DB」と略す)105は、受付番号,受付日時,優先順位,必要クレーム対応スキル,ユーザ名,電話番号,故障内容等の情報を格納するデータベースである。この受付DB105には、ユーザからの電話による故障通報の度毎に、前述した音声認識部101からのユーザに関する情報と、数値化したクレームレベルと、テキスト化した故障内容等の受付情報が登録されるようになっている。
【0028】
スキル者データベース(以下、「スキル者DB」と略す)106は、氏名,社員番号,クレーム対応スキル,メールアドレス等の情報が予め格納されたデータベースであり、スキル者毎に、ユーザが必要とする必要クレーム対応スキルと対応付けられたスキル者のクレーム対応スキル等の保守担当者情報が登録されるようになっている。
【0029】
対応可能スキル者データベース(以下、「対応可能スキル者DB」と略す)107は、受付番号、社員番号、氏名、メールアドレス等の格納されるデータベースであり、選定の対象になったスキル者DB106に登録された保守担当者情報と受付DB105に登録された受付情報とから生成される対応可能担当者情報が登録されるようになっている。
【0030】
〔スキル者携帯端末20〕
図3に、本実施形態におけるスキル者携帯端末20の概略構成を示す。この図3に示すように、スキル者携帯端末20は、GPS部201,PHS部202,ブラウザ・メール処理部203,表示部204,及び操作部205を備えている。
GPS部201は、スキル者の滞在位置を衛星通信200を介して取得し、位置情報をスキル者選定監視部103に通知する機能を備えている。又、PHS部202は、他のスキル者端末20等と通話及びデータ通信を行う機能を備えている。ブラウザ・メール処理部203は、前述したスキル者選定監視部103との間でメールの送受信を行う機能を備えている。更に、表示部204は、ブラウザ・メール処理部203で送受信を行うメールを図11〜図12に示すような出力画面や入力画面を出力する機能を備えている。又、操作部205は、送信されたメールに対して返答等の入力操作を受け付ける機能を備えている。
【0031】
〔保守スキル者の選定動作(1)〕
次に、図1乃至図11を参照して、本実施形態における保守スキル者を選定する場合のシステム全体の動作を説明する。最初に、上記実施形態の基本的な動作を順次説明し、続いて、当該動作の具体例を説明する。
本実施例における保守担当者の選定は、顧客からの電話による故障通報に基づいて作動し、当該顧客からの故障通報に対応する最適な保守担当者が、以下に示すように自動選定される。
【0032】
これに先立って、まず、予め設けられた顧客情報登録用のデータベース(顧客DB)に、顧客毎に且つ該顧客の心理状態からみた不満度の大きさに応じて数値化されたクレームレベル毎に、該クレームレベルに応じた当該故障対応能力の高さに比例して数値化された必要スキルを含む顧客情報が登録される(顧客情報登録工程)。又、これと同時に若しくはその後に、予め設けられた保守担当者情報登録用のデータベース(スキル者DB)に、前述した保守担当者毎に、必要とするスキルと対応付けられた当該保守担当者の保有スキルを含む保守担当者情報が登録される(保守担当者登録工程)。
【0033】
続いて、電話による故障通報を受け付ける度毎に、該故障通報の音声を解析して、当該顧客の心理状態のクレームレベルを不満度に応じて数値化すると共に、前述した故障通報の内容からその故障内容をテキスト化する(音声認識工程)。更に、この音声認識工程での前述した顧客に関する情報と,顧客からのクレームレベルと,前記テキスト化した故障内容とを含む受付情報とを予め設けられた受付情報用のデータベースに登録する(故障受付処理工程)。そして、前述した故障内容の保守対応優先順位を前記受付情報に基づいて決定すると共に、当該受付情報の前述した顧客と前述したクレームレベルとにかかる情報を入力しこれに対応可能なスキルを備えた保守担当者を選定する(スキル者選定監視工程)。
これにより、種々のクレームレベルに対してこれに対応して最適な保守担当者を迅速に選定することが可能となる。
【0034】
〔保守スキル者の選定動作(2)〕
次に、故障通報の内容分析と保守スキル者の選定動作を、事例に沿って、更に具体的に説明する。
・故障通報の内容
「ユーザ(顧客):○○商事
受付日時:2005年1月1日(10時00分)
故障種類:○○
故障内容:○○不具合
心理状態:基幹業務停止の為、かなり取り乱している様子」
【0035】
まず、音声認識部101は、ユーザからの電話による故障通報を受け付ける度毎に故障通報の音声を解析して、ユーザの心理状態のクレームレベルを不満度の大きさに応じて数値化する。この場合の故障通報の内容から故障内容をテキスト化する処理について、以下説明する。
【0036】
ユーザ○○商事からの電話による故障通報を音声認識部101が自動着信すると、通知された電話番号と受付日時(着信日時)を、まず故障受付処理部102に送る(図8:ステップA1)。
音声認識部101は受付担当者との電話の応対状況から、ユーザの声の大きさ,抑揚,高低,スピード等の情報を基にして怒りの度合い(ユーザの心理状態からみた不満度の大きさ)を解析し、クレームレベルとして数値化する(この場合のクレームレベルは5とする、図8:ステップA2)。同時に、ユーザ(顧客)の音声をテキスト化し故障内容を把握する(図8:ステップA3)。続いて、この数値化したクレームレベルとテキスト化した故障内容とを、故障受付処理部102に送信する(図8:ステップA4)。
【0037】
ここで、故障受付処理部102が、音声認識部101からのユーザに関する情報と,クレームレベルと,テキスト化した故障内容とを含む受付情報とを,予め設けられた受付DB105に登録する場合の処理について説明する。
【0038】
まず、故障受付処理部102は、電話番号と受付日時を受信し、電話番号を基に顧客DB104へアクセスして、ユーザを○○商事と特定する(図8:ステップA5)。次に、音声認識部101から送信されたクレームレベル5と故障内容を受信する(図8のステップA6)。更に、特定したユーザ名○○商事と受信したクレームレベル5とに基づいて、顧客DB104の○○商事及びクレームレベル5のレコードへアクセスし、優先順位1と必要クレーム対応スキル95以上の情報を抽出し把握する(図8:ステップA7)。図4に顧客DB104の構造図の例を示す。これにより、ユーザ名○○商事及びクレームレベル5のレコードを取得する。
【0039】
その後、受付番号050101−01を採番し、受付日時,電話番号,ユーザ名,故障種類,故障内容,優先順位及び必要クレーム対応スキルを、受付DB105に登録し、更新する(図8:ステップA8)。図5に受付DB105の構造図の例を示す。これにより、受付番号050101−01のレコードが登録される。更に、受付DB105を更新した通知情報をスキル者指示監視部103に送信する(図8:ステップA9)。
【0040】
次に、スキル者選定監視部103は、故障内容の対応優先順位を受付情報のクレームレベルの降順に決定すると共に、受付情報のユーザとクレームレベルとより、該当する顧客情報を取得し、取得した顧客情報の必要クレーム対応スキルより、該当するクレーム対応スキルの保守担当者情報を対象に取得し、取得した保守担当者情報と受付情報とから選定対象となる対応可能担当者情報を生成して対応可能スキル者DB107に登録し、保守担当者情報のスキル者を対象に自動的に選定する。かかる場合の選定処理について、以下に説明する。
【0041】
ここで、スキル者選定監視部103は、対応優先順位が決定された受付情報のユーザの必要クレーム対応スキルについて、必要クレーム対応スキル以上が設定されたクレーム対応スキルの保守担当者情報を対象に保守担当者情報からスキル者を自動的に選定する保守担当者選定機能と、選定の対象にした保守担当者情報の中で、クレーム対応スキルの昇順にスキル者を自動的に選定する保守担当者昇順選定機能とを有する。
【0042】
スキル者選定監視部103は、まず、故障受付処理部102から受付DBを更新した通知情報を受信する。そして、更新した通知情報をもとに、受付DB105へアクセスし、必要クレーム対応スキル95以上の情報を抽出する。
その後、この抽出された必要クレーム対応スキル95以上の情報をもとに、例えばスキル者DB106へアクセスし、必要クレーム対応スキル95以上のスキル者を抽出する。
【0043】
図6は、スキル者DB106の構造図の例であり、社員番号00001,クレーム対応スキル98及び社員番号00003,クレーム対応スキル96の情報が抽出される。その後、社員番号00001と00003を対応可能スキル者DB107のレコードに登録する(図9:ステップA10)。
図7は、対応可能スキル者DB107の構造図の例であり、受付番号050101−01、社員番号00001のレコードが登録されている。
【0044】
次に、スキル者選定監視部103が備えている複数の機能、即ち、選定の対象になったスキル者の携帯端末20の所在位置を監視する所在位置監視機能と、スキル者の携帯端末20の中でユーザの所在地に最寄りのスキル者を自動的に選定する最寄り保守担当者選定機能と、自動的に選定したスキル者の携帯端末20と故障内容に関する情報を送受信する担当者連絡機能とについて、その各動作等を、以下説明する。
【0045】
対応可能スキル者DB107にスキル者が1名以上登録されている場合に(図9:ステップA11)、対応可能スキル者DB107に選出されたスキル者の最新の現在位置(図10のステップB1〜ステップB3による情報)と顧客DB104の住所座標を照合し、最寄りの対応者を1名(この場合は、受付日時の2005年1月1日10時00分現在、ユーザの住所座標AABB/1234に最も近くに滞在しているのが、社員番号00001である)に、決定する(図9:ステップA12)。
選出されたスキル者1名に、受付DB105の受付内容(受付番号,受付日時,ユーザ名,電話番号,故障種類,故障内容,受付DB105の受付番号050101−01へのリンク用アドレス等)をメールで送信し、送信後に対応可能スキル者DB107からメール送信したスキル者情報(この場合は、社員番号00001)を削除し、送信した受付DB105の受付番号050101−01レコードの更新状況を1分毎にチェックする(図9:ステップA13)。
図7のステップA13における応可能スキル者DB107の構造図を参照すると受付番号050101−01、社員番号00001のレコードが削除されている。
【0046】
図11はスキル者携帯端末20に送信されるメールの画面である。
スキル者携帯端末20は、受信したメール(図11を参照)の受付DB105の受付番号050101−01へのリンク用アドレスにアクセスし、表示(図11を参照)された内容に対して、対応OKもしくは対応NGの何れかを応答(この場合は、対応OKとする)する(図9:ステップA14)。
スキル者指示監視部103は、受付DB105の受付番号050101−01レコードの対応OK、対応NGのフラグをチェックする(図9:ステップA15)。
図5のステップA15における受付DB105の構造図を参照すると受付番号050101−01レコードの対応OKのフラグがたっている。対応OKフラグが立っていれば、応答したスキル者が対応可能と判断し、受付番号050101−01を削除更新する(図9:ステップA16)。図5のステップA16における受付DB105の構造図を参照すると受付番号050101−01レコードは削除されている。
【0047】
次に、スキル者指示監視部103が有する、適切なスキル者が不在の場合に、故障内容に対応可能なスキル者に関する情報を管理責任者用の携帯端末30に送信する責任者連絡機能の処理について以下に説明する。
対応NGフラグが立っていれば、図9のステップA11に戻り、以降の図9のステップA11〜ステップA15を行う。次に、図9のステップA11にて、対応可能スキル者DB107にスキル者が0名(スキル者がいない)の場合は、スキル者指示監視部103は、アラートメールを管理責任者携帯端末30に送信する。管理責任者携帯端末30は、アラートメール(図12を参照)を受信し、管理責任者は、特別緊急対応を行う。
この図12の内容は、管理責任者携帯端末30に送信されるメールの画面を示す。
【0048】
ここで、前述したスキル者携帯端末20を携帯する保守スキル者の現在位置情報の監視方法について説明する。
保守スキル者が携帯するスキル者携帯端末20は、現在の位置情報を保守スキル者選定装置10のスキル者選定監視部103に定期的に通知するようになっている(図10:ステップB1)。このスキル者指示監視部103は、スキル者携帯端末20からの現在位置情報を常時受信する機能を備えている(図10:ステップB2)。
これにより、スキル者指示監視部103は、常にスキル者の最新位置情報を監視し、移動所要時間を算出して対応可能スキル者DB107に算出した移動所要時間を設定して更新する(図10:ステップB3)機能を備えている。
【0049】
このように、本実施形態における保守スキル者選定システムにあっては、ユーザからの故障の電話を受け付けて、保守スキル者の自動選定を行うスキル者選定装置10に、スキル者携帯端末20と責任者携帯端末(携帯端末)30とをネットワーク100を介して接続する保守スキル者選定システムにおいては、スキル者選定装置(スキル者自動アサインサーバ)10は、電話の音声を解析して、ユーザの心理状態のクレームレベルを数値化することと、音声からテキスト化することとを含む音声認識部101と、ユーザとクレームレベル毎にクレームレベルに対応した必要クレーム対応スキルとユーザの所在地に関する情報とを含む顧客DB104と、スキル者毎にクレーム対応スキル(保有スキル)を含むスキル者DB106と、音声認識部101からのユーザとクレームレベルと必要クレーム対応スキルと故障内容とを含む情報を受付DB105に登録する故障受付処理部102とを備え、更に、故障の対応優先順位を決定すると共に必要クレーム対応スキルがクレーム対応スキル以上のスキル者のスキル者携帯端末20の所在位置を監視し,スキル者のユーザの所在地への移動所要時間を監視して最適なスキル者を自動的に選定し,最適なスキル者が不在の場合は、責任者携帯端末30にアラートメールを送信するスキル者選定監視部103を備えた構成としているので、適切な保守スキル者を自動アサインすることにより、迅速な対応を行うことができる。このことは、オペレータによる故障内容のヒアリングミスやユーザの心理状態の誤認識等による二次クレームの発生防止にも繋げることができる。
【0050】
次に、上述した実施形態の動作内で既に実行されている保守スキル者選定方法についてその全体的な手順を説明する。
図13において、保守スキル者の選定は、顧客情報登録工程301,保守担当者情報登録工程302,音声認識工程303,故障受付処理工程304,スキル者選定監視工程305の手順をもって実行される。
【0051】
まず、顧客情報登録工程301では、予め設けられた顧客DB(顧客情報登録用データベース)104に、ユーザ(顧客)毎に且つユーザの心理状態からみた不満度の大きさに応じて数値化されたクレームレベル毎に、クレームレベルに応じた故障対応の対応能力の高さに比例して数値化された必要クレーム対応スキル(必要スキル)等の情報が含まれる顧客情報が登録される。
保守担当者情報登録工程302では、予め設けられたスキル者DB(保守担当者情報登録用データベース)106に、スキル者(保守担当者)毎に、必要クレーム対応スキルと対応付けられたスキル者のクレーム対応スキル(保有スキル)等の情報が含まれる保守担当者情報が登録すされる。
【0052】
これら顧客情報登録工程301及び保守担当者情報登録工程302に続いて実行される音声認識工程303は、電話による故障通報を受け付ける度毎に、故障通報の音声を解析して、ユーザの心理状態のクレームレベルを不満度の大きさに応じて数値化し、これらが故障通報の内容と共に故障内容としてテキスト化される。
続いて実行される故障受付処理工程304では、音声認識工程303でのユーザに関する情報、クレームレベル、およびテキスト化された故障内容等の情報が含まれる受付情報が、予め設けられた受付DB(受付情報用データベース)105に登録される。
そして、スキル者選定監視工程305では、故障内容の対応優先順位(保守対応優先順位)を受付情報のクレームレベルの降順に決定すると共に、受付情報のユーザとクレームレベルとより、該当する顧客情報を取得し、取得した顧客情報の必要クレーム対応スキルより、該当するクレーム対応スキルの保守担当者情報を対象に取得し、取得した保守担当者情報と受付情報とから生成される対応可能担当者情報を予め設けられた対応可能スキル者DB(対応可能担当者用データベース)107に登録し、この登録した対応可能担当者情報のスキル者が自動的に選定される。
【0053】
このため、顧客からの故障通報に対して、その音声認識及び音声解析が行われ且つその解析結果に基づいてスキル者が予め登録された中から選定されるので、対応する適切なスキルを備えた保守担当者を迅速に選定することが可能となる。
【0054】
次に、上述した保守担当者の選定は、図14に示すように、予め特定されたプログラムを所定のコンピュータ上で実行することにより選定することができる。
【0055】
図14において、保守スキル者選定プログラムは、顧客情報登録処理401、保守担当者情報登録処理402、音声認識処理403、保守対応優先順位決定処理404、対象保守対象者取得処理405、所在位置監視処理406、最寄り保守担当者選定処理407の各単位処理プログラムから構成され、所定のコンピュータ上でその各処理が実行される。
【0056】
顧客情報登録処理401は、予め設けられた顧客DB(顧客情報登録用のデータベース)に、ユーザ(顧客)とユーザの心理状態からみた不満度の大きさに応じて数値化されたクレームレベルとを記録すると共に、このクレームレベルに応じた故障対応の能力の高さに比例して数値化された必要クレーム対応スキル(必要スキル)等にかかる情報を顧客情報として登録する処理である。
【0057】
保守担当者情報登録処理402は、予め設けられたスキル者DB(保守担当者情報登録用のデータベース)に、スキル者(保守担当者)毎に、必要クレーム対応スキルと対応付けられたスキル者のクレーム対応スキル(保有スキル)等の情報が含まれる保守担当者情報を登録する処理である。
音声認識処理403は、電話による故障通報を受け付ける度毎に、故障通報の音声を解析して、ユーザの心理状態のクレームレベルを不満度の大きさに応じて数値化すると共に、故障通報の内容から故障内容をテキスト化する処理である。
【0058】
保守対応優先順位決定処理404は、音声認識処理403でのユーザに関する情報と、クレームレベルと、テキスト化した故障内容等の情報が含まれる受付情報を予め設けられた受付DB(受付情報用のデータベース)に登録し、故障内容の対応優先順位(保守対応優先順位)を受付情報のクレームレベルの降順に決定する処理である。
対象保守対象者取得処理405は、保守対応優先順位決定処理404での対応優先順位が決定した受付情報のユーザとクレームレベルとより、該当する顧客情報を取得し、取得した顧客情報の必要クレーム対応スキルより、該当するクレーム対応スキルの保守担当者情報を対象に取得し、保守担当者情報と受付情報とから生成される対応可能担当者情報を予め設けられた対応可能スキル者DB(対応可能スキル者データベース)107に登録して、保守担当者情報のスキル者を選定の対象に取得する処理である。
【0059】
そして、所在位置監視処理406は、対象保守対象者取得処理405で登録した対応可能担当者情報を対象に、スキル者に属するスキル者携帯端末(携帯端末)20の所在位置を監視する処理を実行する。
これにより、最寄り保守担当者選定処理407では、所在位置監視処理406で監視したスキル者のスキル者携帯端末20の中で、ユーザの所在地に最寄りのスキル者を自動的に選定処理され、顧客に合った適切な保守スキル者が選定され、顧客に対して迅速に対応することが可能となる。
【0060】
以上、本発明の実施形態を、図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施例形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等があってもこの発明に含まれる。例えば、本発明の実施例では、スキル者のクレーム対応スキルは、スキル者に対して設定されているが、スキル者と故障商品や故障内容毎に設定し、音声認識部101でその故障対象を特定するようにしてもよい。
また、本発明の実施例では、スキル者の緊急な対応を要する場合の例をあげたが、ユーザの都合に合わせた時刻に対応可能なスキル者を選定するようにしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0061】
トラブル発生時の対応以外にも、複数のスキル者がそれぞれ専門分野のスキルを保有し、地域全体の個々の顧客が必要に応じてそのスキルを利用する分野においても、適用可能である。その場合は、上述のように、スキル者とその専門分野毎に、対応可能スキルの設定が必要である。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】本発明にかかる保守スキル者選定システムの要部である保守スキル者選定装置を示すブロック図である。
【図2】本発明にかかる保守スキル者選定システムの全体構成を示すブロック図である。
【図3】図2内に開示したスキル者携帯端末の構成を示すブロック図である。
【図4】図1内に開示した顧客DBの構造図の例を示す参考図である。
【図5】図1内に開示した受付DBの構造図の例を示す参考図である。
【図6】図1内に開示したスキル者DBの構造図の例を示す参考図である。
【図7】図1内に開示した対応可能スキル者DBの構造図の例を示す参考図である。
【図8】図2に開示した実施形態の全体動作の一部(1/2)を示すフローチャートである。
【図9】図2に開示した実施形態の全体動作の一部(2/2)を示すフローチャートである。
【図10】図2に開示した実施形態の動作の一部を示すフローチャートである。
【図11】図2内に開示したスキル者携帯端末に送信されるメールの画面である。
【図12】図2内に開示した管理責任者携帯端末に送信されるメールの画面である。
【図13】本発明にかかる保守スキル者選定方法の各工程を示すフローチャートである。
【図14】本発明にかかる保守スキル者選定プログラムの各処理を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0063】
10 保守スキル者選定装置(スキル者自動アサインサーバ)
20 スキル者携帯端末(携帯端末)
30 管理責任者携帯端末(携帯端末)
100 ネットワーク
101 音声認識部
102 故障受付処理部
103 スキル者指示監視部(スキル者選定監視部)
104 顧客DB(顧客データベース)
105 受付DB(受付データベース)
106 スキル者DB(スキル者データベース)
200 衛星通信
201 GPS部
202 PHS部
203 ブラウザ・メール処理部
204 表示部
205 操作部
301 顧客情報登録工程
302 保守担当者情報登録工程
303 音声認識工程
304 故障受付処理工程
305 スキル者選定監視工程
401 顧客情報登録処理
402 保守担当者情報登録処理
403 音声認識処理
404 保守対応優先順位決定処理
405 対応可能担当者情報登録処理
406 所在位置監視処理
407 最寄り保守担当者選定処理

【特許請求の範囲】
【請求項1】
顧客からの電話による故障通報で作動し該故障通報に対応する保守担当者を選定する保守スキル者選定装置において、
前記故障通報の音声を解析して当該顧客の心理状態からみた不満度の大きさと故障内容の程度とを認識する音声認識部と、この認識された前記不満度の大きさと故障通報の内容等の受付情報を顧客情報として登録処理する故障受付処理部とを備え、
前記登録された受付情報に対する対応優先順位を前記不満度の大きさ等に基づいて決定すると共に、予め別に登録されている保守担当者の中から前記受付情報の内容に対応し得るレベルの保守担当者を選定するスキル者選定監視部を設けてなることを特徴とした保守スキル者選定装置。
【請求項2】
顧客からの電話による故障通報に基づいて作動し当該故障通報に対応する最適な保守担当者を選定する保守スキル者選定装置において、
前記顧客の心理状態からみた不満度の大きさに応じて数値化されたクレームレベル毎に、当該クレームレベルに対応し得る必要スキルや優先順位等が特定された顧客情報を予め登録する顧客データベース,及び前記必要スキルに対応した所定レベルの保守対応スキルを備えた複数の保守担当者の情報を予め登録してなるスキル者データベースを備え、
前記故障通報を受け付ける度毎に当該故障通報の音声を解析して当該顧客の心理状態のクレームレベルを前記不満度に応じて数値化すると共に、前記故障通報の内容から故障内容をテキスト化する音声認識部を有し、
前記音声認識部から出力される前記顧客に関する情報,前記クレームレベル,及び前記テキスト化した故障内容を含む受付情報等を、予め別に装備された受付データベースに登録する故障受付処理部を設けると共に、
前記登録処理された受付情報に対する対応優先順位を前記不満度の大きさ等に基づいて決定すると共に、予め別に登録されている保守担当者の中から、前記受付情報の不満度の大きさに対応し得るレベルのスキルを備えた保守担当者を選定するスキル者選定監視部を装備してなることを特徴とした保守スキル者選定装置。
【請求項3】
前記請求項1又は2に記載の保守スキル者選定装置において、
前記顧客情報を登録した前記顧客データベースと前記受付情報等を登録した前記受付データベースとが、前記故障受付処理部に併設されていることを特徴とした保守スキル者選定装置。
【請求項4】
前記請求項1,2又は3に記載の保守スキル者選定装置において、
前記スキル者選定監視部が、前記受付情報の顧客に対処し得るレベルの保守担当者を前記スキル者データベースから選定すると共に、この選定した保守担当者を別に装備された対応可能スキル者データベースに登録する対応可能者選定登録機能を備え、
この対応可能スキル者データベースに新たに登録されたスキル者から前記顧客に合った最適な保守担当者を選定するスキル者選定機能を備えてなることを特徴とした保守スキル者選定装置。
【請求項5】
前記請求項1乃至4の何れか1項に記載の保守スキル者選定装置において、
前記スキル者選定監視部は、前記選定の対象になった保守担当者の携帯端末の所在位置を監視する所在位置監視機能と、該所在位置監視機能で監視した前記保守担当者の携帯端末の中で当該顧客の前記所在地に最寄りの前記保守担当者を自動的に選定する最寄り保守担当者選定機能とを備えていることを特徴とした保守スキル者選定装置。
【請求項6】
前記請求項1乃至5の何れか1項に記載の保守スキル者選定装置と、この保守スキル者選定装置に対してネットワークを介して接続される保守担当者用の携帯端末とを備えて成る保守スキル者選定システムにおいて、
前記保守スキル者選定装置の一部を成すスキル者選定監視部が、
前記選定の対象になった前記保守担当者の前記携帯端末の所在位置を監視するスキル者位置監視機能と、前記保守担当者の前記携帯端末の中で当該顧客の前記所在地に最寄りの前記保守担当者を選定する最寄り保守担当者選定機能と、
前記選定した保守担当者の携帯端末と前記故障内容に関する情報を送受信する担当者連絡機能とを備えることを特徴とした保守スキル者選定システム。
【請求項7】
前記請求項6に記載の保守スキル者選定システムにおいて、
前記保守スキル者選定装置は、管理責任者用の携帯端末とネットワークを介して接続され、前記故障内容に対応可能な前記保守担当者に関する情報を前記管理責任者用の前記携帯端末に送信する責任者連絡機能を備えることを特徴とする保守スキル者選定システム。
【請求項8】
顧客からの電話による故障通報に基づいて機能し当該故障通報に対応する最適な保守担当者を選定する保守スキル者選定方法において、
前記故障通報の音声を解析して当該顧客の心理状態からみた不満度の大きさと故障内容の程度とを認識する音声認識工程と、
この音声認識工程で認識された前記不満度の大きさと前記故障通報の内容とに関する受付情報を、予め登録された前記顧客に関する顧客情報と関連付けて所定の登録部に登録する故障受付処理工程と、
前記受付情報に対する保守対応優先順位を、前記不満度の大きさに基づいて決定すると共に予め登録された前記保守担当者の保有スキルに関する保守担当者情報の中から前述した受付情報の前記不満度の大きさに対応し得るスキルを備えた保守担当者を対象に選定するスキル者選定監視工程とを有することを特徴とした保守スキル者選定方法。
【請求項9】
顧客からの電話による故障通報に基づいて機能し、当該故障通報に対応する最適な保守担当者を自動選定する保守スキル者選定方法において、
予め設けられた顧客情報登録用のデータベースに、前記顧客毎に且つ該顧客の心理状態からみた不満度の大きさに応じて数値化されたクレームレベル毎に、該クレームレベルに応じた当該故障対応能力の高さに比例して数値化された必要スキルを含む顧客情報を登録する顧客情報登録工程と、
予め設けられた保守担当者情報登録用のデータベースに、前記保守担当者毎に、前記必要スキルと対応付けられた当該保守担当者の保有スキルを含む保守担当者情報を登録する保守担当者登録工程と、
電話による前記故障通報を受け付ける度毎に、該故障通報の音声を解析して、当該顧客の心理状態のクレームレベルを前記不満度に応じて数値化すると共に、前記故障通報の内容から故障内容をテキスト化する音声認識工程と、
前記音声認識工程での前記顧客に関する情報と,前記クレームレベルと,前記テキスト化した故障内容とを含む受付情報とを予め設けられた受付情報用のデータベースに登録する故障受付処理工程と、
前記故障内容の保守対応優先順位を前記受付情報に基づいて決定すると共に、当該受付情報の前記顧客と前記クレームレベルとにかかる情報を入力しこれに対応可能なスキルを備えた保守担当者を選定するスキル者選定監視工程とを有することを特徴とした保守スキル者選定方法。
【請求項10】
保守担当者用のデータベースに、顧客からの電話による故障通報に対して対応可能な能力の高さを数値化して成る保有スキルを含む保守担当者情報を登録する保守スキル者登録処理、
前記顧客からの電話による故障通報の音声を解析して当該顧客の心理状態のクレームレベルを当該故障内容に対する不満度の大きさに比例して数値化し且つ前記音声から故障内容をテキスト化する音声認識処理、
前記顧客からの電話による故障通報毎に、前記顧客とクレームレベルとテキスト化した故障内容とを含む受付情報を受付用データベースに登録する受付情報登録処理、
および、前記故障内容に対応した保守担当者の選定に際しては前記保守担当者用のデータベースから前記クレームレベルに対応可能な能力のスキルを備えた保守担当者を対象に選定する保守スキル者選定処理、
をコンピュータに実行させることを特徴とした保守スキル者選定プログラム。
【請求項11】
前記請求項10に記載の保守スキル者選定プログラムにおいて、
前記スキル者選定処理で選定された複数の保守担当者の内から電話故障通報してきた前記顧客の住所地に最も近い位置に居る保守スキル者を最適保守スキル者として特定するスキル者選定監視処理、
をコンピュータに実行させることを特徴とした保守スキル者選定プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2007−52212(P2007−52212A)
【公開日】平成19年3月1日(2007.3.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−236897(P2005−236897)
【出願日】平成17年8月17日(2005.8.17)
【出願人】(000232140)NECフィールディング株式会社 (373)
【Fターム(参考)】