説明

保湿化粧料

【課題】皮膚や毛髪に対しベタツキの無い軽い感触と、優れた保湿効果を有する保湿化粧料を提供する事を目的とする。
【解決手段】末端水酸基数が4〜12又は水酸基価から算出した平均重合度2〜10のポリグリセリンに、アルキレンオキサイド4〜25モルを付加重合したポリエーテル化合物の1種又は2種以上を、0.1〜30.0重量%含有する保湿化粧料。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリグリセリンにアルキレンオキサイド4〜25モルを付加重合した、ポリエーテル化合物を必須成分とする保湿化粧料に関するものである。更に詳しくは、皮膚や毛髪に対しベタツキの無い軽い感触と、優れた保湿効果を有する保湿化粧料に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、皮膚や毛髪に対して保湿効果を期待した保湿化粧料は、数多く市販されている。このような保湿化粧料の多くは、優れた保水性・吸水性を有する種々の水溶性多価アルコールが配合されている。しかしながら、これらの水溶性多価アルコールを配合した保湿化粧料は、保湿効果があるもののベタツキのある重い感触のため、使用感に劣り、また官能面でも好ましくなかった。また、プロピレングリコール、1,3ブチレングリコール、グリセリン等の汎用の水溶性多価アルコールを配合した保湿化粧料においては、保湿効果の持続性が弱いという欠点があった。
【0003】
また、特許文献1には、グリセリンのプロピレンオキサイド付加物を用いる内容が報告されている。しかし、このものは、低湿度下では保湿効果の持続性が弱くなり、逆に高湿度下では保湿効果があるもののベタツキのある重い感触になるといった傾向があり、環境湿度の変化に伴い、保湿効果も大きく左右される保湿成分であった。
【特許文献1】特開平 9―208456
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、上記の様な従来技術の課題を克服したものであり、皮膚や毛髪に対しベタツキの無い軽い感触と、優れた保湿効果を有する保湿化粧料を提供する事を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者は、上記課題を解決するため鋭意検討した結果、ポリグリセリンにアルキレンオキサイドを付加重合した、特定のポリエーテル化合物を配合した保湿化粧料が、上記課題を解決し得ることを見出だし、本発明を完成するに至った。即ち本発明は、末端水酸基数が4〜12又は水酸基価から算出した平均重合度2〜10のポリグリセリンに、アルキレンオキサイド4〜25モルを付加重合したポリエーテル化合物の1種又は2種以上を、0.1〜30.0重量%含有する保湿化粧料に関するものである。
【発明の効果】
【0006】
本発明の保湿化粧料は、従来の保湿化粧料とは異なり、皮膚や毛髪に対しベタツキの無い軽い感触の仕上がり感と、しっとりした心地良い感触が持続する、優れた保湿効果を有する保湿化粧料である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下に本発明を詳細にする。
【0008】
本発明において使用する、末端水酸基数が4〜12又は水酸基価から算出した平均重合度2〜10のポリグリセリンに、アルキレンオキサイド4〜25モルを付加重合したポリエーテル化合物としては、上記条件を満たし、通常化粧品原料として使用できるものであれば、特に限定はないが、ジグリセリンとプロピレンオキサイドのエーテル化合物、特に付加モル数が9モルのポリオキシプロピレン(9)ジグリセリルエーテルや、付加モル数が14である、ポリオキシプロピレン(14)ジグリセリルエーテルが好ましい。
【0009】
保湿化粧料中における、上記ポリグリセリンのポリエーテル付加物の含有量としては、0.1〜30.0重量%、好ましくは3.0〜20.0重量%である。0.1重量%未満では、十分な性能、例えば目的の保湿効果を得る事が出来ない。逆に30.0重量%を超えると、ベタツキ感が発現し、皮膚上でのノビが重くなり使用面で支障があり好ましくない。
【0010】
更には、本発明に用いるポリグリセリンのポリエーテル付加物は、保湿化粧料に従来用いられているプロピレングリコール、1,3ブチレングリコール、グリセリン等の汎用の水溶性多価アルコールを含有する処方系に併用する事で、保湿効果の改善(保持性)やベタツキ感を抑制する等、従来の問題点を改善する事ができる。この場合、ポリグリセリンのポリエーテル付加物と汎用の水溶性多価アルコールとの重量比は8:2〜2:8の割合で処方系に用いる事が好ましい。この範囲外では、目的とする保湿効果の改善(保持性)やベタツキ感の抑制等を発現させる事が出来ず好ましくない。
【0011】
本発明の保湿化粧料の剤系としては、ローションや美容液等の化粧水類、クリーム、乳液等の乳化物類、クレンジングジェルや美容ジェル等のジェル状化粧料、クレンジングオイルやバスオイル等のオイル状化粧料等が挙げられる。
【0012】
また、発明の効果を損なわない範囲で通常の保湿化粧料に使用される成分、例えば、各種ビタミン、アミノ酸、生薬、消炎剤、細胞賦活剤、色素、防腐剤、香料等を適宜配合することができる。
【0013】
以下、実施例及び比較例により本発明を具体的に説明するが、本発明の範囲はこれらの実施例により限定されるものではない。
【実施例】
【0014】
〈実施例1〜5、比較例1〜5〉
健常女性パネラー20名に、表1、2に記載した保湿化粧料を調製し、それらを用いて使用性における官能試験を実施した。尚、評価項目としては「ノビの良さ」、「馴染み易さ」、「しっとり感」、「ベタツキの無さ」の4点であり、評価は下記の絶対評価基準に従い5段階で評価し、評点の平均値を4段階判定基準を用いて判定した。その結果も表1、2に示す。
・絶対評価基準 ・4段階判定基準
(評点):(評価) (評点の平均点) :(判定)
5点 :非常に良好 4.5点以上 : ◎
4点 :良好 4.0点以上4.5点未満: ○
3点 :普通 3.0点以上4.0点未満: △
2点 :やや不良 3.0点未満 : ×
1点 :不良
【0015】
【表1】

【0016】
【表2】

【0017】
実施例1〜5の保湿化粧料は、「ノビの良さ」、「馴染み易さ」、「しっとり感」、「ベタツキの無さ」等、4項目全てにおいて満足する結果であった。一方、比較例1〜5の保湿化粧料は、全ての評価項目を満足するものは得られなかった。
【0018】
実施例6 ミルクローション
A相 (重量%)
グリセリン 5.00
モノミリスチン酸デカグリセリル 3.00
スクワラン 3.00
B相
1%−カルボキシビニルポリマー 5.00
10%−水酸化カリウム水溶液 1.00
POP(9)ジグリセリルエーテル 5.00
精製水 78.00
A相を80℃にて溶解し、これに80℃に加温したB相を徐々に添加していき乳化した。乳化後、35℃まで冷却してミルクローションを得た。
【0019】
実施例7 クリーム
A相 (重量%)
硬化油 2.50
ワセリン 5.00
モノオレイン酸デカグリセリル 2.00
ステアリン酸 3.50
モノステアリン酸グリセリン 2.00
トリ−2エチルヘキサン酸グリセリル 5.00
B相
グリセリン 7.00
POP(14)ジグリセリルエーテル 5.00
10%−水酸化カリウム水溶液 1.00
精製水 67.00
A相を80℃にて溶解し、これに80℃に加温したB相を徐々に添加していき乳化した。乳化後、35℃まで冷却してクリームを得た。
上記に示した保湿化粧料は、ベタツキが無く、また保湿効果(持続性)に優れた、使用面上良好なものであった。
【産業上の利用可能性】
【0020】
本発明の保湿化粧料は、皮膚や毛髪に対しベタツキの無い軽い感触の仕上がり感と、しっとりした心地良い感触が持続する、優れた保湿効果を有する極めて実用価値の高い保湿化粧料である。従って、本発明の保湿化粧料は、例えばスキンクリーム、乳液、化粧水、美容液等のスキンケア化粧料、バスオイル等の浴用化粧料、更には、ヘアスタイリングフォーム、ヘアスプレー、ヘアジェル、ヘアクリーム等のヘアケア化粧料等、幅広く応用できるものである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
末端水酸基数が4〜12又は水酸基価から算出した平均重合度2〜10のポリグリセリンに、アルキレンオキサイド4〜25モルを付加重合したポリエーテル化合物の1種又は2種以上を、0.1〜30.0重量%含有する保湿化粧料。

【公開番号】特開2006−131520(P2006−131520A)
【公開日】平成18年5月25日(2006.5.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−320785(P2004−320785)
【出願日】平成16年11月4日(2004.11.4)
【出願人】(390028897)阪本薬品工業株式会社 (140)
【Fターム(参考)】