説明

保護回路

【課題】過電流であることを検出してから、電源からシステムへの電流の供給を遮断するまでに一定のタイムラグを生じさせることができる保護回路を提供すること。
【解決手段】CPU30は、過電流検出回路38から第1の信号S1が入力されてから第1の所定期間T1経過後にスイッチ42に第2の信号S2を出力する。OR回路43は、過電流検出回路38から第1の信号S1が入力され、かつ、CPU30から第2の信号S2が入力された場合に、スイッチ42を遮断させる第3の信号S3をスイッチ42に出力する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、過電流から機器本体を保護する保護回路に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、電源から機器本体(システム)への電力を供給する電力供給ラインに過電流が発生した場合、過電流に起因する発熱や発煙等を防ぐために、電源から機器本体への電力の供給を遮断する必要がある。
【0003】
このような過電流から機器本体を保護する保護回路において、システムを制御するCPUと、電源から供給される電流が過電流であることを検出した場合には、電源からシステムへの電流の供給を遮断する監視部とを備える保護回路が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
特許文献1に記載の保護回路では、上述したように、過電流が検出された場合には、CPUが直接的に電源からシステムへの電流の供給を遮断するようには構成されていない。
【0005】
これは、CPUにより電源からシステムへの電流の供給を遮断した場合、例えば、充電池の交換を行って過電流の要因が解消された後に、再度、電源からシステムへ電流を供給しようとしても、CPUに電流が供給されていないため、CPU自体が動作することができず、電源からシステムへ電流を供給することができなくなってしまうためである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2009−81948号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
一方、特許文献1に記載の保護回路のように、CPUと監視部とを別の構成とした場合、監視部による電源からシステムへの電流の供給を遮断する動作は、電源から供給される電流に応じて行われるため、CPUの動作とは非同期となる。そして、監視部が電源から供給される電流が過電流であることを検出した場合、CPUの動作とは関連なく、監視部は、電源からシステムへの電流の供給を遮断するため、例えば、過電流であることをユーザに報知したりすることができなかった。
【0008】
そこで、本発明は、過電流であることを検出してから、電源からシステムへの電流の供給を遮断するまでに一定のタイムラグを生じさせることができる保護回路を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る保護回路は、上記課題を解決するために、電源から供給される電流が過電流であるか否かを検出する過電流検出回路と、前記電源から電力が供給され、所定の制御を行う主制御回路と、前記電源が前記主制御回路に接続されるか遮断されるかを切り替えるスイッチ部と、前記スイッチ部を切り替える信号を出力する切り替え制御回路とを備え、前記過電流検出回路は、前記電源から供給される電流が過電流であることを検出した場合に、過電流が検出されたことを示す第1の信号を前記主制御回路及び前記切り替え制御回路に出力し、前記主制御回路は、前記過電流検出回路から前記第1の信号が入力されてから第1の所定期間経過後に前記スイッチ部に第2の信号を出力し、前記切り替え制御回路は、前記過電流検出回路から前記第1の信号が入力され、かつ、前記主制御回路から前記第2の信号が入力された場合に、前記スイッチ部を遮断させる第3の信号を出力することを特徴とする。
【0010】
また、前記保護回路は、報知部を備え、前記主制御回路は、過電流が検出されたことを示す情報を前記第1の所定期間内に所定の態様で前記報知部により報知させることが好ましい。
【0011】
また、前記保護回路は、記憶部を備え、前記主制御回路は、過電流の検出により前記主制御回路が停止することを示す情報を前記第1の所定期間内に前記記憶部に記憶させることが好ましい。
【0012】
また、前記保護回路は、前記切り替え制御回路に信号を出力する判断回路と、前記過電流検出回路に接続されており、前記第1の信号が入力されてから第2の所定期間経過させた後に前記第1の信号を前記判断回路に出力する遅延部とを備え、前記判断回路は、前記遅延部から前記第1の信号が入力され、かつ、前記主制御回路から第4の信号が入力された場合に、前記スイッチ部を遮断する第5の信号を出力し、前記切り替え制御回路は、前記過電流検出回路から前記第1の信号が入力され、かつ、前記判断回路から前記第5の信号が入力された場合に、前記第3の信号を出力することが好ましい。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、過電流であることを検出してから、電源からシステムへの電流の供給を遮断するまでに一定のタイムラグを生じさせることができる保護回路を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明に係る保護回路を有する携帯電子機器の一例である携帯電話機の外観斜視図である。
【図2】携帯電話機の内部の機能を示す機能ブロック図である。
【図3】保護回路の具体的な構成について示す図である。
【図4】第1実施形態の携帯電話機の動作状態と、保護回路における過電流検出状態、クリップ信号及びスイッチとの関係について示す図である。
【図5】第2実施形態の保護回路の具体的な構成について示す図である。
【図6】第2実施形態の携帯電話機の動作状態と、保護回路における過電流検出状態、クリップ信号、遅延部、AND回路及びスイッチとの関係について示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
<第1実施形態>
以下、本発明の好適な第1実施形態について説明する。図1は、本発明に係る保護回路を有する携帯電子機器の一例である携帯電話機1の外観斜視図を示す。なお、図1は、いわゆる折り畳み型の携帯電話機の形態を示しているが、本発明に係る携帯電話機の形態としては特にこれに限られない。例えば、両筐体を重ね合わせた状態から一方の筐体を一方向にスライドさせるようにしたスライド式や、重ね合せ方向に沿う軸線を中心に一方の筐体を回転させるようにした回転式(ターンタイプ)や、操作部と表示部とが一つの筐体に配置され、連結部を有さない形式(ストレートタイプ)でもよい。
【0016】
携帯電話機1は、操作部側筐体2と、表示部側筐体3とを備える。操作部側筐体2は、表面部に、操作部11と、携帯電話機1の使用者が通話時に発した音声が入力されるマイク12とを備える。操作部11は、各種設定や電話帳機能やメール機能等の各種機能を作動させるための機能設定操作キー13と、電話番号の数字やメール等の文字等を入力するための入力操作キー14と、各種操作における決定やスクロール等を行う決定操作キー15とから構成されている。なお、機能設定操作キー13、入力操作キー14及び決定操作キー15は、表示部21と一体に形成されたタッチパネル上に配置するように構成してもよい。
【0017】
また、表示部側筐体3は、表面部に、各種情報を表示するための表示部21と、通話の相手側の音声を出力するスピーカ22とを備える。
【0018】
また、操作部側筐体2の上端部と表示部側筐体3の下端部とは、ヒンジ機構4を介して連結されている。また、携帯電話機1は、ヒンジ機構4を介して連結された操作部側筐体2と表示部側筐体3とを相対的に回転することにより、操作部側筐体2と表示部側筐体3とが互いに開いた状態(開放状態)にしたり、操作部側筐体2と表示部側筐体3とを折り畳んだ状態(折畳み状態)にしたりできる。
【0019】
次に、携帯電話機の内部の機能について説明する。図2は、携帯電話機1の内部の機能を示す機能ブロック図である。携帯電話機1は、図2に示すように、表示部21と、スピーカ22と、CPU30(主制御回路)と、メモリ31(記憶部)と、主クロック回路33と、スリープ制御回路34と、I/Oポート35と、電源制御回路36と、充電池37(電源)と、過電流検出回路38と、シリアル通信バス39と、通信インターフェース部40とを備える。
【0020】
また、保護回路10は、上述したCPU30と、表示部21と、スピーカ22と、メモリ31と、I/Oポート35と、過電流検出回路38とから構成される。
【0021】
CPU30は、充電池37から電力が供給され、所定の制御を行うことにより、携帯電話機全体を制御する。また、CPU30は、スリープ制御回路34から入力される内部ウェイクアップ信号、及び主クロック回路33から入力されるクロック信号に基づいて駆動する。
【0022】
メモリ31は、各種情報や、所定のアプリケーションプログラム(以下、アプリケーションという)が格納されている。具体的には、メモリ31には、複数のアプリケーションを動作させるためのOS(Operating System)プログラム311(以下単に「システム」という)、電源制御アプリケーション312、スリープ管理アプリケーション313、制御アプリケーション314等が格納されている。
【0023】
主クロック回路33は、スリープ制御回路34から入力される内部ウェイクアップ信号に基づいて起動し、起動後に所定の周波数のクロック信号を発生させる。そして、主クロック回路33は、発生させたクロック信号をCPU30に供給する。
【0024】
スリープ制御回路34は、スリープタイマを有し、スリープ管理アプリケーション313と協同して、システムの状態を、システムが動作している通常モード又はシステムの動作が抑制されるスリープモードに移行させる。
【0025】
主クロック回路33は、スリープ制御回路34から入力される内部ウェイクアップ信号に基づいて、所定の周波数のクロック信号を発生させる。そして、主クロック回路33は、発生したクロック信号をCPU30に供給(出力)する。CPU30は、内部ウェイクアップ信号が入力されると、リソースの設定処理等を行い、クロック信号が入力されることにより動作を開始する。
【0026】
また、CPU30は、I/Oポート35を介して、CPU30により制御される制御対象(例えば、電源制御回路36、表示部21、スピーカ22等)との信号の送受信を行う。
電源制御回路36は、充電池37が接続されており、充電池37から供給される電源電圧を所定の電源電圧に変換し、変換後の電源電圧を携帯電話機1の各部に供給する。
【0027】
過電流検出回路38は、充電池37から供給される電流が過電流であるか否かを検出する。また、過電流検出回路38は、シリアル通信バス39、通信インターフェース部40及び内部バス41を介して、CPU30と接続されている。
【0028】
通信インターフェース部40は、シリアルI/F401と、通信バッファメモリ402と有し、シリアル通信バス39と内部バス41との間の信号の送受信を行う。
【0029】
図3は、図2に示す保護回路10の具体的な構成について示す図である。図3に示すように、保護回路10は、CPU30と、充電池37と、過電流検出回路38と、スイッチ42(スイッチ部)と、OR回路43(切り替え制御回路)と、抵抗Rとを備える。
【0030】
スイッチ42は、充電池37と電源制御回路36との間に接続される。また、抵抗Rは、充電池37とスイッチ42との間に接続される。
スイッチ42は、充電池37がCPU30に接続されるか遮断されるかを切り替える。
OR回路43は、スイッチ42を切り替える信号を出力する。
【0031】
ここで、第1実施形態の保護回路10の動作について説明する。
過電流検出回路38は、充電池37から供給される電流が過電流であることを検出した場合に、過電流が検出されたことを示す第1の信号S1をCPU30及びOR回路43に出力する。
また、過電流検出回路38は、増幅器381と、電圧出力回路382と、比較器383とを備える。
【0032】
増幅器381は、抵抗Rにおける電圧を増幅して、比較器383に出力する。
電圧出力回路382は、CPU30からの制御信号に従い、一定の電圧Vcを出力する。
【0033】
比較器383は、増幅器381から入力される電圧と、電圧出力回路382から入力される電圧Vcとを比較し、増幅器381から入力される電圧が電圧出力回路382から入力される電圧Vcを超える場合には、スイッチ42をOFFする電圧VoffをCPU30及びOR回路43に出力する。
【0034】
一方、比較器383は、増幅器381から入力される電圧が電圧出力回路382から入力される電圧Vcを超えない場合には、スイッチ42をONする電圧VonをCPU30及びOR回路43に出力する。
【0035】
このように過電流検出回路38において、充電池37から供給される電流値が過電流であるか否かを検出することは、比較器383により増幅器381から出力される電圧と、電圧出力回路382から出力される電圧Vcとを比較することで実現される。
【0036】
そして、過電流検出回路38が充電池37から供給される電流が過電流であることを検出した場合、過電流が検出されたことを示す第1の信号S1を出力することは、比較器383がスイッチ42をOFFする電圧Voffを出力することで実現される。
【0037】
CPU30は、過電流検出回路38から第1の信号S1が入力されてから第1の所定期間T1経過後にスイッチ42に、スイッチ42をOFFするための第2の信号S2を出力する。具体的には、CPU30は、過電流検出回路38から第1の信号S1が入力されてから第1の所定期間T1経過後にスイッチ42に第2の信号S2として、クリップ信号をHighで出力する。
【0038】
一方、CPU30は、第1の信号S1が入力されない、又は第1の信号S1が入力されてから第1の所定期間T1経過してない場合には、スイッチ42に、スイッチ42をONするための第4の信号S4として、クリップ信号をLowで出力する。ここで、第1の所定期間T1は、例えば、CPU30に内蔵されたタイマにより計測される。
【0039】
また、CPU30は、過電流が検出されたことを示す情報を第1の所定期間T1内に所定の態様で報知部により報知させる。具体的には、CPU30は、過電流が検出されたことを示す情報として、ユーザに過電流が発生していることを通知し、警告する情報を表示部21に表示する、及び/又はユーザに過電流が発生していることを通知し、警告する音声をスピーカ22から出力する。
【0040】
また、CPU30は、過電流の検出によりCPU30が停止することを示す情報を第1の所定期間T1内にメモリ31に記憶させる。
【0041】
OR回路43は、過電流検出回路38から第1の信号S1が入力され、かつ、CPU30から第2の信号S2が入力された場合に、スイッチ42を遮断させる第3の信号S3をスイッチ42に出力する。
【0042】
スイッチ42は、第3の信号S3が入力された場合、OFFとなり、充電池37とCPU30との接続が遮断される。これにより、CPU30は、充電池37からの電力の供給が遮断される。
【0043】
次に、第1実施形態の保護回路10の動作を時間経過に従って説明する。
図4は、携帯電話機1の動作状態と、保護回路10における過電流検出状態、クリップ信号及びスイッチ42との関係について示す図である。
【0044】
ここで、過電流検出状態の項目では、過電流が検出されず、過電流検出回路38から第1の信号S1が出力されない状態、つまり、スイッチ42をONにすべき状態を「ON」と表記し、過電流が検出され、過電流検出回路38から第1の信号S1が出力される状態、つまり、スイッチ42をOFFにすべき状態を「OFF」と表記する。
【0045】
また、クリップ信号の項目では、CPU30から第2の信号S2が出力されない状態(クリップ信号Low)、つまり、スイッチ42をONにすべき状態を「ON」と表記し、CPU30から第2の信号S2が出力される状態(クリップ信号High)、つまり、スイッチ42をOFFにすべき状態を「OFF」と表記する。
【0046】
スイッチ42の項目では、OR回路43から第3の信号S3が出力されず、スイッチ42がONとなる状態を「ON」と表記し、第3の信号S3が出力されて、スイッチ42がOFFとなる状態を「OFF」と表記する。なお、以下では、図4に示すように、(1)システム起動時、(2)システム起動後、(3)過電流発生、(4)ユーザに報知、(5)CPU停止、(6)充電池を交換して復帰、の順で説明する。
【0047】
(1)システム起動時には、過電流は発生していないため、過電流検出回路38は、第1の信号S1を出力しない(過電流検出状態「ON」)。CPU30は、システム起動時の初期状態では第2の信号S2を出力する(クリップ信号「OFF」)。したがって、OR回路43は、第3の信号S3を出力せず、スイッチ42は、ONされる(スイッチ42「ON」)。
【0048】
(2)システム起動後、過電流検出回路38は、第1の信号S1を出力しない(過電流検出状態「ON」)。CPU30は、第2の信号S2を出力しない(クリップ信号「ON」)。第1の信号S1及び第2の信号S2が出力されないため、OR回路43は、第3の信号S3を出力せず、スイッチ42は、ONされる(スイッチ42「ON」)。
【0049】
(3)過電流が発生すると、過電流検出回路38は、第1の信号S1を出力する(過電流検出状態「OFF」)。しかし、第1の所定期間T1が経過していないため、CPU30は、第2の信号S2を出力しない(クリップ信号「ON」)。第1の信号S1が出力されたが、第2の信号S2が出力されないため、OR回路43は、第3の信号S3を出力せず、スイッチ42は、ONされる(スイッチ42「ON」)。
【0050】
(4)第1の所定期間T1内にCPU30は、過電流が検出されたことを示す情報を所定の態様で報知部により報知させ、過電流の検出によりCPU30が停止することを示す情報をメモリ31に記憶させる。過電流が発生しているため、過電流検出回路38は、第1の信号S1を出力する(過電流検出状態「OFF」)。また、第1の所定期間T1が経過していないため、CPU30は、第2の信号S2を出力しない(クリップ信号「ON」)。第1の信号S1が出力されたが、第2の信号S2が出力されないため、OR回路43は、第3の信号S3を出力せず、スイッチ42は、ONされる(スイッチ42「ON」)。
【0051】
(5)第1の所定期間T1が経過すると、CPU30は、システムを停止する。過電流検出回路38は、第1の信号S1を出力する。(過電流検出状態「OFF」)。第1の所定期間T1が経過したため、CPU30は、第2の信号S2を出力する(クリップ信号「OFF」)。第1の信号S1及び第2の信号S2が出力されたため、OR回路43は、第3の信号S3を出力し、スイッチ42は、OFFされる(スイッチ42「OFF」)。
【0052】
(6)充電池37を交換する等を行って、過電流の要因が排除された後、システムを起動する。過電流検出回路38は、第1の信号S1を出力しない(過電流検出状態「ON」)。CPU30は、システム起動時の初期状態では第2の信号S2を出力する(クリップ信号「OFF」)。したがって、OR回路43は、第3の信号S3を出力せず、スイッチ42は、ONされる(スイッチ42「ON」)。
【0053】
このように第1実施形態の保護回路10によれば、CPU30は、過電流検出回路38から第1の信号S1が入力されてから第1の所定期間T1経過後にスイッチ42に第2の信号S2を出力する。これにより、保護回路10は、過電流検出回路38により過電流が検出されてからスイッチ42がOFFになるまで第1の所定期間T1の間、タイムラグを生じさせることができる。したがって、保護回路10は、このタイムラグの間に、過電流が検出されたことを示す情報を報知部により報知したり、過電流の検出によりCPU30が停止することを示す情報を第1の所定期間T1内にメモリ31に記憶させたりすることができる。
【0054】
また、第1実施形態の保護回路10によれば、CPU30は、過電流が検出されたことを示す情報を報知部により報知するため、ユーザに対して過電流が検出されたことを好適に知らせることができる。
【0055】
また、第1実施形態の保護回路10によれば、CPU30は、過電流の検出によりCPU30が停止することを示す情報をメモリ31に記憶させるため、例えば、過電流により携帯電話機1が停止した場合、メモリ31に記憶された過電流の検出によりCPU30が停止することを示す情報をユーザや製造メーカ等が参照することにより、過電流が原因で携帯電話機1が停止したことを特定することができる。
【0056】
<第2実施形態>
次に、本発明の保護回路の第2実施形態について説明する。第2実施形態については、主として、第1実施形態とは異なる点を説明し、第1実施形態と同様の構成について同一符号を付し、説明を省略する。第2実施形態について特に説明しない点については、第1実施形態についての説明が適宜適用される。
【0057】
第2実施形態の保護回路10aは、AND回路44及び遅延部45を備える点が第1実施形態とは主として異なる。
【0058】
図5は、第2実施形態の保護回路10aの具体的な構成について示す図である。図3に示すように、保護回路10aは、CPU30と、充電池37と、過電流検出回路38と、スイッチ42(スイッチ部)と、OR回路43(切り替え制御回路)と、AND回路44と、遅延部45と、抵抗Rとを備える。
【0059】
AND回路44は、OR回路43に信号を出力する。
遅延部45は、遅延回路及びタイマを有し、過電流検出回路38に接続される。また、遅延部45は、過電流検出回路38から第1の信号S1が入力されると、遅延回路及びタイマにより第1の信号S1が入力されてから第2の所定期間T2経過させた後に、第1の信号S1をAND回路44に出力する。
【0060】
そして、AND回路44は、遅延部45から第1の信号S1が入力され、かつ、CPU30から第4の信号S4が入力された場合に、スイッチ42を遮断する第5の信号S5を出力する。ここで、CPU30は、過電流検出回路38から第1の信号S1が入力されてから第1の所定期間T1経過後にスイッチ42に第2の信号S2として、クリップ信号をHighで出力する。一方、CPU30は、第1の信号S1が入力されない、又は第1の信号S1が入力されてから第1の所定期間T1経過してない場合には、スイッチ42に第4の信号として、クリップ信号をLowで出力する。
【0061】
OR回路43は、過電流検出回路38から第1の信号S1が入力され、かつ、AND回路44から第5の信号S5が入力された場合に、第3の信号S3を出力する。
スイッチ42は、第3の信号S3が入力された場合、OFFとなり、充電池37とCPU30との接続が遮断される。これにより、充電池37からCPU30への電力の供給が遮断される。
【0062】
次に、第2実施形態の保護回路10aの動作を時間経過に従って説明する。
図6は、第2実施形態の携帯電話機1aの動作状態と、保護回路10aにおける過電流検出状態、クリップ信号、遅延部45、AND回路44及びスイッチ42との関係について示す図である。
【0063】
ここで、過電流検出状態の項目では、過電流が検出されず、過電流検出回路38から第1の信号S1が出力されない状態、つまり、スイッチ42をONにすべき状態を「ON」と表記し、過電流が検出され、過電流検出回路38から第1の信号S1が出力される状態、つまり、スイッチ42をOFFにすべき状態を「OFF」と表記する。
【0064】
クリップ信号の項目では、CPU30から第4の信号S4が出力される状態(クリップ信号Low)、つまり、スイッチ42をONにすべき状態を「ON」と表記し、CPU30から第2の信号S2が出力される状態(クリップ信号High)、つまり、スイッチ42をOFFにすべき状態を「OFF」と表記する。
【0065】
遅延部45の項目では、遅延部45から第1の信号S1が出力されない、つまり、スイッチ42をONにすべき状態を「ON」と表記し、遅延部45から第1の信号S1が出力される状態、スイッチ42をOFFにすべき状態を「OFF」と表記する。
【0066】
AND回路44の項目では、AND回路44から第5の信号S5が出力されない、つまり、スイッチ42をONにすべき状態を「ON」と表記し、AND回路44から第5の信号S5が出力される状態、つまり、スイッチ42をOFFにすべき状態を「OFF」と表記する。
【0067】
スイッチ42の項目では、OR回路43から第3の信号S3が出力されず、スイッチ42がONとなる状態を「ON」と表記し、第3の信号S3が出力されて、スイッチ42がOFFとなる状態を「OFF」と表記する。なお、以下では、図6に示すように、(1)システム起動時、(2)システム起動後CPUがフリーズ、(3)過電流発生、(4)第2の所定期間T2経過、(5)充電池を交換して復帰、の順で説明する。
【0068】
(1)システム起動時には、過電流は発生していないため、過電流検出回路38は、第1の信号S1を出力しない(過電流検出状態「ON」)。CPU30は、システム起動時の初期状態では第2の信号S2を出力する(クリップ信号「OFF」)。遅延部45は、過電流検出回路38から第1の信号S1が入力されないため、第1の信号S1を出力しない(遅延部45「ON」)。
【0069】
AND回路44は、遅延部45から第1の信号S1が入力されず、CPU30から第4の信号S4が入力されないため、第5の信号S5を出力しない(AND回路43「ON」)。したがって、OR回路43は、第1の信号S1及び第5の信号S5が入力されないため、第3の信号S3を出力せず、スイッチ42は、ONされる(スイッチ42「ON」)。
【0070】
(2)システム起動後、例えば、CPU30がフリーズした場合、過電流検出回路38は、第1の信号S1を出力しない(過電流検出状態「ON」)。CPU30は、第4の信号S4を出力する。そして、CPU30は、フリーズしているため、第4の信号S4を出力する状態が解除されない(クリップ信号「ON」)。遅延部45は、過電流検出回路38から第1の信号S1が入力されないため、第1の信号S1を出力しない(遅延部45「ON」)。
【0071】
AND回路44は、遅延部45から第1の信号S1が入力されず、CPU30から第4の信号S4が入力されないため、第5の信号S5を出力しない(AND回路43「ON」)。したがって、OR回路43は、過電流検出回路38から第1の信号S1が入力されず、AND回路44から第5の信号S5が入力されないため、第3の信号S3を出力せず、スイッチ42は、ONされる(スイッチ42「ON」)。
【0072】
(3)過電流が発生すると、過電流検出回路38は、第1の信号S1を出力する(過電流検出状態「OFF」)。しかし、CPU30はフリーズしているため、本来は出力すべきである第2の信号S2を出力せず、第4の信号S4を出力する(クリップ信号「ON」)。遅延部45は、過電流検出回路38から第1の信号S1が入力されるが、第2の所定期間T2が経過していないため、第1の信号S1を出力しない(遅延部45「ON」)。
【0073】
AND回路44は、CPU30から第4の信号S4が入力されるが、遅延部45から第1の信号S1が入力されないため、第5の信号S5を出力しない(AND回路43「ON」)。したがって、OR回路43は、過電流検出回路38から第1の信号S1が入力されるが、AND回路44から第5の信号S5が入力されないため、第3の信号S3を出力せず、スイッチ42は、ONされる(スイッチ42「ON」)。
【0074】
(4)過電流検出回路38は、第1の信号S1を出力する(過電流検出状態「OFF」)。しかし、CPU30はフリーズしているため、本来は出力すべきである第2の信号S2を出力せず、第4の信号S4を出力する(クリップ信号「ON」)。第2の所定期間T2が経過すると、遅延部45は、過電流検出回路38から入力された第1の信号S1をAND回路44に出力する(遅延部45「OFF」)。
【0075】
AND回路44は、遅延部45から第1の信号S1が入力され、かつ、CPU30から第4の信号S4が入力されるため、第5の信号S5を出力する(AND回路43「OFF」)。したがって、OR回路43は、過電流検出回路38から第1の信号S1が入力され、かつ、AND回路44から第5の信号S5が入力されるため、第3の信号S3を出力し、スイッチ42は、OFFされる(スイッチ42「OFF」)。
【0076】
(5)充電池37を交換する等を行って、過電流の要因が排除された後、システムを起動する。過電流検出回路38は、第1の信号S1を出力しない(過電流検出状態「ON」)。CPU30は、システム起動時の初期状態では第2の信号S2を出力する(クリップ信号「OFF」)。遅延部45は、過電流検出回路38から第1の信号S1が入力されないため、第1の信号S1を出力しない(遅延部45「ON」)。
【0077】
AND回路44は、遅延部45から第1の信号S1が入力されず、CPU30から第4の信号S4が入力されないため、第5の信号S5を出力しない(AND回路43「ON」)。したがって、OR回路43は、第1の信号S1及び第5の信号S5が入力されないため、第3の信号S3を出力せず、スイッチ42は、ONされる(スイッチ42「ON」)。
【0078】
このように第2実施形態の保護回路10aによれば、遅延部45は、第1の信号S1が入力されてから第2の所定期間T2経過させた後に、第1の信号S1をAND回路44に出力する。AND回路44は、遅延部45から第1の信号S1が入力され、かつ、CPU30から第4の信号S4が入力された場合に、スイッチ42を遮断する第5の信号S5を出力し、OR回路43は、過電流検出回路38から第1の信号S1が入力され、かつ、AND回路44から第5の信号S5が入力された場合に、第3の信号S3を出力する。
【0079】
このため、保護回路10aは、例えば、CPU30がフリーズして第2の信号S2を出力できない状態となった場合でも、遅延部45により遅延させた第1の信号S1及びCPU30から出力される第4の信号S4を用いて、スイッチ42をOFFできる。したがって、保護回路10aは、例えば、CPU30がフリーズした場合であっても、スイッチ42をOFFして、充電池37からの電流の供給を遮断することができる。
【0080】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述した実施形態に制限されるものではなく、適宜変更が可能である。例えば、上述した実施形態では、第2の信号S2として、クリップ信号をHighで出力し、第4の信号S4として、クリップ信号をLowで出力したが、本発明はこれに限らず、例えば、第2の信号S2として、クリップ信号をLowで出力し、第4の信号S4として、クリップ信号をHighで出力してもよい。
【0081】
また、上述した実施形態において、本発明の保護回路を備える携帯電子機器としての携帯電話機1について説明したが、これに限定されず、デジタルカメラ、PHS(登録商標;Personal Handy phone System)、PDA(Personal Digital Assistant)、ポータブルナビゲーション装置、パソコン、ノートパソコン、携帯ゲーム装置等であってもよい。
【符号の説明】
【0082】
1 携帯電話機
10 保護回路
30 CPU(主制御回路)
38 過電流検出回路
42 スイッチ(スイッチ部)
43 OR回路(切り替え制御回路)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電源から供給される電流が過電流であるか否かを検出する過電流検出回路と、
前記電源から電力が供給され、所定の制御を行う主制御回路と、
前記電源が前記主制御回路に接続されるか遮断されるかを切り替えるスイッチ部と、
前記スイッチ部を切り替える信号を出力する切り替え制御回路とを備え、
前記過電流検出回路は、前記電源から供給される電流が過電流であることを検出した場合に、過電流が検出されたことを示す第1の信号を前記主制御回路及び前記切り替え制御回路に出力し、
前記主制御回路は、前記過電流検出回路から前記第1の信号が入力されてから第1の所定期間経過後に前記スイッチ部に第2の信号を出力し、
前記切り替え制御回路は、前記過電流検出回路から前記第1の信号が入力され、かつ、前記主制御回路から前記第2の信号が入力された場合に、前記スイッチ部を遮断させる第3の信号を出力することを特徴とする保護回路。
【請求項2】
報知部を備え、
前記主制御回路は、過電流が検出されたことを示す情報を前記第1の所定期間内に所定の態様で前記報知部により報知させることを特徴とする請求項1に記載の保護回路。
【請求項3】
記憶部を備え、
前記主制御回路は、過電流の検出により前記主制御回路が停止することを示す情報を前記第1の所定期間内に前記記憶部に記憶させることを特徴とする請求項1又は2に記載の保護回路。
【請求項4】
前記切り替え制御回路に信号を出力する判断回路と、
前記過電流検出回路に接続されており、前記第1の信号が入力されてから第2の所定期間経過させた後に前記第1の信号を前記判断回路に出力する遅延部とを備え、
前記判断回路は、前記遅延部から前記第1の信号が入力され、かつ、前記主制御回路から第4の信号が入力された場合に、前記スイッチ部を遮断する第5の信号を出力し、
前記切り替え制御回路は、前記過電流検出回路から前記第1の信号が入力され、かつ、前記判断回路から前記第5の信号が入力された場合に、前記第3の信号を出力することを特徴とする請求項1に記載の保護回路。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−114934(P2011−114934A)
【公開日】平成23年6月9日(2011.6.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−268654(P2009−268654)
【出願日】平成21年11月26日(2009.11.26)
【出願人】(000006633)京セラ株式会社 (13,660)
【Fターム(参考)】