説明

保護膜形成用熱硬化性樹脂組成物、保護膜及び保護膜の形成方法

【課題】基板上に、平坦性が高く、しかも、密着性、透明性及び表面硬度等が良好な液晶表示素子用保護膜を形成可能な熱硬化性樹脂組成物を提供することを目的とする。
【解決手段】本発明は、〔A〕(a1)エポキシ基含有不飽和化合物、及び(a2)ラジカル重合性を有する不飽和化合物を含む単量体を共重合してなる共重合体、並びに、〔B〕エチレンオキサイド又はプロピレンオキサイドによって変性された多官能(メタ)アクリレート化合物群から選択される少なくとも1種を含有する液晶表示素子の保護膜形成用熱硬化性樹脂組成物である。(a2)成分としては、不飽和カルボン酸及び不飽和多価カルボン酸無水物よりなる群から選択されることが好ましく、さらには、分子中にカルボン酸のアセタールエステル構造又はカルボン酸の1−アルキルシクロアルキルエステル構造等を有する重合性不飽和化合物を含むことが好ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、保護膜形成用硬化性樹脂組成物、その組成物から形成された保護膜、及びその保護膜の形成方法に関する。さらに詳しくは、本発明は、液晶表示素子(LCD)用カラーフィルタ及び電荷結合素子(CCD)用カラーフィルタに用いられる保護膜を形成するための材料として好適な組成物、その組成物から形成された保護膜、及びその保護膜の形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
LCDやCCD等の素子は、その製造工程中に、溶剤、酸又はアルカリ溶液等による浸漬処理が行なわれる。また、これらの素子は、スパッタリングにより配線電極層を形成する際には、素子表面が局部的に高温に曝される。従って、このような溶剤等による浸漬処理や高温処理によって素子が劣化あるいは損傷することを防止するために、これらの処理に対して耐性を有する保護膜を素子の表面に設けることが行なわれている。
【0003】
このような保護膜は、当該保護膜を形成すべき基板又は下層、さらに保護膜上に形成される層に対して密着性が高いものであること、膜自体が平滑で強靭であること、透明性を有するものであること、耐熱性が高く、長期間にわたって着色、黄変、白化等の変質を起こさないものであること、及び耐アルカリ性に優れたものであること等の性能が要求される。また、このような保護膜をカラー液晶表示装置や電荷結合素子のカラーフィルタの保護膜として使用する場合には、一般的に下地基板上に形成されたカラーフィルタによる段差を平坦化できることが要求される。これらの諸特性を満たす保護膜を形成するための材料としては、例えばグリシジル基を有する重合体を含む樹脂組成物が知られている(特開平5−78453号公報及び特開2001−91732号公報参照)。
【0004】
さらに、カラー液晶表示装置、例えばSTN(Super Twisted Nematic)方式あるいはTFT(Thin Film Transistor)方式のカラー液晶表示素子では、液晶層のセルギャップを均一に保持するために、ビーズ状のスペーサーを保護膜上に散布した上でパネルを貼り合わせることが行われている。パネルを貼り合わせた後にシール材を熱圧着することによって液晶セルが密封される。この熱圧着・密封の際にかかる熱と圧力で、ビーズ状スペーサーが存在する部分の保護膜が凹む現象が見られ、セルギャップが狂うという不都合が生じている。
【0005】
特に近年パネルの輝度を向上させるために、カラーフィルタの画素中にレッド(R)、グリーン(G)、ブール(B)の各部分以外に開口部を設け、この開口部を、樹脂組成物から形成される保護膜により平坦化することが行われている。このような開口部の幅は広いため、保護膜には極めて高度な段差の平坦化能が要求されている。
【0006】
このような保護膜の形成には、硬度に優れる保護膜を簡易な方法で形成できる樹脂組成物を使用することが望ましい。しかし、強固な架橋を形成させるために、反応性の良い架橋基を有する化合物あるいは反応促進性の高い触媒を含む樹脂組成物を用いた場合には、樹脂組成物自身のシェルフライフ(硬化前の溶液での経時的粘度安定性)が非常に短いという不都合がある。樹脂組成物のシェルフライフが短いと、樹脂組成物の塗布性能が経時的に悪化するばかりでなく、塗工機の頻繁なメンテナンス、洗浄等が必要になる。
【0007】
一方、特開2007−9164号公報には、エチレンオキサイド変性及び/又はプロピレンオキサイド変性された重合性不飽和結合を有する化合物(多官能(メタ)アクリレート化合物等)を用いることで、高い現像性及び溶解性を有し、パターン形成時に現像残滓を生じることがなく、鮮明なパターンのカラムスペーサを形成することができる硬化性樹脂組成物が開示されている。しかし、特開2007−9164号公報は、重合性不飽和結合を有する化合物をエチレンオキサイド変性及び/又はプロピレンオキサイド変性することによって親水性を付与し現像性を向上させることを主な目的とするものであり、保護膜としての用途や、基板に対する密着性や平坦性など保護膜として要求される特性の向上については開示されていない。また、特開2007−9164号公報の硬化性樹脂組成物は感光性樹脂組成物であり、熱硬化性樹脂組成物に関するものではない。
【0008】
従って、密着性、平坦性、透明性などの液晶表示素子の保護膜としての一般的な要求性能を満たし、さらにこれらの要求性能を満たす保護膜を簡易に形成でき、かつ保存安定性に優れた樹脂組成物の開発が強く望まれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開平5−78453号公報
【特許文献2】特開2001−91732号公報
【特許文献3】特開2007−9164号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は以上のような事情に基づいてなされたものであり、その目的は、カラーフィルタ等のように凹凸が形成されている基板であっても、その基板上に、平坦性(段差の平坦化能)が高く、しかも、密着性、透明性及び表面硬度が良好であり、耐熱性、耐熱変色性、耐アルカリ性などの各種の耐性に優れた液晶表示素子用保護膜を形成するために好適に用いられ、かつ保存安定性に優れる熱硬化性樹脂組成物、その組成物から形成された保護膜、及びその保護膜の形成方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するためになされた発明は、
〔A〕(a1)エポキシ基含有不飽和化合物、及び(a2)ラジカル重合性を有する不飽和化合物を含む単量体を共重合してなる共重合体、並びに、
〔B〕下記式(1)、(2)及び(3)で表される化合物群から選択される少なくとも1種を含有する液晶表示素子の保護膜形成用熱硬化性樹脂組成物。
【化1】


【化2】


【化3】


【化4】


【化5】


[式(1)〜(3)中、Rは炭素数1〜20のアルキル基、Xはエチレンオキサイド基又はプロピレンオキサイド基、Yは、各々独立に、水素原子、アクリロイル基、メタクリロイル基のいずれかを表すが、1分子中の少なくとも2つがアクリロイル基又はメタクリロイル基である。nは1〜4の整数である。Zは式(4)又は(5)で表される基であり、式(5)中のmは1〜12の整数である。]
【0012】
当該熱硬化性樹脂組成物は、所定の単量体を共重合してなる共重合体と、エチレンオキサイド基又はプロピレンオキサイド基によって変性された上記構造の化合物とを含有することによって、平坦性、密着性、透明性及び表面硬度が高く、耐熱性、耐熱変色性、耐アルカリ性などの各種耐性に優れた液晶表示素子用保護膜を形成することが可能であり、かつ高度な保存安定性を有する。
【0013】
当該熱硬化性樹脂組成物における(a2)成分としては、不飽和カルボン酸及び不飽和多価カルボン酸無水物よりなる群から選択される少なくとも1種を含むことがより好ましい。これらの化合物を用いることによって、〔A〕成分を生成する際の共重合反応性を高め、また、熱硬化性樹脂組成物から形成される保護膜の耐熱性及び表面硬度を向上させることができる。
【0014】
当該熱硬化性樹脂組成物における(a2)成分として、分子中にカルボン酸のアセタールエステル構造、カルボン酸の1−アルキルシクロアルキルエステル構造、及びカルボン酸のt−ブチルエステル構造よりなる群から選択される少なくとも1種の構造を有する重合性不飽和化合物を含むことがさらに好ましい。これらの化合物を用いることによって、〔A〕成分を形成する際の共重合反応性を高め、熱硬化性樹脂組成物の保存安定性をさらに向上させることができる。
【0015】
当該熱硬化性樹脂組成物は、〔C〕硬化剤をさらに含有していてよい。このように硬化剤を含有することによって、熱硬化性樹脂組成物から形成される保護膜の耐熱性及び表面硬度を向上させることができる。
【0016】
当該熱硬化性樹脂組成物は、(1)[A]共重合体及び[B]化合物を含有する第1成分と、(2)[C]硬化剤を含有する第2成分との組み合わせの2液硬化型として用いることができる。このように、[C]成分の硬化剤を含有する第2成分を、[A]及び[B]成分を含有する第1成分と分離して2液硬化型の組成物とすることにより、高い表面硬度を有する保護膜を形成することができる。
【0017】
当該熱硬化性樹脂組成物は、〔D〕多官能エポキシ化合物(ただし、上記〔A〕成分を除く。)をさらに含有することが好ましい。このような感熱架橋性を有する多官能エポキシ化合物を用いることによって、熱硬化性樹脂組成物の架橋反応性を高め、熱硬化性樹脂組成物から形成される保護膜の表面硬度及び基板に対する密着性をより向上させることができる。
【0018】
当該熱硬化性樹脂組成物は、〔E〕分子中に1つ以上のカルボキシル基を有する多官能(メタ)アクリレート化合物をさらに含有することが好ましい。このような分子中に1つ以上のカルボキシル基を有する多官能(メタ)アクリレート化合物を用いることにより、熱硬化性樹脂組成物から形成される保護膜の基板に対する密着性をより高めることができる。
【0019】
当該熱硬化性樹脂組成物を用いて被膜を形成する工程、及びこの被膜を加熱処理する工程によって液晶表示素子の保護膜を形成することができる。このような方法によって、液晶表示素子における基板上に容易に保護膜を形成することができる。また、こうして形成された保護膜は、平坦性、密着性、透明性及び表面硬度が高く、耐熱性、耐熱変色性、耐アルカリ性などの各種耐性が優れている。
【発明の効果】
【0020】
以上説明したように、本発明の液晶表示素子の保護膜形成用熱硬化性樹脂組成物は、カラーフィルタ等のように凹凸が形成されている基板であっても、その基板上に、平坦性が高く、しかも、密着性、透明性、表面硬度に加え、耐熱性、耐熱変色性及び耐アルカリ性などの各種耐性に優れた液晶表示素子用保護膜を形成することが可能であり、かつ高度な保存安定性を有する。また、熱硬化性樹脂組成物を用いて、これらの諸特性に優れた保護膜を容易に形成することができる。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明の液晶表示素子の保護膜形成用熱硬化性樹脂組成物は、[A]共重合体、[B]多官能(メタ)アクリレート化合物、及びその他の任意成分([C]硬化剤、[D]多官能エポキシ化合物、〔E〕分子中に1つ以上のカルボキシル基を有する多官能(メタ)アクリレート化合物等)を含有する。以下、各成分について説明する。
【0022】
〔A〕成分:共重合体
〔A〕成分である共重合体は、(a1)エポキシ基含有不飽和化合物及び(a2)ラジカル重合性を有する不飽和化合物を含む単量体を重合する工程を経て製造された共重合体である。
【0023】
〔A〕成分の共重合体を構成する(a1)成分のエポキシ基含有不飽和化合物は、エポキシ基を有し、かつ重合反応性の不飽和結合を有するものである限り、特に限定されるものではない。(a1)成分としては、例えば(メタ)アクリル酸グリシジル、α−エチルアクリル酸グリシジル、α−n−プロピルアクリル酸グリシジル、α−n−ブチルアクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸−3,4−エポキシブチル、α−エチルアクリル酸−3,4−エポキシブチル、(メタ)アクリル酸−6,7−エポキシヘプチル、α−エチルアクリル酸−6,7−エポキシヘプチル、p−ビニルベンジルグリシジルエーテル、3−メチル−3−(メタ)アクロイルオキシメチルオキセタン、3−エチル−3−(メタ)アクロイルオキシメチルオキセタン等を挙げることができる。
【0024】
これらのエポキシ基含有不飽和化合物のうち、メタクリル酸グリシジル、メタクリル酸−6,7−エポキシヘプチル、p−ビニルベンジルグリシジルエーテル、3−メチル−3−(メタ)アクロイロキシメチルオキセタン、3−エチル−3−(メタ)アクロイロキシメチルオキセタンなどが、共重合体を形成する際の反応性が高く、熱硬化性樹脂組成物から形成される保護膜の耐熱性及び表面硬度が優れている点から好ましく用いられる。
【0025】
(a1)成分の化合物は、単独で又は2種以上を混合して使用することができる。〔A〕成分の共重合体における(a1)成分に由来する構成単位の含有率は、好ましくは10〜90質量%、特に好ましくは20〜80質量%である。(a1)成分に由来する構成単位の含有率が10〜90質量%のとき、熱硬化性樹脂組成物から形成される保護膜の耐熱性、表面硬度、耐アルカリ性等が優れている。
【0026】
〔A〕成分の共重合体を構成する(a2)成分のラジカル重合性を有する不飽和化合物は、連鎖的なラジカル重合を起こすことが可能な不飽和結合を有する化合物であれば、特に限定されるものではない。(a2)成分としては、例えば、不飽和カルボン酸、不飽和多価カルボン酸無水物、(メタ)アクリル酸直鎖状アルキルエステル、(メタ)アクリル酸分岐鎖状アルキルエステル、(メタ)アクリル酸脂環式アルキルエステル、水酸基を有する(メタ)アクリル酸エステル、(メタ)アクリル酸アリールエステル、不飽和ジカルボン酸ジエステル、ビシクロ不飽和化合物、マレイミド化合物、ビニル芳香族化合物、共役ジエン、カルボン酸のアセタールエステル構造、カルボン酸の1−アルキルシクロアルキルエステル構造又はカルボン酸のt−ブチルエステル構造を有する重合性不飽和化合物等を挙げることができる。
【0027】
不飽和カルボン酸の具体例としては、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、α−エチルアクリル酸、α−n−プロピルアクリル酸、α−n−ブチルアクリル酸等のモノカルボン酸;マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、2−アクリロイルオキシエチルコハク酸、2−メタクリロイルオキシエチルコハク酸、2−アクリロイルオキシエチルヘキサヒドロフタル酸、2−メタクリロイルオキシエチルヘキサヒドロフタル酸等のジカルボン酸等が挙げられる。不飽和多価カルボン酸無水物の具体例としては、無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水シトラコン酸、シス−1,2,3,4−テトラヒドロフタル酸無水物等が挙げられる。
【0028】
(メタ)アクリル酸直鎖状アルキルエステルの具体例としては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−プロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸n−ラウリル、(メタ)アクリル酸トリデシル、(メタ)アクリル酸n−ステアリル等が挙げられる。(メタ)アクリル酸分岐鎖状アルキルエステルの具体例としては、(メタ)アクリル酸sec−ブチル、(メタ)アクリル酸イソデシル等が挙げられる。
【0029】
(メタ)アクリル酸脂環式アルキルエステルの具体例としては、(メタ)アクリル酸シクロペンチル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸−2−メチルシクロヘキシル、(メタ)アクリル酸トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン−8−イル(以下、トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン−8−イルを「ジシクロペンタニル」と称することもある。)、(メタ)アクリル酸−2−ジシクロペンタニルオキシエチル、(メタ)アクリル酸イソボロニル等が挙げられる。水酸基を有する(メタ)アクリル酸エステルとしては、(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸−3−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸−2,3−ジヒドロキシプロピル等が挙げられる。(メタ)アクリル酸アリールエステルの具体例としては、(メタ)アクリル酸フェニル、(メタ)アクリル酸ベンジル等が挙げられる。不飽和ジカルボン酸ジエステルの具体例としては、マレイン酸ジエチル、フマル酸ジエチル、イタコン酸ジエチル等が挙げられる。
【0030】
ビシクロ不飽和化合物の具体例としては、ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−メチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−エチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−メトキシビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−エトキシビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5,6−ジメトキシビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5,6−ジエトキシビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−t−ブトキシカルボニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−シクロヘキシルオキシカルボニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−フェノキシカルボニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5,6−ジ(t−ブトキシカルボニル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5,6−ジ(シクロヘキシルオキシカルボニル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−(2’−ヒドロキシエチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5,6−ジヒドロキシビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5,6−ジ(ヒドロキシメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5,6−ジ(2’−ヒドロキシエチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−ヒドロキシ−5−メチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−ヒドロキシ−5−エチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−ヒドロキシメチル−5−メチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン等が挙げられる。
【0031】
マレイミド化合物の具体例としては、N−フェニルマレイミド、N−ベンジルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド、N−スクシンイミジル−3−マレイミドベンゾエート、N−スクシンイミジル−4−マレイミドブチレート等が挙げられる。ビニル芳香族化合物の具体例としては、スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、ビニルトルエン、p−メトキシスチレン等が挙げられる。共役ジエンの具体例としては、1,3−ブタジエン、イソプレン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン等が挙げられる。
【0032】
カルボン酸のアセタールエステル構造を有する重合性不飽和化合物の具体例としては、1−エトキシエチル(メタ)アクリレート、テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル(メタ)アクリレート、1−(シクロヘキシルオキシ)エチル(メタ)アクリレート、1−(2−メチルプロポキシ)エチル(メタ)アクリレート、1−(1,1−ジメチル−エトキシ)エチル(メタ)アクリレート、1−(シクロヘキシルオキシ)エチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0033】
カルボン酸の1−アルキルシクロアルキルエステル構造を有する重合性不飽和化合物の具体例としては、1−メチルシクロプロピル(メタ)アクリレート、1−メチルシクロブチル(メタ)アクリレート、1−メチルシクロペンチル(メタ)アクリレート、1−メチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、1−メチルシクロヘプチル(メタ)アクリレート、1−エチルシクロプロピル(メタ)アクリレート、1−エチルシクロブチル(メタ)アクリレート、1−エチルシクロペンチル(メタ)アクリレート、1−エチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、1−エチルシクロオクチル(メタ)アクリレート等を挙げることができる。また、カルボン酸のt−ブチルエステル構造を有する重合性不飽和化合物の具体例としては、(メタ)アクリル酸t−ブチル等が挙げられる。
【0034】
これらの(a2)成分の中でも、アクリル酸、メタクリル酸、2−アクリロイルオキシエチルコハク酸、2−メタクリロイルオキシエチルコハク酸、無水マレイン酸、(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシプロピル、メタクリル酸メチル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸−2−メチルシクロヘキシル、N−フェニルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド、スチレン、p−メトキシスチレン、(メタ)アクリル酸トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン−8−イル、1−エトキシエチルメタクリレート、メタクリル酸t−ブチル、テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イルメタクリレート、1−(シクロヘキシルオキシ)エチルメタクリレート、1−(2−メチルプロポキシ)エチルメタクリレート、1−(1,1−ジメチル−エトキシ)エチルメタクリレート、1−エチルシクロペンチル(メタ)アクリレート、1−エチルシクロヘキシル(メタ)アクリレートが好ましい。(a2)成分としてこれらの化合物を用いることによって、(a1)成分に対する共重合反応性を向上させると共に、熱硬化性樹脂組成物から形成された保護膜の耐熱性及び表面硬度を改善することができる。
【0035】
(a2)成分の化合物は、単独で又は2種以上を混合して使用することができる。〔A〕成分の共重合体における(a2)成分に由来する構成単位の含有率は、好ましくは5〜90質量%、特に好ましくは10〜80質量%である。(a2)成分に由来する構成単位の含有率を5〜90質量%とすることによって、共重合体を生成する際の共重合反応性が高められると共に、熱硬化性樹脂組成物から形成される保護膜の耐熱性、表面硬度及び保存安定性を向上させることができる。
【0036】
特に、(a2)成分として不飽和カルボン酸又は不飽和カルボン酸の無水物を用いる場合において、〔A〕成分の共重合体におけるこれらの化合物に由来する構成単位の含有率は、好ましくは5〜60質量%、さらに好ましくは7〜50質量%、特に好ましくは8〜40質量%である。不飽和カルボン酸又は不飽和カルボン酸の無水物に由来する構成単位の含有率を5〜60質量%とすることによって、熱硬化性樹脂組成物から形成される保護膜の耐熱性や表面硬度、熱硬化性樹脂組成物の保存安定性等の諸特性をより高いレベルで最適化することができる。
【0037】
また、(a2)成分としてカルボン酸のアセタールエステル構造、カルボン酸の1−アルキルシクロアルキルエステル構造又はカルボン酸のt−ブチルエステル構造を有する重合性不飽和化合物を用いる場合において、〔A〕成分の共重合体におけるこれらの化合物に由来する構成単位の含有率は、好ましくは5〜60質量%、さらに好ましくは7〜50質量%、特に好ましくは8〜40質量%である。これらの重合性不飽和化合物に由来する構成単位の含有率を5〜60質量%とすることによって、熱硬化性樹脂組成物から形成される保護膜の耐熱性や表面硬度を高く保ちつつ、熱硬化性樹脂組成物の保存安定性をさらに向上させることができる。
【0038】
次に、〔A〕成分の共重合体を製造するための重合方法について説明する。〔A〕成分の共重合体は、適当な溶媒中、ラジカル重合開始剤の存在下で上記(a1)成分及び(a2)成分を含む単量体を共重合することにより製造することができる。共重合反応に用いられる溶媒としては、ジエチレングリコールモノアルキルエーテル、ジエチレングリコールジアルキルエーテル、プロピレングリコールモノアルキルエーテルアセテート、アルコキシプロピオン酸アルキル、酢酸エステル等が好ましい。これらの溶媒は、単独で又は2種以上を混合して使用することができる。
【0039】
共重合反応に用いられるラジカル重合開始剤としては、特に限定されるものではなく、例えば、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス−(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス−(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、4,4’−アゾビス(4―シアノバレリン酸)、ジメチル−2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)等のアゾ化合物を挙げることができる。これらのラジカル重合開始剤は、単独で又は2種以上を混合して使用することができる。
【0040】
〔A〕成分の共重合体のゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)によるポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)は、好ましくは2,000〜100,000、より好ましくは5,000〜50,000である。共重合体の重量平均分子量を2,000〜100,000とすることにより、熱硬化性樹脂組成物から形成される保護膜の表面硬度や耐熱性等の諸特性を良好に保つことができる。
【0041】
〔B〕成分:多官能(メタ)アクリレート化合物
〔B〕成分の多官能(メタ)アクリレート化合物は、上記式(1)、(2)、及び(3)(並びに式(4)及び(5))で表される化合物群から選択される少なくとも1種である。本発明の熱硬化性樹脂組成物は、上記の〔A〕成分及びこの〔B〕成分を含有することによって、平坦性が高くかつ密着性に優れた液晶表示素子用保護膜を形成することが可能となる。
【0042】
上記式(1)、(2)及び(3)(並びに式(4)及び(5))において、Zが式(4)で表される基である化合物の具体例としては、トリメチロールプロパンプロピレンオキサイド変性トリアクリレート(n=1)、トリメチロールプロパンプロピレンオキサイド変性トリアクリレート(n=2)、トリメチロールプロパンエチレンオキサイド変性トリアクリレート(n=1)、トリメチロールプロパンエチレンオキサイド変性トリアクリレート(n=2)、トリメチロールプロパンペンタスリトールエチレンオキサイド変性テトラアクリレート(n=1)、エチレンオキサイド変性ペンタエリスリトールテトラアクリレート(n=1)、エチレンオキサイド変性ペンタエリスリトールトリアクリレート(n=3)、エチレンオキサイド変性ペンタエリスリトールテトラアクリレート(n=9)、エチレンオキサイド変性ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(n=12)が挙げられる。このような化合物の市販品としては、アロニックスM−310、同M−320、同M−321、同M−350、同M−360、同M−370(東亜合成(株)製)、ATM−4E、ATM−35E(新中村化学(株)製)、KAYARAD DPEA−12、同RP−1040(日本化薬(株)製)等が挙げられる。
【0043】
上記式(1)、(2)及び(3)(並びに式(4)及び(5))において、Zが式(5)で表される基である化合物は、直鎖アルキレン基構造を有し且つ2個のイソシアネート基を有する化合物と、分子内に1個以上の水酸基を有し、エチレンオキサイド基又はプロピレンオキサイド基と3個、4個又は5個の(メタ)アクリロイルオキシ基を有する化合物とを反応させることによって得ることができる。
【0044】
このような化合物としては、例えば、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート等のアルキレンジイソシアネート化合物と、上記式(2)のYの1つを水酸基に置換した化合物とを反応させて得られる化合物が挙げられる。さらに具体的には、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネートと、上記式(2)においてYの1つを水酸基に置換し、Xがエチレンオキサイド基、nが2である化合物とを反応させて得られる化合物が、好ましく用いられる。
【0045】
熱硬化性樹脂組成物における〔B〕成分の多官能(メタ)アクリレート化合物は、単独で又は2種以上を混合して使用することができる。この〔B〕成分の使用割合は、〔A〕成分の共重合体100質量部に対して、好ましくは10〜300質量部、より好ましくは20〜200質量部である。熱硬化性樹脂組成物において、このような割合で〔B〕成分を用いることによって、平坦性及び基板に対する密着性の両方が非常に優れた液晶表示素子の保護膜を形成することが可能となる。
【0046】
〔C〕成分:硬化剤
〔C〕成分である硬化剤は、形成される保護膜の耐熱性及び表面硬度を向上させるために、熱硬化性樹脂組成物に添加することができる。また、〔C〕成分の硬化剤は、上記の〔A〕及び〔B〕成分並びに他の任意成分を含む第1成分(第1液)とは別の第2成分(第2液)とし、2液硬化型の熱硬化性樹脂組成物として使用することもできる。このように、硬化剤を含有する第2成分を、熱硬化性樹脂組成物の第1成分と分離して2液硬化型の組成物とすることにより、組成物の保存の利便性が改善されると共に、より表面硬度の大きな保護膜を得ることが可能となる。〔C〕成分の硬化剤を第2液とする場合、硬化剤は、一般的に有機溶剤に溶解させて保存される。
【0047】
〔C〕成分の硬化剤の例としては、酸無水物基を有する重合性不飽和化合物とオレフィン性不飽和化合物との共重合体(ただし〔A〕成分の共重合体を除く。)、多価カルボン酸無水物等が挙げられる。
【0048】
酸無水物基を有する重合性不飽和化合物としては、例えば、無水イタコン酸、無水シトラコン酸、無水マレイン酸、シス−1,2,3,4−テトラヒドロフタル酸無水物等が挙げられる。また、オレフィン性不飽和化合物としては、例えば、スチレン、p−メチルスチレン、p−メトキシスチレン、メチルメタクリレート、t−ブチルメタクリレート、メタクリル酸トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン−8−イル、2−メチルシクロヘキシルアクリレート、フェニルマレイミド、シクロヘキセン等が挙げられる。酸無水物基を有する重合性不飽和化合物とオレフィン性不飽和化合物との共重合体の好ましい例としては、無水マレイン酸共重合体/スチレン共重合体、無水シトラコン酸/メタクリル酸トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン−8−イル共重合体等が挙げられる。
【0049】
酸無水物基を有する重合性不飽和化合物とオレフィン性不飽和化合物との共重合反応における両者の使用割合(質量比)は、好ましくは1:99〜80:20、より好ましくは10:90〜60:40である。酸無水物基を有する重合性不飽和化合物及びオレフィン性不飽和化合物の使用割合(質量比)を1:99〜80:20として形成された共重合体を硬化剤として用いることによって、平坦化能に優れた保護膜を得ることができる。
【0050】
また、酸無水物基を有する重合性不飽和化合物とオレフィン性不飽和化合物との共重合体のポリスチレン換算重量平均分子量は、好ましくは500〜50,000、より好ましくは500〜10,000である。このような範囲の重量平均分子量を有する共重合体を硬化剤として使用することにより、平坦性の高い保護膜を得ることが可能となる。
【0051】
硬化剤として用いられる多価カルボン酸無水物としては、例えば、無水イタコン酸、無水コハク酸、無水シトラコン酸、無水ドデセニルコハク酸、無水トリカルバニル酸、無水マレイン酸、無水ヘキサヒドロフタル酸、無水メチルテトラヒドロフタル酸、無水ハイミック酸等の脂肪族ジカルボン酸無水物;1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸二無水物、シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物等の脂環族多価カルボン酸二無水物;無水フタル酸、無水ピロメリット酸、無水トリメリット酸、無水ベンゾフェノンテトラカルボン酸、無水ヘキサヒドロフタル酸の如き芳香族多価カルボン酸無水物;エチレングリコールビス無水トリメリテート、グリセリントリス無水トリメリテート等のエステル基含有酸無水物を挙げることができる。これらの多価カルボン酸無水物の中でも、芳香族多価カルボン酸無水物、特に無水トリメリット酸、無水ヘキサヒドロフタル酸は、耐熱性の高い保護膜が得られる点で好ましい。
【0052】
熱硬化性樹脂組成物における〔C〕成分の硬化剤は、単独で又は2種以上を混合して使用することができる。〔C〕成分の硬化剤の使用割合は、〔A〕成分の共重合体100質量部に対して、好ましくは40質量部以下、より好ましくは30質量部以下である。〔C〕成分の使用割合を30質量部以下とすることにより、熱硬化性樹脂組成物の保存安定性が良好なレベルに保たれ、耐熱性及び耐溶剤性に優れた保護膜を形成することができる。
【0053】
〔D〕成分:多官能エポキシ化合物
〔D〕成分の多官能エポキシ化合物は、架橋反応性を高めると共に、熱硬化性樹脂組成物から形成される保護膜の表面硬度及び基板に対する密着性をより向上させるために、熱硬化性樹脂組成物に添加することができる。多官能エポキシ化合物としては、1分子中に2個以上のエポキシ基を有するカチオン重合性化合物が用いられる(ただし、上記〔A〕成分を除く)。
【0054】
このような分子内に2個以上のエポキシ基を有する化合物としては、例えば、ビスフェノールAジグリシジルエーテル、ビスフェノールFジグリシジルエーテル、ビスフェノールSジグリシジルエーテル、水添ビスフェノールAジグリシジルエーテル、水添ビスフェノールFジグリシジルエーテル、水添ビスフェノールADジグリシジルエーテル等のビスフェノールのポリグリシジルエーテル類;1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、グリセリントリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル等の多価アルコールのポリグリシジルエーテル類;エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリンなどの脂肪族多価アルコールに1種又は2種以上のアルキレンオキサイドを付加することにより得られるポリエーテルポリオールの脂肪族ポリグリシジルエーテル類;分子内に2個以上の3,4−エポキシシクロヘキシル基を有する化合物;ビスフェノールAノボラック型エポキシ樹脂等のフェノールノボラック型エポキシ樹脂;クレゾールノボラック型エポキシ樹脂;ポリフェノール型エポキシ樹脂;環状脂肪族エポキシ樹脂;脂肪族長鎖二塩基酸のジグリシジルエステル類;高級脂肪酸のグリシジルエステル類;エポキシ化大豆油、エポキシ化アマニ油等を挙げることができる。これらの分子内に2個以上のエポキシ基を有する化合物のうち、フェノールノボラック型エポキシ樹脂及びポリフェノール型エポキシ樹脂が好ましい。
【0055】
分子内に2個以上の3,4−エポキシシクロヘキシル基を有する化合物の具体例としては、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3’,4’−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル−5,5−スピロ−3,4−エポキシ)シクロヘキサン−メタ−ジオキサン、ビス(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル)アジペート、ビス(3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシルメチル)アジペート、3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシル−3’,4’−エポキシ−6’−メチルシクロヘキサンカルボキシレート、メチレンビス(3,4−エポキシシクロヘキサン)、ジシクロペンタジエンジエポキサイド、エチレングリコールのジ(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル)エーテル、エチレンビス(3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート)、ラクトン変性3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3’,4’−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート等を挙げることができる。
【0056】
分子内に2個以上のエポキシ基を有する化合物の市販品としては、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂として、エピコート1001、同1002、同1003、同1004、同1007、同1009、同1010、同828(ジャパンエポキシレジン(株)製);ビスフェノールF型エポキシ樹脂として、エピコート807(ジャパンエポキシレジン(株)製);フェノールノボラック型エポキシ樹脂(ビスフェノールAノボラック型エポキシ樹脂等)として、エピコート152、同154、同157S65(ジャパンエポキシレジン(株)製)、EPPN201、同202(日本化薬(株)製);クレゾールノボラック型エポキシ樹脂として、EOCN102、同103S、同104S、1020、1025、1027(日本化薬(株)製)、エピコート180S75(ジャパンエポキシレジン(株)製);ポリフェノール型エポキシ樹脂として、エピコート1032H60、同XY−4000(ジャパンエポキシレジン(株)製);環状脂肪族エポキシ樹脂として、CY−175、同177、同179、アラルダイトCY−182、同192、184(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製)、ERL−4234、4299、4221、4206(U.C.C社製)、ショーダイン509(昭和電工(株)製)、エピクロン200、同400(大日本インキ(株)製)、エピコート871、同872(ジャパンエポキシレジン(株)製)、ED−5661、同5662(セラニーズコーティング社製);脂肪族ポリグリシジルエーテルとして、エポライト100MF(共栄社化学(株)製)、エピオールTMP(日本油脂(株)製)が挙げられる。
【0057】
熱硬化性樹脂組成物における〔D〕成分の多官能エポキシ化合物は、単独で又は2種以上を混合して使用することができる。〔D〕成分の多官能エポキシ化合物の使用割合は、〔A〕成分の共重合体100質量部に対して、好ましくは2〜40質量部、より好ましくは5〜30質量部である。〔D〕成分の使用割合を2〜40質量部とすることによって、熱硬化性樹脂組成物の架橋反応性を向上させせると共に、形成される保護膜の表面硬度や基板に対する密着性を高度なレベルに保つことができる。
【0058】
〔E〕成分:分子中に1つ以上のカルボキシル基を有する多官能(メタ)アクリレート化合物
〔E〕成分の分子中に1つ以上のカルボキシル基を有する多官能(メタ)アクリレート化合物は、熱硬化性樹脂組成物から形成される保護膜の基板に対する密着性をさらに向上させるために添加することができる。このような多官能(メタ)アクリレート化合物としては、分子中に1つ以上のカルボキシル基を有し、かつ2つ以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物である限り、特に限定されるものではない。
【0059】
分子中に1つ以上のカルボキシル基を有する多官能(メタ)アクリレート化合物は、分子中に1個以上の酸無水物基を有する化合物の少なくとも1種と、分子中に水酸基及び2個以上の(メタ)アクリロイル基を有する水酸基含有多官能(メタ)アクリレートの少なくとも1種とを反応させることにより得られる。分子中に1個以上の酸無水物基を有する化合物の具体例としては、無水コハク酸、無水1−ドデセニルコハク酸、無水マレイン酸、無水グルタル酸、無水イタコン酸、無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、テトラメチレン無水マレイン酸、テトラヒドロ無水フタル酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、エンドメチレンテトラヒドロ無水フタル酸、メチルエンドメチレンテトラヒドロ無水フタル酸、無水テトラクロロフタル酸、無水テトラブロモフタル酸、無水トリメリット酸等の酸無水物基を1個有する化合物;ピロメリト酸二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、4,4’−ビフタル酸無水物、4,4’−オキソジフタル酸無水物、4,4’−(ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジフタル酸無水物、1,2,3,4−シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物、5−(2,5−ジオキソテトラヒドロフリル)−3−メチル−3−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸無水物、4−(2,5−ジオキソテトラヒドロフラン−3−イル)−テトラリン−1,2−ジカルボン酸無水物、3,4,9,10−ペリレンテトラカルボン酸二無水物、ビシクロ〔2.2.2〕オクト−7−エン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物等の酸無水物基を2個有する化合物等が挙げられる。これらの中でも、特に無水コハク酸が好ましい。
【0060】
また、分子中に水酸基及び2個以上の(メタ)アクリロイル基を有する水酸基含有多官能(メタ)アクリレートの具体例としては、トリメチロールプロパンジアクリレート、トリメチロールプロパンジメタクリレート、ペンタエリスリトールジアクリレート、ジペンタエリスリトールトリアクリレート、ジペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート等が挙げられる。
【0061】
〔E〕成分の分子中に1つ以上カルボキシル基を有する多官能(メタ)アクリレート化合物としては、例えば、カルボキシル基含有5官能アクリレートであるコハク酸モノ−[3−(3−アクリロイルオキシ−2,2−ビス−アクリロイルオキシメチル−プロポキシ)−2,2−ビス−アクリロイルオキシメチル−プロピル]エステルが挙げられる。
【0062】
熱硬化性樹脂組成物において、〔E〕成分の分子中に1つ以上カルボキシル基を有する多官能(メタ)アクリレート化合物は、単独で又は2種以上を混合して使用することができる。〔E〕成分の使用割合は、〔A〕成分の共重合体100質量部に対して、好ましくは30〜200質量部、より好ましくは50〜150質量部である。〔E〕成分の使用割合を30〜200質量部とすることによって、保存安定性と、形成される保護膜の基板に対する密着性とが高度なレベルでバランスのとれた熱硬化性樹脂組成物を得ることが可能である。
【0063】
〔F〕成分:密着助剤
〔F〕成分の密着助剤は、形成される保護膜と基板との密着性を向上させるために、熱硬化性樹脂組成物に添加することができる。このような密着助剤としては、例えば、カルボキシル基、メタクリロイル基、ビニル基、イソシアネート基、エポキシ基などの反応性基を有するシランカップリング剤が好ましい。
【0064】
このようなシランカップリング剤の具体例としては、トリメトキシシリル安息香酸、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、γ−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシランなどを挙げることができる。
【0065】
熱硬化性樹脂組成物において、〔F〕成分の密着助剤は、単独で又は2種以上を混合して使用することができる。熱硬化性樹脂組成物における〔F〕成分の密着助剤の配合量は、〔A〕成分の共重合体100質量部に対して、好ましくは0.1〜30質量部、さらに好ましくは1〜25質量部である。〔F〕成分の密着助剤の配合量が0.1〜30質量部の時、熱硬化性樹脂組成物から形成される保護膜の耐熱性を十分高いレベルに保つことができる。
【0066】
他の任意添加成分
熱硬化性樹脂組成物には、必要に応じて、本発明の効果を損なわない範囲で、上記した成分以外の任意添加成分、例えば界面活性剤、硬化促進剤などを配合することができる。界面活性剤は、熱硬化性樹脂組成物の基板への塗布性を向上するために添加することができる。また、硬化促進剤は、熱硬化性樹脂組成物の硬化をさらに促進するために用いることができる。
【0067】
このような界面活性剤の好ましい例としては、フッ素系界面活性剤、シリコーン系界面活性剤などを挙げることができる。
【0068】
フッ素系界面活性剤の市販品の例としては、BM−1000、BM−1100(BM CHIMID社製);メガファックF142D、メガファックF172、メガファックF173、メガファックF183、メガファックR08−MH(大日本インキ化学工業(株)製);フロラードFC−135、フロラードFC−170C、フロラードFC−430、フロラードFC−431(住友スリーエム(株)製);フタージェント250、同251、同222F、FTX−218((株)ネオス社製)、ポリフローKL600、同KL800(共栄社化学(株)製)などを挙げることができる。
【0069】
また、シリコーン系界面活性剤の市販品の例としては、SH−28PA、SH−190、SH−193、SZ−6032、SF−8428、DC−57、DC−190(東レ・ダウコーニング・シリコーン(株)製);KP341(信越化学工業(株)製);エフトップDF301、エフトップDF303、エフトップDF352(新秋田化成(株)製)などを挙げることができる。
【0070】
さらに、他の界面活性剤の市販品としては、(メタ)アクリル酸系共重合体であるポリフローNo.57、ポリフローNo.90(共栄社化学(株)製)などを挙げることができる。
【0071】
熱硬化性樹脂組成物における界面活性剤の配合量は、〔A〕成分の共重合体100質量部に対して、好ましくは0.01〜5質量部、さらに好ましくは0.05〜3質量部である。界面活性剤の配合量を0.01〜5質量部の時、熱硬化性樹脂組成物から形成される保護膜表面の膜荒れの発生が抑制される。
【0072】
硬化促進剤の例としては、2−フェニルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾール、1−ベンジル−2−フェニルイミダゾール、2,4−ジアミノ−6−〔2’−メチルイミダゾリル−(1’)〕−エチル−S−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−〔2’−ウンデシルイミダゾリル−(1’)〕−エチル−S−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−〔2’−エチル−4’−メチルイミダゾリルウンデシルイミダゾリル−(1’)〕−エチル−S−トリアジン、2−フェニル−4,5−ジヒドロキシメチルイミダゾールなどを挙げることができる。
【0073】
熱硬化性樹脂組成物における硬化促進剤の配合量としては、典型的には〔A〕成分の共重合体100質量部に対し、0.0001〜10質量部であり、より好ましくは0.001〜1質量部である。硬化促進剤の配合量を0.0001〜10質量部とすることによって、熱硬化性樹脂組成物の硬化を効果的に促進すると共に、熱硬化性樹脂組成物の保存安定性や、形成される保護膜の耐熱性を最適化することができる。
【0074】
溶媒
本発明の熱硬化性樹脂組成物は、好ましくは、上記の各成分を適当な溶媒中に均一に溶解又は分散することにより調製される。使用される溶媒としては、組成物の各成分を溶解又は分散し、各成分との反応性を有しないものが好ましく用いられる。
【0075】
このような溶媒としては、特に限定されるものではないが、ジエチレングリコールジアルキルエーテル、エチレングリコールモノアルキルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノアルキルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノアルキルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノアルキルエーテルプロピオネート、ケトン類等を挙げることができる。
【0076】
これらの溶媒の具体例としては、ジエチレングリコールジアルキルエーテルとして、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールエチルメチルエーテルなど;エチレングリコールモノアルキルエーテルアセテートとして、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート;ジエチレングリコールモノアルキルエーテルアセテートとして、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート;プロピレングリコールモノアルキルエーテルアセテートとして、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノブチルエーテルアセテートなど;プロピレングリコールモノアルキルエーテルプロピオネートとして、プロピレングリコールモノメチルエーテルプロピオネート、プロピレングリコールモノエチルエーテルプロピオネート、プロピレングリコールモノプロピルエーテルプロピオネート、プロピレングリコールモノブチルエーテルプロピオネートなど;ケトン類として、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、4−ヒドロキシ−4−メチル−2−ペンタノン、メチルイソアミルケトン、メチル−3−メトキシプロピオネートなどを挙げることができる。
【0077】
これらの溶媒のうちで、ジエチレングリコールジアルキルエーテル、エチレングリコールモノアルキルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノアルキルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノアルキルアセテートが好ましい。また、これらの例の中でも、ジエチレングリコールエチルメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールジエチルエーテル、メチル−3−メトキシプロピオネート等が特に好ましい。
【0078】
熱硬化性樹脂組成物における溶媒の使用量としては、組成物中の全固形分の量(溶媒を含む組成物の総量から溶媒を除いた量)が、好ましくは1〜50質量%、より好ましくは5〜40質量%となる範囲である。全固形分の量を1〜50質量%とすることによって、塗膜形成時の塗工性が良好に保たれる。
【0079】
上記の溶媒と共に高沸点溶媒を併用することができる。ここで併用できる高沸点溶媒としては、例えばN−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチルホルムアニリド、N−メチルアセトアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン、ジメチルスルホキシド、ベンジルエチルエーテル、ジヘキシルエーテル、アセトニルアセトン、イソホロン、カプロン酸、カプリル酸、γ−ブチロラクトンなどが挙げられる。高沸点溶媒を併用する際の使用量としては、全溶媒量に対して好ましくは1〜40質量%、さらに好ましくは3〜30質量%である。全溶媒量に対する高沸点溶媒の使用量を1〜40質量%とすることによって、塗膜形成時の塗工性をさらに良好にすることができる。
【0080】
溶媒を加えて調製された熱硬化性樹脂組成物は、好ましくは孔径0.2〜3.0μm程度、より好ましくは孔径0.2〜0.5μm程度のミリポアフィルタなどを用いて濾別した後、使用に供することもできる。
【0081】
保護膜の形成
次に、本発明の熱硬化性樹脂組成物を用いて、基板(典型的にはカラーフィルタ基板)上に保護膜を形成する方法について説明する。
【0082】
当該保護膜の形成方法は、
(1)熱硬化性樹脂組成物の溶液を基板の表面に塗布する工程、
(2)プレベークして溶媒を除去することにより塗膜を形成する工程、
(3)この塗膜を加熱処理する工程
とを有し、これらの工程を経ることで、目的とする保護膜を基板上に形成することができる。
【0083】
使用できる基板の例としては、ガラス、石英、シリコン、樹脂などを挙げることができる。樹脂の具体例としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエーテルスルホン、ポリカーボネート、ポリイミド、環状オレフィンの開環重合体及びその水素添加物などを挙げることができる。
【0084】
熱硬化性樹脂組成物の基板への塗布方法としては、例えば、スプレー法、ロールコート法、回転塗布法、バー塗布法、インクジェット法などの適宜の方法を採用することができる。例えば、コーターとして、スピンコーター、スピンレスコーター、又はスリットダイコーターを用いることによって塗布作業を容易に行うことができる。
【0085】
プレベークの条件としては、各成分の種類や配合割合などによっても異なるが、好ましくは70〜100℃で1〜15分間程度の条件を採用することができる。塗膜の厚みとしては好ましくは0.15〜8.5μm、より好ましくは0.15〜6.5μm、さらに好ましくは0.15〜4.5μmとすることができる。なお、ここでいう塗膜の厚みは、溶媒除去後の厚みである。
【0086】
塗膜形成後の加熱処理は、ホットプレートやクリーンオーブンなどの適当な加熱装置により実施することができる。処理温度としては150〜250℃程度が好ましく、加熱時間としてはホットプレート使用の場合は5〜30分間程度、クリーンオーブン使用の場合は30〜90分間程度が好ましい。
【0087】
上記のプレベーク及び塗膜形成後の加熱処理に加えて、さらに二次的な加熱処理を行ってもよい。この二次的な加熱温度としては150〜250℃程度が好ましく、加熱装置としては、上記同様にホットプレート、クリーンオーブンなどの適当な装置を使用することができる。また、この際の加熱時間としても、ホットプレート使用の場合は5〜30分間程度、クリーンオーブン使用の場合は30〜90分間程度が好ましい。
【0088】
保護膜
このように形成された保護膜は、その膜厚が好ましくは0.1〜8μm、より好ましくは0.1〜6μm、さらに好ましくは0.1〜4μmである。なお、保護膜がカラーフィルタの段差を有する基板上に形成される場合には、その膜厚は、カラーフィルタの最上部からの厚みを意味する。
【0089】
本発明の熱硬化性樹脂組成物から形成された保護膜は、下記の実施例からも明らかにされるように、基板に対する密着性、表面硬度、透明性、耐熱性、耐光性、耐溶剤性などの諸特性が優れていると共に、熱のかかった状態での荷重によっても凹まず、また下地の基板上に形成されたカラーフィルタの段差を平坦化する性能に優れている。そのため、当該保護膜は、液晶表示素子用保護膜として好適である。
【実施例】
【0090】
以下に合成例、実施例を示して、本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0091】
以下の各合成例から得られた共重合体の重量平均分子量(Mw)及び数平均分子量(Mn)は、下記の仕様によるゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)により測定した。
装置:GPC−101(昭和電工(株)製)
カラム:GPC−KF−801、GPC−KF−802、GPC−KF−803及びGPC−KF−804(昭和電工(株)製)を結合したもの
移動相:リン酸0.5質量%を含むテトラヒドロフラン
【0092】
[A]共重合体の合成例
[合成例1]
冷却管、攪拌機を備えたフラスコに、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル5質量部及びジエチレングリコールメチルエチルエーテル200質量部を仕込んだ。引き続き、メタクリル酸グリシジル50質量部及びスチレン50質量部を仕込み、窒素置換した後ゆるやかに撹拌を始めた。溶液温度が70℃になるまで加熱し、この温度を5時間保持することにより、共重合体(A−1)を含む重合体溶液を得た。得られた重合体溶液の固形分濃度は33.1質量%であった(ここでの「固形分濃度」は、重合体溶液中の重合体の質量が溶液の全質量に占める割合を意味するものとする(以下同様))。得られた重合体の数平均分子量(Mn)は5,000であり、分子量分布(Mw/Mn)は2であった。
【0093】
[合成例2]
冷却管、攪拌機を備えたフラスコに、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル5質量部及びジエチレングリコールメチルエチルエーテル200質量部を仕込んだ。引き続き、3−エチル−3−メタアクロイルオキシメチルオキセタン70質量部及びスチレン30質量部を仕込み、窒素置換した後ゆるやかに撹拌を始めた。溶液温度が70℃になるまで加熱し、この温度を5時間保持することによって、共重合体(A−2)を含む重合体溶液を得た。得られた重合体溶液の固形分濃度は32.8質量%であった。得られた重合体の数平均分子量(Mn)は6,000であり、分子量分布(Mw/Mn)は2であった。
【0094】
[合成例3]
冷却管、攪拌機を備えたフラスコに、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)5質量部及びジエチレングリコールメチルエチルエーテル200質量部を仕込んだ。引き続き、メタクリル酸グリシジル30質量部、スチレン10質量部、メタクリル酸30質量部及びN−シクロヘキシルマレイミド30質量部を仕込み、窒素置換した後ゆるやかに撹拌を始めた。溶液温度が70℃になるまで加熱し、この温度を5時間保持することにより、共重合体(A−3)を含む重合体溶液を得た。得られた重合体溶液の固形分濃度は33.2質量%であった。得られた重合体の数平均分子量(Mn)は、7,300であり、分子量分布(Mw/Mn)は2であった。
【0095】
[合成例4]
冷却管、攪拌機を備えたフラスコに、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)5質量部及びジエチレングリコールメチルエチルエーテル200質量部を仕込んだ。引き続き、メタクリル酸グリシジル30質量部、スチレン10質量部、テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イルメタクリレート30質量部及びトリシクロ[5.2.1.02,6]デカン−8−イルメタクリレート30質量部を仕込み、窒素置換した後ゆるやかに撹拌を始めた。溶液温度が70℃になるまで加熱し、この温度を5時間保持することによって、共重合体(A−4)を含む重合体溶液を得た。得られた重合体溶液の固形分濃度は33.2質量%であった。得られた重合体の数平均分子量(Mn)は6,800であり、分子量分布(Mw/Mn)は2であった。
【0096】
[合成例5]
冷却管、攪拌機を備えたフラスコに、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)5質量部とジエチレングリコールメチルエチルエーテル200質量部を仕込んだ。引き続き、メタクリル酸グリシジル30質量部、スチレン10質量部、1−エチルシクロペンチルメタクリレート30質量部及びトリシクロ[5.2.1.02,6]デカン−8−イルメタクリレート30質量部を仕込み、窒素置換した後ゆるやかに撹拌を始めた。溶液温度が70℃になるまで加熱し、この温度を5時間保持することによって、共重合体(A−5)を含む重合体溶液を得た。得られた重合体溶液の固形分濃度は33.0質量%であった。得られた重合体の数平均分子量(Mn)は7,200であり、分子量分布(Mw/Mn)は2であった。
【0097】
[合成例6]
冷却管、攪拌機を備えたフラスコに、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)5質量部及びジエチレングリコールメチルエチルエーテル200質量部を仕込んだ。引き続き、メタクリル酸グリシジル30質量部、メタクリル酸10質量部、スチレン10質量部、1−エチルシクロペンチルメタクリレート20質量部及びN−シクロヘキシルマレイミド30質量部を仕込み、窒素置換した後ゆるやかに撹拌を始めた。溶液温度が70℃になるまで加熱し、この温度を5時間保持することによって、共重合体(A−6)を含む重合体溶液を得た。得られた重合体溶液の固形分濃度は33.4質量%であった。得られた重合体の数平均分子量(Mn)は7,800であり、分子量分布(Mw/Mn)は2であった。
【0098】
[合成例7]
冷却管、攪拌機を備えたフラスコに、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)5質量部及びジエチレングリコールメチルエチルエーテル200質量部を仕込んだ。引き続き、メタクリル酸グリシジル30質量部、メタクリル酸10質量部、スチレン10質量部、メタクリル酸t−ブチル20質量部及びN−シクロヘキシルマレイミド30質量部を仕込み、窒素置換した後ゆるやかに撹拌を始めた。溶液温度が70℃になるまで加熱し、この温度を5時間保持することによって、共重合体(A−7)を含む重合体溶液を得た。得られた重合体溶液の固形分濃度は33.4質量%であった。得られた重合体の数平均分子量(Mn)は7,500であり、分子量分布(Mw/Mn)は2であった。
【0099】
熱硬化性樹脂組成物の調製及び保護膜の形成
[実施例1]
合成例1で得られた共重合体(A−1)を含む溶液(共重合体(A−1)100質量部(固形分)に相当する量)に、(B−1)多官能(メタ)アクリレート化合物としてトリメチロールプロパンプロピレンオキサイド変性トリアクリレート(n=1)(東亜合成(株)製の「アロニックスM−310」)40質量部、(C−1)硬化剤として無水ヘキサヒドロフタル酸10質量部、(D−1)多官能エポキシ化合物としてノボラック型エポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン(株)製の「エピコート152」)20質量部、(F)密着助剤としてγ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン5質量部を加え、固形分濃度が20質量%になるようにプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートを添加した後、孔径0.5μmのミリポアフィルタで濾過して熱硬化性樹脂組成物を調製した。この熱硬化性樹脂組成物を、スピンナーを用いてSiOディップガラス基板に塗布した後、ホットプレート上で80℃、3分間プレベークして塗膜を形成した。次いで、この塗膜が形成された基板をクリーンオーブン中で230℃にて30分間加熱処理し、膜厚2.0μmの保護膜を形成した(後述の密着性の試験の一部ではCr基板を用い、平坦化能の試験ではカラーフィルタが形成されたSiOディップガラス基板を用いた)。
【0100】
[実施例2〜20及び比較例1〜4]
各成分の種類、量及び固形分濃度を表1に記載の通りとした他は、実施例1と同様にして熱硬化性樹脂組成物を調製した。次いで、このように調製した熱硬化性樹脂組成物を使用し、実施例1と同様にして保護膜を形成した。
【0101】
物性評価
実施例1〜20及び比較例1〜4で形成された保護膜の各種物性及び熱硬化性樹脂組成物の保存安定性の評価方法を以下に説明する。
【0102】
(1)保護膜の透明性の評価
各実施例及び比較例にて上記のように形成した保護膜を有する基板について、分光光度計(日立製作所(株)製の150−20型ダブルビーム)を用い、波長400〜800nmの光線透過率(%)を測定した。波長400〜800nmの光線透過率(%)の最小値を、透明性の評価として表1に示した。この値が95%以上のとき、保護膜の透明性は良好であると言える。
【0103】
(2)保護膜の耐熱性(加熱時の膜厚安定性)の評価
各実施例及び比較例にて上記のように形成した保護膜を有する基板について、クリーンオーブン中にて250℃で1時間加熱し、加熱前後の保護膜の膜厚を測定した。下記式に従って算出した膜厚安定性(%)を、耐熱性の評価として表1に示した。この値が95%以上のとき、保護膜の耐熱性は良好であると言える。
加熱時の膜厚安定性=(加熱後の膜厚)/(加熱前の膜厚)×100(%)
【0104】
(3)保護膜の耐熱変色性の評価
各実施例及び比較例にて上記のように形成した保護膜を有する基板について、クリーンオーブン中にて250℃で1時間加熱し、加熱前後の光線透過率を、上記(1)「保護膜の透明性の評価」に記載した方法で測定した。下記式に従って算出した耐熱変色性(%)を表1に示した。この値が5%以下のとき、保護膜の耐熱変色性は良好であると言える。
耐熱変色性=加熱前の光線透過率−加熱後の光線透過率(%)
【0105】
(4)保護膜の鉛筆硬度(表面硬度)の測定
各実施例及び比較例にて上記のように形成した保護膜を有する基板について、JIS K−5400−1990の8.4.1鉛筆引っかき試験により保護膜の鉛筆硬度(表面硬度)を測定し、結果を表1に示した。この値が3H又はそれより大きいとき、保護膜の表面硬度は良好であると言える。
【0106】
(5)保護膜の密着性の評価
各実施例及び比較例にて上記のように形成した保護膜を有する基板について、プレッシャークッカー試験(120℃、湿度100%、4時間)を行った後、JIS K−5400−1990の8.5.3付着性碁盤目テープ法を行い、碁盤目100個中で残った碁盤目の数を求め、保護膜の密着性(SiOに対する密着性)の評価として表1に示した。また、SiOディップガラス基板の替わりにCr基板を用い、上記同様の碁盤目テープ法を行い、Crに対する密着性を評価し、結果を表1に示した。
【0107】
(6)保護膜の平坦化能(平坦性)の評価
SiOディップガラス基板上に、顔料系カラーレジスト(JSR(株)製の「JCR RED 689」、「JCR GREEN 706」及び「CR 8200B」)を用いて、以下のように、赤、緑及び青の3色のストライプ状カラーフィルタを形成した。すなわち、スピンナーを用いて、上記カラーレジストの1色をSiOディップガラス基板に塗布し、ホットプレート上で90℃、150秒間プレベークして塗膜を形成した。その後、露光機Canon PLA501F(キヤノン(株)製)を用い、所定のパターンマスクを介して、ghi線(波長436nm、405nm、365nmの強度比=2.7:2.5:4.8)をi線換算で2,000J/mの露光量にて照射し、次いで0.05質量%水酸化カリウム水溶液を用いて現像し、超純水にて60秒間リンスした。続いて、更にオーブン中で230℃にて30分間加熱処理することにより、単色のストライプ状カラーフィルタを形成した。この操作を3色につき繰り返すことにより、赤、緑及び青の3色のストライプ状カラーフィルタ(ストライプ幅200μm)を形成した。
【0108】
測定長2,000μm、測定範囲2,000μm角、測定方向を赤、緑、青方向のストライプライン短軸方向及び赤・赤、緑・緑、青・青の同一色のストライプライン長軸方向の2方向とし、各方向につき測定点数n=5(合計のn数は10)にて、カラーフィルタ基板の表面の凹凸を、接触式膜厚測定装置(ケーエルエー・テンコール(株)製の「α−ステップ」)で測定したところ、1.0μmであった。このカラーフィルタが形成された基板に、各々の熱硬化性樹脂組成物をスピンナーにて塗布した後、ホットプレート上において90℃にて5分間プレベークして塗膜を形成した後、更にクリーンオーブン中において230℃にて60分間ポストベークすることにより、カラーフィルタの上面からの膜厚が約2.0μmの保護膜を形成した。
【0109】
このように形成したカラーフィルタ上に保護膜を有する基板について、接触式膜厚測定装置(ケーエルエー・テンコール(株)製の「α−ステップ」)にて、保護膜の表面の凹凸を測定した。この測定は、測定長2,000μm、測定範囲2,000μm角、測定方向を赤、緑、青方向のストライプライン短軸方向及び赤・赤、緑・緑、青・青の同一色のストライプライン長軸方向の2方向とし、各方向につき測定点数n=5(合計のn数は10)で行い、各測定ごとの最高部と最底部の高低差(nm)の10回の平均値を求め、保護膜の平坦化能(平坦性)の評価として表1に示した。この値が200nm以下のとき、保護膜の平坦化能は良好であると言える。
【0110】
(8)保護膜の耐アルカリ性(アルカリ浸漬時の膜厚安定性)の評価
各実施例及び比較例にて上記のように形成した保護膜を有する基板について、30℃にて5%NaOH中に30分間浸漬させた後、ホットプレートにて水分を除去した後の膜厚を測定した。下記式にしたがって算出したアルカリ浸漬時の膜厚安定性(%)を、耐アルカリ性の評価として表1に示した。この値が95%以上のとき、耐アルカリ性は良好であると言える。
耐アルカリ性=(水分除去後の膜厚)/(浸漬前の膜厚)×100(%)
【0111】
(7)熱硬化性樹脂組成物の保存安定性の評価
粘度計(東京計器(株)製の「ELD型粘度計」)を用い、25℃における熱硬化性樹脂組成物の粘度を測定した。その後、この組成物を25℃にて静置しつつ、25℃における粘度を24時間毎に測定した。調製直後の熱硬化性樹脂組成物の粘度を基準に5%増粘するのに要した日数を求め、この日数を保存安定性の評価として表1に示した。この日数が15日以上のとき、熱硬化性樹脂組成物の保存安定性は良好であると言える。
【0112】
なお、表1において、(B)多官能性(メタ)アクリレート化合物、(C)硬化剤、(D)多官能性エポキシ化合物、(E)分子中に1つ以上のカルボキシル基を有する多官能(メタ)アクリレート化合物、(F)密着助剤、(G)未変性(メタ)アクリレート化合物(エチレンオキサイド又はプロピレンオキサイドによって変性されておらず、かつカルボキシル基を有しない(メタ)アクリレート化合物)の略称は、それぞれ以下のものを表す。
B−1:トリメチロールプロパンプロピレンオキサイド変性トリアクリレート(n=1)(東亜合成(株)製の「アロニックスM−310」)
B−2:トリメチロールプロパンプロピレンオキサイド変性トリアクリレート(n=2)(東亜合成(株)製の「アロニックスM−320」)
B−3:トリメチロールプロパンエチレンオキサイド変性トリアクリレート(n=1)(東亜合成(株)製の「アロニックスM−350」)
B−4:エチレンオキサイド変性ペンタエリスリトールテトラアクリレート(n=1)(新中村化学(株)製の「ATM−4E」)
B−5:エチレンオキサイド変性ペンタエリスリトールテトラアクリレート(n=9)(新中村化学(株)製の「ATM−35E」)
B−6:エチレンオキサイド変性ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(n=12)(日本化薬(株)製の「KAYARAD DPEA−12」)
B−7:1,6−ヘキサメチレンジイソシアネートと、上記式(2)においてYの1つを水酸基に置換し、Xがエチレンオキサイド基、nが2である化合物とを反応させて得られる化合物
C−1:無水トリメリット酸
D−1:フェノールノボラック型エポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン(株)製の「エピコート152」)
D−2:ビスフェノールAノボラック型エポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン(株)製の「エピコート157S65」)
E−1:カルボキシル基含有5官能アクリレートであるコハク酸モノ−[3−(3−アクリロイルオキシ−2,2−ビス−アクリロイルオキシメチル−プロポキシ)−2,2−ビス−アクリロイルオキシメチル−プロピル]エステル
F−1:γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン
G−1:トリメチロールプロパントリアクリレート(東亜合成(株)製の「アロニックスM−309」)
G−2:ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(日本化薬(株)製の「KAYARAD DPHA」)
【0113】
【表1】

【0114】
表1に示された結果から明らかなように、本発明による実施例1〜20の熱硬化性樹脂組成物は、比較例1〜4の組成物と比べて、平坦化能(平坦性)、密着性、透明性及び表面硬度がバランス良く優れていると共に、高度な耐熱性、耐熱変色性及び耐アルカリ性を兼ね備えた保護膜を形成することができることが分かった。また、分子中にカルボン酸のアセタールエステル構造、カルボン酸の1−アルキルシクロアルキルエステル構造、又はカルボン酸のt−ブチルエステル構造を有する重合性不飽和化合物を、共重合体の成分として用いる実施例12〜20の熱硬化性樹脂組成物は、保存安定性が特に優れていることが分かった。
【産業上の利用可能性】
【0115】
本発明の熱硬化性樹脂組成物は、平坦性が高く、しかも、密着性、透明性及び表面硬度が良好であり、耐熱性、耐熱変色性、耐アルカリ性などの各種の耐性に優れた保護膜を形成することができるため、液晶表示素子(LCD)用カラーフィルタ及び電荷結合素子(CCD)用カラーフィルタに用いられる保護膜形成用の樹脂組成物として好適に使用される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
〔A〕(a1)エポキシ基含有不飽和化合物、及び(a2)ラジカル重合性を有する不飽和化合物を含む単量体を共重合してなる共重合体、並びに、
〔B〕下記式(1)、(2)及び(3)で表される化合物群から選択される少なくとも1種を含有する液晶表示素子の保護膜形成用熱硬化性樹脂組成物。
【化1】


【化2】


【化3】


【化4】


【化5】


[式(1)〜(3)中、Rは炭素数1〜20のアルキル基、Xはエチレンオキサイド基又はプロピレンオキサイド基、Yは、各々独立に、水素原子、アクリロイル基、メタクリロイル基のいずれかを表すが、1分子中の少なくとも2つがアクリロイル基又はメタクリロイル基である。nは1〜4の整数である。Zは式(4)又は(5)で表される基であり、式(5)中のmは1〜12の整数である。]
【請求項2】
上記(a2)成分として、不飽和カルボン酸及び不飽和多価カルボン酸無水物よりなる群から選択される少なくとも1種を含む請求項1に記載の液晶表示素子の保護膜形成用熱硬化性樹脂組成物。
【請求項3】
上記(a2)成分として、分子中にカルボン酸のアセタールエステル構造、カルボン酸の1−アルキルシクロアルキルエステル構造、及びカルボン酸のt−ブチルエステル構造よりなる群から選択される少なくとも1種の構造を有する重合性不飽和化合物を含む請求項1又は請求項2に記載の液晶表示素子の保護膜形成用熱硬化性樹脂組成物。
【請求項4】
〔C〕硬化剤をさらに含有する請求項1、請求項2又は請求項3に記載の液晶表示素子の保護膜形成用熱硬化性樹脂組成物。
【請求項5】
(1)[A]共重合体及び[B]化合物を含有する第1成分と、
(2)[C]硬化剤を含有する第2成分と
の組み合わせの2液硬化型である請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の保護膜形成用熱硬化性樹脂組成物。
【請求項6】
〔D〕多官能エポキシ化合物(ただし、上記〔A〕成分を除く。)をさらに含有する請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の液晶表示素子の保護膜形成用熱硬化性樹脂組成物。
【請求項7】
〔E〕分子中に1つ以上のカルボキシル基を有する多官能(メタ)アクリレート化合物をさらに含有する請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の液晶表示素子の保護膜形成用熱硬化性樹脂組成物。
【請求項8】
請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の熱硬化性樹脂組成物から形成された液晶表示素子の保護膜。
【請求項9】
請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の熱硬化性樹脂組成物を用いて被膜を形成する工程と、
この被膜を加熱処理する工程と
を含む液晶表示素子の保護膜の形成方法。

【公開番号】特開2010−222503(P2010−222503A)
【公開日】平成22年10月7日(2010.10.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−72951(P2009−72951)
【出願日】平成21年3月24日(2009.3.24)
【出願人】(000004178)JSR株式会社 (3,320)
【Fターム(参考)】