説明

保護要素

【課題】通常の回路基板担持体またはマルチレイヤー型回路基板担持体の上に被着されている金属または金属合金部に一体に形成することもでき、電子回路を被着させた回路基板担持材を含めて該電子回路が曝される200℃以上の高い動作温度でも安定に耐えることができる保護要素を提供する。
【解決手段】保護部(12)を上に形成可能な回路基板担持材(11)は、少なくとも高熱に対して安定で電気絶縁性のある材料から成り、該材料の熱膨張係数は、少なくとも、前記保護部(12)が形成されている金属または金属合金部(15)の熱膨張係数に実質的に対応して推移する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特にマルチレイヤー技術で使用可能な回路基板担持材を含み、該回路基板担持材が金属または金属合金部で被覆され、該金属または金属合金部から、フォトリソグラフィー結像技術および/または印刷結像技術と次のエッチングプロセスまたはエングレービングプロセスとを用いて保護部を生成するようにした保護要素、特にマルチレイヤー技術で構築される電気回路および/または電子回路での使用に適した保護要素に関するものである。
【背景技術】
【0002】
電子回路および電気回路の製造時に使用される回路基板には、導電路を形成するために1面または2面を導電性材料でコーティングした古典的なものであれ、多層構成の回路基板を使用するいわゆるマルチレイヤー技術で用いられるものであれ、あらゆる考えられる限りの能動性および受動性電子構成素子または電気構成素子が装備され、今日この装備は通常は自動装備機を用いて行われる。その際に用いられる能動性及び受動性電気素子または電子素子はすべて、自動装備機を用いて統一的な装備工程を実施するという理由から、その構成および操作性の点で自動装備に適していなければならない。
【0003】
回路基板または回路基板担持体上にこのように配置するための受動性素子は、該回路基板担持体を用いて機能性回路に構成される多数の電気回路および電子回路において使用される保護要素を形成する。技術水準では、別個の要素として形成される保護要素以外に、回路基板技術において通常使用される材料と同じ材料から実現される保護要素も知られている。すなわち保護部は、適当な演算およびディメンション化を行った横断面を有し、回路基板担持体上で電気導体を形成する材料からエッチング方式またはエングレービング方式によって形成され、すなわち保護部自体は、電気回路または電子回路と一体の構成要素として、たとえば銅または銅合金のような残りの導電路を形成している導電材料から成っている。導電材料はたとえば銀または銀合金であってよいが、この種の要求を満たすものであれば、導電路または導電材料を形成するための他の金属および金属合金であってもよい。
【0004】
たとえば銅または銅合金のような金属または金属合金が保護要素上に積層されている場合の大きな問題は、回路基板担持体を構成している本来の回路基板材(通常はエポキシ樹脂で補強されたガラス織物繊維から成っている)が、導体の材料(銅)とは異なる温度係数を有していることである。ガラス織物で補強されている前記エポキシ樹脂の膨張係数は14ないし17ppm/Kの範囲であり、他方導電路を形成しているたとえば銅の膨張係数は17ppm/Kの範囲である。公知の回路基板担持体または回路基板担持材の欠点(これは一般的には電気要素または電子要素を具備した回路基板に対し従来指摘されていたものである)は、従来の回路基板担持材の動作温度が200℃以下の温度しか許容しないことである。これよりも動作温度が高いと、回路基板担持材を破損させる。高温であるために回路基板担持材は強度を失い、層間剥離を起こし、最終的にはポリマーの分解および炭化に至る。これによって比較的低抵抗の導電性層が発生し、この種の構成の保護部または保護要素において最小限必要な絶縁抵抗を下回るという不具合な結果が生じる。
【0005】
技術水準で知られている他のタイプの保護部では、ベースとしてAl・セラミックスが用いられる。Al・セラミックスは、上記の回路基板担持材をベースにした保護部よりもかなり高い温度でも安定である。しかしながら、Al・セラミックスをベースにした保護部の温度膨張係数は通常8ppm/K以下であり、これも保護部の安定性、よって電気回路または電子回路全体の安定性に悪影響する。というのは、本来の回路基板担持材とセラミックスの間に応力が発生して、セラミックスに亀裂を生じさせ、これを破損させて使用不能にさせるからである。
【0006】
さらに、本来の保護要素から、非常に熱伝導性のあるセラミックスへ大量の熱エネルギーが流れる。例示した上記2つの材料を用いて基準電流が小さく敏捷な特性を備えた保護部を実現するのは困難である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従って本発明の課題は、通常の回路基板担持体またはマルチレイヤー型回路基板担持体の上に被着されている金属または金属合金部に一体に形成することもでき、電子回路を被着させた回路基板担持材を含めて該電子回路が曝される200℃以上の高い動作温度でも安定に耐えることができる保護要素を提供することである。この場合、この種の保護部は高い周囲温度にも耐えることができ、その際にも高い絶縁耐力を有しているべきである。またこの種の保護部は、電気素子または電子素子を受容するための回路基板において使用される製造技術を用いても製造できるようにすべきである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この課題は、本発明によれば、保護部を上に形成可能な回路基板担持材が、少なくとも高熱に対して安定で電気絶縁性のある材料から成り、該材料の熱膨張係数が、少なくとも、保護部が形成されている金属または金属合金部の熱膨張係数に実質的に対応して推移する(または対応している)ことによって解決される。
【0009】
本発明による解決手段の利点は、実質的に、周囲温度が極めて高い場合でも、電気回路または電子回路に対し保護部の安定な絶縁耐力が保証されており、技術水準で提供される従来の保護部形成用解決手段よりもすぐれた電流・時間挙動を示し、技術水準から公知の保護部に比べて材料コストおよび製造コストをかなりの程度低減できることである。
【0010】
保護要素の有利な実施態様によれば、保護部を生成するための金属材料または金属合金は銅または銅合金である。これには、本発明による保護要素の構成に関しても、回路基板の上に受容される電気および/または電子の回路または部品に応じた回路基板の最終的な構成を実現する製造技術を断念する必要がないという利点がある。このことは、実質的に、保護部を生成するための金属材料または金属合金が銀または銀合金である場合、または、任意の適当な金属または任意の適当な金属合金である場合にもあてはまる。保護要素をも形成する導電路は、前記金属または金属合金から成る少なくとも1つの2層の層部から成っている必要がある。この場合外側の層は、その下にある材料のためのカバー層または被覆の機能をもつ。
【0011】
本発明による保護要素を形成するための主要な成分は、回路基板が通常のように構成されているにほよ、或いは、マルチレイヤー技術で複数の回路基板が形成されているにせよ、回路基板担持体の材料である。この場合、回路基板担持体の材料を、少なくとも、熱硬化性があってガラスファイバーで補強した炭化水素/セラミックス積層体から成っているように選定するのが有利である。この場合、この種の材料としては、たとえばRogers Corporationによって商品名RO4,000のもとに市販されているものを使用できる。
【0012】
保護要素の第2の有利な実施態様では、回路基板担持材は、好ましくは、少なくとも、セラミックスで補強され且つ伝熱性のあるエポキシ樹脂から成っている。このような材料はたとえばArlon Corporationの商品名Arlon 91MLで知られており、市販されている。
【0013】
なお、回路基板担持材を構成する上記2つの材料は、市販されていて本発明の構成に使用可能であるという可能性として例示したものにすぎない。
【0014】
冒頭で述べたように、保護要素の温度安定性、より優れた耐温性は、回路基板と一体に形成できるという適正にとって、すなわち回路基板の製造と同じ作業工程で形成できるという適正にとって重要なファクタである。古典的に構成した回路基板担持体を使用して、その上に被着される金属または金属合金部内に本来の保護要素を形成すれば、保護要素はいわば片面が露出し、その結果保護要素は熱を周囲に放出することができる。しかしながら、マルチレイヤー技術で互いに接する複数個の回路基板担持体から成る保護部を使用する場合は、本来の保護要素(いくぶん不明確であるが、溶融導体とも呼ばれる)は、前記マルチレイヤーシステム内に完全に埋設され、或いは、完全に層状化される。これにより、保護要素を流れる大きな電流による加熱のために保護要素の放熱は阻止される。
【0015】
このようなケースに対しても良好な放熱を保証するため、マルチレイヤーシステムの第1の回路基板担持体の、保護部が金属部または金属合金部に形成されている部位の領域にして、第1の回路基板担持体上に隣接して載置される第2の回路基板担持体内に、該第2の回路基板担持体に設けた繰り抜き部の形態で中空空間が形成されているのが有利である。
【0016】
さらに、本来の保護要素の支障のない放熱を提供するためのこの有利な原理を活用して、第1の回路基板担持体の、保護部が金属部または金属合金部に形成されている部位の領域にして、第1の回路基板担持体上に隣接して載置される第2の回路基板担持体内と、第1の回路基板担持体の、保護部が形成されている前記部位の領域とに、それぞれ繰り抜き部の形態でそれぞれ中空空間が形成されているのが有利である。これには、保護要素(溶融導体)が実際にマルチレイヤーシステム内でその両面に隣接する中空空間を備え、その結果保護要素を流れる高電流によって生じる熱を両側へ放出できるという著しい利点がある。
【0017】
本来の保護部(溶融導体)に隣接して中空空間を形成するというこの原理は、互いに積層される2つ以上の回路基板担持体の場合も通常の技術でまたはマルチレイヤー技術で対応的に実現することができる。
【0018】
中空空間は、多くのケースでは、保護要素とは逆の側で開口しており、その結果循環性の空気またはガス状周囲媒体が、片側から(前記第1の可能性)或いは両側から(前記第2の可能性)保護要素にも到達することができる。
【0019】
しかし、特定の使用目的に対しては、中空空間が保護部とは逆の側で層によって密閉されているのも有利である。
【0020】
この層は複数の課題を満たすことができる。すなわち、たとえば、アークまたは保護部の溶融した成分が保護部の領域から周囲へ放出するのを阻止することができるとともに、アークが発生した場合に中空空間から周囲へのアークの放出を阻止することができる。
【0021】
たとえば電流が保護部を流れる際に空気の体積膨張によって生じる高圧を中空空間内で吸収してこの層が破損するのを防止するため、この層を可撓性の層として形成し、しかもダイヤフラムのように形成するのが有利である。
【0022】
ダイヤフラムは中空空間内への換気または中空空間外への換気を行うためのものであるが、他方保護部の溶融した成分が中空空間から流出するのを阻止するとともに、保護要素に隣接している構成要素およびマルチレイヤーシステム全体の着火を阻止する。
【0023】
通常どおり好ましくはフォイル状の構造を有している層、すなわちわずかな厚さしか有していない層は、好ましくは補助金属層を備えていてよい。層を金属化させることにより、層を熱的負荷および機械的負荷に対しさらに安定にさせることができ、その結果層は前述した負荷に対し一層抵抗することができる。
【0024】
保護要素の他の有利な実施態様によれば、保護部の溶融部分を形成している金属または金属合金部は、複数個の貫通穴を有している。他方、これとは択一的に、または、これに加えて、回路基板担持体の、保護部の溶融部分の領域に、複数個の貫通穴を備えさせることも有利であり、これによって金属または金属合金部の伝熱性および/または本来の回路基板担持材の伝熱性に影響を与えることができる。これにより保護部の時間・電流特性をより敏捷にまたはより緩慢に構成することができる。さらにこの処置によって、電流・時間積分を制御することができる。
【0025】
保護要素は、少なくとも1つの中空空間が少なくとも部分的に絶縁材によって充填されているように構成してよい。この場合、この絶縁材は実質的に保護部溶融時の火炎形成を阻止する機能を有し、すなわち消火剤として作用する。この種の絶縁材はたとえばシリコーン、砂、空気、或いは、前述の有利な材料を構成している材料、すなわち回路基板担持体自体を構成している材料である。さらに絶縁材により、保護部の溶融時に発生することのあるアークを十分に抑止することができる。
【0026】
基本的には、本発明による保護要素の構成に対し機械的サイズまたは幾何学的サイズの制限はない。しかし、本発明による保護要素を、他の電気素子および/または電子素子と同様に通常の回路基板担持体または前述のマルチレイヤー技術による回路基板担持体上で受容する場合には、層が形成されている面が実質的に保護要素の本体の面を2次元で特定しているのが有利であり、換言すれば、x−y面内での層の面の大きさが平面図で見て保護要素の面の大きさに対応していのが有利である。実際には、前記面は、たとえば長方形、正方形、或いは円形の形状をもった典型的な集積回路において見られるような面に対応している。
【0027】
保護要素の高さは、好ましくは、本来の保護部を形成している導体の金属溶融部分の厚さを含めた2つの積層している回路基板担持体の厚さによって特定され、すなわち3次元で特定している。通常の回路基板技術またはマルチレイヤー技術で構成されていない不連続な保護要素の場合には、前記高さまたは全厚は、集積回路の典型的な構成の高さまたは厚さに対応させてよい。
【0028】
本発明による保護要素の前記不連続な構成の場合、保護要素の他の有利な実施態様によれば、保護要素の溶融部分の両端部は接続接点を備え、該接続接点を介して保護要素を回路基板担持体またはマルチレイヤー担持体上の電気回路および/または電子回路の残りの部分と接続させることができ、或いは、保護部の両極を接続するための別個の導線とも接続させることができる。
【0029】
最後に、本発明による保護要素では、前述のように実質的に3次元構成の場合、すなわち不連続に構成された保護要素として構成されている場合、保護要素を形成している本体は、接続接点が貫通接続部によって溶融導体の両端部(極)と接続されているように接続接点を有する。
【図面の簡単な説明】
【0030】
次に本発明を、図面を参照して2つの実施形態に関し詳細に説明する。
【図1】本来の保護部を形成している溶融導体の上に中空空間が形成されている本発明による保護要素の拡大側面図である。
【図2】図1の斜視図である。
【図3】本来の保護部を形成している溶融導体の上方および下方に中空空間が形成されている保護要素の第2実施形態の、図1に対応する側面図である。
【図4】保護部の極または端部の1つへの導電接続部としての貫通接続部をも併せて示した、保護要素の図3の第2実施形態の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
まず、図1および図2を参照して本発明の第1実施形態の保護要素10を説明する。
【0032】
図1および図2の保護要素10では、回路基板担持体または回路基板担持材11の上に本発明による保護部12が形成されている。保護部12は、金属または合金12を用いて公知の態様で積層工程によってコーティングされている回路基板担持体11上に形成され、この場合保護部12は、フォトリソグラフィー技術および/または印刷技術による結像技術を用いて、たとえばスクリーン印刷と次のエッチングプロセスまたはエングレービングプロセスとによって生成される。これは、一般に、回路基板を形成する際に、該回路基板上に形成すべき導電路を公知の態様で行なうものと同じである。ここでは、回路基板担持材11または回路基板担持体として、1面および/または2面を金属または金属合金でコーティングした通常の構成の回路基板担持体も、多層技術で形成され、或いは、多層技術用に使用される公知の回路基板担持体も使用する。
【0033】
回路基板担持材としては、少なくとも高熱に対し安定な材料を使用する。その熱膨張係数は、少なくとも、保護部12を形成している材料または金属合金25の熱膨張係数に実質的に相当している。
【0034】
なお、保護部12を生成するための金属材料または金属合金は、通常どおり銅または銅合金であるが、他の金属または金属合金であってもよく、たとえばこの種の電気保護部12を形成するのに適した銀または銀合金でもよい。複層構造でもよく、たとえば第1の層として銅または銅合金を使用し、その上に銀または銀合金から成る層を配置して保護部12を形成してもよい。任意の適当な金属または金属合金を含んだ多層構造も本発明の範囲内で可能である。
【0035】
回路基板担持体11の上に積層される、金属または金属合金化から成る層15(これから回路基板の導電路を形成してもよいし、本実施形態の場合のように、本来の保護部12を上述の態様で形成してもよい)の上方または下方には、保護部12が金属または金属合金15で形成されている部位14の領域に、中空空間16が設けられている。中空空間16はフォイル状構造を備えた層15を用いて部分的に閉鎖または密閉されており、すなわち本来の保護部12とは逆の側17で閉鎖または密閉されている。層18は、特定のガス状媒体(たとえば空気)に対し両方向に透過性のあるダイヤフラムであってもよく、その結果たとえば本来の保護部12は空気循環の作用を受けることができる。しかし、これとは択一的に、または、これに加えて、層18に付加的な金属層19をたとえば金属の蒸着によって備えさせてもよく、その結果ガス状周囲媒体はこれでも貫流することができ、たとえば過負荷のために保護部12において該保護部の溶融部分の溶融後に形成される電気アークが中空空間16から発生することはない。
【0036】
回路基板担持体11には、保護部12の領域に、ここには図示していない貫通穴が形成されていてよい。この点は、図3および図4の保護要素の第2実施形態との関連で後述する回路基板担持体110,111に対しても適用できる。前記貫通穴はたとえばレーザー装置によって形成することができ、レーザー装置を用いると、保護部12の時間・電流特性曲線をより迅速にまたはより緩速に構成することができる。この場合、時間・電流特性曲線もこの処置によって影響を受ける。同様に、保護部の溶融部分を形成している金属または金属合金もこの種の多数の貫通穴を有していてよく、その結果これによっても、択一的にまたは付加的に、前記パラメータの制御が可能である。図3および図4の保護要素10の実施形態の中空空間16および/または中空空間16,160は、ここには図示していない絶縁手段によって少なくとも部分的に充填されていてよい。この絶縁手段はたとえば砂、シリコーン、水晶粉、またはその他の適当な非導電性消弧手段である。ガラス、砂、水晶またはセラミックスもたとえば球体形状部少なくとも部分的に中空空間16または中空空間16,160に充填してよい。これら材料の混合物も可能である。
【0037】
図3および図4の保護要素10の実施形態では、回路基板担持体110,111には、保護部12の上方および下方に中空空間16,160が形成され、その結果図1および図2の保護要素10の実施形態での中空空間16との関連で説明した効果を、ここでは両側から保護部12に作用させることができる。同様のことは、図1および図2に図示した保護要素10との関連で説明したように、層18に対しても適用される。
【0038】
図3および図4の保護要素10の実施形態を基本とする、保護要素の個々には図示していない実施形態を指摘しておく。この実施形態は図3およびす4の実施形態と簿同じ構成であるが、隣接する中空空間16を有していない。実質的に互いに平行に間隔もって配置される2つの保護部12,13は、実際には、隣接する回路基板担持体110,110の内部に積層され、或いは、これら回路基板担持体によって層状化されている。
【0039】
この、上述した構成原理に従っても多層構造を構築することができ、すなわち多層回路基板担持体の原理に従って、それぞれの隣接する中空空間16,160を備えた、または備えていない多層構造を構築することができる。
【0040】
保護要素10または本来の保護部12,13のこの種の実施形態は、電気的に直列および/または並列に接続された保護部の簡潔な構成をも可能にする。
【0041】
層18の、図2で長さxと幅yとによって張られる面20は、実質的に、保護要素10の本体21の面を特定している。厚さ26は、実質的に、保護部12の金属溶融部分を形成している導体の厚さ(3次元でのz)を含めて、互いに当接し合っている2つの回路基板担持体110,111によって特定される。保護要素10の本体21の容積は任意であってよく、たとえば直方体、立方体の形状、または、横断面が円形の柱体の形状に構成してよい。本体21の他の適当な任意の混合形状も可能である。従って、保護要素10の本体21は、電気回路および/または電子回路の分野で周知の集積回路のように構成してもよい。
【0042】
図3および図4の実施形態による保護要素10は、両端面に対向するように金属接続部27,28を有し、これらの接続部はいわば保護要素10のための接続極を形成している。保護部12の本来の溶融部分の両端部22,23(図1では、一点鎖線で示した鉛直線との交点)は、接続接点24,25を備えている。接続接点24,25は、電気回路および/または電子回路用の回路基板において一般に使用される貫通接続部として形成されていてよい。
【符号の説明】
【0043】
10 保護要素
11 回路基板担持体(回路基板担持材)
110 第1の回路基板担持体(第1の回路基板担持材)
111 第2の回路基板担持体(第2の回路基板担持材)
12 保護部
13 保護部
14 保護部の、金属または金属合金で形成されている部位
15 金属または金属合金
16 中空空間
160 中空空間
17 中空空間の、保護部とは逆の側
18 層
19 金属層
20 層18の、図2で長さxと幅yとによって張られる面
21 保護要素の本体
22 保護部の溶融部分の端部
23 保護部の溶融部分の端部
24 接続接点
25 接続接点
26 保護要素の厚さ
27 金属接続部
28 金属接続部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
特にマルチレイヤー技術で使用可能な回路基板担持材を含み、該回路基板担持材が金属または金属合金部(15)で被覆され、該金属または金属合金部(15)から、フォトリソグラフィー結像技術および/または印刷結像技術と次のエッチングプロセスまたはエングレービングプロセスとを用いて保護部(12)を生成するようにした保護要素(10)、特にマルチレイヤー技術で構築される電気回路および/または電子回路での使用に適した保護要素(10)において、
前記保護部(12)を上に形成可能な前記回路基板担持材(11;110,111)が、少なくとも高熱に対して安定で電気絶縁性のある材料から成り、該材料の熱膨張係数が、少なくとも、前記保護部(12)が形成されている前記金属または金属合金部(15)の熱膨張係数に実質的に対応して推移することを特徴とする保護要素。
【請求項2】
前記保護部(12)を生成するための前記金属材料または金属合金が銅または銅合金であることを特徴とする、請求項1に記載の保護要素。
【請求項3】
前記保護部(12)を生成するための前記金属材料または金属合金が銀または銀合金であることを特徴とする、請求項1に記載の保護要素。
【請求項4】
前記保護部(12)が金属または金属合金から成る複数個の層から形成されていることを特徴とする、請求項1から3までのいずれか一つに記載の保護要素。
【請求項5】
前記複数個の層の外側の層が銀または銀合金から形成されていることを特徴とする、請求項4に記載の保護要素。
【請求項6】
前記回路基板担持材(11)が、少なくとも、熱硬化性があってガラスファイバーで補強した炭化水素/セラミックス積層体から成っていることを特徴とする、請求項1から3までのいずれか一つに記載の保護要素。
【請求項7】
前記回路基板担持材(11)が、少なくとも、セラミックスで補強され且つ伝熱性のあるエポキシ樹脂から成っていることを特徴とする、請求項1から6までのいずれか一つに記載の保護要素。
【請求項8】
前記保護部(12)が前記金属部または金属合金部に形成されている前記第1の回路基板担持体(110)のために、該第1の回路基板担持体(110)上に隣接して載置される第2の回路基板担持体(111)が設けられていることを特徴とする、請求項1から7までのいずれか一つに記載の保護要素。
【請求項9】
第1の回路基板担持体(110)の、前記保護部(12)が前記金属部または金属合金部(15)に形成されている部位(14)の領域にして、前記第1の回路基板担持体(110)上に隣接して載置される第2の回路基板担持体(111)内に、該第2の回路基板担持体(111)に設けた繰り抜き部の形態で中空空間(16)が形成されていることを特徴とする、請求項1から8までのいずれか一つに記載の保護要素。
【請求項10】
第1の回路基板担持体(110)の、前記保護部(12)が前記金属部または金属合金部(15)に形成されている部位(14)の領域にして、前記第1の回路基板担持体(110)上に隣接して載置される第2の回路基板担持体(111)内と、前記第1の回路基板担持体(110)の、前記保護部(12)が形成されている前記部位(14)の領域とに、それぞれ繰り抜き部の形態でそれぞれ中空空間(16,160)が形成されていることを特徴とする、請求項1から7までのいずれか一つに記載の保護要素。
【請求項11】
前記中空空間(16または16,160)が保護部(12)とは逆の側(17)で層(18)によって密閉されていることを特徴とする、請求項9または10に記載の保護要素。
【請求項12】
前記層(18)がダイヤフラムであることを特徴とする、請求項11に記載の保護要素。
【請求項13】
前記層(18)が可撓性の層(18)であることを特徴とする、請求項11に記載の保護要素。
【請求項14】
前記層(18)がフォイル状構造を有していることを特徴とする、請求項11から13までのいずれか一つに記載の保護要素。
【請求項15】
前記層(18)が補助金属層(19)を有していることを特徴とする、請求項11から14までのいずれか一つに記載の保護要素。
【請求項16】
前記回路基板担持体(11;110,111)が、少なくとも前記保護部(12)の前記溶融部分の領域に、複数個の貫通穴を有していることを特徴とする、請求項1から15までのいずれか一つに記載の保護要素。
【請求項17】
前記保護部(12)の前記溶融部分を形成している前記金属または金属合金部(15)が、複数個の貫通穴を有していることを特徴とする、請求項1から16までのいずれか一つに記載の保護要素。
【請求項18】
少なくとも1つの中空空間(16;160)が少なくとも部分的に絶縁剤によって充填されていることを特徴とする、請求項9から17までのいずれか一つに記載の保護要素。
【請求項19】
層(18)が形成されている面(20)が、前記保護部(12)の本体(21)の面を一平面内で特定していることを特徴とする、請求項11から18までのいずれか一つに記載の保護要素。
【請求項20】
少なくとも、前記保護要素(10)の前記溶融部分を形成している導体の厚さを含めた、互いに接している2つの回路基板担持体(110,111)の厚さが、前記保護要素(10)の本体(21)の厚さを特定していることを特徴とする、請求項11から19までのいずれか一つに記載の保護要素。
【請求項21】
前記保護要素(10)の前記溶融部分の両端部(22,23)が接続接点(24,25)を備えていることを特徴とする、請求項1から20までのいずれか一つに記載の保護要素。
【請求項22】
前記保護要素(10)を形成している前記本体(21)が3次元構成の場合、前記接続接点(24,25)が貫通接続部によって前記保護部(12)の前記溶融部分の前記両端部(22,23)と接続されていることを特徴とする、請求項21に記載の保護要素。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−23367(P2012−23367A)
【公開日】平成24年2月2日(2012.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−148107(P2011−148107)
【出願日】平成23年7月4日(2011.7.4)
【出願人】(599062911)シュルター アーゲー (1)
【Fターム(参考)】