説明

信号処理システムおよびスピーカシステム

【課題】処理装置の配置の任意性が高い信号処理システム、および、スピーカユニットの配置の任意性が高いスピーカシステムを提供する。
【解決手段】信号処理システム(スピーカシステム100)において、2つの処理装置(スピーカユニット110,120)それぞれが、電波発信器122aと2つの電波受信器113a,113bの組とのうち少なくとも一方を搭載する。さらに、このスピーカシステム100において、電波受信器113a,113bでの電波信号の受信に基づいて2つのスピーカユニット110,120の配置が判断される。そして、出力チャネル切替制御部112が、2つの音信号を、2つのスピーカユニット110,120それぞれのスピーカに、その判断された配置に基づいて仕分けて送信する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本件は、各々が信号に対して処理を実行する複数の処理装置を備えた信号処理システム、および、各々がスピーカを搭載した複数のスピーカユニットを備えたスピーカシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、各々がスピーカを搭載した複数のスピーカユニットを使ってユーザに臨場感のある音を聴かせるスピーカシステムが知られている(例えば、特許文献1、2参照。)。ここで、多くの場合、このようなスピーカシステムでは、各スピーカには、そのスピーカを搭載したスピーカユニットの位置に応じた音を表わす音信号が入力される。これにより、実際の音現場にユーザが身を置いたと仮定したときに各スピーカユニットの位置から響いてくるであろう音が各スピーカで発生されて臨場感のある音が実現される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−101248号公報
【特許文献2】特開2009−17137号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、より臨場感の高い音の需要が高まっており、その結果、スピーカシステムを構成するスピーカユニットの数が増加する傾向にある。例えば、左右前方および左右後方の主音用のスピーカユニットと低音再生を行なうサブウーファー用のスピーカユニットを備えた5.1チャンネルのサラウンドシステム等の例が挙げられる。このようにスピーカユニットの数が多いスピーカシステムでは、スピーカユニットの配置に間違いが生じ易い。そして、スピーカユニットが間違った位置に配置されると、スピーカシステムから聴こえてくる音にユーザが違和感を覚えてしまう恐れがある。
【0005】
尚、ここまでスピーカシステムを例に挙げて、スピーカユニットの配置の任意性の低さについて説明した。しかしながら、このような配置の任意性の低さは、スピーカシステムに限るものではなく、各々が信号に対して処理を実行する複数の処理装置を備えた信号処理システム一般について共通に生じ得る。
【0006】
本件は上記事情に鑑み、処理装置の配置の任意性が高い信号処理システム、および、スピーカユニットの配置の任意性が高いスピーカシステムを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成する信号処理システムは、複数の処理装置と、発信器と、検知器と、配置判断部と、信号仕分け部とを備えている。
【0008】
複数の処理装置は、各々が信号を受信してその信号に対して処理を実行するものである。
【0009】
発信器は、ワイヤレス信号を発するものである。
【0010】
検知器は、上記発信器が発したワイヤレス信号を検知するものである。
【0011】
この信号処理システムでは、上記複数の処理装置それぞれが、上記発信器と上記検知器とのうち少なくとも一方を搭載したものとなっている。
【0012】
配置判断部は、上記検知器での上記ワイヤレス信号の検知に基づいて上記複数の処理装置の配置を判断するものである。
【0013】
信号仕分け部は、複数の信号を、上記複数の処理装置それぞれに、上記配置判断部で判断された配置に基づいて仕分けて送信するものである。
【0014】
また、上記目的を達成するスピーカシステムは、複数のスピーカユニットと、発信器と、検知器と、配置判断部と、音信号仕分け部とを備えている。
【0015】
複数のスピーカユニットは、音を表わす音信号を受信してその音信号が表わす音を発するスピーカを各々が搭載したものである。
【0016】
発信器は、ワイヤレス信号を発するものである。
【0017】
検知器は、上記発信器が発したワイヤレス信号を検知するものである。
【0018】
このスピーカシステムでは、上記複数のスピーカユニットそれぞれが、上記発信器と上記検知器とのうち少なくとも一方を搭載したものとなっている。
【0019】
配置判断部は、上記検知器での上記ワイヤレス信号の検知に基づいて上記複数のスピーカユニットの配置を判断するものである。
【0020】
音信号仕分け部は、複数の音信号を、上記複数のスピーカユニットそれぞれに搭載されているスピーカに、上記配置判断部で判断された配置に基づいて仕分けて送信するものである。
【発明の効果】
【0021】
本件によれば、処理装置の配置の任意性が高い信号処理システム、および、スピーカユニットの配置の任意性が高いスピーカシステムを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】比較例のスピーカシステムを示す模式図である。
【図2】図1に示すスピーカシステムを示すブロック図である。
【図3】信号処理システムおよびスピーカシステムの第1実施形態を示すブロック図である。
【図4】信号処理システムおよびスピーカシステムの第2実施形態を示す階層図である。
【図5】図4に示すスピーカシステムを示す模式図である。
【図6】図4および図5に示すスピーカシステムを示すブロック図である。
【図7】第1スピーカユニットの2つの電波受信器と、第2スピーカユニットの電波発信器との間における電波信号の遣り取りを模式的に示す図である。
【図8】図4〜6に示す出力チャネル切替制御部の詳細を示すブロック図である。
【図9】図4〜8に示すスピーカシステムでの音出力処理の流れを示すフローチャートである。
【図10】信号処理システムおよびスピーカシステムの第3実施形態を示す階層図である。
【図11】図10に示すスピーカシステムを示す模式図である。
【図12】図10および図11に示すスピーカシステムを示すブロック図である。
【図13】第2スピーカユニットの第2スピーカで発生されたテスト音が、第1スピーカユニットの2つのマイクロホンにおいて検知される様子を模式的に示す図である。
【図14】図10〜12に示す出力チャネル切替制御部の詳細を示すブロック図である。
【図15】図10〜14に示すスピーカシステムでの音出力処理の流れを示すフローチャートである。
【図16】信号処理システムおよびスピーカシステムの第4実施形態を示す階層図である。
【図17】図16に示すスピーカシステムを示す模式図である。
【図18】図16および図17に示すスピーカシステムを示すブロック図である。
【図19】第2スピーカユニットの無線タグおよび第1スピーカユニットの無線レシーバの動作を模式的に示す図である。
【図20】図16〜18に示す出力チャネル切替制御部の詳細を示すブロック図である。
【図21】図16〜20に示すスピーカシステムでの音出力処理の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本件の信号処理システムおよびスピーカシステムの具体的な実施形態の説明に先立って、まず、実施形態と対比するための比較例について説明する。
【0024】
図1は、比較例のスピーカシステムを示す模式図である。また、図2は、図1に示すスピーカシステムを示すブロック図である。
【0025】
これら図1および図2に示す比較例のスピーカシステム500は、2つのスピーカユニット510,520が、音を聴取するユーザに対面して左右に並べられて配置されるタイプのスピーカシステムである。
【0026】
ここで、この比較例のスピーカシステム500及び後述の実施形態のスピーカシステムでは、ユーザに対面しているスピーカユニットからユーザを見たときの右側がシステムにおける右側として扱われ、そのときの左側がシステムにおける左側として扱われる。
【0027】
図1では、比較例のスピーカシステム500をユーザの側から見た状態が図示されているので、この図中の見た目の左右と、比較例のスピーカシステム500における左右とが逆向きに示されている。
【0028】
2つのスピーカユニット510,520それぞれには、スピーカが搭載されている。ここで、以下では、右側に配置されるスピーカユニットをR側スピーカユニット510、そのR側スピーカユニット510に搭載されるスピーカをR側スピーカ511と呼ぶ。また、左側に配置されるスピーカユニットをL側スピーカユニット520、そのL側スピーカユニット520に搭載されるスピーカをL側スピーカ521と呼ぶ。
【0029】
この比較例のスピーカシステム500は、さらに、電源531、第1および第2の接続ケーブル532,533を備えている。
【0030】
電源531は、この比較例のスピーカシステム500に電力を供給するものである。電源531としては、ここでは特定しないが、商用電源を供給するための電源ケーブルや、電池が収納されその電池からの直流電力を供給する直流電源等が挙げられる。この電源531はR側スピーカユニット510に接続されている。
【0031】
第1の接続ケーブル532は、音源装置550を、この比較例のスピーカシステム500に接続するケーブルである。音源装置550は、ここでは特定しないが、音楽や映画等が記録された記録媒体にアクセスする各種ドライブやテレビジョン等が該当する。音源装置550からは、各スピーカユニットのスピーカが発生する音を表わす音信号が出力される。そして、音源装置550からの音信号は、第1の接続ケーブル532を介して、この比較例のスピーカシステム500に入力される。
【0032】
ここで、音源装置550は、厳密には、第1の接続ケーブル532を介してR側スピーカユニット510に接続されている。また、上記の音信号としては、右側に位置するR側スピーカ511用の音信号(R側音信号)と、左側に位置するL側スピーカ521用の音信号(L側音信号)とが音源装置550から出力される。そして、R側スピーカユニット510には、R側音信号とL側音信号との両方が、第1の接続ケーブル532を介して音源装置550から入力される。
【0033】
第2の接続ケーブル533は、R側スピーカユニット510とL側スピーカユニット520とを互いに接続するものである。
【0034】
R側スピーカユニット510は、R側スピーカ511の他に、アンプ部512と電源部513を備えている。
【0035】
アンプ部512には、音源装置550で出力されたR側音信号とL側音信号が入力される。アンプ部512は、それら2つの音信号を増幅する。そして、アンプ部512は、増幅後のR側音信号をR側スピーカ511に入力する。また、アンプ部512は、増幅後のL側音信号については、上記の第2の接続ケーブル533を介してL側スピーカユニット520のL側スピーカ521に入力する。
【0036】
電源部513は、入力されてくる電力について、例えばその電力が商用の交流電力である場合にアンプ部512で使用可能な大きさの直流電力に変換する等といった、ここでは特定しない電力変換処理を行ってアンプ部512に供給する役割を果たす。
【0037】
以上に説明した比較例のスピーカシステム500では、R側スピーカ511が、音現場の右の音を発生し、L側スピーカ521が、音現場の左の音を発生する。これにより、比較例のスピーカシステム500では、あたかもその音現場で聴いているような臨場感のある音が発生されることとなる。
【0038】
このような音現場の音を乱さず、ユーザにとって違和感のない臨場感のある音を発生させるためには、R側スピーカユニット510が確実に右側に配置され、L側スピーカユニット520が確実に左側に配置される必要がある。
【0039】
ここで、この比較例では、説明を単純化するために2つのスピーカユニット510,520を備えたスピーカシステム500を例示した。しかしながら、近年では、より臨場感の高い音の需要が高まっており、その結果、5.1チャンネルのサラウンドシステム等のように、スピーカシステムを構成するスピーカユニットの数が増加する傾向にある。
【0040】
一方で、このようなスピーカシステムを使用するユーザは、一部のオーディオマニア等を除けば、その多くが音響設備の素人であり、スピーカユニットの配置に間違いが生じ易くなっているのが現状である。そして、スピーカユニットが間違った位置に配置されると、スピーカシステムから聴こえてくる音にユーザが違和感を覚えてしまう恐れがある。
【0041】
尚、ここまでスピーカシステムを例に挙げて、スピーカユニットの配置の任意性の低さについて説明したが、このような配置の任意性の低さは、スピーカシステムに限るものではない。例えば、複数台のディスプレイ装置を予め決められた位置に配置し、各位置のディスプレイ装置にその位置に応じた画像を表示させるといったシステムが考えられる。このようなシステムでも、ディスプレイ装置が間違った位置に配置されると、ディスプレイ装置に表示される画像にユーザが違和感を覚えてしまう恐れがある。また、例えば、複数台のコンピュータ装置を予め決められた位置に配置し、各位置のコンピュータ装置にその位置に応じた信号を送って処理させるといったシステムが考えられる。このようなシステムでも、コンピュータ装置が間違った位置に配置されると、コンピュータ装置での処理結果にユーザが違和感を覚えてしまう恐れがある。このように、配置の任意性の低さは、各々が信号に対して処理を実行する複数の処理装置を備えた信号処理システム一般について共通に生じ得る。
【0042】
そこで、以下に説明する本件の信号処理システムおよびスピーカシステムの具体的な実施形態では、処理装置がユーザによってどのように配置されても違和感のない処理が実行されるように、処理装置の任意な配置が可能となっている。具体的には、スピーカがユーザによってどのように配置されても違和感のない音が発生されるように、スピーカユニットの任意な配置が可能となっている。
【0043】
まず、本件の信号処理システムおよびスピーカシステムの第1実施形態について説明する。
【0044】
図3は、信号処理システムおよびスピーカシステムの第1実施形態を示すブロック図である。
【0045】
この図3には、各々が信号を受信してその信号に対して処理を実行する複数の処理装置を備えた信号処理システムの一実施形態として、複数のスピーカユニット10を備えたスピーカシステム10が示されている。
【0046】
図3に示すスピーカシステム1は、複数のスピーカユニット10と、発信器20と、検知器30と、配置判断部40と、音信号仕分け部50とを備えている。
【0047】
複数のスピーカユニット10は、音を表わす音信号を受信してその音信号が表わす音を発するスピーカ11を各々が搭載したものである。
【0048】
発信器20は、ワイヤレス信号を発するものである。
【0049】
ここで、ワイヤレス信号とは、例えば電波や音や赤外線や光等といったワイヤレスで伝達される媒体を利用した信号を示す。
【0050】
検知器30は、発信器20が発したワイヤレス信号を検知するものである。
【0051】
このスピーカシステム1では、複数のスピーカユニット10それぞれが、発信器20と検知器30とのうち少なくとも一方を搭載したものとなっている。
【0052】
尚、複数のスピーカユニットそれぞれが発信器と検知器とのうち少なくとも一方を搭載したとは、発信器と検知器とのいずれも未搭載のスピーカユニットが存在しないことを意味している。従って、この搭載形態には、あるスピーカユニットが発信器を搭載し別のスピーカユニットが検知器を搭載した図3に示す形態以外にも、次のような形態が含まれている。即ち、この搭載形態には、複数のスピーカユニットそれぞれが発信器と検知器との両方を搭載した形態、全てのスピーカユニットが発信器のみを搭載した形態、及び、全てのスピーカユニットが検知器のみを搭載した形態も含まれる。全てのスピーカユニットが発信器のみを搭載した形態では、スピーカユニットに未搭載となった検知器が、スピーカユニットとは独立して設けられる。同様に、全てのスピーカユニットが検知器のみを搭載した形態では、スピーカユニットに未搭載となった発信器が、スピーカユニットとは独立して設けられる。
【0053】
配置判断部40は、検知器30でのワイヤレス信号の検知に基づいて複数のスピーカユニット10の配置を判断するものである。
【0054】
音信号仕分け部50は、複数の音信号を、複数のスピーカユニット10それぞれに搭載されているスピーカ11に、配置判断部40で判断された配置に基づいて仕分けて送信するものである。
【0055】
この第1実施形態のスピーカシステム1では、複数のスピーカユニットの配置が実測される。そして、その実測された配置に基づいて、音信号のスピーカ11への仕分けが行われる。このように、第1実施形態のスピーカシステム1では、音信号は複数のスピーカユニット10の実際の配置に基づいて仕分けられるので、各スピーカユニット10のスピーカ11はそのスピーカユニット10の方向から響くべき音を発生することとなる。このため、ユーザにとって違和感のない音の発生が確実に実現される。さらに、このスピーカシステム1では、ユーザが複数のスピーカユニット10をどのように配置しても、実際の配置が実測されて音信号の仕分け先に反映される。つまり、このスピーカシステム1によれば、ユーザは複数のスピーカユニット10をどのように配置しても良いので、ユーザは、それら複数のスピーカユニット10を任意に配置することができる。
【0056】
次に、本件の信号処理システムおよびスピーカシステムの、より具体的な第2実施形態について説明する。
【0057】
この第2実施形態でも、上述の第1実施形態と同様に、各々が信号を受信してその信号に対して処理を実行する複数の処理装置を備えた信号処理システムの一実施形態として、複数のスピーカユニットを備えたスピーカシステムを例示する。また、この第2実施形態では、そのようなスピーカシステムとして、上述の比較例と同様に、説明の単純化のために、2つのスピーカユニットを備えたスピーカシステムを例示する。
【0058】
図4は、信号処理システムおよびスピーカシステムの第2実施形態を示す階層図である。また、図5は、図4に示すスピーカシステムを示す模式図である。また、図6は、図4および図5に示すスピーカシステムを示すブロック図である。
【0059】
これら図4〜6に示すスピーカシステム100は、第1および第2の2つのスピーカユニット110,120がユーザに対面して左右に並べられて配置されるタイプのスピーカシステムである。第1スピーカユニット110には第1スピーカ111が搭載され、第2スピーカユニット120には、その第1スピーカ111と同等なスピーカである第2スピーカ121が搭載される。
【0060】
ここで、上記の図1を参照した説明の際に述べたように、この第2実施形態でも、ユーザに対面しているスピーカユニットからユーザを見たときの右側がシステムにおける右側として扱われ、そのときの左側がシステムにおける左側として扱われる。
【0061】
第2実施形態における第1および第2のスピーカユニット110,120それぞれが、信号を受信してその信号に対して処理を実行する処理装置の一例に相当する。
【0062】
また、第1および第2のスピーカユニット110,120それぞれは、音を表わす音信号を受信してその音信号が表わす音を発するスピーカを搭載したスピーカユニットの一例にも相当している。
【0063】
そして、第2実施形態では、これら2つのスピーカユニット110,120が、複数の処理装置の一例と、複数のスピーカユニットの一例とを兼ねている。即ち、第2実施形態では、「複数」の一例として「2つ」が例示されている。
【0064】
また、このスピーカシステム100は、電源131、第1および第2の接続ケーブル132,133を備えている。
【0065】
電源131は、このスピーカシステム100に電力を供給するものである。電源131としては、ここでは特定しないが、商用電源を供給するための電源ケーブルや、電池が収納されその電池からの直流電力を供給する直流電源等が挙げられる。この電源131は、第1スピーカユニット110に接続されている。
【0066】
第1の接続ケーブル132は、音楽や映画等が記録された記録媒体にアクセスする各種ドライブやテレビジョン等といった音信号を出力する音源装置150を、このスピーカシステム100に接続するケーブルである。音源装置150は、第1の接続ケーブル132を介して第1スピーカユニット110に接続されている。ここで、上記の音信号については、R側音信号とL側音信号との2つの音信号が音源装置150から出力される。R側音信号は、右側のスピーカから響くべき音を表わす音信号であり、L側音信号は、左側のスピーカから響くべき音を表わす音信号である。そして、第1スピーカユニット110には、R側音信号とL側音信号との両方が、第1の接続ケーブル132を介して音源装置150から入力される。
【0067】
第2の接続ケーブル133は、第1スピーカユニット110と第2スピーカユニット120とを互いに接続するものである。
【0068】
第1スピーカユニット110は、第1スピーカ111の他に、アンプ部112、電波受信基板113と、出力チャネル切替制御部114と、電源部115とを備えている。
【0069】
また、第2スピーカユニット120は、第2スピーカ121の他に、電波発信基板122を備えている。
【0070】
アンプ部112には、後述するように、出力チャネル切替制御部114から、第1スピーカ111用の音信号(第1音信号)と、第2スピーカ121用の音信号(第2音信号)とが入力される。アンプ部112は、それら2つの音信号を増幅する。そして、アンプ部112は、増幅後の第1音信号を第1スピーカ111に入力し、増幅後の第2音信号を、第2の接続ケーブル133を介して第2スピーカ121に入力する。
【0071】
電波受信基板113は、2つの電波受信器113a,113bを備えている。この電波受信基板113は、図5に模式的に示されているように、第1スピーカユニット110の筐体110a内に搭載されている。この電波受信基板113の搭載箇所は、第1スピーカユニット110の筐体110aの底板のほぼ中央である。また、この電波受信基板113は、2つの電波受信器113a,113bが左右に並ぶ向きに搭載されている。
【0072】
ここで、第2スピーカユニット120の電波発信基板122は、電波発信器122aを1つ備えている。この電波発信基板122は、図5に模式的に示されているように、第2スピーカユニット120の筐体120aの底板のほぼ中央に電波発信器122aが位置するようにその筐体120a内に搭載されている。
【0073】
この第2実施形態では、第1スピーカユニット110の2つの電波受信器113a,113bと、第2スピーカユニット120の電波発信器122aとの間で、次のような電波信号の遣り取りが行われる。
【0074】
図7は、第1スピーカユニットの2つの電波受信器と、第2スピーカユニットの電波発信器との間における電波信号の遣り取りを模式的に示す図である。
【0075】
第2スピーカユニット120の電波発信基板122では、第1スピーカユニット110の電源部115から電力が供給されると、その供給時点から所定時間の間、電波発信器122aが所定強度の電波信号を発信する。この電波発信器122aは無指向性の発信器であり、電波信号は電波発信器122aから全方位に向けて発信される。この電波信号は、電波発信器122aから離れるに従って信号強度が低下する。つまり、この電波信号は、電波発信器122aからの距離を示す距離情報を、信号強度として担持した信号となっている。そして、この電波信号が、第1スピーカユニット110の電波受信基板113が備える2つの電波受信器113a,113bで受信される。
【0076】
第2実施形態における電波発信器122aが、ワイヤレス信号を発する発信器の一例に相当する。また、第2実施形態における2つの電波受信器113a,113bそれぞれが、上記発信器が発したワイヤレス信号を検知する検知器の一例に相当する。また、第2実施形態では、電波発信器122aで発信され2つの電波受信器113a,113bで受信される電波信号がワイヤレス信号の一例に相当する。
【0077】
ここで、上述したように、電波受信基板113は、2つの電波受信器113a,113bが左右に並ぶように筐体110a内に搭載されている。
【0078】
図7の例では、第2スピーカユニット120は、第1スピーカユニット110の、ユーザに向かって左側に配置されている。つまり、第2スピーカユニット120の電波発信器122aが、第1スピーカユニット110内で左右に並んだ2つの電波受信器113a,113bから見ると左方向に位置することとなる。その結果、右側の電波受信器113aと電波発信器122aとの距離は、左側の電波受信器113bと電波発信器122aとの距離よりも長くなっている。電波信号は、上記のように、電波発信器122aから離れるに従って信号強度が低下する、電波発信器122aからの距離を示す距離情報を、信号強度として担持した信号となっている。従って、この図7の例では、ユーザに向かって右側の電波受信器113aでの電波信号の受信強度が、ユーザに向かって左側の電波受信器113bでの電波信号の受信強度よりも小さくなる。
【0079】
この図7の例とは逆に、第2スピーカユニット120が、第1スピーカユニット110の、ユーザに向かって右側に配置されている場合について考える。つまり、電波発信器122aが、2つの電波受信器113a,113bから見て右方向に位置している場合について考える。この場合には、右側の電波受信器113aと電波発信器122aとの距離が、左側の電波受信器113bと電波発信器122aとの距離よりも短くなる。従って、この例では、ユーザに向かって右側の電波受信器113aでの電波信号の受信強度が、ユーザに向かって左側の電波受信器113bでの電波信号の受信強度よりも大きくなる。
【0080】
図4〜6に示す出力チャネル切替制御部114では、2つの電波受信器113a,113bでの電波信号の受信強度を使って、R側音信号とL側音信号とが、各々、2つのスピーカ111,121のいずれか向けの信号として仕分けられる。この音信号の仕分けについては後で詳細に説明する。
【0081】
図8は、図4〜6に示す出力チャネル切替制御部の詳細を示すブロック図である。
【0082】
この図8に示すように出力チャネル切替制御部114は、音信号入力部114aと、位置関係判別部114bと、切替スイッチ114cとを備えている。
【0083】
音信号入力部114aは、音源装置150からR側音信号とL側音信号とが入力され、その入力された音信号を切替スイッチ114cに送るものである。
【0084】
位置関係判別部114bは、2つの電波受信器113a,113bでの電波信号の受信強度を使って、次のように、2つのスピーカユニット110,120の相対的な位置関係を判別するものである。
【0085】
この位置関係判別部114bは、2つの電波受信器113a,113bでの電波信号の受信強度について大小比較を行う。
【0086】
ここで、上述したように、2つの電波受信器113a,113bから見て左方向に電波発信器122aが位置している場合には、右側での受信強度が左側での受信強度よりも小さくなる。即ち、第1スピーカユニット110がユーザに向かって右側に位置し第2スピーカユニット120がユーザに向かって左側に位置する配置では、右側での受信強度が左側での受信強度よりも小さくなる。
【0087】
逆に、2つの電波受信器113a,113bから見て右方向に電波発信器122aが位置している場合には、右側での受信強度が左側での受信強度よりも大きくなる。即ち、第1スピーカユニット110がユーザに向かって左側に位置し第2スピーカユニット120がユーザに向かって右側に位置する配置では、右側での受信強度が左側での受信強度よりも大きくなる。
【0088】
この第2実施形態では、受信強度についての上記の2種類の大小関係と、スピーカユニット相互間についての上記の2種類の相対的な位置関係とを一対一に対応付けたテーブルが不図示のメモリに記憶されている。このテーブルでは、右側での受信強度が左側での受信強度よりも小さいという大小関係には、第1スピーカユニット110が右側で第2スピーカユニット120が左側という位置関係が対応付けられている。また、右側での受信強度が左側での受信強度よりも大きいという大小関係には、第1スピーカユニット110が左側で第2スピーカユニット120が右側という位置関係が対応付けられている。
【0089】
位置関係判別部114bは、受信強度の大小比較で得られた大小関係で上記のテーブルを検索することで、ユニット相互間での相対的な位置関係を判別する。そして、位置関係判別部114bは、その判別した位置関係に基づいて、切替スイッチ114cにおける後述の2つのスイッチを切り替えるためのスイッチ制御信号を生成する。位置関係判別部114bは、その生成したスイッチ制御信号を切替スイッチ114cに送る。この第2実施形態における位置関係判別部114bが、検知器でのワイヤレス信号の検知に基づいて複数の処理装置の配置を判断する配置判断部の一例に相当する。また、この位置関係判別部114bは、検知器でのワイヤレス信号の検知に基づいて複数のスピーカユニットの配置を判断する配置判断部の一例にも相当している。
【0090】
切替スイッチ114cは、位置関係判別部114bからのスイッチ制御信号に応じて後述の2つのスイッチが切り替えられることで、R側音信号とL側音信号とのそれぞれを左右それぞれのスピーカユニット向けの信号として仕分けるものである。
【0091】
この切替スイッチ114cは、R側音信号の入力端子114c_Rと、L側音信号の入力端子114c_Lとの2つの入力端子を有している。これら2つの入力端子114c_R,114c_Lは、音信号入力部114aに接続されている。
【0092】
さらに、切替スイッチ114cは、第1スピーカユニット110向けの信号(第1音信号)の出力端子114c_1と、第2スピーカユニット120向けの信号(第2音信号)の出力端子114c_2との2つの出力端子を有している。これら2つの出力端子114c_1,114c_2は、アンプ部1112に接続されている。
【0093】
そして、切替スイッチ114cは、次の2つのスイッチを有している。
【0094】
1つのスイッチは、R側音信号の入力端子114c_Rを、第1音信号の出力端子114c_1と第2音信号の出力端子114c_2とに切替自在に接続するR側スイッチ114c_sRである。もう1つのスイッチは、L側音信号の入力端子114c_Lを、第1音信号の出力端子114c_1と第2音信号の出力端子114c_2とに切替自在に接続するL側スイッチ114c_sLである。
【0095】
位置関係判別部114bで生成されて切替スイッチ114cに送られてくる上記のスイッチ制御信号は、この位置関係判別部114bで判別された位置関係に基づいた次のような信号となっている。
【0096】
第1スピーカユニット110が左側で第2スピーカユニット120が右側という位置関係に基づいたスイッチ制御信号は、次のような信号である。即ち、この信号は、R側スイッチ114c_sRを第2音信号の出力端子114c_2に接続し、L側スイッチ114c_sLを第1音信号の出力端子114c_1に接続する信号である。
【0097】
また、第1スピーカユニット110が右側で第2スピーカユニット120が左側という位置関係に基づいたスイッチ制御信号は、次のような信号である。即ち、この信号は、R側スイッチ114c_sRを第1音信号の出力端子114c_1に接続し、L側スイッチ114c_sLを第2音信号の出力端子114c_2に接続する信号である。
【0098】
切替スイッチ114cでは、R側スイッチ114c_sRおよびL側スイッチ114c_sLが上記のスイッチ制御信号によって切替えられる。これによって、R側音信号とL側音信号とのそれぞれが、左右それぞれのスピーカユニット向けの信号として仕分けられる。
【0099】
図8の例では、図7の例を受けて、R側音信号が、ユーザに向かって右側の第1スピーカユニット110向けの信号(第1音信号)として仕分けられている。また、L側音信号が、ユーザに向かって左側の第2スピーカユニット120向けの信号(第2音信号)として仕分けられている。
【0100】
第2実施形態では、上記の位置関係判別部114bとこの切替スイッチ114cとを合わせたものが、複数の信号を複数の処理装置それぞれに仕分けて送信する信号仕分け部の一例に相当する。また、位置関係判別部114bと切替スイッチ114cとを合わせたものは、複数の音信号を複数のスピーカユニットそれぞれのスピーカに仕分けて送信する音信号仕分け部の一例にも相当している。
【0101】
切替スイッチ114cが第1および第2の2つのスピーカユニット110,120に仕分けた第1および第2の2つの音信号は、アンプ部112に送られる。
【0102】
そして、図6に示すように、アンプ部112は、これら2つの音信号を増幅し、第1音信号については第1スピーカ111に入力する。また、アンプ部112は、増幅後の第2音信号については、第2の接続ケーブル133を介して第2スピーカユニット120の第2スピーカ121に入力する。
【0103】
また、図6に示すように第1スピーカユニット110に搭載されている電源部115は、以上に説明した第1スピーカユニット110内の各構成要素、および第2スピーカユニット120内の電波発信基板122に電力を供給するものである。この電源部115は、電力供給に当たっては、電源130から入力されてくる電力について、例えばその電力が商用の交流電力である場合に各構成要素で使用可能な大きさの直流電力に変換する等といった、ここでは特定しない電力変換処理を行う。電源部115は、各構成要素にこのような電力変換処理後の電力を供給する。また、この電源部115から、第2スピーカユニット120内の電波発信基板122への電力供給も、上記の第2音信号の第2スピーカ121への入力と同様に、第2の接続ケーブル133を介して行われる。
【0104】
以上、図4〜8を参照して説明した第2実施形態のスピーカシステム100での音出力処理について、上記の説明と若干重複するが、以下に示すフローチャートを参照して説明する。
【0105】
図9は、図4〜8に示すスピーカシステムでの音出力処理の流れを示すフローチャートである。このフローチャートが示す音出力処理は、第2実施形態のスピーカシステム100で、ユーザが音を聴くときの処理である。この音出力処理では、まず、ユーザによって第1スピーカユニット110に設けられている不図示の電源スイッチがONされる(ステップS101)。
【0106】
電源スイッチがONされると、第1スピーカユニット110の電源部115から、この第1スピーカユニット110の各構成要素、および第2スピーカユニット120の電波発信基板122に電力が供給される。そして、その電力供給の開始後、所定時間の間、第1スピーカユニット110の電波受信基板113と第2スピーカユニット120の電波発信基板122との間で次のような電波信号の送受信が行なわれる(ステップS102)。
【0107】
ステップS102では、第2スピーカユニット120の電波発信基板122が備える電波発信器122aが、所定時間の間、所定強度の電波信号を発信する。そして、第1スピーカユニット110の電波受信基板113が備える2つの電波受信器113a,113bそれぞれがその電波信号を受信する。
【0108】
ここで、上述したように、第2スピーカユニット120の電波発信器122aで発せられた電波信号は、電波発信器122aから離れるに従って信号強度が低下する。つまり、この電波信号は、電波発信器122aからの距離を示す距離情報を、信号強度として担持した信号となっている。
【0109】
次に、第1スピーカユニット110の位置関係判別部114bが、各電波受信器113a,113bで受信された各電波信号の受信強度を、電波発信器122aから各電波受信器113a,113bまでの距離を示す距離情報として読み取る(ステップS103)。
【0110】
そして、位置関係判別部114bは、ユーザに向かって右側の電波受信器113aでの電波信号の受信強度が、ユーザに向かって左側の電波受信器113bでの電波信号の受信強度よりも大きいか否かを判定する(ステップS104)。
【0111】
右側の受信強度が左側の受信強度よりも大きい場合(ステップS104におけるYES判定)、位置関係判別部114bは、その大小関係で上述のテーブルを検索する。その結果、ユニット相互間での相対的な位置関係として、第1スピーカユニット110が左側、第2スピーカユニット120が右側という位置関係が得られる。
【0112】
位置関係判別部114bは、その位置関係に基づいて、次のようなスイッチ制御信号を生成する。このスイッチ制御信号は、図8に示すR側スイッチ114c_sRを第2音信号の出力端子114c_2に接続し、L側スイッチ114c_sLを第1音信号の出力端子114c_1に接続する信号である。位置関係判別部114bは、このスイッチ制御信号を切替スイッチ114cに送る。
【0113】
このスイッチ制御信号により、L側スイッチ114c_sLが第1音信号の出力端子114c_1に接続され(ステップS105)、R側スイッチ114c_sRは、第2音信号の出力端子114c_2に接続される(ステップS106)。
【0114】
これらの処理によって、L側音信号を、第1スピーカユニット110用の音信号(第1音信号)として仕分け、R側音信号を、第2スピーカユニット120用の音信号(第2音信号)として仕分ける準備が完了する。
【0115】
一方、右側の受信強度が左側の受信強度よりも小さい場合(ステップS104におけるNO判定)、位置関係判別部114bは、その大小関係で上述のテーブルを検索する。その結果、ユニット相互間での相対的な位置関係として、第1スピーカユニット110が右側、第2スピーカユニット120が左側という位置関係が得られる。
【0116】
位置関係判別部114bは、その位置関係に基づいて、次のようなスイッチ制御信号を生成する。このスイッチ制御信号は、図8に示すR側スイッチ114c_sRを第1音信号の出力端子114c_1に接続し、L側スイッチ114c_sLを第2音信号の出力端子114c_2に接続する信号である。位置関係判別部114bは、このスイッチ制御信号を切替スイッチ114cに送る。
【0117】
このスイッチ制御信号により、L側スイッチ114c_sLが第2音信号の出力端子114c_2に接続され(ステップS107)、R側スイッチ114c_sRは、第1音信号の出力端子114c_1に接続される(ステップS108)。
【0118】
これらの処理によって、L側音信号を、第2スピーカユニット120用の音信号(第2音信号)として仕分け、R側音信号を、第1スピーカユニット110用の音信号(第1音信号)として仕分ける準備が完了する。
【0119】
ステップS105、S106、あるいはステップS107、S108のいずれかによって仕分けの準備が完了すると、その旨が、出力チャネル切替制御部114から音源装置150に通知される(ステップS109)。
【0120】
そして、その通知以降、音源装置150から送られてくるL側音信号およびR側音信号が、上記のように準備が完了した切替スイッチ114cによって適宜に仕分けられ、アンプ部112による増幅を経て2つのスピーカ111,121に入力される。
【0121】
このステップS109での音信号のスピーカへの入力は、第1スピーカユニット110の不図示の電源スイッチがONになっている間(ステップS110におけるNO判定)続けられる。そして、ユーザによって第1スピーカユニット110の不図示の電源スイッチがOFFされる(ステップS110におけるYES判定)と、この図9のフローチャートが示す音出力処理が終了する。
【0122】
以上に説明したように、第2実施形態のスピーカシステム100では、実際に右側に配置されたスピーカユニットのスピーカにR側音信号が仕分けられ、実際に左側に配置されたスピーカユニットのスピーカにL側音信号が仕分けられる。その結果、2つのスピーカユニット110,120がどのように配置されても、R側音信号が表わす音は必ず右側から響き、L側音信号が表わす音は必ず左側から響くこととなる。
【0123】
このように、このスピーカシステム100は、ユーザが2つのスピーカユニット110,120をどのような位置関係で配置しても違和感のない音が確実に発生されるという、スピーカユニットの配置の任意度が高いシステムとなっている。
【0124】
また、第2実施形態では、2つのスピーカユニット110,120相互間での相対的な位置関係の判別に、2つの電波受信機113a,113bそれぞれで受信された電波信号の受信強度が使われる。一般に発信源を発した電波信号の信号強度は、発信源から離れるにつれて低下する。即ち、電波信号は、発信源からの距離を表わす距離情報を、信号強度として担持した信号となっている。
【0125】
第2実施形態では、電波信号におけるこの性質が利用されて、2つの電波受信機113a,113bに対する電波発信器122aの相対位置が求められることで、ユニット相互間での相対的な位置関係が確実に判別されることとなっている。
【0126】
このことは、本件のスピーカシステムに対し、次のような応用形態が好適であることを意味している。この応用形態では、上記複数のスピーカユニットそれぞれが、上記発信器と、上記検知器が複数互いに異なる位置に配置された検知器組とのうち少なくとも一方を搭載したものとなっている。また、この応用形態では、上記配置判断部において、上記検知器組に属する複数の検知器それぞれにおける上記ワイヤレス信号の検知強度が使われる。そして、この配置判断部は、上記検知器組に対する上記発信器の相対位置を求めることで、上記複数のスピーカユニットの配置を判断する。
【0127】
第2実施形態における2つのスピーカユニット110,120は、この応用形態における複数のスピーカユニットの一例にも相当している。また、第2実施形態における2つの電波受信器113a,113bの組が、この応用形態における検知器組の一例に相当する。また、第2実施形態における位置関係判別部114bは、この応用形態における配置判断部の一例にも相当している。
【0128】
また、第2実施形態では、位置関係判別部114bが、2つの電波受信機113a,113bそれぞれでの受信強度の大小比較の結果に基づいて、2つの電波受信機113a,113bの位置に対する電波発信器122aの相対位置を求める。第2実施形態では、このように受信強度の大小比較という非常に簡単な処理によって相対位置が求められる。
【0129】
このことは、複数の検知器それぞれでの検知強度を使ってスピーカユニットの配置を求める上記の応用形態において、次の応用形態がさらに好適であることを意味している。
【0130】
この応用形態では、上記配置判断部が、上記複数の検知器それぞれにおける上記ワイヤレス信号の検知強度の大小比較に基づいて、上記検知器組に対する上記発信器の相対位置を求めるものとなっている。
【0131】
第2実施形態における位置関係判別部114bは、この応用形態における配置判断部の一例にも相当している。
【0132】
次に、本件の信号処理システムおよびスピーカシステムの第3実施形態について説明する。
【0133】
この第3実施形態は、上記の第2実施形態とは、スピーカユニットの配置の測定方法が異なっている。以下では、第3実施形態について、この相違点に注目して説明を行う。
【0134】
尚、この第3実施形態でも、上述の第1実施形態と同様に、各々が信号を受信してその信号に対して処理を実行する複数の処理装置を備えた信号処理システムの一実施形態として、複数のスピーカユニットを備えたスピーカシステムを例示する。また、この第3実施形態でも、上述の比較例及び第2実施形態と同様に、説明の単純化のために、2つのスピーカユニット210,220を備えたスピーカシステムを例示する。
【0135】
図10は、信号処理システムおよびスピーカシステムの第3実施形態を示す階層図である。また、図11は、図10に示すスピーカシステムを示す模式図である。また、図12は、図10および図11に示すスピーカシステムを示すブロック図である。
【0136】
尚、図10〜12では、上記の図4〜6に示す構成要素と同等な構成要素には図4〜6の符号と同等な符号が付されており、以下ではこれら同等な構成要素については重複説明を省略する。
【0137】
これら図10〜12に示すスピーカシステム200も、上記の第2実施形態と同様に第1および第2の2つのスピーカユニット210,220が左右に並べられて配置されるタイプのスピーカシステムである。第1スピーカユニット210には第1スピーカ111が搭載され、第2スピーカユニット220には第2スピーカ121が搭載される。
【0138】
ここで、上記の図1を参照した説明の際に述べたように、この第3実施形態でも、ユーザに対面しているスピーカユニットからユーザを見たときの右側がシステムにおける右側として扱われ、そのときの左側がシステムにおける左側として扱われる。
【0139】
第3実施形態における第1および第2の2つのスピーカユニット210,220それぞれも、信号を受信してその信号に対して処理を実行する処理装置の一例に相当する。
【0140】
また、第1および第2の2つのスピーカユニット210,220それぞれは、音を表わす音信号を受信してその音信号が表わす音を発するスピーカを搭載したスピーカユニットの一例にも相当している。さらに、第3実施形態でも、上述の第2実施形態と同様に、処理装置およびスピーカユニットの数について、「複数」の一例として「2つ」が例示されている。
【0141】
第3実施形態では、第2スピーカユニット210が、後述のテスト音を表わす音信号を生成して第2スピーカ121に入力するテスト音出力部221を備えている。このテスト音出力部221には、2つのスピーカユニット210,220を相互に接続する第2の接続ケーブル231を介して電源部115から電力が供給される。
【0142】
また、第3実施形態では、第1スピーカユニット210が、第2スピーカ121で発せられたテスト音を検知するテスト音検知基板211を備えている。そして、第3実施形態の出力チャネル切替制御部212は、このテスト音検知基板211での検知結果に基づいて2つの音信号を2つのスピーカ111,121に仕分ける。仕分けられた各音信号は、アンプ部112での増幅を経て、第1スピーカ111には直に入力され、第2スピーカ121には第2の接続ケーブル231を介して入力される。
【0143】
テスト音検知基板211は、2つのマイクロホン211a,211bを備えている。このテスト音検知基板211は、図11に模式的に示されているように、第1スピーカユニット210の筐体210a内に搭載されている。このテスト音検知基板211の搭載箇所は、第1スピーカユニット210の筐体210aの底板のほぼ中央である。また、このテスト音検知基板211は、2つのマイクロホン211a,211bが左右に並ぶ向きに搭載されている。
【0144】
第3実施形態では、第2スピーカユニット220の筐体220aに搭載されている第2スピーカ121で発生されたテスト音が、第1スピーカユニット210の2つのマイクロホン211a,211bにおいて次のように検知される。
【0145】
図13は、第2スピーカユニットの第2スピーカで発生されたテスト音が、第1スピーカユニットの2つのマイクロホンにおいて検知される様子を模式的に示す図である。
【0146】
第2スピーカユニット220のテスト音出力部221は、第1スピーカユニット210の電源部115から電力が供給されると、その供給時点から所定時間の間、所定音量のテスト音を表わす音信号を生成して第2スピーカ121に入力する。その結果、この第2スピーカ121が、供給時点から所定時間の間、所定音量のテスト音を発することとなる。この第2スピーカ121で発せられたテスト音は、第2スピーカ121から離れるに従って音量が低下する。つまり、このテスト音は、第2スピーカ121からの距離を示す距離情報を、音量として担持する信号となっている。そして、このテスト音が、第1スピーカユニット210のテスト音検知基板211が備える2つのマイクロホン211a,211bで検知される。
【0147】
第3実施形態では、第2スピーカ121が、ワイヤレス信号を発する発信器の一例に相当する。また、第3実施形態では、2つのマイクロホン211a,211bそれぞれが、上記発信器が発したワイヤレス信号を検知する検知器の一例に相当する。また、第3実施形態では、第2スピーカ121で発せられ2つのマイクロホン211a,211bで検知されるテスト音がワイヤレス信号の一例に相当する。
【0148】
ここで、上述したように、テスト音検知基板211は、2つのマイクロホン211a,211bが左右に並ぶように筐体210a内に搭載されている。
【0149】
図13の例では、第2スピーカユニット220は、第1スピーカユニット210の、ユーザに向かって左側に配置されている。つまり、第2スピーカユニット220の第2スピーカ121が、第1スピーカユニット210内で左右に並んだ2つのマイクロホン211a,211bから見ると左方向に位置している。その結果、右側のマイクロホン211aと第2スピーカ121との距離は、左側のマイクロホン211bと第2スピーカ121との距離よりも長くなっている。
【0150】
テスト音は、上記のように、第2スピーカ121から離れるに従って音量が低下する、第2スピーカ121からの距離を示す距離情報を、音量として担持する信号となっている。従って、図13の例では、ユーザに向かって右側のマイクロホン211aでのテスト音の検知強度が、ユーザに向かって左側のマイクロホン211bでのテスト音の検知強度よりも小さくなる。
【0151】
この図13の例とは逆に、第2スピーカユニット220が、ユーザに向かって、第1スピーカユニット210の右側に配置されている場合について考える。つまり、第2スピーカ121が、2つのマイクロホン211a,211bから見て右方向に位置している場合について考える。この場合には、右側のマイクロホン211aと第2スピーカ121との距離が左側のマイクロホン211bと第2スピーカ121との距離よりも短くなる。
【0152】
従って、この例では、ユーザに向かって右側のマイクロホン211aでのテスト音の検知強度が、ユーザに向かって左側のマイクロホン211bでのテスト音の検知強度よりも大きくなる。
【0153】
図10〜12に示す出力チャネル切替制御部114では、2つのマイクロホン211a,211bでのテスト音の検知強度を使って、R側音信号とL側音信号とが、各々、2つのスピーカ111,121のいずれか向けの信号として仕分けられる。この音信号の仕分けについては後で詳細に説明する。
【0154】
図14は、図10〜12に示す出力チャネル切替制御部の詳細を示すブロック図である。尚、この図14では、図8に示す構成要素と同等な構成要素については図8の符号と同じ符号が付されており、以下では、これら同等な構成要素については重複説明を省略する。
【0155】
この図14に示す位置関係判別部212aは、2つのマイクロホン211a,211bでのテスト音の検知強度を使って、次のように、2つのスピーカユニット210,220の相対的な位置関係を判別するものである。
【0156】
この位置関係判別部212aは、2つのマイクロホン211a,211bでのテスト音の検知強度について大小比較を行う。
【0157】
ここで、上述したように、2つのマイクロホン211a,211bから見て左方向に第2スピーカ121が位置している場合には、右側での検知強度が左側での検知強度よりも小さくなる。即ち、第1スピーカユニット210がユーザに向かって右側に位置し第2スピーカユニット220がユーザに向かって左側に位置する配置では、右側での検知強度が左側での検知強度よりも小さくなる。
【0158】
逆に、2つのマイクロホン211a,211bから見て右方向に第2スピーカ121が位置している場合には、右側での検知強度が左側での検知強度よりも大きくなる。即ち、第1スピーカユニット210がユーザに向かって左側に位置し第2スピーカユニット220がユーザに向かって右側に位置する配置では、右側での受信強度が左側での受信強度よりも大きくなる。
【0159】
この第3実施形態では、テスト音の検知強度についての上記の2種類の大小関係と、スピーカユニット相互間についての上記の2種類の相対的な位置関係とを一対一に対応付けたテーブルが不図示のメモリに記憶されている。
【0160】
このテーブルでは、右側での検知強度が左側での検知強度よりも小さいという大小関係には、第1スピーカユニット210が右側で第2スピーカユニット220が左側という位置関係が対応付けられている。また、右側での検知強度が左側での検知強度よりも大きいという大小関係には、第1スピーカユニット210が左側で第2スピーカユニット220が右側という位置関係が対応付けられている。
【0161】
位置関係判別部212aは、検知強度の大小比較で得られた大小関係で上記のテーブルを検索することで、ユニット相互間での相対的な位置関係を判別する。そして、位置関係判別部212aは、その判別した位置関係に基づいて、上述の第2実施形態におけるスイッチ制御信号と同様のスイッチ制御信号を生成する。位置関係判別部212aは、その生成したスイッチ制御信号を切替スイッチ114cに送る。この第3実施形態では、この位置関係判別部212aが、検知器でのワイヤレス信号の検知に基づいて複数の処理装置の配置を判断する配置判断部の一例に相当する。また、この位置関係判別部212aは、検知器でのワイヤレス信号の検知に基づいて複数のスピーカユニットの配置を判断する配置判断部の一例にも相当している。
【0162】
位置関係判別部212aからスイッチ制御信号を受け取った切替スイッチ114cでは、R側スイッチ114c_sRおよびL側スイッチ114c_sLがそのスイッチ制御信号によって切替えられる。これによって、R側音信号とL側音信号とのそれぞれが、左右それぞれのスピーカユニット向けの信号として仕分けられる。
【0163】
第3実施形態では、位置関係判別部212aとこの切替スイッチ114cとを合わせたものが、複数の信号を複数の処理装置それぞれに仕分けて送信する信号仕分け部の一例に相当する。また、位置関係判別部212aと切替スイッチ114cとを合わせたものは、複数の音信号を複数のスピーカユニットそれぞれのスピーカに仕分けて送信する音信号仕分け部の一例にも相当している。
【0164】
図14の例では、図13の例を受けて、R側音信号が、ユーザに向かって右側の第1スピーカユニット210向けの信号(第1音信号)として仕分けられて、アンプ部112に送られる。また、L側音信号が、ユーザに向かって左側の第2スピーカユニット220向けの信号(第2音信号)として仕分けられて、アンプ部112に送られる。
【0165】
そして、図12に示すように、アンプ部112は、これら2つの音信号を増幅し、第1音信号については第1スピーカ111に入力する。また、アンプ部112は、増幅後の第2音信号については、第2の接続ケーブル231を介して第2スピーカユニット220の第2スピーカ121に入力する。
【0166】
以上、図10〜14を参照して説明した第3実施形態のスピーカシステム200での音出力処理について、上記の説明と若干重複するが、以下に示すフローチャートを参照して説明する。
【0167】
図15は、図10〜14に示すスピーカシステムでの音出力処理の流れを示すフローチャートである。尚、この図15では、図9に示すフローチャートの処理と同等な処理については図9のステップ番号と同じステップ番号が付されており、以下では、これら同等な処理については重複説明を省略する。
【0168】
このフローチャートが示す音出力処理では、ステップS101で、第1スピーカユニット210の不図示の電源スイッチがユーザによってONされると、電源部115から各構成要素への電力が供給される。そして、その電力供給の開始後、所定時間の間、次のようなテスト音の発生と検知とが行なわれる(ステップS201)。
【0169】
ステップS201では、第2スピーカユニット220のテスト音発生部221が、所定時間の間、所定音量のテスト音を表わす音信号を生成して第2スピーカ121に入力する。その結果、この第2スピーカ121が、供給時点から所定時間の間、所定音量のテスト音を発する。そして、第1スピーカユニット210のテスト音検知基板211が備える2つのマイクロホン211a,211bそれぞれがそのテスト音を検知する。
【0170】
ここで、上述したように、テスト音は第2スピーカ121から離れるに従って音量が低下する。つまり、このテスト音は、第2スピーカ121からの距離を示す距離情報をを、音量として担持した信号となっている。
【0171】
次に、位置関係判別部212aが、各マイクロホン211a,211bで検知された各テスト音の検知強度を、第2スピーカ121から各マイクロホン211a,211bまでの距離を示す距離情報として読み取る(ステップS202)。
【0172】
そして、位置関係判別部212aは、ユーザに向かって右側のマイクロホン211aでのテスト音の検知強度が、ユーザに向かって左側のマイクロホン211bでのテスト音の検知強度よりも大きいか否かを判定する(ステップS203)。
【0173】
右側の検知強度が左側の検知強度よりも大きい場合(ステップS203におけるYES判定)、位置関係判別部212aは、その大小関係で上述のテーブルを検索する。その結果、ユニット相互間での相対的な位置関係として、第1スピーカユニット210が左側、第2スピーカユニット220が右側という位置関係が得られる。
【0174】
位置関係判別部212aは、その位置関係に基づいて、次のようなスイッチ制御信号を生成する。このスイッチ制御信号は、図14に示すR側スイッチ114c_sRを第2音信号の出力端子114c_2に接続し、L側スイッチ114c_sLを第1音信号の出力端子114c_1に接続する信号である。位置関係判別部212aは、このスイッチ制御信号を切替スイッチ114cに送る。
【0175】
逆に、右側の検知強度が左側の検知強度よりも小さい場合(ステップS203におけるNO判定)、位置関係判別部212aは、その大小関係で上述のテーブルを検索する。その結果、ユニット相互間での相対的な位置関係として、第1スピーカユニット210が右側、第2スピーカユニット220が左側という位置関係が得られる。
【0176】
位置関係判別部212aは、その位置関係に基づいて、次のようなスイッチ制御信号を生成する。このスイッチ制御信号は、図14に示すR側スイッチ114c_sRを第1音信号の出力端子114c_1に接続し、L側スイッチ114c_sLを第2音信号の出力端子114c_2に接続する信号である。位置関係判別部212aは、このスイッチ制御信号を切替スイッチ114cに送る。
【0177】
そして、位置関係判別部212aからのスイッチ制御信号を受けて、ステップS105、S106、あるいはステップS107、S108のいずれかによって仕分けの準備が行われる。その後のステップS109では、出力チャネル切替制御部212から音源装置150に準備の終了が通知される。
【0178】
そして、その通知以降、音源装置150から送られてくるL側音信号およびR側音信号が、上記のように準備が完了した切替スイッチ114cによって適宜に仕分けられ、アンプ部112による増幅を経て2つのスピーカ111,121に入力される。
【0179】
このステップS109での音信号のスピーカへの入力は、ユーザによって第1スピーカユニット210の不図示の電源スイッチがONになっている間(ステップS110におけるNO判定)続けられる。そして、この電源スイッチがOFFされる(ステップS110におけるYES判定)と、この図15のフローチャートが示す音出力処理が終了する。
【0180】
以上に説明した第3実施形態のスピーカシステム200によっても、ユーザは2つのスピーカユニット210,220を任意に配置することができることは言うまでもない。
【0181】
また、第3実施形態では、2つのスピーカユニット210,220の配置を得るためのワイヤレス信号として、第2スピーカ121から発せられるテスト音が使われる。その結果、第3実施形態では、この第2スピーカ121が上記のワイヤレス信号の発信器を兼ねており、これによる部品点数の削減が図られている。
【0182】
このことは、2つの検知器それぞれでの検知強度を使ってスピーカユニットの配置を求める上記の応用形態において、次の応用形態がさらに好適であることを意味している。この応用形態では、上記スピーカユニットに搭載されたスピーカが、上記発信器を兼ねたものであって、上記ワイヤレス信号としての音を発するものとなっている。そして、この応用形態では、上記複数の検知器それぞれが、音を検知するマイクロホンとなっている。
【0183】
第3実施形態における第2スピーカ121は、この応用形態における発信器の一例にも相当している。また、第3実施形態における2つのマイクロホン211a,211bそれぞれは、この応用形態における検知器の一例にも相当している。
【0184】
また、第3実施形態における2つのスピーカユニット210,220は、複数の検知器それぞれでの検知強度を使ってスピーカユニットの配置を求める上記の応用形態における複数のスピーカユニットの一例にも相当している。また、第3実施形態における2つのマイクロホン211a,211bの組が、この応用形態における検知器組の一例に相当する。また、第3実施形態における位置関係判別部212aは、この応用形態における配置判断部の一例にも相当している。
【0185】
尚、ここまでに説明した第2および第3の実施形態では、複数の検知器での検知強度を使って複数のスピーカユニットの配置を判断する方法として、検知強度の大小比較に基づいて配置を判断する方法を例示した。しかしながら、複数の検知器での検知強度を使って複数のスピーカユニットの配置を判断する方法は、この大小比較に基づく方法に限るものではない。この方法は、例えば、2つの検知器での検知強度を使ったいわゆる三角測量により、2つの検知器に対する発信器の相対位置を求めることで、複数のスピーカユニットの配置を判断する方法であっても良い。
【0186】
次に、本件のスピーカシステムの第4実施形態について説明する。
【0187】
この第4実施形態は、上記の第2および第3の2つの実施形態のいずれとも、スピーカユニットの配置の測定方法が異なっている。以下では、第4実施形態について、この相違点に注目して説明を行う。
【0188】
尚、この第4実施形態でも、上述の第1〜第3実施形態と同様に、各々が信号を受信してその信号に対して処理を実行する複数の処理装置を備えた信号処理システムの一実施形態として、複数のスピーカユニットを備えたスピーカシステムを例示する。また、この第4実施形態でも、上述の比較例、第2実施形態、及び第3実施形態と同様に、説明の単純化のために、2つのスピーカユニットを備えたスピーカシステムを例示する。
【0189】
図16は、信号処理システムおよびスピーカシステムの第4実施形態を示す階層図である。また、図17は、図16に示すスピーカシステムを示す模式図である。また、図18は、図16および図17に示すスピーカシステムを示すブロック図である。
【0190】
尚、図16〜18では、上記の図4〜6に示す構成要素と同等な構成要素には図4〜6の符号と同等な符号が付されており、以下ではこれら同等な構成要素については重複説明を省略する。
【0191】
これら図16〜18に示すスピーカシステム300も、上記の第2実施形態と同様に第1および第2の2つのスピーカユニットが左右に並べられて配置されるタイプのスピーカシステムである。第1スピーカユニット310には第1スピーカ111が搭載され、第2スピーカユニット320には第2スピーカ121が搭載される。
【0192】
ここで、上記の図1を参照した説明の際に述べたように、この第4実施形態でも、ユーザに対面しているスピーカユニットからユーザを見たときの右側がシステムにおける右側として扱われ、そのときの左側がシステムにおける左側として扱われる。
【0193】
第4実施形態における第1および第2の2つのスピーカユニットそれぞれも、信号を受信してその信号に対して処理を実行する処理装置の一例に相当する。
【0194】
また、第1および第2の2つのスピーカユニットそれぞれは、音を表わす音信号を受信してその音信号が表わす音を発するスピーカを搭載したスピーカユニットの一例にも相当している。また、第4実施形態でも、上述の第2実施形態及び第3実施形態と同様に、処理装置およびスピーカユニットの数について、「複数」の一例として「2つ」が例示されている。
【0195】
第4実施形態では、第2スピーカユニット320が、指向性電波信号を発信する無線タグ321aを搭載した無線タグ搭載基板321を備えている。また、第1スピーカユニット310が、上記の指向性電波信号を受信するための無線レシーバ311aを搭載した無線レシーバ搭載基板311を備えている。
【0196】
ここで、無線レシーバ311aには、第1スピーカユニット310内の電源部115から電力が供給される。一方、無線タグ321aには、無線レシーバ311aから、指向性電波信号の送信を要求する要求信号が送信されるが、その要求信号に載せて、指向性電波信号の送信に要する電力が供給される。
【0197】
第4実施形態では、無線タグ321aが、ワイヤレス信号を発する発信器の一例に相当する。また、第4実施形態では、無線レシーバ311aが、上記発信器が発したワイヤレス信号を検知する検知器の一例に相当する。また、第4実施形態では、上記の指向性電波信号がワイヤレス信号の一例に相当する。
【0198】
第4実施形態では、第2スピーカユニット320の無線タグ321aおよび第1スピーカユニット310の無線レシーバ311aの次のような動作によって、2つのスピーカユニット310,320の配置が求められる。
【0199】
図19は、第2スピーカユニットの無線タグおよび第1スピーカユニットの無線レシーバの動作を模式的に示す図である。
【0200】
無線レシーバ搭載基板311は、図17やこの図19に模式的に示されているように、第1スピーカユニット310の筐体310aの底板のほぼ中央に無線レシーバ311aが位置するようにその筐体310a内に搭載されている。また、無線タグ搭載基板321は、第2スピーカユニット320の筐体320aの底板のほぼ中央に無線タグ321aが位置するようにその筐体320a内に搭載されている。また、第4実施形態では、無線タグ搭載基板321は、指向性電波信号S1の指向性が、第2スピーカユニット320の、ユーザに向かって右方向を向くように筐体320a内に搭載されている。
【0201】
図19の例では、第2スピーカユニット320は、第1スピーカユニット310の、ユーザに向かって左側に配置されている。つまり、第2スピーカユニット320の無線タグ321aが、第1スピーカユニット310の無線レシーバ311aから見て左方向に位置している。その結果、無線タグ321aが発信した指向性電波信号S1は、無線レシーバ311aの方に向かって進行するので、その無線レシーバ311aで問題なく受信される。
【0202】
この図19の例とは逆に、第2スピーカユニット320が、第1スピーカユニット310の、ユーザに向かって左側に配置されている場合について考える。つまり、無線タグ321aが、無線レシーバ311aから見て右方向に位置している場合について考える。この場合には、無線タグ321aが発信した指向性電波信号S1は、無線レシーバ311aに向かう方向とは逆方向に進行する。このため、指向性電波信号S1は無線レシーバ311aで受信されないこととなる。
【0203】
図16〜18に示す出力チャネル切替制御部312では、無線レシーバ311aで指向性電波信号が受信されたか否かに基づいて、R側音信号とL側音信号とが、各々、2つのスピーカ111,121のいずれか向けの信号として仕分けられる。この音信号の仕分けについては後で詳細に説明する。
【0204】
図20は、図16〜18に示す出力チャネル切替制御部の詳細を示すブロック図である。尚、この図20では、図8に示す構成要素と同等な構成要素については図8の符号と同じ符号が付されており、以下では、これら同等な構成要素については重複説明を省略する。
【0205】
この図20に示す位置関係判別部312aは、無線レシーバ311aで指向性電波信号が受信されたか否かに基づいて、次のように、2つのスピーカユニット310,320の相対的な位置関係を判別するものである。
【0206】
図19を参照して説明したように、無線レシーバ311aから見て左方向に無線タグ321aが配置されている場合には、無線レシーバ311aで指向性電波信号が受信される。逆に、無線レシーバ311aから見て右方向に無線タグ321aが配置されている場合には、無線レシーバ311aで指向性電波信号が受信されないこととなる。
【0207】
この第4実施形態では、無線レシーバ311aでの信号受信の有無それぞれの状態と、スピーカユニット相互間についての上記の2種類の相対的な位置関係とを一対一に対応付けたテーブルが不図示のメモリに記憶されている。
【0208】
このテーブルでは、無線レシーバ311aでの信号検知が有るという受信状態には、第1スピーカユニット310が右側で第2スピーカユニット320が左側という位置関係が対応付けられている。また、無線レシーバ311aでの信号検知が無いという受信状態には、第1スピーカユニット310が左側で第2スピーカユニット320が右側という位置関係が対応付けられている。
【0209】
位置関係判別部312aは、所定タイミングにおける無線レシーバ311aでの受信状態で上記のテーブルを検索することで、ユニット相互間での相対的な位置関係を判別する。そして、位置関係判別部312aは、その判別した位置関係に基づいて、上述の第2実施形態におけるスイッチ制御信号と同様のスイッチ制御信号を生成する。位置関係判別部312aは、その生成したスイッチ制御信号を切替スイッチ114cに送る。この第4実施形態では、この位置関係判別部312aが、検知器でのワイヤレス信号の検知に基づいて複数の処理装置の配置を判断する配置判断部の一例に相当する。また、この位置関係判別部312aは、検知器でのワイヤレス信号の検知に基づいて複数のスピーカユニットの配置を判断する配置判断部の一例にも相当している。
【0210】
位置関係判別部312aからスイッチ制御信号を受け取った切替スイッチ114cでは、R側スイッチ114c_sRおよびL側スイッチ114c_sLがそのスイッチ制御信号によって切替えられる。これによって、R側音信号とL側音信号とのそれぞれが、左右それぞれのスピーカユニット向けの信号として仕分けられる。
【0211】
第4実施形態では、位置関係判別部312aとこの切替スイッチ114cとを合わせたものが、複数の信号を複数の処理装置それぞれに仕分けて送信する信号仕分け部の一例に相当する。また、位置関係判別部312aと切替スイッチ114cとを合わせたものは、複数の音信号を複数のスピーカユニットそれぞれのスピーカに仕分けて送信する音信号仕分け部の一例にも相当している。
【0212】
図20の例では、図19の例を受けて、R側音信号が、ユーザに向かって右側の第1スピーカユニット310向けの信号(第1音信号)として仕分けられて、アンプ部112に送られる。また、L側音信号が、ユーザに向かって左側の第2スピーカユニット320向けの信号(第2音信号)として仕分けられて、アンプ部112に送られる。
【0213】
そして、図18に示すように、アンプ部112は、これら2つの音信号を増幅し、第1音信号については第1スピーカ111に入力する。また、アンプ部112は、増幅後の第2音信号については、第2の接続ケーブル231を介して第2スピーカユニット320の第2スピーカ121に入力する。
【0214】
以上、図16〜20を参照して説明した第4実施形態のスピーカシステム300での音出力処理について、上記の説明と若干重複するが、以下に示すフローチャートを参照して説明する。
【0215】
図21は、図16〜20に示すスピーカシステムでの音出力処理の流れを示すフローチャートである。尚、この図21では、図9に示すフローチャートの処理と同等な処理については図9のステップ番号と同じステップ番号が付されており、以下では、これら同等な処理については重複説明を省略する。
【0216】
このフローチャートが示す音出力処理では、ステップS101で、第1スピーカユニット110の不図示の電源スイッチがユーザによってONされると、電源部115から各構成要素への電力が供給される。
【0217】
そして、その電力供給の開始後、無線レシーバ311aから無線タグ321aに、指向性電波信号の送信を要求する要求信号が、無線タグ321a動作用の電力を載せて送信される。そして、無線タグ321aがその要求信号に応えて、その要求信号に載せて供給されてきた電力を使って指向性電波信号を送信する(ステップS201)。一方で、無線レシーバ311aは、要求信号を送信した後は指向性電波信号が送られてくるのを待機する待機状態となる(ステップS202)。
【0218】
次に、位置関係判別部312aが、所定時間内に無線レシーバ311aで指向性電波信号が受信されたか否かを判定する(ステップS203)。
【0219】
無線レシーバ311aで指向性電波信号が受信されなかった場合(ステップS203におけるNO判定)、位置関係判別部312aは、指向性電波信号での受信が無いという受信状態で上述のテーブルを検索する。その結果、ユニット相互間での相対的な位置関係として、第1スピーカユニット310が左側、第2スピーカユニット320が右側という位置関係が得られる。
【0220】
位置関係判別部312aは、その位置関係に基づいて、次のようなスイッチ制御信号を生成する。このスイッチ制御信号は、図20に示すR側スイッチ114c_sRを第2音信号の出力端子114c_2に接続し、L側スイッチ114c_sLを第1音信号の出力端子114c_1に接続する信号である。位置関係判別部312aは、このスイッチ制御信号を切替スイッチ114cに送る。
【0221】
逆に、無線レシーバ311aで指向性電波信号が受信された場合(ステップS203におけるYES判定)、位置関係判別部312aは、指向性電波信号での受信が有るという受信状態で上述のテーブルを検索する。その結果、ユニット相互間での相対的な位置関係として、第1スピーカユニット310が右側、第2スピーカユニット320が左側という位置関係が得られる。
【0222】
位置関係判別部312aは、その位置関係に基づいて、次のようなスイッチ制御信号を生成する。このスイッチ制御信号は、図20に示すR側スイッチ114c_sRを第1音信号の出力端子114c_1に接続し、L側スイッチ114c_sLを第2音信号の出力端子114c_2に接続する信号である。位置関係判別部312aは、このスイッチ制御信号を切替スイッチ114cに送る。
【0223】
そして、位置関係判別部312aからのスイッチ制御信号を受けて、ステップS105、S106、あるいはステップS107、S108のいずれかによって仕分けの準備が行われる。その後のステップS109では、出力チャネル切替制御部312から音源装置150に準備の終了が通知される。
【0224】
そして、その通知以降、音源装置150から送られてくるL側音信号およびR側音信号が、上記のように準備が完了した切替スイッチ114cによって適宜に仕分けられ、アンプ部112による増幅を経て2つのスピーカ111,121に入力される。
【0225】
このステップS109での音信号のスピーカへの入力は、ユーザによって第1スピーカユニット310の不図示の電源スイッチがONになっている間(ステップS110におけるNO判定)続けられる。そして、この電源スイッチがOFFされる(ステップS110におけるYES判定)と、この図21のフローチャートが示す音出力処理が終了する。
【0226】
以上に説明した第4実施形態のスピーカシステム300によっても、ユーザは2つのスピーカユニット310,320を任意に配置することができることは言うまでもない。
【0227】
また、第4実施形態では、2つのスピーカユニット310,320の配置を求めるためのワイヤレス信号として、第2スピーカユニット320の無線タグ321aから発せられる指向性電波信号が使われる。その結果、第4実施形態では、第1スピーカユニット310の無線レシーバ311aで指向性電波信号が受信された否かという非常に単純な判断で、2つのスピーカユニット310,320の配置を得ることができる。
【0228】
このことは、本件のスピーカシステムに対し、次の応用形態が好適であることを意味している。この応用形態では、上記発信器が、上記ワイヤレス信号として指向性を有する信号を発するものとなっている。また、この応用形態では、上記検知器が、指向性を有する上記信号を検知するものとなっている。また、この応用形態では、上記配置判断部が、上記検知器における信号検知の有無に基づいて、その検知器の位置に対する上記発信器の相対位置を求める。そして、この配置判断部は、その発信器の相対位置を求めることで、上記複数のスピーカユニットの配置を判断する。
【0229】
第4実施形態における無線タグ321aは、この応用形態における発信器の一例にも相当している。また、第4実施形態における無線レシーバ311aは、この応用形態における検知器の一例にも相当している。
【0230】
尚、以上に説明した第1〜第4実施形態では、本件の信号処理システムの具体的な実施形態として、複数のスピーカユニットを備えたスピーカシステムを例示したが、本件の信号処理システムはこれに限るものではない。本件の信号処理システムは、例えば、複数のディスプレイ装置を備えた画像表示システムや、複数のコンピュータ装置を備えたコンピュータシステム等であっても良い。
【0231】
また、以上に説明した第2〜第4実施形態では、本件の信号処理システムおよびスピーカシステムの具体的な実施形態として、説明の単純化のために2つの処理装置(スピーカユニット)を備えた信号処理システム(スピーカシステム)を例示した。しかし、本件の信号処理システムおよびスピーカシステムはこれに限るものではない。本件の信号処理システムおよびスピーカシステムは、3つ以上の処理装置(スピーカユニット)を備えたものであっても良い。この場合、処理装置(スピーカユニット)の配置は、例えば、次のような三角測量を利用した方法等で判断される。この方法では、いずれかの処理装置(スピーカユニット)に2つの検知器の組が搭載される。また、他の処理装置(スピーカユニット)にワイヤレス信号の発信器が搭載される。そして、2つの検知器で発信器からのワイヤレス信号を検知し、各検知器での検知結果を使った三角測量を行う。これにより、2つの検知器を搭載した処理装置(スピーカユニット)に対する、発信器を搭載した他の処理装置(スピーカユニット)の相対位置が求められることとなる。そして、このような三角測量が繰返し行われることで、複数の処理装置(スピーカユニット)の配置が求められる。
【0232】
また、上記の各実施形態では、本件の信号処理システムおよびスピーカシステムの具体的な実施形態として、検知器と発信器とが別々の処理装置(スピーカユニット)に搭載されるという形態を例示した。しかし、本件の信号処理システムおよびスピーカシステムはこれに限るものではない。本件の信号処理システムおよびスピーカシステムは、複数の処理装置(スピーカユニット)の一部あるいは全てに、検知器と発信器との両方が搭載されている形態であっても良い。ただし、この場合でも、検知器を搭載した処理装置(スピーカユニット)に対して、その処理装置とは別の処理装置で発信器を搭載しているものの相対位置が求められる点は、上記の各実施形態と同じとなる。
【0233】
また、上記の各実施形態では、本件の信号処理システムおよびスピーカシステムの具体的な実施形態として、検知器と発信器とのそれぞれが必ずいずれかの処理装置(スピーカユニット)に搭載される形態を例示した。しかし、本件の信号処理システムおよびスピーカシステムはこれに限るものではない。本件の信号処理システムおよびスピーカシステムは、検知器と発信器との一方が全ての処理装置(スピーカユニット)に搭載され、もう一方が処理装置(スピーカユニット)の外部に設置されている形態であっても良い。この場合には、その外部に設置された機器に対する各処理装置(スピーカユニット)の相対位置が求められることで、処理装置相互間の相対位置が求められることとなる。
【0234】
また、上記の各実施形態では、本件の信号処理システムおよびスピーカシステムの具体的な実施形態として、ワイヤレス信号の一例として電波信号やテスト音を採用した形態を例示した。しかし、本件の信号処理システムおよびスピーカシステムはこれに限るものではない。本件の信号処理システムおよびスピーカシステムは、ワイヤレス信号として例えば赤外線や光等を媒体とした信号を採用した形態であっても良い。
【符号の説明】
【0235】
1,100,200,300,500 スピーカシステム
10 スピーカユニット
11 スピーカ
20 発信器
30 検知器
40 配置判断部
50 音信号仕分け部
110,210,310 第1スピーカユニット
110a,120a,210a,220a,310a,320a 筐体
111 第1スピーカ
112,512 アンプ部
113 電波受信基板
113a 右側の電波受信器
113b 左側の電波受信器
114,212,312 出力チャネル切替制御部
114a 音信号入力部
114b,212a,312a 位置関係判別部
114c 切替スイッチ
114c_R R側音信号の入力端子
114c_L L側音信号の入力端子
114c_1 第1音信号の出力端子
114c_2 第2音信号の出力端子
114c_sR R側スイッチ
114c_sL L側スイッチ
115,513 電源部
120,220,320 第2スピーカユニット
121 第2スピーカ
122 電波発信基板
122a 電波発信器
132,532 第1の接続ケーブル
133,231,331,533 第2の接続ケーブル
150,550 音源装置
211 テスト音検知基板
211a 右側のマイクロホン
211b 左側のマイクロホン
221 テスト音出力部
311 無線レシーバ搭載基板
311a 無線レシーバ
321 無線タグ搭載基板
321a 無線タグ
510 R側スピーカユニット
511 R側スピーカ
520 L側スピーカユニット
521 L側スピーカ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
各々が信号を受信して該信号に対して処理を実行する複数の処理装置と、
ワイヤレス信号を発する発信器と、
前記発信器が発したワイヤレス信号を検知する検知器とを備え、
前記複数の処理装置それぞれが、前記発信器と前記検知器とのうち少なくとも一方を搭載したものであり、さらに、
前記検知器での前記ワイヤレス信号の検知に基づいて前記複数の処理装置の配置を判断する配置判断部と、
複数の信号を、前記複数の処理装置それぞれに、前記配置判断部で判断された配置に基づいて仕分けて送信する信号仕分け部とを備えたことを特徴とする信号処理システム。
【請求項2】
音を表わす音信号を受信して該音信号が表わす音を発するスピーカを各々が搭載した複数のスピーカユニットと、
ワイヤレス信号を発する発信器と、
前記発信器が発したワイヤレス信号を検知する検知器とを備え、
前記複数のスピーカユニットそれぞれが、前記発信器と前記検知器とのうち少なくとも一方を搭載したものであり、さらに、
前記検知器での前記ワイヤレス信号の検知に基づいて前記複数のスピーカユニットの配置を判断する配置判断部と、
複数の音信号を、前記複数のスピーカユニットそれぞれに搭載されているスピーカに、前記配置判断部で判断された配置に基づいて仕分けて送信する音信号仕分け部とを備えたことを特徴とするスピーカシステム。
【請求項3】
前記複数のスピーカユニットそれぞれが、前記発信器と、前記検知器が複数の互いに異なる位置に配置された検知器組とのうち少なくとも一方を搭載したものであり、
前記配置判断部は、前記検知器組に属する複数の検知器それぞれにおける前記ワイヤレス信号の検知強度を使って、該検知器組に対する前記発信器の相対位置を求めることで、前記複数のスピーカユニットの配置を判断するものであることを特徴とする請求項2記載のスピーカシステム。
【請求項4】
前記配置判断部が、前記複数の検知器それぞれにおける前記ワイヤレス信号の検知強度の大小比較に基づいて、前記検知器組に対する前記発信器の相対位置を求めるものであることを特徴とする請求項3記載のスピーカシステム。
【請求項5】
前記スピーカユニットに搭載されたスピーカが、前記発信器を兼ねたものであって、前記ワイヤレス信号としての音を発するものであり、
前記複数の検知器それぞれが、音を検知するマイクロホンであることを特徴とする請求項2から4のうちいずれか1項記載のスピーカシステム。
【請求項6】
前記発信器が、前記ワイヤレス信号として指向性を有する信号を発するものであり、
前記検知器が、指向性を有する前記信号を検知するものであり、
前記配置判断部が、前記検知器における信号検知の有無に基づいて、該検知器の位置に対する前記発信器の相対位置を求めることで、前記複数のスピーカユニットの配置を判断するものであることを特徴とする請求項2記載のスピーカシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【公開番号】特開2012−15857(P2012−15857A)
【公開日】平成24年1月19日(2012.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−151320(P2010−151320)
【出願日】平成22年7月1日(2010.7.1)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】