説明

信号処理装置、レーダ装置、信号処理方法及び信号特定プログラム

【課題】入力信号から不要な信号を除いて、物標での反射によるエコー信号を検出する信号処理装置、レーダ装置、信号処理方法及び信号特定プログラムを提供する。
【解決手段】物標での反射によるエコー信号を受信信号から検出する信号処理装置において、信号レベル検出部21で入力信号の信号レベルを検出し、立ち上がり検出部22で入力信号におけるエコー信号の立ち上がりを検出する。検出した立ち上がりの開始時以降における信号の信号レベルの最大値を閾値決定部25で特定する。特定した最大値に基づいて、エコー信号検出部26で物標での反射によるエコー信号を検出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、受信した信号から、探知領域の物標での反射によるエコー信号を検出する信号処理装置、レーダ装置、信号処理方法及び信号特定プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、探知領域に電波信号を送信して、探知領域の物標探知を行う様々なレーダ装置等がある。レーダ装置は、送信した電波信号が物標により反射してなるエコー信号を受信することで探知領域に対する探知画像を形成して、表示する。ところが、物標の構造によっては、送信された電波信号が物標で多重反射し、レーダ装置は、その多重反射によるエコー信号を受信することで、実際には探知領域に存在しない物標の画像(レーダ偽像)を表示することがある。
【0003】
図17は、レーダ偽像を含む探知画像示す図である。図17は、レーダ装置が搭載された船舶を基準とした距離及び角度に対応した探知画像であって、距離R1からR2に物標が存在する探知領域の探知を行った結果を図中の白色部分で示している。図に示すように、形成された探知画像は、実際には物標が存在しない距離R2からR3においてレーダ偽像が現れている。このように、探知画像が正確に形成されない場合には、物標の大きさ、位置及び代表点などを精度よく検出できない。そこで、より正確な探知画像を形成するために、レーダ偽像を除去する装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
特許文献1に記載の装置は、物標が移動している場合、生成した物標映像から求めた物標の長さと予め決められた係数とから物標の幅を求めて、物標の針路と垂直方向に生成した物標映像を物標の幅分移動させた疑似偽像を生成する。そして、物標映像及び疑似偽像映像それぞれが重なる範囲を物標での多重反射による偽像として、生成した物標映像から重複部分を除去して表示する。
【0005】
また、レーダ偽像の原因は多重反射に限られない。図18は、レーダ偽像の原因を説明するための図であり、レーダ装置が受信した信号の信号レベルと、レーダ装置が搭載された船舶からの距離とを対応付けたグラフを示している。距離R1からR2に実際に物標が存在する場合、エコー信号は、理想的には距離R1から距離R2の間で凸状となる波形となる。ところが、例えばエコー信号を増幅する際に、エコー信号の信号レベルが急騰して、増幅器に誤作動が生じた場合、エコー信号の波形の立ち下りが、距離R2を超えて物標が存在しない距離R3まで尾を引いた状態となる。この尾を引いた立ち下がる部分の信号(以下、偽像信号という)が、図17に示すように、距離R2からR3に現れるレーダ偽像の原因となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平07−110372号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1に記載の装置は、予め決められた係数がない場合、物標の幅を求めることができず、また、疑似偽像映像を生成するための処理時間及び使用メモリ容量などを必要とする。このため、特許文献1に記載の装置では、多重反射による偽像を効果的に除去することができない。また、図18で説明した原因の場合、特許文献1に記載の装置ではレーダ偽像を除去することができない。
【0008】
そこで、本発明の目的は、入力信号から不要な信号を除いて、物標での反射によるエコー信号を検出する信号処理装置、レーダ装置、信号処理方法及び信号特定プログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、物標での反射によるエコー信号を入力信号から特定する信号処理装置において、信号レベル検出部と、立ち上がり検出部と、エコー信号特定部とを備える。信号レベル検出部は、入力信号の信号レベルを検出する。立ち上がり検出部は、入力信号におけるエコー信号の立ち上がりを検出する。エコー信号特定部は、該立ち上がり検出部が検出した立ち上がりの開始時から所定時間経過するまでの信号から、物標での反射によるエコー信号を特定する。
【0010】
この構成では、エコー信号の立ち上がり開始時から所定時間経過するまでの範囲からエコー信号を特定する。エコー信号を特定する場合、エコー信号のその立ち上がりを検出できても、立ち下がりが尾を引いた状態となった場合、どこまでがエコー信号の終端部かが把握できない場合がある。そこで、エコー信号の立ち上がり開始時から所定時間経過するまでの範囲からエコー信号を推定することで、入力信号に含まれる不要な信号と推定される部分を除去して、エコー信号のみを特定することができる。その結果、エコー信号から適切な探知画像を形成することができる。なお、以下では、エコー信号は、物標での反射による信号をいい、多重反射による信号とは区別する。
【0011】
本発明に係る信号処理装置は、前記立ち上がり検出部が検出した立ち上がりの開始時から前記所定時間経過するまでの信号の信号レベルの最大値を特定する最大値特定部をさらに備える。前記エコー信号特定部は、前記最大値特定部が特定した最大値に基づいて、前記エコー信号を特定する。
【0012】
この構成では、入力信号の信号レベルの最大値に基づいて、物標での反射によるエコー信号を特定している。上述のように、立ち下がりが尾を引いた状態となった場合、どこまでがエコー信号の終端部かが把握できない場合がある。そこで、エコー信号の最大値からエコー信号の範囲を推定することで、入力信号に含まれる不要な信号と推定される部分を除去して、エコー信号のみを特定することができる。その結果、エコー信号から適切な探知画像を形成することができる。
【0013】
本発明に係る信号処理装置は、前記最大値に基づいて、信号レベルの閾値を決定する閾値決定部をさらに備える。前記エコー信号特定部は、信号レベルが前記閾値決定部により決定された閾値以上となる信号を、エコー信号と特定する。
【0014】
この構成では、エコー信号を特定するための具体的例として、信号レベルの最大値に基づいて決定する閾値を用いた例を示している。
【0015】
本発明に係る信号処理装置において、エコー信号特定部は、信号レベルが、最大値特定部が特定した最大値となってから閾値となるまでの信号を、エコー信号と特定する。
【0016】
この構成では、閾値を用いたエコー信号の特定範囲の具体的例として、信号レベルが最大値となる信号の位置を、特定範囲の開始位置とした例を示している。
【0017】
本発明に係る信号処理装置において、最大値特定部は、端部レベル特定部、及び判定部を有する。端部レベル特定部は、立ち上がり検出部が検出した立ち上がりの極大部における信号の信号レベルを特定する。判定部は、端部レベル特定部が特定した信号レベルより大きい信号レベルの有無を判定する。最大値特定部は、前記端部レベル特定部が特定した信号レベルより大きい信号レベルがあると、前記判定部が判定した場合、端部レベル特定部が特定した信号レベルより大きい信号レベルを最大値と特定する。エコー信号特定部は、極大部から信号レベルが閾値となるまでの信号を、エコー信号と特定する。
【0018】
この構成では、信号レベルの最大値を特定する具体的方法、及びエコー信号の特定範囲の具体的例を示している。
【0019】
本発明に係る信号処理装置は、算出部をさらに備える。算出部は、立ち上がり検出部が検出した立ち上がりの開始時から、信号レベルが最大値特定部により特定される最大値となるまでの時間を算出する。エコー信号特定部は、立ち上がり開始時から、算出部が算出した時間の少なくとも倍の時間が経過するまでの信号を、エコー信号と特定する。
【0020】
この構成では、エコー信号を特定するための具体的例として、算出した信号の立ち上がり時間からエコー信号の立ち下がり時間を推定することで、エコー信号の特定範囲を決定する例を示している。
【0021】
本発明に係る信号処理装置は、補正部をさらに備える。補正部は、エコー信号特定部が特定した信号以降の入力信号の信号レベルを補正する。
【0022】
この構成では、入力信号に含まれる不要な信号を除去する具体例として、特定したエコー信号以外の信号を補正する例を示している。
【0023】
本発明に係る信号処理装置において、補正部は、信号レベルをノイズレベルにする。
【0024】
この構成では、入力信号に含まれる不要な信号を除去する具体例として、特定したエコー信号以外の信号の信号レベルをノイズレベルに補正する例を示している。
【0025】
本発明に係る信号処理装置は、平滑化部をさらに備える。平滑部は、信号レベル検出部が検出した信号レベルを平滑化する。
【0026】
この構成では、信号処理を行う際の具体的手法を示している。
【発明の効果】
【0027】
本発明によれば、エコー信号の最大値からエコー信号の範囲を推定することで、入力信号に含まれる不要な信号と推定される部分を除去して、エコー信号のみを特定することができる。その結果、エコー信号から適切な探知画像を形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】実施形態1に係るレーダ装置の構成を示すブロック図である。
【図2】信号処理部が有する機能のブロック図である。
【図3】信号処理部に入力された受信信号の波形を示す模式図である。
【図4】偽像信号の信号レベルを変更した後の受信信号の波形を示す模式図である。
【図5】図4に示す受信信号に基づいて形成された探知画像を示す図である。
【図6】信号処理部で実行される処理の手順を示すフローチャートである。
【図7】実施形態2に係る信号処理部が有する機能のブロック図である。
【図8】信号処理部に入力された受信信号の波形を示す模式図である。
【図9】信号処理部で実行される処理の手順を示すフローチャートである。
【図10】実施形態3に係る信号処理部が有する機能のブロック図である。
【図11】信号処理部に入力された受信信号の波形を示す模式図である。
【図12】信号処理部で実行される処理の手順を示すフローチャートである。
【図13】実施形態4に係る信号処理部が有する機能のブロック図である。
【図14】平滑化前後の受信信号の波形を示す模式図である。
【図15】算出した信号波形の傾きを矢印で示す模式図である。
【図16】信号処理部で実行される処理の手順を示すフローチャートである。
【図17】レーダ偽像を含む探知画像示す図である。
【図18】レーダ偽像の原因を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明に係る信号処理装置、レーダ装置、信号処理方法及び信号特定プログラムの好適な実施形態について図面を参照して説明する。以下に説明する実施形態では、本発明に係る信号処理装置を備え、船舶に搭載されるレーダ装置について説明する。レーダ装置は、方位を順次変えながら波長の短い電波を、自身が搭載された船舶(以下、自船という)の周囲方向に対して放射し、その反射波を受信することにより、海上の他船又は鳥などの物標までの距離と方位を測定する物標探知を行う。
【0030】
(実施形態1)
図1は実施形態1に係るレーダ装置の構成を示すブロック図である。レーダ装置1は、送信部10、サーキュレータ11、アンテナ12、受信処理部13及び記憶部14などを備える。記憶部14は、例えばROM(Read Only Memory)などであり、レーダ装置1に必要なプログラム14a及び各種データなどを格納する。
【0031】
送信部10は、所定のタイミングでパルス信号を出力するように制御されており、基準周波数信号を用いて、設定されたタイミングでパルス信号をサーキュレータ11へ出力する。送信部10が出力するパルス信号の時間長(送信パルス幅)は、探知領域に応じて、短パルス信号、中パルス信号又は長パルス信号の何れかに決定してもよいし、それぞれの信号を一組としたパルス列としてもよい。例えば、パルス信号のパルス幅を長くした場合、電波の減衰が少なく、遠くまで探知することができるが、分解能が低くなるため、物標に係る画像の解像度は悪くなる。パルス信号のパルス幅を短くした場合、電波の減衰が大きく、遠くまで探知できないが、物標に係る画像の解像度は高くなる。
【0032】
サーキュレータ11は、送信部10から出力されたパルス信号をアンテナ12へ伝送する。アンテナ12は、自船に配備されており、水平面上を所定の回転速度で回転しながら、サーキュレータ11を介して入力されたパルス信号を所定の指向性で外部へ放射する。また、アンテナ12は、自身が放射したパルス信号が探知領域内の物標に反射してなるエコー信号、及びノイズ信号などを含む信号を受信し、サーキュレータ11へ受信信号として出力する。サーキュレータ11は、アンテナ12から出力された受信信号を受信処理部13へ伝送する。
【0033】
受信処理部13は、例えばマイクロコンピュータであって、サーキュレータ11を介して入力された受信信号の検波を行い、探知領域内の物標探知を行う。この受信処理部13は、記憶部14に格納されるプログラム14aを実行することで、増幅部130、A/D変換部131、受信データ記憶部132、及び信号処理部133などの機能を備える。
【0034】
増幅部130は、サーキュレータ11を介してアンテナ12から入力された受信信号を増幅する。増幅部130は、増幅した受信信号をA/D変換部131へ出力する。A/D変換部131は、増幅部130が増幅した受信信号を、所定のサンプリングタイムでアナログ−デジタル変換して、所定ビット数からなる受信データを形成し、受信データ記憶部132へ出力する。
【0035】
受信データ記憶部132は、所謂スイープメモリを備える。受信データ記憶部132は、A/D変換部131によりデジタル変換された1スイープ分の受信データを実時間で記憶し、次により得られる受信データが再び書き込まれるまでに、この1スイープ分の受信データを記憶する。より具体的には、受信データ記憶部132は、順次入力される受信データを近距離側から遠距離側へ並ぶように、すなわち自船を基準として距離方向に並ぶように、順次1スイープ分だけ記憶する。この際、受信データ記憶部132は、方位方向に並ぶ複数スイープの受信データを記憶できるように、複数のスイープメモリを備えている。
【0036】
信号処理部133は、受信データ記憶部132から受信データを随時読み出し、受信信号(入力信号)の波形を形成する。そして、信号処理部133は、受信信号から偽像信号を除去したエコー信号のみを検出することで、探知領域内の物標探知を行う。探知結果は、例えば画像データが生成され、不図示の表示器へ出力される。表示器は、レーダ装置1が備えていてもよいし、レーダ装置1とは別途に設けられていてもよい。
【0037】
次に、信号処理部133について詳述する。以下では、探知領域内において、自船からの距離R1から距離R2(>R1)に物標が存在するものとして説明する。換言すれば、距離R1が、例えば船舶などの物標の最前縁部となり、距離R2が物標の最後縁部となる。
【0038】
図2は、信号処理部133が有する機能のブロック図である。図3は、信号処理部133に入力された受信信号の波形を示す模式図である。図3は、自舶からの距離を横軸とし、信号処理部133に入力された受信信号の信号レベルを縦軸としたグラフである。
【0039】
信号処理部133は、信号レベル検出部21、立ち上がり検出部22、画像範囲検出部23、最大値特定部24、閾値決定部25及びエコー信号検出部26などの機能を有している。
【0040】
信号レベル検出部21は、受信データ記憶部132から1スイープ分の受信データを随時読み出して信号レベルを検出する。信号レベル検出部21が検出した信号レベルは、探知距離毎に対応付けられる。図3において、例えば、アンテナ12から送信されたパルス信号が物標の最前縁部に反射してなるエコー信号の信号レベルは、距離R1と対応付けられる。
【0041】
なお、探知距離は、アンテナ12からパルス信号が送信されてから、そのパルス信号に対応するエコー信号が受信されるまでの時間により算出される。また、図3において、物標が存在しないため、エコー信号を受信しない距離R1までに信号レベル検出部21が検出している信号レベルは、ノイズレベルである。
【0042】
立ち上がり検出部22は、エコー信号の立ち上がりを検出する。立ち上がり検出部22は、例えば信号レベル検出部21が連続して検出した信号レベルの差が所定値以上である場合に、信号の立ち上がりを検出する。本実施形態では、立ち上がり検出部22が検出した信号の立ち上がり終端部(極大部)に対応する地点は、距離R1、すなわち物標の最前縁部とされる。なお、立ち上がり検出部22における立ち上がり検出方法は、特に限定されず、適宜変更可能である。
【0043】
画像範囲検出部23は、信号レベル検出部21及び立ち上がり検出部22による検出結果に基づいて、探知画像を生成する範囲を検出する。具体的には、画像範囲検出部23は、信号の立ち上がり以降、立ち上がった信号の信号レベルがノイズレベルに低減するまでの範囲を、探知画像を生成する範囲として検出する。本実施形態では、距離R3において、信号の信号レベルがノイズレベルとなるものとする。従って、画像範囲検出部23は、距離R1からR3が探知画像を生成する範囲として検出する。なお、画像範囲検出部23が検出した範囲から生成される探知画像は、図17に示すように、レーダ偽像を含む。
【0044】
最大値特定部(端部レベル特定部、判定部)24は、立ち上がり検出部22により立ち上がりが検出された場合、所定時間内、例えば、送信したパルス信号のパルス幅分の範囲内で、受信信号の信号レベルの最大値を特定する。具体的には、最大値特定部24は、立ち上がり検出部22が検出した信号の立ち上がりの終端部における信号レベルを一時的に最大値とする。その後、最大値特定部24は、画像範囲検出部23が検出した範囲において、一時的に最大値とした信号レベルより大きい信号レベルを検出した場合、検出した信号レベルを最大値として更新する。
【0045】
例えば、図3の場合、距離R1’における信号レベルは、距離R1における信号レベルより大きくなっている。そこで、最大値特定部24は、距離R1’における信号レベルを最大値として特定する。このように、理想的な波形の場合、信号の立ち上がりの終端部(距離R1)の信号レベルが最大値となるが、ノイズの影響によっては、最大値がその後変動するため、最大値特定部24は、ノイズの影響を考慮した信号レベルの最大値を特定することができる。
【0046】
なお、最大値特定部24は、信号の立ち上がりの終端部における信号レベルより大きい信号レベルがない場合には、信号の立ち上がりの終端部における信号レベルを最大値と特定する。
【0047】
閾値決定部25は、最大値特定部24が特定した最大値に基づいて、信号レベルの閾値を決定する。閾値決定部25は、特定された最大値の、例えば80%の値を信号レベルの閾値として決定する。なお、閾値決定部25は、最大値の80%の値を信号レベルの閾値としているが、閾値の決定方法は、ユーザの経験則又はレーダ装置1の性能などによって適宜変更可能である。
【0048】
エコー信号検出部(エコー信号特定部)26は、立ち上がり検出部22が検出した信号の立ち上がり、及び閾値決定部25が決定した閾値に基づいて、受信信号から偽像信号を除去して、エコー信号を検出する。エコー信号検出部26は、立ち上がり検出部22が検出した信号の立ち上がり終端部に対応する地点を距離R1、すなわち物標の最前縁部とする。また、エコー信号検出部26は、閾値決定部25が決定した閾値の信号レベルに対応する地点を距離R2、すなわち物標の最後縁部とする。そして、エコー信号検出部26は、距離R1からR2の信号を、アンテナ12から送信されたパルス信号が物標に反射したエコー信号とし、距離R2からR3までの信号を偽像信号とする。エコー信号検出部26は、偽像信号とした信号の信号レベルをノイズレベルに変更(補正)する。
【0049】
図4は、偽像信号の信号レベルを変更した後の受信信号の波形を示す模式図である。図5は、図4に示す受信信号に基づいて形成された探知画像を示す図である。図4に示すように、エコー信号検出部26により偽像信号の信号レベルをノイズレベルに変更することで、受信信号から偽像信号を除いたエコー信号のみを検出することができる。この結果、図5に示すように、図17で現れていたレーダ偽像がなくなり、距離R1からR2に存在する物標のみの探知画像を生成できるため、精度の高い物標探知を行うことが可能となる。
【0050】
なお、本実施形態では、立ち上がり検出部22が検出した信号の立ち上がり終端部に対応する地点を、距離R1としているが、立ち上がり開始端部に対応する地点を距離R1としてもよい。また、エコー信号検出部26は、偽像信号とした信号の信号レベルをノイズレベルに変更しているが、信号レベルを「0」としてもよい。
【0051】
次に、偽像信号を除去してエコー信号を検出する信号処理部133の処理動作について詳述する。図6は、信号処理部133で実行される処理の手順を示すフローチャートである。
【0052】
信号処理部133は、受信データ記憶部132に受信データが記憶されたか否かを判定する(S1)。受信データが記憶されていない場合(S1:NO)、信号処理部133は、本処理を終了する。受信データが記憶された場合(S1:YES)、信号処理部133は、受信データ記憶部132から受信データを随時取得して受信信号の信号レベルを検出する(S2)。そして、信号処理部133は、受信信号におけるエコー信号の立ち上がりを検出する(S3)。
【0053】
次に、信号処理部133は、信号の立ち上がり以降、立ち上がった信号の信号レベルがノイズレベルとなるまでの範囲を、探知画像を生成する範囲として検出する(S4)。例えば、図8の場合、距離R1からR3までの信号が、探知画像を生成する範囲として検出される。続いて、信号処理部133は、最初のピーク値となる信号の立ち上がり終端部における信号レベルを最大値として特定する(S5)。
【0054】
その後、信号処理部133は、S5で最大値として特定した信号レベルより大きい信号レベルが、S4で検出した範囲内にあるか否かを判定する(S6)。信号レベルがある場合(S6:YES)、信号処理部133は、S6で検出した信号レベルを最大値として更新し(S7)、S8の処理に移行する。信号レベルがない場合(S6:NO)、信号処理部133は、S5で特定した信号レベルを最大値としたまま、S8の処理に移行する。
【0055】
信号処理部133は、特定した信号レベルの最大値に基づいて、信号レベルの閾値を決定する(S8)。例えば、信号処理部133は、特定した最大値の80%の値を信号レベルの閾値とする。そして、信号処理部133は、これまでの処理結果に基づいて、エコー信号の検出を行う(S9)。具体的には、信号処理部133は、S3で検出した信号の立ち上がり終端部に対応する地点を距離R1、及び、S8で決定した閾値の信号レベルに対応する地点を距離R2とする。そして、信号処理部133は、距離R1からR2間の信号を、アンテナ12から送信されたパルス信号が物標に反射したエコー信号とする。また、信号処理部133は、S4で検出した範囲における距離R2以降の信号を偽像信号とし、偽像信号の信号レベルをノイズレベルに変更する。その後、信号処理部133は、本処理を終了する。
【0056】
なお、信号処理部133で行われた処理結果に基づいて、例えば、図5に示すR−θ座標系からX−Y座標系信号に変換された探知画像の画像データが生成され、また、物標を囲む領域が検出され、その代表点が算出されるなど、レーダ装置1における各処理が実行される。
【0057】
以上説明したように、本実施形態に係るレーダ装置1は、受信信号の信号レベルの最大値から閾値を決定し、その閾値を基準に受信信号から偽像信号を除いたエコー信号を検出している。これにより、レーダ装置1は、複雑な演算処理を必要とせず、また、処理に必要なデータを予め記憶していなくても、探知画像からレーダ偽像を除去することができ、その結果、精度のよい物標探知が行える。
【0058】
なお、本実施形態では、信号の立ち上がり終端部をエコー信号の開始端部としているが、エコー信号検出部26は、信号レベルが閾値以上の信号をエコー信号の開始端部として検出するようにしてもよいし、検出範囲は適宜変更可能である。また、立ち上がり検出部22による立ち上がりの検出方法、及び、最大値特定部24による最大値の決定方法などは、本実施形態で説明した内容に限定されることはない。
【0059】
(実施形態2)
次に、本発明に係る信号処理装置の実施形態2について説明する。本実施形態では、図1に示すレーダ装置1の構成は同じであるが、信号処理部133の機能及び動作が実施形態1と相違する。以下、実施形態1との相違点について説明する。
【0060】
図7は、実施形態2に係る信号処理部133が有する機能のブロック図である。図8は、信号処理部133に入力された受信信号の波形を示す模式図である。
【0061】
本実施形態に係る信号処理部133は、信号レベル検出部21、立ち上がり検出部22、画像範囲検出部23、最大値特定部24、距離算出部27及びエコー信号検出部26などの機能を備える。信号レベル検出部21、立ち上がり検出部22、画像範囲検出部23及び最大値特定部24は、実施形態1と同様であるため、説明は省略する。
【0062】
距離算出部27は、立ち上がり検出部22が検出した信号の立ち上がり開始時から、最大値特定部24が特定した最大値の信号レベルの検出時までに対応する距離を算出する。本実施形態では、図8に示すように、立ち上がり検出部22が検出した信号の立ち上がり開始端部に対応する地点を距離R1、すなわち、物標の最前縁部とする。また、最大値特定部24が特定した最大値の信号レベルに対応する地点を距離R1’とする。距離算出部27は、距離R1からR1’までの距離(R1’−R1)を算出する。この算出した距離(R1’−R1)が、エコー信号の立ち上がりに係る距離となる。
【0063】
エコー信号検出部26は、距離算出部27による算出結果に基づいて、エコー信号を検出する。エコー信号検出部26は、最大値の信号レベルに対応する距離R1’から、距離(R1’−R1)分後方となる位置を、物標の最後縁部である距離R2とする。換言すれば、エコー信号検出部26は、エコー信号の立ち下がり時間を、エコー信号の立ち上がり時間と同じと仮定して、距離R1からエコー信号の立ち上がり時間の倍が経過した時点を距離R2とする。そして、エコー信号検出部26は、距離R1からR2間の信号をエコー信号とし、距離R2以降の信号を偽像信号とする。
【0064】
エコー信号検出部26は、偽像信号とした信号の信号レベルをノイズレベルに変更する。本実施形態では、エコー信号検出部26は、図8の一点鎖線で示すように、距離R1’からR2にかけて信号レベルが徐々にノイズレベルとなるように変更する。この結果、実施形態1と同様に、受信信号から偽像信号を除いたエコー信号のみを検出することができる。なお、エコー信号検出部26は、図4に示すように、距離R2以降の信号の信号レベルをノイズレベルに変更するようにしてもよい。
【0065】
次に、信号処理部133の処理動作について詳述する。図9は、信号処理部133で実行される処理の手順を示すフローチャートである。
【0066】
信号処理部133は、受信データ記憶部132に受信データが記憶されたか否かを判定する(S11)。受信データが記憶されていない場合(S11:NO)、信号処理部133は、本処理を終了する。受信データが記憶された場合(S11:YES)、信号処理部133は、受信データ記憶部132から受信データを随時取得して受信信号の信号レベルを検出する(S12)。そして、信号処理部133は、信号の立ち上がりを検出する(S13)。信号処理部133は、受信信号から探知画像を生成する範囲を検出する(S14)。
【0067】
次に、信号処理部133は、図8における距離R1からR1’までの距離(R1’−R1)を算出する(S15)。そして、信号処理部133は、距離R1’から、距離(R1’−R1)分後方となる位置を、物標の最後縁部である距離R2として、距離R1からR2間の信号を、エコー信号として検出する(S16)。その後、信号処理部133は本処理を終了する。
【0068】
以上説明したように、本実施形態に係るレーダ装置1は、実施形態1と同様に、複雑な演算処理を必要とせず、また、処理に必要なデータを予め記憶していなくても、探知画像からレーダ偽像を除去することができ、その結果、精度のよい物標探知が行える。
【0069】
(実施形態3)
次に、本発明に係る信号処理装置の実施形態3について説明する。本実施形態では、図1に示すレーダ装置1の構成は同じであるが、信号処理部133の機能及び動作が実施形態1と相違する。以下、実施形態1との相違点について説明する。
【0070】
図10は、実施形態3に係る信号処理部133が有する機能のブロック図である。図11は、信号処理部133に入力された受信信号の波形を示す模式図である。
【0071】
信号処理部133は、信号レベル検出部21、立ち上がり検出部22、画像範囲検出部23、送信パルス情報取得部28及びエコー信号検出部26などの機能を備える。信号レベル検出部21、立ち上がり検出部22及び画像範囲検出部23は、実施形態1と同様であるため、説明は省略する。
【0072】
送信パルス情報取得部28は、送信部10から送信したパルス信号に関する情報を取得する。具体的には、送信パルス情報取得部28は、送信したパルス信号のパルス幅(時間幅)を取得する。
【0073】
エコー信号検出部26は、送信パルス情報取得部28が取得したパルス信号のパルス幅に基づいて、受信信号からエコー信号を検出する。アンテナ12から送信されたパルス信号が物標に反射した場合、アンテナ12は、同じパルス幅のエコー信号を受信する。そこで、エコー信号検出部26は、図11に示すように、立ち上がり検出部22が検出した立ち上がりの開始端部から、送信したパルス信号のパルス幅分後方までを、物標の最後縁部である距離R2とする。そして、エコー信号検出部26は、距離R2以降の信号を偽像信号とする。なお、エコー信号検出部26は、実施形態1,2と同様に、偽像信号とした信号の信号レベルをノイズレベルに変換するようにしてもよい
次に、信号処理部133の処理動作について詳述する。図12は、信号処理部133で実行される処理の手順を示すフローチャートである。
【0074】
信号処理部133は、受信データ記憶部132に受信データが記憶されたか否かを判定する(S21)。受信データが記憶されていない場合(S21:NO)、信号処理部133は、本処理を終了する。受信データが記憶された場合(S21:YES)、信号処理部133は、受信データ記憶部132から受信データを随時取得して受信信号の信号レベルを検出する(S22)。そして、信号処理部133は、信号の立ち上がりを検出する(S23)。信号処理部133は、受信信号から探知画像を生成する範囲を検出する(S24)。
【0075】
次に、信号処理部133は、送信部10からパルス信号に関する情報を取得する(S25)。具体的には、信号処理部133は、送信したパルス信号のパルス幅を取得する。そして、信号処理部133は、検出した信号の立ち上がりの開始端部から、取得したパルス幅分後方までを、物標の最後縁部である距離R2とし、距離R1からR2間の信号を、エコー信号として検出し(S26)、本処理を終了する。
【0076】
以上説明したように、本実施形態に係るレーダ装置1は、実施形態1,2と同様に、複雑な演算処理を必要とせず、また、処理に必要なデータを予め記憶していなくても、探知画像からレーダ偽像を除去することができ、その結果、精度のよい物標探知が行える。
【0077】
(実施形態4)
次に、本発明に係る信号処理装置の実施形態4について説明する。本実施形態では、図1に示すレーダ装置1の構成は同じであるが、信号処理部133の機能が実施形態1と相違する。以下、実施形態1との相違点について説明する。
【0078】
図13は、実施形態4に係る信号処理部133が有する機能のブロック図である。
【0079】
本実施形態に係る信号処理部133は、信号レベル検出部21、立ち上がり検出部22、画像範囲検出部23、平滑化部29、傾き算出部30及びエコー信号検出部26などの機能を備える。信号レベル検出部21、立ち上がり検出部22及び画像範囲検出部23は、実施形態1と同様であるため、説明は省略する。
【0080】
平滑化部29は、画像範囲検出部23が検出した範囲の信号をローパスフィルタにより平滑化する。図14は、平滑化前後の受信信号の波形を示す模式図である。図14の上部は平滑化前の信号の波形を示し、下部は平滑化後の信号の波形を示している。図に示すように、画像範囲検出部23が検出した範囲、距離R1からR3までの信号を平滑化することで、後述の傾き算出部30による信号波形の傾き算出を行い易くしている。なお、平滑処理は、実施形態1〜3においても行うようにしてもよい。
【0081】
傾き算出部30は、平滑化部29による平滑化の結果から、距離R1からR3までの各地点における信号波形の傾き(微分値)を算出する。図15は、算出した信号波形の傾きを矢印で示す模式図である。
【0082】
エコー信号検出部26は、傾き算出部30が算出した傾きに基づいて、エコー信号を検出する。エコー信号検出部26は、立ち上がりの開始端部から順に算出した信号波形の傾きを参照し、傾きが正から負となる位置、より具体的には、傾きが連続して負となる部分の先頭を検出する。エコー信号検出部26は、検出した位置を、物標の最後縁部の距離R2とし、距離R2以降の信号を偽像信号とする(図15参照)。なお、エコー信号検出部26は、実施形態1,2と同様に、偽像信号とした信号の信号レベルをノイズレベルに変換するようにしてもよい。
【0083】
次に、信号処理部133の処理動作について詳述する。図16は、信号処理部133で実行される処理の手順を示すフローチャートである。
【0084】
信号処理部133は、受信データ記憶部132に受信データが記憶されたか否かを判定する(S31)。受信データが記憶されていない場合(S31:NO)、信号処理部133は、本処理を終了する。受信データが記憶された場合(S31:YES)、信号処理部133は、受信データ記憶部132から受信データを随時取得して受信信号の信号レベルを検出する(S32)。そして、信号処理部133は、信号の立ち上がりを検出する(S33)。信号処理部133は、受信信号から探知画像を生成する範囲を検出する(S34)。
【0085】
次に、信号処理部133は、S34で検出した探知画像を生成する範囲における信号を平滑化し(S35)、平滑化後の信号波形の傾きを算出する(S36)。そして、信号処理部133は、算出した傾きが正から負となる位置を物標の最後縁部である距離R2とし、距離R1からR2間の信号をエコー信号として検出する(S37)。その後、信号処理部133は、本処理を終了する。
【0086】
以上説明したように、本実施形態に係るレーダ装置1は、実施形態1,2と同様に、複雑な演算処理を必要とせず、また、処理に必要なデータを予め記憶していなくても、探知画像からレーダ偽像を除去することができ、その結果、精度のよい物標探知が行える。 以上、本発明の好適な実施形態について、具体的に説明したが、各構成及び動作等は適宜変更可能であって、上述の実施形態に限定されることはない。例えば、上述の実施の形態では、本発明に係る信号処理装置を備えたレーダ装置1として説明したが、スキャニングソナー、又は自船の真下に超音波パルス、及びそのエコー信号を送受信する魚群探知装置であってもよい。
【符号の説明】
【0087】
1−レーダ装置、10−送信部、12−アンテナ、13−受信処理部、21−信号レベル検出部、22−立ち上がり検出部、23−画像範囲検出部、24−最大値特定部、25−閾値決定部、26−エコー信号検出部(特定部、補正部)、130−増幅部、131−A/D変換部、132−受信データ記憶部、133−信号処理部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
物標での反射によるエコー信号を入力信号から特定する信号処理装置において、
入力信号の信号レベルを検出する信号レベル検出部と、
入力信号におけるエコー信号の立ち上がりを検出する立ち上がり検出部と、
該立ち上がり検出部が検出した立ち上がりの開始時から所定時間経過するまでの信号から、物標での反射によるエコー信号を特定するエコー信号特定部と
を備えることを特徴とする信号処理装置。
【請求項2】
請求項1に記載の信号処理装置であって、
前記立ち上がり検出部が検出した立ち上がりの開始時から前記所定時間経過するまでの信号の信号レベルの最大値を特定する最大値特定部
をさらに備え、
前記エコー信号特定部は、
前記最大値特定部が特定した最大値に基づいて、前記エコー信号を特定する
ことを特徴とする信号処理装置。
【請求項3】
請求項2に記載の信号処理装置であって、
前記最大値に基づいて、信号レベルの閾値を決定する閾値決定部
をさらに備え、
前記エコー信号特定部は、
信号レベルが前記閾値決定部により決定された閾値以上となる信号を、エコー信号と特定する
ことを特徴とする信号処理装置。
【請求項4】
請求項3に記載の信号処理装置であって、
前記エコー信号特定部は、
信号レベルが、前記最大値特定部が特定した最大値となってから前記閾値となるまでの信号を、エコー信号と特定する
ことを特徴とする信号処理装置。
【請求項5】
請求項3又は4に記載の信号処理装置であって、
前記最大値特定部は、
前記立ち上がり検出部が検出した立ち上がりの極大部における信号の信号レベルを特定する端部レベル特定部と、
該端部レベル特定部が特定した信号レベルより大きい信号レベルの有無を判定する判定部と
を有し、
前記端部レベル特定部が特定した信号レベルより大きい信号レベルがあると、前記判定部が判定した場合、前記端部レベル特定部が特定した信号レベルより大きい信号レベルを最大値と特定し、
前記エコー信号特定部は、
前記極大部から信号レベルが前記閾値となるまでの信号を、エコー信号と特定する
ことを特徴とする信号処理装置。
【請求項6】
請求項2に記載の信号処理装置において、
前記立ち上がり検出部が検出した立ち上がりの開始時から、信号レベルが前記最大値特定部により特定される最大値となるまでの時間を算出する算出部
をさらに備え、
前記エコー信号特定部は、
立ち上がり開始時から、前記算出部が算出した時間の少なくとも倍の時間が経過するまでの信号を、エコー信号と特定する
ことを特徴とする信号処理装置。
【請求項7】
請求項2乃至6に記載の信号処理装置において、
前記エコー信号特定部が特定した信号以降の入力信号の信号レベルを補正する補正部
をさらに備えることを特徴とする信号処理装置。
【請求項8】
請求項7に記載の信号処理装置において、
前記補正部は、
信号レベルをノイズレベルにする
ことを特徴とする信号処理装置。
【請求項9】
請求項2乃至8の何れか一つに記載の信号処理装置において、
前記信号レベル検出部が検出した信号レベルを平滑化する平滑化部
をさらに備えることを特徴とする信号処理装置。
【請求項10】
請求項1に記載の信号処理装置であって、
送信されたパルス信号が物標で反射してなるエコー信号を入力信号から検出する場合、
送信されたパルス信号の時間幅を取得する手段
をさらに備え、
前記エコー信号特定部は、
前記立ち上がり検出部が検出した立ち上がりの開始時から前記時間幅分を、物標での反射によるエコー信号と特定する
ことを特徴とする信号処理装置。
【請求項11】
請求項1乃至10の何れか一つに記載の信号処理装置と、
信号を送受信するアンテナと
を備えるレーダ装置であって、
前記信号処理装置のエコー信号特定部は、
前記アンテナが受信した信号から、物標での反射によるエコー信号を特定し、
前記エコー信号特定部が検出したエコー信号に基づいて、前記アンテナが信号を送信した領域における物標を探知する
ことを特徴とするレーダ装置。
【請求項12】
物標での反射によるエコー信号を入力信号から特定する信号処理方法において、
入力信号の信号レベルを検出するステップと、
入力信号におけるエコー信号の立ち上がりを検出するステップと、
検出した立ち上がりの開始時から所定時間経過するまでの信号から、物標での反射によるエコー信号を特定するステップと
を備えることを特徴とする信号処理方法。
【請求項13】
物標での反射によるエコー信号を入力信号から特定する信号処理方法において、
入力信号の信号レベルを検出するステップと、
入力信号におけるエコー信号の立ち上がりを検出するステップと、
検出した立ち上がりの開始時以降における信号の信号レベルの最大値を特定するステップと、
特定した最大値に基づいて、物標での反射によるエコー信号を特定するステップと、
を備えることを特徴とする信号処理方法。
【請求項14】
物標での反射によるエコー信号を入力信号から特定するコンピュータで実行される信号特定プログラムにおいて、
コンピュータを、
入力信号の信号レベルを検出する信号レベル検出部、
入力信号におけるエコー信号の立ち上がりを検出する立ち上がり検出部、及び、
該立ち上がり検出部が検出した立ち上がりの開始時から所定時間経過するまでの信号から、物標での反射によるエコー信号を特定するエコー信号特定部
として機能させることを特徴とする信号特定プログラム。
【請求項15】
物標での反射によるエコー信号を入力信号から特定するコンピュータで実行される信号特定プログラムにおいて、
コンピュータを、
入力信号の信号レベルを検出する信号レベル検出部、
入力信号におけるエコー信号の立ち上がりを検出する立ち上がり検出部、
該立ち上がり検出部が検出した立ち上がりの開始時以降における信号の信号レベルの最大値を特定する最大値特定部、及び、
該最大値特定部が特定した最大値に基づいて、物標での反射によるエコー信号を特定するエコー信号特定部
として機能させることを特徴とする信号特定プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2012−108049(P2012−108049A)
【公開日】平成24年6月7日(2012.6.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−258097(P2010−258097)
【出願日】平成22年11月18日(2010.11.18)
【出願人】(000166247)古野電気株式会社 (441)
【Fターム(参考)】