説明

信号処理装置、信号処理方法、および再生装置

【課題】データの不正コピー、改ざん、盗聴を防止するとともに、システムの自由度を増す信号処理装置、信号処理方法、および再生装置を提供する。
【解決手段】符号化手段1と、復号化手段2と、符号化手段1と復号化手段2との動作を制御する制御手段7とを備え、符号化手段1は、第1機器固有値を用いてデータを符号化処理する第1演算手段5と、符号化されたデータを出力する送信手段6と、を備え、復号化手段2は、符号化手段1から出力された符号化されたデータを受信する受信手段10と、第2機器固有値を用いて符号化されたデータを復号化する第2演算手段11と、を備え、第1機器固有値と第2機器固有値は、符号化手段1と復号化手段2とで共有される同一の値である情報処理装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、信号処理装置、信号処理方法、および再生装置に関する。
【背景技術】
【0002】
情報処理装置において保護規格で保護されたデータを復号し再生する際に、保護規格で保護されたデータを復号し再生するための信号処理経路で、非圧縮および非暗号のデータが存在する場合がある。このような場合には、保護されるべきデータが不正コピー、改ざん、盗聴される恐れがあった。
【0003】
従来、例えば、秘匿データを処理する機能(チューナ、デスクランブラ、MPEGデコーダ、表示部への表示出力部)を同一回路となるPCIデバイス上に構成し、装置内の共通バスとなるPCIバス上に秘匿データが出力されないようにしたものが提案されている(特許文献1参照)。
【0004】
また、保護規格で保護されたデータを復号し再生および記録する際に、保護規格で保護されたデータを復号し再生および記録するために信号処理経路で非圧縮および非暗号のデータが存在する場合、データの不正コピー、改ざん、盗聴を防止するためには、BGA(Ball Grid Array)パッケージのLSI(large-scale integration)を使用したり、配線パターンを基盤の内層に配線したり、システムをLSI化していた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002−222119号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、上記のようにデータの不正コピー、改ざん、盗聴を防止するために、処理システムをLSI化する場合には、信号処理過程の信号を利用することが困難になり、システムの自由度が制限されることがあった。
【0007】
この発明は、上記事情に鑑みて成されたものであって、データの不正コピー、改ざん、盗聴を防止するとともに、システムの自由度を増す信号処理装置、信号処理方法、および再生装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第1態様による信号処理装置は、符号化手段と、復号化手段と、前記符号化手段と前記復号化手段との動作を制御する制御手段とを備え、前記符号化手段は、前記第1機器固有値を用いてデータを符号化処理する第1演算手段と、符号化された前記データを出力する送信手段と、を備え、前記復号化手段は、前記符号化手段から出力された符号化された前記データを受信する受信手段と、前記第2機器固有値を用いて符号化された前記データを復号化する第2演算手段と、を備え、前記第1機器固有値と前記第2機器固有値は、前記符号化手段と前記復号化手段とで共有される同一の値である。
【0009】
本発明の第2態様による信号処理方法は、制御手段から出力されたデータを符号化手段において符号化して復号化手段に出力する符号化ステップと、前記符号化ステップで符号化されたデータを前記復号化手段において復号化して出力する復号化ステップと、を備え、前記符号化ステップは、前記第1機器固有値を用いてデータを符号化する第1演算ステップと、符号化された前記データを前記復号化手段へ出力する出力ステップと、を備え、前記復号化ステップは、符号化された前記データを受信する受信ステップと、前記第1機器固有値と同じ値である第2機器固有値を用いて前記データを復号化する第2演算ステップと、を備える情報処理方法である。
【0010】
本発明の第3態様による再生装置は、信号を選択的に受信する受信手段と、前記復号化手段から出力された信号に所定の信号処理を行なう信号処理手段と、前記信号処理手段から出力された信号を符号化する符号化手段と、前記符号化手段から出力された信号を復号化する復号化手段と、前記符号化手段と前記復号化手段との動作を制御する制御手段とを備え、前記符号化手段は、第1機器固有値を設定する第1設定手段と、前記第1機器固有値を用いてデータを符号化処理する第1演算手段と、符号化された前記データを出力する送信手段と、を備え、前記復号化手段は、第2機器固有値を設定する第2設定手段と、前記符号化手段から出力された符号化された前記データを受信する手段と、前記第2機器固有値を用いて符号化された前記データを復号化する第2演算手段と、を備え、前記第1機器固有値と前記第2機器固有値は、前記符号化手段と前記第2復号化手段とで共有される同一の値である再生装置である。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、データの不正コピー、改ざん、盗聴を防止するとともに、システムの自由度を増す信号処理装置、信号処理方法、および再生装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の一実施形態に係る信号処理装置の一構成例について説明するための図である。
【図2】図1に示す信号処理装置の符号部の一構成例について説明するための図である。
【図3】図1に示す信号処理装置の復号部の一構成例について説明するための図である。
【図4】本発明の一実施形態にかかる信号処理方法の一例について説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の一実施形態に係る信号処理装置、信号処理方法、および再生装置について説明する。本実施形態に係る信号処理装置および信号処理方法は、例えば映像再生装置において、保護規格により保護されたデータを伝送するものであって、受信手段(図示せず)により受信された秘匿データを復号して再生するための信号処理を行なう信号処理手段(図示せず)から出力された信号の信号処理経路において、非圧縮および非暗号となるデータを機器固有値により符号化して秘匿データとする符号部1と、符号部1から出力された秘匿データを受信して、符号部1内で用いた機器固有値と同じ値により秘匿データを復号化する復号部2とを備えている。
【0014】
すなわち、図1に示すように、本実施形態に係る信号処理装置は、符号部1、復号部2、および、符号部1および復号部2の動作を制御するための制御手段としてのSoC(System On Chip)7を備えている。復号部2から出力された復号データは、例えばHDMI(High Definition Multimedia Interface)等のインターフェイスを用いてディスプレイやスピーカに供給される。
【0015】
符号部1は、第1符号発生器3、データ置換回路4、第1演算器5、および、送信部6を備えている。復号部2は、データ再置換回路8、第2符号発生器9、受信部10、第2演算器11、および、同期クロック発生回路12を備えている。
【0016】
図1および図2に示すように、符号部1には、SoC7から保護すべきデータと機器固有値とが供給される。第1符号発生器3は供給されたSoC7から機器固有値を保持する保持回路3Aと、機器固有値を第1機器固有値として設定する設定回路3Bと、設定回路3Bで設定された後の第1機器固有値の値を一定のタイミングで巡回させるシフトレジスタ部3Cと、を備えている。
【0017】
第1符号発生器3は、SoC7からの機器固有値を保持回路3Aにより保持し、設定回路3Bにより第1機器固有値と第1機器固有値設定完了信号とを出力する。第1機器固有値は、シフトレジスタ部3Cに設定され、シフトクロックにより、第1機器固有値の値がシフトレジスタ部3Cを巡回する。第1符号発生器3に供給される機器固有値は、予め機器が内蔵している値であってもよく、機器が内蔵した値に所定の処理をした値であっても良い。
【0018】
第1符号発生器3で受信した機器固有値は、第1符号発生器3より、第1機器固有値として出力される。第1機器固有値は、復号部2と共有するため、符号部1から復号部2へ伝送される。
【0019】
このとき、暗号化されていない第1機器固有値を符号部1から復号部2へ伝送すると、第1機器固有値が露呈する可能性があるため、データ置換回路4により、第1機器固有値の配列を変えた置換データと、スタートパルスとして用いられる同期信号とを出力する。機器固有値は、SoC7から符号部1に供給されるデータの周波数の整数倍の周期で符号化される。
【0020】
図2に示すように、データ置換回路4は、第1符号発生器3から供給された第1機器固有値を置換するための第1保持回路4Aおよび第2保持回路4Bと、同期信号を生成するパルス発生器4Cとを備えている。
【0021】
第1符号発生器3から出力された第1機器固有値は、第1保持回路4Aに供給される。第1保持回路4Aは第1機器固有値を保持し、第2保持回路4Bに第1機器固有値を出力する際に、第1機器固有値の最後のビットが先頭に来るように、順番にNビット毎の置換を行。第2保持回路4Bは、第1機器固有値の最後のビットが先頭に来るように置換されたデータを置換データとして送信部6へ出力する。一方、パルス発生器4Cは、第1機器固有値設定完了信号を受信すると第1システムクロックを用いて同期信号を送信部6へ出力する。
【0022】
図2に示すように、送信部6は、同期信号が供給されるスタートビット生成回路6Aと、置換データが供給される保持回路6Bと、スタートビット生成回路6Aの出力信号と保持回路6Bの出力信号とが供給される合成回路6Dと、を備えている。送信部6は、データ置換回路4から供給された同期信号と置換データとを含む初期化データを復号部2へ出力する。
【0023】
スタートビット生成回路6Aは、第1システムクロックを用いて同期信号を受信し、同期信号を合成回路6Dに出力する。保持回路6Bは置換データを保持し、合成回路6Dに置換データを出力する。合成回路6Dは、スタートビット生成回路6Aから供給される同期信号と、保持回路6Bから供給される置換データとを合成し、初期化データとして出力する。また、後述する位相選択信号の出力後は、保持回路6Cが、送信クロックを用いて符号化データを受信し、送信クロックを用いて符号化データを秘匿データとして出力する。
【0024】
一方、外部に複製回路が作られた場合に、再度、第1機器固有値が設定されないために、一度第1機器固有値が設定されたタイミングで、第1符号発生器3の設定回路3Bは、設定が完了したことを通知する第1機器固有値設定完了信号をSoC7に出力する。SoC7は、この第1機器固有値設定完了信号を保持する。
【0025】
SoC7は、第1機器固有値設定完了信号により符号部1において機器固有値の設定が行われたことを検出し、解除信号が入力されない限り、再度機器固有値の設定を行わない。ここまでの動作で、符号部1の第1機器固有値の設定および、不正防止機能の設定が完了する。
【0026】
また、第1機器固有値設定完了信号は、パルス発生器4Cにも供給される。パルス発生器4Cは、第1機器固有値設定完了信号により第1機器固有値の設定が行なわれたことを検知し、第1機器固有値により信号処理を行なうための同期信号を出力する。
【0027】
以下に、SoC7から供給されたデータを符号化する動作について説明する。データはSoC7から第1演算器5に供給される。第1演算器5は、図2に示すように、シフトクロックおよびデータが供給される保持回路5Aと、シフトクロックが供給される同期パターン生成回路5Bと、保持回路5Aおよび同期パターン生成回路5Bの出力信号が供給される切り替え回路5Cと、切り替え回路5Cの出力信号と、シフトクロックと、第1符号発生器3から出力された符号信号とが供給される演算器5Dと、を備えている。すなわち、第1演算器5とシフトレジスタ部3Cとは、共にシフトクロックにより同期して動作する。
【0028】
第1演算器5では、まず、データの符号化を行う前に、第1演算器5の同期パターン生成回路5Bで同期パターンを発生させ、これを第1機器固有値により符号化し、符号化データとして送信部6に出力する。送信部6は、供給された符号化データを保持し、秘匿データとして復号部2に出力する。
【0029】
すなわち、第1演算器5が位相選択信号を受信する前は、SoC7からの制御信号により、シフトクロックで動作する同期パターン生成回路5Bからの同期パターンが出力されるように切り替え回路5Cが制御される。同期パターンは、演算器5Dで符号信号により符号化され、符号化データとして送信部6へ出力される。演算器5Dは同期パターンに符号信号を乗じて拡散処理をし、秘匿状態とする。
【0030】
復号部2が、後述する位相選択信号を、第1符号発生器3と第1演算器5とSoC7とに出力すると、第1演算器5は、位相選択信号により同期パターンの符号化を停止し、データを符号化する準備を行う。図2に示すように、位相選択信号は、第1演算器5の切り替え回路5Cに供給され、切り替え回路はこの位相選択信号を検知して出力する信号を切り替える。
【0031】
また、SoC7は、位相選択信号を検出すると、制御データを第1符号発生器3と第1演算器5に出力する。第1演算器5は、制御データによりシフトクロックをSoC7から出力されたデータを用いて受信する。第1符号発生器3は、制御データにより、シフトクロックを用いて符号データを出力する。
【0032】
受信したデータは、第1符号発生器3から第1機器固有値を用いて発生させた符号信号により、第1演算器5の演算器5Dで演算され、符号化データとして送信部6に出力される。符号化データは送信部6の保持回路6Cに供給される。保持回路6Cは、送信クロックと同期して、符号化データを秘匿データとして復号部2へ出力する。
【0033】
すなわち、第1演算器5が位相選択信号を受信した後は、切り替え回路5Cは、保持回路5Aから供給されたデータを出力するよう制御される。切り替え回路5Cから出力されたデータは、演算器5Dで符号信号により符号化され、符号化データとして送信部6へ出力される。演算器5Dはデータに符号信号を乗じて拡散処理をし、秘匿状態とする。
【0034】
上記のように、第1機器固有値を用いてデータを拡散処理し、符号化することにより、データを秘匿状態とすることができると共に、データを送信する際の電力を低下させることができる。
【0035】
なお、本実施形態に係る信号処理装置において、符号部1で使用するクロックは、第1符号発生器3がSoC7からの機器固有値の受信と第1機器固有値の送信を行うのに第1システムクロックを用いる。
【0036】
第1符号発生器3の符号信号の発生には、シフトクロックを使用し、また、データ置換回路4が第1機器固有値の受信と、置換データの送信と、同期信号の送信とを行うのに第1システムクロックを用いる。
【0037】
また、第1演算器5が、データの受信と符号化データの送信とに、シフトクロックを用い、また、送信部6が、置換データの受信、同期信号の受信と初期化データの送信には、第1システムクロックを用い、符号化データの受信と秘匿データの送信には、送信クロックを用いる。上記の動作に用いられる第1システムクロック、シフトクロック、および送信クロックは同期しているものとする。
【0038】
次に、復号部2の動作を説明する。符号部1から出力された初期化データと秘匿データとは復号部2の受信部10に供給される。復号部2は、符号部1からの初期化データを、第2システムクロックを用いて受信部10で受信すると、初期化データは、受信同期信号と同期パルスと再置換データとに分離される。
【0039】
すなわち、図3に示すように、受信部10は、初期化データが供給される分離回路10Aと、分離回路10Aで分離された信号が供給される同期回路10B、第1保持回路10C、および第2保持回路10Cと、を備えている。
【0040】
受信部10は、第2システムクロックで動作する分離回路10Aで初期化データを受信する。分離回路10Aは、送信部6で合成された初期化データを同期信号と置換データとに分離する。
【0041】
同期信号は同期回路10Bと、第2保持回路10Dと、第1保持回路10Cと、で受信する。同期回路10Bと第2保持回路10Dとは第2システムクロックを用いて動作する。第1保持回路10Cは、受信クロックを用いて動作する。
【0042】
同期回路10Bは、同期信号を同期パルスとしてデータ再置換回路8へ出力する。第1保持回路10Cは、同期信号を受信同期信号として同期クロック発生回路12へ出力する。同期クロック発生回路12は第3システムクロックを用いて動作している。同期クロック発生回路12は、受信同期信号に同期した第2システムクロックと受信クロックと受信シフトクロックとを出力する。
【0043】
第2システムクロックは、データ再置換回路8、および受信部10に供給される。受信クロックは受信部10に供給される。受信シフトクロックは第2符号発生器9と第2演算器11に供給される。
【0044】
すなわち、符号化されない同期信号を符号部1から復号部2へと伝送することにより、符号部1と復号部2との動作を同期させて、符号部1から供給される信号を復号部2で受信することが可能となる。符号部1から出力される同期信号は、復号部2のスタートパルスとして用いられる。
【0045】
第2保持回路10Dは、置換データを再置換データとしてデータ再置換回路8へ出力する。一方、秘匿データは、受信クロックで動作する第2保持回路10Dで保持され、符号化データとして第2演算器11へ出力される。
【0046】
データ再置換回路8は、供給された再置換データと同期パルスとから第1機器固有値を再生する。図3に示すように、データ再置換回路8は、第1保持回路8Aと第2保持回路8Bとを備えている。第1保持回路8Aには再置換データが供給される。再置換データはNビット毎に置換するように第2保持回路8Bに供給される。
【0047】
具体的には、データ再置換回路8は、第2システムクロックで動作し、符号部1のデータ置換回路4で処理した置換方法と同じアルゴリズムを用いて再置換処理を行う。すなわち、データ置換回路4では、ビット列の反転による置換を行なったので、データ再置換回路8では同期パルスを用いて再度ビット列の反転処理を行い、再置換データの配列をもとに戻す処理をし、第1機器固有値として出力する。
【0048】
データ再置換回路8から出力された第1機器固有値は、第2システムクロックを用い第2符号発生器9に供給される。図3に示すように、第2符号発生器9は、第1機器固有値が供給される保持回路9Aと、保持回路9Aから出力された第1機器固有値が供給される設定回路9Bと、設定回路9Bから出力された第2機器固有値が供給されるシフトレジスタ部9Cと、シフトレジスタ部9Cから出力された信号S1、S2、…Snが供給される選択回路9Dと、を備えている。
【0049】
データ再置換回路8から出力された第1機器固有値は、第2システムクロックで動作する保持回路9Aに供給される。保持回路9Aは、第2システムクロックにより、第1機器固有値を設定回路9Bに供給する。設定回路9Bでは、第1機器固有値を第2機器固有値として設定し、第2機器固有値と第2機器固有値設定完了信号とを出力する。以上の動作で、符号部1と復号部2とで、安全に同じ機器固有値を共有することができる。
【0050】
ここで、符号部1で説明したように、外部に複製回路が作られた場合に、再度、機器固有値を設定しないための仕組みとして、復号部2の第2符号発生器9に第2機器固有値が設定されると、第2機器固有値設定完了信号が設定回路9BからSoC7に出力される。
【0051】
SoC7は、第1機器固有値設定完了信号と、第2機器固有値設定完了信号とにより、符号部1および復号部2において機器固有値の設定が行われたことを検出し、解除信号が入力されない限り、再度機器固有値の設定を行わない。ここまでの動作で、符号部1と復号部2との機器固有値の設定および、不正防止機能の設定が完了する。
【0052】
設定回路9Bから出力された第2機器固有値は、シフトレジスタ部9Cに設定され、受信シフトクロックにより、第2機器固有値の値がシフトレジスタ部9Cを巡回する。シフトレジスタ部9Cの各位相は、位相信号S1、S2、…Snとして選択回路9Dに出力され、選択回路9Dは、位相選択信号で選択回路9Dの位相情報が設定されるまでは、位相信号S1を初期位相として復号信号を出力する。
【0053】
位相選択信号出力後は、選択回路9Dは、位相選択信号の位相情報により位相信号S1、S2、…Snから位相を選択し、復号信号として出力する。位相情報により選択される位相信号S1、S2、…Snは、第2機器固有値のビット数により決定される。
【0054】
次に秘匿データの復号動作を説明する。秘匿データは、受信クロックを用いて受信部10の第3保持回路10Eで保持され、符号化データとして第2演算器11に出力される。秘匿データは、位相選択信号が第2演算器11から出力されるまでは、同期パターンを符号化した信号である。
【0055】
同期パターンは、第1機器固有値により符号化されているため、第2演算器11で第1機器固有値により復号化される。第2演算器11は、第3保持回路10Eから符号化データが供給される保持回路11A、受信シフトクロックから同期パターンを生成する同期パターン生成回路11B、保持回路11Aから出力された符号化データを選択回路9Dから供給された復号信号を用いて復号する演算器11E、および、同期パターンを用いて復号信号の位相を検出する位相判定回路11Fを備えている。
【0056】
第2演算器11は、受信シフトクロックで動作する。同期パターン生成回路11Bは、受信シフトクロックを用いて符号部1で生成される同期パターンと同じ同期パターンを発生する。同期パターン生成回路11Bから出力される同期パターンは位相判定回路11Fに出力される。
【0057】
保持回路11Aで保持した符号化データは、第2符号発生器9からの復号信号と演算器11Eで演算される。この段階で保持回路11Aに保持される符号化データは、第1演算器5の同期パターン生成回路5Bで生成された同期パターンが符号化されたデータである。演算器11Eでの演算結果は、判定データとして、位相判定回路11Fに出力され、同期パターン生成回路11Bから出力された同期パターンと位相判定される。
【0058】
位相判定回路11Fでの位相判定が完了すると、位相判定回路11Fから、位相情報が位相選択信号として第2符号発生器9の選択回路9Dと第1演算器5とSoC7とに出力される。位相選択信号が出力されると、符号化データとして秘匿データが受信部10より出力されるため、秘匿データ(符号化データ)と復号信号とを演算器11Eで演算し復号データを得ることができる。
【0059】
すなわち、秘匿データの復号は、第2演算器11の位相判定回路11Fから位相選択信号を出力した後、選択回路9Dは、位相選択信号の位相情報により位相信号S1、S2、…Snから位相を選択し復号信号として出力し、この復号信号と符号化データとを復号演算することにより行われる。これにより得られた復号データが、SoC7から符号部1に供給された保護すべきデータと同じデータとなる。
【0060】
次に、本発明の一実施形態に係る信号処理方法について図面を参照して説明する。図4に示すように、電源がオンされたときに、初回か否かを判断する(ステップST1)。初回とは、装置が初期化された後に初めて電源がオンされるときである。
【0061】
初回ではなかった場合には、さらに、解除信号が送信されたか否かを判断する(ステップST2)。解除信号が送信されていない場合には、第1機器固有値設定完了信号、および第2機器固有値設定完了信号が検出されるか否かを判断し(ステップST3)、これらが検出された場合に、SoC7は送信すべきデータの有無を判断し(ステップST4)、送信すべきデータがあった場合に、送信すべきデータを符号部1に送信する(ステップST5)。
【0062】
2回目以降に電源がオンされた場合、まず、第2演算器11は、同期パターンにより位相検出を行ない、位相検出が成されたら(ステップST6)、第1演算器5が、第1機器固有値により得られる符号信号を用いて、データを符号化処理し、符号化データを送信部6に出力する(ステップST7)。送信部6は、符号化データを秘匿データとして復号部2へ出力する(ステップST8)。
【0063】
受信部10は、秘匿データを受信し、符号化データとして第2演算器11へ出力する(ステップST9)。第2演算器11は、予め設定された第2機器固有値により符号化データを復号し、復号データとして出力する(ステップST10)。
【0064】
一方、初回に電源がオンされた場合(ステップST1)、SoC7は、符号部1へ機器固有値を出力し(ステップST11)、初回電源オン処理として機器固有値の設定処理を開始する(ステップSTA)。なお、初回電源オンではない場合であっても、解除信号があると判断された場合には、
(ステップST2)、SoC7は、保持された第1機器固有値設定完了信号と第2機器固有値設定完了信号とを削除して第1機器固有値と第2機器固有値との設定を解除状態とし(ステップST12)、初回電源オン処理(ステップSTA)が開始される。
【0065】
解除信号により初回電源オン処理が開始される場合には、符号部1に既に送付されている機器固有値により機器固有値の設定を行なっても良く、再度SoC7から機器固有値を符号部1に送付しても良い。初回電源オン処理が終了すると、2回目以降に電源がオンされた場合と同様に秘匿データの処理が行われる(ステップST3〜ステップST10)。
【0066】
初回電源オン処理は、まず、第1符号発生器3において、SoC7から出力された機器固有値を第1機器固有値としてデータ置換回路4へ出力する(ステップSTA1)。さらに、第1機器固有値が設定されたか否かを判断し(ステップSTA1)、第1機器固有値が設定された場合には、第1機器固有値設定完了信号を出力する(ステップSTA2)。
【0067】
データ置換回路4は、第1機器固有値を置換処理し(ステップSTA3)、置換処理された置換データと同期信号とを送信部6へ出力する(ステップSTA4)。送信部は、置換データと同期信号とを合成処理し、初期化データとして復号部2へ出力する(ステップSTA5)。
【0068】
受信部10は、受信した初期化データを同期パルスと再置換データとに分離し、同期パルスと再置換データとをデータ再置換回路8へ出力する(ステップSTA6)。データ再置換回路8は、同期パルスを用いて置換データを再置換して、第1機器固有値を再生し、第1機器固有値を第2符号発生器9へ出力する(ステップSTA7)。第2符号発生器9は、受信した第1機器固有値を第2機器固有値として設定し、第2機器固有値が設定されたか否かを判断して(ステップSTA8)、第2機器固有値が設定された後に第2機器固有値設定完了信号を出力する。
【0069】
上記のように、本実施形態に係る信号処理方法では、初回に電源がオンされたときのみ、機器固有値の設定を行い、その機器固有値を用いてデータの符号化および復号化を行なう。すなわち、保護規格で保護されたデータを復号し再生および記録するための信号処理経路において、データを機器固有の値で符号化する手段を備えることにより、データの強靭性を増すことができる。
【0070】
また、本実施形態に係る信号処理装置および信号処理方法によれば、機器固有値設定信号を監視する手段を備えることにより、盗聴、改ざんに対する機器の秘匿データの安全性を増すことができる。
【0071】
また、保護規格で保護されたデータを復号し再生および記録する際に、保護規格で保護されたデータを復号し再生および記録するための信号処理経路において、非圧縮および非暗号のデータ以外にも、簡易的にデータを秘匿することができるとともに、データの保護をしつつ、システム構成の自由度を増すことができる。
【0072】
また、符号化に使用する機器固有値を符号部と復号部とで共有させるための処理は、初回の電源起動時にのみ行われ、再度処理を行うには、外部からの解除信号を入力するため、盗聴などからの保護の強度が増す。
【0073】
また、機器固有値をデータの整数倍の周期で符号化することにより、周波数スペクトルを拡散することができるため、不要輻射量を減少させることができる。
【0074】
以上、本実施形態に係る信号処理装置、信号処理方法、および映像再生装置によれば、保護規格で保護されたデータを復号し再生および記録する際に、保護規格で保護されたデータを復号し再生および記録するために信号処理経路で非圧縮および非暗号のデータ以外にも、簡易的にデータを秘匿することができ、データの保護をしつつ、システムの構成の自由度が増す。
【0075】
なお、この発明は、上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。上述の実施形態に係る信号処理装置、信号処理方法、および映像再生装置では、第1符号発生器3、第2符号発生器9内のシフトレジスタ部3C、シフトレジスタ部9Cは、シフトレジスタを使用していたが、秘匿の強度を上げるため、巡回符号器を用いても良い。
【0076】
また、データ置換回路4で第1機器固有値の配列の置換をビット配列の反転により行ったが、符号部1と復号部2とでアルゴリズムを共有すれば、他の方法であっても良い。秘匿の強度を上げるため、よく知られた方法としてフィボナッチシーケンスがあるが、この種の配列変換の方法を用いてもよい。
【0077】
上述の実施形態に係る信号処理装置、および、信号処理方法は、機器固有値を符号部1と復号部2で共有する処理経路と、秘匿データの処理経路とを分けていたが、同一の伝送路を使用しても良い。
【0078】
さらに、上記の実施形態に係る信号処理装置において、符号部1をSoC7に内蔵してもよく、復号部2をHDMI等のインターフェイスに内蔵してもよい。符号部1とSoC7との間の伝送経路や、復号部2とHDMI等との間の伝送経路が露出することがなくなれば、秘匿データの安全性をより増すことができる。
【0079】
また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合せにより種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。更に、異なる実施形態に亘る構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0080】
7…SoC(制御手段)、1…符号部、2…復号部、5…第1演算器、6…送信部、10…受信部、11…第2演算器。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
符号化手段と、復号化手段と、前記符号化手段と前記復号化手段との動作を制御する制御手段とを備え、
前記符号化手段は、前記第1機器固有値を用いてデータを符号化処理する第1演算手段と、符号化された前記データを出力する送信手段と、を備え、
前記復号化手段は、前記符号化手段から出力された符号化された前記データを受信する受信手段と、前記第2機器固有値を用いて符号化された前記データを復号化する第2演算手段と、を備え、
前記第1機器固有値と前記第2機器固有値は、前記符号化手段と前記復号化手段とで共有された同一の値である情報処理装置。
【請求項2】
前記制御手段は、初回に電源がオンされたか否かを判断する電源オン判断手段を備え、
前記符号部は、初回に電源がオンされたときに、前記制御手段から受信した値を第1機器固有値と設定するとともに、設定が完了したことを通知する第1完了信号を前記制御手段へ出力する第1機器固有値設定手段と、
前記第1機器固有値の配列を置換した置換データを出力する置換手段と、をさらに備え、
前記復号部は、前記置換データを再置換して前記第1機器固有値を再生する再置換手段と、
前記再置換手段から出力された前記第1機器固有値を前記第2機器固有値として設定するとともに、設定が完了したことを通知する第2完了信号を前記制御手段へ出力する第2機器固有値設定手段と、をさらに備える請求項1記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記制御手段は、外部から供給された解除信号の有無を検出する解除信号検出手段と、
前記解除信号検出手段により解除信号が検出された場合に、前記第1機器固有値および前記第2機器固有値の設定を解除し、前記第1機器固有値設定手段および前記第2機器固有値設定手段により前記第1機器固有値および前記第2機器固有値の設定をさせる手段と、をさらに備える請求項2記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記第1機器固有値は、前記データの整数倍の周期で符号化される請求項2記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記符号化手段は、第1同期パターンを生成する第1同期パターン生成部をさらに備え、
前記第1演算手段は、前記第1機器固有値を用いて前記第1同期パターンを符号化する第1同期パターン生成手段を備え、
前記第2演算手段は、前記第1同期パターンと同じ第2同期パターンを生成する第2同期パターン生成手段と、前記第2機器固有値を用いて前記第1同期パターンを復号化して、前記第1同期パターンと前記第2同期パターンとの位相を判定する位相判定手段と、をさらに備え、
前記位相判定手段は、位相の判定後に、位相選択信号を前記制御手段および前記第1演算手段に出力する手段を備え、
前記第1演算手段は、前記位相選択信号を受信した後に、前記第1同期パターンの符号化を停止して、前記データの符号化を開始するための切り替え手段を備える請求項1記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記置換手段は、前記符号化手段の動作と同期する同期信号を生成する同期信号生成手段を備え、
前記送信手段は、前記置換手段から出力された前記置換データと前記同期信号とを合成して出力する合成手段を備える請求項2記載の情報処理装置。
【請求項7】
制御手段から出力されたデータを符号化手段において符号化して復号化手段に出力する符号化ステップと、
前記符号化ステップで符号化されたデータを前記復号化手段において復号化して出力する復号化ステップと、を備え、
前記符号化ステップは、前記第1機器固有値を用いてデータを符号化する第1演算ステップと、
符号化された前記データを前記復号化手段へ出力する出力ステップと、を備え、
前記復号化ステップは、符号化された前記データを受信する受信ステップと、
前記第1機器固有値と同じ値である第2機器固有値を用いて前記データを復号化する第2演算ステップと、を備える情報処理方法。
【請求項8】
初回に電源がオンされたか否かを判断する判断ステップと、前記判断ステップにおいて初回に電源がオンされたと判断された場合に前記第1機器固有値を前記符号化手段に設定するとともに前記第2機器固有値を前記復号化手段に設定する初回電源オンステップと、をさらに備え、
前記初回電源オンステップは、制御手段から機器固有値を前記符号化手段へ出力し、前記符号化手段において前記機器固有値を第1機器固有値として設定する第1機器固有値設定ステップと、
第1機器固有値の設定が完了したことを通知するための第1機器固有値設定完了信号を前記符号化手段から前記制御手段に出力する第1完了ステップと、
前記第1機器固有値の配列を置換した置換データを前記復号化手段に出力する置換ステップと、
前記復号化手段において前記置換データを再置換して前記第1機器固有値を再生するステップと、
再生した前記第1機器固有値を前記復号化手段において前記第2機器固有値として設定する第2機器固有値設定ステップと、
前記第2機器固有値の設定が完了したことを通知するための第2機器固有値設定完了信号を前記制御手段に出力する第2完了ステップと、をさらに備える請求項7記載の情報処理方法。
【請求項9】
外部から供給された解除信号の有無を検出する検出ステップと、
前記検出ステップにおいて解除信号が検出された場合に、前記第1機器固有値および前記第2機器固有値の設定を解除し、前記初回電源オンステップを開始させる解除ステップと、をさらに備える請求項8記載の情報処理方法。
【請求項10】
前記符号化手段において前記第1同期パターンを生成する第1同期パターン生成ステップと、
前記第1機器固有値を用いて前記第1同期パターンを符号化して前記復号化手段に出力するステップと、
前記復号化手段において前記第1同期パターンと同じ第2同期パターンを生成する第2同期パターン生成ステップと、
前記第2機器固有値を用いて前記第1同期パターンを復号化して、前記第1同期パターンと前記第2同期パターンとの位相を判定する位相判定ステップと、
位相選択信号を前記制御手段および前記符号化手段に出力するステップと、
前記位相選択信号を受信した後に、前記符号化手段において前記第1同期パターンの符号化を停止するとともに前記データの符号化を開始する切り替えステップとを備える請求項7記載の情報処理方法。
【請求項11】
前記置換ステップは、前記符号化手段の動作と同期する同期信号を生成する同期信号生成ステップと、
前記置換データと前記同期信号とを合成して出力する合成ステップとを備える請求項8記載の情報処理方法。
【請求項12】
信号を選択的に受信する受信手段と、
前記復号化手段から出力された信号に所定の信号処理を行なう信号処理手段と、
前記信号処理手段から出力された信号を符号化する符号化手段と、
前記符号化手段から出力された信号を復号化する復号化手段と、
前記符号化手段と前記復号化手段との動作を制御する制御手段とを備え、
前記符号化手段は、第1機器固有値を設定する第1設定手段と、前記第1機器固有値を用いてデータを符号化処理する第1演算手段と、符号化された前記データを出力する送信手段と、を備え、
前記復号化手段は、第2機器固有値を設定する第2設定手段と、前記符号化手段から出力された符号化された前記データを受信する手段と、前記第2機器固有値を用いて符号化された前記データを復号化する第2演算手段と、を備え、
前記第1機器固有値と前記第2機器固有値は、前記符号化手段と前記第2復号化手段とで共有される同一の値である再生装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−187216(P2010−187216A)
【公開日】平成22年8月26日(2010.8.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−30110(P2009−30110)
【出願日】平成21年2月12日(2009.2.12)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】