信号処理装置および表示装置
【課題】装置の小型化を図ること。
【解決手段】駆動回路10aは、電源部100から供給されるドレイン電流Idsを発光部ELPに供給する駆動トランジスタTr2と、駆動トランジスタTr2の閾値電圧を調整するVofsを駆動トランジスタTr2に供給するデータ線DTLが、Vofsを駆動トランジスタTr2に供給する前に供給するViniに応じて駆動トランジスタTr2をカットオフするトランジスタTr3と、を有する。
【解決手段】駆動回路10aは、電源部100から供給されるドレイン電流Idsを発光部ELPに供給する駆動トランジスタTr2と、駆動トランジスタTr2の閾値電圧を調整するVofsを駆動トランジスタTr2に供給するデータ線DTLが、Vofsを駆動トランジスタTr2に供給する前に供給するViniに応じて駆動トランジスタTr2をカットオフするトランジスタTr3と、を有する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は信号処理装置および表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
発光素子として有機EL(Electroluminescence)デバイスを用いた平面自発光型の表示装置が知られている。有機ELデバイスは、有機薄膜に電界を加えると発光する現象を利用したデバイスである。有機ELデバイスは、印加電圧が低い状態(例えば、10V以下)で駆動するため液晶デバイス等に比べ低消費電力である。また、有機ELデバイスは、自ら光を発する自発光素子であるため、照明部材を必要とせず軽量化、および、薄型化が容易である。さらに、有機ELデバイスの応答速度は、数μs程度と非常に高速であるため、動画表示時の残像を軽減させることができる。
有機ELデバイスを画素に用いた平面自発光型の表示装置の中でも、とりわけ駆動素子として薄膜トランジスタを各画素に集積形成したアクティブ行列型の表示装置が知られている。
有機ELデバイスは、電流発光素子の為、電流発光素子に流れる電流値を制御することで、発色の階調を得ている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−310311号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
低温ポリシリコンTFT基板等を使用する場合、トランジスタの閾値電圧特性や、移動度特性がばらついてしまう。このため、電源ラインをパルス化することで、閾値電圧や、移動度を補正している。
ここで、電源ラインをパルス化すると、電流発光素子を消光状態から発光状態に遷移させるときに電源電圧が電流発光素子に供給される。この電流発光素子の発光電流は例えば、数μA程度である。
しかしながら、この電流発光素子を有する画素が、水平方向に1000個並んでいる場合は、発光電流は数mA程度となる。従って、数mA程度の電流が流れても電源電圧を降下させないように、電源が大型化するという問題があった。
本発明はこのような点に鑑みてなされたものであり、小型化を図ることができる信号処理装置および表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、開示の信号処理装置が提供される。この信号処理装置は、駆動用スイッチ素子と、カットオフ素子とを有している。
駆動用スイッチ素子は、電源部から供給される駆動電流を発光素子に供給する。
カットオフ素子は、駆動用スイッチ素子の閾値電圧を調整する閾値電圧調整用信号を駆動用スイッチ素子に供給する信号線が、閾値電圧調整用信号を駆動用スイッチ素子に供給する前に供給するカットオフ電圧に応じて駆動用スイッチ素子をカットオフする。
【発明の効果】
【0006】
開示の信号処理装置によれば、小型化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】第1の実施の形態の表示装置を示す図である。
【図2】駆動回路の等価回路を示す図である。
【図3】実施の形態の発光素子の一部分の模式的な一部断面図である。
【図4】駆動回路の動作を示すタイミングチャートである。
【図5】駆動回路の動作を示す回路図である。
【図6】駆動回路の動作を示す回路図である。
【図7】駆動回路の動作を示す回路図である。
【図8】駆動回路の他の動作を示すタイミングチャートである。
【図9】駆動回路の他の動作を示すタイミングチャートである。
【図10】第2の実施の形態の駆動回路を示す回路図である。
【図11】フラット型のモジュール形状の表示装置を示す図である。
【図12】実施の形態の表示装置が適用されたテレビを示す図である。
【図13】実施の形態の表示装置が適用されたデジタルカメラを示す図である。
【図14】実施の形態の表示装置が適用されたノート型パーソナルコンピュータを示す図である。
【図15】実施の形態の表示装置が適用された携帯端末装置である。
【図16】実施の形態の表示装置が適用されたビデオカメラを示す図である。
【図17】駆動回路の等価回路の他の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、実施の形態を、図面を参照して詳細に説明する。
<第1の実施の形態>
先ず、発光素子を備えた表示装置の概要について説明する。
図1は、第1の実施の形態の表示装置を示す図である。
【0009】
図1に示す表示装置1000は、走査回路101と、信号出力回路(水平セレクタ)102と、発光素子10と、M本(M≧1)の走査線SCLと、N本(N≧1)のデータ線DTLと、電源部100とを有している。
【0010】
図1に示す表示装置1000は、複数の画素を備えている。各画素は、発光部と発光部を駆動する駆動回路(信号処理装置)とを備えた発光素子10を有している。
なお、図1においては、9(3×3)個の発光素子10を図示しているが、これは、あくまでも例示に過ぎない。
【0011】
発光素子10は、第1の方向(本実施の形態では水平方向)にN個、第1の方向とは異なる第2の方向(具体的には、第1の方向に直交する方向、本実施の形態では垂直方向)にM個、合計N×M個の、2次元行列状に配列されている。
各発光素子10は、有機エレクトロルミネッセンス発光部を備えている。より具体的には、各発光素子10は、駆動回路と、この駆動回路に接続された有機エレクトロルミネッセンス発光部(発光部ELP)とが積層された構造を有する有機エレクトロルミネッセンス素子(有機EL素子)である。
なお、発光部としては、他にも例えば、無機エレクトロルミネッセンス発光部、LED発光部、半導体レーザー発光部等を用いることができる。
【0012】
走査回路101は、行単位により発光素子10を順次操作する線順次操作を行うものである。この走査回路101は、データ線DTLから供給されるデータ信号を発光素子10に書き込むタイミングを行単位により制御する。この走査回路101は、データ信号を書き込むオン電位、データ信号の書込みを停止させるオフ電位を走査信号として生成する。この走査回路101は、生成した走査信号を、走査回路101に接続され第1の方向に平行に延びるM本の走査線SCLに供給する。
【0013】
信号出力回路102は、走査回路101による線順次走査に合わせて、発光素子10における発光輝度の大きさを設定するデータ信号を各列の発光素子10に供給する。
この信号出力回路102は、発光の輝度の大きさを設定する映像信号の電位(信号電位)と、発光素子10を駆動する駆動トランジスタ(駆動用スイッチ素子)の閾値電圧の補正を行う電位(基準電位)をデータ信号として生成する。この信号出力回路102は、生成したデータ信号を、信号出力回路102に接続され第2の方向に平行に延びるN本のデータ線DTLに供給する。
【0014】
電源部100は、走査回路101による線順次走査に合わせて、発光素子10を駆動させる電源電圧を行単位により生成する。この電源部100は、生成した電源電圧を電圧線に供給する。
【0015】
次いで、表示装置1000の駆動回路の構成、および、駆動回路を用いた発光部の駆動方法に関して、以下、詳しく説明する。
便宜上、駆動回路を構成する各トランジスタは、原則として、nチャネル型の薄膜トランジスタ(TFT)で構成されているとして説明する。但し、場合によっては、一部のトランジスタをpチャネル型のTFTで構成することもできる。なお、半導体基板等にトランジスタを形成した構成とすることもできる。駆動回路を構成するトランジスタの構造は、特に限定するものではない。以下の説明においては、駆動回路を構成するトランジスタはエンハンスメント型であるとして説明するが、これに限るものではない。デプレッション型のトランジスタが用いられていてもよい。また、駆動回路を構成するトランジスタはシングルゲート型であってもよいし、デュアルゲート型であってもよい。
【0016】
実施の形態の表示装置1000は、(N/3)×M個の2次元行列状に配列された画素から構成されている。1つの画素は、3つの副画素(赤色を発光する赤色発光副画素、緑色を発光する緑色発光副画素、青色を発光する青色発光副画素)から構成されている。
【0017】
また、各画素を構成する発光素子10は、線順次駆動されるとし、表示フレームレートをFR(回/秒)とする。即ち、第m行目(但し、m=1,2,3・・・M)に配列された(N/3)個の画素、より具体的には、N個の副画素のそれぞれを構成する発光素子が同時に駆動される。換言すれば、1つの行を構成する各発光素子10にあっては、その発光/非発光のタイミングは、それらが属する行単位で制御される。なお、1つの行を構成する各画素について映像信号を書き込む処理は、全ての画素について同時に映像信号を書き込む処理(以下、単に、同時信号書込処理と呼ぶ場合がある)であってもよいし、画素毎に順次映像信号を書き込む処理(以下、単に、順次信号書込処理と呼ぶ場合がある)であってもよい。いずれの信号書込処理とするかは、駆動回路の構成に応じて適宜選択すればよい。
【0018】
ここで、原則として、第m行目、第n列(但し、n=1,2,3・・・N)に位置する発光素子に関する駆動、動作を説明するが、係る発光素子を、以下、第(n,m)番目の発光素子あるいは第(n,m)番目の副画素と呼ぶ。そして、第m行目に配列された各発光素子の水平走査期間(第m番目の水平走査期間)が終了するまでに、各種の処理(後述する閾値電圧補正準備処理、閾値電圧補正処理、信号書込処理、移動度補正処理)が行われる。なお、信号書込処理や移動度補正処理は、第m番目の水平走査期間内に行われる。一方、駆動回路の種類によっては、閾値電圧補正処理や、この処理の前処理である閾値電圧補正準備処理を第m番目の水平走査期間より先行して行うことができる。
【0019】
そして、上述した各種の処理が全て終了した後、第m行目に配列された各発光素子を構成する発光部を発光させる。なお、上述した各種の処理が全て終了した後、直ちに発光部を発光させてもよいし、所定の期間(例えば、所定の行数分の水平走査期間)が経過した後に発光部を発光させてもよい。この所定の期間は、表示装置の仕様や駆動回路の構成等に応じて、適宜設定することができる。なお、以下の説明においては、説明の便宜のため、各種の処理終了後、直ちに発光部を発光させるものとする。そして、第m行目に配列された各発光素子を構成する発光部の発光は、第(m+m’)行目に配列された各発光素子の水平走査期間の開始直前まで継続される。ここで、「m’」は、表示装置の設計仕様によって決定される。即ち、或る表示フレームの第m行目に配列された各発光素子を構成する発光部の発光は、第(m+m’−1)番目の水平走査期間まで継続される。一方、第(m+m’)番目の水平走査期間の始期から、次の表示フレームにおける第m番目の水平走査期間内において信号書込処理や移動度補正処理が完了するまで、第m行目に配列された各発光素子を構成する発光部は、原則として非発光状態を維持する。上述した非発光状態の期間(以下、単に、非発光期間と呼ぶ場合がある)を設けることにより、アクティブ行列駆動に伴う残像ボケが低減され、動画品位をより優れたものとすることができる。但し、各副画素(発光素子)の発光状態/非発光状態は、以上に説明した状態に限定するものではない。また、水平走査期間の時間長は、(1/FR)×(1/M)秒未満の時間長である。(m+m’)の値がMを越える場合、越えた分の水平走査期間は、次の表示フレームにおいて処理される。
【0020】
1つのトランジスタの有する2つのソース/ドレイン領域において、「一方のソース/ドレイン領域」という用語を、電源部に接続された側のソース/ドレイン領域といった意味において使用する場合がある。また、トランジスタがオン状態にあるとは、ソース/ドレイン領域間にチャネルが形成されている状態を意味する。係るトランジスタの一方のソース/ドレイン領域から他方のソース/ドレイン領域に電流が流れているか否かは問わない。一方、トランジスタがオフ状態にあるとは、ソース/ドレイン領域間にチャネルが形成されていない状態を意味する。また、或るトランジスタのソース/ドレイン領域が他のトランジスタのソース/ドレイン領域に接続されているとは、或るトランジスタのソース/ドレイン領域と他のトランジスタのソース/ドレイン領域とが同じ領域を占めている形態を包含する。更には、ソース/ドレイン領域は、不純物を含有したポリシリコンやアモルファスシリコン等の導電性物質から構成することができるだけでなく、金属、合金、導電性粒子、これらの積層構造、有機材料(導電性高分子)から成る層から構成することができる。また、以下の説明で用いるタイミングチャートにおいて、各期間を示す横軸の長さ(時間長)は模式的なものであり、各期間の時間長の割合を示すものではない。
【0021】
[駆動回路10a]
図2は、駆動回路の等価回路を示す図である。
駆動回路10aは、書込みトランジスタ(書込みスイッチ素子)Tr1、駆動トランジスタTr2、および、トランジスタ(カットオフ素子)Tr3と、容量部Csとを有している。
【0022】
書込みトランジスタTr1、駆動トランジスタTr2、および、トランジスタTr3は、それぞれ、nチャネル型トランジスタである。
【0023】
[書込みトランジスタTr1]
書込みトランジスタTr1のソース端子は、駆動トランジスタTr2のゲート端子に接続されている。また、書込みトランジスタTr1のドレイン端子は、データ線DTLに接続されている。そして、データ線DTLを介して、発光部ELPにおける輝度を制御するための映像信号Vsigが、ソース/ドレイン領域に供給される。なお、データ線DTLを介して、Vsig以外の種々の信号・電圧(プリチャージ駆動のための信号や各種の基準電圧等)が、ソース/ドレイン領域に供給されてもよい。また、書込みトランジスタTr1のオン/オフ動作は、書込みトランジスタTr1のゲート電極に接続された走査線SCLによって制御される。
【0024】
[駆動トランジスタTr2]
駆動トランジスタTr2のドレイン端子は、電源部100に接続されている。なお、電源部100からは、発光部ELPを発光させる電圧Vccpが供給される。一方、駆動トランジスタTr2のソース端子は、
(1)発光部ELPのアノード電極、
(2)トランジスタTr3のソース端子、および、
(3)容量部Csの一方の電極、
に接続されており、第2ノードND2を構成する。
【0025】
また、駆動トランジスタTr2のゲート端子は、
(1)書込みトランジスタTr1のソース端子、
(2)トランジスタTr3のドレイン端子、および、
(3)容量部Csの他方の電極、
に接続されており、第1ノードND1を構成する。
【0026】
ここで、駆動トランジスタTr2は、発光素子の発光状態においては、以下の式(1)に従ってドレイン電流Idsを流すように駆動される。
Ids=k・μ・(Vgs−Vthr)2・・・(1)
ここで、μ:実効的な移動度、L:チャネル長、W:チャネル幅、Vgs:ゲート電極とソース領域との間の電位差、Vthr:駆動トランジスタTr2の閾値電圧、Cox:(ゲート絶縁層の比誘電率)×(真空の誘電率)/(ゲート絶縁層の厚さ)、k≡(1/2)・(W/L)・Coxとする。
【0027】
このドレイン電流Idsが発光部ELPを流れることで、発光部ELPが発光する。更には、このドレイン電流Idsの値の大小によって、発光部ELPにおける発光状態(輝度)が制御される。
【0028】
[容量部Cs]
容量部Csは、書込みトランジスタTr1によって供給されたデータ信号に応じた電圧を保持する。即ち、容量部Csは、書込みトランジスタTr1によって書き込まれた信号電位に応じた信号電圧を保持する役割を果たす。
【0029】
[トランジスタTr3]
トランジスタTr3は、容量部Csに並列接続されている。
トランジスタTr3のドレイン端子は、第1ノードND1に接続されている。また、ソース端子は、第2ノードND2に接続されている。そして、トランジスタTr3のゲート端子は、トランジスタTr3のソース端子に接続されている。即ち、トランジスタTr3は、ダイオード接続されている。
なお、トランジスタTr3は、トランジスタTr3の閾値電圧Vthlが、駆動トランジスタTr2の閾値電圧Vthrよりも小さな値となるものを用いることができる。
【0030】
次に、駆動回路10a以外に図2に図示した発光部ELPとトランジスタTr4を説明する。
[発光部ELP]
発光部ELPのアノード電極は、上述のとおり、駆動トランジスタTr2のソース領域に接続されている。一方、発光部ELPのカソード電極には、電圧VCatが印加される。発光部ELPの容量を符号CELで表す。また、発光部ELPの発光に必要とされる閾値電圧をVthr-ELとする。即ち、発光部ELPのアノード電極とカソード電極との間にVthr-EL以上の電圧が印加されると、発光部ELPは発光する。
【0031】
図3は、実施の形態の発光素子の一部分の模式的な一部断面図である。
発光素子10の駆動回路を構成する各トランジスタ、および、容量部Csは、支持体20上に形成されている。
【0032】
発光部ELPは、例えば、層間絶縁層40を介して、駆動回路10aが有する各トランジスタ、および、容量部Csの上方に形成されている。また、駆動トランジスタTr2の他方のソース/ドレイン領域は、発光部ELPに備えられたアノード電極に、コンタクトホールを介して接続されている。なお、図3においては、駆動トランジスタTr2のみを図示する。書込みトランジスタTr1やトランジスタTr3は隠れて見えない。
【0033】
発光部ELPは、例えば、アノード電極、正孔輸送層、発光層、電子輸送層、カソード電極等の周知の構成、構造を有する。
具体的には、駆動トランジスタTr2は、ゲート電極31、ゲート絶縁層32、半導体層33、半導体層33に設けられたソース/ドレイン領域35、および、ソース/ドレイン領域35の間の半導体層33の部分が該当するチャネル形成領域34から構成されている。一方、容量部Csは、他方の電極36、ゲート絶縁層32の延在部から構成された誘電体層、および、一方の電極37(後述する第2ノードND2に相当する)から成る。ゲート電極31、ゲート絶縁層32の一部、および、容量部Csを構成する他方の電極36は、支持体20上に形成されている。駆動トランジスタTr2の一方のソース/ドレイン領域35は配線38に接続され、他方のソース/ドレイン領域35は一方の電極37に接続されている。駆動トランジスタTr2および容量部Cs等は、層間絶縁層40で覆われており、層間絶縁層40上に、アノード電極51、正孔輸送層、発光層、電子輸送層、および、カソード電極53から成る発光部ELPが設けられている。なお、図3においては、正孔輸送層、発光層、および、電子輸送層を層52で表した。発光部ELPが設けられていない層間絶縁層40の部分の上には、第2層間絶縁層54が設けられ、第2層間絶縁層54およびカソード電極53上には透明な基板21が配置されており、発光層にて発光した光は、基板21を通過して、外部に出射される。なお、一方の電極37とアノード電極51とは、層間絶縁層40に設けられたコンタクトホールによって接続されている。また、カソード電極53は、第2層間絶縁層54、層間絶縁層40に設けられたコンタクトホール56、55を介して、ゲート絶縁層32の延在部上に設けられた配線39に接続されている。
【0034】
[トランジスタTr4]
トランジスタTr4は、データ線DTLに接続されている。トランジスタTr4がオンすることにより、データ線に電圧Viniが供給される。
【0035】
以下、駆動回路の動作説明を行う。なお、上述したように、各種の処理(閾値電圧補正処理、信号書込処理、移動度補正処理)が全て完了した後、直ちに発光状態が始まるものとして説明するが、これに限るものではない。
【0036】
以下の説明において、電圧あるいは電位の値を以下のとおりとするが、これは、あくまでも説明のための値であり、これらの値に限定されるものではない。
Vsig:発光部ELPにおける輝度を制御するための映像信号・・・0ボルト〜10ボルト
Vccp:電源部100の出力電圧・・・6ボルト
Vofs:駆動トランジスタTr2のゲート電極の電位(第1ノードND1の電位)を初期化するための電圧・・・0ボルト
Vini:Vofs−Vthr以下の電圧・・・−6ボルト
VSS:駆動トランジスタTr2のソース領域の電位(第2ノードND2の電位)を初期化するための電圧・・・−10ボルト
Vthr:駆動トランジスタTr2の閾値電圧・・・3ボルト
Vthl:トランジスタTr3の閾値電圧・・・2ボルト
VCat:発光部ELPのカソード電極に印加される電圧・・・0ボルト
Vthr-EL:発光部ELPの閾値電圧・・・3ボルト
駆動回路10aの発光部ELPの駆動方法は、例えば、
(a)第1ノードND1と第2ノードND2との間の電位差が、トランジスタTr3の閾値電圧を越え、且つ、第2ノードND2と発光部ELPに備えられたカソード電極との間の電位差が、発光部ELPの閾値電圧を越えないように、第1ノードND1に第1ノード初期化電圧を印加し、第2ノードND2に第2ノードND2初期化電圧を印加する閾値電圧補正準備処理を行い、次いで、
(b)第1ノードND1の電位を閾値電圧調整信号に書き換え、第1ノードND1の電位から駆動トランジスタTr2の閾値電圧を減じた電位に向かって、第2ノードND2の電位を変化させる閾値電圧補正処理を行い、その後、
(c)走査線SCLからの信号によりオン状態とされた書込みトランジスタTr1を介して、データ線DTLから映像信号を第1ノードND1に印加する信号書込処理を行い、次いで、
(d)走査線SCLからの信号により書込みトランジスタTr1をオフ状態とすることにより第1ノードND1を浮遊状態とし、電源部100から駆動トランジスタTr2を介して、第1ノードND1と第2ノードND2との間の電位差の値に応じた電流を発光部ELPに流すことにより、発光部ELPを駆動する、
工程から成る。
【0037】
上述したように、前述した工程(b)において、第1ノードND1の電位から駆動トランジスタTr2の閾値電圧を減じた電位に向かって、第2ノードND2の電位を変化させる閾値電圧補正処理を行う。より具体的には、第1ノードND1の電位から駆動トランジスタTr2の閾値電圧を減じた電位に向かって第2ノードND2の電位を変化させるために、前述した工程(a)における第2ノードND2の電位に駆動トランジスタTr2の閾値電圧を加えた電圧を超える電圧を、駆動トランジスタTr2の一方のソース/ドレイン領域に印加する。定性的には、閾値電圧補正処理において、第1ノードND1と第2ノードND2との間の電位差(換言すれば、駆動トランジスタTr2のゲート電極とソース領域との間の電位差)が駆動トランジスタTr2の閾値電圧に近づく程度は、閾値電圧補正処理の時間により左右される。従って、例えば閾値電圧補正処理の時間を充分長く確保した形態にあっては、第2ノードND2の電位は第1ノードND1の電位から駆動トランジスタTr2の閾値電圧を減じた電位に達する。そして、第1ノードND1と第2ノードND2との間の電位差は駆動トランジスタTr2の閾値電圧に達し、駆動トランジスタTr2はオフ状態となる。一方、例えば閾値電圧補正処理の時間を短く設定せざるを得ない形態にあっては、第1ノードND1と第2ノードND2との間の電位差が駆動トランジスタTr2の閾値電圧より大きく、駆動トランジスタTr2はオフ状態とはならない場合がある。閾値電圧補正処理の結果として、必ずしも駆動トランジスタTr2がオフ状態となることを要しない。
【0038】
図4は、駆動回路の動作を示すタイミングチャートであり、図5、図6、および、図7は、それぞれ、各期間における駆動回路の動作を示す回路図である。
なお、各期間を示す横軸の長さは模式的なものであり、各期間の時間長の割合は、これに限定されない。
また、図4における各電圧値は、相対的な値を示すものであり、絶対的な値を示すものではない。
また、図5、図6、および、図7では、説明を分かりやすくするために、書込みトランジスタTr1をスイッチ形式で表している。
【0039】
[発光期間A](図4および図5(a)参照)
この[発光期間A]は、例えば、前の表示フレームにおける発光期間である。この発光期間Aにおいては、発光部ELPには、ドレイン電流Idsが流れている。また、書込みトランジスタTr1、および、トランジスタTr3は、オフ状態であり、駆動トランジスタTr2はオン状態である。
1フレーム(図4中、1H期間と表記)内で、データ線DTLの電位は、Vini、Vofs、Vsigの順番に変位する。
【0040】
図4に示す、[期間−TP0]〜[期間−TP2]は、次の信号書込処理が行われる直前までの動作期間である。そして、[期間−TP0]〜[期間−TP2]において、第(n,m)番目の発光素子10は原則として非発光状態にある。駆動回路10aの動作においては、図4に示すように、[期間−TP3]の他、[期間−TP1]〜[期間−TP2]も第m番目の水平走査期間に包含される。なお、説明の便宜のため、[期間−TP1]の始期、および、[期間−TP3]の終期は、それぞれ、第m番目の水平走査期間の始期、および、終期に一致するものとして説明する。
【0041】
以下、[期間−TP0]〜[期間−TP2]の各期間について説明する。なお、[期間−TP1]〜[期間−TP3]の各期間の長さは、表示装置の設計に応じて適宜設定すればよい。
【0042】
[期間−TP0](図4および図5(b)参照)
[期間−TP0]の開始時は、データ線DTLの電位は、電圧Viniとなっている。走査線SCLをハイレベルとすることによって、書込みトランジスタTr1をオン状態とする。これにより、現表示フレームにおける第m行目の水平走査期間が開始する。この[期間−TP0]において、閾値電圧補正処理を行うための閾値電圧補正準備処理が行われる。[期間−TP0]の開始時は、発光部ELPは発光状態であるので、発光部ELPのアノード電極の電位は、電圧Viniより大きな値である6Vである。つまり、この状態ではトランジスタTr3がオン動作し、駆動トランジスタTr2のソース電圧が放電される。他方、駆動トランジスタTr2のゲート端子には、電圧Viniが供給されるため、駆動トランジスタTr2はオフする。また、駆動トランジスタTr2のオフにより、発光部ELPへのドレイン電流Idsの供給が停止するため、発光部ELPは、非発光状態となる。
【0043】
その後、ノードND2の電位の低下は、トランジスタTr3がオフするまで続き、ノードND2の電位がVini+Vhtlになると、トランジスタTr3がオフし、電圧の低下が止まる。
【0044】
ここで、駆動トランジスタTr2のVgsの電位は、−Vthl(=Vini−(Vini+Vhtl))である。即ち、駆動トランジスタTr2のVgsの電位は、トランジスタTr2の閾値電圧Vthrより小さくなりカットオフ動作点になる。つまり、駆動トランジスタTr2のドレイン電圧が、発光素子10を発光できるVccpの状態であっても駆動トランジスタTr2に電流は流れず、駆動トランジスタTr2の閾値電圧補正の初期化が行われる。その結果、第1ノードND1の電位は、Viniに等しい−6ボルトとなる。第2ノードND2の電位は、例えば、−4ボルト程度まで降下する。
【0045】
[期間−TP1](図4および図6(a)参照)
次に、閾値電圧補正処理を行う。具体的には、書込みトランジスタTr1のオン状態を維持したまま、信号出力回路102がデータ線DTLの電位をViniからVofsに上げる。データ線DTLの電位をVofsに上げることで、駆動トランジスタTr2のVgsが一旦、閾値電圧Vthrより大きくなる。これにより、駆動トランジスタTr2がオンし、駆動トランジスタTr2に電流が流れ、閾値電圧補正処理が開始される。具体的には、浮遊状態の第2ノードND2の電位が(Vofs−Vthr=−3ボルト)に近づき、最終的に(Vofs−Vthr)となる。このようにして駆動トランジスタTr2の閾値電圧Vthrに相当する電圧が容量部Csに書き込まれる。
【0046】
ここで、次式(2)が保証されていれば、云い換えれば、式(2)を満足するように電位を選択、決定しておけば、発光部ELPが発光することはない。
【0047】
(Vofs−Vthr)<(Vthr-EL+Vcat)・・・(2)
この[期間−TP1]にあっては、第2ノードND2の電位は、最終的に、(Vofs−Vth)となる。即ち、駆動トランジスタTr2の閾値電圧Vthr、および、駆動トランジスタTr2のゲート電極を初期化するための電圧Vofsのみに依存して、第2ノードND2の電位は決定される。そして、発光部ELPの閾値電圧Vthr-ELとは無関係である。
【0048】
[期間−TP2](図4参照)
[期間−TP1]の終了後、書込みトランジスタTr1をオフする。そして、データ線DTLの電位を、発光部ELPにおける輝度を制御するための映像信号Vsigとする。
【0049】
[期間−TP3](図4および図6(b)参照)
次に、駆動トランジスタTr2に対する信号書込処理、および、駆動トランジスタTr2の移動度μの大小に基づく駆動トランジスタTr2のソース領域(第2ノードND2)の電位の補正(移動度補正処理)を行う。具体的には、データ線DTLの電位が、発光部ELPにおける輝度を制御するための映像信号Vsigとなった後、[期間−TP2]でオフした書込みトランジスタTr1をオンする。その結果、第1ノードND1の電位はVsigへと上昇し、駆動トランジスタTr2はオン状態となる。
【0050】
ここで、駆動トランジスタTr2のゲート電極とソース電極との間の電位差Vgsは、式(3)で表される。
Vgs≒Vsig−(VOfs−Vthr)−ΔV・・・(3)
ここで、ΔVは、駆動トランジスタTr2のソース領域における電位の上昇量である。
【0051】
駆動トランジスタTr2のドレイン領域には電源部100から電圧Vccpが印加されているので、駆動トランジスタTr2のソース領域の電位は上昇する。なお、この[期間−TP3]の時間は、第2ノードND2の電位が(Vofs−Vthr+ΔV)となるように、表示装置の設計の際、設計値として予め決定しておけばよい。
【0052】
この[期間−TP3]にあっても、駆動トランジスタTr2の移動度μの値が大きい場合、駆動トランジスタTr2のソース領域における電位の上昇量ΔVは大きく、駆動トランジスタTr2の移動度μの値が小さい場合、駆動トランジスタTr2のソース領域における電位の上昇量ΔVは小さい。
以上の操作によって、閾値電圧補正処理、信号書込処理、移動度補正処理が完了する。
【0053】
[発光期間B](図4および図7参照)
走査線SCLをローレベルとすることによって、書込みトランジスタTr1をオフ状態とし、第1ノードND1(駆動トランジスタTr2のゲート電極)を浮遊状態とする。第2ノードND2の電位が上昇し、(Vthr-EL+VCat)を越えるので、発光部ELPは発光を開始する。このとき、発光部ELPを流れる電流は、次式(4)にて得ることができる。
【0054】
Ids=k・μ・(Vsig−Vofs―ΔV)2・・・(4)
式(4)に表されるように、発光部ELPを流れるドレイン電流Idsは、発光部ELPの閾値電圧Vthr-EL、および、駆動トランジスタTr2の閾値電圧Vthrには依存しない。即ち、発光部ELPの発光量(輝度)は、発光部ELPの閾値電圧Vthr-ELの影響、および、駆動トランジスタTr2の閾値電圧Vthrの影響を受けない。加えて、駆動トランジスタTr2における移動度μのばらつきに起因したドレイン電流Idsのばらつき発生を抑制することができる。
【0055】
そして、発光部ELPの発光状態を第(m+m’−1)番目の水平走査期間まで継続する。この時点は、[発光期間A]の終わりに相当する。
【0056】
なお、[期間−TP1]〜[発光期間B]では、駆動トランジスタTr2は、Vgs>Vthrであるため、トランジスタTr3はカットオフ状態であり、電流は流れず、駆動トランジスタTr2のVgsに影響を及ぼさない。
以上によって、第(n,m)番目の副画素を構成する発光素子10の発光の動作が完了する。
【0057】
なお、図4に示す動作では、閾値電圧補正準備処理が終了した後、時間的な間を空けずに閾値電圧補正処理を行った。しかし、これに限らず、閾値電圧補正準備処理が終了した後、所定時間経過してから閾値電圧補正処理を開始してもよい。
【0058】
図8は、駆動回路の他の動作例を示すタイミングチャートである。
[期間−TP0]の終了後、書込みトランジスタTr1を一旦オフし、[期間−TP1]の開始とともに、書込みトランジスタTr1をオンするようにしてもよい。
また、閾値電圧補正準備期間の前に、書込みトランジスタTr1をオン、オフして消光動作を行ってもよい。
【0059】
図9は、駆動回路の他の動作例を示すタイミングチャートである。
図9に示すタイミングチャートでは、[期間−TP0]が属する表示フレームの1フレーム前に、発光部ELPを消光している。
【0060】
具体的には、[期間−TP0]が属するフレームの1フレーム前のデータ線DTLの電位がViniであるときに、書込みトランジスタTr1をオン、オフする[期間−TP(−1)]を設けている。そして、今回の表示フレームにおいて、再び書込みトランジスタTr1をオンし、閾値電圧補正準備処理を開始している。
【0061】
このように、第1の実施の形態の表示装置1000によれば、発光状態において、データ線DTLの電位がViniであるときに書込みトランジスタTr1をオンするだけで、発光部ELPを消光状態にすることができる。[期間−TP0]が属する表示フレームの1フレーム前に、書込みトランジスタTr1をオンして、消光時間を増やすことにより、動画特性を向上することができる。
【0062】
なお、1フレーム前に限らず、2フレーム以上前に書込みトランジスタTr1をオンして、消光時間を増やすようにしてもよい。
さらに、閾値電圧補正準備処理、および、閾値電圧補正処理は、分割パルスを用いてもよい。
【0063】
以上述べたように、表示装置1000によれば、トランジスタTr3を駆動トランジスタTr2のゲート・ソース間にダイオード接続し、[期間−TP0]において、データ線DTLの電位を、電圧Viniに設定することで、駆動トランジスタTr2のドレイン電圧が固定電圧Vccpのまま、駆動トランジスタTr2のソース電位を降下させることができる。これにより、発光部ELPの発光動作および非発光動作に際し、電源電圧をパルス化させる機能を省略することができるため、電源部100の小型化を図ることができる。従って、表示装置1000を小型化することができる。
【0064】
また、電源電圧をパルス化する機能を省略することにより、以下の効果が得られる。
電源線とデータ線DTLが重なり合う構成を取った場合、重なり合う部分のデータ線DTLの抵抗値を大きくする等の措置をとっていた。
しかし、データ線DTLの抵抗値を大きくすると、データ線DTLを通過する信号の転送速度を高速にする際の妨げとなる。また、電源線とデータ線のレイヤを変えると、表示装置の製造工程数が増加する。
表示装置1000によれば、電源電圧をパルス化する機能を省略することにより、例えば、データ線DTLに平行に信号線を配置する等、データ線DTLと電源線とが重ならない構成とすることが容易となる。データ線DTLと電源線が重ならない構成としたときは、データ線DTLの抵抗値を大きくしなくてもよいので、信号の書込み速度の低下を抑制することができる。
【0065】
なお、本実施の形態では、書込みトランジスタTr1、駆動トランジスタTr2、および、トランジスタTr3、並びに容量部Csにより発光部ELPに駆動電流を供給する駆動回路の構成について説明したが、これに限定されない。即ち、これらの構成要素に加え、発光部ELPの発光を制御する他のトランジスタが追加された駆動回路にも適用することができる。
【0066】
<第2の実施の形態>
次に、第2の実施の形態の表示装置について説明する。
以下、第2の実施の形態の表示装置について、前述した第1の実施の形態との相違点を中心に説明し、同様の事項については、その説明を省略する。
第2の実施の形態の表示装置は、駆動回路の構成が第1の実施の形態と異なっている。
【0067】
図10は、第2の実施の形態の駆動回路を示す回路図である。
この駆動回路10bは、トランジスタTr3のゲート端子が、固定電圧を出力する電源に接続されている。これにより、トランジスタTr3のゲート端子の電位が、固定電位に設定されている。
【0068】
なお、固定電圧は、[期間−TP0]のときのみオンするような電圧(例えば、−4V)に設定されている。これにより、トランジスタTr3は、閾値電圧補正準備処理のときにのみ、オンする。
【0069】
この第2の実施の形態の表示装置1000によれば、第1の実施の形態の表示装置1000と同様の効果が得られる。
そして、第2の実施の形態の表示装置1000によれば、さらに、トランジスタTr3として、閾値特性が、デプレッション型のトランジスタを使用することができる。
【0070】
以上、本発明の信号処理装置および表示装置を、図示の実施の形態に基づいて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、各部の構成は、同様の機能を有する任意の構成のものに置換することができる。また、本発明に、他の任意の構成物や工程が付加されていてもよい。
【0071】
また、本発明は、前述した各実施の形態のうちの、任意の2以上の構成(特徴)を組み合わせたものであってもよい。
【0072】
なお、第1の実施の形態で述べた表示装置1000、および、第2の実施の形態で述べた表示装置1000(以下、単に表示装置1000と言う)は、フラット型のモジュール形状のものを含む。
【0073】
図11は、フラット型のモジュール形状の表示装置を示す図である。
例えば絶縁性の基板上に、液晶素子、薄膜トランジスタ、薄膜容量、受光素子等を備える画素を行列状に集積形成した画素アレイ部(画素行列部)を設ける。
【0074】
この画素アレイ部を囲むように接着剤を配し、ガラス等の対向基板を貼り付けて表示モジュールとする。この透明な対向基板には必要に応じて、カラーフィルタ、保護膜、遮光膜等を設けてもよい。表示モジュールには、外部から画素アレイ部への信号等を入出力するためのコネクタとして例えばFPC(フレキシブルプリントサーキット)を設けてもよい。
【0075】
以上説明した表示装置1000は、フラットパネル形状を有し、様々な電子機器、例えば、デジタルカメラ、ノート型パーソナルコンピュータ、携帯電話、ビデオカメラ等、電子機器に入力された、若しくは、電子機器内で生成した映像信号を画像若しくは映像として表示するあらゆる分野の電子機器のディスプレイに適用することが可能である。以下この様な表示装置が適用された電子機器の例を示す。
【0076】
図12は、実施の形態の表示装置が適用されたテレビを示す図である。
図12に示すテレビは、フロントパネル12、フィルターガラス13等を有する映像表示画面11を含んでいる。映像表示画面11に、表示装置1000が適用されている。
【0077】
図13は、実施の形態の表示装置が適用されたデジタルカメラを示す図である。
図13(a)は、デジタルカメラの正面側を示す図であり、図13(b)は、デジタルカメラの背面側を示す図である。
【0078】
図13に示すデジタルカメラは、撮像レンズ、フラッシュ用の発光部15、表示部16、コントロールスイッチ、メニュースイッチ、シャッター19等を含んでいる。表示部16に表示装置1000が適用されている。
【0079】
図14は、実施の形態の表示装置が適用されたノート型パーソナルコンピュータを示す図である。
図14に示すノート型パーソナルコンピュータの本体60には、文字等を入力するとき操作されるキーボード61を含み、本体カバーには画像を表示する表示部62を含んでいる。表示部62に表示装置1000が適用されている。
【0080】
図15は、実施の形態の表示装置が適用された携帯端末装置である。
図15に示す携帯端末装置は、折り畳み式になっており、折り畳みを開くことにより、操作部および表示部が表れる。図15(a)は、開いた状態の携帯端末装置を表し、図15(b)は、折り畳まれた(閉じた)状態の携帯端末装置を表している。
【0081】
この携帯端末装置は、上側筐体23、下側筐体24、連結部(ここではヒンジ部)25、ディスプレイ26、サブディスプレイ27、ピクチャーライト28、カメラ29等を含んでいる。ディスプレイ26やサブディスプレイ27に表示装置1000が適用されている。
【0082】
図16は、実施の形態の表示装置が適用されたビデオカメラを示す図である。
このビデオカメラは、本体部70、前方を向いた側面に被写体撮影用のレンズ71、撮影時のスタート/ストップスイッチ72、モニター73等を含んでいる。モニター73に表示装置1000が適用されている。
【0083】
なお、図2では、第2ノードND2と電圧VCatとの間に、発光部ELPの容量CELのみを図示した。しかし、これに限らず、発光部ELPの容量CELに加えて、容量部Csと同様の容量Csubを並列接続してもよい。
【0084】
図17は、駆動回路の等価回路の他の例を示す図である。
【符号の説明】
【0085】
10……発光素子、10a、10b……駆動回路、100……電源部、101……走査回路、102……信号出力回路、1000……表示装置、Cs……容量部、Tr1……書込みトランジスタ、Tr2……駆動トランジスタ、Tr3、Tr4……トランジスタ
【技術分野】
【0001】
本発明は信号処理装置および表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
発光素子として有機EL(Electroluminescence)デバイスを用いた平面自発光型の表示装置が知られている。有機ELデバイスは、有機薄膜に電界を加えると発光する現象を利用したデバイスである。有機ELデバイスは、印加電圧が低い状態(例えば、10V以下)で駆動するため液晶デバイス等に比べ低消費電力である。また、有機ELデバイスは、自ら光を発する自発光素子であるため、照明部材を必要とせず軽量化、および、薄型化が容易である。さらに、有機ELデバイスの応答速度は、数μs程度と非常に高速であるため、動画表示時の残像を軽減させることができる。
有機ELデバイスを画素に用いた平面自発光型の表示装置の中でも、とりわけ駆動素子として薄膜トランジスタを各画素に集積形成したアクティブ行列型の表示装置が知られている。
有機ELデバイスは、電流発光素子の為、電流発光素子に流れる電流値を制御することで、発色の階調を得ている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−310311号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
低温ポリシリコンTFT基板等を使用する場合、トランジスタの閾値電圧特性や、移動度特性がばらついてしまう。このため、電源ラインをパルス化することで、閾値電圧や、移動度を補正している。
ここで、電源ラインをパルス化すると、電流発光素子を消光状態から発光状態に遷移させるときに電源電圧が電流発光素子に供給される。この電流発光素子の発光電流は例えば、数μA程度である。
しかしながら、この電流発光素子を有する画素が、水平方向に1000個並んでいる場合は、発光電流は数mA程度となる。従って、数mA程度の電流が流れても電源電圧を降下させないように、電源が大型化するという問題があった。
本発明はこのような点に鑑みてなされたものであり、小型化を図ることができる信号処理装置および表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、開示の信号処理装置が提供される。この信号処理装置は、駆動用スイッチ素子と、カットオフ素子とを有している。
駆動用スイッチ素子は、電源部から供給される駆動電流を発光素子に供給する。
カットオフ素子は、駆動用スイッチ素子の閾値電圧を調整する閾値電圧調整用信号を駆動用スイッチ素子に供給する信号線が、閾値電圧調整用信号を駆動用スイッチ素子に供給する前に供給するカットオフ電圧に応じて駆動用スイッチ素子をカットオフする。
【発明の効果】
【0006】
開示の信号処理装置によれば、小型化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】第1の実施の形態の表示装置を示す図である。
【図2】駆動回路の等価回路を示す図である。
【図3】実施の形態の発光素子の一部分の模式的な一部断面図である。
【図4】駆動回路の動作を示すタイミングチャートである。
【図5】駆動回路の動作を示す回路図である。
【図6】駆動回路の動作を示す回路図である。
【図7】駆動回路の動作を示す回路図である。
【図8】駆動回路の他の動作を示すタイミングチャートである。
【図9】駆動回路の他の動作を示すタイミングチャートである。
【図10】第2の実施の形態の駆動回路を示す回路図である。
【図11】フラット型のモジュール形状の表示装置を示す図である。
【図12】実施の形態の表示装置が適用されたテレビを示す図である。
【図13】実施の形態の表示装置が適用されたデジタルカメラを示す図である。
【図14】実施の形態の表示装置が適用されたノート型パーソナルコンピュータを示す図である。
【図15】実施の形態の表示装置が適用された携帯端末装置である。
【図16】実施の形態の表示装置が適用されたビデオカメラを示す図である。
【図17】駆動回路の等価回路の他の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、実施の形態を、図面を参照して詳細に説明する。
<第1の実施の形態>
先ず、発光素子を備えた表示装置の概要について説明する。
図1は、第1の実施の形態の表示装置を示す図である。
【0009】
図1に示す表示装置1000は、走査回路101と、信号出力回路(水平セレクタ)102と、発光素子10と、M本(M≧1)の走査線SCLと、N本(N≧1)のデータ線DTLと、電源部100とを有している。
【0010】
図1に示す表示装置1000は、複数の画素を備えている。各画素は、発光部と発光部を駆動する駆動回路(信号処理装置)とを備えた発光素子10を有している。
なお、図1においては、9(3×3)個の発光素子10を図示しているが、これは、あくまでも例示に過ぎない。
【0011】
発光素子10は、第1の方向(本実施の形態では水平方向)にN個、第1の方向とは異なる第2の方向(具体的には、第1の方向に直交する方向、本実施の形態では垂直方向)にM個、合計N×M個の、2次元行列状に配列されている。
各発光素子10は、有機エレクトロルミネッセンス発光部を備えている。より具体的には、各発光素子10は、駆動回路と、この駆動回路に接続された有機エレクトロルミネッセンス発光部(発光部ELP)とが積層された構造を有する有機エレクトロルミネッセンス素子(有機EL素子)である。
なお、発光部としては、他にも例えば、無機エレクトロルミネッセンス発光部、LED発光部、半導体レーザー発光部等を用いることができる。
【0012】
走査回路101は、行単位により発光素子10を順次操作する線順次操作を行うものである。この走査回路101は、データ線DTLから供給されるデータ信号を発光素子10に書き込むタイミングを行単位により制御する。この走査回路101は、データ信号を書き込むオン電位、データ信号の書込みを停止させるオフ電位を走査信号として生成する。この走査回路101は、生成した走査信号を、走査回路101に接続され第1の方向に平行に延びるM本の走査線SCLに供給する。
【0013】
信号出力回路102は、走査回路101による線順次走査に合わせて、発光素子10における発光輝度の大きさを設定するデータ信号を各列の発光素子10に供給する。
この信号出力回路102は、発光の輝度の大きさを設定する映像信号の電位(信号電位)と、発光素子10を駆動する駆動トランジスタ(駆動用スイッチ素子)の閾値電圧の補正を行う電位(基準電位)をデータ信号として生成する。この信号出力回路102は、生成したデータ信号を、信号出力回路102に接続され第2の方向に平行に延びるN本のデータ線DTLに供給する。
【0014】
電源部100は、走査回路101による線順次走査に合わせて、発光素子10を駆動させる電源電圧を行単位により生成する。この電源部100は、生成した電源電圧を電圧線に供給する。
【0015】
次いで、表示装置1000の駆動回路の構成、および、駆動回路を用いた発光部の駆動方法に関して、以下、詳しく説明する。
便宜上、駆動回路を構成する各トランジスタは、原則として、nチャネル型の薄膜トランジスタ(TFT)で構成されているとして説明する。但し、場合によっては、一部のトランジスタをpチャネル型のTFTで構成することもできる。なお、半導体基板等にトランジスタを形成した構成とすることもできる。駆動回路を構成するトランジスタの構造は、特に限定するものではない。以下の説明においては、駆動回路を構成するトランジスタはエンハンスメント型であるとして説明するが、これに限るものではない。デプレッション型のトランジスタが用いられていてもよい。また、駆動回路を構成するトランジスタはシングルゲート型であってもよいし、デュアルゲート型であってもよい。
【0016】
実施の形態の表示装置1000は、(N/3)×M個の2次元行列状に配列された画素から構成されている。1つの画素は、3つの副画素(赤色を発光する赤色発光副画素、緑色を発光する緑色発光副画素、青色を発光する青色発光副画素)から構成されている。
【0017】
また、各画素を構成する発光素子10は、線順次駆動されるとし、表示フレームレートをFR(回/秒)とする。即ち、第m行目(但し、m=1,2,3・・・M)に配列された(N/3)個の画素、より具体的には、N個の副画素のそれぞれを構成する発光素子が同時に駆動される。換言すれば、1つの行を構成する各発光素子10にあっては、その発光/非発光のタイミングは、それらが属する行単位で制御される。なお、1つの行を構成する各画素について映像信号を書き込む処理は、全ての画素について同時に映像信号を書き込む処理(以下、単に、同時信号書込処理と呼ぶ場合がある)であってもよいし、画素毎に順次映像信号を書き込む処理(以下、単に、順次信号書込処理と呼ぶ場合がある)であってもよい。いずれの信号書込処理とするかは、駆動回路の構成に応じて適宜選択すればよい。
【0018】
ここで、原則として、第m行目、第n列(但し、n=1,2,3・・・N)に位置する発光素子に関する駆動、動作を説明するが、係る発光素子を、以下、第(n,m)番目の発光素子あるいは第(n,m)番目の副画素と呼ぶ。そして、第m行目に配列された各発光素子の水平走査期間(第m番目の水平走査期間)が終了するまでに、各種の処理(後述する閾値電圧補正準備処理、閾値電圧補正処理、信号書込処理、移動度補正処理)が行われる。なお、信号書込処理や移動度補正処理は、第m番目の水平走査期間内に行われる。一方、駆動回路の種類によっては、閾値電圧補正処理や、この処理の前処理である閾値電圧補正準備処理を第m番目の水平走査期間より先行して行うことができる。
【0019】
そして、上述した各種の処理が全て終了した後、第m行目に配列された各発光素子を構成する発光部を発光させる。なお、上述した各種の処理が全て終了した後、直ちに発光部を発光させてもよいし、所定の期間(例えば、所定の行数分の水平走査期間)が経過した後に発光部を発光させてもよい。この所定の期間は、表示装置の仕様や駆動回路の構成等に応じて、適宜設定することができる。なお、以下の説明においては、説明の便宜のため、各種の処理終了後、直ちに発光部を発光させるものとする。そして、第m行目に配列された各発光素子を構成する発光部の発光は、第(m+m’)行目に配列された各発光素子の水平走査期間の開始直前まで継続される。ここで、「m’」は、表示装置の設計仕様によって決定される。即ち、或る表示フレームの第m行目に配列された各発光素子を構成する発光部の発光は、第(m+m’−1)番目の水平走査期間まで継続される。一方、第(m+m’)番目の水平走査期間の始期から、次の表示フレームにおける第m番目の水平走査期間内において信号書込処理や移動度補正処理が完了するまで、第m行目に配列された各発光素子を構成する発光部は、原則として非発光状態を維持する。上述した非発光状態の期間(以下、単に、非発光期間と呼ぶ場合がある)を設けることにより、アクティブ行列駆動に伴う残像ボケが低減され、動画品位をより優れたものとすることができる。但し、各副画素(発光素子)の発光状態/非発光状態は、以上に説明した状態に限定するものではない。また、水平走査期間の時間長は、(1/FR)×(1/M)秒未満の時間長である。(m+m’)の値がMを越える場合、越えた分の水平走査期間は、次の表示フレームにおいて処理される。
【0020】
1つのトランジスタの有する2つのソース/ドレイン領域において、「一方のソース/ドレイン領域」という用語を、電源部に接続された側のソース/ドレイン領域といった意味において使用する場合がある。また、トランジスタがオン状態にあるとは、ソース/ドレイン領域間にチャネルが形成されている状態を意味する。係るトランジスタの一方のソース/ドレイン領域から他方のソース/ドレイン領域に電流が流れているか否かは問わない。一方、トランジスタがオフ状態にあるとは、ソース/ドレイン領域間にチャネルが形成されていない状態を意味する。また、或るトランジスタのソース/ドレイン領域が他のトランジスタのソース/ドレイン領域に接続されているとは、或るトランジスタのソース/ドレイン領域と他のトランジスタのソース/ドレイン領域とが同じ領域を占めている形態を包含する。更には、ソース/ドレイン領域は、不純物を含有したポリシリコンやアモルファスシリコン等の導電性物質から構成することができるだけでなく、金属、合金、導電性粒子、これらの積層構造、有機材料(導電性高分子)から成る層から構成することができる。また、以下の説明で用いるタイミングチャートにおいて、各期間を示す横軸の長さ(時間長)は模式的なものであり、各期間の時間長の割合を示すものではない。
【0021】
[駆動回路10a]
図2は、駆動回路の等価回路を示す図である。
駆動回路10aは、書込みトランジスタ(書込みスイッチ素子)Tr1、駆動トランジスタTr2、および、トランジスタ(カットオフ素子)Tr3と、容量部Csとを有している。
【0022】
書込みトランジスタTr1、駆動トランジスタTr2、および、トランジスタTr3は、それぞれ、nチャネル型トランジスタである。
【0023】
[書込みトランジスタTr1]
書込みトランジスタTr1のソース端子は、駆動トランジスタTr2のゲート端子に接続されている。また、書込みトランジスタTr1のドレイン端子は、データ線DTLに接続されている。そして、データ線DTLを介して、発光部ELPにおける輝度を制御するための映像信号Vsigが、ソース/ドレイン領域に供給される。なお、データ線DTLを介して、Vsig以外の種々の信号・電圧(プリチャージ駆動のための信号や各種の基準電圧等)が、ソース/ドレイン領域に供給されてもよい。また、書込みトランジスタTr1のオン/オフ動作は、書込みトランジスタTr1のゲート電極に接続された走査線SCLによって制御される。
【0024】
[駆動トランジスタTr2]
駆動トランジスタTr2のドレイン端子は、電源部100に接続されている。なお、電源部100からは、発光部ELPを発光させる電圧Vccpが供給される。一方、駆動トランジスタTr2のソース端子は、
(1)発光部ELPのアノード電極、
(2)トランジスタTr3のソース端子、および、
(3)容量部Csの一方の電極、
に接続されており、第2ノードND2を構成する。
【0025】
また、駆動トランジスタTr2のゲート端子は、
(1)書込みトランジスタTr1のソース端子、
(2)トランジスタTr3のドレイン端子、および、
(3)容量部Csの他方の電極、
に接続されており、第1ノードND1を構成する。
【0026】
ここで、駆動トランジスタTr2は、発光素子の発光状態においては、以下の式(1)に従ってドレイン電流Idsを流すように駆動される。
Ids=k・μ・(Vgs−Vthr)2・・・(1)
ここで、μ:実効的な移動度、L:チャネル長、W:チャネル幅、Vgs:ゲート電極とソース領域との間の電位差、Vthr:駆動トランジスタTr2の閾値電圧、Cox:(ゲート絶縁層の比誘電率)×(真空の誘電率)/(ゲート絶縁層の厚さ)、k≡(1/2)・(W/L)・Coxとする。
【0027】
このドレイン電流Idsが発光部ELPを流れることで、発光部ELPが発光する。更には、このドレイン電流Idsの値の大小によって、発光部ELPにおける発光状態(輝度)が制御される。
【0028】
[容量部Cs]
容量部Csは、書込みトランジスタTr1によって供給されたデータ信号に応じた電圧を保持する。即ち、容量部Csは、書込みトランジスタTr1によって書き込まれた信号電位に応じた信号電圧を保持する役割を果たす。
【0029】
[トランジスタTr3]
トランジスタTr3は、容量部Csに並列接続されている。
トランジスタTr3のドレイン端子は、第1ノードND1に接続されている。また、ソース端子は、第2ノードND2に接続されている。そして、トランジスタTr3のゲート端子は、トランジスタTr3のソース端子に接続されている。即ち、トランジスタTr3は、ダイオード接続されている。
なお、トランジスタTr3は、トランジスタTr3の閾値電圧Vthlが、駆動トランジスタTr2の閾値電圧Vthrよりも小さな値となるものを用いることができる。
【0030】
次に、駆動回路10a以外に図2に図示した発光部ELPとトランジスタTr4を説明する。
[発光部ELP]
発光部ELPのアノード電極は、上述のとおり、駆動トランジスタTr2のソース領域に接続されている。一方、発光部ELPのカソード電極には、電圧VCatが印加される。発光部ELPの容量を符号CELで表す。また、発光部ELPの発光に必要とされる閾値電圧をVthr-ELとする。即ち、発光部ELPのアノード電極とカソード電極との間にVthr-EL以上の電圧が印加されると、発光部ELPは発光する。
【0031】
図3は、実施の形態の発光素子の一部分の模式的な一部断面図である。
発光素子10の駆動回路を構成する各トランジスタ、および、容量部Csは、支持体20上に形成されている。
【0032】
発光部ELPは、例えば、層間絶縁層40を介して、駆動回路10aが有する各トランジスタ、および、容量部Csの上方に形成されている。また、駆動トランジスタTr2の他方のソース/ドレイン領域は、発光部ELPに備えられたアノード電極に、コンタクトホールを介して接続されている。なお、図3においては、駆動トランジスタTr2のみを図示する。書込みトランジスタTr1やトランジスタTr3は隠れて見えない。
【0033】
発光部ELPは、例えば、アノード電極、正孔輸送層、発光層、電子輸送層、カソード電極等の周知の構成、構造を有する。
具体的には、駆動トランジスタTr2は、ゲート電極31、ゲート絶縁層32、半導体層33、半導体層33に設けられたソース/ドレイン領域35、および、ソース/ドレイン領域35の間の半導体層33の部分が該当するチャネル形成領域34から構成されている。一方、容量部Csは、他方の電極36、ゲート絶縁層32の延在部から構成された誘電体層、および、一方の電極37(後述する第2ノードND2に相当する)から成る。ゲート電極31、ゲート絶縁層32の一部、および、容量部Csを構成する他方の電極36は、支持体20上に形成されている。駆動トランジスタTr2の一方のソース/ドレイン領域35は配線38に接続され、他方のソース/ドレイン領域35は一方の電極37に接続されている。駆動トランジスタTr2および容量部Cs等は、層間絶縁層40で覆われており、層間絶縁層40上に、アノード電極51、正孔輸送層、発光層、電子輸送層、および、カソード電極53から成る発光部ELPが設けられている。なお、図3においては、正孔輸送層、発光層、および、電子輸送層を層52で表した。発光部ELPが設けられていない層間絶縁層40の部分の上には、第2層間絶縁層54が設けられ、第2層間絶縁層54およびカソード電極53上には透明な基板21が配置されており、発光層にて発光した光は、基板21を通過して、外部に出射される。なお、一方の電極37とアノード電極51とは、層間絶縁層40に設けられたコンタクトホールによって接続されている。また、カソード電極53は、第2層間絶縁層54、層間絶縁層40に設けられたコンタクトホール56、55を介して、ゲート絶縁層32の延在部上に設けられた配線39に接続されている。
【0034】
[トランジスタTr4]
トランジスタTr4は、データ線DTLに接続されている。トランジスタTr4がオンすることにより、データ線に電圧Viniが供給される。
【0035】
以下、駆動回路の動作説明を行う。なお、上述したように、各種の処理(閾値電圧補正処理、信号書込処理、移動度補正処理)が全て完了した後、直ちに発光状態が始まるものとして説明するが、これに限るものではない。
【0036】
以下の説明において、電圧あるいは電位の値を以下のとおりとするが、これは、あくまでも説明のための値であり、これらの値に限定されるものではない。
Vsig:発光部ELPにおける輝度を制御するための映像信号・・・0ボルト〜10ボルト
Vccp:電源部100の出力電圧・・・6ボルト
Vofs:駆動トランジスタTr2のゲート電極の電位(第1ノードND1の電位)を初期化するための電圧・・・0ボルト
Vini:Vofs−Vthr以下の電圧・・・−6ボルト
VSS:駆動トランジスタTr2のソース領域の電位(第2ノードND2の電位)を初期化するための電圧・・・−10ボルト
Vthr:駆動トランジスタTr2の閾値電圧・・・3ボルト
Vthl:トランジスタTr3の閾値電圧・・・2ボルト
VCat:発光部ELPのカソード電極に印加される電圧・・・0ボルト
Vthr-EL:発光部ELPの閾値電圧・・・3ボルト
駆動回路10aの発光部ELPの駆動方法は、例えば、
(a)第1ノードND1と第2ノードND2との間の電位差が、トランジスタTr3の閾値電圧を越え、且つ、第2ノードND2と発光部ELPに備えられたカソード電極との間の電位差が、発光部ELPの閾値電圧を越えないように、第1ノードND1に第1ノード初期化電圧を印加し、第2ノードND2に第2ノードND2初期化電圧を印加する閾値電圧補正準備処理を行い、次いで、
(b)第1ノードND1の電位を閾値電圧調整信号に書き換え、第1ノードND1の電位から駆動トランジスタTr2の閾値電圧を減じた電位に向かって、第2ノードND2の電位を変化させる閾値電圧補正処理を行い、その後、
(c)走査線SCLからの信号によりオン状態とされた書込みトランジスタTr1を介して、データ線DTLから映像信号を第1ノードND1に印加する信号書込処理を行い、次いで、
(d)走査線SCLからの信号により書込みトランジスタTr1をオフ状態とすることにより第1ノードND1を浮遊状態とし、電源部100から駆動トランジスタTr2を介して、第1ノードND1と第2ノードND2との間の電位差の値に応じた電流を発光部ELPに流すことにより、発光部ELPを駆動する、
工程から成る。
【0037】
上述したように、前述した工程(b)において、第1ノードND1の電位から駆動トランジスタTr2の閾値電圧を減じた電位に向かって、第2ノードND2の電位を変化させる閾値電圧補正処理を行う。より具体的には、第1ノードND1の電位から駆動トランジスタTr2の閾値電圧を減じた電位に向かって第2ノードND2の電位を変化させるために、前述した工程(a)における第2ノードND2の電位に駆動トランジスタTr2の閾値電圧を加えた電圧を超える電圧を、駆動トランジスタTr2の一方のソース/ドレイン領域に印加する。定性的には、閾値電圧補正処理において、第1ノードND1と第2ノードND2との間の電位差(換言すれば、駆動トランジスタTr2のゲート電極とソース領域との間の電位差)が駆動トランジスタTr2の閾値電圧に近づく程度は、閾値電圧補正処理の時間により左右される。従って、例えば閾値電圧補正処理の時間を充分長く確保した形態にあっては、第2ノードND2の電位は第1ノードND1の電位から駆動トランジスタTr2の閾値電圧を減じた電位に達する。そして、第1ノードND1と第2ノードND2との間の電位差は駆動トランジスタTr2の閾値電圧に達し、駆動トランジスタTr2はオフ状態となる。一方、例えば閾値電圧補正処理の時間を短く設定せざるを得ない形態にあっては、第1ノードND1と第2ノードND2との間の電位差が駆動トランジスタTr2の閾値電圧より大きく、駆動トランジスタTr2はオフ状態とはならない場合がある。閾値電圧補正処理の結果として、必ずしも駆動トランジスタTr2がオフ状態となることを要しない。
【0038】
図4は、駆動回路の動作を示すタイミングチャートであり、図5、図6、および、図7は、それぞれ、各期間における駆動回路の動作を示す回路図である。
なお、各期間を示す横軸の長さは模式的なものであり、各期間の時間長の割合は、これに限定されない。
また、図4における各電圧値は、相対的な値を示すものであり、絶対的な値を示すものではない。
また、図5、図6、および、図7では、説明を分かりやすくするために、書込みトランジスタTr1をスイッチ形式で表している。
【0039】
[発光期間A](図4および図5(a)参照)
この[発光期間A]は、例えば、前の表示フレームにおける発光期間である。この発光期間Aにおいては、発光部ELPには、ドレイン電流Idsが流れている。また、書込みトランジスタTr1、および、トランジスタTr3は、オフ状態であり、駆動トランジスタTr2はオン状態である。
1フレーム(図4中、1H期間と表記)内で、データ線DTLの電位は、Vini、Vofs、Vsigの順番に変位する。
【0040】
図4に示す、[期間−TP0]〜[期間−TP2]は、次の信号書込処理が行われる直前までの動作期間である。そして、[期間−TP0]〜[期間−TP2]において、第(n,m)番目の発光素子10は原則として非発光状態にある。駆動回路10aの動作においては、図4に示すように、[期間−TP3]の他、[期間−TP1]〜[期間−TP2]も第m番目の水平走査期間に包含される。なお、説明の便宜のため、[期間−TP1]の始期、および、[期間−TP3]の終期は、それぞれ、第m番目の水平走査期間の始期、および、終期に一致するものとして説明する。
【0041】
以下、[期間−TP0]〜[期間−TP2]の各期間について説明する。なお、[期間−TP1]〜[期間−TP3]の各期間の長さは、表示装置の設計に応じて適宜設定すればよい。
【0042】
[期間−TP0](図4および図5(b)参照)
[期間−TP0]の開始時は、データ線DTLの電位は、電圧Viniとなっている。走査線SCLをハイレベルとすることによって、書込みトランジスタTr1をオン状態とする。これにより、現表示フレームにおける第m行目の水平走査期間が開始する。この[期間−TP0]において、閾値電圧補正処理を行うための閾値電圧補正準備処理が行われる。[期間−TP0]の開始時は、発光部ELPは発光状態であるので、発光部ELPのアノード電極の電位は、電圧Viniより大きな値である6Vである。つまり、この状態ではトランジスタTr3がオン動作し、駆動トランジスタTr2のソース電圧が放電される。他方、駆動トランジスタTr2のゲート端子には、電圧Viniが供給されるため、駆動トランジスタTr2はオフする。また、駆動トランジスタTr2のオフにより、発光部ELPへのドレイン電流Idsの供給が停止するため、発光部ELPは、非発光状態となる。
【0043】
その後、ノードND2の電位の低下は、トランジスタTr3がオフするまで続き、ノードND2の電位がVini+Vhtlになると、トランジスタTr3がオフし、電圧の低下が止まる。
【0044】
ここで、駆動トランジスタTr2のVgsの電位は、−Vthl(=Vini−(Vini+Vhtl))である。即ち、駆動トランジスタTr2のVgsの電位は、トランジスタTr2の閾値電圧Vthrより小さくなりカットオフ動作点になる。つまり、駆動トランジスタTr2のドレイン電圧が、発光素子10を発光できるVccpの状態であっても駆動トランジスタTr2に電流は流れず、駆動トランジスタTr2の閾値電圧補正の初期化が行われる。その結果、第1ノードND1の電位は、Viniに等しい−6ボルトとなる。第2ノードND2の電位は、例えば、−4ボルト程度まで降下する。
【0045】
[期間−TP1](図4および図6(a)参照)
次に、閾値電圧補正処理を行う。具体的には、書込みトランジスタTr1のオン状態を維持したまま、信号出力回路102がデータ線DTLの電位をViniからVofsに上げる。データ線DTLの電位をVofsに上げることで、駆動トランジスタTr2のVgsが一旦、閾値電圧Vthrより大きくなる。これにより、駆動トランジスタTr2がオンし、駆動トランジスタTr2に電流が流れ、閾値電圧補正処理が開始される。具体的には、浮遊状態の第2ノードND2の電位が(Vofs−Vthr=−3ボルト)に近づき、最終的に(Vofs−Vthr)となる。このようにして駆動トランジスタTr2の閾値電圧Vthrに相当する電圧が容量部Csに書き込まれる。
【0046】
ここで、次式(2)が保証されていれば、云い換えれば、式(2)を満足するように電位を選択、決定しておけば、発光部ELPが発光することはない。
【0047】
(Vofs−Vthr)<(Vthr-EL+Vcat)・・・(2)
この[期間−TP1]にあっては、第2ノードND2の電位は、最終的に、(Vofs−Vth)となる。即ち、駆動トランジスタTr2の閾値電圧Vthr、および、駆動トランジスタTr2のゲート電極を初期化するための電圧Vofsのみに依存して、第2ノードND2の電位は決定される。そして、発光部ELPの閾値電圧Vthr-ELとは無関係である。
【0048】
[期間−TP2](図4参照)
[期間−TP1]の終了後、書込みトランジスタTr1をオフする。そして、データ線DTLの電位を、発光部ELPにおける輝度を制御するための映像信号Vsigとする。
【0049】
[期間−TP3](図4および図6(b)参照)
次に、駆動トランジスタTr2に対する信号書込処理、および、駆動トランジスタTr2の移動度μの大小に基づく駆動トランジスタTr2のソース領域(第2ノードND2)の電位の補正(移動度補正処理)を行う。具体的には、データ線DTLの電位が、発光部ELPにおける輝度を制御するための映像信号Vsigとなった後、[期間−TP2]でオフした書込みトランジスタTr1をオンする。その結果、第1ノードND1の電位はVsigへと上昇し、駆動トランジスタTr2はオン状態となる。
【0050】
ここで、駆動トランジスタTr2のゲート電極とソース電極との間の電位差Vgsは、式(3)で表される。
Vgs≒Vsig−(VOfs−Vthr)−ΔV・・・(3)
ここで、ΔVは、駆動トランジスタTr2のソース領域における電位の上昇量である。
【0051】
駆動トランジスタTr2のドレイン領域には電源部100から電圧Vccpが印加されているので、駆動トランジスタTr2のソース領域の電位は上昇する。なお、この[期間−TP3]の時間は、第2ノードND2の電位が(Vofs−Vthr+ΔV)となるように、表示装置の設計の際、設計値として予め決定しておけばよい。
【0052】
この[期間−TP3]にあっても、駆動トランジスタTr2の移動度μの値が大きい場合、駆動トランジスタTr2のソース領域における電位の上昇量ΔVは大きく、駆動トランジスタTr2の移動度μの値が小さい場合、駆動トランジスタTr2のソース領域における電位の上昇量ΔVは小さい。
以上の操作によって、閾値電圧補正処理、信号書込処理、移動度補正処理が完了する。
【0053】
[発光期間B](図4および図7参照)
走査線SCLをローレベルとすることによって、書込みトランジスタTr1をオフ状態とし、第1ノードND1(駆動トランジスタTr2のゲート電極)を浮遊状態とする。第2ノードND2の電位が上昇し、(Vthr-EL+VCat)を越えるので、発光部ELPは発光を開始する。このとき、発光部ELPを流れる電流は、次式(4)にて得ることができる。
【0054】
Ids=k・μ・(Vsig−Vofs―ΔV)2・・・(4)
式(4)に表されるように、発光部ELPを流れるドレイン電流Idsは、発光部ELPの閾値電圧Vthr-EL、および、駆動トランジスタTr2の閾値電圧Vthrには依存しない。即ち、発光部ELPの発光量(輝度)は、発光部ELPの閾値電圧Vthr-ELの影響、および、駆動トランジスタTr2の閾値電圧Vthrの影響を受けない。加えて、駆動トランジスタTr2における移動度μのばらつきに起因したドレイン電流Idsのばらつき発生を抑制することができる。
【0055】
そして、発光部ELPの発光状態を第(m+m’−1)番目の水平走査期間まで継続する。この時点は、[発光期間A]の終わりに相当する。
【0056】
なお、[期間−TP1]〜[発光期間B]では、駆動トランジスタTr2は、Vgs>Vthrであるため、トランジスタTr3はカットオフ状態であり、電流は流れず、駆動トランジスタTr2のVgsに影響を及ぼさない。
以上によって、第(n,m)番目の副画素を構成する発光素子10の発光の動作が完了する。
【0057】
なお、図4に示す動作では、閾値電圧補正準備処理が終了した後、時間的な間を空けずに閾値電圧補正処理を行った。しかし、これに限らず、閾値電圧補正準備処理が終了した後、所定時間経過してから閾値電圧補正処理を開始してもよい。
【0058】
図8は、駆動回路の他の動作例を示すタイミングチャートである。
[期間−TP0]の終了後、書込みトランジスタTr1を一旦オフし、[期間−TP1]の開始とともに、書込みトランジスタTr1をオンするようにしてもよい。
また、閾値電圧補正準備期間の前に、書込みトランジスタTr1をオン、オフして消光動作を行ってもよい。
【0059】
図9は、駆動回路の他の動作例を示すタイミングチャートである。
図9に示すタイミングチャートでは、[期間−TP0]が属する表示フレームの1フレーム前に、発光部ELPを消光している。
【0060】
具体的には、[期間−TP0]が属するフレームの1フレーム前のデータ線DTLの電位がViniであるときに、書込みトランジスタTr1をオン、オフする[期間−TP(−1)]を設けている。そして、今回の表示フレームにおいて、再び書込みトランジスタTr1をオンし、閾値電圧補正準備処理を開始している。
【0061】
このように、第1の実施の形態の表示装置1000によれば、発光状態において、データ線DTLの電位がViniであるときに書込みトランジスタTr1をオンするだけで、発光部ELPを消光状態にすることができる。[期間−TP0]が属する表示フレームの1フレーム前に、書込みトランジスタTr1をオンして、消光時間を増やすことにより、動画特性を向上することができる。
【0062】
なお、1フレーム前に限らず、2フレーム以上前に書込みトランジスタTr1をオンして、消光時間を増やすようにしてもよい。
さらに、閾値電圧補正準備処理、および、閾値電圧補正処理は、分割パルスを用いてもよい。
【0063】
以上述べたように、表示装置1000によれば、トランジスタTr3を駆動トランジスタTr2のゲート・ソース間にダイオード接続し、[期間−TP0]において、データ線DTLの電位を、電圧Viniに設定することで、駆動トランジスタTr2のドレイン電圧が固定電圧Vccpのまま、駆動トランジスタTr2のソース電位を降下させることができる。これにより、発光部ELPの発光動作および非発光動作に際し、電源電圧をパルス化させる機能を省略することができるため、電源部100の小型化を図ることができる。従って、表示装置1000を小型化することができる。
【0064】
また、電源電圧をパルス化する機能を省略することにより、以下の効果が得られる。
電源線とデータ線DTLが重なり合う構成を取った場合、重なり合う部分のデータ線DTLの抵抗値を大きくする等の措置をとっていた。
しかし、データ線DTLの抵抗値を大きくすると、データ線DTLを通過する信号の転送速度を高速にする際の妨げとなる。また、電源線とデータ線のレイヤを変えると、表示装置の製造工程数が増加する。
表示装置1000によれば、電源電圧をパルス化する機能を省略することにより、例えば、データ線DTLに平行に信号線を配置する等、データ線DTLと電源線とが重ならない構成とすることが容易となる。データ線DTLと電源線が重ならない構成としたときは、データ線DTLの抵抗値を大きくしなくてもよいので、信号の書込み速度の低下を抑制することができる。
【0065】
なお、本実施の形態では、書込みトランジスタTr1、駆動トランジスタTr2、および、トランジスタTr3、並びに容量部Csにより発光部ELPに駆動電流を供給する駆動回路の構成について説明したが、これに限定されない。即ち、これらの構成要素に加え、発光部ELPの発光を制御する他のトランジスタが追加された駆動回路にも適用することができる。
【0066】
<第2の実施の形態>
次に、第2の実施の形態の表示装置について説明する。
以下、第2の実施の形態の表示装置について、前述した第1の実施の形態との相違点を中心に説明し、同様の事項については、その説明を省略する。
第2の実施の形態の表示装置は、駆動回路の構成が第1の実施の形態と異なっている。
【0067】
図10は、第2の実施の形態の駆動回路を示す回路図である。
この駆動回路10bは、トランジスタTr3のゲート端子が、固定電圧を出力する電源に接続されている。これにより、トランジスタTr3のゲート端子の電位が、固定電位に設定されている。
【0068】
なお、固定電圧は、[期間−TP0]のときのみオンするような電圧(例えば、−4V)に設定されている。これにより、トランジスタTr3は、閾値電圧補正準備処理のときにのみ、オンする。
【0069】
この第2の実施の形態の表示装置1000によれば、第1の実施の形態の表示装置1000と同様の効果が得られる。
そして、第2の実施の形態の表示装置1000によれば、さらに、トランジスタTr3として、閾値特性が、デプレッション型のトランジスタを使用することができる。
【0070】
以上、本発明の信号処理装置および表示装置を、図示の実施の形態に基づいて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、各部の構成は、同様の機能を有する任意の構成のものに置換することができる。また、本発明に、他の任意の構成物や工程が付加されていてもよい。
【0071】
また、本発明は、前述した各実施の形態のうちの、任意の2以上の構成(特徴)を組み合わせたものであってもよい。
【0072】
なお、第1の実施の形態で述べた表示装置1000、および、第2の実施の形態で述べた表示装置1000(以下、単に表示装置1000と言う)は、フラット型のモジュール形状のものを含む。
【0073】
図11は、フラット型のモジュール形状の表示装置を示す図である。
例えば絶縁性の基板上に、液晶素子、薄膜トランジスタ、薄膜容量、受光素子等を備える画素を行列状に集積形成した画素アレイ部(画素行列部)を設ける。
【0074】
この画素アレイ部を囲むように接着剤を配し、ガラス等の対向基板を貼り付けて表示モジュールとする。この透明な対向基板には必要に応じて、カラーフィルタ、保護膜、遮光膜等を設けてもよい。表示モジュールには、外部から画素アレイ部への信号等を入出力するためのコネクタとして例えばFPC(フレキシブルプリントサーキット)を設けてもよい。
【0075】
以上説明した表示装置1000は、フラットパネル形状を有し、様々な電子機器、例えば、デジタルカメラ、ノート型パーソナルコンピュータ、携帯電話、ビデオカメラ等、電子機器に入力された、若しくは、電子機器内で生成した映像信号を画像若しくは映像として表示するあらゆる分野の電子機器のディスプレイに適用することが可能である。以下この様な表示装置が適用された電子機器の例を示す。
【0076】
図12は、実施の形態の表示装置が適用されたテレビを示す図である。
図12に示すテレビは、フロントパネル12、フィルターガラス13等を有する映像表示画面11を含んでいる。映像表示画面11に、表示装置1000が適用されている。
【0077】
図13は、実施の形態の表示装置が適用されたデジタルカメラを示す図である。
図13(a)は、デジタルカメラの正面側を示す図であり、図13(b)は、デジタルカメラの背面側を示す図である。
【0078】
図13に示すデジタルカメラは、撮像レンズ、フラッシュ用の発光部15、表示部16、コントロールスイッチ、メニュースイッチ、シャッター19等を含んでいる。表示部16に表示装置1000が適用されている。
【0079】
図14は、実施の形態の表示装置が適用されたノート型パーソナルコンピュータを示す図である。
図14に示すノート型パーソナルコンピュータの本体60には、文字等を入力するとき操作されるキーボード61を含み、本体カバーには画像を表示する表示部62を含んでいる。表示部62に表示装置1000が適用されている。
【0080】
図15は、実施の形態の表示装置が適用された携帯端末装置である。
図15に示す携帯端末装置は、折り畳み式になっており、折り畳みを開くことにより、操作部および表示部が表れる。図15(a)は、開いた状態の携帯端末装置を表し、図15(b)は、折り畳まれた(閉じた)状態の携帯端末装置を表している。
【0081】
この携帯端末装置は、上側筐体23、下側筐体24、連結部(ここではヒンジ部)25、ディスプレイ26、サブディスプレイ27、ピクチャーライト28、カメラ29等を含んでいる。ディスプレイ26やサブディスプレイ27に表示装置1000が適用されている。
【0082】
図16は、実施の形態の表示装置が適用されたビデオカメラを示す図である。
このビデオカメラは、本体部70、前方を向いた側面に被写体撮影用のレンズ71、撮影時のスタート/ストップスイッチ72、モニター73等を含んでいる。モニター73に表示装置1000が適用されている。
【0083】
なお、図2では、第2ノードND2と電圧VCatとの間に、発光部ELPの容量CELのみを図示した。しかし、これに限らず、発光部ELPの容量CELに加えて、容量部Csと同様の容量Csubを並列接続してもよい。
【0084】
図17は、駆動回路の等価回路の他の例を示す図である。
【符号の説明】
【0085】
10……発光素子、10a、10b……駆動回路、100……電源部、101……走査回路、102……信号出力回路、1000……表示装置、Cs……容量部、Tr1……書込みトランジスタ、Tr2……駆動トランジスタ、Tr3、Tr4……トランジスタ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電源部から供給される駆動電流を発光部に供給する駆動用スイッチ素子と、
前記駆動用スイッチ素子の閾値電圧を調整する閾値電圧調整用信号を前記駆動用スイッチ素子に供給する信号線が、前記閾値電圧調整用信号を前記駆動用スイッチ素子に供給する前に供給するカットオフ信号に応じて前記駆動用スイッチ素子をカットオフするカットオフ素子と、
を有する信号処理装置。
【請求項2】
前記カットオフ信号の電圧値は、前記閾値電圧調整用信号の電圧値から前記閾値電圧を減算した値より小さく設定されている請求項1記載の信号処理装置。
【請求項3】
前記カットオフ素子は、前記駆動用スイッチ素子の前記発光部との接続点の電圧を前記信号線に供給するダイオード機能を有する請求項1記載の信号処理装置。
【請求項4】
前記カットオフ素子は、ダイオード接続されたトランジスタである請求項3記載の信号処理装置。
【請求項5】
前記カットオフ素子は、ゲートが固定電位に設定されたトランジスタで構成されている請求項3記載の信号処理装置。
【請求項6】
前記信号線と前記駆動用スイッチ素子との間に設けられた書込みスイッチ素子をさらに有し、
前記カットオフ信号および前記閾値電圧調整用信号は、フレーム毎に供給され、
前記書込みスイッチ素子は、前回以前のフレームの前記カットオフ信号が供給されているときに、オンして前記駆動用スイッチ素子に前記カットオフ信号を供給し、前回のフレームの前記閾値電圧調整用信号が供給される前にオフする請求項1記載の信号処理装置。
【請求項7】
電源部から供給される駆動電流を発光部に供給する駆動用スイッチ素子と、前記駆動用スイッチ素子の閾値電圧を調整する閾値電圧調整用信号を前記駆動用スイッチ素子に供給する信号線が、前記閾値電圧調整用信号を前記駆動用スイッチ素子に供給する前に供給するカットオフ信号に応じて前記駆動用スイッチ素子をカットオフするカットオフ素子と、を有する信号処理装置と、
前記発光部を有し、前記駆動電流が前記発光部に供給されると前記駆動電流に応じた輝度で発光する複数の画素と、
を有する表示装置。
【請求項1】
電源部から供給される駆動電流を発光部に供給する駆動用スイッチ素子と、
前記駆動用スイッチ素子の閾値電圧を調整する閾値電圧調整用信号を前記駆動用スイッチ素子に供給する信号線が、前記閾値電圧調整用信号を前記駆動用スイッチ素子に供給する前に供給するカットオフ信号に応じて前記駆動用スイッチ素子をカットオフするカットオフ素子と、
を有する信号処理装置。
【請求項2】
前記カットオフ信号の電圧値は、前記閾値電圧調整用信号の電圧値から前記閾値電圧を減算した値より小さく設定されている請求項1記載の信号処理装置。
【請求項3】
前記カットオフ素子は、前記駆動用スイッチ素子の前記発光部との接続点の電圧を前記信号線に供給するダイオード機能を有する請求項1記載の信号処理装置。
【請求項4】
前記カットオフ素子は、ダイオード接続されたトランジスタである請求項3記載の信号処理装置。
【請求項5】
前記カットオフ素子は、ゲートが固定電位に設定されたトランジスタで構成されている請求項3記載の信号処理装置。
【請求項6】
前記信号線と前記駆動用スイッチ素子との間に設けられた書込みスイッチ素子をさらに有し、
前記カットオフ信号および前記閾値電圧調整用信号は、フレーム毎に供給され、
前記書込みスイッチ素子は、前回以前のフレームの前記カットオフ信号が供給されているときに、オンして前記駆動用スイッチ素子に前記カットオフ信号を供給し、前回のフレームの前記閾値電圧調整用信号が供給される前にオフする請求項1記載の信号処理装置。
【請求項7】
電源部から供給される駆動電流を発光部に供給する駆動用スイッチ素子と、前記駆動用スイッチ素子の閾値電圧を調整する閾値電圧調整用信号を前記駆動用スイッチ素子に供給する信号線が、前記閾値電圧調整用信号を前記駆動用スイッチ素子に供給する前に供給するカットオフ信号に応じて前記駆動用スイッチ素子をカットオフするカットオフ素子と、を有する信号処理装置と、
前記発光部を有し、前記駆動電流が前記発光部に供給されると前記駆動電流に応じた輝度で発光する複数の画素と、
を有する表示装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【公開番号】特開2012−137513(P2012−137513A)
【公開日】平成24年7月19日(2012.7.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−287755(P2010−287755)
【出願日】平成22年12月24日(2010.12.24)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年7月19日(2012.7.19)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年12月24日(2010.12.24)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】
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