説明

信号受信装置及び信号処理方法

【課題】簡易な構成で、PPM信号を確実に再生するために正確にPPM信号をサンプリングできる信号受信装置を提供する。
【解決手段】パルス位置変調信号のうち検出対象区間から任意のHパルスの立ち上がりまたは立ち下がりエッジを開始点として設定する第1の設定手段と、前記検出対象区間における複数のHパルスの間隔に基づいてサンプリング周期を算出する算出手段と、前記検出対象区間について、前記開始点から前記サンプリング周期の倍数を基準点とし、前記基準点からの前記複数のHパルスの発生位置を検出する検出手段と、前記複数のHパルスの発生位置についてヒストグラムを生成する生成手段と、前記基準点に前記ヒストグラムでピークとなる値を加えた位置を前記パルス位置変調信号における再生対象信号区間のサンプリング点と決定する決定手段と、前記サンプリング点に基づいて前記再生対象信号区間を再生する再生手段とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、パルス位置変調信号の信号処理技術に関する。
【背景技術】
【0002】
無線通信、有線通信を問わず、信号の伝送には、様々な変調方式が用いられている。信号変調方式の一例として、PPM(Pluse Position Modulation、パルス位置変調)というものがある。
【0003】
PPM信号では、ある基準点から決まった時刻の信号レベルがH、Lの順になるように符号化されている場合、0を示す。一方、PPM信号では、ある基準点から決まった時刻の信号レベルがL、Hの順になるように符号化されている場合、1を示す。
【0004】
PPM信号を確実に再生するためには、PPM信号を正確にサンプリングする必要がある。ここで、PPM信号は伝送過程でパルス位置にばらつきが生じる。したがって、PPM信号を所定のサンプリング周期でサンプリングしたとしても、パルス位置のばらつきにより、確実に再生できない可能性が生じる。
【0005】
特許文献1には、予め定められている送信データのHレベル/Lレベルの時間幅と、測定した送信データのHレベル/Lレベルの時間幅とを比較してその比較結果に応じてサンプリングタイミングを調整する構成について開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平6−216778号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1の構成では、Hレベル/Lレベルのレベル変化が鈍化しているデータの復調の信頼性の向上を目的として復調すべきデータ全てに対してサンプリングタイミングを調整しているため、処理遅延が懸念される。また、構成が複雑化することによる処理負荷の増大も起こり得る。
【0008】
そこで、この発明は、簡易な構成で、PPM信号を確実に再生するために正確にPPM信号をサンプリングできる信号受信装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る信号受信装置は、パルス位置変調信号のうち検出対象区間から任意のHパルスの立ち上がりまたは立ち下がりエッジを開始点として設定する第1の設定手段と、前記検出対象区間における複数のHパルスの間隔に基づいてサンプリング周期を算出する算出手段と、前記検出対象区間について、前記開始点から前記サンプリング周期の倍数を基準点とし、前記基準点からの前記複数のHパルスの発生位置を検出する検出手段と、前記複数のHパルスの発生位置についてヒストグラムを生成する生成手段と、前記基準点に前記ヒストグラムでピークとなる値を加えた位置を前記パルス位置変調信号における再生対象信号区間のサンプリング点と決定する決定手段と、前記サンプリング点に基づいて前記再生対象信号区間を再生する再生手段とを有する。
【発明の効果】
【0010】
本発明の信号受信装置によれば、簡易な構成で、PPM信号を確実に再生するために正確にPPM信号をサンプリングできる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】実施形態に係る信号受信装置の概略を示すブロック図。
【図2】実施形態に係るPPM信号における符号の一般的な信号フォーマットを示す図。
【図3】実施形態に係るサンプリング周期の検出に用いる各信号波形を示すタイミングチャート。
【図4】実施形態に係るパルス発生位置の検出に用いる各信号波形を示すタイミングチャート。
【図5】実施形態に係るヒストグラムの例を示す図。
【図6】実施形態に係るサンプリング点を示すタイミングチャート。
【図7】比較例に係るサンプリング点を示すタイミングチャート。
【図8】実施形態に係る実施形態に係るヒストグラムの例を示す図。
【図9】比較例に係るサンプリング点を示すタイミングチャート。
【図10】実施形態に係るサンプリング点を示すタイミングチャート。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本実施形態に係る信号受信装置1について図面を参照して説明する。本実施形態は、信号受信装置1がPPM信号を再生するために、PPM信号における再生対象となるパルス(再生対象信号)のサンプリング点を設定する構成である。図1は、実施形態に係る信号受信装置1の概略構成を示すブロック図である。信号受信装置1は、制御モジュール10、受信モジュール11、PPM信号エッジ検出モジュール12、基準点検出モジュール13.パルス間隔検出モジュール14、パルス検出モジュール15、ヒストグラム生成モジュール16、ヒストグラム分析モジュール17、サンプリング点判定モジュール18、サンプリング点生成モジュール19、サンプリングモジュール20、クロック発振モジュール21を有する。本実施形態は、回路、ソフトウェアいずれで実現されてもよい。以下、PPM信号の処理の流れに従って各構成について説明する。制御モジュール10は、信号受信装置1の各部の動作を制御する。
【0013】
受信モジュール11は、外部機器から伝送されるPPM信号を受信する。受信モジュール11は、外部機器と無線通信であっても有線通信であってもよい。ここで、PPM信号の波形について説明する。図2は、PPM信号における符号のパルスフォーマットの1例を示す図である。このPPM信号では、データ0は、任意に決められた基準点から決まった時刻の信号レベルがH,Lの順になるように符号化されている。一方、データ1は、任意に決められた基準点から決まった時刻の信号レベルがL,Hの順になるように符号化されている。
【0014】
本実施形態では、外部機器から信号受信装置1に伝送されるPPM信号は、再生対象信号区間(実際に再生する信号区間)の前に、プリアンブル区間が配置されている。プリアンブル区間には、任意に決められた基準点から決まった時刻の信号レベルが常にH(Lの位置でもH)になるように設定されたパルスフォーマットが連続する区間である。したがって、このプリアンブル区間では、一定のパルスフォーマットである繰り返し信号が伝送される。
【0015】
PPM信号エッジ検出モジュール12は、プリンアンブル区間におけるPPM信号の立ち上がり及び立ち下がりを検出する。PPM信号エッジ検出モジュール12は、エッジ検出信号を出力する。
【0016】
基準点検出モジュール13は.プリアンブル区間のPPM信号に対するサンプリング点を決定するための基準点を検出する。基準点検出モジュール13は.基準点の設定手段として機能する。基準点検出モジュール13は、基準点検出信号を出力する。基準点検出モジュール13は.プリアンブル区間で任意のHパルスの立ち上がりまたは立ち下がり位置を基準点(開始点)と設定する。
【0017】
パルス間隔検出モジュール14は、プリアンブル区間におけるパルス間隔を検出し、サンプリング周期を算出する。パルス間隔検出モジュール14は、サンプリング周期の算出手段として機能する。図3は、パルス間隔検出モジュール14によるサンプリング周期の検出に用いる各信号波形を示すタイミングチャートである。
【0018】
図3には、PPM信号、クロック信号、エッジ検出信号、基準点検出信号、Hパルス周期信号、Hパルス周期平均信号の各波形が時間軸に沿って描かれている。PPM信号は、受信モジュール11から入力される。クロック信号は、クロック発振モジュール21から入力される。エッジ検出信号は、PPM信号エッジ検出モジュール12から入力される。基準点検出信号は、基準点検出モジュール13から入力される。
【0019】
パルス間隔検出モジュール14は、プリアンブル区間におけるパルス間隔を検出する。そして、パルス間隔検出モジュール14は、プリアンブル区間におけるパルス間隔の平均値を算出し、サンプリング周期とする。プリアンブル区間にはn個のパルスが有るとする。サンプリング周期は、パルス間隔を例えばa,b,c,d,e,f、…、とすると、次の式で求められる。サンプリング周期Sf=(a+b+c+d+e+f+…)/nである。パルス間隔検出モジュール14は、算出したサンプリング周期の2周期分の長さのPPM周期信号を出力する。ここでは、サンプリング周期が8クロックとする。
【0020】
パルス検出モジュール15は、プリアンブル区間におけるパルス発生位置を検出する。図4は、パルス検出モジュール15によるパルス発生位置の検出に用いる各信号波形を示すタイミングチャートである。
【0021】
図4には、PPM信号、クロック信号、PPM周期信号、パルス発生位置信号、パルス検出信号(エッジ検出信号)、基準点検出信号の各波形が時間軸に沿って描かれている。PPM信号は、必ずしもパルス検出モジュール15に入力されていなくてもよい。クロック信号は、クロック発振モジュール21から入力される。PPM周期信号は、パルス間隔検出モジュール14から入力される。パルス検出信号は、PPM信号エッジ検出モジュール12から入力される。基準点検出信号は、基準点検出モジュール13から入力される。
【0022】
パルス検出モジュール15は、クロック信号とPPM周期信号とを比較して、PPM周期信号をサンプリング周期の2周期分ごとに基準点を設定し、各基準点からのクロック数を対応付ける。パルス検出モジュール15は、基準点の設定手段としても機能する。図4のPPM周期信号に描かれている数字は、各基準点からのクロック数を示している。パルス発生位置信号は、基準点からのクロック数と対応付けいる。
【0023】
パルス検出モジュール15は、PPM周期信号、パルス検出信号、基準点検出信号を比較し、プリアンブル区間における開始点以降のパルス発生位置信号を検出する。パルス検出モジュール15は、最初に、開始点からHパルスの発生している位置(または時刻)を検出する。次に、パルス検出モジュール15は、基準点から次のHのパルスの発生している位置(または時刻)を検出する。パルス検出モジュール15は、これと同様の動作をプリアンブル区間で行う。パルス間隔検出モジュール14は、パルスの発生位置を示すパルス発生位置信号を出力する。
【0024】
ヒストグラム生成モジュール16は、パルス発生位置信号に基づいてHパルスの発生頻度(発生位置)のヒストグラムを生成する。図5は、ヒストグラム生成モジュール16で生成したヒストグラムの例を示す図である。ヒストグラムは、横軸が基準点からのクロック数、縦軸がプリアンブル区間での計測回数である。図5の左図は、サンプリング周期の2周期を1単位とした場合の基準点間における前半のHパルスの発生頻度を示すヒストグラムである。図5の右図は、後半のHパルスの発生頻度を示すヒストグラムである。
【0025】
ヒストグラム分析モジュール17は、ヒストグラムにおけるHパルスの発生頻度の平均値からもサンプリング周期(サンプリング周波数)を8と計算できる。したがって、サンプリング周期は、8クロックとなる。ヒストグラム分析モジュール17は、前半のHパルスの発生頻度のピーク値を4と判断する。同様に、ヒストグラム分析モジュール17は、後半のHパルスの発生頻度のピーク値を10と分析する。ここで、外部機器は、プリアンブル区間を一定のパルスフォーマットで送信している。しかしながら、PPM信号のHパルスの位置は、PPM信号の伝送過程でずれが生じる。そのため、ヒストグラムは、Hパルスの発生位置にばらつきが大きい。
【0026】
サンプリング点判定モジュール18は、ヒストグラム分析モジュール17で分析した前半及び後半のHパルスの発生頻度がピークとなるクロック数を取得する。サンプリング点生成モジュール19は、基準点検出信号、PPM周期信号、Hパルスの発生頻度がピークとなるクロック数に基づいて、サンプリング点を生成する。サンプリング点生成モジュール19は決定手段として機能する。
【0027】
サンプリング点生成モジュール19は、前半の信号レベルのサンプリング点を、基準点(例えば、再生対象信号の最初のパルスの立ち上がりまたは立ち下がりのエッジである開始点)からサンプリング周期8の2×n (n=0,1,2…)倍のクロック数に前半のHパルスの発生頻度のピーク値である4クロック分を加算した位置と設定する。したがって、基準点からのサンプリングクロックShfは、Shf=2×8×n+4 (n=0,1,2…)で決定される。
【0028】
また、サンプリング点生成モジュール19は、後半の信号レベルのサンプリング点を、基準点からサンプリング周期8の2×n (n=0,1,2…)倍のクロック数に後半のHパルスの発生頻度のピーク値である10クロック分を加算した位置と設定する。したがって、基準点からのサンプリングクロックShsは、Shs=2×8×n+10 (n=0,1,2…)で決定される。
【0029】
サンプリングモジュール20は、サンプリング点生成モジュール19で生成したサンプリング点でPPM信号をサンプリングする。サンプリングモジュール20は、サンプリングしたPPM信号を再生するために出力する。サンプリングモジュール20は、再生手段として機能する。
【0030】
図6は、Shf、Shsをサンプリング点とした場合のタイミングチャートを示す図である。サンプリングモジュール20が図6に示すサンプリング点でPPM信号をサンプリングすると、PPM信号におけるHパルスの発生位置に対して正確にサンプリングできる。
【0031】
ここで、外部機器が送信するPPM信号のプリアンブル区間における一定のパルスフォーマットは、正常の場合(伝送前であって、伝送過程でパルス位置にばらつきが生じない場合)、パルスの周期が8クロック、前半のHパルスの発生頻度のピークが4クロック、後半のHパルスのピークが8+4=12クロックである。つまり、サンプリング点は、基準点からサンプリング周期の倍数で決定されるクロック数にHパルスの発生頻度のピークとなるクロック数を加算した位置である。
【0032】
ここで、前半のHパルスの発生頻度のピークが4クロック、後半のHパルスのピークが12クロックとした場合のサンプリング点について説明する。図7は、この場合のタイミングチャートを示す図である。
【0033】
しかしながら、伝送後のPPM信号におけるHパルスの発生頻度のヒストグラムは、パルス伝送路の特性によって、正常の場合の一定のパルスフォーマットの通りとはならない。つまり、パルス間隔は一定ではなく、なおかつばらつきが大きい場合が起こり得る。したがって、サンプリング点がサンプリング周期の倍数で決定されるクロック数に4クロック、12クロックを加算した点とすると、信号受信装置1は、図7に示すようにPPM信号を誤ってサンプリング処理してしまう。
【0034】
図7に示す比較例では、信号受信装置1は誤サンプリングを発生し、PPM信号を確実に再生できない。本実施形態のように、図6に示すヒストグラムに基づいて設定したサンプリング点でPPM信号をサンプリングすると、比較例に比べて、パルスの発生位置の変動、ばらつきの影響を軽減させることができる、結果として、信号受信装置1は、PPM信号を正確にサンプリング処理できることにより、PPM信号を確実に再生できる。
【0035】
本実施形態では、プリアンブル区間の任意のHパルス(例えば一定のパルスフォーマットの最初のHパルス)を基準とし、プリアンブル区間のうち任意の区間(例えば一定のパルスフォーマットの全信号区間)をサンプリング点の検出対象区間としているがこれに限られない。例えば、サンプリング点の検出対象区間は、プリアンブル区間のうち一定のパルスフォーマットの信号区間の開始から一定区間(数パルス)、終了前の一定区間(数パルス)を除くようにしてもよい。制御モジュール10は、サンプリング点の検出対象区間を任意に設定できる。制御モジュール10は、検出対象期間の設定手段として機能する。これは、一定のパルスフォーマットの信号区間は、その前後に一定のパルスフォーマットの信号区間とは異なるフォーマットの信号が存在するので、その影響が発生する可能性があるためである。
【0036】
次に、他の実施形態について説明する。上記説明したように、信号受信装置1は、PPM信号をサンプリングするためのサンプリング点をプリアンブル区間のHパルスの発生頻度に基づいて検出した。これ以外にも、信号受信装置1は、PPM信号のプリアンブル区間以外の再生対象信号区間に基づいてサンプリング点を検出するようにしてもよい。
【0037】
パルス検出モジュール15は、上記同様、PPM信号の再生対象信号区間における任意の区間でHパルスの立ち上がりエッジまたは立ち下がりエッジを基準点として、Hパルスの発生頻度を検出する。ヒストグラム生成モジュール16は、再生対象信号区間における任意の区間についてHパルスの発生頻度を示すヒストグラムを生成する。ヒストグラムは、PPM信号の種類によって、ピークが複数個発生する場合がある。サンプリング点判定モジュール18は、その複数のピーク値により、最適なサンプリング点を判定する。
【0038】
再生対象信号区間におけるPPM符号化されたパルスは、例えば、“H”“L”、“L”“H”というようなパターンも考えられる。この場合、ヒストグラムには2個のピークが存在する。
【0039】
図8は、ヒストグラム生成モジュール16で生成したヒストグラムの例を示す図である。図8の左図は、伝送後の再生対象信号区間における任意の区間でのパルスの発生頻度のヒストグラムである。図8の右図は、伝送前(正常の場合)の再生対象信号区間における任意の区間でのパルスの発生頻度のヒストグラムである。伝送後の再生対象信号区間における前半のHパルスの発生頻度は、正常の場合の6クロックから4クロックとなっている。後半のHパルスの発生頻度は、正常の場合の12クロックから10クロックとなっている。
【0040】
図9は、比較例として、図8の右図に示す正常の場合のヒストグラムに基づいて生成したサンプリング点を示すタイミングチャートである。この場合、サンプリングモジュール20は、例えば、“H”“L”“L”“H”“L”“H”とパルスが並ぶ再生対象信号区間について見ると、PPM信号を正確にサンプリングできない。具体的には、サンプリングモジュール20は、サンプリング点が図9に示す区間における4番目と6番目のHの位置とずれているため、PPM信号を正確にサンプリングできない。
【0041】
図10は、図8の左図に示す本実施形態に係るヒストグラムに基づいて生成したサンプリング点を示すタイミングチャートである。例えば、図9に示すようにH”“L”“L”“H”“L”“H”とパルスが並ぶ再生対象信号区間について見る。1番目のHパルスは、図8の左図に示すヒストグラムにより、基準点がら4クロック目でサンプリングすると良いことがわかる。4番目のHパルスは、図8の左図に示すヒストグラムにより、基準点がら10クロック目でサンプリングすると良いことがわかる。
【0042】
したがって、サンプリング点生成モジュール19は、基準となる位置からのサンプリングクロックS1=2×8×n+4 (n=0,1,2…)とS2=2×8×n+10 (n=0,1,2…)と設定する。
【0043】
図10に示す4番目のHパルスのサンプリング点は、上記S2式から、2×8×n+10 (n=0,1,2…)となる。同様に、6番目のHパルスのサンプリング点は、2×8×(n+1)+10 (n=0,1,2…)となる。
【0044】
また、制御モジュール10は、PPM信号の再生対象信号区間の再生中に、再生対象信号区間における任意の区間でサンプリング点を生成し、サンプリング点を変更するようにサンプリング点生成モジュール19に対して制御してもよい。また、制御モジュール10は、PPM信号の再生対象信号区間の再生中に、サンプリング点を一定時間間隔で生成し、変更するようにサンプリング点生成モジュール19に対して制御してももよい。
【0045】
以上のように、本実施形態よれば、検出したHパルスの発生頻度のヒストグラムに基づいて設定したサプリング点でPPM信号をサンプリングすると、正常の場合のHパルスの発生頻度のヒストグラムに基づいて設定したサンプリング点でPPM信号をサンプリングする場合に比べて、パルスの発生頻度のばらつきの影響を軽減できる。したがって、放送受信装置1は、PPM信号を正確にサンプリングし、再生できる。
【0046】
なお、この発明は上記した実施の形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を種々変形して具体化することができる。また、上記した実施の形態に開示されている複数の構成要素を適宜に組み合わせることにより、種々の発明を形成することができる。例えば、実施の形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除しても良いものである。さらに、異なる実施の形態に係る構成要素を適宜組み合わせても良いものである。
【符号の説明】
【0047】
1…信号受信装置、10…制御モジュール、11…受信モジュール、12…PPM信号エッジ検出モジュール、13…基準点検出モジュール、14…パルス間隔検出モジュール、15…パルス検出モジュール、16…ヒストグラム生成モジュール、17…ヒストグラム分析モジュール、18…サンプリング点判定モジュール、19…サンプリング点生成モジュール、20…サンプリングモジュール、21…クロック発振モジュール。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
パルス位置変調信号のうち検出対象区間から任意のHパルスの立ち上がりまたは立ち下がりエッジを開始点として設定する第1の設定手段と、
前記検出対象区間における複数のHパルスの間隔に基づいてサンプリング周期を算出する算出手段と、
前記検出対象区間について、前記開始点から前記サンプリング周期の倍数を基準点とし、前記基準点からの前記複数のHパルスの発生位置を検出する検出手段と、
前記複数のHパルスの発生位置についてヒストグラムを生成する生成手段と、
前記基準点に前記ヒストグラムでピークとなる値を加えた位置を前記パルス位置変調信号における再生対象信号区間のサンプリング点と決定する決定手段と、
前記サンプリング点に基づいて前記再生対象信号区間を再生する再生手段と、
を有することを特徴とする信号受信装置。
【請求項2】
前記再生対象信号区間の前段に配置された前記複数のHパルスを一定に繰り返すプリアンブル区間を前記検出対象区間と設定する第2の設定手段とを有することを特徴とする請求項1記載の信号受信装置。
【請求項3】
前記第2の設定手段は、前記プリアンブル区間の開始から一定期間及び終了前の一定期間を前記検出対象区間から除くことを特徴とする請求項2記載の信号受信装置。
【請求項4】
前記検出手段は、前記開始点から前記サンプリング周期の2n倍(n≧0)を前記基準点とすることを特徴とする請求項1記載の信号受信装置。
【請求項5】
前記算出手段は、前記複数のHパルスの間隔の平均を前記サンプリング周期として算出することを特徴とする請求項1記載の信号受信装置。
【請求項6】
前記検出手段は、前記基準点からの前記複数のHパルスの発生位置をクロック数で検出することを特徴とする請求項1記載の信号受信装置。
【請求項7】
前記決定手段は、前記ヒストグラムに複数のピークが存在する場合、前記基準点に前記複数のピークとなる値をそれぞれ加えた位置を前記サンプリング点と決定することを特徴とする請求項1記載の信号受信装置。
【請求項8】
前記第2の設定手段は、前記再生対象信号区間の再生中に、前記再生対象信号区間で新たな検出対象区間を設定し、前記決定手段で決定された新たなサンプリング点を前記再生手段で用いるように変更することを特徴とする請求項2記載の信号受信装置。
【請求項9】
前記第2の設定手段は、前記再生対象信号区間の再生中に、前記新たな検出対象区間を一定時間間隔で変更することを特徴する請求項8記載の信号受信装置。
【請求項10】
パルス位置変調信号のうち検出対象区間から任意のHパルスの立ち上がりまたは立ち下がりエッジを開始点として設定し、
前記検出対象区間における複数のHパルスの間隔に基づいてサンプリング周期を算出し、
前記検出対象区間について、前記開始点から前記サンプリング周期の倍数を基準点として、前記基準点からの前記複数のHパルスの発生位置を検出し、
前記複数のHパルスの発生位置についてヒストグラムを生成し、
前記基準点に前記ヒストグラムでピークとなる値を加えた位置を前記パルス位置変調信号における再生対象信号区間のサンプリング点と決定し、
前記サンプリング点に基づいて前記再生対象信号区間を再生する、
ことを特徴とする信号処理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−119799(P2011−119799A)
【公開日】平成23年6月16日(2011.6.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−272774(P2009−272774)
【出願日】平成21年11月30日(2009.11.30)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】