説明

信号機制御システム

【課題】車両センサにより車両検知されなくても、信号機の赤色現示から青色現示へ制御可能として、現示切り替えまでの待ち時間の短縮化を図る。
【解決手段】従道路2b側に当該道路側で停止する停止車両を所定範囲領域で検知する超音波感知器16を配置し、この超音波感知器16で従道路2b上の車両を検知できなくても、その車両に関わる無線送信機12cから送信されてきた信号機青色現示出現の要求無線信号を受信すると、従道路2b側信号機の現示を赤色現示から青色現示に切り換えるよう信号機を制御するシステム構成。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも2つの道路が交差する交差点に配置されて、各道路側それぞれの車両用信号機を制御する信号機制御システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば主道路と従道路とが交差する交差点では、主道路走行車両が従道路走行車両よりも優先し、従道路側信号機の赤色現示を主道路側信号機よりも長くする信号機制御システムがある。
【0003】
このシステムでは、主道路側の走行車両が少ないときでも、従道路側での停止車両のドライバーはその信号機が赤色現示から青色現示に切り替わるまでかなりの時間待たされる。
【0004】
このような無駄な待機時間短縮化のため、従道路側停止線近傍に超音波感知器等の車両センサを配備し、この車両センサがその停止線近傍の停止車両を検知したときには、従道路側信号機の赤色現示を一定の時間経過後に、青色現示に切り換えることで、上記待機時間の短縮化を可能としたシステムもある。
【0005】
しかしながら、超音波感知器等の車両センサは停止線近傍の先頭車両の検知に応答することを基本とし、その後続車両の検知までその検知領域を広げていないのが一般である。
【0006】
そのため、先頭車両の位置によっては検知領域外となり、車両検知することができず、先頭車両は、従道路信号機の赤色現示が継続し、その車両検知を知らない場合では、システムが定めた信号機制御に従い、従道路信号機が青色現示になるまで、長時間待たされることとなる。
【0007】
なお、現示に関しては特開平11−203592を参照することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平11−203592公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明により解決すべき課題は、超音波感知器等の車両センサにより停止線近傍の先頭車両の検知に応答して信号機を制御するシステムにおいて、その車両検知を補助して、効果的に、信号機を赤色現示から青色現示に制御して、その現示切り替えまでの待ち時間の短縮化を図ることを可能とすることである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明第1による信号機制御システムは、少なくとも2つの道路が交差する交差点に配置されて、各道路側それぞれの車両用信号機を制御する信号機制御システムにおいて、当該信号機制御システムは、少なくともいずれか1つの道路側(対象道路)に車両センサを配置すると共に、この車両センサで当該対象道路上で停止する停止車両を検知したときは対象道路側信号機の現示を赤色現示から青色現示に切り換える処理を行う一方、この停止車両が検知されなくても、上記対象道路上の走行ないし停止車両(対象車両)から青色現示出現の要求信号を無線受信したときは、対象道路側信号機の現示を赤色現示から青色現示に切り換えるようにしたことを特徴とするものである。
【0011】
上記交差点は、T字型、十字型、その他各種態様で道路が交差する交差点を含むことができる。
【0012】
本発明第2による信号機制御システムは、少なくとも2つの道路が交差する交差点に配置されて、各道路側それぞれの車両用信号機を制御する信号機制御システムにおいて、当該信号機制御システムは、少なくともいずれか1つの道路側(対象道路)に配置されて当該対象道路側で停止する停止車両を所定範囲領域で検知する車両センサと、上記対象道路上での走行ないし停止車両(対象車両)から送信されてきた信号機青色現示出現を要求する無線信号を受信する無線受信装置と、通常の信号機制御タイミングチャートで各信号機の現示を制御する制御装置とを具備し、上記制御装置は、上記車両センサの車両検知信号の受信で対象道路側信号機の現示を赤色現示から青色現示に切り換えるよう信号機を制御する一方、上記車両検知信号が受信されなくても、上記無線受信部が対象車両から信号機青色現示出現を要求する無線信号を受信したときは、対象道路側信号機の現示を赤色現示から青色現示に切り換えるよう信号機を制御する、ことを特徴とするものである。
【0013】
本発明第2において、好ましい態様は、上記制御装置が、交差点道路の各信号機を所定のプログラムに従いサイクリックに制御するプログラマブルコントローラにより構成することである。
【発明の効果】
【0014】
本発明では、車両センサが対象道路上の停止車両を検知できない場合でも、その停止車両から青色現示出現の要求信号を受信したときは、対象道路側信号機の現示を赤色現示から青色現示に切り換えるよう制御することができる構成であるので、車両センサが例えば停止線近傍の先頭車両を検知できないことにより、対象道路側信号機の赤色現示が継続し、長時間待たされるようなことを解消することができることとなる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】図1は本発明の実施の形態の信号機制御システムの構成の概略を示す図である。
【図2】図2は従道路側での超音波感知器の配置構成と、その超音波感知器からの超音波発射と反射超音波受信との状況を示す図である。
【図3】図3はコントロールボックスの内部構成を示す図である。
【図4】図4は図2に対応し、車両が超音波感知領域外に停車している状態を示す図である。
【図5】図5は通常の信号機制御タイミングチャートを示す図である。
【図6】図6は主道路優先で従道路側からの超音波感知あるいは青色現示出現要求信号受信時の信号機制御タイミングチャートを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、添付した図面を参照して、本発明の実施の形態に係る信号機制御システムを説明する。
【0017】
図1に、同実施の形態の信号機制御システムの構成の概略を示す。
【0018】
図1を参照して、このシステムが適用される交差点1は、一例として、共に片道1車線の主と従の各道路がT字型に交差した交差点である。
【0019】
交差点流入側には車両停止線2が引かれている。
【0020】
交差点には、主道路2a側の車両信号機3−6と、従道路2b側の車両信号機7,8と、が配備されている。車両信号機3−8は、赤色現示、黄色現示、青色現示の3段階に現示が切り替わる。
【0021】
歩行者用横断歩道9には、歩行者信号機10,11が配備されている。歩行者信号機10,11は、赤色現示、青色現示の2段階に現示が切り替わる。
【0022】
これら信号機3−8,10,11は、交差点近傍の歩道上に配備されたコントロールボックス12により、制御される。図中では主道路2aの交差点流入側車線上の走行車両13,14と、従道路2bの交差点流入側車線上の車両15とが示されている。特に、従道路2bでは、停止線2の前の車両15が停車している状態で示される。
【0023】
この従道路側信号機8には車両センサとして超音波感知器16が配備されている。
【0024】
図2に従道路側での超音波感知器16の配置構成と、その超音波感知器16からの超音波発射と反射超音波受信との状況を示す。超音波感知器16は、信号機設置ポール17に設けられている。
【0025】
超音波感知器16は、従道路上に向けて超音波UWを発射し、その反射超音波を受信し、それを電気的な信号に変換することができるようになっている。
【0026】
超音波感知器16の超音波感知領域Zは、停止線2前の先頭車両が停車する狭い領域に設定される。これにより、先頭車両に後続する車両は超音波感知できないようになっている。超音波感知器16の超音波周波数は、例えば18kHzないし40kHzが好ましい。コントロールボックス12は、図3で示すように、内部に、超音波感知器16からの信号を入力する入力回路12aと、各信号機3−8,10,11を駆動する信号機ドライバ12bと、従道路側車両15搭載の無線送信機15aまたは従道路側車両運転者携帯の無線送信機15bからの電波を受信する無線受信機12cと、これらを制御する制御装置としてのプログラマブルコントローラ12dと、を備えている。
【0027】
無線送信機15bは、例えば、携帯電話機でもよいが、好ましくは、近距離電波を送信する無線送信機である。この無線送信機としては、例えば、ブルートゥース(Bluetooth:登録商標)や、赤外線(IrDA)や、Zigbee等の近距離無線送信機が好ましい。
【0028】
プログラマブルコントローラ12dは、所定のシーケンスプログラムに従い、上記各信号機3−8,10,11をサイクリックに制御するようになっている。
【0029】
図4は、従道路2b上を車両15が超音波感知領域Z外に停車した状態を示す。この停車状態では、超音波感知器16からの車両検知信号は入力回路12aに入力されない。一方、図4では車両搭載の無線送信機15aあるいは車両運転者携帯の無線送信機15bから無線信号が送信されている状態を示す。車両搭載の無線送信機15aとしてはカーナビ装置にこれを組み込むことができる。車両運転者携帯の無線送信機15bとしては例えば携帯電話がある。
【0030】
図5に信号機現示制御タイミングチャートを示す。図5(a)は、主道路信号機現示制御タイミングチャート、図5(b)は従道路信号機現示制御タイミングチャートである。これらの図で、Gは、信号機の青色現示(G)、Yは、黄色現示(Y)、Rは赤色現示(R)である。これらの図で示すように、車両の走行に関しては、主道路を従道路よりも優先する。図5(a)の主道路信号機では青色現示(G)の時間が非常に長く、赤色現示(R)の時間は短いのに対して、図5(b)の従道路信号機では、青色現示(G)の時間が非常に短く、赤色現示(R)の時間は非常に長い。この現示の関係により、主道路の走行車両はスムーズに主道路を走行することができる。図5(a)(b)のタイミングチャートでは、例えば時刻t0から時間T1の経過後の時刻t1で主道路信号機を青色現示(G)→黄色現示(Y)→赤色現示(R)に変える一方、従道路信号機を赤色現示(R)→青色現示(G)に変える制御を行う。その結果、時刻t0で交差点に到達した従道路上の車両は、時間T1経過後の時刻t1で従道路信号機が赤色現示(R)から青色現示(G)に変わって従道路から交差点を右折または左折して主道路に入ることができる。したがって、通常の信号機現示制御に従うと、従道路上の車両は、従道路から交差点を右折または左折して主道路に入るまでに長時間待機させられることになる。
【0031】
図6に従道路上の車両が超音波感知器で感知された場合や、車両からの無線送信機から送信された青色現示出現の要求信号を受信した場合の信号機制御タイミングチャートを示す。図6(a)は、主道路信号機現示制御タイミングチャート、図6(b)は従道路信号機現示制御タイミングチャートである。図6(a)(b)では、図5(a)(b)と比較するうえで、上記時刻t0と同時刻に青色現示出現の要求信号を受信した場合、プログラマブルコントローラは、時刻t0から時間T1よりも短い時間T2の経過後の時刻t2で主道路信号機を青色現示(G)→黄色現示(Y)→赤色現示(R)に変える一方、従道路信号機を赤色現示(R)→青色現示(G)に変える制御を行う。その結果、通常の現示制御では、上記時刻t0から従道路側の車両が主道路を右折または左折することができるまでの時間はT1であるのに対して、無線送信機からの信号に応答するときは、上記時刻t0から従道路側の車両が主道路を右折または左折することができるまでの時間はT2(<<T1)であり、従道路信号機が赤色現示(R)から青色現示(G)に変わるまでの時間を大幅に短縮することができるようになる。
【0032】
以上から、本実施の形態では、交差点で交差する主道路2aと従道路2bとのうち、例えば、対象道路である従道路2bの路肩等のポール17上に配置されて該従道路2b側で停止する停止車両を所定範囲領域で検知する超音波感知器16と、上記従道路2b上で停止する停止車両から送信されてきた信号機青色現示出現を要求する無線信号を受信する無線受信機12cと、各信号機の現示を制御するプログラマブルコントローラ12dとを具備し、このプログラマブルコントローラ12dにより、超音波感知器16の車両検知信号の受信で従道路2b側信号機の現示を赤色現示から青色現示に切り換えるように制御する一方、超音波感知器16により車両感知されなくても、無線受信機12cが対象車両側から信号機青色現示出現を要求する無線信号を受信したときは、従道路2bの信号機の現示を赤色現示から青色現示に切り換える構成としたので、超音波感知器16で車両検知できなくても、青色現示への切り替えまでの待ち時間の大幅な短縮化を図ることができる。
【符号の説明】
【0033】
1 交差点
2 車両停止線
2a 主道路
2b 従道路
3−8 車両信号機
9 歩行者用横断歩道
10,11 歩行者信号機
12 コントロールボックス
12a 入力回路
12b 信号機ドライバ
12c 無線受信機
12d プログラマブルコントローラ
13−15 車両
15a,15b 無線送信機
16 超音波感知器(車両センサ)
17 ポール

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも2つの道路が交差する交差点に配置されて、各道路側それぞれの車両用信号機を制御する信号機制御システムにおいて、
少なくともいずれか1つの道路側(対象道路)に車両センサを配置すると共に、この車両センサで当該対象道路上で停止する停止車両を検知したときは対象道路側信号機の現示を赤色現示から青色現示に切り換える処理を行う一方、この停止車両が検知されなくても、上記対象道路上の走行ないし停止車両(対象車両)から青色現示出現の要求信号を無線受信したときは、対象道路側信号機の現示を赤色現示から青色現示に切り換えるようにした、ことを特徴とする信号機制御システム。
【請求項2】
少なくとも2つの道路が交差する交差点に配置されて、各道路側それぞれの車両用信号機を制御する信号機制御システムにおいて、
当該信号機制御システムは、
少なくともいずれか1つの道路側(対象道路)に配置されて当該対象道路側で停止する停止車両を所定範囲領域で検知する車両センサと、
上記対象道路上での走行ないし停止車両(対象車両)から送信されてきた信号機青色現示出現を要求する無線信号を受信する無線受信装置と、
通常の信号機制御タイミングチャートで各信号機の現示を制御する制御装置を具備し、
上記制御装置は、上記車両センサの車両検知信号の受信で対象道路側信号機の現示を赤色現示から青色現示に切り換えるよう信号機を制御する一方、上記車両検知信号が受信されなくても、上記無線受信部が対象車両から信号機青色現示出現を要求する無線信号を受信したときは、対象道路側信号機の現示を赤色現示から青色現示に切り換えるよう信号機を制御する、ことを特徴とする信号機制御システム。
【請求項3】
上記制御装置が、交差点道路の各信号機を所定のプログラムに従いサイクリックに制御するプログラマブルコントローラにより構成した、ことを特徴とする請求項2に記載のシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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