説明

修正部材及びその製造方法

【課題】良好な易切断性、ひび割れ耐性、インク吸収性、画像再現性及び耐ブロッキング性を良好に維持しつつ、転写性及び隠蔽性をいっそう向上させた修正部材を提供する。
【解決手段】離型層1と、該離型層1の表面に設けられた支持体2と、該支持体2の表面に設けられた剥離層4と、該剥離層4の表面に設けられた白色隠蔽層5と、該白色隠蔽層5の表面に設けられた粘着剤層6と、を有する修正部材において、(イ)前記剥離層4が、ポリビニルアルコール、イソプレン重合物、ポリビニルアルコール可塑剤及び充填剤を少なくとも含む被膜で構成され、(ロ)前記被膜には、前記ポリビニルアルコール24〜27重量%と前記ポリイソプレン重合物0.5〜3.5重量%とが含有され、(ハ)前記ポリビニルアルコールが、ケン化度:86.5〜89.5モル%のポリビニルアルコールで構成され、そして、(ニ)前記充填剤が、リン酸カルシウム・炭酸カルシウム複合体で構成されているものとする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、修正部材に関するものであり、さらに、詳しくは、紙、フィルム、ラベル、人形等の有形部の表面に水性インクによる印字、印画された文字、図形、模様等の像を消去し、修正するのに適した修正部材及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
本発明者らは、水性インクの受容性(吸収性)と隠蔽性とを向上させると共にひび割れ耐性と易切断性とを向上させた、修正部材(特許文献1を参照。)を提案した。図3は、本発明者らが提案した修正部材の拡大断面図である。図3に示されているように、本発明者らが提案した修正部材120は、離型層111と、該離型層111の表面に設けられた支持体112と、該支持体112の表面に設けられた剥離層114と、該剥離層114の表面に設けられた白色隠蔽層115と、該白色隠蔽層115の表面に設けられた粘着剤層116と、を有している。そして、本発明者らが提案した修正部材120においては、(イ)前記剥離層114が、被膜形成樹脂と充填剤とを含む被膜で構成され、(ロ)前記被膜形成樹脂が、ポリビニルアルコール、又は、ポリビニルアルコールと無水マレイン酸変性塩素化ポリプロピレンとからなる樹脂混合物で構成され、そして、(ハ)前記充填剤が、一次粒径:0.04〜25μm、平均吸油量:100〜170ml/100gのリン酸カルシウム/炭酸カルシウム複合体で構成されている。
【0003】
図4に示されているように、前記修正部材110は、被転写紙107の表面に印画された図形、模様等の像を覆い被せるように粘着剤層106を下にして、該修正部材110を被転写紙107の表面に接着させる段階(第1段階)[a]、支持体102の表面に剥離層104の表面近傍部分104bを保持した状態で剥離層104の本体部分104aから支持体102を剥離する段階(第2段階)[b]、及び、露出した剥離層104の本体部分104aの表面に修正された文字、図形、模様等の像を印字、印画する段階(第3段階)[c]を順次経て、被転写紙107の表面に印字、印画された文字、図形、模様等の像の修正がなされる。
【0004】
このような修正部材110は、該修正部材110を被転写紙107に転写する際に、該修正部材110における剥離層104の本体部分104aから表面近傍部分104bを凝集剥離させ易くし、該修正部材110に割れが発生することを防止し、かつ、該修正部材110の転写を完了する際に該修正部材110が切断し易くし、しかも、該修正部材110を被転写紙107に転写した後において、該剥離層104の表面近傍部分104bが凝集剥離された後の該剥離層104の表面部分、即ち、該剥離層104の本体部分104aの表面の光沢感を抑制させると共に、水性インクによる印字、印画の滲みの発生や変色の発生を防止した修正部材110を提供することができる、という効果を有するものであるが、これをフォントサイズ20程度の大文字サイズの被転写紙に適用することができるテープ幅8mm以上の広幅のものにしようとすると、前記修正部材110の転写性が低下すること、前記修正部材110の隠蔽力が低下して高濃度印刷物よりなる被転写紙107に適用することが困難になること、前記修正部材110の耐ひび割れ性が低下すること、及び、前記修正部材110の切断性が低下すること、といった問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−62404号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、かかる問題を解決することを目的としている。
【0007】
即ち、本発明は、良好な易切断性、ひび割れ耐性、インク吸収性、画像再現性及び耐ブロッキング性を良好に維持しつつ、転写性及び隠蔽性をいっそう向上させた修正部材を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に記載された発明は、上記目的を達成するために、離型層と、該離型層の表面に設けられた支持体と、該支持体の表面に設けられた剥離層と、該剥離層の表面に設けられた白色隠蔽層と、該白色隠蔽層の表面に設けられた粘着剤層と、を有する修正部材において、(イ)前記剥離層が、ポリビニルアルコール、イソプレン重合物、ポリビニルアルコール可塑剤及び充填剤を少なくとも含む被膜で構成され、(ロ)前記被膜には、前記ポリビニルアルコール24〜27重量%と前記ポリイソプレン重合物0.5〜3.5重量%とが含有され、(ハ)前記ポリビニルアルコールが、ケン化度:86.5〜89.5モル%のポリビニルアルコールで構成され、そして、(ニ)前記充填剤が、リン酸カルシウム・炭酸カルシウム複合体で構成されていることを特徴とする修正部材である。
【0009】
請求項2に記載された発明は、請求項1に記載された発明において、(イ)前記白色隠蔽層が、天然ゴムラテックス、ポリビニルアルコール及びイソプレン重合物で構成される被膜形成樹脂と、ポリビニルアルコール可塑剤と、充填剤とを少なくとも含む被膜で構成され、(ロ)前記被膜には、前記天然ゴムラテックス14〜16重量%と、前記ポリビニルアルコール0.9〜3.8重量%と、前記イソプレン重合物2〜3重量%と、前記ポリビニルアルコール可塑剤0.2〜0.5重量%とが含有され、(ハ)前記ポリビニルアルコールには、ケン化度:86.5〜89.5モル%のポリビニルアルコール及びケン化度:95〜96モル%のポリビニルアルコールが1対0.7〜4の重量比で含有され、そして、(ニ)前記充填剤が、酸化チタン67.4〜72.3重量%及びリン酸カルシウム・炭酸カルシウム複合体9.6〜10.3重量%で構成されていることを特徴とするものである。
【0010】
請求項3に記載された発明は、請求項1又は2に記載された発明において、(イ)前記粘着剤層が、アクリル系粘着剤、天然ゴムラテックス及びイソプレン重合物で構成され、そして、(ロ)前記粘着剤層には、前記天然ゴムラテックス7〜24重量%と前記イソプレン重合物2〜7重量%とが含有されていることを特徴とするものである。
【0011】
請求項4に記載された発明は、請求項1〜3のいずれか1項に記載された発明において、前記剥離層の層厚が、8.0〜12.0μmとされていることを特徴とするものである。
【0012】
請求項5に記載された発明は、請求項1〜4のいずれか1項に記載された発明において、前記白色隠蔽層の層厚が、18.5〜22.0μmとされていることを特徴とするものである。
【0013】
請求項6に記載された発明は、請求項1〜5いずれか1項に記載された発明において、前記粘着層の層厚が、0.5〜1.5μmとされていることを特徴とするものである。
【0014】
請求項7に記載された発明は、請求項1〜6いずれか1項に記載された発明において、被転写紙の表面に、前記粘着剤層、前記白色隠蔽層、及び、前記離型層を順次有する請求項1〜5のいずれか1項に記載された修正部材であって、前記剥離層が、その表面近傍部分から凝集剥離されていることを特徴とする修正部材である。
【0015】
請求項8に記載された発明は、一方の面に離型層を設けた支持体を準備する工程、前記支持体の他方の面に剥離層を形成する工程、前記剥離層の表面に白色隠蔽層を形成する工程、及び、前記白色隠蔽層の表面に粘着剤層を形成する工程、を順次有する修正部材の製造方法であって、前記支持体の他方の面に、ケン化度:86.5〜89.5モル%のポリビニルアルコール(固形分20%の水溶液)31〜38重量%、イソプレン重合物(固形分60%の水系エマルジョン)0.2〜1.6重量%、ポリビニルアルコール可塑剤1〜2重量%、リン酸カルシウム・炭酸カルシウム複合体で構成される充填剤17〜20重量%、及び、水41〜49重量%からなる塗布組成物を被覆した後、加熱乾燥して、前記剥離層を形成することを特徴とする修正部材の製造方法である。
【0016】
請求項9に記載された発明は、請求項8に記載された発明において、前記剥離層の表面に、天然ゴムラテックス(固形分62%のコロイド状懸濁液)11〜14重量%、ケン化度:86.5〜89.5モル%及びケン化度:95〜96モル%のポリビニルアルコールが1対0.7〜4の重量比で含有されるポリビニルアルコール(固形分20%の水溶液)2.0〜8.0重量%、前記イソプレン重合物(固形分60%の水系エマルジョン)1.8〜2.6重量%、ポリビニルアルコール可塑剤0.1〜0.3重量%、酸化チタン及び前記リン酸カルシウム・炭酸カルシウム複合体で構成される充填剤40〜45重量、並びに、水34〜43重量%からなる塗布組成物を被覆した後、加熱乾燥して、前記白色隠蔽層を形成することを特徴とするものである。
【0017】
請求項10に記載された発明は、請求項8又は9に記載された発明において、前記白色隠蔽層の表面に、アクリル系粘着剤(固形分55%の水系エマルジョン)40〜45重量%、前記天然ゴムラテックス(固形分62%のコロイド懸濁液)3〜14重量%及びイソプレン重合物(固形分60%の水系エマルジョン)0.8〜4.5重量%、及び、水37〜51重量%からなる粘着剤組成物を被覆した後、加熱乾燥して、前記粘着剤層を形成することを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0018】
請求項1,4に記載された発明によれば、離型層と、該離型層の表面に設けられた支持体と、該支持体の表面に設けられた剥離層と、該剥離層の表面に設けられた白色隠蔽層と、該白色隠蔽層の表面に設けられた粘着剤層と、を有する修正部材において、(イ)前記剥離層が、ポリビニルアルコール、イソプレン重合物、ポリビニルアルコール可塑剤及び充填剤を少なくとも含む被膜で構成され、(ロ)前記被膜には、前記ポリビニルアルコール24〜27重量%と前記ポリイソプレン重合物0.5〜3.5重量%とが含有され、(ハ)前記ポリビニルアルコールが、ケン化度:86.5〜89.5モル%のポリビニルアルコールで構成され、そして、(ニ)前記充填剤が、リン酸カルシウム・炭酸カルシウム複合体で構成されているので、前記剥離層に前記ポリイソプレン重合物を含有させたことに起因する空隙を生じさせて該剥離層の嵩密度を低減させることにより、該剥離層の剥離力を低減させると共に該剥離層のインク吸収性を高めることができ、それらのために、易切断性、ひび割れ耐性、インク吸収性、画像再現性及び耐ブロッキング性を良好に維持しつつ、転写性及び隠蔽性をいっそう向上させた修正部材を提供することができる。
【0019】
請求項2,5に記載された発明によれば、(イ)前記白色隠蔽層が、天然ゴムラテックス、ポリビニルアルコール及びイソプレン重合物で構成される被膜形成樹脂と、ポリビニルアルコール可塑剤と、充填剤とを少なくとも含む被膜で構成され、(ロ)前記被膜には、前記天然ゴムラテックス14〜16重量%と、前記ポリビニルアルコール0.9〜3.8重量%と、前記イソプレン重合物2〜3重量%と、前記ポリビニルアルコール可塑剤0.2〜0.5重量%とが含有され、(ハ)前記ポリビニルアルコールには、ケン化度:86.5〜89.5モル%のポリビニルアルコール及びケン化度:95〜96モル%のポリビニルアルコールが1対0.7〜4の重量比で含有され、そして、(ニ)前記充填剤が、酸化チタン67.4〜72.3重量%及びリン酸カルシウム・炭酸カルシウム複合体9.6〜10.3重量%で構成されているので、従来の白色隠蔽層におけるケン化度:86.5〜89.5モル%のポリビニルアルコールの一部をケン化度:95〜96モル%のポリビニルアルコール及び グリセリンに置換して、ケン化度:86.5〜89.5モル%のポリビニルアルコールの含有量を大幅に減少させることができると共に、従来の白色隠蔽層におけるリン酸カルシウム・炭酸カルシウム複合体の一部を前記酸化チタンに置換して、該白色隠蔽層におけるリン酸カルシウム・炭酸カルシウム複合体を大幅に減少させることができ、それらのために、本発明における前記白色隠蔽層における着色剤の高充填と該白色隠蔽層の高密度化を実現することができ、よって、本発明における隠蔽力及び耐ひび割れ性をいっそう向上させた修正部材を提供することができる。
【0020】
請求項3,6に記載された発明によれば、(イ)前記粘着剤層が、アクリル系粘着剤、天然ゴムラテックス及びイソプレン重合物で構成され、そして、(ロ)前記粘着剤層には、前記天然ゴムラテックス7〜24重量%と前記イソプレン重合物2〜7重量%とが含有されているので、前記粘着剤層におけるアクリル系粘着剤の一部を天然ゴムラテックス及びイソプレン重合物に置換して該粘着剤層を薄膜化してもその引張せん断接着強さを向上させることができ、そのために、切断性及び耐ひび割れ性を最適化した修正部材を提供することができる。
【0021】
請求項7に記載された発明によれば、被転写紙の表面に、前記粘着剤層、前記白色隠蔽層、及び、前記離型層を順次有する請求項1〜5のいずれか1項に記載された修正部材であって、前記剥離層が、その表面近傍部分から凝集剥離されたものであるので、その凝集剥離された剥離層の本体部分の表面が微細な凹凸を有したものとなり、そのために、凝集剥離された後の該剥離層の本体部分の表面の光沢感を抑制させると共に、剥離層の本体部の表面、に水性インクで印字、印画する際に、該水性インクの浸透性がいっそう向上させることができ、しかも、水性インクによる滲みの発生や変色の発生をいっそう防止することができる。
【0022】
請求項8に記載された発明によれば、一方の面に離型層を設けた支持体を準備する工程、前記支持体の他方の面に剥離層を形成する工程、前記剥離層の表面に白色隠蔽層を形成する工程、及び、前記白色隠蔽層の表面に粘着剤層を形成する工程、を順次有する修正部材の製造方法であって、前記支持体の他方の面に、ケン化度:86.5〜89.5モル%のポリビニルアルコール(固形分20%の水溶液)31〜38重量%、イソプレン重合物(固形分60%の水系エマルジョン)0.2〜1.6重量%、ポリビニルアルコール可塑剤1〜2重量%、リン酸カルシウム・炭酸カルシウム複合体で構成される充填剤17〜20重量%、及び、水41〜49重量%からなる塗布組成物を被覆した後、加熱乾燥して、前記剥離層を形成するものであるので、前記剥離層に前記ポリイソプレン重合物の混入による空隙を生じさせて該剥離層の嵩密度を低減させることにより該剥離層の剥離力を低減させると共に該剥離層のインク吸収性を高めることができ、それらのために、良好な易切断性、ひび割れ耐性、インク吸収性、画像再現性及び耐ブロッキング性を良好に維持しつつ、転写性及び隠蔽性をいっそう向上させた修正部材を提供することができる。
【0023】
請求項9に記載された発明によれば、前記剥離層の表面に、天然ゴムラテックス(固形分62%のコロイド状懸濁液)11〜14重量%、ケン化度:86.5〜89.5モル%及びケン化度:95〜96モル%のポリビニルアルコールが1対0.7〜4の重量比で含有されるポリビニルアルコール2.0〜8.0重量%、前記イソプレン重合物(固形分60%の水系エマルジョン)1.8〜2.6重量%、ポリビニルアルコール可塑剤0.1〜0.3重量%、酸化チタン及び前記リン酸カルシウム・炭酸カルシウム複合体で構成される充填剤40〜45重量、並びに、水34〜43重量%からなる塗布組成物を被覆した後、加熱乾燥して、前記白色隠蔽層を形成するので、前記白色隠蔽層におけるケン化度:86.5〜89.5モル%のポリビニルアルコールの一部をケン化度:95〜96モル%のポリビニルアルコール及び グリセリンに置換して、ケン化度:86.5〜89.5モル%のポリビニルアルコールの含有量を大幅に減少させることができると共に、前記白色隠蔽層におけるリン酸カルシウム・炭酸カルシウム複合体の一部を前記酸化チタンに置換して、該白色隠蔽層におけるリン酸カルシウム・炭酸カルシウム複合体大幅に減少させることができ、それらのために、前記白色隠蔽層における着色剤の高充填と該白色隠蔽層の高密度化を実現することができ、よって、隠蔽力及び耐ひび割れ性をいっそう向上させた修正部材を提供することができる。
【0024】
請求項10に記載された発明によれば、前記白色隠蔽層の表面に、アクリル系粘着剤(固形分55%の水系エマルジョン)40〜45重量%、前記天然ゴムラテックス(固形分62%のコロイド懸濁液)3〜14重量%及びイソプレン重合物(固形分60%の水系エマルジョン)0.8〜4.5重量%からなる粘着剤組成物を被覆した後、加熱乾燥して、前記粘着剤層を形成するので、前記粘着剤層におけるアクリル系粘着剤の一部を天然ゴムラテックス及びイソプレン重合物に置換して該粘着剤層を薄膜化してもその引張せん断接着強さを向上させることができ、そのために、切断性及び耐ひび割れ性を最適化した修正部材を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の一実施の形態を示す修正部材の拡大横断面図である。
【図2】本発明の一実施の形態を示す修正部材の使用態様を説明する説明図であって、(a)は、被転写紙の表面に印字、印画された図形、模様等の像を覆い被せるように粘着剤層を下にして、修正部材を被転写紙の表面に接着させる段階(第1段階)を示し、(b)支持体の表面に剥離層の表面近傍部分を保持した状態で剥離層から支持体を剥離する段階(第2段階)を示し、そして、(c)露出した剥離層の本体部分の表面に修正された文字、図形、模様等の像を印字、印画する段階(第3段階)を示す。
【図3】従来の修正部材の拡大横断面図である。
【図4】従来の修正部材の使用態様を説明する説明図であって、(a)は、被転写紙の表面に印字、印画された図形、模様等の像を覆い被せるように粘着剤層を下にして、修正部材を被転写紙の表面に接着させる段階(第1段階)を示し、(b)支持体の表面に剥離層の表面近傍部分を保持した状態で剥離層から支持体を剥離する段階(第2段階)を示し、そして、(c)露出した剥離層の本体部分の表面に修正された文字、図形、模様等の像を印字、印画する段階(第3段階)を示す。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、図面を参照しながら本発明の実施の形態を説明する。
【0027】
本発明における「凝集剥離」は、例えば、図2に示されているように、剥離層4自体が剥離時に破壊されて起こる剥離である。前記剥離層4自体が剥離時に破壊されて起こる剥離は、該剥離層4を構成する充填剤及び被膜形成剤の内で被膜形成剤の配合割合を少なくして、各層間の接着力よりも該剥離層4の結合力(被膜強度)を低く抑えることにより、可能になる。このような凝集剥離は、インク層を構成する前記剥離層4、前記白色隠蔽層5及び前記粘着剤層6の各界面間の接着力並びに各層間の凝集力の中でも最も強度の低い該剥離層4で起こる。本明細書においては、このように定義される凝集剥離を「凝集剥離」という。
【0028】
図1,2に示されているように、本発明の修正部材10は、離型層1と、該離型層1の表面に設けられた支持体2と、該支持体2の表面に設けられた剥離層4と、該剥離層4の表面に設けられた白色隠蔽層5と、該白色隠蔽層5の表面に設けられた粘着剤層6と、を有している。本発明の修正部材10においては、後述する実施例に示されているように、(イ)前記剥離層4は、ポリビニルアルコール、イソプレン重合物、ポリビニルアルコール可塑剤及び充填剤を少なくとも含む被膜で構成され、(ロ)前記被膜には、前記ポリビニルアルコール24〜27重量%と前記ポリイソプレン重合物0.5〜3.5重量%とが含有され、(ハ)前記ポリビニルアルコールは、ケン化度:86.5〜89.5モル%のポリビニルアルコールで構成され、そして、(ニ)前記充填剤は、リン酸カルシウム・炭酸カルシウム複合体で構成されている。
【0029】
前記剥離層4における被膜を構成するポリビニルアルコールが24重量%未満であると、前記剥離層の結合力が不足して、その凝集剥離が前記白色隠蔽層寄りで発生するので、前記剥離層のインク吸収性が低下することとなり、そして、前記剥離層4における被膜を構成するポリビニルアルコールが27重量%を越えると、前記剥離層の結合力と前記支持体への密着度とが高まるので、前記剥離層の転写性が低下する。また、前記剥離層4における被膜を構成するポリイソプレン重合物が0.5重量%未満であると、前記剥離層の結合力が増すので、前記剥離層の剥離力が低下することとなり、そして、前記剥離層4における被膜を構成するポリイソプレン重合物が3.5重量%を越えると、前記剥離層の親水性が低下するので、前記剥離層のインク吸収性が低下する。それ故、前記剥離層4に前記ポリビニルアルコール24〜27重量%と前記ポリイソプレン重合物0.5〜3.5重量%とを含有させると、該剥離層4に空隙を生じさせて該剥離層4の嵩密度を低減させることができ、その結果、該剥離層4のインク吸収性を高めることができる。また、前記剥離層4の嵩密度が低減されると、該剥離層4と前記支持体2との密着性が低下するので、剥離力を低減させる効果もある。また、前記白色隠蔽層5にかかる負荷を軽減できるので、前記先行技術では不充分であった隠蔽力に特化した配合が可能となり、そのために、該白色隠蔽層5のインク吸収性を高めることができる。
【0030】
一般的に、従来の広幅転写具では、単位面積当たりの押圧力が低下するので、良好な転写性を確保するには修正部材(修正テープ)側の転写性を高めなければならないが、本発明の修正部材10では、この点を軽剥離化することにより、一部賄うことができる。さらに、本発明の修正部材10によれば、従来の一般筆記具用途に止まらず、プリンター等で出力された印刷物へ適用範囲を拡大させることができる。即ち、大文字サイズ(フォントサイズ20程度)に対応可能な広幅転写具(テープ幅8mm以上)における転写性を向上させることができ、また、高濃度印刷物にも適用できるように隠蔽性を向上させることができる。
【0031】
したがって、本発明のように、離型層1と、該離型層1の表面に設けられた支持体2と、該支持体2の表面に設けられた剥離層4と、該剥離層4の表面に設けられた白色隠蔽層5と、該白色隠蔽層5の表面に設けられた粘着剤層6と、を有する修正部材10において、(イ)前記剥離層4が、ポリビニルアルコール、イソプレン重合物、ポリビニルアルコール可塑剤及び充填剤を少なくとも含む被膜で構成され、(ロ)前記被膜には、前記ポリビニルアルコール24〜27重量%と前記ポリイソプレン重合物0.5〜3.5重量%とが含有され、(ハ)前記ポリビニルアルコールが、ケン化度:86.5〜89.5モル%のポリビニルアルコールで構成され、そして、(ニ)前記充填剤が、リン酸カルシウム・炭酸カルシウム複合体で構成されていると、前記剥離層4に前記ポリイソプレン重合物を含有させたことに起因する空隙を生じさせて該剥離層4の嵩密度を低減させることにより、該剥離層4の剥離力を低減させると共に該剥離層4のインク吸収性を高めることができ、それらのために、易切断性、ひび割れ耐性、インク吸収性、画像再現性及び耐ブロッキング性を良好に維持しつつ、転写性及び隠蔽性をいっそう向上させた修正部材10を提供することができる。
【0032】
前記リン酸カルシウム・炭酸カルシウム複合体は、好ましくは、63.7〜68.9重量%の割合で含有されている。前記リン酸カルシウム・炭酸カルシウム複合体(ポロネックス、丸尾カルシウム社製)は、花弁状多孔質構造を有する比表面積、吸油性の極めて大きな微粒子であって、既に、水性エマルジョン塗料の艶消し剤として市販されているものである。前記離型層1の厚みは、好ましくは、8.0〜12.0μmである。
【0033】
ポリビニルアルコールは、硬脆い性質をしたガラス状の被膜を形成し、ポリビニルアルコール可塑剤は、前記ポリビニルアルコールで構成される被膜の機械的強度を下げて軟質化させ、天然ゴムラテックスは、高い機械的強度と伸度とを有するゴム状の被膜を形成し、そして、充填剤は、前記ポリビニルアルコールで構成される被膜の凝集力を高めて機械的強度を高めるが、前記ポリビニルアルコール、前記ポリビニルアルコール可塑剤、前記天然ゴムラテックス、及び、前記充填剤、の4つの成分のみで被膜を形成した場合、前記ポリビニルアルコールについては、前記ポリビニルアルコール可塑剤によって、機械的強度の最適化はできるが、前記4つの成分のみで構成され組成物だけでは、被膜の結合力と機械的強度とが高くなりすぎ、しかも、被膜の伸縮性が乏しくなる、といった、問題が生じる。そこで、本発明者らは、これをの問題を解決するために、前記4つの成分のみで構成される組成物における充填剤の配合割合を高めることを考えたが、前記充填剤の配合割合を高めると、被膜の層厚が厚くなることがわかった。そして、本発明者らは、前記ポリビニルアルコール、前記ポリビニルアルコール可塑剤、前記天然ゴムラテックス、及び、前記充填剤、の4つの成分のみよりなる組成物における前記記天然ゴムラテックスに対する可塑剤として前記イソプレン重合物を該組成物に含有させたところ、その配合割合を増すにつれて、前記被膜の機械的強度が低下しすると共に、前記被膜の伸縮性が増すことがわかった。
【0034】
即ち、図1,2に示されているように、本発明の修正部材10においては、後述する実施例に示されているように、(イ)前記白色隠蔽層5は、天然ゴムラテックス、ポリビニルアルコール及びイソプレン重合物で構成される被膜形成樹脂と、ポリビニルアルコール可塑剤と、充填剤とを少なくとも含む被膜で構成され、(ロ)前記被膜には、前記天然ゴムラテックス14〜16重量%と、前記ポリビニルアルコール0.9〜3.8重量%と、前記イソプレン重合物2〜3重量%と、前記ポリビニルアルコール可塑剤0.2〜0.5重量%とが含有され、(ハ)前記ポリビニルアルコールには、ケン化度:86.5〜89.5モル%のポリビニルアルコール及びケン化度:95〜96モル%のポリビニルアルコールが1対0.7〜4の重量比で含有され、そして、(ニ)前記充填剤は、酸化チタン67.4〜72.3重量%及びリン酸カルシウム・炭酸カルシウム複合体9.6〜10.3重量%で構成されている。前記白色隠蔽層5の厚みは、好ましくは、18.5〜22.0μmである。
【0035】
本発明の修正部材10は、従来の白色隠蔽層105におけるポリビニルアルコールを一部ケン化度95〜96モル%のポリビニルアルコール及びグリセリンに置換するものであるので、従来の白色隠蔽層105におけるポリビニルアルコールの含有率を8重量%から2.7重量%に減量することができる。また、本発明の修正部材10は、従来の白色隠蔽層105におけるリン酸カルシウム・炭酸カルシウム複合体の一部を酸化チタンに置換するものであるので、従来の白色隠蔽層105におけるリン酸カルシウム・炭酸カルシウム複合体の含有率を21.2重量%から10重量%に大幅に減量することができ、そのために、白色隠蔽層5における着色剤の高充填と同層の高密度化を実現するこたができ、よって、白色隠蔽層5の隠蔽力及び耐ひび割れ性を向上させることができる。これに対して、前記先行技術に記載された白色隠蔽層105では、ポリビニルアルコールは、最適な被膜強度を持つ反面、リン酸カルシウム・炭酸カルシウム複合体を安定分散させるには大量に配合する必要があるので、耐ひび割れ性や隠蔽性に対してはマイナス作用となる。しかしながら、本発明の前記白色隠蔽層5におけるポリビニルアルコール及びグリセリンは、分散能が高いので、少量添加が可能となる。
【0036】
したがって、本発明のように、(イ)前記白色隠蔽層5が、天然ゴムラテックス、ポリビニルアルコール及びイソプレン重合物で構成される被膜形成樹脂と、ポリビニルアルコール可塑剤と、充填剤とを少なくとも含む被膜で構成され、(ロ)前記被膜には、前記天然ゴムラテックス14〜16重量%と、前記ポリビニルアルコール0.9〜3.8重量%と、前記イソプレン重合物2〜3重量%と、前記ポリビニルアルコール可塑剤0.2〜0.5重量%とが含有され、(ハ)前記ポリビニルアルコールには、ケン化度:86.5〜89.5モル%のポリビニルアルコール及びケン化度:95〜96モル%のポリビニルアルコールが1対0.7〜4の重量比で含有され、そして、(ニ)前記充填剤は、酸化チタン67.4〜72.3重量%及びリン酸カルシウム・炭酸カルシウム複合体9.6〜10.3重量%で構成されていると、従来の白色隠蔽層105におけるケン化度:86.5〜89.5モル%のポリビニルアルコールの一部をケン化度:95〜96モル%のポリビニルアルコール及び グリセリンに置換して、ケン化度:86.5〜89.5モル%のポリビニルアルコールの含有量を大幅に減少させることができると共に、従来の白色隠蔽層105におけるリン酸カルシウム・炭酸カルシウム複合体の一部を前記酸化チタンに置換して、該白色隠蔽層105におけるリン酸カルシウム・炭酸カルシウム複合体を大幅に減少させることができ、それらのために、本発明の前記白色隠蔽層5における着色剤の高充填と該白色隠蔽層5の高密度化を実現することができ、よって、隠蔽力及び耐ひび割れ性をいっそう向上させた修正部材10を提供することができる。
【0037】
図1,2に示されているように、本発明の修正部材10においては、後述する実施例に示されているように、(イ)前記粘着剤層6は、アクリル系粘着剤、天然ゴムラテックス及びイソプレン重合物で構成され、そして、(ロ)前記粘着剤層6には、前記天然ゴムラテックス7〜24重量%と前記イソプレン重合物2〜7重量%とが含有されている。前記粘着剤層6の厚みは、好ましくは、18.5〜22.0μmである。
【0038】
前記粘着剤層6におけるイソプレン重合物は、上述した白色隠蔽層におけるイソプレン重合物と同様に、前記天然ゴムラテックスの可塑剤として含有させたものである。したがって、前記粘着剤層6におけるイソプレン重合物は、前記白色隠蔽層におけるイソプレン重合物と同様な機能を有したものであるが、前記天然ゴムラテックスの最大の特性であるゴム弾性(感圧性)を活かすことができるものであるので、前記粘着剤層6を超薄膜化しても高い剪断接着力と被膜強度の最適化が可能になる。また、本発明の修正部材10は、従来の粘着剤層106におけるアクリル系粘着剤(アクリル酸エステル共重合物)を天然ゴムラテックス及びイソプレン重合物に一部置換することにより、同層の厚みを2μmから1μmに薄膜化しても、その引張せん断接着強さを向上しせ、なおかつ、切断性及び耐ひび割れ性を最適化する為に機能する。
【0039】
したがって、本発明のように、(イ)前記粘着剤層6が、アクリル系粘着剤、天然ゴムラテックス及びイソプレン重合物で構成され、そして、(ロ)前記粘着剤層6には、前記天然ゴムラテックス7〜24重量%と前記イソプレン重合物2〜7重量%とが含有されていると、前記粘着剤層6におけるアクリル系粘着剤の一部を天然ゴムラテックス及びイソプレン重合物に置換して該粘着剤層6を薄膜化してもその引張せん断接着強さを向上させることができ、そのために、切断性及び耐ひび割れ性を最適化した修正部材10を提供することができる。
【0040】
図2に示されているように、この修正部材10は、被転写紙7の表面に印画された図形、模様等の像を覆い被せるように粘着剤層6を下にして、修正部材10を被転写紙7の表面に接着させる段階(第1段階)[a]、支持体2の表面に剥離層4の表面近傍部分4bを保持した状態で剥離層4の本体部分4aから支持体2を剥離する段階(第2段階)[b]、及び、露出した剥離層4の本体部分4aの表面に修正された文字、図形、模様等の像を印字、印画する段階(第3段階)[c]を順次経て、被転写紙7の表面に印字、印画された文字、図形、模様等の像の修正がなされる。
【0041】
図2に示されているように、本発明の修正部材10を被転写紙7の表面に印画された図形、模様等の像を覆い被せるように粘着剤層6を下にして被転写紙7の表面に接着させた後、支持体2の表面に剥離層4の表面近傍部分4bを保持した状態で剥離層の本体部分4aから支持体2を剥離した段階では、本発明の修正部材10は、被転写紙7の表面に、前記粘着剤層6、前記白色隠蔽層5、及び、前記離型層1を順次有する請求項1〜5のいずれか1項に記載された修正部材10であって、前記剥離層4が、その表面近傍部分4bから凝集剥離されたものとなっている。前記凝集剥離された後における剥離層の本体部分4aは、図2に示されているように、その表面に微細な凹凸を有している。本発明の修正部材10は、前記凝集剥離された後における剥離層4の本体部分4aがその表面に微細な凹凸を有したものとなるが故に、該剥離層4の本体部分4aの表面の光沢感を抑制させると共に、水性インクによる印字、印画の滲みの発生や変色の発生を防止するものとなる。
【0042】
前記離型層1は、修正部材10をローラ状に巻き取ったときに、粘着剤層6が支持体2に粘着して剥がれなくなるのを防止するために使用されるものであって、シリコーンで構成される離型剤であるが、本発明の目的に反しない限り、シリコーン以外の離型剤であってもかまわない。
【0043】
本発明の修正部材10の製造方法は、一方の面に離型層1を設けた支持体2を準備する工程、前記支持体2の他方の面に剥離層4を形成する工程、前記剥離層4の表面に白色隠蔽層5を形成する工程、及び、前記白色隠蔽層5の表面に粘着剤層6を形成する工程、を順次有している。そして、前記修正部材10の製造方法では、前記支持体2の他方の面に、ケン化度:86.5〜89.5モル%のポリビニルアルコール(固形分20%の水溶液)31〜38重量%、イソプレン重合物(固形分60%の水系エマルジョン)0.2〜1.6重量%、ポリビニルアルコール可塑剤1〜2重量%、リン酸カルシウム・炭酸カルシウム複合体で構成される充填剤17〜20重量%、及び、水41〜49重量%からなる塗布組成物を被覆した後、加熱乾燥して、前記剥離層を形成する。
【0044】
前記剥離層4を形成する塗布組成物は、例えば、ケン化度:86.5〜89.5モル%のポリビニルアルコール(デンカポバールB−04、電気化学工業社製)及びポリビニルアルコール可塑剤(精製グリセリン、ミヨシ油脂社製)を水(イオン交換水)に加熱溶解し、この溶解したポリビニルアルコール及びポリビニルアルコール可塑剤の混合溶液にリン酸カルシウム・炭酸カルシウム複合体をビーズミルを用いて分散してリン酸カルシウム・炭酸カルシウム複合体分散液を作製した後、前記リン酸カルシウム・炭酸カルシウム複合体分散体にイソプレン重合物(LIR−700、クラレ社製)を均一に混合することによって得る。
【0045】
このように、一方の面に離型層1を設けた支持体2を準備する工程、前記支持体2の他方の面に剥離層4を形成する工程、前記剥離層4の表面に白色隠蔽層5を形成する工程、及び、前記白色隠蔽層5の表面に粘着剤層6を形成する工程、を順次有する修正部材10の製造方法であって、前記支持体2の他方の面に、ケン化度:86.5〜89.5モル%のポリビニルアルコール(固形分20%の水溶液)31〜38重量%、イソプレン重合物(固形分60%の水系エマルジョン)0.2〜1.6重量%、ポリビニルアルコール可塑剤1〜2重量%、リン酸カルシウム・炭酸カルシウム複合体で構成される充填剤17〜20重量%、及び、水41〜49重量%からなる塗布組成物を被覆した後、加熱乾燥して、前記剥離層4を形成するものであると、前記剥離層4に前記ポリイソプレン重合物の混入による空隙を生じさせて該剥離層4の嵩密度を低減させることにより該剥離層の剥離力を低減させると共に該剥離層4のインク吸収性を高めることができ、それらのために、良好な易切断性、ひび割れ耐性、インク吸収性、画像再現性及び耐ブロッキング性を良好に維持しつつ、転写性及び隠蔽性をいっそう向上させた修正部材10を提供することができる。
【0046】
また、本発明の修正部材10の製造方法では、前記剥離層4の表面に、天然ゴムラテックス(固形分62%のコロイド状懸濁液)11〜14重量%、ケン化度:86.5〜89.5モル%及びケン化度:95〜96モル%のポリビニルアルコールが1対0.7〜4の重量比で含有されるポリビニルアルコール2.0〜8.0重量%、前記イソプレン重合物(固形分60%の水系エマルジョン)1.8〜2.6重量%、ポリビニルアルコール可塑剤0.1〜0.3重量%、酸化チタン及び前記リン酸カルシウム・炭酸カルシウム複合体で構成される充填剤40〜45重量、並びに、水34〜43重量%からなる塗布組成物を被覆した後、加熱乾燥して、前記白色隠蔽層5を形成する。
【0047】
前記白色隠蔽層5を形成する塗布組成物は、例えば、86.5〜89.5モル%のポリビニルアルコール(デンカポバールB−04、電気化学工業社製)、95〜96モル%のポリビニルアルコール(デンカポバールH−12、電気化学工業社製)及びポリビニルアルコール可塑剤(精製グリセリン、ミヨシ油脂社製)を水(イオン交換水)に加熱溶解し、この溶解したポリビニルアルコール及びポリビニルアルコール可塑剤の混合溶液に酸化チタン(酸化チタンR−45M、堺化学工業社製)及びリン酸カルシウム・炭酸カルシウム複合体をビーズミルを用いて分散して酸化チタン及びリン酸カルシウム・炭酸カルシウムの複合体分散液を作製した後、前記酸化チタン及び前記リン酸カルシウム・炭酸カルシウム複合体の分散液に天然ゴムラレックス(ユニマックHA、プラネット化学研究所社製)、イソプレン重合物(LIR−700、クラレ社製)、並びに、水(イオン交換水)を均一に混合することによって得る。
【0048】
このように、前記剥離層4の表面に、天然ゴムラテックス(固形分62%のコロイド状懸濁液)11〜14重量%、ケン化度:86.5〜89.5モル%及びケン化度:95〜96モル%のポリビニルアルコールが1対0.7〜4の重量比で含有されるポリビニルアルコール2.0〜8.0重量%、前記イソプレン重合物(固形分60%の水系エマルジョン)1.8〜2.6重量%、ポリビニルアルコール可塑剤0.1〜0.3重量%、酸化チタン及び前記リン酸カルシウム・炭酸カルシウム複合体で構成される充填剤40〜45重量、並びに、水34〜43重量%からなる塗布組成物を被覆した後、加熱乾燥して、前記白色隠蔽層5を形成すると、前記白色隠蔽層5におけるケン化度:86.5〜89.5モル%のポリビニルアルコールの一部をケン化度:95〜96モル%のポリビニルアルコール及び グリセリンに置換して、ケン化度:86.5〜89.5モル%のポリビニルアルコールの含有量を大幅に減少させることができると共に、前記白色隠蔽層5におけるリン酸カルシウム・炭酸カルシウム複合体の一部を前記酸化チタンに置換して、該白色隠蔽層5におけるリン酸カルシウム・炭酸カルシウム複合体大幅に減少させることができ、それらのために、前記白色隠蔽層5における着色剤の高充填と該白色隠蔽層5の高密度化を実現することができ、よって、隠蔽力及び耐ひび割れ性をいっそう向上させた修正部材10を提供することができる。
【0049】
また、本発明の修正部材10の製造方法では、前記白色隠蔽層5の表面に、アクリル系粘着剤(固形分55%の水系エマルジョン)40〜45重量%、前記天然ゴムラテックス(固形分62%のコロイド懸濁液)3〜14重量%及びイソプレン重合物(固形分60%の水系エマルジョン)0.8〜4.5重量%からなる粘着剤組成物を被覆した後、加熱乾燥して、前記粘着剤層6を形成する。前記粘着剤層6を形成する塗布組成物は、例えば、アクリル系粘着剤(AE−150FT、一方社油脂工業社製)、天然ゴムラレックス(ユニマックHA、プラネット化学研究所社製)及びイソプレン重合物(LIR−700、クラレ社製)、並びに、水(イオン交換水)を均一に混合することによって得る。このように、前記白色隠蔽層5の表面に、アクリル系粘着剤(固形分55%の水系エマルジョン)40〜45重量%、前記天然ゴムラテックス(固形分62%のコロイド懸濁液)3〜14重量%及びイソプレン重合物(固形分60%の水系エマルジョン)0.8〜4.5重量%からなる粘着剤組成物を被覆した後、加熱乾燥して、前記粘着剤層6を形成すると、前記粘着剤層6におけるアクリル系粘着剤の一部を天然ゴムラテックス及びイソプレン重合物に置換して該粘着剤層6を薄膜化してもその引張せん断接着強さを向上させることができ、そのために、切断性及び耐ひび割れ性を最適化した修正部材10を提供することができる。
【0050】
次に、本発明の修正部材10の製造方法を詳細に説明する。
【0051】
即ち、本発明の修正部材10は、例えば、(1)予め、片面のみに離型剤処理を施した20μm厚の2軸延伸ポリプロピレンフィルム(支持体)の離型剤未処理面に、前記「剥離層4を形成する塗布組成物」を、その湿潤時の塗膜厚:21μm、乾燥時の塗膜厚:6.5μmとなるように、ダイレクトグラビア、オフセットグラビア、スロットダイ、コンマ等の塗布手段で塗布した後、直ちに80〜100℃の熱風で乾燥して剥離層4を形成し、(2)前記剥離層4の表面に、前記「白色隠蔽層5を形成する塗布組成物」を、その湿潤時の塗膜厚:27μm、乾燥時の塗膜厚:20μmとなるように、ダイレクトグラビア、オフセットグラビア、スロットダイ、コンマ等の塗布手段で塗布した後、直ちに80〜100℃の熱風で乾燥し、(3)前記白色隠蔽層5の表面に、前記「粘着剤層6を形成する塗布組成物」を、その湿潤時の塗膜厚:3μm、乾燥時の塗膜厚:1μmとなるように、ダイレクトグラビア、オフセットグラビア、スロットダイ、コンマ等の塗布手段で塗布した後、直ちに80〜100℃の熱風で乾燥して粘着剤層6を形成する、ことによって、製造される。
【0052】
(実施例1)
(1)予め、一方の面にシリコーンで構成される離型層を設けた20μm厚の2軸延伸ポリプロピレンで構成される支持体を準備する工程、
(2)前記支持体の他方の面に、リン酸カルシウム・炭酸カルシウム複合体(ポロネックス、丸尾カルシウム社製)(一次粒子径:5.5μm、吸油量:150ml/100g)17.8重量%、ポリビニルアルコール(ケン化度:86.5〜89.5モル%、固形分:20%、水溶液)34.7重量%、グリセリン(粘稠性液体、融点18℃)1.5重量%、高級アルコール/高級脂肪酸エステル混合物(固形分:30%、水系エマルジョン)0.6重量%、イソプレン重合物(水系エマルジョン、固形分:30%、分子量:28000、Tg:−63℃)0.2重量%、及び、イオン交換水44.9を含有する水分散体からなる塗布組成物を塗布して9.5μm厚の剥離層を形成する工程、
(3)前記剥離層の表面に、酸化チタン(一次粒子径:0.3μm、吸油量:18ml/100g)36.4重量%、天然ゴムラテックス(コロイド懸濁液、固形分:62%、Tg:−70℃)12.3重量%、イソプレン重合物(水系エマルジョン、固形分:60%、分子量:28000、Tg:−63℃)2.1重量%、ポリビニルアルコール(水溶液、固形分:20%、ケン化度:86.5〜89.5モル%)2.0重量%、ポリビニルアルコール(水溶液、固形分:15%、ケン化度:95〜96モル%、)3.8重量%、グリセリン(粘稠性液体、融点18℃)0.2重量%、リン酸カルシウム・炭酸カルシウム複合体(ポロネックス、丸尾カルシウム社製)(一次粒子径:5.5μm、吸油量:150ml/100g)5.2重量%、カーボンブラック(C.I Pigment Black 7)0.002重量%、及び、イオン交換水38.0重量%を含有する水分散体からなる塗布組成物を、塗布し加熱乾燥して20.0μm厚の白色隠蔽層を形成する工程、並びに、
(4)アクリル酸エステル重合体(水系エマルジョン、固形分:40%、Tg:−20℃)4.4重量%及びアクリル系粘着剤(水系エマルジョン、固形分:55%)41.0重量%、天然ゴムラテックス(コロイド懸濁液、固形分:62%、Tg:−70℃)8.1重量%、イソプレン重合物(水系エマルジョン、固形分:60%、分子量:28000、Tg:−63℃)2.5重量%、及び、イオン交換水44.0重量%を含有する粘着剤組成物を前記白色隠蔽層の表面に塗布し乾燥して1.0μm厚の粘着剤層を形成する工程、
を順次経てインク層の総厚みを30.5μmとした修正部材を得た。
【0053】
(実施例2)
前記実施例1の(2)工程において、前記塗布組成物を塗布して前記剥離層の層厚を8.5μmとした以外は、実施例1と同様にして、インク層の総厚みを29.5μmの修正部材を得た。
【0054】
(実施例3)
前記実施例1の(2)工程において、前記塗布組成物を塗布して前記剥離層の層厚を11.5μmとした以外は、実施例1と同様にして、インク層の総厚みを32.5μmの修正部材を得た。
【0055】
(実施例4)
前記実施例1の(3)工程において、前記塗布組成物を塗布して前記白色隠蔽層の層厚を18.5μmとした以外は、実施例1と同様にして、インク層の総厚みを29.0μmとした修正部材を得た。
【0056】
(実施例5)
前記実施例1の(3)工程において、前記塗布組成物を塗布して前記白色隠蔽層の層厚を22.0μmとした以外は、実施例1と同様にして、インク層の総厚みを32.5μmとした修正部材を得た。
【0057】
(実施例6)
前記実施例1の(4)工程において、前記粘着剤組成物を塗布して前記粘着剤層の層厚を0.5μmとした以外は、実施例1と同様にして、インク層の総厚みを30.0μmとした修正部材を得た。
【0058】
(実施例7)
前記実施例1の(4)工程において、前記粘着剤組成物を塗布して前記粘着剤層の層厚を1.5μmとした以外は、実施例1と同様にして、インク層の総厚みを31.0μmとした修正部材を得た。
【0059】
(実施例8)
前記実施例1の(2)工程において、前記ケン化度:86.5〜89.5モル%のポリビニルアルコールの配合量を31.2重量%とし、前記イソプレン重合物の配合量を0.2重量%とし、そして、前記イオン交換水の配合量を48.7重量%とした以外は、実施例1と同様にして、リン酸カルシウム・炭酸カルシウム複合体68.9重量%、ポリビニルアルコール24.1重量%、グリセリン5.8重量%、高級アルコール/高級脂肪酸エステル混合物0.7重量%、及び、イソプレン重合物0.5重量%で構成された、インク層の総厚みを30.5μmとした修正部材を得た。
【0060】
(実施例9)
前記実施例1の(2)工程において、前記ケン化度:86.5〜89.5モル%のポリビニルアルコールの配合量を37.5重量%とし、前記イソプレン重合物の配合量を1.6重量%とし、そして、前記イオン交換水の配合量を41.0重量%とした以外は、実施例1と同様にして、リン酸カルシウム・炭酸カルシウム複合体63.7重量%、ケン化度:86.5〜89.5モル%のポリビニルアルコール26.8重量%、グリセリン5.8重量%、高級アルコール/高級脂肪酸エステル混合物0.6重量%、及び、イソプレン重合物3.4重量%で構成された、インク層の総厚みを30.5μmとした修正部材を得た。
【0061】
(実施例10)
前記実施例1の(3)工程において、前記天然ゴムラテックスの配合量を11.5重量%とし、前記イソプレン重合物の配合量を1.8重量%とし、前記ケン化度:86.5〜89.5モル%のポリビニルアルコールの配合量を1.3重量%とし、前記ケン化度:95〜96モル%のポリビニルアルコールの配合量を1.0重量%とし、前記グリセリンの配合量を0.10重量%とし、そして、前記イオン交換水の配合量を38.0重量%とした以外は、実施例1と同様にして、酸化チタン72.3重量%、天然ゴムラテックス14.2重量%、イソプレン重合物2.1重量%、ケン化度:86.5〜89.5モル%のポリビニルアルコール0.5重量%、前記ケン化度:95〜96モル%のポリビニルアルコール0.4重量%、グリセリン0.2重量%、リン酸カルシウム・炭酸カルシウム複合体10.3重量%、カーボンブラック0.004重量%で構成された、インク層の総厚みを30.5μmとした修正部材を得た。
【0062】
(実施例11)
前記実施例1の(3)工程において、前記天然ゴムラテックスの配合量を13.8重量%とし、前記イソプレン重合物の配合量を2.6重量%とし、前記ケン化度:86.5〜89.5モル%のポリビニルアルコールの配合量を2.0重量%とし、前記ケン化度:95〜96モル%のポリビニルアルコールの配合量を8.0重量%とし、前記グリセリンの配合量を0.25重量%とし、そして、前記イオン交換水の配合量を31.75重量%とした以外は、実施例1と同様にして、酸化チタン67.4重量%、天然ゴムラテックス15.9重量%、イソプレン重合物2.9重量%、ケン化度:86.5〜89.5モル%のポリビニルアルコール0.7重量%、前記ケン化度:95〜96モル%のポリビニルアルコール3.0重量%、グリセリン0.5重量%、リン酸カルシウム・炭酸カルシウム複合体9.6重量%、及び、カーボンブラック0.004重量%で構成された、インク層の総厚みを30.5μmとした修正部材を得た。
【0063】
(実施例12)
前記実施例1の(4)工程において、前記天然ゴムラテックスの配合量を3.1重量%とし、前記イソプレン重合物の配合量を1.0重量%とし、そして、前記イオン交換水の配合量を50/5重量%とした以外は、実施例1と同様にして、アクリル酸エステル重合体6.6重量%、アクリル系粘着剤84.0重量%、天然ゴムラテックス7.2重量%、及び、イソプレン重合物2.2重量%で構成された、インク層の総厚みを30.5μmとした修正部材を得た。
【0064】
(実施例13)
前記実施例1の(4)工程において、前記天然ゴムラテックスの配合量を13.5重量%とし、前記イソプレン重合物の配合量を4.0重量%とし、そして、前記イオン交換水の配合量を37.1重量%とした以外は、実施例1と同様にして、アクリル酸エステル重合体5.0重量%、アクリル系粘着剤64.3重量%、天然ゴムラテックス23.9重量%、及び、イソプレン重合物6.8重量%で構成された、インク層の総厚みを30.5μmとした修正部材を得た。
【0065】
(比較例1)
前記実施例1の(2)工程において、前記塗布組成物を塗布して前記剥離層の層厚を7.0μmとした以外は、実施例1と同様にして、インク層の総厚みを28.0μmの修正部材を得た。
【0066】
(比較例2)
前記実施例1の(2)工程において、前記塗布組成物を塗布して前記剥離層の層厚を13.0μmとした以外は、実施例1と同様にして、インク層の総厚みを34.0μmの修正部材を得た。
【0067】
(比較例3)
前記実施例1の(3)工程において、前記塗布組成物を塗布して前記白色隠蔽層の層厚を17.5μmとした以外は、実施例1と同様にして、インク層の総厚みを28.0μmとした修正部材を得た。
【0068】
(比較例4)
前記実施例1の(3)工程において、前記塗布組成物を塗布して前記白色隠蔽層の層厚を23.0μmとした以外は、実施例1と同様にして、インク層の総厚みを33.5μmとした修正部材を得た。
【0069】
(比較例5)
前記実施例1の(4)工程において、前記粘着剤組成物を塗布して前記粘着剤層の層厚を0.3μmとした以外は、実施例1と同様にして、インク層の総厚みを29.8μmとした修正部材を得た。
【0070】
(比較例6)
前記実施例1の(4)工程において、前記粘着剤組成物を塗布して前記粘着剤層の層厚を2.0μmとした以外は、実施例1と同様にして、インク層の総厚みを31.5μmとした修正部材を得た。
【0071】
(比較例7)
前記実施例1の(2)工程において、前記ケン化度:86.5〜89.5モル%のポリビニルアルコールの配合量を29.0重量%とし、前記イソプレン重合物の配合量を0.1重量%とし、そして、前記イオン交換水の配合量を51.0重量%とした以外は、実施例1と同様にして、リン酸カルシウム・炭酸カルシウム複合体70.2重量%、ケン化度:86.5〜89.5モル%のポリビニルアルコール22.9重量%、グリセリン5.9重量%、高級アルコール/高級脂肪酸エステル混合物0.7重量%、及び、イソプレン重合物0.2重量%で構成された、インク層の総厚みを30.5μmとした修正部材を得た。
【0072】
(比較例8)
前記実施例1の(2)工程において、前記ケン化度:86.5〜89.5モル%のポリビニルアルコールの配合量を41.0重量%とし、前記イソプレン重合物の配合量を2.3重量%とし、そして、前記イオン交換水の配合量を36.8重量%とした以外は、実施例1と同様にして、リン酸カルシウム・炭酸カルシウム複合体61.3重量%、ケン化度:86.5〜89.5モル%のポリビニルアルコール28.2重量%、グリセリン5.2重量%、高級アルコール/高級脂肪酸エステル混合物0.6重量%、及び、イソプレン重合物4.7重量%で構成された、インク層の総厚みを30.5μmとした修正部材を得た。
【0073】
(比較例9)
前記実施例1の(3)工程において、前記天然ゴムラテックスの配合量を10.0重量%とし、前記イソプレン重合物の配合量を1.6重量%とし、前記ケン化度:86.5〜89.5モル%のポリビニルアルコールの配合量を1.2重量%とし、前記ケン化度:95〜96モル%のポリビニルアルコールの配合量を0.7重量%とし、前記グリセリンの配合量を0.05重量%とし、そして、前記イオン交換水の配合量を44.55重量%とした以外は、実施例1と同様にして、酸化チタン74.2重量%、天然ゴムラテックス12.5重量%、イソプレン重合物1.9重量%、ケン化度:86.5〜89.5モル%のポリビニルアルコール0.5重量%、前記ケン化度:95〜96モル%のポリビニルアルコール0.3重量%、グリセリン0.1重量%、リン酸カルシウム・炭酸カルシウム複合体10.5重量%、カーボンブラック0.004重量%で構成された、インク層の総厚みを30.5μmとした修正部材を得た。
【0074】
(比較例10)
前記実施例1の(3)工程において、前記天然ゴムラテックスの配合量を15.0重量%とし、前記イソプレン重合物の配合量を3.0重量%とし、前記ケン化度:86.5〜89.5モル%のポリビニルアルコールの配合量を2.2重量%とし、前記ケン化度:95〜96モル%のポリビニルアルコールの配合量を9.0重量%とし、前記グリセリンの配合量を0.35重量%とし、そして、前記イオン交換水の配合量を28.85重量%とした以外は、実施例1と同様にして、酸化チタン65.8重量%、天然ゴムラテックス16.8重量%、イソプレン重合物3.8重量%、ケン化度:86.5〜89.5モル%のポリビニルアルコール0.80重量%、前記ケン化度:95〜96モル%のポリビニルアルコール3.26重量%、グリセリン0.63重量%、リン酸カルシウム・炭酸カルシウム複合体9.4重量%、カーボンブラック0.004重量%で構成された、インク層の総厚みを30.5μmとした修正部材を得た。
【0075】
(比較例11)
前記実施例1の(4)工程において、前記天然ゴムラテックスの配合量を2.6重量%とし、前記イソプレン重合物の配合量を0.7重量%とし、そして、前記イオン交換水の配合量を51.3重量%とした以外は、実施例1と同様にして、アクリル酸エステル重合体6.7重量%、アクリル系粘着剤85.6重量%、天然ゴムラテックス6.1重量%、及び、イソプレン重合物1.6重量%で構成された、インク層の総厚みを30.5μmとした修正部材を得た。
【0076】
(比較例12)
前記実施例1の(4)工程において、前記天然ゴムラテックスの配合量を14.5重量%とし、前記イソプレン重合物の配合量を4.8重量%とし、そして、前記イオン交換水の配合量を35.3重量%とした以外は、実施例1と同様にして、アクリル酸エステル重合体4.9重量%、アクリル系粘着剤62.3重量%、天然ゴムラテックス24.8重量%、及び、イソプレン重合物8.0重量%で構成された、インク層の総厚みを30.5μmとした修正部材を得た。
【0077】
(比較例13)
(1)予め、一方の面にシリコーンで構成される離型層を設けた20μm厚の2軸延伸ポリプロピレンで構成される支持体を準備する工程、
(2)前記支持体の他方の面に、リン酸カルシウム・炭酸カルシウム複合体(ポロネックス、丸尾カルシウム社製)(一次粒子径:5.5μm、吸油量:150ml/100g)21.8重量%、ポリビニルアルコール(ケン化度:86.5〜89.5モル%、固形分:20%、水溶液)50.8重量%、高級アルコール/高級脂肪酸エステル混合物(固形分:30%、水系エマルジョン)0.3重量%、及び、イオン交換水27.1を含有する水分散体からなる塗布組成物を塗布して8.0μm厚の剥離層を形成する工程、
(3)前記剥離層の表面に、酸化チタン(一次粒子径:0.3μm、吸油量:18ml/100g)28.5重量%、天然ゴムラテックス(コロイド懸濁液、固形分:62%、Tg:−70℃)10.9重量%、ポリビニルアルコール(水溶液、固形分:20%、ケン化度:86.5〜89.5モル%)20.0重量%、高級アルコール・高級脂肪酸エステル混合物0.5重量%、リン酸カルシウム・炭酸カルシウム複合体(ポロネックス、丸尾カルシウム社製)(一次粒子径:5.5μm、吸油量:150ml/100g)10.6重量%、及び、イオン交換水29.5重量%を含有する水分散体からなる塗布組成物を、塗布し加熱乾燥して24.0μm厚の白色隠蔽層を形成する工程、並びに、
(4)アクリル酸エステル重合体(水系エマルジョン、固形分:40%、Tg:−20℃)27.0重量%、アクリル酸エステル共重合9.0重量%、アクリル系粘着剤(水系エマルジョン、固形分:55%)41.0重量%、天然ゴムラテックス(コロイド懸濁液、固形分:62%、Tg:−70℃)44.0重量%、及び、イオン交換水20.0重量%を含有する粘着剤組成物を前記白色隠蔽層の表面に塗布し乾燥して2.0μm厚の粘着剤層を形成する工程、
を順次経てインク層の総厚みを34.0μmとした修正部材を得た。
【0078】
(比較例14)
(1)予め、一方の面にシリコーンで構成される離型層を設けた20μm厚の2軸延伸ポリプロピレンで構成される支持体を準備する工程、
(2)前記支持体の他方の面に、リン酸カルシウム・炭酸カルシウム複合体(ポロネックス、丸尾カルシウム社製)(一次粒子径:5.5μm、吸油量:150ml/100g)16.3重量%、酸化チタン(一次粒子径:0.3μm、吸油量:18ml/100g)5.2重量%、ポリビニルアルコール(ケン化度:86.5〜89.5モル%、固形分:20%、水溶液)42.1重量%、グリセリン1.6重量%、高級アルコール/高級脂肪酸エステル混合物(固形分:30%、水系エマルジョン)1.0重量%、及び、イオン交換水33.5を含有する水分散体からなる塗布組成物を塗布して12.5μm厚の剥離層を形成する工程、並びに、
(3)前記剥離層の表面に、酸化チタン(一次粒子径:0.3μm、吸油量:18ml/100g)28.5重量%、天然ゴムラテックス(コロイド懸濁液、固形分:62%、Tg:−70℃)10.9重量%、ポリビニルアルコール(水溶液、固形分:20%、ケン化度:86.5〜89.5モル%)20.0重量%、高級アルコール・高級脂肪酸エステル混合物0.5重量%、リン酸カルシウム・炭酸カルシウム複合体(ポロネックス、丸尾カルシウム社製)(一次粒子径:5.5μm、吸油量:150ml/100g)10.6重量%、及び、イオン交換水29.5重量%を含有する水分散体からなる塗布組成物を、塗布し加熱乾燥して24.0μm厚の白色隠蔽層を形成する工程、
を順次経てインク層の総厚みを31.0μmとした修正部材を得た。
【0079】
以上、実施例1〜13及び比較例1〜14で得た修正部材の「剥離力(N/10mm)」、「引張せん断接着強さ(N/10mm2 )」、「引張強さ(N/10mm2 )」、「転写性」、「切断性」、「耐ひび割れ性」、「インク吸収性」、「画像再現性」及び「耐ブロッキング性」について試験した。前記「剥離力(N/10mm)」は、JIS Z 0237 10.4.1に準拠して測定した。前記「引張りせん断接着強さ」は、JIS K6850:2000 接着剤−剛性被接着剤の引張りせん断接着強さ試験方法 に準拠して測定した《但し、試験片については、JIS Z0237:2000 粘着テープ・粘着テープ試験方法(10.2.4 圧着装置、10.3.1 試験の準備)を適用し、そして、接着片を破壊する際の速度は、JIS Z023:2000 粘着テープ・粘着テープ試験方法(8.3 試験方法)を適用した》。前記「引張強さ(N/10mm2 )」は、JIS Z 0237 8に準拠して測定した。前記「転写性」は、転写具(WHIPER mini(5mm)、プラスステーショナリ社製)を用い、被転写紙を普通紙として、目視により測定した。前記「切断性」は、転写後に転写具を持ち上げた際に、テープ切れ善し悪しを目視により測定した。前記「耐ひび割れ性」は、転写した修正インクにおけるひび割れの有無を目視により測定した。前記「インク吸収性」、前記「画像再現性」及び「耐ブロッキング性」は、それそれ、転写具(WHIPER mini(5mm)、プラスステーショナリ社製)、及び、プリンター(PMG−850、EPSON社製)を用いて、被転写紙を普通紙として、目視により測定した。
【0080】
測定結果は、次の表1、2に示される。
【0081】
【表1】

【0082】
【表2】

【0083】
表1,2に記載された、「剥離力」の要求品質は、3.0〜15.0N/10mmとし、「引張せん断接着強さ」の要求品質は、12.0〜27.0N/10mm2 とし、そして、「引張強さ」の要求品質は、150〜350N/10mm2 とした。また、「転写性」の要求品質は、スムースに転写でき、被転写紙への定着が良好であることし、「切断性」の要求品質は、転写後に転写具を持ち上げた際に、テープ切れが良好であることとし、「耐ひび割れ性」は、転写した修正インクにひび割れがないこととし、「インク吸収性」は、インクが直ちに吸収されて滲みがないとし、「画像再現性」は、印画原稿と同等の色彩及び印画品位であることとし、そして、「耐ブロッキング性」は、巻き回したテープを引き出す際に、インク層が支持体の反対側へ移行することがないこととした。
【0084】
そして、判定基準は、次のとおりとした。即ち、前記要求品質を遙かに越えるものは、◎とし、前記要求品質を越えるものは、○とし、前記要求品質を僅かに下回るものは、△とし、前記要求品質を遙かに下回るものは、×とした。
【0085】
表1,2から次のことがわかる。即ち、比較例1は、転写性及び画像再現性が前記要求品質を僅かに下回ると共に、インク吸収性が前記要求品質を遙かに下回り、比較例2は、切断性が前記要求品質を僅かに下回ると共に、耐ひび割れ性が前記要求品質を遙かに下回り、比較例3は、インク吸収性が前記要求品質を僅かに下回ると共に、隠蔽性が前記要求品質を遙かに下回り、比較例4は、切断性が前記要求品質を遙かに下回り、比較例5は、切断性が前記要求品質を僅かに下回ると共に、転写性が前記要求品質を遙かに下回り、比較例6は、耐ブロッキング性が前記要求品質を遙かに下回り、比較例7は、転写性が前記要求品質を遙かに下回り、比較例8は、インク吸収性が前記要求品質を僅かに下回ると共に、画像再現性が前記要求品質を遙かに下回り、比較例9は、耐ひび割れ性が前記要求品質を遙かに下回り、比較例10は、隠蔽性が前記要求品質を僅かに下回ると共に、切断性が前記要求品質を遙かに下回り、比較例11は、耐ひび割れ性が前記要求品質を僅かに下回ると共に、耐ブロッキング性が前記要求品質を遙かに下回り、比較例12は、切断性が前記要求品質を遙かに下回り、比較例13は、切断性及び耐ひび割れ性が前記要求品質を僅かに下回ると共に、隠蔽性が前記要求品質を遙かに下回り、そして、比較例14は、インク吸収性及び隠蔽性が前記要求品質を遙かに下回っているが、実施例1〜13は、いずれの特性も、前記要求品質を上回っているか、遙かに上回っている。
【符号の説明】
【0086】
1 離型層
2 支持体
4 剥離層
4a 本体部分
4b 表面近傍部分
5 白色隠蔽層
6 粘着剤層
10 修正部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
離型層と、該離型層の表面に設けられた支持体と、該支持体の表面に設けられた剥離層と、該剥離層の表面に設けられた白色隠蔽層と、該白色隠蔽層の表面に設けられた粘着剤層と、を有する修正部材において、
(イ)前記剥離層が、ポリビニルアルコール、イソプレン重合物、ポリビニルアルコール可塑剤及び充填剤を少なくとも含む被膜で構成され、
(ロ)前記被膜には、前記ポリビニルアルコール24〜27重量%と前記ポリイソプレン重合物0.5〜3.5重量%とが含有され、
(ハ)前記ポリビニルアルコールが、ケン化度:86.5〜89.5モル%のポリビニルアルコールで構成され、そして、
(ニ)前記充填剤が、リン酸カルシウム・炭酸カルシウム複合体で構成されている
ことを特徴とする修正部材。
【請求項2】
(イ)前記白色隠蔽層が、天然ゴムラテックス、ポリビニルアルコール及びイソプレン重合物で構成される被膜形成樹脂と、ポリビニルアルコール可塑剤と、充填剤とを少なくとも含む被膜で構成され、
(ロ)前記被膜には、前記天然ゴムラテックス14〜16重量%と、前記ポリビニルアルコール0.9〜3.8重量%と、前記イソプレン重合物2〜3重量%と、前記ポリビニルアルコール可塑剤0.2〜0.5重量%とが含有され、
(ハ)前記ポリビニルアルコールには、ケン化度:86.5〜89.5モル%のポリビニルアルコール及びケン化度:95〜96モル%のポリビニルアルコールが1対0.7〜4の重量比で含有され、そして、
(ニ)前記充填剤が、酸化チタン67.4〜72.3重量%及びリン酸カルシウム・炭酸カルシウム複合体9.6〜10.3重量%で構成されている
ことを特徴とする請求項1に記載の修正部材。
【請求項3】
(イ)前記粘着剤層が、アクリル系粘着剤、天然ゴムラテックス及びイソプレン重合物で構成され、そして、
(ロ)前記粘着剤層には、前記天然ゴムラテックス7〜24重量%と前記イソプレン重合物2〜7重量%とが含有されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の修正部材。
【請求項4】
前記剥離層の層厚が、8.0〜12.0μmとされていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の修正部材。
【請求項5】
前記白色隠蔽層の層厚が、18.5〜22.0μmとされていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の修正部材。
【請求項6】
前記粘着層の層厚が、0.5〜1.5μmとされていることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の修正部材。
【請求項7】
被転写紙の表面に、前記粘着剤層、前記白色隠蔽層、及び、前記離型層を順次有する請求項1〜6のいずれか1項に記載された修正部材であって、前記剥離層が、その表面近傍部分から凝集剥離されていることを特徴とする修正部材。
【請求項8】
一方の面に離型層を設けた支持体を準備する工程、前記支持体の他方の面に剥離層を形成する工程、前記剥離層の表面に白色隠蔽層を形成する工程、及び、前記白色隠蔽層の表面に粘着剤層を形成する工程、を順次有する修正部材の製造方法であって、前記支持体の他方の面に、ケン化度:86.5〜89.5モル%のポリビニルアルコール(固形分20%の水溶液)31〜38重量%、イソプレン重合物(固形分60%の水系エマルジョン)0.2〜1.6重量%、ポリビニルアルコール可塑剤1〜2重量%、リン酸カルシウム・炭酸カルシウム複合体で構成される充填剤17〜20重量%、及び、水41〜49重量%からなる塗布組成物を被覆した後、加熱乾燥して、前記剥離層を形成することを特徴とする修正部材の製造方法。
【請求項9】
前記剥離層の表面に、天然ゴムラテックス(固形分62%のコロイド状懸濁液)11〜14重量%、ケン化度:86.5〜89.5モル%及びケン化度:95〜96モル%のポリビニルアルコールが1対0.7〜4の重量比で含有されるポリビニルアルコール(固形分20%の水溶液)2.0〜8.0重量%、前記イソプレン重合物(固形分60%の水系エマルジョン)1.8〜2.6重量%、ポリビニルアルコール可塑剤0.1〜0.3重量%、酸化チタン及び前記リン酸カルシウム・炭酸カルシウム複合体で構成される充填剤40〜45重量、並びに、水34〜43重量%からなる塗布組成物を被覆した後、加熱乾燥して、前記白色隠蔽層を形成することを特徴とする請求項8に記載の修正部材の製造方法。
【請求項10】
前記白色隠蔽層の表面に、アクリル系粘着剤(固形分55%の水系エマルジョン)40〜45重量%、前記天然ゴムラテックス(固形分62%のコロイド懸濁液)3〜14重量%及びイソプレン重合物(固形分60%の水系エマルジョン)0.8〜4.5重量%、及び、水37〜51重量%からなる粘着剤組成物を被覆した後、加熱乾燥して、前記粘着剤層を形成することを特徴とする請求項8又は9に記載の修正部材の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−938(P2012−938A)
【公開日】平成24年1月5日(2012.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−140427(P2010−140427)
【出願日】平成22年6月21日(2010.6.21)
【出願人】(592205045)株式会社北村製作所 (10)
【Fターム(参考)】