説明

倉庫用照明装置

【課題】倉庫利用者の倉庫への到達を可能ならしめて倉庫の利便性および実用性を向上させることである。
【解決手段】自然エネルギを利用して発電する発電装置1と、発電装置1が発生する電力を蓄える蓄電装置2と、蓄電装置2からの電力供給を受けて点灯する照明器3とを備えた倉庫用照明装置Lにおいて、地震を検知する地震検知手段4と、誘導灯5とを備え、地震検知時に誘導灯5を点灯させるようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、倉庫用照明装置の改良に関する。
【背景技術】
【0002】
災害時に必要となる物資を備蓄しておく災害備蓄用倉庫等は、商用電源からの電力供給を受けらないような場所に設置される場合が多く、電源がなく照明装置を使用できない。また、商用電源から電力供給を受け得る場所に設置される場合にあっても災害時には停電等によって商用電源を電力供給源とする照明装置を使用することができないこともある。
【0003】
そこで、太陽電池を電力源とした照明装置の提案があり、この照明装置にあっては、太陽光にて発電した電力を蓄電装置で蓄電し、蓄電装置もしくは太陽電池からの電力供給によって点灯する照明器を備えている(たとえば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2005−192378号公報(図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上述した従来の倉庫用照明装置では、商用電源を利用できない場所に設置された倉庫においても、照明を得ることができ、その利便性は向上するが、以下の改善が望まれている。
【0005】
災害発生が夜間である場合には、倉庫が一般的には、商用電源を使用できない場所に設置され倉庫付近に明かりがないので、倉庫利用者が該倉庫の設置場所まで辿り付くことができない場合がある。
【0006】
また、災害発生地が停電状態となる場合には、それにも増して、倉庫利用者の倉庫到達が困難となり、その結果、災害に対する対応が遅れてしまうことになってしまう事態となる。
【0007】
そこで、本発明は上記不具合を改善するために創案されたものであって、その目的とするところは、倉庫利用者の倉庫への到達を可能ならしめて倉庫の利便性および実用性を向上させることである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記した目的を達成するため、本発明の課題解決手段は、自然エネルギを利用して発電する発電装置と、発電装置が発生する電力を蓄える蓄電装置と、蓄電装置からの電力供給を受けて点灯する照明器とを備えた倉庫用照明装置において、地震を検知する地震検知手段と、誘導灯とを備え、地震検知時に誘導灯を点灯させるようにした。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、この倉庫用照明装置にあっては、商用電源から電力供給を受けられない場所に設置される倉庫に供されても、倉庫内を照明器で照らすことができるとともに、地震が発生した際には、この地震の発生を地震検知手段で検知して誘導灯を自動的に点灯することができ、これによって、夜間や付近が停電状態であっても倉庫利用者は、上記誘導灯を頼りに倉庫に到達することができるので、倉庫の利便性および実用性を向上させることができる。
【0010】
さらに、倉庫利用者は誘導灯の誘導によって、倉庫に確実に到達することができるので、災害に対する対応が遅れてしまうような事態を防止することができる。
【0011】
また、
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、図に示した実施の形態に基づき、本発明を説明する。図1は、一実施の形態における倉庫用照明装置の構成図である。図2は、一実施の形態における倉庫用照明装置を備えた倉庫の斜視図である。
【0013】
図1、図2に示すように、一実施の形態における倉庫用照明装置Lは、自然エネルギを利用して発電する発電装置たる太陽電池1と、太陽電池1が発生する電力を蓄える蓄電装置2と、蓄電装置2からの電力供給を受け倉庫C内を照らす照明器3と、地震を検知する地震検知手段4と、誘導灯5と、換気扇6と、商用電源取出用のコンセントと同形状のプラグソケット7と、携帯照明器8と、照明器3、換気扇6および誘導灯5を制御する制御回路9とを備えて構成されている。
【0014】
また、倉庫Cは、四方を囲う壁部材10と、壁部材10の図2中上部を閉塞する屋根部材11と、壁部材10の図2中底部を閉塞する床部材12と、壁部材10の四面のうち一面に設けたドア13とを備えて構成される。
【0015】
そして、太陽電池1は、屋根部材11の上方に倉庫Cの周方向に回動自在な取付部材15を介して所定の傾斜角をもって取り付けられており、屋根部材11に対して回動自在とされている。なお、取付部材15は、螺子締結で屋根部材11に取り付けられており、屋根部材11から取り外せるようになっている。
【0016】
したがって、この取付部材15を手動操作することによって太陽電池1の向きを変更することができ、これによって、倉庫Cの設置箇所や向きによらず、太陽電池1で太陽光を充分に受けることができるようになっている。
【0017】
なお、太陽電池1は、取付部材15によって屋根部材11に対して所定の傾斜角をもって取り付けられているが、倉庫Cに対して回動自在のみならず、上記傾斜角をも変更自在とするようにしてもよい。
【0018】
この倉庫Cの外方に設置される太陽電池1は、倉庫C内に設置される蓄電装置2に接続されており、太陽電池1の発電によって蓄電装置2を充電することが可能なようになっている。
【0019】
具体的には、蓄電装置2は、図2に示すように、蓄電装置2の充放電を制御し、かつ、照明器3および誘導灯5の動作を制御する制御回路9および地震検知手段4とともに筐体20内に収納されて発電装置たる太陽電池1とは分離されてユニット化され、筐体20が倉庫Cの壁部材10に固定されて、倉庫C内に設置される。
【0020】
蓄電装置2は、上述のように、筐体20内に収納されており、上記制御回路9を介して上記照明器3、誘導灯5、換気扇6および携帯照明器8の動作に必要な電力を充分蓄電可能であって、繰り返し充放電可能なものであればよく、具体的にたとえば、鉛蓄電池等の二次電池とされている。
【0021】
そして、照明器3、誘導灯5、換気扇6および携帯照明器8は、それぞれ、制御回路9にケーブル31,32,33,34で接続されている。
【0022】
つづいて、照明器3は、光源として複数個のLED(半導体発光素子)を備えて構成されており、制御回路9を介して蓄電装置2に接続されて、壁部材10の内周側に固定させて設置され、蓄電装置2から電力供給を受けることによって倉庫C内を照らすことができるようになっている。
【0023】
誘導灯5は、倉庫Cの壁部材10あるいは屋根部材11の外部から確認容易な箇所に設置されるとともに、上記制御回路9を介して蓄電装置2に接続されており、制御回路9から電力が出力されると、点灯するようになっている。
【0024】
換気扇6は、倉庫Cの壁部材10に設けた開口部10aを塞ぐように設置されており、この換気扇6は誘導灯5と同様に、上記制御回路9を介して蓄電装置2に接続されているが、制御回路9と換気扇6との間には、換気扇6への電力供給の可不可を切替えるスイッチ22が設けられている。
【0025】
また、携帯照明器8は、図1および図2に示すように、複数個のLED(半導体発光素子)を備えた光源8aと、筐体8d内に収容されて光源8aに対して電力供給可能な蓄電池8bと、筐体8d内に収容されて蓄電池8bの充放電を制御する制御基板8cとを備えて構成されており、この携帯照明器8は、蓄電装置2からの電力供給を受けて蓄電池8bを充電することができるとともに、光源8aを点灯させることができるようになっている。
【0026】
すなわち、この携帯照明器8は、蓄電装置2から電力供給を受けているときには蓄電装置2の電力を利用して光源を点灯させることもできるし、内蔵の蓄電池8bの電力を使用して光源8aを点灯させることも可能なようになっている。なお、蓄電池8bとしては、ニッカド電池、ニッケル水素電池やリチウムイオン電池等の二次電池を使用すればよい。
【0027】
なお、この携帯照明器8は、図示しないフック等によって、壁部材10に着脱自在に固定できるようになっており、固定した状態で、蓄電装置2から蓄電池8bに充電を行え、また、壁部材10から取外すとともに蓄電装置2との接続を断った状態、すなわち、ケーブル35から取外して使用可能とされている。したがって、倉庫C内を上記照明器3のみならず、携帯照明器8を移動させずして倉庫C内を該携帯照明器8で照らすことが可能なようになっている。また、光源8aは、筐体8dに対し軸方向の回転と仰角を調節することができるようになっている。
【0028】
また、図示したところでは、携帯照明器8を1つ倉庫C内に設置しているが、複数設置しておいても良い。
【0029】
転じて、地震検知知手段4は、地震による振動の有無を検知して、地震振動を検知した場合には電圧でなる地震検知信号を制御回路9に出力することができるものであればよく、具体的にたとえば、地震による振動の加速度を検知する加速度センサとされて、常に蓄電装置2からの電力供給を受けて地震の振動による加速度を検知可能な状態とされている。
【0030】
さらに、制御回路9は、詳しくは図示しないが、ケーブル30を介して発電装置たる太陽電池1に接続され、太陽電池1から送られてくる電力で蓄電装置2を充電する充電回路と、蓄電装置2の過充電を防止する充電監視回路と、照明器3、誘導灯5、換気扇6およびに電圧変換手段たるインバータ21に電力を供給する出力回路と、出力回路から出力される電力を供給および遮断を制御することによって照明器3および誘導灯5の点灯、消灯を制御する地震判定回路とを備えて構成され、上記地震判定回路は、地震検知手段4の出力する加速度を示す地震検知信号を受けて出力回路から照明器3および誘導灯5への電力供給を制御する。
【0031】
なお、照明器3への電力供給は、基本的には、地震判定回路の制御下に置かれるが、別途、筐体20に設けられるスイッチ23の操作によって、強制的に照明器3を点灯および消灯させることができるようになっている。
【0032】
したがって、地震発生時以外にも、倉庫Cを利用する倉庫利用者は、手動で上記スイッチ23を操作することによって、照明器3を点灯させることができ、倉庫利用者は、照明器3の点灯下で普段の作業を行うことができ、倉庫利用者は快適に倉庫Cを利用することが可能である。また、手動によるスイッチ23の操作によって、照明器3が点灯させることができるので、昼間等の不必要なときには照明器3を消灯させておくことも可能であり、蓄電装置2の電力を無駄に消費してしまうことが防止され、この場合にも照明器3の長時間の点灯が確保される。
【0033】
また、換気扇6にあっても、筐体20に設けたスイッチ22を介して制御回路9中の出力回路に接続され、スイッチ22の開閉によって、換気扇6を駆動および停止することができるようになっていることから、倉庫利用者は、換気扇6の駆動下で作業を行うことができ、倉庫利用者は快適に倉庫Cを利用することが可能である。
【0034】
さらに、インバータ21は、蓄電装置2が上記出力回路を介して出力する直流電圧を100Vまで昇圧し交流電圧に変換してケーブル35を介してプラグソケット7に出力するようになっている。
【0035】
したがって、倉庫利用者は、災害時にあっても商用電源からしか電力供給を受けることができないテレビジョンや携帯電話の充電器といったような電気機器を使用することが可能となり、倉庫Cの利便性、実用性が向上することになる。
【0036】
そして、制御回路9における地震判定回路は、地震検知手段4が検出する加速度が基準値以下である場合には、地震検知手段4で加速度を検知しても出力回路から電力を出力させないようになっている。上記基準値は、具体的には、たとえば、倉庫Cを利用する事態を招く災害の発生が予定されるような所定規模の地震が発生した場合に生じる加速度とされており、この基準値の加速度を検知した場合に地震検知手段4が出力する電圧を基準として、地震検知手段4が出力する電圧が前記基準電圧を超える場合、地震判定回路は、出力回路から直流電流の電力を照明器3および誘導灯5に出力させるように設定されている。
【0037】
したがって、この倉庫用照明装置Lにあっては、商用電源から電力供給を受けられない場所に設置される倉庫に供されても、倉庫C内を照明器3で照らすことができるとともに、地震が発生した際には、この地震の発生を地震検知手段4で検知して誘導灯5を自動的に点灯することができ、これによって、夜間や付近が停電状態であっても倉庫利用者は、上記誘導灯5を頼りに倉庫Cに到達することができるので、倉庫Cの利便性および実用性を向上させることができる。
【0038】
また、上記したように、地震判定回路にて倉庫Cを利用する事態を招く所定規模の地震に対しては誘導灯5を点灯させるが、逆に、倉庫Cの利用が見込まれない小規模地震に対しては、誘導灯5の点灯を行わないので、蓄電装置2の電力を無駄に消費することはない。
【0039】
さらに、倉庫利用者は誘導灯5の誘導によって、倉庫Cに確実に到達することができるので、災害に対する対応が遅れてしまうような事態を防止することができる。
【0040】
また、倉庫Cのドア13の開閉作業を行う作業者は、誘導灯5の点灯によって手元が明るい状態で上記作業を行うことができるので、懐中電灯等の携帯型の照明器具を使用しなくとも、ハンドフリーで災害発生時に迅速にドア13の開閉を行うことができ、特に、災害備蓄用途に使用される倉庫Cの利便性および実用性を向上させることができる。
【0041】
なお、誘導灯5についても、点灯および消灯を行えるスイッチを設けて、該スイッチの手動操作によって、地震検知時以外にも、強制的に点灯および消灯させることができるようにしておいてもよい。
【0042】
そして、さらに、地震発生時に照明器3を点灯するようにしておく場合には、夜間にあっても、倉庫利用者が手探りで照明器3の点灯を行う煩わしさがなく、また、災害発生時には倉庫C内は照明器3の点灯によって明るいので倉庫利用者がわざわざ懐中電灯等の携帯型の照明器具の携行する必要も無いので、災害備蓄用途に使用される倉庫Cの利便性および実用性をより一層向上させることができる。
【0043】
また、さらに、蓄電装置2から供給される電力によって充電される蓄電池8bを有するとともに、蓄電装置2および蓄電池8bのいずれの電力供給によっても点灯可能な携帯照明器8を備える場合には、普段から蓄電装置2によって蓄電池8bを満充電状態に維持でき、災害発生時に使用する際に、点灯させる事ができないような事態が防止されるとともに、倉庫利用者は倉庫C外へ携帯照明器8を携行することができ、夜間や暗がりでの作業を円滑に行うことができ、また、倉庫C内において蓄電装置2が放電して電力供給を行えず照明器3の点灯を期待できない事態となっても、蓄電池8bからの電力供給によって光源8aを点灯することが可能であるので、倉庫C内外での長時間の点灯を確保することができる。
【0044】
なお、本実施の形態においては、照明器3や携帯照明器8の光源にLEDを採用しているので、この点でも、エジソン電球型ライトに比較して、消費電力が低く抑えられることになり、これによって、蓄電装置2の電力によって照明器3の長時間の点灯が可能となる。
【0045】
また、風や他の自然エネルギを利用することが可能である地域、場所に倉庫Cを設置する場合には、他の自然エネルギを利用可能な発電装置を採用することが可能であるが、自然エネルギを利用した発電装置を太陽電池1とする場合には、地域、場所を選ばずに安定的に発電することができるので、倉庫用照明装置Lの汎用性を向上できるという利点がある。
【0046】
以上で、本発明の実施の形態についての説明を終えるが、本発明の範囲は図示されまたは説明された詳細そのものには限定されないことは勿論であり、その技術的な思想の範囲において種々の変更が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】一実施の形態における倉庫用照明装置の構成図である。
【図2】一実施の形態における倉庫用照明装置を備えた倉庫の斜視図である。
【符号の説明】
【0048】
1 発電装置たる太陽電池
2 蓄電装置
3 照明器
4 地震検知手段
5 誘導灯
6 換気扇
7 プラグソケット
8 携帯照明器
9 制御回路
10 壁部材
11 屋根部材
12 床部材
13 ドア
15 取付部材
20 筐体
21 電圧変換手段たるインバータ
22,23 スイッチ
30,31,32,33,34,35 ケーブル
L 倉庫用照明装置
C 倉庫

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自然エネルギを利用して発電する発電装置と、発電装置が発生する電力を蓄える蓄電装置と、蓄電装置からの電力供給を受けて点灯する照明器とを備えた倉庫用照明装置において、地震を検知する地震検知手段と、誘導灯とを備え、地震検知時に誘導灯を点灯させることを特徴とする倉庫用照明装置。
【請求項2】
所定規模以上の地震検知時に誘導灯を点灯させることを特徴とする請求項1に記載の倉庫用照明装置。
【請求項3】
地震検知時に照明器を点灯させることを特徴とする請求項1または2に記載の倉庫用照明装置。
【請求項4】
倉庫を換気する換気扇を備えたことを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の倉庫用照明装置。
【請求項5】
蓄電装置の直流電圧を交流電圧に変換してプラグソケットへ電力を出力する電圧変換手段を備えたことを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の倉庫用照明装置。
【請求項6】
蓄電装置から供給される電力によって充電される蓄電池を有するとともに、蓄電装置および蓄電池のいずれの電力供給によっても点灯可能な携帯照明器を備えたことを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の倉庫用照明装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2007−141631(P2007−141631A)
【公開日】平成19年6月7日(2007.6.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−333505(P2005−333505)
【出願日】平成17年11月18日(2005.11.18)
【出願人】(000000929)カヤバ工業株式会社 (2,151)
【Fターム(参考)】