説明

個人認証システム

【課題】利用者への煩わしさを極力低くしつつ、精度良く個人認証を行う。
【解決手段】荷重情報生成部210は、計測部100から出力された荷重分布画像から、人物が歩行した時の足裏に加わる荷重の時間的推移を示す荷重情報を生成する。判定部220は、荷重情報生成部210により生成された認証対象人物の荷重情報と、モデル記憶部230に記憶されたニューロモデルとから、認証対象人物が特定人物であるか否かを判定する。モデル生成部240は、荷重情報生成部210により生成された特定人物の第1〜第3の荷重情報を学習用データとして用いてニューロモデルを生成し、このニューロモデルをモデル記憶部230に記憶する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、認証対象人物が特定人物であるか否かの判定を行う個人認証システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
バイオメトリクス認証の分野においては、従来から広く用いられている指紋及び網膜といった静的な情報ばかりでなく、動きを伴う筆跡や歩行などの動的な情報から人物を認証する研究も進められており、その中でも、歩行パターンによる認証は、物理的負担を軽減できる手法として注目されている。
【0003】
例えば、特許文献1では、歩いている利用者が所持する携帯機器が、歩行時に発生する水平方向の振動情報を加速度波形信号として検出し、この加速度波形信号を離れた場所にある解析機器に送信し、解析機器が、受信した加速度波形信号に基づいて加速度波形の自己相関関数を算出し、この自己相関関数を記憶手段に予め登録されている利用者毎の基準の自己相関関数と比較照合して、個人認証を行う個人認証装置が開示さている。
【特許文献1】特開2001−190527号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1の手法では、利用者は加速度センサを備える携帯電話を持つ必要があり、煩わしいという問題がある。
【0005】
本発明の目的は、利用者への煩わしさを極力低くしつつ、精度良く個人認証を行うことができる個人認証システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)本発明による個人認証システムは、認証対象人物が特定人物であるか否かの判定を行う個人認証システムであって、人物の足裏の荷重を計測する計測手段と、前記計測手段により計測された荷重から、人物が歩行した時の足裏に加わる荷重の時間的推移を示す荷重情報を生成する荷重情報生成手段と、前記特定人物の荷重情報に基づいて予め作成され、前記認証対象人物が前記特定人物であるか否かを判定する際に用いられる判定情報を記憶する記憶手段と、前記荷重情報生成手段により生成された前記認証対象人物の荷重情報と、前記記憶手段に記憶された判定情報とから、前記認証対象人物が前記特定人物であるか否かを判定する判定手段とを備えることを特徴とする。
【0007】
この構成によれば、人物が歩行した時の足裏に加わる荷重の時間的推移を示す荷重情報が生成され、この荷重情報と記憶手段に予め記憶された判定情報とから、認証対象人物が特定人物であるか否かが判定される。すなわち、ユーザは、歩行時に測定手段に足を載置するといった簡単な動作を行うだけで個人認証が行われるため、ユーザに煩わしさを与えることなく、個人認証を行うことができる。
【0008】
(2)前記荷重情報は、足裏を複数の領域に分けたときにおける各領域の荷重の時間的推移を示す領域毎の荷重情報を含むことが好ましい。
【0009】
この構成によれば、足裏を複数の領域に分けたときにおける各領域の荷重の時間的推移を示す情報をから、認証対象人物が特定人物であるか否かの判定が行われるため、判定精度を高めることができる。
【0010】
(3)前記領域毎の荷重情報は、左足の荷重情報と右足の荷重情報とを含むことが好ましい。
【0011】
この構成によれば、左足の荷重情報と右足の荷重情報とを区別して認証対象人物が特定人物であるか否かの判定が行われるため、判定精度をより高めることができる。
【0012】
(4)前記足裏の複数の領域は、かかと領域と、土踏まず領域と、つま先領域とを含むことが好ましい。
【0013】
この構成によれば、各人物固有の特徴が良く表れるかかと領域と、土踏まず領域と、つま先領域との荷重情報を用いて認証対象人物が特定人物であるか否かの判定が行われるため、判定制度をより高めることができる。
【0014】
(5)前記土踏まず領域は、第1の土踏まず領域と、前記第1の土踏まず領域とは異なる第2の土踏まず領域とを含むことが好ましい。
【0015】
この構成によれば、かかと領域と土踏まず領域とつま先領域のうち、特に各人物固有の特徴が良く現れる土踏まず領域を第1及び第2の土踏まず領域に分け、第1及び第2の土踏まず領域の荷重情報を用いて認証対象人物が特定人物であるか否かの判定が行われるため、判定制度をより高めることができる。
【0016】
(6)前記領域毎の荷重情報は、足裏を複数の領域に分けたときにおける各領域の所定の位置の荷重の時間的推移であることが好ましい。
【0017】
この構成によれば、足裏を複数の領域に分けたときにおける各領域の所定の位置の荷重の時間的推移が領域毎の荷重情報として算出されるため、算出処理の簡素化を図ることができる。
【0018】
(7)前記荷重情報生成手段により生成された前記特定人物の足裏の前記領域毎の荷重情報を学習用データとして用いてニューラルネットワークモデルを生成し、このニューラルネットワークモデルを前記判定情報とするモデル生成手段を更に備え、前記判定手段は、前記荷重情報生成手段により生成された前記認証対象人物の足裏の前記領域毎の荷重情報を前記ニューラルネットワークモデルに入力することで得られる出力値から、前記認証対象人物が前記特定人物であるか否かを判定することが好ましい。
【0019】
この構成によれば、計測手段により計測された特定人物の足裏の領域毎の荷重情報を学習用データとして用いてニューラルネットワークモデルが生成され、計測手段により計測された認証対象人物の足裏の領域毎の荷重情報を、生成されたニューラルネットワークモデルに入力することで得られる出力値から、認証対象人物が特定人物であるか否かが判定されているため、認証対象人物が特定人物であるか否かの判定を精度良く行うことができる。また、ニューラルネットワークモデルの学習回数を増大させることで、上記判定精度をより高めることが可能となる。
【0020】
(8)前記荷重情報生成手段により生成された前記特定人物の足裏の前記領域毎の荷重情報を用いて特定人物の基準荷重情報を生成し、この基準荷重情報を前記判定情報とする基準荷重情報生成手段を更に備え、前記判定手段は、前記荷重情報生成手段により生成された前記認証対象人物の足裏の前記領域毎の荷重情報と前記基準荷重情報とのユークリッド距離に基づいて、前記認証対象人物が前記特定人物であるか否かを判定することが好ましい。
【0021】
この構成によれば、特定人物の足裏の領域毎の荷重情報である基準荷重情報と、認証対象人物の足裏の領域毎の荷重情報とのユークリッド距離に基づいて、認証対象人物が特定人物であるか否かが判定されているため、処理コストの低下を図りつつ、精度の良い認証処理を実現することができる。
【0022】
(9)また、前記認証対象人物は複数存在し、前記荷重情報は、各認証対象人物の所定歩数分の荷重情報を含み、前記判定手段は、各歩の荷重情報と前記基準荷重情報とのユークリッド距離の合計値を前記認証対象人物毎に求め、前記合計値が最小となる認証対象人物を前記特定人物と判定することが好ましい。
【0023】
この構成によれば、特定人物であるか否かの判定を精度良く行うことができる。
【0024】
(10)また、前記認証対象人物は複数存在し、前記荷重情報は、各認証対象人物の所定歩数分の荷重情報を含み、前記判定手段は、各歩の荷重情報と前記基準荷重情報とのユークリッド距離を求め、1歩ごとに、どの認証対象人物が前記特定人物に該当するかを判定し、最も多く特定人物に該当すると判定した認証対象人物を前記特定人物と判定することが好ましい。
【0025】
この構成によれば、特定人物であるか否かの判定を精度良く行うことができる。
【0026】
(11)前記認証対象人物は複数存在し、前記荷重情報は、各認証対象人物の所定歩数分の荷重情報を含み、前記判定手段は、各歩の荷重情報と前記基準荷重情報とのユークリッド距離を求め、1歩ごとに、ユークリッド距離が小さい順に順位付けし、各認証対象人物の平均順位を求め、前記平均順位が最大となる認証対象人物を前記特定人物と判定することが好ましい。
【0027】
この構成によれば、特定人物であるか否かの判定を精度良く行うことができる。
【0028】
(12)前記荷重情報は、前記領域毎の荷重の時間的推移を示す波形の特徴を表す情報であることが好ましい。
【0029】
この構成によれば、領域毎の荷重の時間的推移を示す波形の特徴を表す情報が、荷重情報として採用されるため、認証対象人物が特定人物であるか否かの判定を精度良く行うことができる。
【0030】
(13)前記計測手段は、前記測定対象人物の足裏が載置される載置部を備え、
前記領域毎の荷重情報は、対応する領域の荷重の最大値と、対応する領域が所定の基準時刻から前記載置部に踏み込まれるまでの時間と、対応する領域の荷重が前記基準時刻から最大値になるまでの時間と、対応する領域が前記基準時刻から前記載置部より離れるまでの時間とを含むことが好ましい。
【0031】
この構成によれば、認証対象人物が特定人物であるか否かの判定を精度良く行うことができる。
【0032】
(14)前記計測手段は、前記測定対象人物の足裏が載置される載置部を備え、
前記領域毎の荷重情報は、対応する領域が前記載置部に踏み込み込まれている踏み込み期間内における最大の振幅値と、対応する領域が前記載置部から踏み抜かれている踏み抜き期間内における最大の振幅値と、前記踏み込み期間内において所定の基準時刻から最大の振幅値になるまでの時間と、前記踏み抜き期間内において前記基準時刻から最大の振幅値になるまでの時間とを含むことが好ましい。
【0033】
この構成によれば、認証対象人物が特定人物であるか否かの判定を精度良く行うことができる。
【0034】
(15)前記領域毎の荷重情報は、対応する領域の荷重の最大値と、所定の基準時刻から最大値になるまでの時間とを含むことが好ましい。
【0035】
この構成によれば、認証対象人物が特定人物であるか否かの判定を精度良く行うことができる。
【0036】
(16)前記計測手段は、人物の足裏が載置され、この足裏の荷重分布を測定する接触荷重分布センサから構成されることが好ましい。
【0037】
この構成によれば、計測手段が荷重分布センサにより構成されているため、荷重情報を精度良く算出することができる。
【0038】
(17)前記計測手段は、前記認証対象人物の足裏が載置され、内部の空圧が変化する複数のチューブと、各チューブの内部の圧力変化を測定する空圧センサとを備えることが好ましい。
【0039】
この構成によれば、複数のチューブと、各チューブの内部の圧力変化を測定する空圧センサといった簡便な構成で計測手段が構成されているため、低コスト化を図ることができる。
【0040】
(18)前記計測手段は、前記認証対象人物により着用される靴に取り付けられていることが好ましい。
【0041】
この構成によれば、計測手段が認証対象人物により着用される靴に取り付けられているため、複数歩の認証対象人物の荷重情報を容易に測定することができる。
【発明の効果】
【0042】
本発明によれば、ユーザは、測定手段に足を載置するといった簡単な動作を行うだけで個人認証が行われるため、ユーザに煩わしさを与えることなく、個人認証を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0043】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1による個人認証システムの全体構成図を示している。図1に示すように本個人認証システムは、接触荷重分布センサ10、計測制御装置21、及び演算装置22を備えている。接触荷重分布センサ10は、横方向にX個、縦方向にY個のマトリックス状に配列された複数の圧電素子から構成され、人物の足裏が載置される載置部11を備え、載置部11に載置された足裏の各位置の荷重を計測する。各圧電素子は、載置された足裏からの荷重を受け、受けた荷重の大きさに応じたレベルの電気信号を計測制御装置21に出力する。
【0044】
計測制御装置21は、各圧電素子から出力されるアナログの電気信号をデジタルの電気信号に変換し、このデジタルの電気信号を各圧電素子の位置に従ってX行×Y列にマトリックス状に配列し、載置部11に載置された足裏の荷重分布を示す荷重分布画像を生成し、演算装置22に出力する。ここで、計測制御装置21は、接触荷重分布センサ10により荷重が検出されてから荷重が検出されなくなるまで一定の時間間隔で荷重分布画像を生成し、複数枚の荷重分布画像を演算装置22に出力する。
【0045】
図2は、計測制御装置21により生成された荷重分布画像を示した図である。図2に示す荷重分布画像において、各画素は各圧電素子に対応し、輝度が明るくなるにつれて荷重が大きく、輝度が暗くなるにつれて荷重が小さいことを示している。図2においては、足裏中央の土踏まず領域は暗く、足裏後端のかかと領域及び土踏まず領域の前側のつま先領域が明るくなっているため、これらの領域に高い荷重が加わっていることが分かると共に、足裏のほぼ全面が載置部11に載置されていることが分かる。演算装置22は、一般的なパーソナルコンピュータから構成され、個人認証システムの全体を制御する。
【0046】
図3は、図1に示す個人認証システムのブロック図を示している。図3に示すように本個人認証システムは、計測部100及び制御部200を備えている。計測部100は、図1に示す接触荷重分布センサ10及び計測制御装置21から構成され、一定の時間間隔毎に荷重分布画像を生成し、制御部200に出力する。制御部200は、図1に示す演算装置22から構成され、荷重情報生成部210、判定部220、モデル記憶部230、及びモデル生成部240の機能を備えている。これらの機能は、演算装置22が、ハードディスクに記憶され、コンピュータを制御部200として機能させるための制御プログラムを実行することで実現される。
【0047】
荷重情報生成部210は、計測部100から出力された荷重分布画像から、人物が歩行した時の足裏に加わる荷重の時間的推移を示す荷重情報を生成する。ここで、荷重情報には、つま先領域における荷重の時間的推移を示す第1の荷重情報と、土踏まず領域における荷重の時間的推移を示す第2の荷重情報と、かかと領域における荷重の時間的推移を示す第3の荷重情報とが含まれる。ここで、第1の荷重情報は、かかと領域の荷重の時間的推移を示す波形の特徴を表す情報であり、第2の荷重情報は、土踏まず領域の荷重の時間的推移を示す波形の特徴を表す情報であり、第3の荷重情報は、つま先領域の荷重の時間的推移を示す波形の特徴を表す情報である。
【0048】
具体的には、荷重情報生成部210は、以下のようにして第1〜第3の荷重情報を生成する。まず、荷重情報生成部210は、計測部100から一定の時間間隔で出力された各荷重分布画像において、輝度を256階調(8ビット)に分割したモノクロ画像として設定し、荷重がかかっている部分は白(255)に近くなり、荷重がかかってない部分は黒(0)にした各荷重分布画像を重畳することで各荷重分布画像を1枚の合成荷重分布画像に合成する。
【0049】
次に、荷重情報生成部210は、この合成荷重分布画像において荷重がかかっている部分の画素を足裏を示す足裏領域として抽出し、この足裏領域に外接矩形を設定すると共に、足裏領域の形状から外接矩形の長手方向においてつま先の方向を判定し、この外接矩形の長手方向の一辺をつま先の方向から順に、予め定められた比率で3分割することで足裏領域をつま先領域、土踏まず領域及びかかと領域の3つの領域に分割する。
【0050】
図4は、荷重情報生成部210が生成する合成荷重分布画像を示した図である。なお、図4に示す荷重分布画像は、足裏領域に設定した外接矩形の部分のみを示している。荷重情報生成部210は、合成荷重分布画像に外接矩形SQ1を設定すると共に、足裏領域の形状が左側に向かうにつれて面積が大きくなっているため、外接矩形SQ1の長手方向の
一辺である辺H1の左側がつま先側であると判定し、辺H1を左側から順に「1/2」:「1/4」:「1/4」の比率で3分割することで、外接矩形を左、中、右の3つの矩形領域SQ11〜SQ13に分割し、矩形領域SQ11内に含まれる足裏領域をつま先領域D11とし、矩形領域SQ12に含まれる足裏領域を土踏まず領域D12とし、矩形領域SQ13に含まれる足裏領域をかかと領域D13として足裏領域を3分割する。
【0051】
次に、荷重情報生成部210は、計測部100から一定の時間間隔毎に出力された荷重分布画像毎に、かかと領域D13に属する各画素の階調値の総和を求め、この総和を時系列順で並べ、かかと領域D13の荷重の時間的推移を求める。次に、荷重情報生成部210は、この時間的推移を用いて、かかと領域D13の荷重の最大値Aと、かかと領域D13が載置部11に踏み込まれた時刻(基準時刻T0)から、かかと領域D13の荷重が最大値Aとなるまでの時間T1と、基準時刻T0からかかと領域D13が載置部11から離れるまでの時間T2とを特定し、これら最大値A、時間T1,T2を第1の荷重情報として生成する。
【0052】
次に、荷重情報生成部210は、計測部100から一定の時間間隔毎に出力された荷重分布画像毎に、土踏まず領域D12に属する各画素の階調値の総和を求め、この総和を時系列順で並べ、土踏まず領域D12の荷重の時間的推移を求める。次に、荷重情報生成部210は、この時間的推移を用いて、土踏まず領域D12の荷重の最大値Bと、基準時刻T0から土踏まず領域D12が載置部11に踏み込まれるまでの時間T3と、基準時刻T0から土踏まず領域D12の荷重が最大値Bとなるまでの時間T4と、基準時刻T0から土踏まず領域D12が載置部11から離れるまでの時間T5とを特定し、これら最大値B、時間T3〜T5を第2の荷重情報として生成する。
【0053】
次に、荷重情報生成部210は、計測部100から一定の時間間隔毎に出力された荷重分布画像毎に、つま先領域D11に属する各画素の階調値の総和を求め、この総和を時系列順で並べ、つま先領域D11の荷重の時間的推移を求める。次に、荷重情報生成部210は、この時間的推移を用いて、つま先領域D11の荷重の最大値Cを特定し、基準時刻T0からつま先領域D11が載置部11に踏み込まれるまでの時間T6と、基準時刻T0からつま先領域D11の荷重が最大値Cとなるまでの時間T7と、基準時刻T0からつま先領域D11が載置部11から離れるまでの時間T8とを特定し、これら最大値C、時間T6〜T8を第3の荷重情報として生成する。
【0054】
図5は、第1〜第3の荷重情報を示したグラフであり、(a)は第1の荷重情報を示し、(b)は第2の荷重情報を示し、(c)は第3の荷重情報を示している。図5(a)〜(c)において、縦軸は階調値の総和を示し、横軸は時間(秒)を示している。図5(a)〜(c)に示すように、いずれの領域も山状に階調値の総和が変化しており、最大値に関しては、つま先領域D11が最も大きく、次に、かかと領域D13が大きく、土踏まず領域D12が最も小さいことが分かる。また、立ち上がりに関しては、かかと領域D13が最も早く立ち上がっており、つま先領域D11及び土踏まず領域D12はほぼ同時に立ち上がっているっていることが分かる。また、立ち下がりに関しては、かかと領域D13が最も早く、次に、土踏まず領域D12が早く、つま先領域D11が最も遅いことが分かる。
【0055】
なお、つま先領域D11が載置部11に踏み込まれる基準時刻T0、土踏まず領域D12が載置部11に踏み込まれる時刻、及びかかと領域D13が載置部11に踏み込まれる時刻は、それぞれ階調値の総和が最大値A〜Cの5%まで上昇したときの時刻が好ましい。また、つま先領域D11が載置部11から離れる時刻、土踏まず領域D12が載置部11から離れる時刻、及びかかと領域D13が載置部11から離れる時刻は、それぞれ階調値の総和が最大値A〜Cの5%まで下降したときの時刻が好ましい。
【0056】
図3に戻り、判定部220は、荷重情報生成部210により生成された認証対象人物の荷重情報と、モデル記憶部230に記憶された判定情報とから、認証対象人物が特定人物であるか否かを判定する。すなわち、判定部220は、荷重情報生成部210により生成された認証対象人物の第1〜第3の荷重情報が0〜1の範囲内に収まるように正規化し、モデル記憶部230に記憶されたニューラルネットワークモデル(以下、「ニューロモデル」と称する。)に入力することで得られる出力値から、認証対象人物が特定人物であるか否かを判定する。
【0057】
図6は、本個人認証システムで採用されるニューロモデルを示した図である。図6に示すように、このニューロモデルは、入力層L1、中間層L2、及び出力層L3から構成されている。入力層L1は、ノードN101、N102,・・・,N110,N111からなる11個のノードを備えている。ノードN101〜N111には、最大値A〜C、時間T1〜T8が入力される。すなわち、入力層L1には11個のデータが入力される。
【0058】
中間層L2は、ノードN201,N202,・・・,N214,N215からなる15個のノードを備えている。中間層L2の各ノードは、入力層L1の各ノードとネットneを介して接続されている。出力層L3は、ノードN31,N32,・・・,N35からなる5個のノードを備えている。本ニューロモデルは、認証対象人物が5人の特定人物P1〜P5のうちいずれの人物に該当するかを判定するためのモデルであるため、出力層L3の各ノードは、5人の特定人物P1〜P5に対応している。出力層L3の各ノードは中間層L2の各ノードとネットneを介して接続されている。
【0059】
図7は、本ニューロモデルを構成する各ノードの機能の説明図である。図7に示すノードNは、図6に示すノードのうち中間層L2又は出力層L3に属するある1つのノードを示している。X1〜Xnのn個の入力値はそれぞれn個のネットneの係数w1〜wnと乗じられてノードNに入力され、ノードNはu=X1・w1+X2・w2+・・・+Xn・wnを求め、求めたuを予め定められたバイアス値と比較し、u≧バイアス値の場合は、uを式(1)に示すシグモイド関数に入力し、得られた値を出力値として、ネットneで連結されたノードNに出力する。一方、ノードNは、u<バイアス値の場合、連結されたノードNに出力値を出力しない。
【0060】
f(u)=1/(1+exp(−u))・・・(1)
なお、入力層L1に属する各ノードNは、1つの入力値が入力され、この入力値を式(1)のuに代入することで出力値を算出し、連結された中間層L2の各ノードに出力する。
【0061】
そして、判定部220は、入力層L1に認証対象人物の11個のデータからなる荷重情報が入力されると、出力層L3の各ノードから出力値を出力し、ノードN31の出力値が、他のノードN32〜N35から出力される出力値の最大値に比べて一定の値以上大きい場合は、特定人物P1の足裏が載置部11に載置されたと判定し、ノードN32の出力値が他のノードN31,N33〜N35から出力される出力値の最大値に比べて一定の値以上大きい場合は、特定人物P2の足裏が載置部11に載置されたと判定するというようにして、載置部11に足裏を載置した認証対象人物が特定人物であるか否かを判定する。
【0062】
すなわち、判定部220は、出力層L3を構成するノードN31〜N35の最大の出力値と2番目に大きな出力値との差が一定の値以上である場合、最大の出力値を出力したノードに対応付けられた特定人物が認証対象人物であると判定し、出力層L3を構成するノードN31〜N35の最大の出力値と2番目に大きな出力値との差が一定の値未満である場合、認証対象人物は、特定人物P1〜P5のいずれにも該当しないと判定する。
【0063】
モデル生成部240は、荷重情報生成部210により生成された特定人物P1〜P5の第1〜第3の荷重情報を学習用データとして用いてニューロモデルを生成し、このニューロモデルを判定情報としてモデル記憶部230に記憶する。
【0064】
ここで、モデル生成部240は、計測部100に特定人物P1〜P5の足裏の荷重の測定を例えば5回実行させ、荷重情報生成部210に特定人物P1〜P5の各々の5回分の荷重情報を生成させ、この荷重情報を学習用データとして初期ニューロモデルに入力し、出力層L3の各ノードから出力される出力値が教師データに近づくように初期ニューロモデルの各係数を修正し、ニューロモデルを生成する。
【0065】
なお、初期ニューロモデルは、図6に示すニューロモデルと同一構成であって、係数に所定のデフォルト値が設定されたモデルである。教師データは、5ビットの2進数からなるデータであり、特定人物P1の教師データは「1,0,0,0,0」で表され、特定人物P2の教師データは「0,1,0,0,0」で表され、特定人物P3の教師データは「0,0,1,0,0」で表され、特定人物P4の教師データは「0,0,0,1,0」で表され、特定人物P5の教師データは「0,0,0,0,1」で表される。
【0066】
すなわち、モデル生成部240は、特定人物P1の荷重情報がニューロモデルに入力された場合は、ノードN31〜N35から「1,0,0,0,0」が出力されるようにニューロモデルの係数を修正し、特定人物P2の荷重情報がニューロモデルに入力された場合は、ノードN31〜N35から「0,1,0,0,0」が出力されるようにニューロモデルの係数を修正し、特定人物P3の荷重情報がニューロモデルに入力された場合は、ノードN31〜N35から「0,0,1,0,0」が出力されるようにニューロモデルの係数を修正し、特定人物P4の荷重情報がニューロモデルに入力された場合は、ノードN31〜N35から「0,0,0,1,0」が出力されるようにニューロモデルの係数を修正し、特定人物P5の荷重情報がニューロモデルに入力された場合は、ノードN31〜N35から「0,0,0,0,1」が出力されるようにニューロモデルの係数を修正する。モデル記憶部230は、不揮発性の記憶装置から構成され、モデル生成部240で生成されたニューロモデルを記憶する。
【0067】
次に、本個人認証システムの動作について説明する。図8は、本個人認証システムの動作を示すフローチャートである。まず、ステップS1において、荷重情報生成部210は、載置部11に認証対象人部の足裏が載置され、計測部100により荷重分布画像が生成されると(ステップS1でYES)、つま先領域D11における荷重の時間的推移を示す第1の荷重情報と、土踏まず領域D12における荷重の時間的推移を示す第2の荷重情報と、かかと領域D13における荷重の時間的推移を示す第3の荷重情報とからなる荷重情報を生成する(ステップS2)。一方、荷重情報生成部210は、載置部11に認証対象人部の足裏が載置されない場合(ステップS1でNO)、処理をステップS1に戻す。
【0068】
ステップS3において、判定部220は、モデル記憶部230からニューロモデルを読み出し、このニューロモデルにステップS2で生成された第1〜第3の荷重情報を入力する。ここで、判定部220は、図6に示すノードN101〜N111に、最大値A〜C、時間T1〜T8を0〜1の範囲で正規化した値を入力する。
【0069】
ステップS4において、判定部220は、ノードN31〜N35の出力値を算出し、出力層L3を構成するノードN31〜N35の最大の出力値と2番目に大きな出力値との差が一定の値以上である場合、最大の出力値を出力したノードに対応付けられた特定人物が認証対象人物であると判定し、出力層L3を構成するノードN31〜N35の最大の出力値と2番目に大きな出力値との差が一定の値未満である場合、認証対象人物は、特定人物
P1〜P5のいずれにも該当しないと判定する。
【0070】
次に、モデル生成部240によるニューロモデルの生成処理について説明する。図9は、ニューロモデルの生成処理を示すフローチャートである。まず、ステップS11において、モデル生成部240は、計測部100に特定人物P1〜P5の各々の足裏の荷重の時間的推移を5回測定させる。次に、モデル生成部240は、各特定人物の1回毎の足裏の荷重の時間的推移から5個の荷重情報を学習用データとして生成する(ステップS12)。ここで、特定人物P1の5個の学習用データをE11〜E15(E11〜E15は各々第1〜第3の荷重情報、すなわち11個のデータを含む)、特定人物P2の5個の学習用データをE21〜E25、特定人物P3の5個の学習用データをE31〜E35、特定人物P4の5個の学習用データをE41〜E45、特定人物P5の5個の学習用データをE51〜E55とする。
【0071】
次に、モデル生成部240は、特定人物P1〜P5のうち処理対象となる特定人物である注目特定人物を示すカウント値kに0を代入し、カウント値kを初期化する(ステップS13)。次に、モデル生成部240は、特定人物P1〜P5のうち一人の特定人物を注目特定人物として特定する(ステップS14)。ここで、モデル生成部240は、例えば特定人物P1〜P5の順で注目特定人物を特定する。次に、モデル生成部240は、注目学習用データを示すカウント値tに0を代入し、カウント値tを初期化する(ステップS15)。次に、モデル生成部240は、注目特定人物の5個の学習用データのうち処理対象となる学習用データである注目学習用データを特定する(ステップS16)。ここで、モデル生成部240は、例えば学習用データE11〜E15、学習用データE21〜E25、学習用データE31〜E35、学習用データE41〜E45、学習用データE51〜E55の順で注目学習用データを特定する。
【0072】
次に、モデル生成部240は、ニューロモデルに注目特定人物の注目学習用データを入力する(ステップS17)。
【0073】
次に、モデル生成部240は、ニューロモデルの係数の修正回数を示すカウント値sに0を代入し、カウント値sを初期化する(ステップS18)。次に、モデル生成部240は、注目特定人物のノードN31〜N35からの出力値が、注目特定人物に対して定められた教師データとなるように、ニューロモデルの係数を修正する(ステップS19)。
【0074】
ここで、ニューロモデルの係数の修正処理について説明する。図10は、ニューロモデルの係数の修正処理の説明図である。以下の説明では、特定人物P1が注目特定人物である場合を例に挙げている。まず、モデル生成部240は、学習用データE11をノードN101〜N111に入力すると、ノードN201は、u=A・w1,1+B・w2,1+C・w3,1+T1・w4,1+T2・w5,1+T3・w6,1+T4・w7,1+T5・w8,1+T6・w9,1+T7・w10,1+T8・w11,1を算出し、中間層L2のノードN201に入力する。但し、A〜C、T1〜T8は特定人物P1の学習用データE11に含まれる11個のデータを示し、係数w1,1、w2,1、・・・、w11,1は、入力層L1のノードN101〜N111と、中間層L2のノードN201とを繋ぐネットne1〜ne11の係数を示している。
【0075】
ノードN201は、uがバイアス値θより大きい場合は、uを式(1)に示すシグモイド関数に入力して出力値f0を算出し、この出力値f0を出力層L3の各ノードに出力する。中間層L2の他の各ノード及び出力層L3を構成する各ノードもノードN201と同様にして出力値を算出する。
【0076】
次に、モデル生成部240は、式(2)を用いて、ノードN31〜N35からの出力値
と教師データとの自乗誤差Eを算出する。
【0077】
E=(1/2)・Σ=1(tk−Ok)・・・(2)
例えば、ノードN31〜N35の出力値O1〜O5が(0.45,0.623,0.406,0.245,0.244)であったとすると、この例では注目特定人物が特定人物P1であるため、教師データはt=(1,0,0,0,0)であり、自乗誤差Eは、E=(1/2)・((0.45−1)+(0.623−0)+(0.406−0)+(0.245−0)+(0.244−0))=0.485となる。
【0078】
そして、モデル生成部240は、自乗誤差Eが0に近づくように、すなわち、ノードN31〜N35の出力値O1〜O5が(1,0,0,0,0)となるように、式(3),(4)を用いて、各ネットneの係数を修正する。
【0079】
Δw(t)=−η・∂E/∂w(t)+aΔw(t−1)・・・(3)
w(t+1)=w(t)+Δw(t)・・・(4)
但し、wは注目する注目ネットの係数を示し、ηは予め定められた学習定数であり、aは予め定められた慣性項係数であり、w(t)は注目ネットの現在の係数を示し、w(t−1)は注目ネットの前回の係数を示し、w(t+1)は注目ネットの修正後の係数を示す。
【0080】
また、式(3)に示す∂E/∂w(t)は式(5),(6)で示される。
【0081】
∂E/∂wj,k(t)=(O−t)・O・(1−O)・O・・・(5)
∂E/∂wi,j(t)=O・(1−O)・O・Σwj,k・(O−t)・Ok・(1−O)・・・(6)
但し、式(5)に示すwj,kは注目ネットが中間層L2と出力層L3とを繋ぐネットである場合の注目ネットの係数を示し、式(6)に示すwi,jは注目ネットが入力層L1と中間層L2とを繋ぐネットである場合の注目ネットの係数を示している。また、Ok(k=1〜5)はノードN31〜N35の出力値を示し、O(j=1〜15)はノードN201〜N215の出力値を示し、O(i=1〜11)はノードN101〜N111の出力値を示す。
【0082】
図9に戻り、モデル生成部240は、カウント値sに1を加算し(ステップS20)、カウント値sがs=9500となった場合(ステップS21でYES)、処理をステップS22に進め、カウント値sが9500未満である場合(ステップS20でNO)、処理をステップS19に戻す。すなわち、モデル生成部240は、注目特定人物の注目学習用データを用いてステップS19に示す係数の修正処理を9500回繰り返し実行し、ニューロモデルを注目学習用データにより学習させる。なお、9500回は一例であり、他の数値を採用してもよい。
【0083】
ステップS22において、モデル生成部240は、次の学習用データが注目学習用データであることを示すためにカウント値tに1を加算する。次に、ステップS23において、モデル生成部240は、カウント値tがt=5となった場合(ステップS23でYES)、すなわち、注目特定人物の学習用データの全てを注目学習用データとして特定した場合、処理をステップS24に進め、注目特定人物において注目学習用データとして特定していない学習用データが存在する場合(ステップS23でNO)、処理をステップS16に戻す。
【0084】
次に、モデル生成部240は、次の特定人物が注目特定人物であることを示すために、カウント値kに1を加算し(ステップS24)、カウント値kがk=5になった場合(ス
テップS25でYES)、すなわち、特定人物P1〜P5の全てを注目特定人物として特定した場合、処理を終了し、カウント値kが5未満である場合(ステップS25でNO)、すなわち、特定人物P1〜P5のうち注目特定人物として特定していない特定人物が存在する場合、処理をステップS14に戻す。以上により学習用データをニューロモデルに学習させ、ニューロモデルが生成される。
【0085】
このように、本個人認証システムによれば、人物が歩行した時の足裏に加わる荷重の時間的推移を示す荷重情報が生成され、この荷重情報とモデル記憶部230に判定情報として予め記憶されたニューロモデルとから、認証対象人物が特定人物であるか否かが判定される。すなわち、ユーザは、歩行時に載置部11に足を載置するといった簡単な動作を行うだけで個人認証が行われるため、ユーザに煩わしさを与えることなく、個人認証を行うことができる。
【0086】
また、各人物固有の特徴が良く表れるつま先領域D11の荷重情報である第1の荷重情報と、土踏まず領域D12の荷重情報である第2の荷重情報と、かかと領域D13の荷重情報である第3の荷重情報とを用いて個人認証が行われるため、認証対象人物が特定人物であるか否かの判定を精度良く行うことができる。
【0087】
また、特定人物P1〜P5の第1〜第3の荷重情報をニューロモデルに入力することで得られる出力値から、認証対象人物が特定人物であるか否かが判定されているため、認証対象人物が特定人物であるか否かの判定を精度良く行うことができる。また、ニューラルネットワークモデルの学習回数を増大させることで、上記判定精度をより高めることが可能となる。
【0088】
なお、上記実施の形態では、特定人物の人数を5人としたがこれに限定されず、6人以上、又は1〜4人としてもよい。この場合、特定人物の人数が1人の場合は出力層L3のノードの個数を1個、特定人物の人数が2人である場合は、出力層L3のノードの個数を2個とするようにして、特定人物の人数に応じてニューロモデルの出力層L3ノードの数を変更すればよい。また、上記実施の形態では、荷重情報を11個のデータにより構成したがこれに限定されず、10個以下のデータ或いは12個以上のデータにより構成してもよい。この場合、荷重情報を構成するデータの個数に応じて入力層L1のノードの個数を変更すればよい。
【0089】
(実施の形態2)
次に、本発明の実施の形態2による個人認証システムについて説明する。本個人認証システムは、計測部100aを接触荷重分布センサに代えて、以下に示す荷重測定装置により構成したことを特徴とする。なお、本実施の形態において、ブロック図及びフローチャートは実施の形態1のものと同様であるため、実施の形態1のものを用いて説明する。また、図3に示す括弧の符号は実施の形態2のものを示している。
【0090】
図11は、実施の形態2による個人認証システムの全体構成図を示している。図11に示すように本個人認証システムは、荷重測定装置10a、計測制御装置21a及び演算装置22を備えている。図12は荷重測定装置10aの外観斜視図である。荷重測定装置10aは、3個の空圧センサ111〜113、3本のチューブTU1〜TU3、2本のスペーサ114,115、及びマット116(載置部)を備えている。
【0091】
チューブTU1〜TU3は、マット116に載置される足裏の荷重に応じて内部の空圧が変化する円筒状のビニールチューブから構成され、マット116の上面と下面との間において、前方から順番に、チューブTU1,TU2,TU3の順で長手方向が平行になるように所定間隔を設けて配列されている。チューブTU1は、つま先領域D11が載置され、チューブTU2は土踏まず領域D12が載置され、チューブTU3はかかと領域D13が載置される。スペーサ114は、円筒状の部材から構成され、マット116の上面と下面との間において、長手方向がチューブTU1〜TU3の長手方向と平行になるようにチューブTU1の前方に配列されている。スペーサ115は、円筒状の部材から構成され、マット116の上面と下面との間において、長手方向がチューブTU1〜TU3の長手方向と平行になるようにチューブTU3の後方に配列されている。マット116は、平板状のシートから構成され、スペーサ114及び115間に巻回されている。
【0092】
マット116の上面には、ユーザに足裏の載置位置を報知するための足裏を模したマークM1が描かれている。ここで、マークM1は、つま先領域D11のほぼ中央部がチューブTU1に位置し、土踏まず領域D12のほぼ中央部がチューブTU2に位置し、かかと領域D13のほぼ中央部がチューブTU3に位置するように描かれている。これにより、ユーザがマークM1の位置に合うようにマット116に足裏を載置すると、チューブTU3にかかと領域D13の荷重が加わり、チューブTU2に土踏まず領域D12の荷重が加わり、チューブTU1につま先領域D11の荷重が加わるようになる。
【0093】
空圧センサ111は、チューブTU1の端部と接続され、チューブTU1内部の圧力変化を検出し、空圧センサ112は、チューブTU2の端部と接続され、チューブTU2内部の圧力変化を検出し、空圧センサ113は、チューブTU3の端部と接続され、チューブTU3内部の圧力変化を検出し、検出した圧力変化の大きさに応じたレベルの電気信号を演算装置22に出力する。なお、空圧センサ111〜113としては、(株)富士セラミックス社製のFKS−111を採用することができる。また、図11に示すように、スペーサ114とスペーサ115との間隔LAは300mmが好ましく、チューブTU1とチューブTU2との間隔LA1は80mmが好ましく、チューブTU2とチューブTU3との間隔LA2は80mmが好ましい。図13は、空圧センサ111〜113のうちの1つの空圧センサの等価回路を示している。図13に示すように空圧センサは、一端がアンプAE1のゲートに接続され、他端がグラウンド端子に接続され、チューブ内部の圧力変化の大きさに応じたレベルの電気信号を出力する圧電素子PE1と、圧電素子PE1に並列接続された抵抗Rgと、電界効果型トランジスタから構成され、ソースが電源端子に接続されて電圧VDDが供給され、ドレインが抵抗Rsを介して出力端子に接続されたアンプAE1と、抵抗Rsとを備える等価回路によって表すことができる。すなわち、チューブ内部の圧力変化は圧電素子PE1により電気信号に変換され、アンプAE1で増幅され、出力端子から出力される。
【0094】
計測制御装置21aは、空圧センサ111〜113によりチューブTU1〜TU3の圧力変化が検出されてから圧力変化が検出されなくなるまでの時間内において、一定の時間間隔で、チューブTU1〜TU3の各々の圧力変化の計測データを演算装置22に出力する。
【0095】
図3に示す計測部100aは、図11に示す荷重測定装置10a及び計測制御装置21aから構成され、計測データを一定の時間間隔で制御部200に出力する。荷重情報生成部210aは、計測部100aから出力された計測データから、人物が歩行した時の足裏に加わる荷重の時間的推移を示す荷重情報を生成する。本実施の形態では、荷重情報は、かかと領域D13の荷重情報である第1の荷重情報と、土踏まず領域D12の荷重情報である第2の荷重情報と、つま先領域D11の荷重情報である第3の荷重情報とを含み、第1の荷重情報は、かかと領域D13の荷重の時間的推移を示す波形の特徴を表す情報であり、第2の荷重情報は、土踏まず領域D12の荷重の時間的推移を示す波形の特徴を表す情報であり、第3の荷重情報は、つま先領域D11の荷重の時間的推移を示す波形の特徴を表す情報である。
【0096】
図14は、計測部100aから出力された計測データを示したグラフであり、(a)はかかと領域D13を示し、(b)は土踏まず領域D12を示し、(c)はつま先領域D11を示している。図14(a)〜(c)に示すグラフにおいて、縦軸は計測データのレベル(電圧)を示し、横軸は時間(秒)を示している。また、図15は、図14(a)〜(c)に示すグラフを重ね合わせて表示したグラフであり、縦軸は計測データのレベル(電圧)を示し、横軸は時間(秒)を示している。以下、図14及び図15を用いて第1〜第3の荷重情報について説明する。
【0097】
第1の荷重情報は、かかと領域D13がマット116に踏み込み込まれている踏み込み期間TM1内における最大の振幅値A1´と、かかと領域D13がマット116から踏み抜かれている踏み抜き期間TM2内における最大の振幅値A2´と、踏み込み期間TM1内において最大の振幅値A1´を示す時刻である基準時刻T0´から、踏み抜き期間TM2内において最大の振幅値A2´になるまでの時間T3´とを含む。
【0098】
第2の荷重情報は、土踏まず領域D12の踏み込み期間TM3内における最大の振幅値B1´と、土踏まず領域D12の踏み抜き期間TM4内における最大の振幅値B2´と、基準時刻T0´から、土踏まず領域D12の踏み込み期間TM3内において最大の振幅値B1´になるまでの時間T1´と、基準時刻T0´から、土踏まず領域D12の踏み抜き期間TM4内において最大の振幅値B2´になるまでの時間T4´とを含む。
【0099】
第3の荷重情報は、つま先領域D11の踏み込み期間TM5内における最大の振幅値C1´と、つま先領域D11の踏み抜き期間TM6内における最大の振幅値C2´と、基準時刻T0´から、踏み込み期間TM5内において最大の振幅値C1´になるまでの時間T2´と、基準時刻T0´から、つま先領域D11の踏み抜き期間TM6内において最大の振幅値C2´になるまでの時間T5´とを含む。
【0100】
具体的には、荷重情報生成部210は以下のようにして、第1〜第3の荷重情報を生成する。まず、荷重情報生成部210は、かかと領域D13において、踏み込みが開始された時の計測データのレベルを基準電圧Arefとして特定し、計測データのレベルの最大値と基準電圧Arefとの差分を、振幅値A1´として特定し、計測データのレベルの最小値と基準電圧Arefとの差分の絶対値を振幅値A2´として特定する。また、荷重情報生成部210は、振幅値A1´の時刻を基準時刻T0´として特定し、基準時刻T0´から振幅値A2´までの時間T3´を特定する。これら、振幅値A1´,A2´、時間T3´が第1の荷重情報となる。
【0101】
次に、荷重情報生成部210は、土踏まず領域D12において、計測データのレベルの最大値と基準電圧Arefとの差分を、振幅値B1´として特定し、計測データのレベルの最小値と基準電圧Arefとの差分の絶対値を、振幅値B2´として特定する。また、荷重情報生成部210は、基準時刻T0´から振幅値B1´までの時間T1´と、基準時刻T0´から振幅値B2´までの時間T4´とを特定する。これら、振幅値B1´,B2´、時間T1´,T4´が第2の荷重情報となる。
【0102】
次に、荷重情報生成部210は、つま先領域D11において、計測データのレベルの最大値と基準電圧Arefとの差分を、振幅値C1´として特定し、計測データのレベルの最小値と基準電圧Arefとの差分の絶対値を、振幅値C2´として特定する。また、荷重情報生成部210は、基準時刻T0´から振幅値C1´までの時間T2´と、基準時刻T0´から振幅値C2´までの時間T5´とを特定する。これら、振幅値C1´,C2´、時間T2´,T5´が第3の荷重情報となる。
【0103】
図3に戻り、判定部220aは荷重情報生成部210aにより生成された第1〜第3の
荷重情報の各データが0から1までの範囲内に収まるように、第1〜第3の荷重情報を正規化し、ニューロモデルに入力することで得られる出力値から、認証対象人物が特定人物であるか否かを判定する。なお、本実施の形態においては、図6に示すニューロモデルにおいて、入力層L1のノードN101〜N111には、正規化された振幅値A1´,A2´,B1´,B2´,C1´,C2´、及び正規化された時間T1´,T2´,T3´,T4´,T5´が入力される。
【0104】
次に、実施の形態2による個人認証システムについて行った実験について説明する。荷重情報生成部210は、計測部100aに特定人物P1〜P5の足裏の測定を10回実行させ、荷重情報生成部210に特定人物P1〜P5の各々の10回分の荷重情報を生成させ、10回分の荷重情報のうち5回分の荷重情報を学習用データとして用いて、ニューロモデルを生成し、残り5回分の荷重情報を生成したニューロモデルに入力し、特定人物P1〜P5の認識を行った。
【0105】
図16は、学習用データとして用いられた特定人物P1〜P5の各々の5回分の荷重情報を示した表である。この表に示された学習用データとして用いられる11×25=275個の各データは、0〜1の範囲内に収まるように正規化されている。
【0106】
図9に示すフローチャートに従って、図16に示す学習用データをニューロモデルに学習させると、図17の表に示す結果が得られた。図17は、特定人物P1において、図16に示す1行目の11個のデータを学習用データとしてニューロモデルに入力したときの、ニューロモデルの各係数の修正回数と、ノードN31〜N35の出力値O1〜O5との関係を示した表である。修正回数が0回の場合は、出力値O1〜O5は(0.502,0.4190,0.7965,0.4965,0.2634)であり、出力値O1と出力値O2〜O5との差に大差はないが、修正回数を500回、1000回と増やすにつれて、出力値O1と出力値O2〜O5との差が顕著になり、修正回数が9500回まで増大されると、出力値O1〜O5は(0.9980,0.0000,0.0030,0.0037,0.0000)となり、出力値O1はほぼ「1」、出力値O2〜O5はほぼ「0」となり、出力値O1〜O5が特定人物P1の教師データ(1,0,0,0,0)に近づいていることが分かる。そして、モデル生成部240は、このような処理を図16に示す2行目以降の各データに対して実行し、ニューロモデルを生成した。
【0107】
次に、判定部220aは、図8に示すフローチャートに準じて、ニューロモデルの生成に用いられた荷重情報以外の残り5回分の荷重情報を、モデル生成部240により生成されたニューロモデルに入力した。図18は、ニューロモデルに入力された5回分の荷重情報のうち、特定人物P1〜P5の1回分の荷重情報を示した表である。そして、図18の表に示す特定人物P1〜P5の荷重情報を順次ニューロモデルに入力すると、図19の表に示す結果が得られた。図19は、図18の表に示す荷重情報をニューロモデルに入力したときの特定人物P1〜P5毎の出力値O1〜O5を示した表である。図18の表の1行目に示す特定人物P1の荷重情報をニューロモデルに入力すると、図19の表の1行目に示すように出力値O1〜O5=(0.997,0.0000,0.0000,0.0301,0.0000)が得られ、出力値O1がほぼ「1」、出力値O2〜O5がほぼ「0」となり、特定人物P1を特定することが可能であることが分かる。図19の表の2〜5行目に示す出力値も、特定人物に対応するノードの出力値がほぼ「1」、残り4個のノードの出力値がほぼ「0」となり、特定人物P2〜P5を特定することが可能であることが分かる。
【0108】
図20は、学習用データとして用いられた荷重情報以外の残り5回分の荷重情報をニューロモデルに入力したときの、判定部220aが特定人物P1〜P5を認識することができたか否かの認識率を示した表である。図20の表に示すように、特定人物P1〜P5の
認識率(%)は(86.0,59.6,69.6,98.8,99.6)であり、平均認識率は82.7%であり、特定人物P1〜P5が精度良く認識されていることが分かる。なお、本実験において特定人物P1〜P5の身長(cm)及び体重(kg)は図21の表に示す通りである。
【0109】
このように、実施の形態2による個人認証システムによれば、チューブTU1〜TU3、及び空圧センサ111〜113といった簡便な構成で計測部100aが構成されているため、低コスト化を図ることができる。
【0110】
なお、実施の形態1において、足裏領域をつま先領域D11、土踏まず領域D12、及びかかと領域D13に3分割したがこれに限定されず、足裏領域を4つ以上の領域に分け、各領域の荷重情報を生成し、この荷重情報から認証対象人物を特定してもよい。
【0111】
また、実施の形態2において、チューブTU1〜TU3の3つの測定データからつま先領域D11、土踏まず領域D12、及びかかと領域D13の荷重情報を生成したがこれに限定されず、4つ以上又は2つのチューブを配設し、各チューブからの測定データから足裏の各領域の荷重情報を生成し、この荷重情報から認証対象人物を特定してもよい。
【0112】
また、実施の形態1、2において、ニューロモデルにより認証対象人物を特定したが、これに限定されず、特定人物の荷重情報を判定情報として記憶部に記憶させておき、この荷重情報と、荷重情報生成部210(210a)により生成された荷重情報とのユークリッド距離とを求めることで、認証対象人物を特定してもよい。
【0113】
(実施の形態3)
次に、本発明の実施の形態3による個人認証システムについて説明する。本個人認証システムは、計測部100bを認証対象人物が着用する靴に設け、土踏まず領域を更に2つの領域に分け、左右の足を区別した認証を行うことを特徴とする。なお、本実施の形態において、実施の形態1、2と同一のものは説明を省略する。
【0114】
図22は、実施の形態3による計測部100bの外観構成図を示している。図22に示す計測部100bは、実施の形態1に示す接触荷重分布センサ10を、認証対象人物の左右の足に装着される靴の中敷きに取り付けたものである。この場合、図1に示す計測制御装置21及び演算装置22は集積化して靴に取り付けても良いし、靴とは別体で取り付けても良い。計測制御装置21及び演算装置22を靴と別体で取り付ける場合は、無線でデータを送受してもよいし、有線でデータを送受してもよい。
【0115】
本実施の形態におけるブロック図は、図3と同一であるため、処理の内容を図3を用いて説明する。図3に示す荷重情報生成部210bは、合成荷重分布画像を4分割する。これにより、足裏領域がつま先領域、第1及び第2の土踏まず領域、並びにかかと領域に分割される。
【0116】
図23は、計測部100bから出力される合成荷重分布画像を示している。また、図24は、4分割された合成荷重分布画像を示している。図23、24に示す外枠OL1は、接触荷重分布センサ10の輪郭を示している。また、外枠OL1の内部に、黒色の足跡領域OL2が現れていることが分かる。また、足跡領域OL2のかかと部分が中心に向かうにつれて明るくなっており、中心に向かうにつれてかかとの荷重が大きくなっていることが分かる。
【0117】
荷重情報生成部210bは、図24に示すように、合成分布画像に含まれる足跡領域OL2を抽出し、例えば、足跡領域OL2に外接矩形OL4を当てはめ、外接矩形OL4と足跡領域OL2との交点から足跡領域OL2の最後部OL3を特定する。ここで、荷重情報生成部210bは、足跡領域OL2の形状から外接矩形OL4の4辺のうちどの辺がかかと側の辺H1かを特定し、この辺H1と足跡領域OL2との交点から最後部OL3を特定すればよい。
【0118】
次に、荷重情報生成部210bは、合成荷重分布画像において、最後部OL3を基準として、外接矩形OL4のかかと側の辺H1と平行に等間隔に4本の直線LI1〜LI4を引き、つま先領域DOM1、第1の土踏まず領域DOM2、第2の土踏まず領域DOM3、及びかかと領域DOM4に分割する。具体的には、つま先領域DOM1は、例えば外枠OL1内の領域において、直線LI4と直線L13とよりに囲まれる領域が採用される。
【0119】
また、第1の土踏まず領域DOM2は、例えば外枠OL1内の領域において、直線LI3と直線L12とよりに囲まれる領域が採用される。また、第2の土踏まず領域DOM3は、例えば外枠OL1内の領域において、直線LI2と直線L11とよりに囲まれる領域が採用される。また、かかと領域DOM4は、例えば外枠OL1内の領域において、辺H1と直線L11とよりに囲まれる領域が採用される。
【0120】
次に、荷重情報生成部210bは、計測部100bから一定の時間間隔毎に出力された荷重分布画像毎に、つま先領域DOM1、第1及び第2の土踏まず領域DOM2及びDOM3、並びにかかと領域DOM4の各領域に属する各画素の階調値の総和を求め、この総和を時系列順で並べ、各領域DOM1〜DOM4の荷重の時間的推移を示す波形を求める。
【0121】
そして、荷重情報生成部210bは、上記の処理を左右の足のそれぞれに対して行い、左右の足のそれぞれの各領域DOM1〜DOM4の荷重の時間的推移を示す波形を求め、この波形から荷重情報を生成する。よって、荷重情報には左足の荷重情報と右足の荷重情報とが含まれる。
【0122】
図25は、各領域DOM1〜DOM4の荷重の時間的推移を示す波形の一例を示した図であり、(a)は左足の波形を示し、(b)は右足の波形を示している。図25(a)、(b)において、波形Aはかかと領域DOM4の波形を示し、波形Bは第2の土踏まず領域DOM3の波形を示し、波形Cは第1の土踏まず領域DOM2の波形を示し、波形Dはつま先領域DOM1の波形を示している。なお、図25(a)、(b)に示す波形は同一人物のものである。また、図25(a)、(b)において、縦軸は階調値の総和、すなわち、荷重を示し、横軸は時間(秒)を示している。
【0123】
図25(a)、(b)に示すように、各領域DOM1〜DOM4の波形A〜Dは、同一人物であっても左右の足で大きく異なっていることが分かる。特に、波形Bが左右の足で大きく相違しており、第2の土踏まず領域DOM3が同一人物であっても左右の足で荷重の時間的推移の差が大きいことが分かる。よって、左右の足を区別すると共に、土踏まず領域を2つの領域DOM2及びDOM3に区別することで、各人物の特徴をより多く抽出することができ、認証精度を高めることが可能となる。
【0124】
図26は、実施の形態3における荷重情報を示すグラフであり、縦軸は荷重を示し、横軸は時間(秒)を示している。図26に示す波形A〜Dは図25に示す波形A〜Dと同一である。荷重情報生成部210bは、波形A〜Dのピーク値P1〜P4を特定し、ピーク値P1の時刻T1を基準時刻とし、時刻T1から波形B〜Dがピーク値P2〜P4に到達するまでの時間T2〜T3を特定する。そして、荷重情報生成部210bは、ピーク値P1〜P4及び時間T2〜T4を荷重情報として生成する。なお、図26においては、基準時刻として、時刻T1を採用したが、波形Aの立ち上がり時刻を採用してもよいし、波形A〜Dのいずれか1の波形の立ち下がり時刻を採用してもよいし、波形B〜Dのいずれか1の波形がピーク値となる時刻を採用してもよい。
【0125】
図3に戻り、判定部220bは、荷重情報生成部210bにより生成された認証対象人物の荷重情報と、モデル記憶部230に記憶された判定情報とを比較し、認証対象人物が特定人物であるか否かを判定する。
【0126】
本実施の形態では、判定情報として、特定人物の荷重情報を複数回測定し、得られた複数回の荷重情報の平均値を算出することで、特定人物の荷重情報のテンプレートを生成し、このテンプレートを判定情報として採用する。以下、荷重情報のテンプレートのことを「荷重テンプレート(基準荷重情報の一例)」と称する。具体的には、荷重テンプレートは、左足の荷重テンプレートと右足の荷重テンプレートが存在し、左足の荷重テンプレートは、左足における時間T2〜T4及びピーク値P1〜P4を含み、右足の荷重テンプレートは右足における時間T2〜T4及びピーク値P1〜P4を含む。また、以下の説明では、説明の便宜上、荷重テンプレートは1種類、すなわち、特定人物の人数を1人とする。また、認証対象人物を複数とする。
【0127】
そして、判定部220bは、各認証対象人物の左足の荷重情報と左足の荷重テンプレートとのユークリッド距離を求め、かつ、各認証対象人物の右足の荷重テンプレートと右足の荷重テンプレートとのユークリッド距離を求め、このユークリッド距離に基づいてどの認証対象人物が特定人物に該当するかを判定する。
【0128】
本実施の形態では、荷重情報生成部210bは、認証対象人物に所定歩数歩かせることで、左右に所定歩数分(例えば左4歩、右4歩)の荷重情報を生成するものとする。そして、判定部220bは、各歩の荷重情報と、荷重テンプレートとのそれぞれのユークリッド距離を求め、以下に示す第1〜第3の手法を用いて個人認証を行うものとする。
【0129】
第1の手法は、認証対象人物の所定歩数分の荷重情報を取得し、各歩の荷重情報と荷重テンプレートとのユークリッド距離の合計を認証対象人物毎に求め、合計値を最小とする認証対象人物を特定人物として判定する手法である。
【0130】
第2の手法は、認証対象人物の所定歩数分の荷重情報を取得し、各歩の荷重情報と荷重テンプレートとのユークリッド距離を求め、1歩ごとに、どの認証対象人物が特定人物に該当するかを判定し、最も多く特定人物に該当すると判定された認証対象人物を、特定人物であるとして判定する手法である。
【0131】
例えば、認証対象人物を5人、歩数を8歩とした場合、第3番目の認証対象人物が1〜7歩目において特定人物であると判定され、第2番目の認証対象人物が8歩目において特定人物であると判定された場合、第3番目の認証対象人物が特定人物として判定される。
【0132】
第3の手法は、認証対象人物の所定歩数分の荷重情報を取得し、各歩の荷重情報と荷重テンプレートとのユークリッド距離を求め、1歩ごとに、ユークリッド距離が小さい順に認証対象人物を順位付けし、各認証対象人物の平均順位を求め、この平均順位が最大となる認証対象人物を、特定人物であるとして判定する手法である。
【0133】
例えば、認証対象人物を5人、歩数を8歩とした場合、第3番目の認証対象人物の1〜8歩分の平均順位が最も高いとすると、第3番目の認証対象人物が特定人物として判定される。
【0134】
モデル記憶部230bは、各特定人物の荷重テンプレートを記憶する。ここで、荷重テンプレートは、モデル生成部240b(基準荷重情報生成手段の一例)により予め作成されたものである。モデル生成部240は、荷重テンプレートを生成し、モデル記憶部230bに記憶させる。
【0135】
次に、実施の形態3の効果を確認するために行った実験について説明する。まず、1回の歩行につき、左右それぞれ連続した4歩の計8歩の荷重情報を歩行データとして取得する。そして、この歩行を各被験者に10回行わせ、各被験者から8歩×10回=80歩分の荷重情報を取得する。次に、各被験者の10回分の歩行データからランダムに3回の歩行データを選択し、左右各12(=3回×4歩)歩分の荷重情報の平均を求め、各被験者の荷重テンプレートを生成する。
【0136】
そして、残りの7回分の歩行データに含まれる7回×8歩=56歩の荷重情報と、荷重テンプレートとのユークリッド距離を1歩ごとに求め、個人認証を行う。
【0137】
ここで、比較する荷重情報xに含まれるピーク値P1〜P4及び時間T2〜T3をPi(i=1,2,3,4)及びTi(i=2,3,4)とし、各被験者の荷重テンプレートyに含まれるピーク値P1〜P4及び時間T2〜T4をPj(j=1,2,3,4)及び時間Tj(j=2,3,4)とすると、荷重情報と荷重テンプレートとのユークリッド距離d(x,y)は式(7)により求めることができる。
【0138】
【数1】

図27は、上記実験の流れを示すフローチャートである。まず、ステップS101において、歩行データを取得する。この場合、被験者10人の10回分の歩行データが取得され、1回分の歩行データは、8歩分の荷重情報を含むため、10人×10回×8歩=800歩分の荷重情報が取得される。
【0139】
次に、各被験者において、10回の歩行データから3回の歩行データが選択され(ステップS102)、選択した3回の歩行データから荷重テンプレートが作成される(ステップS104)。この場合、被験者が10人であるため、左右それぞれ10個(合計20個)の荷重テンプレートが生成される。次に、ステップS104で作成された被験者10人の荷重テンプレートからある一人の被験者の荷重テンプレートが選択される(ステップS105)。
【0140】
次に、ステップS102において選択された3回の歩行データの残り7回分の歩行データが選択され(ステップS103)、選択された7回分の歩行データを構成する1歩ごとの荷重情報と、ステップS105で選択されたある一人の被験者の荷重テンプレートとのユークリッド距離が計算される(ステップS106)。次に、上記第1〜第3の手法のそれぞれを用いて、個人認証が行われる(ステップS107)。
【0141】
図28は、被験者の人数を5人とし、第1の手法を採用した場合の実験結果を示した表である。図29は、被験者の人数を5人とし、第3の手法を採用した場合の実験結果を示した表である。図28及び図29においては、被験者3の荷重テンプレートと各荷重情報とのユークリッド距離が算出され、個人認証が行われている。
【0142】
図28に示すように、被験者3の各歩のユークリッド距離の合計が0.236773となっており、被験者3の荷重テンプレートとのユークリッド距離が他の被験者よりも大幅に短くなっている。よって、被験者3が特定され、被験者3が正しく認証されていることが分かる。
【0143】
図29においては、図28に示す結果を用いて順位付けが行われている。被験者3の平均順位は、1.375であり、他の被験者に比べて平均順位が大幅に高いため、被験者3が特定される。よって、被験者3が正しく認証されていることが分かる。
【0144】
また、図29の結果において第2の手法を用いて個人認証を行うと、被験者1のユークリッド距離が最小になった回数は第5歩及び第8歩の2回である。また、被験者2のユークリッド距離が最小になった回数は第2歩の1回である。また、被験者3のユークリッド距離が最小になった回数は第1,3,4,6,7歩の5回である。また、被験者4のユークリッド距離が最小になった回数は0回である。また、被験者5のユークリッド距離が最小になった回数は0回である。そのため、被験者3が特定される。よって、被験者3が正しく認証されていることが分かる。
【0145】
図30は、第1の手法を用いた場合の認識率を示した表である。図30の表の1〜10行目は、それぞれ、被験者1〜被験者10の荷重テンプレートが選択され、各升の数値は各被験者が特定人物として特定された回数を示している。例えば、1行目においては、被験者1の荷重テンプレートが選択され、被験者1が700回特定され、他の被験者は全く特定されていないことが分かる。そのため、誤検出された回数は0回であり、認識率が100%となっていることが分かる。なお、図30の表では、図27のフローチャートの1ループが1回とされている。また、以下に示す図31〜37の表も図27のフローチャートの1ループが1回とされている。
【0146】
他の被験者についても、自己の荷重テンプレートが選択されている場合に、自己の特定回数が他の被験者の特定回数よりも大幅に大きく、正確に特定されていることが分かる。そして、全被験者の認識率の平均値が96.91%と高い数値が得られていることが分かる。
【0147】
図31は、第2の手法を用いた場合の認識率を示した表である。なお、図31では、1位になった回数に閾値が設けられていない。例えば、被験者3が1位になった回数が3回であり、他の被験者が1位になった歩数が2回以下である場合、閾値が設定されていなければ、被験者3が特定され、閾値が4に設定されていれば、被験者3は特定されない。
【0148】
図31においても、図30と同様、被験者の認識率の平均値が98.14%と高い数値が得られていることが分かる。
【0149】
図32は、閾値を5に設定して第2の手法を用いた場合の認識率を示した表である。図32においては、全被験者の認識率の平均値が84.5%と図31に比べて低くなっているが、これは閾値を高く設定したためである。一方、他人の欄に示す誤認率は図31では1.86%であるが、図32では0.17%と低くなっており、閾値を高く設定するほど、認証精度が高くなっていることが分かる。
【0150】
図33は、閾値を6に設定して第2の手法を用いた場合の認識率を示した表である。図34は、閾値を7に設定して第2の手法を用いた場合の認識率を示した表である。図33においては全被験者の認識率が84.51%、図34においては全被験者の認識率が70.71%と次第に低くなっているのは、図33よりも図34の方が閾値が高いためである。一方、図33においては他人の欄に示す誤認率が0.01%、図34においては他人の欄に示す誤認率が0%となっており、閾値を高く設定するほど認証精度が高くなっていることが分かる。
【0151】
図35〜図37は、第3の手法を用いた場合の認識率を示した表である。なお、図35では、平均順位に閾値が設けられていない。例えば、閾値として2が設定されている場合、被験者3の平均順位が最高であっても、被験者3の平均順位が2未満であると、被験者3は特定されない。図35においては全被験者の認識率が96.31%と高い数値が得られていることが分かる。
【0152】
図36は、閾値を2位に設定して第3の手法を用いた場合の認識率を示した表である。図37は、閾値を1.5位に設定して第3の手法を用いた場合の認識率を示した表である。図36においては全被験者の認識率が90.00%、図36においては全被験者の認識率が78.57%と次第に低くなっているのは、図36よりも図37の方が閾値が高いためである。一方、図36においては他人の欄に示す誤認率が0.84%、図37においては他人の欄に示す誤認率が0.01%となっており、閾値を高く設定するほど認証精度が高くなっていることが分かる。
【0153】
図30、図31、図35の実験結果から分かるように、閾値を設定しない場合は、同様の認証精度が得られている。
【0154】
図38は、第1〜第3の手法の実験結果を比較した表である。図38においては、10人の被験者の荷重テンプレートを作成し、各被験者の左右4歩の合計8歩の荷重情報と各被験者の荷重テンプレートとのユークリッド距離に基づいた第1〜第3の手法が実行されている。
【0155】
一方、第1の手法では96.9%と高い認識率が得られていることが分かる。また、第2、第3の手法では誤認率が共に0%と低い誤認率が得られていることが分かる。なお、NN手法の欄は、10人の被験者の1歩の荷重情報からニューロモデルを生成し、このニューロモデルを用いて、各被験者の認識率及び誤認率を求めた場合を示している。この結果から分かるように、荷重情報を1歩とした場合、8歩とした第1〜第3の手法に比べて、誤認率が高くなっており、複数歩の荷重情報を採用した方が認証精度が高くなっていることが分かる。
【0156】
以上説明したように、実施の形態3による個人認証システムによれば、左右の荷重情報を区別した認証処理が行われ、土踏まず領域が更に2つの領域に区画されているため、判定精度を高くすることができる。また、ユークリッド距離に基づいた認証処理が行われているため、処理コストの低下を図りつつ、制度の良い認証処理を実現することができる。
【0157】
なお、実施の形態3では判定部220bはユークリッド距離を採用したが、これに限定されず、実施の形態1,2と同様、ニューロモデルを採用してもよい。また、実施の形態1,2において、判定部220a,220bは、ニューロモデルを用いて特定する手法を採用したが、これに限定されず、実施の形態3と同様、ユークリッド距離を用いて特定する手法を採用してもよい。この場合、左右の足を区別した荷重情報を採用すると共に、左右の足を区別した荷重テンプレートを採用すればよい。
【0158】
また、実施の形態3において、荷重情報として、時間T2〜T4、ピーク値P1〜P4に代えて、実施の形態1,2で採用された荷重情報を採用してもよい。また、実施の形態1,2において、実施の形態3で採用された時間T2〜T4、ピーク値P1〜P4を荷重情報として採用してもよい。
【0159】
また、実施の形態3においては、計測部100bは、接触荷重分布センサ式のものが採用されているが、これに限定されず、実施の形態2に示すようなチューブ式のものを採用してもよい。この場合、各領域DOM1〜DOM4の荷重情報を得るために、4本のチューブを平行に配設すればよい。また、接触荷重分布センサを中敷きの全域に取り付けることに代えて、各領域DOM1〜DOM4の一部の領域に点状又は面状に取り付けても良い。
【0160】
なお、上記実施の形態1、3においては、足裏を複数の領域に分けたときにおける各領域の荷重の時間的推移を領域毎の荷重情報として採用されているが、本発明はこれに限定されず、足裏を複数の領域に分けたときにおける各領域の所定の位置の荷重の時間的推移を領域毎の荷重情報として採用してもよい。
【0161】
図39は、各領域の所定の位置の荷重の時間的推移を領域毎の荷重情報とする場合の説明図である。図39に示すように、荷重情報生成部210は、図24と同様にしてつま先領域DOM1〜かかと領域DOM4を抽出し、各領域の所定の位置PD1〜PD4における荷重の時間的推移を示す波形から荷重情報を生成すればよい。この場合、荷重情報としては、実施の形態1〜3のいずれかによるものを採用すればよい。
【0162】
また、荷重情報生成部210は、つま先領域DOM1〜かかと領域DOM4のそれぞれの例えば重心や荷重が最もかかる位置等を位置PD1〜PD4として採用すればよい。また、荷重情報生成部210は、足裏を複数の領域に分けることなく、位置PD1〜PD4を特定してもよい。この場合、荷重情報生成部210は、足跡領域OL2に外接矩形OL4を当てはめ、この外接矩形OL4の長辺を所定の比率で4分割して短辺と平行に4本の直線LHA〜LHDを引き、直線LHA〜LHDを直線毎に定められた所定の比率で内分した点を位置PD1〜PD4として特定すればよい。
【図面の簡単な説明】
【0163】
【図1】本発明の実施の形態1による個人認証システムの全体構成図を示している。
【図2】荷重分布画像を示した図である。
【図3】図1に示す個人認証システムのブロック図を示している。
【図4】合成荷重分布画像を示した図である。
【図5】第1〜第3の荷重情報を示したグラフであり、(a)は第1の荷重情報を示し、(b)は第2の荷重情報を示し、(c)は第3の荷重情報を示している。
【図6】本個人認証システムで採用されるニューロモデルを示した図である。
【図7】本ニューロモデルを構成する各ノードの機能の説明図である。
【図8】本個人認証システムの動作を示すフローチャートである。
【図9】ニューロモデルの生成処理を示すフローチャートである。
【図10】ニューロモデルの係数の修正処理の説明図である。
【図11】実施の形態2による個人認証システムの全体構成図を示している。
【図12】荷重測定装置の外観斜視図である。
【図13】空圧センサの等価回路を示している。
【図14】計測データを示したグラフであり、(a)はかかと領域を示し、(b)は土踏まず領域を示し、(c)はかかと領域を示している。
【図15】図14(a)〜(c)に示すグラフを重ね合わせて表示したグラフである。
【図16】学習用データとして用いられた特定人物P1〜P5の各々の5回分の荷重情報を示した表である。
【図17】図16に示す1行目の11個のデータを学習用データとしてニューロモデルに入力したときの、ニューロモデルの各係数の修正回数と、出力値との関係を示した表である。
【図18】ニューロモデルに入力された5回分の荷重情報のうち、特定人物P1〜P5の1回分の荷重情報を示した表である。
【図19】図18の表に示す荷重情報をニューロモデルに入力したときの特定人物P1〜P5毎の出力値を示した表である。
【図20】学習用データとして用いられた荷重情報以外の残り5回分の荷重情報をニューロモデルに入力したときの、特定人物P1〜P5が認識されたか否かの認識率を示した表である。
【図21】特定人物P1〜P5の身長(cm)及び体重(kg)を示す表である。
【図22】実施の形態3による計測部の外観構成図を示している。
【図23】計測部から出力される合成荷重分布画像を示している。
【図24】4分割された合成荷重分布画像を示している。
【図25】各領域DOM1〜DOM4の荷重の時間的推移を示す波形の一例を示した図である。
【図26】実施の形態3における荷重情報を示すグラフである。
【図27】実施の形態3による実験の流れを示すフローチャートである。
【図28】被験者の人数を5人とし、第1の手法を採用した場合の実験結果を示した表である。
【図29】被験者の人数を5人とし、第3の手法を採用した場合の実験結果を示した表である。
【図30】第1の手法を用いた場合の認識率を示した表である。
【図31】第2の手法を用いた場合の認識率を示した表である。
【図32】閾値を5に設定して第2の手法を用いた場合の認識率を示した表である。
【図33】閾値を6に設定して第2の手法を用いた場合の認識率を示した表である。
【図34】閾値を7に設定して第2の手法を用いた場合の認識率を示した表である。
【図35】第3の手法を用いた場合の認識率を示した表である。
【図36】第3の手法を用いた場合の認識率を示した表である。
【図37】第3の手法を用いた場合の認識率を示した表である。
【図38】第1〜第3の手法の実験結果を比較した表である。
【図39】各領域の所定の位置の荷重の時間的推移を領域毎の荷重情報とする場合の説明図である。
【符号の説明】
【0164】
10a 荷重測定装置
10 接触荷重分布センサ
11 載置部
21,21a 計測制御装置
22 演算装置
100,100a 計測部
111〜113 空圧センサ
114,115 スペーサ
200 制御部
210,210a 荷重情報生成部
220,220a 判定部
230 モデル記憶部
240 モデル生成部
D11 つま先領域
D12 土踏まず領域
D13 かかと領域
L1 入力層
L2 中間層
L3 出力層
TU1,TU2,TU3 チューブ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
認証対象人物が特定人物であるか否かの判定を行う個人認証システムであって、
人物の足裏の荷重を計測する計測手段と、
前記計測手段により計測された荷重から、人物が歩行した時の足裏に加わる荷重の時間的推移を示す荷重情報を生成する荷重情報生成手段と、
前記特定人物の荷重情報に基づいて予め作成され、前記認証対象人物が前記特定人物であるか否かを判定する際に用いられる判定情報を記憶する記憶手段と、
前記荷重情報生成手段により生成された前記認証対象人物の荷重情報と、前記記憶手段に記憶された判定情報とから、前記認証対象人物が前記特定人物であるか否かを判定する判定手段とを備えることを特徴とする個人認証システム。
【請求項2】
前記荷重情報は、足裏を複数の領域に分けたときにおける各領域の荷重の時間的推移を示す領域毎の荷重情報を含むことを特徴とする請求項1記載の個人認証システム。
【請求項3】
前記荷重情報は、左足の荷重情報と右足の荷重情報とを含むことを特徴とする請求項2記載の個人認証システム。
【請求項4】
前記足裏の複数の領域は、かかと領域と、土踏まず領域と、つま先領域とを含むことを特徴とする請求項2又は3記載の個人認証システム。
【請求項5】
前記土踏まず領域は、第1の土踏まず領域と、前記第1の土踏まず領域とは異なる第2の土踏まず領域とを含むことを特徴とする請求項4記載の個人認証システム。
【請求項6】
前記領域毎の荷重情報は、足裏を複数の領域に分けたときにおける各領域の所定の位置の荷重の時間的推移であることを特徴とする請求項2〜5のいずれかに記載の個人認証システム。
【請求項7】
前記荷重情報生成手段により生成された前記特定人物の足裏の前記領域毎の荷重情報を学習用データとして用いてニューラルネットワークモデルを生成し、このニューラルネットワークモデルを前記判定情報とするモデル生成手段を更に備え、
前記判定手段は、前記荷重情報生成手段により生成された前記認証対象人物の足裏の前記領域毎の荷重情報を前記ニューラルネットワークモデルに入力することで得られる出力値から、前記認証対象人物が前記特定人物であるか否かを判定することを特徴とする請求項2〜6のいずれかに記載の個人認証システム。
【請求項8】
前記荷重情報生成手段により生成された前記特定人物の足裏の前記領域毎の荷重情報を用いて特定人物の基準荷重情報を生成し、この基準荷重情報を前記判定情報とする基準荷重情報生成手段を更に備え、
前記判定手段は、前記荷重情報生成手段により生成された前記認証対象人物の足裏の前記領域毎の荷重情報と前記基準荷重情報とのユークリッド距離に基づいて、前記認証対象人物が前記特定人物であるか否かを判定することを特徴とする請求項2〜6のいずれかに記載の個人認証システム。
【請求項9】
前記認証対象人物は複数存在し、
前記荷重情報は、各認証対象人物の所定歩数分の荷重情報を含み、
前記判定手段は、各歩の荷重情報と前記基準荷重情報とのユークリッド距離の合計値を前記認証対象人物毎に求め、前記合計値が最小となる認証対象人物を前記特定人物と判定することを特徴とする請求項8記載の個人認証システム。
【請求項10】
前記認証対象人物は複数存在し、
前記荷重情報は、各認証対象人物の所定歩数分の荷重情報を含み、
前記判定手段は、各歩の荷重情報と前記基準荷重情報とのユークリッド距離を求め、1歩ごとに、どの認証対象人物が前記特定人物に該当するかを判定し、最も多く特定人物に該当すると判定した認証対象人物を前記特定人物と判定することを特徴とする請求項8記載の個人認証システム。
【請求項11】
前記認証対象人物は複数存在し、
前記荷重情報は、各認証対象人物の所定歩数分の荷重情報を含み、
前記判定手段は、各歩の荷重情報と前記基準荷重情報とのユークリッド距離を求め、1歩ごとに、ユークリッド距離が小さい順に順位付けし、各認証対象人物の平均順位を求め、前記平均順位が最大となる認証対象人物を前記特定人物と判定することを特徴とする請求項8記載の個人認証システム。
【請求項12】
前記荷重情報は、前記領域毎の荷重の時間的推移を示す波形の特徴を表す情報であることを特徴とする請求項2〜11のいずれかに記載の個人認証システム。
【請求項13】
前記計測手段は、前記測定対象人物の足裏が載置される載置部を備え、
前記領域毎の荷重情報は、対応する領域の荷重の最大値と、対応する領域が所定の基準時刻から前記載置部に踏み込まれるまでの時間と、対応する領域の荷重が前記基準時刻から最大値になるまでの時間と、対応する領域が前記基準時刻から前記載置部より離れるまでの時間とを含むことを特徴とする請求項12記載の個人認証システム。
【請求項14】
前記計測手段は、前記測定対象人物の足裏が載置される載置部を備え、
前記領域毎の荷重情報は、対応する領域が前記載置部に踏み込み込まれている踏み込み期間内における最大の振幅値と、対応する領域が前記載置部から踏み抜かれている踏み抜き期間内における最大の振幅値と、前記踏み込み期間内において所定の基準時刻から最大の振幅値になるまでの時間と、前記踏み抜き期間内において前記基準時刻から最大の振幅値になるまでの時間とを含むことを特徴とする請求項12記載の個人認証システム。
【請求項15】
前記領域毎の荷重情報は、対応する領域の荷重の最大値と、所定の基準時刻から最大値になるまでの時間とを含むことを特徴とする請求項12記載の個人認証システム。
【請求項16】
前記計測手段は、人物の足裏が載置され、この足裏の荷重分布を測定する接触荷重分布センサから構成されることを特徴とする請求項1〜15のいずれかに記載の個人認証システム。
【請求項17】
前記計測手段は、
前記認証対象人物の足裏が載置され、内部の空圧が変化する複数のチューブと、
各チューブの内部の圧力変化を測定する空圧センサとを備えることを特徴とする請求項1〜16のいずれかに記載の個人認証システム。
【請求項18】
前記計測手段は、前記認証対象人物により着用される靴に取り付けられていることを特徴とする請求項1〜17のいずれかに記載の個人認証システム。

【図1】
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【図3】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【図38】
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【図2】
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【図4】
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【図11】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図39】
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【公開番号】特開2008−250996(P2008−250996A)
【公開日】平成20年10月16日(2008.10.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−53814(P2008−53814)
【出願日】平成20年3月4日(2008.3.4)
【出願人】(000156938)関西電力株式会社 (1,442)
【出願人】(000163419)株式会社きんでん (37)
【Fターム(参考)】