説明

個人認証装置、および個人認証方法

【課題】簡易な構成で、セキュリティを向上することができる個人認証装置を提供することである。
【解決手段】個人認証装置10は、扉を解錠された状態で、人体の一部を除いた画像のデータを取得して画像を認識し、第一の所定の情報とする解錠時画像認識手段と、第一の所定の情報を記憶する記憶手段と、記憶手段により記憶後、扉を施錠するよう制御する施錠手段と、扉を施錠された状態で、人体の一部を除いた画像のデータを取得して画像を認識し、第二の所定の情報とする施錠時画像認識手段と、記憶手段により記憶した第一の所定の情報と、第二の所定の情報とが一致するか否かを判断する判断手段と、判断手段により判断した結果、一致すると判断した場合に、扉を解錠するよう制御する解錠手段とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、個人認証装置、および個人認証方法に関するものであり、特に、画像認識を用いた個人認証装置、および個人認証方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
昨今では、施設への不法侵入を防止するために、入退室時に個人認証を行うことにより、セキュリティを向上したシステムが開発されている。このようなシステムは、例えば、特開2006−172286号公報(特許文献1)に開示されている。特許文献1によると、携帯電話端末に組み込まれているカメラで顔写真を撮影してサーバに送信し、サーバにおいて、予め格納されている顔画像とマッチング処理を行い、顔画像の一致・不一致を判断することにより個人認証を行い、扉の解錠等を行うこととしている。
【0003】
また、不審者によるパソコン等の内部データへのアクセスや、電話発呼等を防止するため、セキュリティを向上した装置が開発されている。このような装置は、例えば、特開2000−137809号公報(特許文献2)に開示されている。特許文献2によると、撮像部から取り込んだ画像データと、画像データベースに予め登録されている画像データとを照合して、一致した場合にのみ、電話発呼等を行うこととしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−172286号公報
【特許文献2】特開2000−137809号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に開示の技術では、顔画像を認識する必要があり、認証時の処理が複雑になってしまう。
【0006】
また、特許文献2に開示の技術では、撮像部から取り込んだ画像データと、画像データベースに予め登録されている画像データとを照合するものであるため、例えば、長期間にわたって、同じ画像データを照合に利用していると、悪用されて模倣される虞が高くなり、セキュリティが低下する虞がある。
【0007】
この発明の目的は、簡易な構成で、セキュリティを向上することができる個人認証装置、および個人認証方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明に係る個人認証装置は、扉を解錠された状態で、人体の一部を除いた画像のデータを取得して画像を認識し、第一の所定の情報とする解錠時画像認識手段と、第一の所定の情報を記憶する記憶手段と、記憶手段により記憶後、扉を施錠するよう制御する施錠手段と、扉を施錠された状態で、人体の一部を除いた画像のデータを取得して画像を認識し、第二の所定の情報とする施錠時画像認識手段と、記憶手段により記憶した第一の所定の情報と、第二の所定の情報とが一致するか否かを判断する判断手段と、判断手段により判断した結果、一致すると判断した場合に、扉を解錠するよう制御する解錠手段とを備える。
【0009】
こうすることにより、ユーザにとって、施錠時に人体の一部を除いた画像のデータを記憶させておき、解錠する際には、施錠時に記憶した画像のデータと同じ画像のデータを用いて、解錠することができる。したがって、施錠する毎に異なる画像を用いることができる。この場合、他人に画像を模倣された場合であっても、模倣された画像と異なる画像を使用することができ、セキュリティを向上することができる。また、使用する画像は、人体の一部を除いた画像であり、簡易な構成で一致するか否かを判断することができる。その結果、簡易な構成で、セキュリティを向上することができる。
【0010】
さらに好ましくは、人体の一部を除いた画像は、色、形状、および文字のうちの少なくともいずれか一つを含む。こうすることにより、簡易な構成で、施錠および解錠を行うことができる。また、色、形状、および文字を組合わせることで、多くの種類の画像を使用することができ、仮に他人に模倣された場合であっても、模倣された画像と異なる画像を使用することができ、セキュリティを向上することができる。
【0011】
さらに好ましくは、文字は、数字およびアルファベットのうちの少なくともいずれか一つを含む。
【0012】
さらに好ましくは、人体の一部を除いた画像は、ユーザにより手描きで描かれた画像である。こうすることにより、例えば、画像を紛失した場合であっても、再度ユーザが手描きすることができ、紛失により解錠できなくなる状態を避けることができる。
【0013】
好ましくは、解錠時画像認識手段、および施錠時画像認識手段は、携帯端末のディスプレイに表示された画像を取得する。こうすることにより、携帯端末というユーザが普段から持ち歩くものに画像を保持しておくことで、施錠および解錠を行うために、わざわざ画像を描いた紙等を持ち歩く必要がない。
【0014】
この発明の他の局面における個人認証方法は、扉を解錠された状態で、人体の一部を除いた画像のデータを取得して画像を認識し、第一の所定の情報とするステップと、第一の所定の情報を記憶後、扉を施錠するよう制御するステップと、扉を施錠された状態で、人体の一部を除いた画像のデータを取得して画像を認識し、第二の所定の情報とするステップと、第一の所定の情報と、第二の所定の情報とが一致するか否かを判断するステップと、判断した結果、一致すると判断した場合に、扉を解錠するよう制御するステップとを備える。
【0015】
こうすることにより、ユーザにとって、施錠時に人体の一部を除いた画像のデータを記憶させておき、解錠する際には、施錠時に記憶した画像のデータと同じ画像のデータを用いて、解錠することができる。したがって、施錠する毎に異なる画像を用いることができる。この場合、他人に画像を模倣された場合であっても、模倣された画像と異なる画像を使用することができ、セキュリティを向上することができる。また、使用する画像は、人体の一部を除いた画像であり、簡易な構成で一致するか否かを判断することができる。その結果、簡易な構成で、セキュリティを向上することができる。
【発明の効果】
【0016】
この発明によれば、ユーザにとって、施錠時に人体の一部を除いた画像のデータを記憶させておき、解錠する際には、施錠時に記憶した画像のデータと同じ画像のデータを用いて、解錠することができる。したがって、施錠する毎に異なる画像を用いることができる。この場合、他人に画像を模倣された場合であっても、模倣された画像と異なる画像を使用することができ、セキュリティを向上することができる。また、使用する画像は、人体の一部を除いた画像であり、簡易な構成で一致するか否かを判断することができる。その結果、簡易な構成で、セキュリティを向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】この発明の一実施形態に係る個人認証装置の構成の一例を示すブロック図である。
【図2】認識可能な形状の例を示す図である。
【図3】図2に示す形状の頂点の数を示す表である。
【図4】図2に示す形状において、その方向性の数を示す表である。
【図5】図2(b)の半円の4方向性の図形を示す図である。
【図6】図2(d)の四角形の2方向性の図形を示す図である。
【図7】画像の一例を示す図である。
【図8】扉を施錠または解錠する場合の個人認証装置の動作について示すフローチャートである。
【図9】図8の続きのフローチャートである。
【図10】図9の続きのフローチャートである。
【図11】図10の続きのフローチャートである。
【図12】図11の続きのフローチャートである。
【図13】画像の他の例を示す図である。
【図14】画像のさらに他の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照して、この発明の一実施形態に係る個人認証装置について説明する。図1は、この発明の一実施形態に係る個人認証装置10の構成の一例を示すブロック図である。図1を参照して、個人認証装置10は、扉16の錠を施錠または解錠する際に個人認証を行い、認証結果に応じて、扉16の錠を制御するものであって、インターホン9に取り付けられて、画像を撮像するカメラ13と、カメラ13によって撮像された画像を記憶する第一のメモリ12と、FPGA(Field Programmable Gate Array)やマイコンであって、画像の認識を行い、個人認証装置10全体を制御する画像認識メイン処理部11と、扉16の錠を制御する扉開閉コントロール部14と、ワーク用の第二のメモリ15とを備える。個人認証装置10は、ハードウェアで実装される。
【0019】
扉16には、錠が取り付けられており、扉開閉コントロール部14からの指示に基づいて、解錠または施錠される。
【0020】
カメラ13には、撮像を開始するボタン(図示せず)が取り付けられており、ボタンが押下されると所定の範囲の画像を撮像する。そして、カメラ13は、画像を撮像すると、第一のメモリ12へ撮像した撮影画像データを記憶する。
【0021】
画像認識メイン処理部11は、第一のメモリ12に記憶された撮影画像データの画像認識を行う。ここで、個人認証装置10が認識可能な画像の例について説明する。個人認証装置10は、画像に描かれている色、文字、および形状を認識可能である。色は、イエロー、シアン、マゼンタ、ブラック、赤、青、および緑の7色である。文字は、数字(0,1,2,・・9)、およびアルファベットの大文字(A,B,C,・・Z)であって、合計36文字である。形状は、図2に示すような形状である。図2は、認識可能な形状の例を示す図である。図2を参照して、(a)は円であって、(b)は半円であって、(c)は三角形であって、(d)は四角形である。このように(a)〜(j)までの10形状である。図3は、図2に示す形状の頂点の数を示す表である。図3を参照して、例えば、図2(b)の半円の場合には、2である。図2(d)の四角形の場合には、4である。また、形状には、複数の方向性を有するものがある。図4は、図2に示す形状において、方向性の数を示す表である。方向性とは、その図形を回転させると異なる図形になる図形の向きを言い、例えば、図2(a)の円の場合には、1方向性である。図2(b)の半円の場合には、4方向性である。図5は、図2(b)の半円の4方向性の図形を示す図である。図5を参照して、半円の場合、右に円弧がある場合(パターン1)と、上に円弧がある場合(パターン2)と、左に円弧がある場合(パターン3)と、下に円弧がある場合(パターン4)とで、4方向性である。図6は、図2(d)の四角形の2方向性の図形を示す図である。図6を参照して、四角形の場合、四角形(パターン1)と、ひし形(パターン2)とで、2方向性である。形状は、このように1つの形状につき、図4に示すように複数の方向性を有するものがあるため、個人認証装置10が認識可能な形状は、図4の合計30形状である。
【0022】
個人認証装置10は、このような色、文字、および形状を組合わせた個人認証用の画像を認識する。すなわち、個人認証用の画像は、顔等の人体の一部を除いた画像である。図7は、画像20の一例を示す図である。図7を参照して、画像20は、形状21が図2(d)の四角形であり、背景が白色であり、形状21の内部が赤色23に塗りつぶして描かれている。また、形状21の内部に「RAY」という3列の文字22が白抜きで描かれている。なお、図においては白色以外の色の違いをハッチングの種類を変えて示している。個人認証装置10は、色、文字、および形状を組合わせた個人認証用の画像20として、図7に示すような3列の文字の場合、30(形状)×7(色)×36×36×36(3列、文字)より、約1000万弱のパターンの画像を認識する。
【0023】
なお、このような画像20は、例えば、ユーザが保持する携帯端末に保存されたものであってもよいし、ユーザにより紙等に手描きで描かれたものであってもよい。
【0024】
また、第二のメモリ15には、上記した認識可能な文字のパターン、すなわち、36パターンが予め記憶されている。文字のパターンは、後述する文字のパターンマッチングの際に比較用に用いるものである。また、第二のメモリ15には、上記した認識可能な形状において、各形状の各頂点の座標が予め記憶されている。また、形状には、上記したように、複数の方向性を有するものがあるため、各方向性の図形毎に、各頂点の座標が予め記憶されている。例えば、図2の(d)の四角形であれば、2方向性であるため、四角形の4個の頂点の座標と、ひし形の4個の頂点の座標とが記憶されている。
【0025】
ここで、個人認証装置10を用いて、扉16の錠を施錠または解錠する際に個人認証を行い、認証結果に応じて、扉16の錠を制御する場合について説明する。図8〜図12は、扉16を施錠または解錠する場合の個人認証装置10の動作について示すフローチャートである。図8〜図11を参照して、まず、施錠する場合について説明する。
【0026】
まず、カメラ13において、開始ボタンが押下されると(図8中のステップS11において、YES、以下、ステップを省略する)、所定の範囲の画像を撮像する。例えば、ユーザが携帯端末のディスプレイに画像を表示させて、表示させた画像を撮像する。そうすると、画像認識メイン処理部11は、撮像した撮影画像データを第一のメモリ12に記憶する(S12)。ここでは、上記した図7に示す画像20を撮像したとする。そうすると、画像認識メイン処理部11は、第一のメモリ12に記憶した撮影画像データを取り出して、取り出した撮影画像データのサイズを所定のサイズ、ここでは、280ピクセル×200ピクセルに縮小する(S13)。そして、縮小した撮影画像データを2値化し(S14)、2値化した撮影画像データをラベリングする(S15)。すなわち、2値化した撮影画像データにおいて、黒白のドットのうち、隣り合う黒のドットには同じ番号を割り振り、隣り合わない黒のドットには異なる番号を割り振る。そして、割り振られた同じ番号の黒のドットの領域の特徴量、例えば大きさに基づいて、個人認証用の画像があるか否かを判断する(S16)。なお、このような個人認証用の画像を標識(マーク)とする。そして、標識があると判断した場合には(S16において、YES)、撮影画像データ上の標識の位置を示す座標、例えば標識の左上の座標を第二のメモリ15に記憶する(S17)。
【0027】
そして、図9を参照して、第一のメモリ12に記憶したS13における縮小前の撮影画像データを取り出して、第二のメモリ15に記憶した座標を基準にして、280ピクセル×200ピクセルの認識用画像データを取得する(S18)。
【0028】
そうすると、個人認証装置10は、標識の形状を認識する。形状の認識においては、まず、S18において取得した認識用画像データを2値化する(S19)。そして、2値化した認識用画像データをS15と同様にラベリングし(S20)、割り振られた同じ番号の黒のドットの領域に基づいて、標識の面積が存在するか否かを判断する(S21)。そして、面積があると判断した場合には(S21において、YES)、標識の頂点を検出する(S22)。そして、検出した頂点の数に基づいて、形状を絞り込む(S23)。この実施例では、4個の頂点を検出する。そして、4個の頂点を具備する形状では、四角形と四角形の方向性の異なる形状として、ひし形とがあるため、2形状に絞り込む。そして、検出した頂点の座標と第二のメモリ15に予め記憶されている2形状の頂点の座標とを順次比較して、パターンマッチングする(S24)。
【0029】
そして、図10を参照して、パターンマッチングの結果、四角形に一致して、形状を「四角形」と認識すると(S25において、YES)、次に、標識の文字を認識する。文字の認識においては、3列のうち、例えば、左の文字から順に認識する。具体的には、左の文字「R」と第二のメモリ15に予め記憶されている認識可能な文字のパターンとを順次比較して、パターンマッチングする(S26)。そして、「R」で一致すると、左の文字は「R」であると認識する(S27において、YES)。次に、中心の文字「A」においても同様にパターンマッチングし(S28)、中心の文字は「A」であると認識する(S29において、YES)。そして、右の文字「Y」においても同様にパターンマッチングし(S30)、右の文字は「Y」であると認識する(S31において、YES)。
【0030】
また、再び図9を参照して、S19からS31において形状および文字を認識すると同時に、標識の色を認識する。色の認識においては、まず、S18において取得した認識用画像データを正規化する(S32)。例えば黄色のライトが照らされている状況下で撮像されると、撮像した画像全体が黄色がかった画像となり、白い背景も黄色になってしまう。この場合、色の認識が適切に行えなくなる虞があるため、黄色の成分を除去する。このようにして、白色に対する周囲の環境の影響を除去して、認識用画像データを正規化する。こうすることにより、周囲の環境に依存せず色の認識を行うことができる。
【0031】
そして、正規化された認識用画像データにおいて、RGBの各成分の比率を取得する(S33)。例えばR領域が70%であるとし、G領域が10%であるとし、B領域が20%であると取得する。そして、R領域、G領域、およびB領域の値を判定し(S34)、各成分の比率に基づいて、色を赤色と認識する(S35において、YES)。例えば、RGBの各成分の比率と各成分の比率における予め定められた閾値とを比較することにより、色を赤色と認識する。
【0032】
そして、図11を参照して、認識した形状、文字、および色を所定のコードに置き換える(S36)。そして、扉16が施錠されているか否か扉開閉コントロール部14を介して判断し、扉16が解錠されていれば(S37において、YES)、置き換えた所定のコードを第二のメモリ15に記憶する(S38)。ここで、所定のコードは、第一の所定の情報であり、画像認識メイン処理部11は、解錠時画像認識手段として作動し、第二のメモリ15は、記憶手段として作動する。そして、扉16を施錠するよう、扉開閉コントロール部14を制御し、扉16を施錠する(S39)。ここで、扉開閉コントロール部14は、施錠手段として作動する。
【0033】
このようにして、個人認証装置10は、扉16を施錠する。
【0034】
次に、解錠する場合について説明する。解錠する場合、上記したS11〜S36までの処理は施錠する場合と同様である。簡単に説明すると、カメラ13で画像を撮像し、形状、文字、および色を認識する。そして、S36において、認識した形状、文字、および色を所定のコードに置き換える。この場合、所定のコードは、第二の所定の情報である。ここで、画像認識メイン処理部11は、施錠時画像認識手段として作動する。
【0035】
そして、図11を参照して、S37において、扉16が施錠されているか否か判断する。そして、扉16が施錠されていれば(S37において、NO)、既に第二のメモリ15には、施錠時のコード、すなわち、第一の所定の情報が記憶されていることとなる。
【0036】
したがって、図12を参照して、既に第二のメモリ15に記憶されている施錠時のコード(第一の所定の情報)を読み出し(S40)、施錠時のコード(第一の所定の情報)と解錠しようとする際に置き換えた所定のコード(第二の所定の情報)とを比較して、一致するか否かを判断する(S41)。ここで、画像認識メイン処理部11は、判断手段として作動する。そして、一致すると判断すれば、扉16を解錠するよう、扉開閉コントロール部14を制御し、扉16を解錠する(S42)。ここで、扉開閉コントロール部14は、解錠手段として作動する。S41において、一致しないと判断すれば、扉16の施錠状態を維持する(S43)。このようにして、個人認証装置10は、個人認証を行い、扉16の錠を施錠または解錠する。
【0037】
このように、個人認証装置10を用いることにより、ユーザにとって、施錠時に人体の一部を除いた画像のデータを記憶させておき、解錠する際には、施錠時に記憶した画像のデータと同じ画像のデータを用いて、解錠することができる。したがって、施錠する毎に異なる画像を用いることができる。この場合、他人に画像を模倣された場合であっても、模倣された画像と異なる画像を使用することができ、セキュリティを向上することができる。また、使用する画像は、人体の一部を除いた画像であり、簡易な構成で一致するか否かを判断することができる。その結果、簡易な構成で、セキュリティを向上することができる。
【0038】
すなわち、この場合、ユーザが扉16から出て施錠する際に、第一の画像を用いて画像認識を行い第一の所定の情報として記憶しておき、扉16から解錠して入る際に、第一の画像を用いて画像認識を行い第二の所定の情報とし、記憶した第一の所定の情報に一致するか否かを判断する。そして、再びユーザが扉16から出て施錠する際に、第一の画像とは異なる第二の画像を用いて画像認識を行い第一の所定の情報として記憶しておく。このように、施錠する毎に個人認証用の画像を変えることができる。
【0039】
なお、S11において開始ボタンが押下されない場合には(S11において、NO)、押下されるまで動作しない。
【0040】
また、S16において標識がないと判断した場合、S21において面積がないと判断した場合、S25において形状を認識できなかった場合、S27、S29、S31において文字を認識できなかった場合、およびS35において色を認識できなかった場合には、例えば、インターホンに表示部を備える構成として、表示部に認識エラーを表示し、再度開始ボタンが押下されるまで待機してもよい。
【0041】
また、S42において、扉16を解錠後、第二のメモリ15に記憶したコード(第一の所定の情報)を削除する処理を追加してもよい。
【0042】
なお、上記の実施の形態においては、個人認証用の画像として、図7に示すような画像20を用いる例について説明したが、これに限ることなく、例えば、図13に示すような画像25aや、図14に示すような画像25bを用いてもよい。図13は、図7の画像20の他の例を示す図であって、図14は、図7の画像20のさらに他の例を示す図である。図13を参照して、画像25aは、図7の画像20の方向性の異なる形状29である。また、図14を参照して、画像25bは、右矢印の形状26の内部に「EF」という2列の文字27が描かれている。そして、右矢印の形状26の内部を青色28に塗りつぶして描かれている。
【0043】
また、上記の実施の形態においては、個人認証装置10が認証可能な色は、7色である例について説明したが、これに限ることなく、7色に加えて茶色も認識可能であってもよいし、8色以上を認識可能であってもよい。
【0044】
また、文字についても、アルファベットの大文字に加え、文字の大きさを認識することにより、アルファベットの小文字(a,b,c,・・z)を認識可能であってもよい。また、例えばひらがなを認識可能であってもよいし、カタカナや漢字、ギリシャ文字等、上記以外の他の文字を認識可能であってもよい。
【0045】
また、形状においても、長方形や八角形や楕円形等、図2に示す(a)〜(j)以外の形状を認識可能であってもよい。
【0046】
また、上記の実施の形態においては、形状を認識する際に、検出した頂点の座標と第二のメモリ15に記憶されている形状の頂点の座標とを比較して、パターンマッチングする例について説明したが、これに限ることなく、例えば、パターンマッチングする際に、検出した頂点の座標を例えば左上の頂点を基準として所定の角度回転させて左上以外の座標を補正することにより、補正後の頂点の座標と第二のメモリ15に記憶されている形状の頂点の座標とを比較して認識してもよい。こうすることにより、撮像した撮像画像データが傾いていた場合であっても、頂点の座標を補正して、適切にパターンマッチングすることができる。
【0047】
また、検出した頂点の座標を所定の角度回転させた場合には、それに応じて、文字においても同じ所定の角度回転させて補正することにより、補正後の文字と第二のメモリ15に記憶されている認識可能な文字のパターンとを比較して認識してもよい。
【0048】
また、上記の実施の形態においては、個人認証用の画像は、ユーザが保持する携帯端末に保存されたものであってもよい例について説明したが、これに限ることなく、例えば、携帯端末に複数の画像を保存しておき、複数の画像の中からユーザが任意に選択した画像であってもよい。この場合、例えば、携帯端末に暗証番号を入力して、画像がランダムに選択されるような構成であってもよい。
【0049】
また、上記の実施の形態においては、色、形状、および文字を組合わせた画像を認識する例について説明したが、これに限ることなく、形状のみであってもよいし、形状および文字を組合わせてもよいし、色および形状を組合わせてもよい。
【0050】
また、上記の実施の形態においては、個人認証装置10は、ハードウェアで実装される例について説明したが、これに限ることなく、ソフトウェアで実装されてもよい。
【0051】
また、個人認証装置10は、一人のユーザが利用する場合であっても、複数人のユーザが利用する場合であっても適用することができる。ここで、複数人のユーザが、個人認証装置10を用いて、扉16の錠を施錠または解錠する場合について説明する。
【0052】
例えば、Aさん、Bさん、およびCさんの3名が利用する場合について説明する。Aさんは、個人認証用の画像として、図2に示した形状のうち、円を使用する。Bさんは、個人認証用の画像として、図2に示した形状のうち、三角形を使用する。そして、Cさんは、個人認証用の画像として、図2に示した形状のうち、四角形を使用する。このように、ユーザ毎に、異なる個人認証用の画像を使用する場合について説明する。
【0053】
ここで、まず、Aさんが室外へ出て施錠する際に、個人認証装置10は、円の画像を画像認識し、画像認識した結果である第一の所定の情報として、円の所定のコードを第二のメモリ15に記憶する。このとき、第二のメモリ15には、円の所定のコードが記憶されている。
【0054】
次に、Bさんが室内から解錠後、室外へ出て施錠する際に、個人認証装置10は、三角形の画像を画像認識し、画像認識した結果である第一の所定の情報として、三角形の所定のコードを第二のメモリ15に記憶する。このとき、第二のメモリ15には、円の所定のコードと三角形の所定のコードとが記憶されている。
【0055】
そして、Aさんが室外から解錠して室内に入る際に、個人認証装置10は、円の画像を画像認識し、第二のメモリ15に既に記憶されている円の所定のコードに一致するか否かを判断し、判断した結果、一致することから解錠し、第二のメモリ15に記憶されている円の所定のコードを削除する。このとき、第二のメモリ15には、三角形の所定のコードが記憶されている。
【0056】
そして、Cさんが室内から解錠後、室外へ出て施錠する際に、個人認証装置10は、四角形の画像を画像認識し、画像認識した結果である第一の所定の情報として、四角形の所定のコードを第二のメモリ15に記憶する。このとき、第二のメモリ15には、三角形の所定のコードと四角形の所定のコードとが記憶されている。
【0057】
そして、Bさんが室外から解錠して室内に入る際に、個人認証装置10は、三角形の画像を画像認識し、第二のメモリ15に既に記憶されている三角形の所定のコードに一致するか否かを判断し、判断した結果、一致することから解錠し、第二のメモリ15に記憶されている三角形の所定のコードを削除する。このとき、第二のメモリ15には、四角形の所定のコードが記憶されている。
【0058】
そして、Cさんが室外から解錠して室内に入る際に、個人認証装置10は、四角形の画像を画像認識し、第二のメモリ15に既に記憶されている四角形の所定のコードに一致するか否かを判断し、判断した結果、一致することから解錠し、第二のメモリ15に記憶されている四角形の所定のコードを削除する。このとき、第二のメモリ15に、所定のコードは何も記憶されていない。
【0059】
このように、複数人のユーザが、個人認証装置10を用いて、扉16の錠を施錠または解錠する場合であっても、施錠時および解錠時に、画像認識を行うことにより、セキュリティを向上することができる。また、ユーザ毎に異なる画像を使用して、第二のメモリ15に複数の異なる所定のコードを記憶することができ、セキュリティを向上することができる。
【0060】
以上、図面を参照してこの発明の実施形態を説明したが、この発明は、図示した実施形態のものに限定されない。図示された実施形態に対して、この発明と同一の範囲内において、あるいは均等の範囲内において、種々の修正や変形を加えることが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0061】
この発明は、個人認証が必要となる場合に、有効に用いられる。
【符号の説明】
【0062】
9 インターホン、10 個人認証装置、11 画像認識メイン処理部、12 第一のメモリ、13 カメラ、14 扉開閉コントロール部、15 第二のメモリ、16 扉、20,25a,25b 画像、21,26,29 形状、22,27 文字、23,28 色。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
扉を解錠された状態で、人体の一部を除いた画像のデータを取得して画像を認識し、第一の所定の情報とする解錠時画像認識手段と、
前記第一の所定の情報を記憶する記憶手段と、
前記記憶手段により記憶後、扉を施錠するよう制御する施錠手段と、
扉を施錠された状態で、人体の一部を除いた画像のデータを取得して画像を認識し、第二の所定の情報とする施錠時画像認識手段と、
前記記憶手段により記憶した前記第一の所定の情報と、前記第二の所定の情報とが一致するか否かを判断する判断手段と、
前記判断手段により判断した結果、一致すると判断した場合に、扉を解錠するよう制御する解錠手段とを備える、個人認証装置。
【請求項2】
前記人体の一部を除いた画像は、色、形状、および文字のうちの少なくともいずれか一つを含む、請求項1に記載の個人認証装置。
【請求項3】
前記文字は、数字およびアルファベットのうちの少なくともいずれか一つを含む、請求項2に記載の個人認証装置。
【請求項4】
前記人体の一部を除いた画像は、ユーザにより手描きで描かれた画像である、請求項1〜3のいずれかに記載の個人認証装置。
【請求項5】
前記解錠時画像認識手段、および前記施錠時画像認識手段は、携帯端末のディスプレイに表示された画像を取得する、請求項1〜4のいずれかに記載の個人認証装置。
【請求項6】
扉を解錠された状態で、人体の一部を除いた画像のデータを取得して画像を認識し、第一の所定の情報とするステップと、
第一の所定の情報を記憶後、扉を施錠するよう制御するステップと、
扉を施錠された状態で、人体の一部を除いた画像のデータを取得して画像を認識し、第二の所定の情報とするステップと、
第一の所定の情報と、第二の所定の情報とが一致するか否かを判断するステップと、
判断した結果、一致すると判断した場合に、扉を解錠するよう制御するステップとを備える、個人認証方法。


【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate


【公開番号】特開2012−229571(P2012−229571A)
【公開日】平成24年11月22日(2012.11.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−99012(P2011−99012)
【出願日】平成23年4月27日(2011.4.27)
【出願人】(501321394)株式会社レイトロン (14)
【Fターム(参考)】