説明

偏光フィルムの仕分けシステムおよび仕分け方法

【課題】マークが付与された枚葉フィルムとマークが付与されていない枚葉フィルムとを人手なしに自動的に仕分けすることができる偏光フィルムの仕分けシステムおよび仕分け方法を提供する。
【解決手段】マークが一部に付与された複数の枚葉フィルム3の仕分けを行う仕分けシステムは、画像を撮像するCCDカメラ8と、CCDカメラ8によって撮像された画像に基づいて、枚葉フィルム3上に存在するマークを検知し、マークの位置を表すマーク検知信号CH0・CH1を出力する画像処理装置9と、マーク検知信号CH0・CH1に基づいて各枚葉フィルム3にマークが付与されているか否かを判定するPLC10と、PLC10による判定の結果に基づいて、上記複数の枚葉フィルム3を、マークが付与された枚葉フィルム3とマークが付与されていない枚葉フィルム3とに仕分けする仕分け装置11とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、欠陥部分を示すマークが一部に付与された複数の偏光フィルムを、欠陥部分を示すマークが付与された偏光フィルムと、上記マークが付与されていない偏光フィルムとに仕分けする偏光フィルムの仕分けシステムおよび仕分け方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
偏光フィルムは、通常、一定幅で長い帯状の状態で製造され、その状態で各種処理が施され、ロールに巻き取られて原反フィルム(全幅の偏光フィルム)とされる。その後、通常、原反フィルムはロールから巻き出され、巻き出された原反フィルムから製品仕様に従って所定形状の複数の枚葉フィルム(複数製品にカットされた偏光フィルム)が切り出される。
【0003】
そして、偏光フィルムを帯状の状態で欠陥検出装置によって欠陥検出し、検出された偏光フィルムの欠陥部位の近傍位置に対し、後の行程で欠陥部分の識別が容易になるように、フェルトペンやインクジェット等によってマークを付与する技術が実用化されている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
この技術によれば、原反フィルムから切り出された枚葉フィルムに欠陥部分があった場合、肉眼で判別し難い欠陥部分であっても、その近傍位置にマークが付与されているので、肉眼で容易にその存在を識別することができ、欠陥がある枚葉フィルムを不良品として製品から容易に取り除くことができる。
【特許文献1】特開2001−305070号公報(2001年10月31日公開)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記従来の技術では、欠陥検査後の工程で、原反フィルムをロールからから巻き出し、巻き出した原反フィルムを所定形状の複数の枚葉フィルムに断裁した後、マークを含む枚葉フィルムを肉眼で判別し、マークを含む枚葉フィルムを人手により除外する必要があった。
【0006】
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、マークが付与された枚葉フィルムとマークが付与されていない枚葉フィルムとを人手なしに自動的に仕分けすることができる偏光フィルムの仕分けシステムおよび仕分け方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る偏光フィルムの仕分けシステムは、上記課題を解決するために、マークが一部に付与された複数の偏光フィルムの仕分けを行う仕分けシステムであって、上記複数の偏光フィルムの画像を撮像する撮像手段と、上記撮像手段によって撮像された画像に基づいて、上記偏光フィルム上に存在するマークを検知し、マークの位置を表すマーク検知信号を出力するマーク検知手段と、上記マーク検知信号に基づいて、上記各偏光フィルムにマークが付与されているか否かを判定する判定手段と、上記判定手段による判定の結果に基づいて、上記複数の偏光フィルムを、マークが付与された偏光フィルムとマークが付与されていない偏光フィルムとに仕分けする仕分け手段とを備えることを特徴としている。
【0008】
上記の構成によれば、マークが付与された枚葉フィルムとマークが付与されていない枚葉フィルムとを人手なしに自動的に仕分けすることができる。
【0009】
本発明に係る仕分けシステムでは、上記複数の偏光フィルムは、偏光フィルムを検査して欠陥部分の近傍位置にマークを付与した後、偏光フィルムを複数の偏光フィルムに断裁することによって得られたものであり、上記撮像手段は、上記複数の偏光フィルムが間隔を空けて並べて搬送されている状態で撮像を行うものであり、上記偏光フィルム間のギャップの位置を検知し、ギャップの位置を表すフィルムギャップ検知信号を出力するフィルムギャップ検知手段がさらに備えられており、上記判定手段は、上記マーク検知信号と上記フィルムギャップ検知信号とに基づいて、上記各偏光フィルムにマークが付与されているか否かを判定することが好ましい。
【0010】
上記構成によれば、間隔を空けて並べて連続的に搬送される複数の偏光フィルムから、欠陥部分を示すマークを含む偏光フィルムを除外する連続的な仕分けを自動的に行うことができる。
【0011】
本発明に係る仕分けシステムでは、上記判定手段は、上記マーク検知信号におけるマークに対応するパルスと、上記フィルムギャップ検知信号におけるギャップに対応するパルスとが時間軸上で隣接していれば、そのギャップを挟む2つの偏光フィルムにマークが付与されていると判定することが好ましい。
【0012】
上記構成によれば、マークが断裁時に不均等に分断された場合であっても、両方の偏光フィルムにマークがあると判定することができる。したがって、例えばマークがその端ぎりぎりで分断された場合などであっても、小さく分断されたマークを含む偏光フィルムを、欠陥部分を示すマークが付与された偏光フィルムと判定することができ、欠陥部分を含む偏光フィルムが良品側へ仕分けられてしまうことを防止できる。
【0013】
本発明に係る仕分けシステムでは、上記判定手段は、上記マーク検知信号におけるパルスを時間軸方向の前後に伸長させ、その伸長されたパルスに、上記フィルムギャップ検知信号におけるギャップに対応するパルスの全体が重なっていれば、そのギャップを挟む2つの偏光フィルムにマークが付与されていると判定することが好ましい。
【0014】
上記構成によれば、偏光フィルムの端に付着した異物等に起因する、パルス幅の小さいパルスがフィルムギャップ検知信号におけるギャップに対応するパルスと時間軸上で隣接する位置に存在する場合であっても、そのギャップを挟む2つの偏光フィルムにマークが付与されていると誤判定してしまうことを防止できる。
【0015】
本発明に係る偏光フィルムの仕分け方法は、上記課題を解決するために、マークが一部に付与された複数の偏光フィルムの仕分けを行う仕分け方法であって、上記複数の偏光フィルムの画像を撮像するステップと、撮像された画像に基づいて上記偏光フィルム上に存在するマークを検知し、マークの位置を表すマーク検知信号を得るステップと、上記マーク検知信号に基づいて上記各偏光フィルムにマークが付与されているか否かを判定するステップと、上記判定の結果に基づいて、上記複数の偏光フィルムを、マークが付与された偏光フィルムとマークが付与されていない偏光フィルムとに仕分けするステップとを含むことを特徴としている。
【0016】
上記の方法によれば、マークが付与された枚葉フィルムとマークが付与されていない枚葉フィルムとを人手なしに自動的に仕分けすることができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明は、以上のように、マークが付与された枚葉フィルムとマークが付与されていない枚葉フィルムとを人手なしに自動的に仕分けすることができるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
〔実施の形態1〕
本発明の一実施形態について図1および図2に基づいて説明すると以下の通りである。図1は、本発明の実施の一形態に係る偏光フィルムの仕分けシステムの概略構成を示す模式図である。
【0019】
この仕分けシステムは、偏光フィルムに付与されたマークを検出し、検出結果に応じて偏光フィルムの仕分けを行うものであって、図1に示すように、ロール2と、搬送ローラ4・5と、エンコーダ6と、光源7と、撮像手段としてのCCD(charge-coupled device) カメラ8と、フィルムギャップ検知手段およびマーク検知手段としての画像処理装置9と、判定手段としてのPLC(Programmable Logic Controller) 10と、仕分け手段としての仕分け装置11とを備えている。
【0020】
この仕分けシステムには、マークが付与された偏光フィルムが、全幅の偏光フィルムである原反フィルム1として供される。偏光フィルムは、透光性であれば特に限定されるものではなく、偏光子フィルム層のみからなる単層のフィルムであってもよく、偏光子フィルム層と他の層とを積層してなる積層フィルムであってもよい。偏光子フィルム層の構成材料は、特に限定されるものではないが、例えば、ポリビニルアルコール系樹脂に二色性色素を吸着配向させたものである。上記他の層としては、特に限定されるものではなく、粘着剤層、保護フィルム層、剥離フィルム層、位相差フィルム層などが挙げられる。原反フィルム1のサイズは、例えば、幅1500mm、長さ1000mとすることができる。
【0021】
原反フィルム1は、前段の図示していない欠陥検出装置による検査で、傷、ムラ、付着異物、汚れ、気泡等の欠陥が検出され、前段の図示しないマーキング装置または人手によって、原反フィルム(全幅の偏光フィルム)の欠陥の位置を示すために原反フィルム1における欠陥部分の近傍位置にマークが付与され、ロール2に巻き取られて保管されているものとする。
【0022】
原反フィルム1に付与されているマークは、CCDカメラ8によって捉えることができるものであれば特に限定されない。原反フィルム1に対するマークの付与方法は、特に限定されるものではなく、公知の種々の方法で行うことができ、例えば、偏光フィルムの欠陥部分の近傍位置に対し、フェルトペン(例えば「マジック(登録商標)ペン」として市販されている製品)を用いたマーキング装置やインクジェット方式マーキング装置などのマーキング装置を用いて自動的に着色マーク(黒色マークや有彩色マークなど)を付与する特開2001−305070号公報に記載の方法、偏光フィルムの欠陥部分の近傍位置に対しフェルトペンなどを用いて人手で着色マークを付与する方法、偏光フィルムの欠陥部分の近傍位置に対し蛍光ペンを用いてマーキング装置または人手で蛍光マークを付与する方法、偏光フィルムの欠陥部分の近傍位置に対し偏光フィルムの欠陥部分の近傍位置表面に対し傷をマークとしてマーキング装置または人手で付与する方法などが挙げられる。原反フィルム1に対してマークを付与する際には、原反フィルム1の全面を碁盤の目状に複数の矩形領域に分割し、各矩形領域内に欠陥があった場合には、その欠陥の近傍にマークを付与するとよい。
【0023】
原反フィルム1に付与されるマークの形状および位置は、特に限定されるものではないが、例えば、特開2001−305070号公報に記載されている、偏光フィルムの欠陥部分に対し、偏光フィルムの幅方向の両側で予め定める範囲の近傍となる位置に付与された2本の線状のマークが好適である。原反フィルム1に付与されるマークが線状のマークである場合、その長手方向はどの方向であってもよい。マークのサイズも、特に限定されるものではないが、例えば、長さ2cm、幅2mmとすることができる。
【0024】
原反フィルム1は、ロール2から巻き出され、ロール2と搬送ローラ4・5との間に配置された図示しないフィルム切断装置へ搬送され、図示しないフィルム切断装置によって複数の所定サイズの矩形の断片である枚葉フィルム3に断裁される。
【0025】
断裁によって得られた複数の枚葉フィルム3は互いに間隔を空けて並べて、搬送ローラ4・5および図示しない搬送コンベアによって仕分け装置11へ搬送される。隣接する枚葉フィルム3間のギャップは、特に限定されるものではないが、例えば5mmとすることができる。枚葉フィルム3の搬送速度は、特に限定されるものではないが、例えば200mm/s(12m/min)とすることができる。枚葉フィルム3間のギャップが5mmであり、枚葉フィルム3の搬送速度が200mm/sである場合、CCDカメラ8によって撮像される1点を枚葉フィルム3間のギャップ(間隙)が通過するのに要する時間は、0.025秒である。
【0026】
原反フィルム1に付与されているマークが着色マークや傷などのような可視マークである場合、光源7としては、可視光を発する光源、例えば白色灯や蛍光灯などを用いればよい。また、原反フィルム1に付与されているマークが蛍光マークである場合、光源7としては、紫外線ランプなどを用いればよい。
【0027】
枚葉フィルム3が搬送されている状態で、搬送ローラ4・5の間であって枚葉フィルム3の下方に配置された光源7から光を枚葉フィルム3に照射し、枚葉フィルム3の透過画像を、枚葉フィルム3の上方に配置されたCCDカメラ8で撮像して画像信号に変換し、CCDカメラ8から画像処理装置9へと出力する。
【0028】
CCDカメラ8は、特に限定されるものではないが、例えば、解像度が250μm/画素であり、X方向(枚葉フィルム3の搬送方向に直交し、かつ枚葉フィルム3に平行な方向)の撮像サイズが6000画素であり(X方向の視野サイズ:1500mm)、カメラクロックが40MHzであり、スキャンレートが10000パルスであり、走査速度が4000走査/秒であり、キャプチャ時間が0.008秒であり、1キャプチャあたりのY方向(枚葉フィルム3の搬送方向)の撮影サイズが32画素分すなわち1.6mmであるラインセンサとすることができる。なお、CCDカメラ8に代えて、CCD以外の撮像素子を用いたカメラを用いてもよい。また、CCDカメラ8が出力する画像信号の形態は、特に限定されるものではないが、例えば256階調のデジタル画像信号とすることができる。
【0029】
画像処理装置9は、CCDカメラ8から出力された画像信号を画像処理することによって、3チャンネルの2値信号であるマーク検知信号CH0・CH1およびフィルムギャップ検知信号CH2に変換する。画像処理装置9は、例えば、画像処理ソフトウェアがインストールされたパーソナル・コンピュータで実現される。
【0030】
画像処理装置9は、CCDカメラ8から出力された画像信号に基づいて、搬送方向の逆方向から見て(仕分け装置11から見て)左側の枚葉フィルム3上に存在するマークを検知し、マークの位置を表すマーク検知信号CH0を出力する。マーク検知信号CH0は、左側の列の枚葉フィルム3でのマーク検出中にオン(ハイ)レベルとなる2値信号であり、したがって左側の列の枚葉フィルム3上のマークに対応するパルスを含んでいる。マーク検知信号CH0は、例えば、CCDカメラ8から出力される左側の列の枚葉フィルム3に対応する部分の画像信号の階調値が閾値(例えば、画像信号が0〜255の階調値を持つデジタル信号である場合、64)以下のときにハイレベルとなり、CCDカメラ8から出力される画像信号の階調値が閾値を超えているときにローレベルとなる。
【0031】
画像処理装置9は、CCDカメラ8から出力された画像信号に基づいて、搬送方向の逆方向から見て(仕分け装置11から見て)右側の枚葉フィルム3上に存在するマークを検知し、マークの位置を表すマーク検知信号CH1を出力する。マーク検知信号CH1は、右側の列の枚葉フィルム3でのマーク検出中にオン(ハイ)レベルとなる2値信号であり、したがって右側の列の枚葉フィルム3上のマークに対応するパルスを含んでいる。マーク検知信号CH1は、例えば、CCDカメラ8から出力される右側の列の枚葉フィルム3に対応する部分の画像信号の階調値が閾値(例えば、画像信号が0〜255の階調値を持つデジタル信号である場合、64)以下のときにハイレベルとなり、CCDカメラ8から出力される画像信号の階調値が閾値を超えているときにローレベルとなる。
【0032】
画像処理装置9は、CCDカメラ8から出力された画像信号に基づいて、枚葉フィルム3間のギャップ(間隙、フィルムギャップ)の位置を検知し、ギャップの位置を表すフィルムギャップ検知信号を出力する。マーク検知信号CH2は、枚葉フィルム3間のギャップ検出中にオン(ハイ)レベルとなる2値信号であり、したがって枚葉フィルム3間のギャップに対応するパルスを含んでいる。マーク検知信号CH2は、例えば、CCDカメラ8から出力される右側の列の枚葉フィルム3に対応する部分の画像信号の階調値が閾値(例えば、画像信号が0〜255の階調値を持つデジタル信号である場合、214)以上のときにハイレベルとなり、CCDカメラ8から出力される画像信号の階調値が閾値を下回っているときにローレベルとなる。マーク検知信号CH0・CH1およびフィルムギャップ検知信号CH2の例を図2に示す。
【0033】
画像処理装置9は、マーク検知信号CH0・CH1およびフィルムギャップ検知信号CH2を含むプロセス入出力(PIO)信号をPLC10へ出力する。画像処理装置9が出力するマーク検知信号CH0・CH1およびフィルムギャップ検知信号CH2の更新周期は、例えば、CCDカメラ8が上記例のラインセンサである場合、8msとすることができる。
【0034】
PLC10は、画像処理装置9から得られるマーク検知信号CH0・CH1およびフィルムギャップ検知信号CH2に基づいて、各枚葉フィルム3にマークが付与されているか否かを判定する。すなわち、PLC10は、フィルムギャップ検知信号CH2におけるフィルムギャップ(および外側のフィルムがない部分)に対応するパルス間に、マーク検知信号CH0・CH1におけるマークに対応するパルスが存在するかによって、各枚葉フィルム3にマークが付与されているか否かを判定する。さらに、PLC10は、エンコーダ6からPLC10に出力される枚葉フィルム3の搬送速度を表す速度信号に基づいて、マークが付与された枚葉フィルム3が仕分け装置11の位置にあるかを判定し、その判定結果に応じて仕分け装置11を制御する。
【0035】
仕分け装置11は、PLC10による判定の結果に基づいて、複数の枚葉フィルム3を、マークが付与された枚葉フィルム3とマークが付与されていない枚葉フィルム3とに仕分けし、マークが付与された枚葉フィルム3を不良品として製品(良品)から除外し、マークが付与されていない枚葉フィルム3を製品とする。
【0036】
以上のようにして、本実施形態では、マークが付与された枚葉フィルムとマークが付与されていない枚葉フィルムとを人手なしに自動的に仕分けすることができる。
【0037】
〔実施の形態2〕
本発明の他の実施の形態について図1および図3に基づいて説明すれば、以下の通りである。なお、説明の便宜上、前記実施の形態1にて示した各部材と同一の機能を有する部材には、同一の符号を付記し、その説明を省略する。
【0038】
原反フィルム1に付与されたマークが断裁時に不均等に分断され、その結果としてマークが2つの枚葉フィルム3に跨って存在する場合、図3に示すように、マーク検知信号CH1において、分断されたマークのうちで小さい方のマークに対応するパルス(破線で示すパルス)が消失し、分断されたマークのうちで大きい方のマークに対応するパルス(破線で示すパルスの右にある実線で示すパルス)しか存在しないことがある。この場合、単純にマーク検知信号CH0・CH1のパルスに対応する枚葉フィルム3にマークが存在すると判定する実施の形態1の方法では、分断されたマークのうちで小さい方のマークが付与された枚葉フィルム3については、その枚葉フィルム3にマークが付与されていることを検出できず、その小さい方のマークが付与された枚葉フィルム3を良品と誤判定してしまう恐れがある。そのため、欠陥部分を含む枚葉フィルム3を良品の方に仕分けしてしまい、欠陥部分を含む枚葉フィルム3が良品側へ流出してしまう恐れがある。
【0039】
そこで、本実施の形態2に係る発明は、マークが断裁時に不均等に分断されて小さい方のマークが検出しにくい場合であっても、その小さい方のマークが付与された枚葉フィルム3を不良品として確実に除外できる仕分け方法を提供することを目的とする。
【0040】
本実施形態に係る仕分けシステムは、図1に示す実施の形態1に係る仕分けシステムにおいて、PLC10が各枚葉フィルム3にマークが判定されているかを判定する方法のみが異なるものである。
【0041】
本実施形態に係る仕分けシステムでは、上記目的を達成するために、PLC10は、枚葉フィルム3間のギャップに対向する枚葉フィルム3の端部にマークがあった場合には、その端部にギャップを挟んで隣接する他の枚葉フィルム3にもマークが付与されているとし、両方の枚葉フィルム3にマークが付与されていると判別する。すなわち、PLC10は、マーク検知信号CH0・CH1におけるマークに対応するパルスと、フィルムギャップ検知信号CH2におけるギャップに対応するパルスとが時間軸上で隣接していれば、そのギャップを挟む2つの枚葉フィルム3にマークが付与されていると判定する。
【0042】
これにより、マークが断裁時に不均等に分断された場合、例えばマークがその端ぎりぎりで分断された場合などであっても、両方の枚葉フィルム3にマークがあると判定することができる。したがって、上記のような場合であっても、小さく分断されたマークを含む枚葉フィルム3を、欠陥部分を示すマークが付与された枚葉フィルム3と判定することができ、欠陥部分を含む枚葉フィルム3が良品側へ流出するミスを防止できる。
【0043】
PLC10の上記判定方法を実現する方法としては、PLC10が、マーク検知信号CH0・CH1におけるパルスを時間軸方向の前後に伸長させ、パルスを時間軸方向の前後に伸長させたマーク検知信号CH0’・CH1’をフィルムギャップ検知信号CH2と比較し、フィルムギャップ検知信号CH2におけるギャップに対応するパルスの全体が、時間軸方向の前後に伸長されたマーク検知信号CH0’・CH1’のパルスと重なっていれば、そのギャップを挟む2つの枚葉フィルム3の両方にマークが付与されていると判定する方法が好ましい。すなわち、PLC10は、フィルムギャップ検知信号CH2におけるギャップに対応するパルスの全体が時間軸方向の前後に伸長させたマーク検知信号CH0’・CH1’のパルスに重なっていれば、伸長前のパルスに対応する枚葉フィルム3にマークが付与されていると判定すると共に、その枚葉フィルム3にギャップを挟んで隣接する枚葉フィルム3にもマークがあると判定することが好ましい。
【0044】
PLC10の上記判定方法を実現する他の方法としては、PLC10が、上記マーク検知信号CH0・CH1において、フィルムギャップ検知信号CH2におけるギャップに対応するパルスと時間軸上で隣接する位置にパルスが存在すれば、無条件にそのギャップを挟む2つの枚葉フィルム3にマークが付与されていると判定する方法が考えられる。しかしながら、そのような方法では、枚葉フィルム3の端に付着した異物等に起因する、パルス幅の小さいパルスがフィルムギャップ検知信号CH2におけるギャップに対応するパルスと時間軸上で隣接する位置に存在する場合にも、そのギャップを挟む2つの枚葉フィルム3にマークが付与されていると誤判定してしまう恐れがある。
【0045】
これに対し、上述したマーク検知信号CH0・CH1におけるパルスを時間軸方向の前後に伸長させる方法によれば、枚葉フィルム3の端に付着した異物等に起因する、パルス幅の小さいパルスがフィルムギャップ検知信号CH2におけるギャップに対応するパルスと時間軸上で隣接する位置に存在する場合であっても、そのギャップを挟む2つの枚葉フィルム3にマークが付与されていると誤判定してしまうことがない。したがって、上記方法では、マークを、枚葉フィルム3の端に付着した異物等の周辺欠陥と識別して検出することができる。
【0046】
なお、枚葉フィルム3は、特に、粘着剤(糊)層を挟む複数のフィルム層から構成される多層構造である場合に、その端から粘着剤がはみ出てその粘着剤に異物が付着することがしばしばあり、その結果として枚葉フィルム3の端に異物が付着することがしばしば起こりえる。
【0047】
マーク検知信号CH0・CH1のパルスを時間軸方向の前後に伸長させる方法としては、公知の種々の方法を採用することができるが、例えば以下の方法を用いればよい。すなわち、まず、パルスを時間軸方向の後方へ伸長させる分だけマーク検知信号CH0・CH1におけるパルスの立下りを遅延させることで、マーク検知信号CH0・CH1におけるパルスを時間軸方向の後方へ伸長させる。マーク検知信号CH0・CH1におけるパルスの立下りを遅延させるには、例えば振幅電圧をパルス幅より長い時間にわたって保持する回路を用いればよい。また、マーク検知信号CH0・CH1におけるパルスを時間軸方向の前方(過去)へ伸長させることは、マーク検知信号CH0・CH1の信号処理のみによる直接的な方法では不可能であるが、パルスを時間軸方向の前方へ伸長させる分だけフィルムギャップ検知信号CH2を遅延させると共に、パルスを時間軸方向の前方へ伸長させる分だけマーク検知信号CH0・CH1におけるパルスの立下りをさらに遅延させることで、間接的に実現可能である。マーク検知信号CH0・CH1におけるパルスを時間軸方向の前後に伸長させる幅は、CCDカメラ8および画像処理装置9によって検出可能な最小のマーク長さと、原反フィルム1へのマーキング(マーク付与)の位置精度とに基づいて決定すればよい。
【0048】
(マーク検知アルゴリズム)
なお、実施の形態1および2の方法における画像処理装置9による信号処理の際には、例えば以下のマーク検知アルゴリズムを採用できる。
【0049】
まず、CCDカメラ8から出力された画像信号から、X座標が枚葉フィルム3の存在する範囲内の左端であると予想される値nXStartから、X座標が枚葉フィルム3の存在する範囲内の右端であると予想される値nXEndまでの範囲を取り出し、その範囲の画像信号をY方向に沿った分割線によってn個の部分に分割する。このとき、分割数nは、X方向に並ぶ枚葉フィルム3の数をnColumn(図1では2)、各枚葉フィルム3を分割する分割線の数をnLineとすると、
n=nColumn×(nLine+1)
となる。nLineは、例えば3とすることができる。そして、各分割線について階調値を求めることによりY方向のプロファイルを求めることができる。このうち、枚葉フィルム3内を通過する分割線の本数は、nColumn×nLine(本)である。このnColumn×nLine(本)のプロファイルの平均プロファイル(フィルム内平均プロファイル)を求めて配列に格納し、Y座標の変化による階調値(平均)の変化を求める。そして、各分割部分の画像信号について、階調値(平均)が閾値nThresholdLight(例えば214)を下回る、Y座標の範囲を、Y方向フィルム範囲(ROI)とする。以上のようにして、Y方向フィルム範囲を求めることができる。
【0050】
なお、各分割部分の画像信号について、階調値(平均)が閾値nThresholdLight(例えば214)以上であるY座標の範囲が見つかった場合には、フィルムギャップ発見を示すフラグを1とし、階調値(平均)が閾値nThresholdLight(例えば214)以上であるY座標の範囲が見つからなかった場合には、フィルムギャップ発見を示すフラグを0とする。
【0051】
次に、各枚葉フィルム3のX方向の仮中心(各枚葉フィルム3のX方向の概略中心)nXCenter[k]を以下の式
nXCenter[k]=nXStart+((nXEnd−nXStart)/nColumn/2)×(2×k+1)
(kは0≦k≦nColumn−1を満たす整数)
によって求める。また、CCDカメラ8から出力された画像信号について、X座標が等しい複数の画素間における階調値の平均(水平方向の平均プロファイル)を求め、X座標の変化による階調値(平均)の変化を求める。そして、X座標の変化による階調値(平均)の変化に基づいて、各枚葉フィルム3のX方向の仮中心から+X方向および−X方向のそれぞれへ各枚葉フィルム3のエッジを探すことによって、各枚葉フィルム3の−X方向側エッジの座標および+X方向側エッジの座標を求める。以上のようにして、X方向フィルム範囲を求めることができる。
【0052】
この後、必要に応じて求められたY方向フィルム範囲およびX方向フィルム範囲が妥当であるかをチェックした後、X方向フィルム範囲内におけるX座標の変化による階調値(平均)の変化に基づいて、マークがどの枚葉フィルム3にあるかを検知する。X方向フィルム範囲内におけるX座標の変化による階調値(平均)の変化に基づいて、マークがどの枚葉フィルム3にあるかを検知する際には、X方向フィルム範囲内におけるX座標の変化による階調値(平均)の変化を平滑化し、X座標が1つ大きくなる毎の階調値(平滑化した階調値)の増分を求め、その増分がX方向フィルム範囲内におけるX座標の変化によってどのように変化するかに基づいてマークがどの枚葉フィルム3にあるかを検知してもよい。
【0053】
なお、前述した実施形態では、枚葉フィルム3の画像を撮像する方法として、光源7から光を枚葉フィルム3に照射し、その透過画像をCCDカメラ8で撮像する方法を採用していた。しかしながら、光源7から光を枚葉フィルム3に照射し、その反射画像をCCDカメラ8で撮像する方法を採用してもよい。この方法は、透光性の枚葉フィルム3だけでなく、透光性でない枚葉フィルム3にも適用できる。
【0054】
また、前述した実施形態では、原反フィルム1に付与されているマークは、CCDカメラ8によって撮像された枚葉フィルム3の透過画像によって検知できるものであったが、CCDカメラ8によって枚葉フィルム3の反射画像を撮像する場合には、原反フィルム1に付与されているマークは、CCDカメラ8によって撮像された枚葉フィルム3の反射画像によって検知できるものであってもよい。
【0055】
また、前述した実施形態では、画像処理装置9がフィルムギャップ検知信号CH2をPLC10へ出力し、PLC10が、マーク検知信号CH0・CH1とフィルムギャップ検知信号CH2とに基づいて、各枚葉フィルム3がマークを含むか否かを判定するようになっていた。しかしながら、画像処理装置9がフィルムギャップ検知信号CH2を出力する代わりに、フィルム切断装置が裁断タイミングを示す裁断タイミング信号をPLC10へ出力し、PLC10が、マーク検知信号CH0・CH1と裁断タイミング信号とに基づいて、各枚葉フィルム3がマークを含むか否かを判定するようにしてもよい。
【0056】
また、前述した実施形態では、原反フィルム1を検査して欠陥部分の近傍位置にマークを付与した後、原反フィルム1を複数の断片に断裁し、得られた複数の断片(枚葉フィルム3)を間隔を空けて並べて搬送し、この搬送状態下でCCDカメラ8による撮像を行うものであった。しかしながら、複数の枚葉フィルム3を1枚ずつ固定した状態で、CCDカメラ8による撮像を行ってもよい。また、上記マークは、欠陥部分の近傍位置に付与されるものでなく、検査に合格したことを示すマークであってもよい。また、フィルム検査は、断裁前でなく断裁後に行ってもよい。
【0057】
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0058】
本発明は、偏光フィルムの仕分けを人手に頼らず自動的に行うことができるものであるので、偏光フィルムおよび偏光フィルムを用いた各種製品の製造に利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】本発明の実施の一形態に係る偏光フィルムの仕分けシステムの概略構成を示す模式図である。
【図2】上記仕分けシステムの画像処理装置から出力されるフィルムギャップ検知信号およびマーク検知信号の例を示す信号波形図である。
【図3】上記仕分けシステムの画像処理装置から出力されるフィルムギャップ検知信号、マーク検知信号、およびマーク検知信号を時間軸方向に伸長してなる信号の例を示す信号波形図である。
【符号の説明】
【0060】
1 原反フィルム(偏光フィルム)
3 枚葉フィルム(偏光フィルム)
8 CCDカメラ(撮像手段)
9 画像処理装置(フィルムギャップ検知手段、マーク検知手段)
10 PLC(判定手段)
11 仕分け装置(仕分け手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
マークが一部に付与された複数の偏光フィルムの仕分けを行う仕分けシステムであって、
上記複数の偏光フィルムの画像を撮像する撮像手段と、
上記撮像手段によって撮像された画像に基づいて、上記偏光フィルム上に存在するマークを検知し、マークの位置を表すマーク検知信号を出力するマーク検知手段と、
上記マーク検知信号に基づいて、上記各偏光フィルムにマークが付与されているか否かを判定する判定手段と、
上記判定手段による判定の結果に基づいて、上記複数の偏光フィルムを、マークが付与された偏光フィルムとマークが付与されていない偏光フィルムとに仕分けする仕分け手段とを備えることを特徴とする偏光フィルムの仕分けシステム。
【請求項2】
上記複数の偏光フィルムは、偏光フィルムを検査して欠陥部分の近傍位置にマークを付与した後、偏光フィルムを複数の断片に断裁することによって得られたものであり、
上記撮像手段は、上記複数の偏光フィルムが互いに間隔を空けて並べて搬送されている状態で撮像を行うものであり、
上記偏光フィルム間のギャップの位置を検知し、ギャップの位置を表すフィルムギャップ検知信号を出力するフィルムギャップ検知手段がさらに備えられており、
上記判定手段は、上記マーク検知信号と上記フィルムギャップ検知信号とに基づいて、上記各偏光フィルムにマークが付与されているか否かを判定することを特徴とする請求項1記載の仕分けシステム。
【請求項3】
上記判定手段は、上記マーク検知信号におけるマークに対応するパルスと、上記フィルムギャップ検知信号におけるギャップに対応するパルスとが時間軸上で隣接していれば、そのギャップを挟む2つの偏光フィルムにマークが付与されていると判定することを特徴とする請求項2記載の仕分けシステム。
【請求項4】
上記判定手段は、上記マーク検知信号におけるパルスを時間軸方向の前後に伸長させ、その伸長されたパルスに、上記フィルムギャップ検知信号におけるギャップに対応するパルスの全体が重なっていれば、そのギャップを挟む2つの偏光フィルムにマークが付与されていると判定することを特徴とする請求項3記載の仕分けシステム。
【請求項5】
マークが一部に付与された複数の偏光フィルムの仕分けを行う仕分け方法であって、
上記複数の偏光フィルムの画像を撮像するステップと、
撮像された画像に基づいて上記偏光フィルム上に存在するマークを検知し、マークの位置を表すマーク検知信号を得るステップと、
上記マーク検知信号に基づいて上記各偏光フィルムにマークが付与されているか否かを判定するステップと、
上記判定の結果に基づいて、上記複数の偏光フィルムを、マークが付与された偏光フィルムとマークが付与されていない偏光フィルムとに仕分けするステップとを含むことを特徴とする偏光フィルムの仕分け方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2009−244063(P2009−244063A)
【公開日】平成21年10月22日(2009.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−90435(P2008−90435)
【出願日】平成20年3月31日(2008.3.31)
【出願人】(000002093)住友化学株式会社 (8,981)
【Fターム(参考)】