説明

偏光分離素子

【課題】偏光分離素子を容易に作製でき、かつ回折格子部分に材料を容易に充填できるようにすること、さらに再現性や均一性の向上、組立工程の簡略化、高効率化を図る。
【解決手段】光学的等方性基板1上に光学的異方性膜2を作製し、その表面に凹凸状の周期構造を形成し、その凹部5a,5bに光学的に透明で、その屈折率が光学的異方性膜2の常光線方向屈折率、あるいは異常光線方向屈折率と同一である材料3を埋め込んだ偏光分離素子で、2つの基板2a,2bの凸凹状の周期構造面を合わせて形成する場合に、凸部分4aと4bを合わせるか、あるいは凸部分4a(4b)と凹部分5b(5a)を合わせて構成する。また、光学的異方性材料を有機材料である、ポリイミドを使用し、これを延伸することにより異方性を加える。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、主に光ディスクや光磁気ディスクのピックアップ用光学部品、あるいは光アイソレータ等の光学部品において、偏光を分離させるための素子に関し、特に光学基板表面に周期構造を形成してなる、偏光分離素子に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、光ディスクピックアップ用光学素子や、光アイソレータ等に使用される、偏光方向によって回折効率の異なる偏光分離素子は、様々な構成のものが提案されている。以下に、それらの従来例を示して問題点等を説明する。■第一の例として、例えば特開平7-287117号公報に記載の偏光ビームスプリッタがある。この素子は、光学的異方性基板上に回折格子形状を形成し、その溝部に屈折率を規定した材料を充填してなる変更ビームスプリッタである。このような構成にすることによって、偏光の分離角度や効率が大きくでき、かつ充填する材料の屈折率を規定することによって、材料の選択の幅が広がる。しかしながら、このような構成によっても、偏光の分離角度を大きくするような設計や効率を大きくする様な設計を行う場合には、回折格子ピッチの狭ピッチ化や回折格子の深さを深く形成しなければならなくなり、その際に溝部分に材料を充填することが困難になってくる。また、そのために充填する工程が複雑になってしまう。また、液状の部材を塗布して、溝部分に充填した場合においても、表面に大きなうねりが生じてしまい、波面の乱れをおこしてしまう可能性がある。また、この構成では、光学的異方性を持つ結晶を用いているために、コスト的にも高価になってしまう。
【0003】■第二の従来例として、例えば特開平9-61627号公報に記載の偏光分離素子がある。これは、上記第一従来例の偏光分離素子を改善したものである。光学的異方性膜として酸化チタン膜を使用し、屈折率の異方性の大きさを大きくし、格子深さや膜厚などの改善を行っている。また、温度に対して屈折率が安定な膜であり、安定性も向上している。しかしながら、これに関しても、偏光の分離角度を大きくするような設計や効率を大きくする様な設計を行う場合には、回折格子ピッチの狭ピッチ化や回折格子の深さを深く形成しなければならなくなり、その際に溝部分に材料を充填することが困難になってくる。また、そのために充填する工程が複雑になってしまう。また、液状の部材を塗布し、溝部分に充填した場合においても、表面に大きなうねりが生じてしまい、波面の乱れをおこしてしまう可能性がある。■第三の従来例として、例えば特開平9-127333号公報に記載の回折格子型偏光板がある。この従来例は、上記■に示した従来例と同様に、光学的な異方性基板上に回折格子形状を作製し、偏光を分離できる素子となっている。回折格子形状部分と光学素子を接着剤等を用いて接着することにより、埃等の影響をなくしている。しかしながら、このような構成では、接着剤の選定(屈折率)が限られてくること、および完全に接着剤を介して光学素子を一体化しているために、平行度のずれが生じる場合や、それによる作製工程の増加が予測されること、が考えられる。また、平行度のずれによって光学的なばらつきが生じてしまい、歩留まり等も小さくなる。つまり、従来は上記のような問題点が、偏光角度や効率を大きくする偏光分離素子を作成する際に存在しており、従って、容易に作製することは困難であった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】このように、従来の技術では、■回折格子ピッチの狭ピッチ化や回折格子の深さを深く形成することが困難であり、また溝部分に材料を充填することも困難であるため、充填する工程が複雑になる。■接着剤の選定(屈折率)が限られてくること、および完全に接着剤を介して光学素子を一体化しているために、平行度のずれが生じる場合や、それにより作製工程が増加すること、および平行度のずれによって光学的なばらつきが生じてしまい、歩留まり等も小さくなること、が予想される。
【0005】そこで、本発明の目的は、これら従来の課題を解決し、容易に素子を作製することができ、かつ容易に回折格子部分に材料を充填することができる偏光分離素子を提供することにある。また、本発明の他の目的は、組立工程を簡略化することができ、かつ全ての工程において高効率化を図ることができる偏光分離素子を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため、本発明の偏光分離素子では、■光学的等方性基板上に光学的異方性膜を作製し、その表面に凹凸状の周期構造を形成し、その凹部に、光学的に透明で、その屈折率が光学的異方性膜の常光線方向屈折率、もしくは異常光線方向屈折率と同一である材料を埋め込んでなる偏光分離素子において、凸凹状の対応する周期構造面を合わせて形成する。これにより、その偏光分離素子に、光の偏光方向によって素子を完全に透過する偏光方向と回折される偏光方向とに光を分離する機能を持たせることができる。詳述すると、光学的異方性膜に形成された回折格子形状によって回折が行われるが、このままでは両偏光共に回折が起こる。そのため、本発明では、前記光学的異方性膜の常光線方向の屈折率、もしくは異常光線方向の屈折率と屈折率が同様な光学的に透明な材料で、その周期構造の凹部分を埋め込むことにより、一方の偏光に関しては回折格子を感じないで素子を透過することが出来るようにする。また、直行する偏光方向においては、周期的な屈折率変化が存在するので、光は回折することになる。
【0007】■上記■の偏光分離素子において、合わせる周期構造の凸部分同士を合わせる構造を用いる。これによって、周期構造の高さが半分になり、作製が容易になる。また、高さが低くなることで樹脂の埋め込みも容易になる。その機能動作は、上記■に述べたものと同様である。
■上記■の偏光分離素子において、合わせる周期構造の凸と凹を合わせる構造を用いる。これによって、周期構造の周期が半分になり、作製が容易になる。また、周期が半分になることで樹脂の埋め込みも容易になる。その機能動作は、上記■に述べたものと同様である。
■上記■の偏光分離素子と同じように、凸凹状の対応する周期構造面を合わせて形成するか、合わせる周期構造の凸部分同士を合わせる構造を用いるか、あるいは、合わせる周期構造の凸と凹を合わせる構造を用いる。本発明では、その際に、張り合わせる2枚の光学的等方性基板上に作製された光学的異方性膜は、同一の物とする。このことによって、作製される偏光分離素子の再現性や均一性が向上するだけでなく、同一基板から作製することができるようになり、作製工程も簡略化される。その機能動作は、上記■で述べたものと同様である。
■上記■の偏光分離素子と同じように、凸凹状の対応する周期構造面を合わせて形成するか、合わせる周期構造の凸部分同士を合わせる構造を用いるか、合わせる周期構造の凸と凹を合わせる構造を用いるか、あるいは、その際に、張り合わせる2枚の光学的等方性基板上に作製された光学的異方性膜は、同一の物とする。本発明では、その際に、基板を合わせるための位置合わせガイドを設ける構造を用いる。これによって、効率などの特性の均一性が取れるばかりでなく、組み付け工程の簡略化も出来る。その機能動作は、上記■で述べたものと同様である。
【0008】■上記■に述べた構造と同様であるが、本発明では、光学的異方性膜が斜め蒸着で製膜されている構造を用いる。このことによって、光学的な異方性を大きくすることが出来る為、効率や回折格子形状の設計の幅が拡がることになる。その機能動作は、上記■で述べたものと同様である。
■上記■で述べた構造と同様であるが、本発明では、光学的異方性膜が酸化タンタルである構造となっている。このことによって、光学的な異方性を大きくすることが出来る為、効率や回折格子形状の設計の幅が拡がることになる。その機能動作は、上記■で述べたものと同様である。
■上記■に述べた構造と同様であるが、本発明では、光学的異方性膜が延伸された有機膜である構造となっている。このことによって、作製が容易になる。その機能動作は、上記■で述べたものと同様である。
【0009】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施例を、図面により詳細に説明する。
(第1の実施例)図1は、本発明の第1の実施例を示す偏光分離素子の断面構造図である。本実施例の構造では、図1に示すように、光学的等方性基板1上に光学的異方性膜2を形成した基板2a,2b上に回折格子形状を形成した基板2a,2b同士を、その回折格子の凸部分4a,4bを合わせる様に張り合わせ、その凹部分5a,5bには光学的に透明で、屈折率が光学的異方性膜2の異常光線方向屈折率に合わせた樹脂3で埋め込んで構成する。両方から合わせている二枚の基板2a,2bはほぼ同様の構成となっており、基板1はパイレックスガラスを用いている。光学的な異方性膜2は斜め蒸着で作製した五酸化タンタル膜であり、膜厚はそれぞれ8μmにする。異方性を示す常光線方向と異常光線方向の屈折率差は0.06となっている。常光線方向の屈折率は1.65であり、異常光線方向の屈折率は1.59となっている。この際の波長は635nmとする。
【0010】回折格子の形状は1μmライン(凸部分4a,b)と1μmスペース(凹部分5a,b)パターンであり、格子深さは2.65μmとしている。格子深さに関しては、二枚の基板2a,2bを合わせることにより、合計5.3μmの深さとなり、これによって必要な回折格子の深さが得られる。すなわち、周期は2μm周期で深さが5.3μmの矩形回折格子形状となる。回折格子の形成は、レジストマスクを用いた異方性ドライエッチングで形成している。エッチングガスとしてはフッ素系のCF4ガスもしくはCHF3ガスなどを用いて作製した。上記の様に、二枚の回折格子面を合わせて接着することで、本実施例の偏光分離素子を形成することが出来る。この場合の接着剤は、周期構造の凹部分5a,5bに埋め込みを行っている樹脂をそのまま使用して、接着を行っている。
【0011】次に、本実施例の動作について説明する。本実施例においては、偏光分離素子に、光の直交する偏光方向によって光を分離する機能を持たせることである。図1において、光学的異方性膜2の常光線屈折率方向を紙面と平行方向とし、異常光線屈折率方向を紙面と垂直な方向で素子を作製しているが、異方性膜2の常光線方向では回折格子の凹部分5a,5bに異常光線方向と同様の屈折率の材料が充填されていることと同様となり、屈折率差が0.06の回折格子が存在することになる。すなわち、常光線方向の偏光方向は光が素子を通過することで回折がおき、回折光が発生することになる。一方、異常光線方向の偏光に関しては、屈折率の周期構造がない状態になり、回折は一切起こらないことになる。すなわち、光は素子を通過することになる。ここで、異常光線屈折率方向の偏光に関しても、0次回折光は存在する。これは透過光となるが、回折格子の深さを5.3μmとすることで、高屈折率部分と低屈折率部分の透過光同士の位相が半波長ずれることになるため、互いに打ち消しあい、透過光が存在しなくなることになる。これによって、偏光を完全に分離することが出来る。
【0012】本実施例においては、偏光分離素子を回折格子形状を形成した基板2a,2b同士を、その回折格子の凸部分4a,4bを合わせる様に張り合わせている。これによって、回折格子形状を形成する場合のエッチング深さが半分になり、素子の作製が容易になる。また、回折格子形状の深さが半分になることにより、樹脂の充填も容易になる。また、作製を行う際に二枚の合わせる基板を同一の基板から作製している。これによって、作製の容易化が図られ、また、素子の均一性や再現性が良好になる。また、図1に示すように、両基板2a,2bとが両端で嵌め込みにより、張り合わせのガイドを持っている様な構造にしている。これは回折格子作製の際に同時に作製しており、これによって組立の精度が向上するため、信頼性などが向上するばかりでなく、組立工程が容易になる。また、異方性膜として斜め蒸着で製膜した五酸化タンタル膜を利用している。これによって屈折率の制御性や分布が小さくできる為に、さらに高効率化が達成できる。
【0013】(第2の実施例)図2は、本発明の第2の実施例を示す偏光分離素子の断面構造図である。本実施例の構成は、光学的等方性基板1上に光学的異方性膜2を形成した基板2a,2b上に回折格子形状を形成した基板2a,2b同士を、その回折格子の凸部分4a(4b)と凹部分5b(5a)を合わせる様に張り合わせ、二枚の基板2a,2bの凹部分には光学的に透明で、屈折率が光学的異方性膜2の異常光線方向屈折率に合わせた樹脂3で埋め込む構成とする。凸部分と凹部分を合わせている二枚の基板2a,2bはほぼ同様の構成となっており、基板1はパイレックスガラスを用いている。光学的な異方性膜2は斜め蒸着で作製した五酸化タンタル膜であり、膜厚はそれぞれ8μmとしている。異方性を示す常光線方向と異常光線方向の屈折率差は0.06となっている。常光線方向の屈折率は1.65であり、異常光線方向の屈折率は1.59となっている。この際の波長は、635nmとしている。回折格子の形状は、1μmライン(凸部分4a,4b)と3μmスペース(凹部分5a,5b)パターンであり、格子深さは5.3μmとしている。周期に関しては二枚の基板2a,2bを合わせることにより、2μm周期となり、これによって必要な回折格子の周期が得られる。すなわち、周期は2μm周期で、深さが5.3μmの矩形回折格子形状となる。回折格子の形成は、レジストマスクを用いた異方性ドライエッチングで形成している。エッチングガスとしては、フッ素系のCF4ガスもしくはCHF3ガスなどを用いて作製した。
【0014】上記の様に、二枚の回折格子面を合わせて接着することで、本実施例の偏光分離素子を形成することが出来る。接着剤は、周期構造の凹部分5a,5bに埋め込みを行っている樹脂3をそのまま使用して接着を行っている。次に、本実施例の動作について説明する。本実施例の動作は、偏光分離素子に光の直交する偏光方向によって、光を分離する機能を持たせることである。図2において、光学的異方性膜2の常光線屈折率方向を紙面と平行方向とし、異常光線屈折率方向を紙面と垂直な方向で素子を作製しているが、異方性膜の常光線方向では、回折格子の凹部分5a,5bに異常光線方向と同様の屈折率の材料が充填されていることと同様となり、屈折率差が0.06の回折格子が存在することになる。すなわち、常光線方向の偏光方向は光が素子を通過することで回折が生じ、回折光が発生することになる。一方、異常光線方向の偏光に関しては、屈折率の周期構造がない状態になり、回折は一切起こらないことになる。すなわち、光は素子を通過することになる。ここで、異常光線屈折率方向の偏光に関しても、0次回折光は存在する。これは透過光となるが、回折格子の深さを5.3μmとすることで、高屈折率部分と低屈折率部分の透過光同士の位相が半波長ずれることになって、互いに打ち消しあい、透過光が存在しなくなることになる。これによって、偏光を完全に分離することが出来る。
【0015】このように、本実施例においては、偏光分離素子を回折格子形状を形成した基板2a,2b同士を、その回折格子の凸部分4a,4bと凹部分5b,5aを合わせる様に張り合わせている。このことにより、回折格子形状を形成する場合のエッチング周期が半分になり、素子の作製が容易になる。また、回折格子形状の周期が半分になることにより、樹脂の充填も容易になる。また、作製を行う際に二枚の合わせる基板を同一の基板から作製している。これによって、作製の容易化が図られ、また、素子の均一性や再現性が良好になる。また、図2に示すように、両基板2a,2bが両端部で嵌め込みにより、張り合わせのガイドを持っている様な構造にしている。これは、回折格子作製の際に同時に作製しており、これによって組立の精度が向上するため、信頼性などが向上するばかりでなく、組立工程も容易になる。また、異方性膜として斜め蒸着で製膜した五酸化タンタル膜を利用している。これによって、屈折率の制御性や分布が小さくできる為に、さらに高効率化が達成できる。
【0016】(第3の実施例)次に、本発明の第3の実施例を説明する。なお、本実施例の構成図は、図1の第1の実施例や図2の第2の実施例と同様である。第1および第2の実施例との相違点は、光学的異方性材料を有機材料である、ポリイミドを使用している点である。ポリイミドは、延伸することによって異方性を加えている。その際の屈折率は、常光線方向が1.68、異常光線方向が1.62となっており、屈折率差は0.06となっている。そのため、形状等は図1および図2と同様になる。また、その動作においても同様である。また、回折格子形状の作製には、ドライエッチングを用いており、その際のエッチングガスとしては酸素を用いている。ポリイミド膜のガラス基板上への固定は、回折格子を充填するための接着剤を使用している。本実施例においては、材料を有機膜を用いて作製しているため、その作製工程が容易になり、また、接着剤との濡れ性も向上するため、素子作製が簡略化できる。なお、上記第1〜第3の実施例において、周期構造のピッチや深さは、その用途によって設計されるものであり、様々な値を取り得る。また、材料に関しても他の材料でも可能である。
【0017】(請求項毎の効果)請求項1の発明では、図1に示すように、光学的等方性基板1上に光学的異方性膜2を作製し、その表面に凹凸状の周期構造を形成し、その凹部5a,5bに光学的に透明で、その屈折率が光学的異方性膜の常光線方向屈折率、もしくは異常光線方向屈折率と同一である材料を埋め込んでなる偏光分離素子において、凸部分4aと4b、凹部分5aと5bとを周期構造面を合わせて形成している。これによって、周期構造内に材料を充填する際の工程が容易になる。請求項2の発明では、請求項1の発明の偏光分離素子において、合わせる凸凹状の周期構造の凸同士(4a,4b)を合わせて形成している。これによって、作製する周期構造の深さが半分になり、作製が容易になるだけでなく、周期構造内に充填する際の工程が容易になる。請求項3の発明では、請求項1の発明の偏光分離素子において、凸凹状の周期構造の凸(4a,4b)と凹(5b,5a)を合わせて形成している。これによって、作製する周期構造の周期が半分になり、作製が容易になるだけでなく、周期構造内に充填する際の工程が容易になる。
【0018】請求項4の発明では、請求項1、2、3の発明の偏光分離素子において、張り合わせる2枚の光学的等方性基板1上に作製された光学的異方性膜2は、同一のものである。このことによって、同一基板2a,2b上に作製された異方性膜2を使用できるため、素子作製が容易化され、かつ、再現性や均一性が向上する。請求項5の発明では、請求項1、2、3、4の発明の偏光分離素子において、張り合わせ用ガイドを持っている。これによって、張り合わせの平行度などが向上するだけでなく、組立工程が簡略化される。請求項6の発明では、請求項1、2、3、4、5の偏光分離素子において、光学的異方性膜2は斜め蒸着膜である。これによって、屈折率差の大きな異常性膜を容易に得ることができる。また、均一性に関しても向上し、素子の効率が向上する。請求項7の発明では、請求項6の発明の偏光分離素子において、光学的異方性膜2は酸化タンタル膜である。これによって、屈折率差の大きな異常性膜を容易に得ることができる。また、均一性に関しても向上し、素子の効率が向上する。請求項8の発明では、請求項の1、2、3、4、5の発明の偏光分離素子において、光学的異方性膜2は延伸された有機膜である。これによって、屈折率差の大きな異常性膜を容易に得ることができる。また、均一性に関しても向上し、素子の効率が向上する。
【0019】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、両基板の凸凹状の周期構造の凸同士を合わせて形成するため、偏光分離素子の周期構造内に材料を充填する際の工程が容易になるとともに、作製も容易になる。また、2枚の基板上の光学的異方性膜が同一のものであるため、素子の作製が容易となり、かつ再現性や均一性が向上する。また、張り合わせ用ガイドを備えるため、張り合わせの平行度の向上や組立工程が簡略化される。さらに、光学的異方性膜は斜め蒸着膜であるため、屈折率差の大きな異常性膜を容易に得ることができ、均一性や素子の効率も向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施例を示す偏光分離素子の断面構造図である。
【図2】本発明の第2の実施例を示す偏光分離素子の断面構造図であるである。
【符号の説明】
1…光学的等方性基板、2…光学的異方性膜、2a,2b…光学的異方性膜形成の基板、3…樹脂、4a,4b…回折格子の凸部分、5a,5b…回折格子の凹部分。

【特許請求の範囲】
【請求項1】 光学的等方性基板上に光学的異方性膜を作製し、該基板の表面に凹凸状の周期構造を形成し、該周期構造の凹部に光学的に透明で、かつ屈折率が上記光学的異方性膜の常光線方向屈折率もしくは異常光線方向屈折率と同一である材料を埋め込んでなる偏光分離素子において、凸凹状の周期構造を形成した2つの基板面を合わせて1つの素子を形成してなることを特徴とする偏光分離素子。
【請求項2】 請求項1に記載の偏光分離素子において、前記2つの基板面を合わせる際に、凸凹状の周期構造の凸部分同士を合わせてなることを特徴とする偏光分離素子。
【請求項3】 請求項1に記載の偏光分離素子において、前記2つの基板面を合わせる際に、凸凹状の周期構造の凸部分と凹部分を合わせてなることを特徴とする偏光分離素子。
【請求項4】 請求項1、2または3のいずれかに記載の偏光分離素子において、前記張り合わせる2枚の光学的等方性基板上に、それぞれ作製された光学的異方性膜は、同一の物であることを特徴とする偏光分離素子。
【請求項5】 請求項1、2、3または4のいずれかに記載の偏光分離素子において、前記2枚の光学的等方性基板を張り合わせる場合に、該基板がそれぞれ張り合わせられるための嵌め込み用ガイドを持つことを特徴とする偏光分離素子。
【請求項6】 請求項1、2、3、4または5のいずれかに記載の偏光分離素子において、前記光学的等方性基板上に形成される光学的異方性膜は、斜め蒸着で作製された膜であることを特徴とする偏光分離素子。
【請求項7】 請求項6に記載の偏光分離素子において、前記光学的等方性基板上に形成される光学的異方性膜は、酸化タンタル膜であることを特徴とする偏光分離素子。
【請求項8】 請求項の1、2、3、4または5のいずれかに記載の偏光分離素子において、前記光学的等方性基板上に形成される光学的異方性膜は、延伸された有機膜であることを特徴とする偏光分離素子。

【図1】
image rotate


【図2】
image rotate