説明

偏光変換素子、照明装置、及び投写型映像表示装置

【課題】高耐熱、高耐光、高耐久であって、大型化を図ることができる偏光変換素子、及びこれを備えた照明装置、投写型映像表示装置を提供する。
【解決手段】偏光変換素子15は、光が透過する透光部材31と、透光部材31に入射した光のうち、P偏光光を透過させ、かつ、S偏光光を反射する偏光分離膜32と、偏光分離膜32で反射したS偏光光を反射する反射膜33とを備えている。偏光分離膜32および反射膜33は透光部材31内に配設され、透光部材31は、偏光分離膜32を透過したP偏光光と反射膜33で反射したS偏光光とが出射する光出射面31bを有し、光出射面31bにおけるP偏光光が出射する部分に、横方向において間隔をあけて複数の位相差板34が設けられている。位相差板34は、無機物質である水晶により形成されるとともに、水晶により形成された位相差板34が、横方向に垂直な縦方向において複数設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、偏光方向が互いに直交する第1および第2の偏光光のうち、いずれかの偏光光を他の偏光光に変換する偏光変換素子、及びこれを備える照明装置、投写型映像表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、投写型映像表示装置である液晶プロジェクタが、偏光変換素子を備えた照明装置を備えることが知られている。照明装置の光源が発した光が、液晶パネルを透過することにより映像が生成され、液晶プロジェクタは、その光を投射して映像を表示する。
【0003】
偏光変換素子としては、透光部材と、この透光部材内に配設された偏光分離膜及び反射膜と、透光部材の光出射面に設けられた位相差板とを備えるものが知られている。また、偏光変換素子の位相差板は、ポリカーボネートフィルム等の有機物質により形成されることが知られている。
【0004】
また、耐熱性、耐光性、耐久性の向上を目的として、無機物質である水晶により偏光変換素子の位相差板を形成することが開示されている(例えば、特許文献1及び2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003−302523号公報
【特許文献2】特開2006−284648号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、光源の大型化等による光学部品の大型化の要求に応じて偏光変換素子を大きくしようとする場合には、位相差板が設けられるべき透光部材の光出射面も大きくなる。しかしながら、光出射面に応じて無機物質により細長く延びる位相差板を形成しようとする場合には、その製造が困難であるため、高耐熱、高耐光、高耐久な偏光変換素子の大型化を図ることができないという問題があった。
【0007】
本発明は、こうした実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、高耐熱、高耐光、高耐久であって、大型化を図ることができる偏光変換素子、及びこれを備えた照明装置、投写型映像表示装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
以下、上記目的を達成するための手段及びその作用効果について記載する。
請求項1に記載の発明は、映像表示用の光が透過する透光部材と、透光部材に入射した光のうち、所定偏光方向の第1の偏光光を透過させ、かつ、所定偏光方向に直交する偏光方向の第2の偏光光を反射する偏光分離膜と、偏光分離膜で反射した第2の偏光光を反射する反射膜とを備え、偏光分離膜および反射膜が透光部材内に配設され、透光部材は、偏光分離膜を透過した第1の偏光光と反射膜で反射した前記第2の偏光光とが出射する光出射面を有し、光出射面における第1の偏光光または第2の偏光光が出射する部分に、所定の直線方向において間隔をあけて複数の位相差板が設けられる偏光変換素子において、位相差板が、無機物質により形成されるとともに、無機物質により形成された位相差板が、直線方向に垂直な垂直方向において複数設けられていることを特徴とする。
【0009】
上記構成によれば、位相差板が無機物質により形成されているため、例えば位相差板がポリカーボネートフィルムにより形成されている場合に比べて、高耐熱、高耐光、高耐久の偏光変換素子を得ることができる。また、無機物質により形成された位相差板が、上記直線方向に垂直な垂直方向において複数設けられている。このため、無機物質を垂直方向に長く延びるように製造することが困難であっても、無機物質により形成された複数の位相差板を垂直方向において並べて設けることにより、透光部材の光出射面において位相差板が設けられる部分を大きくすることができる。従って、偏光変換素子の大型化を図ることができる。
【0010】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の偏光変換素子において、位相差板は水晶により形成されていることを特徴とする。
上記構成によれば、石英を材料として位相差板を形成することができる。
【0011】
請求項3に記載の発明は、映像表示用の光を発する光源と、上記直線方向および垂直方向において複数の単レンズが並べて設けられたレンズアレイと、請求項1または2に記載の偏光変換素子とを備える照明装置であって、垂直方向において設けられた複数の単レンズの境界に対して、垂直方向において設けられた複数の位相差板の間隙が、光軸に平行な光軸方向において対向していることを特徴とする照明装置。
【0012】
上記構成によれば、垂直方向において設けられた複数の単レンズの境界に対して、垂直方向において設けられた複数の位相差板の間隙が、光軸に平行な光軸方向において対向している。このため、単レンズを通過した光が、垂直方向において設けられた複数の位相差板の間隙を通過することを抑制することができ、偏光変換素子によって偏光光が変換される効率を向上させることができる。従って、色むらや照度低下の抑制を図ることができる。
【0013】
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の照明装置において、レンズアレイとして、光源が発した光を複数の光束に分割する第1のレンズアレイと、この第1のレンズアレイよりも偏光変換素子側に設けられる第2のレンズアレイとを備え、第1のレンズアレイ及び第2のレンズアレイの双方における複数の単レンズの境界に対して、垂直方向において設けられた複数の位相差板の間隙が、上記光軸方向において対向していることを特徴とする。
【0014】
上記構成によれば、照度分布を均一化するためのレンズアレイを構成する第1のレンズアレイ及び第2のレンズアレイの双方における複数の単レンズの境界に対して、垂直方向において設けられた複数の位相差板の間隙が、光軸方向において対向している。このため、偏光変換素子によって偏光光が変換される効率を確実に向上させることができる。従って、色むらや照度低下の効果的な抑制を図ることができる。
【0015】
請求項5に記載の発明は、請求項3または4に記載の照明装置を備え、光源が発した光を投射して映像を表示することを特徴とする。
上記構成によれば、投写型映像表示装置は、上記照明装置の光源が発した光を投射して映像を表示する。上記照明装置の構成によれば、偏光変換素子によって偏光光が変換される効率を向上させることができるため、投写型映像表示装置によって表示される映像の色むらや照度低下を抑制することができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、高耐熱、高耐光、高耐久の偏光変換素子を得ることができ、さらに、偏光変換素子の大型化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の一実施形態に係る投写型映像表示装置の概略構成を示す構成図。
【図2】同実施形態に係る投写型映像表示装置が備える偏光変換素子の斜視図。
【図3】同実施形態に係る偏光変換素子を示す図であって、(a)は平面図、(b)は側面図。
【図4】同実施形態に係る偏光変換素子を透過する光を示す模式図。
【図5】同実施形態に係るレンズアレイと位相差板との位置関係を示す模式図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明を具体化した一実施形態について図面を参照しながら説明する。
図1に示すように、投写型映像表示装置は、3つの液晶パネル2r,2g,2bを備えた、いわゆる3板方式の液晶プロジェクタ1(以下、「プロジェクタ1」)である。プロジェクタ1は、液晶パネル2r,2g,2bを透過した光を投射することにより、スクリーンや壁等の平面上に映像を表示する。
【0019】
プロジェクタ1は、映像表示用の光を発する光源11を備えた照明装置10と、光源11が発した光を液晶パネル2r,2g,2bに導く全反射ミラー21と、光源11が発した光を三原色の光に分離するダイクロイックミラー22,23とを備えている。
【0020】
光源11が発した光は、ダイクロイックミラー22,23によって分離される。具体的には、光源11が発した光である白色光のうち、緑色及び青色の波長の光はダイクロイックミラー22で反射され、赤色の波長の光(以下、「赤色光」)はダイクロイックミラー22を透過する。また、緑色の波長の光(以下、「緑色光」)はダイクロイックミラー23で反射され、青色の波長の光(以下、「青色光」)はダイクロイックミラー23を透過する。このようにして白色光が3原色の光に分離される。
【0021】
ダイクロイックミラー22で分離された赤色光は液晶パネル2rに入射する。また、ダイクロイックミラー23で分離された緑色光は液晶パネル2gに入射する。また、ダイクロイックミラー23で分離された青色光は液晶パネル2bに入射する。液晶パネル2r,2g,2bは、画像を構成する画素毎に光の透過率が変更可能なライトバルブである。従って、液晶パネル2r,2g,2bに入射した各色の光が、入射した液晶パネル2r,2g,2bを透過することによって、映像を形成する各色の光が生成される。
【0022】
また、プロジェクタ1は、三原色の映像の光を合成するクロスダイクロイックプリズム24と、合成された映像の光を投射する投射レンズ25とを備えている。各液晶パネル2r,2g,2bを透過した光は、クロスダイクロイックプリズム24で合成されて、投射レンズ25によって拡大して投射される。
【0023】
次に、本発明に係る照明装置10について詳しく説明する。
照明装置10は、光源11が発した光の照度分布の均一化を行う一対のレンズアレイ12と、偏光方向が互いに直交する第1および第2の偏光光のうち、いずれかの偏光光を他の偏光光に変換する偏光変換素子15と、各液晶パネル2r,2g,2bに光束を収束させる集光レンズ16とを備えている。一対のレンズアレイ12を構成する光学部品として、照明装置10は、光源11が発した光を複数の光束に分割する第1のレンズアレイ13と、第1のレンズアレイ13よりも偏光変換素子15側である出射側に設けられる第2のレンズアレイ14を備えている。
【0024】
超高圧水銀ランプやメタルハライドランプ等により構成される光源11が発する光は、平行光として光源11から出射される。光源11が発した平行光は、インテグレータレンズである一対のレンズアレイ12に入射する。このようにして一対のレンズアレイ12に入射する光は、まず、第1のレンズアレイ13に入射し、次いで、第2のレンズアレイ14に入射する。
【0025】
第1のレンズアレイ13は、所定の直線方向である横方向と、横方向に垂直な垂直方向である縦方向とにおいて複数の単レンズ13a(図5参照)が行列状に並べて設けられたフライアイレンズである。また、第1のレンズアレイ13と同様に、第2のレンズアレイ14も、横方向と縦方向とにおいて複数の単レンズ14a(図5参照)が行列状に並べて設けられたフライアイレンズである。
【0026】
第1のレンズアレイ13に入射した平行光は、複数の微小光束が形成されるように分割される。即ち、第1のレンズアレイ13が有する単レンズ13aにより、第1のレンズアレイ13に入射した光が屈折されて、複数の微小光束が第2のレンズアレイ14に入射する。第1のレンズアレイ13の所定の単レンズ13aから出射した光は、その光の光束が1つの単レンズ14aに収束するように、第2のレンズアレイ14に入射する。本実施形態においては、第1のレンズアレイ13の単レンズ13aと第2のレンズアレイ14の単レンズ14aとを一対一で対応させるために、第1のレンズアレイ13と第2のレンズアレイ14は同一の形状を有している。
【0027】
第2のレンズアレイ14に入射した光は、液晶パネル2r,2g,2bに対応した大きさとなるようにその微小光束が拡大される。即ち、第2のレンズアレイ14が有する単レンズ14aにより、第2のレンズアレイ14に入射した光が屈折されて、第1のレンズアレイ13により分割された複数の光束が、液晶パネル2r,2g,2bに重畳して入射するようになる。このようにして、一対のレンズアレイ12によって照度分布が均一化される。一対のレンズアレイ12を通過した光、即ち、第2のレンズアレイ14から出射した光は偏光変換素子15に入射する。
【0028】
図2及び図3に示すように、偏光変換素子15は、映像表示用の光が透過する透光部材31と、この透光部材31内に配設された偏光分離膜32および反射膜33と、透光部材31の表面に配設された位相差板34とを備える光学部品である。
【0029】
透光部材31は、偏光分離膜32および反射膜33で区切られる複数の透光層を有する板状部材であって、例えばガラスにより形成されている。全体の形状が矩形板状の透光部材31は、第2のレンズアレイ14から出射した光が入射する平面状の光入射面31aと、光入射面31aの反対側に設けられた平面状の光出射面31bとを有している。
【0030】
偏光分離膜32および反射膜33は、光入射面31aと光出射面31bとが対向する直線方向である光軸方向に対して、45度の角度をなすように設けられている。さらに、偏光分離膜32および反射膜33は、光軸方向に直交する縦方向を長手方向として延びて設けられるとともに、偏光分離膜32と反射膜33とが、光軸方向及び縦方向に直交する横方向において交互に設けられている。
【0031】
位相差板34は、透光部材31の光出射面31bに設けられたλ/2板であって、所定の直線方向である横方向において間隔をあけて複数設けられている。位相差板34は、偏光分離膜32を透過した光の位相を変化させるように、光軸方向に対して偏光分離膜32と対向している。
【0032】
図4に示すように、偏光分離膜32は、透光部材31に入射した光のうち、P偏光光を透過させ、かつ、S偏光光を反射する。P偏光光は、所定の偏光方向の第1の偏光光であって、S偏光光は、上記偏光方向に直交する偏光方向の第2の偏光光である。即ち、P偏光光とS偏光光は偏光方向が互いに直交している。
【0033】
反射膜33は、偏光分離膜32で分離されたS偏光光を反射する。このようにして、偏光分離膜32を透過したP偏光光と、偏光分離膜32および反射膜33で反射したS偏光光とが、光出射面31bの互いに異なる部分から出射する。そして、P偏光光は、光出射面31bにおけるP偏光光が出射する部分に設けられた位相差板34を透過することによって、S偏光光に変換される。
【0034】
以上のようにして、偏光変換素子15は、光源11が発した光のうちP偏光光をS偏光光に変換する。偏光変換素子15から出射したS偏光光は、光源11が発した光として各液晶パネル2r,2g,2bに入射する。偏光変換素子15を通過した光は、各液晶パネル2r,2g,2bに光を集光させる集光レンズ16に入射して、集光レンズ16を介して各液晶パネル2r,2g,2bに入射する。
【0035】
ここで、本実施形態においては、位相差板34が、無機物質により形成されるとともに、無機物質により形成された位相差板34が、横方向に垂直な垂直方向である縦方向において複数設けられていることに特徴がある。
【0036】
具体的には、平板状の位相差板34は、縦方向を長手方向として延びる無色透明な水晶により形成されている。位相差板34を形成する水晶は、石英を材料として製造することが可能である。水晶により形成される位相差板34は細長く形成することが困難であって、1つの位相差板34が設けられる光出射面31bの縦方向の部位を大きくすることは困難である。しかしながら、縦方向において複数の位相差板34が設けられることによって、位相差板34が設けられる光出射面31bの縦方向の部位を大きくすることができる。即ち、横方向において間隔をあけて1つずつ位相差板34が設けられている場合に比べて、位相差板34が設けられる光出射面31bを大きくすることができる。
【0037】
なお、縦方向に複数の位相差板34を設けようとすると1mm程度の間隙Vが製造上必要となり、間隙Vに起因して色むらや照度低下が発生するおそれがある。
そこで、本実施形態においては、図5に示すように、光軸Lに平行な光軸方向において、縦方向において設けられた複数の単レンズ13a,14aの境界Bに対して、縦方向に設けられた複数の位相差板34の間隙Vが対向している。
【0038】
即ち、間隙Vに起因する色むらや照度低下を抑制するために、横方向から見て、縦方向において隣り合って設けられる2つの位相差板34が、境界Bを通過する直線を挟むように設けられている。このようにして境界Bを通過する直線上に位相差板34の間隙Vが配置されている。
【0039】
本実施形態によれば、以下の効果を得ることができる。
(1)位相差板34が、無機物質である水晶により形成されるとともに、水晶により形成された位相差板34が、横方向に垂直な縦方向において複数設けられている。従って、位相差板34が水晶により形成されているため、例えば位相差板34がポリカーボネートフィルムにより形成されている場合に比べて、高耐熱、高耐光、高耐久の偏光変換素子15を得ることができる。また、水晶により形成された位相差板34が、縦方向において複数設けられているため、水晶を縦方向に長く延びるように製造することが困難であっても、水晶により形成された複数の位相差板34を縦方向において並べて設けることにより、透光部材31の光出射面31bにおいて位相差板34が設けられる部分を大きくすることができる。従って、偏光変換素子15の大型化を図ることができる。
【0040】
(2)位相差板34は水晶により形成されている。従って、石英を材料として位相差板34を形成することができる。
(3)照明装置10において、第1のレンズアレイ13及び第2のレンズアレイ14の双方における縦方向において設けられた複数の単レンズ13a,14aの境界Bに対して、縦方向において設けられた複数の位相差板34の間隙Vが、光軸方向において対向している。上記構成によれば、照度分布を均一化するためのレンズアレイ12を構成する第1のレンズアレイ13及び第2のレンズアレイ14の双方における複数の単レンズ13a,14aの境界Bに対して、縦方向において設けられた複数の位相差板34の間隙Vが、光軸方向において対向している。このため、単レンズ13a,14aを通過した光が、縦方向において設けられた複数の位相差板34の間隙Vを通過することを抑制することができ、偏光変換素子15によって偏光光が変換される効率を確実に向上させることができる。従って、色むらや照度低下の効果的な抑制を図ることができる。
【0041】
(4)プロジェクタ1は、上記構成の照明装置10を備え、照明装置10が備える光源11が発した光を投射して映像を表示する。よって、照明装置10が備える偏光変換素子15によって偏光光が変換される効率を向上させることができるため、プロジェクタ1によって表示される映像の色むらや照度低下を抑制することができる。
【0042】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づいて種々の設計変更をすることが可能であり、それらを本発明の範囲から除外するものではない。例えば、上記実施形態を以下のように変更してもよい。
【0043】
・第1のレンズアレイ13及び第2のレンズアレイ14の双方における複数の単レンズ13a,14aの境界Bに対して、複数の位相差板34の間隙Vが、光軸方向において対向していなくてもよい。即ち、例えば、第2のレンズアレイ14が有する縦方向において設けられた単レンズ14aの個数が、第1のレンズアレイ13が有する縦方向において設けられた単レンズ13aの個数の半数である場合に、複数の単レンズ14aの境界Bに対して、複数の位相差板34の間隙Vが、光軸方向において対向していてもよい。このような構成であっても、単レンズ14aを通過した光が、縦方向において設けられた複数の位相差板34の間隙Vを通過することを抑制することができ、偏光変換素子15によって偏光光が変換される効率を向上させることができ、色むらや照度低下の抑制を図ることができる。
【0044】
・位相差板34が、縦方向において3つ以上設けられていてもよい。
・高耐熱、高耐光、高耐久の偏光変換素子15を得ることができるのであれば、位相差板34は、水晶以外の他の無機物質により形成されていてもよい。例えば、位相差板34が方解石により形成されていてもよい。
【0045】
・P偏光光が出射する部分に替えて、光出射面31bにおけるS偏光光が出射する部分に、横方向において間隔をあけて複数の位相差板34が設けられてもよい。即ち、偏光変換素子15は、P偏光光をS偏光光に変換する光学部品であってもよく、S偏光光をP偏光光に変換する光学部品であってもよい。
【0046】
・上記実施形態においては縦方向に延びた位相差板34が縦方向において複数設けられていたが、これに限定されるものではなく、横方向に延びた位相差板34が横方向において複数設けられた構成であってもよい。
【符号の説明】
【0047】
1…プロジェクタ(投写型映像表示装置)、2r,2g,2b…液晶パネル、10…照明装置、11…光源、12…一対のレンズアレイ、13…第1のレンズアレイ、13a…単レンズ、14…第2のレンズアレイ、14a…単レンズ、15…偏光変換素子、16…集光レンズ、21…全反射ミラー、22,23…ダイクロイックミラー、24…クロスダイクロイックプリズム、25…投射レンズ、31…透光部材、31a…光入射面、31b…光出射面、32…偏光分離膜、33…反射膜、34…位相差板、B…境界、L…光軸、V…間隙。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
映像表示用の光が透過する透光部材と、
前記透光部材に入射した光のうち、所定偏光方向の第1の偏光光を透過させ、かつ、前記所定偏光方向に直交する偏光方向の第2の偏光光を反射する偏光分離膜と、
前記偏光分離膜で反射した第2の偏光光を反射する反射膜とを備え、
前記偏光分離膜および前記反射膜が前記透光部材内に配設され、
前記透光部材は、前記偏光分離膜を透過した第1の偏光光と前記反射膜で反射した前記第2の偏光光とが出射する光出射面を有し、
前記光出射面における前記第1の偏光光または前記第2の偏光光が出射する部分に、所定の直線方向において間隔をあけて複数の位相差板が設けられる偏光変換素子において、
前記位相差板が、無機物質により形成されるとともに、無機物質により形成された前記位相差板が、前記直線方向に垂直な垂直方向において複数設けられている
ことを特徴とする偏光変換素子。
【請求項2】
前記位相差板は水晶により形成されていることを特徴とする請求項1に記載の偏光変換素子。
【請求項3】
映像表示用の光を発する光源と、前記直線方向および前記垂直方向において複数の単レンズが並べて設けられたレンズアレイと、請求項1または2に記載の偏光変換素子とを備える照明装置であって、
前記垂直方向において設けられた複数の前記単レンズの境界に対して、前記垂直方向において設けられた複数の前記位相差板の間隙が、光軸に平行な光軸方向において対向している
ことを特徴とする照明装置。
【請求項4】
前記レンズアレイとして、前記光源が発した光を複数の光束に分割する第1のレンズアレイと、この第1のレンズアレイよりも前記偏光変換素子側に設けられる第2のレンズアレイとを備え、
前記第1のレンズアレイ及び前記第2のレンズアレイの双方における複数の前記単レンズの境界に対して、前記垂直方向において設けられた複数の前記位相差板の間隙が、前記光軸方向において対向している
ことを特徴とする請求項3に記載の照明装置。
【請求項5】
請求項3または4に記載の照明装置を備え、前記光源が発した光を投射して映像を表示することを特徴とする投写型映像表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−227292(P2011−227292A)
【公開日】平成23年11月10日(2011.11.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−96960(P2010−96960)
【出願日】平成22年4月20日(2010.4.20)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【Fターム(参考)】