説明

偏光板保護フィルム及び偏光板

【課題】 加熱圧着によって生じる問題点を解決した偏光板保護フィルム及び偏光板を提供すること。
【解決手段】 熱可塑性飽和ノルボルネン系樹脂からなるフィルムにおいて、該フィルムの片面に凹凸が形成されていて、該凹凸の深さの最大値が0.1〜10μm、若しくは、該フィルムのヘイズが0.3〜50%であることを特徴とする偏光板保護フィルム、及び、これを用いた偏光板。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は偏光板保護フィルム及びこれを用いた偏光板に関する。
【0002】
【従来の技術】液晶ディスプレイ等に用いられる偏光板は、偏光子の両面に保護フィルムが積層されて形成されている。
【0003】従来、偏光子としては、沃素又は二色性染料が吸着された延伸ポリビニルアルコールフィルム(以下、PVAという)が使用され、保護フィルムとしては、トリアセチルセルロースフィルム(以下、TACという)が使用されている。
【0004】しかしながら、トリアセチルセルロースフィルムは耐熱性及び耐湿性が充分でなく、高温下若しくは高湿下で使用すると、偏光子とトリアセチルセルロースフィルムが剥離したり、トリアセチルセルロースが加水分解して透明性が低下し偏光板性能が低下したり、偏光子の偏光度が低下するという欠点があった。
【0005】さらに、高温環境下で、PVAの配向緩和が起き、偏光板保護フィルムのTACに応力が発生したとき大きな複屈折を有することになり、偏光度の低下がもたらされ、LCDの表示ムラやコントラスト低下が起こるという問題点があった。
【0006】上記の問題点を解決するために、TACの代わりに、偏光板保護フィルムとして熱可塑性飽和ノルボルネン系樹脂が提案されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、熱可塑性飽和ノルボルネン系樹脂は、従来の接着方法、すなわち、TACとPVAとの接着に用いるPVA系接着剤を使用して接着を行うと接着が不十分となる。
【0008】そこで、熱可塑性飽和ノルボルネン系樹脂とPVAとを接着する方法として、例えば、特開平5−212828号公報等にアクリル系粘着剤層を設けて加熱加圧する方法が提案されている。
【0009】しかしながら、この方法では加熱圧着が必須であり、加熱時間も長いため、PVA偏光素子が変色若しくは退色して偏光機能が消失するか、消失しないまでも、変形収縮したり劣化して偏光度が低下するという問題点があった。また、一定時間の加熱圧着が必要なため、生産効率が低く、さらに、フィルム全体に対して、加熱と加圧を要するため、生産設備が高価となるばかりか、加熱温度と加圧にバラツキが生じると粘着強度ムラとなって、品質が低下するという問題点があった。
【0010】本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、熱可塑性飽和ノルボルネン系樹脂からなるフィルムにおいて、加熱圧着を必要とせず、加熱圧着により生じる前記問題点を解消した偏光板保護フィルム及びこれを用いた偏光板を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】すなわち、本発明は、熱可塑性飽和ノルボルネン系樹脂からなるフィルムにおいて、該フィルムの片面に凹凸が形成されていて、該凹凸の深さの最大値が0.1〜10μmであることを特徴とする偏光板保護フィルムを提供するものである。
【0012】また、本発明は、熱可塑性飽和ノルボルネン系樹脂からなるフィルムにおいて、該フィルムの片面に凹凸が形成されていて、該フィルムのヘイズが0.3〜50%であることを特徴とする偏光板保護フィルムを提供するものである。
【0013】さらに、本発明は、溶融押出成形法において、ゴムロールと金属ロールを用いてニップ成形により凹凸を形成したことを特徴とする前記の偏光板保護フィルムを提供するものである。
【0014】また、本発明は、前記の偏光板保護樹脂フィルムが、偏光子の少なくとも片面に接着されていることを特徴とする偏光板を提供するものである。
【0015】
【発明の実施の形態】以下、本発明の構成について詳述する。
【0016】本発明の偏光板保護フィルムに用いられる熱可塑性飽和ノルボルネン系樹脂は、例えば、特開平3−14882号公報、特開平3−122137号公報などに開示されている公知の樹脂であり、従来公知の熱可塑性飽和ノルボルネン系樹脂を好適に使用することが出来る。
【0017】熱可塑性飽和ノルボルネン系樹脂を構成するモノマーを例示すると、例えば、ノルボルネン、5−メチル−2−ノルボルネン、5−エチル−2−ノルボルネン、5−ブチル−2−ノルボルネン、5−エチリデン−2−ノルボルネン、5−メトキシカルボニル−2−ノルボルネン、5,5−ジメチル−2−ノルボルネン、5−シアノ−2−ノルボルネン、5−メチル−5−メトキシカルボニル−2−ノルボルネン、5−フェニル−2−ノルボルネン、5−フェニル−5−メチル−2−ノルボルネン、エチレン−テトラシクロドデセン共重合体、6−メチル−1,4:5,8−ジメタノ−1,4,4a,5,6,7,8,8a−オクタヒドロナフタレン、6−エチル−1,4:5,8−ジメタノ−1,4,4a,5,6,7,8,8a−オクタヒドロナフタレン、6−エチル−1,4:5,8−エチリデン−1,4,4a,5,6,7,8,8a−オクタヒドロナフタレン、6−クロロ−1,4:5,8−ジメタノ−1,4,4a,5,6,7,8,8a−オクタヒドロナフタレン、6−シアノ−1,4:5,8−ジメタノ−1,4,4a,5,6,7,8,8a−オクタヒドロナフタレン、6−ピリジル−1,4:5,8−ジメタノ−1,4,4a,5,6,7,8,8a−オクタヒドロナフタレン、6−メトキシカルボニル−1,4:5,8−ジメタノ−1,4,4a,5,6,7,8,8a−オクタヒドロナフタレン、1,4−ジメタノ−1,4,4a,4b,5,8,8a,9a−オクタヒドロフルオレン、5,8−メタノ−1,2,3,4,4a,5,8,8a−オクタヒドロ−2.3−シクロペンタジエノナフタレン、4,9:5,8−ジメタノ−3a,4,4a,5,8,8a,9,9a−オクタヒドロ−1H−ベンゾインデン、4,11:5,10:6,9−トリメタノ−3a,4,4a,5,5a,6,9,9a,10,10a,11,11a−ドデカヒドロ−1H−シクロペンタアントラセン等が挙げられる。
【0018】熱可塑性飽和ノルボルネン系樹脂は、例えば、(イ)ノルボルネン系モノマーの開環重合体若しくは開環共重合体を、必要に応じてマレイン酸付加、シクロペンタジエン付加の如き変性を行った後に、水素添加した樹脂、(ロ)ノルボルネン系モノマーを付加重合させた樹脂、(ハ)ノルボルネン系モノマーとエチレンやα−オレフィンなどのオレフィン系モノマーと付加重合させた樹脂、(ニ)ノルボルネン系モノマーとシクロペンテン、シクロオクテン、5,6−ジヒドロジシクロペンタジエンなどの環状オレフィン系モノマーと付加重合させた樹脂、これらの樹脂の変性物等が挙げられる。
【0019】上記重合は、例えば、重合媒体としてIr、Os、Ruの三塩化物の含水塩、MoCl5、WCl6、ReCl5、(C253Al、(C253Al/TiCl4、(π−C474Mo/TiCl4、(π−C474W/TiCl4、(π−C353Cr/WCl6等を用いて、常法により行うことができる。
【0020】上記熱可塑性飽和ノルボルネン系樹脂としては、日本ゼオン社より商品名「ZEONOR」、「ZEONEX」、ジェイエスアール社より商品名「ARTON」、三井石油化学社より商品名「APEL]として上市されている。
【0021】上記熱可塑性飽和ノルボルネン系樹脂の数平均分子量は、小さくなると耐湿性が低下し透湿度が大きくなり、大きくなるとフィルム成形性が低下するので、トルエン溶媒によるゲル・パーミュエーション・クロマトグラフで測定して、2万5千〜10万が好ましく、より好ましくは3万〜8万である。
【0022】上記熱可塑性飽和ノルボルネン系樹脂からなる保護フィルムの製造方法は公知の任意の方法が採用されてよく、例えば、溶液流延法、溶融成形法等が挙げられる。
【0023】上記保護フィルムの片面に凹凸を形成する方法は、特に限定されず、凸凹深さの最大値が0.1〜10μmになるか、または、該凹凸によりフィルムのヘイズが0.3〜50%に調整されるように、凹凸が形成されればよい。
【0024】本発明において、凹凸とは、フィルムの片面に形成される形状であって、その断面形状が、直角三角形、台形、サインカーブ、ピラミッド型、ストライプ状、六角形、六角錐などの規則的な配列形状の繰り返し、その混合不規則配列、梨じ模様等のランダム形状などを意味する。
【0025】また、凸凹深さの最大値とは、JIS B 0601で定義される最大高さを意味し、ヘイズとは、JIS K 7150で定義される値を意味し、下記式で求められる。
【式1】ヘイズ(%)={全光線透過率(%)−平行光線透過率(%)}/全光線透過率(%)
【0026】凹凸を形成する具体的方法としては、例えば、溶融押出成形法では、凹凸を有するロールを用いたニップ成形法、凹凸を有するフィルムを用いたサンドイッチラミネート法等が挙げられる。プレス成形では、成形後のフィルムに凹凸を有する金型を用いて加熱転写させる方法等が挙げられる。また、溶剤キャスティング法では、凹凸を有する金属ベルトもしくはフィルムを基材に用いたり、凹凸を有する金型上に塗工する方法等が挙げられる。フィルム成膜後の後処理による方法としては、スパッタエッチング処理、液体ホーニング、ジェットブラスト、タンブリング、プラッシング処理、研磨処理等が挙げられる。
【0027】これらの中では、生産性、成形の容易さから、溶融押出成形法によるニップ成形法が好ましく、特に、凹凸形状を有するロールにゴムロールを用い、もう一方に金属鏡面ロールを用いて凹凸を形成する方法が好ましい。用いられるゴムロールは特に限定されないが、ゴム材質としてはニトリルブチレンラバー、ウレタンゴム、シリコーンゴム等が挙げられる。ゴムロール表面の凹凸形状は、ゴムロールをブラスト処理、若しくは、表面研磨処理したものが簡易に作製できて優れており、中でも、鏡面研磨処理にて付与する手段が、簡便に形状を均一付与することができるので好ましく、仕上げとして0.2〜0.6Sであれば良好である。ゴムロール表面の凸凹形状の深さは、成形品であるフィルムに、凸凹深さが最大0.1〜10μmに転写可能で有ればよい。例えば、ロールの凸凹形状のフィルムへの転写程度が6割だとすると、必要なロールの凸凹形状の深さは、0.16〜12.5μmである。
【0028】上記方法によりフィルムの片面に形成される凸凹深さの最大値が0.1μm若しくはヘイズが0.3%未満では本発明の効果が発現せず、また、凸凹深さの最大値が10μm若しくはヘイズが50%を越えると、偏光板に用いた場合、透明性が低下したり、接着強度が不足したり、接着剤層が厚くなりすぎて偏光板の厚みが厚くなったりする場合がある。偏光板が厚くなると液晶ディスプレイに用いた場合に薄型軽量化の点で好ましくない。凸凹深さの最大値は、好ましくは0.1〜5μm以下、さらに好ましくは、0.1〜2μm以下である。また、ヘイズは0.3〜40%が好ましい。
【0029】上記条件を満足する凹凸をフィルム片面に形成させることで、偏光板保護フィルムと偏光子との接着性を確保できるようになる。熱可塑性飽和ノルボルネン系樹脂からなるフィルムは、粘着剤との密着性が悪く、表面の改質を実施しなくてはならないが、表面に凹凸を有することで、表面が物理的に改質されることになり、粘着剤との密着性が改良される。凹凸付与のみでは密着性が十分でない場合は、他のコロナ処理、紫外線照射等の表面改質手段をさらに加えても良い。凹凸が無いフィルムに比べ、改質程度を抑えられるので、処理量を抑えることができ、フィルムへの負担が少なく、表面肌荒れ、破れ等を低減できるという利点がある。
【0030】上記の凹凸を有する本発明の偏光版保護フィルムは、少なくとも偏光子の片側に、望ましくは、偏光子の両面に使用されて、従来公知の方法により、本発明の偏光板が製造される。両面に用いる方が、雰囲気状態の影響を小さくできるという利点がある。
【0031】偏光子は、偏光機能を有するPVA製フィルムまたはシートが用いられ、例えば、PVAフィルムにはヨウ素を吸着させた後、ホウ酸浴中で一軸延伸したPVA・ヨウ素系偏光子、PVAフィルムに二色性の高い直接染料を拡散吸着させた後、一軸延伸したPVA・染料系偏光膜、PVAフィルムにヨウ素を吸着させ延伸してポリビニレン構造としたPVA・ポリビニレン系偏光膜などが挙げられる。
【0032】偏光膜との接着(張り合わせ)には、粘着剤、接着剤など公知の技術が使用できる。例えば、接着剤には、ポリウレタン系、ポリエステル系、ポリアクリル系等が挙げられる。粘着剤を例示すると、ポリエステル系、アクリル系、シリコン系、ゴム系が挙げられる。特に、光学特性の優れるポリエステル系粘着剤が好ましい。
【0033】また、貼り合わせる前処理として、接着層との接着性を確保するため表面改質処理を行うのが良い。表面改質の手段としては通常の方法が利用でき、化学処理方法として、接着剤分子と反応しうるような官能基をもつモノマーあるいはポリマーを表面に付ける表面グラフト化手法、表面に別のポリマーもしくはモノマーをコーティングする方法、カップリング剤処理、酸化力の強い薬品による処理、表面層を除去する薬品処理、表面層を強化するCASING処理、表面粗化手法としての薬品処理、物理的処理方法として、紫外線照射処理、グロー放電処理、コロナ放電処理、プラズマジェット処理、表面粗化手法としてのエスパッタ処理等が挙げられる。
【0034】
【作用】本発明においては、熱可塑性飽和ノルボルネン系樹脂フィルムの表面に凹凸を付与し、凹凸深さの最大値を0.1〜10μm、若しくは、この凹凸により、該フィルムのヘイズを0.3〜50%に調整することで、接着剤とのアンカー効果を発現させ、偏光子との接着が容易になる。その結果、常温で粘着剤との粘着性が確保でき、加熱圧着の必要がなく、偏光子の性能を損なうことなく偏光板が製造できる。また、溶融押出成形法を用いて、ゴムロールと金属ロールのニップ成形により容易に連続的に、かつ均一にフィルムが製造でき、生産性が良い。ゴムロールを用いたニップ成形により、全面均一に凹凸を形成でき、ヘイズの均一なフィルムを成形できるので、偏光子との接着強度も均一となる。さらに、偏光板保護フィルムに熱可塑性飽和ノルボルネン系樹脂フィルムを用いることで、高湿高温下の使用でも品質の良好な偏光板が製造可能となる。
【0035】
【実施例】次に本発明を実施例及び比較例を用いてさらに具体的に説明するが、本発明は以下の実施例によって限定されるものではない。
【0036】実施例「保護フィルム成膜」
使用樹脂:熱可塑性飽和ノルボルネン系樹脂(日本ゼオン株式会社製 商品名:ZEONOR1600R)
成膜条件:予備乾燥 110℃ 8時間押出機:φ50mm、L/D=28、短軸 押出温度275〜290℃Tダイ:巾500mm、コートハンガータイプ吐出量:12kg/hr上記条件で、ニップロールとして表面を0.2sに仕上げたシリコンゴムロールを用い、3本ロール引取機で速度6m/min、ゴムロール温度60℃、金属ロール温度160℃で成形して、平均厚み60μm、巾430mmの偏光板保護フィルムを得た。
【0037】「偏光膜の作製」鹸化度99%の厚み75μのPVA未処理フィルムを室温の水で洗浄した後、縦一軸に5倍延伸を行った。このフィルムの緊張状態を保持したままヨウ素0.5wt%、ヨウ化カリウム5wt%からなる水溶液に浸漬し、二色性色素を吸着させた。さらにホウ酸10wt%、ヨウ化カリウム10wt%からなる50℃の水溶液で5分間架橋処理を行い偏光子を得た。
【0038】「偏光板の作成」ポリエステル系樹脂溶液(製品名:TM−593、東洋モートン社製)100重量部、イソシアネート系硬化剤溶液(製品名:CAT−56、東洋モートン社製)を18重量部を配合後、酢酸エチルで固形分濃度が30%になるように希釈し、偏光子にバーコーターで塗布した。80℃で1分間乾燥し、乾燥後厚みは3μであった。これを偏光板保護フィルムの凹凸面側に80℃に加熱したロールを用いて熱ラミした。もう片面は上記接着剤溶液を偏光板保護フィルムの凹凸面側に同条件で塗布乾燥し、3μになった接着層にすでに得られた偏光子/偏光板保護フィルム積層体を上記同条件で熱ラミして偏光板とした。これをさらに40℃2日間の硬化を行ったのち評価に用いた。
【0039】比較例シリコンゴムロールを用いない以外は、実施例と同様にして、偏光板保護フィルムを得た。
【0040】「評価方法」
■保護フィルムの凸凹深さの最大値の測定東京精密社製の接触式表面粗さ計を用いてJIS B 0601に準じて測定した。
実施例の保護フィルム:1.9μm比較例の保護フィルム:0.08μm■ヘイズ測定村上色彩社製の全光線透過率計を用いて測定した。
実施例の保護フィルム:15%比較例の保護フィルム:0.2%■接着性評価目視により、偏光子と保護フィルムの剥がれ、外観を確認した。以下の基準で評価した。
○:剥がれが認められず、外観上全く問題がない。
△:手で曲げたり、剥がそうとしたら剥げる場合。
×:そのままで剥げている場合。
■偏光度JIS K 7105に準拠し、全光線透過率を測定し、下記式で算出した。
{(Y0−Y90)/(Y0+Y90)}
Y0:偏光板の偏光軸を平行に揃えた2枚の全光線透過率。
Y90:偏光板の偏光軸を直交に揃えた2枚の全光線透過率。
全光線透過率の測定は、JIS K 7150に準ずる。以下の基準で評価した。
○:偏光度90%以上×:偏光度90%より小さい■耐久性試験条件以下の条件で、上記の接着性、偏光度を評価した。
高温試験:80℃の高温乾燥機 700時間高温高湿試験:60℃90%RHの高温高湿試験機 700時間
【0041】実施例及び比較例につき、接着性及び偏光度を、偏光板作成直後、高温試験後、高温高湿試験後に評価し、その結果を「表1」に示した。本発明の実施例は、比較例に比べ、接着性及び偏光度に極めて優れ、接着性、偏光度は、高温試験及び高温高湿試験後においても劣化せず、優れた耐久性を有している。
【0042】
【表1】


【0043】
【発明の効果】本発明の効果は以下の通りである。
(1)接着剤層を介して容易に偏光子と接着できる。
(2)加熱圧着行程が不要なので偏光素子の劣化がなく偏光度の低下も無い。
(3)フィルムの予熱時間、圧着時間も不要なため連続生産が容易に可能である。
(4)フィルム全体に均一にヘイズを調整できるので、偏光子との密着性が均一なものとなる。
(5)フィルム表面に凸凹形状を有するので、フィルムのブロッキングもなく巻物等の取り扱いが容易となる。
(6)ゴムロールと鏡面金属ロールを用いてニップ成形を行うことにより、ダイラインやゲル状の外観欠点が有ったとしても、それを挟圧効果で除去でき、外観品質に優れたフィルムとなる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】 熱可塑性飽和ノルボルネン系樹脂からなるフィルムにおいて、該フィルムの片面に凹凸が形成されていて、該凹凸の深さの最大値が0.1〜10μmであることを特徴とする偏光板保護フィルム。
【請求項2】 熱可塑性飽和ノルボルネン系樹脂からなるフィルムにおいて、該フィルムの片面に凹凸が形成されていて、該フィルムのヘイズが0.3〜50%であることを特徴とする偏光板保護フィルム。
【請求項3】 溶融押出成形法において、ゴムロールと金属ロールを用いてニップ成形により前記凹凸を形成したことを特徴とする請求項1または2記載の偏光板保護フィルム。
【請求項4】 請求項1、2または3記載の偏光板保護フィルムが、偏光子の少なくとも片面に接着されていることを特徴とする偏光板。

【公開番号】特開2001−51116(P2001−51116A)
【公開日】平成13年2月23日(2001.2.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願平11−222802
【出願日】平成11年8月5日(1999.8.5)
【出願人】(000002174)積水化学工業株式会社 (5,781)
【Fターム(参考)】