説明

偏光板及びそれを用いた表示装置

【課題】本発明の目的は、一方の面に位相差を有するセルロースエステルフィルムを有する偏光板において、偏光板製造工程においてリターデーション値の変動が起こりにくく、リターデーション値のばらつきが少ない偏光板を得ることにより、品質の均一性が向上した表示装置を提供することにある。
【解決手段】少なくとも可塑剤とセルロースエステルを含有し、陽電子消滅寿命法により求められる自由体積半径が0.250〜0.310nmである位相差フィルムを、偏光膜の一方の面に有することを特徴とする偏光板。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は偏光板及びそれを用いた表示装置に関し、偏光板製造工程におけるリターデーション値が変動しにくく、リターデーション値のばらつきが少ない偏光板及びそれを用いた表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶表示装置は大型テレビへの活用が注目されている。大型液晶テレビは、これまでのノートパソコンや液晶モニターに比べて、視野角、コントラストや使用環境変化に対する安定性など要求性能も益々厳しくなっている。従って液晶表示装置に使用される偏光板、偏光板に使用されるセルロースエステルフィルムにも同様に厳しい性能が要求されており、特に延伸されたセルロースエステルフィルムは、光学性能に大きな影響を与えるため、重要な部材として厳しいスペックが要求されている。そのため、これらのスペックを改善するためのに様々な改良が日々行われている。位相差板を一体とした偏光板において、偏光板製造工程の条件の変更或いは意図しない条件の変動によって、製造された偏光板のリタデーション値が変化しているケースがあり、画面サイズが大きな偏光板では、特にその改善が求められるようになった。又、液晶表示装置の表示性能を向上させるため、液晶セルの直下にバックライトを配置するようになってきている。しかしながら、バックライトに蛍光管に代えてLEDを用いた直下型では、温度上昇による影響も無視出来なくなってきており、表示装置ごとのばらつきが起こりやすく、特にコントラスト値がそろった表示装置を作るための、改善が求められている。
【0003】
従来、表示品位が経時的に安定し、生産性に優れる表示装置を得るために、位相差フィルムの透湿性を改善した位相差フィルムが提案されている(例えば、特許文献1参照。)。また、熱歪みによる光漏れのない、表示品位に優れる表示装置を得るために、吸湿膨張係数を所定範囲内にした位相差フィルムが提案されている(例えば、特許文献2参照。)。また、セルロースアシレートフィルムのほう酸の拡散係数を制御することで、過酷な湿熱条件においても耐久性に優れる偏光板が提案されている(例えば、特許文献3参照。)。しかしながらいずれも上記問題に対しては充分ではなかった。例えば、特許文献3では、ほう酸の拡散係数を制御する方法としてセルロースアシレートフィルム中の自由体積を小さくすることが述べられており、段落番号[0015]ではセルロースアシレートフィルム中の自由体積は、該フィルムの結晶量を大きくすることにより減少させているとある。しかしながら、偏光板製造工程でのリターデーション値の変動については、不十分であった。特にセルロースアセテートプロピオネートといった混合酸エステルなどの非晶性のセルロース樹脂では、充分な効果を得ることが出来なかった。
【特許文献1】特開2002−14230号公報
【特許文献2】特開2002−71955号公報
【特許文献3】特開2004−279931号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は上記課題に鑑みなされたものであり、その目的は一方の面に位相差を有するセルロースエステルフィルムを有する偏光板において、偏光板製造工程においてリターデーション値の変動が起こりにくく、リターデーション値のばらつきが少ない偏光板を得ることにより、品質の均一性が向上した表示装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の上記目的は以下の構成により達成される。
【0006】
1.少なくとも可塑剤とセルロースエステルを含有し、陽電子消滅寿命法により求められる自由体積半径が0.250〜0.310nmである位相差フィルムを、偏光膜の一方の面に有することを特徴とする偏光板。
【0007】
2.前記位相差フィルムの全自由体積パラメータが1.0〜2.0であることを特徴とする前記1に記載の偏光板。
【0008】
3.前記セルロースエステルが炭素数2〜22の混合(脂肪)酸エステルであることを特徴とする前記1または2に記載の偏光板。
【0009】
4.前記位相差フィルムの下記式で定義されるRoが30〜300nm、Rt70〜400nmであることを特徴とする前記1〜3のいずれか1項に記載の偏光板。
【0010】
Ro=(nx−ny)×d
Rt={(nx+ny)/2−nz}×d
(式中、Roはフィルム面内リターデーション値、Rtはフィルム厚み方向リターデーション値、nxはフィルム面内の遅相軸方向の屈折率、nyはフィルム面内の進相軸方向の屈折率、nzはフィルムの厚み方向の屈折率(屈折率は波長590nmで測定)、dはフィルムの厚さ(nm)を表す。)
5.直下型バックライトを有し、かつ前記1〜4のいずれか1項に記載の偏光板を用いたことを特徴とする表示装置。
【発明の効果】
【0011】
本発明により、一方の面に位相差を有するセルロースエステルフィルムを有する偏光板において、偏光板製造工程においてリターデーション値の変動が起こりにくく、リターデーション値のばらつきが少ない偏光板を得ることにより、品質の均一性が向上した表示装置を提供することが出来る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下本発明を実施するための最良の形態について詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0013】
本発明の構成の特徴は以下の通りである。
【0014】
1.少なくとも可塑剤とセルロースエステルを含有し、陽電子消滅寿命法により求められる自由体積半径が0.250〜0.310nmであることを特徴とする延伸セルロースエステルフィルム。
【0015】
2.全自由体積パラメータが1.0〜2.0であることを特徴とする前記1に記載の延伸セルロースエステルフィルム。
【0016】
3.前記セルロースエステルが炭素数2〜22の混合(脂肪)酸エステルであることを特徴とする前記1または2に記載の延伸セルロースエステルフィルム。
【0017】
4.前記セルロースエステルがセルロースアセテートプロピオネート若しくはセルロースアセテートブチレートであることを特徴とする前記1〜3のいずれか1項に記載の延伸セルロースエステルフィルム。
【0018】
5.Roが30〜300nm、Rt70〜400nmであることを特徴とする前記1〜4のいずれか1項に記載の延伸セルロースエステルフィルム。
【0019】
6.80℃、90%RH、48時間における保留性が±2%以内であることを特徴とする前記1〜5のいずれか1項に記載の延伸セルロースエステルフィルム。
【0020】
7.少なくとも可塑剤とセルロースエステルを含有し、陽電子消滅寿命法により求められる自由体積半径が0.250〜0.310nmである位相差フィルムを偏光膜の一方の面に有することを特徴とする偏光板。
【0021】
8.前記位相差フィルムの全自由体積パラメータが1.0〜2.0であることを特徴とする前記7に記載の偏光板。
【0022】
9.前記位相差フィルムの全自由体積パラメータが1.2〜1.8であることを特徴とする前記7に記載の偏光板。
【0023】
10.前記セルロースエステルが炭素数2〜22の混合(脂肪)酸エステルであることを特徴とする前記7〜9のいずれか1項に記載の偏光板。
【0024】
11.前記位相差フィルムのRoが20〜300nm、Rt70〜400nmであることを特徴とする前記7〜10のいずれか1項に記載の偏光板。
【0025】
12.前記位相差フィルムの80℃、90%RH、48時間における保留性が±2%以内であることを特徴とする前記7〜11のいずれか1項に記載の偏光板。
【0026】
13.少なくとも可塑剤とセルロースエステルを含有し、陽電子消滅寿命法により求められる自由体積半径が0.250〜0.310nmであり、かつ全自由体積パラメータが1.0〜2.0である延伸されたセルロースエステルフィルムが、流延製膜工程で残留溶媒量0.3%未満まで乾燥された後、105〜155℃で、置換率12回/時間以上の雰囲気下で処理することによって製造されたものであることを特徴とする延伸セルロースエステルフィルムを用いた偏光板。
【0027】
14.直下型LEDバックライトを有し、かつ前記7〜13のいずれか1項に記載の偏光板を有することを特徴とする液晶表示装置。
【0028】
最初に、本発明の特徴を説明する。
【0029】
本発明は、少なくとも可塑剤とセルロースエステルを含有し、陽電子消滅寿命法により求められる自由体積半径が0.250〜0.310nmである位相差フィルムを偏光膜の一方の面に有する偏光板によって達成することが出来る。更に、全自由体積パラメータが1.0〜2.0である位相差フィルムを用いた偏光板であることが好ましい。
【0030】
本発明における自由体積は、セルロースエステル分子鎖に占有されていない空隙部分を表している。これは、陽電子消滅寿命法を用いて測定することが出来る。具体的には、陽電子を試料に入射してから消滅するまでの時間を測定し、その消滅寿命から原子空孔や自由体積の大きさ、数濃度等に関する情報を非破壊的に観察することにより求めることが出来る。
【0031】
〈陽電子消滅寿命法による自由体積半径と自由体積パラメータの測定〉
下記測定条件にて陽電子消滅寿命と相対強度を測定した。
【0032】
(測定条件)
陽電子線源:22NaCl(強度1.85MBq)
ガンマ線検出器:プラスチック製シンチレーター+光電子増倍管
装置時間分解能:290ps
測定温度:23℃
総カウント数:100万カウント
試料サイズ:20mm×15mmにカットした切片を20枚重ねて約2mmの厚みにした。試料は測定前に24時間真空乾燥を行った。
【0033】
照射面積:約10mmφ
1チャンネルあたりの時間:23.3ps/ch
上記の測定条件に従って、陽電子消滅寿命測定を実施し、非線形最小二乗法により3成分解析して、消滅寿命の小さいものから、τ1、τ2、τ3とし、それに応じた強度をI1,I2,I3(I1+I2+I3=100%)とした。最も寿命の長い平均消滅寿命τ3から、下記式を用いて自由体積半径R3(nm)を求めた。τ3が空孔での陽電子消滅に対応し、τ3が大きいほど空孔サイズが大きいと考えられている。
【0034】
τ3=(1/2)〔1−{R3/(R3+0.166)}+(1/2π)sin{2πR3/(R3+0.166)}〕-1
ここで、0.166(nm)は空孔の壁から浸出している電子層の厚さに相当する。
【0035】
更に、全自由体積パラメータVPは、下記式により求めた。
【0036】
3={(4/3)π(R33}(nm3
VP=I3(%)×V3(nm3
ここでI3(%)は空孔の相対的な数濃度に相当するため、VPは相対的な空孔量に相当する。
【0037】
以上の測定を2回繰り返し、その平均値を求めた。
【0038】
陽電子消滅寿命法は、例えばMATERIAL STAGE vol.4,No.5 2004 p21−25、東レリサーチセンター THE TRC NEWS No.80(Jul.2002)p20−22、「ぶんせき,1988,pp.11−20」に「陽電子消滅法による高分子の自由体積の評価」が掲載されており、これらを参考にすることが出来る。
【0039】
本発明に用いられる位相差フィルムの自由体積半径は、0.250〜0.310nmであり、更に好ましい範囲は、0.270〜0.305nmである。自由体積半径が0.250nm未満であったり、全自由体積パラメータが1.0未満であるセルロースエステル系位相差フィルムを製造するのは工業的に困難であったりすることがある。また、自由体積半径が0.310nmを超える従来の位相差フィルムでは、本発明の目的を達成出来ず、偏光板を製造する際にリタデーションが変動しやすく、リタデーション斑も起こりやすくなる。また、全自由体積パラメータの好ましい範囲は1.0〜2.0であり、更に好ましい範囲は1.2〜1.8である。全自由体積パラメータが1.8未満であると、偏光板を製造する際にリタデーションが更に変動しにくくなり、リタデーション斑も起こりにくくなる。
【0040】
少なくとも可塑剤とセルロースエステルを含有する位相差フィルムの自由体積半径及び全自由体積パラメータを所定の範囲にする方法は特に限定はされないが、下記の方法によってこれらを制御することが出来る。
【0041】
陽電子消滅寿命法により求められる自由体積半径が0.250〜0.310nm、全自由体積パラメータ1.0〜2.0である位相差フィルムは、少なくとも可塑剤とセルロースエステルを含有するドープを流延してウェブを作成し、溶媒を含んだ状態で延伸した後、残留溶媒量が0.3%未満となるまで乾燥させてセルロースエステルフィルムを得て、これを更に、105〜155℃で、雰囲気置換率12回/時間以上、好ましくは12〜45回/時間の雰囲気下で搬送しながら処理することによって、所定の自由体積半径及び全自由体積パラメータである位相差フィルムを得ることが出来る。
【0042】
雰囲気置換率は、熱処理室の雰囲気容量をV(m3)、Fresh−air送風量をFA(m3/hr)とした場合、下式によって求められる単位時間あたり熱処理室の雰囲気をFresh−airで置換する回数である。Fresh−airは熱処理室に送風される風のうち、循環再利用している風ではなく、揮発した溶媒若しくは可塑剤などを含まない、若しくはそれらが除去された新鮮な風のことを意味している。
【0043】
雰囲気置換率=FA/V(回/時間)
更に温度が155℃を超えると、本発明の効果は得られず、105℃を下回っても本発明の効果は得られない。処理温度としては、110〜150℃であることが更に好ましい。更に、該処理部において雰囲気置換率が12回/時間以上の雰囲気置換率に維持された雰囲気下で処理されることが必要であり、12回/時間未満では、本発明の効果が得られない。
【0044】
これは12回/時間以上の雰囲気置換率では、位相差フィルムから揮発した可塑剤による雰囲気中の可塑剤濃度を十分に低減することが出来、フィルムへの再付着が低減される。これが本発明の効果を得ることに寄与しているものと推測している。通常の乾燥工程では雰囲気置換率は10回/時間以下で行われる。置換率を必要以上に増加させるとコストが高くなるため好ましくなく、また、ウェブがばたつくことにより、面内リタデーション斑が増加する傾向があるため、特に位相差フィルムを製造する際は高くすることは好ましくないが、十分に乾燥が終了し、残留溶媒量が低減した後であれば、雰囲気置換率を上げることが出来る。しかしながら、45回より多くなると空調装置コストが極端に増大するため実用的でない。この条件下における処理時間は1分〜1時間が好ましい。1分未満では自由体積半径を所定の範囲にすることは難しく、1時間以下ではこの処理によるリタデーション値の変動が少ないため好ましい。
【0045】
更に、この処理工程において、厚み方向に加圧処理することも自由体積半径及び自由体積パラメータをより好ましい範囲に制御することが出来る。好ましい圧力は0.5〜10kPaである。圧力をかける際の残留溶媒量は0.3%未満であることが望ましい。残留溶媒量の多いところ、0.3%以上では平面性改善などには効果があるものの、本発明の効果は得られない。
【0046】
このような処理を行っていない従来の位相差フィルムは、自由体積半径が0.315より大きいものであった。
【0047】
本発明を更に詳細に説明するが本発明はこれらに限定されるものではない。
【0048】
〈セルロースエステル〉
本発明に用いられるセルロースエステルの分子量は、数平均分子量(Mn)で80000〜200000のものが用いられる。100000〜200000のものが更に好ましく、150000〜200000が特に好ましい。
【0049】
本発明で用いられるセルロースエステルは、重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比、Mw/Mnが、前記のように1.2〜3.0であることが好ましく、好ましくは1.7〜2.2の範囲である。
【0050】
セルロースエステルの平均分子量及び分子量分布は、高速液体クロマトグラフィーを用いて公知の方法で測定することが出来る。これを用いて数平均分子量、重量平均分子量を算出し、その比(Mw/Mn)を計算することが出来る。
【0051】
測定条件は以下の通りである。
【0052】
溶媒:メチレンクロライド
カラム:Shodex K806、K805、K803G(昭和電工(株)製を3本接続して使用した)
カラム温度:25℃
試料濃度:0.1質量%
検出器:RI Model 504(GLサイエンス社製)
ポンプ:L6000(日立製作所(株)製)
流量:1.0ml/min
校正曲線:標準ポリスチレンSTK standard ポリスチレン(東ソー(株)製)Mw=1000000〜500迄の13サンプルによる校正曲線を使用した。13サンプルは、ほぼ等間隔に得ることが好ましい。
【0053】
本発明に用いられるセルロースエステルは、炭素数2〜22程度の脂肪族カルボン酸エステルまたは芳香族カルボン酸エステル或いは脂肪族カルボン酸エステルと芳香族カルボン酸エステルの混合エステルが、本発明の効果が顕著に得られるため好ましく用いられる。
【0054】
特にセルロースの低級脂肪酸エステルであることが好ましい。セルロースの低級脂肪酸エステルにおける低級脂肪酸とは炭素原子数が6以下の脂肪酸を意味する。具体的には、セルロースアセテート、セルロースプロピオネート、セルロースブチレート、セルロースアセテートフタレート等や、特開平10−45804号、同8−231761号、米国特許第2,319,052号等に記載されているようなセルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレート等の混合脂肪酸エステルを用いることが出来る。上記記載の中でも、特に好ましく用いられるセルロースの低級脂肪酸エステルは、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレート、セルロースアセテートプロピオネートブチレートである。これらのセルロースエステルは混合して用いることも出来る。これらは、セルローストリアセテートと異なり非晶性であるため、本発明に特に好ましく用いられる。
【0055】
総アシル基置換度は2.4から2.9のものが好ましく用いられる。特に好ましいセルロースエステルは、炭素原子数2〜22のアシル基を置換基として有し、アセチル基の置換度をXとし、炭素原子数3〜22のアシル基の置換度をYとした時、下記式(I)及び(II)を同時に満たすセルロースエステルである。
【0056】
式(I) 2.4≦X+Y≦2.9
式(II) 0≦X≦2.5
中でも1.7≦X≦2.5、0.1≦Y≦1.2のセルロースアセテートプロピオネート(総アシル基置換度=X+Y)が好ましい。アシル基で置換されていない部分は通常水酸基として存在している。これらは公知の方法で合成することが出来る。
【0057】
これらアシル基置換度は、ASTM−D817−96に規定の方法に準じて測定することが出来る。
【0058】
セルロースエステルは綿花リンター、木材パルプ、ケナフ等を原料として合成されたセルロースエステルを単独或いは混合して用いることが出来る。特に綿花リンター(以下、単にリンターとすることがある)、木材パルプから合成されたセルロースエステルを単独或いは混合して用いることが好ましい。
【0059】
また、これらから得られたセルロースエステルはそれぞれ任意の割合で混合使用することが出来る。これらのセルロースエステルは、セルロース原料をアシル化剤が酸無水物(無水酢酸、無水プロピオン酸、無水酪酸)である場合には、酢酸のような有機酸やメチレンクロライド等の有機溶媒を用い、硫酸のようなプロトン性触媒を用いて常法により反応させて得ることが出来る。
【0060】
アセチルセルロースの場合、酢化率を上げようとすれば、酢化反応の時間を延長する必要がある。但し、反応時間を余り長くとると分解が同時に進行し、ポリマー鎖の切断やアセチル基の分解などが起り、好ましくない結果をもたらす。従って、酢化度を上げ、分解をある程度抑えるためには反応時間はある範囲に設定することが必要である。反応時間で規定することは反応条件が様々であり、反応装置や設備その他の条件で大きく変わるので適切でない。ポリマーの分解は進むにつれ、分子量分布が広くなってゆくので、セルロースエステルの場合にも、分解の度合いは通常用いられる重量平均分子量(Mw)/数平均分子量(Mn)の値で規定出来る。即ちセルローストリアセテートの酢化の過程で、余り長すぎて分解が進みすぎることがなく、かつ酢化には十分な時間酢化反応を行わせしめるための反応度合いの一つの指標として用いられる重量平均分子量(Mw)/数平均分子量(Mn)の値を用いることが出来る。
【0061】
セルロースエステルの製造法の一例を以下に示すと、セルロース原料として綿化リンター100質量部を解砕し、40質量部の酢酸を添加し、36℃で20分間前処理活性化をした。その後、硫酸8質量部、無水酢酸260質量部、酢酸350質量部を添加し、36℃で120分間エステル化を行った。24%酢酸マグネシウム水溶液11質量部で中和した後、63℃で35分間ケン化熟成し、アセチルセルロースを得た。これを10倍の酢酸水溶液(酢酸:水=1:1(質量比))を用いて、室温で160分間攪拌した後、濾過、乾燥させてアセチル置換度2.75の精製アセチルセルロースを得た。このアセチルセルロースはMnが92,000、Mwが156,000、Mw/Mnは1.7であった。同様にセルロースエステルのエステル化条件(温度、時間、攪拌)、加水分解条件を調整することによって置換度、Mw/Mn比の異なるセルロースエステルを合成することが出来る。
【0062】
尚、合成されたセルロースエステルは、精製して低分子量成分を除去したり、未酢化または低酢化度の成分を濾過で取り除くことも好ましく行われる。
【0063】
また、混酸セルロースエステルの場合には、特開平10−45804号公報に記載の方法で得ることが出来る。アシル基の置換度の測定方法はASTM−D817−96の規定に準じて測定することが出来る。
【0064】
また、セルロースエステルは、セルロースエステル中の微量金属成分によっても影響を受ける。これらは製造工程で使われる水に関係していると考えられるが、不溶性の核となり得るような成分は少ない方が好ましく、鉄、カルシウム、マグネシウム等の金属イオンは、有機の酸性基を含んでいる可能性のあるポリマー分解物等と塩形成することにより不溶物を形成する場合があり、少ないことが好ましい。鉄(Fe)成分については、1ppm以下であることが好ましい。カルシウム(Ca)成分については、カルボン酸や、スルホン酸等の酸性成分と、また多くの配位子と配位化合物即ち、錯体を形成しやすく、多くの不溶なカルシウムに由来するスカム(不溶性の澱、濁り)を形成する。
【0065】
カルシウム(Ca)成分は60ppm以下、好ましくは0〜30ppmである。マグネシウム(Mg)成分については、やはり多すぎると不溶分を生ずるため、0〜70ppmであることが好ましく、特に0〜20ppmであることが好ましい。鉄(Fe)分の含量、カルシウム(Ca)分含量、マグネシウム(Mg)分含量等の金属成分は、絶乾したセルロースエステルをマイクロダイジェスト湿式分解装置(硫硝酸分解)、アルカリ溶融で前処理を行った後、ICP−AES(誘導結合プラズマ発光分光分析装置)を用いて分析することが出来る。
【0066】
〈可塑剤〉
本発明に用いられる位相差フィルム中の可塑剤の総含有量は、固形分総量に対し、1〜20質量%含有することが好ましく、特に3〜18質量%含有することが好ましい。
【0067】
使用される可塑剤の種類は特に限定はなく、リン酸エステル系可塑剤、グリコレート系可塑剤、クエン酸エステル系可塑剤、フタル酸エステル系可塑剤、多価アルコールエステル系可塑剤、多価カルボン酸エステル系可塑剤、脂肪酸エステル系可塑剤、ポリエステル系可塑剤、ポリウレタン系可塑剤などが挙げられる。
【0068】
例えば、リン酸エステル系可塑剤としては、トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート、オクチルジフェニルホスフェート、ジフェニルビフェニルホスフェート、トリオクチルホスフェート、トリブチルホスフェート等が挙げられる
グリコレート系可塑剤としては、アルキルフタリルアルキルグリコレート類が好ましく用いることが出来る。アルキルフタリルアルキルグリコレート類としては、例えばメチルフタリルメチルグリコレート、エチルフタリルエチルグリコレート、プロピルフタリルプロピルグリコレート、ブチルフタリルブチルグリコレート、オクチルフタリルオクチルグリコレート、メチルフタリルエチルグリコレート、エチルフタリルメチルグリコレート、エチルフタリルプロピルグリコレート、メチルフタリルブチルグリコレート、エチルフタリルブチルグリコレート、ブチルフタリルメチルグリコレート、ブチルフタリルエチルグリコレート、プロピルフタリルブチルグリコレート、ブチルフタリルプロピルグリコレート、メチルフタリルオクチルグリコレート、エチルフタリルオクチルグリコレート、オクチルフタリルメチルグリコレート、オクチルフタリルエチルグリコレート等が挙げられる。
【0069】
フタル酸エステル系可塑剤としては、ジエチルフタレート、ジメトキシエチルフタレート、ジメチルフタレート、ジオクチルフタレート、ジブチルフタレート、ジ−2−エチルヘキシルフタレート、ジオクチルフタレート、ジシクロヘキシルフタレート、ジシクロヘキシルテレフタレート等が挙げられる。
【0070】
クエン酸エステル系可塑剤としては、クエン酸アセチルトリメチル、クエン酸アセチルトリエチル、クエン酸アセチルトリブチル、等が挙げられる。
【0071】
脂肪酸エステル系可塑剤として、オレイン酸ブチル、リシノール酸メチルアセチル、セバシン酸ジブチル等が挙げられる。
【0072】
多価カルボン酸エステル系可塑剤も好ましく用いることが出来る。具体的には特開2002−265639号公報の段落番号[0015]〜[0020]記載の多価カルボン酸エステルを可塑剤の一つとして添加することが好ましい。
【0073】
高温多湿の環境下で、可塑剤等の添加剤がフィルム外に析出や揮発すること等によりフィルムの質量が減量する性質を保留性という。従来のセルロースエステルフィルムではこの保留性が悪く液晶画像表示装置の機能低下を来している。本発明では、好ましくは80℃、90%RH、48時間における保留性が±2%以内である可塑剤を含有することが好ましい。
【0074】
本発明でいう保留性は以下の手順で測定される。
【0075】
〈保留性の測定〉
試料を10cm×10cmのサイズに断裁し、23℃、55%RHの雰囲気下で24時間放置後の質量を測定して、80℃、90%RHの条件下で48時間放置した。処理後の試料の表面を軽く拭き、23℃、55%RHで1日放置後の質量を測定して、以下の方法で保留性を計算した。
【0076】
保留性(質量%)={(放置前の質量−放置後の質量)/放置前の質量}×100
80℃、90%RH、48時間における保留性が±2%以内である可塑剤としては、例えば、多価アルコールエステル、ポリエステル系可塑剤、ポリウレタン系可塑剤などをあげることが出来る。
【0077】
多価アルコールエステル系可塑剤は2価以上の脂肪族多価アルコールとモノカルボン酸のエステルよりなる可塑剤であり、分子内に芳香環またはシクロアルキル環を有することが好ましい。好ましくは2〜20価の脂肪族多価アルコールエステルである。
【0078】
本発明に用いられる多価アルコールは次の一般式(i)で表される。
【0079】
一般式(i) R1−(OH)n
但し、R1はn価の有機基、nは2以上の正の整数、OH基はアルコール性、及び/またはフェノール性水酸基を表す。多価アルコールの炭素数が5以上であることが好ましく、
好ましい多価アルコールの例としては、例えば以下のようなものを挙げることが出来るが、本発明はこれらに限定されるものではない。アドニトール、アラビトール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、ジブチレングリコール、1,2,4−ブタントリオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ヘキサントリオール、ガラクチトール、マンニトール、3−メチルペンタン−1,3,5−トリオール、ピナコール、ソルビトール、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、キシリトール等を挙げることが出来る。特に、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ソルビトール、トリメチロールプロパン、キシリトールが好ましい。
【0080】
本発明の多価アルコールエステルに用いられるモノカルボン酸としては、特に制限はなく、公知の脂肪族モノカルボン酸、脂環族モノカルボン酸、芳香族モノカルボン酸等を用いることが出来る。脂環族モノカルボン酸、芳香族モノカルボン酸を用いると透湿性、保留性を向上させる点で好ましい。
【0081】
好ましいモノカルボン酸の例としては以下のようなものを挙げることが出来るが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0082】
脂肪族モノカルボン酸としては、炭素数1〜32の直鎖または側鎖を有する脂肪酸を好ましく用いることが出来る。炭素数は1〜20であることが更に好ましく、1〜10であることが特に好ましい。酢酸を含有させるとセルロースエステルとの相溶性が増すため好ましく、酢酸と他のモノカルボン酸を混合して用いることも好ましい。
【0083】
好ましい脂肪族モノカルボン酸としては、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、カプロン酸、エナント酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、2−エチル−ヘキサン酸、ウンデシル酸、ラウリン酸、トリデシル酸、ミリスチン酸、ペンタデシル酸、パルミチン酸、ヘプタデシル酸、ステアリン酸、ノナデカン酸、アラキン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸、セロチン酸、ヘプタコサン酸、モンタン酸、メリシン酸、ラクセル酸等の飽和脂肪酸、ウンデシレン酸、オレイン酸、ソルビン酸、リノール酸、リノレン酸、アラキドン酸等の不飽和脂肪酸等を挙げることが出来る。
【0084】
好ましい脂環族モノカルボン酸の例としては、シクロペンタンカルボン酸、シクロヘキサンカルボン酸、シクロオクタンカルボン酸、またはそれらの誘導体を挙げることが出来る。
【0085】
好ましい芳香族モノカルボン酸の例としては、安息香酸、トルイル酸等の安息香酸のベンゼン環にアルキル基を導入したもの、ビフェニルカルボン酸、ナフタレンカルボン酸、テトラリンカルボン酸等のベンゼン環を2個以上有する芳香族モノカルボン酸、またはそれらの誘導体を挙げることが出来る。特に安息香酸が好ましい。
【0086】
多価アルコールエステルの分子量は特に制限はないが、300〜1500であることが好ましく、350〜1000であることが更に好ましい。分子量が大きい方が揮発し難くなるため好ましく、セルロースエステルとの相溶性の点では小さい方が好ましい。
【0087】
多価アルコールエステルに用いられるカルボン酸は1種類でもよいし、2種以上の混合であってもよい。
【0088】
以下に、多価アルコールエステルの具体的化合物を例示する。
【0089】
【化1】

【0090】
【化2】

【0091】
【化3】

【0092】
【化4】

【0093】
ポリエステル系可塑剤としては、特開2002−22956号公報の段落番号[0051]〜[0056]に記載されているものが好ましく用いられる。或いは、特開2003−171499号公報の段落番号[0031]〜[0039]記載のポリウレタン系可塑剤も用いることが出来る。
【0094】
或いは、1種が下記一般式(I)で表される芳香族末端エステル系可塑剤も好ましくもちいることが出来る。
【0095】
一般式(I) B−(G−A)n−G−B
(式中、Bはベンゼンモノカルボン酸残基、Gは炭素数2〜12のアルキレングリコール残基または炭素数が4〜12のオキシアルキレングリコール残基、Aは炭素数4〜12のアルキレンジカルボン酸残基を表し、またnは0以上の整数を表す。)
一般式(I)中、Bで示されるベンゼンモノカルボン酸残基とGで示されるアルキレングリコール残基またはオキシアルキレングリコール残基、Aで示されるアルキレンジカルボン酸残基とから構成されるものであり、通常のポリエステル系可塑剤と同様の反応により得られる。
【0096】
本発明で使用される芳香族末端エステルのベンゼンモノカルボン酸成分としては、例えば、安息香酸、パラターシャリブチル安息香酸、オルソトルイル酸、メタトルイル酸、パラトルイル酸、ジメチル安息香酸、エチル安息香酸、ノルマルプロピル安息香酸、アミノ安息香酸、アセトキシ安息香酸等があり、これらは、それぞれ1種または2種以上の混合物として使用することが出来る。
【0097】
本発明の芳香族末端エステルの炭素数2〜12のアルキレングリコール成分としては、エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、2−メチル1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール(ネオペンチルグリコール)、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオール(3,3−ジメチロールペンタン)、2−n−ブチル−2−エチル−1,3プロパンジオール(3,3−ジメチロールヘプタン)、3−メチル−1,5−ペンタンジオール1,6−ヘキサンジオール、2,2,4−トリメチル1,3−ペンタンジオール、2−エチル1,3−ヘキサンジオール、2−メチル1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,12−オクタデカンジオール等があり、これらのグリコールは、1種または2種以上の混合物として使用される。
【0098】
また、本発明の芳香族末端エステルの炭素数4〜12のオキシアルキレングリコール成分としては、例えば、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール等があり、これらのグリコールは、1種または2種以上の混合物として使用出来る。
【0099】
本発明の芳香族末端エステルの炭素数4〜12のアルキレンジカルボン酸成分としては、例えば、コハク酸、マレイン酸、フマール酸、グルタール酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン酸等があり、これらは、それぞれ1種または2種以上の混合物として使用される。
【0100】
本発明で使用される芳香族末端エステルは、数平均分子量が、好ましくは250〜2000、より好ましくは300〜1500の範囲が好適である。また、その酸価は、0.5mgKOH/g以下、水酸基価は25mgKOH/g以下、より好ましくは酸価0.3mgKOH/g以下、水酸基価は15mgKOH/g以下のものが好適である。
【0101】
(芳香族末端エステルの酸価、水酸基価)
酸価とは、試料1g中に含まれる酸(分子末端に存在するカルボキシル基)を中和するために必要な水酸化カリウムのミリグラム数をいう。酸価及び水酸基価はJIS K0070に準拠して測定したものである。
【0102】
以下、芳香族末端エステル系可塑剤の合成例を示す。
【0103】
〈サンプルNo.1(芳香族末端エステルサンプル)〉
反応容器に、アジピン酸365部(2.5モル)、1,2−プロピレングリコール418部(5.5モル)、安息香酸610部(5モル)及び触媒としてテトライソプロピルチタネート0.30部を一括して仕込み窒素気流中で撹拌下、還流凝縮器を付して過剰の1価アルコールを還流させながら、酸価が2以下になるまで130〜250℃で加熱を続け生成する水を連続的に除去した。次いで200〜230℃で1.33×104〜最終的に4×102Pa以下の減圧下、留出分を除去し、この後濾過して次の性状を有する芳香族末端エステルを得た。
【0104】
粘度(25℃、mPa・s);815
酸価 ;0.4
〈サンプルNo.2(芳香族末端エステルサンプル)〉
反応容器に、アジピン酸365部(2.5モル)、安息香酸610部(5モル)、ジエチレングリコール583部(5.5モル)及び触媒としてテトライソプロピルチタネート0.45部を用いる以外はサンプルNo.1と全く同様にして次の性状を有する芳香族末端エステルを得た。
【0105】
粘度(25℃、mPa・s);90
酸価 ;0.05
〈サンプルNo.3(芳香族末端エステルサンプル)〉
反応容器にアジピン酸365部(2.5モル)、安息香酸610部(5モル)、ジプロピレングリコール737部(5.5モル)及び触媒としてテトライソプロピルチタネート0.40部を用いる以外はサンプルNo.1と全く同様にして次の性状を有する芳香族末端エステル系可塑剤を得た。
【0106】
粘度(25℃、mPa・s);134
酸価 ;0.03
これらの可塑剤から、好ましくは2種以上の可塑剤を含有させることが好ましい。これによって、可塑剤の溶出を少なくすることが出来る。その理由は明らかではないが、1種類当たりの添加量を減らすことが出来ることと、2種の可塑剤同志及びセルロースエステルとの相互作用によって溶出が抑制されるものと思われる。
【0107】
〈紫外線吸収剤〉
本発明に係るセルロースエステルフィルムは紫外線吸収剤を含有することが好ましい。紫外線吸収剤は400nm以下の紫外線を吸収することで、耐久性を向上させることを目的としており、特に波長370nmでの透過率が10%以下であることが好ましく、より好ましくは5%以下、更に好ましくは2%以下である。
【0108】
本発明に用いられる紫外線吸収剤は特に限定されないが、例えばオキシベンゾフェノン系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物、サリチル酸エステル系化合物、ベンゾフェノン系化合物、シアノアクリレート系化合物、トリアジン系化合物、ニッケル錯塩系化合物、無機粉体等が挙げられる。
【0109】
例えば、5−クロロ−2−(3,5−ジ−sec−ブチル−2−ヒドロキシルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、(2−2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−6−(直鎖及び側鎖ドデシル)−4−メチルフェノール、2−ヒドロキシ−4−ベンジルオキシベンゾフェノン、2,4−ベンジルオキシベンゾフェノン等があり、また、チヌビン109、チヌビン171、チヌビン234、チヌビン326、チヌビン327、チヌビン328等のチヌビン類があり、これらはいずれもチバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製の市販品であり好ましく使用出来る。
【0110】
例えば、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤としては下記一般式(A)で示される化合物を用いることが出来る。
【0111】
【化5】

【0112】
式中、R1、R2、R3、R4及びR5は同一でも異なってもよく、水素原子、ハロゲン原子、ニトロ基、ヒドロキシル基、アルキル基、アルケニル基、アリール基、アルコキシル基、アシルオキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、モノ若しくはジアルキルアミノ基、アシルアミノ基または5〜6員の複素環基を表し、R4とR5は閉環して5〜6員の炭素環を形成してもよい。
【0113】
また、上記記載のこれらの基は、任意の置換基を有していてよい。
【0114】
以下に本発明に係る紫外線吸収剤の具体例を挙げるが、本発明はこれらに限定されない。
【0115】
UV−1:2−(2′−ヒドロキシ−5′−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール
UV−2:2−(2′−ヒドロキシ−3′,5′−ジ−tert−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール
UV−3:2−(2′−ヒドロキシ−3′−tert−ブチル−5′−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール
UV−4:2−(2′−ヒドロキシ−3′,5′−ジ−tert−ブチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール
UV−5:2−(2′−ヒドロキシ−3′−(3″,4″,5″,6″−テトラヒドロフタルイミドメチル)−5′−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール
UV−6:2,2−メチレンビス(4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール)
UV−7:2−(2′−ヒドロキシ−3′−tert−ブチル−5′−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール
UV−8:2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−6−(直鎖及び側鎖ドデシル)−4−メチルフェノール(TINUVIN171、Ciba製)
UV−9:オクチル−3−〔3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−(クロロ−2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェニル〕プロピオネートと2−エチルヘキシル−3−〔3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−(5−クロロ−2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェニル〕プロピオネートの混合物(TINUVIN109、Ciba製)
更に、本発明で好ましく用いられる紫外線吸収剤は、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤やトリアジン系紫外線吸収剤であり、特に好ましくはトリアジン系紫外線吸収剤である。
【0116】
ベンゾフェノン系紫外線吸収剤としては下記一般式(B)で表される化合物が好ましく用いられる。
【0117】
【化6】

【0118】
式中、Yは水素原子、ハロゲン原子またはアルキル基、アルケニル基、アルコキシル基、及びフェニル基を表し、これらのアルキル基、アルケニル基及びフェニル基は置換基を有していてもよい。Aは水素原子、アルキル基、アルケニル基、フェニル基、シクロアルキル基、アルキルカルボニル基、アルキルスルホニル基または−CO(NH)n-1−D基を表し、Dはアルキル基、アルケニル基または置換基を有していてもよいフェニル基を表す。m及びnは1または2を表す。
【0119】
上記において、アルキル基としては、例えば、炭素数24までの直鎖または分岐の脂肪族基を表し、アルコキシル基としては例えば、炭素数18までのアルコキシル基を表し、アルケニル基としては例えば、炭素数16までのアルケニル基でアリル基、2−ブテニル基等を表す。また、アルキル基、アルケニル基、フェニル基への置換基としてはハロゲン原子、例えば、塩素原子、臭素原子、フッ素原子等、ヒドロキシル基、フェニル基(このフェニル基にはアルキル基またはハロゲン原子等を置換していてもよい)等が挙げられる。
【0120】
以下に一般式(B)で表されるベンゾフェノン系化合物の具体例を示すが、本発明はこれらに限定されない。
【0121】
UV−10:2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン
UV−11:2,2′−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン
UV−12:2−ヒドロキシ−4−メトキシ−5−スルホベンゾフェノン
UV−13:ビス(2−メトキシ−4−ヒドロキシ−5−ベンゾイルフェニルメタン)
また、本発明の光学フィルムの紫外線吸収剤として、1,3,5−トリアジン環を有する化合物を好ましく用いることが出来る。
【0122】
1,3,5−トリアジン環を有する化合物は、中でも、下記一般式(C)で表される化合物が好ましい。
【0123】
【化7】

【0124】
一般式(C)において、X1は、単結合、−NR4−、−O−または−S−であり;X2は単結合、−NR5−、−O−または−S−であり;X3は単結合、−NR6−、−O−または−S−であり;R1、R2及びR3はアルキル基、アルケニル基、アリール基または複素環基であり;そして、R4、R5及びR6は、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基または複素環基である。一般式(C)で表される化合物は、メラミン化合物であることが特に好ましい。
【0125】
メラミン化合物では、一般式(C)において、X1、X2及びX3が、それぞれ、−NR4−、−NR5−及び−NR6−であるか、或いは、X1、X2及びX3が単結合であり、かつ、R1、R2及びR3が窒素原子に遊離原子価を持つ複素環基である。−X1−R1、−X2−R2及び−X3−R3は、同一の置換基であることが好ましい。R1、R2及びR3は、アリール基であることが特に好ましい。R4、R5及びR6は、水素原子であることが特に好ましい。
【0126】
上記アルキル基は、環状アルキル基よりも鎖状アルキル基である方が好ましい。分岐を有する鎖状アルキル基よりも、直鎖状アルキル基の方が好ましい。
【0127】
アルキル基の炭素原子数は、1〜30であることが好ましく、1〜20であることがより好ましく、1〜10であることが更に好ましく、1〜8であることが更にまた好ましく、1〜6であることが最も好ましい。アルキル基は置換基を有していてもよい。
【0128】
置換基の具体例としては、例えばハロゲン原子、アルコキシ基(例えばメトキシ、エトキシ、エポキシエチルオキシ等の各基)及びアシルオキシ基(例えば、アクリロイルオキシ、メタクリロイルオキシ)等が挙げられる。上記アルケニル基は、環状アルケニル基よりも鎖状アルケニル基である方が好ましい。分岐を有する鎖状アルケニル基よりも、直鎖状アルケニル基の方が好ましい。アルケニル基の炭素原子数は、2〜30であることが好ましく、2〜20であることがより好ましく、2〜10であることが更に好ましく、2〜8であることが更にまた好ましく、2〜6であることが最も好ましい。アルケニル基は、置換基を有していてもよい。
【0129】
置換基の具体例としては、ハロゲン原子、アルコキシ基(例えば、メトキシ、エトキシ、エポキシエチルオキシ等の各基)またはアシルオキシ基(例えば、アクリロイルオキシ、メタクリロイルオキシ等の各基)が挙げられる。
【0130】
上記アリール基は、フェニル基またはナフチル基であることが好ましく、フェニル基であることが特に好ましい。アリール基は置換基を有していてもよい。
【0131】
置換基の具体例としては、例えば、ハロゲン原子、ヒドロキシル、シアノ、ニトロ、カルボキシル、アルキル基、アルケニル基、アリール基、アルコキシ基、アルケニルオキシ基、アリールオキシ基、アシルオキシ基、アルコキシカルボニル基、アルケニルオキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、スルファモイル、アルキル置換スルファモイル基、アルケニル置換スルファモイル基、アリール置換スルファモイル基、スルホンアミド基、カルバモイル、アルキル置換カルモイル基、アルケニル置換カルバモイル基、アリール置換カルバモイル基、アミド基、アルキルチオ基、アルケニルチオ基、アリールチオ基及びアシル基が含まれる。上記アルキル基は、前述したアルキル基と同義である。
【0132】
アルコキシ基、アシルオキシ基、アルコキシカルボニル基、アルキル置換スルファモイル基、スルホンアミド基、アルキル置換カルバモイル基、アミド基、アルキルチオ基とアシル基のアルキル部分も、前述したアルキル基と同義である。
【0133】
上記アルケニル基は、前述したアルケニル基と同義である。
【0134】
アルケニルオキシ基、アシルオキシ基、アルケニルオキシカルボニル基、アルケニル置換スルファモイル基、スルホンアミド基、アルケニル置換カルバモイル基、アミド基、アルケニルチオ基及びアシル基のアルケニル部分も、前述したアルケニル基と同義である。
【0135】
上記アリール基の具体例としては、例えば、フェニル、α−ナフチル、β−ナフチル、4−メトキシフェニル、3,4−ジエトキシフェニル、4−オクチルオキシフェニルまたは4−ドデシルオキシフェニル等の各基が挙げられる。
【0136】
アリールオキシ基、アシルオキシ基、アリールオキシカルボニル基、アリール置換スルファモイル基、スルホンアミド基、アリール置換カルバモイル基、アミド基、アリールチオ基及びアシル基の部分の例は、上記アリール基と同義である。
【0137】
1、X2またはX3が−NR−、−O−または−S−である場合の複素環基は、芳香族性を有することが好ましい。
【0138】
芳香族性を有する複素環基中の複素環としては、一般に不飽和複素環であり、好ましくは最多の二重結合を有する複素環である。複素環は、5員環、6員環または7員環であることが好ましく、5員環または6員環であることが更に好ましく、6員環であることが最も好ましい。
【0139】
複素環中のヘテロ原子は、N、SまたはO等の各原子であることが好ましく、N原子であることが特に好ましい。
【0140】
芳香族性を有する複素環としては、ピリジン環(複素環基としては、例えば、2−ピリジルまたは4−ピリジル等の各基)が特に好ましい。複素環基は、置換基を有していてもよい。複素環基の置換基の例は、上記アリール部分の置換基の例と同様である。
【0141】
1、X2またはX3が単結合である場合の複素環基は、窒素原子に遊離原子価を持つ複素環基であることが好ましい。窒素原子に遊離原子価を持つ複素環基は、5員環、6員環または7員環であることが好ましく、5員環または6員環であることが更に好ましく、5員環であることが最も好ましい。複素環基は、複数の窒素原子を有していてもよい。
【0142】
また、複素環基中のヘテロ原子は、窒素原子以外のヘテロ原子(例えば、O原子、S原子)を有していてもよい。複素環基は、置換基を有していてもよい。複素環基の置換基の具体例は、上記アリール部分の置換基の具体例と同義である。
【0143】
以下に、窒素原子に遊離原子価を持つ複素環基の具体例を示す。
【0144】
【化8】

【0145】
【化9】

【0146】
1,3,5−トリアジン環を有する化合物の分子量は、300〜2000であることが好ましい。該化合物の沸点は、260℃以上であることが好ましい。沸点は、市販の測定装置(例えば、TG/DTA100、セイコー電子工業(株)製)を用いて測定出来る。
【0147】
以下に、1,3,5−トリアジン環を有する化合物の具体例を示す。
【0148】
尚、以下に示す複数のRは同一の基を表す。
【0149】
【化10】

【0150】
(1)ブチル
(2)2−メトキシ−2−エトキシエチル
(3)5−ウンデセニル
(4)フェニル
(5)4−エトキシカルボニルフェニル
(6)4−ブトキシフェニル
(7)p−ビフェニリル
(8)4−ピリジル
(9)2−ナフチル
(10)2−メチルフェニル
(11)3,4−ジメトキシフェニル
(12)2−フリル
【0151】
【化11】

【0152】
【化12】

【0153】
(14)フェニル
(15)3−エトキシカルボニルフェニル
(16)3−ブトキシフェニル
(17)m−ビフェニリル
(18)3−フェニルチオフェニル
(19)3−クロロフェニル
(20)3−ベンゾイルフェニル
(21)3−アセトキシフェニル
(22)3−ベンゾイルオキシフェニル
(23)3−フェノキシカルボニルフェニル
(24)3−メトキシフェニル
(25)3−アニリノフェニル
(26)3−イソブチリルアミノフェニル
(27)3−フェノキシカルボニルアミノフェニル
(28)3−(3−エチルウレイド)フェニル
(29)3−(3,3−ジエチルウレイド)フェニル
(30)3−メチルフェニル
(31)3−フェノキシフェニル
(32)3−ヒドロキシフェニル
(33)4−エトキシカルボニルフェニル
(34)4−ブトキシフェニル
(35)p−ビフェニリル
(36)4−フェニルチオフェニル
(37)4−クロロフェニル
(38)4−ベンゾイルフェニル
(39)4−アセトキシフェニル
(40)4−ベンゾイルオキシフェニル
(41)4−フェノキシカルボニルフェニル
(42)4−メトキシフェニル
(43)4−アニリノフェニル
(44)4−イソブチリルアミノフェニル
(45)4−フェノキシカルボニルアミノフェニル
(46)4−(3−エチルウレイド)フェニル
(47)4−(3,3−ジエチルウレイド)フェニル
(48)4−メチルフェニル
(49)4−フェノキシフェニル
(50)4−ヒドロキシフェニル
(51)3,4−ジエトキシカルボニルフェニル
(52)3,4−ジブトキシフェニル
(53)3,4−ジフェニルフェニル
(54)3,4−ジフェニルチオフェニル
(55)3,4−ジクロロフェニル
(56)3,4−ジベンゾイルフェニル
(57)3,4−ジアセトキシフェニル
(58)3,4−ジベンゾイルオキシフェニル
(59)3,4−ジフェノキシカルボニルフェニル
(60)3,4−ジメトキシフェニル
(61)3,4−ジアニリノフェニル
(62)3,4−ジメチルフェニル
(63)3,4−ジフェノキシフェニル
(64)3,4−ジヒドロキシフェニル
(65)2−ナフチル
(66)3,4,5−トリエトキシカルボニルフェニル
(67)3,4,5−トリブトキシフェニル
(68)3,4,5−トリフェニルフェニル
(69)3,4,5−トリフェニルチオフェニル
(70)3,4,5−トリクロロフェニル
(71)3,4,5−トリベンゾイルフェニル
(72)3,4,5−トリアセトキシフェニル
(73)3,4,5−トリベンゾイルオキシフェニル
(74)3,4,5−トリフェノキシカルボニルフェニル
(75)3,4,5−トリメトキシフェニル
(76)3,4,5−トリアニリノフェニル
(77)3,4,5−トリメチルフェニル
(78)3,4,5−トリフェノキシフェニル
(79)3,4,5−トリヒドロキシフェニル
【0154】
【化13】

【0155】
(80)フェニル
(81)3−エトキシカルボニルフェニル
(82)3−ブトキシフェニル
(83)m−ビフェニリル
(84)3−フェニルチオフェニル
(85)3−クロロフェニル
(86)3−ベンゾイルフェニル
(87)3−アセトキシフェニル
(88)3−ベンゾイルオキシフェニル
(89)3−フェノキシカルボニルフェニル
(90)3−メトキシフェニル
(91)3−アニリノフェニル
(92)3−イソブチリルアミノフェニル
(93)3−フェノキシカルボニルアミノフェニル
(94)3−(3−エチルウレイド)フェニル
(95)3−(3,3−ジエチルウレイド)フェニル
(96)3−メチルフェニル
(97)3−フェノキシフェニル
(98)3−ヒドロキシフェニル
(99)4−エトキシカルボニルフェニル
(100)4−ブトキシフェニル
(101)p−ビフェニリル
(102)4−フェニルチオフェニル
(103)4−クロロフェニル
(104)4−ベンゾイルフェニル
(105)4−アセトキシフェニル
(106)4−ベンゾイルオキシフェニル
(107)4−フェノキシカルボニルフェニル
(108)4−メトキシフェニル
(109)4−アニリノフェニル
(110)4−イソブチリルアミノフェニル
(111)4−フェノキシカルボニルアミノフェニル
(112)4−(3−エチルウレイド)フェニル
(113)4−(3,3−ジエチルウレイド)フェニル
(114)4−メチルフェニル
(115)4−フェノキシフェニル
(116)4−ヒドロキシフェニル
(117)3,4−ジエトキシカルボニルフェニル
(118)3,4−ジブトキシフェニル
(119)3,4−ジフェニルフェニル
(120)3,4−ジフェニルチオフェニル
(121)3,4−ジクロロフェニル
(122)3,4−ジベンゾイルフェニル
(123)3,4−ジアセトキシフェニル
(124)3,4−ジベンゾイルオキシフェニル
(125)3,4−ジフェノキシカルボニルフェニル
(126)3,4−ジメトキシフェニル
(127)3,4−ジアニリノフェニル
(128)3,4−ジメチルフェニル
(129)3,4−ジフェノキシフェニル
(130)3,4−ジヒドロキシフェニル
(131)2−ナフチル
(132)3,4,5−トリエトキシカルボニルフェニル
(133)3,4,5−トリブトキシフェニル
(134)3,4,5−トリフェニルフェニル
(135)3,4,5−トリフェニルチオフェニル
(136)3,4,5−トリクロロフェニル
(137)3,4,5−トリベンゾイルフェニル
(138)3,4,5−トリアセトキシフェニル
(139)3,4,5−トリベンゾイルオキシフェニル
(140)3,4,5−トリフェノキシカルボニルフェニル
(141)3,4,5−トリメトキシフェニル
(142)3,4,5−トリアニリノフェニル
(143)3,4,5−トリメチルフェニル
(144)3,4,5−トリフェノキシフェニル
(145)3,4,5−トリヒドロキシフェニル
【0156】
【化14】

【0157】
(146)フェニル
(147)4−エトキシカルボニルフェニル
(148)4−ブトキシフェニル
(149)p−ビフェニリル
(150)4−フェニルチオフェニル
(151)4−クロロフェニル
(152)4−ベンゾイルフェニル
(153)4−アセトキシフェニル
(154)4−ベンゾイルオキシフェニル
(155)4−フェノキシカルボニルフェニル
(156)4−メトキシフェニル
(157)4−アニリノフェニル
(158)4−イソブチリルアミノフェニル
(159)4−フェノキシカルボニルアミノフェニル
(160)4−(3−エチルウレイド)フェニル
(161)4−(3,3−ジエチルウレイド)フェニル
(162)4−メチルフェニル
(163)4−フェノキシフェニル
(164)4−ヒドロキシフェニル
【0158】
【化15】

【0159】
(165)フェニル
(166)4−エトキシカルボニルフェニル
(167)4−ブトキシフェニル
(168)p−ビフェニリル
(169)4−フェニルチオフェニル
(170)4−クロロフェニル
(171)4−ベンゾイルフェニル
(172)4−アセトキシフェニル
(173)4−ベンゾイルオキシフェニル
(174)4−フェノキシカルボニルフェニル
(175)4−メトキシフェニル
(176)4−アニリノフェニル
(177)4−イソブチリルアミノフェニル
(178)4−フェノキシカルボニルアミノフェニル
(179)4−(3−エチルウレイド)フェニル
(180)4−(3,3−ジエチルウレイド)フェニル
(181)4−メチルフェニル
(182)4−フェノキシフェニル
(183)4−ヒドロキシフェニル
【0160】
【化16】

【0161】
(184)フェニル
(185)4−エトキシカルボニルフェニル
(186)4−ブトキシフェニル
(187)p−ビフェニリル
(188)4−フェニルチオフェニル
(189)4−クロロフェニル
(190)4−ベンゾイルフェニル
(191)4−アセトキシフェニル
(192)4−ベンゾイルオキシフェニル
(193)4−フェノキシカルボニルフェニル
(194)4−メトキシフェニル
(195)4−アニリノフェニル
(196)4−イソブチリルアミノフェニル
(197)4−フェノキシカルボニルアミノフェニル
(198)4−(3−エチルウレイド)フェニル
(199)4−(3,3−ジエチルウレイド)フェニル
(200)4−メチルフェニル
(201)4−フェノキシフェニル
(202)4−ヒドロキシフェニル
【0162】
【化17】

【0163】
(203)フェニル
(204)4−エトキシカルボニルフェニル
(205)4−ブトキシフェニル
(206)p−ビフェニリル
(207)4−フェニルチオフェニル
(208)4−クロロフェニル
(209)4−ベンゾイルフェニル
(210)4−アセトキシフェニル
(211)4−ベンゾイルオキシフェニル
(212)4−フェノキシカルボニルフェニル
(213)4−メトキシフェニル
(214)4−アニリノフェニル
(215)4−イソブチリルアミノフェニル
(216)4−フェノキシカルボニルアミノフェニル
(217)4−(3−エチルウレイド)フェニル
(218)4−(3,3−ジエチルウレイド)フェニル
(219)4−メチルフェニル
(220)4−フェノキシフェニル
(221)4−ヒドロキシフェニル
【0164】
【化18】

【0165】
(222)フェニル
(223)4−ブチルフェニル
(224)4−(2−メトキシ−2−エトキシエチル)フェニル
(225)4−(5−ノネニル)フェニル
(226)p−ビフェニリル
(227)4−エトキシカルボニルフェニル
(228)4−ブトキシフェニル
(229)4−メチルフェニル
(230)4−クロロフェニル
(231)4−フェニルチオフェニル
(232)4−ベンゾイルフェニル
(233)4−アセトキシフェニル
(234)4−ベンゾイルオキシフェニル
(235)4−フェノキシカルボニルフェニル
(236)4−メトキシフェニル
(237)4−アニリノフェニル
(238)4−イソブチリルアミノフェニル
(239)4−フェノキシカルボニルアミノフェニル
(240)4−(3−エチルウレイド)フェニル
(241)4−(3,3−ジエチルウレイド)フェニル
(242)4−フェノキシフェニル
(243)4−ヒドロキシフェニル
(244)3−ブチルフェニル
(245)3−(2−メトキシ−2−エトキシエチル)フェニル
(246)3−(5−ノネニル)フェニル
(247)m−ビフェニリル
(248)3−エトキシカルボニルフェニル
(249)3−ブトキシフェニル
(250)3−メチルフェニル
(251)3−クロロフェニル
(252)3−フェニルチオフェニル
(253)3−ベンゾイルフェニル
(254)3−アセトキシフェニル
(255)3−ベンゾイルオキシフェニル
(256)3−フェノキシカルボニルフェニル
(257)3−メトキシフェニル
(258)3−アニリノフェニル
(259)3−イソブチリルアミノフェニル
(260)3−フェノキシカルボニルアミノフェニル
(261)3−(3−エチルウレイド)フェニル
(262)3−(3,3−ジエチルウレイド)フェニル
(263)3−フェノキシフェニル
(264)3−ヒドロキシフェニル
(265)2−ブチルフェニル
(266)2−(2−メトキシ−2−エトキシエチル)フェニル
(267)2−(5−ノネニル)フェニル
(268)o−ビフェニリル
(269)2−エトキシカルボニルフェニル
(270)2−ブトキシフェニル
(271)2−メチルフェニル
(272)2−クロロフェニル
(273)2−フェニルチオフェニル
(274)2−ベンゾイルフェニル
(275)2−アセトキシフェニル
(276)2−ベンゾイルオキシフェニル
(277)2−フェノキシカルボニルフェニル
(278)2−メトキシフェニル
(279)2−アニリノフェニル
(280)2−イソブチリルアミノフェニル
(281)2−フェノキシカルボニルアミノフェニル
(282)2−(3−エチルウレイド)フェニル
(283)2−(3,3−ジエチルウレイド)フェニル
(284)2−フェノキシフェニル
(285)2−ヒドロキシフェニル
(286)3,4−ジブチルフェニル
(287)3,4−ジ(2−メトキシ−2−エトキシエチル)フェニル
(288)3,4−ジフェニルフェニル
(289)3,4−ジエトキシカルボニルフェニル
(290)3,4−ジドデシルオキシフェニル
(291)3,4−ジメチルフェニル
(292)3,4−ジクロロフェニル
(293)3,4−ジベンゾイルフェニル
(294)3,4−ジアセトキシフェニル
(295)3,4−ジメトキシフェニル
(296)3,4−ジ−N−メチルアミノフェニル
(297)3,4−ジイソブチリルアミノフェニル
(298)3,4−ジフェノキシフェニル
(299)3,4−ジヒドロキシフェニル
(300)3,5−ジブチルフェニル
(301)3,5−ジ(2−メトキシ−2−エトキシエチル)フェニル
(302)3,5−ジフェニルフェニル
(303)3,5−ジエトキシカルボニルフェニル
(304)3,5−ジドデシルオキシフェニル
(305)3,5−ジメチルフェニル
(306)3,5−ジクロロフェニル
(307)3,5−ジベンゾイルフェニル
(308)3,5−ジアセトキシフェニル
(309)3,5−ジメトキシフェニル
(310)3,5−ジ−N−メチルアミノフェニル
(311)3,5−ジイソブチリルアミノフェニル
(312)3,5−ジフェノキシフェニル
(313)3,5−ジヒドロキシフェニル
(314)2,4−ジブチルフェニル
(315)2,4−ジ(2−メトキシ−2−エトキシエチル)フェニル
(316)2,4−ジフェニルフェニル
(317)2,4−ジエトキシカルボニルフェニル
(318)2,4−ジドデシルオキシフェニル
(319)2,4−ジメチルフェニル
(320)2,4−ジクロロフェニル
(321)2,4−ジベンゾイルフェニル
(322)2,4−ジアセトキシフェニル
(323)2,4−ジメトキシフェニル
(324)2,4−ジ−N−メチルアミノフェニル
(325)2,4−ジイソブチリルアミノフェニル
(326)2,4−ジフェノキシフェニル
(327)2,4−ジヒドロキシフェニル
(328)2,3−ジブチルフェニル
(329)2,3−ジ(2−メトキシ−2−エトキシエチル)フェニル
(330)2,3−ジフェニルフェニル
(331)2,3−ジエトキシカルボニルフェニル
(332)2,3−ジドデシルオキシフェニル
(333)2,3−ジメチルフ ェニル
(334)2,3−ジクロロフェニル
(335)2,3−ジベンゾイルフェニル
(336)2,3−ジアセトキシフェニル
(337)2,3−ジメトキシフェニル
(338)2,3−ジ−N−メチルアミノフェニル
(339)2,3−ジイソブチリルアミノフェニル
(340)2,3−ジフェノキシフェニル
(341)2,3−ジヒドロキシフェニル
(342)2,6−ジブチルフェニル
(343)2,6−ジ(2−メトキシ−2−エトキシエチル)フェニル
(344)2,6−ジフェニルフェニル
(345)2,6−ジエトキシカルボニルフェニル
(346)2,6−ジドデシルオキシフェニル
(347)2,6−ジメチルフェニル
(348)2,6−ジクロロフェニル
(349)2,6−ジベンゾイルフェニル
(350)2,6−ジアセトキシフェニル
(351)2,6−ジメトキシフェニル
(352)2,6−ジ−N−メチルアミノフェニル
(353)2,6−ジイソブチリルアミノフェニル
(354)2,6−ジフェノキシフェニル
(355)2,6−ジヒドロキシフェニル
(356)3,4,5−トリブチルフェニル
(357)3,4,5−トリ(2−メトキシ−2−エトキシエチル)フェニル
(358)3,4,5−トリフェニルフェニル
(359)3,4,5−トリエトキシカルボニルフェニル
(360)3,4,5−トリドデシルオキシフェニル
(361)3,4,5−トリメチルフェニル
(362)3,4,5−トリクロロフェニル
(363)3,4,5−トリベンゾイルフェニル
(364)3,4,5−トリアセトキシフェニル
(365)3,4,5−トリメトキシフェニル
(366)3,4,5−トリ−N−メチルアミノフェニル
(367)3,4,5−トリイソブチリルアミノフェニル
(368)3,4,5−トリフェノキシフェニル
(369)3,4,5−トリヒドロキシフェニル
(370)2,4,6−トリブチルフェニル
(371)2,4,6−トリ(2−メトキシ−2−エトキシエチル)フェニル
(372)2,4,6−トリフェニルフェニル
(373)2,4,6−トリエトキシカルボニルフェニル
(374)2,4,6−トリドデシルオキシフェニル
(375)2,4,6−トリメチルフェニル
(376)2,4,6−トリクロロフェニル
(377)2,4,6−トリベンゾイルフェニル
(378)2,4,6−トリアセトキシフェニル
(379)2,4,6−トリメトキシフェニル
(380)2,4,6−トリ−N−メチルアミノフェニル
(381)2,4,6−トリイソブチリルアミノフェニル
(382)2,4,6−トリフェノキシフェニル
(383)2,4,6−トリヒドロキシフェニル
(384)ペンタフルオロフェニル
(385)ペンタクロロフェニル
(386)ペンタメトキシフェニル
(387)6−N−メチルスルファモイル−8−メトキシ−2−ナフチル
(388)5−N−メチルスルファモイル−2−ナフチル
(389)6−N−フェニルスルファモイル−2−ナフチル
(390)5−エトキシ−7−N−メチルスルファモイル−2−ナフチル
(391)3−メトキシ−2−ナフチル
(392)1−エトキシ−2−ナフチル
(393)6−N−フェニルスルファモイル−8−メトキシ−2−ナフチル
(394)5−メトキシ−7−N−フェニルスルファモイル−2−ナフチル
(395)1−(4−メチルフェニル)−2−ナフチル
(396)6,8−ジ−N−メチルスルファモイル−2−ナフチル
(397)6−N−2−アセトキシエチルスルファモイル−8−メトキシ−2−ナフチル
(398)5−アセトキシ−7−N−フェニルスルファモイル−2−ナフチル
(399)3−ベンゾイルオキシ−2−ナフチル
(400)5−アセチルアミノ−1−ナフチル
(401)2−メトキシ−1−ナフチル
(402)4−フェノキシ−1−ナフチル
(403)5−N−メチルスルファモイル−1−ナフチル
(404)3−N−メチルカルバモイル−4−ヒドロキシ−1−ナフチル
(405)5−メトキシ−6−N−エチルスルファモイル−1−ナフチル
(406)7−テトラデシルオキシ−1−ナフチル
(407)4−(4−メチルフェノキシ)−1−ナフチル
(408)6−N−メチルスルファモイル−1−ナフチル
(409)3−N,N−ジメチルカルバモイル−4−メトキシ−1−ナフチル
(410)5−メトキシ−6−N−ベンジルスルファモイル−1−ナフチル
(411)3,6−ジ−N−フェニルスルファモイル−1−ナフチル
(412)メチル
(413)エチル
(414)ブチル
(415)オクチル
(416)ドデシル
(417)2−ブトキシ−2−エトキシエチル
(418)ベンジル
(419)4−メトキシベンジル
【0166】
【化19】

【0167】
(424)メチル
(425)フェニル
(426)ブチル
【0168】
【化20】

【0169】
(430)メチル
(431)エチル
(432)ブチル
(433)オクチル
(434)ドデシル
(435)2−ブトキシ2−エトキシエチル
(436)ベンジル
(437)4−メトキシベンジル
【0170】
【化21】

【0171】
【化22】

【0172】
本発明においては、1,3,5−トリアジン環を有する化合物として、メラミンポリマーを用いてもよい。メラミンポリマーは、下記一般式(D)で示すメラミン化合物とカルボニル化合物との重合反応により合成することが好ましい。
【0173】
【化23】

【0174】
上記合成反応スキームにおいて、R11、R12、R13、R14、R15及びR16は、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基または複素環基である。
【0175】
上記アルキル基、アルケニル基、アリール基及び複素環基及びこれらの置換基は前記一般式(C)で説明した各基、それらの置換基と同義である。
【0176】
メラミン化合物とカルボニル化合物との重合反応は、通常のメラミン樹脂(例えば、メラミンホルムアルデヒド樹脂等)の合成方法と同様である。また、市販のメラミンポリマー(メラミン樹脂)を用いてもよい。
【0177】
メラミンポリマーの分子量は、2千〜40万であることが好ましい。メラミンポリマーの繰り返し単位の具体例を以下に示す。
【0178】
【化24】

【0179】
MP−1:R13、R14、R15、R16:CH2OH
MP−2:R13、R14、R15、R16:CH2OCH3
MP−3:R13、R14、R15、R16:CH2O−i−C49
MP−4:R13、R14、R15、R16:CH2O−n−C49
MP−5:R13、R14、R15、R16:CH2NHCOCH=CH2
MP−6:R13、R14、R15、R16:CH2NHCO(CH27CH=CH(CH27CH3
MP−7:R13、R14、R15:CH2OH;R16:CH2OCH3
MP−8:R13、R14、R16:CH2OH;R15:CH2OCH3
MP−9:R13、R14:CH2OH;R15、R16:CH2OCH3
MP−10:R13、R16:CH2OH;R14、R15:CH2OCH3
MP−11:R13:CH2OH;R14、R15、R16:CH2OCH3
MP−12:R13、R14、R16:CH2OCH3;R15:CH2OH
MP−13:R13、R16:CH2OCH3;R14、R15:CH2OH
MP−14:R13、R14、R15:CH2OH;R16:CH2O−i−C49
MP−15:R13、R14、R16:CH2OH;R15:CH2O−i−C49
MP−16:R13、R14:CH2OH;R15、R16:CH2O−i−C49
MP−17:R13、R16:CH2OH;R14、R15:CH2O−i−C49
MP−18:R13:CH2OH;R14、R15、R16:CH2O−i−C49
MP−19:R13、R14、R16:CH2O−i−C49;R15:CH2OH
MP−20:R13、R16:CH2O−i−C49;R14、R15:CH2OH
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【0180】
【化25】

【0181】
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MP−98:R13:CH2OCH3;R14:CH2OH;R15:CH2NHCO(CH27CH=CH(CH27CH3;R16:CH2NHCOCH=CH2
MP−99:R13:CH2OCH3;R14:CH2OH;R15:CH2NHCOCH=CH2;R16:CH2NHCO(CH27CH=CH(CH27CH3
MP−100:R13:CH2NHCO(CH27CH=CH(CH27CH3;R14:CH2OCH3;R15:CH2OH;R16:CH2NHCOCH=CH2
【0182】
【化26】

【0183】
MP−101:R13、R14、R15、R16:CH2OH
MP−102:R13、R14、R15、R16:CH2OCH3
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MP−106:R13、R14、R15、R16:CH2NHCO(CH27CH=CH(CH27CH3
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MP−110:R13、R16:CH2OH;R14、R15:CH2OCH3
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MP−116:R13、R14:CH2OH;R15、R16:CH2O−i−C49
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MP−118:R13:CH2OH;R14、R15、R16:CH2O−i−C49
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MP−132:R13:CH2OH;R14、R16:CH2OCH3;R15:CH2O−n−C49
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MP−143:R13:CH2OCH3;R14:CH2OH;R15:CH2NHCOCH=CH2;R16:CH2O−n−C49
MP−144:R13:CH2O−n−C49;R14:CH2OCH3;R15:CH2OH;R16:CH2NHCOCH=CH2
MP−145:R13:CH2OH;R14:CH2OCH3;R15:CH2NHCO(CH27CH=CH(CH27CH3;R16:CH2NHCOCH=CH2
MP−146:R13:CH2OH;R14:CH2OCH3;R15:CH2NHCOCH=CH2;R16:CH2NHCO(CH27CH=CH(CH27CH3
MP−147:R13:CH2OH;R14:CH2NHCO(CH27CH=CH(CH27CH3;R15:CH2NHCOCH=CH2;R16:CH2OCH3
MP−148:R13:CH2OCH3;R14:CH2OH;R15:CH2NHCO(CH27CH=CH(CH27CH3;R16:CH2NHCOCH=CH2
MP−149:R13:CH2OCH3;R14:CH2OH;R15:CH2NHCOCH=CH2;R16:CH2NHCO(CH27CH=CH(CH27CH3
MP−150:R13:CH2NHCO(CH27CH=CH(CH27CH3;R14:CH2OCH3;R15:CH2OH;R16:CH2NHCOCH=CH2
【0184】
【化27】

【0185】
MP−151:R13、R14、R15、R16:CH2OH
MP−152:R13、R14、R15、R16:CH2OCH3
MP−153:R13、R14、R15、R16:CH2O−i−C49
MP−154:R13、R14、R15、R16:CH2O−n−C49
MP−155:R13、R14、R15、R16:CH2NHCOCH=CH2
MP−156:R13、R14、R15、R16:CH2NHCO(CH27CH=CH(CH27CH3
MP−157:R13、R14、R15:CH2OH;R16:CH2OCH3
MP−158:R13、R14、R16:CH2OH;R15:CH2OCH3
MP−159:R13、R14:CH2OH;R15、R16:CH2OCH3
MP−160:R13、R16:CH2OH;R14、R15:CH2OCH3
MP−161:R13:CH2OH;R14、R15、R16:CH2OCH3
MP−162:R13、R14、R16:CH2OCH3;R15:CH2OH
MP−163:R13、R16:CH2OCH3;R14、R15:CH2OH
MP−164:R13、R14、R15:CH2OH;R16:CH2O−i−C49
MP−165:R13、R14、R16:CH2OH;R15:CH2O−i−C49
MP−166:R13、R14:CH2OH;R15、R16:CH2O−i−C49
MP−167:R13、R16:CH2OH;R14、R15:CH2O−i−C49
MP−168:R13:CH2OH;R14、R15、R16:CH2O−i−C49
MP−169:R13、R14、R16:CH2O−i−C49;R15:CH2OH
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MP−181:R13:CH2OH;R14、R15:CH2OCH3;R16:CH2O−n−C49
MP−182:R13:CH2OH;R14、R16:CH2OCH3;R15:CH2O−n−C49
MP−183:R13:CH2OH;R14:CH2OCH3;R15、R16:CH2O−n−C49
MP−184:R13:CH2OH;R14、R15:CH2O−n−C49;R16:CH2OCH3
MP−185:R13、R14:CH2OCH3;R15:CH2OH;R16:CH2O−n−C49
MP−186:R13、R16:CH2OCH3;R14:CH2OH;R15:CH2O−n−C49
MP−187:R13:CH2OCH3;R14、R15:CH2OH;R16:CH2O−n−C49
MP−188:R13、R16:CH2O−n−C49;R14:CH2OCH3;R15:CH2OH
MP−189:R13:CH2OH;R14:CH2OCH3;R15:CH2O−n−C49;R16:CH2NHCOCH=CH2
MP−190:R13:CH2OH;R14:CH2OCH3;R15:CH2NHCOCH=CH2;R16:CH2O−n−C49
MP−191:R13:CH2OH;R14:CH2O−n−C49;R15:CH2NHCOCH=CH2;R16:CH2OCH3
MP−192:R13:CH2OCH3;R14:CH2OH;R15:CH2O−n−C49;R16:CH2NHCOCH=CH2
MP−193:R13:CH2OCH3;R14:CH2OH;R15:CH2NHCOCH=CH2;R16:CH2O−n−C49
MP−194:R13:CH2O−n−C49;R14:CH2OCH3;R15:CH2OH;R16:CH2NHCOCH=CH2
MP−195:R13:CH2OH;R14:CH2OCH3;R15:CH2NHCO(CH27CH=CH(CH27CH3;R16:CH2NHCOCH=CH2
MP−196:R13:CH2OH;R14:CH2OCH3;R15:CH2NHCOCH=CH2;R16:CH2NHCO(CH27CH=CH(CH27CH3
MP−197:R13:CH2OH;R14:CH2NHCO(CH27CH=CH(CH27CH3;R15:CH2NHCOCH=CH2;R16:CH2OCH3
MP−198:R13:CH2OCH3;R14:CH2OH;R15:CH2NHCO(CH27CH=CH(CH27CH3;R16:CH2NHCOCH=CH2
MP−199:R13:CH2OCH3;R14:CH2OH;R15:CH2NHCOCH=CH2;R16:CH2NHCO(CH27CH=CH(CH27CH3
MP−200:R13:CH2NHCO(CH27CH=CH(CH27CH3;R14:CH2OCH3;R15:CH2OH;R16:CH2NHCOCH=CH2
本発明においては、上記繰り返し単位を二種類以上組み合わせたコポリマーを用いてもよい。二種類以上のホモポリマーまたはコポリマーを併用してもよい。
【0186】
また、二種類以上の1,3,5−トリアジン環を有する化合物を併用してもよい。二種類以上の円盤状化合物(例えば、1,3,5−トリアジン環を有する化合物とポルフィリン骨格を有する化合物)を併用してもよい。
【0187】
これらの添加剤はセルロースエステルフィルムに対して0.2〜30質量%、特に好ましくは1〜20質量%含有することが好ましい。
【0188】
また、特開2001−235621の一般式(I)で示されているトリアジン系化合物も本発明に係るセルロースエステルフィルムに好ましく用いられる。
【0189】
本発明に係るセルロースエステルフィルムは紫外線吸収剤を2種以上を含有することが好ましい。
【0190】
また、紫外線吸収剤としては高分子紫外線吸収剤も好ましく用いることが出来、特に特開平6−148430号記載のポリマータイプの紫外線吸収剤が好ましく用いられる。
【0191】
紫外線吸収剤の添加方法は、メタノール、エタノール、ブタノール等のアルコールやメチレンクロライド、酢酸メチル、アセトン、ジオキソラン等の有機溶媒或いはこれらの混合溶媒に紫外線吸収剤を溶解してからドープに添加するか、または直接ドープ組成中に添加してもよい。無機粉体のように有機溶剤に溶解しないものは、有機溶剤とセルロースエステル中にデゾルバーやサンドミルを使用し、分散してからドープに添加する。
【0192】
紫外線吸収剤の使用量は、紫外線吸収剤の種類、使用条件等により一様ではないが、セルロースエステルフィルムの乾燥膜厚が30〜200μmの場合は、セルロースエステルフィルムに対して0.5〜4.0質量%が好ましく、0.6〜2.0質量%が更に好ましい。
【0193】
〈微粒子〉
本発明に係るセルロースエステルフィルムには、微粒子を含有することが好ましい。
【0194】
本発明に使用される微粒子としては、無機化合物の例として、二酸化珪素、二酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、炭酸カルシウム、炭酸カルシウム、タルク、クレイ、焼成カオリン、焼成ケイ酸カルシウム、水和ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム及びリン酸カルシウムを挙げることが出来る。微粒子は珪素を含むものが濁度が低くなる点で好ましく、特に二酸化珪素が好ましい。
【0195】
微粒子の一次粒子の平均径は5〜50nmが好ましく、更に好ましいのは7〜20nmである。これらは主に粒径0.05〜0.3μmの2次凝集体として含有されることが好ましい。セルロースエステルフィルム中のこれらの微粒子の含有量は0.05〜1質量%であることが好ましく、特に0.1〜0.5質量%が好ましい。共流延法による多層構成のセルロースエステルフィルムの場合は、表面にこの添加量の微粒子を含有することが好ましい。
【0196】
二酸化珪素の微粒子は、例えば、アエロジルR972、R972V、R974、R812、200、200V、300、R202、OX50、TT600(以上日本アエロジル(株)製)の商品名で市販されており、使用することが出来る。
【0197】
酸化ジルコニウムの微粒子は、例えば、アエロジルR976及びR811(以上日本アエロジル(株)製)の商品名で市販されており、使用することが出来る。
【0198】
ポリマーの例として、シリコーン樹脂、フッ素樹脂及びアクリル樹脂を挙げることが出来る。シリコーン樹脂が好ましく、特に三次元の網状構造を有するものが好ましく、例えば、トスパール103、同105、同108、同120、同145、同3120及び同240(以上東芝シリコーン(株)製)の商品名で市販されており、使用することが出来る。
【0199】
これらの中でもアエロジル200V、アエロジルR972Vがセルロースエステルフィルムの濁度を低く保ちながら、摩擦係数を下げる効果が大きいため特に好ましく用いられる。本発明で用いられるセルロースエステルフィルムにおいては活性線硬化樹脂層の裏面側の動摩擦係数が1.0以下であることが好ましい。
【0200】
〈酸化防止剤〉
本発明は以下の酸化防止剤を用いることが好ましい。
【0201】
酸化防止剤としては、フェノール系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、イオウ系酸化防止剤、耐熱加工安定剤、酸素スカベンジャー等が挙げられ、これらの中でもフェノール系酸化防止剤、特にアルキル置換フェノール系酸化防止剤が好ましい。これらの酸化防止剤を配合することにより、透明性、耐熱性等を低下させることなく、成型時の熱や酸化劣化等による成形体の着色や強度低下を防止出来る。これらの酸化防止剤は、それぞれ単独で、或いは2種以上を組み合わせて用いることが出来、その配合量は、本発明の目的を損なわない範囲で適宜選択されるが、本発明に係るセルロースエステル100質量部に対して好ましくは0.001〜5質量部、より好ましくは0.01〜1質量部である。
【0202】
酸化防止剤としては、ヒンダードフェノール酸化防止剤化合物は既知の化合物であり、例えば、米国特許第4,839,405号明細書の第12〜14欄に記載されているものなどの、2,6−ジアルキルフェノール誘導体化合物が含まれる。このような化合物には、以下の一般式(1)のものが含まれる。
【0203】
【化28】

【0204】
上式中、R1、R2及びR3は、更に置換されているかまたは置換されていないアルキル置換基を表す。ヒンダードフェノール化合物の具体例には、n−オクタデシル3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)−プロピオネート、n−オクタデシル3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)−アセテート、n−オクタデシル3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート、n−ヘキシル3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニルベンゾエート、n−ドデシル3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニルベンゾエート、ネオ−ドデシル3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、ドデシルβ(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、エチルα−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルフェニル)イソブチレート、オクタデシルα−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルフェニル)イソブチレート、オクタデシルα−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、2−(n−オクチルチオ)エチル3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ−ベンゾエート、2−(n−オクチルチオ)エチル3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ−フェニルアセテート、2−(n−オクタデシルチオ)エチル3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニルアセテート、2−(n−オクタデシルチオ)エチル3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ−ベンゾエート、2−(2−ヒドロキシエチルチオ)エチル3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート、ジエチルグリコールビス−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ−フェニル)プロピオネート、2−(n−オクタデシルチオ)エチル3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、ステアルアミドN,N−ビス−[エチレン3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、n−ブチルイミノN,N−ビス−[エチレン3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、2−(2−ステアロイルオキシエチルチオ)エチル3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート、2−(2−ステアロイルオキシエチルチオ)エチル7−(3−メチル−5−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)ヘプタノエート、1,2−プロピレングリコールビス−[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、エチレングリコールビス−[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、ネオペンチルグリコールビス−[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、エチレングリコールビス−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニルアセテート)、グリセリン−l−n−オクタデカノエート−2,3−ビス−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニルアセテート)、ペンタエリトリトール−テトラキス−[3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、1,1,1−トリメチロールエタン−トリス−[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、ソルビトールヘキサ−[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、2−ヒドロキシエチル7−(3−メチル−5−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、2−ステアロイルオキシエチル7−(3−メチル−5−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)ヘプタノエート、1,6−n−ヘキサンジオール−ビス[(3’,5’−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、ペンタエリトリトール−テトラキス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシヒドロシンナメート)が含まれる。上記タイプのヒンダードフェノール系酸化防止剤化合物は、例えば、Ciba Specialty Chemicalsから、“Irganox1076”及び“Irganox1010”という商品名で市販されている。
【0205】
その他の酸化防止剤としては、具体的には、トリスノニルフェニルホスファイト、トリフェニルホスファイト、トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト等のリン系酸化防止剤、ジラウリル−3,3’−チオジプロピオネート、ジミリスチル−3,3’−チオジプロピオネート、ジステアリル−3,3’−チオジプロピオネート、ペンタエリスリチルテトラキス(3−ラウリルチオプロピオネート)等のイオウ系酸化防止剤、2−tert−ブチル−6−(3−tert−ブチル−2−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)−4−メチルフェニルアクリレート、2−[1−(2−ヒドロキシ−3、5−ジ−tert−ペンチルフェニル)エチル]−4,6−ジ−tert−ペンチルフェニルアクリレート等の耐熱加工安定剤、特公平08−27508記載の3,4−ジヒドロ−2H−1−ベンゾピラン系化合物、3,3’−スピロジクロマン系化合物、1,1−スピロインダン系化合物、モルホリン、チオモルホリン、チオモルホリンオキシド、チオモルホリンジオキシド、ピペラジン骨格を部分構造に有する化合物、特開平03−174150記載のジアルコキシベンゼン系化合物等の酸素スカベンジャー等が挙げられる。これら酸化防止剤の部分構造が、ポリマーの一部、或いは規則的にポリマーへペンダントされていても良く、可塑剤、酸掃去剤、紫外線吸収剤等の添加剤の分子構造の一部に導入されていても良い。
【0206】
(酸捕捉剤)
酸捕捉剤としては、米国特許第4,137,201号明細書に記載されている酸捕捉剤としてのエポキシ化合物を含有させてもよい。このような酸捕捉剤としてのエポキシ化合物は当該技術分野において既知であり、種々のポリグリコールのジグリシジルエーテル、特にポリグリコール1モル当たりに約8〜40モルのエチレンオキシドなどの縮合によって誘導されるポリグリコール、グリセロールのジグリシジルエーテルなど、金属エポキシ化合物(例えば、塩化ビニルポリマー組成物において、及び塩化ビニルポリマー組成物と共に、従来から利用されているもの)、エポキシ化エーテル縮合生成物、ビスフェノールAのジグリシジルエーテル(即ち、4,4’−ジヒドロキシジフェニルジメチルメタン)、エポキシ化不飽和脂肪酸エステル(特に、2〜22この炭素原子の脂肪酸の4〜2個程度の炭素原子のアルキルのエステル(例えば、ブチルエポキシステアレート)など)、及び種々のエポキシ化長鎖脂肪酸トリグリセリドなど(例えば、エポキシ化大豆油などの組成物によって代表され、例示され得る、エポキシ化植物油及び他の不飽和天然油(これらは時としてエポキシ化天然グリセリドまたは不飽和脂肪酸と称され、これらの脂肪酸は一般に12〜22個の炭素原子を含有している))が含まれる。特に好ましいのは、市販のエポキシ基含有エポキシド樹脂化合物 EPON 815c、及び一般式(2)の他のエポキシ化エーテルオリゴマー縮合生成物である。
【0207】
【化29】

【0208】
上式中、nは0〜12に等しい。用いることが出来る更に可能な酸捕捉剤としては、特開平5−194788号公報の段落番号87〜105に記載されているものが含まれる。
【0209】
(光安定剤)
光安定剤としては、ヒンダードアミン光安定剤(HALS)化合物が挙げられ、これは既知の化合物であり、例えば、米国特許第4,619,956号明細書の第5〜11欄及び米国特許第4,839,405号明細書の第3〜5欄に記載されているように、2,2,6,6−テトラアルキルピペリジン化合物、またはそれらの酸付加塩若しくはそれらと金属化合物との錯体が含まれる。このような化合物には、以下の一般式(3)のものが含まれる。
【0210】
【化30】

【0211】
上式中、R1及びR2は、Hまたは置換基である。ヒンダードアミン光安定剤化合物の具体例には、4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、1−アリル−4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、1−ベンジル−4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、1−(4−t−ブチル−2−ブテニル)−4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−ステアロイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、1−エチル−4−サリチロイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−メタクリロイルオキシ−1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジン、1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジン−4−イル−β(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)−プロピオネート、1−ベンジル−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジニルマレイネート(maleinate)、(ジ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)−アジペート、(ジ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)−セバケート、(ジ−1,2,3,6−テトラメチル−2,6−ジエチル−ピペリジン−4−イル)−セバケート、(ジ−1−アリル−2,2,6,6−テトラメチル−ピペリジン−4−イル)−フタレート、1−アセチル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル−アセテート、トリメリト酸−トリ−(2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)エステル、1−アクリロイル−4−ベンジルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、ジブチル−マロン酸−ジ−(1,2,2,6,6−ペンタメチル−ピペリジン−4−イル)−エステル、ジベンジル−マロン酸−ジ−(1,2,3,6−テトラメチル−2,6−ジエチル−ピペリジン−4−イル)−エステル、ジメチル−ビス−(2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−オキシ)−シラン,トリス−(1−プロピル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)−ホスフィット、トリス−(1−プロピル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)−ホスフェート,N,N’−ビス−(2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)−ヘキサメチレン−1,6−ジアミン、N,N’−ビス−(2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)−ヘキサメチレン−1,6−ジアセトアミド、1−アセチル−4−(N−シクロヘキシルアセトアミド)−2,2,6,6−テトラメチル−ピペリジン、4−ベンジルアミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、N,N’−ビス−(2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)−N,N’−ジブチル−アジパミド、N,N’−ビス−(2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)−N,N’−ジシクロヘキシル−(2−ヒドロキシプロピレン)、N,N’−ビス−(2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)−p−キシリレン−ジアミン、4−(ビス−2−ヒドロキシエチル)−アミノ−1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジン、4−メタクリルアミド−1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジン、α−シアノ−β−メチル−β−[N−(2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)]−アミノ−アクリル酸メチルエステル。好ましいヒンダードアミン光安定剤の例には、以下のHALS−1及びHALS−2が含まれる。
【0212】
【化31】

【0213】
これらのヒンダードアミン系耐光安定剤は、それぞれ単独で、或いは2種以上を組み合わせて用いることが出来、またこれらヒンダードアミン系耐光安定剤と可塑剤、酸掃去剤、紫外線吸収剤等の添加剤と併用しても、添加剤の分子構造の一部に導入されていても良い。その配合量は、本発明の目的を損なわない範囲で適宜選択されるが、本発明に係るセルロースエステル100質量部に対して好ましくは0.01〜20質量部、より好ましくは0.02〜15質量部、特に好ましくは0.05〜10質量部である。
【0214】
〈染料〉
本発明で用いられるセルロースエステルフィルムには、色味調整のため染料を添加することも出来る。例えば、フィルムの黄色味を抑えるために青色染料を添加してもよい。好ましい染料としてはアンスラキノン系染料が挙げられる。
【0215】
アンスラキノン系染料は、アンスラキノンの1位から8位迄の任意の位置に任意の置換基を有することが出来る。好ましい置換基としてはアニリノ基、ヒドロキシル基、アミノ基、ニトロ基、または水素原子が挙げられる。特に特開2001−154017号公報の段落番号[0034]〜[0037]記載の青色染料、特にアントラキノン系染料を含有することが好ましい。
【0216】
各種添加剤は製膜前のセルロースエステル含有溶液であるドープにバッチ添加してもよいし、添加剤溶解液を別途用意してインライン添加してもよい。特に微粒子は濾過材への負荷を減らすために、一部または全量をインライン添加することが好ましい。
【0217】
添加剤溶解液をインライン添加する場合は、ドープとの混合性をよくするため、少量のセルロースエステルを溶解するのが好ましい。好ましいセルロースエステルの量は、溶剤100質量部に対して1〜10質量部で、より好ましくは、3〜5質量部である。
【0218】
本発明においてインライン添加、混合を行うためには、例えば、スタチックミキサー(東レエンジニアリング製)、SWJ(東レ静止型管内混合器 Hi−Mixer)等のインラインミキサー等が好ましく用いられる。
【0219】
〈位相差フィルムの製造方法〉
次に、本発明のセルロースエステル系位相差フィルムの製造方法について説明する。
【0220】
本発明の位相差フィルムの製造は、セルロースエステル及び添加剤を溶剤に溶解させてドープを調製する工程、ドープをベルト状若しくはドラム状の金属支持体上に流延する工程、流延したドープをウェブとして乾燥する工程、金属支持体から剥離する工程、延伸する工程、更に乾燥する工程、得られたフィルムを更に熱処理する工程、冷却後巻き取る工程により行われる。本発明の位相差フィルムは固形分中に好ましくはセルロースエステルを70〜95質量%含有するものである。
【0221】
ドープを調製する工程について述べる。ドープ中のセルロースエステルの濃度は、濃度が高い方が金属支持体に流延した後の乾燥負荷が低減出来て好ましいが、セルロースエステルの濃度が高過ぎると濾過時の負荷が増えて、濾過精度が悪くなる。これらを両立する濃度としては、10〜35質量%が好ましく、更に好ましくは、15〜25質量%である。
【0222】
本発明のドープで用いられる溶剤は、単独で用いても2種以上を併用してもよいが、セルロースエステルの良溶剤と貧溶剤を混合して使用することが生産効率の点で好ましく、良溶剤が多い方がセルロースエステルの溶解性の点で好ましい。良溶剤と貧溶剤の混合比率の好ましい範囲は、良溶剤が70〜98質量%であり、貧溶剤が2〜30質量%である。良溶剤、貧溶剤とは、使用するセルロースエステルを単独で溶解するものを良溶剤、単独で膨潤するかまたは溶解しないものを貧溶剤と定義している。そのため、セルロースエステルのアシル基置換度によっては、良溶剤、貧溶剤が変わり、例えばアセトンを溶剤として用いる時には、セルロースエステルの酢酸エステル(アセチル基置換度2.4)、セルロースアセテートプロピオネートでは良溶剤になり、セルロースの酢酸エステル(アセチル基置換度2.8)では貧溶剤となる。
【0223】
本発明に用いられる良溶剤は特に限定されないが、メチレンクロライド等の有機ハロゲン化合物やジオキソラン類、アセトン、酢酸メチル、アセト酢酸メチル等が挙げられる。特に好ましくはメチレンクロライドまたは酢酸メチルが挙げられる。
【0224】
また、本発明に用いられる貧溶剤は特に限定されないが、例えば、メタノール、エタノール、n−ブタノール、シクロヘキサン、シクロヘキサノン等が好ましく用いられる。また、ドープ中には水が0.01〜2質量%含有していることが好ましい。
【0225】
上記記載のドープを調製する時の、セルロースエステルの溶解方法としては、一般的な方法を用いることが出来る。加熱と加圧を組み合わせると常圧における沸点以上に加熱出来る。溶剤の常圧での沸点以上でかつ加圧下で溶剤が沸騰しない範囲の温度で加熱しながら攪拌溶解すると、ゲルやママコと呼ばれる塊状未溶解物の発生を防止するため好ましい。また、セルロースエステルを貧溶剤と混合して湿潤或いは膨潤させた後、更に良溶剤を添加して溶解する方法も好ましく用いられる。
【0226】
加圧は窒素ガス等の不活性気体を圧入する方法や、加熱によって溶剤の蒸気圧を上昇させる方法によって行ってもよい。加熱は外部から行うことが好ましく、例えばジャケットタイプのものは温度コントロールが容易で好ましい。
【0227】
溶剤を添加しての加熱温度は、高い方がセルロースエステルの溶解性の観点から好ましいが、加熱温度が高すぎると必要とされる圧力が大きくなり生産性が悪くなる。好ましい加熱温度は45〜120℃であり、60〜110℃がより好ましく、70℃〜105℃が更に好ましい。また、圧力は設定温度で溶剤が沸騰しないように調整される。
【0228】
若しくは冷却溶解法も好ましく用いられ、これによって酢酸メチルなどの溶媒にセルロースエステルを溶解させることが出来る。
【0229】
次に、このセルロースエステル溶液を濾紙等の適当な濾過材を用いて濾過する。濾過材としては、不溶物等を除去するために絶対濾過精度が小さい方が好ましいが、絶対濾過精度が小さすぎると濾過材の目詰まりが発生しやすいという問題がある。このため絶対濾過精度0.008mm以下の濾材が好ましく、0.001〜0.008mmの濾材がより好ましく、0.003〜0.006mmの濾材が更に好ましい。
【0230】
濾材の材質は特に制限はなく、通常の濾材を使用することが出来るが、ポリプロピレン、テフロン(登録商標)等のプラスチック製の濾材や、ステンレススティール等の金属製の濾材が繊維の脱落等がなく好ましい。濾過により、原料のセルロースエステルに含まれていた不純物、特に輝点異物を除去、低減することが好ましい。
【0231】
輝点異物とは、2枚の偏光板をクロスニコル状態にして配置し、その間にセルロースエステルフィルムを置き、一方の偏光板の側から光を当てて、他方の偏光板の側から観察した時に反対側からの光が漏れて見える点(異物)のことであり、径が0.01mm以上である輝点数が200個/cm2以下であることが好ましい。より好ましくは100個/cm2以下であり、更に好ましくは50個/m2以下であり、更に好ましくは0〜10個/cm2以下である。また、0.01mm以下の輝点も少ない方が好ましい。
【0232】
ドープの濾過は通常の方法で行うことが出来るが、溶剤の常圧での沸点以上で、かつ加圧下で溶剤が沸騰しない範囲の温度で加熱しながら濾過する方法が、濾過前後の濾圧の差(差圧という)の上昇が小さく、好ましい。好ましい温度は45〜120℃であり、45〜70℃がより好ましく、45〜55℃であることが更に好ましい。
【0233】
濾圧は小さい方が好ましい。濾圧は1.6MPa以下であることが好ましく、1.2MPa以下であることがより好ましく、1.0MPa以下であることが更に好ましい。
【0234】
ここで、ドープの流延について説明する。
【0235】
流延(キャスト)工程における金属支持体は、表面を鏡面仕上げしたものが好ましく、金属支持体としては、ステンレススティールベルト若しくは鋳物で表面をメッキ仕上げしたドラムが好ましく用いられる。キャストの幅は1〜4mとすることが出来る。流延工程の金属支持体の表面温度は−50℃〜溶剤が沸騰して発泡しない温度以下に設定される。温度が高い方がウェブの乾燥速度が速く出来るので好ましいが、余り高すぎるとウェブが発泡したり、平面性が劣化する場合がある。好ましい支持体温度としては0〜100℃で適宜決定され、5〜30℃が更に好ましい。或いは、冷却することによってウェブをゲル化させて残留溶媒を多く含んだ状態でドラムから剥離することも好ましい方法である。金属支持体の温度を制御する方法は特に制限されないが、温風または冷風を吹きかける方法や、温水を金属支持体の裏側に接触させる方法がある。温水を用いる方が熱の伝達が効率的に行われるため、金属支持体の温度が一定になるまでの時間が短く好ましい。温風を用いる場合は溶媒の蒸発潜熱によるウェブの温度低下を考慮して、溶媒の沸点以上の温風を使用しつつ、発泡も防ぎながら目的の温度よりも高い温度の風を使う場合がある。特に、流延から剥離するまでの間で支持体の温度及び乾燥風の温度を変更し、効率的に乾燥を行うことが好ましい。
【0236】
セルロースエステルフィルムが良好な平面性を示すためには、金属支持体からウェブを剥離する際の残留溶媒量は10〜150質量%が好ましく、更に好ましくは20〜40質量%または60〜130質量%であり、特に好ましくは、20〜30質量%または70〜120質量%である。
【0237】
本発明においては、残留溶媒量は下記式で定義される。
【0238】
残留溶媒量(質量%)={(M−N)/N}×100
尚、Mはウェブまたはフィルムを製造中または製造後の任意の時点で採取した試料の質量で、NはMを115℃で1時間の加熱後の質量である。
【0239】
また、セルロースエステルフィルムの乾燥工程においては、ウェブを金属支持体より剥離し、更に乾燥し、残留溶媒量を0.5質量%以下まで乾燥される。
【0240】
フィルム乾燥工程では一般にロール乾燥方式(上下に配置した多数のロールをウェブを交互に通し乾燥させる方式)やテンター方式でウェブを搬送させながら乾燥する方式が採られる。
【0241】
流延支持体が剥離の際に、剥離張力及びその後の搬送張力によって縦方向に延伸することも出来る。例えば剥離張力を210N/m以上で剥離することが好ましく、特に好ましくは220〜300N/mである。
【0242】
本発明に係る位相差フィルムを作製する為の延伸工程(テンター工程ともいう)の一例を、図2を用いて説明する。
【0243】
図2において、工程Aでは、図示されていないウェブ搬送工程D0から搬送されてきたウェブを把持する工程であり、次の工程Bにおいて、図1に示すような延伸角度でウェブが幅手方向(ウェブの進行方向と直交する方向)に延伸され、工程Cにおいては、延伸が終了し、ウェブが把持したまま搬送される工程である。
【0244】
流延支持体からウェブを剥離した後から工程B開始前及び/または工程Cの直後に、ウェブ幅方向の端部を切り落とすスリッターを設けることが好ましい。特に、A工程開始直前にウェブ端部を切り落とすスリッターを設けることが好ましい。幅手方向に同一の延伸を行った際、特に工程B開始前にウェブ端部を切除した場合とウェブ端部を切除しない条件とを比較すると、前者がより配向角の分布を改良する効果が得られる。
【0245】
これは、残留溶媒量の比較的多い剥離から幅手延伸工程Bまでの間での長手方向の意図しない延伸を抑制した効果であると考えられる。
【0246】
テンター工程において、配向角分布を改善するため意図的に異なる温度を持つ区画を作ることも好ましい。また、異なる温度区画の間にそれぞれの区画が干渉を起こさないように、ニュートラルゾーンを設けることも好ましい。
【0247】
尚、延伸操作は多段階に分割して実施してもよく、流延方向、幅手方向に二軸延伸を実施することが好ましい。また、二軸延伸を行う場合にも同時二軸延伸を行ってもよいし、段階的に実施してもよい。この場合、段階的とは、例えば、延伸方向の異なる延伸を順次行うことも可能であるし、同一方向の延伸を多段階に分割し、かつ異なる方向の延伸をそのいずれかの段階に加えることも可能である。即ち、例えば、次のような延伸ステップも可能である。
【0248】
・流延方向に延伸−幅手方向に延伸すると同時に流延方向に延伸
・流延方向に延伸−幅手方向に延伸すると同時に流延方向に収縮
金属支持体より剥離した直後のウェブの残留溶剤量の多いところで搬送方向に延伸し、更にウェブの両端をクリップ等で把持するテンター方式で幅方向に延伸を行うことが本発明の効果を得るために特に好ましく、これによって所定の位相差を付与することが出来る。又、自由体積の制御にも寄与するものと推測される。この時幅方向のみに延伸してもよいし、同時2軸延伸することも好ましい。縦方向、横方向ともに好ましい延伸倍率は1.05〜2倍が好ましく、好ましくは1.15〜1.5倍である。同時2軸延伸の際に縦方向に収縮させてもよく、0.8〜0.99、好ましくは0.9〜0.99となるように収縮させてもよい。好ましくは、横方向延伸及び縦方向の延伸若しくは収縮により面積が1.12倍〜1.44倍となっていることが好ましく、1.15倍〜1.32倍となっていることが好ましい。これは縦方向の延伸倍率×横方向の延伸倍率で求めることが出来る。
【0249】
また、本発明における「延伸方向」とは、延伸操作を行う場合の直接的に延伸応力を加える方向という意味で使用する場合が通常であるが、多段階に二軸延伸される場合に、最終的に延伸倍率の大きくなった方(即ち、通常遅相軸となる方向)の意味で使用されることもある。
【0250】
ウェブを幅手方向に延伸する場合には、ウェブの幅手方向で光学遅相軸の分布(以下、配向角分布)が悪くなることはよく知られている。RtとRoの値を一定比率とし、かつ、配向角分布を良好な状態で幅手延伸を行うため、工程A、B、Cで好ましいウェブ温度の相対関係が存在する。工程A、B、C終点でのウェブ温度をそれぞれTa℃、Tb℃、Tc℃とすると、Ta≦Tb−10であることが好ましい。また、Tc≦Tbであることが好ましい。Ta≦Tb−10かつ、Tc≦Tbであることが更に好ましい。
【0251】
工程Bでのウェブ昇温速度は、配向角分布を良好にするために、0.5〜10℃/秒の範囲が好ましい。
【0252】
工程Bでの延伸時間は、短時間である方が好ましい。但し、ウェブの均一性の観点から、最低限必要な延伸時間の範囲が規定される。具体的には1〜10秒の範囲であることが好ましく、4〜10秒がより好ましい。また、工程Bの温度は40〜180℃、好ましくは100〜160℃である。
【0253】
上記テンター工程において、熱伝達係数は一定でもよいし、変化させてもよい。熱伝達係数としては、41.9〜419×103J/m2hrの範囲の熱伝達係数を持つことが好ましい。更に好ましくは、41.9〜209.5×103J/m2hrの範囲であり、41.9〜126×103J/m2hrの範囲が最も好ましい。
【0254】
上記工程Bでの幅手方向への延伸速度は、一定で行ってもよいし、変化させてもよい。延伸速度としては、50〜500%/minが好ましく、更に好ましくは100〜400%/min、200〜300%/minが最も好ましい。
【0255】
テンター工程において、雰囲気の幅手方向の温度分布が少ないことが、ウェブの均一性を高める観点から好ましく、テンター工程での幅手方向の温度分布は、±5℃以内が好ましく、±2℃以内がより好ましく、±1℃以内が最も好ましい。上記温度分布を少なくすることにより、ウェブの幅手での温度分布も小さくなることが期待出来る。
【0256】
工程Cに於いて、幅方向に緩和することが好ましい。具体的には、前工程の延伸後の最終的なウェブ幅に対して95〜99.5%の範囲になるようにウェブ幅を調整することが好ましい。
【0257】
テンター工程で処理した後、更に後乾燥工程(以下、工程D1)を設けるのが好ましい。50〜160℃で行うのが好ましい。更に好ましくは、80〜140℃の範囲であり、最も好ましくは110〜130℃の範囲である。
【0258】
工程D1で、ウェブの幅方向の雰囲気温度分布が少ないことは、ウェブの均一性を高める観点から好ましい。±5℃以内が好ましく、±2℃以内がより好ましく、±1℃以内が最も好ましい。
【0259】
工程D1でのウェブ搬送張力は、ドープの物性、剥離時及び工程D0での残留溶媒量、工程D1での温度などに影響を受けるが、120〜200N/mが好ましく、140〜200N/mが更に好ましい。140〜160N/mが最も好ましい。
【0260】
工程D1での搬送方向へウェブの伸びを防止する目的で、テンションカットロールを設けることが好ましい。
【0261】
ウェブを乾燥させる手段は特に制限なく、一般的に熱風、赤外線、加熱ロール、マイクロ波等で行うことが出来るが、簡便さの点で熱風で行うことが好ましい。
【0262】
ウェブの乾燥工程における乾燥温度は30〜160℃で段階的に高くしていくことが好ましい。
【0263】
本発明では、乾燥終了後、前述の所定の熱処理を行うことによって自由体積或いは全自由体積パラメータが所定の範囲となるように制御することが出来る。
【0264】
本発明の位相差フィルムを作製するためには、乾燥後の熱処理工程にてフィルムに0.5kPa以上10kPa以下の圧力を厚さ方向に付与することが好ましく、ニップロールにより圧力を均一に加えることが好ましい。厚さ方向に圧力を付与する際は充分に乾燥が終了していることが好ましく、その際に0.5kPa以上10kPa以下の圧力をフィルム両面から加えることにより、位相差フィルムの自由体積や全自由体積パラメータを制御することが出来る。具体的には平行な二本のニップロールでフィルムに圧力をかける方法である。またカレンダーロールのような方法によってもよい。加圧する際の温度は105〜155℃であること好ましい。
【0265】
所定の熱処理の後、巻き取り前にスリッターを設けて端部を切り落とすことが良好な巻姿を得るため好ましい。更に、幅手両端部にはナーリング加工をすることが好ましい。
【0266】
ナーリング加工は、加熱されたエンボスロールを押し当てることにより形成することが出来る。エンボスロールには細かな凹凸が形成されており、これを押し当てることでフィルムに凹凸を形成し、端部を嵩高くすることが出来る。
【0267】
本発明の位相差フィルムの幅手両端部のナーリングの高さは4〜20μm、幅5〜20mmが好ましい。
【0268】
また、本発明においては、上記のナーリング加工は、フィルムの製膜工程において乾燥終了後、巻き取りの前に設けることが好ましい。
【0269】
また、共流延法によって多層構成とした位相差フィルムも好ましく用いることが出来る。位相差フィルムが多層構成の場合でも可塑剤を含有する層を有しており、それがコア層、スキン層、若しくはその両方であってもよい。
【0270】
位相差フィルム表面の中心線平均粗さ(Ra)は0.001〜1μmであることが好ましい。
【0271】
本発明では、下記式で定義されるRoが23℃、55%RHの条件下で30〜300nm、Rtが23℃、55%RHの条件下で70〜400nmであることを特徴とする位相差フィルムであることが好ましい。
【0272】
Ro=(nx−ny)×d
Rt={(nx+ny)/2−nz}×d
(式中、Roはフィルム面内リターデーション値、Rtはフィルム厚み方向リターデーション値、nxはフィルム面内の遅相軸方向の屈折率、nyはフィルム面内の進相軸方向の屈折率、nzはフィルムの厚み方向の屈折率(屈折率は波長590nmで測定)、dはフィルムの厚さ(nm)を表す。)
尚、レターデーション値Ro、Rt或いは長尺フィルムの幅手方向と遅相軸とのなす角θ0(°)は自動複屈折率計を用いて測定することが出来る。例えば、KOBRA−21ADH(王子計測機器(株))を用いて、23℃、55%RHの環境下で、波長が590nmで求めることが出来る。
【0273】
更に、本発明の位相差フィルムは、下記式に従って求められる偏光度pは、0.9990以上であることが好ましく、0.9999以上であることがより好ましく、0.99995以上であることが更に好ましく、0.99999以上が特に好ましい。
【0274】
p=1−sin2(2θ1)・sin2(πR0/λ)
(式中、λは測定波長(nm)を表し、590である。θ0(°)よりθ1(ラジアン)を求めた。)
本発明の目的を達成するために、具体的には本発明の偏光板に用いる位相差フィルムは、流延製膜法により作製した30μm〜150μm以下の膜厚であることが好ましく、これは本発明の効果に加えてフィルムの物理的な強度と製造面の両立の観点に由来する。該フィルムの膜厚において、より好ましくは40μm〜120μm以下の範囲である。
【0275】
(透過率の測定)
透過率Tは、分光高度計U−3400(日立製作所(株))を用い、各試料を350〜700nmの波長領域で10nmおきに求めた分光透過率τ(λ)から、380、400、500nmの透過率を算出することが出来る。
【0276】
本発明に用いられる位相差フィルムの下記測定によるヘイズは1%未満であることが好ましく0〜0.1%であることが特に好ましい。
【0277】
(ヘイズ値)
ヘイズメーター(1001DP型、日本電色工業(株)製)を用いて測定し、透明性の指標とすることが出来る。
【0278】
〈ブロッキング防止層〉
本発明の位相差フィルムにはブロッキング防止層を設けることが好ましい。ブロッキング防止層は、微粒子を含有する塗布層を設けることで、フィルム表面に微細な凸部を形成させてすべり性を付与する層である。添加する微粒子の形状も特に制限はなく、球状、棒状、平板状、針状、不定形状などの粒子が用いられる。
【0279】
ブロッキング防止層に添加される微粒子としては無機化合物の例として、金属の酸化物、水酸化物、ケイ酸塩、炭酸塩、リン酸塩などが上げられる。具体的には、二酸化珪素、二酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、炭酸カルシウム、炭酸カルシウム、タルク、クレイ、焼成カオリン、焼成ケイ酸カルシウム、酸化錫、酸化インジウム、酸化亜鉛、ITO、水和ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム及びリン酸カルシウムを挙げることが出来る。微粒子は珪素を含むものがヘイズが低くなる点で好ましく、特に二酸化珪素が好ましい。
【0280】
これらの微粒子は、例えば、アエロジルR972、R972V、R974、R812、200、200V、300、R202、OX50、TT600(以上日本アエロジル(株)製)の商品名で市販されており、使用することが出来る。酸化ジルコニウムの微粒子は、例えば、アエロジルR976及びR811(以上日本アエロジル(株)製)の商品名で市販されており、使用することが出来る。ポリマーの例として、シリコーン樹脂、フッ素樹脂及びアクリル樹脂を挙げることが出来る。シリコーン樹脂が好ましく、特に三次元の網状構造を有するものが好ましく、例えば、トスパール103、同105、同108、同120、同145、同3120及び同240(以上東芝シリコーン(株)製)の商品名で市販されており、使用することが出来る。
【0281】
これらの中でもでアエロジル200V、アエロジルR972Vがヘイズを低く保ちながら、ブロッキング防止効果が大きいため特に好ましく用いられる。これによって、動摩擦係数が0.9以下、特に0.1〜0.9とすることが好ましい。
【0282】
ブロッキング防止層に含まれる微粒子は、バインダーに対して0.1〜50質量%好ましくは0.1〜10質量%であることが好ましい。ブロッキング防止層を設けた場合のヘイズの増加は1%以下であることが好ましく0.5%以下であることが好ましく、特に0.0〜0.1%であることが好ましい。
【0283】
ブロッキング防止層は、具体的にはセルロースエステルフィルムを溶解させる溶媒または膨潤させる溶媒を含む組成物を塗布することによって行われる。用いる溶媒としては、溶解させる溶媒及び/または膨潤させる溶媒の混合物の他更に溶解させない溶媒を含む場合もあり、これらを透明樹脂フィルムのカール度合いや樹脂の種類によって適宜の割合で混合した組成物及び塗布量を用いて行う。本発明で用いられる位相差フィルムは、これらの塗布によって位相差値が変動しにくいため好ましい。
【0284】
ブロッキング防止層の塗布によってカールの調整を行う場合、例えばブロッキング防止層を設ける面側にカールさせるためには、用いる溶媒組成を溶解させる溶媒及び/または膨潤させる溶媒の混合比率を大きくし、溶解させない溶媒の比率を小さくするのが効果的である。この混合比率は好ましくは(溶解させる溶媒及び/または膨潤させる溶媒):(溶解させない溶媒)=10:0〜1:9で用いられる。この様な混合組成物に含まれる、透明樹脂フィルムを溶解または膨潤させる溶媒としては、例えば、ジオキサン、アセトン、メチルエチルケトン、N,N−ジメチルホルムアミド、酢酸メチル、酢酸エチル、トリクロロエチレン、メチレンクロライド、エチレンクロライド、テトラクロロエタン、トリクロロエタン、クロロホルムなどがある。溶解させない溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、n−プロピルアルコール、i−プロピルアルコール、n−ブタノール、シクロヘキサノール或いは炭化水素類(トルエン、キシレン)などがある。
【0285】
これらの塗布組成物をグラビアコーター、ディップコーター、リバースコーター、ワイヤーバーコーター、ダイコーター、或いはスプレー塗布、インクジェット塗布等を用いて透明樹脂フィルムの表面にウェット膜厚1〜100μmで塗布するのが好ましいが、特に5〜30μmであることが好ましい。ブロッキング防止層のバインダーとして用いられる樹脂としては、例えば塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル樹脂、酢酸ビニル樹脂、酢酸ビニルとビニルアルコールの共重合体、部分加水分解した塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−塩化ビニリデン共重合体、塩化ビニル−アクリロニトリル共重合体、エチレン−ビニルアルコール共重合体、塩素化ポリ塩化ビニル、エチレン−塩化ビニル共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体等のビニル系重合体或いは共重合体、ニトロセルロース、セルロースアセテートプロピオネート(好ましくはアセチル基置換度1.8〜2.3、プロピオニル基置換度0.1〜1.0)、ジアセチルセルロース、セルロースアセテートブチレート樹脂等のセルロース誘導体、マレイン酸及び/またはアクリル酸の共重合体、アクリル酸エステル共重合体、アクリロニトリル−スチレン共重合体、塩素化ポリエチレン、アクリロニトリル−塩素化ポリエチレン−スチレン共重合体、メチルメタクリレート−ブタジエン−スチレン共重合体、アクリル樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリエステルポリウレタン樹脂、ポリエーテルポリウレタン樹脂、ポリカーボネートポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエーテル樹脂、ポリアミド樹脂、アミノ樹脂、スチレン−ブタジエン樹脂、ブタジエン−アクリロニトリル樹脂等のゴム系樹脂、シリコーン系樹脂、フッ素系樹脂等を挙げることが出来るが、これらに限定されるものではない。例えば、アクリル樹脂としては、アクリペットMD、VH、MF、V(三菱レーヨン(株)製)、ハイパールM−4003、M−4005、M−4006、M−4202、M−5000、M−5001、M−4501(根上工業株式会社製)、ダイヤナールBR−50、BR−52、BR−53、BR−60、BR−64、BR−73、BR−75、BR−77、BR−79、BR−80、BR−82、BR−83、BR−85、BR−87、BR−88、BR−90、BR−93、BR−95、BR−100、BR−101、BR−102、BR−105、BR−106、BR−107、BR−108、BR−112、BR−113、BR−115、BR−116、BR−117、BR−118等(三菱レーヨン(株)製)のアクリル及びメタクリル系モノマーを原料として製造した各種ホモポリマー並びにコポリマーなどが市販されており、この中から好ましいモノを適宜選択することも出来る。
【0286】
特に好ましくはジアセチルセルロース、セルロースアセテートプロピオネートのようなセルロース系樹脂層である。
【0287】
ブロッキング防止層は位相差フィルムの平面性を維持し、リターデーション変動を少なくすることが出来る。
【0288】
〈偏光板〉
本発明の偏光板について述べる。
【0289】
偏光板は一般的な方法で作製することが出来る。本発明の位相差フィルムの少なくとも一方の面側をアルカリ鹸化処理し、処理したセルロースエステルフィルムを、ヨウ素溶液中に浸漬延伸して作製した偏光膜の少なくとも一方の面に、完全鹸化型ポリビニルアルコール水溶液を用いて貼り合わせることが好ましい。もう一方の面にも本発明の位相差フィルムを用いても、別の偏光板保護フィルムを用いてもよい。本発明の位相差フィルムに対して、もう一方の面に用いられる偏光板保護フィルムは市販のセルロースエステルフィルムを用いることが出来る。例えば、市販のセルロースエステルフィルムとして、KC8UX2M、KC4UX、KC5UX、KC4UY、KC8UY、KC12UR、KC8UCR−3、KC8UCR−4(以上、コニカミノルタオプト(株)製)等が好ましく用いられる。或いは更にディスコチック液晶、棒状液晶、コレステリック液晶などの液晶化合物を配向させて形成した光学異方層を有している光学補償フィルムを兼ねる偏光板保護フィルムを用いることも好ましい。例えば、特開2003−98348記載の方法で光学異方性層を形成することが出来る。また、反射防止フィルムと組み合わせて使用することによって、平面性に優れ、安定した視野角拡大効果を有する偏光板を得ることが出来る。
【0290】
偏光板の主たる構成要素である偏光膜とは、一定方向の偏波面の光だけを通す素子であり、現在知られている代表的な偏光膜は、ポリビニルアルコール系偏光フィルムで、これはポリビニルアルコール系フィルムにヨウ素を染色させたものと二色性染料を染色させたものがある。偏光膜は、ポリビニルアルコール水溶液を製膜し、これを一軸延伸させて染色するか、染色した後一軸延伸してから、好ましくはホウ素化合物で耐久性処理を行ったものが用いられている。該偏光膜の面上に、本発明の位相差フィルムの片面を貼り合わせて偏光板を形成する。好ましくは完全鹸化ポリビニルアルコール等を主成分とする水系の接着剤によって貼り合わせる。
【0291】
偏光膜は一軸方向(通常は長手方向)に延伸されているため、偏光板を高温高湿の環境下に置くと延伸方向(通常は長手方向)は縮み、延伸と垂直方向(通常は幅方向)には伸びる。偏光板保護用フィルムの膜厚が薄くなるほど偏光板の伸縮率は大きくなり、特に偏光膜の延伸方向の収縮量が大きい。通常、偏光膜の延伸方向は偏光板保護用フィルムの流延方向(MD方向)と貼り合わせるため、偏光板保護用フィルムを薄膜化する場合は、特に流延方向の伸縮率を抑えることが重要である。本発明の位相差フィルムは寸法安定に優れる為、このような偏光板保護フィルムとして好適に使用される。
【0292】
即ち60℃、90%RHの条件での耐久性試験によっても波打ち状のむらが増加することはなく、裏面側に光学補償フィルムを有する偏光板であっても、耐久性試験後に視野角特性が変動することなく良好な視認性を提供することが出来る。
【0293】
偏光板は、更に該偏光板の一方の面にプロテクトフィルムを、反対面にセパレートフィルムを貼合して構成することが出来る。プロテクトフィルム及びセパレートフィルムは偏光板出荷時、製品検査時等において偏光板を保護する目的で用いられる。この場合、プロテクトフィルムは、偏光板の表面を保護する目的で貼合され、偏光板を液晶板へ貼合する面の反対面側に用いられる。また、セパレートフィルムは液晶板へ貼合する接着層をカバーする目的で用いられ、偏光板を液晶セルへ貼合する面側に用いられる。
【0294】
従来の偏光板製造工程では、製造ラインごとに位相差値が変動することがあった。その原因は特定されていないが、例えば、搬送系のロールの配置或いは搬送条件などが関係しているものと思われる。又、同じラインであっても、鹸化処理の温度、時間、アルカリ濃度、pH、乾燥温度、貼合速度、搬送張力、貼合圧力などの設定変更若しくは経時変動によって変動するものと考えられる。これらの条件は基本的には変更しないようにすべきものであるが、泡の巻き込み、故障発生、皺の発生などがあるとライン速度を変更したり、それに合わせて各条件を微調整することがある。或いは反対側に使用する偏光板保護フィルムの種類を変更する場合はそれに合わせて上記製造条件を変更することがある。或いはトラブルでラインを停止してから再度動かし始めると安定化するまでにかなりの時間を要していた。このようにラインごとの差や製造条件の微調整、トラブル対応、ラインの経時変動等に起因して位相差値が変動することがあったが、本発明の位相差フィルムを用いることによって、位相差値のばらつきが少ない偏光板を得ることが出来たのである。この偏光板を用いることによって、高い表示性能の液晶表示装置を提供することが出来たのである。特に、LEDバックライトを使用した液晶表示装置において、正面コントラストが高く、かつ表示装置ごとのコントラスト値のばらつきが少ない、性能がそろった液晶表示装置を得ることが出来たのである。
【0295】
〈表示装置〉
本発明の偏光板を表示装置に組み込むことによって、種々の視認性に優れた本発明の表示装置を作製することが出来る。本発明のセルロースエステルフィルムはSTN、TN、OCB、HAN、VA(MVA、PVA)、IPSなどの各種駆動方式の液晶表示装置に用いることが出来る。特に好ましくはVA(MVA,PVA)型液晶表示装置である。特に画面が30型以上の大画面の液晶表示装置であっても、表示装置ごとのコントラスト値のばらつきが少ない、性能が揃った液晶表示装置を得ることが出来たのである。
は、色むらや波打ちむらが少なく、長時間の鑑賞でも目が疲れないという効果があった。
【0296】
また、本発明の液晶表示装置に用いられるバックライトはサイドライト型であっても直下型であっても、これらを組み合わせたものであってもよいが、直下型バックライトであることが好ましい。特に好ましい直下型バックライトは、赤色(R)LED、緑色(G)LED、および青色(B)LEDを有するカラー液晶表示装置用LEDバックライトであって、例えば、上記赤色(R)LEDのピーク波長が610nm以上であり、上記緑色(G)LEDのピーク波長が530±10nmの範囲内であり、上記青色(B)LEDのピーク波長が480nm以下であるものが好ましく用いられる。ピーク波長が上記範囲内の緑色(G)LEDの種類としては、例えば、DG1112H(スタンレー電気(株)製)、UG1112H(スタンレー電気(株)製)、E1L51−3G(豊田合成(株)製)、E1L49−3G(豊田合成(株)製)、NSPG500S(日亜化学工業(株)製)等が挙げられる。赤色(R)LEDとして用いられるLEDの種類としては、例えばFR1112H(スタンレー電気(株)製)、FR5366X(スタンレー電気(株)製)、NSTM515AS(日亜化学工業(株)製)、GL3ZR2D1COS(シャープ(株)製)、GM1JJ35200AE(シャープ(株)製)等が挙げられる。青色(B)LEDとして用いられるLEDの種類としては、DB1112H(スタンレー電気(株)製)、DB5306X(スタンレー電気(株)製)、E1L51−3B(豊田合成(株)製)、E1L4E−SB1A(豊田合成(株)製)、NSPB630S(日亜化学工業(株)製)、NSPB310A(日亜化学工業(株)製)等が挙げられる。
上述した3色のLEDを組み合わせてバックライトとすることが出来る。或いは白色LEDを用いることも出来る。
このほか、直下型バックライト(若しくは直下方式)としては、特開2001−281656に記載の直下型バックライトや、特開2001−305535記載のLED等の点状光源を使用した直下型バックライト、特開2002−311412記載の直下方式のバックライトなどがあげられるが特にこれらのみに限定されるわけではない。
【実施例】
【0297】
以下に実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0298】
〈ドープ液の調製〉
下記の材料を、順次密閉容器中に投入し、容器内温度を20℃から80℃まで昇温した後、温度を80℃に保ったままで3時間攪拌を行って、セルロースエステルを完全に溶解した。その後、攪拌を停止し、液温を43℃まで下げた。このドープを濾紙(安積濾紙株式会社製、安積濾紙No.244)を使用して濾過し、ドープAを得た。
【0299】
(ドープ液Aの調製)
セルロースエステル(セルロースアセテートプロピオネート;アセチル基置換度1.9、プロピオニル基置換度0.8) 100質量部
トリメチロールプロパントリベンゾエート 5質量部
エチルフタリルエチルグリコレート 5質量部
酸化ケイ素微粒子(アエロジルR972V(日本アエロジル株式会社製))
0.1質量部
メチレンクロライド 300質量部
エタノール 40質量部
(ドープ液Bの調製)
使用する材料を下記の材料に変更した以外は同様にしてドープBを得た。
【0300】
セルロースエステル(アセチル基置換度2.7) 100質量部
トリフェニルホスフェート 10質量部
ビフェニルジフェニルホスフェート 2質量部
酸化ケイ素微粒子(アエロジルR972V(日本アエロジル株式会社製))
0.1質量部
酢酸メチル 260質量部
エタノール 80質量部
上記のように調整したドープを、30℃に保温した流延ダイを通して、ステンレス鋼製エンドレスベルトよりなる30℃の支持体上に流延してウェブを形成し、支持体上で乾燥させ、ウェブの残留溶媒量が80質量%になるまで支持体上で乾燥させた後、剥離ロールによりウェブを支持体から剥離した。
【0301】
ついで、ウェブを上下に複数配置したロールによる搬送乾燥工程で70℃の乾燥風にて乾燥させ、続いてテンターでウェブ両端部を把持した後、120℃で幅方向に延伸前の1.3倍となるように延伸した。テンターでの延伸の後、ウェブを上下に複数配置したロールによる搬送乾燥工程で105℃の乾燥風にて乾燥させ、残留溶媒量0.3質量%まで乾燥させてフィルムを得た。更に得られたフィルムを所定の温度及び雰囲気置換率とした雰囲気内で15分間熱処理した後、室温まで冷却して巻き取り、膜厚80μm、長さ1000mの長尺のセルロースエステルフィルム(位相差フィルム)1を20本作製した。23℃、55%RHの条件下、590nmで測定して、面内リターデーションRo=50nm、厚み方向のリターデーションRt=130nmであった。
【0302】
乾燥後の処理温度、雰囲気置換率、ドープを表1に記載のとおりに変更した以外は同様にしてフィルム2〜22を作製した。又、セルロースエステルフィルム4、5、7、8、10、12、19、20については、上記熱処理する際に、ニップロールを多段に設け、フィルムの厚み方向に所定の圧力がかかるようにした。
【0303】
雰囲気置換率は、熱処理室に雰囲気容量をV(m3)、Fresh−air送風量をFA(m3/hr)とした場合、下式によって求められる単位時間あたり雰囲気をFresh−airで置換される回数である。
【0304】
雰囲気置換率=FA/V(回/時間)
得られた位相差フィルムを偏光板保護フィルムとし、その反対側に下記偏光板保護フィルムCを使用し、偏光板を作製した。
【0305】
〈偏光板保護フィルムC〉
(二酸化珪素分散希釈液C)
アエロジル972V(日本アエロジル(株)製) 12質量部
(一次粒子の平均径16nm、見掛け比重90g/リットル)
エタノール 88質量部
以上をディゾルバーで30分間撹拌混合した後、マントンゴーリンで分散を行った。二酸化珪素分散液に88質量部のメチレンクロライドを撹拌しながら投入し、ディゾルバーで30分間撹拌混合し、二酸化珪素分散希釈液Cを作製した。
【0306】
(インライン添加液Cの作製)
チヌビン109(チバスペシャルティケミカルズ(株)製) 11質量部
チヌビン171(チバスペシャルティケミカルズ(株)製) 5質量部
メチレンクロライド 100質量部
以上を密閉容器に投入し、加熱し、撹拌しながら、完全に溶解し、濾過した。
【0307】
これに二酸化珪素分散希釈液Cを36質量部、撹拌しながら加えて、更に30分間撹拌した後、セルロースアセテートプロピオネート(アセチル基置換度1.9、プロピオニル基置換度0.8)6質量部を撹拌しながら加えて、更に60分間撹拌した後、アドバンテック東洋(株)のポリプロピレンワインドカートリッジフィルターTCW−PPS−1Nで濾過し、インライン添加液Cを調製した。
【0308】
(ドープ液Cの調製)
セルロースエステル(リンター綿から合成されたセルローストリアセテート:Mn=148000、Mw=310000、Mw/Mn=2.1、アセチル基置換度2.92)
100質量部
トリメチロールプロパントリベンゾエート 5質量部
エチルフタリルエチルグリコレート 5質量部
メチレンクロライド 440質量部
エタノール 40質量部
以上を密閉容器に投入し、加熱し、撹拌しながら、完全に溶解し、安積濾紙(株)製の安積濾紙No.24を使用して濾過し、ドープ液Cを調製した。製膜ライン中で日本精線(株)製のファインメットNFでドープ液Cを濾過した。インライン添加液ライン中で、日本精線(株)製のファインメットNFでインライン添加液Cを濾過した。濾過したドープ液Cを100質量部に対し、濾過したインライン添加液Cを2質量部加えて、インラインミキサー(東レ静止型管内混合機 Hi−Mixer、SWJ)で十分混合し、次いで、ベルト流延装置を用い、温度35℃、1800mm幅でステンレスバンド支持体に均一に流延した。ステンレスバンド支持体で、残留溶剤量が120%になるまで溶媒を蒸発させ、ステンレスバンド支持体上から剥離した。剥離したセルロースエステルのウェブを35℃で溶媒を蒸発させ、1650mm幅にスリットし、その後、テンターで幅方向に1.1倍に延伸しながら、135℃の乾燥温度で、乾燥させた。このときテンターで延伸を始めたときの残留溶剤量は30%であった。
【0309】
その後、110℃、120℃の乾燥ゾーンを多数のロールで搬送させながら乾燥を終了させ、1.4m幅にスリットし、フィルム両端に幅15mm、平均高さ10μmのナーリング加工を施し、巻き取り初期張力220N/m、終張力110N/mで内径6インチコアに巻き取り、偏光板保護フィルムCを得た。ステンレスバンド支持体の回転速度とテンターの運転速度から算出される剥離直後のウェブ搬送方向の延伸倍率は1.07倍であった。偏光板保護フィルムCの残留溶剤量は0.3%であり、平均膜厚は80μm、巻数は1000mとした。
【0310】
〈位相差フィルムの鹸化処理〉
上記作製した長尺の位相差フィルム1〜22の各々20本を使って、1本ずつロール搬送して、下記に記載するアルカリケン化処理を行った。
【0311】
〈アルカリケン化処理〉
ケン化工程 2M−NaOH 50±3℃ 1.5分
水洗工程 水 30±3℃ 1分
中和工程 10質量%HCl 30±3℃ 1分
水洗工程 水 30±3℃ 1分
ケン化処理後、水洗、中和、水洗の順に行い、次いで90℃で乾燥を行った。
【0312】
鹸化処理された長尺フィルム20本についてそれぞれ先頭部分と後尾部分の2箇所ずつサンプリングを行って、鹸化処理前後のリターデーションを測定し、合計40点の平均値について鹸化処理前後の差及び鹸化処理後のリターデーションのばらつきを求めた。同様に別の位相差フィルムについても鹸化処理前後のリターデーション変動及び鹸化処理後のリターデーションのばらつきを求めた。尚、鹸化処理後のリターデーションのばらつきは、±3%以内であれば実用上問題ない。
【0313】
リターデーション値Ro、Rtは、KOBRA−21ADH(王子計測機器(株))を用いて、23℃、55%RHの環境下で、波長590nmで求めた。
【0314】
(偏光板の作製)
次いで、上記40点の各位相差フィルムと、同様に鹸化処理を実施した偏光板保護フィルムCとを用いて、下記の方法で作製した偏光膜と貼合して偏光板を各々40セット作製した。
【0315】
工程1:前述の方法で位相差フィルムと偏光板保護フィルムCを鹸化処理した。
【0316】
工程2:下記偏光膜を固形分2質量%のポリビニルアルコール接着剤槽中に1〜2秒浸漬した。
【0317】
工程3:工程2で偏光膜に付着した過剰の接着剤を軽く拭き除き、これを工程1で処理した位相差フィルムと偏光板保護フィルムCとの間に挟むように配置した。
【0318】
工程4:工程3で積層した位相差フィルムと偏光膜と偏光板保護フィルムCを圧力20〜30N/cm2、搬送スピードは約2m/分で貼合した。
【0319】
工程5:80℃の乾燥機中に工程4で作製した貼り合わせた試料を5分間乾燥し、偏光板を作製した。
【0320】
偏光膜は、厚さ、120μmのポリビニルアルコールフィルムを、一軸延伸(温度110℃、延伸倍率5倍)し、これをヨウ素0.075g、ヨウ化カリウム5g、水100gからなる水溶液に60秒間浸漬し、次いでヨウ化カリウム6g、ホウ酸7.5g、水100gからなる68℃の水溶液に浸漬し、これを水洗、乾燥し偏光膜を得た。
【0321】
(液晶表示装置の作製)
得られた偏光板40セットをそれぞれ液晶セルの両面のガラス面に貼合し、LEDを直下型バックライトとして用いた各液晶表示装置を40台作製した。得られた液晶表示装置(VA型、37型)を60℃、90%RHで1000時間耐久性試験をした後、ELDIM社製EZ−contrastを用いて正面コントラスト値を測定した。40台のうち最も高いコントラストを100としたときに、コントラスト90〜100の範囲にある表示装置の数をカウントし、下記のランク付けを行った。その結果、本発明の偏光板を使用したものは、正面コントラストが揃った、均一な液晶表示装置が得られることが確認された。
【0322】
A 39〜40台/40台
B 37〜38台/40台
C 35〜36台/40台
D 33〜34台/40台
E 32台以下/40台
評価C以上を実用上問題ないものと判断した。
【0323】
以上の評価結果を纏めて表1に示す。
【0324】
【表1】

【0325】
上表から、乾燥後の処理温度、雰囲気置換率、加圧処理等によって制御された自由体積半径、全自由体積パラメータが本発明内の位相差フィルムは、鹸化処理前後のRo、Rt変動が小さく、更に鹸化処理後のRo、Rtばらつきも小さく、優れた偏光板、液晶表示装置を提供出来ることが分かる。
【図面の簡単な説明】
【0326】
【図1】延伸工程での延伸角度を説明する図である。
【図2】本発明に用いられるテンター工程の1例を示す概略図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも可塑剤とセルロースエステルを含有し、陽電子消滅寿命法により求められる自由体積半径が0.250〜0.310nmである位相差フィルムを、偏光膜の一方の面に有することを特徴とする偏光板。
【請求項2】
前記位相差フィルムの全自由体積パラメータが1.0〜2.0であることを特徴とする請求項1に記載の偏光板。
【請求項3】
前記セルロースエステルが炭素数2〜22の混合(脂肪)酸エステルであることを特徴とする請求項1または2に記載の偏光板。
【請求項4】
前記位相差フィルムの下記式で定義されるRoが30〜300nm、Rt70〜400nmであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の偏光板。
Ro=(nx−ny)×d
Rt={(nx+ny)/2−nz}×d
(式中、Roはフィルム面内リターデーション値、Rtはフィルム厚み方向リターデーション値、nxはフィルム面内の遅相軸方向の屈折率、nyはフィルム面内の進相軸方向の屈折率、nzはフィルムの厚み方向の屈折率(屈折率は波長590nmで測定)、dはフィルムの厚さ(nm)を表す。)
【請求項5】
直下型バックライトを有し、かつ請求項1〜4のいずれか1項に記載の偏光板を用いたことを特徴とする表示装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2006−184874(P2006−184874A)
【公開日】平成18年7月13日(2006.7.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−332685(P2005−332685)
【出願日】平成17年11月17日(2005.11.17)
【出願人】(303000408)コニカミノルタオプト株式会社 (3,255)
【Fターム(参考)】