説明

停車位置指示用ドグ

【課題】 重量が軽くて済む簡単な構成であり、しかも、目視しやすいこととなる停車位置指示用ドグを提供する。
【解決手段】 本発明にかかる停車位置指示用ドグ1はフォークリフトの停車位置を示すものであって、フォークリフトの鉄製部位に着脱される永久磁石製の基端部材2と、該基端部材2に立設された支持棒3と、一端部が支持棒3に差し込み連結されたコイルスプリング4と、該コイルスプリング4の他端部に連結された目視用の指示部材5とを備えていることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はフォークリフトの停車位置を示すために用いられる停車位置指示用ドグにかかり、特には、その構造に関する。
【0002】
【従来の技術】従来から、貨物倉庫などでは、互いに並列設置されたラック棚同士間の通路を走行しながらピッキング作業を実行するのに適したピッキングフォークリフト、あるいはまた、ラックフォークリフトといわれるような周知の荷役車両を使用することが行われている。すなわち、ここでのピッキングフォークリフトは、図示を省略しているが、立設されたマストに沿ってフォークと共に昇降動作する運転台に乗り込んだオペレータがピッキング作業を実行し得る構成とされたものであり、ピッキング作業を要する位置ごとで停車する必要がある都合上、各ラック棚の所要位置ごとに対しては停車位置を示すマーキングを付しておくと共に、フォークリフトのフレームまたはヘッドガードの適当な位置に対して停車位置指示用ドグを取り付けておいたうえ、これら同士の位置関係が略一致したことを目視でもって確認したオペレータがフォークリフトを停車させることになっている。
【0003】そして、この際における停車位置指示用ドグ11は、図4の外観斜視図で示すように、一対の永久磁石12が一面上に並列配置された平板形状の基端部材13と、この基端部材13の他面上の略中央位置に立設された円筒部材14と、この円筒部材14内に差し込み挿入された黒色ゴム製の丸棒部材15と、円筒部材14の中途位置に設けられて丸棒部材15の側面部を位置決め支持し、この丸棒部材15の突出長さを規定する押しボルト16とを備えている。従って、この停車位置指示用ドグ11は、基端部材13の永久磁石12を介したうえでフォークリフトの鉄製部位に着脱自在で取り付けられることとなり、円筒部材14から突出している丸棒部材15とラック棚の所要位置ごとに付されたマーキングとの位置同士が略一致していると判断したオペレータによってフォークリフトは停車させられることになる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところで、従来の構成とされた停車位置指示用ドグ11では、その重量が重くなるにも拘わらず、基端部材13に配置された一対の永久磁石12を介したうえでフォークリフトに着脱自在で取り付けられているに過ぎないため、フォークリフトの走行に伴う振動などによって停車位置指示用ドグ11がフォークリフトから脱落したり位置ずれしたりすることが起こってしまう。また、貨物倉庫などの内部は薄暗いのが通常であり、停車位置指示用ドグ11の構成部品として黒色ゴム製の丸棒部材15を使用している限りは、この丸棒部材15とマーキングとの目視による位置合わせを実行しがたいという不都合も生じる。
【0005】本発明はこれらの不都合に鑑みて創案されたものであって、重量が軽くて済む簡単な構成であり、しかも、目視しやすいこととなる停車位置指示用ドグの提供を目的としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明の請求項1にかかる停車位置指示用ドグはフォークリフトの停車位置を示すものであって、フォークリフトの鉄製部位に着脱される永久磁石製の基端部材と、該基端部材に立設された支持棒と、一端部が支持棒に差し込み連結されたコイルスプリングと、該コイルスプリングの他端部に連結された目視用の指示部材とを備えていることを特徴とする。
【0007】本発明の請求項2にかかる停車位置指示用ドグは請求項1に記載したものであり、支持棒に対するコイルスプリングの差し込み長さは、任意に調節可能であることを特徴としている。
【0008】本発明の請求項3にかかる停車位置指示用ドグは請求項1または請求項2に記載したものであり、指示部材に対しては、薄暗い環境下でも目視容易な色彩が付されていることを特徴とする。
【0009】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。図1は本実施の形態にかかる停車位置指示用ドグを示す外観斜視図、図2はその変形例を示す外観斜視図、図3は停車位置指示用ドグが車体に取り付けられたピッキングフォークリフトを示す説明図であり、これらの図における符号1は停車位置指示用ドグ、符号7はピッキングフォークリフトをそれぞれ表している。
【0010】本実施の形態にかかる停車位置指示用ドグ1は、従来の停車位置指示用ドグ11と同じく、ピッキングフォークリフトやラックフォークリフトが走行する通路を挟んで設置されたラック棚のそれぞれに予め付されているマーキングと目視で位置合わせすることによってフォークリフトの停車位置を確認するために用いられるものであり、この停車位置指示用ドグ1は、図1で示すように、所定厚みを有する円板形状の永久磁石そのものを利用して作製された基端部材2を備えている。そして、基端部材2の略中央位置には丸棒形状を有する所定長さの支持棒3が立設されており、この際における停車位置指示用ドグ1は、その一端部が支持棒3に対して差し込み連結されたコイルスプリング4と、このコイルスプリング4の他端部が連結された目視用の指示部材5とを備えている。
【0011】また、ここでのコイルスプリング4は水平配置された場合でも撓みの少ない剛性強度を有し、かつ、その内直径が支持棒3の外直径よりも若干だけ大きく設定されたものであり、コイルスプリング4の一端部の支持棒3に対する差し込み長さL1は任意に調節可能であることになっている。そのため、支持棒3に対するコイルスプリング4の差し込み長さL1は必要に応じて変化させられ、任意の差し込み位置まで差し込まれたコイルスプリング4が支持棒3によって位置決め支持される結果、基端部材2から指示部材5までに至る停車位置指示用ドグ1の全長L2はラック棚間の通路幅に対応したうえで規制されることとなる。
【0012】すなわち、この際における停車位置指示用ドグ1では、図1で示すように、コイルスプリング4の差し込み長さL1をある程度短くするのに伴って停車位置指示用ドグ1の全長L2を長く設定したり、図2で変形例を示すように、差し込み長さL1をある程度長くして停車位置指示用ドグ1の全長L2を短く設定したりすることが行われる。
【0013】一方、この際における指示部材5は樹脂製の球形状として作製されたものであり、少なくとも外表面には薄暗い環境下でも目視容易な色彩、例えば、赤色や黄色などのような色彩が付されている。そして、この指示部材5からは支持片6、つまり、支持棒3と同様の丸棒形状を有する支持片6が延出されており、コイルスプリング4の他端部が支持片6に対して差し込まれていることによってコイルスプリング4と指示部材5とは互いに連結されている。なお、ここでは支持片6を介したうえでコイルスプリング4及び指示部材5が連結されるとしているが、このような構成に限られることはなく、コイルスプリング4の他端部が指示部材5に対して直結された構成であってもよいことは勿論である。
【0014】すなわち、本実施の形態にかかる停車位置指示用ドグ1が取り付けられたピッキングフォークリフトにあっても、従来と同様、各ラック棚の所要位置ごとに停車位置を示すマーキング(図示省略)を付しておき、かつ、図3で示すように、ピッキングフォークリフト7の鉄製部位であるフレームまたはヘッドガードの適当な位置に対して停車位置指示用ドグ1を取り付けておいたうえ、マーキングと停車位置指示用ドグ1との位置関係が略一致したと目視で確認したオペレータがピッキングフォークリフト7を停車させることになる。そして、この際における停車位置指示用ドグ1は、その基端部材2、つまり、永久磁石製の基端部材2そのものがピッキングフォークリフト7の鉄製部位であるフレームやヘッドガードなどの適当な位置へと全面的に着磁した状態で取り付けられており、停車位置指示用ドグ11と比べても重量の軽い部品を利用して構成されたものであるため、ピッキングフォークリフト7の走行に伴う振動などが作用しても、この停車位置指示用ドグ1が脱落したり位置ずれしたりすることは起こらなくなる。
【0015】また、本実施の形態にかかる停車位置指示用ドグ1では、これを構成している指示部材5の少なくとも外表面に対して薄暗い環境下でも目視容易な色彩(蛍光色も含む)を付しておくことが実行されている。そのため、マーキングと停車位置指示用ドグ1との位置関係を目視でもって確認しやすいという利点が確保される。なお、本実施の形態では停車位置指示用ドグ1がピッキングフォークリフト7に取り付けて使用されるとしているが、停車位置指示用ドグ1の取り付け先がピッキングフォークリフト7のみに限定されることはなく、必要な場合には、カウンタバランス型やリーチ型などのようなフォークリフト、つまり、他の荷役車両でも停車位置指示用ドグ1が使用されることは勿論である。
【0016】
【発明の効果】以上説明したように、本発明にかかる停車位置指示用ドグであれば、その構成が簡単となり、しかも、全体重量が軽くて済むこととなるので、停車位置指示用ドグがフォークリフトから脱落したり位置ずれしたりすることを未然に防止できるという効果が得られる。また、停車位置指示用ドグが備える指示部材に対し、薄暗い環境下でも目視容易な色彩を付しているので、この指示部材を目視しやすいこととなる結果、フォークリフトを正しく停車させることが可能になるという効果も得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施の形態にかかる停車位置指示用ドグを示す外観斜視図である。
【図2】その変形例を示す外観斜視図である。
【図3】停車位置指示用ドグが車体に取り付けられたピッキングフォークリフトを示す説明図である。
【図4】従来の形態にかかる停車位置指示用ドグを示す外観斜視図である。
【符号の説明】
1 停車位置指示用ドグ
2 基端部材
3 支持棒
4 コイルスプリング
5 指示部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】フォークリフトの停車位置を示す停車位置指示用ドグであって、フォークリフトの鉄製部位に着脱される永久磁石製の基端部材と、該基端部材に立設された支持棒と、一端部が支持棒に差し込み連結されたコイルスプリングと、該コイルスプリングの他端部に連結された目視用の指示部材とを備えていることを特徴とする停車位置指示用ドグ。
【請求項2】支持棒に対するコイルスプリングの差し込み長さは、任意に調節可能であることを特徴とする請求項1に記載した停車位置指示用ドグ。
【請求項3】指示部材には、薄暗い環境下でも目視容易な色彩が付されていることを特徴とする請求項1もしくは請求項2に記載した停車位置指示用ドグ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2002−68695(P2002−68695A)
【公開日】平成14年3月8日(2002.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2000−261927(P2000−261927)
【出願日】平成12年8月30日(2000.8.30)
【出願人】(000232807)日本輸送機株式会社 (320)
【Fターム(参考)】