側溝用ブロック
【課題】 車両が異常に歩道側に近付いた時、歩行者や運転手に注意を促すことができる側溝用ブロックを提供する。
【解決手段】 側溝用ブロック17は、ほぼ直方体形状を有し、その長手方向に貫通する空洞20を有する胴本体19と、胴本体19の上面部から空洞20に達するように形成され、胴本体19の長手方向の両端部まで伸びるスリット24と、上面部21において、胴本体19の長手方向に所定間隔に形成された複数の突起体23とから構成されている。車両が歩道側に近付くと、タイヤが突起体23に乗り上げることによって特異な接触音が生じる。この音は空洞20内において振動共鳴して拡大された後、スリット24を介して外方に放出される。
【解決手段】 側溝用ブロック17は、ほぼ直方体形状を有し、その長手方向に貫通する空洞20を有する胴本体19と、胴本体19の上面部から空洞20に達するように形成され、胴本体19の長手方向の両端部まで伸びるスリット24と、上面部21において、胴本体19の長手方向に所定間隔に形成された複数の突起体23とから構成されている。車両が歩道側に近付くと、タイヤが突起体23に乗り上げることによって特異な接触音が生じる。この音は空洞20内において振動共鳴して拡大された後、スリット24を介して外方に放出される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は側溝用ブロックに関し、特に車道と歩道との境界に設置される側溝用ブロックに関するものである。
【背景技術】
【0002】
車道と歩道との境界に設置される側溝用ブロックには、その上部に凹溝を施したものが多くある(例えば、特許文献1参照)。又、上部に格子状又は網目状の多数の凹溝が形成されたものがある(例えば、特許文献2参照)。更に、表面にタイル状突出板面等を施したものがある(例えば、特許文献3参照)。又、U字溝側壁の上端部に装着されたスリップ止めの付いた金属製の保護枠がある(例えば、特許文献4参照)。これらはそれぞれに排水性が良くなったり、車や歩行者のスリップ防止といった効果がある。
【0003】
【特許文献1】特許第2896891号公報
【特許文献2】実開平2−97479号公報
【特許文献3】特開平11−217803号公報
【特許文献4】実開平2−37989号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のような従来のコンクリート側壁の上部表面に施された溝や凹凸模様は、排水性を良くしたり、又は人や車が通る際にスリップをしないようにする目的で設けられたものである。即ち、車道側から運転手の居眠りや脇見運転等で車両が異常に歩道側に接近した場合の警告となるものとしては不十分なものである。
【0005】
尚、車両が歩道側に乗り上げないように縁石の高さを高くするように構造変更すると工費が高くなってしまい、又、小さな子供が縁石に隠れてしまいかえって危険な状況が発生する虞も生じる。
【0006】
この発明は上記のような課題を解決するためになされたもので、車両が異常に歩道側に近付いた時、歩行者や運転手に注意を促すことができる側溝用ブロックを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するために、請求項1記載の発明は、車道と歩道との境界に設置される側溝用ブロックであって、ほぼ直方体形状を有し、その長手方向に貫通する空洞を有する胴本体と、胴本体の上面部から空洞に達するように形成され、長手方向のほぼ両端部まで伸びるスリットと、上面部において、長手方向に所定間隔に形成された複数の突起体とを備えたものである。
【0008】
このように構成すると、車両が歩道側に近付くとタイヤが突起体上を通過する。
【0009】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明の構成において、突起体は、スリットによって分割された上面部のうち車道側の部分に形成されるものである。
【0010】
このように構成すると、車両が側溝用ブロックの上に侵入すると直ちに突起体上を通過する。
【0011】
請求項3記載の発明は、請求項2記載の発明の構成において、上面部は車道側から歩道側に向かって下方に下がる傾斜面を有し、突起体は、上面が平坦面であり、且つ平面視において矩形形状を有すると共に、平坦部はほぼ水平レベルに設定されるものである。
【0012】
このように構成すると、車両が歩道側に近付くにつれてタイヤの接触音が大きくなる。
【0013】
請求項4記載の発明は、請求項2記載の発明の構成において、突起体は、長手方向のうち車両の進行方向に向かってその上面が低下する傾斜面を有するものである。
【0014】
このように構成すると、車両が突起体を乗り上げて特定の接触音を発した後、タイヤはスムーズに側溝用ブロックの上面部に進行する。
【0015】
請求項5記載の発明は、車道と歩道との境界に設置され、その上面が排水性舗装によって覆われる側溝用ブロックであって、ほぼ直方体形状を有し、その長手方向に貫通する空洞を有する胴本体と、胴本体の上面部から空洞に達するように形成された少なくとも1つの排水穴と、上面部から上方に突出し、その突出長さが排水性舗装の施工厚さより大きい複数の突起体とを備えたものである。
【0016】
このように構成すると、排水性舗装を施した際、突起体の上端部が排水性舗装の表面より突出する。
【0017】
請求項6記載の発明は、車道と歩道との境界に設置される側溝用ブロックの上面に取り付けられる突起構造体であって、矩形シート形状のベース体と、ベース体の一方面に形成された複数の突起体とを備えたものである。
【0018】
このように構成すると、側溝用ブロックに取り付けられた状態において、車両が歩道側に近付くとタイヤが突起体上を通過して特異な接触音が発生する。
【0019】
請求項7記載の発明は、請求項6記載の発明の構成において、突起体の各々は、ベース体から上方に立ち上がる突状片と、突状片の一方面に形成された反射体とを含むものである。
【0020】
このように構成すると、夜間時に車のライトが反射体によって反射される。
【0021】
請求項8記載の発明は、請求項6又は請求項7記載の発明の構成において、突起体の各々は、ベース体から立ち上がり、屈曲自在に形成されるものである。
【0022】
このように構成すると、タイヤに接触した突起体は折り曲げられた状態に変化する。
【発明の効果】
【0023】
以上説明したように、請求項1記載の発明は、車両が歩道側に近付くと特異な接触音が発生し、この音は空洞内で振動共鳴した後、スリットから警告音として放出される。そのため、歩行者や運転手に注意を促すことになり、安全性が向上する。
【0024】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明の効果に加えて、車両が側溝用ブロックの上に侵入すると直ちに突起体上を通過するため、早い段階での車の接近状態が知らされるので、より安全性が向上する。
【0025】
請求項3記載の発明は、請求項2記載の発明の効果に加えて、車両が歩道側に近付くにつれて、タイヤの接触音が大きくなるため、車の接近程度を知ることができ更に安全性が向上する。
【0026】
請求項4記載の発明は、請求項2記載の発明の効果に加えて、車両が突起体を乗り上げて特定の接触音を発した後、タイヤはスムーズに側溝用ブロックの上面部に進行するため、ブロックに大きな衝撃を与えることがない。
【0027】
請求項5記載の発明は、突起体の上端部が排水性舗装の表面より突出するため、歩道側に近付いた車両のタイヤが突起体の上端部を通過して、特異な接触音を発生する。又、この音は、空洞内で振動共鳴した後、排水用穴から排水性舗装を通して警告音として放出される。そのため、歩行者や運転手に注意を促すことになり、安全性が向上する。
【0028】
請求項6記載の発明は、側溝用ブロックに取り付けられた状態において特異な接触音が発生するため、必要に応じて既成の側溝用ブロックに取り付けることが可能となる。又、突起構造体のみを交換できるため、効率的な安全対策が実現できる。
【0029】
請求項7記載の発明は、請求項6記載の発明の効果に加えて、夜間時車のライトが反射体によって反射されるため、音のみではなく光によっても車両の歩道側への接近が知らされるため、より安全性が向上する。
【0030】
請求項8記載の発明は、請求項6又は請求項7記載の発明の効果に加えて、タイヤに接触した突起体は折り曲げられた状態に変化するため、より大きな音を発生するので更に安全性が向上する。又、車が通過した後は、元の状態に復帰するため繰り返して使用できるので効率的となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0031】
図1はこの発明の第1の実施の形態による側溝用ブロックの概略形状を示した斜視図であり、図2は図1で示した側溝用ブロックの使用状態を示した概略断面図である。
【0032】
これらの図を参照して、側溝用ブロック17は、ほぼ直方体形状よりなる胴本体19を中心として構成されている。胴本体19にはその長手方向に貫通する空洞20が形成されている。この空洞20は、設置時において車道等から流れ込んだ雨水等を排水するために形成されているものである。又、胴本体19の上面部はその幅方向において車道側から歩道側へ傾斜するように構成されている。上面部21の歩道側の角には歩車道境界ブロック33の一部と嵌合する凹部25が長手方向の両端部まで形成されている。
【0033】
又、空洞20の上部には、上面部21から空洞20に達するように形成されたスリット24が、胴本体19の長手方向の両端部まで伸びるように形成されている。更に、スリット24によって分割された上面部21のうち、車道側の部分には胴本体19の長手方向に所定間隔(2〜50cm)で形成された複数の突起体23a,突起体23bが、胴本体19に対して一体的に形成されている。突起体23はその上面が平坦面であり、且つ平面視において矩形形状を有している。又、その平坦面は上面部21とは異なりほぼ水平レベルに設定されている。即ち、突起体23は歩道側に近付くにつれて上面部21の面からその平坦面の高さが高くなるように設定されている。
【0034】
設置時にあっては、図2に示されているように胴本体19は基礎砕石27の上に捨コンクリート30を介して設置されている。車道側にあっては、上面部21の面とその上面が整列するように車道アスファルト29が基礎砕石28上に施工されている。一方、歩道側にあっては、基礎砕石31の上に歩道アスファルト32が施工されており、胴本体19との境界において歩車道境界ブロック33が胴本体19の凹部25に嵌合した状態で取り付けられている。
【0035】
図3は、図2で示した断面図のように側溝用ブロック17が設置された場合の使用状態を示した概略斜視図である。
【0036】
図を参照して、車道側において車道アスファルト29の上をトラック35が脇見運転等によって歩道側に異常に近付いた場合を想定する。この場合、トラック35の前輪タイヤが側溝用ブロック17の上方を通過することになる。するとトラック35のタイヤは側溝用ブロック17の突起体23を乗り越えて行くことになる。この時、突起体23の形状による特異な接触音が発生する。尚、突起体23は上述のように歩道側に行くにつれて上面部21の面より高くなっているため、この接触音はトラック35が歩道側に近付くにつれて増大することになる。
【0037】
この接触音は胴本体19の上方部分を伝達して、空洞20内で振動共鳴する。この共鳴によって大きくなった接触音は、側溝用ブロック17の長手方向に連続して形成されているスリット24を介して外方に警告音として放出されることになる。すると、歩道アスファルト32を歩いている児童36等が、この警告音によってトラック35に対して注意を促され、前もって危険を回避することが可能となる。尚、この警告音は乗り上げ時の振動と共にトラック35の運転手にも伝わることになり、特に居眠り運転時等において歩道に対する異常な接近に対する注意を促すことになりより安全性が向上する。
【0038】
尚、スリット24は歩道に沿って連続的に形成されているため、突起体23によって生じる接触音はかなり前方まで連続的に伝達されることになり、警告音としての効果をより発揮することが可能となる。
【0039】
図4はこの発明の第2の実施の形態による側溝用ブロックの概略形状を示した斜視図であり、図5は図4で示した側溝用ブロックの使用状態を示した概略斜視図である。
【0040】
これらの図を参照して、基本的な構成及び取り付け状態は先の第1の実施の形態とほぼ同様であるが、この実施の形態にあっては、側溝用ブロック17の上面部21に形成されている突起体23の形状が大きく異なっている。即ち、この実施の形態にあっては、突起体23は平面視円形形状を有しており、又、上面部21からの高さは上面部21がほぼ水平面を維持しているのに合わせてその上面は全て同一の高さに設定されている。これによって先の実施の形態とは異なった接触音が突起体23から発せられることになる。
【0041】
尚、スリット24は、先の実施の形態と同様に胴本体19の長手方向に対して両端部まで連続的に形成されている。そのため、断面が楕円形に形成されている空洞20において共鳴した突起体23からの接触音は、同様に前方まで連続的に放出することが可能となる。
【0042】
図6はこの発明の第3の実施の形態による側溝用ブロックの概略形状を示した斜視図であり、図7は図6で示した側溝用ブロックの使用状態を示した概略断面図であり、図8は図7で示したVIII−VIIIラインの断面図である。
【0043】
これらの図を参照して、この実施の形態にあっては、突起体23の形状のみが第1の実施の形態によるものと異なるのみであり、他の構造は第1の実施の形態と全く同一である。即ち、突起体23は平面視において矩形形状を有しており、その上面が胴本体19の長手方向のうち車両の進行方向(矢印の方向)に向かってその上面が低下する傾斜面を有するものである。これによって車道側から歩道側に侵入して来た車両は突起体23のほぼ垂直面にタイヤが接触して大きな接触音を発生する。その後タイヤは傾斜面に沿ってスムーズに側溝用ブロック17の上面部21に進行する。そのため、側溝用ブロック17の上面部21に与える衝撃が軽減されるので、側溝用ブロック17を損傷する虞が低減する。
【0044】
尚、上記の第3の実施の形態では、突起体23の傾斜面を車両の進行方向に向けているが、状況に応じて進行方向とは逆方向に向かうように構成しても良い。この場合、車道側から歩道側に侵入して来た車両は突起体23に対するタイヤの乗り上げ時の抵抗が低減する。しかし、突起体23を通過した後は、直ちに上面部21の面に落ちることになるため、大きな衝撃音を発生する。その結果、車両の運転手に対して乗り上げ時に大きな衝撃を与えることなく、突起体23によって十分な警告音が発生することになる。
【0045】
図9はこの発明の第4の実施の形態による側溝用ブロックの概略形状を示した斜視図であり、図10は図9で示した側溝用ブロックの使用状態を示した概略斜視図である。
【0046】
これらの図を参照して、側溝用ブロック17は、ほぼ直方体形状を有し、その長手方向に貫通する空洞20を有する胴本体19を中心として構成されている。胴本体19の上面部21であって、車道側の部分には所定間隔で複数の突起体23a〜突起体23dが上面部21の上面から所定高さだけ突き出るように形成されている。又、上面部21の歩道側には、歩車道境界ブロック33の一部と嵌合する凹部25が胴本体19の軸方向にわたって形成されている。
【0047】
胴本体19の車道側の側壁39の上方部には、その表面から空洞20に達する排水用穴41a〜排水用穴41cが形成されている。又、胴本体19の上面部21には、その表面から空洞20に達する排水用穴40a〜排水用穴40cが形成されている。この実施の形態による側溝用ブロック17は、車道側に排水性舗装45が施工される場合に用いられるものである。即ち、車道側において、基礎砕石28の上に不透水層43が形成され、その不透水層43の上と側溝用ブロック17の上とに透水機能層44が全面的に形成されている。そして、透水機能層44の表面から浸透してきた雨水等は、排水用穴41a〜排水用穴41c及び排水用穴40a〜排水用穴40cの各々を介して側溝用ブロック17の空洞20内に流れ込み排水されることになる。このように、不透水層43と透水機能層44とによって排水性舗装45が構成されている。
【0048】
この時、突起体23a〜突起体23dの上面部21からの突き出し高さは、透水機能層44の施工厚さより大きくなるように形成されている。従って、透水機能層44を側溝用ブロック17の上面部21上を覆うように全面的に施工した場合にあっても、突起体23a〜突起体23dの各々の上端部は透水機能層44の上面より突き出た状態となる。
【0049】
使用時に車道側から車両が歩道側に接近して来た場合、そのタイヤは透水機能層44の上面から突き出た突起体23に接触して特異な接触音を生じることになる。この接触音は側溝用ブロック17の胴本体19を介して空洞20内に伝達され、そこで振動共鳴して拡大されることになる。その拡大された音は、主に排水用穴40,41を介して放出され、放出された音は透水機能層44を通過して歩行者や運転手に注意を促すことになる。透水機能層44は連続気泡構造となっているため、排水用穴40,41を介して放出された警告音を遮断する虞はない。
【0050】
図11はこの発明の第5の実施の形態による側溝用ブロックの概略形状を示した斜視図である。
【0051】
図を参照して、側溝用ブロック17は、ほぼ直方体形状を有しその長手方向に貫通する空洞20を有する胴本体19と、胴本体19の上面部21に着脱自在に取り付けられる突起構造体49とから構成されている。尚、この実施の形態にあっては、胴本体19の上面部21にはその表面から空洞20に達するグレーチング穴52a,グレーチング穴52bが形成されているが、先の各実施の形態とは異なりこれらは胴本体19の長手方向の端部まで連続的に形成されているものではない。
【0052】
又、上面部21の車道側には、上方に突出して胴本体19の長手方向の両端部まで連続的に形成されている縁石部51が形成されている。これによって先の各実施の形態とは異なり側溝用ブロック17とは別途に歩車道境界ブロックを必要とすることはない。
【0053】
突起構造体49は矩形シート形状のベース体47と、ベース体47の上面に形成された複数の突起体48とから構成されている。突起体48は平面視において矩形形状を有し、ベース体47の上面から一定高さで上方に突き出るように形成されている。尚、胴本体19の上面部21であって車道側においては、突起構造体49を取り付けた時ベース体47の上面と上面部21の上面とが整列するように、その部分がやや低くなるように形成されている。これによって、必要に応じて突起構造体49のみを側溝用ブロック17から取り替えたりすることが容易となるため、使用勝手が向上する。
【0054】
図12はこの発明の第6の実施の形態による突起構造体の概略形状を示した斜視図であって、図11で示した突起構造体に対応するものである。
【0055】
図を参照して、突起構造体49は矩形シート形状のベース体47と、ベース体47の上面から上方に立ち上がる突起体48とから構成されている。そして突起体48は、ベース体47に接続する突状片53と突状片53の一方面に形成された反射体54とから構成されている。このように構成することによって、夜間において車道側に近付いて来た車に対し、突起体48をタイヤが通過する警告音のみならず、車のライトの反射体54からの反射光とによって、より確実に運転手に警告を発することが可能となる。
【0056】
図13はこの発明の第7の実施の形態による突起構造体の概略形状を示した側面図であって、図11で示した突起構造体に対応するものである。
【0057】
図を参照して、突起構造体49は矩形シート形状のベース体47と、ベース体47の上面から立ち上がり屈曲自在に形成された屈曲片56とから構成されている。車が歩道側に近付くと、そのタイヤは屈曲片56の上を通過することになるが、屈曲片56は屈曲自在に構成されているため、屈曲片56の先端が倒れてベース体47の上面に接する状態となる。この接した時に屈曲片56から新たな衝撃音が生じるため、単なるタイヤの通過音だけのものに比べてより大きな警告音となって、歩行者及び運転者に注意を促すことが可能となる。タイヤの乗り上げ状態が終わると、屈曲片56はベース体47から離れて元の自立状態に復帰する。又、屈曲片56に着色したり夜光塗料等を塗布しておけば、運転手への注意を更に促すことができるためより好ましい。
【0058】
尚、上記の各実施の形態では突起体の形状やその設置間隔を特定しているが、突起体の形状は使用状況に合わせた他の形状であっても良い。設置間隔(2〜50cm)は、突起体からの良好な発音状態を確保するためには特に好ましいものである。
【0059】
又、上記の各実施の形態では、突起体はスリットに対して車道側に設けているが、歩道側に設けても警告音を発するという点では同様の効果を奏する。いずれにしても、上面部
に対して中央側に設けたものに比べて側溝用ブロックの耐久性の観点からも好ましいものである。
【0060】
更に、上記の各実施の形態では、スリットは胴本体の長手方向の両端部まで連続的に形成されているが、胴本体の両端部に支持部分を備えたものやスリットの途中に鉄筋等が横断しているような場合、すなわち、スリットが「ほぼ両端部」まで形成されている構造であっても同様の効果を奏する。
【0061】
更に、上記の第1及び第3実施の形態では、上面部は歩道側に傾斜しているが、水平面であっても良い。
【0062】
更に、上記の第5〜第7の実施の形態では、突起構造体を構成するベース体及び突起体は特定の形状としているが、これらは他の形状であっても良い。
【0063】
更に、上記の第6の実施の形態では、突状片はベース体に対して固定されているが、第7の実施の形態のように突状片を屈曲自在に構成しても良い。
【0064】
更に、上記の各実施の形態では、突起体をブロックの胴本体やベース体と一体的に形成しているが、これらとは別体としその材質もゴム、合成樹脂、石、タイル、鋼材等の耐摩耗性を有する滑りにくい素材とすると共に滑りにくい形状としても良いことは言うまでもない。
【0065】
更に、上記の各実施の形態では、平面視矩形形状の突起体の長手方向を車道の流れ方向に直交する方向に設置しているが、流れ方向に対して鋭角になるように設置すれば接触音が大きくなるのでより効果的である。
【0066】
更に、上記の各実施の形態では、側溝用ブロックは一体型のものとしているが、これに代えて胴部と蓋部とが別体となっている側溝用ブロックに対しても同様に適用することは可能である。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【図1】この発明の第1の実施の形態による側溝用ブロックの概略形状を示した斜視図である。
【図2】図1で示した側溝用ブロックの使用状態の概略断面構造を示した図である。
【図3】図1で示した側溝用ブロックの使用時における警告効果を説明するための概略斜視図である。
【図4】この発明の第2の実施の形態による側溝用ブロックの概略形状を示した斜視図である。
【図5】図4で示した側溝用ブロックの使用状態を示した概略斜視図である。
【図6】この発明の第3の実施の形態による側溝用ブロックの概略形状を示した斜視図である。
【図7】図6で示した側溝用ブロックの使用状態の概略断面構造を示した図である。
【図8】図7で示したVIII−VIIIラインの拡大断面図である。
【図9】この発明の第4の実施の形態による側溝用ブロックの概略形状を示した斜視図である。
【図10】図9で示した側溝用ブロックの使用状態を示した概略斜視図である。
【図11】この発明の第5の実施の形態による側溝用ブロックの概略形状を示した斜視図である。
【図12】この発明の第6の実施の形態による側溝用ブロックに用いられる突起構造体の概略形状を示した斜視図である。
【図13】この発明の第7の実施の形態による側溝用ブロックに用いられる突起構造体の概略構造を示した側面図である。
【符号の説明】
【0068】
17…側溝用ブロック
19…胴本体
20…空洞
21…上面部
23,48…突起体
24…スリット
40…排水用穴
44…透水機能層
45…排水性舗装
47…ベース体
49…突起構造体
53…突状片
54…反射体
56…屈曲片
尚、各図中同一符号は同一又は相当部分を示す。
【技術分野】
【0001】
この発明は側溝用ブロックに関し、特に車道と歩道との境界に設置される側溝用ブロックに関するものである。
【背景技術】
【0002】
車道と歩道との境界に設置される側溝用ブロックには、その上部に凹溝を施したものが多くある(例えば、特許文献1参照)。又、上部に格子状又は網目状の多数の凹溝が形成されたものがある(例えば、特許文献2参照)。更に、表面にタイル状突出板面等を施したものがある(例えば、特許文献3参照)。又、U字溝側壁の上端部に装着されたスリップ止めの付いた金属製の保護枠がある(例えば、特許文献4参照)。これらはそれぞれに排水性が良くなったり、車や歩行者のスリップ防止といった効果がある。
【0003】
【特許文献1】特許第2896891号公報
【特許文献2】実開平2−97479号公報
【特許文献3】特開平11−217803号公報
【特許文献4】実開平2−37989号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のような従来のコンクリート側壁の上部表面に施された溝や凹凸模様は、排水性を良くしたり、又は人や車が通る際にスリップをしないようにする目的で設けられたものである。即ち、車道側から運転手の居眠りや脇見運転等で車両が異常に歩道側に接近した場合の警告となるものとしては不十分なものである。
【0005】
尚、車両が歩道側に乗り上げないように縁石の高さを高くするように構造変更すると工費が高くなってしまい、又、小さな子供が縁石に隠れてしまいかえって危険な状況が発生する虞も生じる。
【0006】
この発明は上記のような課題を解決するためになされたもので、車両が異常に歩道側に近付いた時、歩行者や運転手に注意を促すことができる側溝用ブロックを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するために、請求項1記載の発明は、車道と歩道との境界に設置される側溝用ブロックであって、ほぼ直方体形状を有し、その長手方向に貫通する空洞を有する胴本体と、胴本体の上面部から空洞に達するように形成され、長手方向のほぼ両端部まで伸びるスリットと、上面部において、長手方向に所定間隔に形成された複数の突起体とを備えたものである。
【0008】
このように構成すると、車両が歩道側に近付くとタイヤが突起体上を通過する。
【0009】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明の構成において、突起体は、スリットによって分割された上面部のうち車道側の部分に形成されるものである。
【0010】
このように構成すると、車両が側溝用ブロックの上に侵入すると直ちに突起体上を通過する。
【0011】
請求項3記載の発明は、請求項2記載の発明の構成において、上面部は車道側から歩道側に向かって下方に下がる傾斜面を有し、突起体は、上面が平坦面であり、且つ平面視において矩形形状を有すると共に、平坦部はほぼ水平レベルに設定されるものである。
【0012】
このように構成すると、車両が歩道側に近付くにつれてタイヤの接触音が大きくなる。
【0013】
請求項4記載の発明は、請求項2記載の発明の構成において、突起体は、長手方向のうち車両の進行方向に向かってその上面が低下する傾斜面を有するものである。
【0014】
このように構成すると、車両が突起体を乗り上げて特定の接触音を発した後、タイヤはスムーズに側溝用ブロックの上面部に進行する。
【0015】
請求項5記載の発明は、車道と歩道との境界に設置され、その上面が排水性舗装によって覆われる側溝用ブロックであって、ほぼ直方体形状を有し、その長手方向に貫通する空洞を有する胴本体と、胴本体の上面部から空洞に達するように形成された少なくとも1つの排水穴と、上面部から上方に突出し、その突出長さが排水性舗装の施工厚さより大きい複数の突起体とを備えたものである。
【0016】
このように構成すると、排水性舗装を施した際、突起体の上端部が排水性舗装の表面より突出する。
【0017】
請求項6記載の発明は、車道と歩道との境界に設置される側溝用ブロックの上面に取り付けられる突起構造体であって、矩形シート形状のベース体と、ベース体の一方面に形成された複数の突起体とを備えたものである。
【0018】
このように構成すると、側溝用ブロックに取り付けられた状態において、車両が歩道側に近付くとタイヤが突起体上を通過して特異な接触音が発生する。
【0019】
請求項7記載の発明は、請求項6記載の発明の構成において、突起体の各々は、ベース体から上方に立ち上がる突状片と、突状片の一方面に形成された反射体とを含むものである。
【0020】
このように構成すると、夜間時に車のライトが反射体によって反射される。
【0021】
請求項8記載の発明は、請求項6又は請求項7記載の発明の構成において、突起体の各々は、ベース体から立ち上がり、屈曲自在に形成されるものである。
【0022】
このように構成すると、タイヤに接触した突起体は折り曲げられた状態に変化する。
【発明の効果】
【0023】
以上説明したように、請求項1記載の発明は、車両が歩道側に近付くと特異な接触音が発生し、この音は空洞内で振動共鳴した後、スリットから警告音として放出される。そのため、歩行者や運転手に注意を促すことになり、安全性が向上する。
【0024】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明の効果に加えて、車両が側溝用ブロックの上に侵入すると直ちに突起体上を通過するため、早い段階での車の接近状態が知らされるので、より安全性が向上する。
【0025】
請求項3記載の発明は、請求項2記載の発明の効果に加えて、車両が歩道側に近付くにつれて、タイヤの接触音が大きくなるため、車の接近程度を知ることができ更に安全性が向上する。
【0026】
請求項4記載の発明は、請求項2記載の発明の効果に加えて、車両が突起体を乗り上げて特定の接触音を発した後、タイヤはスムーズに側溝用ブロックの上面部に進行するため、ブロックに大きな衝撃を与えることがない。
【0027】
請求項5記載の発明は、突起体の上端部が排水性舗装の表面より突出するため、歩道側に近付いた車両のタイヤが突起体の上端部を通過して、特異な接触音を発生する。又、この音は、空洞内で振動共鳴した後、排水用穴から排水性舗装を通して警告音として放出される。そのため、歩行者や運転手に注意を促すことになり、安全性が向上する。
【0028】
請求項6記載の発明は、側溝用ブロックに取り付けられた状態において特異な接触音が発生するため、必要に応じて既成の側溝用ブロックに取り付けることが可能となる。又、突起構造体のみを交換できるため、効率的な安全対策が実現できる。
【0029】
請求項7記載の発明は、請求項6記載の発明の効果に加えて、夜間時車のライトが反射体によって反射されるため、音のみではなく光によっても車両の歩道側への接近が知らされるため、より安全性が向上する。
【0030】
請求項8記載の発明は、請求項6又は請求項7記載の発明の効果に加えて、タイヤに接触した突起体は折り曲げられた状態に変化するため、より大きな音を発生するので更に安全性が向上する。又、車が通過した後は、元の状態に復帰するため繰り返して使用できるので効率的となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0031】
図1はこの発明の第1の実施の形態による側溝用ブロックの概略形状を示した斜視図であり、図2は図1で示した側溝用ブロックの使用状態を示した概略断面図である。
【0032】
これらの図を参照して、側溝用ブロック17は、ほぼ直方体形状よりなる胴本体19を中心として構成されている。胴本体19にはその長手方向に貫通する空洞20が形成されている。この空洞20は、設置時において車道等から流れ込んだ雨水等を排水するために形成されているものである。又、胴本体19の上面部はその幅方向において車道側から歩道側へ傾斜するように構成されている。上面部21の歩道側の角には歩車道境界ブロック33の一部と嵌合する凹部25が長手方向の両端部まで形成されている。
【0033】
又、空洞20の上部には、上面部21から空洞20に達するように形成されたスリット24が、胴本体19の長手方向の両端部まで伸びるように形成されている。更に、スリット24によって分割された上面部21のうち、車道側の部分には胴本体19の長手方向に所定間隔(2〜50cm)で形成された複数の突起体23a,突起体23bが、胴本体19に対して一体的に形成されている。突起体23はその上面が平坦面であり、且つ平面視において矩形形状を有している。又、その平坦面は上面部21とは異なりほぼ水平レベルに設定されている。即ち、突起体23は歩道側に近付くにつれて上面部21の面からその平坦面の高さが高くなるように設定されている。
【0034】
設置時にあっては、図2に示されているように胴本体19は基礎砕石27の上に捨コンクリート30を介して設置されている。車道側にあっては、上面部21の面とその上面が整列するように車道アスファルト29が基礎砕石28上に施工されている。一方、歩道側にあっては、基礎砕石31の上に歩道アスファルト32が施工されており、胴本体19との境界において歩車道境界ブロック33が胴本体19の凹部25に嵌合した状態で取り付けられている。
【0035】
図3は、図2で示した断面図のように側溝用ブロック17が設置された場合の使用状態を示した概略斜視図である。
【0036】
図を参照して、車道側において車道アスファルト29の上をトラック35が脇見運転等によって歩道側に異常に近付いた場合を想定する。この場合、トラック35の前輪タイヤが側溝用ブロック17の上方を通過することになる。するとトラック35のタイヤは側溝用ブロック17の突起体23を乗り越えて行くことになる。この時、突起体23の形状による特異な接触音が発生する。尚、突起体23は上述のように歩道側に行くにつれて上面部21の面より高くなっているため、この接触音はトラック35が歩道側に近付くにつれて増大することになる。
【0037】
この接触音は胴本体19の上方部分を伝達して、空洞20内で振動共鳴する。この共鳴によって大きくなった接触音は、側溝用ブロック17の長手方向に連続して形成されているスリット24を介して外方に警告音として放出されることになる。すると、歩道アスファルト32を歩いている児童36等が、この警告音によってトラック35に対して注意を促され、前もって危険を回避することが可能となる。尚、この警告音は乗り上げ時の振動と共にトラック35の運転手にも伝わることになり、特に居眠り運転時等において歩道に対する異常な接近に対する注意を促すことになりより安全性が向上する。
【0038】
尚、スリット24は歩道に沿って連続的に形成されているため、突起体23によって生じる接触音はかなり前方まで連続的に伝達されることになり、警告音としての効果をより発揮することが可能となる。
【0039】
図4はこの発明の第2の実施の形態による側溝用ブロックの概略形状を示した斜視図であり、図5は図4で示した側溝用ブロックの使用状態を示した概略斜視図である。
【0040】
これらの図を参照して、基本的な構成及び取り付け状態は先の第1の実施の形態とほぼ同様であるが、この実施の形態にあっては、側溝用ブロック17の上面部21に形成されている突起体23の形状が大きく異なっている。即ち、この実施の形態にあっては、突起体23は平面視円形形状を有しており、又、上面部21からの高さは上面部21がほぼ水平面を維持しているのに合わせてその上面は全て同一の高さに設定されている。これによって先の実施の形態とは異なった接触音が突起体23から発せられることになる。
【0041】
尚、スリット24は、先の実施の形態と同様に胴本体19の長手方向に対して両端部まで連続的に形成されている。そのため、断面が楕円形に形成されている空洞20において共鳴した突起体23からの接触音は、同様に前方まで連続的に放出することが可能となる。
【0042】
図6はこの発明の第3の実施の形態による側溝用ブロックの概略形状を示した斜視図であり、図7は図6で示した側溝用ブロックの使用状態を示した概略断面図であり、図8は図7で示したVIII−VIIIラインの断面図である。
【0043】
これらの図を参照して、この実施の形態にあっては、突起体23の形状のみが第1の実施の形態によるものと異なるのみであり、他の構造は第1の実施の形態と全く同一である。即ち、突起体23は平面視において矩形形状を有しており、その上面が胴本体19の長手方向のうち車両の進行方向(矢印の方向)に向かってその上面が低下する傾斜面を有するものである。これによって車道側から歩道側に侵入して来た車両は突起体23のほぼ垂直面にタイヤが接触して大きな接触音を発生する。その後タイヤは傾斜面に沿ってスムーズに側溝用ブロック17の上面部21に進行する。そのため、側溝用ブロック17の上面部21に与える衝撃が軽減されるので、側溝用ブロック17を損傷する虞が低減する。
【0044】
尚、上記の第3の実施の形態では、突起体23の傾斜面を車両の進行方向に向けているが、状況に応じて進行方向とは逆方向に向かうように構成しても良い。この場合、車道側から歩道側に侵入して来た車両は突起体23に対するタイヤの乗り上げ時の抵抗が低減する。しかし、突起体23を通過した後は、直ちに上面部21の面に落ちることになるため、大きな衝撃音を発生する。その結果、車両の運転手に対して乗り上げ時に大きな衝撃を与えることなく、突起体23によって十分な警告音が発生することになる。
【0045】
図9はこの発明の第4の実施の形態による側溝用ブロックの概略形状を示した斜視図であり、図10は図9で示した側溝用ブロックの使用状態を示した概略斜視図である。
【0046】
これらの図を参照して、側溝用ブロック17は、ほぼ直方体形状を有し、その長手方向に貫通する空洞20を有する胴本体19を中心として構成されている。胴本体19の上面部21であって、車道側の部分には所定間隔で複数の突起体23a〜突起体23dが上面部21の上面から所定高さだけ突き出るように形成されている。又、上面部21の歩道側には、歩車道境界ブロック33の一部と嵌合する凹部25が胴本体19の軸方向にわたって形成されている。
【0047】
胴本体19の車道側の側壁39の上方部には、その表面から空洞20に達する排水用穴41a〜排水用穴41cが形成されている。又、胴本体19の上面部21には、その表面から空洞20に達する排水用穴40a〜排水用穴40cが形成されている。この実施の形態による側溝用ブロック17は、車道側に排水性舗装45が施工される場合に用いられるものである。即ち、車道側において、基礎砕石28の上に不透水層43が形成され、その不透水層43の上と側溝用ブロック17の上とに透水機能層44が全面的に形成されている。そして、透水機能層44の表面から浸透してきた雨水等は、排水用穴41a〜排水用穴41c及び排水用穴40a〜排水用穴40cの各々を介して側溝用ブロック17の空洞20内に流れ込み排水されることになる。このように、不透水層43と透水機能層44とによって排水性舗装45が構成されている。
【0048】
この時、突起体23a〜突起体23dの上面部21からの突き出し高さは、透水機能層44の施工厚さより大きくなるように形成されている。従って、透水機能層44を側溝用ブロック17の上面部21上を覆うように全面的に施工した場合にあっても、突起体23a〜突起体23dの各々の上端部は透水機能層44の上面より突き出た状態となる。
【0049】
使用時に車道側から車両が歩道側に接近して来た場合、そのタイヤは透水機能層44の上面から突き出た突起体23に接触して特異な接触音を生じることになる。この接触音は側溝用ブロック17の胴本体19を介して空洞20内に伝達され、そこで振動共鳴して拡大されることになる。その拡大された音は、主に排水用穴40,41を介して放出され、放出された音は透水機能層44を通過して歩行者や運転手に注意を促すことになる。透水機能層44は連続気泡構造となっているため、排水用穴40,41を介して放出された警告音を遮断する虞はない。
【0050】
図11はこの発明の第5の実施の形態による側溝用ブロックの概略形状を示した斜視図である。
【0051】
図を参照して、側溝用ブロック17は、ほぼ直方体形状を有しその長手方向に貫通する空洞20を有する胴本体19と、胴本体19の上面部21に着脱自在に取り付けられる突起構造体49とから構成されている。尚、この実施の形態にあっては、胴本体19の上面部21にはその表面から空洞20に達するグレーチング穴52a,グレーチング穴52bが形成されているが、先の各実施の形態とは異なりこれらは胴本体19の長手方向の端部まで連続的に形成されているものではない。
【0052】
又、上面部21の車道側には、上方に突出して胴本体19の長手方向の両端部まで連続的に形成されている縁石部51が形成されている。これによって先の各実施の形態とは異なり側溝用ブロック17とは別途に歩車道境界ブロックを必要とすることはない。
【0053】
突起構造体49は矩形シート形状のベース体47と、ベース体47の上面に形成された複数の突起体48とから構成されている。突起体48は平面視において矩形形状を有し、ベース体47の上面から一定高さで上方に突き出るように形成されている。尚、胴本体19の上面部21であって車道側においては、突起構造体49を取り付けた時ベース体47の上面と上面部21の上面とが整列するように、その部分がやや低くなるように形成されている。これによって、必要に応じて突起構造体49のみを側溝用ブロック17から取り替えたりすることが容易となるため、使用勝手が向上する。
【0054】
図12はこの発明の第6の実施の形態による突起構造体の概略形状を示した斜視図であって、図11で示した突起構造体に対応するものである。
【0055】
図を参照して、突起構造体49は矩形シート形状のベース体47と、ベース体47の上面から上方に立ち上がる突起体48とから構成されている。そして突起体48は、ベース体47に接続する突状片53と突状片53の一方面に形成された反射体54とから構成されている。このように構成することによって、夜間において車道側に近付いて来た車に対し、突起体48をタイヤが通過する警告音のみならず、車のライトの反射体54からの反射光とによって、より確実に運転手に警告を発することが可能となる。
【0056】
図13はこの発明の第7の実施の形態による突起構造体の概略形状を示した側面図であって、図11で示した突起構造体に対応するものである。
【0057】
図を参照して、突起構造体49は矩形シート形状のベース体47と、ベース体47の上面から立ち上がり屈曲自在に形成された屈曲片56とから構成されている。車が歩道側に近付くと、そのタイヤは屈曲片56の上を通過することになるが、屈曲片56は屈曲自在に構成されているため、屈曲片56の先端が倒れてベース体47の上面に接する状態となる。この接した時に屈曲片56から新たな衝撃音が生じるため、単なるタイヤの通過音だけのものに比べてより大きな警告音となって、歩行者及び運転者に注意を促すことが可能となる。タイヤの乗り上げ状態が終わると、屈曲片56はベース体47から離れて元の自立状態に復帰する。又、屈曲片56に着色したり夜光塗料等を塗布しておけば、運転手への注意を更に促すことができるためより好ましい。
【0058】
尚、上記の各実施の形態では突起体の形状やその設置間隔を特定しているが、突起体の形状は使用状況に合わせた他の形状であっても良い。設置間隔(2〜50cm)は、突起体からの良好な発音状態を確保するためには特に好ましいものである。
【0059】
又、上記の各実施の形態では、突起体はスリットに対して車道側に設けているが、歩道側に設けても警告音を発するという点では同様の効果を奏する。いずれにしても、上面部
に対して中央側に設けたものに比べて側溝用ブロックの耐久性の観点からも好ましいものである。
【0060】
更に、上記の各実施の形態では、スリットは胴本体の長手方向の両端部まで連続的に形成されているが、胴本体の両端部に支持部分を備えたものやスリットの途中に鉄筋等が横断しているような場合、すなわち、スリットが「ほぼ両端部」まで形成されている構造であっても同様の効果を奏する。
【0061】
更に、上記の第1及び第3実施の形態では、上面部は歩道側に傾斜しているが、水平面であっても良い。
【0062】
更に、上記の第5〜第7の実施の形態では、突起構造体を構成するベース体及び突起体は特定の形状としているが、これらは他の形状であっても良い。
【0063】
更に、上記の第6の実施の形態では、突状片はベース体に対して固定されているが、第7の実施の形態のように突状片を屈曲自在に構成しても良い。
【0064】
更に、上記の各実施の形態では、突起体をブロックの胴本体やベース体と一体的に形成しているが、これらとは別体としその材質もゴム、合成樹脂、石、タイル、鋼材等の耐摩耗性を有する滑りにくい素材とすると共に滑りにくい形状としても良いことは言うまでもない。
【0065】
更に、上記の各実施の形態では、平面視矩形形状の突起体の長手方向を車道の流れ方向に直交する方向に設置しているが、流れ方向に対して鋭角になるように設置すれば接触音が大きくなるのでより効果的である。
【0066】
更に、上記の各実施の形態では、側溝用ブロックは一体型のものとしているが、これに代えて胴部と蓋部とが別体となっている側溝用ブロックに対しても同様に適用することは可能である。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【図1】この発明の第1の実施の形態による側溝用ブロックの概略形状を示した斜視図である。
【図2】図1で示した側溝用ブロックの使用状態の概略断面構造を示した図である。
【図3】図1で示した側溝用ブロックの使用時における警告効果を説明するための概略斜視図である。
【図4】この発明の第2の実施の形態による側溝用ブロックの概略形状を示した斜視図である。
【図5】図4で示した側溝用ブロックの使用状態を示した概略斜視図である。
【図6】この発明の第3の実施の形態による側溝用ブロックの概略形状を示した斜視図である。
【図7】図6で示した側溝用ブロックの使用状態の概略断面構造を示した図である。
【図8】図7で示したVIII−VIIIラインの拡大断面図である。
【図9】この発明の第4の実施の形態による側溝用ブロックの概略形状を示した斜視図である。
【図10】図9で示した側溝用ブロックの使用状態を示した概略斜視図である。
【図11】この発明の第5の実施の形態による側溝用ブロックの概略形状を示した斜視図である。
【図12】この発明の第6の実施の形態による側溝用ブロックに用いられる突起構造体の概略形状を示した斜視図である。
【図13】この発明の第7の実施の形態による側溝用ブロックに用いられる突起構造体の概略構造を示した側面図である。
【符号の説明】
【0068】
17…側溝用ブロック
19…胴本体
20…空洞
21…上面部
23,48…突起体
24…スリット
40…排水用穴
44…透水機能層
45…排水性舗装
47…ベース体
49…突起構造体
53…突状片
54…反射体
56…屈曲片
尚、各図中同一符号は同一又は相当部分を示す。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車道と歩道との境界に設置される側溝用ブロックであって、
ほぼ直方体形状を有し、その長手方向に貫通する空洞を有する胴本体と、
前記胴本体の上面部から前記空洞に達するように形成され、前記長手方向のほぼ両端部まで伸びるスリットと、
前記上面部において、前記長手方向に所定間隔に形成された複数の突起体とを備えた、側溝用ブロック。
【請求項2】
前記突起体は、前記スリットによって分割された前記上面部のうち、車道側の部分に形成される、請求項1記載の側溝用ブロック。
【請求項3】
前記上面部は車道側から歩道側に向かって斜め下方に下がる傾斜面を有し、
前記突起体は、上面が平坦面であり、且つ平面視において矩形形状を有すると共に、前記平坦面はほぼ水平レベルに設定される、請求項2記載の側溝用ブロック。
【請求項4】
前記突起体は、前記長手方向のうち、車両の進行方向に向かって、その上面が低下する傾斜面を有する、請求項2記載の側溝用ブロック。
【請求項5】
車道と歩道との境界に設置され、その上面が排水性舗装の透水機能層によって覆われる側溝用ブロックであって、
ほぼ直方体形状を有し、その長手方向に貫通する空洞を有する胴本体と、
前記胴本体の上面部から前記空洞に達するように形成された少なくとも1つの排水用穴と、
前記上面部から上方に突出し、その突出長さが前記透水機能層の施工厚さより大きい複数の突起体とを備えた、側溝用ブロック。
【請求項6】
車道と歩道との境界に設置される側溝用ブロックの上面に取り付けられる突起構造体であって、
矩形シート形状のベース体と、
前記ベース体の一方面に形成された複数の突起体とを備えた、突起構造体。
【請求項7】
前記突起体の各々は、前記ベース体から上方に立ち上がる突状片と、
前記突状片の一方面に形成された反射体とを含む、請求項6記載の突起構造体。
【請求項8】
前記突起体の各々は、前記ベース体から立ち上がり、屈曲自在に形成される、請求項6又は請求項7記載の突起構造体。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車道と歩道との境界に設置される側溝用ブロックであって、
ほぼ直方体形状を有し、その長手方向に貫通する空洞を有する胴本体と、
前記胴本体の上面部から前記空洞に達するように形成され、前記長手方向のほぼ両端部まで伸びるスリットと、
前記上面部において、前記長手方向に所定間隔に形成された複数の突起体とを備えた、側溝用ブロック。
【請求項2】
前記突起体は、前記スリットによって分割された前記上面部のうち、車道側の部分に形成される、請求項1記載の側溝用ブロック。
【請求項3】
前記上面部は車道側から歩道側に向かって斜め下方に下がる傾斜面を有し、
前記突起体は、上面が平坦面であり、且つ平面視において矩形形状を有すると共に、前記平坦面はほぼ水平レベルに設定される、請求項2記載の側溝用ブロック。
【請求項4】
前記突起体は、前記長手方向のうち、車両の進行方向に向かって、その上面が低下する傾斜面を有する、請求項2記載の側溝用ブロック。
【請求項5】
車道と歩道との境界に設置され、その上面が排水性舗装の透水機能層によって覆われる側溝用ブロックであって、
ほぼ直方体形状を有し、その長手方向に貫通する空洞を有する胴本体と、
前記胴本体の上面部から前記空洞に達するように形成された少なくとも1つの排水用穴と、
前記上面部から上方に突出し、その突出長さが前記透水機能層の施工厚さより大きい複数の突起体とを備えた、側溝用ブロック。
【請求項1】
車道と歩道との境界に設置される側溝用ブロックであって、
ほぼ直方体形状を有し、その長手方向に貫通する空洞を有する胴本体と、
前記胴本体の上面部から前記空洞に達するように形成され、前記長手方向のほぼ両端部まで伸びるスリットと、
前記上面部において、前記長手方向に所定間隔に形成された複数の突起体とを備えた、側溝用ブロック。
【請求項2】
前記突起体は、前記スリットによって分割された前記上面部のうち、車道側の部分に形成される、請求項1記載の側溝用ブロック。
【請求項3】
前記上面部は車道側から歩道側に向かって斜め下方に下がる傾斜面を有し、
前記突起体は、上面が平坦面であり、且つ平面視において矩形形状を有すると共に、前記平坦面はほぼ水平レベルに設定される、請求項2記載の側溝用ブロック。
【請求項4】
前記突起体は、前記長手方向のうち、車両の進行方向に向かって、その上面が低下する傾斜面を有する、請求項2記載の側溝用ブロック。
【請求項5】
車道と歩道との境界に設置され、その上面が排水性舗装の透水機能層によって覆われる側溝用ブロックであって、
ほぼ直方体形状を有し、その長手方向に貫通する空洞を有する胴本体と、
前記胴本体の上面部から前記空洞に達するように形成された少なくとも1つの排水用穴と、
前記上面部から上方に突出し、その突出長さが前記透水機能層の施工厚さより大きい複数の突起体とを備えた、側溝用ブロック。
【請求項6】
車道と歩道との境界に設置される側溝用ブロックの上面に取り付けられる突起構造体であって、
矩形シート形状のベース体と、
前記ベース体の一方面に形成された複数の突起体とを備えた、突起構造体。
【請求項7】
前記突起体の各々は、前記ベース体から上方に立ち上がる突状片と、
前記突状片の一方面に形成された反射体とを含む、請求項6記載の突起構造体。
【請求項8】
前記突起体の各々は、前記ベース体から立ち上がり、屈曲自在に形成される、請求項6又は請求項7記載の突起構造体。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車道と歩道との境界に設置される側溝用ブロックであって、
ほぼ直方体形状を有し、その長手方向に貫通する空洞を有する胴本体と、
前記胴本体の上面部から前記空洞に達するように形成され、前記長手方向のほぼ両端部まで伸びるスリットと、
前記上面部において、前記長手方向に所定間隔に形成された複数の突起体とを備えた、側溝用ブロック。
【請求項2】
前記突起体は、前記スリットによって分割された前記上面部のうち、車道側の部分に形成される、請求項1記載の側溝用ブロック。
【請求項3】
前記上面部は車道側から歩道側に向かって斜め下方に下がる傾斜面を有し、
前記突起体は、上面が平坦面であり、且つ平面視において矩形形状を有すると共に、前記平坦面はほぼ水平レベルに設定される、請求項2記載の側溝用ブロック。
【請求項4】
前記突起体は、前記長手方向のうち、車両の進行方向に向かって、その上面が低下する傾斜面を有する、請求項2記載の側溝用ブロック。
【請求項5】
車道と歩道との境界に設置され、その上面が排水性舗装の透水機能層によって覆われる側溝用ブロックであって、
ほぼ直方体形状を有し、その長手方向に貫通する空洞を有する胴本体と、
前記胴本体の上面部から前記空洞に達するように形成された少なくとも1つの排水用穴と、
前記上面部から上方に突出し、その突出長さが前記透水機能層の施工厚さより大きい複数の突起体とを備えた、側溝用ブロック。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2006−169854(P2006−169854A)
【公開日】平成18年6月29日(2006.6.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−365251(P2004−365251)
【出願日】平成16年12月17日(2004.12.17)
【出願人】(303006709)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年6月29日(2006.6.29)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年12月17日(2004.12.17)
【出願人】(303006709)
【Fターム(参考)】
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