説明

偽装材料

【課題】外層材料が、薄地で密度が粗い布帛であるにも拘わらず、可視領域での迷彩機能、及び赤外線領域での迷彩性能に優れ、軽量で、かつ通気性に優れた偽装材料、特に迷彩服(偽装衣服)に優れた偽装材料を提供する。
【解決手段】外層材料(a)、赤外線吸収層(b)の少なくとも2層以上の積層構造物からなる材料であり、該外層材料(a)の可視領域の迷彩加工を施した偽装材料のブラック部が、赤外線波長領域のうち600nm以上760nm以下の反射率が10%以下であり、1000nm以上1200nm以下の反射率が20%以下である偽装効果を有する偽装材料。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、可視、及び赤外線領域の偵察に対して、優れた偽装性能を有する迷彩加工布帛であって、戦車用、航空機用、艦船用等の軽量で耐久性に優れたシェルター、カバー、服、手袋、靴、オーバーシューズ、ヘルメットのカバー及び個人用装備品の偽装材料、及び偽装衣服に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、軍需施設や軍隊等の存在を識別するために赤外線が利用され、迷彩識別用眼鏡(600nm以上の赤外線領域)、赤外線写真(800nm以上850nm以下の赤外線領域)、夜間赤外線探査装置(900nm以上1200nm以下の赤外線領域)等が使用されている。この赤外線探知に対して防御するには、この赤外線領域の反射率を可視領域の色、模様などの変化にマッチさせて段階的に変化させた迷彩模様が必要となる。これら赤外線による識別方法から逃れる目的で、自然界と同じような赤外線反射性能を有する戦車用、航空服用、艦船用等のシェルター、カバー、服、手袋、靴、オーバーシューズ、ヘルメット及び個人用装備品の偽装材料、及び偽装衣服が求められている。
【0003】
さらに、高度な赤外線探査法に対抗する方法として、可視、及び赤外線領域ともに任意にその反射率を制御することが望まれている。従来の可視光線および赤外線領域の反射率を制御する偽装材料、及び偽装衣服として次のようなものが提案されている。
【0004】
ビニロン系織物に建染染料、及び硫化染料を用いて、600nm以上1200nm以下の赤外線領域において、20%以下、20%以上40%以下の3段階の異なる赤外線反射率を示す迷彩プリント加工方法が提案されている(例えば、特許文献1)。さらに、綿系編物に建染染料を用いて、600nm以上1200nm以下の赤外線領域において、600nm以上660nm以下、700nm以上720nm以下、740nm以上760nm以下、1000nm以上1200nm以下の4段階の異なる赤外線反射率を示す迷彩加工方法が提案されている(例えば、特許文献2)。さらに、ポリアミド(ナイロン)系織物にアニオン(直接染料、酸性染料、含金属染料)染料、建染染料、硫化染料、及び顔料を用いて、プリント(捺染)する際、織物総面積の70%以上95%以下がアニオン染料および/または建染染料で着色され、織物総面積の5%以上30%以下が顔料でプリントし、3段階以上の異なる赤外線反射率を示す迷彩プリント加工方法が提案されている(例えば、特許文献3)。さらに、ポリエステル、又はポリアミド(ナイロン)布帛に色材が該繊維に対し親和力があり、特定の赤外線波長領域において特定の赤外線反射能を有する染料1重量%以上10重量%以下と該繊維に対し親和性を有しない顔料0.1重量%以上10重量%以下とからなることを特徴とする迷彩加工方法が提案されている(例えば、特許文献4)。
しかしながら、いずれの従来技術も、表生地で、可視、赤外線領域の迷彩性能が付与されたものであり、すなわち、厚地で密度の高い織物、編物が使われており、そのために、迷彩服、迷彩雨衣、天幕、個人用装備品として使用するには重くなりすぎ、軽量化されていないため、不適である。
【0005】
芳香族ポリアミド(ナイロン)布帛に色材が特定の赤外波長域において赤外線反射能の大きい色材と赤外線反射能の小さい色材とからなることを特徴とする迷彩加工方法が提案されている(例えば、特許文献5)。さらに、ポリアミド(ナイロン)布帛に酸性染料を主体とする染料を用いる染色により600nm以上1400nm以下の赤外線波長領域において5%以上、60%以下の多段階の赤外線反射率を示す迷彩模様を施し、同布帛の片面に透湿性防水加工を施したことを特徴とする迷彩加工ポリアミド布帛が提案されている(例えば、特許文献6)。
しかしながら、いずれの従来技術も、単繊維繊度の小さいポリアミド繊維(ナイロン)織物を使用しているので、該織物の裏側(肌側)に赤外線吸収層を有していないので、赤外線透過率が高くなり、不適である。
【0006】
単繊維繊度が5.5デシテックス(5デニール)以上12デシテックス(11デニール)以下の合成繊維からなり、かつ、近赤外線透過率が50%以上である高透過性織物に、染料、または、染料と顔料のいずれかで着色されてなり、かつ、該着色高透過性織物の近赤外反射率が5%以上70%以下の範囲にあって、かつ、少なくとも4段階以上の多段階の迷彩色で構成された迷彩模様を有し、その裏面に、顔料および赤外線吸収剤から選ばれた少なくとも1種を含有する低赤外反射樹脂膜が形成されていることを特徴とする迷彩加工布帛が提案されている(例えば、特許文献7)。
しかしながら、多段階(4段階)の近赤外線反射率の制御方法であり、堅牢度を特徴とした物であり、外層布が合成繊維に限定されており、高透過性織物の裏側に配置する赤外線吸収層の規定がないため、汎用的に、偽装材料及び偽装衣服を提供することが出来ないため、産業界に活用されない。
【0007】
ポリアミド(ナイロン)織物に、建染染料、酸性染料または顔料を用いた染色により,600nm以上1200nm以下の赤外線波長領域において6%以上、65%以下の多段階の赤外線反射率を示す迷彩効果を施すことを特徴とする迷彩ポリアミドテープの製造方法が提案されている(例えば、特許文献8)。さらに、未染色または染色布帛に、黒色顔料がプリント加工され、該黒色顔料によって前記布帛の赤外線領域の反射率が制御されてなることを特徴とする迷彩加工布帛が提案されている(例えば、特許文献9)。
しかしながら、従来技術も、赤外線波長領域を調整するために、外層材料に染料、顔料を使用することが必要であったが、赤外線吸収層を有していないので、特に高波長領域(800nm以上1200nm以下)の反射率が高くなるため、不適である。
【0008】
カーボンブラック5〜40重量%、及びイソフタル酸成分が全酸成分を基準として5〜20モル%共重合されたポリエチレンテレフタレート系共重合ポリエステル95〜60重量%からなるマスターバッチと、カーボンブラックを含有しないポリエチレンテレフタレートからなるマトリックスポリマーとを、混合・溶融紡糸してなる黒原着ポリエステル繊維であって、該繊維中のカーボンブラックの含有量及び前記共重合ポリエステルの含有量が、繊維重量を基準としてそれぞれ0.5重量%以上2.0重量%以下及び2重量%以上10重量%以下である防炎性黒原着ポリエステル繊維が提案されている(例えば、特許文献10)。さらに、平均一次粒子径が5μm以上25μm以下、吸油量が30ml/100g以上80ml/100g以下及び比表面積が150m/g以上300m/g以下の特性を有するカーボンブラックを0.3重量%以上1.0重量%以下を含有してなる黒原着ポリエステル繊維が提案されている(例えば、特許文献11)。さらに、チャンネルタイプのカーボンブラック顔料を0.1 重量%以上1.5 重量%以下、銅化合物を0.01重量%以上0.1 重量%以下、イミダゾール化合物を0.05重量%以上0.5重量%以下を含有し、かつ耐候試験後の強力保持率が90%以上であることを特徴とする黒原着ポリアミド繊維が提案されている(例えば、特許文献12)。
しかしながら、カーボンブラック等を含有する黒原着合成繊維を、本発明のように、偽装材料及び偽装衣服の用途ではなく、暗幕、遮光カーテン、工事用ネット、漁網用途であり、赤外線反射加工、偽装材料、及び偽装衣服に関する記載がなく、不適である。
【0009】
JIS L−1092 6.2に準拠した撥水度が2以上であることを特徴とする繊維状活性炭編物が提案されている(例えば、特許文献13)。さらに、両面を吸着材保護層で挟まれかつキルティング加工された繊維状活性炭シートを水分散系のバインダー樹脂加工浴中に浸漬し、乾燥・固着処理を施し、該シートの通気性が10cm/cm・s以上、剛軟度が3gf・cm以下であることを特徴とするキルティング吸着シートが提案されている(例えば、特許文献14)。さらに、液状有毒化学物質防護層、ガス状有毒化学物質吸着層、吸着材保護層の積層構造物からなる防護衣用材であって、前記液状有毒化学物質防護層がカットパイル布帛で構成されると共に、該カットパイル布帛を構成するパイル糸が、繊度:56デシテックス(50デニール)以上389デシテックス(350デニール)以下のモノフィラメントである合成繊維フィラメント糸よりなり、はっ水度:80以上、はつ油度:4級以上、見掛比重:0.10以上0.30以下であり、該カットパイルの先端は熱溶融によって球状物を形成し、該カットパイル布帛の厚みは、7gf/cm2加重時:3.0mm以下、1kg/cm加重時:0.5mm以上であることを特徴とする防護衣用材が提案されている(例えば、特許文献15)。
しかしながら、内層材料として活性炭が一部使用されてあるが、カーボンブラック顔料が赤外線領域における反射率が低反射性を有する繊維の記載がないため、赤外線領域における反射率が低いことを特徴としないため、不適である。
【0010】
熱分解温度が200℃以上の高耐熱性であり鉱酸に溶解する有機顔料で、好ましくはその分子構造中に−N=及び/又はNH−基を有するもの、なかでもペリノン及び/又はペリレン類、フタロシアニン類、キナクリドン類、またはジオキサジン類を糸中に含有せしめることにより、高温高湿度下および光照射下に長時間暴露されても強度低下の小さい防護材料、防護衣料および産業用資材を構成する繊維構造物、特に耐久性に優れるポリベンザゾール繊維からなる紡績糸が提案されている(例えば、特許文献16)。
しかしながら、高温高湿度下および光照射下に長時間暴露されても強度低下の小さい防護材料、防護衣料であり、赤外線領域における反射率が低反射性を有する繊維の記載がないため、赤外線領域における反射率が低いことを特徴としないため、不適である。
【0011】
【特許文献1】特開平02−154084号公報
【特許文献2】特開平07−157980号公報
【特許文献3】特開平05−060496号公報
【特許文献4】特開平05−132879号公報
【特許文献5】特開昭63−066385号公報
【特許文献6】特開平05−222682号公報
【特許文献7】特開2001−055669号公報
【特許文献8】特開平09−049699号公報
【特許文献9】特開2003−027383号公報
【特許文献10】特開平08−013248号公報
【特許文献11】特許平09−250026号公報
【特許文献12】特開2000−226730号公報
【特許文献13】特開2004−044024号公報
【特許文献14】特開2003−010679号公報
【特許文献15】特開平08−308945号公報
【特許文献16】特開2004−149943号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明は従来技術の課題を背景になされたもので、外層材料が、薄地で密度が粗い布帛であるにも拘わらず、可視領域での迷彩機能、及び赤外線領域での迷彩性能に優れ、軽量で、かつ通気性に優れた偽装材料、特に迷彩服(偽装衣服)に優れた偽装材料を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記問題点を解決すべく鋭意検討の結果、本発明に到達した。
すなわち、本発明は、以下の通りである。
1.外層材料(a)、赤外線吸収層(b)の少なくとも2層以上の積層構造物からなる材料であり、該外層材料(a)の可視領域の迷彩加工を施した偽装材料のブラック部が、赤外線波長領域のうち600nm以上760nm以下の反射率が10%以下であり、1000nm以上1200nm以下の反射率が20%以下である偽装効果を有する偽装材料。
2.前記赤外線吸収層(b)の赤外線波長領域の600nm以上1200nm以下の反射率が5%以下である上記1に記載の偽装材料。
3.前記赤外線吸収層(b)が、少なくとも該外層材料(a)側に、赤外線波長領域の600nm以上1200nm以下で吸収を示す物質を含有する、繊維構造体及び/または活性炭シートである上記1〜2のいずれかに記載の偽装材料。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明は、外層材料が、薄地で、密度が粗い布帛であるにも拘わらず、可視領域での迷彩機能、及び赤外線領域での迷彩機能に優れる上に軽量、かつ通気性に優れた偽装材料、特に偽装衣服(迷彩衣服)について鋭意検討した結果、外層材料(a)、赤外線吸収層(b)の少なくとも2層以上の積層構造物からなる材料であり、該外層材料(a)の可視領域の迷彩加工を施した偽装材料のブラック部が、赤外線波長領域のうち600nm以上760nm以下の反射率が10%以下であり、1000nm以上1200nm以下の反射率が20%以下であることを特徴とすることによって一挙に達成したものである。
【0015】
赤外線波長領域における反射率について説明する。自然環境の赤外線波長領域における反射率に、衣服の赤外線波長領域における反射率を近づけることが必要であり、通常、草花、濶葉樹の葉、針葉樹の葉、乾燥砂、湿潤砂、岩土の赤外線波長領域である600nm以上1200nm以下の反射率は、表1の通りであり、迷彩加工を施した偽装材料のライトグリーン部、ダークグリーン部、ブラウン部は、湿潤砂、岩土を除くものに相当するが、ブラック部と異なり、比較的、反射率が30%から60%の中間帯の波長領域であることから、技術的に安易であるが、外層材料(a)の可視領域の迷彩加工を施した偽装材料のブラック部は、自然環境に存在する湿潤砂、及び岩土に相当し、低い赤外線反射率であることから技術的に難しい。
【0016】
【表1】

【0017】
したがって、外層材料(a)の可視領域の迷彩加工を施した偽装材料のブラック部が赤外線波長領域のうち600nm以上760nm以下の反射率が10%以下であり、1000nm以上1200nm以下の反射率が20%以下である必要があり、さらに、赤外線吸収層(b)の赤外線波長領域の600nm以上1200nm以下の反射率が5%以下である。特に、赤外線吸収層(b)の赤外線波長領域の600nm以上1200nm以下の反射率が5%越える場合、自然環境と異なる赤外線波長領域における反射率となり、探知波長領域にもよるが、赤外線探知で発見される可能性が高く、偽装(迷彩)の意味がなくなってしまう。
【0018】
さらに、必要に応じて、赤外線吸収層(b)の外層材料(a)の反対側(肌側)に、赤外線領域のうち600nm以上1200nm以下の反射率が5%を超える構造体を配置することが出来るが、赤外線吸収層(b)が、赤外線反射層の赤外線反射を防ぐため、偽装効果を有することが出来る。
【0019】
赤外線探知法は、赤外フィルター法、赤外写真法、赤外夜間鏡法など各種の手法があり、さらに新しい探知方法が開発される可能性も高い。これらの探知方法はいずれも遠距離で、かつ、霧がかかっている場合や夜間などの場合にも有効に探知できるので、近年、広く使用されており、一般的に、600nm以上760nm以下、あるいは、1000nm以上1200nm以下の赤外線を使用して探知している。この赤外線領域の探知に対して防御するには、この赤外線領域の反射率を可視領域の色、模様などの変化とマッチさせて段階的に変化させた迷彩模様が必要となる。
【0020】
本発明に用いられる外層材料(a)について説明する。外層材料(a)の素材は、綿、毛、麻(リネン、ラミー)類等の天然繊維、レーヨン、キュプラ、ポリノジック、精製セルロース等の再生セルロース繊維、ポリエチレンテレフタレート、カチオン可染ポリエチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート等のポリエステル類、その他合成繊維(ポリアミド、アクリロニトリル、アセテート、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリウレタン、ポリイミド、フッ素、ポリベンザゾール、ポリ乳酸等)が挙げられる。単独、2者以上の均一混合(混紡、混繊)、群混合(交撚、精紡交撚)、2層構造、及び3層構造(シースコア、コアスパン)から成る織物、編物、及び不織布であっても構わないが、引張強さ、摩耗強さ等の機械的強さに優れた織物が好ましい。
【0021】
次に、外層材料(a)の2次加工について説明する。外層材料(a)は、必要に応じて、下晒加工、染色加工、仕上加工が施される。下晒加工は、必要に応じて、糊抜き加工、精錬加工、漂白加工、及びマーセライズ加工が施される。糊抜き加工は、織物の整経工程で織物についた糊を取り除くことを糊抜きと言い、酵素剤、酸化剤等を用いて水溶性にし、水洗によって取り除く。精錬加工は、無機精錬剤、界面活性剤を用いて、溶解、分解等の科学的な作用と、機械的な作用によって取り除く。漂白加工は、精錬で残った微量の色素を漂白剤の酸化、還元等の作用によって分解し、綿繊維を多く含有する場合、水酸化ナトリウム水溶液を用いて、緊張して処理し、綿の光沢の向上、防縮性の付与、染色性の向上等の目的として行う。マーセライズ加工は、綿繊維含有布帛を、アルカリ水溶液で処理する加工方法のことであり、シルクのような光沢感、防縮性の付与、染色性の向上等を目的として行う。機械の特長によって、加工された外層材料の特性が異なるので、アルカリ水溶液量、加工温度は、特に限定されない。
【0022】
次いで、染色加工について説明する。可視領域の迷彩加工における4色相(ライトグリーン色、ダークグリーン色、ブラウン色、及びブラック色)のうちブラック色が赤外線領域において低反射率を有する偽装材料を製造する技術について説明する。
【0023】
ライトグリーン色、ダークグリーン色、ブラウン色、及びブラック色の4色相の迷彩パターン(迷彩柄)を有する製造方法は、まず、染料で、ライトグリーン色に浸染染色し、ついで、顔料もしくは染料、及び捺染元糊で材料表面を、ダークグリーン色、ブラウン色、及びブラック色に捺染染色する。もし、捺染染色したブラック色の材料が脱落しても、ライトグリーン色に浸染染色された材料で偽装性能低下を防止することが出来る。
【0024】
ライトグリーン色、ダークグリーン色、及びブラウン色の色相、所定の赤外線反射率に設定する製造方法は、一般的に、Red系、Blue系、Yellow系、Green系、Brown系、Orange系等の3種類以上の色材が用いられる。最も一般的には、原色として、Red系、Blue系、Yellow系が用いられる3原色を用いて得られた染色物は、その配合比率によって特定の赤外線反射率を有することが出来る。しかし、ブラック色の赤外線反射率の設定は、ライトグリーン色、ダークグリーン色、ブラウン色の色相、赤外線反射率と異なり、一般的に1種類の色材が用いられる。最も、一般的な原色として、Black系が用いられる。また、必要に応じて、色彩を調整するために、Red系、Blue系、Yellow系、及び他のBlack系が併用することが出来るが、極めて微量である。
【0025】
ブラック色のBlack系の染料は、セルロース系、ビニロン系繊維が、反応染料、酸性染料、建染染料、硫化染料、好ましくは、建染染料、硫化染料、ポリエステル系繊維が、分散染料、羊毛、ポリアミド系繊維が、酸性染料、含金属染料、アクリロニトリル系(アクリル系)が、カチオン染料が用いられる。これらの染料は、これに捺染元糊を加えた水で練り込んで捺染染色することが出来る。また、カーボンブラックの固形物を固着することが出来る。また、必要に応じて、顔料と染料を併用することが出来るが、染料単独使用に比べて、顔料を使用すると、質量が大きくなり、また、着用時に移染し、他の衣服、付属品を汚染する可能性があるため、染料が使用されることが好ましいが、特に限定されない。
【0026】
ブラック色のBLACK系の顔料は、有機顔料、無機顔料が用いられ、特に、カーボンブラック系顔料、ペリレンブラック系顔料等を用いることが出来る。平均粒子経は、特に限定されないが、粒子経が小さいほど、繊維表面を被覆し、赤外線吸収性に優れた布帛を得ることが出来る。
【0027】
カーボンブラックは、ファーネス式不完全燃焼法、チャンネル式不完全燃焼法、熱分解法等の製造方法から得られることが知られているが、製造方法としては、特に限定されない。平均粒子経は、赤外線吸収層(b)の繊維表面への固着よる赤外線吸収剤の加工性を考慮すると、50nm以下、好ましくは100nm以下、さらに、好ましくは200nm以下である。
【0028】
顔料、カーボンブラック、有機炭化物等を繊維の表面に被覆する製造方法は、固着剤(バインダー、樹脂剤)が使用されるが、その固着剤には、アクリロニトリル(アクリル)系、ウレタン系、ポリエチレン系、ポリアミド(ナイロン)系が挙げられるが、単独使用でも良く、配合して使用することも可能である。また、必要に応じて、防炎性を有する固着剤を用いることが出来る。
【0029】
次いで、仕上加工について説明する。用途に応じて、柔軟加工、防水加工、撥水・撥油加工、抗菌・防臭加工、吸水・吸汗加工、抗ピル加工、光反射加工、防汚加工、防炎加工等の機能加工が施すことが可能である。
【0030】
代表的な仕上加工剤は、ポリウレタン系樹脂、アクリル系樹脂、シリコン系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂、及びポリエチレン系樹脂等を挙げることが出来るが、単独使用でも良く、配合して使用することも可能である。
【0031】
次に、外層材料(a)の裏側に配置する赤外線吸収層(b)について説明する。
【0032】
本発明に用いられる赤外線吸収層(b)は、赤外線波長領域の600nm以上1200nm以下の反射率が5%以下である。赤外線波長領域の600nm以上1200nm以下の反射率が5%を超える場合、外層材料(a)、赤外線吸収層(b)の少なくとも2層以上の積層構造物からなる材料の前記外層材料(a)の迷彩加工を施した偽装材料のブラック部が、赤外線波長領域のうち600nm以上760nm以下の反射率が10%超えて、1000nm以上1200nm以下の反射率が20%超えるため、偽装効果を有することが出来ない。
【0033】
本発明に用いられる赤外線吸収層(b)は、繊維構造物、もしくは、樹脂層(フィルム、膜)が挙げられる。
【0034】
繊維構造物の素材は、綿、毛、麻(リネン、ラミー)類等の天然繊維、レーヨン、キュプラ、ポリノジック、精製セルロース等の再生セルロース繊維、ポリエチレンテレフタレート、カチオン可染ポリエチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート等のポリエステル類、その他合成繊維(ポリアミド、ポリアミド、アクリロニトリル、ポリウレタン、アセテート、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリイミド、フッ素、ポリベンザゾール、ポリ乳酸等)が挙げられる。単独、2者以上の均一混合(混紡、混繊)、群混合(交撚、精紡交撚)、及び2層構造並び多層構造(シースコア、コアスパン)から成る織物、編物、及び不織布であっても構わない。また、外層材料(a)が保護層(防護層)となっているため、特に限定されない。
【0035】
また、繊維構造物の繊維径は、特に限定されないが、赤外線波長領域の600nm以上1200nm以下で吸収を示す赤外線吸収剤の加工性を考慮して、30nm以上、さらに好ましくは50nm以上である。さらに、繊維構造物の質量は、特に限定されないが、赤外線吸収を有する繊維構造物が密であり、30g/m以上、さらに好ましくは50g/m以上である。
【0036】
樹脂層(フィルム、膜)の素材は、ポリエステル、ポリアミド、アクリル、ポリウレタン
等の合成樹脂、セルロース、レーヨン、トリアセテート等の再生もしくは半合成樹脂、生分解性樹脂等が挙げられる。
【0037】
また、樹脂層(フィルム、膜)の厚さは、特に限定されないが、以下に示す赤外線波長領域の600nm以上1200nm以下で吸収を示す赤外線吸収剤の生産性を考慮し、5μm以上、さらに好ましくは10μm以上、より好ましくは、20μm以上であり、前記の厚さ以下の場合、赤外線吸収剤を固着、若しくは練りこんだ場合、脱落する。
【0038】
本発明に用いられる赤外線吸収層(b)の素材が、赤外線波長領域の600nm以上1200nm以下で吸収を示さない層(以下、赤外線反射層)である場合、赤外線吸収剤を使用することが出来る。
【0039】
赤外線吸収剤は、赤外線波長領域の600nm以上1200nm以下で吸収を示す物質であり、前記に記載するカーボンブラック、ブラック色のBlack系の顔料、染料を単独、若しくは併用した物質が挙げられる。
【0040】
本発明においては、例えば、赤外線吸収剤が練り込み可能な繊維に練り込まれ、当該繊維が成形物を構成している態様1と、赤外線吸収剤が樹脂(例えば、バインダー樹脂等)を介して繊維に固着されている態様2がある。
【0041】
本発明における繊維や樹脂層(フィルム、膜)を形成する樹脂が、赤外線吸収剤の練り込みが可能である樹脂の場合、態様1が有効である。このようなカーボンブラック等の赤外線吸収剤が練り込み可能な樹脂としては、ポリエステル、ポリアミド、アクリル、ポリウレタン等の合成樹脂、レーヨン、トリアセテート等の再生もしくは半合成樹脂、生分解性樹脂等が挙げられる。このような赤外線吸収剤が練り込まれた樹脂を用いることにより、本発明の赤外線吸収層(b)が得られる。
【0042】
また、本発明の成形物の素材に赤外線吸収剤の練り込みが不可能である場合、態様2が有効である。赤外線吸収剤の練り込みが不可能な素材としては、例えば、綿、麻、羊毛、絹等の天然繊維等が挙げられる。当該素材を繊維、樹脂層(フィルム、膜)または繊維構造物に加工した後、樹脂(例えば、バインダー樹脂等)を介して、赤外線吸収剤を固着させることにより、本発明の赤外線吸収層(b)が得られる。
【0043】
態様1において、赤外線吸収剤の繊維、樹脂層への練り込みは当該分野で公知の手段により行うことが出来る。例えば、赤外線吸収剤を繊維に練り込む方法としては、赤外線吸収剤を公知手段で練り込んだ樹脂を、湿式紡糸、乾式紡糸等の従来公知の方法で繊維、樹脂層に加工する方法が挙げられる。
【0044】
態様2において、赤外線吸収剤を固着させることが出来る限り、特に、限定されないが、例えば、ポリウレタン系架橋型樹脂、アクリル系架橋型樹脂(例えば、自己架橋型アクリル酸エステル系バインダー樹脂等)、シリコン系架橋型樹脂、エポキシ系架橋型樹脂、ポリアミド系架橋型樹脂、ポリエステル系架橋型樹脂(例えば、バインダー樹脂)等が挙げられ、これらは単独で使用しても2種以上組み合わせて使用してもよい。これらの中でも、洗濯耐久性の固着効果を有するもの、特に耐熱性および洗濯耐久性の両方を兼ね備えている点から、シリコン系架橋型樹脂、もしくは自己架橋型アクリル酸エステル系樹脂(バインダー)が好ましい。
【0045】
赤外線吸収剤を成形物に固着させる方法としては、赤外線吸収剤を保有する加工液を、パディング法、含浸法、スプレー法、コーティング法等の方法により付与し、次いで乾燥、キュアリングする方法が挙げられる。乾燥は、約80℃以上200℃以下で30sec以上60min以下、特に約95℃以上120℃以下で、1min以上30min以下で実施することが望ましい。また、乾燥後には、強固に固着させるためにキュアリングを実施することが望ましい。キュアリングは約130℃以上180℃以下で、30sec以上10min以下で実施することが好ましい。
【0046】
上記加工樹脂中には、柔軟剤、風合い調整剤、触媒、pH調整剤、機能加工剤、増粘剤等を配合してもよく、これらはそれぞれ用途に応じて単独で使用しても2種以上併用してもよい。
【0047】
上記機能加工剤は、消臭剤、抗菌防臭剤、防汚剤、防虫剤、防黴剤、紫外線吸収剤、撥水・撥油剤等が挙げられる。これらはそれぞれ用途に応じて単独で使用しても2種以上併用してもよい。
【0048】
さらに、赤外線吸収層(b)の素材は、粒子状活性炭(粒状活性炭)、及び/または繊維状活性炭が挙げられる。
【0049】
例えば、繊維状活性炭の原料は、綿、麻といった天然セルロース繊維の他、レーヨン、ポリノジック、溶剤紡糸法によるといった再生セルロース繊維、さらにはポリビニルアルコール繊維、アクリル系繊維、芳香族ポリアミド繊維、リグニン繊維、フェノール繊維、石油ピッチ繊維等の合成繊維が挙げられるが、得られる繊維状活性炭の物性(強度等)や吸着性能から再生セルロース繊維、フェノール系繊維、アクリル系繊維が好ましい。これらの原料繊維の短繊維あるいは長繊維を用いて製織、製編、不織布化した布帛を必要に応じて適当な耐炎化剤を含有させた後、450℃以下の温度で耐炎化処理を施し、次いで500℃以上1000℃以下の温度で炭化賦活する公知の方法によって繊維状活性炭を製造することができる。
【0050】
繊維状活性炭をシート化する方法は、シート基材にガス吸着性物質をバインダーにより接着する方法、あるいは吸着剤を適当なパルプおよびバインダーを含めスラリー状とし、湿式抄紙機により抄造する方法、あるいは活性炭素繊維の原料繊維をあらかじめ製織、製編、不織布化し、必要に応じて耐炎化処理したのち炭化・賦活する公知の方法により吸着シートを得ることが出来る。
【0051】
繊維状活性炭シートの形態は、織物状、編物状、不織布状、フェルト状、紙状、フィルム状などあげられるが、防護衣着用時の運動作業性、身体へのフィット性、柔軟性、耐久性、積層の容易性から織物状、編物状であることが好ましい。
【0052】
また、粒子状活性炭(粒状活性炭)は、通常1gあたり数100m或いはそれ以上の大きな比表面積を有し、高い吸着性を示す炭素材料であれば広範囲に使用できる。活性炭の原料は、通常ヤシ殻または木材等の炭化物或いは石炭が使用されその何れでもよい。しかし、偽装材料及び偽装衣服の繊維組織の内部に担持されて使用される場合には、使用中に活性炭粒子相互の摩擦により微粒子が発生する場合があり、その様な場合は、使用者の肌が黒くなって好ましくない。このため活性炭粒子相互の摩擦による微粒子の発生を防ぐためには活性炭の硬度が高いものが好ましく、硬度が高い活性炭が得られるヤシ殻炭化物を賦活したものが適している。
【0053】
また、賦活法も水蒸気或いは二酸化炭素により高温でまたは塩化亜鉛、リン酸、濃硫酸処理等いずれの方法により得られたものでもよい。尚、本発明に使用する活性炭は直接手の皮膚と接触することもあるため、炭素材料の賦活後は酸処理・水洗等により精製することが好ましい。特に塩化亜鉛、リン酸、濃硫酸等の化学薬品を使用して賦活した場合には、処理後充分水洗して薬品を除去する必要がある。
【0054】
粒子状活性炭(粒状活性炭)シートの形態は、シート状の繊維組織の内部に担持して使用するため粉末状である必要がある。その粒度は活性炭粉末を担持させた織物状、編物状、不織布状、フェルト状、紙状、及びフィルム状を屈伸、伸縮させた場合の粉末粒子相互の摩擦による微粒子の発生、手及び指への接触感がソフトタッチであることが好ましいので、粒度は細かいことが好ましく例えば、350メッシュパス98%以上ぐらいの微粒子がより好ましい。また、粒度が細かいことは着用した場合の接触感が優れていることの他に、重量当たりの表面積が大きくなるため化学薬品或いは農薬等の吸着速度が高くなるメリットもある。
【0055】
活性炭は高い比表面積による無極性吸着剤として極めて優れた吸着性を有する特異な物質で、殆どすべてのガス状或いは液状物質に対して高い吸着性を示す。このため、衛生上有害な化学薬品或いは農薬等の成分の吸着・除去性に優れている。
【0056】
また、これらの有害成分の除去効果を高めるためには担持量を大きくすることが好ましいが、担持量を高めると編み物または不織布等の屈伸性が低下して手や指との接触感が硬くなる。使用量を少なくして効果を高めるにも表面積が大きいすなわち粒度が細かい微粉末が好ましく、また微粒子は繊維組織に均一に担持させ易いメリットもある。
【0057】
外層材料(a)、赤外線吸収層(b)との積層は、接着法、キルティング法の単独、併用どちらでも構わない。また、赤外線吸収層(b)の肌側(外層材料(a)の反対側)に赤外線反射層を積層する場合も同様に、接着、キルティングの単独、併用のどちらでも構わない。
【0058】
接着法に用いる接着剤は、ウレタン系、ビニルアルコール系、エステル系、エポキシ系、塩ビ系、オレフィン系など挙げられるが、積層による透湿性の低下を抑制するためには透湿性の接着剤であるウレタン系、ビニルアルコール系、エステル系が好ましく、必要に応じて、赤外線吸収剤を添加しても構わない。
【0059】
キルティング法に用いるキルティング糸は、綿、毛、麻(リネン、ラミー)類等の天然繊維、レーヨン、キュプラ、ポリノジック、精製セルロース等の再生セルロース繊維、ポリエチレンテレフタレート、カチオン可染ポリエチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート等のポリエステル類、その他合成繊維(ポリアミド、ポリアミド、アクリロニトリル、ポリウレタン、アセテート、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリイミド、フッ素、ポリベンザゾール、ポリ乳酸等)が挙げられる。単独、2者以上の均一混合(混紡、混繊)、群混合(交撚、精紡交撚)、及び2層構造並び多層構造(シースコア、コアスパン)から成る紡績糸、もしくは、フィラメント糸が挙げられるが、特に限定されないが、赤外線吸収性を考慮して、出来るだけ最小量であることが好ましいが、多量に使用する場合、必要に応じて、キルティング糸に赤外線吸収剤を封入することが出来る。
【実施例】
【0060】
次に、実施例及び比較例を用いて、本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例によって制限されるものではない。尚、実施例、比較例に記載する評価は以下に示す方法である。
【0061】
(番手)
JIS L−1096(1999) 8.8 による。
【0062】
(厚さ)
JIS L−1096(1999) 8.5 による。
【0063】
(質量)
JIS L−1096(1999) 8.4 による。
【0064】
(混用率)
JIS L−1030−1(1998) 及び JIS L−1030−2(2005) による。
【0065】
(密度)
JIS L−1096(1999) 8.6 による。
【0066】
(赤外線反射率)
UV−3101(島津製作所社製) による。
【0067】
外層材料(a)の製造方法:
スーピマ綿(東洋紡績株式会社製)95%とナイロンフィラメント8T−5F(タイプT−880;東洋紡績株式会社製)5%を混繊した複合紡績糸40/1綿番手を用いて、エアジェット織機を用いて製織し、2/1綾織物を得た。次いで、常法で、毛焼、糊抜、精錬、漂白、シルケット加工を施した。さらに、ライトグリーン色の浸染染色加工を以下の表2に示す条件で行い、パッドケミカルスチーム処理、酸化、ソーピング、湯洗を行い、発色を行った。
【0068】
【表2】

【0069】
次いで、フラットスクリーンによる捺染染色加工を以下の表3に示す条件で行い、水洗を行った。
【0070】
【表3】

【0071】
次いで、染色処理された織物を、N−メチロールジメチルホスホノプロピオン酸アミドを有効成分とする(Pyrovatex CP new、Ciba Specialty Chemicals K.K.)40%、塩化アンモニウム0.5%を含む水溶液に浸漬し、さらに、メイカテックスHP600(明成化学社製)30g/Lを含む水溶液に浸漬し、ウエットピックアップが65%になるように絞り、乾燥・熱処理し、たて密度が140本/2.54cm、よこ密度が110本/2.54cm、質量が170g/mの外層材料(a)の織物を得た。
【0072】
黒原着ポリエステル織物の製造方法:
テトロン黒原着糸の55dtex−24F(帝人株式会社製)を用いて、ウオータージェット織機を用いて製織し、平織物を得た。次いで、常法で、精錬加工、ヒートセットを施し、たて密度が180本/2.54cm、よこ密度が112本/2.54cm、質量が70g/m2の黒原着ポリエステル織物を得た。
【0073】
活性炭シートの製造方法:
単繊維繊度が2.2dtex、20/1綿番手のノボラック系フェノール樹脂繊維紡績糸からなる質量220g/mの編物を400℃の不活性雰囲気中で30分間加熱し、次に890℃まで20分間、不活性雰囲気中で加熱し炭化を進行させ、次に水蒸気を12重量%含有する雰囲気中、890℃の温度で2時間加熱賦活し、質量が125g/m、比表面積が140m/g、厚さが0.80mmの活性炭シートを得た。
【0074】
黒原着ポリウレタン膜の製造方法:
ポリウレタンを主成分とする樹脂層(東洋紡製)に、カーボンブラック(平均粒子経 40nm)35重量%を均一に練りこみ、厚さが50μm、質量が60g/mの黒原着ポリウレタン透湿膜を得た。
【0075】
ポリエステル織物の製造方法:
レギュラーポリエステル糸である55dtex−24フィラメント(東洋紡績株式会社製)を用いて、ウオータージェット織機を用いて製織し、平織物を得た。次いで、常法で、精錬加工、ヒートセットを施し、たて密度が181本/2.54cm、よこ密度が111本/2.54cm、質量が72g/mのポリエステル織物を得た。
【0076】
[実施例1]
外気側から、外層材料(a)、黒原着ポリエステル織物を積層した偽装材料を得た。得られた偽装材料、赤外線吸収層(b)は、表4に記載の赤外線反射率を示した。
【0077】
[実施例2]
外気側から、外層材料(a)、活性炭シート(繊維状活性炭編物)を積層した偽装材料を得た。得られた偽装材料、赤外線吸収層(b)は、表4に記載の赤外線反射率を示した。
【0078】
[実施例3]
外気側から、外層材料(a)、活性炭シート(繊維状活性炭編物)、ポリエステル織物を積層した偽装材料を得た。得られた偽装材料、赤外線吸収層(b)は、表4に記載の赤外線反射率を示した。
【0079】
[実施例4]
外気側から、外層材料(a)、活性炭シート(繊維状活性炭編物)、ポリエステル織物を積層した偽装材料を得た。得られた偽装材料、赤外線吸収層(b)は、表4に記載の赤外線反射率を示した。
【0080】
[比較例1]
外気側から、外層材料(a)、ポリエステル織物を積層した材料を得た。得られた材料、赤外線吸収層(b)は、表4に記載の赤外線反射率を示した。
【0081】
【表4】

【0082】
実施例は、偽装性に優れている材料であるが、比較例は、偽装性を満足する材料を有することが出来なかった。
【産業上の利用可能性】
【0083】
本発明は、外層材料(a)、赤外線吸収層(b)の少なくとも2層以上の積層構造物からなる材料であり、該外層材料(a)の可視領域の迷彩加工を施した偽装材料のブラック部が、赤外線波長領域のうち600nm以上760nm以下の反射率が10%以下であり、1000nm以上1200nm以下の反射率が20%以下であることを特徴とし、偽装迷彩効果を有する偽装材料を用いることによって、優れた偽装性を得ることが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0084】
【図1】図1は、本発明の一例を示す概略断面図である。
【図2】図2は、本発明の一例を示す概略断面図である。
【図3】図3は、本発明の一例を示す概略断面図である。
【図4】図4は、本発明の一例を示す概略断面図である。
【符号の説明】
【0085】
1:外層材料(a)
2:赤外線吸収層(b)
3:赤外線反射層


【特許請求の範囲】
【請求項1】
外層材料(a)、赤外線吸収層(b)の少なくとも2層以上の積層構造物からなる材料であり、該外層材料(a)の可視領域の迷彩加工を施した偽装材料のブラック部が、赤外線波長領域のうち600nm以上760nm以下の反射率が10%以下であり、1000nm以上1200nm以下の反射率が20%以下である偽装効果を有する偽装材料。
【請求項2】
前記赤外線吸収層(b)の赤外線波長領域の600nm以上1200nm以下の反射率が5%以下である請求項1に記載の偽装材料。
【請求項3】
前記赤外線吸収層(b)が、少なくとも該外層材料(a)側に、赤外線波長領域の600nm以上1200nm以下で吸収を示す物質を含有する、繊維構造体及び/または活性炭シートである請求項1〜2のいずれかに記載の偽装材料。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2008−190814(P2008−190814A)
【公開日】平成20年8月21日(2008.8.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−27537(P2007−27537)
【出願日】平成19年2月7日(2007.2.7)
【出願人】(000003160)東洋紡績株式会社 (3,622)
【Fターム(参考)】