説明

偽造防止印刷物

【課題】セキュリティ施策を講じた形跡を残さず、かつ、印刷のコストアップをさせることがない偽造防止印刷物を提供する。
【解決手段】偽造防止印刷物10は、基材11と、基材11上に設けられた有色パターン印刷層12とを有する印刷物であって、有色パターン印刷層12には、赤外線で励起されて目視可能に蛍光発光する赤外線励起可視光蛍光発光材料と、赤外線及び蛍光発光する可視光を透過させる透過性有色材料とが、所定の割合で含有されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、セキュリティ性を有する偽造防止印刷物に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、不可視である赤外線励起蛍光発光印刷パターンを2色以上のインキで隠蔽し、視覚的に赤外蛍光印刷パターンの存在を認識できなくするという潜像形成部材を開示している。
赤外蛍光印刷パターンに複数のインキを重ねて印刷すれば、除々に赤外蛍光印刷パターンの存在は見えにくくなるが、どんなに色数を重ねたとしても、やはりよく見るとその存在は判ってしまう。また、色数を重ねれば重ねるほど、赤外蛍光印刷パターンの蛍光発光輝度や真贋判定機の読取り率は低下してしまい、印刷工数も増えるため、印刷のコストアップにつながる可能性があった。
【特許文献1】特開平6−234289号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の課題は、セキュリティ施策を講じた形跡を残さず、かつ、印刷のコストアップをさせることがない偽造防止印刷物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、以下のような解決手段により、前記課題を解決する。なお、理解を容易にするために、本発明の実施例に対応する符号を付して説明するが、これに限定されるものではない。
請求項1の発明は、基材(11)と、前記基材(11)上に設けられた有色パターン印刷層(12)とを有する偽造防止印刷物であって、前記有色パターン印刷層(12)には、赤外線及び/又は紫外線に反応する不可視のセキュリティ材料が含有されていること、を特徴とする偽造防止印刷物である。
請求項2の発明は、請求項1に記載の偽造防止印刷物において、前記セキュリティ材料は、赤外線に反応する材料であること、を特徴とする偽造防止印刷物である。
請求項3の発明は、請求項1又は請求項2に記載の偽造防止印刷物において、前記セキュリティ材料は、赤外線で励起されて目視可能に蛍光発光する赤外線励起可視光蛍光発光材料であること、を特徴とする偽造防止印刷物である。
請求項4の発明は、請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載の偽造防止印刷物において、前記有色パターン印刷層(12)には、赤外線及び/又は蛍光発光する可視光を透過させる透過性有色材料が含有されていること、を特徴とする偽造防止印刷物である。
請求項5の発明は、請求項1から請求項4までのいずれか1項に記載の偽造防止印刷物において、前記有色パターン印刷層(12)は、前記セキュリティ材料を混入した第1の有色インキ層(A1,A3,A5)と、前記第1の有色インキ層(A1,A3,A5)と略同色であって、前記セキュリティ材料を混入していない第2の有色インキ層(A2,A4)との組み合わせにより印刷パターンが形成されていること、を特徴とする偽造防止印刷物である。
請求項6の発明は、請求項1から請求項4までのいずれか1項に記載の偽造防止印刷物において、前記有色パターン印刷層(12−2,12−4)は、機械読取可能なコードであること、を特徴とする偽造防止印刷物である。
請求項7の発明は、請求項6に記載の偽造防止印刷物において、前記機械読取可能なコード(12−4)は、前記セキュリティ材料を混入した第1の有色インキ層(B1,B3)と、前記第1の有色インキ層(B1,B3)と略同色であって、前記セキュリティ材料を混入していない第2の有色インキ層(B2,B4)との組み合わせにより2種のコードパターンが形成されていること、を特徴とする偽造防止印刷物である。
請求項8の発明は、請求項1から請求項7までのいずれか1項に記載の偽造防止印刷物において、前記基材(11)は、感熱により自己発色する感熱自己発色基材であること、を特徴とする偽造防止印刷物である。
請求項9の発明は、請求項8に記載の偽造防止印刷物において、前記有色パターン印刷層(12)は、前記感熱自己発色基材の感熱面とは逆の面に設けられていること、を特徴とする偽造防止印刷物である。
請求項10の発明は、請求項9に記載の偽造防止印刷物において、前記感熱面とは逆の面に設けられている有色パターン印刷層(12)は、機械読取可能なコードであり、前記感熱面には、前記機械読取可能なコードの情報と関連付けられた関連情報が設けられていること、を特徴とする偽造防止印刷物である。
【発明の効果】
【0005】
本発明によれば、以下のような効果がある。
(1)目視できる有色パターン印刷層に不可視のセキュリティ材料を含有させておくことで、セキュリティの存在を隠すことができるため、偽造防止性に優れた印刷物を提供することができる。また、パターン印刷層は、有色であるため、製造現場では、印刷濃度や印刷精度の管理を従来の印刷インキと同様の方法で行うことができ、印刷のコストアップをさせることがない。
(2)セキュリティ材料を赤外線反応型とすることで、真贋判定機の光源をLEDなどとすることができ、紫外線反応型のものよりも、真贋判定機の低コスト化が図れる。
(3)セキュリティ材料を蛍光発光型とすることで、吸収型のものよりも真贋の判定が行いやすくなり、セキュリティ性を向上させることができる。
(4)有色パターン印刷層に、赤外線及び/又は蛍光発光する可視光を透過させる透過性有色材料を含有させることで、透過性有色材料を印刷インキ中に混合しても、真贋判定機の光源からの赤外線及び/又は蛍光発光する可視光は吸収されないため、発光輝度や発光効率の低下を防止することができる。
(5)セキュリティ材料を混入した有色インキ層と、セキュリティ材料を混入していない同色の有色インキ層とを組み合わせて印刷パターンを形成することにより、セキュリティの有無を悟られにくくなり、偽造防止効果をより向上させることができる。
(6)有色パターン印刷層を機械読取可能なコードとすることで、セキュリティ材料の有無によって真贋判定を行うだけでなく、製品コードなどの情報も含ませることができる。また、コードに対するセキュリティ性や信頼性も向上させることができる。
(7)セキュリティ材料を混入した有色インキ層と、セキュリティ材料を混入していない同色の有色インキ層とを組み合わせて2種のコードパターンを形成することで、一見して1つのコードに見える部分から、2種のコードパターンを読取ることができるようになり、セキュリティ性を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
本発明は、セキュリティ施策を講じた形跡を残さず、かつ、印刷のコストアップをさせることがない偽造防止印刷物を提供するという目的を、有色パターン印刷層に赤外線で励起されて目視可能に蛍光発光する材料を含有させることにより実現する。
【実施例1】
【0007】
以下、図面等を参照して、本発明の実施例について、さらに詳しく説明する。
図1は、本発明による偽造防止印刷物の実施例1を示す図であって、図1(A)は、平面図であり、図1(B)は、B−B断面図である。
実施例1の偽造防止印刷物10は、商品券を例にしたものであり、「商品券」「¥1000」「ABC株式会社」などの表示部11aを有する基材11と、オフセット、グラビア、スクリーン、熱転写、活版などの印刷方式によって、基材11上に設けられた有色パターン印刷層12とを有する。
有色パターン印刷層12には、赤外線に反応する不可視のセキュリティ材料(セキュリティインキ)と、赤外線及び蛍光発光する可視光を透過させる透過性有色材料とが含有されている。
セキュリティ材料は、赤外線で励起されて目視可能に蛍光発光する赤外線励起可視光蛍光発光材料である。なお、セキュリティ材料は、赤外線励起赤外蛍光発光材料、赤外線吸収材料などであってもよい。
【0008】
ここで、上述した各種材料について詳細に説明する。
(赤外線励起可視光蛍光発光材料、赤外線励起赤外蛍光発光材料)
蛍光発色剤としては、赤外線発光蛍光剤と紫外線発光蛍光剤が挙げられる。赤外線発光蛍光剤は、赤外光で励起し、可視光に発光する赤外可視変換蛍光剤と、赤外光(800nm)で励起し、より長波長(980〜1020nm)に発光するものがある。
前者の赤外可視変換蛍光剤は、非常に特殊な励起機構を有する蛍光体であり、エネルギーの小さな赤外線の光子を複数個用いることによって可視発光の励起を行う。赤外可視変換蛍光剤には、2つのタイプがあり、一方は付活剤イオンの中の多段階の励起によって、他方は増感剤からの複数回の共鳴エネルギー伝達によって、それぞれ高い励起が可能になる。先のタイプは、Er3+やHo3+を付活剤とする多くの母体結晶で観測され、後のタイプは、増感剤Yb3+が赤外線を吸収し、多段階のエネルギー伝達によって発光中心のEr3+、Tm3+、Ho3+などを高い凖位に励起するものであり、例えば、YF3 :Yb+Er、YF3 :Yb+Tm、BaFCl:Yb+Erなどが使用可能である。なお、蛍光剤は、通常その組成によって表記するものであるが、ここでは、主成分である母体結晶とその中に分散した付活剤又は発光中心に分け、(:)で繋ぐ式で示した。例えば、ZnS:Mnは、母体結晶がZnS、付活剤がMnであることを示す。
また、赤外光(800nm)で励起し、より長波長(980〜1020nm)に発光する後者の例としては、例えば、LiNd0.9 Yb0.1 P4 O12,LiBi0.2 Nd0.7 Yb0.1 P4 O12,Nd0.9 Yb0.1 Nd5 (MoO4 )4 ,NaNd0.9 Yb0.1 P4 O12,Nd0.8 Yb0.2 Na5 (WO4 )4 ,Nd0.8 Yb0.2 Na5 (Mo0.5 W0.5 O4 )4 ,Ce0.05Gd0.05Nd0.75Yb0.15Na5 (W0.7 Mo0.3 O4 )4 ,Nd0.9 Yb0.1 Al3 (BO3 )4 ,Nd0.9Yb0.1 Al2.7 Cr0.3 (BO3 )4 ,Nd0.6 Yb0.4 P5 O14,Nd0.8Yb0.2 K3 (PO4 )2 などが使用できる。
【0009】
(赤外線吸収材料)
赤外線吸収材料は、赤外線を吸収する物質であって、赤外吸収性顔料と赤外吸収性染料に大別することができる。可視光をほとんどあるいは全く吸収しない無色の赤外吸収性顔料と、可視領域にある程度の吸収帯を持つ有色の赤外吸収性顔料とに大別できるが、無色のものは高価であるという理由と、有色のものでも赤外吸収により形成する画像パターンの隠蔽性は優れているという理由から、製造コストを低減させるためには、有色の赤外吸収性顔料を用いることが好ましい。
赤外吸収性顔料としては、鉄、銅、クロム、コバルト、ニッケルなどの遷移金属化合物及び錯体を用いることができ、例えば、鉄錯体(鉄フェリシアン化錯体)であるミロリーブルー顔料を用いることが好ましい。また、上記の化合物を単独で使用するほか、2種以上を混合して使用することもできる。
また、赤外吸収性染料としては、ポリメチン系(シアニン色素)、フタロシアニン系、ナフトキノン系、アントラキノン系、ジチオール系、トリフェニルメタン系などの色素を用いることができる。
耐光性(赤外線に対する褪色性)などの点においては、赤外吸収性染料よりも赤外吸収性顔料の方が優れており、上記の金属顔料などの無機物を使用することが好ましい。
【0010】
(透過性有色材料)
一方、透過性有色材料は、例えば、赤外透過性着色インキなどであり、以下に、赤外透過性着色インキに用いられる赤外透過性顔料の具体例を挙げるが、これらの赤外透過性顔料としては、赤外領域に吸収帯がなければよく、通常のシアン、マゼンタ、イエロー及びブラックなどのプロセスインキを用いることができる。以下の具体例において、顔料名の後の括弧には、C.I.Pigment(Color Index Pigment )の分類を示す。
上記の赤外透過性着色顔料のうち、イエロー色の顔料としては、例えば、以下のものを用いることができる。ファストイエローG(Yellow-1)、ファストイエロー10G(Yellow-3)、ジスアゾイエローAAA(Yellow-12 )、ジスアゾイエローAAMX(Yellow-13)、ジスアゾイエローAAOT(Yellow-14 )、ジスアゾイエローAAOA(Yellow-17 )、ジスアゾイエローHR(Yellow-83 )。
上記の赤外透過性着色顔料のうち、マゼンタ色の顔料としては、例えば、以下のものを用いることができる。トルイジンレッド(Red-3 )、塩素化バラレッド(Red-4 )、ナフトールカーミンFB(Red-5 )、ナフトールレッドM(Red-17)、ブリリアントファストスカーレッド(Red-22)、ナフトールレッド(Red-23)、ピラゾロンレッド(Red-38)、バリウムレッド2B(Red-48:1)、カルシウムレッド2B(Red-48:2)、ストロンチウムレッド(Red-48:3)、マンガンレッド(Red-48:4)、バリウムリソールレッド(Red-49:1)、レーキレッドC(Red-53:1)、ブリリアントカーミン6B(Red-57:1)、ピグメントスカーレッド3Bレーキ(Red-60:1)、レーキボルドー10B(Red-63:1)、アンソシン3Bレーキ(Red-66)、アンソシン5Bレーキ(Red-67)、ローダミン6Gレーキ(Red-81)、エオシンレーキ(Red-90)、ナフトールレッドFGR(Red-112 )。
上記の赤外透過性着色顔料のうち、シアン色の顔料としては、例えば、以下のものを用いることができる。ビクトリアピュアブルーBOレーキ(Blue-1)、ベーシックブルー5Bレーキ(Blue-3)、ベーシックブルー6Gレーキ(Blue-9)、フタロシアニンブルー(α型、不安定形)(Blue-15:1 )、フタロシアニンブルー(β型、非結晶形)(Blue-15:3 )、フタロシアニンブルー(β型、非結晶、非集合形)(Blue-15:4 )、ファストスカイブルー(Blue-17:1 )、アルカリブルーGトナー(Blue-18 )、アルカリブルーRトナー(Blue-19 )、ピーコックブルーレーキ(Blue-24 )、レフレックスブルー2G(Blue-56 )、レフレックスブルーR(Blue-61 )。
上記の赤外透過性着色顔料のうち、ブラック色の顔料としては、例えば、以下のものを用いることができる。フォーマット墨(イエロー、マゼンタ、シアン顔料の混合顔料)、アニリンブラック(Black-1 )。なお、ブラック色の顔料は、可視光を吸収するので、可視蛍光発光材料には使用不可であるが、赤外蛍光発光材料には使用可能である。
上記の赤外透過性着色顔料のうち、白色の顔料(体質顔料)としては、例えば、以下のものを用いることができる。亜鉛華(White-4 )、酸化チタン(White-6)、炭酸カルシウム(White-18)、クレー(White-19)、硫酸バリウム(White-21)、アルミナホワイト(White-24)。
【0011】
有色パターン印刷層12に使用する印刷インキ中のセキュリティ材料の含有率は、10〜30%程度が好ましい。この理由は、含有率が10%よりも少ないと機能性が低下し、含有率が30%よりも多いと印刷適正が低下するからである。
また、印刷インキ中の透過性有色材料の含有率は、0.5〜20%程度が好ましい。この理由は、含有率が0.5%よりも少ないと印刷管理が難しく、含有率が20%よりも多いと赤外線反応材料の混入量が低下(印刷適正に影響)するからである。
【0012】
このように、実施例1によれば、セキュリティ材料と透過性有色材料とを混合した印刷インキを用いて有色パターン印刷層12を形成し、赤外線に反応するセキュリティ材料が不可視であっても、微妙な凹凸により印刷パターンが判ることを利用することで、パターンの存在は判っても、セキュリティ施策を講じた形跡は隠し込めるため、偽造防止性を向上させることができる。
また、有色パターン印刷層12は、有色であるため、製造現場では、従来通りに印刷濃度や印刷精度を管理することができる。
さらに、セキュリティ材料を赤外線反応型とすることで、真贋判定機の光源をLEDなどとすることができ、紫外線反応型のものよりも、真贋判定機の低コスト化が図れる。
さらにまた、セキュリティ材料を蛍光発光型とすることで、吸収型のものよりも真贋の判定が行いやすくなり、セキュリティ性を向上させることができる。
一方、有色パターン印刷層12に、赤外線及び蛍光発光する可視光を透過させる透過性有色材料を含有させることで、透過性有色材料を印刷インキ中に混合しても、真贋判定機の光源からの赤外線及び蛍光発光する可視光は吸収されないため、発光輝度や発光効率の低下を防止することができる。
【実施例2】
【0013】
図2は、本発明による偽造防止印刷物の実施例2を示す図である。
なお、前述した実施例1と同様な機能を果たす部分には、同一の符号又は末尾に統一した符号を付して、重複する説明や図面を適宜省略する。
実施例2の偽造防止印刷物10−2は、有色パターン印刷層12−2が機械読取可能なバーコードとなっている。なお、図中では、有色パターン印刷層12−2は、4本のバーで表示しているが、実際には、多数のバーによって構成されている。
【0014】
このように、実施例2によれば、有色パターン印刷層12−2を機械読取可能なバーコードとすることで、セキュリティ材料の有無によって真贋判定を行うだけでなく、製品種、製造番号、製造年月日などといった製品コードの情報も含ませることができる。また、コードに対するセキュリティ性や信頼性も向上させることができる。
【実施例3】
【0015】
図3は、本発明による偽造防止印刷物の実施例3を示す図である。
実施例3の偽造防止印刷物10−3は、有色パターン印刷層12−3によって、表示部11aの一部の「¥1000」の文字列が表示されているものである。そして、「¥1000」の文字列は、領域A1:「¥」、領域A2:「1」、領域A3:「0」、領域A4:「0」、領域A5:「0」の5つの領域に分割されている。
領域A1,A3,A5の有色パターン印刷層12−3は、セキュリティ材料を混入した第1の有色インキ層によって形成されている。
一方、領域A2,A4の有色パターン印刷層12−3は、第1の有色インキ層と略同色であって、セキュリティ材料を混入していない第2の有色インキ層によって形成されている。
したがって、領域A1,A3,A5と、領域A2,A4との組み合わせにより「¥1000」の印刷パターンが形成されている。
【0016】
このように、実施例3によれば、セキュリティ材料を混入した有色インキ層と、セキュリティ材料の混入していない同色の有色インキ層とを組み合わせて印刷パターンを形成しているので、セキュリティの有無を悟られにくくなり、偽造防止効果をより向上させることができる。
【実施例4】
【0017】
図4は、本発明による偽造防止印刷物の実施例4を示す図である。
実施例4の偽造防止印刷物10−4は、実施例2のものと実施例3のものとを組み合わせたタイプのものである。
有色パターン印刷層12−4は、実施例2のようなバーコードであり、また、そのバーコードは、領域B1〜領域B4に分割されている。
領域B1,B3のバーパターンは、セキュリティ材料を混入した第1の有色インキ層によって形成されている。
一方、領域B2,B4のバーパターンは、第1の有色インキ層と略同色であって、セキュリティ材料を混入していない第2の有色インキ層によって形成されている。
したがって、領域B1,B3と、領域B2,B4とによって、2種のバーコードパターンが形成されている。
【0018】
このように、実施例4によれば、セキュリティ材料を混入した有色インキ層と、セキュリティ材料を混入していない同色の有色インキ層とを組み合わせ、2種のバーコードパターンを1つの場所に形成することで、通常の有色コードパターンとセキュリティ印刷コードパターンとが混在し、一見して1つのバーコードに見える部分から、2種のコードパターンを読取ることができ、セキュリティ性をより向上させることができる。
【0019】
(変形例)
以上説明した実施例に限定されることなく、種々の変形や変更が可能であって、それらも本発明の均等の範囲内である。
(1)偽造防止印刷物は、商品券の例で説明したが、運転免許証、パスポートなどの身分証、ギフト券、株券などの有価証券、宝くじ・スクラッチくじ、クレジット・キャッシュカード、ゲームカード・トレーディングカード、保証書、馬券・車券などの投票券などであってもよい。
(2)セキュリティ材料は、赤外線に反応する材料の例で説明したが、紫外線に反応する材料であってもよい。
(3)機械読取可能なコードは、バーコードの例で説明したが、2次元コードであってもよい。
【0020】
(4)基材11は、感熱により自己発色するサーマル紙(感熱自己発色基材)であってもよい。自己発色するサーマル紙とすることで、インクリボンなどのサプライ品(消耗品)を用いないで情報を印字できるため、全体のコストを低減できるという作用効果がある。しかも、自己発色するサーマル紙の場合には、一旦記録した情報を消去して、別の情報に書き換えることができないので、セキュリティ性をより高めることができる。
また、基材11をサーマル紙とした場合には、サーマル紙のサーマル面(感熱面)とは逆の面に有色パターン印刷層12を設けることが好ましい。このようにすれば、情報印字可能な領域を広く取れるため、より多くの情報を記録できる、という効果がある。
さらに、サーマル面とは逆の面に設けられている有色パターン印刷層12を、機械読取可能なコードとし、サーマル面には、その機械読取可能なコードの情報と関連付けられた関連情報(例えば、金額、払い戻し期限、投票内容などの情報)を設けることが好ましい。このようにすれば、情報の改ざんを防止することができ、一層、セキュリティ性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明による偽造防止印刷物の実施例1を示す図である。
【図2】本発明による偽造防止印刷物の実施例2を示す図である。
【図3】本発明による偽造防止印刷物の実施例3を示す図である。
【図4】本発明による偽造防止印刷物の実施例4を示す図である。
【符号の説明】
【0022】
10,10−2,10−3,10−4 偽造防止印刷物
11 基材
11a 表示部
12,12−2,12−3,12−4 有色パターン印刷層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材と、
前記基材上に設けられた有色パターン印刷層とを有する偽造防止印刷物であって、
前記有色パターン印刷層には、赤外線及び/又は紫外線に反応する不可視のセキュリティ材料が含有されていること、
を特徴とする偽造防止印刷物。
【請求項2】
請求項1に記載の偽造防止印刷物において、
前記セキュリティ材料は、赤外線に反応する材料であること、
を特徴とする偽造防止印刷物。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の偽造防止印刷物において、
前記セキュリティ材料は、赤外線で励起されて目視可能に蛍光発光する赤外線励起可視光蛍光発光材料であること、
を特徴とする偽造防止印刷物。
【請求項4】
請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載の偽造防止印刷物において、
前記有色パターン印刷層には、赤外線及び/又は蛍光発光する可視光を透過させる透過性有色材料が含有されていること、
を特徴とする偽造防止印刷物。
【請求項5】
請求項1から請求項4までのいずれか1項に記載の偽造防止印刷物において、
前記有色パターン印刷層は、
前記セキュリティ材料を混入した第1の有色インキ層と、
前記第1の有色インキ層と略同色であって、前記セキュリティ材料を混入していない第2の有色インキ層との組み合わせにより印刷パターンが形成されていること、
を特徴とする偽造防止印刷物。
【請求項6】
請求項1から請求項4までのいずれか1項に記載の偽造防止印刷物において、
前記有色パターン印刷層は、機械読取可能なコードであること、
を特徴とする偽造防止印刷物。
【請求項7】
請求項6に記載の偽造防止印刷物において、
前記機械読取可能なコードは、
前記セキュリティ材料を混入した第1の有色インキ層と、
前記第1の有色インキ層と略同色であって、前記セキュリティ材料を混入していない第2の有色インキ層との組み合わせにより2種のコードパターンが形成されていること、
を特徴とする偽造防止印刷物。
【請求項8】
請求項1から請求項7までのいずれか1項に記載の偽造防止印刷物において、
前記基材は、感熱により自己発色する感熱自己発色基材であること、
を特徴とする偽造防止印刷物。
【請求項9】
請求項8に記載の偽造防止印刷物において、
前記有色パターン印刷層は、前記感熱自己発色基材の感熱面とは逆の面に設けられていること、
を特徴とする偽造防止印刷物。
【請求項10】
請求項9に記載の偽造防止印刷物において、
前記感熱面とは逆の面に設けられている有色パターン印刷層は、機械読取可能なコードであり、
前記感熱面には、前記機械読取可能なコードの情報と関連付けられた関連情報が設けられていること、
を特徴とする偽造防止印刷物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2007−261112(P2007−261112A)
【公開日】平成19年10月11日(2007.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−89860(P2006−89860)
【出願日】平成18年3月29日(2006.3.29)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】