説明

傾斜領域を含む半導体発光デバイス

傾斜した組成の1又はそれ以上の領域は、デバイス中の界面と関連したVfを削減するために、III-P発光デバイスに含まれる。本発明の実施形態によれば、半導体構造体は、n型領域とp型領域との間に配置されたIII-P発光層を有する。傾斜領域は、p型領域とGaP窓層との間に配置される。アルミニウム組成は、傾斜領域において傾斜される。傾斜領域は、少なくとも150nmの厚さをもつ。幾つかの実施形態において、p型領域とGaP窓層との間の傾斜領域に加えて又はこれの代わりに、アルミニウム組成は、エッチング停止層とn型領域との間に配置された傾斜領域において傾斜される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、傾斜領域を含む半導体発光デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
発光ダイオード(LED)は、低消費電力、小型及び高い信頼性を必要とする多くのアプリケーションの光源として広く受け入れられている。可視スペクトルの黄緑色から赤色の領域の光を放射するエネルギ効率の良いダイオードは、AlGaInP合金で形成された活性層を含む。図1及び図2は、従来の透明基板(TS)AlGaInP LEDの製造を示す。図1において、100Åのn-In0.5Ga0.5P層のようなエッチング停止層12は、半導体基板10、典型的にはGaAsの上に成長される。全てが二重ヘテロ構造の形態において配置された、下部閉じ込め層(lower confining layer)、少なくとも1つの(AlxGa1-X)yIn1-yP活性層及び上部閉じ込め層を含むデバイス層14が、エッチング停止層12の上に成長され、続いて、オプション的な厚さ(例えば5〜100μmの厚さ)の窓層16、多くの場合p型のGaPが気相成長により成長される。閉じ込め層は、透明半導体で構成され、光を再結合して放射する活性層中の電子ホールのペアのごく一部として規定されるLEDの内部量子効率を強化する。窓層16、同様に透明半導体は、活性層を通る電流の発散を増大させ、LEDの内部量子効率及び抽出効率を強化する。発光領域は、単一厚さの均一な複合層又は一連の薄い井戸及び障壁からなり得る。
【0003】
GaAsは、y〜0.5で可視スペクトルの黄緑色から赤色領域の光を放射するLEDの構造の組成での(AlxGa1-X)yIn1-yPにマッチした格子であるため、成長基板として好ましい。GaAsは吸収的であるので、GaAsは、典型的には除去され、図2に示されたように、透明基板18に置き換えられる。図1に示されたGaAs基板10は、エッチング停止層12よりも非常に速いペースでGaAsをエッチングするエッチングにより除去される。透明基板18、典型的にはn型GaPは、一般に、一軸性の力が付与される間、引き上げられた温度で構造体をアニーリング(annealing)することによりエピタキシャル構造体(図2のエッチング停止層12)の下側面に結合されたウエハである。そして、LEDチップは、p型のエピタキシャルGaPアノード及びn型のウエハ結合されたGaPカソードに適した従来の金属接触及びチップ製造技術を用いて、結合されたウエハから作られる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで用いられるように、"AlGaInP"及び"III-P"は、アルミニウム、ガリウム、インジウム及びリンの任意の2つ、3つ又は4つの合金に言及し得る。
【課題を解決するための手段】
【0005】
傾斜した組成の1又はそれ以上の領域は、デバイス中の界面と関連したVfを削減するために、III-P発光デバイスに含まれる。本発明の実施形態によれば、半導体構造体は、n型領域とp型領域との間に配置されたIII-P発光層を有する。傾斜領域は、p型領域とGaP窓層との間に配置される。アルミニウム組成は、傾斜領域において傾斜される。幾つかの実施形態において、傾斜領域は、少なくとも150nmの厚さをもつ。幾つかの実施形態において、p型領域とGaP窓層との間の傾斜領域に加えて又はこれの代わりに、アルミニウム組成は、エッチング停止層とn型領域との間に配置された傾斜領域において傾斜される。
【0006】
幾つかの実施形態において、傾斜領域は、異なる傾斜プロファイルをもつ領域に分割される。例えば、第1の領域において、アルミニウム組成は、p型領域におけるアルミニウム組成から発光層におけるアルミニウム組成まで傾斜され得る。第2の領域において、アルミニウム組成は、発光層におけるアルミニウム組成からゼロまで傾斜され得る。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】吸収基板の上に成長された従来のAlGaInP LEDデバイス構造体を示す。
【図2】従来の透明基板AlGaInP LEDを示す。
【図3】AlGaInP閉じ込め層とGaP窓層との間の界面のエネルギバンド図である。
【図4】AllnP閉じ込め層と窓層との間に配置された傾斜領域をもつデバイスの一部を示す。
【図5】異なる傾斜プロファイルをもつ複数の領域を含む傾斜領域をもつデバイスの一部を示す。
【図6】図5に示された構造体の部分についての位置の関数としてのAl組成のプロットである。
【図7】図5に示された構造体の部分についての位置の関数としてのバンドギャップのプロットである。
【図8】量子閉じ込め層と窓層との間に配置された傾斜領域をもつデバイスの一部を示す。
【図9】エッチング停止構造体と量子閉じ込め層との間に配置された傾斜領域をもつデバイスの一部を示す。
【図10】パッケージ化された発光デバイスの分解図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
図1及び図2に示されたデバイスにおいて、上部閉じ込め層は、多くの場合、AlInP又はAlGaInPである。上部閉じ込め層は、上部抑制層とも呼ばれる。ここで用いられるように、"上部閉じ込め層"は、活性層に隣接するアルミニウム、ガリウム、インジウム及びリンの任意の2つ、3つ又は4つの合金をいう。
【0009】
図3は、p型AlGaInP上部閉じ込め層(デバイス層14の一つ)とGaP窓層16との間の界面でのエネルギバンドの図を示している。2つの層の間の界面19では、発光層に向かって流れるホールが、エネルギ障壁20を超えて流れるのに十分なエネルギをもたなければならない。ホールが界面19で上昇しなければならないエネルギ障壁20は、デバイスの順方向御電圧Vfに不所望に追加する。
【0010】
本発明の実施形態は、特に窓層とデバイス層との間の界面で、デバイス中の界面と関連したVfを削減し得る。
【0011】
本発明の第1の実施形態において、傾斜領域は、上部閉じ込め層と窓層との間に配置される。図4は、本発明の第1の実施形態のデバイスの一部を示している。n型閉じ込め層を含む活性領域の真下のデバイス層は、図4では示されない。少なくとも1つの発光層を含む活性領域は、層28として図4に示される。活性領域28における電子及びホールを閉じ込めるように設計され、大抵4つ組のAlGaInP層である上部閉じ込め層26が、活性領域28の上に成長され、続いて、3つ組のAllnPの閉じ込め層24が成長される。代わりに、層24は、上部閉じ込め層26よりも高いAl組成又はバンドギャップをもつAlGaInP層であってもよい。
【0012】
傾斜領域22は、AlInP層24と窓層16との間に配置される。第1の実施形態の幾つかのデバイスにおいて、この組成は、50%AlのAlInPから約50%GaのInGaPに傾斜される。実際には、Al原子は、傾斜領域22の厚さに渡ってGaに段階的に置換される。傾斜領域22は、例えば、幾つかのデバイスにおいて100〜500nmの厚さ、幾つかのデバイスにおいて少なくとも150nmの厚さ、幾つかのデバイスにおいて300〜400nmの厚さ、及び、幾つかのデバイスにおいて少なくとも300nmの厚さであり得る。傾斜領域22のAl組成が一般的にゼロに傾斜される間、これは必要ではない。例えば、傾斜領域22は(Al0.1Ga0.9)0.5In0.5PのようなIn0.5Ga0.5P以外の組成に傾斜され得る。傾斜領域22のIn組成は、一般的に、50%の一定値に維持され、活性領域及びGaAs成長基板における発光層又はその複数層にマッチした格子である間、これは必要ではない。例えば、傾斜領域22は、(AlxGa1-x)0.55In0.45P又は(AlXGa1-X)0.45In0.55PのようなIn0.5Ga0.5P以外の組成に傾斜され得る。
【0013】
窓層16、典型的にはp型のGaPは、傾斜領域22の上に成長される。幾つかの実施形態において、傾斜領域22と窓層16との間の界面で、この組成は、おおよそIn0.5Ga0.5PからGaPに突然変わる。他の実施形態において、In組成は傾斜される。In組成は、Al組成が傾斜される傾斜領域22の同一部分において傾斜され得るか、又は、代わりに、In組成が傾斜領域22の第1の部分において傾斜され得る一方で、Al組成が傾斜領域22の第2の部分において傾斜される。
【0014】
本発明の第2の実施形態において、傾斜領域は、上部閉じ込め層と窓層との間に配置される。傾斜領域は、異なって傾斜するプロファイルをもつ2又はそれ以上の領域に分割される。図5は、本発明の第2の実施形態のデバイスの一部を示す。図4のデバイスと同様に、上部閉じ込め層26が活性層28の上に形成される。AlInP層24が上部閉じ込め層の上に形成される。傾斜領域22は、AlInP層24とGaP窓層16との間に配置される。傾斜領域22は、AlInP層24に隣接する第1の領域30と、窓層16に隣接する第2の領域32とを含む。傾斜プロファイルは、領域30及び32において異なる。
【0015】
図6は、図5のデバイスの一例の一部についての位置の関数としてのAl組成を示している。均一で高いAl組成AlInP層24は、図6の左側に示される。傾斜領域22の第1の領域30において、Al組成は、AlInP層24から、大抵4つ組みの層における下側のAl組成に傾斜される。傾斜領域22の第2の領域32において、Al組成は、第1の領域30の端部の4つ組の組成から、窓層16との界面でAlが少ないか又は無い組成、大抵InGaPに傾斜される。図6に示された領域30及び32における双方の傾斜するプロファイルは、直線状で単調な傾斜である。第2の傾斜領域32中の組成は、第1の傾斜領域30における組成よりも早く変えられる。
【0016】
図6に示されたデバイスのような、異なった傾斜プロファイルをもつ複数の領域を含む傾斜領域は、短波長で光を放射するデバイスに対して魅力的である。より短い波長は、傾斜領域22において最も低いAl組成により容易に吸収される。Al組成は、第1の領域30(即ち、発光層組成)において光を吸収しない最も低いAl組成に段階的に傾斜され、そして、第2の領域32における吸収的組成を介して迅速に傾斜される。第1の領域30は、概ね、第2の領域32よりも厚い。幾つかのデバイスにおいて、第2の領域32は、第1の領域30の厚さの5〜15%である。例えば、第1の領域30は、100〜500nmの厚さであり、多くの場合、300〜400nmの厚さである。第2の領域32は、2〜50nmの厚さであり、多くの場合、20〜40nmの厚さである。
【0017】
図7は、図5のデバイスの一例の一部についての位置の関数としてのバンドギャップを示している。図5及び6における傾斜組成領域は、図3におけるエネルギバリアを少なくとも部分的に取り除く傾斜バンドギャッププロファイルをもたらす。図7に示されたバンドギャッププロファイルは、発光層により放射された光に対して実質的に透明である、傾斜領域22の第1の領域30と、発光層により放射された光を実質的に吸収する、傾斜領域22の第2の領域32とから構成される。
【0018】
活性領域の発光層の組成は、(AlXGa1-X)yIn1-yP(ここで、y〜0.5)である。黄色の光を放射するデバイスは、x=0.3の発光層中にAl組成をもち得る。第1の領域30において、組成は、100〜400nmの厚さに渡って、Al0.5In0.5Pから(Al0.3Ga0.7)0.5In0.5Pに傾斜される。第2の領域32において、組成は、10〜40nmの厚さに渡って(Al0.3Ga0.7)0.5In0.5PからInGaPに傾斜される。オレンジ色光を放射するデバイスは、x=0.1〜0.15の発光層中のAl組成をもち得る。第1の領域30において、組成は、100〜400nmの厚さに渡って、Al0.5In0.5Pから(Al0.15Ga0.85)0.5In0.5Pに傾斜される。第2の領域32において、組成は、2〜40nmの厚さに渡って(Al0.15Ga0.85)0.5In0.5PからInGaPに傾斜される。赤色光を放射するデバイスは、x=0.05〜0.1の発光層中のAl組成をもち得る。第1の領域30において、組成は、100〜400nmの厚さに渡って、Al0.5In0.5Pから(Al0.1Ga0.9)0.5In0.5Pに傾斜される。第2の領域32において、組成は、2〜40nmの厚さに渡って(Al0.1Ga0.9)0.5In0.5PからInGaPに傾斜される。
【0019】
本発明の第3の実施形態において、傾斜領域は、上部閉じ込め層と窓層との間に配置され、図4及び5のAlInP閉じ込め層24がデバイスから除外されている。図8は、第3の実施形態のデバイスの一部を示している。上部閉じ込め層26は、活性領域28の上に形成される。上部閉じ込め層は、概して、格子マッチした4つ組の層、即ち、(AlxGa1-x)yIn1-yP(ここで、y〜0.5)を有する。閉じ込め層26におけるAl組成は、概ね、x≧0.4、しばしばx≧0.65である。傾斜領域34は、上部閉じ込め層26と窓層16との間に配置される。傾斜領域34中のAl組成は、上部閉じ込め層26の組成から窓層16に隣接する部分におけるゼロに傾斜される。傾斜領域34は、例えば、幾つかのデバイスにおいて100〜500nmの厚さ、幾つかのデバイスにおいて300〜400nmの厚さである。
【0020】
層内のAl組成が増大すると、層のバンドギャップが増大し、適宜、層のキャリアを閉じ込める能力が増大する。AlInP層24が除外されるときには、4つ組の上部閉じ込め層は、十分なキャリア閉じ込めを提供するのに十分に高いAl組成をもつ。活性領域28の発光層におけるAl組成xと上部閉じ込め層26におけるAl組成xとの間の差分は、幾つかの実施形態においてΔx≧0.4、幾つかの実施形態においてΔx≧0.5、幾つかの実施形態においてΔx≧0.6である。例えば、黄色光を放射するデバイスは、(Al0.3Ga0.7)0.5In0.5Pの発光層組成をもつ。幾つかの実施形態において、上部閉じ込め層におけるAl組成は、少なくともx=0.7又は(Al0.7Ga0.3)0.5In0.5Pである。幾つかの実施形態において、上部閉じ込め層におけるAl組成は、少なくともx=0.8又は(Al0.8Ga0.2)0.5In0.5Pである。幾つかの実施形態において、上部閉じ込め層におけるAl組成物は、少なくともx=0.9又は(Al0.9Ga0.1)0.5In0.5Pである。赤色光を放射するデバイスは、(Al0.05Ga0.95)0.5In0.5Pの発光層組成をもつ。幾つかの実施形態において、上部閉じ込め層におけるAl組成は、少なくともx=0.45又は(Al0.45Ga0.55)0.5In0.5Pである。幾つかの実施形態において、上部閉じ込め層におけるAl組成は、少なくともx=0.55又は(Al0.55Ga0.45)0.5In0.5Pである。幾つかの実施形態において、上部閉じ込め層におけるAl組成物は、少なくともx=0.65又は(Al0.65Ga0.35)0.5In0.5Pである。幾つかの実施形態において、上部閉じ込め層におけるAl組成は、少なくともx=0.8又は(Al0.8Ga0.2)0.5In0.5Pである。
【0021】
本発明の第4の実施形態において、傾斜領域は、n型側の活性層上の、エッチング停止層と下部閉じ込め層との間に配置される。図9は、第4の実施形態の構造体の一部を示している。エッチング停止構造体36は、成長基板10、大抵GaAsの上に成長される。傾斜領域38は、エッチング停止構造体36の上に成長され、続いて、下部閉じ込め層40、活性領域28及び上部閉じ込め層26が成長される。前記の実施形態において述べられた傾斜構造体のいずれかは、上部閉じ込め層26の上に成長され、続いて、窓層16(図9において省略)が成長される。
【0022】
エッチング停止構造体36は、例えば、GaAs層により分離された1又はそれ以上のエッチング停止層であり得る。エッチング停止層は、例えば、InGaPであり得る。エッチング停止構造体の上部層は、エッチング停止層、しばしばInGaPである。
【0023】
傾斜領域における組成は、上部エッチング停止層の組成から下部閉じ込め層の組成に傾斜される。例えば、下部閉じ込め層は、概して、格子マッチした4つ組の層、即ち、(AlxGa1-x)yIn1-yP(ここで、y〜0.5)である。下部閉じ込め層40におけるAl組成は、概ね、x≧0.4、しばしばx≧0.65である。傾斜領域38は、例えば、幾つかの実施形態において40〜100nmの厚さ、及び、幾つかの実施形態において100〜300nmの厚さであり得る。
【0024】
前述された上部閉じ込め層によれば、4つ組の下部閉じ込め層は、十分なキャリア閉じ込めを提供するのに十分高いAl組成をもたなければならない。活性領域28の発光層におけるAl組成xと下部閉じ込め層40におけるAl組成xとの間の差分は、幾つかの実施形態においてΔx≧0.25、幾つかの実施形態においてΔx≧0.5、幾つかの実施形態においてΔx≧0.6である。例えば、黄色光を放射するデバイスは、(Al0.3Ga0.7)0.5In0.5Pの発光層組成をもち得る。幾つかの実施形態において、下部閉じ込め層におけるAl組成は、少なくともx=0.65又は(Al0.65Ga0.35)0.5In0.5Pである。幾つかの実施形態において、下部閉じ込め層におけるAl組成は、少なくともx=0.8又は(Al0.8Ga0.2)0.5In0.5Pである。幾つかの実施形態において、下部閉じ込め層におけるAl組成は、少なくともx=0.9又は(Al0.9Ga0.1)0.5In0.5Pである。赤色光を放射するデバイスは、(Al0.05Ga0.95)0.5In0.5Pの発光層組成をもち得る。幾つかの実施形態において、下部閉じ込め層におけるAl組成は、少なくともx=0.4又は(Al0.4Ga0.6)0.5In0.5Pである。幾つかの実施形態において、下部閉じ込め層におけるAl組成は、少なくともx=0.55又は(Al0.55Ga0.45)0.5In0.5Pである。幾つかの実施形態において、下部閉じ込め層におけるAl組成は、少なくともx=0.65又は(Al0.65Ga0.35)0.5In0.5Pである。
【0025】
N型の下部閉じ込め層のAl組成は、p型の上部閉じ込め層のAl組成よりも低くなり得る。
【0026】
前述された実施形態は組み合わせられてもよい。例えば、第3及び/又は第4の実施形態において述べられた傾斜領域は、第2の実施形態において述べられたような、異なる傾斜プロファイルをもつ領域を含んでもよい。デバイスは、n型及びp型の双方の側の活性領域上に傾斜領域を含んでもよい。
【0027】
前記の例は、ここで用いられたような、線状に傾斜するプロファイルをもつ領域について述べたが、"傾斜領域"という用語は、組成における単一のステップ以外の任意の態様において組成の変化を実現する任意の構造体を包含することを意味する。一例において、傾斜領域は、複数層のそれぞれがこれに隣接するいずれかの層とは異なる組成をもつ層のスタックである。層が分解可能な(resolvable)厚さである場合には、傾斜領域は、ステップ傾斜(step-graded)又はインデックス傾斜(index-graded)領域として知られる。個々の層の厚さがゼロに近いという制限において、傾斜領域は、連続傾斜(continuously-graded)領域として知られる。傾斜領域を構成する層は、これに限定するものではないが、線状傾斜、放物状傾斜、及び、べき乗傾斜を含む、厚さと対比して組成についての様々なプロファイルを形成するように設けられ得る。また、傾斜領域は、単一の傾斜プロファイルに限定するものではなく、異なる傾斜プロファイルをもつ部分、及び、実質的に一定の組成をもつ1又はそれ以上の部分を含んでもよい。
【0028】
図4,5,7,8及び9に示された構造体は、図2及び添付の文書において示され説明された透明基板デバイスに処理され得る。例えば、成長基板は、エッチング停止構造体上で終わるエッチングにより除去される。そして、半導体層は、透明基板に接続され、接触が、デバイスの両端で形成される。代わりに、図4,5,7,8及び9で示された構造体は、フリップチップ(flip-chip)デバイスに処理され得る。ここで、半導体層の一部は、p型又はn型の層を暴露するように離れてエッチングされ、そして、p型及びn型n接触がデバイスの同一側で形成される。
【0029】
図10は、米国特許第6,274,924で詳細に説明された、パッケージ化された発光デバイスの分解図である。ヒートシンクスラグ100は、挿入成形されたリードフレームに配置される。挿入成形されたリードフレームは、例えば、電気パスを提供する金属フレーム106のまわりに成形された充填プラスチック材料105である。スラグ100は、光学反射キャップ102を含み得る。本実施形態において前記で述べられたデバイスのいずれかであり得る発光デバイスダイ104は、熱伝導性サブマウント103を介してスラグ100に直接的又は間接的に取り付けられる。光学レンズであり得るカバー108が追加されてもよい。
【0030】
本発明を詳細に説明したが、当業者は、本開示が与えられた場合に、ここで説明された本発明の概念の精神から逸脱することなく本発明に対して変更が行われ得ることを理解するだろう。それ故、本発明の範囲は、示され及び説明された特定の実施形態に限定されることを意図するものではない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
n型領域とp型領域との間に配置されたIII-P発光層を有する半導体構造体と、
GaP窓層と、
前記p型領域と前記GaP窓層との間に配置された傾斜領域とを有し、
アルミニウムの組成は、前記傾斜領域において傾斜され、前記傾斜領域は、少なくとも150nmの厚さをもつ、デバイス。
【請求項2】
前記傾斜領域におけるアルミニウムの前記組成は、前記p型領域における組成からゼロに傾斜される、請求項1に記載のデバイス。
【請求項3】
前記p型領域は、前記傾斜領域と直接接触する(AlxGa1-x)yIn1-yP(x≧0.4)の層を有する、請求項1に記載のデバイス。
【請求項4】
前記p型領域は、前記傾斜領域と直接接触するAlInP層を有する、請求項1に記載のデバイス。
【請求項5】
前記傾斜領域は、第1の傾斜領域であり、
当該デバイスは、
エッチング停止層と、
前記エッチング停止層と前記n型領域との間に配置された第2の傾斜領域とを有し、
アルミニウムの組成は、前記第2の傾斜領域において傾斜される、請求項1に記載のデバイス。
【請求項6】
前記第2の傾斜領域におけるアルミニウムの前記組成は、ゼロから前記n型領域における組成に傾斜される、請求項5に記載のデバイス。
【請求項7】
前記傾斜領域と直接接触するエッチング停止層は、InGaPであり、
前記傾斜領域と直接接触するn型領域は、(AlxGa1-x)yIn1-yP(x≧0.4)である、請求項5に記載のデバイス。
【請求項8】
前記第2の傾斜層の厚さは、40nmよりも大きい、請求項5に記載のデバイス。
【請求項9】
前記傾斜領域におけるアルミニウムの前記組成は、前記p型領域における組成から非ゼロ値に傾斜される、請求項1に記載のデバイス。
【請求項10】
前記傾斜領域におけるインジウムの組成は、GaAsにマッチした格子の組成から、GaAsにマッチした格子ではない組成に変化する、請求項1に記載のデバイス。
【請求項11】
n型領域とp型領域との間に配置されたIII-P発光層を有する半導体構造体と、
GaP窓層と、
前記p型領域と前記GaP窓層との間に配置された傾斜領域とを有し、
アルミニウムの組成は、前記傾斜領域において傾斜され、
前記傾斜領域は、第1の傾斜プロファイルをもつ第1の部分と、第2の傾斜プロファイルをもつ第2の傾斜部分とを有する、デバイス。
【請求項12】
前記傾斜領域は、少なくとも100nmの厚さをもつ、請求項11に記載のデバイス。
【請求項13】
前記傾斜領域は、少なくとも300nmの厚さをもつ、請求項11に記載のデバイス。
【請求項14】
前記第1の部分が前記p型領域に隣接し、前記第2の部分が前記窓層に隣接し、
前記第1の部分におけるアルミニウム組成は、前記p型領域におけるアルミニウム組成から前記発光層におけるアルミニウム組成に傾斜され、
前記第2の部分におけるアルミニウム組成は、前記発光層におけるアルミニウム組成から前記発光層におけるアルミニウム組成よりも少ないアルミニウム組成に傾斜される、請求項11に記載のデバイス。
【請求項15】
前記第2の部分における前記アルミニウム組成は、前記発光層におけるアルミニウム組成からゼロに傾斜される、請求項14に記載のデバイス。
【請求項16】
前記第1の部分は、前記第2の部分よりも厚い、請求項11に記載のデバイス。
【請求項17】
位置の関数としてアルミニウム組成を表す線の傾きは、前記第1の部分よりも前記第2の部分に対して急である、請求項11に記載のデバイス。
【請求項18】
前記第1の部分は、前記発光層により放射された光に対して実質的に透明であり、
前記第2の部分は、前記発光層により放射された光に対して実質的に吸収的である、請求項11に記載のデバイス。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate


【公表番号】特表2011−524632(P2011−524632A)
【公表日】平成23年9月1日(2011.9.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−513108(P2011−513108)
【出願日】平成21年6月10日(2009.6.10)
【国際出願番号】PCT/IB2009/052484
【国際公開番号】WO2010/004454
【国際公開日】平成22年1月14日(2010.1.14)
【出願人】(500507009)フィリップス ルミレッズ ライティング カンパニー リミテッド ライアビリティ カンパニー (197)
【出願人】(590000248)コーニンクレッカ フィリップス エレクトロニクス エヌ ヴィ (12,071)
【Fターム(参考)】