像担持体、画像形成方法、画像形成装置、プロセスカートリッジ
【課題】オゾン、窒素酸化物(NOx)などの発生を引き起こす帯電工程をなくし、電位コントラストが大きい静電潜像形成を行うことができる構成の像担持体と、その像担持体を用いた画像形成方法及び画像形成装置を提供する。
【解決手段】本発明の像担持体は、導電性支持体1上に、少なくとも、感光層2と、該感光層2を被覆している部分と被覆していない部分を有し潜像形成用の光照射時及び現像画像の転写時にバイアスが印加される上部電極3と、該上部電極3を含む像担持体表面を被覆する保護層5とを順次積層した構造を有する。この像担持体を用いた画像形成方法(装置)では、潜像形成用の光照射時に上部電極3にバイアスを印加することにより潜像形成を行い、像担持体表面の潜像をトナーで現像し、転写時には上部電極3にトナーと同極性のバイアスを印加してトナー画像を被転写材に転写する。
【解決手段】本発明の像担持体は、導電性支持体1上に、少なくとも、感光層2と、該感光層2を被覆している部分と被覆していない部分を有し潜像形成用の光照射時及び現像画像の転写時にバイアスが印加される上部電極3と、該上部電極3を含む像担持体表面を被覆する保護層5とを順次積層した構造を有する。この像担持体を用いた画像形成方法(装置)では、潜像形成用の光照射時に上部電極3にバイアスを印加することにより潜像形成を行い、像担持体表面の潜像をトナーで現像し、転写時には上部電極3にトナーと同極性のバイアスを印加してトナー画像を被転写材に転写する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子写真方法を応用した画像形成プロセスに用いられる像担持体と、その像担持体を用いた画像形成方法、画像形成装置並びにプロセスカートリッジに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、「電子写真方法」とは、像担持体として光導電性の感光体を用い、まず感光体を暗所で帯電(例えばコロナ放電によって帯電)させ、次いで光照射により像露光し、露光部のみの電荷を選択的に散逸せしめて静電潜像を形成し、この潜像部を染料、顔料などの着色剤と高分子物質などの結合剤とから構成される検電微粒子(トナーと言う)で現像し、可視化して画像を形成するようにした画像形成方法の一つである。
【0003】
このような電子写真方法において像担持体である感光体に要求される基本的な特性としては、
・暗所で適当な電位に帯電できること、
・暗所において電荷の散逸が少ないこと、
・光照射によって速やかに電荷を散逸できること、
などが挙げられる。
【0004】
従来、電子写真方法において使用される感光体としては、導電性支持体上にセレンないしセレン合金を主体とする感光層を設けたもの、酸化亜鉛、硫化カドミウムなどの無機系光導電材料を樹脂中に分散させたもの、ポリ−N−ビニルカルバゾールとトリニトロフルオレノンあるいはアゾ顔料などの有機光導電材料とを用いたもの、及び非晶質シリコン系材料を用いたもの等が一般に知られているが、近年では、コストの低さ、感光体設計の自由度の高さ、低公害性等から有機系電子写真感光体が広く利用されるようになってきている。
【0005】
有機系電子写真感光体には、ポリビニルカルバゾール(PVK)に代表される光導電性樹脂型、PVK−TNF(2,4,7−トリニトロフルオレノン)に代表される電荷移動錯体型、フタロシアニン−樹脂に代表される顔料分散型、電荷発生物質と電荷輸送物質とを組み合わせて用いる機能分離型の感光体などが知られており、特に機能分離型の感光体が注目されている。
【0006】
この機能分離型の感光体における静電潜像形成のメカニズムは、感光体を帯電した後、光照射すると、光は透明な電荷輸送層を通過し、電荷発生層中の電荷発生物質により吸収され、光を吸収した電荷発生物質は電荷担体を発生し、この電荷担体は電荷輸送層に注入され、帯電によって生じている電界にしたがって電荷輸送層中を移動し、感光体表面の電荷を中和することにより静電潜像を形成するものである。機能分離型感光体においては、主に紫外部に吸収を持つ電荷輸送物質と、主に可視部に吸収を持つ電荷発生物質とを組み合わせて用いることが知られており、上記基本特性を充分に満たすものが得られている。
【0007】
近年、電子写真方法を応用した画像形成プロセスの高速化、小型化が進むなか、感光体に対して上記特性以外に長期繰返し使用に際しても高画質を保つことの出来る信頼性及び高耐久性が強く要求される様になっている。
感光体は、画像形成プロセスにおいて、様々な機械的、化学的負荷を受けている。このうち化学的負荷は、画像形成プロセスにおける帯電部から発生するオゾンや窒素酸化物等による影響が大きい。これらのオゾン、窒素酸化物等が帯電部で発生し、感光体表面へ吸着し、化学変化を引き起こす。帯電工程から発生したオゾンは、感光体を形成するバインダー樹脂や電荷輸送物質を酸化する。そしてバインダー樹脂の分子鎖が切断され、さらにカルボン酸等の有機酸が生成される。また、同様に発生した窒素酸化物等の放電生成物は空気中の水(水分子)と結合あるいは反応することにより電気導電性を有する物質となる。この物質及び前述した有機酸が感光体上に吸着した場合、感光体表面近傍が低抵抗化し、感光体上に形成された静電潜像が破壊されてしまう。その結果、現像工程の施された感光体上にはいわゆる画像流れ状態のトナー像が形成される。また、感光体上に吸着した放電生成物により感光体表面の摩擦係数の増加が一般に生じるが、その結果、例えば感光体へのクリーニングブレード当接部位における力学的な負荷が増加し、さらに前述した感光体を形成するバインダー樹脂の分子鎖切断により、感光体摩耗が促進されてしまう。また、これらのオゾン、窒素酸化物などの発生は、環境側面からも問題となる。
【0008】
一般に、電子写真方法を応用した画像形成プロセスにおける帯電方法としては、コロナ帯電方法や接触帯電方法が使用されてきた。
コロナ帯電方法には、コロトロン方式とグリッドを有するスコロトロン方式があり、金属板で遮蔽されたハウジングの中央に張架されたタングステンやニッケルのチャージワイヤーに、直流もしくは交流を重畳した直流電圧を印加する事によりコロナ放電を起こし、感光体を帯電する方法である。しかし、この方法では、チャージワイヤーに高電圧を印加するために、オゾンや窒素酸化物などが生成される。この生成物は、環境的側面ばかりでなく、前述したように感光体に対しても、耐久性や画像特性に対し、悪影響を及ぼすことが知られている。
【0009】
近年、この方法に代わり、低オゾン、低電力を目的として、接触帯電方法が実用化されてきている。接触帯電方法は、感光体に102〜1010Ω・cm程度の抵抗を持つ帯電部材に、直流もしくは交流を重畳した直流電圧を印加し、感光体に加圧当接させ、電荷を付与する方法である。この帯電方法は、パッシェンの法則に従い、帯電部材から被帯電体への放電によって行われるため、或るしきい値電圧以上の電圧を印加することによって帯電が開始される。この接触帯電方法は、コロナ帯電方法と比較すると、帯電部材への印加電圧は低くなるが、放電が伴うために、少量のオゾン及び窒素酸化物が発生する。
【0010】
このために、新たなる帯電方式として、感光体への電荷の直接注入による帯電方式(例えば特許文献1(特開平06−003921号公報))が開示されている。この帯電方式は、低抵抗な電荷注入層を感光体表面に設け、帯電ローラ、帯電ブラシ、帯電磁気ブラシ等の接触導電部材に電圧を印加し、電荷を接触により、注入帯電を行う方法である。この帯電方式では、放電現象を用いないため、帯電に必要とされる電圧は所望する感光体表面電位分のみである。そのために、従来の接触帯電方式と比べると、オゾン、窒素酸化物の発生量が、非常に少なく、低電力の帯電方式である。これらの電荷注入帯電を行うために感光体に設けられる電荷注入層は、樹脂中に、酸化すずなどの金属酸化物を分散させ、感光体の表面抵抗を下げている。しかし、このような感光体の表面抵抗は、使用される環境(温度、湿度)により、大きく変化し、安定した帯電が行えなくなる。そのため機内環境を制御する方法として、機内でのヒーター等の設置が考えられるが、このようなヒーターを設置した場合、機械全体としての消費電力が大きくなる。
【0011】
つぎに感光体に光照射し、生成された電荷を外部電界により、感光体表面に移動させ帯電させる帯電方式(例えば特許文献2(特開平8−76559号公報))が開示されている。この方式では、電荷注入帯電に比べ、オゾン、窒素酸化物等の発生はなく、且つ低電力で、さらには使用環境(温度、湿度)により、特性の変化が少なくなる。
【0012】
また、特許文献3(特開平8−76559号公報)、特許文献4(特開平9−26681号公報)に示される帯電方式では、感光体として、導電性支持体上に電荷発生層及び電荷輸送層を順次積層した構成の積層型電子写真感光体、及び導電性支持体上に単一感光層を設けた単層型電子写真感光体のような既存の電子写真感光体が使用される。この感光体は、帯電時に電荷が発生する層と潜像形成時に電荷を発生する層が同じであるために、帯電時の電荷発生から、潜像形成時の電荷発生までの時間が限定され、小径高速化対応が不可能となる。
【0013】
特許文献5(特許第3895514号公報)に示される電子写真感光体では、導電性支持体上に帯電時に電荷発生する層、電荷輸送層、潜像形成時に電荷を発生する層、表面端部に設けられた電極を有する構成である。この構成の感光体であれば、上記問題は解消される。この構成の感光体を帯電させるときには、表面端部電極に電圧を印加し電界を形成し、電荷を移動させる。この方法では、帯電を均一に行うためには、最表層を低抵抗化させる必要がある。しかし、このような低抵抗化させた層を設けた場合、感光体表面に形成した潜像が拡がり、細線再現性や微細ドット再現性が低下する。
【0014】
そこで、これらの不具合を解消するために、本発明者らが先に提案した特許文献6(特許第3566275号公報)に示される電子写真感光体では、導電性支持体上に潜像形成時に電荷発生する層、電荷輸送層、帯電時に電荷発生する層を設け、さらにそれぞれの電荷発生層の電荷発生材料を限定する事により、画像劣化しにくく、かつ効率的な帯電性を達成した。
そして、このような感光体を用いた画像形成プロセスでは、
(1)帯電、
(2)露光(書き込み)、
(3)トナー現像、
(4)トナー転写、
(5)トナー定着、
等の工程で画像形成を行う。
【0015】
また、本発明者らが先に提案した特許文献7(特開2007−178816号公報)には、上記の画像形成プロセスの工程において、帯電工程を省き、潜像形成工程を簡略化した画像形成方法が開示されている。これは、感光体表面から透明性のバイアス印加部材によりバイアスを印加し、同時に光書き込みを行い、潜像形成を行うものである。このことにより、オゾン、窒素酸化物(NOx)等の生成物を発生する放電を伴う帯電工程を無くすことが出来る。
しかし、この方法では、像担持体(感光体)の外部から透明性のバイアス印加部材によりバイアスを印加すると同時に光書き込みを行うため、外部からバイアスを印加する部材が必要であり、画像形成プロセスを行う像担持体周りが大型化し、装置が大型化するという問題がある。また、外部からバイアスを印加するときに、像担持体と外部バイアス印加部材の間に、異物(トナー、現像剤、紙粉など)が介在した場合、像担持体へのバイアス印加が不均一となり、濃度ムラなどの問題が発生する。また、像担持体の表面を傷付ける恐れもある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
本発明は上記従来技術の問題点を解決するためになされたものであり、オゾン、窒素酸化物(NOx)などの発生を引き起こす帯電工程をなくし、電位コントラストが大きい静電潜像形成を行うことができる構成の像担持体と、その像担持体を用いた画像形成方法、画像形成装置、プロセスカートリッジを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明者らは鋭意検討を重ねた結果、以下のような解決手段を採ることにより、前記課題を解決することができることを発見して本発明を成すに至った。
すなわち、本発明の第1の解決手段は、少なくとも潜像形成、現像、転写を行う画像形成プロセスに用いられる像担持体であって、導電性支持体上に、少なくとも、感光層と、該感光層を被覆している部分と被覆していない部分を有し潜像形成用の光照射時及び現像画像の転写時にバイアスが印加される上部電極と、該上部電極を含む像担持体表面を被覆する保護層とを順次積層した構造を有することを特徴とする(請求項1)。
【0018】
本発明の第2の解決手段は、少なくとも潜像形成、現像、転写を行う画像形成プロセスに用いられる像担持体であって、導電性支持体上に、少なくとも、感光層と、電荷保持層と、該電荷保持層を被覆している部分と被覆していない部分を有し潜像形成用の光照射時及び現像画像の転写時にバイアスが印加される上部電極と、該上部電極を含む像担持体表面を被覆する保護層とを順次積層した構造を有することを特徴とする(請求項2)。
【0019】
本発明の第3の解決手段は、少なくとも潜像形成、現像、転写を行う画像形成プロセスに用いられる像担持体であって、導電性支持体上に、少なくとも、感光層と、該感光層上に縞状に形成され潜像形成用の光照射時及び現像画像の転写時にバイアスが印加される上部電極と、該上部電極を含む像担持体表面を被覆する保護層とを順次積層した構造を有することを特徴とする(請求項3)。
【0020】
本発明の第4の解決手段は、少なくとも潜像形成、現像、転写を行う画像形成プロセスに用いられる像担持体であって、導電性支持体上に、少なくとも、感光層と、電荷保持層と、該電荷保持層上に縞状に形成され潜像形成用の光照射時及び現像画像の転写時にバイアスが印加される上部電極と、該上部電極を含む像担持体表面を被覆する保護層とを順次積層した構造を有することを特徴とする(請求項4)。
【0021】
本発明の第5の解決手段は、少なくとも潜像形成、現像、転写を行う画像形成プロセスに用いられる像担持体であって、導電性支持体上に、少なくとも、感光層と、該感光層上に格子状に形成され潜像形成用の光照射時及び現像画像の転写時にバイアスが印加される上部電極と、該上部電極を含む像担持体表面を被覆する保護層とを順次積層した構造を有することを特徴とする(請求項5)。
【0022】
本発明の第6の解決手段は、少なくとも潜像形成、現像、転写を行う画像形成プロセスに用いられる像担持体であって、導電性支持体上に、少なくとも、感光層と、電荷保持層と、該電荷保持層上に格子状に形成され潜像形成用の光照射時及び現像画像の転写時にバイアスが印加される上部電極と、該上部電極を含む像担持体表面を被覆する保護層とを順次積層した構造を有することを特徴とする(請求項6)。
【0023】
本発明の第7の解決手段は、第1乃至第6の何れか一つの解決手段の像担持体において、前記感光層は単層構造であり、該単層構造の感光層は、電荷発生機能と電荷輸送機能を有することを特徴とする(請求項7)。
また、本発明の第8の解決手段は、第1乃至第6の何れか一つの解決手段の像担持体において、前記感光層は積層構造であり、該積層構造の感光層は、電荷発生機能を有する電荷発生層と、電荷輸送機能を有する電荷輸送層とから構成されることを特徴とする(請求項8)。
【0024】
本発明の第9の解決手段は、第1乃至第8の何れか一つの解決手段の像担持体において、前記保護層が、ダイヤモンド状カーボン若しくは非晶質カーボン構造を有する膜であることを特徴とする(請求項9)。
また、本発明の第10の解決手段は、第1乃至第8の何れか一つの解決手段の像担持体において、前記保護層が、樹脂中にフィラーを分散させた膜であることを特徴とする(請求項10)。
【0025】
本発明の第11の解決手段は、少なくとも潜像形成、現像、転写を行う画像形成プロセスにより被転写材に画像を形成する画像形成方法において、第1乃至第10の何れか一つの解決手段の像担持体を用い、潜像形成用の光照射時に前記像担持体の上部電極にバイアスを印加することにより潜像形成を行い、潜像形成後、前記像担持体表面の潜像をトナーで現像し、その現像されたトナーを被転写材に転写する転写時に前記像担持体の上部電極に前記トナーと同極性のバイアスを印加することにより該トナーを前記被転写材に転写することを特徴とする(請求項11)。
【0026】
本発明の第12の解決手段は、少なくとも潜像形成、現像、転写を行う画像形成プロセスにより被転写材に画像を形成する画像形成装置において、第1乃至第10の何れか一つの解決手段の像担持体を備え、潜像形成用の光照射時に前記像担持体の上部電極にバイアスを印加することにより潜像を形成する潜像形成部と、潜像形成後、前記像担持体表面の潜像をトナーで現像する現像部と、その現像されたトナーを被転写材に転写する転写時に前記像担持体の上部電極に前記トナーと同極性のバイアスを印加することにより該トナーを前記被転写材に転写する転写部と、を有することを特徴とする(請求項12)。
【0027】
本発明の第13の解決手段は、プロセスカートリッジであって、第1乃至第10の何れか一つの解決手段の像担持体を内蔵し、潜像形成手段、現像手段、転写手段、クリーニング手段、除電手段のうちの少なくとも一つを備えたことを特徴とする(請求項13)。
また、本発明の第14の解決手段は、画像形成装置であって、第13の解決手段のプロセスカートリッジを着脱可能に備えたことを特徴とする(請求項14)。
【発明の効果】
【0028】
本発明に係る像担持体は、導電性支持体上に、少なくとも感光層と(または感光層と、電荷保持層と)、該感光層(または電荷保持層)を被覆している部分と被覆していない部分を有し潜像形成用の光照射時及び現像画像の転写時にバイアスが印加される上部電極(具体的には、ランダムなパターンまたは縞状または格子状に形成され、感光層(または電荷保持層)の表面を所定のパターンで被覆するように形成された上部電極)と、該上部電極を含む像担持体表面を被覆する保護層とを順次積層した構造を有することを特徴としており、潜像形成用の光照射時に前記上部電極(像担持体の保護層内に設けられた所定のパターンの電極)にバイアスが印加されることにより潜像が形成されるので、オゾン、窒素酸化物などの発生を引き起こす従来の帯電工程(像担持体の外部から帯電手段で電荷を付与する帯電工程)をなくすことができ、小型で、長期的使用においても電位ムラが少ない、直接潜像形成を行うことができる像担持体を提供することができる。また、本発明に係る像担持体では、潜像形成後、像担持体表面の潜像がトナーで現像され、その現像されたトナー画像を被転写材に転写する転写時に前記上部電極にトナーと同極性のバイアスが印加されることにより該トナーを被転写材に転写するので、転写効率を向上することができる。
また、本発明に係る像担持体は、最表面に保護層を有するので、保護層によって上部電極の保護と、像担持体表面の均一化(平坦化)を図ることができ、上部電極が現像部、転写部、クリーニング部などの機械的なハザードにより傷付けられることを防止できるとともに、画像ムラの発生等を防止することができる。
【0029】
本発明に係る画像形成方法は、上記の構成及び効果を有する像担持体を用い、潜像形成用の光照射時に像担持体の上部電極にバイアスを印加することにより潜像形成を行い、潜像形成後、像担持体表面の潜像をトナーで現像し、その現像されたトナー画像を被転写材に転写する転写時に像担持体の上部電極にトナーと同極性のバイアスを印加することにより該トナー画像を被転写材に転写することを特徴とするので、オゾン、窒素酸化物などの発生を引き起こす従来の帯電工程をなくすことができ、小型で、長期的使用においても電位ムラが少ない、直接潜像形成を行うことができる画像形成方法を実現することができる。また、本発明に係る画像形成方法では、像担持体の上部電極にトナーと同極性のバイアスを印加することにより該トナー画像を被転写材に転写するので、転写効率を向上することができる。
【0030】
本発明に係る画像形成装置は、上記の構成及び効果を有する像担持体を備え、潜像形成用の光照射時に像担持体の上部電極にバイアスを印加することにより潜像を形成する潜像形成部と、潜像形成後、像担持体表面の潜像をトナーで現像する現像部と、その現像されたトナー画像を被転写材に転写する転写時に像担持体の上部電極にトナーと同極性のバイアスを印加することにより該トナー画像を被転写材に転写する転写部と、を有することを特徴とするので、オゾン、窒素酸化物などの発生を引き起こす従来の帯電工程をなくすことができ、小型で、長期的使用においても電位ムラが少ない、直接潜像形成を行うことができる画像形成装置を実現することができる。また、本発明に係る画像形成装置では、像担持体の上部電極にトナーと同極性のバイアスを印加することにより該トナー画像を被転写材に転写するので、転写効率を向上することができる。
【0031】
本発明に係るプロセスカートリッジは、上記の構成及び効果を有する像担持体を内蔵しているので、従来の帯電工程を行う部材をなくすことができ、小型で、長期的使用においても電位ムラが少ない、直接潜像形成を行うことができるプロセスカートリッジを実現することができる。
また、このプロセスカートリッジを着脱可能に備えた画像形成装置では、上記の効果に加えて、保守やメンテナンスも容易に行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明の一実施形態を示す像担持体の構成説明図であり、(a)は像担持体の要部上面図、(b)は像担持体の側面から見た要部断面図である。
【図2】本発明の別の実施形態を示す像担持体の要部断面図である。
【図3】本発明の別の実施形態を示す像担持体の構成説明図であり、(a)は像担持体の要部上面図、(b)は像担持体の側面から見た要部断面図である。
【図4】本発明の別の実施形態を示す像担持体の要部断面図である。
【図5】本発明の別の実施形態を示す像担持体の構成説明図であり、(a)は像担持体の要部上面図、(b)は像担持体の側面から見た要部断面図である。
【図6】本発明の別の実施形態を示す像担持体の要部断面図である。
【図7】本発明の別の実施形態を示す像担持体の要部断面図である。
【図8】本発明の別の実施形態を示す像担持体の要部断面図である。
【図9】本発明の別の実施形態を示す像担持体の要部断面図である。
【図10】本発明の別の実施形態を示す像担持体の要部断面図である。
【図11】本発明の別の実施形態を示す像担持体の要部断面図である。
【図12】本発明の像担持体を用いた画像形成メカニズムを示す説明図である。
【図13】本発明の一実施形態を示す画像形成装置の概略構成図である。
【図14】本発明の像担持体の最表面にダイヤモンド状カーボン若しくは非晶質カーボン構造よりなる保護層を形成する際に用いるプラズマCVD装置の具体例の構成説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。
本発明に係る像担持体は光導電性の感光体であり、導電性支持体上に、少なくとも感光層と(または感光層と、電荷保持層と)、該感光層(または電荷保持層)を被覆している部分と被覆していない部分を有し潜像形成用の光照射時及び現像画像の転写時にバイアスが印加される上部電極と、該上部電極を含む像担持体表面を被覆する保護層とを順次積層した構造を有している。そして潜像形成用の光照射時に、前記上部電極(像担持体の保護層内に設けられた所定のパターンの電極)にバイアスが印加されることにより、潜像が形成され、潜像形成後、該潜像がトナーで現像され、その現像されたトナーを被転写材に転写する転写時に、前記上部電極に前記トナーと同極性のバイアスが印加されることにより該トナーを前記被転写材に転写する構成としている。なお、上部電極は、具体的には、ランダムなパターンまたは縞状または格子状に形成され、感光層(または電荷保持層)の表面を所定のパターンで被覆するように形成されている。
【0034】
本発明では、このような構成の像担持体を用い、潜像形成用の光照射時に、上部電極にバイアスを印加することにより、潜像を形成する画像形成プロセスを用いることにより、オゾン、窒素酸化物などの発生を引き起こす従来の帯電工程(像担持体の外部から帯電手段で電荷を付与する帯電工程)をなくし、静電潜像形成するための像担持体周りのプロセスを簡略化した画像形成方法及び画像形成装置を実現することができる。また、本発明では、像担持体の上部電極にトナーと同極性のバイアスを印加することにより該トナーを被転写材に転写するので、転写効率を向上した画像形成方法及び画像形成装置を実現することができる。
【0035】
先ず本発明の像担持体の構成例について説明する。
図1は本発明の一実施形態を示す像担持体の構成説明図であり、(a)は像担持体の要部上面図、(b)は像担持体の側面から見た要部断面図であり、本発明の像担持体の基本的な構成例を示している。この像担持体は、導電性支持体1上に感光層2、上部電極3を順次積層した構造を有する。また、図1では上部電極3の形状例を示すために保護層の図示を省略しているが、上部電極3を含む像担持体表面は、図6に示すような保護層5で被覆される。
図1に示す構成例では、上部電極3は感光層2を被覆している部分と被覆していない部分を有するように不規則(ランダム)なパターンで形成されている。
【0036】
図2は本発明の別の実施形態を示す像担持体の要部断面図であり、この像担持体は、図1の構成に加えて電荷保持層4を設けたものであり、導電性支持体1上に感光層2、電荷保持層4、上部電極3を順次積層した構造を有する。また、図2でも保護層の図示を省略しているが、上部電極3を含む像担持体表面は、図7に示すような保護層5で被覆される。尚、上部電極3は、図1(a)と同様に、電荷保持層4を被覆している部分と被覆していない部分を有するように不規則(ランダム)なパターンで形成されている。
【0037】
図3は本発明の別の実施形態を示す像担持体の構成説明図であり、(a)は像担持体の要部上面図、(b)は像担持体の側面から見た要部断面図であり、本発明の像担持体の別の構成例を示している。この像担持体は、導電性支持体1上に感光層2、縞状の上部電極3aを順次積層した構造を有する。また、図3では上部電極3aの形状例を示すために保護層の図示を省略しているが、上部電極3aを含む像担持体表面は、図6に示すように保護層5で被覆される。
図3に示す構成例では、上部電極3aは感光層2を被覆している部分と被覆していない部分を有するように縞状(規則的なストライプ状)のパターンで形成されている。
【0038】
図4は本発明の別の実施形態を示す像担持体の要部断面図であり、この像担持体は、図3の構成に加えて電荷保持層4を設けたものであり、導電性支持体1上に感光層2、電荷保持層4、縞状の上部電極3aを順次積層した構造を有する。また、図4でも保護層の図示を省略しているが、縞状の上部電極3aを含む像担持体表面は、図7に示すように保護層5で被覆される。尚、上部電極3aは、図3(a)と同様に、電荷保持層4を被覆している部分と被覆していない部分を有するように縞状(規則的なストライプ状)のパターンで形成されている。
【0039】
図5は本発明の別の実施形態を示す像担持体の構成説明図であり、(a)は像担持体の要部上面図、(b)は像担持体の側面から見た要部断面図であり、本発明の像担持体の別の構成例を示している。この像担持体は、導電性支持体1上に感光層2、格子状の上部電極3bを順次積層した構造を有する。また、図5では上部電極3bの形状例を示すために保護層の図示を省略しているが、格子状の上部電極3bを含む像担持体表面は、図6に示すように保護層5で被覆される。
図5に示す構成例では、上部電極3bは感光層2を被覆している部分と被覆していない部分を有するように規則的な格子状のパターンで形成されている。
尚、図示を省略するが、感光層2と格子状の上部電極3bの間に電荷保持層4を設けてもよい。
【0040】
図6は本発明の別の実施形態を示す像担持体の要部断面図であり、図1または図3または図5に示した構成の像担持体の最表面に保護層5を設けた状態を示している。すなわち、この像担持体は、導電性支持体1上に感光層2、上部電極(ランダム状または縞状または格子状の電極)3、保護層5を順次積層した構造を有しており、上部電極3を含む像担持体表面は保護層5により被覆されて均一化(平坦化)されている。このように、図6に示す像担持体では、最表面に保護層5を有するので、保護層5によって上部電極3の保護と、像担持体表面の均一化(平坦化)を図ることができ、上部電極3が現像部、転写部、クリーニング部などの機械的なハザードにより傷付けられることを防止できるとともに、画像ムラの発生等を防止することができる。
【0041】
図7は本発明の別の実施形態を示す像担持体の要部断面図であり、図2または図4に示した構成の像担持体の最表面に保護層5を設けた状態を示している。すなわち、この像担持体は、導電性支持体1上に感光層2、電荷保持層4、上部電極(ランダム状または縞状または格子状の電極)3、保護層5を順次積層した構造を有しており、上部電極3を含む像担持体表面は保護層5により被覆されて均一化(平坦化)されている。このように、図7に示す像担持体では、最表面に保護層5を有するので、保護層5によって上部電極3の保護と、像担持体表面の均一化(平坦化)を図ることができ、上部電極3が現像部、転写部、クリーニング部などの機械的なハザードにより傷付けられることを防止できるとともに、画像ムラの発生等を防止することができる。
【0042】
以上の図1〜7に示した像担持体では、感光層2は単層構造であり、この単層構造の感光層は、電荷発生機能と電荷輸送機能を有している。
また、感光層2は、積層構造にしてもよく、積層構造の感光層は、電荷発生機能を有する電荷発生層と、電荷輸送機能を有する電荷輸送層とから構成される。
【0043】
図8は本発明の別の実施形態を示す像担持体の要部断面図であり、感光層2を積層構造にした構成例を示している。この像担持体は、導電性支持体1上に、電荷輸送層2aと電荷発生層2bからなる感光層2を積層し、その上に上部電極(ランダム状または縞状または格子状の電極)3、保護層5を順次積層した構造を有する。
また、図9は、本発明の別の実施形態を示す像担持体の要部断面図であり、積層構造の感光層2の上に電荷保持層4を設けた構成例を示している。この像担持体は、導電性支持体1上に、電荷輸送層2aと電荷発生層2bからなる感光層2を積層し、その上に電荷保持層4、上部電極(ランダム状または縞状または格子状の電極)3、保護層5を順次積層した構造を有する。
【0044】
図10は本発明のさらに別の実施形態を示す像担持体の要部断面図であり、感光層2を図8とは逆の積層構造にした構成例を示している。この像担持体は、導電性支持体1上に、電荷発生層2bと電荷輸送層2aからなる感光層2を積層し、その上に上部電極(ランダム状または縞状または格子状の電極)3、保護層5を順次積層した構造を有する。
また、図11は、本発明の別の実施形態を示す像担持体の要部断面図であり、積層構造の感光層2の上に電荷保持層4を設けた構成例を示している。この像担持体は、導電性支持体1上に、電荷発生層2bと電荷輸送層2aからなる感光層2を積層し、その上に電荷保持層4、上部電極(ランダム状または縞状または格子状の電極)3、保護層5を順次積層した構造を有する。
【0045】
次に図12は、本発明の像担持体を用いた画像形成メカニズムを示したものである。
図12(a)に示すように、像担持体の上部電極3に例えばプラスバイアスを印加しながら、像担持体表面から光照射し、光書き込みを行う。図12(b)に示すように、露光により生成された光キャリアは、正孔(+電荷)と電子(−電荷)に分離し、上部電極3により形成された電界に従い、電子が像担持体表面側に、正孔が導電性支持体1側に移動する。その後、図12(c)に示すように、上部電極3へのバイアス印加を停止し、フロート状態もしくは接地状態とすると、感光層2の電極3に被覆されていない部分に電子が残り、静電潜像が形成される。この時のこの静電潜像部分は、マイナスに帯電している。図12(d)に示すように、この帯電している部分にプラス極性のトナーTを供給することにより、像担持体表面にトナー画像が形成される。その後、図12(e)に示すように、像担持体の上部電極3にプラスバイアスを印加すると、トナーTが像担持体表面から受ける斥力により、像担持体表面から離れ、被転写材12に転写される。この時に被転写材12にマイナスバイアスを印加すると、さらに効率的にトナーが被転写材12に転写される。ここで被転写材12とは、紙などの媒体や中間転写部材のことを言う。
【0046】
従来の電子写真方法を応用した画像形成プロセスにおける転写部での転写工程は、トナーの逆極性バイアスを被転写材に印加することにより、効率的な転写を行ってきたが、本発明の方式では、さらに像担持体の上部電極3に対しても、トナーTと同極性のバイアスを印加することにより、トナー転写性がさらに向上することが明らかとなった。また、トナーの転写性向上により、白抜け画像などの異常画像の発生が抑制されることが明らかとなった。
なお、図12は画像形成メカニズムを説明する一例であり、上部電極3にはマイナスバイアスを印加することも可能である。また、トナーTの極性、転写部での上部電極3の極性もプロセスに合わせて変更できる。また、図示を省略しているが、上部電極3に印加するバイアスのON/OFFや極性は、バイアス電源に設けたスイッチング回路等により制御される。
【0047】
以下、本発明による像担持体の構成をより詳しく説明する。
本発明の像担持体は、導電性支持体1上に、少なくとも、感光層2と、該感光層2を被覆している部分と被覆していない部分を有する上部電極(ランダム状または縞状または格子状の電極)3と、保護層5を順次積層した構成のものであればよく、その他の層等が任意に組み合わされていても構わない。
【0048】
<導電性支持体について>
導電性支持体1としては、体積抵抗1010Ω・cm以下の導電性を示すもの、例えば、アルミニウム、ニッケル、クロム、ニクロム、銅、金、銀、白金などの金属、酸化スズ、酸化インジウムなどの金属酸化物を蒸着またはスパッタリングにより、フィルム状もしくは円筒状のプラスチック、紙に被覆したもの、あるいはアルミニウム、アルミニウム合金、ニッケル、ステンレスなどの板及びそれらを押し出し、引き抜きなどの工法で素管化後、切削、超仕上げ、研摩などの表面処理を施した管などを使用することができる。また、特許文献8(特開昭52−36016号公報)に開示されたエンドレス・ニッケルベルト、エンドレス・ステンレスベルトも導電性支持体として用いることができる。
この他、上記支持体上に導電性粉体を適当なバインダー樹脂に分散して塗工したものについても、本発明の導電性支持体として用いることができる。
【0049】
この導電性粉体としては、カーボンブラック、アセチレンブラック、また、アルミニウム、ニッケル、鉄、ニクロム、銅、亜鉛、銀などの金属粉、あるいは導電性酸化スズ、ITOなどの金属酸化物粉体などが挙げられる。また、同時に用いられるバインダー樹脂には、ポリスチレン、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、ポリエステル、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリアリレート樹脂、フェノキシ樹脂、ポリカーボネート、酢酸セルロース樹脂、エチルセルロース樹脂、ポリビニルブチラール、ポリビニルホルマール、ポリビニルトルエン、ポリ−N−ビニルカルバゾール、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂、フェノール樹脂、アルキッド樹脂などの熱可塑性、熱硬化性樹脂または光硬化性樹脂が挙げられる。このような導電性層は、これらの導電性粉体とバインダー樹脂を適当な溶剤、例えば、テトラヒドロフラン、ジクロロメタン、メチルエチルケトン、トルエンなどに分散して塗布することにより設けることができる。
さらに、適当な円筒基体上にポリ塩化ビニル、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリスチレン、ポリ塩化ビニリデン、ポリエチレン、塩化ゴム、テフロン(登録商標)などの素材に前記導電性粉体を含有させた熱収縮チューブによって導電性層を設けてなるものも、本発明の導電性支持体として良好に用いることができる。
【0050】
<感光層について>
次に感光層2について説明する。感光層2は単層構造でも積層構造でもよい。
図1〜7に示した像担持体のような単層構造の感光層の場合には、感光層2は電荷発生機能と電荷輸送機能を同時に有する層である。また、図8〜11に示した像担持体のような積層構造の感光層の場合には、感光層2は電荷発生機能を有する電荷発生層2bと電荷輸送機能を有する電荷輸送層2aとから構成される。
以下、単層構造の感光層及び積層構造の感光層のそれぞれについて述べる。
【0051】
<感光層が単層構造のもの>
単層構造の感光層2は電荷発生機能と電荷輸送機能を同時に有する層である。感光層は、電荷発生機能を有する電荷発生物質と電荷輸送機能を有する電荷輸送物質とバインダー樹脂を適当な溶媒に溶解ないし分散し、これを塗布、乾燥することによって形成できる。また、必要により酸化防止剤、可塑剤、レベリング剤等を添加することもできる。電荷発生物質としては、無機系材料と有機系材料を用いることができる。
【0052】
無機系材料には、結晶セレン、アモルファス・セレン、セレン−テルル、セレン−テルル−ハロゲン、セレン−ヒ素化合物や、アモルファス・シリコン等が挙げられる。アモルファス・シリコンにおいては、ダングリングボンドを水素原子、ハロゲン原子でターミネートしたものや、ホウ素原子、リン原子等をドープしたものが良好に用いられる。
【0053】
一方、有機系材料としては、公知の材料を用いることができる。例えば、金属フタロシアニン、無金属フタロシアニン等のフタロシアニン系顔料、アズレニウム塩顔料、スクエアリック酸メチン顔料、カルバゾール骨格を有するアゾ顔料、トリフェニルアミン骨格を有するアゾ顔料、ジフェニルアミン骨格を有するアゾ顔料、ジベンゾチオフェン骨格を有するアゾ顔料、フルオレノン骨格を有するアゾ顔料、オキサジアゾール骨格を有するアゾ顔料、ビススチルベン骨格を有するアゾ顔料、ジスチリルオキサジアゾール骨格を有するアゾ顔料、ジスチリルカルバゾール骨格を有するアゾ顔料、ペリレン系顔料、アントラキノン系または多環キノン系顔料、キノンイミン系顔料、ジフェニルメタン及びトリフェニルメタン系顔料、ベンゾキノン及びナフトキノン系顔料、シアニン及びアゾメチン系顔料、インジゴイド系顔料、ビスベンズイミダゾール系顔料などが挙げられる。これらの電荷発生物質は、単独または2種以上の混合物として用いることができる
【0054】
電荷輸送物質としては、正孔輸送物質と電子輸送物質とがある。
電子輸送物質としては、例えばクロルアニル、ブロムアニル、テトラシアノエチレン、テトラシアノキノジメタン、2,4,7−トリニトロ−9−フルオレノン、2,4,5,7−テトラニトロ−9−フルオレノン、2,4,5,7−テトラニトロキサントン、2,4,8−トリニトロチオキサントン、2,6,8−トリニトロ−4H−インデノ〔1,2−b〕チオフェン−4−オン、1,3,7−トリニトロジベンゾチオフェン−5,5−ジオキサイド、ジフェノキノン誘導体などの電子受容性物質が挙げられる。これらの電子輸送物質は、単独または2種以上の混合物として用いることができる。
【0055】
正孔輸送物質としては、以下に表わされる電子供与性物質が挙げられ、良好に用いられる。正孔輸送物質としては、オキサゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、モノアリールアミン誘導体、ジアリールアミン誘導体、トリアリールアミン誘導体、スチルベン誘導体、α−フェニルスチルベン誘導体、ベンジジン誘導体、ジアリールメタン誘導体、トリアリールメタン誘導体、9−スチリルアントラセン誘導体、ピラゾリン誘導体、ジビニルベンゼン誘導体、ヒドラゾン誘導体、インデン誘導体、ブタジェン誘導体、ピレン誘導体等、ビススチルベン誘導体、エナミン誘導体等、その他公知の材料が挙げられる。これらの正孔輸送物質は、単独または2種以上の混合物として用いることができる。
【0056】
バインダー樹脂としては、ポリスチレン、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、ポリエステル、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリアリレート樹脂、フェノキシ樹脂、ポリカーボネート、酢酸セルロース樹脂、エチルセルロース樹脂、ポリビニルブチラール、ポリビニルホルマール、ポリビニルトルエン、ポリ−N−ビニルカルバゾール、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂、フェノール樹脂、アルキッド樹脂等の熱可塑性または熱硬化性樹脂が挙げられる。
また、必要により酸化防止剤、可塑剤、レベリング剤を添加することもできる。
【0057】
感光層の作製方法としては、浸漬塗工法やスプレーコート、ビードコート、リングコート法などが挙げられる。これらの塗工液は、上述した無機系もしくは有機系電荷発生物質を必要ならばバインダー樹脂と共にテトラヒドロフラン、ジオキサン、ジオキソラン、トルエン、ジクロロメタン、モノクロロベンゼン、ジクロロエタン、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、アニソール、キシレン、メチルエチルケトン、アセトン、酢酸エチル、酢酸ブチル等の溶媒を用いてボールミル、アトライター、サンドミル、ビーズミル等により分散し、分散液を適度に希釈して塗布することにより、形成できる。
【0058】
感光層の膜厚は、5〜50μm程度が適当であり、好ましくは10〜35μm程度が適当である。
感光層中に含有される電荷発生物質は感光層全量に対し1〜30重量%が好ましく、感光層に含有されるバインダー樹脂は全量の20〜80重量%、電荷輸送物質は10〜70重量%が良好に用いられる。
【0059】
<感光層が積層構造のもの>
(電荷発生層について)
電荷発生層2bは、電荷発生機能を有する電荷発生物質を主成分とする層で、必要に応じて前述のバインダー樹脂を併用することもできる。電荷発生物質としては、前述した無機系材料と有機系材料を用いることができる。また、必要により前述の可塑剤、レベリング剤を添加することもできる。
【0060】
電荷発生層2bを形成する方法には、真空薄膜作製法と溶液分散系からの浸漬塗工法やスプレーコート、ビードコート、リングコート法などが使用できる。
真空薄膜作製法には、真空蒸着法、グロー放電分解法、イオンプレーティング法、スパッタリング法、反応性スパッタリング法、CVD法等が用いられる。
以上のようにして設けられる電荷発生層の膜厚は、0.01〜5μm程度が適当であり、好ましくは0.05〜2μmである。
【0061】
(電荷輸送層について)
電荷輸送層2aは電荷輸送機能を有する電荷輸送物質、バインダー樹脂を主成分とする層である。電荷輸送物質としては、前述の正孔輸送物質及び電子輸送物質を用いることが出来、バインダー樹脂をしては、前述のバインダー樹脂が使用できる。また、必要により前述の酸化防止剤、可塑剤、レベリング剤を添加することもできる。
電荷輸送層2aは、好ましくは両極性の電荷を輸送できることが好ましく、この場合は、バインダー樹脂中に正孔輸送物質、電子輸送物質を両方とも含有する。
【0062】
電荷輸送層2aを形成する方法には、浸漬塗工法やスプレーコート、ビードコート、リングコート法などの方法が使用できる。
電荷輸送層の膜厚としては、5〜50μm程度が適当であり、好ましくは10〜35μm程度が適当である。
電荷発生層2b及び電荷輸送層2aは、導電性支持体1上に、電荷発生層2b、電荷輸送層2aの順で積層されていても、電荷輸送層2a、電荷発生層2bの順で積層されていても構わない。
【0063】
<上部電極について>
本発明の像担持体における上部電極3は、バイアス印加することにより、感光層2に対して、電界を形成する層である。上部電極3の材料は、導電性材料であれば特に限定されず、白金、金、銀、ニッケル、クロム、銅、鉄、錫、アンチモン、鉛、タンタル、インジウム、アルミニウム、亜鉛、マグネシウム等、及びこれらの合金やインジウム・錫酸化物等の導電性金属酸化物、あるいはドーピング等で導電率を向上させた無機及び有機半導体、例えば、シリコン単結晶、ポリシリコン、アモルファスシリコン、ゲルマニウム、グラファイト、ポリアセチレン、ポリパラフェニレン、ポリチオフェン、ポリピロール、ポリアニリン、ポリチエニレンビニレン、ポリパラフェニレンビニレン、ポリエチレンジオキシチオフェンとポリスチレンスルホン酸の錯体等が挙げられる。
【0064】
上部電極3の形成方法としては、上記材料を原料として蒸着やスパッタリング等の方法を用いて形成した導電性薄膜を、公知のフォトリソグラフ法やリフトオフ法を用いて所定のパターン(ランダム状、縞状、格子状等)の電極に形成する方法、アルミニウムや銅等の金属箔上に熱転写、インクジェット等によるレジストを用いて所定のパターン(ランダム状、縞状、格子状等)にエッチングする方法がある。また、導電性ポリマーの溶液あるいは分散液、導電性微粒子分散液を用いて直接インクジェットにより所定のパターン(ランダム状、縞状、格子状等)にパターニングしても良いし、塗工膜からリソグラフィーやレーザーアブレーション等により所定のパターン(ランダム状、縞状、格子状等)に形成しても良い。さらに導電性ポリマーや導電性微粒子を含むインク、導電性ペースト等を凸版、凹版、平版、スクリーン印刷等の印刷法で所定のパターン(ランダム状、縞状、格子状等)にパターニングする方法も用いることができる。
【0065】
本発明の像担持体の上部電極3は、感光層2(または電荷保持層4)の表面を完全に覆うものではなく、被覆されている部分と被覆されていない部分を有する。全体の表面積に対して被覆されている部分の被服率は、5〜80%程度であり、好ましくは10〜50%程度である。被覆されている部分の電極形状は、図1に示したような不規則(ランダム状)な形状でも構わないが、好ましくは図3に示したような縞状(規則的なストライプ状)、さらに好ましくは図5に示したような規則的な格子状である。縞状電極3aの場合、電極間距離は、5μm〜100μmであり、好ましくは5〜20μmである。格子状電極3bの場合も同様で、平行する電極の電極間距離は、5μm〜100μmであり、好ましくは5〜20μmである。また、これらの電極の膜厚は、0.01μm〜5.00μmであり、好ましくは0.02〜0.50μmである。
【0066】
上部電極3へのバイアス印加は、像担持体端部(例えばエンドレスベルト状の像担持体の場合は幅方向の両端部、ドラム状の像担持体の場合は軸方向の両端部)で行い、バイアス電源にスイッチング回路等を介して接続された導電性ローラや導電性ブラシ等の導電性部材を電極に押し当てることにより、バイアスを供給する。
【0067】
<電荷保持層について>
図2、図4、図7、図9、図11に示した構成の像担持体の感光層2上に設けられる電荷保持層4は、静電潜像形成時に効率的に電荷を保持することを目的として設けられる。ここで言う電荷保持層4は、電荷輸送能がないことが好ましいが、前述した感光層2、電荷輸送層2aよりも電荷輸送能が低ければ構わない。
電荷保持層4は、前述した感光層2のバインダー樹脂材料を用いることが出来る。また必要に応じて、酸化防止剤、可塑剤、レベリング剤を添加することもできる。
電荷保持層4の膜厚は、0.2〜5.0μm程度が適当であり、好ましくは0.5〜2.5μm程度が適当である。
【0068】
<保護層について>
上部電極3上に設けられる保護層5は、上部電極3を保護するとともに、像担持体表面を均一化(平坦化)する目的で設けられる。保護層5は静電潜像形成に対して、直接、影響を与えるものではない。しかし、本発明の像担持体は、上部電極3が現像部、転写部、クリーニング部などの機械的なハザードにより消失した場合、基本的な静電潜像の形成が出来なくなる。前述したように、感光層(または電荷保持層)上の上部電極3は薄い膜であるため、これらの機械的ハザードに対して弱く、実質的に使用するためには保護層5を設ける必要がある。但し、上部電極3へバイアスを印加する像担持体端部には保護層を設けない。
【0069】
保護層5としては、電荷保持層4と同じバインダー樹脂材料を用いることが出来る。また好ましくは、ウレタン樹脂やアクリル樹脂などの3次元架橋樹脂を用いた膜、樹脂中にフィラーを分散させた膜、ダイヤモンド状カーボン若しくは非晶質カーボン構造である膜が用いられる。
特にダイヤモンド状カーボン若しくは非晶質カーボン構造を有する保護層が好ましい。ダイヤモンド状カーボン若しくは非晶質カーボン構造を有する保護層は、好ましくはSP3軌道を有するダイヤモンドと類似のC−C結合を有する方が望ましい。なお、SP2軌道を有するグラファイトと類似の構造を持つ膜でも構わないし、更に非晶質性のものでも構わない。
ダイヤモンド状カーボン若しくは非晶質カーボン構造を有する保護層は、抵抗制御、光透過性制御、機械物性制御などを行うために、窒素、フッ素、硼素、リン、塩素、臭素、沃素などの添加物元素が含有されていても構わない。
【0070】
ダイヤモンド状カーボン若しくは非晶質カーボン構造を有する保護層を作製するときには、炭化水素ガス(メタン、エタン、エチレン、アセチレン等)を主材料として、H2、Ar等のキャリアガスを用いる。さらに、添加物元素を供給するガスとしては、減圧下で気化できるもの、加熱することにより気化できるものであれば構わない。例えば窒素を供給するガスとしてNH3、N2等を用い、フッ素を供給するガスとしてC2F6、CH3F等を用い、硼素を供給するガスとしてはB2H6等を用い、リンを供給するガスとしてはPH3等を用い、塩素を供給するガスとしてはCH3Cl、CH2Cl2、CHCl3、CCl4等を用い、臭素を供給するガスとしてはCH3Br等を用い、沃素を供給するガスとしては、CH3I等を用いることができる。また、添加物元素を複数供給するガスとしては、NF3、BCl3、BBr、BF3、PF3、PCl3等を用いる。
【0071】
ダイヤモンド状カーボン若しくは非晶質カーボン構造を有する保護層5は、上記のようなガスを用い、プラズマCVD法、グロー放電分解法、光CVD法などやグラファイト等をターゲットとしたスパッタリング法等により形成される。特にその製膜法は限定されるものではないが、保護層として良好な特性を有する炭素を主成分とする膜を形成する方法として、プラズマCVD法でありながらスパッタ効果を伴わせつつ製膜させる方法(例えば特許文献9(特開昭58−49609号公報))等が知られている。
【0072】
プラズマCVD法を利用した炭素を主成分とする保護層の製膜法では、支持体を特に加熱する必要がなく、約150℃以下の低温で被膜を形成できるため、耐熱性の低い有機系感光層上に保護層を形成する際にも、何ら支障がないというメリットがある。
ダイヤモンド状カーボン若しくは非晶質カーボン構造を有する保護層の膜厚は、0.5μm以上3.0μm以下であることが望ましい。
【0073】
また、特に樹脂中にフィラーを分散させた保護層5は好ましい。保護層5に添加されるフィラーは、有機系及び無機系のフィラーがある。
有機系フィラーとしては、ポリテトラフルオロエチレンのようなフッ素樹脂フィラー、シリコ−ン樹脂フィラー、炭素を主成分とするフィラー等が挙げられ、無機系フィラー材料としては、銅、スズ、アルミニウム、インジウムなどの金属粉末、酸化珪素、シリカ、酸化錫、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化インジウム、酸化アンチモン、酸化ビスマス、アンチモンをド−プした酸化錫、錫をド−プした酸化インジウム等の金属酸化物、チタン酸カリウムなどの無機材料が挙げられる。特に、この中でも無機材料もしくは炭素を主成分とするフィラー材料を用いることが有利である。特に無機材料では金属酸化物が良好であり、さらには、酸化珪素、酸化アルミニウム、酸化チタン等が有効に使用できる。さらに炭素を主成分とするフィラーでは、ダイヤモンドフィラーが有効に使用できる。
【0074】
保護層のフィラー濃度は、高いほど耐摩耗性が高いので良好であるが、書き込み光透過率が低下し、副作用を生じる場合がある。従って、概ね全固形分に対して、50重量%以下、好ましくは30重量%以下である。その下限値は、通常、5重量%である。
樹脂中にフィラーを分散させた保護層の膜厚は、0.5μm以上10μm以下が適当であり、好ましくは1.0μm以上6.0μm以下である。
【0075】
<下引き層について>
本発明の像担持体においては、感光層2との接着性、モアレ防止を目的として、導電性支持体1と感光層2との間に下引き層を設けることができる。下引き層は一般には樹脂を主成分とするが、これらの樹脂はその上に感光層を溶剤で塗布することを考えると、一般の有機溶剤に対して耐溶剤性の高い樹脂であることが望ましい。このような樹脂としては、ポリビニルアルコール、カゼイン、ポリアクリル酸ナトリウム等の水溶性樹脂、共重合ナイロン、メトキシメチル化ナイロン等のアルコール可溶性樹脂、ポリウレタン、メラミン樹脂、フェノール樹脂、アルキッド−メラミン樹脂、エポキシ樹脂等、三次元網目構造を形成する硬化型樹脂等が挙げられる。また、酸化チタン、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、酸化スズ、酸化インジウム等の金属酸化物フィラーを加えてもよい。
【0076】
この下引き層は前述の各層の如く適当な溶媒、塗工法を用いて形成することができる。さらに本発明では、下引き層として、シランカップリング剤、チタンカップリング剤、クロムカップリング剤等を使用することもできる。この他、下引き層には、Al2O3を陽極酸化にて設けたものや、ポリパラキシリレン(パリレン)等の有機物やSiO2、SnO2、TiO2、ITO、CeO2等の無機物を真空薄膜作成法にて設けたものも良好に使用できる。この他にも公知のものを用いることができる。下引き層の膜厚は0.1〜5.0μmが適当である。
【0077】
次に図面を用いて本発明の画像形成方法及び画像形成装置について詳しく説明する。
図13は、本発明の画像形成装置の一実施形態を説明するための概略構成図である。この画像形成装置は、駆動ローラと従動ローラからなる複数のローラに張架されたエンドレスベルト状の像担持体6の周囲に、潜像形成手段である潜像形成部(露光部7とバイアス印加手段(図示省略))、現像手段である現像部8、転写手段である転写部9、クリーニング手段であるクリーニング部10、除電手段である除電部11を配置したものであり、以下の(I)〜(IV)のような画像形成プロセスで画像形成を行う。
【0078】
(I) 潜像形成部で像担持体6の上部電極3にバイアスを印加し、露光部7より画像データに応じた光照射を行い、光書き込みを行う。光書き込み後も像担持体6の上部電極3へバイアスを印加し、静電潜像を形成する。
(II)像担持体6へのバイアス印加を停止し、現像部8において静電潜像をトナーで現像する。
(III)像担持体6の上部電極3に再度バイアスを印加し、像担持体6に現像されたトナー像を転写部9で紙等の被転写材12に転写する。
(IV)像担持体6表面に残存するトナーをクリーニング部10でクリーニングし、像担持体6表面の残存電位を除電部11で除電する。
【0079】
ここで像担持体6は、図1〜図11を参照して説明した構成の像担持体を使用する。
光書き込みを行う露光部7は、光源として半導体レーザ(LD)もしくは発光ダイオード(LED)を用いた露光装置で構成され、より詳しくは、LD光源と光偏向器と走査結像光学系からなる光走査式の露光装置、または、アレイ状に配列されたLED光源(LEDアレイ)と等倍結像光学系(例えばマイクロレンズアレイ、ロッドレンズアレイ等)からなる露光装置、で構成される。
【0080】
(I) の工程でのバイアス印加は、像担持体6の幅方向の末端部において、図示省略のバイアス印加手段(バイアス電源にスイッチング回路等を介して接続された、導電性ローラ、導電性ブラシ等の導電性部材)で上部電極3にバイアスを印加する。このときのバイアスは、プラスでもマイナスでも構わない。
(II)の工程では、バイアス印加を停止し、フロート及び接地状態とし、静電潜像を形成し、現像部8で、トナー像を形成する。
【0081】
(III)の工程では、図示省略のバイアス印加手段(バイアス電源にスイッチング回路等を介して接続された、導電性ローラ、導電性ブラシ等の導電性部材)で上部電極3にトナーと同極性のバイアスを印加して、像担持体6に現像されたトナー像を転写部9で紙等の被転写材12に転写する。この時に被転写材12にトナーと逆極性のバイアスを印加すると、さらに効率的にトナーが被転写材12に転写される。
なお、被転写材10とは、直接転写方式においては、紙などの転写媒体を意味し、間接転写方式においては、中間転写ベルトなどを意味する。すなわち、転写部9で直接紙等の転写媒体にトナー像を転写しても構わないし、中間転写部材を介して紙等の転写媒体にトナー像を転写しても構わない。
【0082】
(IV)の工程では、クリーニング部10は、ブレードクリーニング、ブラシクリーニングなどのクリーニング手段で、像担持体6表面に残存するトナーをクリーニングする。また、除電部11では、光照射により、像担持体6表面を除電するか、もしくは(I) の工程で印加したバイアスとは逆極性のバイアスを印加することにより、像担持体6表面を除電する。
【0083】
なお、図13では図示を省略しているが、この画像形成装置には、紙等の転写媒体を収納し、上記の画像形成プロセスにタイミングを合わせて給紙する給紙部や、紙等の転写媒体に転写されたトナー像を定着する定着部、定着後の転写媒体を排紙する排紙部等が設けられている。
【0084】
本発明の像担持体を用いる画像形成プロセスは、上記の一例に限定されるものではなく、導電性支持体1上に、少なくとも、感光層2(または感光層2と電荷保持層4)、該感光層2(または電荷保持層4)を被覆している部分と被覆していない部分を有する上部電極(具体的には、ランダムなパターンまたは縞状または格子状に形成され、感光層(または電荷保持層)の表面を所定のパターンで被覆するように形成された上部電極)3、保護層5を順次積層した像担持体6を用いて、少なくとも光照射時に像担持体6の上部電極3にバイアスを印加し、静電潜像を形成し、その後、転写部9で再度像担持体6の上部電極3にバイアスを印加し、現像部8で現像されたトナーを被転写材12に転写する工程があればよい。
このような画像形成プロセスを行う画像形成方法及び画像形成装置とすることにより、従来の電子写真プロセスの帯電工程で発生していた窒素酸化物(NOx)、オゾンなどの放電生成物がなくなり、また帯電工程の帯電部材がないことから、小型化が可能であり、長期的に画像安定性に優れた画像形成方法及び画像形成装置を実現することができる。
【0085】
以上に示すような画像形成方法及び画像形成装置は、複写装置、ファクシミリ、プリンター、あるいはこれらの複合機等の画像形成部に固定して組み込まれていてもよいが、プロセスカートリッジの形でそれら装置内に組み込まれていてもよい。
プロセスカートリッジとは、カートリッジ内に像担持体を内蔵し、他に潜像形成手段、現像手段、転写手段、クリーニング手段、除電手段等のうちの少なくとも一つを含んだ構成の1つの装置(部品)であり、画像形成装置本体に対して着脱可能に設けられている。このプロセスカートリッジは取り外しや交換が容易であり、リサイクルもし易いので、画像形成装置の保守やメンテナンスが容易となり、また、環境保護の面でも利点がある。
【0086】
本発明では、以上に説明したような像担持体、画像形成方法、画像形成装置、プロセスカートリッジを用いることにより、オゾン、NOx生成物を発生する放電を伴う従来の帯電工程(像担持体の外部から帯電手段で電荷を付与する帯電工程)をなくし、潜像形成工程を簡略化できるので、前述の特許文献7に記載の先行技術と比較して、光照射時にバイアスを印加する機構の小型化が可能となる。
さらに、特許文献7に記載のような透明性の外部バイアス印加部材により、外部より像担持体表面にバイアス印加を行う場合は、像担持体表面と外部のバイアス印加部材との間に、異物(トナー、現像剤、紙粉など)が介在することがあり、これにより、バイアス印加が不均一となり、濃度ムラが発生する可能性や、像担持体表面が傷つく恐れがあるが、本発明の像担持体では、感光層2(または電荷保持層4)上に所定のパターンの上部電極3を形成し、像担持体端部を除いた像担持体表面を保護層5で被覆し、上部電極へのバイアス印加は像担持体端部で行う構成としていることにより、このような上部電極及びそれ以下の層との間には異物付着は起こらず、常に均一なバイアス印加が行えることから、濃度ムラなどの悪影響を及ぼすことはない。また、像担持体表面が傷つく恐れもない。さらに転写部で、像担持体の上部電極にバイアスを印加することにより、像担持体から被転写材にトナーを転写するため、転写効率が向上し、異常画像の発生が減少する。
【実施例】
【0087】
以下、本発明の像担持体を具体的な実施例により説明するが、これにより本発明の態様が限定されるものではない。
【0088】
{実施例各層の塗工液条件}
[感光層(単層)塗工液]
・ビスフェーノルZ型ポリカーボネート(パンライトTS2050:帝人化成社製)。
・下記の[化1]に示す構造の正孔輸送物質。
・下記の[化2]に示す構造の電子輸送物質。
・オキソチタニウムフタロシアニン顔料。
・テトラヒドロフラン。
【0089】
【化1】
【0090】
【化2】
【0091】
<混合比(重量)>
ポリカーボネート/正孔輸送物質/電子輸送物質/オキソチタニウムフタロシアニン/テトラヒドロフラン=10/5/4/1/80
【0092】
[感光層(積層)の電荷輸送層塗工液]
・ビスフェーノルZ型ポリカーボネート(パンライトTS2050:帝人化成社製)。
・下記の[化3]に示す構造の正孔輸送物質。
・下記の[化4]に示す構造の電子輸送物質。
・テトラヒドロフラン。
【0093】
【化3】
【0094】
【化4】
【0095】
<混合比(重量)>
ポリカーボネート/正孔輸送物質/電子輸送物質/テトラヒドロフラン=10/7/3/80
【0096】
[感光層(積層)の電荷発生層塗工液]
・オキソチタニウムフタロシアニン顔料。
・ブチラール樹脂(エスレックBMS:積水化学社製)。
・テトラヒドロフラン。
・シクロヘキサノン。
【0097】
<混合比(重量)>
オキソチタニウムフタロシアニン顔料/ブチラール樹脂/テトラヒドロフラン/シクロヘキサノン=5/2/100/100
【0098】
[電荷保持層及び保護層(1) 塗工液]
・共重合ナイロン樹脂(CM8000:東レ製)。
・メチルアルコール。
・イソブチルアルコール。
【0099】
<混合比(重量)>
ナイロン樹脂/メチルアルコール/イソブチルアルコール=4.5/80/15.5
【0100】
[保護層(2) 塗工液]
・イソシアネート(タケネートD140N:三井武田ケミカル社製)。
・ポリオール(LZR170:藤倉化成社製)。
・アセトン。
・セロソルブアセテート。
・メチルイソブチルケトン。
【0101】
<混合条件>
NCO/OH比=1.0
イソシアネート+ポリオール/アセトン/セロソルブアセテート/メチルイソブチルケトン=10/40/40/10
【0102】
[保護層(3) 塗工液]
・イソシアネート(タケネートD140N:三井武田ケミカル製)。
・ポリオール(LZR170:藤倉化成製)。
・酸化チタン(CR−EL:石原産業製)。
・アセトン。
・セロソルブアセテート。
・メチルイソブチルケトン。
【0103】
<混合条件>
NCO/OH比=1.0
イソシアネート+ポリオール/酸化チタン/アセトン/セロソルブアセテート/メチルイソブチルケトン=8/2/40/40/10
【0104】
{実施例各層の塗工条件}
[感光層(単層)]
塗工方法:ディッピング。
膜厚:30μm。
乾燥:加熱乾燥(130℃、20分)。
【0105】
[感光層(積層)の電荷輸送層]
塗工方法:ディッピング。
膜厚:30μm。
乾燥:加熱乾燥(130℃、20分)。
【0106】
[感光層(積層)の電荷発生層]
塗工方法:スプレー。
膜厚:2.0μm。
乾燥:加熱乾燥(110℃、20分)。
【0107】
[電荷保持層]
塗工方法:ディッピング。
膜厚:2.0μm。
乾燥:加熱乾燥(100℃、20分)。
【0108】
[保護層(1) ]
塗工方法:スプレー。
膜厚:2.0μm。
乾燥:加熱乾燥(100℃、20分)。
【0109】
[保護層(2) ]
塗工方法:スプレー。
膜厚:2.0μm。
乾燥:加熱乾燥(150℃、20分)。
【0110】
[保護層(3) ]
塗工方法:スプレー。
膜厚:2.0μm。
乾燥:加熱乾燥(150℃、20分)。
【0111】
[上部電極(1) の製膜条件]
製膜法:真空蒸着法(マスク)。
蒸着源:アルミニウム。
電極パターン:縞状電極(電極間距離30μm、電極幅20μm)。
【0112】
[上部電極(2) の製膜条件]
製膜法:真空蒸着法(蒸着後、エキシマレーザーによる加工)。
蒸着源:アルミニウム。
電極パターン:格子状電極(電極間距離25μm、電極幅20μm)。
【0113】
[保護層(4) の製膜条件]
より具体的な実施例として保護層(4) の製膜条件を以下に示す。
基体を図14に示すような構成のプラズマCVD装置にセットし、保護層を形成した。ここで図14中、符号107はプラズマCVD装置の真空槽であり、ゲート弁109によりロード/アンロード用予備室117と仕切られている。真空槽107内は排気系120(圧力調整バルブ121、ターボ分子ポンプ122、ロータリーポンプ123よりなる)により真空排気され、また一定圧力に保たれるようになっている。
真空槽107内には反応槽150が設けられている。130(131〜134)は反応槽150内へ導入するガスラインを示しており、図示しない各種材料ガス容器が接続されており、それぞれ流量計129を経てノズル125より反応槽150の中へ導入される。
【0114】
枠状構造体102中には、導電性支持体上に前記感光層(または前記感光層と電荷保持層)と上部電極を形成した基体101(101−1、101−2・・・101−n)を配置する。なお、このそれぞれの支持体は、後述するように第三の電極として配置される。電極103、113には、それぞれ第一の交番電圧を印加するための一対の電源115(115−1、115−2)が用意されている。第一の交番電圧の周波数は、1〜100MHzである。これらの電源は、それぞれマッチングトランス116−1、116−2とつながる。このマッチングトランスでの位相は位相調整器126により調整し、互いに180°又は0°ずれて供給できる。即ち、対称型又は同相型の出力を有している。マッチングトランスの一端104及び他端114は、それぞれ第一及び第二の電極103、113に連結されている。また、トランスの出力側中点105は接地レベルに保持されている。更に、この中点105と第三の電極、即ち基体101(101−1、101−2・・・101−n)又はそれらに電気的に連結するホルダ102の間に第二の交番電圧を印加するための電源119が配設されている。この第二の交番電圧の周波数は、1〜500KHzである。この第一及び第二の電極に印加する第一の交番電圧の出力は、13.56MHzの周波数の場合0.1〜1KWであり、第三の電極、即ち支持体に印加する第二の交番電圧の出力は、150KHzの周波数の場合、約100Wである。
【0115】
以下の条件で、保護層(4) を製膜した。
・C2H4流量:90sccm。
・H2流量:150sccm。
・NF3流量:45sccm。
・反応圧力:0.02torr。
・第一の交番電圧出力:200W、13.56MHz。
・バイアス電圧(直流分):−100V。
・膜厚:2.0μm。
【0116】
下記の表1に示すように、上記の各層を組み合わせて、実施例1〜9の像担持体(像担持体1〜9)を作製した。
【0117】
【表1】
【0118】
[基本評価装置]
・ベース:(株)リコー製イマジオMF7070
・潜像形成部:書き込み780nmLD、像担持体上部電極印加バイアス(+600V)
・現像部:電源を改造し、プラス極性トナー用に改造
・トナー:プラス極性トナー
・転写部:転写部材にマイナス極性のバイアス印加(−200V)
【0119】
このような画像形成装置を用いて、像担持体1〜4に関しては初期画像評価のみを行い、像担持体5〜9に関しては、画像面積率が6%となるようなA4サイズ(横)のテストチャートを連続で2万枚まで印刷(プリント)した。
初期(印刷スタート時)と1万枚印刷後、及び2万枚印刷後において以下の項目について評価を行なった。実施例及び比較例として、転写部で像担持体の上部電極に転写バイアス(+100V or 0V)を印加した。
【0120】
<画像評価>
日本画像学会発行のテストチャートNO.3を用いて、ハーフトーン、細線、白抜け等の画像評価を目視にて行った。
・ハーフトーン:○良好、×局所的なムラが発生。
・細線再現性:○良好、△局所的に画像流れ発生、×全体的に画像流れ発生。
・白抜け:○良好、×細線部に白抜け画像(トナー未定着部)局所的に発生。
像担持体1〜4の画像評価結果を下記の表2に示し、像担持体5〜9の画像評価結果を下記の表3に示す。
【0121】
<摩耗量測定>
像担持体5〜9の摩耗量は、感光体上の20点の膜厚を渦電流式膜厚計(FisherscopeMMS)で測定し、初期からの膜厚減少量を求めた。摩耗量測定結果を下記の表4に示す。なお、像担持体5は通紙試験中に保護層が消失したので評価を中止した。
【0122】
【表2】
【0123】
【表3】
【0124】
【表4】
【0125】
以上の評価の結果、実施例7〜9の像担持体では、2万枚通紙後もハーフトーン、細線再現性ともに良好であり、摩耗量も0.6μm以下であり、実用性の確認ができた。
【符号の説明】
【0126】
1:導電性支持体
2:感光層
2a:電荷輸送層
2b:電荷発生層
3:上部電極
3a:縞状電極
3b:格子状電極
4:電荷保持層
5:保護層
6:像担持体
7:露光部
8:現像部
9:転写部
10:クリーニング部
11:除電部
101−1〜101−n:支持体
102:枠状構造体
103、113:電極
104、114:マッチングトランスの端部
105:トランス出力側中点
107:真空槽
108、118:フード
109:ゲート弁
115:電源
116−1、116−2:マッチングトランス
117:ロード/アンロード用予備室
119:電源
120:排気系統
121:調整バルブ
122:ターボ分子ポンプ
123:ロータリーポンプ
125:ガス導入ノズル
126:位相調整器
129:流量計
130〜134:ガスライン
140:交番電源系
150:反応槽
【先行技術文献】
【特許文献】
【0127】
【特許文献1】特開平06−003921号公報
【特許文献2】特開平8−76559号公報
【特許文献3】特開平8−76559号公報
【特許文献4】特開平9−26681号公報
【特許文献5】特許第3895514号公報
【特許文献6】特許第3566275号公報
【特許文献7】特開2007−178816号公報
【特許文献8】特開昭52−36016号公報
【特許文献9】特開昭58−49609号公報
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子写真方法を応用した画像形成プロセスに用いられる像担持体と、その像担持体を用いた画像形成方法、画像形成装置並びにプロセスカートリッジに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、「電子写真方法」とは、像担持体として光導電性の感光体を用い、まず感光体を暗所で帯電(例えばコロナ放電によって帯電)させ、次いで光照射により像露光し、露光部のみの電荷を選択的に散逸せしめて静電潜像を形成し、この潜像部を染料、顔料などの着色剤と高分子物質などの結合剤とから構成される検電微粒子(トナーと言う)で現像し、可視化して画像を形成するようにした画像形成方法の一つである。
【0003】
このような電子写真方法において像担持体である感光体に要求される基本的な特性としては、
・暗所で適当な電位に帯電できること、
・暗所において電荷の散逸が少ないこと、
・光照射によって速やかに電荷を散逸できること、
などが挙げられる。
【0004】
従来、電子写真方法において使用される感光体としては、導電性支持体上にセレンないしセレン合金を主体とする感光層を設けたもの、酸化亜鉛、硫化カドミウムなどの無機系光導電材料を樹脂中に分散させたもの、ポリ−N−ビニルカルバゾールとトリニトロフルオレノンあるいはアゾ顔料などの有機光導電材料とを用いたもの、及び非晶質シリコン系材料を用いたもの等が一般に知られているが、近年では、コストの低さ、感光体設計の自由度の高さ、低公害性等から有機系電子写真感光体が広く利用されるようになってきている。
【0005】
有機系電子写真感光体には、ポリビニルカルバゾール(PVK)に代表される光導電性樹脂型、PVK−TNF(2,4,7−トリニトロフルオレノン)に代表される電荷移動錯体型、フタロシアニン−樹脂に代表される顔料分散型、電荷発生物質と電荷輸送物質とを組み合わせて用いる機能分離型の感光体などが知られており、特に機能分離型の感光体が注目されている。
【0006】
この機能分離型の感光体における静電潜像形成のメカニズムは、感光体を帯電した後、光照射すると、光は透明な電荷輸送層を通過し、電荷発生層中の電荷発生物質により吸収され、光を吸収した電荷発生物質は電荷担体を発生し、この電荷担体は電荷輸送層に注入され、帯電によって生じている電界にしたがって電荷輸送層中を移動し、感光体表面の電荷を中和することにより静電潜像を形成するものである。機能分離型感光体においては、主に紫外部に吸収を持つ電荷輸送物質と、主に可視部に吸収を持つ電荷発生物質とを組み合わせて用いることが知られており、上記基本特性を充分に満たすものが得られている。
【0007】
近年、電子写真方法を応用した画像形成プロセスの高速化、小型化が進むなか、感光体に対して上記特性以外に長期繰返し使用に際しても高画質を保つことの出来る信頼性及び高耐久性が強く要求される様になっている。
感光体は、画像形成プロセスにおいて、様々な機械的、化学的負荷を受けている。このうち化学的負荷は、画像形成プロセスにおける帯電部から発生するオゾンや窒素酸化物等による影響が大きい。これらのオゾン、窒素酸化物等が帯電部で発生し、感光体表面へ吸着し、化学変化を引き起こす。帯電工程から発生したオゾンは、感光体を形成するバインダー樹脂や電荷輸送物質を酸化する。そしてバインダー樹脂の分子鎖が切断され、さらにカルボン酸等の有機酸が生成される。また、同様に発生した窒素酸化物等の放電生成物は空気中の水(水分子)と結合あるいは反応することにより電気導電性を有する物質となる。この物質及び前述した有機酸が感光体上に吸着した場合、感光体表面近傍が低抵抗化し、感光体上に形成された静電潜像が破壊されてしまう。その結果、現像工程の施された感光体上にはいわゆる画像流れ状態のトナー像が形成される。また、感光体上に吸着した放電生成物により感光体表面の摩擦係数の増加が一般に生じるが、その結果、例えば感光体へのクリーニングブレード当接部位における力学的な負荷が増加し、さらに前述した感光体を形成するバインダー樹脂の分子鎖切断により、感光体摩耗が促進されてしまう。また、これらのオゾン、窒素酸化物などの発生は、環境側面からも問題となる。
【0008】
一般に、電子写真方法を応用した画像形成プロセスにおける帯電方法としては、コロナ帯電方法や接触帯電方法が使用されてきた。
コロナ帯電方法には、コロトロン方式とグリッドを有するスコロトロン方式があり、金属板で遮蔽されたハウジングの中央に張架されたタングステンやニッケルのチャージワイヤーに、直流もしくは交流を重畳した直流電圧を印加する事によりコロナ放電を起こし、感光体を帯電する方法である。しかし、この方法では、チャージワイヤーに高電圧を印加するために、オゾンや窒素酸化物などが生成される。この生成物は、環境的側面ばかりでなく、前述したように感光体に対しても、耐久性や画像特性に対し、悪影響を及ぼすことが知られている。
【0009】
近年、この方法に代わり、低オゾン、低電力を目的として、接触帯電方法が実用化されてきている。接触帯電方法は、感光体に102〜1010Ω・cm程度の抵抗を持つ帯電部材に、直流もしくは交流を重畳した直流電圧を印加し、感光体に加圧当接させ、電荷を付与する方法である。この帯電方法は、パッシェンの法則に従い、帯電部材から被帯電体への放電によって行われるため、或るしきい値電圧以上の電圧を印加することによって帯電が開始される。この接触帯電方法は、コロナ帯電方法と比較すると、帯電部材への印加電圧は低くなるが、放電が伴うために、少量のオゾン及び窒素酸化物が発生する。
【0010】
このために、新たなる帯電方式として、感光体への電荷の直接注入による帯電方式(例えば特許文献1(特開平06−003921号公報))が開示されている。この帯電方式は、低抵抗な電荷注入層を感光体表面に設け、帯電ローラ、帯電ブラシ、帯電磁気ブラシ等の接触導電部材に電圧を印加し、電荷を接触により、注入帯電を行う方法である。この帯電方式では、放電現象を用いないため、帯電に必要とされる電圧は所望する感光体表面電位分のみである。そのために、従来の接触帯電方式と比べると、オゾン、窒素酸化物の発生量が、非常に少なく、低電力の帯電方式である。これらの電荷注入帯電を行うために感光体に設けられる電荷注入層は、樹脂中に、酸化すずなどの金属酸化物を分散させ、感光体の表面抵抗を下げている。しかし、このような感光体の表面抵抗は、使用される環境(温度、湿度)により、大きく変化し、安定した帯電が行えなくなる。そのため機内環境を制御する方法として、機内でのヒーター等の設置が考えられるが、このようなヒーターを設置した場合、機械全体としての消費電力が大きくなる。
【0011】
つぎに感光体に光照射し、生成された電荷を外部電界により、感光体表面に移動させ帯電させる帯電方式(例えば特許文献2(特開平8−76559号公報))が開示されている。この方式では、電荷注入帯電に比べ、オゾン、窒素酸化物等の発生はなく、且つ低電力で、さらには使用環境(温度、湿度)により、特性の変化が少なくなる。
【0012】
また、特許文献3(特開平8−76559号公報)、特許文献4(特開平9−26681号公報)に示される帯電方式では、感光体として、導電性支持体上に電荷発生層及び電荷輸送層を順次積層した構成の積層型電子写真感光体、及び導電性支持体上に単一感光層を設けた単層型電子写真感光体のような既存の電子写真感光体が使用される。この感光体は、帯電時に電荷が発生する層と潜像形成時に電荷を発生する層が同じであるために、帯電時の電荷発生から、潜像形成時の電荷発生までの時間が限定され、小径高速化対応が不可能となる。
【0013】
特許文献5(特許第3895514号公報)に示される電子写真感光体では、導電性支持体上に帯電時に電荷発生する層、電荷輸送層、潜像形成時に電荷を発生する層、表面端部に設けられた電極を有する構成である。この構成の感光体であれば、上記問題は解消される。この構成の感光体を帯電させるときには、表面端部電極に電圧を印加し電界を形成し、電荷を移動させる。この方法では、帯電を均一に行うためには、最表層を低抵抗化させる必要がある。しかし、このような低抵抗化させた層を設けた場合、感光体表面に形成した潜像が拡がり、細線再現性や微細ドット再現性が低下する。
【0014】
そこで、これらの不具合を解消するために、本発明者らが先に提案した特許文献6(特許第3566275号公報)に示される電子写真感光体では、導電性支持体上に潜像形成時に電荷発生する層、電荷輸送層、帯電時に電荷発生する層を設け、さらにそれぞれの電荷発生層の電荷発生材料を限定する事により、画像劣化しにくく、かつ効率的な帯電性を達成した。
そして、このような感光体を用いた画像形成プロセスでは、
(1)帯電、
(2)露光(書き込み)、
(3)トナー現像、
(4)トナー転写、
(5)トナー定着、
等の工程で画像形成を行う。
【0015】
また、本発明者らが先に提案した特許文献7(特開2007−178816号公報)には、上記の画像形成プロセスの工程において、帯電工程を省き、潜像形成工程を簡略化した画像形成方法が開示されている。これは、感光体表面から透明性のバイアス印加部材によりバイアスを印加し、同時に光書き込みを行い、潜像形成を行うものである。このことにより、オゾン、窒素酸化物(NOx)等の生成物を発生する放電を伴う帯電工程を無くすことが出来る。
しかし、この方法では、像担持体(感光体)の外部から透明性のバイアス印加部材によりバイアスを印加すると同時に光書き込みを行うため、外部からバイアスを印加する部材が必要であり、画像形成プロセスを行う像担持体周りが大型化し、装置が大型化するという問題がある。また、外部からバイアスを印加するときに、像担持体と外部バイアス印加部材の間に、異物(トナー、現像剤、紙粉など)が介在した場合、像担持体へのバイアス印加が不均一となり、濃度ムラなどの問題が発生する。また、像担持体の表面を傷付ける恐れもある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
本発明は上記従来技術の問題点を解決するためになされたものであり、オゾン、窒素酸化物(NOx)などの発生を引き起こす帯電工程をなくし、電位コントラストが大きい静電潜像形成を行うことができる構成の像担持体と、その像担持体を用いた画像形成方法、画像形成装置、プロセスカートリッジを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明者らは鋭意検討を重ねた結果、以下のような解決手段を採ることにより、前記課題を解決することができることを発見して本発明を成すに至った。
すなわち、本発明の第1の解決手段は、少なくとも潜像形成、現像、転写を行う画像形成プロセスに用いられる像担持体であって、導電性支持体上に、少なくとも、感光層と、該感光層を被覆している部分と被覆していない部分を有し潜像形成用の光照射時及び現像画像の転写時にバイアスが印加される上部電極と、該上部電極を含む像担持体表面を被覆する保護層とを順次積層した構造を有することを特徴とする(請求項1)。
【0018】
本発明の第2の解決手段は、少なくとも潜像形成、現像、転写を行う画像形成プロセスに用いられる像担持体であって、導電性支持体上に、少なくとも、感光層と、電荷保持層と、該電荷保持層を被覆している部分と被覆していない部分を有し潜像形成用の光照射時及び現像画像の転写時にバイアスが印加される上部電極と、該上部電極を含む像担持体表面を被覆する保護層とを順次積層した構造を有することを特徴とする(請求項2)。
【0019】
本発明の第3の解決手段は、少なくとも潜像形成、現像、転写を行う画像形成プロセスに用いられる像担持体であって、導電性支持体上に、少なくとも、感光層と、該感光層上に縞状に形成され潜像形成用の光照射時及び現像画像の転写時にバイアスが印加される上部電極と、該上部電極を含む像担持体表面を被覆する保護層とを順次積層した構造を有することを特徴とする(請求項3)。
【0020】
本発明の第4の解決手段は、少なくとも潜像形成、現像、転写を行う画像形成プロセスに用いられる像担持体であって、導電性支持体上に、少なくとも、感光層と、電荷保持層と、該電荷保持層上に縞状に形成され潜像形成用の光照射時及び現像画像の転写時にバイアスが印加される上部電極と、該上部電極を含む像担持体表面を被覆する保護層とを順次積層した構造を有することを特徴とする(請求項4)。
【0021】
本発明の第5の解決手段は、少なくとも潜像形成、現像、転写を行う画像形成プロセスに用いられる像担持体であって、導電性支持体上に、少なくとも、感光層と、該感光層上に格子状に形成され潜像形成用の光照射時及び現像画像の転写時にバイアスが印加される上部電極と、該上部電極を含む像担持体表面を被覆する保護層とを順次積層した構造を有することを特徴とする(請求項5)。
【0022】
本発明の第6の解決手段は、少なくとも潜像形成、現像、転写を行う画像形成プロセスに用いられる像担持体であって、導電性支持体上に、少なくとも、感光層と、電荷保持層と、該電荷保持層上に格子状に形成され潜像形成用の光照射時及び現像画像の転写時にバイアスが印加される上部電極と、該上部電極を含む像担持体表面を被覆する保護層とを順次積層した構造を有することを特徴とする(請求項6)。
【0023】
本発明の第7の解決手段は、第1乃至第6の何れか一つの解決手段の像担持体において、前記感光層は単層構造であり、該単層構造の感光層は、電荷発生機能と電荷輸送機能を有することを特徴とする(請求項7)。
また、本発明の第8の解決手段は、第1乃至第6の何れか一つの解決手段の像担持体において、前記感光層は積層構造であり、該積層構造の感光層は、電荷発生機能を有する電荷発生層と、電荷輸送機能を有する電荷輸送層とから構成されることを特徴とする(請求項8)。
【0024】
本発明の第9の解決手段は、第1乃至第8の何れか一つの解決手段の像担持体において、前記保護層が、ダイヤモンド状カーボン若しくは非晶質カーボン構造を有する膜であることを特徴とする(請求項9)。
また、本発明の第10の解決手段は、第1乃至第8の何れか一つの解決手段の像担持体において、前記保護層が、樹脂中にフィラーを分散させた膜であることを特徴とする(請求項10)。
【0025】
本発明の第11の解決手段は、少なくとも潜像形成、現像、転写を行う画像形成プロセスにより被転写材に画像を形成する画像形成方法において、第1乃至第10の何れか一つの解決手段の像担持体を用い、潜像形成用の光照射時に前記像担持体の上部電極にバイアスを印加することにより潜像形成を行い、潜像形成後、前記像担持体表面の潜像をトナーで現像し、その現像されたトナーを被転写材に転写する転写時に前記像担持体の上部電極に前記トナーと同極性のバイアスを印加することにより該トナーを前記被転写材に転写することを特徴とする(請求項11)。
【0026】
本発明の第12の解決手段は、少なくとも潜像形成、現像、転写を行う画像形成プロセスにより被転写材に画像を形成する画像形成装置において、第1乃至第10の何れか一つの解決手段の像担持体を備え、潜像形成用の光照射時に前記像担持体の上部電極にバイアスを印加することにより潜像を形成する潜像形成部と、潜像形成後、前記像担持体表面の潜像をトナーで現像する現像部と、その現像されたトナーを被転写材に転写する転写時に前記像担持体の上部電極に前記トナーと同極性のバイアスを印加することにより該トナーを前記被転写材に転写する転写部と、を有することを特徴とする(請求項12)。
【0027】
本発明の第13の解決手段は、プロセスカートリッジであって、第1乃至第10の何れか一つの解決手段の像担持体を内蔵し、潜像形成手段、現像手段、転写手段、クリーニング手段、除電手段のうちの少なくとも一つを備えたことを特徴とする(請求項13)。
また、本発明の第14の解決手段は、画像形成装置であって、第13の解決手段のプロセスカートリッジを着脱可能に備えたことを特徴とする(請求項14)。
【発明の効果】
【0028】
本発明に係る像担持体は、導電性支持体上に、少なくとも感光層と(または感光層と、電荷保持層と)、該感光層(または電荷保持層)を被覆している部分と被覆していない部分を有し潜像形成用の光照射時及び現像画像の転写時にバイアスが印加される上部電極(具体的には、ランダムなパターンまたは縞状または格子状に形成され、感光層(または電荷保持層)の表面を所定のパターンで被覆するように形成された上部電極)と、該上部電極を含む像担持体表面を被覆する保護層とを順次積層した構造を有することを特徴としており、潜像形成用の光照射時に前記上部電極(像担持体の保護層内に設けられた所定のパターンの電極)にバイアスが印加されることにより潜像が形成されるので、オゾン、窒素酸化物などの発生を引き起こす従来の帯電工程(像担持体の外部から帯電手段で電荷を付与する帯電工程)をなくすことができ、小型で、長期的使用においても電位ムラが少ない、直接潜像形成を行うことができる像担持体を提供することができる。また、本発明に係る像担持体では、潜像形成後、像担持体表面の潜像がトナーで現像され、その現像されたトナー画像を被転写材に転写する転写時に前記上部電極にトナーと同極性のバイアスが印加されることにより該トナーを被転写材に転写するので、転写効率を向上することができる。
また、本発明に係る像担持体は、最表面に保護層を有するので、保護層によって上部電極の保護と、像担持体表面の均一化(平坦化)を図ることができ、上部電極が現像部、転写部、クリーニング部などの機械的なハザードにより傷付けられることを防止できるとともに、画像ムラの発生等を防止することができる。
【0029】
本発明に係る画像形成方法は、上記の構成及び効果を有する像担持体を用い、潜像形成用の光照射時に像担持体の上部電極にバイアスを印加することにより潜像形成を行い、潜像形成後、像担持体表面の潜像をトナーで現像し、その現像されたトナー画像を被転写材に転写する転写時に像担持体の上部電極にトナーと同極性のバイアスを印加することにより該トナー画像を被転写材に転写することを特徴とするので、オゾン、窒素酸化物などの発生を引き起こす従来の帯電工程をなくすことができ、小型で、長期的使用においても電位ムラが少ない、直接潜像形成を行うことができる画像形成方法を実現することができる。また、本発明に係る画像形成方法では、像担持体の上部電極にトナーと同極性のバイアスを印加することにより該トナー画像を被転写材に転写するので、転写効率を向上することができる。
【0030】
本発明に係る画像形成装置は、上記の構成及び効果を有する像担持体を備え、潜像形成用の光照射時に像担持体の上部電極にバイアスを印加することにより潜像を形成する潜像形成部と、潜像形成後、像担持体表面の潜像をトナーで現像する現像部と、その現像されたトナー画像を被転写材に転写する転写時に像担持体の上部電極にトナーと同極性のバイアスを印加することにより該トナー画像を被転写材に転写する転写部と、を有することを特徴とするので、オゾン、窒素酸化物などの発生を引き起こす従来の帯電工程をなくすことができ、小型で、長期的使用においても電位ムラが少ない、直接潜像形成を行うことができる画像形成装置を実現することができる。また、本発明に係る画像形成装置では、像担持体の上部電極にトナーと同極性のバイアスを印加することにより該トナー画像を被転写材に転写するので、転写効率を向上することができる。
【0031】
本発明に係るプロセスカートリッジは、上記の構成及び効果を有する像担持体を内蔵しているので、従来の帯電工程を行う部材をなくすことができ、小型で、長期的使用においても電位ムラが少ない、直接潜像形成を行うことができるプロセスカートリッジを実現することができる。
また、このプロセスカートリッジを着脱可能に備えた画像形成装置では、上記の効果に加えて、保守やメンテナンスも容易に行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明の一実施形態を示す像担持体の構成説明図であり、(a)は像担持体の要部上面図、(b)は像担持体の側面から見た要部断面図である。
【図2】本発明の別の実施形態を示す像担持体の要部断面図である。
【図3】本発明の別の実施形態を示す像担持体の構成説明図であり、(a)は像担持体の要部上面図、(b)は像担持体の側面から見た要部断面図である。
【図4】本発明の別の実施形態を示す像担持体の要部断面図である。
【図5】本発明の別の実施形態を示す像担持体の構成説明図であり、(a)は像担持体の要部上面図、(b)は像担持体の側面から見た要部断面図である。
【図6】本発明の別の実施形態を示す像担持体の要部断面図である。
【図7】本発明の別の実施形態を示す像担持体の要部断面図である。
【図8】本発明の別の実施形態を示す像担持体の要部断面図である。
【図9】本発明の別の実施形態を示す像担持体の要部断面図である。
【図10】本発明の別の実施形態を示す像担持体の要部断面図である。
【図11】本発明の別の実施形態を示す像担持体の要部断面図である。
【図12】本発明の像担持体を用いた画像形成メカニズムを示す説明図である。
【図13】本発明の一実施形態を示す画像形成装置の概略構成図である。
【図14】本発明の像担持体の最表面にダイヤモンド状カーボン若しくは非晶質カーボン構造よりなる保護層を形成する際に用いるプラズマCVD装置の具体例の構成説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。
本発明に係る像担持体は光導電性の感光体であり、導電性支持体上に、少なくとも感光層と(または感光層と、電荷保持層と)、該感光層(または電荷保持層)を被覆している部分と被覆していない部分を有し潜像形成用の光照射時及び現像画像の転写時にバイアスが印加される上部電極と、該上部電極を含む像担持体表面を被覆する保護層とを順次積層した構造を有している。そして潜像形成用の光照射時に、前記上部電極(像担持体の保護層内に設けられた所定のパターンの電極)にバイアスが印加されることにより、潜像が形成され、潜像形成後、該潜像がトナーで現像され、その現像されたトナーを被転写材に転写する転写時に、前記上部電極に前記トナーと同極性のバイアスが印加されることにより該トナーを前記被転写材に転写する構成としている。なお、上部電極は、具体的には、ランダムなパターンまたは縞状または格子状に形成され、感光層(または電荷保持層)の表面を所定のパターンで被覆するように形成されている。
【0034】
本発明では、このような構成の像担持体を用い、潜像形成用の光照射時に、上部電極にバイアスを印加することにより、潜像を形成する画像形成プロセスを用いることにより、オゾン、窒素酸化物などの発生を引き起こす従来の帯電工程(像担持体の外部から帯電手段で電荷を付与する帯電工程)をなくし、静電潜像形成するための像担持体周りのプロセスを簡略化した画像形成方法及び画像形成装置を実現することができる。また、本発明では、像担持体の上部電極にトナーと同極性のバイアスを印加することにより該トナーを被転写材に転写するので、転写効率を向上した画像形成方法及び画像形成装置を実現することができる。
【0035】
先ず本発明の像担持体の構成例について説明する。
図1は本発明の一実施形態を示す像担持体の構成説明図であり、(a)は像担持体の要部上面図、(b)は像担持体の側面から見た要部断面図であり、本発明の像担持体の基本的な構成例を示している。この像担持体は、導電性支持体1上に感光層2、上部電極3を順次積層した構造を有する。また、図1では上部電極3の形状例を示すために保護層の図示を省略しているが、上部電極3を含む像担持体表面は、図6に示すような保護層5で被覆される。
図1に示す構成例では、上部電極3は感光層2を被覆している部分と被覆していない部分を有するように不規則(ランダム)なパターンで形成されている。
【0036】
図2は本発明の別の実施形態を示す像担持体の要部断面図であり、この像担持体は、図1の構成に加えて電荷保持層4を設けたものであり、導電性支持体1上に感光層2、電荷保持層4、上部電極3を順次積層した構造を有する。また、図2でも保護層の図示を省略しているが、上部電極3を含む像担持体表面は、図7に示すような保護層5で被覆される。尚、上部電極3は、図1(a)と同様に、電荷保持層4を被覆している部分と被覆していない部分を有するように不規則(ランダム)なパターンで形成されている。
【0037】
図3は本発明の別の実施形態を示す像担持体の構成説明図であり、(a)は像担持体の要部上面図、(b)は像担持体の側面から見た要部断面図であり、本発明の像担持体の別の構成例を示している。この像担持体は、導電性支持体1上に感光層2、縞状の上部電極3aを順次積層した構造を有する。また、図3では上部電極3aの形状例を示すために保護層の図示を省略しているが、上部電極3aを含む像担持体表面は、図6に示すように保護層5で被覆される。
図3に示す構成例では、上部電極3aは感光層2を被覆している部分と被覆していない部分を有するように縞状(規則的なストライプ状)のパターンで形成されている。
【0038】
図4は本発明の別の実施形態を示す像担持体の要部断面図であり、この像担持体は、図3の構成に加えて電荷保持層4を設けたものであり、導電性支持体1上に感光層2、電荷保持層4、縞状の上部電極3aを順次積層した構造を有する。また、図4でも保護層の図示を省略しているが、縞状の上部電極3aを含む像担持体表面は、図7に示すように保護層5で被覆される。尚、上部電極3aは、図3(a)と同様に、電荷保持層4を被覆している部分と被覆していない部分を有するように縞状(規則的なストライプ状)のパターンで形成されている。
【0039】
図5は本発明の別の実施形態を示す像担持体の構成説明図であり、(a)は像担持体の要部上面図、(b)は像担持体の側面から見た要部断面図であり、本発明の像担持体の別の構成例を示している。この像担持体は、導電性支持体1上に感光層2、格子状の上部電極3bを順次積層した構造を有する。また、図5では上部電極3bの形状例を示すために保護層の図示を省略しているが、格子状の上部電極3bを含む像担持体表面は、図6に示すように保護層5で被覆される。
図5に示す構成例では、上部電極3bは感光層2を被覆している部分と被覆していない部分を有するように規則的な格子状のパターンで形成されている。
尚、図示を省略するが、感光層2と格子状の上部電極3bの間に電荷保持層4を設けてもよい。
【0040】
図6は本発明の別の実施形態を示す像担持体の要部断面図であり、図1または図3または図5に示した構成の像担持体の最表面に保護層5を設けた状態を示している。すなわち、この像担持体は、導電性支持体1上に感光層2、上部電極(ランダム状または縞状または格子状の電極)3、保護層5を順次積層した構造を有しており、上部電極3を含む像担持体表面は保護層5により被覆されて均一化(平坦化)されている。このように、図6に示す像担持体では、最表面に保護層5を有するので、保護層5によって上部電極3の保護と、像担持体表面の均一化(平坦化)を図ることができ、上部電極3が現像部、転写部、クリーニング部などの機械的なハザードにより傷付けられることを防止できるとともに、画像ムラの発生等を防止することができる。
【0041】
図7は本発明の別の実施形態を示す像担持体の要部断面図であり、図2または図4に示した構成の像担持体の最表面に保護層5を設けた状態を示している。すなわち、この像担持体は、導電性支持体1上に感光層2、電荷保持層4、上部電極(ランダム状または縞状または格子状の電極)3、保護層5を順次積層した構造を有しており、上部電極3を含む像担持体表面は保護層5により被覆されて均一化(平坦化)されている。このように、図7に示す像担持体では、最表面に保護層5を有するので、保護層5によって上部電極3の保護と、像担持体表面の均一化(平坦化)を図ることができ、上部電極3が現像部、転写部、クリーニング部などの機械的なハザードにより傷付けられることを防止できるとともに、画像ムラの発生等を防止することができる。
【0042】
以上の図1〜7に示した像担持体では、感光層2は単層構造であり、この単層構造の感光層は、電荷発生機能と電荷輸送機能を有している。
また、感光層2は、積層構造にしてもよく、積層構造の感光層は、電荷発生機能を有する電荷発生層と、電荷輸送機能を有する電荷輸送層とから構成される。
【0043】
図8は本発明の別の実施形態を示す像担持体の要部断面図であり、感光層2を積層構造にした構成例を示している。この像担持体は、導電性支持体1上に、電荷輸送層2aと電荷発生層2bからなる感光層2を積層し、その上に上部電極(ランダム状または縞状または格子状の電極)3、保護層5を順次積層した構造を有する。
また、図9は、本発明の別の実施形態を示す像担持体の要部断面図であり、積層構造の感光層2の上に電荷保持層4を設けた構成例を示している。この像担持体は、導電性支持体1上に、電荷輸送層2aと電荷発生層2bからなる感光層2を積層し、その上に電荷保持層4、上部電極(ランダム状または縞状または格子状の電極)3、保護層5を順次積層した構造を有する。
【0044】
図10は本発明のさらに別の実施形態を示す像担持体の要部断面図であり、感光層2を図8とは逆の積層構造にした構成例を示している。この像担持体は、導電性支持体1上に、電荷発生層2bと電荷輸送層2aからなる感光層2を積層し、その上に上部電極(ランダム状または縞状または格子状の電極)3、保護層5を順次積層した構造を有する。
また、図11は、本発明の別の実施形態を示す像担持体の要部断面図であり、積層構造の感光層2の上に電荷保持層4を設けた構成例を示している。この像担持体は、導電性支持体1上に、電荷発生層2bと電荷輸送層2aからなる感光層2を積層し、その上に電荷保持層4、上部電極(ランダム状または縞状または格子状の電極)3、保護層5を順次積層した構造を有する。
【0045】
次に図12は、本発明の像担持体を用いた画像形成メカニズムを示したものである。
図12(a)に示すように、像担持体の上部電極3に例えばプラスバイアスを印加しながら、像担持体表面から光照射し、光書き込みを行う。図12(b)に示すように、露光により生成された光キャリアは、正孔(+電荷)と電子(−電荷)に分離し、上部電極3により形成された電界に従い、電子が像担持体表面側に、正孔が導電性支持体1側に移動する。その後、図12(c)に示すように、上部電極3へのバイアス印加を停止し、フロート状態もしくは接地状態とすると、感光層2の電極3に被覆されていない部分に電子が残り、静電潜像が形成される。この時のこの静電潜像部分は、マイナスに帯電している。図12(d)に示すように、この帯電している部分にプラス極性のトナーTを供給することにより、像担持体表面にトナー画像が形成される。その後、図12(e)に示すように、像担持体の上部電極3にプラスバイアスを印加すると、トナーTが像担持体表面から受ける斥力により、像担持体表面から離れ、被転写材12に転写される。この時に被転写材12にマイナスバイアスを印加すると、さらに効率的にトナーが被転写材12に転写される。ここで被転写材12とは、紙などの媒体や中間転写部材のことを言う。
【0046】
従来の電子写真方法を応用した画像形成プロセスにおける転写部での転写工程は、トナーの逆極性バイアスを被転写材に印加することにより、効率的な転写を行ってきたが、本発明の方式では、さらに像担持体の上部電極3に対しても、トナーTと同極性のバイアスを印加することにより、トナー転写性がさらに向上することが明らかとなった。また、トナーの転写性向上により、白抜け画像などの異常画像の発生が抑制されることが明らかとなった。
なお、図12は画像形成メカニズムを説明する一例であり、上部電極3にはマイナスバイアスを印加することも可能である。また、トナーTの極性、転写部での上部電極3の極性もプロセスに合わせて変更できる。また、図示を省略しているが、上部電極3に印加するバイアスのON/OFFや極性は、バイアス電源に設けたスイッチング回路等により制御される。
【0047】
以下、本発明による像担持体の構成をより詳しく説明する。
本発明の像担持体は、導電性支持体1上に、少なくとも、感光層2と、該感光層2を被覆している部分と被覆していない部分を有する上部電極(ランダム状または縞状または格子状の電極)3と、保護層5を順次積層した構成のものであればよく、その他の層等が任意に組み合わされていても構わない。
【0048】
<導電性支持体について>
導電性支持体1としては、体積抵抗1010Ω・cm以下の導電性を示すもの、例えば、アルミニウム、ニッケル、クロム、ニクロム、銅、金、銀、白金などの金属、酸化スズ、酸化インジウムなどの金属酸化物を蒸着またはスパッタリングにより、フィルム状もしくは円筒状のプラスチック、紙に被覆したもの、あるいはアルミニウム、アルミニウム合金、ニッケル、ステンレスなどの板及びそれらを押し出し、引き抜きなどの工法で素管化後、切削、超仕上げ、研摩などの表面処理を施した管などを使用することができる。また、特許文献8(特開昭52−36016号公報)に開示されたエンドレス・ニッケルベルト、エンドレス・ステンレスベルトも導電性支持体として用いることができる。
この他、上記支持体上に導電性粉体を適当なバインダー樹脂に分散して塗工したものについても、本発明の導電性支持体として用いることができる。
【0049】
この導電性粉体としては、カーボンブラック、アセチレンブラック、また、アルミニウム、ニッケル、鉄、ニクロム、銅、亜鉛、銀などの金属粉、あるいは導電性酸化スズ、ITOなどの金属酸化物粉体などが挙げられる。また、同時に用いられるバインダー樹脂には、ポリスチレン、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、ポリエステル、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリアリレート樹脂、フェノキシ樹脂、ポリカーボネート、酢酸セルロース樹脂、エチルセルロース樹脂、ポリビニルブチラール、ポリビニルホルマール、ポリビニルトルエン、ポリ−N−ビニルカルバゾール、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂、フェノール樹脂、アルキッド樹脂などの熱可塑性、熱硬化性樹脂または光硬化性樹脂が挙げられる。このような導電性層は、これらの導電性粉体とバインダー樹脂を適当な溶剤、例えば、テトラヒドロフラン、ジクロロメタン、メチルエチルケトン、トルエンなどに分散して塗布することにより設けることができる。
さらに、適当な円筒基体上にポリ塩化ビニル、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリスチレン、ポリ塩化ビニリデン、ポリエチレン、塩化ゴム、テフロン(登録商標)などの素材に前記導電性粉体を含有させた熱収縮チューブによって導電性層を設けてなるものも、本発明の導電性支持体として良好に用いることができる。
【0050】
<感光層について>
次に感光層2について説明する。感光層2は単層構造でも積層構造でもよい。
図1〜7に示した像担持体のような単層構造の感光層の場合には、感光層2は電荷発生機能と電荷輸送機能を同時に有する層である。また、図8〜11に示した像担持体のような積層構造の感光層の場合には、感光層2は電荷発生機能を有する電荷発生層2bと電荷輸送機能を有する電荷輸送層2aとから構成される。
以下、単層構造の感光層及び積層構造の感光層のそれぞれについて述べる。
【0051】
<感光層が単層構造のもの>
単層構造の感光層2は電荷発生機能と電荷輸送機能を同時に有する層である。感光層は、電荷発生機能を有する電荷発生物質と電荷輸送機能を有する電荷輸送物質とバインダー樹脂を適当な溶媒に溶解ないし分散し、これを塗布、乾燥することによって形成できる。また、必要により酸化防止剤、可塑剤、レベリング剤等を添加することもできる。電荷発生物質としては、無機系材料と有機系材料を用いることができる。
【0052】
無機系材料には、結晶セレン、アモルファス・セレン、セレン−テルル、セレン−テルル−ハロゲン、セレン−ヒ素化合物や、アモルファス・シリコン等が挙げられる。アモルファス・シリコンにおいては、ダングリングボンドを水素原子、ハロゲン原子でターミネートしたものや、ホウ素原子、リン原子等をドープしたものが良好に用いられる。
【0053】
一方、有機系材料としては、公知の材料を用いることができる。例えば、金属フタロシアニン、無金属フタロシアニン等のフタロシアニン系顔料、アズレニウム塩顔料、スクエアリック酸メチン顔料、カルバゾール骨格を有するアゾ顔料、トリフェニルアミン骨格を有するアゾ顔料、ジフェニルアミン骨格を有するアゾ顔料、ジベンゾチオフェン骨格を有するアゾ顔料、フルオレノン骨格を有するアゾ顔料、オキサジアゾール骨格を有するアゾ顔料、ビススチルベン骨格を有するアゾ顔料、ジスチリルオキサジアゾール骨格を有するアゾ顔料、ジスチリルカルバゾール骨格を有するアゾ顔料、ペリレン系顔料、アントラキノン系または多環キノン系顔料、キノンイミン系顔料、ジフェニルメタン及びトリフェニルメタン系顔料、ベンゾキノン及びナフトキノン系顔料、シアニン及びアゾメチン系顔料、インジゴイド系顔料、ビスベンズイミダゾール系顔料などが挙げられる。これらの電荷発生物質は、単独または2種以上の混合物として用いることができる
【0054】
電荷輸送物質としては、正孔輸送物質と電子輸送物質とがある。
電子輸送物質としては、例えばクロルアニル、ブロムアニル、テトラシアノエチレン、テトラシアノキノジメタン、2,4,7−トリニトロ−9−フルオレノン、2,4,5,7−テトラニトロ−9−フルオレノン、2,4,5,7−テトラニトロキサントン、2,4,8−トリニトロチオキサントン、2,6,8−トリニトロ−4H−インデノ〔1,2−b〕チオフェン−4−オン、1,3,7−トリニトロジベンゾチオフェン−5,5−ジオキサイド、ジフェノキノン誘導体などの電子受容性物質が挙げられる。これらの電子輸送物質は、単独または2種以上の混合物として用いることができる。
【0055】
正孔輸送物質としては、以下に表わされる電子供与性物質が挙げられ、良好に用いられる。正孔輸送物質としては、オキサゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、モノアリールアミン誘導体、ジアリールアミン誘導体、トリアリールアミン誘導体、スチルベン誘導体、α−フェニルスチルベン誘導体、ベンジジン誘導体、ジアリールメタン誘導体、トリアリールメタン誘導体、9−スチリルアントラセン誘導体、ピラゾリン誘導体、ジビニルベンゼン誘導体、ヒドラゾン誘導体、インデン誘導体、ブタジェン誘導体、ピレン誘導体等、ビススチルベン誘導体、エナミン誘導体等、その他公知の材料が挙げられる。これらの正孔輸送物質は、単独または2種以上の混合物として用いることができる。
【0056】
バインダー樹脂としては、ポリスチレン、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、ポリエステル、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリアリレート樹脂、フェノキシ樹脂、ポリカーボネート、酢酸セルロース樹脂、エチルセルロース樹脂、ポリビニルブチラール、ポリビニルホルマール、ポリビニルトルエン、ポリ−N−ビニルカルバゾール、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂、フェノール樹脂、アルキッド樹脂等の熱可塑性または熱硬化性樹脂が挙げられる。
また、必要により酸化防止剤、可塑剤、レベリング剤を添加することもできる。
【0057】
感光層の作製方法としては、浸漬塗工法やスプレーコート、ビードコート、リングコート法などが挙げられる。これらの塗工液は、上述した無機系もしくは有機系電荷発生物質を必要ならばバインダー樹脂と共にテトラヒドロフラン、ジオキサン、ジオキソラン、トルエン、ジクロロメタン、モノクロロベンゼン、ジクロロエタン、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、アニソール、キシレン、メチルエチルケトン、アセトン、酢酸エチル、酢酸ブチル等の溶媒を用いてボールミル、アトライター、サンドミル、ビーズミル等により分散し、分散液を適度に希釈して塗布することにより、形成できる。
【0058】
感光層の膜厚は、5〜50μm程度が適当であり、好ましくは10〜35μm程度が適当である。
感光層中に含有される電荷発生物質は感光層全量に対し1〜30重量%が好ましく、感光層に含有されるバインダー樹脂は全量の20〜80重量%、電荷輸送物質は10〜70重量%が良好に用いられる。
【0059】
<感光層が積層構造のもの>
(電荷発生層について)
電荷発生層2bは、電荷発生機能を有する電荷発生物質を主成分とする層で、必要に応じて前述のバインダー樹脂を併用することもできる。電荷発生物質としては、前述した無機系材料と有機系材料を用いることができる。また、必要により前述の可塑剤、レベリング剤を添加することもできる。
【0060】
電荷発生層2bを形成する方法には、真空薄膜作製法と溶液分散系からの浸漬塗工法やスプレーコート、ビードコート、リングコート法などが使用できる。
真空薄膜作製法には、真空蒸着法、グロー放電分解法、イオンプレーティング法、スパッタリング法、反応性スパッタリング法、CVD法等が用いられる。
以上のようにして設けられる電荷発生層の膜厚は、0.01〜5μm程度が適当であり、好ましくは0.05〜2μmである。
【0061】
(電荷輸送層について)
電荷輸送層2aは電荷輸送機能を有する電荷輸送物質、バインダー樹脂を主成分とする層である。電荷輸送物質としては、前述の正孔輸送物質及び電子輸送物質を用いることが出来、バインダー樹脂をしては、前述のバインダー樹脂が使用できる。また、必要により前述の酸化防止剤、可塑剤、レベリング剤を添加することもできる。
電荷輸送層2aは、好ましくは両極性の電荷を輸送できることが好ましく、この場合は、バインダー樹脂中に正孔輸送物質、電子輸送物質を両方とも含有する。
【0062】
電荷輸送層2aを形成する方法には、浸漬塗工法やスプレーコート、ビードコート、リングコート法などの方法が使用できる。
電荷輸送層の膜厚としては、5〜50μm程度が適当であり、好ましくは10〜35μm程度が適当である。
電荷発生層2b及び電荷輸送層2aは、導電性支持体1上に、電荷発生層2b、電荷輸送層2aの順で積層されていても、電荷輸送層2a、電荷発生層2bの順で積層されていても構わない。
【0063】
<上部電極について>
本発明の像担持体における上部電極3は、バイアス印加することにより、感光層2に対して、電界を形成する層である。上部電極3の材料は、導電性材料であれば特に限定されず、白金、金、銀、ニッケル、クロム、銅、鉄、錫、アンチモン、鉛、タンタル、インジウム、アルミニウム、亜鉛、マグネシウム等、及びこれらの合金やインジウム・錫酸化物等の導電性金属酸化物、あるいはドーピング等で導電率を向上させた無機及び有機半導体、例えば、シリコン単結晶、ポリシリコン、アモルファスシリコン、ゲルマニウム、グラファイト、ポリアセチレン、ポリパラフェニレン、ポリチオフェン、ポリピロール、ポリアニリン、ポリチエニレンビニレン、ポリパラフェニレンビニレン、ポリエチレンジオキシチオフェンとポリスチレンスルホン酸の錯体等が挙げられる。
【0064】
上部電極3の形成方法としては、上記材料を原料として蒸着やスパッタリング等の方法を用いて形成した導電性薄膜を、公知のフォトリソグラフ法やリフトオフ法を用いて所定のパターン(ランダム状、縞状、格子状等)の電極に形成する方法、アルミニウムや銅等の金属箔上に熱転写、インクジェット等によるレジストを用いて所定のパターン(ランダム状、縞状、格子状等)にエッチングする方法がある。また、導電性ポリマーの溶液あるいは分散液、導電性微粒子分散液を用いて直接インクジェットにより所定のパターン(ランダム状、縞状、格子状等)にパターニングしても良いし、塗工膜からリソグラフィーやレーザーアブレーション等により所定のパターン(ランダム状、縞状、格子状等)に形成しても良い。さらに導電性ポリマーや導電性微粒子を含むインク、導電性ペースト等を凸版、凹版、平版、スクリーン印刷等の印刷法で所定のパターン(ランダム状、縞状、格子状等)にパターニングする方法も用いることができる。
【0065】
本発明の像担持体の上部電極3は、感光層2(または電荷保持層4)の表面を完全に覆うものではなく、被覆されている部分と被覆されていない部分を有する。全体の表面積に対して被覆されている部分の被服率は、5〜80%程度であり、好ましくは10〜50%程度である。被覆されている部分の電極形状は、図1に示したような不規則(ランダム状)な形状でも構わないが、好ましくは図3に示したような縞状(規則的なストライプ状)、さらに好ましくは図5に示したような規則的な格子状である。縞状電極3aの場合、電極間距離は、5μm〜100μmであり、好ましくは5〜20μmである。格子状電極3bの場合も同様で、平行する電極の電極間距離は、5μm〜100μmであり、好ましくは5〜20μmである。また、これらの電極の膜厚は、0.01μm〜5.00μmであり、好ましくは0.02〜0.50μmである。
【0066】
上部電極3へのバイアス印加は、像担持体端部(例えばエンドレスベルト状の像担持体の場合は幅方向の両端部、ドラム状の像担持体の場合は軸方向の両端部)で行い、バイアス電源にスイッチング回路等を介して接続された導電性ローラや導電性ブラシ等の導電性部材を電極に押し当てることにより、バイアスを供給する。
【0067】
<電荷保持層について>
図2、図4、図7、図9、図11に示した構成の像担持体の感光層2上に設けられる電荷保持層4は、静電潜像形成時に効率的に電荷を保持することを目的として設けられる。ここで言う電荷保持層4は、電荷輸送能がないことが好ましいが、前述した感光層2、電荷輸送層2aよりも電荷輸送能が低ければ構わない。
電荷保持層4は、前述した感光層2のバインダー樹脂材料を用いることが出来る。また必要に応じて、酸化防止剤、可塑剤、レベリング剤を添加することもできる。
電荷保持層4の膜厚は、0.2〜5.0μm程度が適当であり、好ましくは0.5〜2.5μm程度が適当である。
【0068】
<保護層について>
上部電極3上に設けられる保護層5は、上部電極3を保護するとともに、像担持体表面を均一化(平坦化)する目的で設けられる。保護層5は静電潜像形成に対して、直接、影響を与えるものではない。しかし、本発明の像担持体は、上部電極3が現像部、転写部、クリーニング部などの機械的なハザードにより消失した場合、基本的な静電潜像の形成が出来なくなる。前述したように、感光層(または電荷保持層)上の上部電極3は薄い膜であるため、これらの機械的ハザードに対して弱く、実質的に使用するためには保護層5を設ける必要がある。但し、上部電極3へバイアスを印加する像担持体端部には保護層を設けない。
【0069】
保護層5としては、電荷保持層4と同じバインダー樹脂材料を用いることが出来る。また好ましくは、ウレタン樹脂やアクリル樹脂などの3次元架橋樹脂を用いた膜、樹脂中にフィラーを分散させた膜、ダイヤモンド状カーボン若しくは非晶質カーボン構造である膜が用いられる。
特にダイヤモンド状カーボン若しくは非晶質カーボン構造を有する保護層が好ましい。ダイヤモンド状カーボン若しくは非晶質カーボン構造を有する保護層は、好ましくはSP3軌道を有するダイヤモンドと類似のC−C結合を有する方が望ましい。なお、SP2軌道を有するグラファイトと類似の構造を持つ膜でも構わないし、更に非晶質性のものでも構わない。
ダイヤモンド状カーボン若しくは非晶質カーボン構造を有する保護層は、抵抗制御、光透過性制御、機械物性制御などを行うために、窒素、フッ素、硼素、リン、塩素、臭素、沃素などの添加物元素が含有されていても構わない。
【0070】
ダイヤモンド状カーボン若しくは非晶質カーボン構造を有する保護層を作製するときには、炭化水素ガス(メタン、エタン、エチレン、アセチレン等)を主材料として、H2、Ar等のキャリアガスを用いる。さらに、添加物元素を供給するガスとしては、減圧下で気化できるもの、加熱することにより気化できるものであれば構わない。例えば窒素を供給するガスとしてNH3、N2等を用い、フッ素を供給するガスとしてC2F6、CH3F等を用い、硼素を供給するガスとしてはB2H6等を用い、リンを供給するガスとしてはPH3等を用い、塩素を供給するガスとしてはCH3Cl、CH2Cl2、CHCl3、CCl4等を用い、臭素を供給するガスとしてはCH3Br等を用い、沃素を供給するガスとしては、CH3I等を用いることができる。また、添加物元素を複数供給するガスとしては、NF3、BCl3、BBr、BF3、PF3、PCl3等を用いる。
【0071】
ダイヤモンド状カーボン若しくは非晶質カーボン構造を有する保護層5は、上記のようなガスを用い、プラズマCVD法、グロー放電分解法、光CVD法などやグラファイト等をターゲットとしたスパッタリング法等により形成される。特にその製膜法は限定されるものではないが、保護層として良好な特性を有する炭素を主成分とする膜を形成する方法として、プラズマCVD法でありながらスパッタ効果を伴わせつつ製膜させる方法(例えば特許文献9(特開昭58−49609号公報))等が知られている。
【0072】
プラズマCVD法を利用した炭素を主成分とする保護層の製膜法では、支持体を特に加熱する必要がなく、約150℃以下の低温で被膜を形成できるため、耐熱性の低い有機系感光層上に保護層を形成する際にも、何ら支障がないというメリットがある。
ダイヤモンド状カーボン若しくは非晶質カーボン構造を有する保護層の膜厚は、0.5μm以上3.0μm以下であることが望ましい。
【0073】
また、特に樹脂中にフィラーを分散させた保護層5は好ましい。保護層5に添加されるフィラーは、有機系及び無機系のフィラーがある。
有機系フィラーとしては、ポリテトラフルオロエチレンのようなフッ素樹脂フィラー、シリコ−ン樹脂フィラー、炭素を主成分とするフィラー等が挙げられ、無機系フィラー材料としては、銅、スズ、アルミニウム、インジウムなどの金属粉末、酸化珪素、シリカ、酸化錫、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化インジウム、酸化アンチモン、酸化ビスマス、アンチモンをド−プした酸化錫、錫をド−プした酸化インジウム等の金属酸化物、チタン酸カリウムなどの無機材料が挙げられる。特に、この中でも無機材料もしくは炭素を主成分とするフィラー材料を用いることが有利である。特に無機材料では金属酸化物が良好であり、さらには、酸化珪素、酸化アルミニウム、酸化チタン等が有効に使用できる。さらに炭素を主成分とするフィラーでは、ダイヤモンドフィラーが有効に使用できる。
【0074】
保護層のフィラー濃度は、高いほど耐摩耗性が高いので良好であるが、書き込み光透過率が低下し、副作用を生じる場合がある。従って、概ね全固形分に対して、50重量%以下、好ましくは30重量%以下である。その下限値は、通常、5重量%である。
樹脂中にフィラーを分散させた保護層の膜厚は、0.5μm以上10μm以下が適当であり、好ましくは1.0μm以上6.0μm以下である。
【0075】
<下引き層について>
本発明の像担持体においては、感光層2との接着性、モアレ防止を目的として、導電性支持体1と感光層2との間に下引き層を設けることができる。下引き層は一般には樹脂を主成分とするが、これらの樹脂はその上に感光層を溶剤で塗布することを考えると、一般の有機溶剤に対して耐溶剤性の高い樹脂であることが望ましい。このような樹脂としては、ポリビニルアルコール、カゼイン、ポリアクリル酸ナトリウム等の水溶性樹脂、共重合ナイロン、メトキシメチル化ナイロン等のアルコール可溶性樹脂、ポリウレタン、メラミン樹脂、フェノール樹脂、アルキッド−メラミン樹脂、エポキシ樹脂等、三次元網目構造を形成する硬化型樹脂等が挙げられる。また、酸化チタン、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、酸化スズ、酸化インジウム等の金属酸化物フィラーを加えてもよい。
【0076】
この下引き層は前述の各層の如く適当な溶媒、塗工法を用いて形成することができる。さらに本発明では、下引き層として、シランカップリング剤、チタンカップリング剤、クロムカップリング剤等を使用することもできる。この他、下引き層には、Al2O3を陽極酸化にて設けたものや、ポリパラキシリレン(パリレン)等の有機物やSiO2、SnO2、TiO2、ITO、CeO2等の無機物を真空薄膜作成法にて設けたものも良好に使用できる。この他にも公知のものを用いることができる。下引き層の膜厚は0.1〜5.0μmが適当である。
【0077】
次に図面を用いて本発明の画像形成方法及び画像形成装置について詳しく説明する。
図13は、本発明の画像形成装置の一実施形態を説明するための概略構成図である。この画像形成装置は、駆動ローラと従動ローラからなる複数のローラに張架されたエンドレスベルト状の像担持体6の周囲に、潜像形成手段である潜像形成部(露光部7とバイアス印加手段(図示省略))、現像手段である現像部8、転写手段である転写部9、クリーニング手段であるクリーニング部10、除電手段である除電部11を配置したものであり、以下の(I)〜(IV)のような画像形成プロセスで画像形成を行う。
【0078】
(I) 潜像形成部で像担持体6の上部電極3にバイアスを印加し、露光部7より画像データに応じた光照射を行い、光書き込みを行う。光書き込み後も像担持体6の上部電極3へバイアスを印加し、静電潜像を形成する。
(II)像担持体6へのバイアス印加を停止し、現像部8において静電潜像をトナーで現像する。
(III)像担持体6の上部電極3に再度バイアスを印加し、像担持体6に現像されたトナー像を転写部9で紙等の被転写材12に転写する。
(IV)像担持体6表面に残存するトナーをクリーニング部10でクリーニングし、像担持体6表面の残存電位を除電部11で除電する。
【0079】
ここで像担持体6は、図1〜図11を参照して説明した構成の像担持体を使用する。
光書き込みを行う露光部7は、光源として半導体レーザ(LD)もしくは発光ダイオード(LED)を用いた露光装置で構成され、より詳しくは、LD光源と光偏向器と走査結像光学系からなる光走査式の露光装置、または、アレイ状に配列されたLED光源(LEDアレイ)と等倍結像光学系(例えばマイクロレンズアレイ、ロッドレンズアレイ等)からなる露光装置、で構成される。
【0080】
(I) の工程でのバイアス印加は、像担持体6の幅方向の末端部において、図示省略のバイアス印加手段(バイアス電源にスイッチング回路等を介して接続された、導電性ローラ、導電性ブラシ等の導電性部材)で上部電極3にバイアスを印加する。このときのバイアスは、プラスでもマイナスでも構わない。
(II)の工程では、バイアス印加を停止し、フロート及び接地状態とし、静電潜像を形成し、現像部8で、トナー像を形成する。
【0081】
(III)の工程では、図示省略のバイアス印加手段(バイアス電源にスイッチング回路等を介して接続された、導電性ローラ、導電性ブラシ等の導電性部材)で上部電極3にトナーと同極性のバイアスを印加して、像担持体6に現像されたトナー像を転写部9で紙等の被転写材12に転写する。この時に被転写材12にトナーと逆極性のバイアスを印加すると、さらに効率的にトナーが被転写材12に転写される。
なお、被転写材10とは、直接転写方式においては、紙などの転写媒体を意味し、間接転写方式においては、中間転写ベルトなどを意味する。すなわち、転写部9で直接紙等の転写媒体にトナー像を転写しても構わないし、中間転写部材を介して紙等の転写媒体にトナー像を転写しても構わない。
【0082】
(IV)の工程では、クリーニング部10は、ブレードクリーニング、ブラシクリーニングなどのクリーニング手段で、像担持体6表面に残存するトナーをクリーニングする。また、除電部11では、光照射により、像担持体6表面を除電するか、もしくは(I) の工程で印加したバイアスとは逆極性のバイアスを印加することにより、像担持体6表面を除電する。
【0083】
なお、図13では図示を省略しているが、この画像形成装置には、紙等の転写媒体を収納し、上記の画像形成プロセスにタイミングを合わせて給紙する給紙部や、紙等の転写媒体に転写されたトナー像を定着する定着部、定着後の転写媒体を排紙する排紙部等が設けられている。
【0084】
本発明の像担持体を用いる画像形成プロセスは、上記の一例に限定されるものではなく、導電性支持体1上に、少なくとも、感光層2(または感光層2と電荷保持層4)、該感光層2(または電荷保持層4)を被覆している部分と被覆していない部分を有する上部電極(具体的には、ランダムなパターンまたは縞状または格子状に形成され、感光層(または電荷保持層)の表面を所定のパターンで被覆するように形成された上部電極)3、保護層5を順次積層した像担持体6を用いて、少なくとも光照射時に像担持体6の上部電極3にバイアスを印加し、静電潜像を形成し、その後、転写部9で再度像担持体6の上部電極3にバイアスを印加し、現像部8で現像されたトナーを被転写材12に転写する工程があればよい。
このような画像形成プロセスを行う画像形成方法及び画像形成装置とすることにより、従来の電子写真プロセスの帯電工程で発生していた窒素酸化物(NOx)、オゾンなどの放電生成物がなくなり、また帯電工程の帯電部材がないことから、小型化が可能であり、長期的に画像安定性に優れた画像形成方法及び画像形成装置を実現することができる。
【0085】
以上に示すような画像形成方法及び画像形成装置は、複写装置、ファクシミリ、プリンター、あるいはこれらの複合機等の画像形成部に固定して組み込まれていてもよいが、プロセスカートリッジの形でそれら装置内に組み込まれていてもよい。
プロセスカートリッジとは、カートリッジ内に像担持体を内蔵し、他に潜像形成手段、現像手段、転写手段、クリーニング手段、除電手段等のうちの少なくとも一つを含んだ構成の1つの装置(部品)であり、画像形成装置本体に対して着脱可能に設けられている。このプロセスカートリッジは取り外しや交換が容易であり、リサイクルもし易いので、画像形成装置の保守やメンテナンスが容易となり、また、環境保護の面でも利点がある。
【0086】
本発明では、以上に説明したような像担持体、画像形成方法、画像形成装置、プロセスカートリッジを用いることにより、オゾン、NOx生成物を発生する放電を伴う従来の帯電工程(像担持体の外部から帯電手段で電荷を付与する帯電工程)をなくし、潜像形成工程を簡略化できるので、前述の特許文献7に記載の先行技術と比較して、光照射時にバイアスを印加する機構の小型化が可能となる。
さらに、特許文献7に記載のような透明性の外部バイアス印加部材により、外部より像担持体表面にバイアス印加を行う場合は、像担持体表面と外部のバイアス印加部材との間に、異物(トナー、現像剤、紙粉など)が介在することがあり、これにより、バイアス印加が不均一となり、濃度ムラが発生する可能性や、像担持体表面が傷つく恐れがあるが、本発明の像担持体では、感光層2(または電荷保持層4)上に所定のパターンの上部電極3を形成し、像担持体端部を除いた像担持体表面を保護層5で被覆し、上部電極へのバイアス印加は像担持体端部で行う構成としていることにより、このような上部電極及びそれ以下の層との間には異物付着は起こらず、常に均一なバイアス印加が行えることから、濃度ムラなどの悪影響を及ぼすことはない。また、像担持体表面が傷つく恐れもない。さらに転写部で、像担持体の上部電極にバイアスを印加することにより、像担持体から被転写材にトナーを転写するため、転写効率が向上し、異常画像の発生が減少する。
【実施例】
【0087】
以下、本発明の像担持体を具体的な実施例により説明するが、これにより本発明の態様が限定されるものではない。
【0088】
{実施例各層の塗工液条件}
[感光層(単層)塗工液]
・ビスフェーノルZ型ポリカーボネート(パンライトTS2050:帝人化成社製)。
・下記の[化1]に示す構造の正孔輸送物質。
・下記の[化2]に示す構造の電子輸送物質。
・オキソチタニウムフタロシアニン顔料。
・テトラヒドロフラン。
【0089】
【化1】
【0090】
【化2】
【0091】
<混合比(重量)>
ポリカーボネート/正孔輸送物質/電子輸送物質/オキソチタニウムフタロシアニン/テトラヒドロフラン=10/5/4/1/80
【0092】
[感光層(積層)の電荷輸送層塗工液]
・ビスフェーノルZ型ポリカーボネート(パンライトTS2050:帝人化成社製)。
・下記の[化3]に示す構造の正孔輸送物質。
・下記の[化4]に示す構造の電子輸送物質。
・テトラヒドロフラン。
【0093】
【化3】
【0094】
【化4】
【0095】
<混合比(重量)>
ポリカーボネート/正孔輸送物質/電子輸送物質/テトラヒドロフラン=10/7/3/80
【0096】
[感光層(積層)の電荷発生層塗工液]
・オキソチタニウムフタロシアニン顔料。
・ブチラール樹脂(エスレックBMS:積水化学社製)。
・テトラヒドロフラン。
・シクロヘキサノン。
【0097】
<混合比(重量)>
オキソチタニウムフタロシアニン顔料/ブチラール樹脂/テトラヒドロフラン/シクロヘキサノン=5/2/100/100
【0098】
[電荷保持層及び保護層(1) 塗工液]
・共重合ナイロン樹脂(CM8000:東レ製)。
・メチルアルコール。
・イソブチルアルコール。
【0099】
<混合比(重量)>
ナイロン樹脂/メチルアルコール/イソブチルアルコール=4.5/80/15.5
【0100】
[保護層(2) 塗工液]
・イソシアネート(タケネートD140N:三井武田ケミカル社製)。
・ポリオール(LZR170:藤倉化成社製)。
・アセトン。
・セロソルブアセテート。
・メチルイソブチルケトン。
【0101】
<混合条件>
NCO/OH比=1.0
イソシアネート+ポリオール/アセトン/セロソルブアセテート/メチルイソブチルケトン=10/40/40/10
【0102】
[保護層(3) 塗工液]
・イソシアネート(タケネートD140N:三井武田ケミカル製)。
・ポリオール(LZR170:藤倉化成製)。
・酸化チタン(CR−EL:石原産業製)。
・アセトン。
・セロソルブアセテート。
・メチルイソブチルケトン。
【0103】
<混合条件>
NCO/OH比=1.0
イソシアネート+ポリオール/酸化チタン/アセトン/セロソルブアセテート/メチルイソブチルケトン=8/2/40/40/10
【0104】
{実施例各層の塗工条件}
[感光層(単層)]
塗工方法:ディッピング。
膜厚:30μm。
乾燥:加熱乾燥(130℃、20分)。
【0105】
[感光層(積層)の電荷輸送層]
塗工方法:ディッピング。
膜厚:30μm。
乾燥:加熱乾燥(130℃、20分)。
【0106】
[感光層(積層)の電荷発生層]
塗工方法:スプレー。
膜厚:2.0μm。
乾燥:加熱乾燥(110℃、20分)。
【0107】
[電荷保持層]
塗工方法:ディッピング。
膜厚:2.0μm。
乾燥:加熱乾燥(100℃、20分)。
【0108】
[保護層(1) ]
塗工方法:スプレー。
膜厚:2.0μm。
乾燥:加熱乾燥(100℃、20分)。
【0109】
[保護層(2) ]
塗工方法:スプレー。
膜厚:2.0μm。
乾燥:加熱乾燥(150℃、20分)。
【0110】
[保護層(3) ]
塗工方法:スプレー。
膜厚:2.0μm。
乾燥:加熱乾燥(150℃、20分)。
【0111】
[上部電極(1) の製膜条件]
製膜法:真空蒸着法(マスク)。
蒸着源:アルミニウム。
電極パターン:縞状電極(電極間距離30μm、電極幅20μm)。
【0112】
[上部電極(2) の製膜条件]
製膜法:真空蒸着法(蒸着後、エキシマレーザーによる加工)。
蒸着源:アルミニウム。
電極パターン:格子状電極(電極間距離25μm、電極幅20μm)。
【0113】
[保護層(4) の製膜条件]
より具体的な実施例として保護層(4) の製膜条件を以下に示す。
基体を図14に示すような構成のプラズマCVD装置にセットし、保護層を形成した。ここで図14中、符号107はプラズマCVD装置の真空槽であり、ゲート弁109によりロード/アンロード用予備室117と仕切られている。真空槽107内は排気系120(圧力調整バルブ121、ターボ分子ポンプ122、ロータリーポンプ123よりなる)により真空排気され、また一定圧力に保たれるようになっている。
真空槽107内には反応槽150が設けられている。130(131〜134)は反応槽150内へ導入するガスラインを示しており、図示しない各種材料ガス容器が接続されており、それぞれ流量計129を経てノズル125より反応槽150の中へ導入される。
【0114】
枠状構造体102中には、導電性支持体上に前記感光層(または前記感光層と電荷保持層)と上部電極を形成した基体101(101−1、101−2・・・101−n)を配置する。なお、このそれぞれの支持体は、後述するように第三の電極として配置される。電極103、113には、それぞれ第一の交番電圧を印加するための一対の電源115(115−1、115−2)が用意されている。第一の交番電圧の周波数は、1〜100MHzである。これらの電源は、それぞれマッチングトランス116−1、116−2とつながる。このマッチングトランスでの位相は位相調整器126により調整し、互いに180°又は0°ずれて供給できる。即ち、対称型又は同相型の出力を有している。マッチングトランスの一端104及び他端114は、それぞれ第一及び第二の電極103、113に連結されている。また、トランスの出力側中点105は接地レベルに保持されている。更に、この中点105と第三の電極、即ち基体101(101−1、101−2・・・101−n)又はそれらに電気的に連結するホルダ102の間に第二の交番電圧を印加するための電源119が配設されている。この第二の交番電圧の周波数は、1〜500KHzである。この第一及び第二の電極に印加する第一の交番電圧の出力は、13.56MHzの周波数の場合0.1〜1KWであり、第三の電極、即ち支持体に印加する第二の交番電圧の出力は、150KHzの周波数の場合、約100Wである。
【0115】
以下の条件で、保護層(4) を製膜した。
・C2H4流量:90sccm。
・H2流量:150sccm。
・NF3流量:45sccm。
・反応圧力:0.02torr。
・第一の交番電圧出力:200W、13.56MHz。
・バイアス電圧(直流分):−100V。
・膜厚:2.0μm。
【0116】
下記の表1に示すように、上記の各層を組み合わせて、実施例1〜9の像担持体(像担持体1〜9)を作製した。
【0117】
【表1】
【0118】
[基本評価装置]
・ベース:(株)リコー製イマジオMF7070
・潜像形成部:書き込み780nmLD、像担持体上部電極印加バイアス(+600V)
・現像部:電源を改造し、プラス極性トナー用に改造
・トナー:プラス極性トナー
・転写部:転写部材にマイナス極性のバイアス印加(−200V)
【0119】
このような画像形成装置を用いて、像担持体1〜4に関しては初期画像評価のみを行い、像担持体5〜9に関しては、画像面積率が6%となるようなA4サイズ(横)のテストチャートを連続で2万枚まで印刷(プリント)した。
初期(印刷スタート時)と1万枚印刷後、及び2万枚印刷後において以下の項目について評価を行なった。実施例及び比較例として、転写部で像担持体の上部電極に転写バイアス(+100V or 0V)を印加した。
【0120】
<画像評価>
日本画像学会発行のテストチャートNO.3を用いて、ハーフトーン、細線、白抜け等の画像評価を目視にて行った。
・ハーフトーン:○良好、×局所的なムラが発生。
・細線再現性:○良好、△局所的に画像流れ発生、×全体的に画像流れ発生。
・白抜け:○良好、×細線部に白抜け画像(トナー未定着部)局所的に発生。
像担持体1〜4の画像評価結果を下記の表2に示し、像担持体5〜9の画像評価結果を下記の表3に示す。
【0121】
<摩耗量測定>
像担持体5〜9の摩耗量は、感光体上の20点の膜厚を渦電流式膜厚計(FisherscopeMMS)で測定し、初期からの膜厚減少量を求めた。摩耗量測定結果を下記の表4に示す。なお、像担持体5は通紙試験中に保護層が消失したので評価を中止した。
【0122】
【表2】
【0123】
【表3】
【0124】
【表4】
【0125】
以上の評価の結果、実施例7〜9の像担持体では、2万枚通紙後もハーフトーン、細線再現性ともに良好であり、摩耗量も0.6μm以下であり、実用性の確認ができた。
【符号の説明】
【0126】
1:導電性支持体
2:感光層
2a:電荷輸送層
2b:電荷発生層
3:上部電極
3a:縞状電極
3b:格子状電極
4:電荷保持層
5:保護層
6:像担持体
7:露光部
8:現像部
9:転写部
10:クリーニング部
11:除電部
101−1〜101−n:支持体
102:枠状構造体
103、113:電極
104、114:マッチングトランスの端部
105:トランス出力側中点
107:真空槽
108、118:フード
109:ゲート弁
115:電源
116−1、116−2:マッチングトランス
117:ロード/アンロード用予備室
119:電源
120:排気系統
121:調整バルブ
122:ターボ分子ポンプ
123:ロータリーポンプ
125:ガス導入ノズル
126:位相調整器
129:流量計
130〜134:ガスライン
140:交番電源系
150:反応槽
【先行技術文献】
【特許文献】
【0127】
【特許文献1】特開平06−003921号公報
【特許文献2】特開平8−76559号公報
【特許文献3】特開平8−76559号公報
【特許文献4】特開平9−26681号公報
【特許文献5】特許第3895514号公報
【特許文献6】特許第3566275号公報
【特許文献7】特開2007−178816号公報
【特許文献8】特開昭52−36016号公報
【特許文献9】特開昭58−49609号公報
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも潜像形成、現像、転写を行う画像形成プロセスに用いられる像担持体であって、
導電性支持体上に、少なくとも、感光層と、該感光層を被覆している部分と被覆していない部分を有し潜像形成用の光照射時及び現像画像の転写時にバイアスが印加される上部電極と、該上部電極を含む像担持体表面を被覆する保護層とを順次積層した構造を有することを特徴とする像担持体。
【請求項2】
少なくとも潜像形成、現像、転写を行う画像形成プロセスに用いられる像担持体であって、
導電性支持体上に、少なくとも、感光層と、電荷保持層と、該電荷保持層を被覆している部分と被覆していない部分を有し潜像形成用の光照射時及び現像画像の転写時にバイアスが印加される上部電極と、該上部電極を含む像担持体表面を被覆する保護層とを順次積層した構造を有することを特徴とする像担持体。
【請求項3】
少なくとも潜像形成、現像、転写を行う画像形成プロセスに用いられる像担持体であって、
導電性支持体上に、少なくとも、感光層と、該感光層上に縞状に形成され潜像形成用の光照射時及び現像画像の転写時にバイアスが印加される上部電極と、該上部電極を含む像担持体表面を被覆する保護層とを順次積層した構造を有することを特徴とする像担持体。
【請求項4】
少なくとも潜像形成、現像、転写を行う画像形成プロセスに用いられる像担持体であって、
導電性支持体上に、少なくとも、感光層と、電荷保持層と、該電荷保持層上に縞状に形成され潜像形成用の光照射時及び現像画像の転写時にバイアスが印加される上部電極と、該上部電極を含む像担持体表面を被覆する保護層とを順次積層した構造を有することを特徴とする像担持体。
【請求項5】
少なくとも潜像形成、現像、転写を行う画像形成プロセスに用いられる像担持体であって、
導電性支持体上に、少なくとも、感光層と、該感光層上に格子状に形成され潜像形成用の光照射時及び現像画像の転写時にバイアスが印加される上部電極と、該上部電極を含む像担持体表面を被覆する保護層とを順次積層した構造を有することを特徴とする像担持体。
【請求項6】
少なくとも潜像形成、現像、転写を行う画像形成プロセスに用いられる像担持体であって、
導電性支持体上に、少なくとも、感光層と、電荷保持層と、該電荷保持層上に格子状に形成され潜像形成用の光照射時及び現像画像の転写時にバイアスが印加される上部電極と、該上部電極を含む像担持体表面を被覆する保護層とを順次積層した構造を有することを特徴とする像担持体。
【請求項7】
請求項1乃至6の何れか一つに記載の像担持体において、
前記感光層は単層構造であり、該単層構造の感光層は、電荷発生機能と電荷輸送機能を有することを特徴とする像担持体。
【請求項8】
請求項1乃至6の何れか一つに記載の像担持体において、
前記感光層は積層構造であり、該積層構造の感光層は、電荷発生機能を有する電荷発生層と、電荷輸送機能を有する電荷輸送層とから構成されることを特徴とする像担持体。
【請求項9】
請求項1乃至8の何れか一つに記載の像担持体において、
前記保護層が、ダイヤモンド状カーボン若しくは非晶質カーボン構造を有する膜であることを特徴とする像担持体。
【請求項10】
請求項1乃至8の何れか一つに記載の像担持体において、
前記保護層が、樹脂中にフィラーを分散させた膜であることを特徴とする像担持体。
【請求項11】
少なくとも潜像形成、現像、転写を行う画像形成プロセスにより被転写材に画像を形成する画像形成方法において、
請求項1乃至10の何れか一つに記載の像担持体を用い、潜像形成用の光照射時に前記像担持体の上部電極にバイアスを印加することにより潜像形成を行い、潜像形成後、前記像担持体表面の潜像をトナーで現像し、その現像されたトナー画像を被転写材に転写する転写時に前記像担持体の上部電極に前記トナーと同極性のバイアスを印加することにより該トナー画像を前記被転写材に転写することを特徴とする画像形成方法。
【請求項12】
少なくとも潜像形成、現像、転写を行う画像形成プロセスにより被転写材に画像を形成する画像形成装置において、
請求項1乃至10の何れか一つに記載の像担持体を備え、潜像形成用の光照射時に前記像担持体の上部電極にバイアスを印加することにより潜像を形成する潜像形成部と、潜像形成後、前記像担持体表面の潜像をトナーで現像する現像部と、その現像されたトナー画像を被転写材に転写する転写時に前記像担持体の上部電極に前記トナーと同極性のバイアスを印加することにより該トナー画像を前記被転写材に転写する転写部と、を有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項13】
請求項1乃至10の何れか一つに記載の像担持体を内蔵し、潜像形成手段、現像手段、転写手段、クリーニング手段、除電手段のうちの少なくとも一つを備えたことを特徴とするプロセスカートリッジ。
【請求項14】
請求項13に記載のプロセスカートリッジを着脱可能に備えたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項1】
少なくとも潜像形成、現像、転写を行う画像形成プロセスに用いられる像担持体であって、
導電性支持体上に、少なくとも、感光層と、該感光層を被覆している部分と被覆していない部分を有し潜像形成用の光照射時及び現像画像の転写時にバイアスが印加される上部電極と、該上部電極を含む像担持体表面を被覆する保護層とを順次積層した構造を有することを特徴とする像担持体。
【請求項2】
少なくとも潜像形成、現像、転写を行う画像形成プロセスに用いられる像担持体であって、
導電性支持体上に、少なくとも、感光層と、電荷保持層と、該電荷保持層を被覆している部分と被覆していない部分を有し潜像形成用の光照射時及び現像画像の転写時にバイアスが印加される上部電極と、該上部電極を含む像担持体表面を被覆する保護層とを順次積層した構造を有することを特徴とする像担持体。
【請求項3】
少なくとも潜像形成、現像、転写を行う画像形成プロセスに用いられる像担持体であって、
導電性支持体上に、少なくとも、感光層と、該感光層上に縞状に形成され潜像形成用の光照射時及び現像画像の転写時にバイアスが印加される上部電極と、該上部電極を含む像担持体表面を被覆する保護層とを順次積層した構造を有することを特徴とする像担持体。
【請求項4】
少なくとも潜像形成、現像、転写を行う画像形成プロセスに用いられる像担持体であって、
導電性支持体上に、少なくとも、感光層と、電荷保持層と、該電荷保持層上に縞状に形成され潜像形成用の光照射時及び現像画像の転写時にバイアスが印加される上部電極と、該上部電極を含む像担持体表面を被覆する保護層とを順次積層した構造を有することを特徴とする像担持体。
【請求項5】
少なくとも潜像形成、現像、転写を行う画像形成プロセスに用いられる像担持体であって、
導電性支持体上に、少なくとも、感光層と、該感光層上に格子状に形成され潜像形成用の光照射時及び現像画像の転写時にバイアスが印加される上部電極と、該上部電極を含む像担持体表面を被覆する保護層とを順次積層した構造を有することを特徴とする像担持体。
【請求項6】
少なくとも潜像形成、現像、転写を行う画像形成プロセスに用いられる像担持体であって、
導電性支持体上に、少なくとも、感光層と、電荷保持層と、該電荷保持層上に格子状に形成され潜像形成用の光照射時及び現像画像の転写時にバイアスが印加される上部電極と、該上部電極を含む像担持体表面を被覆する保護層とを順次積層した構造を有することを特徴とする像担持体。
【請求項7】
請求項1乃至6の何れか一つに記載の像担持体において、
前記感光層は単層構造であり、該単層構造の感光層は、電荷発生機能と電荷輸送機能を有することを特徴とする像担持体。
【請求項8】
請求項1乃至6の何れか一つに記載の像担持体において、
前記感光層は積層構造であり、該積層構造の感光層は、電荷発生機能を有する電荷発生層と、電荷輸送機能を有する電荷輸送層とから構成されることを特徴とする像担持体。
【請求項9】
請求項1乃至8の何れか一つに記載の像担持体において、
前記保護層が、ダイヤモンド状カーボン若しくは非晶質カーボン構造を有する膜であることを特徴とする像担持体。
【請求項10】
請求項1乃至8の何れか一つに記載の像担持体において、
前記保護層が、樹脂中にフィラーを分散させた膜であることを特徴とする像担持体。
【請求項11】
少なくとも潜像形成、現像、転写を行う画像形成プロセスにより被転写材に画像を形成する画像形成方法において、
請求項1乃至10の何れか一つに記載の像担持体を用い、潜像形成用の光照射時に前記像担持体の上部電極にバイアスを印加することにより潜像形成を行い、潜像形成後、前記像担持体表面の潜像をトナーで現像し、その現像されたトナー画像を被転写材に転写する転写時に前記像担持体の上部電極に前記トナーと同極性のバイアスを印加することにより該トナー画像を前記被転写材に転写することを特徴とする画像形成方法。
【請求項12】
少なくとも潜像形成、現像、転写を行う画像形成プロセスにより被転写材に画像を形成する画像形成装置において、
請求項1乃至10の何れか一つに記載の像担持体を備え、潜像形成用の光照射時に前記像担持体の上部電極にバイアスを印加することにより潜像を形成する潜像形成部と、潜像形成後、前記像担持体表面の潜像をトナーで現像する現像部と、その現像されたトナー画像を被転写材に転写する転写時に前記像担持体の上部電極に前記トナーと同極性のバイアスを印加することにより該トナー画像を前記被転写材に転写する転写部と、を有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項13】
請求項1乃至10の何れか一つに記載の像担持体を内蔵し、潜像形成手段、現像手段、転写手段、クリーニング手段、除電手段のうちの少なくとも一つを備えたことを特徴とするプロセスカートリッジ。
【請求項14】
請求項13に記載のプロセスカートリッジを着脱可能に備えたことを特徴とする画像形成装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2010−282041(P2010−282041A)
【公開日】平成22年12月16日(2010.12.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−135804(P2009−135804)
【出願日】平成21年6月5日(2009.6.5)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年12月16日(2010.12.16)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年6月5日(2009.6.5)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】
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