説明

優れた高温耐酸化性を有する排気ガス浄化触媒コンバータ用ハニカム基材及び排気ガス浄化用触媒コンバータ

【課題】本発明は、触媒層に希土類金属成分、アルカリ土類金属成分、第4A族元素金属成分、第5A族元素金属成分を添加した場合でも、より高温での耐久性が向上できるよう、優れた高温耐酸化性を有する排気ガス浄化触媒コンバータ用メタルハニカム基材、及び、排気ガス浄化触媒コンバータを提供することを目的とする。
【解決手段】ステンレス箔を加工してなるメタルハニカム基材であって、前記ステンレス箔の表面に酸化膜から構成される前駆体皮膜が形成されており、該酸化膜がαアルミナと1種類以上のスピネルを含有していることを特徴とする優れた高温耐酸化性を有する排気ガス浄化触媒コンバータ用ハニカム基材、及び、これを用いた排気ガス浄化用触媒コンバータである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、排気ガス中に含まれるHC、CO、NOx成分を浄化する排気ガス浄化用触媒コンバータに関し、特に触媒を担持するためのメタルハニカム基材の高温耐久性に関するものである。
【背景技術】
【0002】
内燃機関の排気ガスを浄化する目的で、排気ガス経路に触媒を担持した触媒コンバータが配置される。また、メタノール等の炭化水素化合物を水蒸気改質して水素リッチなガスを生成するメタノール改質装置やCOをCO2に改質して除去するCO除去装置、あるいは、H2をH2Oに燃焼して除去するH2燃焼装置においても、同様に触媒を担持したハニカム基材が用いられる。これらハニカム基材は、ガスが通過する多数のセル状の流路を有し、各セルの壁面に触媒をコーティングして触媒コンバータとする。このような構造にすることによって通過するガスと触媒が広い接触面積で接触することを可能にしている。
【0003】
これらの目的で用いられるハニカム基材としては、セラミックスハニカム基材とメタルハニカム基材とがある。メタル基材は、耐熱合金を用いた厚み数十μmの平箔と波箔とを交互に巻き回し、あるいは積層することによって円筒形のメタルハニカム体とし、このハニカム体を円筒形の金属製の外筒に装入してメタルハニカム基材とする。このメタルハニカム基材のガス流路となるハニカム体のセルの金属箔の表面に、触媒をしみ込ませた触媒担持層を形成し、触媒コンバータとする。平箔と波箔とを巻き回し積層したハニカム体の該平箔と波箔との接触部は、ろう付け等の手段によって接合し、ハニカム体を強度のある構造体とする。
【0004】
ここで、耐熱合金としては、Al含有ステンレス箔を用いることが一般的となっている。このステンレスは、高温大気中で表面に酸素透過性の低い酸化皮膜が形成され、優れた耐酸化特性が得られることを特徴としている。
【0005】
ハニカム基材の表面には、γアルミナ粉末等を塗布して形成された多孔質の層が設けられ、ここに、触媒主金属の白金、パラジウムやロジウム等の貴金属が担持され、触媒層が形成される。排気ガスに含まれるHC、CO、NOx等はこれら貴金属の触媒効果で酸化、還元反応を起こし、浄化される。
【0006】
この浄化に関わる反応をより効率的に進めるために、各セルの壁面には、貴金属触媒に加えて、助触媒を塗布することが一般的になっている。例えば、HC、CO等の還元物質を酸化させる際に、触媒付近により多くの酸素が存在すると反応を促進させられるので、酸素を大量にストレージできるセリウムやランタン等の希土類金属成分を有する酸化物を担持する。
【0007】
また、特許文献1や特許文献2に示された排ガス浄化用触媒では、高温時における貴金属の結晶粒成長を抑制するために、セリウムの酸化物CeO2にZrO2を固溶させて、触媒層に含有させている。これらには、この他にLa、Nd、Y等の希土類金属成分が酸化物の形態で触媒層に含有されることが示されている。
【0008】
近年、エンジン性能の向上と高速走行の増加に伴い、排ガス温度が著しく上昇している。このため、排気ガスに晒される触媒コンバータにおいては、より高温での耐久性が求められるようになってきた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2004−243177号公報
【特許文献2】特開2004−261641号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
燃費改善の目的で排気ガス温度が上昇する傾向の中、ステンレス箔から構成されるハニカム基材において、触媒層に希土類金属成分、アルカリ土類金属成分、第4A族元素金属、第5A族元素金属成分を含有する助触媒を担持すると、ステンレス箔の高温耐酸化性が低下し、基材の高温での耐久性が劣化することがわかってきた。
【0011】
そこで、本発明では、触媒層に希土類金属成分、アルカリ土類金属成分、第4A族元素金属、第5A族元素金属成分を添加した場合でも、より高温での耐久性が向上できるよう、優れた高温耐酸化性を有する排気ガス浄化触媒コンバータ用メタルハニカム基材、及び、排気ガス浄化用触媒コンバータを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の要旨とするところは以下の通りである。
(1) ステンレス箔を加工してなるメタルハニカム基材であって、前記ステンレス箔の表面に前駆体皮膜が形成されてなることを特徴とする優れた高温耐酸化性を有する排気ガス浄化触媒コンバータ用ハニカム基材。
(2) 前記前駆体皮膜が酸化物から構成されており、該酸化物が結晶構造による分類でα、γ、θ、χ、δ、η、κアルミナのうち、少なくとも1種類以上のアルミナを含有している(1)に記載のハニカム基材。
(3) 前記前駆体皮膜の全体積に対するγ、θ、χ、δ、η、κアルミナの総和体積の割合をa%とすると、aが5%以上95%以下である(2)に記載のハニカム基材。
(4) 前記前駆体皮膜が酸化物から構成されており、少なくとも1種類以上のスピネルが含有されている(1)に記載のハニカム基材。
(5) 前記前駆体皮膜の全体積に対する該スピネルの体積率をb%すると、bが5%以上95%以下である(4)に記載のハニカム基材。
(6) 前記ステンレス箔中のAl濃度が質量%で6.5%超13%以下である(1)に記載のハニカム基材。
(7) (1)〜(6)のいずれかに記載のハニカム基材が組み込まれてなる触媒コンバータであって、前記ハニカム基材に触媒層が形成されてなることを特徴とする優れた高温耐酸化性を有する排気ガス浄化用触媒コンバータ。
(8) 前記触媒層が希土類金属成分を含有する(7)に記載の排気ガス浄化用触媒コンバータ。
(9) 前記触媒層がアルカリ土類金属成分を含有する(7)に記載の排気ガス浄化用触媒コンバータ。
(10) 前記触媒層が第4A族元素の金属成分を含有する(7)に記載の排気ガス浄化用触媒コンバータ。
(11) 前記触媒層が第5A族元素の金属成分を含有する(7)に記載の排気ガス浄化用触媒コンバータ。
【発明の効果】
【0013】
本発明の排気ガス浄化触媒コンバータ用メタルハニカム基材は、ステンレス箔の表面に前駆体皮膜が形成されており、触媒層を形成させたコンバータにおいて優れた高温耐酸化性を発現する。触媒層に希土類金属、アルカリ土類金属、第4A族元素金属、第5A族元素金属を主体とする酸化物を含有させた場合の効果は大きく、酸素ストレージや貴金属粒粗大化抑制機能を応用した排気ガス浄化システムへの適用が好適となる。その結果、高燃費、かつ、クリーンな排気ガスの内燃機関が実現でき、例えば、ディーゼル、ガソリン自動車等への応用が期待される。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明者らは、Ce、La等の希土類金属を主体とする酸化物、Ti、Zr等の第4A族元素の金属成分を主体とする酸化物、Ba、Sr等のアルカリ土類金属、V、Nb等の第5A族元素の金属成分を主体とする酸化物を触媒層に含有させた場合に、該触媒層を表面に形成させたステンレス箔の高温耐酸化性が、触媒層を形成しない場合に比べて著しく低下することを見出し、その原因について詳しく解析した。その結果、該触媒層の存在下においては、直下のステンレス箔表面に保護皮膜として生成される酸化皮膜の酸素透過性が高くなり、触媒層のない場合に比べて、高温耐酸化性は低下することが判明した。例えば、20%Cr−5%Alフェライト系ステンレスの場合には、アルミナ系の保護酸化皮膜が形成されるが、触媒層が存在する場合には、形成される保護皮膜の酸素透過性は高くなり、含有されるAlが短時間で酸化されて、消費されてしまった。このような酸素透過性の高い酸化皮膜が形成されるのは、触媒層に含有される希土類金属、第4A族元素金属、アルカリ土類金属、第5A族元素金属成分の影響であるものと考えている。
【0015】
そこで、本発明者らは、様々な手法で高温耐酸化性の改善を試み、その結果、触媒層に希土類金属、第4A族元素金属、アルカリ土類金属、第5A族元素金属成分が存在しても、高温大気中において酸素透過性の低い保護皮膜が生成でき、優れた高温耐酸化性を確保できる手法を見出した。
【0016】
その手法とは、触媒層を形成させる前にステンレス表面に特定の前駆体皮膜を付与させ、該触媒層下でもこの前駆体皮膜の下部あるいは上部に、酸素透過性の低い酸化膜を形成させるように制御するのである。この前駆体皮膜の役割は、下部酸化皮膜への触媒層中の希土類金属や第4A族元素の金属成分の影響を物理的にシールドするばかりでなく、前駆体皮膜の結晶構造、組織構造によって、下部あるいは上部の酸化皮膜の生成をコントロールして、酸素透過性が低くなるような結晶構造・組織構造へ誘導するものである。このため、前駆体皮膜はステンレス表面と原子レベルで密着している必要があり、例えば、前駆体皮膜としては、ステンレス自体を酸化させて付与した酸化物皮膜であることが望ましい。この前駆体皮膜は、必ずしもステンレス箔表面を一様に覆う必要は無く、島状に存在してもその機能は十分に発揮される。加えて、それ自体の酸素透過性は、必ずしも高くなくても良く、その下部あるいは上部に形成される酸化皮膜の酸素透過性が十分に低ければ良い。
【0017】
以下に、本発明の詳細な範囲について記述する。
【0018】
本発明の前駆体皮膜の一つは、酸化物から構成されており、該酸化物が結晶構造による分類でα、γ、θ、χ、δ、η、κアルミナの内、少なくとも1種類以上のアルミナを含有していることを特徴とする。アルミナはAl23の分子式で表され、代表的なコランダム結晶構造(六方晶)を有するαアルミナと、その他の結晶構造を有するγ、θ、χ、δ、η、κアルミナが存在する。本発明の前駆体皮膜には、α、γ、θ、χ、δ、η、κアルミナの内、少なくとも1種類以上のアルミナが含まれる必要があり、これらのアルミナが存在すると、触媒層の存在下でも酸素透過性の低い酸化膜を形成させることができる。ここで、表1には、各アルミナの結晶構造と、X線回折反射に関する情報が得られるASTMカードの番号を記しておく。ここで、アルミナとしては、構成元素が遷移元素等の他元素で一部置換されたアルミナでも本発明の範囲に含まれる。
【0019】
【表1】

【0020】
前記前駆体皮膜の全体積に対するγ、θ、χ、δ、η、κアルミナの総和体積の割合をa%とすると、より望ましいaの範囲は5%以上95%以下である。この範囲ならば、希土類金属、第4A族元素金属、アルカリ土類金属、第5A族元素金属成分が含有される触媒層下においても、前駆体皮膜の下部あるいは上部に生成される酸化皮膜の酸素透過性は著しく低く、優れた高温耐酸化性が得られる。5%未満の前駆体皮膜を得るためには、より高温でハニカム基材を処理しなくてはならず、構造体としての強度や寸法精度を維持することが難しくなるため、5%以上とした。95%超では前駆体皮膜を製造する時間が著しく長くなり、コスト高になるため、95%以下にした。ここで、前駆体皮膜の体積や各アルミナの体積比は、X線回折による各相のピーク強度を比較して求めたり、詳細には電子顕微鏡観察して各相の体積を見積もることによって確認可能である。
【0021】
他の前駆体皮膜としては、少なくとも1種類以上のスピネルを含有することを特徴とする。スピネルはM・Al24の分子式で表され、Mは、Mg、Fe、Zn、Mn、Cr、Niのいずれかである。本発明の前駆体皮膜には、特に、MがMg、Mn、Niであるスピネルが存在すると、希土類金属、第4A族元素金属、アルカリ土類金属、第5A族元素金属成分を含んだ触媒層の存在下でも、酸素透過性の低い酸化膜を形成させることができる。したがって、これらスピネルを1種類以上含有させることが、本発明の前駆体皮膜の好ましい条件である。
【0022】
該前駆体皮膜の全体積に対するスピネルの体積率をb%とすると、望ましい体積率bの範囲は5%以上95%以下である。この範囲ならば、希土類金属、第4A族元素金属、アルカリ土類金属、第5A族元素金属成分が含有される触媒層下においても、前駆体皮膜の下部あるいは上部に生成される酸化皮膜の酸素透過性は著しく低く、優れた高温耐酸化性が得られる。5%未満の前駆体皮膜を得るためには、より高温でハニカム基材を処理しなくてはならず、構造体としての強度や寸法精度を維持することが難しくなるため、5%以上とした。95%超では前駆体皮膜を製造する時間が著しく長くなり、コスト高になるため、95%以下にした。ここで、前駆体皮膜や、スピネルの体積比は、X線回折による各相のピーク強度を比較して求めたり、詳細には電子顕微鏡観察して各相の体積を見積もることによって確認可能である。
【0023】
ここで、本発明の前駆体皮膜を付与する方法について記載する。先にも述べたように、前駆体皮膜はステンレス箔の表面に密着させて付与する必要がある。例えば、特定雰囲気中でステンレス箔を焼成して、ステンレス中の構成元素と雰囲気元素との化学反応を利用して、酸化物の前駆体皮膜を表面に付与でき、この方法で得られる前駆体皮膜とステンレス箔の密着性は非常に良好である。この際、必要に応じてステンレス表面には助剤を塗布して、ステンレス、雰囲気以外から所望の成分元素を添加して、前駆体皮膜を生成付与させることも可能である。
【0024】
アルミナを含有する前駆体皮膜は、Alを含有するステンレス箔を特定の雰囲気、温度条件で焼成することによって箔表面に付与できる。基本的には、酸素分圧が10Pa〜大気圧程度の雰囲気や水蒸気露点を制御した酸化性雰囲気中にステンレス箔を暴露して、300〜1200℃程度に加熱することによって、所望の結晶構造のアルミナを含有する前駆体皮膜は付与できる。また、酸化性雰囲気における焼成前に、予め酸素分圧10-2Pa程度の真空中や、水素、一酸化炭素等の還元雰囲気中で焼成して、ステンレス箔の表面状態を整えておくと、さらに前駆体皮膜の付与を効率的に実施できる場合がある。
【0025】
その他、前記アルミナを含有する前駆体皮膜を付与する方法としては、ステンレス表面に予め金属Alをめっき法や粉末塗布法で富化させておき、酸化雰囲気中で焼成する方法が挙げられる。この方法は、ステンレス箔中に含有するAlが少量でも前駆体皮膜を付与することができる。また、Alを主成分とする酸化物をステンレス表面に塗布して、酸化、還元、拡散反応を利用して、所望の前駆体皮膜を表面に付与することも可能である。
【0026】
スピネルを含有する前駆体皮膜は、Alを含有するステンレス箔表面に、Mg、Mn、Niの金属成分を付着させ、酸化性もしくは不活性雰囲気中で焼成することによって、生成できる。基本的には、酸素分圧が10Pa〜大気圧程度の雰囲気や水蒸気露点を制御した酸化性雰囲気中にステンレス箔を暴露して、300〜1200℃程度に加熱させればよい。ここで、Mg、Mnの金属成分は、酸化物や塩、例えば、硝酸Mg、酸化Mgや酸化Mnの形でステンレス箔の表面に付着させて、添加させることが可能である。
【0027】
ハニカム基材は、ステンレス箔に波付け加工を施した波箔と平箔を組み合わせて捲き回し、波箔と平箔を部分的に接合して製造している。その中で、前駆体皮膜の付与は、ハニカム基材に加工する前のステンレス箔に行っても、ステンレス箔をハニカム基材に製造した後に行っても良い。接合部には、例えば、ろう材を使用する場合がある。前駆体皮膜は、ろう材表面にも付与させる必要があるが、必ずしもその下部あるいは上部に酸素透過性の低い酸化皮膜が形成されない場合がある。このような場合には、接合は、ろう付け法を用いず、箔同士の拡散接合法を利用すれば良い。
【0028】
本発明の前駆体皮膜を付与させた後の前駆体皮膜とステンレス箔に含有する全Al濃度の望ましい範囲は、質量%で6.5%超13%以下である。Al濃度が6.5%超であると、前駆体皮膜の下部あるいは上部に生成される酸化皮膜の酸素透過性がより小さくなり、より優れた高温耐酸化性が得られる。このため、6.5%超が望ましい。また、13%超では、ステンレス箔の靭性が著しく低下し、排気ガスの圧力や振動によって箔の欠けや亀裂が発生して、構造信頼性が損なわれる。したがって、該前駆体皮膜とステンレス箔に含有する全Al濃度の最大値は13%以下が好ましい。
【0029】
前駆体皮膜を付与させた後のステンレス箔内部のAl濃度は、質量%で0.5%以上10%以下であることが望ましい。Al濃度が0.5%未満であると、前駆体皮膜があっても、下部あるいは上部に酸素透過性の低い酸化皮膜が生成され難くなるので、0.5%以上が好ましい。Al濃度が10%を超えると、ステンレス箔の靭性が著しく低下し、排気ガスの圧力や振動によって箔の欠けや亀裂が発生して、構造信頼性が損なわれる惧れが高まる。したがって、該前駆体皮膜を除いたステンレス箔部位におけるAl濃度の最大値は10%が好ましい。
【0030】
次に、より好ましいステンレス箔のAl濃度を除く成分系について言及する。
【0031】
Cは、不可避的に混入し、ステンレス箔の靭性、延性、耐酸化性に悪影響するので、低い方が望ましいが、本発明においては0.1%以下であれば実害が許容できるので、上限は0.1%であることが望ましい。
【0032】
Siも不可避的に混入し、ステンレス箔の靭性、延性を低下させ、一般には耐酸化性を向上させるが、2%を超えると、効果が少なくなるばかりでなく、靱性が低下する問題を生じる。したがって、2%以下が好ましい。
【0033】
Mnも不可避的に混入し、これが2%を超えて含有すると、ステンレス箔の耐酸化性が劣化するので、その上限は2%であることが好ましい。
【0034】
Crは、本発明においてアルミナを安定にして、耐酸化性を向上させるために添加するが、9%未満ではその効果は不十分で、また、25%を超えると鋼が脆くなり、冷間圧延や加工に耐えなくなるので、その範囲は9%以上25%以下であることが好ましい。
【0035】
Ti、Zr、Nb、Hfは、前駆体皮膜の下部あるいは上部に生成されるアルミナの酸素透過性を低下させ、酸化速度を著しく減少させる効果があるため、必要な添加元素である。しかしながら、合計で2.0%を超えると、箔中に金属間化合物の析出が増えて箔を脆くするため、それらの合計は2.0%以下であることが好ましい。
【0036】
Mg、Ca、Baもアルミナに固溶し、ステンレス箔の高温耐酸化性を向上させる場合がある。合計で0.01%を超えると、箔の靭性が低下するため、0.01%以下であることが好ましい。
【0037】
Y、希土類元素は、酸化皮膜の密着性を確保する元素として添加は必要である。但し、合計で0.5%を超えると、箔中に金属間化合物の析出が増加し、靭性が低下するので、0.5%以下であることが好ましい。
【0038】
本発明のメタルハニカム基材を構成するステンレス箔の製造方法は、当該成分を有する鋳片から直接熱間圧延及び冷間圧延を経て製造する方法と、Al濃度が6%を超えると靭性低下により通常の製造が困難になることから、次に示す方法がある。即ち、製造が容易な低レベルのAl濃度でステンレス箔を製造し、冷延板表面に溶融Alめっき法やドライプロセス等によってAlを付着させ、熱処理によってAlを鋼中に拡散させ、Al濃度を増加させることで製造が可能である。
【0039】
本発明のハニカム基材を構成するステンレス箔の厚みは、5μm以上150μm以下が望ましい。5μmを下回ると、箔の強度が低くなり過ぎて、変形等が生じ易くなるからである。また、150μmを超えると、排気ガスの通気性が低下し易いためである。
【0040】
本発明には、上記で説明したハニカム基材に触媒層を形成させた排気ガス浄化用触媒コンバータも含まれる。触媒層は、多孔質のγアルミナ焼成体をベースにし、そこに主触媒である白金、パラジウムやロジウム等の貴金属が担持されている。
【0041】
さらに、助触媒としては、次に挙げる各金属元素を主体とした酸化物、炭酸塩、硝酸塩等の酸化物を用いることが多く、多孔質のγアルミナ粉末焼結体の担持材に混合して用いられる。
【0042】
本発明の範囲の助触媒元素としては、酸素ストレージ機能を有する酸化物を形成できる希土類金属元素、第4A族元素あるいは第5A族元素が挙げられる。希土類金属元素には、La、Ce、Nd、Pr、Sm、Yが挙げられる。第4A族元素には、Ti、ZrあるいはHf金属が挙げられる。第5A族元素には、V、NbあるいはTa金属が挙げられる。
【0043】
その他の助触媒元素としては、触媒層の高温劣化を抑制する機能を有する酸化物を形成できるアルカリ土類金属元素が挙げられる。これには、Ca、Sr、Ba、Mgが含まれている。
【実施例】
【0044】
(実施例1)
ハニカム基材を構成する三種類のステンレス箔(A箔、B箔、C箔)を用意して、各種の前駆体皮膜をステンレス箔表面に付与した後に、希土類金属、第4A族元素金属、第5A族元素金属、アルカリ土類金属成分を含有する触媒層を形成させて、この状態における1050℃の高温耐酸化性を調べた。
【0045】
A箔、C箔は、溶製、圧延によって製造したものであり、特に、C箔については、工程の途中でAlめっきによるAl富化工程を経て製造を行なった。成分系は、質量%で、
A箔:20%Cr−5.0%Al−0.06%Ti−0.1%(La,Ce)−bal.Fe、
C箔:20%Cr−7.5%Al−0.06%Ti−0.1%(La,Ce)−bal.Fe
であった。箔の厚みは、A箔で30μm、C箔で20μmである。B箔は、溶製、圧延によって製造した20%Cr−2.5%Al−0.06%Ti−0.1%REM−bal.Feの箔に、蒸着法によって表裏表面にAlを皮膜したものである。その結果、B箔の厚みは30μmとなり、平均Al濃度は5.0%となるようにした。
【0046】
次に、それぞれの箔の表面に前駆体皮膜を付与するために、各種の熱処理を施して、表面に酸化物を形成させた。なお、比較のため、前駆体皮膜を付与しない試験片も作製した。
【0047】
A箔及びC箔については、10-2Paの真空中で1180℃×20分の熱処理を施した後に、大気中で熱処理を施して、前駆体皮膜の酸化物を箔の両表面に付与した。ここで、酸化物の種類と体積率を制御は、熱処理温度と時間を変化させて行なった。熱処理温度の範囲は500〜1050℃の間であり、熱処理時間の範囲は1分〜10時間の間であった。
【0048】
B箔については、大気中熱処理を行ない、熱処理温度の範囲は700〜950℃の間で、前駆体皮膜を付与させた。熱処理時間の範囲は1分〜10時間の間であった。ここで、酸化物の種類と体積率を制御は、熱処理温度と時間を変化させて行なった。
【0049】
X線回折法を用いて、ステンレス箔表面に付与された酸化物皮膜の相同定を行なった。引き続き、走査型、透過型電子顕微鏡を用いて酸化物を直接観察して、本発明の前駆体皮膜に必要なα、γ、θ、χ、δ、η、κアルミナの前駆体皮膜に占める体積率を求めた。直接観察は、立体的に体積率を求めるために、ステンレス箔表面の垂直方向と箔厚み断面の垂直方向から観察した複数視野で行い、これらの結果から算出した。表2に、各ステンレス箔の表面に付与された前駆体皮膜の状態を示した。
【0050】
【表2】

【0051】
触媒1については、γアルミナ粉末、CeO2粉末、La2(CO33粉末を水と混錬して得たスラリーを、ステンレス箔の両表面に塗布し、乾燥させた。この時、CeO2粉末、La2(CO33粉末は、γアルミナ粉末に対する質量比率で、40%、30%とした。また、塗布量は、ステンレス箔の表面積平方センチメートル当りで固形物質量で、7mgになるようにした。
【0052】
触媒2については、γアルミナ粉末、ZrO2粉末を水と混錬して得たスラリーを、ステンレス箔の両表面に塗布し、乾燥させた。この時、ZrO2粉末は、γアルミナ粉末に対する質量比率で、40%とした。また、塗布量は、ステンレス箔の表面積平方センチメートル当りで固形物質量で、7mgになるようにした。
【0053】
触媒3については、γアルミナ粉末、BaCO3粉末を水と混錬して得たスラリーを、ステンレス箔の両表面に塗布し、乾燥させた。この時、BaCO3粉末は、γアルミナ粉末に対する質量比率で、10%とした。また、塗布量は、ステンレス箔の表面積平方センチメートル当りで固形物質量で、7mgになるようにした。
【0054】
触媒4については、γアルミナ粉末、Nb25粉末を水と混錬して得たスラリーを、ステンレス箔の両表面に塗布し、乾燥させた。この時、Nb25粉末は、γアルミナ粉末に対する質量比率で、10%とした。また、塗布量は、ステンレス箔の表面積平方センチメートル当りで固形物質量で、7mgになるようにした。
【0055】
引き続き、高温耐酸化性の評価を行なった。この評価は、大気雰囲気で1050℃に保定した電気炉の中で各試験片を高温酸化させ、異常酸化が開始する時間を測定して、比較するものである。異常酸化開始時間は、25時間毎に酸化による質量増加を測定し、質量増加の合計が、箔の表面積平方センチメートル当りで0.6mgを超えた場合の時間とした。
【0056】
希土類金属のLa、Ceを含有する触媒1の場合には、前駆体皮膜を付与しなかった比較例のNo.1と8の試験片では、暴露300時間で異常酸化していた。
【0057】
本発明の前駆体皮膜を付与させたNo.2〜7、No.9〜11の試験片の異常酸化開始時間は、比較例に比べて著しく増加し、高温耐酸化性が向上していた。
【0058】
No.2〜4のA箔に付与された前駆体皮膜には、α、γ、θ、δアルミナが含有され、前駆体皮膜の全体積に対するγ、θ、δアルミナの体積率は3〜50%であった。何れの試験片においても、優れた高温耐酸化性が得られた。体積率が5%を下回ったNo.2の試験片は、前駆体皮膜を付与するための処理温度が1000℃を超える高温だったため変形が認められ、ハニカム基材に適用するためには、やや不適切であった。
【0059】
No.5〜7のB箔では、α、γ、θ、δアルミナが前駆体皮膜に含まれ、前駆体皮膜の全体積に対して体積率は60〜98%であった。体積率98%のNo.7の試験片では、前駆体皮膜の付与に長時間の熱処理を施した。該アルミナ皮膜の体積率が95%未満ならば、長時間の熱処理を必要としないので、工業的には有利になると考えられる。
【0060】
No.9〜11のC箔では、χ、κ、ηアルミナが前駆体皮膜に含まれ、前駆体皮膜の全体積に対して体積率は2〜81%であった。体積率が5%を下回ったNo.9の試験片は、前駆体皮膜を付与するための処理温度が1000℃を超える高温だったため変形が認められ、ハニカム基材に適用するためには、やや不適切であった。
【0061】
第4A族元素のZrを含有する触媒2の場合には、前駆体皮膜を付与しなかった比較例のNo.12と19の試験片では、暴露275時間で異常酸化していた。
【0062】
本発明の前駆体皮膜を付与させたNo.13〜18、No.20〜22の試験片の異常酸化開始時間は、比較例に比べて著しく増加し、高温耐酸化性が向上していた。
【0063】
No.13〜15のA箔に付与された前駆体皮膜には、α、γ、θ、δアルミナが含有され、前駆体皮膜の全体積に対するγ、θ、δアルミナの体積率は3〜50%であった。何れの試験片においても優れた高温耐酸化性が得られた。体積率が5%を下回ったNo.13の試験片は、前駆体皮膜を付与するための処理温度が1000℃を超える高温だったため変形が認められ、ハニカム基材に適用するためには、やや不適切であった。
【0064】
No.16〜18のB箔では、α、γ、θ、δアルミナが前駆体皮膜に含まれ、前駆体皮膜の全体積に対して体積率は60〜98%であった。体積率98%のNo.18の試験片では、前駆体皮膜の付与に長時間の熱処理を施した。該アルミナ皮膜の体積率が95%未満ならば、長時間の熱処理を必要としないので、工業的には有利になると考えられる。
【0065】
No.20〜22のC箔では、χ、κ、ηアルミナが前駆体皮膜に含まれ、前駆体皮膜の全体積に対して体積率は2〜81%であった。体積率が5%を下回ったNo.20の試験片は、前駆体皮膜を付与するための処理温度が1000℃を超える高温だったため変形が認められ、ハニカム基材に適用するためには、やや不適切であった。
【0066】
アルカリ土類金属のBaを含有する触媒3の場合には、前駆体皮膜を付与しなかった比較例のNo.23と30の試験片では、暴露300時間で異常酸化していた。
【0067】
本発明の前駆体皮膜を付与させたNo.24〜29、No.31〜33の試験片の異常酸化開始時間は、比較例に比べて著しく増加し、高温耐酸化性が向上していた。
【0068】
No.24〜26のA箔に付与された前駆体皮膜には、α、γ、θ、δアルミナが含有され、前駆体皮膜の全体積に対するγ、θ、δアルミナの体積率は3〜50%であった。何れの試験片においても優れた高温耐酸化性が得られた。体積率が5%を下回ったNo.24の試験片は、前駆体皮膜を付与するための処理温度が1000℃を超える高温だったため変形が認められ、ハニカム基材に適用するためには、やや不適切であった。
【0069】
No.27〜29のB箔では、α、γ、θ、δアルミナが前駆体皮膜に含まれ、前駆体皮膜の全体積に対して体積率は60〜98%であった。体積率98%のNo.29の試験片では、前駆体皮膜の付与に長時間の熱処理を施した。該アルミナ皮膜の体積率が95%未満ならば、長時間の熱処理を必要としないので、工業的には有利になると考えられる。
【0070】
No.31〜33のC箔では、χ、κ、ηアルミナが前駆体皮膜に含まれ、前駆体皮膜の全体積に対して体積率は2〜81%であった。体積率が5%を下回ったNo.31の試験片は、前駆体皮膜を付与するための処理温度が1000℃を超える高温だったため変形が認められ、ハニカム基材に適用するためには、やや不適切であった。
【0071】
第5A族元素のNbを含有する触媒4の場合には、前駆体皮膜を付与しなかった比較例のNo.34と41の試験片では、暴露300時間で異常酸化していた。
【0072】
本発明の前駆体皮膜を付与させたNo.35〜40、No.42〜44の試験片の異常酸化開始時間は、比較例に比べて著しく増加し、高温耐酸化性が向上していた。
【0073】
No.35〜37のA箔に付与された前駆体皮膜には、α、γ、θ、δアルミナが含有され、前駆体皮膜の全体積に対するγ、θ、δアルミナの体積率は3〜50%であった。何れの試験片においても優れた高温耐酸化性が得られた。体積率が5%を下回ったNo.35の試験片は、前駆体皮膜を付与するための処理温度が1000℃を超える高温だったため変形が認められ、ハニカム基材に適用するためには、やや不適切であった。
【0074】
No.38〜40のB箔では、α、γ、θ、δアルミナが前駆体皮膜に含まれ、前駆体皮膜の全体積に対して体積率は60〜98%であった。体積率98%のNo.40の試験片では、前駆体皮膜の付与に長時間の熱処理を施した。該アルミナ皮膜の体積率が95%未満ならば、長時間の熱処理を必要としないので、工業的には有利になると考えられる。
【0075】
No.42〜44のC箔では、χ、κ、ηアルミナが前駆体皮膜に含まれ、前駆体皮膜の全体積に対して体積率は2〜81%であった。体積率が5%を下回ったNo.42の試験片は、前駆体皮膜を付与するための処理温度が1000℃を超える高温だったため変形が認められ、ハニカム基材に適用するためには、やや不適切であった。
【0076】
以上示したように、ステンレス箔の表面に前駆体皮膜が形成されていれば、その上に希土類金属、第4A族元素金属、アルカリ土類金属、第5A族元素金属を含有する触媒層が形成されても、優れた高温耐酸化性が得られることが明らかになった。
【0077】
(実施例2)
実施例1に示したNo.1、4、8、10の触媒層を形成しない箔を利用してメタルハニカム基材を製造、さらに触媒層を形成して排気ガス浄化用触媒コンバータを製造し、本発明の効果を確認する実験を行なった。
【0078】
これらのステンレス箔に波付け加工を施した波箔と、平箔を組み合わせて捲き回して円筒形のハニカム体を作製した。この時、波箔の頂点と平箔の接点において、Ni系のろう材を用いてろう付け接合したハニカム体と、ろう材を使用せず拡散接合で接合したハニカム体を用いた。これらの接合は、何れも真空中で1200℃前後の熱処理で行い、接合部の強度は十分であった。従来、この接合と同時にハニカム体にステンレス製の外筒を接合してメタルハニカム基材とするが、今回の試験では、ステンレス箔の高温耐酸化性を評価するため外筒は接合せず、これをハニカム基材とした。ここで、いずれのハニカム基材は寸法、容積は同じであった。
【0079】
次に、それぞれのステンレス箔の表面に前駆体皮膜を付与するために、大気中で熱処理を施して、ステンレス箔の表面に前駆体皮膜となる酸化物を形成させた。ここで、500〜950℃の温度範囲で熱処理時間を変えて、酸化物の種類と体積率の制御を行なった。
【0080】
全く同じ条件で製造したハニカム基材を解体して、ステンレス箔表面に付与された酸化物皮膜の同定をX線回折法を用いて行なった。引き続き、走査型、透過型電子顕微鏡を用いて酸化物を直接観察して、本発明の前駆体皮膜に必要なα、γ、θ、χ、δ、η、κアルミナの前駆体皮膜に占める体積率を求めた。直接観察は、立体的に体積率を求めるために、ステンレス箔表面の垂直方向と箔厚み断面の垂直方向から観察した複数視野で行い、これらの結果から算出した。表3に、各ステンレス箔の表面に付与された前駆体皮膜の状態を示した。
【0081】
【表3】

【0082】
前駆体皮膜を付与させた後、以下の手順でステンレス箔表面への触媒層の形成を行なった。γアルミナ粉末、白金等の貴金属を含ませたLaO2−CeO2−ZrO2の複合酸化物粉末、BaCO3粉末を水と混錬して触媒スラリーを得た。LaO2−CeO2−ZiO2の複合酸化物粉末の質量比率は、γアルミナ粉末に対して50%とし、BaCO3粉末は3%とした。このスラリーをメタルハニカム基材に吸い上げて、ステンレス箔に塗布し、乾燥させた。固形物の塗布量が、箔表面積平方センチメートル当りで7mgになるように、この工程を繰り返した。これにより、La、Ce、Zr、Baを複合含有する触媒層を有する、各種の触媒コンバータを得ることができた。
【0083】
前駆体皮膜を付与しない触媒コンバータも作製して、高温耐酸化性の評価を行なった。この評価は、大気雰囲気で1050℃に保定した電気炉の中で、各触媒コンバータを高温酸化させ、ステンレス箔の異常酸化が開始する時間を測定して、比較するものである。異常酸化開始時間は25時間毎に酸化による質量増加を測定し、質量増加の合計が、ステンレス箔の表面積平方センチメートル当りで0.6mgを超えた場合の時間とした。その結果を表3に示した。
【0084】
前駆体皮膜を付与しなかった比較例のNo.45、46、49、50の触媒コンバータでは、酸化速度が大きく、異常酸化は暴露300時間で発生していた。
【0085】
No.47、48のA箔を用いたハニカム基材では、ステンレス箔表面にα、γ、θ、δアルミナを含有する前駆体皮膜が付与されており、前駆体皮膜の全体積に対してγ、θ、δアルミナの体積率は50%であった。触媒層を有する触媒コンバータでは、いずれも比較例のコンバータに比べて異常酸化開始時間が長く、優れた高温耐酸化性を有していた。特に、波箔と平箔の接合様式がろう材を用いない拡散接合の基材の場合に、より優れた高温耐酸化性が得られた。これは、接合部のろう材付近には本発明の前駆体皮膜が付与され難く、この領域において酸化速度が大きくなって、異常酸化開始時間が短くなったものと考えている。
【0086】
No.51、52のC箔を用いたハニカム基材では、ステンレス表面にα、χ、κ、ηアルミナを含有する前駆体皮膜が付与されており、前駆体皮膜の全体積に対してχ、κ、ηアルミナの体積率は40%であった。触媒層を有する触媒コンバータでは、いずれも比較例のコンバータに比べて異常酸化開始時間が長く、優れた高温耐酸化性を有していた。また、接合様式が拡散接合の触媒コンバータがより優れた高温耐酸化性を有していた。
【0087】
以上示したように、ステンレス箔の表面に前駆体皮膜が形成されていれば、その上に希土類金属、第4A族元素金属、アルカリ土類金属、第5A族元素金属成分を含有する触媒層が形成されても、優れた高温耐酸化性が得られることが明らかになった。即ち、本発明の排気ガス浄化用触媒コンバータは優れた高温耐酸化性を有することが確認できた。
【0088】
なお、これら本発明の触媒コンバータの排気ガス浄化性能は、高温耐酸化性評価の後も全く問題無かった。
【0089】
(実施例3)
ハニカム基材を構成するステンレス箔(D箔)を用意して、各種の前駆体皮膜をステンレス箔表面に付与した後に、希土類金属、Zr、アルカリ土類金属成分を含有する触媒層を形成させて、1150℃における高温耐酸化性を調べた。
【0090】
D箔は、溶製、圧延によって製造したものであり、工程途中にAlめっきによるAl富化工程を入れて製造した。成分系は、質量%で、
D箔:20%Cr−8.0%Al−0.05%Zr−0.1%La−bal.Fe
であった。箔の厚みは、25μmである。
【0091】
前駆体皮膜の付与方法としては、大気中で熱処理を施して箔成分を酸化させる方法、及び、ステンレス表面に助剤を塗布して箔や雰囲気成分以外の成分元素を取り入れて表面を酸化させる方法を適用した。
【0092】
皮膜1では、10-2Paの真空中で1180℃×20分の熱処理を施した後、ステンレス箔表面にMg(NO32を塗布し、さらに大気中で熱処理を施して、前駆体皮膜の酸化物を箔の両表面に付与した。ここで、酸化物の種類と体積率を制御は、Mg(NO32の塗布量と熱処理温度と時間を変化させて行なった。熱処理温度の範囲は500〜1050℃の間で前駆体皮膜の付与を行なった。
【0093】
皮膜2では、10-2Paの真空中で1180℃×20分の熱処理を施した後、ステンレス箔表面にNi(NO32とMg(NO32を質量比率で1:10に混合して塗布し、さらに大気中で熱処理を施して、前駆体皮膜の酸化物を箔の両表面に付与した。ここで、酸化物の種類と体積率を制御は、Ni・Mg(NO32の塗布量と熱処理温度と時間を変化させて行なった。熱処理温度の範囲は500〜1050℃の間で前駆体皮膜の付与を行なった。
【0094】
X線回折法を用いて、ステンレス箔表面に付与された酸化物皮膜の相同定を行なった。引き続き、走査型、透過型電子顕微鏡を用いて酸化物を直接観察して、α、γ、θ、χ、δ、η、κアルミナ、及びスピネルが前駆体皮膜に占める体積率を求めた。表4に、各ステンレス箔の表面に付与された前駆体皮膜の状態を示した。
【0095】
【表4】

【0096】
触媒層の形成は、実施例1に示した触媒1〜4を用いて、同様に行なった。
【0097】
引き続き、前駆体皮膜を付与しない試験片も作製して、高温耐酸化性の評価を行なった。この評価は、大気雰囲気で1150℃に保定した電気炉の中で各試験片を高温酸化させ、異常酸化が開始する時間を測定して、比較するものである。異常酸化開始時間は、25時間毎に酸化による質量増加を測定し、質量増加の合計が、箔の表面積平方センチメートル当りで1mgを超えた場合の時間とした。
【0098】
触媒層にLa、Ceの希土類金属成分が含有された試験片はNo.53〜61であり、前駆体皮膜を付与していない比較例のNo.53の試験片では、1150℃における異常酸化開始時間は300時間であった。これに対して、皮膜1によって前駆体皮膜を付与した場合には、αアルミナとMgAl24スピネルが前駆体皮膜に含有されており、No.54〜57で前駆体皮膜の体積に対するスピネルの体積率が異なっていた。何れの試験片でも、比較例に比べて異常酸化開始時間は増加しており、優れた高温耐酸化性が得られていた。ここで、No.54の試験片については、前駆体皮膜を付与する熱処理が1000℃を超える高温であったため、変形が認められた。また、No.57の試験片では、前駆体皮膜を付与する熱処理時間が長いため、効率的な作業はできなかった。
【0099】
皮膜2によって前駆体皮膜を付与した場合には、αアルミナと(Mg,Ni)Al24スピネルが前駆体皮膜に含有されており、No.58〜61で前駆体皮膜の体積に対するスピネルの体積率が異なっていた。何れの試験片でも、比較例に比べて異常酸化開始時間は増加しており、優れた高温耐酸化性が得られていた。ここで、No.58の試験片については、前駆体皮膜を付与する熱処理が1000℃を超える高温であったため、変形が認められた。また、No.61の試験片では、前駆体皮膜を付与する熱処理時間が長いため、効率的な作業はできなかった。
【0100】
触媒層に第4A族元素のZrの金属成分が含有された試験片はNo.62〜70であり、前駆体皮膜を付与していない比較例のNo.62の試験片では、1150℃における異常酸化開始時間は325時間であった。これに対して、皮膜1によって前駆体皮膜を付与した場合には、αアルミナとMgAl24スピネルが前駆体皮膜に含有されており、No.63〜66で前駆体皮膜の体積に対するスピネルの体積率が異なっていた。何れの試験片でも、比較例に比べて異常酸化開始時間は増加しており、優れた高温耐酸化性が得られていた。ここで、No.63の試験片については、前駆体皮膜を付与する熱処理が1000℃を超える高温であったため、変形が認められた。また、No.66の試験片では前駆体皮膜を付与する熱処理時間が長いため、効率的な作業はできなかった。
【0101】
皮膜法2によって前駆体皮膜を付与した場合には、αアルミナと(Mg,Ni)Al24スピネルが前駆体皮膜に含有されており、No.67〜70で前駆体皮膜の体積に対するスピネルの体積率が異なっていた。何れの試験片でも、比較例に比べて異常酸化開始時間は増加しており、優れた高温耐酸化性が得られていた。ここで、No.67の試験片については、前駆体皮膜を付与する熱処理が1000℃を超える高温であったため、変形が認められた。また、No.70の試験片では、前駆体皮膜を付与する熱処理時間が長いため、効率的な作業はできなかった。
【0102】
触媒層にアルカリ土類金属のBaの金属成分が含有された試験片はNo.71〜79であり、前駆体皮膜を付与していない比較例のNo.71の試験片では、1150℃における異常酸化開始時間は300時間であった。これに対して、皮膜1によって前駆体皮膜を付与した場合には、αアルミナとMgAl24スピネルが前駆体皮膜に含有されており、No.72〜75で前駆体皮膜の体積に対するスピネルの体積率が異なっていた。何れの試験片でも、比較例に比べて異常酸化開始時間は増加しており、優れた高温耐酸化性が得られていた。ここで、No.72の試験片については、前駆体皮膜を付与する熱処理が1000℃を超える高温であったため、変形が認められた。また、No.75の試験片では、前駆体皮膜を付与する熱処理時間が長いため、効率的な作業はできなかった。
【0103】
皮膜2によって前駆体皮膜を付与した場合には、αアルミナと(Mg,Ni)Al24スピネルが前駆体皮膜に含有されており、No.76〜79で前駆体皮膜の体積に対するスピネルの体積率が異なっていた。何れの試験片でも、比較例に比べて異常酸化開始時間は増加しており、優れた高温耐酸化性が得られていた。ここで、No.76の試験片については、前駆体皮膜を付与する熱処理が1000℃を超える高温であったため、変形が認められた。また、No.79の試験片では、前駆体皮膜を付与する熱処理時間が長いため、効率的な作業はできなかった。
【0104】
触媒層に第5A族元素のNbの金属成分が含有された試験片はNo.80〜88であり、前駆体皮膜を付与していない比較例のNo.80の試験片では、1150℃における異常酸化開始時間は300時間であった。これに対して、皮膜1によって前駆体皮膜を付与した場合には、αアルミナとMgAl24スピネルが前駆体皮膜に含有されており、No.81〜84で前駆体皮膜の体積に対するスピネルの体積率が異なっていた。何れの試験片でも、比較例に比べて異常酸化開始時間は増加しており、優れた高温耐酸化性が得られていた。ここで、No.81の試験片については、前駆体皮膜を付与する熱処理が1000℃を超える高温であったため、変形が認められた。また、No.84の試験片では、前駆体皮膜を付与する熱処理時間が長いため、効率的な作業はできなかった。
【0105】
皮膜2によって前駆体皮膜を付与した場合には、αアルミナと(Mg,Ni)Al24スピネルが前駆体皮膜に含有されており、No.85〜88で前駆体皮膜の体積に対するスピネルの体積率が異なっていた。何れの試験片でも、比較例に比べて異常酸化開始時間は増加しており、優れた高温耐酸化性が得られていた。ここで、No.85の試験片については、前駆体皮膜を付与する熱処理が1000℃を超える高温であったため、変形が認められた。また、No.88の試験片では、前駆体皮膜を付与する熱処理時間が長いため、効率的な作業はできなかった。
【0106】
以上示したように、ステンレス箔の表面に前駆体皮膜が形成されていれば、その上に希土類金属、アルカリ土類金属、第4A族元素金属、第5A族元素金属成分を含有する触媒層が形成されても、優れた高温耐酸化性が得られることが明らかになった。
【0107】
(実施例4)
実施例3に示したNo.53、55、60の触媒層を形成していないD箔を利用してメタルハニカム基材を製造、さらに触媒層を形成して排気ガス浄化用触媒コンバータを製造し、本発明の効果を確認する実験を行なった。
【0108】
これらのステンレス箔に波付け加工を施した波箔と、平箔を組み合わせて捲き回して円筒形のハニカム体を作製した。この時、波箔の頂点と平箔の接点において、Ni系のろう材を用いてろう付け接合したハニカム体と、ろう材を使用せず拡散接合で接合したハニカム体を用いた。これらの接合は何れも真空中で1200℃前後の熱処理で行い、接合部の強度は十分であった。従来、この接合と同時にハニカム体を保護するステンレス製の外筒を接合してメタルハニカム基材とするが、今回の試験では、ステンレス箔の高温耐酸化性を評価するため外筒は接合せず、これをハニカム基材とした。ここで、いずれのハニカム基材も寸法、容積は同じであった。
【0109】
前駆体皮膜の付与方法としては、下記に示すステンレス表面に助剤を塗布して、箔や雰囲気成分以外の成分元素を取り入れて、表面に皮膜を形成させる方法を適用した。
【0110】
皮膜1では、10-2Paの真空中で1180℃×20分の熱処理を施した後、ステンレス箔表面にMg(NO32を塗布し、さらに大気中で熱処理を施して、前駆体皮膜の酸化物を箔の両表面に付与した。ここで、酸化物の種類と体積率を制御は、Mg(NO32の塗布量と熱処理温度と時間を変化させて行なった。熱処理温度の範囲は500〜1050℃の間で前駆体皮膜の付与を行なった。
【0111】
皮膜2では、10-2Paの真空中で1180℃×20分の熱処理を施した後、ステンレス箔表面にNi(NO32とMg(NO32を質量比率で1:10に混合して塗布し、さらに大気中で熱処理を施して、前駆体皮膜の酸化物を箔の両表面に付与した。ここで、酸化物の種類と体積率を制御は、Ni・Mg(NO32の塗布量と熱処理温度と時間を変化させて行なった。熱処理温度の範囲は500〜1050℃の間で前駆体皮膜の付与を行なった。
【0112】
全く同じ条件で製造したハニカム基材を解体して、ステンレス箔表面に付与された酸化物皮膜の同定をX線回折法を用いて行なった。引き続き、走査型、透過型電子顕微鏡を用いて酸化物を直接観察して、スピネルの前駆体皮膜に占める体積率を求めた。表5に、各ハニカム基材のステンレス箔の表面に付与された前駆体皮膜の状態を示した。
【0113】
【表5】

【0114】
前駆体皮膜を付与させた後、以下の手順でステンレス箔表面への触媒層の形成を行なった。γアルミナ粉末、白金等の貴金属を含ませたLaO2−CeO2−ZrO2の複合酸化物粉末、BaCO3粉末を水と混錬して触媒スラリーを得た。LaO2−CeO2−ZrO2の複合酸化物粉末の質量比率は、γアルミナ粉末に対して25%とし、BaCO3粉末は3%とした。このスラリーをメタルハニカム基材に吸い上げて、ステンレス箔に塗布し、乾燥させた。固形物の塗布量が、箔表面積平方センチメートル当りで7mgになるように、この工程を繰り返した。これにより、La、Ce、Zr、Baを複合含有する触媒層を有する、各種の触媒コンバータを得ることができた。
【0115】
前駆体皮膜を付与しない触媒コンバータも作製して、高温耐酸化性の評価を行なった。この評価は、大気雰囲気で1150℃に保定した電気炉の中で各触媒コンバータを高温酸化させ、ステンレス箔の異常酸化が開始する時間を測定して、比較するものである。異常酸化開始時間は、25時間毎に酸化による質量増加を測定し、質量増加の合計が、ステンレス箔の表面積平方センチメートル当りで、0.8mgを超えた場合の時間とした。その結果を表5に示した。
【0116】
前駆体皮膜を付与していない比較例のNo.89、90の触媒コンバータでは、1150℃における異常酸化開始時間は、ろう付け品、拡散接合品とも300時間であった。これに対して、皮膜1によってαアルミナとMgAl24スピネルが含有される前駆体皮膜が形成されたNo.91、92の触媒コンバータでは、異常酸化開始時間は増加しており、優れた高温耐酸化性が得られた。また、拡散接合品の異常酸化開始時間がやや大きい結果となった。
【0117】
皮膜2によって前駆体皮膜を付与したNo.93、94には、αアルミナと(Mg,Ni)Al24スピネルが前駆体皮膜に含有されており、いずれの場合でも、1150℃における異常酸化開始時間は増加していた。比較例に比べて優れた高温耐酸化性が得られていた。この場合においても、ろう付け品に比べて、拡散接合品の高温耐酸化性が優れる結果となった。
【0118】
以上示したように、ステンレス箔の表面に前駆体皮膜が形成されていれば、その上に希土類金属成分、アルカリ土類金属、第4A族元素金属、第5A族元素金属成分を含有する触媒層が形成されても、優れた高温耐酸化性が得られることが明らかになった。即ち、本発明の排気ガス浄化用触媒コンバータは、優れた高温耐酸化性を有することが確認できた。
【0119】
なお、これら本発明の触媒コンバータの排気ガス浄化性能は、高温耐酸化性評価の後も全く問題無かった。
【0120】
(実施例5)
溶製、圧延法を用いて、成分系が20%Cr−ρ%Al−0.06%Ti−0.1%(La,Ce)−bal.Feであるステンレス箔を製造した。ここで、ρは5.0(A材)、6.0(E材)、7.0(F材)、8.0(G材)の四種類であり、何れの試験片も、厚みは30μmの箔形状であった。F、G材については、製造工程中にAlめっきを利用したAl富化工程を入れて製造した。
【0121】
全ての試験片に10-2Paの真空中で1180℃×20分の熱処理を施した後に、大気中で熱処理を施して、前駆体皮膜の酸化物を箔の両表面に付与した。
【0122】
X線回折法を用いて、ステンレス箔表面に付与された酸化物皮膜の相同定を行なった。引き続き、走査型、透過型電子顕微鏡を用いて酸化物を直接観察して、本発明の前駆体皮膜に必要なα、γ、θ、χ、δ、η、κアルミナの前駆体皮膜に占める体積率を求めた。その結果、全ての箔の表面に付与された前駆体皮膜は、α、γ、θ、δアルミナが含有されており、γ、θ、δアルミナの体積率は50%であった。
【0123】
引き続き、前駆体皮膜とステンレス箔に含有される全Al濃度をICP法で確認したところ、質量%で、A材:5.0%、E材:6.0%、F材:7.0%、G材:8.0%であることが確認できた。
【0124】
前駆体皮膜を付与させた後、以下の手順で、ステンレス箔表面への触媒層の形成を行なった。γアルミナ粉末、白金等の貴金属を含ませたLaO2−CeO2−ZrO2の複合酸化物粉末、BaCO3粉末を水と混錬して触媒スラリーを得た。LaO2−CeO2−ZrO2の複合酸化物粉末の質量比率は、γアルミナ粉末に対して50%とし、BaCO3粉末は3%とした。このスラリーをメタルハニカム基材に吸い上げて、ステンレス箔に塗布し、乾燥させた。固形物の塗布量が、箔表面積平方センチメートル当りで7mgになるように、この工程を繰り返した。これにより、La、Ce、Zr、Baを複合含有する触媒層を有する、各種の試験片を得ることができた。
【0125】
引き続き、試験片を大気雰囲気で1050℃に保定した電気炉の中で高温酸化させ、25時間毎に酸化増量を測定した。そして、試験開始から200時間経過した際の全酸化増量を比較した結果、酸化増量の比率は、A材:E材:F材:G材=1.0:1.0:0.84:0.82であった。この結果は、A材、E材に比べて、F材、G材の酸化速度が低くなっていることを示したものであり、前駆体皮膜とステンレス箔に含有される全Al濃度が6.5%を超える場合に、形成される酸化皮膜の酸素透過性がより低いことを示唆している。
【0126】
以上示したように、ステンレス箔の表面に前駆体皮膜が形成されていれば、その上に希土類金属、アルカリ土類金属、第4A族元素金属、第5A族元素金属成分を含有する触媒層が形成されても、優れた高温耐酸化性が得られることが明らかになった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ステンレス箔を加工してなるメタルハニカム基材であって、前記ステンレス箔の表面に前駆体皮膜が形成されてなることを特徴とする優れた高温耐酸化性を有する排気ガス浄化触媒コンバータ用ハニカム基材。
【請求項2】
前記前駆体皮膜が酸化物から構成されており、該酸化物が結晶構造による分類でα、γ、θ、χ、δ、η、κアルミナの内、少なくとも一種類以上のアルミナを含有している請求項1に記載のハニカム基材。
【請求項3】
前記前駆体皮膜の全体積に対するγ、θ、χ、δ、η、κアルミナの総和体積の割合をa%とすると、aが5%以上95%以下である請求項2に記載のハニカム基材。
【請求項4】
前記前駆体皮膜が酸化物から構成されており、少なくとも1種類以上のスピネルが含有されている請求項1に記載のハニカム基材。
【請求項5】
前記前駆体皮膜の全体積に対する該スピネルの体積率をb%すると、bが5%以上95%以下である請求項4に記載のハニカム基材。
【請求項6】
前記前駆体皮膜とステンレス箔に含有する全Al濃度が質量%で6.5%超13%以下であることを特徴とする請求項1に記載のハニカム基材。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれかに記載のハニカム基材が組み込まれてなる触媒コンバータであって、前記ハニカム基材に触媒層が形成されてなることを特徴とする優れた高温耐酸化性を有する排気ガス浄化用触媒コンバータ。
【請求項8】
前記触媒層が希土類金属成分を含有する請求項7に記載の排気ガス浄化用触媒コンバータ。
【請求項9】
前記触媒層がアルカリ土類金属成分を含有する請求項7に記載の排気ガス浄化用触媒コンバータ。
【請求項10】
前記触媒層が第4A族元素の金属成分を含有する請求項7に記載の排気ガス浄化用触媒コンバータ。
【請求項11】
前記触媒層が第5A族元素の金属成分を含有する請求項7に記載の排気ガス浄化用触媒コンバータ。

【公開番号】特開2011−11208(P2011−11208A)
【公開日】平成23年1月20日(2011.1.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−224525(P2010−224525)
【出願日】平成22年10月4日(2010.10.4)
【分割の表示】特願2005−37446(P2005−37446)の分割
【原出願日】平成17年2月15日(2005.2.15)
【出願人】(306032316)新日鉄マテリアルズ株式会社 (196)
【Fターム(参考)】