説明

充填システム

【課題】各種収納袋に対応し、コストダウンを図り、作業効率を向上させた充填システムを提供する。
【解決手段】同方向に位置する注出口9および開口部を備える複数の収納袋7の一部を重ねるようにずらしながら一列に配列させた片面の中央近傍を連結部材11で連結させる集積工程22と、集積工程22で集積した収納袋7を充填工程5に供給する供給ゾーン4と、供給ゾーン4から取り出した収納袋7に内容物を充填する充填工程5とを備えるものである。加えて、集積工程22で連結された複数の収納袋7をロール状に巻回させた巻体12の前端部7aより連続的に滅菌工程3に供給した後、供給ゾーン4で連結部材11を前端部11aより後方へ向けて順に収納袋7から剥離し、収納袋7を離間配列させて充填工程5に供給する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、充填方法に関し、より詳細には、複数の収納袋を連結部材を用いて集積する集積工程と、集積工程で集積した収納袋を充填工程に供給する供給ゾーンと、供給ゾーンから取り出した収納袋に内容物を充填する充填工程とを含む充填方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から食品および医薬品等の内容物を、通常条件または無菌条件のもとで包装袋内に充填する方法があり、その一例として、図9に示すように、充填システム31のストックゾーン32内において噴射される過酸化水素水雰囲気下で再滅菌された外装袋を、オペレータ35がグローブ34越しに開封して内部から収納袋を取り出し、この収納袋を充填装置33側へ供給して、常に無菌に保った状態で食品や医薬品などの内容物を充填した収納袋は、開口が1mm幅で仮シールされ、さらに10mm幅で密封シールされた後、冷却後に無菌室の外方へ排出されるものがある。(特許文献1)
【0003】
【特許文献1】特開2002−68143号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、このような従来の充填システムでは、オペレータがグローブ越しに作業を行うため、外装袋を開封するなどの細かい作業や、素早く収納袋を充填装置側へ供給するなどの作業が困難である。また、特許文献1で充填した収納袋は、平らなものである。近年、粉体、流体、液体などの流動物を収納する収納袋であって、かつ経腸、経口栄養剤や各種輸液等の薬液を収納する薬液バックなどの収納袋は、チューブを介して人体に投与される場合が多く、このチューブを収納袋に接続する必要性から、収納袋に注出口が設けられたものがある。このような収納袋は注出口などを備えるため、収納袋を重ねたときに注出口が嵩張るためにまとまりが悪くなり、外装袋内に入る収納袋の数が少なくなる場合があるので、外装袋の増加による包材のコストアップを招き、さらに供給ゾーンでオペレータによる充填装置側への収納袋の供給頻度が増えるため、供給ミスやオペレータの疲労など作業効率が低下するといった問題も生じる。
従ってこの発明の目的は、各種収納袋に対応し、コストダウンを図り、作業効率を向上させた充填システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
このため請求項1に記載の発明は、開口部を有する収納袋に前記開口部から内容物を充填し、密封する充填方法において、複数の前記収納袋を連結部材を用いて集積する集積工程と、前記集積工程で集積した前記収納袋を充填工程に供給する供給ゾーンと、前記供給ゾーンから取り出した前記収納袋に前記内容物を充填する充填工程と、を含む。
【0006】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の充填方法において、前記収納袋は、該収納袋の周囲の一端に注出口を備えることを特徴とする。
【0007】
請求項3に記載の発明は、請求項1および2に記載の充填方法において、前記注出口はチャックであることを特徴とする。
【0008】
請求項4に記載の発明は、請求項1〜3のいずれかに記載の充填方法において、前記連結部材は、粘着テープであることを特徴とする。
【0009】
請求項5に記載の発明は、請求項1〜4のいずれかに記載の充填方法において、前記集積工程は、同方向に位置する複数の収納袋を重ねるようにずらしながら前記連結部材で連結し、ロール状に巻回させた巻体にすることである。
【0010】
請求項6に記載の発明は、請求項1〜5のいずれかに記載の充填方法において、前記集積工程が、同方向に位置する複数の収納袋を重ねるようにずらしながら前記連結部材で連結することである。
【0011】
請求項7に記載の発明は、請求項1〜6のいずれかに記載の充填方法において、前記供給ゾーンが、前記巻体の前端部から前記連結部材を後方へ向けて順に前記収納袋から剥離し、前記収納袋を離間配列させることを特徴とする。
【0012】
請求項8に記載の発明は、請求項1〜6のいずれかに記載の充填方法において、前記供給ゾーンが、複数の前記収納袋を収納した外装袋を所定単位で開封して、前記連結部材の端部を引き、前記複数の収納袋を前記外装袋から引き出すとともに、前記連結部材を端部より他端部へ向けて順に前記収納袋から剥離し、前記収納袋を離間配列させることを特徴とする。
【0013】
請求項9に記載の発明は、請求項1〜8のいずれかに記載の充填方法において、前記供給ゾーンおよび前記充填工程は、前記収納袋を滅菌する滅菌工程を備える無菌室内に有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
請求項1に記載の発明によれば、開口部を有する収納袋に、開口部から内容物を充填し、密封する充填方法において、複数の収納袋を、連結部材を用いて集積する集積工程と、集積工程で集積した収納袋を充填工程に供給する供給ゾーンと、供給ゾーンから取り出した収納袋に内容物を充填する充填工程と、を含むので、複数の収納袋のそれぞれに効率的に内容物を充填することができる。従って、作業効率を向上させた充填システムを提供することができる。
【0015】
請求項2に記載の発明によれば、収納袋は、この収納袋の周囲の一端に注出口を備えるので、収納袋を重ねたときに収納袋のまとまりがない場合であっても、複数の収納袋のそれぞれに効率的に内容物を充填することができる。従って、作業効率を向上させた充填方法を提供することができる。
【0016】
請求項3に記載の発明によれば、注出口は、チャックであるので、収納袋を重ねたときに収納袋のまとまりがない場合であっても、複数の収納袋のそれぞれに効率的に内容物を充填することができる。従って、作業効率を向上させた充填方法を提供することができる。
【0017】
請求項4に記載の発明によれば、連結部材は、粘着テープであるので、連結させた複数の収納袋を容易に解離することができる。従って、作業効率を向上させた充填方法を提供することができる。
【0018】
請求項5に記載の発明によれば、集積工程は、同方向に位置する複数の収納袋を重ねるようにずらしながら連結部材で連結し、ロール状に巻回させた巻体にするので、嵩張りを有し、まとまりがない収納袋であっても、効率的にまとめられ、それら収納袋を充填工程に供給することができる。従って、作業効率を向上させた充填方法を提供することができる。
【0019】
請求項6に記載の発明によれば、集積工程が、同方向に位置する複数の収納袋を重ねるようにずらしながら連結部材で連結するので、嵩張りを有し、まとまりがない収納袋であっても効率的にまとめられ、それら収納袋を充填工程に供給することができる。従って、作業効率を向上させた充填方法を提供することができる。
【0020】
請求項7に記載の発明によれば、供給ゾーンが、前記巻体の前端部から前記連結部材を後方へ向けて順に前記収納袋から剥離し、前記収納袋を離間配列させるので、効率的にまとめられた嵩張りを有する複数の収納袋が容易に解離され、これら収納袋に内容物を効率よく充填することができる。従って、作業効率を向上させた充填方法を提供することができる。
【0021】
請求項8に記載の発明によれば、供給ゾーンが、複数の収納袋を収納した外装袋を所定単位で開封して、連結部材の端部を引き、複数の収納袋を外装袋から引き出すとともに、連結部材を端部より他端部へ向けて順に収納袋から剥離し、収納袋を離間配列させるので、効率的にまとめられた嵩張りを有する複数の収納袋が容易に解離され、これら収納袋に内容物を効率よく充填することができる。従って、作業効率を向上させた充填方法を提供することができる。
【0022】
請求項9に記載の発明によれば、供給ゾーンおよび充填工程は、収納袋を滅菌する滅菌工程を備える無菌室内に有するので、無菌環境下においても、効率的にまとめられた複数の収納袋が容易に解離され、滅菌されたそれら収納袋のそれぞれに効率的に内容物を充填することができる。従って、作業効率を向上させた充填システムを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、図面を参照しつつ、この発明を実施するための最良の形態について詳述する。
図1は、本発明で使用できる充填システムの平面図を示す。この例の充填システム1は、例えば、収納袋7の供給ゾーン4と、この供給ゾーン4から取り出された収納袋7に対して、開口部から内容物を充填する充填工程5とが備えられる。
【0024】
この供給ゾーン4には、全幅にわたり設けられた、ポリエチレンなどから構成される収納袋7などを移送する、ベルトコンベア6が配設されている。なお、ベルトコンベア6は図示しないモータなどにより駆動される。
【0025】
また、充填工程5の一側である、ベルトコンベア6の終端部には、充填装置5aに収納袋7を受け渡す供給装置8が設けられ、充填工程5の中央には円形の充填装置5aが備えられる。そして、充填装置5aは図示しないモータなどにより平面視反時計回りもしくは時計回りに回転駆動される。
【0026】
さらにこの充填装置5aは、等間隔に設けられた複数の回転アーム5bや、充填装置5aの外周には回転方向に沿って順に収納袋を開口する開口装置5c、内容物を収納袋に充填する充填装置5d、充填された収納袋内を脱気するとともに開口部を閉口する脱気閉口装置5e、収納袋を加熱密封する密封シール装置5f、密封させたシール部を冷却するための冷却装置5g、および内容物が充填された収納袋を充填システム1の外方に排出する排出装置5hなどから構成され、これらは不図示のセンサおよびコントローラによる自動制御で操作される。
【0027】
ここで、収納袋7などに食品や医薬品などの内容物を充填させる際、外装袋などに封入された適宜複数の収納袋7は、可動棚からベルトコンベア6上に移動し、このベルトコンベア6上を移送され、後述する供給ゾーン4内のベルトコンベア6終端部で開封された外装袋より収納袋7が取り出され、供給装置8を介して自動的に一枚ずつ充填工程5内の回転アーム5bへ受け渡される。
【0028】
次に、回転アーム5bへ受け渡された収納袋7は、開口装置5cへ送られ、収納袋7が開口された後、充填装置5dへ送られ、内容物が充填される。そして、収納袋7は脱気・閉口装置5eにおいて脱気後に閉口され、密封シール装置5fにおいて一定幅でシールされて密封される。さらに収納袋7は冷却装置5gにおいてシール部が冷却され、排出部5hを介して充填システム1の外方へ排出される。
【0029】
次に、本願発明の特徴である充填システムにおける収納袋を集積する集積工程および充填装置に供給する供給ゾーンについて、その具体的構成を説明する。図2は、注出口を備える収納袋の側面図、図3は図2の収納袋を巻体にした斜視図、図4は巻体から供給される収納袋を示す平面模式図、図5はベルトコンベア上における充填工程前部の平面模式図、図6はベルトコンベア上における充填工程中途部の平面模式図である。
【0030】
本願発明の方法で充填し得る収納袋としては、特に制限はないが、開口部を残して密封された周囲の一端に注出口を備える収納袋が好ましい。この収納袋7の構成として、例えば図2に示すように、貼り合わされた二枚のフィルム材7aの中央に内容物が収納される収納部7bと、周囲が一定幅で密封シールされたヒートシール部7cと、この周囲の一端に有する切込部7dに内部が収納部7bに通じる注出口9とが備えられる。
【0031】
収納袋7を構成するフィルム材7aは、単体基材又は複合基材からなり、その最も内側の層はヒートシール性を有する熱可塑性樹脂製フィルム層にて構成される。複合基材を用いる場合には、ガスバリア性、遮光性、水蒸気バリア性等、包装袋として必要な機能に合わせて種々の材料、例えば熱可塑性樹脂製フィルム、アルミ箔、無機蒸着膜等を選択して積層できる。
【0032】
注出口9は、収納袋7に連接する元部9a、液体を注出案内する胴体部9b、胴体部の先端の口部9cを塞いで蓋体部9dと一体的に形成された止め栓9eなどから構成されている。なお、元部9aは、収納袋7の切込部7dに有する口部7e外周面を覆うようにして、収納部7bの内容物を胴体部9bに流通できるように収納袋7にヒートシールできれば、特にその形状に限定するものではない。
【0033】
この注出口9や図示しないチャックなどを備える収納袋7を、充填システム1にまとめて供給するために重ねる際、これら収納袋7が注出口9を有するために、この部分が特に嵩張り、まとまりが悪くなる。
【0034】
しかしながら、本発明によれば収納袋を集積する工程があるため、取り扱いが容易となる。具体的には、充填システム1外において、図3に示すように、集積工程22の、例えば、板22a上に、注出口9などを同方向に位置させた複数の収納袋7の一部を重ねるようにずらしながら、順に次の収納袋7が前の収納袋7の上または下になるように、これら例えば80枚〜100枚程度の収納袋7を一列に配列させ、前端部より収納袋の上面であって中央近傍を配列方向に粘着テープなどの連結部材11で連結する。なお、板22aはベルトコンベアなどの移送機であってもよい。また、集積工程22は、供給ゾーン4の近傍や、充填システム1内外など設置位置は限定されない。
【0035】
連結した収納袋7の後端部から突出させた連結部材11を円筒形などの軸芯部材13に貼り付けて、この軸芯部材13を連結している収納袋7を巻き込む方向に回転させることで、これら収納袋7を軸芯部材13に巻き取ったロール状の巻体12としてもよい。このとき、連結部材11の前端11aは先頭の収納袋7から突出させてもよい。
【0036】
本願発明で使用する連結部材11は、上記収納袋7を連結できれば、材質やサイズに制限はないが、裏面に粘着材が塗布されたテープ状のものが好適である。材質として例えば、紙、布、金属箔、合成樹脂などから構成され、裏側には、これら収納袋7を連結させるとともに剥離容易な条件に足り得る中粘性もしくは弱粘性であるアクリル系などの粘着剤が塗布される。連結部材11のサイズとしては、集積させた収納袋7の中央近傍を帯状、かつ配列方向全長より前後端突出部分だけ長い程度であればよい。
【0037】
この巻体12を用いて収納袋7を充填システム1に供給するには、供給ゾーン4内のベルトコンベア6の始端部近傍において、巻体12の前端部7aを引き出して、連結部材11の前端部11aをベルトコンベア6上の所定位置などに貼り付けるなどさせる。
【0038】
そして、稼動させたベルトコンベア6上で板状になり、集積状態のまま移送される収納袋7が、図5に示すように順に供給ゾーン4内で、延設されるベルトコンベア6上を充填工程5内に移送される際、収納袋7の先頭部7aが、充填工程5の入口近傍に設けられた赤外線などによる位置検出センサ14などにより検出される。
【0039】
そして、この検出された情報に基づいて、不図示のコントローラが詳細不図示の制御機構により、剥離装置15が、例えば移送方向に適当な長さを有する平行な二本の支持板15aをベルトコンベア6上方などから、移送中の収納袋7に接触しない程度に収納袋7を覆い、この支持板15aの間から剥離装置15のアーム15bなどが、連結部材11の前端部11aを掴み上げるとともに持ち上げられた収納袋7が支持板15aに押圧される間に、連結部材11が収納袋7の先頭部7aから順に巻体12後端部まで剥離され、剥離された連結部材11の中途部から不図示の回収装置などにより回収される。
【0040】
なお、支持板15aは二本に限られず、収納袋7から連結部材11を剥離する際に収納袋7を支持できるよう、一本もしくは三本以上設けてもよい。またアーム16aに連結部材11を回収させるような構成にしてもよい。さらに剥離装置15は、ベルトコンベア6の側方から動作させる構成でもよい。
【0041】
そして、ベルトコンベア6上で連結部材11が収納袋7から剥離され、集積かつ配列したままの状態で移送される収納袋7が、図6に示すように、剥離装置15の出口近傍に設けられた位置検出センサ16などにより検出されると、不図示のコントローラの制御により、ピッチ拡大装置17の離間板など17aなどが、ベルトコンベア6上方などから収納袋7をベルトコンベア6上に一定間隔に離間させる。離間した収納袋7は、上述のように供給装置8により、一枚ずつ充填工程5内の回転アーム5bへ受け渡され、内容物が充填された後に密封シールして充填システム1の外方へ排出される。なお、ピッチ拡大装置17は、ベルトコンベア6の側方から動作させる構成でもよい。
【0042】
さらに、連結し集積させた収納袋7は、ロール状の巻体12にすることに限定されることはなく、例えば、幾重に重ねられたつづら折り状体であってもよい。
【0043】
このように、注出口9などを備える収納袋7が、注出口9などを同方向に位置させた複数の収納袋7の一部を重ねるようにずらしながら一列に配列させ、連結部材11でロール状に集積し、充填システム1の各工程に連続的に供給されるので、使用する外装袋の減少による包材のコストダウンを図り、かつ収納袋7がベルトコンベア6上で自動的に分離配列される場合には、収納袋7を、オペレータに頼ることなく迅速、かつ正確に充填工程5に受け渡しすることができる。
【0044】
図7〜8には、収納袋7を、外装袋を用いて迅速かつ正確に充填装置に受け渡しする別の例を示す。図7は、集積した収納袋を外装袋に封入した平面模式図、図8は図7の収納袋を充填システムで連続的に処理する様子を示した平面模式図である。
【0045】
この場合、充填システム1外において、図7に示すように、注出口9などを同方向に位置させた複数の収納袋7の一部を重ねるようにずらしながら粘着テープなどの連結部材11で複数の収納袋7を連結し、これら収納袋7が外装袋18内に密封される。このときも連結部材11の前端11aは、移送方向先頭に位置する収納袋7aより突出させて設けてもよい。なお、このときの外装袋18内の収納袋7の入数は、例えば20枚〜30枚程度とすることができるが、この入数は限定されない。
【0046】
その後、図8に示すように、それぞれの外装袋18が、ベルトコンベア6により供給ゾーン4内に移送され、充填工程5の入口近傍に有する赤外線などによる位置検出センサ19aなどによって外装袋18が検出されると、切断装置20のカッター20aなどにより外装袋18の前端18aが開封され、切断装置20の出口近傍に有する位置検出センサ19bなどによって開封された外装袋18が検出されると、ベルトコンベア6の上方または側方などから引出装置21のアーム21aなどが連結部材11の前端11aを掴み、集積されている収納袋7が移送方向に外装袋18から引き出される。これら外装袋18およびその切れ端は、不図示の処理装置などで適宜処分される。
【0047】
さらに、引出装置21の出口近傍に有する位置検出センサ19cなどによって、引き出された収納袋7が検出されると、剥離装置15´により上述同様の操作で連結部材11が収納袋7から順に剥離される。なお、連結部材11は適宜回収される。
【0048】
そして、剥離装置15´の出口近傍に有する位置検出センサ19dなどによって、ピッチ拡大装置17´が収納袋7を上述同様の操作で一定間隔に離間させた後、供給装置8により、一枚ずつ充填工程5内の回転アーム5bへ受け渡され、内容物が充填された後に密封シールして充填システム1の外方へ排出される。
【0049】
なお、充填工程5内でのこれら収納袋7の充填装置5への供給操作は、それぞれの位置検出センサ19a,19b,19c,19dなどによる収納袋7などの検出情報に基づいて、不図示のコントローラによる詳細不図示の制御機構で自動操作されるものである。
【0050】
また、外装袋18の自動開封および収納袋7の引き出し方向は、上述した位置に限定されず、外装袋18の後端を開封し、この後端より移送方向とは逆方向である後方に収納袋7を引き出すこともできる。この場合、集積工程において連結部材11の突出部を連結される収納袋7の最後尾とする。
【0051】
そして、供給ゾーン4のベルトコンベア6上における収納袋7の充填装置5への供給操作は、上述した各装置の配置に限定されることなく、供給ゾーン4内に位置するベルトコンベア6上を全て覆うように各装置を配設させてもよい。さらに、供給ゾーン4内での剥離装置15や引出装置21などの単位操作の一部を自動によることなくオペレータにより操作させることもできる。
【0052】
なお、本願発明である収納袋7の充填工程5内への供給方法は、以上のような充填システム1において有効であるが、内容物の種類や性質、用途などにより、収納袋7への内容物の充填を非無菌条件下で行うほか、無菌条件下で行う場合もある。上述では本願発明の一例として非無菌条件下における充填システム1を説明したが、充填システムが無菌条件下でも、収納袋7を充填工程5内に同様に供給することができる。
【0053】
図9は、無菌の充填システムの一例を示す平面図である。この例の無菌の充填システム1´は、例えば、囲い体からなる無菌室2と、無菌室2の一側に設けられた供給ゾーン4´内には複数の収納袋7を滅菌する滅菌工程3と、無菌室2の他側に設けられ、滅菌工程3から取り出された無菌の収納袋7に内容物を充填する充填工程5とが備えられる。
【0054】
そして、無菌室2には、過酸化水素水の噴霧ノズル2aが複数配置されており、さらに無菌エア供給口A,B,Cが無菌室2に設けられ、これら噴霧ノズル18および無菌エア供給口A,B,Cおよび排気口D,Eが取付けられる。
【0055】
ここで、収納袋7などに食品や医薬品などの内容物を充填させる際は、まず、非無菌環境下において、上述したように、複数の収納袋7を、巻体12にして滅菌用外装袋に封入したもの、または外装袋18内に複数の収納袋7を封入したものを、梱包箱などに入れる。次に、これら収納袋7が入った梱包箱を、不図示の滅菌室内に移送し、ガンマ線照射装置により梱包箱外方からガンマ線を照射する。このとき、照射されたガンマ線のフリーラジカルが、収納袋7の内外に付着されている細菌や微生物類の有するDNA鎖を損傷させ、それら細菌類の細胞分裂能を阻害し、増殖を抑える結果、これら収納袋の内外が滅菌される。
【0056】
なお、収納袋7などを無菌の充填システム1外で予め滅菌する方法は、上述したガンマ線照射による滅菌方法に限られず、例えば電子線照射による滅菌を施してもよい。このとき、ガンマ線は電子線に比べて透過力が大きく、温度上昇や線量のバラツキが小さい、さらにパラメータ管理が時間のみ等の特徴を有するが、滅菌対象物の特性やコストなどに合わせて前記した滅菌方法以外の方法も併せ適宜滅菌方法を選択することができる。
【0057】
次いで、滅菌された前記収納袋7が、図9に示すような無菌室2に搬入され、供給ゾーン4´の閉鎖後に無菌室2内の噴霧ノズル2aから噴出される過酸化水素水により、該外装袋の外装を滅菌する。このとき無菌室2内全体が過酸化水素水により無菌環境となる。そして、収納袋7が、梱包箱から滅菌用外装袋を開封して取り出した巻体12であれば、上述したように巻体12の軸心部材13を不図示の支持部に支持させるとともに、巻体12前端部7aを引き出して、連結部材11前端部11aをベルトコンベア6上の所定位置などに貼り付けるなどさせ、外装袋18であれば、供給ゾーン4´内に有する不図示の可動棚などに設置し、上述のように充填工程5内に効率よく供給される。
【0058】
なお、供給ゾーン4´閉鎖後の供給ゾーン4´内での、梱包箱の開封から巻体12や外装袋18をベルトコンベア6上にセットするまでの作業は、詳細は省略するが、供給ゾーン4´内外でのオペレータの手作業によるものであっても、供給ゾーン4´内の装置による自動工程であってもよい。また、無菌の充填システム1´による無菌充填の方法は上記に限定されない。
【0059】
以上詳述したように、この例の充填システム1は、同方向に位置する注出口9および開口部を備える複数の収納袋7の一部を重ねるようにずらしながら一列に配列させた片面の中央近傍を連結部材11で連結させる集積工程22と、集積工程22で集積した収納袋7を充填工程5に供給する供給ゾーン4と、供給ゾーン4から取り出した収納袋7に内容物を充填する充填工程5とを備えるものである。加えて、集積工程22で連結された複数の収納袋7をロール状に巻回させた巻体12の前端部7aより連続的に充填システム1へ供給した後、供給ゾーン4で連結部材11を前端部11aより後方へ向けて順に収納袋7から剥離し、収納袋7を離間配列させて充填工程5に供給する。
【0060】
また、集積工程22で同方向に位置する注出口9および開口部を備える複数の収納袋7の一部を重ねるようにずらしながら一列に配列させた片面の中央近傍を連結部材11で連結させた複数の収納袋7を封入した外装袋18を供給ゾーン4で開封して、連結部材11の端部11aを引き、複数の収納袋7を外装袋18から引き出すとともに、連結部材11を端部11aより後方へ向けて順に収納袋7から剥離し、収納袋7を離間配列させて充填工程5に供給する。さらに、集積工程22、供給ゾーン4および充填工程5は、収納袋7を滅菌する滅菌工程3を備える無菌室2内に有してもよい。
【0061】
なお、上述の例では、注出口を備える収納袋について説明したが、この発明はこれに限定されるものではなく、注出口以外にも、開口部を開閉自在にするジッパーなどの嵩張る部分を備える収納袋にも適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】本発明の一例としての充填システムの平面図である。
【図2】注出口を備える収納袋の側面図である。
【図3】集積工程で収納袋を巻体にした斜視図である。
【図4】巻体から収納袋が充填システムに供給される平面模式図である。
【図5】ベルトコンベア上における剥離装置付近の平面模式図である。
【図6】ベルトコンベア上における充填工程中途部の平面模式図である。
【図7】集積した収納袋を外装袋に封入した平面模式図である。
【図8】図7における収納袋を、充填システムで連続的に処理する様子を示した平面模式図である。
【図9】本発明の一例としての無菌充填システムの平面図である。
【図10】従来の充填システムの一例を示す平面図である。
【符号の説明】
【0063】
1 充填システム
1´ 無菌充填システム
2 無菌室
3 滅菌工程
4,4´ 供給ゾーン
5 充填工程
6 ベルトコンベア
7 収納袋
8 供給装置
9 注出口
11 連結部材
12 巻体
13 軸心部材
14,16,19a,19b,19c,19d 位置検出センサ
15,15´ 剥離装置
17,17´ ピッチ拡大装置
18 外装袋
20 切断装置
21 引出装置
22 集積工程

【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口部を有する収納袋に、前記開口部から内容物を充填し、密封する充填方法において、
複数の前記収納袋を連結部材を用いて集積する集積工程と、
前記集積工程で集積した前記収納袋を充填工程に供給する供給ゾーンと、
前記供給ゾーンから取り出した前記収納袋に、前記内容物を充填する充填工程と、を含む充填方法。
【請求項2】
前記収納袋は、該収納袋の周囲の一端に注出口を備えることを特徴とする、請求項1に記載の充填方法。
【請求項3】
前記注出口は、チャックであることを特徴とする、請求項1および2に記載の充填方法。
【請求項4】
前記連結部材は、粘着テープであることを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の充填方法。
【請求項5】
前記集積工程は、同方向に位置する複数の収納袋を重ねるようにずらしながら前記連結部材で連結し、ロール状に巻回させた巻体にすることである、請求項1〜4のいずれかに記載の充填方法。
【請求項6】
前記集積工程が、同方向に位置する複数の収納袋を重ねるようにずらしながら前記連結部材で連結することである、請求項1〜5のいずれかに記載の充填方法。
【請求項7】
前記供給ゾーンが、前記巻体の前端部から前記連結部材を後方へ向けて順に前記収納袋から剥離し、前記収納袋を離間配列させることを特徴とする、請求項1〜6のいずれかに記載の充填方法。
【請求項8】
前記供給ゾーンが、複数の前記収納袋を収納した外装袋を所定単位で開封して、前記連結部材の端部を引き、前記複数の収納袋を前記外装袋から引き出すとともに、前記連結部材を端部より他端部へ向けて順に前記収納袋から剥離し、前記収納袋を離間配列させることを特徴とする、請求項1〜6のいずれかに記載の充填方法。
【請求項9】
前記供給ゾーンおよび前記充填工程は、前記収納袋を滅菌する滅菌工程を備える無菌室内に有することを特徴とする、請求項1〜8のいずれかに記載の充填方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2007−314247(P2007−314247A)
【公開日】平成19年12月6日(2007.12.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−118727(P2007−118727)
【出願日】平成19年4月27日(2007.4.27)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】