説明

充填装置

【課題】容器を計量しつつ充填を行う充填装置において、計量手段(ロードセル)等を含むヘッドの動作を制御する中央制御装置(コントローラ)の負荷を軽減する。
【解決手段】容器2を支持する容器支持部及び該容器支持部にかかる荷重を計量するデジタルロードセル等を含む複数のヘッド3〜324は、所定の回転位置として、容器2を支持していない状態を計量する零計測の位置P1に到達したことを近接スイッチによって検出すると、その検出した当該ヘッド、例えば、第1のヘッド3は、零計測を行なう一方、最終の計量値を中央制御装置へ送信する位置P2にある第6のヘッド3に対して送信の動作指令を与えると共に、空の容器2を計量する位置P3にある第21のヘッド321に対して風袋計測の動作指令を与えるようにし、中央制御装置からの動作指令を不要としている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、容器を計量しつつ該容器内に充填物を充填する充填装置に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の充填装置として、回転体の外周部に円周方向に沿って等間隔に配置された複数の容器支持部と、各容器支持部にそれぞれ連結されて該容器支持部にセットされた容器をそれぞれ計量する複数のロードセルとを、前記回転体と共に回転させ、この回転中に、容器支持部にセットされた容器をロードセルで計量しつつ、ノズル等の充填手段から前記容器に飲料等の充填物を一定量充填する回転式の充填装置がある(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
かかる回転式の充填装置では、前記回転体が1回転する間に、所定の回転位置で、容器が容器支持部にセットされる前の計量(零計測)や容器支持部にセットされた空の容器の計量(風袋計測)などの各動作を行なう必要がある。このため、充填装置を制御する中央制御装置(コントローラ)では、ロータリエンコーダ等の回転位相検出器によって検出される回転位相に基づいて、所定の回転位置で上記各動作を行なうように動作指令を与えるようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−189248号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記のような充填装置において、容器1個に対応する、容器支持部、ロードセルおよびノズル等の充填手段からなるヘッド(ユニット)の数が多くなると、上記中央制御装置への負荷が増大することになり、信頼性を確保しながら、負荷の増大に対応しようとすると、中央制御装置として高価な装置を使用せざるを得ないという課題がある。
【0006】
本発明は、このような実情に着目してなされたものであって、中央制御装置への負荷を軽減できる充填装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的を達成するために、本発明では、次のように構成している。
【0008】
(1)本発明の充填装置は、複数の容器をそれぞれ計量する複数の計量手段を備え、前記複数の容器および前記複数の計量手段を移動させながら、かつ前記計量手段によって前記容器を計量しつつ該容器に充填物を充填する装置であって、前記計量手段が所定の位置にあることを検出する位置センサを備え、前記計量手段は、該計量手段が前記所定の位置にあることを示す前記位置センサの検出出力に基づいて、当該計量手段自身の動作および当該計量手段以外の他の計量手段に対する動作指令の少なくともいずれか一方を行うものである。
【0009】
容器とは、充填物を入れる器をいい、袋、ボトル、箱などをいう。
【0010】
充填物とは、容器に充填する物をいい、液体が好ましいが、粉体や粒体などであってもよい。
【0011】
前記複数の容器および前記複数の計量手段の移動は、回転方向に沿う回転移動が好ましいが、直線方向に沿う移動などであってもよい。
【0012】
所定の位置は、一箇所であってもよいし、複数箇所であってもよい。この所定の位置は、計量手段の動作、例えば、空の容器(風袋)を計量する動作や計量結果である計量値を、例えば中央制御装置へ送信する動作などの各動作を行う位置、あるいは、それら位置の基準となる位置であるのが好ましい。
【0013】
位置センサは、一つであってもよいし、複数であってもよい。この位置センサは、固定位置に設けてもよいし、計量手段と共に移動するようにしてもよい。
【0014】
動作指令は、計量手段の動作、例えば、計量動作や計量結果の送信動作などの各種の動作の指令である。
【0015】
少なくともいずれか一方を行うとは、計量手段が前記所定の位置にあることを示す前記位置センサの検出出力に基づいて、当該計量手段自身の動作のみを行なってもよいし、当該計量手段以外の他の計量手段に対する動作指令のみを行なってもよいし、当該計量手段自身の動作及び他の計量手段に対する動作指令の両者を行なってもよい。
【0016】
本発明の充填装置によると、計量手段が所定の位置にあることを検出する位置センサの検出出力に基づいて、当該計量手段自身の計量動作などを行ったり、当該計量手段以外の他の計量手段に対して計量動作などの動作指令を行ったりするので、従来例のように、中央制御装置が、各計量手段に対して動作指令を与える必要がなくなり、その分、中央制御装置の負荷が軽減される。
【0017】
(2)本発明の充填装置の好ましい実施態様では、前記複数の容器をそれぞれ支持する複数の容器支持部を備えると共に、前記位置センサを複数備え、前記複数の計量手段は、前記複数の容器支持部にそれぞれ連結されて各容器支持部に加わる荷重を計量するものであり、前記複数の容器支持部および前記複数の計量手段は、回転体の円周方向に沿って配置されて該回転体と一体に回転移動し、前記各位置センサが、各計量手段とそれぞれ一体に回転移動して所定の回転位置を検出するものである。
【0018】
容器支持部は、容器を支持するものであればよく、例えば、容器を把持するものであってもよいし、容器を載せて支持してもよい。
【0019】
計量手段は、容器支持部に連結されて容器支持部に加わる荷重を計量するので、容器支持部に容器が支持されていない状態の荷重の計量、いわゆる、零計測が可能である。
【0020】
各位置センサは、各計量手段とそれぞれ一体に回転移動するので、各計量手段が所定の回転位置に到達したことを検出することができる。
【0021】
この実施態様によると、各計量手段が所定の回転位置にあることを検出する各位置センサの検出出力に基づいて、当該計量手段自身の計量動作などを行ったり、当該計量手段以外の他の計量手段に対して計量動作などの動作指令を行ったりするので、従来例のように、中央制御装置が、ロータリエンコーダ等の回転位相検出器からの出力に基づいて、各計量手段に対して動作指令を与える必要がなくなり、その分、中央制御装置の負荷を軽減することができるようになる。
【0022】
(3)本発明の充填装置の別の実施態様では、各計量手段は、前記他の計量手段を指定する情報および該他の計量手段に指令すべき動作内容を指定する情報を含む指定情報が予め記憶される指定情報記憶部を備え、各計量手段は、前記指定情報に基づいて、前記他の計量手段に対して動作指令を行うものである。
【0023】
この実施態様によると、計量手段は、所定の位置にあることが位置センサによって検出されると、前記記憶部に予め記憶されている指定情報に基づいて、指定された他の計量手段に対して指定された内容の動作指令を行うことができる。したがって、指定情報によって複数の他の計量手段およびその動作内容を指定することによって、複数の他の制御手段の動作を制御できることになる。
【0024】
(4)上記(3)の実施態様では、前記指定情報は、前記位置センサの検出出力である検出信号の立ち上がりまたは立ち下りを指定する情報を含み、前記計量手段は、前記指定情報で指定される前記検出信号の立ち上がりまたは立ち下りに応答して、当該計量手段自身の動作および当該計量手段以外の他の計量手段に対する動作指令の少なくともいずれか一方を行うようにしてもよい。
【0025】
この実施態様によると、各計量手段による計量動作などの動作のタイミングをきめ細かく設定することが可能となる。
【0026】
(5)本発明の充填装置の更に別の実施態様では、前記他の計量手段は、動作指令に従って行なった動作の結果を通知するものである。
【0027】
動作の結果は、動作が正しく行なわれたか否かといった動作の良否であってもよいし、例えば、計量動作であれば計量値などであってもよい。
【0028】
動作の結果を通知する先は、中央制御装置であってもよいし、他の計量手段であってもよい。
【0029】
この実施態様によると、動作の結果、例えば、充填物を充填した後の容器の計量動作の結果である計量値を通知先、例えば、中央制御装置に通知することにより、中央制御装置では、計量値の良否を判別し、不良と判別された充填後の容器を、当該充填装置の下流側で取り除くといったことが可能となる。
【0030】
(6)上記(5)の実施態様では、前記他の計量手段は、前記動作の結果の通知先情報が予め記憶される通知先情報記憶部を備え、前記通知先情報に基づいて、動作の結果を通知するものである。
【0031】
この実施態様によると、他の計量手段は、動作指令に従って動作を行なった後に、前記記憶部に予め記憶されている通知先情報に基づいて、その通知先に対応する中央制御装置や特定の計量手段などに動作結果を通知することができる。
【発明の効果】
【0032】
本発明によると、計量手段が所定の位置にあることを検出する位置センサの検出出力に基づいて、当該計量手段自身の計量動作などを行ったり、当該計量手段以外の他の計量手段に対して計量動作などの動作指令を行ったりすることができるので、従来例のように、中央制御装置が、各計量手段に対して動作指令を与える必要がなくなり、その分、中央制御装置の負荷を軽減することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】図1は本発明の実施形態に係る充填装置の概略構成を示す平面図である。
【図2】図2は図1の要部の側面図である。
【図3】図3は図1の回転状態における第1のヘッドの側面図である。
【図4】図4は図2の各ヘッドのデジタルロードセルと中央制御装置との接続構成を示す図である。
【図5】図5はデジタルロードセルの構成を示すブロック図である。
【図6】図6はデジタルロードセルの記憶部に格納されている指示設定テーブルの例を示す図である。
【図7】図7はデジタルロードセルの記憶部に格納されている通知先設定テーブルの例を示す図である。
【図8】図8は指示設定テーブルに基づく動作指令の発行処理を示すフローチャートである。
【図9】図9は通知先設定テーブルに基づく動作結果の通知処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0035】
(実施形態1)
図1は、本発明の実施形態に係る充填装置の概略構成を示す平面図であり、図2は、図1の要部の側面図である。
【0036】
この実施形態の充填装置1は、図1に示すように、一定の速度で回転する円形の回転台8を備えており、この回転台8の外周寄りには、ビン等の容器2に液体、例えば飲料を一定量ずつ充填するための複数、この例では24台の第1〜第24のヘッド3〜324が、円周方向に沿って等間隔に配置されている。
【0037】
各ヘッド3〜324は、図2に示すように、容器2の首部を把持して支持する容器支持部4と、この容器支持部4に連結されて該容器支持部4に加わる荷重を計量する計量手段としてのデジタルロードセル(以下「DLC」ともいう)5と、容器支持部4の上方に配置されて、容器2内に飲料を充填するための充填手段としてのノズル6及び電磁式の充填バルブ7とを備えている。充填バルブ7には、図示しない配管を介して飲料が供給されると共に、その開閉が、デジタルロードセル5によって制御される。
【0038】
各ヘッド3〜324は、回転台8に立設された周壁8aに取付けられており、図1の矢符9方向(時計方向)に該回転台8と一体に回転移動する。
【0039】
この充填装置1では、図中、白抜きで空であることを示す容器2,2,…が、搬入用コンベヤ10によって搬送され、反時計方向に回転する搬入用スターホイール11によって一定のタイミングで1個ずつ回転台8に搬入されて、各ヘッド3〜324の容器支持部4に順次にセットされる。容器2,2,…の回転台8への搬入の有無は、搬入用スターホイール11に搬入用コンベヤ10を介して対向配置された光電センサ24によって検出される。
【0040】
各ヘッド3〜324の容器支持部4に順次にセットされた容器2は、該ヘッド3〜324と共に矢符9方向に回転し、この回転中に、各ヘッド3〜324は、容器支持部4に支持された容器2に飲料を充填する。ハッチングで充填が終了したことを示す容器2,2,…は、反時計方向に回転する搬出用スターホイール13によって、各ヘッド3〜324から取り除かれて、搬出用コンベヤ14によって搬出される。
【0041】
なお、回転台8、搬入用コンベヤ10及び搬出用コンベヤ14等の駆動制御は、後述の中央制御装置(コントローラ)によって行われ、この中央制御装置は、例えば、PLC(プログラマブル・ロジック・コントローラ)などで構成される。
【0042】
この実施形態では、各ヘッド3〜324は、当該ヘッド3〜324が所定の回転位置にあることを検出するために、図2に示すように、位置センサ、例えば、近接スイッチ15を各ヘッド3〜324のデジタルロードセル5の下部に備えている。
【0043】
一方、この近接スイッチ15の検出対象となる金属片16が、所定の回転位置、この実施形態では、図1に示すように、容器2の搬入位置と搬出位置との略中間の位置、図1に示される回転状態では、第1のヘッド3の下方位置に固定的に配置されている。この図1の回転状態では、図3に示すように、第1のヘッド3のデジタルロードセル5に備えられている近接スイッチ15が、金属片16に対向し、デジタルロードセル5には、近接スイッチ15からの検出信号が入力される。なお、回転台8には、金属片16に対応して、円周方向に沿って貫通溝が形成されており、この貫通溝から金属片16が上方に突出して近接スイッチ15に対向できるように構成されている。
【0044】
この実施形態では、所定の回転位置は、容器支持部4に容器2がセットされていない位置であって、そのときの荷重を計測する、いわゆる零計測の位置P1である。また、この図1の回転状態では、所定の回転位置にある第1のヘッド3を基準として、反時計回りに5個ずれた第6のヘッド3の位置が、充填後の容器2の最終の計量値を後述のように送信する送信動作の位置P2であり、また、第1のヘッド3を基準として、時計回りに4個ずれた第21のヘッド321の位置が、容器支持部4にセットされた空の容器2を計量する、いわゆる風袋計測の位置P3である。
【0045】
各ヘッド3〜324のデジタルロードセル(DLC)5は、図4に示すように、通信回線25で相互に接続されると共に、上位の中央制御装置26に接続されて通信可能となっている。また、各デジタルロードセル5は、上述の近接スイッチ15が接続されると共に、デジタルロードセル5によって開閉が制御される電磁式の上述の充填バルブ7が接続される。
【0046】
図5は、各ヘッド3〜324のデジタルロードセル5の構成を示すブロック図である。
【0047】
このデジタルロードセル5は、起歪体に貼着されたストレインゲージがブリッジ接続されたロードセル部17と、このロードセル部17からの荷重信号をA/D変換して重量を検出する重量検出部18と、後述の各テーブルが予め記憶される記憶部19と、他のヘッドのデジタルロードセル5や中央制御装置26と通信するための通信インターフェイス部20と、上述の位置センサである近接スイッチ15からの検出信号が入力される一方、充填バルブ7への開閉信号を出力する入出力制御部21と、各部を制御する演算処理部22と、電源23とを備えている。重量検出部18及び演算処理部22は、例えば、CPUによって構成される。
【0048】
この実施形態では、近接スイッチ15が所定の回転位置である零計測の位置P1の金属片16を検出し、対応するヘッドのデジタルロードセル5に検出信号が入力されると、該デジタルロードセル5は、予め記憶部19に記憶されている指示設定テーブルに従って、他のヘッドのデジタルロードセル5に対して動作指令を与える。
【0049】
また、動作指令が与えられる他のヘッドのデジタルロードセル5は、その指令に従って動作すると共に、予め記憶部19に記憶されている通知先設定テーブルに従って、その動作結果を通知する。
【0050】
この指示設定テーブル及び通知先設定テーブルの情報は、例えば、上述の通信回線25を介して中央制御装置26から予め設定入力することができる。
【0051】
図6は、デジタルロードセル5の記憶部19に予め記憶されている指示設定テーブルの一例を示す図であり、この図6では、第1のヘッド3の指示設定テーブルを示している。
【0052】
この記憶部19に予め記憶される指示設定テーブルの項目には、位置センサを指定するセンサ番号(No.)、動作指令のトリガとなる位置センサからの検出信号の立ち上がりや立下りといった事象、動作指令の発行先である他のヘッドの番号、及び、指令する動作内容がある。第1〜第24のヘッド3〜324のヘッドの番号は、それぞれ、1〜24である。
【0053】
この実施形態では、位置センサは、近接スイッチ15だけであり、センサ番号は近接スイッチ15を示す「1」である。第1のヘッド3のデジタルロードセル5は、上述の図1の回転状態になると、近接スイッチ15が所定の回転位置である零計測の位置P1の金属片16に対向し、該近接スイッチ15から検出信号が入力され、その検出信号の立ち上がりに応答して、発行先である第6のヘッド3のデジタルロードセル5に対して充填後の最終の計量値の送信動作を指令し、更に、発行先が第1のヘッド3である自分自身は、容器2がセットされていない状態を計量する零計測を行なう。また、近接スイッチ15からの検出信号の立ち下がりに応答して、発行先である第21のヘッド321のデジタルロードセル5に対して風袋計測の動作を指令する。
【0054】
すなわち、金属片16が設置されている所定の回転位置である零計測の位置P1を基準として、最終の計量値の送信指令、及び、風袋計測の動作指令を、それぞれ対応する位置P2,P3にある第6,第21のヘッド3,321に対して行う一方、当該第1のヘッド3自身は、零計測を行う。
【0055】
このように各ヘッド3〜324のデジタルロードセル5は、近接スイッチ15が所定の回転位置である零計測の位置P1の金属片16を検出すると、その検出信号の立ち上がりに応答して、反時計回りに5個ずれた位置のヘッドのデジタルロードセル5に対して最終の計量値の送信動作を指令し、検出信号の立ち下がりに応答して、時計回りに4個ずれた位置のヘッドのデジタルロードセル5に対して風袋計測の動作を指令する。また、近接スイッチ15から検出信号が入力された当該ヘッド自身は、零計測を行う。
【0056】
したがって、各ヘッド3〜324のデジタルロードセル5の記憶部19に予め記憶されている指示設定テーブルでは、発行先のヘッドの番号がヘッド毎にそれぞれ異なっている。例えば、第2のヘッド3の指示設定テーブルでは、図6の第1のヘッド3の指示設定テーブルにおける発行先が、1ヘッド分ずれることになり、第6のヘッド3が第7のヘッド3に、第1のヘッド3が第2のヘッド3に、第21のヘッド321が第22のヘッド322になる。
【0057】
図7は、デジタルロードセル5の記憶部19に予め記憶されている通知先設定テーブルの一例を示す図であり、この図7では、第1のヘッド3の通知先設定テーブルを示している。
【0058】
この記憶部19に予め記憶される通知先設定テーブルの項目には、複数の動作内容(零計測、風袋計測、計量値送信)、及び、各動作内容に従った動作を行なった動作結果を通知する各通知先がある。
【0059】
この実施形態では、基本的には、他のヘッドからの動作指令に従って動作を行い、その動作結果を当該ヘッド自身に記憶し、充填後の容器2の最終の計量結果である計量値を、上述の中央制御装置26に送信するようにしている。
【0060】
すなわち、この実施形態では、全てのヘッド3〜324の通知先設定テーブルの3つの動作内容それぞれに対応する各通知先において、零計測、風袋計測に関しては設定通知先が当該ヘッド自身であって当該ヘッド自身に通知、すなわち、当該ヘッド自身に記憶し、充填後の容器2の最終の計量値に関しては、設定通知先が中央制御装置26であり、該中央制御装置26に送信する。
【0061】
中央制御装置26は、充填後の容器2の最終的な計量値に基づいて、充填の良否を判別し、不良品については、搬出用コンベヤ14の下流側の選別機(図示せず)を制御して生産ラインから排除するようにしている。
【0062】
なお、本発明の他の実施形態として、動作結果を当該ヘッド自身に記憶したり、中央制御装置26に送信したりするのではなく、他のヘッドに送信するようにしてもよい。例えば、特定のヘッドに動作結果を送信し、該特定のヘッドに計量値などの動作結果を収集するようにしてもよく、更に、収集した動作結果の統計処理を行なうようにしてもよい。
【0063】
図8及び図9は、各ヘッド3〜324のデジタルロードセル5の動作説明に供するフローチャートであり、図8は、他のヘッドのデジタルロードセル5に対する動作指令の発行処理を示し、図9は、指令に従った動作の結果を通知する処理を示している。
【0064】
動作指令の発行処理では、図8に示すように、位置センサの番号Sの初期値を設定し(ステップS101)、位置センサの番号Sが位置センサの数、この実施形態では、上述のように「1」以下であるか否かを判断し(ステップS102)、位置センサの数以下であるときには、位置センサの信号状態が変化したか否かを判断し(ステップS103)、変化したときには、指示設定テーブルの行番号Rの初期値を設定し(ステップS104)、指示設定テーブルの行番号Rが指示設定テーブルの行数、この実施形態では図6に示すように「3」以下であるか否かを判断する(ステップS105)。
【0065】
指示設定テーブルの行番号Rが指示設定テーブルの行数以下であるときには、指示設定テーブルの行番号Rの行における位置センサのNo.が、位置センサの番号Sであるか否かを判断し(ステップS106)、位置センサの番号Sであるときには、指示設定テーブルの行番号Rの行における事象が一致したか否かを判断し(ステップS107)、事象が一致したときには、指示設定テーブルの行番号Rの行における指示を実行する、すなわち、指示設定テーブルの行番号Rの行における発行先のヘッドのデジタルロードセル5に対して対応する動作指令を送信し(ステップS108)、指示設定テーブルの行番号RをインクリメントしてステップS105に戻る(ステップS109)。
【0066】
また、ステップS105において、指示設定テーブルの行番号Rが指示設定テーブルの行数以下でない、すなわち、指示設定テーブルの行番号Rが指示設定テーブルの行数を超えると、位置センサの番号SをインクリメントしてステップS102に戻り(ステップS110)、ステップS102において、位置センサの番号Sが、位置センサの数以下でない、すなわち、位置センサの数を超えると、終了する。
【0067】
他のヘッドのデジタルロードセル5からの指令に従った動作の結果を通知する処理では、図9に示すように、指令に従った動作が完了したか否かを判断し(ステップS201)、動作が完了したときには、通知先設定テーブルの行番号Rを初期値に設定し(ステップS202)、通知先設定テーブルの行番号Rが、通知先設定テーブルの行数、この実施形態では図7に示すように「3」以下であるか否かを判断し(ステップS203)、通知先設定テーブルの行数以下であるときには、通知先設定テーブルの行番号Rの行における指示内容と完了した動作とが一致したか否かを判断し(ステップS204)、一致したときには、通知先設定テーブルの行番号Rの行における通知先に対して、動作の結果を通知し(ステップS205)、通知先設定テーブルの行番号RをインクリメントしてステップS203に戻る(ステップS206)。また、ステップS203において、通知先設定テーブルの行番号Rが、通知先設定テーブルの行数以下でない、すなわち、通知先設定テーブルの行番号Rが、通知先設定テーブルの行数を超えるときには、終了する。
【0068】
次に、上記構成を有する充填装置1による飲料の容器2への充填処理を説明する。
先ず、回転台8が、図1の矢符9で示されるように時計方向に、一定の速度で回転し、この回転に伴って、各ヘッド3〜324も回転する。さらに、回転台8の回転に合わせて、搬入用コンベヤ10、搬入用スターホイール11、搬出用スターホイール13、搬出用コンベヤ14も回転する。なお、回転台8の回転数は、容器2などに応じて定められ、例えば数秒間(約3秒間〜5秒間)に1回転程度とされる。
【0069】
次に、空の容器2,2,…が、搬入用コンベヤ10、搬入用スターホイール11によって、一定のタイミングで1個ずつ回転台8に搬入され、各容器2,2,…は、各ヘッド3〜324の容器支持部4にセットされ、回転台8と共に回転する。この回転中に、各ヘッド3〜324は、自身にセットされた容器2に飲料をそれぞれ充填する。
【0070】
具体的には、例えば第1のヘッド3が、金属片16が設置された所定の回転位置である零計測の位置P1に到達すると、該ヘッド3のデジタルロードセル5には、近接スイッチ15から検出信号が入力されるので、上述のように、指示設定テーブルに従って当該ヘッド3は、零計測を行うと共に、第6のヘッド3のデジタルロードセル5に対して最終の計量値の送信動作を指令し、更に、第21のヘッド321のデジタルロードセル5に対して風袋計測の動作を指令する。第1のヘッド3のデジタルロードセル5は、容器2がセットされていない状態の荷重を計量する、いわゆる零計測を行なってその計量値を記憶する。
【0071】
この零計測が行われた後、搬入用スターホイール11によって第1のヘッド3の容器支持部4に容器2がセットされる。その後、容器2がセットされた第1のヘッド3が、図1に示される風袋計測の位置P3に到達すると、そのときに金属片16が設置された所定の回転位置である零計測の位置P1にあるヘッド、具体的には第5のヘッド3のデジタルロードセル5から当該第1のヘッド3のデジタルロードセル5に対して風袋計測の動作指令が与えられる。
【0072】
これによって、第1のヘッド3のデジタルロードセル5は、動作指令に応答して空の容器2を計量する、いわゆる風袋計測を行う。風袋計測の結果である風袋の計量値は、その通知先が、上述の通知先設定テーブルに示されるように、第1のヘッド3自身であるので、該第1のヘッド3のデジタルロードセル5に記憶する。
【0073】
この風袋計測が終了した後、第1のヘッド3のデジタルロードセル5は、自身の充填バルブ7を開いて飲料の充填を開始する。そして、飲料が充填される容器2の計量値が予め定めた停止すべき計量値に達したときに、充填バルブ7を閉じて充填を停止する。
【0074】
飲料の供給が完全に停止され、デジタルロードセル5の計量値が安定するまでの時間が経過した後、充填後の容器2の最終的な計量を開始し、最終的な計量値を得る。
【0075】
かかる最終計量の終了後、第1のヘッド3が、充填後の容器2の最終の計量値を送信する位置P2に到達すると、そのときに金属片16が設置された所定の回転位置である零計測の位置P1にあるヘッド、具体的には第20のヘッド320のデジタルロードセル5から当該第1のヘッド3のデジタルロードセル5に対して最終計量値の送信の動作指令が与えられる。第1のヘッド3は、この動作指令を受けて上述の通知先設定テーブルに従って通知先である中央制御装置26へ最終の計量値を送信する。
【0076】
そして、この最終計量値を送信する位置P2を通過してから暫くすると、第1のヘッド3にセットされている充填後の容器2は、搬出用スターホイール13によって、搬出用コンベア14へ搬出される。
【0077】
他のヘッド3〜324も第1のヘッド3と同様にして充填処理が行なわれる。
【0078】
最終の計量値が与えられる中央制御装置26は、規定通りの定量充填が行われたか否かを判断し、不良品と判断された容器2については、生産ラインから排除されるように、選別機に指示を与える。
【0079】
以上のように各ヘッド3〜324のデジタルロードセル5は、図1に示される所定の回転位置である零計測の位置P1では、近接スイッチ15の検出信号に基づいて自ら零計測を行ない、最終の計量値を中央制御装置26へ送信する位置P2及び風袋計測の位置P3では、他のヘッドのデジタルロードセル5からの動作指令に従って最終の計量値の送信及び風袋計測をそれぞれ行なうので、従来例のように、中央制御装置は、ロータリエンコーダ等の回転位相検出器によって検出される回転位相に基づいて、上記各位置P1,P2,P3に対応する各ヘッドのデジタルロードセルに対して上記各動作の動作指令を与える必要がなくなり、特に、ヘッド数が多い場合の中央制御装置への負荷を軽減することが可能となる。
【0080】
上述の実施形態では、充填後の容器2の最終の計量値を、中央制御装置26に送信したけれども、本発明の他の実施形態として、充填後の容器2の最終の計量値や充填後の良否の判別結果を、下流側の選別機などに送信して不良品と判断された容器2については、生産ラインから排除するようにしてもよい。
【0081】
上述のように各ヘッド3〜324のデジタルロードセル5は、充填後の容器2の最終の計量値を送信する位置P2及び風袋計測の位置P3では、他のヘッドのデジタルロードセル5からの各動作指令に従って最終の計量値の送信及び風袋計測をそれぞれ行なうので、例えば、予め定めた期間が経過しても計量値送信の動作指令や風袋計測の動作指令が与えられないときには、それら指令を与えるべきヘッドに異常が生じていると判定することができる。
【0082】
そこで、本発明の他の実施形態として、各ヘッド3〜324のデジタルロードセル5は、動作指令の入力の有無に基づいて、該動作指令を与えるべきヘッドの異常の有無を検出するようにしてもよい。この場合、異常が検出されたヘッドを、中央制御装置26などに送信して、例えば、異常が検出されたヘッドに対応する容器2及び動作指令が与えられなかったヘッドに対応する容器2を、下流側の選別機によって生産ラインから排除するようにしてもよい。
【0083】
上述の実施形態では、所定の回転位置を、零計測の位置P1としたけれども、所定の回転位置は、零計測の位置P1に限らないのは勿論であり、例えば、最終の計量値の送信位置P2、風袋計測の位置P3やその他の位置であってもよい。
【0084】
また、上述の実施の形態では、近接スイッチ15によって、所定の回転位置として、零計測の位置P1の一箇所を検出したけれども、本発明の他の実施形態として、所定の回転位置を複数個所とし、位置センサを追加して複数個所を検出するようにしてもよい。
【0085】
上述の実施形態では、近接スイッチ15の検出信号に基づいて、零計測、最終の計量値の送信及び風袋計測の3つの動作を行なうようにしたけれども、本発明の動作は、3つに限らず、単一の動作であってもよく、また、上記動作以外の動作、例えば、充填開始、充填終了、あるいは、容器2に対する飲料の充填中において、その供給量を変更する動作などであってもよい。
【0086】
上述の実施形態では、位置センサとして近接スイッチを用いたけれども、位置センサは、近接スイッチに限らず、光電スイッチやその他のセンサであってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0087】
本発明は、容器に充填物を充填する充填装置として有用である。
【符号の説明】
【0088】
1 充填装置
2 容器
〜324 ヘッド
4 容器支持部
5 デジタルロードセル
6 ノズル
7 充填バルブ
8 回転台
15 近接スイッチ(位置センサ)
16 金属片
17 ロードセル部
18 重量検出部
19 記憶部
20 通信インターフェイス部
21 入出力制御部
22 演算処理部
23 電源
26 中央制御装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の容器をそれぞれ計量する複数の計量手段を備え、前記複数の容器および前記複数の計量手段を移動させながら、かつ前記計量手段によって前記容器を計量しつつ該容器に充填物を充填する装置であって、
前記計量手段が所定の位置にあることを検出する位置センサを備え、
前記計量手段は、該計量手段が前記所定の位置にあることを示す前記位置センサの検出出力に基づいて、当該計量手段自身の動作および当該計量手段以外の他の計量手段に対する動作指令の少なくともいずれか一方を行うことを特徴とする充填装置。
【請求項2】
前記複数の容器をそれぞれ支持する複数の容器支持部を備えると共に、前記位置センサを複数備え、
前記複数の計量手段は、前記複数の容器支持部にそれぞれ連結されて各容器支持部に加わる荷重を計量するものであり、
前記複数の容器支持部および前記複数の計量手段は、回転体の円周方向に沿って配置されて該回転体と一体に回転移動し、
前記各位置センサが、各計量手段とそれぞれ一体に回転移動して所定の回転位置を検出する、
請求項1に記載の充填装置。
【請求項3】
各計量手段は、前記他の計量手段を指定する情報および該他の計量手段に指令すべき動作内容を指定する情報を含む指定情報が予め記憶される指定情報記憶部を備え、各計量手段は、前記指定情報に基づいて、前記他の計量手段に対して動作指令を行う請求項1または2に記載の充填装置。
【請求項4】
前記指定情報は、前記位置センサの検出出力である検出信号の立ち上がりまたは立ち下りを指定する情報を含み、
前記計量手段は、前記指定情報で指定される前記検出信号の立ち上がりまたは立ち下りに応答して、当該計量手段自身の動作および当該計量手段以外の他の計量手段に対する動作指令の少なくともいずれか一方を行うものである請求項3に記載の充填装置。
【請求項5】
前記他の計量手段は、動作指令に従って行なった動作の結果を通知する請求項1ないし4のいずれかに記載の充填装置。
【請求項6】
前記他の計量手段は、前記動作の結果の通知先情報が予め記憶される通知先情報記憶部を備え、前記通知先情報に基づいて、動作の結果を通知する請求項5に記載の充填装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−162224(P2011−162224A)
【公開日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−26104(P2010−26104)
【出願日】平成22年2月9日(2010.2.9)
【出願人】(000208444)大和製衡株式会社 (535)
【Fターム(参考)】