説明

充電システム

【課題】利用者側の装置構成が簡単で操作も容易な充電システムを低コストで提供する。
【解決手段】バッテリー101を搭載した電気自動車10と、電力会社50の課金処理用のサーバ502にネットワーク40を介して接続されたネットワークコントローラ302を有する電源供給ユニット30と、その特殊コンセント部301と電気自動車10の汎用プラグ部101との間に接続され、電源供給ユニット30からの充電電力量を計測する電力量メータ203、この充電電力を供給・遮断するパワーリレー202、及び、利用者を特定する認証データを有すると共に利用者に保有される接続変換ユニット20とを備え、ネットワークコントローラ302が、利用者の認証、パワーリレー202の制御、充電電力量計測値の送信等を行い、サーバ502は、受信した充電電力量計測値に基づいて利用者への課金処理を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気自動車(いわゆるハイブリッドカーを含む),モバイル型パソコンや各種の携帯情報端末,携帯電話,携帯式音楽プレーヤーのように、バッテリーを駆動電源とする各種の機器・装置(以下、これらを総称して充電負荷装置ともいう)の前記バッテリーを充電するための充電システムに関し、詳しくは、これらの充電負荷装置の利用者の認証成立を条件として充電を行い、その充電電力に相当する電気料金を利用者に課金するための充電システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、電気自動車の研究開発は著しいスピードで進められており、その商品化も徐々になされている。また、モバイル型パソコンや電子書籍閲覧用端末を始めとする携帯情報端末,携帯電話,携帯式音楽プレーヤー等の普及も目ざましいものがある。
バッテリーを駆動電源とするこれらの充電負荷装置にとって、充電インフラの整備は極めて重要な課題である。
【0003】
一例として、電気自動車の充電インフラとしては、家庭用充電設備による充電、充電ステーション・駐車場・道路等に設置された公共用充電設備による充電、更にはバッテリー自体の交換等、各種のものが提案されている。このうち、特に公共用充電設備により充電する場合には、いわゆる盗電を防止し、かつ、利用者(電気自動車の保有者)が充電の都度、電気料金を支払う煩雑さを解消するため、利用者個人または電気自動車の認証(以下、これらを纏めて利用者の認証という)を行ってから電力の販売、すなわち充電を可能にするシステムを構成することが望ましい。
【0004】
上記のように、利用者の認証成立を条件として電気自動車等の充電負荷装置への充電を可能にしたシステムは、例えば、特許文献1〜3に記載されている。
特許文献1に係る従来技術は、住宅や店舗等に設置されたアウトレットから給電を受ける場合に電気自動車等の利用者に対して直接課金することを目的とした移動体用電力料金課金システムであり、電力供給場所において自動車に供給された電力量がセンタ装置から利用者が契約する電力供給者に通知されて電気料金が利用者に直接課金され、また、電力供給場所の管理者に対しては自動車への供給電力量を差し引いた差分電力量の電気料金が課金されることにより、電力供給場所の管理者と利用者との間で電気料金を直接授受する煩雑さをなくしたものである。
【0005】
特許文献2に係る従来技術は、給電端末と負荷との間に通信手段を設けて情報をやり取りする電力供給システムであり、電力供給を受ける車両から電源ケーブルまたは無線通信手段を介して利用者の認証情報を管理システムに送り、その認証が成立したときに給電端末から車両への電源供給を可能にしたものである。
【0006】
特許文献3に係る従来技術は、集合住宅の居住者向けの電気自動車充電システムを提供することを目的とした充電システムであり、集合住宅の各住戸の電気錠に対する錠操作権限の認証用IDを充電用認証手段にも共用し、その認証成立を条件として充電操作を可能とする充電装置を備えている。
【0007】
更に、他の従来技術として、駐車場などに設置された充電スタンド(給電スタンド)に二次元情報コードを付与しておき、電気自動車を充電する利用者が携帯電話により前記二次元情報コードを撮像して管理センタに送信し、管理センタが利用者の認証成立を条件として充電スタンドからの充電及び利用者への課金を行うようにしたシステムも存在する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2010−79456号公報(段落[0022]〜[0040]、図1等)。
【特許文献2】特開2008−77267号公報(段落[0016]〜[0030]、図1〜図4等)。
【特許文献3】特開2010−152511号公報(段落[0014]〜[0025]、図1等)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
特許文献1に記載された従来技術では、車載器に挿入されたICカード(いわゆるETCカード)から利用者の識別情報を読み出して認証を行うと共に、充電電力量の計測値を上記車載器を介して電力供給場所及びセンタ装置との間で送受信する構成である。このため、車両側には、車載器を含む通信装置と電源ケーブルを含む受電設備との両方を備える必要があり、これらを設置するために多くの車内スペースをとられたりコスト高になる等の問題があった。
特許文献2に記載された従来技術においては、利用者によってICカードが車内の認証装置に挿入され、かつ、電源ケーブルが車両と給電装置との間に接続されたことを条件として認証動作を開始しており、充電を完了するまでの操作が煩雑であるという問題があった。
また、特許文献3に記載された従来技術は、住戸の電気錠に対する認証用IDと充電用認証IDとが同一であるため、例えば引越し等により住居の施錠システムが変わると対応できなかったりIDを再設定する必要が生じる。更に、この従来技術は集合住宅の居住者向けに特化されたシステムであり、汎用性に乏しい。
【0010】
なお、充電スタンドに付与された二次元情報コードを携帯電話により撮像して送信する方式の前記従来技術は、携帯電話等の操作に不慣れな高齢者にとっては使い勝手が悪く、その利用が敬遠される恐れがある。
【0011】
そこで、本発明の解決課題は、利用者側の装置構成が簡単で操作も容易であり、しかも汎用性の高い充電システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するため、請求項1に係る発明は、バッテリーを駆動電源とし、かつ前記バッテリーに汎用接続部が接続された充電負荷装置と、
電力会社の電力供給部に接続された特殊接続部を有し、かつ、前記電力会社の課金処理用のサーバにネットワークを介して接続されたネットワークコントローラを有する電源供給ユニットと、
前記特殊接続部と前記汎用接続部との間に接続可能であり、かつ、電源ケーブルを介して前記電源供給ユニットから前記充電負荷装置に供給される充電電力量を計測する電力量計測手段、この充電電力を供給・遮断するためにオンオフ制御されるスイッチ手段、及び、前記充電負荷装置の利用者を認証するための認証データ、を有すると共に、前記利用者によって保有される接続変換ユニットと、を備え、
前記ネットワークコントローラは、前記接続変換ユニットが前記特殊接続部と前記汎用接続部との間に接続された状態で、前記接続変換ユニット内の認証データを前記サーバに登録されている認証データと照合して利用者の認証処理を行い、その認証成立時に、前記スイッチ手段を介して前記電源供給ユニットから前記充電負荷装置に充電電力を供給すると共に、前記電力量計測手段による充電電力量の計測値を前記サーバに送信し、
前記サーバは、前記ネットワークコントローラから受信した充電電力量の計測値に基づいて前記利用者に対する課金処理を実行するものである。
【0013】
請求項2に係る発明は、バッテリーを駆動電源とし、かつ前記バッテリーに汎用接続部が接続された充電負荷装置と、
電力会社の電力供給部に接続され、かつ、電源ケーブルを介して前記電力供給部から前記充電負荷装置に供給される充電電力を供給・遮断するためにオンオフ制御されるスイッチ手段、このスイッチ手段に接続された特殊接続部、及び、前記電力会社の課金処理用のサーバにネットワークを介して接続されたネットワークコントローラを有する電源供給ユニットと、
前記特殊接続部と前記汎用接続部との間に接続可能であり、かつ、電源ケーブルを介して前記電源供給ユニットから前記充電負荷装置に供給される充電電力量を計測する電力量計測手段、及び、前記充電負荷装置の利用者を認証するための認証データ、を有すると共に、前記利用者によって保有される接続変換ユニットと、を備え、
前記ネットワークコントローラは、前記接続変換ユニットが前記特殊接続部と前記汎用接続部との間に接続された状態で、前記接続変換ユニット内の認証データを前記サーバに登録されている認証データと照合して利用者の認証処理を行い、その認証成立時に、前記スイッチ手段を介して前記電源供給ユニットから前記充電負荷装置に充電電力を供給すると共に、前記電力量計測手段による充電電力量の計測値を前記サーバに送信し、
前記サーバは、前記ネットワークコントローラから受信した充電電力量の計測値に基づいて前記利用者に対する課金処理を実行するものである。
【0014】
請求項3に係る発明は、バッテリーを駆動電源とし、かつ前記バッテリーに汎用接続部が接続された充電負荷装置と、
電力会社の電力供給部に接続され、かつ、電源ケーブルを介して前記電力供給部から前記充電負荷装置に供給される充電電力を供給・遮断するためにオンオフ制御されるスイッチ手段、前記電力供給部から前記充電負荷装置に供給される充電電力量を計測する電力量計測手段、この電力量計測手段に接続された特殊接続部、及び、前記電力会社の課金処理用のサーバにネットワークを介して接続されたネットワークコントローラを有する電源供給ユニットと、
前記特殊接続部と前記汎用接続部との間に接続可能であり、かつ、前記充電負荷装置の利用者を認証するための認証データを有すると共に、前記利用者によって保有される接続変換ユニットと、を備え、
前記ネットワークコントローラは、前記接続変換ユニットが前記特殊接続部と前記汎用接続部との間に接続された状態で、前記接続変換ユニット内の認証データを前記サーバに登録されている認証データと照合して利用者の認証処理を行い、その認証成立時に、前記スイッチ手段を介して前記電源供給ユニットから前記充電負荷装置に充電電力を供給すると共に、前記電力量計測手段による充電電力量の計測値を前記サーバに送信し、
前記サーバは、前記ネットワークコントローラから受信した充電電力量の計測値に基づいて前記利用者に対する課金処理を実行するものである。
【0015】
請求項4に係る発明は、バッテリーを駆動電源とし、かつ前記バッテリーに汎用接続部が接続された充電負荷装置と、
電力会社の電力供給部に接続され、かつ、電源ケーブルを介して前記電力供給部から前記充電負荷装置に供給される充電電力を供給・遮断するためにオンオフ制御されるスイッチ手段、前記電力供給部から前記充電負荷装置に供給される充電電力量を計測する電力量計測手段、この電力量計測手段に接続された汎用接続部、前記電力会社の課金処理用のサーバにネットワークを介して接続されたネットワークコントローラ、及び、前記利用者が保有する認証カードに記憶された前記利用者の認証データを読み取るためのカードリーダ、
を有する電源供給ユニットと、を備え、
前記ネットワークコントローラは、前記充電負荷装置が前記電源供給ユニットの前記汎用接続部に接続された状態で、前記カードリーダにより読み取った前記利用者の認証データを前記サーバに登録されている認証データと照合して利用者の認証処理を行い、その認証成立時に、前記スイッチ手段を介して前記電源供給ユニットから前記充電負荷装置に充電電力を供給すると共に、前記電力量計測手段による充電電力量の計測値を前記サーバに送信し、
前記サーバは、前記ネットワークコントローラから受信した充電電力量の計測値に基づいて前記利用者に対する課金処理を実行するものである。
【0016】
請求項5に係る発明は、請求項1〜4の何れか1項に記載した充電システムにおいて、
前記電力供給部から前記電源供給ユニットに供給した総電力量を計測して前記サーバに送信する手段を備え、
前記サーバは、前記総電力量から前記充電負荷装置の充電電力量を減算した値を前記電源供給ユニットにおける使用電力量として前記電源供給ユニットの管理者に対する課金処理を実行するものである。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、利用者が保有してその管理下におく接続変換ユニットの構成を種々の態様で簡略化し、あるいはこれを省略することが可能であり、例えば電気自動車の車内に設置する装置や設備も最小限で済むので、スペースの有効利用が可能である。
また、充電を行うために煩雑な操作を要求されることもなく、操作が容易であって汎用性に優れ、しかも年齢性別を問わずに広範囲の利用者にとって使い勝手の良い充電システムを実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の第1実施形態を示す全体構成図である。
【図2】図1における接続変換ユニットの説明図であり、(a)は平面図、(b)は底面図、(c)は側面図である。
【図3】図1における電源供給ユニットの説明図であり、(a)は主要部の構成図、(b)は全体構成を示す正面図、(c)は同じく側面図である。
【図4】本発明の第2実施形態を示す全体構成図である。
【図5】本発明の第3実施形態を示す全体構成図である。
【図6】本発明の第4実施形態を示す全体構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図に沿って本発明の実施形態を説明する。なお、以下の実施形態では充電負荷装置が電気自動車である場合について説明するが、本発明は、モバイル型パソコンや各種の携帯情報端末,携帯電話,携帯式音楽プレーヤー等の充電負荷装置を対象とした充電システムも包含する。
【0020】
まず、図1は本発明の第1実施形態を示す充電システムの全体構成図である。
図1において、10は充電負荷装置としての電気自動車であり、リチウムイオン電池等のバッテリー102と、このバッテリーに充電するための汎用プラグ部101が設けられている。ここで、汎用プラグ部101には、例えば交流100[V]仕様の汎用のプラグが用いられる。
電気自動車10には、交流電力を直流電力に変換するコンバータや充電制御回路等が搭載されているが、便宜上、これらの図示は省略してある。
【0021】
次に、20は接続変換ユニットであり、この接続変換ユニット20は、後述する電源供給ユニット30側の特殊コンセント部301に接続される特殊プラグ部201と、電気自動車10の汎用プラグ部101に接続される汎用コンセント部204とを備え、特殊コンセント部301から特殊プラグ部201を介して供給された電力を、汎用コンセント部204を介して電気自動車10の汎用プラグ部101に供給する機能を有している。
なお、特殊プラグ部201は汎用プラグ部101と異なる形状、構造に形成されており、汎用プラグ部101を用いて特殊コンセント部301に接続することはできない。つまり、接続変換ユニット20は、電気自動車10の汎用プラグ部101を特殊プラグ部201に変換して特殊コンセント部301に接続可能とする機能を有しており、これによって部外者による盗電の恐れを少なくしている。
ここで、汎用プラグ部101及び汎用コンセント部204は汎用接続部を構成し、特殊プラグ部201及び特殊コンセント部301は特殊接続部を構成している。
【0022】
また、接続変換ユニット20には、認証データ重畳部205が内蔵されている。この認証データ重畳部205は、本システムを用いてバッテリー102を充電する利用者の認証を行うための認証データを、特殊プラグ部201を介して電源ケーブル80に重畳させる通信機能を備えている。ここで、上記認証データは、電気自動車10を特定するIDでも良いし、電気自動車10の利用者個人を特定するIDでも良い。
更に、接続変換ユニット20には、特殊プラグ部201と汎用コンセント部204との間の電源ケーブル80に、充電電力を供給・遮断するスイッチ手段としてのパワーリレー202と、バッテリー102に対する充電電力量計測手段としての電力量メータ203とが接続されている。電力量メータ203により計測した電力量データは、利用者の自宅に設置されたネットワークコントローラや、PC(パソコン)、携帯電話等に無線送信しても良い。
【0023】
上記のように構成された接続変換ユニット20は、電気自動車10の利用者が個人で所有し、管理するものであり、図2に示すような小型のアダプタ構造とすることにより、例えば電気自動車10のトランク内に収納可能となっている。
【0024】
図1に戻って、電源供給ユニット30には、特殊プラグ部201に接続可能な前述の特殊コンセント部301が設けられていると共に、インテリジェントネットワークコントローラ(以下、単にネットワークコントローラともいう)302が設けられている。
このネットワークコントローラ302は、電源ケーブル80に重畳された接続変換ユニット20内の認証データを読み込み、後述する電力会社50のサーバ502に予め登録された利用者の認証データと照合して利用者認証を行う機能、自己のID(電源供給ユニット30のID)を通知する機能、前記パワーリレー202のオンオフ制御機能、上位ネットワークとの間の通信機能、情報セキュリティ機能等を備えている。
【0025】
なお、認証データ重畳部205とネットワークコントローラ302との間の認証データの送受信や、ネットワークコントローラ302とパワーリレー202との間の制御信号の送受信には、電源ケーブル80を用いた電力線搬送通信(PLC)技術を用いることができる。ここで、認証データや制御信号の送受信には、特定小電力無線やBluetooth(登録商標)等の無線通信技術を用いても良い。
【0026】
電源供給ユニット30は、例えば図3に示すようなスタンド形式とすることができる。同図(a)に示すごとく、電源供給ユニット30の前面のスペースに前記接続変換ユニット20を装着し、その特殊プラグ部201を図示されていない特殊コンセント部301に接続して使用する。電源供給ユニット30の形状、構造は、図3に限定されないのは勿論である。
【0027】
再び図1において、電源供給ユニット30内の電源ケーブル80は、スマートメータ90を介して電力会社50の電力供給部(配電設備)501に接続されている。上記スマートメータ90は、電力会社50から電源供給ユニット30に供給した総電力量を定期的に計測し、インターネット等のネットワーク40を介して電力会社50内のサーバ502に送信すると共に、サーバ502からネットワーク40経由でデータを受信して各種の設定動作を自動的に行う機能を備えている。
ネットワーク40には、電気自動車10に充電する利用者や電源供給ユニット30の管理者が保有するPC60や携帯電話70が接続され、これらとサーバ502との間でデータ(電子メール等を含む)を送受信可能である。
【0028】
サーバ502は、電源供給ユニット30を介して需要家(電気自動車10に充電する利用者、電源供給ユニット30の管理者)に供給される電力量を管理し、各需要家への課金及び課金通知を行う。また、これらの処理の前提として、各需要家の認証データも登録・管理している。
電気自動車10に供給される充電電力量は、接続変換ユニット20内の電力量メータ203によって計測され、その電力量データを利用者の認証データと関連付けてネットワークコントローラ302及びネットワーク40を介してサーバ502に送ることにより、サーバ502は電気自動車10の利用者による充電電力量を検出することができる。
また、電源供給ユニット30の管理者の使用電力量(例えば電源供給ユニット30に付属する照明負荷やネットワークコントローラ302自体の使用電力量)は、サーバ502において、スマートメータ90を介して検出した総電力量から上記電気自動車10への充電電力量を減算することにより、検出可能である。
サーバ502は、利用者による充電電力量と電源供給ユニット30の管理者の使用電力量とに応じてそれぞれ課金し、各自が保有するPC60や携帯電話70に対して課金通知を行う。
ここで、課金された電気料金の決済方法は、本発明の要旨とは直接関係ないため、説明を省略する。
【0029】
なお、図1では電源ケーブル80に対して1台の電源供給ユニット30(1個の特殊コンセント部301)、接続変換ユニット20及び電気自動車10が接続されているが、所定の広さを有する充電ステーションにおいて、電源ケーブル80に対して複数台の電源供給ユニット30(複数個の特殊コンセント部301)を並列に接続し、それぞれに接続変換ユニット20及び電気自動車10を接続可能に構成しても良い。このような場合でも、1台のネットワークコントローラ302を使用して複数台の接続変換ユニット20との間で認証データの送受信やパワーリレー202のオンオフ制御を行うことにより、システム全体の構成の簡略化、コストの低減が可能になる。
なお、上記の例では、充電ステーション全体の使用電力量を、スマートメータ90が計測してサーバ502に送信することになる。
【0030】
次に、この実施形態の動作を説明すると、まず、本システムを利用して電気自動車10に充電しようとする利用者は、電力会社50との間で本システムの利用契約を予め結んでおき、利用者の認証データ(電気自動車10または利用者個人を特定するID)及びPC60や携帯電話70の電子メールアドレスを電力会社50に届けると共に、その認証データを内蔵メモリに記憶させた接続変換ユニット20を用意(電力会社50から購入またはリース契約)しておく。
【0031】
実際の充電時には、電源供給ユニット30の設置場所へ電気自動車10を持ち込み、自己が保有する接続変換ユニット20を介して電気自動車10を電源供給ユニット30に接続する。
ネットワークコントローラ302は、接続変換ユニット20が接続されたことを適宜な手段により検出して利用者の認証処理を開始する。すなわち、接続変換ユニット20から認証データを読み出し、この認証データを電力会社50のサーバ502に登録された利用者の認証データと照合する。この際、ネットワークコントローラ302自身または電源供給ユニット30の認証データもサーバ502に送信して稼動状態の管理等に活用する。
【0032】
ネットワークコントローラ302が認証データを照合した結果、認証が成立した場合(当該利用者がサーバ502に登録された利用者であった場合)、パワーリレー202をオンして電源供給ユニット30から接続変換ユニット20を介し電気自動車10に電力を供給することにより、バッテリー102を充電する。
そして、充電が完了したら、ネットワークコントローラ302がパワーリレー202をオフし、電力量メータ203により計測した充電電力量を読み取ってネットワーク40を介しサーバ502に送信する。ここで、充電の完了は、例えばネットワークコントローラ302からバッテリー102の電圧を読み取ることで検出可能である。
その後の、サーバ502による課金処理等については、前述したとおりである。
【0033】
次に、図4は本発明の第2実施形態を示す充電システムの全体構成図であり、図1と同一の機能を有する構成要素には同一番号を付してある。
この実施形態は、第1実施形態における接続変換ユニット20内のパワーリレーを電源供給ユニット30内に接続替えしたものに相当する。すなわち、図4において、20Aは接続変換ユニット、30Aは、特殊コンセント部301とスマートメータ90との間に接続されたパワーリレー303を有する電源供給ユニットである。
【0034】
この実施形態における認証動作は第1実施形態と同様であるが、パワーリレー303による充電電力の供給・遮断を、電源供給ユニット30Aの内部にて行う。
この実施形態によれば、利用者が保有する接続変換ユニット20Aの構成が簡略化され、その小型軽量化、低コスト化が可能である。
【0035】
図5は本発明の第3実施形態を示す充電システムの全体構成図であり、図1,図4と同一の機能を有する構成要素には同一番号を付してある。
この実施形態は、第2実施形態における接続変換ユニット20A内の電力量メータを電源供給ユニット30B内に接続替えしたものに相当する。すなわち、図5において、20Bは接続変換ユニット、30Bは、特殊コンセント部301とパワーリレー303との間に接続された電力量メータ304を有する電源供給ユニットである。
この実施形態においては、接続変換ユニット20Bの機能を充電電力の入出力と認証データの重畳とに限定したため、第2実施形態よりも更に接続変換ユニット20Bの小型軽量化、低コスト化を図ることができる。
【0036】
次いで、図6は本発明の第4実施形態を示す充電システムの全体構成図であり、図1,図4,図5と同一の機能を有する構成要素には同一番号を付してある。
この実施形態は、利用者の認証を認証カードによって行うようにし、第1〜第3実施形態における認証機能付きの接続変換ユニット20,20A,20Bを不要にしたものである。
【0037】
図6において、電源供給ユニット30Cは、電気自動車10の汎用プラグ部101が接続される汎用コンセント部305と、電力量メータ304と、パワーリレー303と、ネットワークコントローラ302と、これに接続されたカードリーダ306とを備え、電力量メータ304及びパワーリレー303がネットワークコントローラ302に接続されている。カードリーダ306は、利用者が保有する認証カード307から利用者の認証データを読み取るためのもので、例えばRFID技術を用いている。
【0038】
この実施形態では、認証カード307から読み取った利用者の認証データとサーバ502に登録されている認証データとをネットワークコントローラ302が照合し、認証処理を行う。その後の動作は、基本的に第3実施形態と同一である。
この実施形態において、利用者は第1〜第3実施形態における接続変換ユニット20,20A,20Bの代わりに認証カード307を携帯していれば電気自動車10への充電が可能になり、利用者にとって極めて使い勝手の良い充電システムを構築することができる。
【符号の説明】
【0039】
10:電気自動車(充電負荷装置)
101:汎用プラグ部
102:バッテリー
20,20A,20B:接続変換ユニット
201:特殊プラグ部
202:パワーリレー
203:電力量メータ
204:汎用コンセント部
205:認証データ重畳部
30,30A,30B,30C:電源供給ユニット
301:特殊コンセント部
302:インテリジェントネットワークコントローラ
303:パワーリレー
304:電力量メータ
305:汎用コンセント部
306:カードリーダ
307:認証カード
40:ネットワーク
50:電力会社
501:電力供給部(配電設備)
502:サーバ
60:PC(パソコン)
70:携帯電話
80:電源ケーブル
90:スマートメータ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
バッテリーを駆動電源とし、かつ前記バッテリーに汎用接続部が接続された充電負荷装置と、
電力会社の電力供給部に接続された特殊接続部を有し、かつ、前記電力会社の課金処理用のサーバにネットワークを介して接続されたネットワークコントローラを有する電源供給ユニットと、
前記特殊接続部と前記汎用接続部との間に接続可能であり、かつ、電源ケーブルを介して前記電源供給ユニットから前記充電負荷装置に供給される充電電力量を計測する電力量計測手段、この充電電力を供給・遮断するためにオンオフ制御されるスイッチ手段、及び、前記充電負荷装置の利用者を認証するための認証データ、を有すると共に、前記利用者によって保有される接続変換ユニットと、を備え、
前記ネットワークコントローラは、前記接続変換ユニットが前記特殊接続部と前記汎用接続部との間に接続された状態で、前記接続変換ユニット内の認証データを前記サーバに登録されている認証データと照合して利用者の認証処理を行い、その認証成立時に、前記スイッチ手段を介して前記電源供給ユニットから前記充電負荷装置に充電電力を供給すると共に、前記電力量計測手段による充電電力量の計測値を前記サーバに送信し、
前記サーバは、前記ネットワークコントローラから受信した充電電力量の計測値に基づいて前記利用者に対する課金処理を実行することを特徴とする充電システム。
【請求項2】
バッテリーを駆動電源とし、かつ前記バッテリーに汎用接続部が接続された充電負荷装置と、
電力会社の電力供給部に接続され、かつ、電源ケーブルを介して前記電力供給部から前記充電負荷装置に供給される充電電力を供給・遮断するためにオンオフ制御されるスイッチ手段、このスイッチ手段に接続された特殊接続部、及び、前記電力会社の課金処理用のサーバにネットワークを介して接続されたネットワークコントローラを有する電源供給ユニットと、
前記特殊接続部と前記汎用接続部との間に接続可能であり、かつ、電源ケーブルを介して前記電源供給ユニットから前記充電負荷装置に供給される充電電力量を計測する電力量計測手段、及び、前記充電負荷装置の利用者を認証するための認証データ、を有すると共に、前記利用者によって保有される接続変換ユニットと、
を備え、
前記ネットワークコントローラは、前記接続変換ユニットが前記特殊接続部と前記汎用接続部との間に接続された状態で、前記接続変換ユニット内の認証データを前記サーバに登録されている認証データと照合して利用者の認証処理を行い、その認証成立時に、前記スイッチ手段を介して前記電源供給ユニットから前記充電負荷装置に充電電力を供給すると共に、前記電力量計測手段による充電電力量の計測値を前記サーバに送信し、
前記サーバは、前記ネットワークコントローラから受信した充電電力量の計測値に基づいて前記利用者に対する課金処理を実行することを特徴とする充電システム。
【請求項3】
バッテリーを駆動電源とし、かつ前記バッテリーに汎用接続部が接続された充電負荷装置と、
電力会社の電力供給部に接続され、かつ、電源ケーブルを介して前記電力供給部から前記充電負荷装置に供給される充電電力を供給・遮断するためにオンオフ制御されるスイッチ手段、前記電力供給部から前記充電負荷装置に供給される充電電力量を計測する電力量計測手段、この電力量計測手段に接続された特殊接続部、及び、前記電力会社の課金処理用のサーバにネットワークを介して接続されたネットワークコントローラを有する電源供給ユニットと、
前記特殊接続部と前記汎用接続部との間に接続可能であり、かつ、前記充電負荷装置の利用者を認証するための認証データを有すると共に、前記利用者によって保有される接続変換ユニットと、
を備え、
前記ネットワークコントローラは、前記接続変換ユニットが前記特殊接続部と前記汎用接続部との間に接続された状態で、前記接続変換ユニット内の認証データを前記サーバに登録されている認証データと照合して利用者の認証処理を行い、その認証成立時に、前記スイッチ手段を介して前記電源供給ユニットから前記充電負荷装置に充電電力を供給すると共に、前記電力量計測手段による充電電力量の計測値を前記サーバに送信し、
前記サーバは、前記ネットワークコントローラから受信した充電電力量の計測値に基づいて前記利用者に対する課金処理を実行することを特徴とする充電システム。
【請求項4】
バッテリーを駆動電源とし、かつ前記バッテリーに汎用接続部が接続された充電負荷装置と、
電力会社の電力供給部に接続され、かつ、電源ケーブルを介して前記電力供給部から前記充電負荷装置に供給される充電電力を供給・遮断するためにオンオフ制御されるスイッチ手段、前記電力供給部から前記充電負荷装置に供給される充電電力量を計測する電力量計測手段、この電力量計測手段に接続された汎用接続部、前記電力会社の課金処理用のサーバにネットワークを介して接続されたネットワークコントローラ、及び、前記利用者が保有する認証カードに記憶された前記利用者の認証データを読み取るためのカードリーダ、
を有する電源供給ユニットと、
を備え、
前記ネットワークコントローラは、前記充電負荷装置が前記電源供給ユニットの前記汎用接続部に接続された状態で、前記カードリーダにより読み取った前記利用者の認証データを前記サーバに登録されている認証データと照合して利用者の認証処理を行い、その認証成立時に、前記スイッチ手段を介して前記電源供給ユニットから前記充電負荷装置に充電電力を供給すると共に、前記電力量計測手段による充電電力量の計測値を前記サーバに送信し、
前記サーバは、前記ネットワークコントローラから受信した充電電力量の計測値に基づいて前記利用者に対する課金処理を実行することを特徴とする充電システム。
【請求項5】
請求項1〜4の何れか1項に記載した充電システムにおいて、
前記電力供給部から前記電源供給ユニットに供給した総電力量を計測して前記サーバに送信する手段を備え、
前記サーバは、前記総電力量から前記充電負荷装置の充電電力量を減算した値を前記電源供給ユニットにおける使用電力量として前記電源供給ユニットの管理者に対する課金処理を実行することを特徴とする充電システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−98798(P2012−98798A)
【公開日】平成24年5月24日(2012.5.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−244009(P2010−244009)
【出願日】平成22年10月29日(2010.10.29)
【出願人】(000220907)東光電気株式会社 (73)
【Fターム(参考)】