充電制御装置および電子時計
【課題】非接触充電の充電電流により2次側電源の電圧降下が生じる場合であっても、より迅速に制御部を動作させる。
【解決手段】1次電源部によって発生された磁界に応じて電磁誘導作用により電力を発生する2次電源部1と、発生された電力により充電される2次電池7−1と、発生された電力により充電され、予め定められた規定値まで充電される時間が2次電池7−1より小さいコンデンサ4−2と、コンデンサ4−2の電圧が規定値を超えたときに動作し、2次電源部1から2次電池7−1への給電経路を開閉して2次電池7−1の充電を制御する制御部6と、を備える。
【解決手段】1次電源部によって発生された磁界に応じて電磁誘導作用により電力を発生する2次電源部1と、発生された電力により充電される2次電池7−1と、発生された電力により充電され、予め定められた規定値まで充電される時間が2次電池7−1より小さいコンデンサ4−2と、コンデンサ4−2の電圧が規定値を超えたときに動作し、2次電源部1から2次電池7−1への給電経路を開閉して2次電池7−1の充電を制御する制御部6と、を備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、腕時計等の携帯機器に搭載される2次電池などの充電を制御する充電制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
2つのコイル(1次コイル、2次コイル)間の電磁誘導作用により、送電側から受電側へと非接触で電力を供給し、2次電池または電気二重層コンデンサ等の蓄電部に充電する非接触充電が知られている。コイルを利用した非接触充電は、接触式の充電に対して、製品の気密性や接触不良の低減などで利点がある。その反面、充電の効率や安定性では接触式に劣っている。
【0003】
例えば、非接触充電では、電力源に2次コイルを使用するが、2次コイルのDC抵抗等が電源の内部抵抗となるため、大きな電流を流した際の電源電圧の降下は避けられない。このような事情の対策として、特許文献1では、2次側の負荷変動に応じて1次側の送電能力を上げることで2次側の電源電圧の降下を防ぎ電圧または電流を一定化する技術が提案されている。また、特許文献2では、制御部によって給電経路を制御して充電する技術が提案されている。
【0004】
これらの技術は、筐体がプラスチック等であり、かつ、製品の待機電流に対して使用する2次電池または電気二重層コンデンサの容量が十分である携帯電話等の製品を想定している。筐体がプラスチック等であるため、磁束の鎖交によって発熱しにくい。また、2次電池等の容量が十分にあるため長期的に放置されても電池電圧が極端に低くなる可能性が低い。
【0005】
一方、上記技術は、例えば、腕時計のような製品には不向きである。その理由のひとつとして、腕時計の筐体が金属であることが挙げられる。そもそも1次コイルと2次コイルとの間に金属が挿入された場合、電力の送電効率は著しく低下する。また、2次側で発生する電圧降下を防ぐため必要とする電力を1次側の出力アップで無理に補おうとすれば、その電力の多くは筐体の金属部で熱に替わるため、発熱を促すこととなり非常に危険である。
【0006】
もうひとつの理由として、スペース的な制約から容量が十分大きな電池を搭載することができないことが挙げられる。電池の容量が十分でないため、例えば専用の電池保護ICを利用して、ある電圧以下で放電回路を切断するように構成したとしても、専用IC自体の消費電力や回路切断手段の漏れ、さらには電池自身の自己放電によって、長期的に放置された場合に電池電圧が極端に低くなることがありうる。少なくとも腕時計の動作を制御する制御部(制御回路)が動作できないほどに電池電圧が低下していることは十分にありえる。例えば、机の中に長期的に保存していたため機能が停止していた装置を充電するようなシーンは、腕時計では十分に考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2008−236880号公報
【特許文献2】特開2009−027781号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上述のように、金属である筐体の発熱の危険があるため、2次側の電圧確保のために1次側の出力を増加させることが困難である。したがって、非接触充電を採用した腕時計では、2次側電源の内部抵抗による電源電圧の降下が避けられない。そして、このため、長期的に放置され、制御回路の動作電圧を下回るほどに電池電圧が低くなった2次電池等を充電する場合、2次側電源で発生する電圧と電池電圧とがほぼ等しくなる程度に電圧が降下することがありうる。
【0009】
このような充電状態では、電圧が制御回路の動作電圧を下回っているため、充電器に乗せた瞬間に2次側の装置は起動しない。したがって、充電が進行し2次側電源での発生電圧が2次側回路の動作電圧の下限値を上回るまでは、例えば充電中であることをユーザーに報知する充電表示すら機能しない。このため、ユーザーが装置が故障したと勘違いする可能性がある。なお、このような状態の対策として給電経路にLED(Light Emitting Diode)を設ける方法があるが、充電の効率を落すばかりでなく、充電経緯に応じて表示を切り替える等の制御が行えず表示性能が制限される。
【0010】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、非接触充電の充電電流により2次側電源の電圧降下が生じる場合であっても、より迅速に制御部を動作させることができる充電制御装置および電子時計を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、1次電源部によって発生された磁界に応じて電磁誘導作用により電力を発生する2次電源部と、発生された前記電力により充電される第1蓄電部と、発生された前記電力により充電され、予め定められた規定値まで充電される時間が前記第1蓄電部より小さい第2蓄電部と、前記第2蓄電部の電圧が前記規定値を超えたときに動作し、前記2次電源部から前記第1蓄電部への第1給電経路を開閉して前記第1蓄電部の充電を制御する制御部と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、非接触充電の充電電流により2次側電源の電圧降下が生じる場合であっても、より迅速に制御部を動作させることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】図1は、本実施の形態にかかる充電システムの概略構成を示す模式図である。
【図2】図2は、本実施の形態の電子時計の構成の一例を示すブロック図である。
【図3】図3は、本実施の形態の電子時計の回路構成の一例を示す回路図である。
【図4】図4は、本実施の形態における充電制御処理の全体の流れを示すフローチャートである。
【図5】図5は、切替充電状態の電子時計を表す図である。
【図6】図6は、切替充電状態の電子時計を表す図である。
【図7】図7は、切替充電状態の電子時計を表す図である。
【図8】図8は、切替充電終了状態の電子時計を表す図である。
【図9】図9は、切替充電制御中の所定箇所での電圧の変化を表す図である。
【図10】図10は、図9で表す電圧を測定する箇所を示す図である。
【図11】図11は、過放電状態から充電したときの各種電圧の推移を表す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に添付図面を参照して、この発明にかかる充電制御装置および電子時計の好適な実施の形態を詳細に説明する。なお、以下では、充電制御装置を充電式腕時計(電子時計)に適用した実施形態を例示するが、非接触充電方式により充電した電池等により動作する装置であればあらゆる装置に適用できる。
【0015】
まず、電子時計および電子時計を充電する充電器を含む充電システムの構成例について、図1を参照して説明する。図1は、本実施の形態にかかる充電システムの概略構成を示す模式図である。この充電システムは、充電器200と、充電式の電子時計100とを備えている。充電器200は、1次電源部として機能する送電モジュール211と、電源プラグ212と、発振回路215と、電源回路216とを備えている。電子時計100は、受電モジュールとしての2次電源部1と、制御部6と、2次電池7−1とを備えている。
【0016】
充電システムは、電源プラグ212を家庭用AC100Vのコンセント(図示せず)に装着し、電子時計100を充電器200の所定の装着位置にセットすることで、送電モジュール211から2次電源部1へ非接触給電によって電力を供給する。これにより、電子時計100内部の2次電池7−1が充電される。
【0017】
充電器200の送電モジュール211は、例えば、マンガン−亜鉛の混合材質などからなる円柱状の磁性体コア213と、この磁性体コア213の周囲に巻回された1次コイル214とを有している。1次コイル214の両端は、発振回路215に接続されている。発振回路215は、家庭用AC100Vを所望の電圧に変換する電源回路216に接続されている。発振回路215は、電源プラグ212が家庭用AC100Vのコンセントに装着されると、1次コイル214に交流電流を流す。1次コイル214に交流電流が通電されると、この交流電流に応じて1次コイル214が巻回中心軸に沿った方向の交番磁界を発生する。このとき、1次コイル214の巻回中心に磁性体コア213が配置されているので、コイル外周側を回り込んで短絡する磁束が低減され、1次コイル214から発生する交番磁界は、電子時計100側へと効率よく伝播する。
【0018】
一方、電子時計100に内蔵される2次電源部1は、2次コイル1aと、磁性体コア1bとを備えている。2次コイル1aは、電子時計100が充電器200の所定の装着位置にセットされたときに充電器200の1次コイル214に対して所定の空隙を介して対向するように設けられる。磁性体コア1bは、この2次コイル1aの1次コイル214に対する対向面とは逆側の面上に配設される。磁性体コア1bは、マンガン−亜鉛の混合材質などで構成される。
【0019】
具体的には、2次コイル1aは、例えば円形渦巻コイルとして構成される。また、磁性体コア1bは、例えば2次コイル1aと同心円状に配置された円環状コアとして構成される。これら2次コイル1aと磁性体コア1bとが一体となってボビン(図1では省略)に支持されている。
【0020】
電子時計100が充電器200の所定の装着位置にセットされ、1次コイル214から交番磁界が発生されると、2次コイル1aには電磁誘導作用により1次コイル214からの交番磁界の磁束を打ち消す方向での交流電流が誘起される。なお、2次コイル1aの1次コイル214に対する対向面とは逆側の面上に磁性体コア1bが配置されている。このため、1次コイル214から発生する交番磁界の磁束は磁性体コア1bにより吸引され、漏れ磁束が低減される。これにより、1次コイル214から発生する交番磁界が効率よく2次コイル1aの交流電流に変換される。2次コイル1aの両端は制御部6に接続されており、2次コイル1aを流れる交流電流は制御部6に供給される。制御部6の機能の詳細は後述する。
【0021】
なお、図1の構成は一例であり、1次コイルと2次コイルとの間の電磁誘導作用により非接触で電力を供給して充電可能な構成であれば従来から用いられているあらゆる構成を適用できる。
【0022】
次に、本実施の形態の電子時計100の構成の概要について図2を用いて説明する。図2は、本実施の形態の電子時計100の構成の一例を示すブロック図である。図2に示すように、電子時計100は、上述の2次電源部1、制御部6および2次電池7−1の他、主な構成として、逆流防止素子4−1と、コンデンサ4−2と、切替部7−2と、負荷部8−1と、切替部8−2と、を備えている。
【0023】
2次電源部1は、上述のように送電モジュール211により発生された磁界に応じて電磁誘導作用により電力を発生する。制御部6は、2次電池7−1の充電、および、負荷部8−1の動作を制御する。2次電池7−1は、発生された電力により制御部6による制御に応じて充電される蓄電部(第1蓄電部)である。第1蓄電部は、電気二重層コンデンサにより構成してもよい。
【0024】
逆流防止素子4−1は、コンデンサ4−2に蓄えられた電荷が2次電池7−1に流れ込まないように防止する素子である。逆流防止素子4−1は、他の構成部品の選択のしやすさから電圧降下の小さいショットキーダイオードが好ましい。選定の際には漏れ電流の小さく温度変化の影響が少ないものがより好ましいが、特性やコストやサイズ等から妥当なものを選択する。
【0025】
コンデンサ4−2は、2次電源部1に接続され、2次電源部1で発生された電力により充電される蓄電部(第2蓄電部)である。このように、本実施の形態では、2次電池7−1の他に、2次電池7−1より充電時間が短い蓄電素子であるコンデンサ4−2を備えている。コンデンサ4−2は、充電が開始されると瞬時に電圧が上昇する。コンデンサ4−2を充電するために流れる電流はごく僅かであるため、2次電池7−1を充電するときのような2次電源部1の大きな電圧降下は発生しない。本実施の形態では、このように瞬間的に充電された蓄電部(コンデンサ4−2)の電圧によって制御部6が動作する。これにより、非接触充電の充電電流により2次電源部1の電圧降下が生じる場合であっても、より迅速に制御部6を動作させることができる。なお、第2蓄電部は、例えば制御部6が動作する動作電圧の下限値などの予め定められた規定値まで充電される充電時間が、少なくとも第1蓄電部(2次電池7−1)より小さければよい。上述のように瞬時に動作電圧まで充電可能となるため、コンデンサ4−2を第2蓄電部とすることが望ましい。
【0026】
切替部7−2は、2次電源部1から2次電池7−1への給電経路(第1給電経路)を開閉するための手段である。
【0027】
負荷部8−1は、2次電源部1により発生された電力で動作する。負荷部8−1は、2次電源部1の電力のみで動作させうるものであればよい。また、負荷部8−1は、2次電源部1の電圧降下を考慮し、例えば10mA未満の電流で十分動作可能な軽負荷のものを用いることが好ましい。負荷部8−1は、例えば充電状態を表示するLEDなどの表示部、および、ユーザーの操作に対する必要最小限のセンサー類などにより構成できる。この他、負荷部8−1としては、時刻を表示する針を運針する運針部、2次電源部1に発生する交流電力の周波数を検出するための周波数検出部、2次電源部1の共振周波数を電気的に調整するための周波数調整部、1次コイル214と2次コイル1aとの間の位置ずれを検出する位置検出部、および、充電器200(送電モジュール211)と電子時計100(2次電源部1)との間で非接触通信等により情報を通信する通信部などを適用できる。なお、図2では1つの負荷部のみを表示しているが、負荷部は1つに限定されるものではない。
【0028】
切替部8−2は、2次電源部1から負荷部8−1への給電経路(第2給電経路)を開閉するための手段である。
【0029】
後述するように、制御部6は、コンデンサ4−2の電圧および2次電池7−1の電圧等に応じて切替部7−2および切替部8−2の開閉を制御することにより、動作電圧を確保しながら2次電池7―1の充電および負荷部8−1の動作を制御する。以下では、このように切替部7−2および切替部8−2を切り替えながら充電を制御する処理を切替充電制御という。
【0030】
次に、図2のような機能を実現するための回路構成例について図3を用いて説明する。図3は、本実施の形態の電子時計100の回路構成の一例を示す回路図である。図3に示すように、電子時計100は、2次電源部1と、整流・平滑部2と、定電圧部3と、逆流防止素子4−1と、コンデンサ4−2と、リセット部5と、制御部6と、2次電池7−1と、切替部7−2と、負荷部8−1と、切替部8−2と、電池電圧検出部9と、充電検出部10と、電池保護部11と、を備えている。
【0031】
2次電源部1は、上述のように非接触充電を行う2次コイル1a等で構成される。整流・平滑部2は、2次コイル1aで発生した電力を整流および平滑化する。定電圧部3は、平滑化された電圧を定電圧化(例えば4.5V)する。定電圧部3は、例えばレギュレータICまたはツェナーダイオードで構成するのが好ましい。
【0032】
逆流防止素子4−1は、上述のようにショットキーダイオードなどにより構成する。コンデンサ4−2は、上述のように2次電源部1で発生された電力により充電される蓄電部(第2蓄電部)である。
【0033】
ここでショットキーダイオードおよび制御部6を近似的に抵抗とみなすと、コンデンサ4−2とのCRカーブを簡易的に計算することができる。例えばショットキーダイオードの順方向電流に対する等価抵抗をR1、逆方向電流に対する等価抵抗をR2、制御部6の等価抵抗をR3、コンデンサの静電容量をCとすれば、充電時および放電時のCRカーブの時定数は、それぞれ以下の(1)式および(2)式で表される。
τ=(R1+R3)/R1*R3*C ・・・(1)
τ=(R1+R2)/R1*R2*C ・・・(2)
【0034】
両者は同じ形の式となるが、R1>R2であるので、放電よりも充電のほうが速く行われることになる。このため、コンデンサ4−2への充電時間は2次電池7−1または負荷部8−1への給電時間よりも短くすることができる。
【0035】
リセット部5は、制御部6の動作をリセットするものである。リセット部5は、コンプリメンタリ出力の電圧検出ICで構成するのが好ましい。このような電圧検出ICにより構成されたリセット部5は、コンデンサ4−2の電圧が所定の閾値(第3閾値)となる制御部リセット電圧(例えば2.4V)以下になったときに、直ちに後段の電圧をLレベルに落す。電圧検出ICのON→OFFおよびOFF→ON能力は、制御部6のCPU6−4に選定する部品のパワーオンリセットの条件を十分に満たせるだけの能力を持つものを選定すべきである。また、この能力をことさら妨げるような大容量のコンデンサは、リセット部5以降には配置しないことが好ましい。
【0036】
リセット部5は、コンデンサ4−2の電圧が制御部リセット電圧を下回った場合、それ以降の構成部の電圧を直ちにLレベルに落とし、コンデンサ4−2の電圧が所定のリセット解除電圧(=制御部リセット電圧+ヒステリシス幅)を上回った場合、それ以降の構成部の電圧を直ちにHレベルに設定するように構成する。
【0037】
制御部6は、電圧レギュレータIC6−1と、外付けコンデンサ6−2および6−3と、CPU6−4と、抵抗6−5〜6−7とを備えている。
【0038】
電圧レギュレータIC6−1は、一定の電圧(例えば1.6V)を生成する。電圧レギュレータIC6−1は、CPU6−4の動作電圧に合わせて選定すればよい。外付けコンデンサ6−2および6−3は、上述のようにリセット部5の能力を妨げる大容量のコンデンサは避ける。
【0039】
リセット部5によって電圧がLレベルとなった際、CPU6−4の出力信号はLとなる。このため、基本的にCPU6−4のすべての出力信号はアクティブHとなるように設定する。アクティブLとするとリセット状態に入っている間、常時機能がONすることになり、制御ができなくなるためである。ただし、それを見込んだ上で構成する分には問題ない。
【0040】
また、電圧レギュレータIC6−1により定電圧化しているため、入力信号は電圧変換が必要になる。これらの入力は、構成の容易さから、プルアップ抵抗により通常時にはH入力となり、信号がある場合にはL入力となる構成がよい。ただし、この信号の入力時には、プルアップ抵抗に流れる電流もコンデンサ4−2の電荷を消費する要素となる。このため、プルアップ抵抗は条件の許す限りに高めの抵抗値に設定するのが好ましい。ただし、必要以上に大きくすると弊害が発生する場合があるので、許容範囲内で設定する。また、CPU6−4は、処理速度によって消費電流が変わるため、低速で処理できるようにプログラムを組むのが好ましい。
【0041】
2次電池7−1は、図3に示すように、例えばリチウムイオン電池により構成することができる。図3では、切替部7−2としてNchMOSFETを配置している。切替部7−2は、トランジスタで構成してもよい。ただし、トランジスタの場合、ベース電流分がコンデンサ4−2の消費要素となるため、MOSFETで構成するのが好ましい。このMOSFET(切替部7−2)は、電池保護部11(後述)の充電制御用MOSFETの機能を兼ねる。
【0042】
負荷部8−1は、上述のように2次電源部1により発生された電力で動作する。切替部8−2は、切替充電制御中では、2次電源部1から負荷部8−1への給電経路(第2給電経路)を切り替える手段として機能する。また、切替部8−2は、負荷部8−1を制御するための駆動回路として機能する。
【0043】
電池電圧検出部9は、2次電池7−1の電圧(電池電圧)を検出する。電池電圧検出部9は、外付けのA/D(アナログ/デジタル)素子や電圧検出ICで構成するのが好ましい。特に安価であり消費電流の小さいことから、電池電圧検出部9を電圧検出ICで構成するのが好ましい。
【0044】
電池電圧検出部9は、切替充電制御を解除するための閾値(第2閾値)となる電圧(切替充電解除電圧)として定められた検出値に達したか否かを検出する。ただし、実際の製品では、他の目的で複数の検出値を持つ必要が生じる場合がある。電池電圧検出部9を電圧検出ICのみで構成しようとすると、検出できる電圧(検出値)を1つしか設定できない。このため、分圧比の異なる分圧抵抗を複数備えることにより検出できる電圧を増やすなどの工夫が必要となる。また、CPU6−4とは電圧が異なることから、電池電圧検出部9の出力は、Nchオープンドレインのもので構成する必要がある。
【0045】
なお、電池電圧検出部9に関しては、以下の2点に注意が必要となる。
【0046】
第1の注意点は、電池電圧が極端に低い場合には、電池電圧検出部9が機能しないことが考えられる点である。例えば、電池電圧検出部9を電圧検出ICで構成する場合には、電圧検出ICが1.0V付近まで動作できず出力が不定となる。この問題は、例えば、CPU6−4にA/D端子が内蔵されていれば解決できる。しかし、A/D端子を備えるCPU6−4が必須とすると部品選定の制約のため利便性が損なわれる。そこで、本実施の形態では、以下のようにしてこの問題を解決する。
【0047】
ここで、この問題の詳細についてさらに説明する。まず、電圧検出ICの動作電圧を下回るようなレベルから充電された場合、コンデンサ4−2への充電の後、制御部6が起動される。制御部6のCPU6−4のプログラムは、初期状態から動き出す。このときに充電が検出されれば、その充電は一義的に過放電状態からの充電であると解釈できるため、制御部6は、直ちに切替充電制御を始める。一方、制御部6は、電池電圧を確認しつつ充電を行い、電池電圧が切替充電解除電圧に達した場合は直ちに切替充電制御を終了し、2次電池7−1への給電経路を接続状態に固定することが望ましい。ところが、制御部6は、電池電圧が1.0Vを下回るような状態から起動されたのか、または、切替充電解除電圧をわずかに下回る状態から起動されたのかを判断できない。したがって、例えば後者のような状態から起動され、電池電圧が短時間で切替充電解除電圧に達したときに直ちに切替充電制御を停止するためには、制御部6は、起動直後から電池電圧を検出する必要がある。
【0048】
一方、上述のように、電池電圧が極端に低い状態(前者の状態)では、電池電圧検出部9が機能しない可能性がある。このように正常に機能しないリスクのある時点で電池電圧を検出することは好ましくない。誤検出によって切替充電制御を解除すると、リセット部5による制御部6のリセットが働き、切替充電制御およびリセットの繰り返しとなり効率が悪いためである。また、プログラムの起動から電圧検出までに少なくとも1回は負荷部8−1を機能させる処理が含まれていないと、結果的に何も制御されていない状態のまま充電されることになるためである。
【0049】
そこで、この問題の回避策として、本実施の形態では、初期状態から切替充電制御を行った場合は少なくとも電池電圧検出部9が動作可能となる電圧に達するまでの時間(検出不可時間)は電池電圧を検出しない、または、電池電圧を検出したとしても検出結果を制御に反映しないように構成する。
【0050】
例えば、電池電圧検出部9を電圧検出ICにより構成する場合は、電圧検出ICが正常に動作可能な電圧(例えば1.0V)まで充電される時間が確保されればよい。例えば、2次電源部1の充電能力に応じた適切な検出不可時間を予めCPU6−4に与えておき、CPU6−4が、検出不可時間の経過後に電池電圧を検出するように構成すればよい。
【0051】
なお、図3の構成では、放電制御用MOSFET11−2(詳細は後述)が閉じているため寄生ダイオードによる電圧降下が存在する。このため、電池電圧検出部9にかかる電圧は見かけ上、寄生ダイオードの電圧降下分だけ電池電圧より高くなる。例えば電圧降下の値が約0.6V程度であるとすれば、実際には電池電圧が0.4Vまで充電されれば電池電圧検出部9が機能できるようになる。
【0052】
これにより、電池電圧が1.0Vを下回るような状態からの起動、および、切替充電解除電圧をわずかに下回る状態からの起動のいずれであっても、制御部6はリスクなく制御することができる。
【0053】
仮に検出不可時間内での検出の制限が何らかの理由で達成できず、誤判定によって切替充電制御を解除した場合であっても、リセット部5により制御部6のリセットが働き、再度、切替充電制御が行われるため問題は生じない。
【0054】
なお、2次電池7−1としてリチウムイオン電池を使用する場合、0V付近からの再充電が禁止されている場合がある。このような場合には、0V付近からの再充電を禁止する手段を備えればよい。多くの場合、リチウムイオン電池に対応する保護ICに0Vからの充電を禁止する仕様のものが存在するので、その保護ICを電池保護部11に備えるように構成すればよい。電池電圧検出部9の動作可能電圧が高い場合や、2次電池7−1が0Vからの充電も可能であるような場合には、上述した制御が必要となる。
【0055】
第2の注意点は、放電制御用MOSFET11−2の電圧降下により、電池電圧の検出結果に誤差が含まれることである。上述のように、放電制御用MOSFET11−2が閉じている間、充電電流はこの放電制御用MOSFET11−2の寄生ダイオードを流れる。このため、この寄生ダイオードによる電圧降下の分、回路の電圧は実際の電池電圧より高くみえる。
【0056】
そこで、これによる誤作動が発生しないようにするため、保護IC11−1(詳細は後述)の過放電解除電圧より適当な値だけ、切替充電解除電圧を高い値にする必要がある。例えば、過放電解除電圧が2.7Vである保護IC11−1を利用する場合、寄生ダイオードの電圧降下分と充電によるリプルの影響分を含めて、切替充電解除電圧を3.5Vに設定する。
【0057】
充電検出部10は、2次電源部1から電力が供給されているか否かによって充電の有無(充電の開始および終了)を検出する。充電検出部10は、電圧変換用のMOSFET10−1と、検出用の抵抗10−2と、逆流防止のダイオード10−3とを備えている。
【0058】
なお、本来制御部6は、充電器200に乗せられて起動開始した場合には充電器200を検出することなく、直ちに切替充電制御を開始するように構成すればよい。制御部6がOFF状態から起動するのは充電器200に接続されている以外になく、敢えて検出する必要がないためである。しかし、検査工程での利便性等を考慮すると、起動時に充電器200の有無を検出するように構成することが好ましい。制御部6の起動後に強制的に切替充電制御を実行すると、検査工程でさまざまな動作モードを試験できない場合が生じうる。このため、制御部6が、起動時に充電を検出し、充電が検出されれば切替充電制御に移行し、充電が検出されなければ工程検査中であると判断するように構成する。
【0059】
なお、このように構成するためには、制御部6が立ち上がり入力信号を読みに行くまでに、充電検出信号が出力されている必要がある。また、実際には充電されているのに、充電検出部10が充電されていることを検出できないような状態は避けなければならない。
【0060】
このため、充電検出部10の抵抗10−2の値を高めに設定して検出感度を上げ、MOSFET10−1ですばやく信号をCPU6−4におくる構成にしておくのが好ましい。ただし抵抗10−2の値が過大となると、ノイズによる誤作動を起こす可能性や、充電電流によってはMOSFET10−1の入力定格を超える可能性がある。このため、実際の条件を考慮して抵抗10−2の値を設定する必要がある。
【0061】
電池保護部11は、2次電池7−1を保護する回路である。図3では、2次電池7−1としてリチウムイオン電池を想定し、電池保護部11に保護IC11−1を設けている。この他、電池保護部11は、放電制御用MOSFET11−2と、電圧検出端子の保護抵抗11−3と、充電制御用MOSFETの制御出力信号をCPU6−4に伝えるための接続回路11−4および11−5と、抵抗11−6と、コンデンサ11−7と、を備えている。
【0062】
接続回路11−4および11−5は、リチウムイオン電池の過充電保護を行う必要があるため備えられている。すなわち、接続回路11−4および11−5は、保護IC11−1による過充電検出をCPU6−4が検知し、充電制御用のMOSFETである切替部7−2をOFFする制御が必要となるために設けてある。なお、図3は接続の一例であり、同様の機能を満たせばどのような構成でも良い。
【0063】
切替部7−2は、上述のように、切替充電制御時の給電経路を切り替える機能と、充電制御用MOSFETの機能とを兼ねている。通常、充電制御用MOSFETは、保護IC11−1の出力端子から制御される。しかし、そのような構成では過放電状態からの制御機能が達成できないため、本実施の形態では図3のように接続することにより、過放電状態からの制御機能を実現可能としている。
【0064】
また、保護抵抗11−3に接続された保護IC11−1の電圧検出端子は、2次電池7−1の負極に接続された端子との電圧差を監視し、電流の向きと大きさを検知している。図3の構成では、この電圧検出端子は、放電制御用MOSFET11−2と切替部7−2(充電制御用MOSFET)との間に接続されている。保護IC11−1の仕様に依存するが、保護IC11−1の電圧検出端子は、一般的には、充電制御用MOSFET(切替部7−2)のソース側に接続される。
【0065】
一方、本実施の形態では、後述するように、保護IC11−1の指示によらず頻繁に充電制御用MOSFET(切替部7−2)をON/OFFする。このような構成では、電子時計100が充電器200から下ろされており、かつ、切替部7−2を開いた場合には、切替部7−2の寄生ダイオードの電圧降下分の電圧が電圧検出素子と2次電池7−1の負極との間に発生する。このため、過大な電流が流れたと誤判断する場合がある。そして、例えば電池電圧が放電制御用MOSFET11−2をONするレベルにまで達していた場合には、保護IC11−1が直ちに放電制御用MOSFET11−2をOFFするため、再び停止状態に戻るおそれがある。
【0066】
この状態は、切替充電制御中に充電器200から下ろされるシーンに相当する。このような場合、再び充電器200にのせれば機能は回復するものの、好ましい制御ではない。そこで、本実施の形態では、この現象を回避するため、保護IC11−1の電圧検出端子の接続位置を変更している。この構成であれば、保護IC11−1の電圧検出端子と2次電池7−1の負極との間の電圧差は、充電制御用MOSFET(切替部7−2)のON/OFFによらない。このような接続形態は、通常の保護IC11−1の使用法からは外れるが、本実施の形態の制御方法の範囲で不都合なく動作する。
【0067】
次に、このように構成された本実施の形態にかかる電子時計100による充電制御処理について図4〜図10を用いて説明する。図4は、本実施の形態における充電制御処理の全体の流れを示すフローチャートである。図5〜図7は、切替充電状態の電子時計100を表す図である。図8は、切替充電終了状態の電子時計100を表す図である。図9は、切替充電制御中の所定箇所での電圧の変化を表す図である。図10は、図9で表す電圧を測定する箇所を示す図である。なお、切替充電状態とは、制御部6により切替充電制御が行われる状態をいう。また、切替充電終了状態とは、制御部6による切替充電制御が終了された状態をいう。
【0068】
ここで、本実施の形態は、2次電池7−1の電池電圧が制御部6の動作電圧の下限値を下回るレベルまで放電された製品を充電する場面で利用される。以下では、2次電池7−1が制御部6の動作電圧の下限値を下回るまで放電した状態を過放電状態という。また、過放電状態の2次電池7−1が組み込まれた電子時計100の状態を初期状態という。なお、上述の図2は、初期状態の電子時計100を表している。
【0069】
初期状態の電子時計100は、いかなる機能も発揮できない状態にある(ステップS11)。このような状態の電子時計100を充電器200に乗せた場合(ステップS12)、乗せた直後の電子時計100の状態は初期状態となる(ステップS13)。図2に示すように給電経路はコンデンサ4−2のみに接続されているため、この後、直ちにコンデンサ4−2への充電が開始される。コンデンサ4−2は瞬時に電圧が上昇し、瞬時に充電される。このように瞬間的に充電されたコンデンサ4−2の電圧が動作電圧の下限値に達した場合に制御部6が起動し、2次電池7−1の電池電圧によらず直ちに切替充電制御を行う状態である切替充電状態に移行する(ステップS14)。
【0070】
以下、切替充電状態(図4のステップS14)に含まれる各状態の詳細について、主に図5〜図7を用いて説明する。
【0071】
図5〜図7は、切替充電状態の電子時計100を表している。切替充電状態には、制御の経過に応じて、さらに複数の状態が含まれる。すなわち、2次電池7−1の給電経路を切り替える切替部7−2の開閉状態、および、負荷部8−1の給電経路を切り替える切替部8−2の開閉状態の組合せに応じて、複数の状態が存在しうる。なお、以下では説明の便宜のため、2次電池7−1と1つの負荷部8−1とで構成した例を説明する。負荷部8−1が2以上の場合も同様の方法で複数の状態を切り替える制御を実現できる。
【0072】
図5は、コンデンサ4−2を充電する状態(以下、状態Aという。)を表している。図5は、切替部7−2および切替部8−2が開いている点については初期状態を表す図2と同じであるが、充電器200に乗せられたことによりコンデンサ4−2への充電が行われている点が異なる。
【0073】
なお、制御部6が、コンデンサ4−2の電圧が動作電圧の下限値に達した後、直ちに動作を開始するのではなく、コンデンサ4−2へ十分に充電が行われるまでの時間として予め定められた待機時間が経過後に動作を開始するように構成してもよい。また、コンデンサ4−2への印加電圧は、制御部6の動作電圧の下限値より十分に高いほうが好ましい。ただし、これらはコンデンサの容量と制御部6の消費電流等との兼ね合いで決まるため、待機時間や印加電圧が大きな数値であるほどよいというものではなく、一定時間だけ制御部6の動作が確保できる電荷がコンデンサ4−2に蓄積できればよい。
【0074】
ここで決まる待機時間が、次に述べる2次電池7−1および負荷部8−1への給電可能時間となるため、コンデンサ4−2の容量は給電対象となる負荷部8−1の種類等を考慮して決定する。ただし、1次側の送電モジュール211と2次電源部1との間の位置ずれなどによる電力の低下を考慮して、十分余裕を持った値にするほうが良い。状態Aの期間は図9の時間t1の範囲に相当する。
【0075】
図5の状態Aの後、図6の状態に遷移する。図6は、2次電池7−1を充電する状態(以下、状態Bという。)を表している。図6に示すように、制御部6は、2次電源部1から2次電池7−1への給電経路を閉じるように切替部7−2を制御し、2次電池7−1への充電を開始する。
【0076】
ここで、2次電池7−1への給電経路切替手段を接続すると、図4の2次電源部1の電圧は、充電電流によって2次電池7−1の電池電圧付近まで降下する。このため、制御部6は、2次電源部1の電圧が制御部6の動作電圧の下限値を下回ることを考慮しなければならない。すなわち、制御部6は、コンデンサ4−2に蓄えられた電圧が自身の消費電流によって動作電圧を下回るまでの期間、2次電池7−1への充電を行うように制御する。
【0077】
例えば、制御部6が、コンデンサ4−2の電圧を検出または算出し、コンデンサ4−2の電圧が予め定められた電圧の閾値(第1閾値)以上である期間、2次電池7−1への充電を行うように制御する。この場合、制御部6は、コンデンサ4−2の電圧が閾値より小さくなったときに、2次電源部1から2次電池7−1への給電経路を開くように切替部7−2を制御し、2次電池7−1への充電を停止する。また、制御部6が、2次電池7−1への充電を開始してから予め定められた時間(第1時間)が経過するまで2次電池7−1への充電を行うように構成してもよい。この時間が経過した後、制御部6は、2次電源部1から2次電池7−1への給電経路を開くように切替部7−2を制御し、2次電池7−1への充電を停止する。
【0078】
コンデンサ4−2の電圧は、A/D回路によって検知してもよいし、コンデンサ4−2の充電電圧からCRカーブで算出してもよい。例えば、A/D端子が内蔵されているCPU6−4を用いる場合は、このA/D端子を用いればよい。この場合、上述のように電圧誤検出を回避するための構成が必要なくなるメリットもあるが、CPU6−4の選定範囲は制限される。そこで、構成の簡易さやコスト面からCRカーブを用いてコンデンサ4−2の電圧を予測する構成が好ましい。
【0079】
この場合、算出の精度を上げるためにツェナーダイオードやレギュレータで定電圧化した電位をコンデンサ4−2に与えるのがより良い構成といえる。図3のように定電圧部3を用いればこれを実現できる。なお、2次電源部1の無負荷時電圧が、他の構成素子の耐電圧より高い場合には、定電圧部3のような手段で保護する必要がある。状態Bの期間は図9の時間t2の範囲に相当する。
【0080】
制御上、次は図5または図7に遷移する。2次電池7−1への充電期間中に低下したコンデンサ4−2への充電を行う場合は、図5に遷移する。コンデンサ4−2の電圧が制御部6を停止させない範囲であれば、図7に遷移しても良い。また、電力が確保でき動作可能である場合には図6と図7を兼ね合わせ、2次電池7−1および負荷部8−1の双方に同時に給電する状態(図示せず)に遷移してもよい。なお、図9では、典型例として一旦図5に戻りコンデンサ4−2を再充電する場合の電圧の変化例を表している。
【0081】
図5に戻りコンデンサ4−2を充電した後、図7の状態に遷移する。図7は、負荷部8−1を給電する状態(以下、状態Cという。)を表している。状態Cの場合も、2次電池7−1への充電時(状態B)と同様に、負荷部8−1へ流す電流によって2次電源部1の電圧降下が発生する。このため、制御部6は、コンデンサ4−2に蓄えられた電圧が動作電圧を下回るまでの期間、負荷部8−1への給電を行うように制御する。負荷部8−1に流す電流は、2次電源部1の発生電力を考慮して妥当な値を設定する。状態Cの期間は図4の時間t3の範囲に相当する。
【0082】
その後、制御部6は、図9に示すようにt1からt3の期間を交互に繰り返すように充電および負荷部8−1の動作を制御する。なお、制御の順序は、t1からt3の順序に限定する必要はない。例えばt3の期間を間歇駆動にして、その間にt1を挿入するような順序も可能である。また、t1とt2の組み合わせのみを繰り返し、所定期間(例えば数分間)に1回だけt3の期間を設けるように構成してもよい。
【0083】
このように制御する間、コンデンサ4−2は、2次電源部1、および、2次電池7−1と負荷部8−1とのいずれに給電するかによって定まる動作点電圧と、2次電源部1の無負荷時電圧(または無負荷時電圧を定電圧化した電圧)との間で充放電を繰り返すことになる。2次電池7−1の電圧が高くなるにつれてコンデンサ4−2を充電するのに要する時間t1が少なくなるため、相対的に2次電池7−1への給電時間t2を延ばすことができる。
【0084】
このような制御は、コンデンサ4−2の電圧が制御部6の動作電圧を下回らない範囲で2次電池7−1の充電とコンデンサ4−2の充電とのDuty比の調整や、制御時間幅の変更など様々に工夫することが可能である。
【0085】
図4に戻り、リセット部5は、切替充電制御中にコンデンサ4−2の電圧が制御部6の動作電圧より小さいか否かを判定する(ステップS15)。コンデンサ4−2の電圧が動作電圧より小さい場合(ステップS15:Yes)、リセット部5は、制御部6の動作をリセットする(回路リセット)。
【0086】
上述のように、制御部6は、コンデンサ4−2の電圧が動作電圧を下回らないように充電を制御する。しかし、何らかの理由で、コンデンサ4−2の電圧が制御部6の動作電圧を下回る場合がありうる。そこで、このような場合に、リセット部5が回路全体をリセットし、回路の接続を初期状態に戻している(ステップS13)。
【0087】
回路リセットは、上述のように、制御部6の電圧が所定の値(制御部リセット電圧)以下になったときにCPU6−4の電位をLレベルに固定するリセット部5を備えること、および、負荷部8−1の給電経路を切り替える切替部8−2をNchMOSFETまたはトランジスタで構成することで達成できる。
【0088】
このような構成により、(1)制御部6の起動、(2)切替充電制御、(3)偶発的な電圧低下、(4)制御部6の電圧が低下し制御部リセット電圧を下回る、(5)リセット部5が制御部6の電圧をLレベルに設定、(6)制御部6の出力信号レベル=Lレベル、(7)NchMOSFETまたはトランジスタのOFF、(8)負荷部8−1への給電停止、(9)コンデンサ4−2への充電開始、(10)制御部6の起動(=上記(1))、・・・、というループが発生する。すなわち、仮に切替充電制御中にコンデンサ4−2の電圧が制御部6の動作電圧を下回ったとしても、再び制御部6を動作させることができるため、信頼性の高い制御回路を構成することができる。
【0089】
なお、少なくともこのような構成を備えていれば、制御部6が、コンデンサ4−2の電圧が動作電圧を下回る時間の範囲内となるように切替部7−2および切替部8−2を制御する必要はない。しかし、回路リセットによる方法のみでは、CPU6−4が再起動するための時間ロス、および、その間の非制御状態が生じうる。このため、本実施の形態では、コンデンサ4−2の電圧が制御部6の動作電圧を下回らない時間で負荷部8−1に給電するように構成している。
【0090】
ステップS15でコンデンサ4−2の電圧が動作電圧以上の場合(ステップS15:No)、制御部6は、2次電池7−1の電圧(電池電圧)が切替充電解除電圧以上であるか否かを判断する(ステップS16)。電池電圧が切替充電解除電圧以上でない場合(ステップS16:No)、制御部6は、切替充電制御を継続する(ステップS14)。
【0091】
電池電圧が切替充電解除電圧以上の場合(ステップS16:Yes)、制御部6は切替充電制御を終了し、切替充電終了状態に遷移する(ステップS17)。切替充電終了状態で充電ありの場合(電子時計100が充電器200に乗せられている場合)は、2次電池7−1への充電が継続される(ステップS18)。
【0092】
図8は、切替充電終了状態の電子時計100を表している。電池電圧が切替充電解除電圧以上となった後であれば、2次電源部1から2次電池7−1への給電経路を切り替える必要はない。切替充電解除電圧は、制御部6の動作電圧範囲の下限値以上に設定すればよい。なお、切替充電解除電圧は、制御部6を構成する部品に応じて設定する必要がある。例えば、制御部6がCPU6−4のみで構成される場合は、CPU6−4の動作範囲の下限値を切替充電解除電圧として設定すればよい。また、制御部6の電圧が所定の電圧(制御部リセット電圧)以下になったときにCPU6−4の電位をLレベルに固定するリセット部5を構成に持つ場合、切替充電解除電圧はリセット部5のHレベル復帰電圧以上でなければならない。また、保護IC11−1を備える場合、切替充電解除電圧は放電制御用MOSFET11−2がONする電圧以上でなければならない。2次電池7−1がリチウムイオン電池である場合は、保護IC11−1を備える構成がより好ましい。
【0093】
ただし、保護IC11−1を利用する場合、放電制御用MOSFET11−2が開いている期間は、検出した電圧値に放電制御用MOSFET11−2の寄生ダイオードの電圧降下分が付加されるため、この値を考慮して切替充電解除電圧を設定しなくてはならない。
【0094】
なお、切替充電制御は、充電検出部10により2次電源部1から電力が供給されていないことが検出されたときにも終了する。例えば、充電器200の電源プラグ212がコンセントから抜かれた場合、充電器200から電子時計100が取り外された場合、および、充電器200から電子時計100が偶発的に落下した場合などが該当しうる。
【0095】
図4では、ステップS21が、このようにして切替充電状態から切替充電終了状態に遷移する状況に該当する。充電器200から電子時計100が取り外される状況は、任意の状態で発生しうる。図4のステップS19およびステップS23は、それぞれ初期状態で取り外された場合、および、切替充電終了状態で取り外された場合に該当する。
【0096】
なお、図4では、説明の便宜上、充電の開始(2次電源部1からの電力供給の開始)および充電の終了(2次電源部1からの電力供給の終了)を、それぞれ充電器200にのせる、および、充電器200から下ろすと表現した。一般に非接触充電で用いる充電器200はシート型またはクレイドル型であり、その上に2次側製品(電子時計100)を乗せ下ろしすることで充電が可能になるためである。しかし、非接触充電の充電器200の形態によって、嵌める/はずす、接続/切断などが充電の開始/終了に該当する場合もある。
【0097】
初期状態の電子時計100が充電器200に乗せられていない場合(図4右の「充電なし」の場合)は、切替充電制御が実行されないため、切替充電終了状態に遷移する(ステップS24)。次に、制御部6は、2次電池7−1の電圧(電池電圧)が制御部6の動作電圧以上であるか否かを判断する(ステップS25)。電池電圧が動作電圧以上でない場合(ステップS25:No)、コンデンサ4−2の電圧が動作電圧以上の期間は切替充電終了状態を保持するが、その後は初期状態に戻る(ステップS11)。電池電圧が動作電圧以上の場合(ステップS25:Yes)、制御部6は、2次電池7−1を電源として動作を継続する(ステップS26)。
【0098】
なお、ステップS24およびステップS25の処理を実行する状態は、極めて短い時間の過渡状態として存在するが、実際には直ちに次の状態に移行する。
【0099】
ステップS24の切替充電終了状態で電子時計100が充電器200に乗せられた場合は(ステップS20)、切替充電状態に遷移する(ステップS14)。また、ステップS26の切替充電終了状態で電子時計100が充電器200に乗せられた場合は(ステップS22)、ステップS17の切替充電終了状態に遷移した後、2次電池7−1への充電が継続される(ステップS18)。
【0100】
図9は、切替充電制御中の電圧の変化を表している。図9の実線(V1)は、図10のように2次電源部1から供給される電圧に相当する。図9の破線(V2)は、図10のようにコンデンサ4−2から制御部6に供給される電圧に相当する。上述のように、図9の時間t1は、コンデンサ4−2が充電される状態Aを表すため、V2が上昇する。この後、制御部6は、状態Bに遷移し、V2が制御部6の動作電圧の下限値を下回らない時間だけ、2次電池7−1を充電する(時間t2)。
【0101】
図9では、この後、時間t1(状態A)および時間t2(状態B)を繰り返した後、負荷部8−1への給電(状態C、時間t3)を行う制御の例が示されている。
【0102】
制御部6は、可能な限り軽負荷の負荷部8−1を断続的に動作させることが好ましい。また、制御部6が駆動波形を細かくするとメリットが上がる場合がある。例えば、負荷部8−1であるLEDを1秒間点灯させる場合に、1秒間常に点灯させるとする。この場合、CPU6−4等の消費電流にも依存するが、LEDを1秒間点灯させるための電力を保持できる容量のコンデンサ4−2を用意する必要が生じる。
【0103】
そこで、制御部6が、例えば7msの点灯(コンデンサ4−2の電力消費)および3msの消灯(コンデンサ4−2への充電)の10ms周期の駆動波形で制御するように構成する。これにより、コンデンサの容量は、LEDを7ms点灯できるもので済む。この例では、7ms間の点灯が保持ができれば、理論的には何秒間でもLEDを点灯させ続けることができる。実際には間歇駆動であるが、周期が短いためLEDの光は点灯し続けているように見えるためである。
【0104】
点灯のDutyが7割となるので明るさは減少する。しかし、コンデンサの容量を小さくできること、点灯時間の拡大、および、コンデンサ4−2の電圧低下を抑制できることによる動作電圧のマージン確保の点でメリットを得られる。
【0105】
図11は、上述のような制御により過放電状態から充電したときの各種電圧の推移を表す図である。なお、図11の点線(電池電圧’)は、寄生ダイオードの電圧降下分だけ高い値として電池電圧検出部9で検出される電圧を表している。また、図11では、保護IC11−1が2.5V(過放電検出電圧)で放電制御用MOSFET11−2をOFFし、回路への電源供給を停止する例を示している。これにより制御部6は、リセット部5(2.4V検出)によってLレベルに落とされる。なお、図11で記載している設定電圧は一例である。
【0106】
(変形例)
青色LEDまたは白色LEDなどは、3.0V以上から電流が流れ始める特性を持つ。このため、電池電圧が制御部6を動作できるレベルにあったとしても、このようなLEDを点灯させるにはまだ電圧が低いという場合がありうる。そこで、このような負荷部8−1を動作させる場合に、2次電池7−1を回路から切断し2次電源部1の電力により直接負荷部8−1を動作させるように制御部6を構成してもよい。これにより、より高電圧で負荷部8−1の動作電流を確保することができる。
【0107】
以上のように、本実施の形態の充電制御装置では、製品を動作させるための電力を供給する蓄電部(2次電池、電気二重層コンデンサ等)より充電時間が小さい蓄電部(コンデンサ等)を用いることにより、非接触充電の充電電流により2次側電源の電圧降下が生じる場合であっても、より迅速に制御部を動作させることができる。
【0108】
このため、例えば、電子時計のように筐体に金属が含まれ、2次電池等の電圧が回路の動作電圧以下に低下している場合であっても、充電器に乗せた瞬間からCPU制御による充電表示が得られるようにすることができる。
【0109】
また、制御部が制御する負荷部としては、充電状態を表示する表示部(LED等)の他、電子時計の針を運針する運針部、共振周波数制御回路、位置ずれ検出回路、および、情報通信回路などを用いることもできる。これにより、搭載電池の電圧状態に関わらず、充電器に乗せた瞬間から、運針、共振周波数制御、位置ずれ検出制御、および、1次2次コイル間の情報通信を実行させることが可能となる。
【0110】
また、本実施の形態の充電制御装置を電子時計に備えることにより、筐体に金属を含む場合であっても効率よく充電することが可能となる。
【符号の説明】
【0111】
1 2次電源部
1a 2次コイル
1b 磁性体コア
2 整流・平滑部
3 定電圧部
4−1 逆流防止素子
4−2 コンデンサ
5 リセット部
6 制御部
6−1 電圧レギュレータIC
6−2、6−3 外付けコンデンサ
6−4 CPU
6−5〜6−7 抵抗
7−1 2次電池
7−2 切替部
8−1 負荷部
8−2 切替部
9 電池電圧検出部
10 充電検出部
10−1 MOSFET
10−2 抵抗
10−3 ダイオード
11 電池保護部
11−1 保護IC
11−2 放電制御用MOSFET
11−3 保護抵抗
11−4、11−5 接続回路
11−6 抵抗
11−7 コンデンサ
100 電子時計
200 充電器
211 送電モジュール
212 電源プラグ
213 磁性体コア
214 1次コイル
215 発振回路
216 電源回路
【技術分野】
【0001】
本発明は、腕時計等の携帯機器に搭載される2次電池などの充電を制御する充電制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
2つのコイル(1次コイル、2次コイル)間の電磁誘導作用により、送電側から受電側へと非接触で電力を供給し、2次電池または電気二重層コンデンサ等の蓄電部に充電する非接触充電が知られている。コイルを利用した非接触充電は、接触式の充電に対して、製品の気密性や接触不良の低減などで利点がある。その反面、充電の効率や安定性では接触式に劣っている。
【0003】
例えば、非接触充電では、電力源に2次コイルを使用するが、2次コイルのDC抵抗等が電源の内部抵抗となるため、大きな電流を流した際の電源電圧の降下は避けられない。このような事情の対策として、特許文献1では、2次側の負荷変動に応じて1次側の送電能力を上げることで2次側の電源電圧の降下を防ぎ電圧または電流を一定化する技術が提案されている。また、特許文献2では、制御部によって給電経路を制御して充電する技術が提案されている。
【0004】
これらの技術は、筐体がプラスチック等であり、かつ、製品の待機電流に対して使用する2次電池または電気二重層コンデンサの容量が十分である携帯電話等の製品を想定している。筐体がプラスチック等であるため、磁束の鎖交によって発熱しにくい。また、2次電池等の容量が十分にあるため長期的に放置されても電池電圧が極端に低くなる可能性が低い。
【0005】
一方、上記技術は、例えば、腕時計のような製品には不向きである。その理由のひとつとして、腕時計の筐体が金属であることが挙げられる。そもそも1次コイルと2次コイルとの間に金属が挿入された場合、電力の送電効率は著しく低下する。また、2次側で発生する電圧降下を防ぐため必要とする電力を1次側の出力アップで無理に補おうとすれば、その電力の多くは筐体の金属部で熱に替わるため、発熱を促すこととなり非常に危険である。
【0006】
もうひとつの理由として、スペース的な制約から容量が十分大きな電池を搭載することができないことが挙げられる。電池の容量が十分でないため、例えば専用の電池保護ICを利用して、ある電圧以下で放電回路を切断するように構成したとしても、専用IC自体の消費電力や回路切断手段の漏れ、さらには電池自身の自己放電によって、長期的に放置された場合に電池電圧が極端に低くなることがありうる。少なくとも腕時計の動作を制御する制御部(制御回路)が動作できないほどに電池電圧が低下していることは十分にありえる。例えば、机の中に長期的に保存していたため機能が停止していた装置を充電するようなシーンは、腕時計では十分に考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2008−236880号公報
【特許文献2】特開2009−027781号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上述のように、金属である筐体の発熱の危険があるため、2次側の電圧確保のために1次側の出力を増加させることが困難である。したがって、非接触充電を採用した腕時計では、2次側電源の内部抵抗による電源電圧の降下が避けられない。そして、このため、長期的に放置され、制御回路の動作電圧を下回るほどに電池電圧が低くなった2次電池等を充電する場合、2次側電源で発生する電圧と電池電圧とがほぼ等しくなる程度に電圧が降下することがありうる。
【0009】
このような充電状態では、電圧が制御回路の動作電圧を下回っているため、充電器に乗せた瞬間に2次側の装置は起動しない。したがって、充電が進行し2次側電源での発生電圧が2次側回路の動作電圧の下限値を上回るまでは、例えば充電中であることをユーザーに報知する充電表示すら機能しない。このため、ユーザーが装置が故障したと勘違いする可能性がある。なお、このような状態の対策として給電経路にLED(Light Emitting Diode)を設ける方法があるが、充電の効率を落すばかりでなく、充電経緯に応じて表示を切り替える等の制御が行えず表示性能が制限される。
【0010】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、非接触充電の充電電流により2次側電源の電圧降下が生じる場合であっても、より迅速に制御部を動作させることができる充電制御装置および電子時計を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、1次電源部によって発生された磁界に応じて電磁誘導作用により電力を発生する2次電源部と、発生された前記電力により充電される第1蓄電部と、発生された前記電力により充電され、予め定められた規定値まで充電される時間が前記第1蓄電部より小さい第2蓄電部と、前記第2蓄電部の電圧が前記規定値を超えたときに動作し、前記2次電源部から前記第1蓄電部への第1給電経路を開閉して前記第1蓄電部の充電を制御する制御部と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、非接触充電の充電電流により2次側電源の電圧降下が生じる場合であっても、より迅速に制御部を動作させることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】図1は、本実施の形態にかかる充電システムの概略構成を示す模式図である。
【図2】図2は、本実施の形態の電子時計の構成の一例を示すブロック図である。
【図3】図3は、本実施の形態の電子時計の回路構成の一例を示す回路図である。
【図4】図4は、本実施の形態における充電制御処理の全体の流れを示すフローチャートである。
【図5】図5は、切替充電状態の電子時計を表す図である。
【図6】図6は、切替充電状態の電子時計を表す図である。
【図7】図7は、切替充電状態の電子時計を表す図である。
【図8】図8は、切替充電終了状態の電子時計を表す図である。
【図9】図9は、切替充電制御中の所定箇所での電圧の変化を表す図である。
【図10】図10は、図9で表す電圧を測定する箇所を示す図である。
【図11】図11は、過放電状態から充電したときの各種電圧の推移を表す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に添付図面を参照して、この発明にかかる充電制御装置および電子時計の好適な実施の形態を詳細に説明する。なお、以下では、充電制御装置を充電式腕時計(電子時計)に適用した実施形態を例示するが、非接触充電方式により充電した電池等により動作する装置であればあらゆる装置に適用できる。
【0015】
まず、電子時計および電子時計を充電する充電器を含む充電システムの構成例について、図1を参照して説明する。図1は、本実施の形態にかかる充電システムの概略構成を示す模式図である。この充電システムは、充電器200と、充電式の電子時計100とを備えている。充電器200は、1次電源部として機能する送電モジュール211と、電源プラグ212と、発振回路215と、電源回路216とを備えている。電子時計100は、受電モジュールとしての2次電源部1と、制御部6と、2次電池7−1とを備えている。
【0016】
充電システムは、電源プラグ212を家庭用AC100Vのコンセント(図示せず)に装着し、電子時計100を充電器200の所定の装着位置にセットすることで、送電モジュール211から2次電源部1へ非接触給電によって電力を供給する。これにより、電子時計100内部の2次電池7−1が充電される。
【0017】
充電器200の送電モジュール211は、例えば、マンガン−亜鉛の混合材質などからなる円柱状の磁性体コア213と、この磁性体コア213の周囲に巻回された1次コイル214とを有している。1次コイル214の両端は、発振回路215に接続されている。発振回路215は、家庭用AC100Vを所望の電圧に変換する電源回路216に接続されている。発振回路215は、電源プラグ212が家庭用AC100Vのコンセントに装着されると、1次コイル214に交流電流を流す。1次コイル214に交流電流が通電されると、この交流電流に応じて1次コイル214が巻回中心軸に沿った方向の交番磁界を発生する。このとき、1次コイル214の巻回中心に磁性体コア213が配置されているので、コイル外周側を回り込んで短絡する磁束が低減され、1次コイル214から発生する交番磁界は、電子時計100側へと効率よく伝播する。
【0018】
一方、電子時計100に内蔵される2次電源部1は、2次コイル1aと、磁性体コア1bとを備えている。2次コイル1aは、電子時計100が充電器200の所定の装着位置にセットされたときに充電器200の1次コイル214に対して所定の空隙を介して対向するように設けられる。磁性体コア1bは、この2次コイル1aの1次コイル214に対する対向面とは逆側の面上に配設される。磁性体コア1bは、マンガン−亜鉛の混合材質などで構成される。
【0019】
具体的には、2次コイル1aは、例えば円形渦巻コイルとして構成される。また、磁性体コア1bは、例えば2次コイル1aと同心円状に配置された円環状コアとして構成される。これら2次コイル1aと磁性体コア1bとが一体となってボビン(図1では省略)に支持されている。
【0020】
電子時計100が充電器200の所定の装着位置にセットされ、1次コイル214から交番磁界が発生されると、2次コイル1aには電磁誘導作用により1次コイル214からの交番磁界の磁束を打ち消す方向での交流電流が誘起される。なお、2次コイル1aの1次コイル214に対する対向面とは逆側の面上に磁性体コア1bが配置されている。このため、1次コイル214から発生する交番磁界の磁束は磁性体コア1bにより吸引され、漏れ磁束が低減される。これにより、1次コイル214から発生する交番磁界が効率よく2次コイル1aの交流電流に変換される。2次コイル1aの両端は制御部6に接続されており、2次コイル1aを流れる交流電流は制御部6に供給される。制御部6の機能の詳細は後述する。
【0021】
なお、図1の構成は一例であり、1次コイルと2次コイルとの間の電磁誘導作用により非接触で電力を供給して充電可能な構成であれば従来から用いられているあらゆる構成を適用できる。
【0022】
次に、本実施の形態の電子時計100の構成の概要について図2を用いて説明する。図2は、本実施の形態の電子時計100の構成の一例を示すブロック図である。図2に示すように、電子時計100は、上述の2次電源部1、制御部6および2次電池7−1の他、主な構成として、逆流防止素子4−1と、コンデンサ4−2と、切替部7−2と、負荷部8−1と、切替部8−2と、を備えている。
【0023】
2次電源部1は、上述のように送電モジュール211により発生された磁界に応じて電磁誘導作用により電力を発生する。制御部6は、2次電池7−1の充電、および、負荷部8−1の動作を制御する。2次電池7−1は、発生された電力により制御部6による制御に応じて充電される蓄電部(第1蓄電部)である。第1蓄電部は、電気二重層コンデンサにより構成してもよい。
【0024】
逆流防止素子4−1は、コンデンサ4−2に蓄えられた電荷が2次電池7−1に流れ込まないように防止する素子である。逆流防止素子4−1は、他の構成部品の選択のしやすさから電圧降下の小さいショットキーダイオードが好ましい。選定の際には漏れ電流の小さく温度変化の影響が少ないものがより好ましいが、特性やコストやサイズ等から妥当なものを選択する。
【0025】
コンデンサ4−2は、2次電源部1に接続され、2次電源部1で発生された電力により充電される蓄電部(第2蓄電部)である。このように、本実施の形態では、2次電池7−1の他に、2次電池7−1より充電時間が短い蓄電素子であるコンデンサ4−2を備えている。コンデンサ4−2は、充電が開始されると瞬時に電圧が上昇する。コンデンサ4−2を充電するために流れる電流はごく僅かであるため、2次電池7−1を充電するときのような2次電源部1の大きな電圧降下は発生しない。本実施の形態では、このように瞬間的に充電された蓄電部(コンデンサ4−2)の電圧によって制御部6が動作する。これにより、非接触充電の充電電流により2次電源部1の電圧降下が生じる場合であっても、より迅速に制御部6を動作させることができる。なお、第2蓄電部は、例えば制御部6が動作する動作電圧の下限値などの予め定められた規定値まで充電される充電時間が、少なくとも第1蓄電部(2次電池7−1)より小さければよい。上述のように瞬時に動作電圧まで充電可能となるため、コンデンサ4−2を第2蓄電部とすることが望ましい。
【0026】
切替部7−2は、2次電源部1から2次電池7−1への給電経路(第1給電経路)を開閉するための手段である。
【0027】
負荷部8−1は、2次電源部1により発生された電力で動作する。負荷部8−1は、2次電源部1の電力のみで動作させうるものであればよい。また、負荷部8−1は、2次電源部1の電圧降下を考慮し、例えば10mA未満の電流で十分動作可能な軽負荷のものを用いることが好ましい。負荷部8−1は、例えば充電状態を表示するLEDなどの表示部、および、ユーザーの操作に対する必要最小限のセンサー類などにより構成できる。この他、負荷部8−1としては、時刻を表示する針を運針する運針部、2次電源部1に発生する交流電力の周波数を検出するための周波数検出部、2次電源部1の共振周波数を電気的に調整するための周波数調整部、1次コイル214と2次コイル1aとの間の位置ずれを検出する位置検出部、および、充電器200(送電モジュール211)と電子時計100(2次電源部1)との間で非接触通信等により情報を通信する通信部などを適用できる。なお、図2では1つの負荷部のみを表示しているが、負荷部は1つに限定されるものではない。
【0028】
切替部8−2は、2次電源部1から負荷部8−1への給電経路(第2給電経路)を開閉するための手段である。
【0029】
後述するように、制御部6は、コンデンサ4−2の電圧および2次電池7−1の電圧等に応じて切替部7−2および切替部8−2の開閉を制御することにより、動作電圧を確保しながら2次電池7―1の充電および負荷部8−1の動作を制御する。以下では、このように切替部7−2および切替部8−2を切り替えながら充電を制御する処理を切替充電制御という。
【0030】
次に、図2のような機能を実現するための回路構成例について図3を用いて説明する。図3は、本実施の形態の電子時計100の回路構成の一例を示す回路図である。図3に示すように、電子時計100は、2次電源部1と、整流・平滑部2と、定電圧部3と、逆流防止素子4−1と、コンデンサ4−2と、リセット部5と、制御部6と、2次電池7−1と、切替部7−2と、負荷部8−1と、切替部8−2と、電池電圧検出部9と、充電検出部10と、電池保護部11と、を備えている。
【0031】
2次電源部1は、上述のように非接触充電を行う2次コイル1a等で構成される。整流・平滑部2は、2次コイル1aで発生した電力を整流および平滑化する。定電圧部3は、平滑化された電圧を定電圧化(例えば4.5V)する。定電圧部3は、例えばレギュレータICまたはツェナーダイオードで構成するのが好ましい。
【0032】
逆流防止素子4−1は、上述のようにショットキーダイオードなどにより構成する。コンデンサ4−2は、上述のように2次電源部1で発生された電力により充電される蓄電部(第2蓄電部)である。
【0033】
ここでショットキーダイオードおよび制御部6を近似的に抵抗とみなすと、コンデンサ4−2とのCRカーブを簡易的に計算することができる。例えばショットキーダイオードの順方向電流に対する等価抵抗をR1、逆方向電流に対する等価抵抗をR2、制御部6の等価抵抗をR3、コンデンサの静電容量をCとすれば、充電時および放電時のCRカーブの時定数は、それぞれ以下の(1)式および(2)式で表される。
τ=(R1+R3)/R1*R3*C ・・・(1)
τ=(R1+R2)/R1*R2*C ・・・(2)
【0034】
両者は同じ形の式となるが、R1>R2であるので、放電よりも充電のほうが速く行われることになる。このため、コンデンサ4−2への充電時間は2次電池7−1または負荷部8−1への給電時間よりも短くすることができる。
【0035】
リセット部5は、制御部6の動作をリセットするものである。リセット部5は、コンプリメンタリ出力の電圧検出ICで構成するのが好ましい。このような電圧検出ICにより構成されたリセット部5は、コンデンサ4−2の電圧が所定の閾値(第3閾値)となる制御部リセット電圧(例えば2.4V)以下になったときに、直ちに後段の電圧をLレベルに落す。電圧検出ICのON→OFFおよびOFF→ON能力は、制御部6のCPU6−4に選定する部品のパワーオンリセットの条件を十分に満たせるだけの能力を持つものを選定すべきである。また、この能力をことさら妨げるような大容量のコンデンサは、リセット部5以降には配置しないことが好ましい。
【0036】
リセット部5は、コンデンサ4−2の電圧が制御部リセット電圧を下回った場合、それ以降の構成部の電圧を直ちにLレベルに落とし、コンデンサ4−2の電圧が所定のリセット解除電圧(=制御部リセット電圧+ヒステリシス幅)を上回った場合、それ以降の構成部の電圧を直ちにHレベルに設定するように構成する。
【0037】
制御部6は、電圧レギュレータIC6−1と、外付けコンデンサ6−2および6−3と、CPU6−4と、抵抗6−5〜6−7とを備えている。
【0038】
電圧レギュレータIC6−1は、一定の電圧(例えば1.6V)を生成する。電圧レギュレータIC6−1は、CPU6−4の動作電圧に合わせて選定すればよい。外付けコンデンサ6−2および6−3は、上述のようにリセット部5の能力を妨げる大容量のコンデンサは避ける。
【0039】
リセット部5によって電圧がLレベルとなった際、CPU6−4の出力信号はLとなる。このため、基本的にCPU6−4のすべての出力信号はアクティブHとなるように設定する。アクティブLとするとリセット状態に入っている間、常時機能がONすることになり、制御ができなくなるためである。ただし、それを見込んだ上で構成する分には問題ない。
【0040】
また、電圧レギュレータIC6−1により定電圧化しているため、入力信号は電圧変換が必要になる。これらの入力は、構成の容易さから、プルアップ抵抗により通常時にはH入力となり、信号がある場合にはL入力となる構成がよい。ただし、この信号の入力時には、プルアップ抵抗に流れる電流もコンデンサ4−2の電荷を消費する要素となる。このため、プルアップ抵抗は条件の許す限りに高めの抵抗値に設定するのが好ましい。ただし、必要以上に大きくすると弊害が発生する場合があるので、許容範囲内で設定する。また、CPU6−4は、処理速度によって消費電流が変わるため、低速で処理できるようにプログラムを組むのが好ましい。
【0041】
2次電池7−1は、図3に示すように、例えばリチウムイオン電池により構成することができる。図3では、切替部7−2としてNchMOSFETを配置している。切替部7−2は、トランジスタで構成してもよい。ただし、トランジスタの場合、ベース電流分がコンデンサ4−2の消費要素となるため、MOSFETで構成するのが好ましい。このMOSFET(切替部7−2)は、電池保護部11(後述)の充電制御用MOSFETの機能を兼ねる。
【0042】
負荷部8−1は、上述のように2次電源部1により発生された電力で動作する。切替部8−2は、切替充電制御中では、2次電源部1から負荷部8−1への給電経路(第2給電経路)を切り替える手段として機能する。また、切替部8−2は、負荷部8−1を制御するための駆動回路として機能する。
【0043】
電池電圧検出部9は、2次電池7−1の電圧(電池電圧)を検出する。電池電圧検出部9は、外付けのA/D(アナログ/デジタル)素子や電圧検出ICで構成するのが好ましい。特に安価であり消費電流の小さいことから、電池電圧検出部9を電圧検出ICで構成するのが好ましい。
【0044】
電池電圧検出部9は、切替充電制御を解除するための閾値(第2閾値)となる電圧(切替充電解除電圧)として定められた検出値に達したか否かを検出する。ただし、実際の製品では、他の目的で複数の検出値を持つ必要が生じる場合がある。電池電圧検出部9を電圧検出ICのみで構成しようとすると、検出できる電圧(検出値)を1つしか設定できない。このため、分圧比の異なる分圧抵抗を複数備えることにより検出できる電圧を増やすなどの工夫が必要となる。また、CPU6−4とは電圧が異なることから、電池電圧検出部9の出力は、Nchオープンドレインのもので構成する必要がある。
【0045】
なお、電池電圧検出部9に関しては、以下の2点に注意が必要となる。
【0046】
第1の注意点は、電池電圧が極端に低い場合には、電池電圧検出部9が機能しないことが考えられる点である。例えば、電池電圧検出部9を電圧検出ICで構成する場合には、電圧検出ICが1.0V付近まで動作できず出力が不定となる。この問題は、例えば、CPU6−4にA/D端子が内蔵されていれば解決できる。しかし、A/D端子を備えるCPU6−4が必須とすると部品選定の制約のため利便性が損なわれる。そこで、本実施の形態では、以下のようにしてこの問題を解決する。
【0047】
ここで、この問題の詳細についてさらに説明する。まず、電圧検出ICの動作電圧を下回るようなレベルから充電された場合、コンデンサ4−2への充電の後、制御部6が起動される。制御部6のCPU6−4のプログラムは、初期状態から動き出す。このときに充電が検出されれば、その充電は一義的に過放電状態からの充電であると解釈できるため、制御部6は、直ちに切替充電制御を始める。一方、制御部6は、電池電圧を確認しつつ充電を行い、電池電圧が切替充電解除電圧に達した場合は直ちに切替充電制御を終了し、2次電池7−1への給電経路を接続状態に固定することが望ましい。ところが、制御部6は、電池電圧が1.0Vを下回るような状態から起動されたのか、または、切替充電解除電圧をわずかに下回る状態から起動されたのかを判断できない。したがって、例えば後者のような状態から起動され、電池電圧が短時間で切替充電解除電圧に達したときに直ちに切替充電制御を停止するためには、制御部6は、起動直後から電池電圧を検出する必要がある。
【0048】
一方、上述のように、電池電圧が極端に低い状態(前者の状態)では、電池電圧検出部9が機能しない可能性がある。このように正常に機能しないリスクのある時点で電池電圧を検出することは好ましくない。誤検出によって切替充電制御を解除すると、リセット部5による制御部6のリセットが働き、切替充電制御およびリセットの繰り返しとなり効率が悪いためである。また、プログラムの起動から電圧検出までに少なくとも1回は負荷部8−1を機能させる処理が含まれていないと、結果的に何も制御されていない状態のまま充電されることになるためである。
【0049】
そこで、この問題の回避策として、本実施の形態では、初期状態から切替充電制御を行った場合は少なくとも電池電圧検出部9が動作可能となる電圧に達するまでの時間(検出不可時間)は電池電圧を検出しない、または、電池電圧を検出したとしても検出結果を制御に反映しないように構成する。
【0050】
例えば、電池電圧検出部9を電圧検出ICにより構成する場合は、電圧検出ICが正常に動作可能な電圧(例えば1.0V)まで充電される時間が確保されればよい。例えば、2次電源部1の充電能力に応じた適切な検出不可時間を予めCPU6−4に与えておき、CPU6−4が、検出不可時間の経過後に電池電圧を検出するように構成すればよい。
【0051】
なお、図3の構成では、放電制御用MOSFET11−2(詳細は後述)が閉じているため寄生ダイオードによる電圧降下が存在する。このため、電池電圧検出部9にかかる電圧は見かけ上、寄生ダイオードの電圧降下分だけ電池電圧より高くなる。例えば電圧降下の値が約0.6V程度であるとすれば、実際には電池電圧が0.4Vまで充電されれば電池電圧検出部9が機能できるようになる。
【0052】
これにより、電池電圧が1.0Vを下回るような状態からの起動、および、切替充電解除電圧をわずかに下回る状態からの起動のいずれであっても、制御部6はリスクなく制御することができる。
【0053】
仮に検出不可時間内での検出の制限が何らかの理由で達成できず、誤判定によって切替充電制御を解除した場合であっても、リセット部5により制御部6のリセットが働き、再度、切替充電制御が行われるため問題は生じない。
【0054】
なお、2次電池7−1としてリチウムイオン電池を使用する場合、0V付近からの再充電が禁止されている場合がある。このような場合には、0V付近からの再充電を禁止する手段を備えればよい。多くの場合、リチウムイオン電池に対応する保護ICに0Vからの充電を禁止する仕様のものが存在するので、その保護ICを電池保護部11に備えるように構成すればよい。電池電圧検出部9の動作可能電圧が高い場合や、2次電池7−1が0Vからの充電も可能であるような場合には、上述した制御が必要となる。
【0055】
第2の注意点は、放電制御用MOSFET11−2の電圧降下により、電池電圧の検出結果に誤差が含まれることである。上述のように、放電制御用MOSFET11−2が閉じている間、充電電流はこの放電制御用MOSFET11−2の寄生ダイオードを流れる。このため、この寄生ダイオードによる電圧降下の分、回路の電圧は実際の電池電圧より高くみえる。
【0056】
そこで、これによる誤作動が発生しないようにするため、保護IC11−1(詳細は後述)の過放電解除電圧より適当な値だけ、切替充電解除電圧を高い値にする必要がある。例えば、過放電解除電圧が2.7Vである保護IC11−1を利用する場合、寄生ダイオードの電圧降下分と充電によるリプルの影響分を含めて、切替充電解除電圧を3.5Vに設定する。
【0057】
充電検出部10は、2次電源部1から電力が供給されているか否かによって充電の有無(充電の開始および終了)を検出する。充電検出部10は、電圧変換用のMOSFET10−1と、検出用の抵抗10−2と、逆流防止のダイオード10−3とを備えている。
【0058】
なお、本来制御部6は、充電器200に乗せられて起動開始した場合には充電器200を検出することなく、直ちに切替充電制御を開始するように構成すればよい。制御部6がOFF状態から起動するのは充電器200に接続されている以外になく、敢えて検出する必要がないためである。しかし、検査工程での利便性等を考慮すると、起動時に充電器200の有無を検出するように構成することが好ましい。制御部6の起動後に強制的に切替充電制御を実行すると、検査工程でさまざまな動作モードを試験できない場合が生じうる。このため、制御部6が、起動時に充電を検出し、充電が検出されれば切替充電制御に移行し、充電が検出されなければ工程検査中であると判断するように構成する。
【0059】
なお、このように構成するためには、制御部6が立ち上がり入力信号を読みに行くまでに、充電検出信号が出力されている必要がある。また、実際には充電されているのに、充電検出部10が充電されていることを検出できないような状態は避けなければならない。
【0060】
このため、充電検出部10の抵抗10−2の値を高めに設定して検出感度を上げ、MOSFET10−1ですばやく信号をCPU6−4におくる構成にしておくのが好ましい。ただし抵抗10−2の値が過大となると、ノイズによる誤作動を起こす可能性や、充電電流によってはMOSFET10−1の入力定格を超える可能性がある。このため、実際の条件を考慮して抵抗10−2の値を設定する必要がある。
【0061】
電池保護部11は、2次電池7−1を保護する回路である。図3では、2次電池7−1としてリチウムイオン電池を想定し、電池保護部11に保護IC11−1を設けている。この他、電池保護部11は、放電制御用MOSFET11−2と、電圧検出端子の保護抵抗11−3と、充電制御用MOSFETの制御出力信号をCPU6−4に伝えるための接続回路11−4および11−5と、抵抗11−6と、コンデンサ11−7と、を備えている。
【0062】
接続回路11−4および11−5は、リチウムイオン電池の過充電保護を行う必要があるため備えられている。すなわち、接続回路11−4および11−5は、保護IC11−1による過充電検出をCPU6−4が検知し、充電制御用のMOSFETである切替部7−2をOFFする制御が必要となるために設けてある。なお、図3は接続の一例であり、同様の機能を満たせばどのような構成でも良い。
【0063】
切替部7−2は、上述のように、切替充電制御時の給電経路を切り替える機能と、充電制御用MOSFETの機能とを兼ねている。通常、充電制御用MOSFETは、保護IC11−1の出力端子から制御される。しかし、そのような構成では過放電状態からの制御機能が達成できないため、本実施の形態では図3のように接続することにより、過放電状態からの制御機能を実現可能としている。
【0064】
また、保護抵抗11−3に接続された保護IC11−1の電圧検出端子は、2次電池7−1の負極に接続された端子との電圧差を監視し、電流の向きと大きさを検知している。図3の構成では、この電圧検出端子は、放電制御用MOSFET11−2と切替部7−2(充電制御用MOSFET)との間に接続されている。保護IC11−1の仕様に依存するが、保護IC11−1の電圧検出端子は、一般的には、充電制御用MOSFET(切替部7−2)のソース側に接続される。
【0065】
一方、本実施の形態では、後述するように、保護IC11−1の指示によらず頻繁に充電制御用MOSFET(切替部7−2)をON/OFFする。このような構成では、電子時計100が充電器200から下ろされており、かつ、切替部7−2を開いた場合には、切替部7−2の寄生ダイオードの電圧降下分の電圧が電圧検出素子と2次電池7−1の負極との間に発生する。このため、過大な電流が流れたと誤判断する場合がある。そして、例えば電池電圧が放電制御用MOSFET11−2をONするレベルにまで達していた場合には、保護IC11−1が直ちに放電制御用MOSFET11−2をOFFするため、再び停止状態に戻るおそれがある。
【0066】
この状態は、切替充電制御中に充電器200から下ろされるシーンに相当する。このような場合、再び充電器200にのせれば機能は回復するものの、好ましい制御ではない。そこで、本実施の形態では、この現象を回避するため、保護IC11−1の電圧検出端子の接続位置を変更している。この構成であれば、保護IC11−1の電圧検出端子と2次電池7−1の負極との間の電圧差は、充電制御用MOSFET(切替部7−2)のON/OFFによらない。このような接続形態は、通常の保護IC11−1の使用法からは外れるが、本実施の形態の制御方法の範囲で不都合なく動作する。
【0067】
次に、このように構成された本実施の形態にかかる電子時計100による充電制御処理について図4〜図10を用いて説明する。図4は、本実施の形態における充電制御処理の全体の流れを示すフローチャートである。図5〜図7は、切替充電状態の電子時計100を表す図である。図8は、切替充電終了状態の電子時計100を表す図である。図9は、切替充電制御中の所定箇所での電圧の変化を表す図である。図10は、図9で表す電圧を測定する箇所を示す図である。なお、切替充電状態とは、制御部6により切替充電制御が行われる状態をいう。また、切替充電終了状態とは、制御部6による切替充電制御が終了された状態をいう。
【0068】
ここで、本実施の形態は、2次電池7−1の電池電圧が制御部6の動作電圧の下限値を下回るレベルまで放電された製品を充電する場面で利用される。以下では、2次電池7−1が制御部6の動作電圧の下限値を下回るまで放電した状態を過放電状態という。また、過放電状態の2次電池7−1が組み込まれた電子時計100の状態を初期状態という。なお、上述の図2は、初期状態の電子時計100を表している。
【0069】
初期状態の電子時計100は、いかなる機能も発揮できない状態にある(ステップS11)。このような状態の電子時計100を充電器200に乗せた場合(ステップS12)、乗せた直後の電子時計100の状態は初期状態となる(ステップS13)。図2に示すように給電経路はコンデンサ4−2のみに接続されているため、この後、直ちにコンデンサ4−2への充電が開始される。コンデンサ4−2は瞬時に電圧が上昇し、瞬時に充電される。このように瞬間的に充電されたコンデンサ4−2の電圧が動作電圧の下限値に達した場合に制御部6が起動し、2次電池7−1の電池電圧によらず直ちに切替充電制御を行う状態である切替充電状態に移行する(ステップS14)。
【0070】
以下、切替充電状態(図4のステップS14)に含まれる各状態の詳細について、主に図5〜図7を用いて説明する。
【0071】
図5〜図7は、切替充電状態の電子時計100を表している。切替充電状態には、制御の経過に応じて、さらに複数の状態が含まれる。すなわち、2次電池7−1の給電経路を切り替える切替部7−2の開閉状態、および、負荷部8−1の給電経路を切り替える切替部8−2の開閉状態の組合せに応じて、複数の状態が存在しうる。なお、以下では説明の便宜のため、2次電池7−1と1つの負荷部8−1とで構成した例を説明する。負荷部8−1が2以上の場合も同様の方法で複数の状態を切り替える制御を実現できる。
【0072】
図5は、コンデンサ4−2を充電する状態(以下、状態Aという。)を表している。図5は、切替部7−2および切替部8−2が開いている点については初期状態を表す図2と同じであるが、充電器200に乗せられたことによりコンデンサ4−2への充電が行われている点が異なる。
【0073】
なお、制御部6が、コンデンサ4−2の電圧が動作電圧の下限値に達した後、直ちに動作を開始するのではなく、コンデンサ4−2へ十分に充電が行われるまでの時間として予め定められた待機時間が経過後に動作を開始するように構成してもよい。また、コンデンサ4−2への印加電圧は、制御部6の動作電圧の下限値より十分に高いほうが好ましい。ただし、これらはコンデンサの容量と制御部6の消費電流等との兼ね合いで決まるため、待機時間や印加電圧が大きな数値であるほどよいというものではなく、一定時間だけ制御部6の動作が確保できる電荷がコンデンサ4−2に蓄積できればよい。
【0074】
ここで決まる待機時間が、次に述べる2次電池7−1および負荷部8−1への給電可能時間となるため、コンデンサ4−2の容量は給電対象となる負荷部8−1の種類等を考慮して決定する。ただし、1次側の送電モジュール211と2次電源部1との間の位置ずれなどによる電力の低下を考慮して、十分余裕を持った値にするほうが良い。状態Aの期間は図9の時間t1の範囲に相当する。
【0075】
図5の状態Aの後、図6の状態に遷移する。図6は、2次電池7−1を充電する状態(以下、状態Bという。)を表している。図6に示すように、制御部6は、2次電源部1から2次電池7−1への給電経路を閉じるように切替部7−2を制御し、2次電池7−1への充電を開始する。
【0076】
ここで、2次電池7−1への給電経路切替手段を接続すると、図4の2次電源部1の電圧は、充電電流によって2次電池7−1の電池電圧付近まで降下する。このため、制御部6は、2次電源部1の電圧が制御部6の動作電圧の下限値を下回ることを考慮しなければならない。すなわち、制御部6は、コンデンサ4−2に蓄えられた電圧が自身の消費電流によって動作電圧を下回るまでの期間、2次電池7−1への充電を行うように制御する。
【0077】
例えば、制御部6が、コンデンサ4−2の電圧を検出または算出し、コンデンサ4−2の電圧が予め定められた電圧の閾値(第1閾値)以上である期間、2次電池7−1への充電を行うように制御する。この場合、制御部6は、コンデンサ4−2の電圧が閾値より小さくなったときに、2次電源部1から2次電池7−1への給電経路を開くように切替部7−2を制御し、2次電池7−1への充電を停止する。また、制御部6が、2次電池7−1への充電を開始してから予め定められた時間(第1時間)が経過するまで2次電池7−1への充電を行うように構成してもよい。この時間が経過した後、制御部6は、2次電源部1から2次電池7−1への給電経路を開くように切替部7−2を制御し、2次電池7−1への充電を停止する。
【0078】
コンデンサ4−2の電圧は、A/D回路によって検知してもよいし、コンデンサ4−2の充電電圧からCRカーブで算出してもよい。例えば、A/D端子が内蔵されているCPU6−4を用いる場合は、このA/D端子を用いればよい。この場合、上述のように電圧誤検出を回避するための構成が必要なくなるメリットもあるが、CPU6−4の選定範囲は制限される。そこで、構成の簡易さやコスト面からCRカーブを用いてコンデンサ4−2の電圧を予測する構成が好ましい。
【0079】
この場合、算出の精度を上げるためにツェナーダイオードやレギュレータで定電圧化した電位をコンデンサ4−2に与えるのがより良い構成といえる。図3のように定電圧部3を用いればこれを実現できる。なお、2次電源部1の無負荷時電圧が、他の構成素子の耐電圧より高い場合には、定電圧部3のような手段で保護する必要がある。状態Bの期間は図9の時間t2の範囲に相当する。
【0080】
制御上、次は図5または図7に遷移する。2次電池7−1への充電期間中に低下したコンデンサ4−2への充電を行う場合は、図5に遷移する。コンデンサ4−2の電圧が制御部6を停止させない範囲であれば、図7に遷移しても良い。また、電力が確保でき動作可能である場合には図6と図7を兼ね合わせ、2次電池7−1および負荷部8−1の双方に同時に給電する状態(図示せず)に遷移してもよい。なお、図9では、典型例として一旦図5に戻りコンデンサ4−2を再充電する場合の電圧の変化例を表している。
【0081】
図5に戻りコンデンサ4−2を充電した後、図7の状態に遷移する。図7は、負荷部8−1を給電する状態(以下、状態Cという。)を表している。状態Cの場合も、2次電池7−1への充電時(状態B)と同様に、負荷部8−1へ流す電流によって2次電源部1の電圧降下が発生する。このため、制御部6は、コンデンサ4−2に蓄えられた電圧が動作電圧を下回るまでの期間、負荷部8−1への給電を行うように制御する。負荷部8−1に流す電流は、2次電源部1の発生電力を考慮して妥当な値を設定する。状態Cの期間は図4の時間t3の範囲に相当する。
【0082】
その後、制御部6は、図9に示すようにt1からt3の期間を交互に繰り返すように充電および負荷部8−1の動作を制御する。なお、制御の順序は、t1からt3の順序に限定する必要はない。例えばt3の期間を間歇駆動にして、その間にt1を挿入するような順序も可能である。また、t1とt2の組み合わせのみを繰り返し、所定期間(例えば数分間)に1回だけt3の期間を設けるように構成してもよい。
【0083】
このように制御する間、コンデンサ4−2は、2次電源部1、および、2次電池7−1と負荷部8−1とのいずれに給電するかによって定まる動作点電圧と、2次電源部1の無負荷時電圧(または無負荷時電圧を定電圧化した電圧)との間で充放電を繰り返すことになる。2次電池7−1の電圧が高くなるにつれてコンデンサ4−2を充電するのに要する時間t1が少なくなるため、相対的に2次電池7−1への給電時間t2を延ばすことができる。
【0084】
このような制御は、コンデンサ4−2の電圧が制御部6の動作電圧を下回らない範囲で2次電池7−1の充電とコンデンサ4−2の充電とのDuty比の調整や、制御時間幅の変更など様々に工夫することが可能である。
【0085】
図4に戻り、リセット部5は、切替充電制御中にコンデンサ4−2の電圧が制御部6の動作電圧より小さいか否かを判定する(ステップS15)。コンデンサ4−2の電圧が動作電圧より小さい場合(ステップS15:Yes)、リセット部5は、制御部6の動作をリセットする(回路リセット)。
【0086】
上述のように、制御部6は、コンデンサ4−2の電圧が動作電圧を下回らないように充電を制御する。しかし、何らかの理由で、コンデンサ4−2の電圧が制御部6の動作電圧を下回る場合がありうる。そこで、このような場合に、リセット部5が回路全体をリセットし、回路の接続を初期状態に戻している(ステップS13)。
【0087】
回路リセットは、上述のように、制御部6の電圧が所定の値(制御部リセット電圧)以下になったときにCPU6−4の電位をLレベルに固定するリセット部5を備えること、および、負荷部8−1の給電経路を切り替える切替部8−2をNchMOSFETまたはトランジスタで構成することで達成できる。
【0088】
このような構成により、(1)制御部6の起動、(2)切替充電制御、(3)偶発的な電圧低下、(4)制御部6の電圧が低下し制御部リセット電圧を下回る、(5)リセット部5が制御部6の電圧をLレベルに設定、(6)制御部6の出力信号レベル=Lレベル、(7)NchMOSFETまたはトランジスタのOFF、(8)負荷部8−1への給電停止、(9)コンデンサ4−2への充電開始、(10)制御部6の起動(=上記(1))、・・・、というループが発生する。すなわち、仮に切替充電制御中にコンデンサ4−2の電圧が制御部6の動作電圧を下回ったとしても、再び制御部6を動作させることができるため、信頼性の高い制御回路を構成することができる。
【0089】
なお、少なくともこのような構成を備えていれば、制御部6が、コンデンサ4−2の電圧が動作電圧を下回る時間の範囲内となるように切替部7−2および切替部8−2を制御する必要はない。しかし、回路リセットによる方法のみでは、CPU6−4が再起動するための時間ロス、および、その間の非制御状態が生じうる。このため、本実施の形態では、コンデンサ4−2の電圧が制御部6の動作電圧を下回らない時間で負荷部8−1に給電するように構成している。
【0090】
ステップS15でコンデンサ4−2の電圧が動作電圧以上の場合(ステップS15:No)、制御部6は、2次電池7−1の電圧(電池電圧)が切替充電解除電圧以上であるか否かを判断する(ステップS16)。電池電圧が切替充電解除電圧以上でない場合(ステップS16:No)、制御部6は、切替充電制御を継続する(ステップS14)。
【0091】
電池電圧が切替充電解除電圧以上の場合(ステップS16:Yes)、制御部6は切替充電制御を終了し、切替充電終了状態に遷移する(ステップS17)。切替充電終了状態で充電ありの場合(電子時計100が充電器200に乗せられている場合)は、2次電池7−1への充電が継続される(ステップS18)。
【0092】
図8は、切替充電終了状態の電子時計100を表している。電池電圧が切替充電解除電圧以上となった後であれば、2次電源部1から2次電池7−1への給電経路を切り替える必要はない。切替充電解除電圧は、制御部6の動作電圧範囲の下限値以上に設定すればよい。なお、切替充電解除電圧は、制御部6を構成する部品に応じて設定する必要がある。例えば、制御部6がCPU6−4のみで構成される場合は、CPU6−4の動作範囲の下限値を切替充電解除電圧として設定すればよい。また、制御部6の電圧が所定の電圧(制御部リセット電圧)以下になったときにCPU6−4の電位をLレベルに固定するリセット部5を構成に持つ場合、切替充電解除電圧はリセット部5のHレベル復帰電圧以上でなければならない。また、保護IC11−1を備える場合、切替充電解除電圧は放電制御用MOSFET11−2がONする電圧以上でなければならない。2次電池7−1がリチウムイオン電池である場合は、保護IC11−1を備える構成がより好ましい。
【0093】
ただし、保護IC11−1を利用する場合、放電制御用MOSFET11−2が開いている期間は、検出した電圧値に放電制御用MOSFET11−2の寄生ダイオードの電圧降下分が付加されるため、この値を考慮して切替充電解除電圧を設定しなくてはならない。
【0094】
なお、切替充電制御は、充電検出部10により2次電源部1から電力が供給されていないことが検出されたときにも終了する。例えば、充電器200の電源プラグ212がコンセントから抜かれた場合、充電器200から電子時計100が取り外された場合、および、充電器200から電子時計100が偶発的に落下した場合などが該当しうる。
【0095】
図4では、ステップS21が、このようにして切替充電状態から切替充電終了状態に遷移する状況に該当する。充電器200から電子時計100が取り外される状況は、任意の状態で発生しうる。図4のステップS19およびステップS23は、それぞれ初期状態で取り外された場合、および、切替充電終了状態で取り外された場合に該当する。
【0096】
なお、図4では、説明の便宜上、充電の開始(2次電源部1からの電力供給の開始)および充電の終了(2次電源部1からの電力供給の終了)を、それぞれ充電器200にのせる、および、充電器200から下ろすと表現した。一般に非接触充電で用いる充電器200はシート型またはクレイドル型であり、その上に2次側製品(電子時計100)を乗せ下ろしすることで充電が可能になるためである。しかし、非接触充電の充電器200の形態によって、嵌める/はずす、接続/切断などが充電の開始/終了に該当する場合もある。
【0097】
初期状態の電子時計100が充電器200に乗せられていない場合(図4右の「充電なし」の場合)は、切替充電制御が実行されないため、切替充電終了状態に遷移する(ステップS24)。次に、制御部6は、2次電池7−1の電圧(電池電圧)が制御部6の動作電圧以上であるか否かを判断する(ステップS25)。電池電圧が動作電圧以上でない場合(ステップS25:No)、コンデンサ4−2の電圧が動作電圧以上の期間は切替充電終了状態を保持するが、その後は初期状態に戻る(ステップS11)。電池電圧が動作電圧以上の場合(ステップS25:Yes)、制御部6は、2次電池7−1を電源として動作を継続する(ステップS26)。
【0098】
なお、ステップS24およびステップS25の処理を実行する状態は、極めて短い時間の過渡状態として存在するが、実際には直ちに次の状態に移行する。
【0099】
ステップS24の切替充電終了状態で電子時計100が充電器200に乗せられた場合は(ステップS20)、切替充電状態に遷移する(ステップS14)。また、ステップS26の切替充電終了状態で電子時計100が充電器200に乗せられた場合は(ステップS22)、ステップS17の切替充電終了状態に遷移した後、2次電池7−1への充電が継続される(ステップS18)。
【0100】
図9は、切替充電制御中の電圧の変化を表している。図9の実線(V1)は、図10のように2次電源部1から供給される電圧に相当する。図9の破線(V2)は、図10のようにコンデンサ4−2から制御部6に供給される電圧に相当する。上述のように、図9の時間t1は、コンデンサ4−2が充電される状態Aを表すため、V2が上昇する。この後、制御部6は、状態Bに遷移し、V2が制御部6の動作電圧の下限値を下回らない時間だけ、2次電池7−1を充電する(時間t2)。
【0101】
図9では、この後、時間t1(状態A)および時間t2(状態B)を繰り返した後、負荷部8−1への給電(状態C、時間t3)を行う制御の例が示されている。
【0102】
制御部6は、可能な限り軽負荷の負荷部8−1を断続的に動作させることが好ましい。また、制御部6が駆動波形を細かくするとメリットが上がる場合がある。例えば、負荷部8−1であるLEDを1秒間点灯させる場合に、1秒間常に点灯させるとする。この場合、CPU6−4等の消費電流にも依存するが、LEDを1秒間点灯させるための電力を保持できる容量のコンデンサ4−2を用意する必要が生じる。
【0103】
そこで、制御部6が、例えば7msの点灯(コンデンサ4−2の電力消費)および3msの消灯(コンデンサ4−2への充電)の10ms周期の駆動波形で制御するように構成する。これにより、コンデンサの容量は、LEDを7ms点灯できるもので済む。この例では、7ms間の点灯が保持ができれば、理論的には何秒間でもLEDを点灯させ続けることができる。実際には間歇駆動であるが、周期が短いためLEDの光は点灯し続けているように見えるためである。
【0104】
点灯のDutyが7割となるので明るさは減少する。しかし、コンデンサの容量を小さくできること、点灯時間の拡大、および、コンデンサ4−2の電圧低下を抑制できることによる動作電圧のマージン確保の点でメリットを得られる。
【0105】
図11は、上述のような制御により過放電状態から充電したときの各種電圧の推移を表す図である。なお、図11の点線(電池電圧’)は、寄生ダイオードの電圧降下分だけ高い値として電池電圧検出部9で検出される電圧を表している。また、図11では、保護IC11−1が2.5V(過放電検出電圧)で放電制御用MOSFET11−2をOFFし、回路への電源供給を停止する例を示している。これにより制御部6は、リセット部5(2.4V検出)によってLレベルに落とされる。なお、図11で記載している設定電圧は一例である。
【0106】
(変形例)
青色LEDまたは白色LEDなどは、3.0V以上から電流が流れ始める特性を持つ。このため、電池電圧が制御部6を動作できるレベルにあったとしても、このようなLEDを点灯させるにはまだ電圧が低いという場合がありうる。そこで、このような負荷部8−1を動作させる場合に、2次電池7−1を回路から切断し2次電源部1の電力により直接負荷部8−1を動作させるように制御部6を構成してもよい。これにより、より高電圧で負荷部8−1の動作電流を確保することができる。
【0107】
以上のように、本実施の形態の充電制御装置では、製品を動作させるための電力を供給する蓄電部(2次電池、電気二重層コンデンサ等)より充電時間が小さい蓄電部(コンデンサ等)を用いることにより、非接触充電の充電電流により2次側電源の電圧降下が生じる場合であっても、より迅速に制御部を動作させることができる。
【0108】
このため、例えば、電子時計のように筐体に金属が含まれ、2次電池等の電圧が回路の動作電圧以下に低下している場合であっても、充電器に乗せた瞬間からCPU制御による充電表示が得られるようにすることができる。
【0109】
また、制御部が制御する負荷部としては、充電状態を表示する表示部(LED等)の他、電子時計の針を運針する運針部、共振周波数制御回路、位置ずれ検出回路、および、情報通信回路などを用いることもできる。これにより、搭載電池の電圧状態に関わらず、充電器に乗せた瞬間から、運針、共振周波数制御、位置ずれ検出制御、および、1次2次コイル間の情報通信を実行させることが可能となる。
【0110】
また、本実施の形態の充電制御装置を電子時計に備えることにより、筐体に金属を含む場合であっても効率よく充電することが可能となる。
【符号の説明】
【0111】
1 2次電源部
1a 2次コイル
1b 磁性体コア
2 整流・平滑部
3 定電圧部
4−1 逆流防止素子
4−2 コンデンサ
5 リセット部
6 制御部
6−1 電圧レギュレータIC
6−2、6−3 外付けコンデンサ
6−4 CPU
6−5〜6−7 抵抗
7−1 2次電池
7−2 切替部
8−1 負荷部
8−2 切替部
9 電池電圧検出部
10 充電検出部
10−1 MOSFET
10−2 抵抗
10−3 ダイオード
11 電池保護部
11−1 保護IC
11−2 放電制御用MOSFET
11−3 保護抵抗
11−4、11−5 接続回路
11−6 抵抗
11−7 コンデンサ
100 電子時計
200 充電器
211 送電モジュール
212 電源プラグ
213 磁性体コア
214 1次コイル
215 発振回路
216 電源回路
【特許請求の範囲】
【請求項1】
1次電源部によって発生された磁界に応じて電磁誘導作用により電力を発生する2次電源部と、
発生された前記電力により充電される第1蓄電部と、
発生された前記電力により充電され、予め定められた規定値まで充電される時間が前記第1蓄電部より小さい第2蓄電部と、
前記第2蓄電部の電圧が前記規定値を超えたときに動作し、前記2次電源部から前記第1蓄電部への第1給電経路を開閉して前記第1蓄電部の充電を制御する制御部と、
を備えることを特徴とする充電制御装置。
【請求項2】
前記第2蓄電部は、前記第1給電経路が開いているときに、発生された前記電力により充電され、
前記制御部は、前記第1給電経路を開いて前記第2蓄電部を充電する処理、および、前記第1給電経路を閉じて前記第1蓄電部を充電する処理を繰り返すことにより、前記第1蓄電部の充電を制御すること、
を特徴とする請求項1に記載の充電制御装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記第2蓄電部の電圧が予め定められた第1閾値より小さくなったときに前記第1給電経路を開いて前記第1蓄電部への充電を停止すること、
を特徴とする請求項2に記載の充電制御装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記第1給電経路を閉じて前記第1蓄電部への充電を開始してから予め定められた第1時間を経過したときに前記第1給電経路を開いて前記第1蓄電部への充電を停止すること、
を特徴とする請求項2に記載の充電制御装置。
【請求項5】
前記第1蓄電部の電圧を検出する電圧検出部をさらに備え、
前記制御部は、検出された前記電圧が予め定められた第2閾値を超えたときに、前記第1給電経路を閉じた状態に固定すること、
を特徴とする請求項1に記載の充電制御装置。
【請求項6】
前記制御部は、動作開始から予め定められた第2時間が経過し、かつ、検出された前記電圧が前記第2閾値を超えたときに、前記第1給電経路を閉じた状態に固定すること、
を特徴とする請求項5に記載の充電制御装置。
【請求項7】
前記制御部に供給される電圧が予め定められた第3閾値以下となったときに、前記制御部の動作をリセットするリセット部と、
前記制御部の動作が停止されたときに前記第1給電経路を開く切替部と、をさらに備えること、
を特徴とする請求項1に記載の充電制御装置。
【請求項8】
前記2次電源部により発生された電力により動作する負荷部をさらに備え、
前記制御部は、さらに、前記2次電源部から前記負荷部への第2給電経路を開閉して前記負荷部の動作を制御すること、
を特徴とする請求項1に記載の充電制御装置。
【請求項9】
前記制御部は、前記第2給電経路を閉じて前記負荷部を動作させる場合に、前記第1給電経路を開いて前記第1蓄電部の充電を停止すること、
を特徴とする請求項8に記載の充電制御装置。
【請求項10】
前記負荷部は、前記第1蓄電部の充電状態を表示する表示部であること、
を特徴とする請求項9に記載の充電制御装置。
【請求項11】
前記表示部は、LED(Light Emitting Diode)であること、
を特徴とする請求項10に記載の充電制御装置。
【請求項12】
前記負荷部は、時刻を表示する針を運針する運針部であること、
を特徴とする請求項9に記載の充電制御装置。
【請求項13】
前記負荷部は、前記2次電源部に発生する交流電力の周波数を検出するための周波数検出部と、前記2次電源部の共振周波数を電気的に調整するための周波数調整部とであること、
を特徴とする請求項9に記載の充電制御装置。
【請求項14】
前記負荷部は、前記1次電源部と前記2次電源部との位置のずれを検出する位置検出部であること、
を特徴とする請求項9に記載の充電制御装置。
【請求項15】
前記負荷部は、前記1次電源部と前記2次電源部との間で情報を通信する通信部であること、
を特徴とする請求項9に記載の充電制御装置。
【請求項16】
前記第2蓄電部は、コンデンサであり、
前記コンデンサの電流逆流を防止するダイオードをさらに備えること、
を特徴とする請求項1に記載の充電制御装置。
【請求項17】
請求項1〜16のいずれか1項に記載の充電制御装置を備えることを特徴とする電子時計。
【請求項1】
1次電源部によって発生された磁界に応じて電磁誘導作用により電力を発生する2次電源部と、
発生された前記電力により充電される第1蓄電部と、
発生された前記電力により充電され、予め定められた規定値まで充電される時間が前記第1蓄電部より小さい第2蓄電部と、
前記第2蓄電部の電圧が前記規定値を超えたときに動作し、前記2次電源部から前記第1蓄電部への第1給電経路を開閉して前記第1蓄電部の充電を制御する制御部と、
を備えることを特徴とする充電制御装置。
【請求項2】
前記第2蓄電部は、前記第1給電経路が開いているときに、発生された前記電力により充電され、
前記制御部は、前記第1給電経路を開いて前記第2蓄電部を充電する処理、および、前記第1給電経路を閉じて前記第1蓄電部を充電する処理を繰り返すことにより、前記第1蓄電部の充電を制御すること、
を特徴とする請求項1に記載の充電制御装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記第2蓄電部の電圧が予め定められた第1閾値より小さくなったときに前記第1給電経路を開いて前記第1蓄電部への充電を停止すること、
を特徴とする請求項2に記載の充電制御装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記第1給電経路を閉じて前記第1蓄電部への充電を開始してから予め定められた第1時間を経過したときに前記第1給電経路を開いて前記第1蓄電部への充電を停止すること、
を特徴とする請求項2に記載の充電制御装置。
【請求項5】
前記第1蓄電部の電圧を検出する電圧検出部をさらに備え、
前記制御部は、検出された前記電圧が予め定められた第2閾値を超えたときに、前記第1給電経路を閉じた状態に固定すること、
を特徴とする請求項1に記載の充電制御装置。
【請求項6】
前記制御部は、動作開始から予め定められた第2時間が経過し、かつ、検出された前記電圧が前記第2閾値を超えたときに、前記第1給電経路を閉じた状態に固定すること、
を特徴とする請求項5に記載の充電制御装置。
【請求項7】
前記制御部に供給される電圧が予め定められた第3閾値以下となったときに、前記制御部の動作をリセットするリセット部と、
前記制御部の動作が停止されたときに前記第1給電経路を開く切替部と、をさらに備えること、
を特徴とする請求項1に記載の充電制御装置。
【請求項8】
前記2次電源部により発生された電力により動作する負荷部をさらに備え、
前記制御部は、さらに、前記2次電源部から前記負荷部への第2給電経路を開閉して前記負荷部の動作を制御すること、
を特徴とする請求項1に記載の充電制御装置。
【請求項9】
前記制御部は、前記第2給電経路を閉じて前記負荷部を動作させる場合に、前記第1給電経路を開いて前記第1蓄電部の充電を停止すること、
を特徴とする請求項8に記載の充電制御装置。
【請求項10】
前記負荷部は、前記第1蓄電部の充電状態を表示する表示部であること、
を特徴とする請求項9に記載の充電制御装置。
【請求項11】
前記表示部は、LED(Light Emitting Diode)であること、
を特徴とする請求項10に記載の充電制御装置。
【請求項12】
前記負荷部は、時刻を表示する針を運針する運針部であること、
を特徴とする請求項9に記載の充電制御装置。
【請求項13】
前記負荷部は、前記2次電源部に発生する交流電力の周波数を検出するための周波数検出部と、前記2次電源部の共振周波数を電気的に調整するための周波数調整部とであること、
を特徴とする請求項9に記載の充電制御装置。
【請求項14】
前記負荷部は、前記1次電源部と前記2次電源部との位置のずれを検出する位置検出部であること、
を特徴とする請求項9に記載の充電制御装置。
【請求項15】
前記負荷部は、前記1次電源部と前記2次電源部との間で情報を通信する通信部であること、
を特徴とする請求項9に記載の充電制御装置。
【請求項16】
前記第2蓄電部は、コンデンサであり、
前記コンデンサの電流逆流を防止するダイオードをさらに備えること、
を特徴とする請求項1に記載の充電制御装置。
【請求項17】
請求項1〜16のいずれか1項に記載の充電制御装置を備えることを特徴とする電子時計。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2011−114911(P2011−114911A)
【公開日】平成23年6月9日(2011.6.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−267943(P2009−267943)
【出願日】平成21年11月25日(2009.11.25)
【出願人】(000006932)リコーエレメックス株式会社 (708)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年6月9日(2011.6.9)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年11月25日(2009.11.25)
【出願人】(000006932)リコーエレメックス株式会社 (708)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]