説明

光コネクタ用フェルール

【課題】光コネクタ用フェルールの小型化を図ることができ、複数本の光ファイバを高精度に位置決めすることができ、光コネクタ用フェルールを製造する際の製造コストを下げて光コネクタ用フェルールの低コスト化を図ることができる光コネクタ用フェルールを提供する。
【解決手段】光コネクタ用フェルール1は、接続端面13と、接続端面13に達するように形成されて複数本の光ファイバ4,5をそれぞれ位置決めする光ファイバ保持用の溝部分31,32と、溝部分につながるように形成された基板保持空間部41,42とを有するハウジング部11と、光ファイバ3,6をそれぞれ挿入して位置決めして保持するための複数の光ファイバ挿通孔51,61を有しハウジング部11の基板保持空間部41,42に挿入することでハウジング部11に対して保持される基板21,22とを備え、この基板21,22は、ハウジング部11の溝部分31,32に位置決めされた光ファイバ4,5を溝部分31,32側に押さえ付けて保持する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光コネクタ用フェルールに関し、特に光通信における光ファイバ相互間の接続部や光半導体等の光モジュールの接続部等に使用される光コネクタ用フェルールに関する。
【背景技術】
【0002】
光ファイバ網を含む情報網の発達により、光伝送の大容量化が急速に進んでいる。この光伝送の大容量化が進むのに伴って、光通信における光ファイバ相互間の接続部や光半導体等の光モジュールの接続部等に使用される光コネクタ用フェルールは、多心の光ファイバを二次元のマトリックス状に精度良くしかも高密度に配列して保持することが要求されている。
【0003】
この種の光コネクタ用フェルールは、プラスチックの成形部品であり、光コネクタ用フェルールは、複数のV溝基板を有している。各V溝基板は一方の面に複数本のV溝を有しており、各V溝基板を積み重ねて、各V溝には光ファイバを位置決めできるようになっている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平5−273442号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、特許文献1に記載されている技術では、各V溝基板のV溝にそれぞれ光ファイバを位置決めできるだけであり、多心の光ファイバの本数が多い場合には光コネクタ用フェルールを構成するV溝基板の積み重ね枚数が増加するばかりでなく部品点数が増加して構造が複雑化してしまい、光コネクタ用フェルールの小型化が難しい。
【0005】
また、光コネクタ用フェルールをプラスチック成形する際に、光コネクタ用フェルールに対して複数の細い光ファイバ挿通孔を形成して、これらの光ファイバ挿通孔にそれぞれ光ファイバを通して保持する場合もある。この場合には、複数の細い光ファイバ挿通孔を形成するために、複数の細長い成形ピンを有する成形金型が用いられるが、この成形金型は構造が複雑なので高価であり、成形中に何らかの原因で複数の細長い成形ピンが曲がったり全部が破損してしまうと、この成形金型は使用することができなくなってしまう。多心の光ファイバの本数が多く、例えば48本の光ファイバを保持する場合には、成形金型は48本の細長い成形ピンが必要となり高価になってしまう。このため、光コネクタ用フェルールの製造コストが低減できない問題がある。
【0006】
そこで、本発明は上記課題を解消するために、光コネクタ用フェルールの小型化を図ることができ、複数本の光ファイバを高精度に位置決めすることができ、光コネクタ用フェルールを製造する際の製造コストを下げて光コネクタ用フェルールの低コスト化を図ることができる光コネクタ用フェルールを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解消するために、本発明の光コネクタ用フェルールは、多心光ファイバテープ心線の被覆を除去して複数本の光ファイバを露出した前記多心光ファイバテープ心線を位置決めして保持するための光コネクタ用フェルールであって、
接続端面と、前記接続端面に達するように形成されて複数本の前記光ファイバをそれぞれ位置決めする光ファイバ保持用の溝部分と、前記溝部分につながるように形成された基板保持空間部とを有するハウジング部と、
前記光ファイバをそれぞれ挿入して位置決めして保持するための複数の光ファイバ挿通孔を有し、前記ハウジング部の前記基板保持空間部に挿入することで前記ハウジング部に対して保持される基板であり、前記ハウジング部の前記溝部分に挿入して位置決めされた複数本の前記光ファイバを前記溝部分側に押さえ付けて保持するための前記基板と、
を備えることを特徴とする。
【0008】
本発明の光コネクタ用フェルールは、好ましくは前記ハウジング部は、複数列の前記溝部分と、複数の前記基板保持空間部を有しており、
複数の前記基板保持空間部には、それぞれ板状の前記基板が挿入して位置決めして保持されていることを特徴とする。
本発明の光コネクタ用フェルールは、好ましくは前記ハウジング部の各前記基板の少なくとも一方の面に対応して、前記溝部分が形成されていることを特徴とする。
【0009】
本発明の光コネクタ用フェルールは、好ましくは前記溝部分は、断面がV字形のV溝部分であることを特徴とする。
本発明の光コネクタ用フェルールは、好ましくは前記ハウジング部と前記基板との間には、前記基板を前記ハウジング部に対して位置決めするための位置決め部が設けられていることを特徴とする。
【0010】
本発明の光コネクタ用フェルールは、好ましくは前記基板は、複数の前記光ファイバ挿通孔と、複数本の前記光ファイバを保持する断面がV字形の溝形成部分とを有することを特徴とする。
本発明の光コネクタ用フェルールは、好ましくは前記基板には、前記ハウジング部の前記溝部分と対応する位置に基板溝部分が形成されており、前記ハウジング部の前記溝部分と前記基板溝部分の間には、前記光ファイバが位置決めして保持されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、光コネクタ用フェルールの小型化を図ることができ、複数本の光ファイバを高精度に位置決めすることができ、光コネクタ用フェルールを製造する際の製造コストを下げて光コネクタ用フェルールの低コスト化を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、図面を参照して、本発明の好ましい実施形態を詳細に説明する。
<第1実施形態>
図1は、本発明の光コネクタ用フェルールの好ましい実施形態を示す斜視図である。図2は、図1に示す光コネクタ用フェルールのB−B線における断面を示しており、光ファイバ3〜6が対応する光ファイバ挿通孔51,61と、第1V溝部分31と第2V溝部分32に挿入される前の状態を示す図である。
図3は、光ファイバ3〜6が挿入された後の状態を示す図である。図4は、光コネクタ用フェルールの接続端面13を図3のG方向から見た形状例を示す正面図である。
【0013】
図1と図2には、光コネクタ用フェルール1と、この光コネクタ用フェルール1内に挿入して保持される4枚の光ファイバテープ心線2A、2B、2C、2Dとを示している。
図2と図3に示すように、光コネクタ用フェルール1は、一例として4枚の積層された光ファイバテープ心線2A〜2Dの各光ファイバ3〜6を挿入して位置決めして保持するようになっている。光ファイバテープ心線2A〜2Dは、それぞれ例えば12本の光ファイバ3〜6を被覆材59により被覆することで直列に並べて保持している。
【0014】
図1〜図4に示す光コネクタ用フェルール1は、光通信における光ファイバ相互間の接続部や光半導体等の光モジュールの接続部等に使用される。光コネクタ用フェルール1は、光ファイバテープ心線2A〜2Dの被覆材59を除去して光ファイバ3〜6を露出した状態の光ファイバテープ心線2A〜2Dを位置決めして保持する。光ファイバ3〜6の本数は、12本×4列=48本である。各光ファイバ3〜6は、コアとこのコアの周囲を覆っているクラッドから構成されている。
【0015】
図1と図2に示すように、光コネクタ用フェルール1は、例えばプラスチック材料を用いた成形により作られている。光コネクタ用フェルール1は、本体であるハウジング部11と、第1基板21と第2基板22と、を有している。第1基板21は第1サブフェルールともいい、第2基板22は第2サブフェルールともいう。
【0016】
図1に示すように、ハウジング部11は、ほぼ直方体形状を有しており、フランジ部12と、接続端面13と、4つの側面15,16,17,18を有している。図2に示すように、一方の側面15には、開口部14が形成されており、対面する他方の側面17には、別の開口部14が形成されている。開口部14は、ハウジング部11内に接着剤を注入するために形成されている。
【0017】
図1と図2に示すように、ハウジング部11の内部には、第1V溝部分31と第2V溝部分32と、第1基板21を挿入するための第1基板保持空間部41と第2基板22を挿入するための第2基板保持空間部42が、L方向に沿って平行に形成されている。各第1V溝部分31は、ハウジング部11の中壁19の上面側においてL方向に沿って平行に形成されている。各第2V溝部分32は、ハウジング部11の中壁19の下面側においてL方向に沿って平行に形成されている。第1V溝部分31と第2V溝部分32は、断面でみてV字形の複数の溝から構成されている光ファイバ保持用の溝部分であり、第1V溝部分31と第2V溝部分32は、互いに反対方向に向いて形成されている。
【0018】
図1と図2に示すように、第1基板21と第2基板22は、平板状の部材であり同じ形状を有しており、第1基板21は上向きに使用され、第1基板保持空間部41内に挿入されるようになっている。また、第2基板22は逆に下向きに使用され、第2基板保持空間部42内に挿入されるようになっている。
【0019】
図1と図2に示すように、第1基板21は、複数本の第1V溝形成部分50と、複数個の第1光ファイバ挿通孔51と、平面支持部分53を有している。12本の第1V溝形成部分50と、12個の第1光ファイバ挿通孔51はそれぞれL方向に関して対応した位置に形成されている。図3に示すように、第1V溝形成部分50は光ファイバ3をはめ込むことで位置決めして保持し、第1光ファイバ挿通孔51は光ファイバ3の先端部3Rを通すことで位置決めして保持するようになっている。
【0020】
同様にして、図1と図2に示すように、第2基板22は、複数本の第2V溝形成部分60と、複数個の第2光ファイバ挿通孔61と、平面支持部分63を有している。12本の第2V溝形成部分60と、12個の第2光ファイバ挿通孔61はそれぞれL方向に関して対応した位置に形成されている。図3に示すように、第2V溝形成部分60は光ファイバ6をはめ込んで位置決めして保持し、第2光ファイバ挿通孔61は光ファイバ6の先端部6Rを通すことで位置決めして保持するようになっている。
【0021】
第1基板21の12個の第1光ファイバ挿通孔51は、第1基板21をプラスチック成形する際に、成形金型を用いて成形する。この成形金型は、1列が12本の細い丸棒状の成形ピンを備えている。同様にして、第2基板22の12個の第2光ファイバ挿通孔61は、第2基板22をプラスチック成形する際に、成形金型を用いて成形する。この成形金型は上記金型と同じ構造のものである。
【0022】
これにより、12個の第1光ファイバ挿通孔51と12個の第2光ファイバ挿通孔61は、12本の細い丸棒状の成形ピンを備える成形金型を用いて形成することができ、光ファイバの本数が多くても、より単純な形状の成形金型を使用するだけで済むので、成形金型のコスト高を避けることができる。この成形金型を使用する場合に、最大でも12本の成形ピンが破損するだけであるので、12本を超える例えば48本の成形ピンを備える成形金型を用いる場合に比べて、成形金型の交換は低コストで済む。
【0023】
一方、図1に示すように、ハウジング部11の接続端面13には、2つのガイドピン穴65,65と、第1基板21の第1基板保持空間部41と第2基板22の第2基板保持空間部42が形成されている。2つのガイドピン穴65,65は、接続端面13からフランジ部12に達するようにX方向とY方向に直交するL方向に沿って形成されている断面円形状の貫通穴であり、位置合わせするためのガイドピン(図示せず)を挿入するようになっている。
【0024】
図1と図2を参照すると、第1基板21の第1基板保持空間部41は、側面部15の側壁15Bと、中壁19と、左右の側面16,18の各内面16B、18Bとにより形成されている。同様にして、第2基板22の第2基板保持空間部42は、側面部17の側壁17Bと、中壁19と、左右の側面16,18の各内面16B、18Bとにより形成されている。
【0025】
図4に例示するように、好ましくは、側面部15の側壁15Bには凹部67が形成され、第1基板21には凸部68が形成されている。凹部67と凸部68は、ハウジング部11に対して第1基板21を位置決めするための位置決め部を構成している。これにより、凸部68が凹部67にはめ込まれることで、第1基板21がハウジング11に対してY方向に関して確実に位置決めできる。
また、好ましくは、内面18Bには凹部69が形成され、第2基板22には凸部70が形成されている。凹部69と凸部70は、ハウジング部11に対して第2基板22を位置決めするための位置決め部を構成している。これにより、凸部70が凹部69にはめ込まれることで、第2基板22がハウジング11に対してY方向に関して確実に位置決めできる。
【0026】
次に、上述した光コネクタ用フェルール1を組立ながら光ファイバ3〜6を位置決めして保持する方法について説明する。
図1と図2に示す第1基板21と第2基板22を、ハウジング部11の第1基板保持空間部41と第2基板保持空間部42にそれぞれ挿入して装着する。第1基板21の先端面と第2基板22の先端面は、図3と図4に示すように接続端面13と面一になっている。
【0027】
次に、12本の光ファイバ3を、第1基板21の第1V溝形成部分50内に位置決めして保持するとともに第1光ファイバ挿通孔51に挿入する。12本の光ファイバ4を、第1基板21の平面支持部分53と各第1V溝部分31の間に挿入することで、第1基板21の平面支持部分53は光ファイバ4を第1V溝部分31側に押し付けるようにして位置決めして保持する。
【0028】
12本の光ファイバ5を、第2基板22の平面支持部分63と各第2V溝部分32の間に挿入することで、第2基板22の平面支持部分63は光ファイバ5を第2V溝部分32側に押し付けるようにして位置決めして保持する。12本の光ファイバ6は、第2基板22の第2V溝形成部分60内に位置決めして保持するとともに、第2光ファイバ挿通孔61に挿入する。
【0029】
これにより、図4に示すように、光ファイバ3〜6の先端部3R〜6Rは、接続端面13においてそれぞれY方向に沿って12本直列に配列されるとともに、接続端面13においてX方向に沿って4列平行に配列でき、光ファイバ3〜6は、接続端面13においてX方向とY方向に関してマトリックス状に配列することができる。この場合に、図3に示すように、先端部3R〜6Rは、接続端面13から所定長さ分突出させておく。
その後、図3に示す2つの開口部14,14から接着剤を注入して光ファイバ3,4,5,6を固定するとともに、積層された光ファイバテープ心線2A、2B、2C、2Dをフランジ部12内の保持空間部78内で固定する。
【0030】
<第2実施形態>
次に、図5を参照して、本発明の光コネクタ用フェルールの好ましい第2実施形態を説明する。
図5は、図4と同様に光コネクタ用フェルールの第2実施形態の接続端面の形状例を示している。図5に示す第2実施形態の構成要素と、図4に示す第1実施形態の対応する構成要素が同じである場合には、同じ符号を記してその説明を用いることにする。
【0031】
図5に示す第2実施形態が図4に示す第1実施形態に比べて異なるのは、各第2V溝部分32が各第1V溝部分31と同様にして、第2基板22の下側になるように形成されており、第2基板22は、第1基板21と同じ向きになるように取り付けられていることである。これにより、各光ファイバ6は第2基板22の第2基板22の平面支持部分63と各第2V溝部分32の間に挿入することで、平面支持部分63は光ファイバ6を第2V溝部分32側に押し付けるようにして位置決めして保持する。
【0032】
<第3実施形態>
次に、図6を参照して、本発明の光コネクタ用フェルールの好ましい第3実施形態を説明する。
図6は、図5と同様に光コネクタ用フェルール1の第2実施形態の接続端面13の形状例を示している。図6に示す第3実施形態の構成要素と、図5に示す第2実施形態の対応する構成要素が同じである場合には、同じ符号を記してその説明を用いることにする。
【0033】
図6に示す第3実施形態が図5に示す第2実施形態に比べて異なるのは、ハウジング11側には、第1V溝部分31Bと第2V溝部分32Bが形成されているだけでなく、第1基板21の下面側にも第1基板V溝部分31Cと第2基板V溝部分32Cが形成されていることである。第1V溝部分31Bと第1基板V溝部分31Cは、線対称になるように形成されており、第2V溝部分32Bと第2基板V溝部分32Cも線対称になるように形成されている。
【0034】
これにより、各光ファイバ4は第1基板21の第1基板V溝部分31Cと第1V溝部分31Bとの間に挿入することで、挟まれるようにして位置決めして保持する。各光ファイバ6は第2基板22の第2基板V溝部分32Cと第2V溝部分32Bとの間に挿入することで、挟まれるようにして位置決めして保持する。第1基板21の第1基板V溝部分31Cと第2基板22の第2基板V溝部分32Cは、基板溝部分の一例である。
【0035】
<第4実施形態>
次に、図7を参照して、本発明の光コネクタ用フェルールの好ましい第4実施形態を説明する。
図7に示す第4実施形態では、1つの基板33Dが、ハウジング部11Dの基板保持空間部41G内に挿入して位置決めして保持されている。基板33Dの一方の面と他方の面には、それぞれV溝部分31FとV溝部分32Fが形成されている。この例では、光ファイバ3を基板33DのV溝部分31Fと基板33Dの一方の面の間に挿入することで、基板33Dの一方の面が光ファイバ3をV溝部分31Fに対して押し付けるようにして位置決めして保持する。
【0036】
光ファイバ5を基板33DのV溝部分32Fと基板33Dの他方の面の間に挿入することで、基板33Dの他方の面が光ファイバ5をV溝部分32Fに対して押し付けるようにして位置決めして保持する。光ファイバ4は、基板33Dの光ファイバ挿通孔に挿入して位置決めして保持している。これにより、ハウジング11Dと、1つの基板33Dとを用いるだけで、3列の合計36本の光ファイバ3,4,5を挿入して位置決めして保持できる。
【0037】
本発明の実施形態の光コネクタ用フェルールは、多心光ファイバテープ心線の被覆を除去して複数本の光ファイバを露出した多心光ファイバテープ心線を位置決めして保持するための光コネクタ用フェルールであり、接続端面と、前記接続端面に達するように形成されて複数本の前記光ファイバをそれぞれ位置決めする光ファイバ保持用の溝部分と、前記溝部分につながるように形成された基板保持空間部とを有するハウジング部と、前記光ファイバをそれぞれ挿入して位置決めして保持するための複数の光ファイバ挿通孔を有し、前記ハウジング部の前記基板保持空間部に挿入することで前記ハウジング部に対して保持される基板であり、前記ハウジング部の前記溝部分に挿入して位置決めされた複数本の前記光ファイバを前記溝部分側に押さえ付けて保持するための前記基板と、を備える。
【0038】
これにより、ハウジング部内に基板を挿入して保持するだけで、複数本の光ファイバは、基板とハウジング部に分担して位置決めして保持することができる。すなわち、従来のように光ファイバの本数が増えるにしたがってV溝基板を積み重ねる構造ではないので、光コネクタ用フェルールの小型化を図ることができ、複数本の光ファイバを高精度に位置決めすることができる。
【0039】
光コネクタ用フェルールを製造する際には、基板側に光ファイバ挿通孔を形成するための成形金型を用いるだけで済むので、従来のように多心の光ファイバの本数に対応する成形ピンを有する成形金型を用意する必要がない。このため、光コネクタ用フェルールの製造コストを下げて光コネクタ用フェルールの低コスト化を図ることができる。
【0040】
ハウジング部は、複数列の前記溝部分と、複数の前記基板保持空間部を有しており、複数の基板保持空間部には、それぞれ板状の基板が挿入して位置決めして保持されている。これにより、基板はハウジング部内に簡単に位置決めして保持でき、ハウジング部と基板の組立が容易である。
【0041】
ハウジング部の各基板の少なくとも一方の面に対応して、溝部分が形成されている。これにより、基板は、溝部分に配置された光ファイバを溝部分側に押し付けるようにして容易に保持することができる。
【0042】
溝部分は、断面がV字形のV溝部分である。これにより、光ファイバは溝部分において確実に入れ込んで位置決めさせることができる。
ハウジング部と基板との間には、基板をハウジング部に対して位置決めするための位置決め部が設けられている。これにより、ハウジング部と基板の位置決めが容易に行える。
【0043】
基板は、複数の光ファイバ挿通孔と、複数本の光ファイバを保持する断面がV字形の溝形成部分とを有することを特徴とする。これにより、光ファイバは、溝形成部分内に入れ込んで位置決めして保持できると共に、光ファイバは光ファイバ挿通孔に通すことで位置決めすることができる。
【0044】
基板には、ハウジング部の溝部分と対応する位置に基板溝部分が形成されており、ハウジング部の溝部分と基板溝部分の間には、光ファイバが位置決めして保持されている。これにより、光ファイバは、ハウジング部の溝部分と基板の基板溝部分により挟み込むことができ、容易に位置決めして保持できる。
【0045】
ところで、本発明は、上記実施形態に限定されず種々の変形例を採用できる。
例えば、上述した本発明の各実施形態は、任意に組み合わせて構成することができる。
また、ハウジング部に挿入して保持する基板の枚数は、1枚あるいは2枚に限らず、多心の光ファイバの配列数に応じて、3枚以上であっても良い。各基板が挿入して位置決めできる光ファイバの本数と、各V溝部分に位置決めして保持できる光ファイバの本数は、12本に限らず、2本以上であれば任意に選択することができる。
基板の位置決め部を構成する凹部と凸部の形成数や形成位置は、特に限定されない。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】本発明の光コネクタ用フェルールの好ましい第1実施形態を示す斜視図である。
【図2】図1に示す光コネクタ用フェルールのB−B線における断面を示しており、光ファイバが対応する光ファイバ挿通孔とハウジング部の溝部分に挿入される前の状態を示す図である。
【図3】光ファイバが対応する光ファイバ挿通孔に挿入された後の状態を示す図である。
【図4】光コネクタ用フェルールの接続端面を図3のG方向から見た形状例を示す正面図本発明の光コネクタ用フェルールの好ましい実施形態を示す斜視図である。
【図5】本発明の光コネクタ用フェルールの好ましい第2実施形態を示す正面図である。
【図6】本発明の光コネクタ用フェルールの好ましい第3実施形態を示す正面図である。
【図7】本発明の光コネクタ用フェルールの好ましい第4実施形態を示す正面図である。
【符号の説明】
【0047】
1 光コネクタ用フェルール
2A、2B、2C、2D 光ファイバテープ心線
3〜6 光ファイバ
11 ハウジング部
13 接続端面
21 第1基板
22 第2基板
31 第1V溝部分
32 第2V溝部分
41 第1基板保持空間部
42 第2基板保持空間部
50 第1V溝形成部分
51 第1光ファイバ挿通孔
53 平面支持部分
60 第2V溝形成部分
61 第2光ファイバ挿通孔
63 平面支持部分

【特許請求の範囲】
【請求項1】
多心光ファイバテープ心線の被覆を除去して複数本の光ファイバを露出した前記多心光ファイバテープ心線を位置決めして保持するための光コネクタ用フェルールであって、
接続端面と、前記接続端面に達するように形成されて複数本の前記光ファイバをそれぞれ位置決めする光ファイバ保持用の溝部分と、前記溝部分につながるように形成された基板保持空間部とを有するハウジング部と、
前記光ファイバをそれぞれ挿入して位置決めして保持するための複数の光ファイバ挿通孔を有し、前記ハウジング部の前記基板保持空間部に挿入することで前記ハウジング部に対して保持される基板であり、前記ハウジング部の前記溝部分に挿入して位置決めされた複数本の前記光ファイバを前記溝部分側に押さえ付けて保持するための前記基板と、
を備えることを特徴とする光コネクタ用フェルール。
【請求項2】
前記ハウジング部は、複数列の前記溝部分と、複数の前記基板保持空間部を有しており、
複数の前記基板保持空間部には、それぞれ板状の前記基板が挿入して位置決めして保持されていることを特徴とする請求項1に記載の光コネクタ用フェルール。
【請求項3】
前記ハウジング部の各前記基板の少なくとも一方の面に対応して、前記溝部分が形成されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の光コネクタ用フェルール。
【請求項4】
前記溝部分は、断面がV字形のV溝部分であることを特徴とする請求項3に記載の光コネクタ用フェルール。
【請求項5】
前記ハウジング部と前記基板との間には、前記基板を前記ハウジング部に対して位置決めするための位置決め部が設けられていることを特徴とする請求項4に記載の光コネクタ用フェルール。
【請求項6】
前記基板は、複数の前記光ファイバ挿通孔と、複数本の前記光ファイバを保持する断面がV字形の溝形成部分とを有することを特徴とする請求項5に記載の光コネクタ用フェルール。
【請求項7】
前記基板には、前記ハウジング部の前記溝部分と対応する位置に基板溝部分が形成されており、前記ハウジング部の前記溝部分と前記基板溝部分の間には、前記光ファイバが位置決めして保持されていることを特徴とする請求項2〜請求項4のいずれか1つの項に記載の光コネクタ用フェルール。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−229505(P2009−229505A)
【公開日】平成21年10月8日(2009.10.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−71263(P2008−71263)
【出願日】平成20年3月19日(2008.3.19)
【出願人】(000005290)古河電気工業株式会社 (4,457)
【Fターム(参考)】