説明

光コンセント

【課題】光コネクタの挿入位置の分かり易くした光コンセントを提供する。
【解決手段】電気的接続のための接続部4と光コネクタ接続用の光アダプタ5とを備えた光コンセントであって、光アダプタ5の上面に凸部21を設け、その上面に自体が光アダプタ5であることを示す表示部22を設ける。光コンセントは、化粧パネル1の内側に光コネクタ接続用の光アダプタ5を備え、前面側に電話用モジュラージャック、電源用コンセント、TV用アンテナ端子を含む電気的接続のための接続部4を設け、前記光アダプタ5に対する光コネクタ挿入用の開口部6を化粧パネル1の片側一端における上下対称箇所に設ける。また、化粧パネル1には、前記光アダプタ5上面の凸部21を嵌挿させるための窓孔23を設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、屋内に引き込まれた光屋外線または光屋内線と宅内光コードとの接続に使用する光コンセントに関する。
【背景技術】
【0002】
光コンセントには、建物内の配管出口に埋め込み設置する光アウトレットと、建物内に露出設置する光ローゼットとがある。例えば、特許文献1に開示されているようなアウトレット構造による光コンセントの場合は、コンセントプレート前面に接続部を複数個設け、電話用モジュラージャックを配設する以外に電源用コンセント、TV用アンテナ端子等を配設するように、これらを組み合わせる形態とされ、コンセントプレートの下方側には、光回線終端装置(ONU:Optical Network Unit)と接続する光学的接続の接続口、例えば、単心用又は多心用の光アダプタの光コネクタ接続口が下方に向くように取付けられ、光コネクタはプレート面と平行な下方から接続口に挿入して接続するものとされている。
【0003】
また、この特許文献1においては、コンセントプレートにおける光アダプタの取付位置を上下に設け、使用しない側をキャップで塞いでおくことにより、光アダプタをコンセントプレートの左右いずれにも対応して取付可能にされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−281807号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記した従来における特許文献1の光コンセントによる場合は、光回線終端装置と接続する光アダプタの光コネクタ接続口がコンセントプレートの下方に向けられているため、当該接続口がコンセントプレートの左右いずれにあるのか非常に分かり難いものであった。
【0006】
また、光アダプタの光コネクタ接続口がコンセントプレートの左右いずれにあるのかを確認できるようにするために、当該光アダプタの設置位置を示す注意喚起シールをコンセントプレートの前面に貼ることも可能であるが、その注意喚起シールを貼り忘れたり、あるいは剥がれて無くなったりする場合が往々にしてある。このようなときにも前記同様、接続口の位置が分かり難いという問題が生ずる。
【0007】
そこで、本発明は、叙上のような従来存した諸事情に鑑み案出されたもので、化粧パネルに注意喚起シールを貼り忘れたり、あるいは剥がれて無くなったりしても、光コネクタの挿入位置が分かり易いようにした光コンセントを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決するために、本発明にあっては、電気的接続のための接続部と光コネクタ接続用の光アダプタとを備えた光コンセントであって、光アダプタの上面に凸部を設け、その上面に自体が光アダプタであることを示す表示部を設けたことを特徴とする。
【0009】
化粧パネルの内側に光コネクタ接続用の光アダプタを備え、前面側に電話用モジュラージャック、電源用コンセント、TV用アンテナ端子を含む電気的接続のための接続部が設けられ、前記光アダプタに対する光コネクタ挿入用の開口部を化粧パネルの片側一端における上下対称箇所に設けることで挿入口を左右どちらでも選択できるようにしてなる光コンセントであって、光アダプタの上面に凸部を設け、その上面に自体が光アダプタであることを示す表示部を設けたことを特徴とする。
【0010】
化粧パネルには、前記光アダプタ上面の凸部を嵌挿させるための窓孔を設け、前記凸部上面の表示部をこの窓孔を通して化粧パネルの表側から視認できるようにしてある。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、光アダプタそのものに表示部があるので、従来のように化粧パネルに注意喚起シールを貼り忘れたり、当該シールが不用意に剥がれてしまったりしても光コネクタの挿入位置が分かり易いものとなった。
【0012】
また、光アダプタに対する光コネクタ接続用の開口部を化粧パネルの片側一端における上下対称箇所に設けることで挿入口を左右どちらでも選択できるようにしてなる光コンセントにおいて、化粧パネルの取付方向を逆にして光コネクタの取り込み方向を左右逆にしても、注意喚起用の表示部の上下方向の向きを変更する必要がない。
【0013】
さらに、化粧パネルには、前記光アダプタ上面の凸部を嵌挿させるための窓孔を設け、前記凸部上面の表示部をこの窓孔を通して化粧パネルの表側から視認できるようにしたので、光コネクタの挿入位置が容易に判別できる。すなわち、光アダプタはスイッチボックスの設置条件で装着位置が異なる(右端あるいは左端)ので、これに対応するためにも光アダプタ上面の凸部上面にある表示部に例えばプラグ挿入方向を示すマークや文字等の表示を付し、化粧パネルの窓孔を通して当該表示が見えることで、光コネクタの挿入位置が容易に判別でき、化粧パネル自体に注意喚起シール等の表示を施さなくても済むものである。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明を実施するための光コンセントの一例を示す分解斜視図である。
【図2】同じく光アダプタの一例を示し、(a)は上面図、(b)は側面図、(c)は側面図、(d)は正面図、(e)は下面図である。
【図3】同じく光コンセントの使用の一例を示すもので、(a)は正面図、(b)は180度回転して使用した場合の正面図である。
【図4】(a)はキャップおよび光アダプタを取り付けていない空状態の光コンセントの図3(a)のA−A拡大断面図、(b)はキャップおよび光アダプタを取り付けた状態の光コンセントの図3(a)のA−A拡大断面図である。
【図5】2口型の接続部を備えた光コンセントを示す分解斜視図である。
【図6】3口型の接続部を備えた光コンセントを示す分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照して本発明に係る光コンセントの一形態を説明する。
【0016】
本発明に係る光コンセントは、図1、図4(a)に示すように、中央の縦長の開口部2aを介して、例えば電話用モジュラージャックやLAN用モジュラージャック等を取付固定した状態で不図示のアウトレットボックスの前面開口部側にネジ止め固定されるネジ孔2b、2c、2d、2eを有するアダプタベース2と、該アダプタベース2に前面から取付けられ、電話用モジュラージャックを含む電気的接続のための複数口の例えば3個が縦一列となった接続部4を形成してなる1口型の化粧パネル1とを備えている。
【0017】
このアダプタベース2には、図1、図2、図4(a)、図4(b)に示すように、例えば光回線終端装置側の光コネクタと使用者側の光コネクタとの二つの光コネクタ同士を接続するためのシャッタ機構Qを備えた光アダプタ5が当該アダプタベース2に形成されている保持爪部Hによって把持された状態で配されている。また、化粧パネル1には、光アダプタ5に対する使用者側光コネクタ接続用の開口部6が化粧パネル1の片側一端における上下対称箇所に設けられている。
【0018】
光アダプタ5は、斜め上方向に向けて開口している一方の嵌合部Aの開口端にシャッタ機構Qを備え、水平方向に開口している他方の嵌合部Bの開口端には、光アダプタ5の不使用の場合においては、密閉キャップ5a(図1参照)によって閉塞され、一方、光アダプタ5を使用する場合においては嵌合部Bから当該キャップ5aが取り外されて化粧パネル1に取り付けられる。
【0019】
すなわち、光アダプタ5は、図2(a)乃至図2(e)、図4(b)に示すように、上側壁13aと左右の側壁13c、13dとが一体に形成して成り、底壁13bが上側壁13aに対向して左右の側壁13c、13d間に取り付けられている。図2(b)、図4(b)に示すように、光アダプタ5の中央には略コ字枠状となったスリーブホルダ19が配置され、その内側にスリーブ20が内装されている。
【0020】
一方の嵌合部Aの開口端には、当該嵌合端と同じ斜め配置で当該嵌合端を閉鎖するためのシャッタ機構Qを構成するシャッタ板11が内側に開閉可能となるように設けられている。すなわち、図2(c)、図4(b)に示すように、シャッタ板11は、その下端左右対称位置に支軸15を一体に突設し、該支軸15の両端部を、底壁13b、左右側壁13c、13dそれぞれの各凹部によって形成される軸孔16に回動可能に支承させてある。
【0021】
そして、図2(a)、図2(d)、図4(b)に示すように、シャッタ板11下端と支軸15とが連設されている略中央には矩形状の開口部17が形成され、該開口部17を介して、略L字形状に折曲して形成された板バネ18を支軸15中央に外嵌合させ、板バネ18の一端を底壁3bに圧接させ、他端をシャッタ板11の内側面に圧接させることで当該シャッタ板11を閉鎖方向に付勢している。こうして開口部17は、板バネ18の弾性力によって常に閉止された状態となっており、一方の嵌合部Aに光コネクタを嵌合させることによって、シャッタ板11を板バネ18の押圧力に抗して開放させるものとしてある。
【0022】
また、光アダプタ5の上側壁13aにおけるシャッタ機構Q寄り側には、略矩形平板突起状の凸部21を備えるとともに、その上面に自体が光アダプタ5であることを示す表示部22を備えている。この表示部22は例えばプラグ挿入方向を示す図示の如きマークや文字等によって形成されるが、他の表示方式によって形成しても良いことは勿論である。そして、前記凸部21に対応して、化粧パネル1の開口部6が位置する前面には略矩形開口状の窓孔23が形成されており、該窓孔23に内側から前記凸部21が嵌挿されることで、光アダプタ5は化粧パネル1の開口部6内側で収容固定されると同時に、表示部22が化粧パネル1の表側から窓孔23を通して視認できるものとなっている。
【0023】
さらに、開口部6は、前述したように化粧パネル1の片側一端における上下対称箇所に設けられており、一方の開口部6が使用可能とされている場合には、他方の開口部6は脱着可能としたキャップ9で閉塞される。
【0024】
すなわち、このキャップ9は、図1に示すように、開口部6に挿入された際に弾性的に圧潰されるよう略U字状の可撓片で形成されている。そして、この片側表面には上記した凸部21と同形の矩形平面突起状の凸部9aが形成されており、この凸部9aは上記した略矩形開口状の窓孔23に対応している。したがって、キャップ9が開口部6に挿入された際には、図4(b)に示すように、窓孔23に凸部9aが係合すると同時に、開口部6の上下両縁側にてキャップ9は固定される。一方、開口部6からキャップ9を取り出す場合には、内側から開口部6外方に向けてキャップ9を強制的に押し出せば良い。
【0025】
なお、図1に示すように、上下対称箇所に設けられた開口部6および窓孔23に対応して、上下一対の貼着部31を化粧パネル1の片側一端に設け、このうちの使用される開口部6に対応する貼着部31に注意喚起シールSを貼り付ることができる。
【0026】
また、上記した構成によって使用者側の光コネクタの取出方向は化粧パネル1の180度回転により左右共に可能となる。すなわち、図3に示すように、使用者側の光コネクタの接続位置を壁に向かって右端(図3(a)参照)あるいは左側(図3(b)参照)に配置したい場合には、化粧パネル1を180度回転させることによって右端配置、左端配置いずれかの位置を選べば良い。
【0027】
さらに、本発明に係る光コンセントは、上述したように3個の接続部4が縦一列となった1口型の化粧パネル1である場合の他に、図5に示すように、3個の接続部4が縦二列となった2口型の化粧パネル1である場合、図6に示すように、3個の接続部4が縦三列となった3口型の化粧パネル1である場合それぞれに対応させることができる。このとき、アダプタベース2等の機構部品に寸法上の変更があった場合にはスペーサ3を使用することとなる。
【0028】
次に、以上のように構成された最良の形態についての組立、使用の一例について説明する。
【0029】
先ず、例えば電話用モジュラージャックやLAN用モジュラージャック等を取付固定した状態でアウトレットボックスの前面開口部側にネジ止め固定されているアダプタベース2と壁面との間に形成されている隙間を利用して光屋内線が取り出される。また、必要に応じてアダプタベース2のネジを緩めてアダプタベース2と壁面との間に充分な隙間を確保しておく。
【0030】
そして、図1に示すように、化粧パネル1の接続部4は、このマスクプレート27の不要な位置のものを内側から押し出して外して使用する。例えば、2個のマスクプレート27のうちの1個を抜き、外して使用し、残りの1個のマスクプレート27は付けたまま等とする。
【0031】
化粧パネル1は、これを180°回転しての設置に伴い光アダプタ5の位置を左右いずれかに変更してアダプタベース2に取り付ける。すなわち、図3(a)に示すように、光アダプタ5の位置を化粧パネル1の左側に配置させた場合には、左下に位置する開口部6が使用され、一方、図3(b)に示すように、光アダプタ5の位置を化粧パネル1の右側に配置させた場合には、右下に位置する開口部6が使用される。なお、このときの光アダプタ5の他方の嵌合部Bには光回線終端装置側の光コネクタ(不図示)が嵌合接続されている。
【0032】
この開口部6に光アダプタ5を取付る場合には、光アダプタ5の上側壁13aにおける凸部21を化粧パネル1の開口部6近傍の窓孔23に嵌挿させることで、光アダプタ5は化粧パネル1の開口部6内側で収容固定されると同時に、自体が光アダプタ5であることを促す例えばプラグ挿入方向を示す図示の如きマークあるいは文字を表示した表示部22が窓孔23を通して化粧パネル1の表側から視認できるものとなる。
【0033】
一方、使用されない他方(上方)の開口部6は脱着可能としたキャップ9で閉塞される。このキャップ9が開口部6に挿入された際には、窓孔23に凸部9aが係合してキャップ9は固定される。
【0034】
なお、必要に応じて、使用される開口部6に対応する貼着部31には注意喚起シールSが貼り付けられる。
【0035】
化粧パネル1の開口部6への使用者側の光コネクタの挿入に際し、光アダプタ5の一方の嵌合部Aの開口端に使用者側の光コネクタを嵌合させる前では、シャッタ機構Qは、板バネ18により当該開口端を閉鎖している状態となっているが、使用者側の光コネクタの差し込みによってシャッタ機構Qが押され、板バネ18の弾発力に抗して開口端内側に当該シャッタ機構Qが傾倒し、水平状態となることで、当該光コネクタはスリーブホルダ19の一端に嵌合される。こうして光回線終端装置側の光コネクタと接続される。
【0036】
なお、上記した実施形態においては、光コンセントとして、建物内の配管出口に埋め込み設置する光アウトレット構成について説明したが、これに限らず、建物内に露出設置する光ローゼットに本発明による光コンセントを採用しても良い。
【符号の説明】
【0037】
A 一方の嵌合部
B 他方の嵌合部
Q シャッタ機構
S 注意喚起用シール
1 化粧パネル
2 アダプタベース
2a 開口部
2b、2c、2d、2e ネジ孔
3 スペーサ
4 接続部
5 光アダプタ
5a 密閉キャップ
6 開口部
9 キャップ
9a 凸部
11 シャッタ板
13a 上側壁
13c、13d 左右側壁
13b 底壁
15 支軸
16 軸孔
17 開口部
18 板バネ
19 スリーブホルダ
21 凸部
22 表示部
23 窓孔
27 マスクプレート
31 貼着部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気的接続のための接続部と光コネクタ接続用の光アダプタとを備えた光コンセントであって、光アダプタの上面に凸部を設け、その上面に自体が光アダプタであることを示す表示部を設けたことを特徴とする光コンセント。
【請求項2】
化粧パネルの内側に光コネクタ接続用の光アダプタを備え、前面側に電話用モジュラージャック、電源用コンセント、TV用アンテナ端子を含む電気的接続のための接続部が設けられ、前記光アダプタに対する光コネクタ挿入用の開口部を化粧パネルの片側一端における上下対称箇所に設けることで挿入口を左右どちらでも選択できるようにしてなる光コンセントであって、光アダプタの上面に凸部を設け、その上面に自体が光アダプタであることを示す表示部を設けたことを特徴とする光コンセント。
【請求項3】
化粧パネルには、前記光アダプタ上面の凸部を嵌挿させるための窓孔を設け、前記凸部上面の表示部をこの窓孔を通して化粧パネルの表側から視認できるようにした請求項2記載の光コンセント。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−113881(P2013−113881A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−257352(P2011−257352)
【出願日】平成23年11月25日(2011.11.25)
【出願人】(391005581)三和電気工業株式会社 (66)
【Fターム(参考)】