説明

光ディスクにデータストリームを符号化して記録する方法および記録された光ディスク

【課題】テキスト情報およびグラフィクスデータを含む字幕スーパーの冗長性を除去する。
【解決手段】字幕スーパーのビットマップサイズはビデオフレームのサイズを超えることがあり、その場合にはいちどに一部のみが表示される。前記ビットマップは、複数の透明ピクセルを含む。1フレーム当たり1920×1280ピクセルのHDTVに対するビットマップ符号の最新の適応化手段はブルーレイディスクプリレコーデッド規格として定められており、このような字幕スーパーのビットマップに最適な圧縮効果が得られる。方法は4つのステップから成るランレングス符号化方法である。すなわち、所定色(透明)のピクセルの短いシーケンスおよび長いシーケンスに2番目または3番目に短い符号語を用い、個別の色値を有する単一のピクセルに最短の符号語、同じ色値の短いシーケンスおよび長いシーケンスに3番目に短い符号語または4番目に短い符号語を用いる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はデータストリームのランレングス符号化方法、特にビットマップ化された字幕スーパーデータの符号化方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ビデオデータを含む放送または読み出し専用媒体はテキスト情報またはグラフィクス情報を含むサブピクチャデータストリームを有することがある。これらの情報は特定の目的(例えばメニューボタン)のための字幕スーパー、シンボルまたはアニメーションを形成するのに必要とされる。こうした情報はその表示をイネーブルまたはディスエーブルするため、関連するビデオ画像の上に付加的なレイヤとして重ねられる。このために構成された1つまたは複数の矩形のエリアをスーパーインポーズ領域と称する。この領域はエリアサイズ、エリア位置または背景色などの属性の集合を有している。この領域はビデオ画像に重ねられるため、ビデオ画像が可視となるように、また多重に重ねられる他のサブピクチャレイヤが可視となるようにするため、背景はしばしば透明に定められる。さらにスーパーインポーズ領域が関連する画像よりも大きくし、その一部のみを可視としたり、可視の部分を例えば右方から左方へ動かして字幕スーパーがあたかもディスプレイを横方向に流れていくような印象を形成したりすることもある。こうしたピクセルベースのスーパーインポーズ処理方法は欧州出願第02025474.4号明細書に記載されており、クロッピングと称されている。
【0003】
字幕スーパーは本来ハンディキャップのある人々を支援したり、映画の内容を異なる言語へ翻訳する費用を抑えたりするために使用されてきたものであり、純粋なスーパーインポーズテキストとはそのデータストリームが例えばASCII符号化文字を含んでいれば充分である。ただしこんにちの字幕スーパーは高解像度画像に対応して、他の要素、すなわちシンボルまたはアニメーショングラフィクスなどのオブジェクトを含む。こうした要素の扱いは1つのエリア内のラインおよび1つのライン内のピクセルが連続的に符号化または復号化されるビットマップフォーマットでスーパーインポーズストリームを符号化することにより簡単となる。ただしこのフォーマットは連続するピクセルが同じ色値を有する場合、ひどく冗長的である。
【0004】
この冗長性は種々の符号化法、例えばランレングス符号化法RLEにより低減することができる。ランレングス符号化法RLEはデータシーケンスが同じ値を有する場合にしばしば利用される。その基本的なアイデアはシーケンス長と値とを別個に符号化し、最も頻繁に現れる符号語をできるだけ短く符号化するということにある。
【0005】
特に1920×1280ピクセルの高解像度ビデオHDTV用のスーパーインポーズレイヤを符号化する場合、必要なデータ量を低減するには、この目的のために最適化された符号化アルゴリズムが必要である。
【発明の概要】
【0006】
本発明の課題は、ビットマップフォーマット化された領域として表される高解像度ビデオHDTV用のスーパーインポーズレイヤまたはサブピクチャレイヤを最適に符号化する手段を提供することである。ここでスーパーインポーズレイヤは可視のビデオフレームより広いこともある。
【0007】
この課題は請求項1記載の光ディスクにより解決される。つまり本発明によれば、4つのステップから成るランレングス符号化方法RLEが使用される。すなわち、透明ではない個別の色の単一のピクセルに最短の符号語が用いられ、透明なピクセルの短いシーケンスに2番目に短い符号語が用いられ、透明なピクセルの長いシーケンスおよび透明でない同じ色の短いシーケンスに3番目に短い符号語が用いられ、透明でない同じ色のピクセルの長いシーケンスに4番目に短い符号語が用いられる。
【0008】
ふつうスーパーインポーズレイヤ内のほとんどのピクセルは透明である。最も頻繁に現れるデータに最短の符号語が用いられる従来のランレングス符号化方法RLEとは異なり、本発明の方法では最も頻繁に現れる色の短いシーケンスに対して2番目に短い符号語が用いられ、最も頻繁に現れる色の長いシーケンスおよび他の色の短いシーケンスに対して3番目に短い符号語が用いられる。最短の符号語は最も頻繁に現れる色ではない色の単一のピクセルに対して用いられる。このようにすれば、スーパーインポーズレイヤにおける透明なピクセルのように最も頻繁に現れる色のピクセルがシーケンスに常に存在し、そうでない色付きのピクセルは個々に存在するようなとき、特に有利である。
【0009】
有利には、本発明の方法の符号は僅かな冗長符号語しか要さず、しかもこれらは長い符号語のなかで定義される。例えば透明でない色の単一のピクセルは理想的には最短の符号語により符号化されるが、一定のシーケンス長の3番目に短い符号語により符号化してもよい。後者の手段は通常は用いられないが、符号語のうち使用されない部分または符号語間のギャップを他の情報の伝送に用いることができる。その例として再同期のためのライン終了情報の伝送が挙げられる。本発明によれば最短の冗長符号語はこの情報を符号化するために用いられる。
【0010】
また有利には、本発明の方法によれば要求されるデータの量が低減され、字幕スーパーのデータストリームがそのコンテンツに依存する圧縮係数で圧縮される。典型的なスーパーインポーズストリームに頻繁に現れるデータの組み合わせに対しては特に高い圧縮係数が得られる。例えば同じ色値を有する64ピクセルよりも短いシーケンス、透明な種々の長さのピクセルシーケンス、および個々の色値を有する単一のピクセルが存在するものとする。第1のグループはキャラクタまたはシンボルにしばしば用いられ、第2のグループはスーパーインポーズストリームの表示要素の前中後で用いられ、第3のグループはイメージまたはわずかに色の異なる領域に用いられる。透明なピクセルが例えば3ピクセル未満のきわめて短いシーケンスで現れることはほとんどないので、その符号化には最短の符号語で足りなくとも2番目に短い符号語を用いれば充分である。
【0011】
また本発明の方法では1920ピクセルから16383ピクセルまでの長さのシーケンスを効率的に扱うことができ、これによりきわめて広い字幕スーパー領域を形成可能である。
【0012】
さらに本発明の方法ではライン終了を表す特異な値が形成され、同期の損失が生じた場合にも各ラインの再同期を行うことができる。
【0013】
有利には、本発明の方法は、スーパーインポーズストリームに典型的な複数の特性の組み合わせを符号化するために最適化されている。
【0014】
したがってスーパーインポーズストリームに必要なデータ量は低減され、放送の伝送帯域幅が有効に活用される。また1つのピックアップにより複数のデータストリームが読み出されるブルーレイディスク技術などのような記憶媒体でのピックアップジャンプ周波数が低減される。また字幕スーパーのビットマップが良好に圧縮されればそれだけビットレートに関して大きな容量をオーディオおよびビデオのストリームに使用でき、画像品質または音声品質が向上する。
【0015】
上述した課題を達成するため、データストリームがビットマップフォーマット化された字幕スーパーデータまたはメニューデータを有しており、該字幕スーパーデータまたはメニューデータはグラフィクス(G)またはテキスト(TEXT)またはその双方を含み、ここで符号語は符号語の長さの表示部によって開始される、ディスプレイでのビデオ表示用のデータストリームのランレングス符号化方法において、所定色(色0)を定義し、所定色のピクセルを2byteまたは3byteの第1の符号語へ符号化し、ここで第1の符号語はランレングス値を含み、3byteの第1の符号語に含まれるランレングス値はディスプレイ(BTV)の表示の幅を超過することがあり、所定色でない色のピクセルを1byteまたは3byteまたは4byteの第2の符号語へ符号化し、ここで第2の符号語は色値(C...C)を含み、3byteまたは4byteの第2の符号語はランレングス値を含み、4byteの第2の符号語に含まれるランレングス値はディスプレイ(BTV)の表示の幅を超過することがあるような、データストリームのランレングス符号化方法としている。
【0016】
3byteの符号語は該符号語の長さの表示部内に該符号語が第1の符号語または第2の符号語のどちらに属するかを表す表示部を含むような方法としてもよい。
【0017】
色値および所定色は色を表示するためのルックアップテーブルにマッピングされているような方法としてもよい。
【0018】
最短の冗長符号語をラインの同期に用いるような方法としてもよい。
【0019】
上述した課題を達成するため、ディスプレイでのビデオ表示のための符号化データストリームのランレングス復号化方法において、符号語の第1のbyteを求め、第1のbyteが定義された第1の値(00000000)を有していない場合には、該第1のbyteを第1の色(色0)でない該byteによって定められた個々の色(C...C)の単一のピクセルへ復号化し、第1のbyteが定義された第1の値(00000000)を有している場合には、次の第2のbyteの第1のbitおよび第2のbitを求め、第2のbyteの第1のbitおよび第2のbitが第1の値(00)を有する場合には、第2のbyteの残りのbitを第1の色のピクセルシーケンスへ復号化し、ここで該残りのbitはシーケンス長を定めており、第2のbyteの第1のbitおよび第2のbitが第2の値(01)を有する場合には、第2のbyteの残りのbitを次の第3のbyteとともに第1の色のピクセルシーケンスへ復号化し、ここで第2のbyteの残りのbitおよび第3のbyteはディスプレイ(BTV)の表示の幅を超過しうるシーケンス長を定めており、第2のbyteの第1のbitおよび第2のbitが第3の値(10)を有する場合には、第2のbyteの残りのbitを次の第3のbyteとともにピクセルシーケンスへ復号化し、ここで第2のbyteの残りのbitはシーケンス長を定めており、第3のbyteはピクセル色を定めており、第2のbyteの第1のbitおよび第2のbitが第4の値(11)を有する場合には、第2のbyteの残りのbitを次の第3のbyteおよび第4のbyteとともに復号化し、ここで第2のbyteの残りのbitおよび第3のbyteはディスプレイ(BTV)の表示の幅を超過しうるシーケンス長を定めており、第4のbyteはピクセル色を定めているランレングス復号化方法としている。
【0020】
第1のbyte、第3のbyteまたは第4のbyteのピクセル色の定義および第1の値の定義はルックアップテーブルを用いて行うような方法としてもよい。
【0021】
ビデオ表示用の符号化データストリームはビデオデータの上に重ねて表示される個別のレイヤであり、表示のために個別のレイヤの一部を選択するような方法としてもよい。
【0022】
上述した課題を達成するため、データストリームがビットマップフォーマット化された字幕スーパーデータまたはメニューデータを有しており、該字幕スーパーデータまたはメニューデータはグラフィクス(G)またはテキスト(TEXT)またはその双方を含み、ここで符号語は符号語の長さの表示部によって開始される、ディスプレイでのビデオ表示用のデータストリームのランレングス符号化装置において、第1の色(色0)を定義する手段と、第1の色のピクセルを2byteまたは3byteの第1の符号語へ符号化する手段と、第1の色でない色のピクセルを1byteまたは3byteまたは4byteの第2の符号語へ符号化する手段とを有し、ここで第1の符号語はランレングス値を含み、3byteの第1の符号語に含まれるランレングス値はディスプレイ(BTV)の表示の幅を超過することがあり、第2の符号語は色値(C...C)を含み、3byteまたは4byteの第2の符号語はランレングス値を含み、4byteの第2の符号語に含まれるランレングス値はディスプレイ(BTV)の表示の幅を超過することがあるデータストリームのランレングス符号化装置としている。
【0023】
上述した課題を達成するため、ビットマップフォーマット化された字幕スーパーデータまたはメニューデータを有している、ディスプレイでのビデオ表示用の符号化データストリームのランレングス復号化装置において、符号語の第1のbyteを評価して符号語の長さを求め、第1のbyteが定義された第1の値(00000000)を有さない場合には符号語の長さを1byte長とし、第1のbyteが定義された第1の値を有する場合には次の第2のbyteの第1のbitおよび第2のbitを評価し、該第2のbyteの第1のbitおよび第2のbitに依存して各符号語の長さを2byte長または3byte長または4byte長とする手段と、1byte長の符号語を、第1の色(色0)とは異なって定められた色かつ単一のピクセルへ復号化する手段と、2byte長の符号語を、第1の色かつ第2のbyteの残りのbitによって定められた長さのピクセルシーケンスへ復号化する手段と、3byte長の符号語を、第1の色かつディスプレイ(BTV)のビデオ表示の幅を超過しうる第2のbyteの残りのbitおよび第3のbyteによって定められた長さのピクセルシーケンス、または第1の色とは異なる同じ色かつ第2のbyteの残りのbitによって定められる長さのピクセルシーケンスへ復号化する手段と、4byte長の符号語を、第1の色とは異なる同じ色かつディスプレイ(BTV)のビデオ表示の幅を超過しうる長さのピクセルシーケンスへ復号化する手段とを有するランレングス復号化装置としている。
【0024】
シーケンス長0の2byteの符号語を同期符号語として復号化する手段と、ライン終了を指示するように該同期符号語を復号化する手段とを有するような装置としてもよい。
【0025】
第1の色および色値を表示色に対してマッピングしたルックアップテーブル手段を有するような装置としてもよい。
【0026】
符号化データストリームは複数のトランスポートパケットに分配されるような装置としてもよい。
【0027】
上述した課題を達成するため、ランレングス符号化データストリームを用いており、該ランレングス符号化データストリームはディスプレイでのビデオ表示のためにビットマップフォーマット化された字幕スーパーデータまたはメニューデータを有しており、該字幕スーパーデータまたはメニューデータはグラフィクス(G)またはテキスト(TEXT)またはその双方を含む、光ディスクにおいて、ランレングス符号化データストリームは所定色(色0)を定義する第1のデータと、所定色のピクセルを符号化した2byteまたは3byteの第1の符号語と、所定色でない色のピクセルを符号化した1byteまたは3byteまたは4byteの第2の符号語とを含み、ここで第1の符号語はランレングス値を含み、3byteの第1の符号語に含まれるランレングス値はディスプレイ(BTV)の表示の幅を超過することがあり、第2の符号語は色値(C...C)を含み、3byteまたは4byteの第2の符号語はランレングス値を含み、4byteの第2の符号語に含まれるランレングス値はディスプレイ(BTV)の表示の幅を超過することがある光ディスクとしている。
【0028】
本発明の他の有利な実施形態は従属請求項に記載されており、また以下の説明や図にも示されている。
【図面の簡単な説明】
【0029】
本発明の実施例は添付の図に示されている。図1にはビデオフレームでの字幕スーパー領域のクロッピングが示されている。図2には字幕スーパー領域のピクセルシーケンスが示されている。図3にはテキストおよびグラフィクスを含む字幕スーパー用の符号化テーブルが示されている。図4にはブルーレイディスクプリレコーデッド規格用の拡張オブジェクトデータセグメントのシンタクスの例が示されている。
【図1】ビデオフレームでの字幕スーパー領域のクロッピングを示す図である。
【図2】字幕スーパー領域のピクセルシーケンスを示す図である。
【図3】字幕スーパー用の符号化テーブルを示す図である。
【図4】ブルーレイディスクプリレコーデッド規格用の拡張オブジェクトデータセグメントのシンタクスの例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
放送用または映画用の既製のオーディオヴィジュアル材料(AV材料)にかけられる字幕スーパーとしてまず単純なスタティックテキスト情報、例えばクローズドキャプション、テレテキストまたはDVBスーパーなどを表現するために最適化が行われてきたが、新たなHDTVフォーマットに適したテキスト情報およびグラフィクス情報の形成および動画化に対するマルチメディア技術の発展はより進んだビットマップ符号化法の適応化を要求している。図1にはビデオフレームTVとテキストおよびグラフィクス要素Gを含むスーパーインポーズ領域SUBとが示されており、スーパーインポーズ領域SUBはビットマップ符号化されている。スーパーインポーズ領域SUBの寸法は、例えばブルーレイディスクプリレコーデッド規格BDPでは1次元のみであればビデオフレームの寸法より大きくてもよいと定められているので、ビデオフレームの寸法を超えることがある。その場合ラインは表示の前にクロッピングされる。すなわち相応のフレーム寸法に対応する部分が仮想ラインからカットされ、ビデオ画像に重ねられて表示されるのである。図1では、幅BSUBのスーパーインポーズ領域SUBがクロッピングされ、幅BTVの部分のみが可視となっている。例えばブルーレイディスクプリレコーデッド規格BDPに使用される標準的なHDTVでは幅BTVは1920ピクセルであり、BSUBはそれよりはるかに大きい。
【0031】
スーパーインポーズ領域SUBは矩形であるため、このエリアのピクセルはほとんどが透明である。その拡大図が図2に概略的に示されている。HDTVの画面上のラインSL1,SL2ははっきり可視となるように数ピクセルぶんの幅を有していなければならない。ここでのラインとは水平方向のデータストラクチャであると解されたい。スーパーインポーズデータの各ラインはふつう同じ色の1つまたは複数のピクセルシーケンスを含んでいる。図2ではスーパーインポーズ領域のラインSL1は透明なシーケンスPS1,PS5、可視の単一のピクセルPS4、可視の短いシーケンスPS2および可視の長いシーケンスPS3を含んでいる。ライン内のほとんどのピクセルが透明であり、透明な箇所はキャラクタ間およびラインの開始部および終了部である。いずれにしろラインの開始部および終了部は透明であるので、各ラインは色つき部分よりも透明部分のほうを多く含む。透明部分PS1,PS5は通常、キャラクタに用いられている透明でない色のシーケンスよりも長い。色付きのシーケンスは64ピクセル未満の長さであることが多い。これは少なくとも25個のキャラクタが同時に表示され、キャラクタ間のスペースが1キャラクタ幅の約1/4であると仮定して、粗い推定からライン内の1キャラクタは1920/24*(8/10)=62ピクセルより小さいと求められる。ラインSL2はきわめてわずかな可視のピクセルを含み、大きな長さの透明なシーケンスが幾つか取り出される。
【0032】
本発明の有利な実施例の符号が図3に示されている。これは1byte当たり8bit,1〜4byte長の符号語を含むランレングス符号である。これにより異なる256色および1つの所定色を符号化することができる。所定色はこの実施例では‘透明’であるが、適切であれば他のどんな色であってもよい。色ルックアップテーブルCLUTは復号化された色値を実際の表示色へ変換する。さらに同じ色のピクセルシーケンスは2つの範囲、すなわち63ピクセルまでの短い範囲と16383ピクセルまでの長い範囲とへ分割される。
【0033】
1byteの最短の符号語は所定色ではない色(ここでは透明ではない個々の色)の単一のピクセルの符号化に用いられる。色値CCCCCCCCは1〜255であり、直接または間接に色を表す。これは例えば実際のカラーコードを含む色ルックアップテーブルCLUTのエントリである。0のみを含む8bit値00000000はエスケープシーケンスとして用いられ、次のbitが同じ符号語の一部であると見なされることを示す。この場合、符号語のツリーは2つずつのbitでマークされる4つのブランチを有する。
【0034】
第1のブランチではbit00により2byteの有効符号語が示され、所定色(透明)の63ピクセルまでの短いシーケンスが符号化される。このブランチの唯一無効な符号語は0しか含まない符号語である。なぜなら0は有効なシーケンス長が存在しないことを表すからである。この符号語“00000000 00000000”は他の目的に使用される。本発明によれば、これは最短の冗長語でありライン終了を示すために用いられる。
【0035】
第2のブランチではbit01により付加的な1つのbyteを含むことが示され、2の14乗個のbitが所定色(ここでは透明)のピクセルシーケンスの長さを符号化するために用いられる。したがってシーケンス長は214−1=16383である。2のべき乗bitの値が64より小さい符号語は冗長符号語であり、他の目的に使用される。
【0036】
第3のブランチではbit10により付加的な1つのbyteを含むことが示され、第2のbyteのうち2の6乗個のbitが所定色でない色の63ピクセルまでの短いシーケンスの長さを表す。実際の色は第3のbyteの値CCCCCCCCで直接または間接に表される。3より小さいシーケンス長LLLLLLの符号語は冗長語であり、当該の色の単一のピクセルまたは2つのピクセルのシーケンスは前述したようにピクセル当たり1byteを用いて容易に符号化され、シーケンス長0は無効である。この符号語は他の目的に使用される。
【0037】
第4のブランチではbit11により付加的な2つのbyteを含むことが示される。ここで第2のbyteの残りの6bitおよび第3のbyteにより64〜16383ピクセルの長いシーケンス長が表され、第4のbyteの色値CCCCCCCCにより所定色ではない色が直接または間接に表される。64より小さいシーケンス長の符号語は冗長語であり、第3のブランチを用いて容易に符号化される。この符号語は他の目的に使用される。
【0038】
前述の冗長語は例えば内部のチェックサムまたは他の情報を追加するために符号を拡張する際に用いられる。
【0039】
図3に示されている拡張ランレングス符号化テーブルにより上述した2つの大きな利点が提供される。第1に、透明なエリア、小さなグラフィクスオブジェクトおよび通常のスーパーインポーズテキストを含む典型的なスーパーインポーズストリームがコンパクトに符号化される。小さいカラフルなグラフィクスに使用される色つきの単一のピクセルは1byteで符号化される。BDPのスーパーインポーズでの優勢色すなわち透明なピクセルはまとめてランレングス符号化される。ランレングス符号は2つのサイズ範囲または2つのピクセル量範囲で利用される。第1のステップでは63ピクセルまでのランレングスが優勢色に対する2byte符号語および他の色に対する3byte符号語として利用される。第2のステップでは16383ピクセルまでのランレングスが優勢色に対する3byte符号語および他の色に対する4byte符号語として利用される。ピクセルストリング終了符号またはライン終了符号は特異な2byte符号語であり、再同期に用いられる。第2に、スーパーインポーズ領域に対する1符号語当たり16383byteまでの長いシーケンスの利便性が増し、冗長性ひいてはデータ量が低減される。これは1つのチャネルを共有する個別のデータストリーム、例えば同じピックアップを共有する光記憶媒体のマルチデータストリームを用いるアプリケーションに対して、同じデータ量でスーパーインポーズストリームがより多くロードされ、スーパーインポーズストリームへのアクセス頻度を低減することができる。
【0040】
本発明のさらなる特徴はトランスポートパケットを用いたデータストリームのトランスポート、例えばパケット化されたエレメンタリストリームPESの伝送をいっそう最適化することである。ビットマップのファイルサイズが大きいので、データのパケット化、例えばデータをオブジェクトデータセグメントODSにすることが問題となる。オブジェクトデータセグメントODSの最大サイズは他の要素、例えばPESパケットサイズによって制限されていることが多い。大きなビットマップをこのようなパケットに調整するには、ビットマップを符号化前に小さなビットマップピースへ切り分け、圧縮率を低減しなければならない。こうしたビットマップ分割を行うために、BDPまたはその他のアプリケーションに対する新たな拡張オブジェクトデータセグメントExODSが図4に示されているように提案される。ExODSは制限されたサイズのセグメントおよびPESパケットのシーケンスへ切り分けられる各フラグメントを表すデータストラクチャである。ODS全体は連続するExODSの個々のピースのシーケンスを連結することにより再構成される。
【0041】
ExODSのシーケンスの開始部および終了部は個々のフラグfirst_in_sequence,last_in_sequenceにより表される。フラグfirst_in_sequenceが1であれば、新たなシーケンスが開始される。フラグfirst_in_sequenceが1へセットされたExODSは、寸法object_width,object_heightを表すことにより解凍後のビットマップサイズを示す。ビットマップサイズを示すことの利点は、解凍が開始される前にターゲットメモリの割り当てを支援できることである。他の利点として、示されたビットマップサイズを復号化中にビットマップサイズのクロスチェックにも使用できることが挙げられる。フラグlast_in_sequenceが1であれば、そのExODSがODS全体の最後のExODSであることが示される。またフラグfirst_in_sequence,last_in_sequenceのどちらもセットされていないExODSも存在する。これはシーケンス内部のExODSピースである。フラグfirst_in_sequence,last_in_sequenceの双方がセットされているのは、単一のExODS内にODSが含まれる場合である。スーパーインポーズのPESパケットサイズによる1ODSのサイズの制限を克服するため、前述のタイプのExODSはODSのピースに対するコンテナ、例えばHDTVアプリケーション用の大きなODSをパケット化するために導入される。ODSピースのほか、ExODSは最初のピース、最後のピース、内部のピースを含むか否か、またはExODSシーケンスの1つの完全なピースを含むか否かを示すフラグを含む。さらにExODSのシーケンスの最初のピースが伝送される場合、得られるODSのサイズすなわち符号化されたビットマップの高さおよび幅もセグメントに含まれる。示されるビットマップサイズはクロスチェックを復号化するために用いることもできる。
【0042】
本発明の方法は、アニメーション、メニュー、ナビゲーション、ロゴ、広告、メッセージその他のためのテキストデータ、イメージデータまたはグラフィクスデータを含むビットマップデータストリームの圧縮に適している。本発明の方法はブルーレイディスクプリレコーデッド規格BDPまたは一般的な高解像度ビデオHDTVなどの記録再生または放送のアプリケーションに適している。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
ディスプレイでのビデオ表示のためにビットマップフォーマット化された字幕スーパーデータまたはメニューデータを有するデータストリームであって、前記字幕スーパーデータまたはメニューデータはグラフィクス(G)またはテキスト(TEXT)またはその双方を含むデータストリーム、を有する光ディスクにおいて、
前記データストームは、ランレングス符号化によりランレングス符号化データストリームとされ、
該ランレングス符号化データストリームは所定色(色0)を定義する第1のデータと、所定色のピクセルを符号化した2byteまたは3byteの第1の符号語と、所定色でない色のピクセルを符号化した1byteまたは3byteまたは4byteの第2の符号語とを含み、
ここで第1の符号語はランレングス値を含み、3byteの第1の符号語に含まれるランレングス値はディスプレイ(BTV)の表示の幅を超過することがあり、第2の符号語は色値(C...C)を含み、3byteまたは4byteの第2の符号語はランレングス値を含み、4byteの第2の符号語に含まれるランレングス値はディスプレイ(BTV)の表示の幅を超過することがある、
ことを特徴とする光ディスク。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−252343(P2010−252343A)
【公開日】平成22年11月4日(2010.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−103637(P2010−103637)
【出願日】平成22年4月28日(2010.4.28)
【分割の表示】特願2006−517981(P2006−517981)の分割
【原出願日】平成16年5月6日(2004.5.6)
【出願人】(501263810)トムソン ライセンシング (2,848)
【氏名又は名称原語表記】Thomson Licensing 
【住所又は居所原語表記】1−5, rue Jeanne d’Arc, 92130 ISSY LES MOULINEAUX, France
【Fターム(参考)】