説明

光ディスク再生装置及び光ディスク種別判定方法

【課題】短時間でかつ高い信頼性で光ディスクの種別を判定することができる光ディスク再生装置を提供する。
【解決手段】本発明に係る光ディスク再生装置は、種別を判定しようとする光ディスクに対し、種別に応じた異なる波長のレーザ光を順次照射して前記光ディスクから反射信号を得る光ピックアップと、前記レーザ光焦点位置の前記光ディスクの厚み方向への掃引を制御すると共に、前記レーザ光の波長を、前記掃引の向きを変更する度に切り換える制御部と、前記レーザ光の反射信号からフォーカス誤差信号とRFリップル信号とを生成する判定信号生成部と、前記光ディスクの合焦位置近傍から前記掃引ごとに得られる前記フォーカス誤算信号及び前記RFリップル信号と、そのとき使用しているレーザ光の波長とから前記光ディスクの種別を判定する種別判定部と、を備えたことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光ディスク再生装置及び光ディスク種別判定方法に係り、特に、装置に挿入された各種の光ディスクの種別を判定して再生する光ディスク再生装置及び光ディスク種別判定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
今日、光ディスクの種別は多様化してきており、従来のCDやDVDに加えて、HD−DVDやブルーレイディスク(BD)等の高密度光ディスクが市場に出回っている。これら各種の光ディスクは、照射するレーザ光の波長や再生方法が夫々異なっており、一台の光ディスク再生装置で再生するためには、挿入された光ディスクの種別をまず判定する必要がある。
【0003】
従来から多く用いられてきた光ディスク種別判定方法として、フォーカス誤差信号を用いた判定方法がある。この方法は、光ピックアップをフォーカス方向に走査し(フォーカスサーチし)、合焦位置近傍で得られるフォーカス誤差信号(所謂S字カーブ)の大小情報から光ディスクの種別を判定しようとするものである。
【0004】
また、特許文献1には、上記のフォーカス誤差信号とRF信号の直流成分の大きさとから光ディスクの種別を判定しようとする技術が開示されている。
【特許文献1】特開2001−351315号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の光ディスク種別判定方法は概略次のようなものである。光ディスク再生装置に挿入される光ディスクとしてCDとDVDの2種類があり、いずれかの光ディスクが装置に挿入されたとき、その種別を判定する場合を想定する。
【0006】
この場合、まずレーザ光をDVD用の波長に設定し、挿入された光ディスクに対してフォーカスサーチを行ってフォーカス誤差信号を取得する。取得したフォーカス誤差信号が所定の閾値を超えた場合には、同じDVD用の波長のままさらにフォーカス引き込み処理を行う。フォーカス引き込み処理が成功した場合には、現在装置に挿入されている光ディスクはDVDであると判定する。
【0007】
一方、フォーカス引き込み処理が失敗した場合には、例えばフォーカスサーボループのゲイン等のパラメータを変更して再度フォーカス引き込み処理(リトライ処理)を行う。DVDの製造メーカ等によっては最適なゲイン等が異なり、そのことが原因でフォーカス引き込み処理が失敗する場合もあるからである。
【0008】
所定回数リトライ処理を行ってもフォーカス引き込み処理が成功しなかった場合や、フォーカス誤差信号が所定の閾値を超えなかった場合には、挿入された光ディスクがDVDではなかったと判断し、レーザ光をCD用の波長に変更する。その後、CD用のレーザ光でフォーカスサーチを行い、得られたフォーカス誤差信号が所定の閾値を超えた場合にはフォーカス引き込み処理を行う。フォーカス引き込み処理が成功した場合には、挿入された光ディスクはCDであると判定する。
【0009】
フォーカス引き込み処理が失敗した場合には、DVDと同様にリトライ処理を何度か行うことになる。
【0010】
なお、このリトライ処理でもフォーカス引き込み処理が成功しなかった場合や、CD用の波長でもフォーカス誤差信号が所定の閾値を超えなかった場合には、挿入された光ディスクがDVDでもなく、CDでもないと判定されることになる。
【0011】
このように、従来の光ディスクの判定方法では、単にフォーカス誤差信号の大小だけで種別を判断するだけでなく、フォーカス引き込み処理やその後のリトライ処理までを行って判定しており、判定に時間がかかっている。この理由は、例えば、CDに対してDVD用の波長のレーザ光でフォーカスサーチを行っても、閾値を超えるフォーカス誤差信号が得られる場合があるからである。換言すれば、光ディスクの判定指標としてのフォーカス誤差信号の信頼性があまり高くないことに起因していると考えられる。
【0012】
高密度光ディスクの普及に伴って判定すべき光ディスクの種別は増加し、判定に要する時間はさらに長くなってくる。
【0013】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、短時間でかつ高い信頼性で光ディスクの種別を判定することができる光ディスク再生装置及び光ディスク種別判定方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記課題を解決するため、本発明に係る光ディスク再生装置は、種別を判定しようとする光ディスクに対し、種別に応じた異なる波長のレーザ光を順次照射して前記光ディスクから反射信号を得る光ピックアップと、前記レーザ光焦点位置の前記光ディスクの厚み方向への掃引を制御すると共に、前記レーザ光の波長を、前記掃引の向きを変更する度に切り換える制御部と、前記レーザ光の反射信号からフォーカス誤差信号とRFリップル信号とを生成する判定信号生成部と、前記光ディスクの合焦位置近傍から前記掃引ごとに得られる前記フォーカス誤算信号及び前記RFリップル信号と、そのとき使用しているレーザ光の波長とから前記光ディスクの種別を判定する種別判定部と、を備えたことを特徴とする。
【0015】
また、上記課題を解決するため、本発明に係る光ディスク種別判定方法は、種別を判定しようとする光ディスクに対し、種別に応じた異なる波長のレーザ光を順次照射して前記光ディスクから反射信号を取得し、前記レーザ光焦点位置の前記光ディスクの厚み方向への掃引を制御すると共に、前記レーザ光の波長を、前記掃引の向きを変更する度に切り換え、前記レーザ光の反射信号からフォーカス誤差信号とRFリップル信号とを生成し、前記光ディスクの合焦位置近傍から前記掃引ごとに得られる前記フォーカス誤算信号及び前記RFリップル信号と、そのとき使用しているレーザ光の波長とから前記光ディスクの種別を判定する、ステップを備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明に係る光ディスク再生装置及び光ディスク種別判定方法によれば、短時間でかつ高い信頼性で光ディスクの種別を判定することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
(1)光ディスク再生装置の構成と全般動作
図1は、本実施形態に係る光ディスク再生装置1の構成例を示す図である。
【0018】
光ディスク再生装置1は、CD、DVD、HD−DVD等の光ディスク100に記録されたデータの再生を行うものである。光ディスク100には、螺旋状にトラックが形成されており、このトラック上にデータが記録されている。
【0019】
データの再生は、所定のパワーのレーザ光をトラックに沿って照射して、トラック上に形成されているピット、或いはマーク/スペースからの反射光の強度の変化を検出することにより行われる。
【0020】
光ディスク100はスピンドルモータ2によって回転駆動される。スピンドルモータ2に設けられたロータリエンコーダ2aからは回転角信号が提供される。回転角信号はスピンドルモータ2が1回転すると、例えば5パルス発生する。この回転角信号からスピンドルモータ2の回転角度及び回転数を判断でき、スピンドルモータ制御回路62では、これらの情報に基づいてスピンドルモータ2の回転駆動制御を行っている。
【0021】
光ディスク100に対する情報の読み出しは、光ピックアップ3によって行われる。光ピックアップ3は、送りモータ4とギア4b及びスクリューシャフト4aを介して連結されており、この送りモータ4は送りモータ制御回路5により制御される。送りモータ4が送りモータ制御回路5からの送りモータ駆動電流により回転することにより、光ピックアップ3が光ディスク100の半径方向に移動する。
【0022】
光ピックアップ3には、図示しないワイヤ或いは板バネによって支持された対物レンズ30が設けられている。対物レンズ30はアクチュエータ(フォーカスアクチュエータ)32の駆動によりフォーカス方向(レンズの光軸方向)への移動が可能である。また、アクチュエータ(トラッキングアクチュエータ)31の駆動によりトラッキング方向(レンズの光軸と直交する方向)への移動が可能である。
【0023】
レーザ駆動回路6は、所定のパワーのレーザ光を出力する駆動電流をレーザダイオード33に出力する。
【0024】
フォトダイオード等により構成されるパワー検出部34(フロントモニタ(FM)と呼ぶ場合もある)はレーザ発光素子33が発生するレーザ光の一部をハーフミラー35により一定比率だけ分岐し、光量、即ち発光パワーに比例した信号を受光信号として検出する。検出した受光信号はレーザ駆動回路6に供給される。レーザ駆動回路6はパワー検出部34からの受光信号に基づいて、所定のパワーで発光するようにレーザ発光素子33を制御する。
【0025】
レーザ発光素子33から発せられるレーザ光は、コリメータレンズ36、ハーフプリズム37、対物レンズ30を介して光ディスク100上に照射される。
【0026】
一方、光ディスク100からの反射光は、対物レンズ30、ハーフプリズム37、集光レンズ38、およびシリンドリカルレンズ39を介して、光検出器40に導かれる。
【0027】
光検出器40は、例えば4分割の光検出セルから成り、これら光検出セルの検知信号はRFアンプ64に出力される。
【0028】
RFアンプ64は光検知セルからの信号を処理し、ジャストフォーカスからの誤差を示すフォーカス誤差信号、レーザビームの中心とトラック中心との誤差を示すトラッキング誤差信号を生成する。また、RFアンプ64は光検知セル信号の全加算信号であるRF信号(再生信号)を生成する他、RF信号のリップル成分を抽出したRFリップル信号を生成している。RFアンプ64が生成するこれらの信号のうち、本実施形態に係る光ディスク再生装置1では、フォーカス誤差信号とRFリップル信号とを用いて挿入された光ディスクの種別を判定しており、RFアンプ64は、判定信号生成部として機能している。
【0029】
なお、ここでの光ディスクの種別とは、CD、DVD、HD DVD等の、波長の異なるレーザ光で再生する光ディスクの種類のこといっている。
【0030】
トラッキング誤差信号はトラッキング制御回路81に出力されており、トラッキング制御回路81はトラッキング誤差信号に応じてトラッキング駆動信号を生成している。トラッキング制御回路81から出力されるトラッキング駆動信号は、トラッキング方向のアクチュエータ31に供給され、レーザ光が光ディスク100上に形成されたトラック上を常にトレースするトラッキングサーボ制御が行われる。
【0031】
一方、フォーカス誤差信号はフォーカス制御回路82に出力される。フォーカス制御回路82はフォーカス誤差信号に応じてフォーカス駆動信号を生成する。フォーカス駆動信号はフォーカス方向のアクチュエータ32に供給され、これにより、レーザ光が光ディスク100の記録面上に常時ジャストフォーカスとなるフォーカスサーボ制御が行われる。
【0032】
上記フォーカスサーボ制御およびトラッキングサーボ制御が行われることで、レーザ光の焦点は、光ディスク記録面のトラック上を精度良く追従することができる。この結果、光検出器40の各光検出セルの出力信号の全加算信号であるRF信号には、記録情報に対応して光ディスク100のトラック上に形成されたピット、或いはマーク/スペースからの反射光の変化が正確に反映され、品質の良い再生信号を得ることができる。
【0033】
RF信号はデータ再生部60に入力される。データ再生部60では、再生信号から2値化されたバイナリデータを抽出して復号データを得ている。復号データは制御部70のエラー訂正部75に入力され、ここでエラー訂正処理が行われた後I/F部71を介してホスト装置200に出力される。
【0034】
本実施形態に係る光ディスク再生装置1は、光ディスクの種別を判定する種別判定部80を有しており、種別判定部80に入力されるフォーカス誤差信号とRFリップル信号とを用いて、主に種別判定部80と制御部70にて光ディスクの種別判定処理を行っている。以下、本実施形態で行っている光ディスクの種別判定処理について説明する。
【0035】
(2)光ディスクの種別判定処理
図2は、種別判定処理に使用するフォーカス誤差信号(図2(a))とRFリップル信号(図2(c))の模式的な波形を例示した図である。また、RFリップル信号の生成元であるRF信号(図2(b))も併せて示している。
【0036】
図2(a)に示す信号は、フォーカス方向の所謂S字カーブを示す信号であり、フォーカスアクチュエータ32に掃引信号を印加し、レーザビームの焦点を光ディスクの厚み方向にサーチ(フォーカスサーチ)させたときに得られるフォーカス誤差信号である。S字カーブの中央部が合焦点近傍に相当する位置である。
【0037】
従来のディスク種別判定方法は、前述したように、もっぱらこのフォーカス誤差信号を用いていた。また、フォーカス誤差信号のみによる種別判定は必ずしも信頼性が高くないため、フォーカス誤差信号(S文字カーブのピーク値)が所定の閾値を超えた場合でも、その後ファーカスサーボの引き込み処理を行い、ファーカスサーボの引き込み処理に失敗した場合、さらに引き込み処理のリトライを行っていた。ファーカスサーボの引き込み処理やリトライ処理は、閾値判定処理に比べるとかなり時間を要する処理である。
【0038】
また、これらの処理を、例えば、まずHD DVD用のレーザ光の波長で行い、リトライ処理を行ってもうまく引き込めなかった場合に、DVD用のレーザ光の波長に切り換えて同様の処理を行い、それでもうまく引き込めなかった場合にCD用のレーザ光の波長に切り換えて同様の処理を行っていた。このため、挿入された光ディスクがCDであった場合には、1番最後に種別判定がなされることになり、ディスク種別判定時間の全体としては、かなり長い時間を要することになる。特にリトライを何度か繰り返すような状況が起こると、例えば1分近くも種別判定に時間がかかる場合があった。
【0039】
これに対して、本実施形態に係る種別判定方法では、フォーカス誤差信号に加えてRFリップル信号の振幅情報も利用する形態としている。
【0040】
RFリップル信号は、RF信号のリップル成分を抽出した信号であり、記録面の反射率と強い相関を持つことが知られている。レーザ波長に適合した種別の光ディスクは、適合していない種別の光ディスクに比べると強い反射率を示す。従って、反射率と強い相関をもつRFリップル信号を種別判定に利用することによって、種別判定の信頼性を高めることが可能となる。
【0041】
図3は、本実施形態に係る光ディスク再生装置1で行っている種別判定方法の一例を示すフローチャートであり、図4はその概念説明図である。また、図5は、種別判定に係る光ディスク再生装置1の構成を取り出したブロック図である。
【0042】
まず、フローチャート(図3)のステップST1で、任意の種別の光ディスクを装置に挿入する。次に、レーザ光の波長をCD用の波長に設定する。波長の設定は、制御部70から光ピックアップ3に対して出力されるレーザ波長切換信号によって行われる(図1、図5参照)。
【0043】
なお、以下では、レーザ光の波長を、CD用、DVD用、HD DVD用の順序で切り換える例で説明するが、本実施形態では切り換えの順序は重要ではない。むしろ、どのような順序で切り換えても、同じ時間内で種別を判定することができる点に特徴がある。
【0044】
レーザ光の波長をCD用の波長に設定した後、フォーカスアクチュエータ32に掃引信号(フォーカス駆動信号)を印加し、レーザ光の焦点位置を、例えば下から上の1方向に1回だけ掃引する(ステップST3:図4(a)参照)。
【0045】
掃引中にレーザ光の焦点位置が記録面に近づくと、合焦位置近傍では、S字状のフォーカス誤差信号が得られる(図4(b)参照)。このフォーカス誤差信号のピーク値を適宜のメモリに保存する。また、合焦位置近傍で得られるRFリップル信号のピーク値も併せてメモリに保存する(ステップST4)。
【0046】
次に、レーザ光の波長をDVD用の波長に切り換える(ステップST5)。その後、レーザ光の焦点を、今度は上から下へ1回だけ掃引する(ステップST6)。このときにも、合焦位置近傍で得られるフォーカス誤差信号とRFリップル信号のピーク値を夫々メモリに保存する(ステップST7)。
【0047】
その後、レーザ光の波長を今度はHD DVD用の波長に切り換え(ステップST8)、レーザ光の焦点を、今度は下から上へ1回だけ掃引する(ステップST9)。またこのときにも、合焦位置近傍で得られるフォーカス誤差信号とRFリップル信号のピーク値を夫々メモリに保存する(ステップST10)。
【0048】
このようにして、CD用、DVD用、HD DVD用の各波長で得られたフォーカス誤差信号とRFリップル信号のピーク値が夫々メモリに保存される。
【0049】
なお、ピーク値ではなく、各信号の波形そのものをメモリに保存してよい。図4(b)及び(c)は、CD用、DVD用、HD DVD用の各波長で得られたフォーカス誤差信号とRFリップル信号の波形を例示した図である。
【0050】
最後に、ステップST11とステップST12で、メモリに保存され各ピーク値(波形を保存する場合には、保存した波形から求めたピーク値)と、それらに対応する波長情報とから挿入されている光ディスクの種別を判定する。
【0051】
まず、ステップST11で、フォーカス誤差信号のピーク値が所定の閾値を超えている種別を選択する。図4の例では、CD用の波長で得られたフォーカス誤差信号とDVD用の波長で得られたフォーカス誤差信号とが閾値を超えており、光ディスクの種別としてCDとDVDとがこの段階で選択される。
【0052】
次に、ステップST12で、選択された種別に対応するRFリップル信号の振幅ピーク値が最大のものを選択する。図4の例では、DVD用の波長で得られたRFリップル信号の振幅ピーク値の方が、CD用の波長で得られたRFリップル信号の振幅ピーク値よりも大きい。この結果、挿入された光ディスクの種別はDVDであると判定される。
【0053】
なお、ステップST11において、フォーカス誤差信号のピーク値が所定の閾値を超えている種別が1つの場合がありうる。この場合にもこの段階で種別を決定するのではなく、さらにRFリップル信号の振幅も判断する方がより確実に種別を判定する上で好ましい。即ち、フォーカス誤差信号の閾値判定で1つの種別だけが選択された場合には、RF信号の振幅ピーク値に対しても閾値判定し、フォーカス誤差信号のピーク値とRF信号の振幅ピーク値が夫々所定の閾値を超えたときに、該当する波長の種別を挿入された光ディスクの種別として判定する。
【0054】
以上説明してきたように、本実施形態に係る光ディスク再生装置1及び光ディスク種別判定方法では、フォーカス誤差信号とRFリップル信号とを種別判定に利用することにより、信頼性の高い種別判定が可能となる。この結果、従来のように、サーボループの引き込み処理による確認が不要となり種別判定時間が短縮される。また、従来の方法では、引き込み処理に失敗した場合にはリトライ処理を行っており、種別判定時間が状況によって変動していた。
【0055】
これに対して、本実施形態に係る判定処理に要する時間は、基本的には3回の掃引時間である。1回の掃引時間としては、概ね500ms程度の時間であり、合計で約1.5秒程度である。従来の方法が、最悪の場合で、1分程度要していたことに比べると、大幅な短縮が可能となっている。
【0056】
このように、本実施形態に係る光ディスク再生装置及び光ディスク種別判定方法によれば、短時間でかつ高い信頼性で光ディスクの種別を判定することができる。
【0057】
なお、本発明は上記の実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせても良い。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】本発明の実施形態に係る光ディスク再生装置の構成例を示すブロック図。
【図2】本実施形態に係る種別判定方法で用いるフォーカス誤差信号とRFリップル信号の波形概念を示す図。
【図3】本実施形態に係る種別判定処理の一例を示すフローチャート。
【図4】本実施形態に係る種別判定処理の動作概念の説明図。
【図5】本発明の実施形態に係る光ディスク再生装置の構成のうち、特に種別判定処理に関する構成を示すブロック図。
【符号の説明】
【0059】
1 光ディスク再生装置
3 光ピックアップ
32 アクチュエータ(フォーカスアクチュエータ)
64 RFアンプ(判定信号生成部)
70 制御部
80 種別判定部
82 フォーカス制御回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
種別を判定しようとする光ディスクに対し、種別に応じた異なる波長のレーザ光を順次照射して前記光ディスクから反射信号を得る光ピックアップと、
前記レーザ光焦点位置の前記光ディスクの厚み方向への掃引を制御すると共に、前記レーザ光の波長を、前記掃引の向きを変更する度に切り換える制御部と、
前記レーザ光の反射信号からフォーカス誤差信号とRFリップル信号とを生成する判定信号生成部と、
前記光ディスクの合焦位置近傍から前記掃引ごとに得られる前記フォーカス誤算信号及び前記RFリップル信号と、そのとき使用しているレーザ光の波長とから前記光ディスクの種別を判定する種別判定部と、
を備えたことを特徴とする光ディスク再生装置。
【請求項2】
前記種別判定部は、
前記フォーカス誤差信号が所定の閾値を超え、かつ前記RFリップル信号の振幅幅が所定の閾値を超えたとき、そのときに使用していた前記レーザ光の波長に対応する光ディスクの種別によって、前記判定対象の光ディスクの種別を判定する
ことを特徴とする請求項1に記載の光ディスク再生装置。
【請求項3】
前記制御部は、
少なくとも、高密度記録型光ディスク、DVD、及びCDの3種類の光ディスクに対して、掃引の向きを変えつつ1回ずつ掃引し、掃引の向きを変える度に、前記3種類の光ディスクに対応するレーザ光の波長を順次切り換える、
ことを特徴とする請求項1に記載の光ディスク再生装置。
【請求項4】
前記種別判定部は、
所定の閾値を超える前記フォーカス誤差信号が複数ある場合は、それらのフォーカス誤差信号が得られたときのうちで、振幅幅が最も大きな前記RFリップル信号が得られたときに使用していた前記レーザ光の波長に対応する光ディスクの種別によって、前記判定対象の光ディスクの種別を判定する
ことを特徴とする請求項1に記載の光ディスク再生装置。
【請求項5】
種別を判定しようとする光ディスクに対し、種別に応じた異なる波長のレーザ光を順次照射して前記光ディスクから反射信号を取得し、
前記レーザ光焦点位置の前記光ディスクの厚み方向への掃引を制御すると共に、前記レーザ光の波長を、前記掃引の向きを変更する度に切り換え、
前記レーザ光の反射信号からフォーカス誤差信号とRFリップル信号とを生成し、
前記光ディスクの合焦位置近傍から前記掃引ごとに得られる前記フォーカス誤算信号及び前記RFリップル信号と、そのとき使用しているレーザ光の波長とから前記光ディスクの種別を判定する、
ステップを備えたことを特徴とする光ディスク種別判定方法。
【請求項6】
前記判定するステップでは、
所定の閾値を超える前記フォーカス誤差信号が複数ある場合は、それらのフォーカス誤差信号が得られたときのうちで、振幅幅が最も大きな前記RFリップル信号が得られたときに使用していた前記レーザ光の波長に対応する光ディスクの種別によって、前記判定対象の光ディスクの種別を判定する
ことを特徴とする請求項5に記載の光ディスク種別判定方法。
【請求項7】
前記判定するステップでは、
前記フォーカス誤差信号が所定の閾値を超え、かつ前記RFリップル信号の振幅幅が所定の閾値を超えたとき、そのときに使用していた前記レーザ光の波長に対応する光ディスクの種別によって、前記判定対象の光ディスクの種別を判定する
ことを特徴とする請求項5に記載の光ディスク種別判定方法。
【請求項8】
前記切り換えるステップでは、
少なくとも、高密度記録型光ディスク、DVD、及びCDの3種類の光ディスクに対して、掃引の向きを変えつつ1回ずつ掃引し、掃引の向きを変える度に、前記3種類の光ディスクに対応するレーザ光の波長を順次切り換える、
ことを特徴とする請求項5に記載の光ディスク種別判定方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2009−252299(P2009−252299A)
【公開日】平成21年10月29日(2009.10.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−99693(P2008−99693)
【出願日】平成20年4月7日(2008.4.7)
【出願人】(504113008)東芝アルパイン・オートモティブテクノロジー株式会社 (110)
【Fターム(参考)】