説明

光ディスク処理装置

【課題】光ディスク処理装置において、光ディスクが装着されたときに行う初期準備動作における処理を簡素化する。
【解決手段】光ディスク処理装置は、初期準備動作において、まず、リライタブル領域レンズ中点サーボ調整値決定動作を実行する(#1)。続いて、リライタブル領域レンズ中点サーボを実施して、リライタブル領域読取動作を実行する(#2)。続いて、エンボス領域レンズ中点サーボを実施せずに、エンボス領域読取動作を実行する(#3)。そして、エンボス領域読取動作を完了すると、初期準備動作を終了する。すなわち、エンボス領域レンズ中点サーボを実施するときの調整値を決定する動作をエンボス領域レンズ中点サーボ調整値決定動作とすると、初期準備動作において、エンボス領域レンズ中点サーボ調整値決定動作を実行せずに、リライタブル領域レンズ中点サーボ調整値決定動作、リライタブル領域読取動作、エンボス領域読取動作を実行する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光ディスクに記録されている情報を読取る光ディスク処理装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、光ディスク処理装置において、光ディスクに情報を記録し、また、光ディスクに記録されている情報を読取るものがある。このような光ディスク処理装置は、スピンドルモータに装着された光ディスクを回転させながら、光ピックアップユニットにより光ディスクに光を照射させて、光ディスクに記録マーク及び記録スペースを形成することにより、光ディスクに情報を記録するようになっている。また、このような光ディスク処理装置は、スピンドルモータに装着された光ディスクを回転させながら、光ピックアップユニットにより光ディスクに光を照射させて、光ピックアップユニットから出力される受光信号に基いて、光ディスクに記録されている情報を読取るようになっている。
【0003】
このような光ディスク処理装置では、光ディスクに記録されている制御情報を読取って、その制御情報に基いて、光ディスクにユーザ記録情報を記録し、また、光ディスクに記録されているユーザ記録情報を読取るようになっている。制御情報とは、光ディスクを個別に識別するためのディスクID情報や光ディスクの種類を示すディスク物理情報、ユーザ記録情報の記録されている領域を示す管理情報などである。ユーザ記録情報とは、ユーザが利用する映像や音声などの情報である。
【0004】
一方、このような光ディスク処理装置では、光ピックアップユニットを移動させるとき、レンズ中点サーボを行うようになっている。レンズ中点サーボとは、光ピックアップユニットの対物レンズを光ピックアップユニットの受光素子の視野の中心に保持する動作である。
【0005】
レンズ中点サーボを実施するときの調整値が適切でないと、光ピックアップユニットを移動させたときに、光ピックアップユニットの対物レンズを光ピックアップユニットの受光素子の視野の中心に保持しておくことができず、その結果、フォーカシングサーボが不安定になってしまい、その後の光ディスクからの情報の読取動作に支障が生じてしまう。レンズ中点サーボを実施するときの調整値とは、光ピックアップユニットの対物レンズを光ピックアップユニットの受光素子の視野の中心に保持するためのレンズ中点サーボループ系のゲイン等である。
【0006】
レンズ中点サーボを実施するときの調整値の適切な値は、光ピックアップユニットによる光ディスクへの光の照射位置によって異なり、また、光ディスクの個体ばらつきや経時変化などのために、光ディスクに記録されている情報を読取る毎に異なったものとなる。
【0007】
そこで、このような光ディスク処理装置では、光ピックアップユニットにより光ディスクに光を照射すると共にその反射光を受光している状態で、光ピックアップユニットを移動させ、そのときに光ピックアップユニットから出力される受光信号の変化に基いて、レンズ中点サーボを実施するときの調整値を決定するようになっている。
【0008】
これら光ディスクに記録されている制御情報の読取や、レンズ中点サーボを実施するときの調整値の決定は、スピンドルモータに光ディスクが装着されたときに、初期準備動作として行うようになっている。
【0009】
ところで、このような光ディスク処理装置において、光ディスクとして、例えばDVD−RAMを扱い、DVD−RAMに対して情報の記録、読取を行うものがある。DVD−RAMでは、内周側(中心側)の所定の領域がエンボス領域となっており、エンボス領域の外周側の領域がリライタブル領域となっている。エンボス領域には、制御情報として、光ディスクを個別に識別するためのディスクID情報及び光ディスクの種類を示すディスク物理情報が予め記録されている。リライタブル領域には、ユーザ記録情報が記録されると共に、制御情報として、ユーザ記録情報の記録されている領域を示す管理情報がユーザ記録情報の記録に応じて記録される。
【0010】
従来の光ディスクとしてDVD−RAMを扱う光ディスク処理装置では、図3に示すようにして、初期準備動作を行っている。まず、リライタブル領域レンズ中点サーボ調整値決定動作を実行する(#91)。リライタブル領域レンズ中点サーボ調整値決定動作とは、光ディスクのリライタブル領域内に光を照射した状態で光ピックアップユニットを移動させるときに行うレンズ中点サーボをリライタブル領域レンズ中点サーボとすると、リライタブル領域レンズ中点サーボを実施するときの調整値を決定する動作である。すなわち、スピンドルモータに光ディスクが装着されると、光ピックアップユニットにより光ディスクのリライタブル領域に光を照射すると共にその反射光を受光し、この状態で光ピックアップユニットを移動させ、このときに光ピックアップユニットから出力される受光信号に基いて、リライタブル領域レンズ中点サーボを実施するときの調整値を決定する。
【0011】
続いて、リライタブル領域読取動作を実行する(#92)。リライタブル領域読取動作とは、光ディスクのリライタブル領域に記録されている制御情報を読取る動作である。すなわち、リライタブル領域レンズ中点サーボ調整値決定動作を実行した後、光ピックアップユニットにより光ディスクのリライタブル領域に光を照射すると共にその反射光を受光し、そのときに光ピックアップユニットから出力される受光信号に基いて、リライタブル領域に記録されている制御情報を読取る。このとき、リライタブル領域レンズ中点サーボを実施して、リライタブル領域読取動作を実行する。すなわち、リライタブル領域内の別々の領域に記録されている制御情報を続けて読取るときには、リライタブル領域内に光を照射してフォーカシングサーボを実施している状態で、レンズ中点サーボループ系のゲイン等を上記#91で決定した調整値となるように調整したうえでレンズ中点サーボを実施して、光ピックアップユニットを移動させる。
【0012】
続いて、エンボス領域レンズ中点サーボ調整値決定動作を実行する(#93)。エンボス領域レンズ中点サーボ調整値決定動作とは、エンボス領域内に光を照射した状態で光ピックアップユニットを移動させるときに行うレンズ中点サーボをエンボス領域レンズ中点サーボとすると、エンボス領域レンズ中点サーボを実施するときの調整値を決定する動作である。すなわち、リライタブル領域読取動作を実行した後、光ピックアップユニットにより光ディスクのエンボス領域に光を照射すると共にその反射光を受光し、この状態で光ピックアップユニットを移動させ、このときに光ピックアップユニットから出力される受光信号に基いて、エンボス領域レンズ中点サーボを実施するときの調整値を決定する。
【0013】
続いて、エンボス領域読取動作を実行する(#94)。エンボス領域読取動作とは、光ディスクのエンボス領域に記録されている制御情報を読取る動作である。すなわち、エンボス領域レンズ中点サーボ調整値決定動作を実行した後、光ピックアップユニットにより光ディスクのエンボス領域に光を照射すると共にその反射光を受光し、そのときに光ピックアップユニットから出力される受光信号に基いて、エンボス領域に記録されている制御情報を読取る。このとき、エンボス領域レンズ中点サーボを実施して、エンボス領域読取動作を実行する。すなわち、エンボス領域内の別々の領域に記録されている制御情報を続けて読取るときには、エンボス領域内に光を照射してフォーカシングサーボを実施している状態で、レンズ中点サーボループ系のゲイン等を上記#93で決定した調整値となるように調整したうえでレンズ中点サーボを実施して、光ピックアップユニットを移動させる。従来の光ディスクとしてDVD−RAMを扱う光ディスク処理装置では、このように初期準備動作を行うようになっている。
【0014】
一方、BCAに対するシークの際に、プルイン信号を用いてBCAに到達したか否かの判別をし、また、BCA到達判別に応じてピックアップ手段を停止させた後は、対物レンズを変位させながらプルイン信号等に基く判別結果を監視し、対物レンズ位置を最適な位置に制御することで、ピックアップ手段を、確実にBCAでの情報読出ができる状態とするようにしたディスクドライブ装置が知られている(例えば特許文献1参照)。また、イニシャル動作において、ピックアップにより再生された信号に基いて光ディスク種類を判定し、光ディスクの種類に応じたパラメータに基いて再生信号の調整を行うようにした光ディスク装置が知られている(例えば特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
【特許文献1】特開2006−85764号公報
【特許文献2】特開2004−171616号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
しかしながら、上述した従来の光ディスク処理装置では、光ディスクが装着されたときに行う初期準備動作における処理が多く、その結果、初期準備動作に要する時間が長くなる。なお、上述した特許文献1及び特許文献3に開示の内容を適用したとしても、上記の問題を解決することはできない。
【0017】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、光ディスクが装着されたときに行う初期準備動作における処理を簡素化することができる光ディスク処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0018】
上記目的を達成するために請求項1の発明は、光ディスクが装着され、装着された光ディスクを回転させるスピンドルモータと、光ディスクに光を照射すると共に光ディスクからの反射光を受光して、その受光強度に対応する受光信号を出力する、移動することにより光ディスクへの光の照射位置が変化する光ピックアップユニットと、スピンドルモータに光ディスクが装着されたときに行う初期準備動作の実行を制御する制御手段とを備え、初期準備動作は、光ピックアップユニットにより光ディスクのエンボス領域に光を照射すると共にその反射光を受光し、そのときに光ピックアップユニットから出力される受光信号に基いて、エンボス領域に記録されている制御情報を読取るエンボス領域読取動作を含む光ディスク処理装置において、エンボス領域内に光を照射した状態で光ピックアップユニットを移動させるときに、光ピックアップユニットの対物レンズを光ピックアップユニットの受光素子の視野の中心に保持する動作を、エンボス領域レンズ中点サーボとし、該エンボス領域レンズ中点サーボを実施するときの調整値を決定する動作を、エンボス領域レンズ中点サーボ調整値決定動作とすると、制御手段は、初期準備動作において、エンボス領域レンズ中点サーボ調整値決定動作を実行せずに、エンボス領域読取動作を実行するものである。
【0019】
請求項2の発明は、制御手段は、エンボス領域読取動作において、エンボス領域レンズ中点サーボを実施せずに、光ピックアップユニットを移動させるものです。
【0020】
請求項3の発明は、請求項1又は請求項2に記載の光ディスク処理装置において、光ディスクとして、DVD−RAMを扱うものである。
【発明の効果】
【0021】
請求項1乃至請求項3の発明によれば、初期準備動作において、エンボス領域レンズ中点サーボ調整値決定動作を実行しないため、上記従来のDVD−RAMを扱う光ディスク処理装置と比較して、初期準備動作における処理を簡素化することができる。これにより、初期準備動作に要する時間を短縮することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の一実施形態に係る光ディスク処理装置の概略構成を示す電気的ブロック構成図。
【図2】同光ディスク処理装置の初期準備動作を示すフローチャート。
【図3】従来の光ディスク処理装置の初期準備動作を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明を具体化した実施形態による光ディスク処理装置について図面を参照して説明する。図1は、本実施形態による光ディスク処理装置の構成を示す。光ディスク処理装置1は、光ディスク2に情報を記録し、また、光ディスク2に記録されている情報を読取る装置である。この光ディスク処理装置1は、光ディスク2として、例えばDVD−RAMを扱い、DVD−RAMに対して情報の記録、読取を行うようになっている。
【0024】
光ディスク処理装置1は、ディスクセンサ11と、スピンドルモータ12と、光ピックアップユニット13と、シークモータ14と、信号処理部15と、メモリ16と、チューナ17と、リモコン18と、リモコン受信部19と、光ディスク処理装置1の動作を制御する制御部20等を備える。
【0025】
光ディスク2は、ディスク挿入部(不図示)から挿入され、スピンドルモータ12に装着される。ディスクセンサ11は、ディスク挿入部から挿入された光ディスク2を検出して、ディスク挿入部から光ディスク2が挿入されたことを示すディスク検出信号を出力する。スピンドルモータ12は、制御部20による制御のもと回転駆動され、装着された光ディスク2を回転させる。
【0026】
光ピックアップユニット13は、光ディスク2に情報を記録し、また、光ディスク2に記録されている情報を読取るためのものである。光ピックアップユニット13は、光ディスク2に光を照射すると共に光ディスク2からの反射光を受光して、その受光強度(光ディスク2からの反射光強度)に対応する受光信号を出力する。
【0027】
光ピックアップユニット13は、発光素子31、投光レンズ32、ビームスプリッタ33、対物レンズ34、受光レンズ35、及び受光素子36を有する。
【0028】
発光素子31は、制御部20による制御のもと発光駆動され、光(情報を記録するための記録光、又は、情報を読取るための読取光)を出射する。発光素子31から出射された光は、投光レンズ32、ビームスプリッタ33、及び対物レンズ34を介して、光ディスク2上に照射される。光ディスク2により反射された光は、対物レンズ34、ビームスプリッタ33、及び受光レンズ35を介して、受光素子36に受光される。受光素子36は、受光強度に応じた電圧レベルの受光信号を出力する。受光素子36は、複数の受光領域を有しており、受光領域毎に、受光強度に応じた電圧レベルの受光信号を出力する。
【0029】
すなわち、光ピックアップユニット13は、発光素子31から出射した光を光ディスク2に照射すると共に光ディスク2からの反射光を受光素子36により受光して、その受光強度(光ディスク2からの反射光強度)に対応する受光信号を出力する。
【0030】
シークモータ14は、制御部25による制御のもと駆動され、光ピックアップユニット13を光ディスク2の半径方向に移動させる。光ピックアップユニット13がディスク2の半径方向に移動することにより、光ピックアップユニット13による光ディスク2への光の照射位置が光ディスク2の半径方向に変化する。
【0031】
また、光ピックアップユニット13は、フォーカシングアクチュエータ41、及びトラッキングアクチュエータ42を有する。
【0032】
フォーカシングアクチュエータ41は、制御部20による制御のもと駆動され、対物レンズ34の位置を光ディスク2の情報記録層と垂直な方向に変化させる。トラッキングアクチュエータ42は、制御部20による制御のもと駆動され、対物レンズ34の位置を光ディスク2の半径方向に変化させる。対物レンズ34の位置が光ディスク2の情報記録層と垂直な方向に変化することにより、光ピックアップユニット13により光ディスク2に照射する光(発光素子31から出射されて対物レンズ34により集光される光)の集光点の位置が光ディスク2の情報記録層と垂直な方向に変化する。また、対物レンズ34の位置が光ディスク2の半径方向に変化することにより、光ピックアップユニット13により光ディスク2に照射する光の集光点の位置が光ディスク2の半径方向に変化する。
【0033】
信号処理部15は、光ピックアップユニット13から出力される受光信号から、情報読取信号を生成する。情報読取信号とは、光ディスク2の情報記録トラックに形成されている記録マーク及び記録スペースの配列に対応する信号であり、光ディスク2に記録されている情報を表わす信号である。
【0034】
また、信号処理部15は、光ピックアップユニット13から出力される受光信号から、フォーカシングエラー信号、トラッキングエラー信号、レンズ中点エラー信号を生成する。フォーカシングエラー信号とは、光ピックアップユニット13により光ディスク2に照射する光の集光点の、光ディスク2の情報記録層からの情報記録層と垂直な方向へのずれ量に対応する信号である。トラッキングエラー信号とは、光ピックアップユニット13により光ディスク2に照射する光の集光点の、光ディスク2の情報記録トラックから半径方向へのずれ量に対応する信号である。レンズ中点エラー信号とは、対物レンズ34の、受光素子36の視野の中心からのずれ量に対応する信号である。
【0035】
メモリ16は、制御部20による制御のもと、光ディスク処理装置1の動作に関わる各種情報を記憶する。チューナ17は、制御部20による制御のもと、テレビジョン放送局から放送されるテレビジョン信号を受信し、そのテレビジョン信号から、テレビジョン信号に基く映像の映像信号、及びテレビジョン信号に基く音声の音声信号を生成する。リモコン18は、光ディスク処理装置1の各種動作を指示するためにユーザにより操作され、その操作内容を示す操作信号を送信する。リモコン受信部19は、リモコン18から送信される操作信号を受信して、リモコン18の操作内容を示すリモコン受信信号を出力する。
【0036】
制御部20は、ディスクセンサ11から出力されるディスク検出信号に基いて、スピンドルモータ12に光ディスク2が装着されたことを検出する。また、制御部20は、スピンドルモータ12を回転駆動することにより、光ディスク2を回転させる。また、制御部20は、光ピックアップユニット13の発光素子31を発光駆動することにより、光ピックアップユニット13により光ディスク2に光を照射させる。また、制御部20は、シークモータ14を駆動することにより、光ピックアップユニット13を移動させる。
【0037】
また、制御部20は、フォーカシングアクチュエータ41を駆動することにより、対物レンズ34の、光ディスク2の情報記録層と垂直な方向の位置を制御する。また、制御部20は、トラッキングアクチュエータ42を駆動することにより、対物レンズ34の、光ディスク2の半径方向の位置を制御する。また、制御部20は、リモコン受信部19から出力されるリモコン受信信号に基いて、ユーザによるリモコン18の操作内容を判断する。
【0038】
そして、制御部20は、光ディスク2の回転、光ピックアップユニット13の移動、及び光ピックアップユニット13による光ディスク2への光の照射を制御することにより、光ディスク2に情報を記録し、また、光ディスク2に記録されている情報を読取る。すなわち、制御部20は、光ディスク2を回転させながら、光ピックアップユニット13により光ディスク2に光(情報を記録するための記録光)を照射させて、記録しようとする情報を表わす信号に対応する配列で光ディスク2に記録マーク及び記録スペースを形成することにより、光ディスク2に情報を記録する。また、制御部20は、光ディスク2を回転させながら、光ピックアップユニット13により光ディスク2に光(情報を読取るための読取光)を照射させ、そして、そのときに信号処理部15により生成される情報読取信号を取得することにより(すなわち光ピックアップユニット13から出力される受光信号に基いて)、光ディスク2に記録されている情報を読取る。
【0039】
また、制御部20は、光ディスク2に情報を記録するとき、及び光ディスク2に記録されている情報を読取るとき、フォーカシングサーボ、及びトラッキングサーボを行う。フォーカシングサーボとは、光ピックアップユニット13により光ディスク2に照射する光の集光点の位置を光ディスク2の情報記録層上に保持する動作であり、トラッキングサーボとは、光ピックアップユニット13により光ディスク2に照射する光の集光点の位置を光ディスク2の情報記録トラック上に保持する動作である。制御部20は、信号処理部15から出力されるフォーカシングエラー信号に基いて、フォーカシングエラー信号が0となるように、光ディスク2の情報記録層と垂直な方向における対物レンズ34の位置を制御することにより、フォーカシングサーボを行う。また、制御部20は、信号処理部15から出力されるトラッキングエラー信号に基いて、トラッキングエラー信号が0となるように、光ディスク2の半径方向における対物レンズ34の位置を制御することにより、トラッキングサーボを行う。
【0040】
また、制御部20は、光ディスク2の別々の領域に記録されている情報を続けて読取るために光ピックアップユニット13を移動させるとき、レンズ中点サーボを行う。レンズ中点サーボとは、光ピックアップユニット13の対物レンズ34を光ピックアップユニット13の受光素子36の視野の中心に保持する動作である。制御部20は、信号処理部15から出力されるレンズ中点エラー信号に基いて、レンズ中点エラー信号が0となるように、光ディスク2の半径方向における対物レンズ34の位置を制御することにより、レンズ中点サーボを行う。
【0041】
また、制御部20は、初期準備動作を行う。初期準備動作とは、スピンドルモータ12に光ディスク2が装着されたときに行う動作であり、光ディスク2に記録されている制御情報の読取や、レンズ中点サーボを実施するときの調整値の決定などを行う動作である。光ディスク2に記録されている制御情報とは、光ディスク2を個別に識別するためのディスクID情報や光ディスク2の種類を示すディスク物理情報、ユーザ記録情報の記録されている領域を示す管理情報などである。ユーザ記録情報とは、ユーザが利用する映像や音声などの情報である。レンズ中点サーボを実施するときの調整値とは、レンズ中点サーボを行うためのレンズ中点サーボループ系(対物レンズ34、受光素子36、制御部20、及びトラッキングアクチュエータ42から成るレンズ中点サーボループ系)のゲイン等である。
【0042】
本発明の光ディスク処理装置1は、光ディスク2として、例えばDVD−RAMを扱い、DVD−RAMに対して情報の記録、読取を行う。DVD−RAMでは、内周側(中心側)の所定の領域(光ディスク2の中心から半径23mm以上で24mm未満の輪状の領域)がエンボス領域となっており、エンボス領域の外周側の領域(光ディスク2の中心から半径24mm以上で58mm以下の輪状の領域)がリライタブル領域となっている。エンボス領域は、制御情報として、光ディスク2を個別に識別するディスクID情報及び光ディスク2の種類を示すディスク物理情報が予め記録されている領域である。リライタブル領域は、ユーザが利用する映像や音声などのユーザ記録情報を記録するための領域であり、また、制御情報として、ユーザ記録情報の記録されている領域を示す管理情報をユーザ記録情報の記録に応じて記録するための領域でもある。
【0043】
本発明の光ディスク処理装置1において制御部20が行う初期準備動作は、エンボス領域読取動作と、リライタブル領域読取動作と、リライタブル領域レンズ中点サーボ調整値決定動作とを含んでいる。
【0044】
エンボス領域読取動作とは、光ディスク2のエンボス領域に記録されている制御情報を読取る動作である。エンボス領域読取動作では、制御部20は、光ピックアップユニット13により光ディスク2のエンボス領域に光を照射すると共にその反射光を受光し、そのときに光ピックアップユニット13から出力される受光信号に基いて(そのときに信号処理部15により生成される情報読取信号を取得することにより)、光ディスク2のエンボス領域に記録されてる制御情報を読取る。
【0045】
リライタブル領域読取動作とは、光ディスク2のリライタブル領域に記録されている制御情報を読取る動作である。リライタブル領域読取動作では、制御部20は、光ピックアップユニット13により光ディスク2のリライタブル領域に光を照射すると共にその反射光を受光し、そのときに光ピックアップユニット13から出力される受光信号に基いて(そのときに信号処理部15により生成される情報読取信号を取得することにより)、光ディスク2のリライタブル領域に記録されている制御情報を読取る。
【0046】
リライタブル領域レンズ中点サーボ調整値決定動作とは、リライタブル領域レンズ中点サーボを実施するときの調整値を決定する動作である。リライタブル領域レンズ中点サーボとは、光ディスク2のリライタブル領域内の別々の領域に記録されている情報を続けて読取るためにピックアップユニット13を移動させるとき(すなわち、光ディスク2のリライタブル領域内に光を照射してフォーカシングサーボを実施している状態で光ピックアップユニット13を移動させるとき)に行うレンズ中点サーボである。リライタブル領域レンズ中点サーボ調整値決定動作では、制御部20は、光ピックアップユニット13により光ディスク2のリライタブル領域に光を照射すると共にその反射光を受光し、この状態で光ピックアップユニット13を移動させ、このときに光ピックアップユニット13から出力される受光信号に基いて(そのときに信号処理部15から出力されるトラッキングエラー信号、レンズ中点エラー信号に基いて)に基いて、リライタブル領域レンズ中点サーボを実施するときの調整値を決定し、その調整値をメモリ16に記憶する。
【0047】
また、制御部20は、初期準備動作を行った後、ユーザによるリモコン18の操作を受けて、チューナ17により生成された映像信号に基く映像、及びチューナ17により生成された音声信号に基く音声をユーザ記録情報として光ディスク2のリライタブル領域に記録する。このとき、制御部20は、初期準備動作において読取った管理情報に基いて、ユーザ記録情報をリライタブル領域の空き領域に記録し、また、ユーザ記録情報を記録した領域を示す管理情報をリライタブル領域の空き領域に記録する。
【0048】
また、制御部20は、初期準備動作を行った後、ユーザによるリモコン18の操作を受けて、光ディスク2のリライタブル領域に記録されているユーザ記録情報を読取る。このとき、制御部20は、初期準備動作において読取った管理情報に基いて、ユーザ記録情報を読取る。光ディスク2から読取ったユーザ記録情報による映像及び音声は、外部装置90のディスプレイ91及びスピーカ92によって出力される。
【0049】
図2は、光ディスク処理装置1の初期準備動作のフローチャートを示す。初期準備動作において、制御部20は、まず、リライタブル領域レンズ中点サーボ調整値決定動作を実行する(#1)。すなわち、制御部20は、スピンドルモータ12に光ディスク2が装着されたことを検出すると、光ディスク2を回転させると共に、光ピックアップユニット13により光ディスク2に光を照射させ、そして、光ピックアップユニット13による光ディスク2への光の照射位置がリライタブル領域になるように光ピックアップユニット13を移動させて、リライタブル領域レンズ中点サーボ調整値決定動作を実行する。上述のように、リライタブル領域レンズ中点サーボ調整値決定動作では、制御部20は、リライタブル領域レンズ中点サーボを実施するときの調整値を決定し、その調整値をメモリ16に記憶する。
【0050】
続いて、制御部20は、リライタブル領域読取動作を実行する(#2)。すなわち、制御部20は、リライタブル領域レンズ中点サーボ調整値決定動作を完了した後、光ピックアップユニット13による光ディスク2への光の照射位置がリライタブル領域になっている状態で、リライタブル領域読取動作を実行する。
【0051】
このとき、制御部20は、リライタブル領域レンズ中点サーボを実施して、リライタブル領域読取動作を実行する。上述のように、リライタブル領域レンズ中点サーボとは、光ディスク2のリライタブル領域内の別々の領域に記録されている情報を続けて読取るためにピックアップユニット13を移動させるとき(すなわち、光ディスク2のリライタブル領域内に光を照射してフォーカシングサーボを実施している状態で光ピックアップユニット13を移動させるとき)に行うレンズ中点サーボである。すなわち、リライタブル領域読取動作においてリライタブル領域内の別々の領域に記録されている制御情報を続けて読取るときには、制御部20は、光ディスク2のリライタブル領域内に光を照射してフォーカシングサーボを実施している状態で、レンズ中点サーボを実施して、光ピックアップユニット13を移動させる。このとき、制御部20は、レンズ中点サーボループ系のゲイン等をメモリ16に記憶している調整値(#1のリライタブル領域レンズ中点サーボ調整値決定動作において決定した調整値)となるように調整したうえでレンズ中点サーボを実施して、光ピックアップユニット13を移動させる。
【0052】
続いて、制御部20は、エンボス領域読取動作を実行する(#3)。すなわち、制御部20は、リライタブル領域読取動作を完了した後、光ピックアップユニット13による光ディスク2への光の照射位置がエンボス領域になるように光ピックアップユニット13を移動させて(光ピックアップユニット2を移動させている間、フォーカシングサーボ、トラッキングサーボ、及びレンズ中点サーボを行わない)、エンボス領域読取動作を実行する。
【0053】
このとき、制御部20は、エンボス領域レンズ中点サーボを実施せずに、エンボス領域読取動作を実行する。エンボス領域レンズ中点サーボとは、光ディスク2のエンボス領域内の別々の領域に記録されている情報を続けて読取るためにピックアップユニット13を移動させるとき(すなわち、光ディスク2のエンボス領域内に光を照射してフォーカシングサーボを実施している状態で光ピックアップユニット13を移動させるとき)に行うレンズ中点サーボである。すなわち、エンボス領域読取動作においてエンボス領域内の別々の領域に記録されている制御情報を続けて読取るときには、制御部20は、光ディスク2のエンボス領域内に光を照射してフォーカシングサーボを実施している状態で、レンズ中点サーボを実施せずに、光ピックアップユニット13を移動させる。エンボス領域は、光ディスク2の半径方向に1mm程度であるため、エンボス領域読取動作においては、中点サーボを実施しなくても(エンボス領域レンズ中点サーボを実施しなくても)、フォーカシングサーボが不安定になることがなく、光ディスク2からの情報の読取動作に支障を生じない。
【0054】
そして、エンボス領域読取動作を完了すると、制御部20は、初期準備動作を終了する。制御部20は、このように初期準備動作を実行する。すなわち、エンボス領域レンズ中点サーボを実施するときの調整値を決定する動作をエンボス領域レンズ中点サーボ調整値決定動作とすると、制御部20は、初期準備動作において、エンボス領域レンズ中点サーボ調整値決定動作を実行せずに、リライタブル領域レンズ中点サーボ調整値決定動作、リライタブル領域読取動作、及びエンボス領域読取動作を実行する。
【0055】
また、制御部20は、初期準備動作を行った後、ユーザによるリモコン18の操作を受けて、ユーザ記録情報を光ディスク2のリライタブル領域に記録するとき、及び光ディスク2のリライタブル領域に記録されているユーザ記録情報を読取るときにも、リライタブル領域レンズ中点サーボを実施する。すなわち、ユーザ記録情報をリライタブル領域内の別々の領域に記録するとき、及びリライタブル領域内の別々の領域に記録されているユーザ記録情報を続けて読取るときにも、制御部20は、レンズ中点サーボループ系のゲイン等をメモリ16に記憶している調整値(#1のリライタブル領域レンズ中点サーボ調整値決定動作において決定した調整値)となるように調整したうえでレンズ中点サーボを実施して、光ピックアップユニット13を移動させる。
【0056】
このような構成の光ディスク処理装置1によれば、初期準備動作において、エンボス領域レンズ中点サーボ調整値決定動作を実行しないため、従来のDVD−RAMを扱う光ディスク処理装置と比較して、初期準備動作における処理を簡素化することができる。これにより、初期準備動作に要する時間を短縮することができる。
【0057】
なお、本発明は、上記実施形態の構成に限られず、種々の変形が可能である。例えば、本発明の光ディスク処理装置は、ディスプレイ及びスピーカを一体的に備えていてもよい。また、外部機器から入力される情報を光ディスクに記録するようになっていてもよい。また、本発明は、光ディスクとしてDVD−RAMを扱う装置に限られず、エンボス領域とリライタブル領域が存在する光ディスクを扱う装置に適用可能である。
【符号の説明】
【0058】
1 光ディスク処理装置
2 光ディスク
11 ディスクセンサ
12 スピンドルモータ
13 光ピックアップユニット
14 シークモータ
15 信号処理部
16 メモリ
17 チューナ
18 リモコン
19 リモコン受信部
20 制御部
31 発光素子
32 投光レンズ
33 ビームスプリッタ
34 対物レンズ
35 受光レンズ
36 受光素子
41 フォーカシングアクチュエータ
42 トラッキングアクチュエータ
90 外部装置
91 ディスプレイ
92 スピーカ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光ディスクが装着され、装着された光ディスクを回転させるスピンドルモータと、
光ディスクに光を照射すると共に光ディスクからの反射光を受光して、その受光強度に対応する受光信号を出力する、移動することにより光ディスクへの光の照射位置が変化する光ピックアップユニットと、
前記スピンドルモータに光ディスクが装着されたときに行う初期準備動作の実行を制御する制御手段とを備え、
前記初期準備動作は、前記光ピックアップユニットにより光ディスクのエンボス領域に光を照射すると共にその反射光を受光し、そのときに前記光ピックアップユニットから出力される受光信号に基いて、前記エンボス領域に記録されている制御情報を読取るエンボス領域読取動作を含む光ディスク処理装置において、
前記エンボス領域内に光を照射した状態で前記光ピックアップユニットを移動させるときに、前記光ピックアップユニットの対物レンズを前記光ピックアップユニットの受光素子の視野の中心に保持する動作を、エンボス領域レンズ中点サーボとし、該エンボス領域レンズ中点サーボを実施するときの調整値を決定する動作を、エンボス領域レンズ中点サーボ調整値決定動作とすると、
前記制御手段は、
前記初期準備動作において、前記エンボス領域レンズ中点サーボ調整値決定動作を実行せずに、前記エンボス領域読取動作を実行する、
ことを特徴とする光ディスク処理装置。
【請求項2】
前記制御手段は、
前記エンボス領域読取動作において、エンボス領域レンズ中点サーボを実施せずに、光ピックアップユニットを移動させる、ことを特徴とする請求項1に記載の光ディスク処理装置。
【請求項3】
光ディスクとして、DVD−RAMを扱う、ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の光ディスク処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−243368(P2012−243368A)
【公開日】平成24年12月10日(2012.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−114161(P2011−114161)
【出願日】平成23年5月20日(2011.5.20)
【出願人】(000201113)船井電機株式会社 (7,855)
【Fターム(参考)】