説明

光ディスク装置及び半導体装置

【課題】光ディスクの多層化された情報記録層に対するフォーカス引き込み制御を高精度化する。
【解決手段】フォーカスエラー信号(FE)に基づいて情報記録層毎にフォーカス引き込みパラメータを生成する場合に、対物レンズ(13)の光学系に目的とする情報記録層に適合する球面収差補正を行い、光ビームを照射しながら対物レンズを光ディスク(10)に近づけていったとき順次変化するフォーカスエラー信号の大きさとフォーカスエラーの回数とを保持し、保持した情報を用いて、フォーカスエラー信号の判定閾値と、当該判定閾値を基準とするフォーカスエラーの判別回数とを当該情報記録層のフォーカス引き込みパラメータとして生成する。生成したフォーカス引き込みパラメータを用いて目的とする情報記録層へのフォーカス引き込みを制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、積層された複数の情報記録層を有する光ディスクに対して光ピックアップを用いて情報の記録再生を行う光ディスク装置、更には光ディスク装置のフォーカスサーボのための半導体装置に関し、例えばDVD(Digital Video Disc)やBD(Blue -ray Disc)などの光ディスクの記録再生用光ディスク装置に適用して有効な技術に関する。
【背景技術】
【0002】
光ディスクとしてCD(Compact Disc)、DVD,BDなどの記録メディアが提供されており、そのディスクに形成される情報記録層は1層又は2層が主流である。光ディスクの記録再生を行う光ディスク装置は、光ディスクの情報記録層がレーザー光の焦点深度内に位置するように光ピックアップの対物レンズを制御するフォーカスサーボ制御を行う。このとき、フォーカスサーボを行える距離まで対物レンズを光ディスクに近づけるフォーカス引き込みを最初に行う。フォーカスサーボやフォーカス引き込みにはフォーカスエラー信号が用いられている。情報記録層における焦点位置に対して対物レンズを通過するように移動させたときフォーカスエラー信号は焦点深度内において、一例として無反射レベルを基点に負極性から正極性を経て無反射レベルに戻る所謂S字状の波形を呈する。このS字状波形の極性反転点(ゼロクロスポイント)が情報記録層に対する合焦範囲の中心位置を示すことになる。
【0003】
特許文献1には、ディスクの表面から各情報記録層までの距離に応じてS字状波形の振幅が変化することに着目して、光ビームを照射しながら光ピックアップを光ディスクに近づけていったとき順次出現するフォーカスエラー信号のS字状波形の大きさや数に基づいてディスク判別を行ったり、サーボ引き込みタイミングを生成することが記載される。このとき、S字波形の出現はフォーカスエラー信号のゼロクロスポイントの発生、又は、所定レベルに到達する変化をもって検出することが記載される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−26528号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、S字波形の出現をフォーカスエラー信号のゼロクロスポイントの発生、又は、所定レベルに到達する変化をもって検出する場合のいずれにおいても、フォーカスエラー信号をディジタル信号に変換し、変換データを所定の閾値と比較して、その状態を識別しなければならない。その場合に、閾値が小さすぎるとディスクのひずみや面ぶれ、あるいはデータ書き込み状態のばらつきなどに起因するノイズによる変化を正規のS字状変化として検出する虞を生じ、逆に閾値を大きくし過ぎると、正規のS字状変化が小さいときはこれを検出できない虞がある。特に、記憶容量を増大させるために今後情報記録層数が増大されると、微妙なS字状変化も検出しなければならなくなると想定されることから、フォーカスエラー信号の変化に基づくフォーカス引き込み制御を更に高精度で行うことが必要になると考えられる。
【0006】
本発明の目的は、光ディスクの多層化された情報記録層に対するフォーカス引き込み制御を高精度化することができる光ディスク装置、更には半導体装置を提供することにある。
【0007】
本発明の前記並びにその他の目的と新規な特徴は本明細書の記述及び添付図面から明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本願において開示される発明のうち代表的なものの概要を簡単に説明すれば下記の通りである。
【0009】
すなわち、フォーカスエラー信号に基づいて情報記録層毎にフォーカス引き込みパラメータを生成する場合に、対物レンズの光学系に対して目的とする情報記録層に適合する球面収差補正を行い、光ビームを照射した状態で対物レンズを光ディスクに近づける方向に移動させていってフォーカスエラー信号に基づいて検出したフォーカスエラーの検出回数とそのフォーカスエラー信号の大きさとを保持し、保持した情報を用いて、フォーカスエラー信号の判定閾値と、当該判定閾値を基準とするフォーカスエラーの判別回数とを当該情報記録層のフォーカス引き込みパラメータとして生成する。生成したフォーカス引き込みパラメータを用いて目的とする情報記録層へのフォーカス引き込みを制御する。
【0010】
フォーカス引き込みパラメータとしてフォーカスを引き込ませたい情報記録層毎にフォーカスエラー信号の判定閾値と判別回数とを持たせることにより、目的とする情報記録層からの反射に応ずるフォーカスエラー信号の大きさとその他の情報記録層からの反射に応ずるフォーカスエラー信号の大きさとの関係が、ディスクの状態や、どの情報記録層を球面収差補正の対象とするかに応じて大きく相違するような場合にも、その状態に応じて、判別し易いフォーカスエラーの判定閾値と判別回数を設定することができ、判定閾値が小さ過ぎることによってノイズを正規の変化として検出したり、逆に判定閾値が大きすぎて正規の変化を検出できなかったりする事態を防止可能となる。
【発明の効果】
【0011】
本願において開示される発明のうち代表的なものによって得られる効果を簡単に説明すれば下記のとおりである。
【0012】
すなわち、光ディスクの多層化された情報記録層に対するフォーカス引き込み制御を高精度化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】図1はサーボプロセッサ部におけるフォーカスサーボ制御のための具体的な構成を例示するブロック図である。
【図2】図2は本発明に係る光ディスク装置を全体的に示すブロック図である。
【図3】図3は情報記録層としてL0,L1,L2,L3の4層を備えたディスクに対して対物レンズを近づける方向にフォーカスサーチを行ったときのフォーカスエラー信号FEの波形を例示すると共に、判定閾値としてVth1、判別回数として値4を得る場合の例を示す説明図である。
【図4】図4は判定閾値Vth2、判別回数2をフォーカス引き込みパラメータとして採用する場合を例示する説明図である。
【図5】図5はフォーカスエラーの発生を判定する判定閾値の判定マージンを最大にする例を示す説明図である。
【図6】図6はフォーカスエラーの発生を判定する判定閾値の判定マージンを最大にする別の例を示す説明図である。
【図7】図7はフォーカスエラー信号と判定閾値に対する振幅調整の説明図である。
【図8】図8は情報記録層L0に対応するフォーカス引き込みパラメータを生成してフォーカスサーボ制御を行うときの説明図である。
【図9】図9は情報記録層L1に対応するフォーカス引き込みパラメータを生成してフォーカスサーボ制御を行うときの説明図である。
【図10】図10は情報記録層L2に対応するフォーカス引き込みパラメータを生成してフォーカスサーボ制御を行うときの説明図である。
【図11】図11は情報記録層L3に対応するフォーカス引き込みパラメータを生成してフォーカスサーボ制御を行うときの説明図である。
【図12】図12にはディスク判別処理からフォーカスサーボ制御までの処理フローを例示するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
1.実施の形態の概要
先ず、本願において開示される発明の代表的な実施の形態について概要を説明する。代表的な実施の形態についての概要説明で括弧を付して参照する図面中の参照符号はそれが付された構成要素の概念に含まれるものを例示するに過ぎない。
【0015】
〔1〕<情報記録層毎にフォーカス引き込みパラメータを生成>
本発明の一実施の形態に係る光ディスク装置は、積層された複数の情報記録層(L0〜L3)を有する光ディスク(10)に対して情報の記録再生を行う光ディスク装置であって、前記情報記録層に対して対物レンズ(13)を焦点位置に制御するフォーカスサーボ制御のためにフォーカスエラー信号(FE)に基づいて情報記録層毎にフォーカス引き込みパラメータを生成し、生成したフォーカス引き込みパラメータを用いて目的とする情報記録層へのフォーカス引き込みを行うデータ処理部(20,22)を有する。前記データ処理部は、目的とする情報記録層に適合する球面収差補正を行い、光ビームを照射しながら対物レンズを光ディスクに近づけていってフォーカスエラー信号に基づいて検出したフォーカスエラーの検出回数と、その大きさをメモリ(62)に格納し、格納した情報を用いて、フォーカスエラー信号の判定閾値(Vth)と、当該判定閾値を基準とするフォーカスエラーの判別回数(N)とを当該情報記録層のフォーカス引き込みパラメータとして生成する。
【0016】
フォーカス引き込みパラメータとして情報記録層毎に判定閾値と判別回数とを持たせることにより、目的とする情報記録層からの反射に応ずるフォーカスエラー信号の大きさとその他の情報記録層からの反射に応ずるフォーカスエラー信号の大きさとの関係が、ディスクの状態や、どの情報記録層を球面収差補正の対象とするかに応じて大きく相違するような場合にも、その状態に応じて、判別し易い判定閾値と判別回数を設定することができ、判定閾値が小さすぎることによってノイズを正規の変化として検出したり、逆に判定閾値が大きすぎて正規の変化を検出できなかったりする事態を防止可能となる。
【0017】
〔2〕<フォーカス引き込み>
項1の光ディスク装置において、前記データ処理部は、前記フォーカスエラー信号が判定閾値を越えた回数が前記フォーカスエラーの判別回数に達したときの対物レンズの位置をフォーカス引き込み位置としてフォーカス引き込みを行う。
【0018】
フォーカス引き込みを行うタイミングを容易に得ることができる。
【0019】
〔3〕<判定閾値と判別回数の演算方法>
項1又は2の光ディスク装置において、前記データ処理部は、フォーカス引き込みを行う情報記録層に対応してフォーカスエラーを生じたときそのフォーカスエラー信号の大きさよりも小さな値を判定閾値に設定し、設定した判定閾値よりも大きなフォーカスエラー信号によるフォーカスエラーの検出回数を判別回数とする。
【0020】
フォーカス引き込みを行う情報記録層に対応するフォーカスエラー信号の大きさよりも値の小さなところで、他の情報記録層に対応するフォーカスエラー信号の大きさとの関係を考慮して望ましい値に判定閾値を設定することができる。
【0021】
〔4〕<差の大きなFEの間に判定閾値設定>
項1乃至3のいずれかの光ディスク装置において、前記データ処理部は、フォーカスエラーの検出順で隣同士のフォーカスエラー信号の大きさの差が最も大きなフォーカスエラー信号の間の大きさに前記判定閾値を設定する。
【0022】
判定閾値を越えて検出すべきフォーカスエラー信号の大きさと、判定閾値に達しないフォーカスエラー信号の大きさとの間の差を大きくすることができるから、大きな判定マージンが得られる。
【0023】
〔5〕<振幅比の大きいところで閾値設定>
項4の光ディスク装置において、前記データ処理部は、前記差が最も大きな隣同士のフォーカスエラー信号の大きさの差の半分に対応して前記判定閾値を設定する。
【0024】
判定閾値を越えて検出すべき側と、判定閾値に達しない側の双方において判定マージンを最大にすることができる。
【0025】
〔6〕<FEの振幅調整後の信号で判定閾値を生成>
項4又は5の光ディスク装置において、前記データ処理部は、フォーカスエラー信号の最大値を規定値に揃えるための振幅調整を行うことによって得られる振幅調整済みのフォーカスエラー信号に対応して前記判定閾値を生成する。
【0026】
振幅調整を行う場合に、その調整分を判定閾値にも反映させることができる。
【0027】
〔7〕<特定閾値よりも大きく判定閾値を設定>
項2の光ディスク装置において、前記データ処理部は、特定閾値を用いて取得したフォーカスエラーの検出回数が情報記録層の全てでフォーカスエラーを検出できたときの値か否かを判別し、そうでない場合にはフォーカス引込みパラメータとしての判定閾値を前記特定閾値よりも絶対値的に大きな値に設定する。
【0028】
これにより、フォーカスパラメータ決定時のフォーカスサーチでフォーカスエラーとして検出できなかった情報記録層からの反射光をフォーカスサーボ時におけるフォーカス引き込み動作でもフォーカスエラーとして検出されないことを高い信頼性を持って保証できるようになる。
【0029】
〔8〕<FEの振幅調率を考慮して判定閾値を生成>
項7の光ディスク装置において、前記データ処理部は、フォーカスエラー信号の最大値を規定値に揃えるための振幅調整をフォーカスエラー信号に対して行ったときの調整率を特定閾値に反映した後の値よりも大きな値に判定閾値を設定する。
【0030】
振幅調整を行う場合に、その調整率を判定閾値にも反映させることができる。
【0031】
〔9〕<A/D変換器でFEの大きさ検出>
項1の光ディスク装置において、前記データ処理部は、前記フォーカスエラー信号をディジタル信号に変換するAD変換回路(42)を有し、前記AD変換回路の出力に基づいて前記フォーカスエラー信号の大きさを得る。
【0032】
フォーカスエラー信号の大きさに基づく処理をCPUから成るようなシステムコントローラ(22)やDSPから成るようなデジタルサーボプロセッサ(20)などのデータ処理ユニットを用いて行うことが可能になる。
【0033】
〔10〕<コンパレータと回数カウント>
項9の光ディスク装置において、前記データ処理部は、前記アナログディジタル変換回路で検出されるフォーカスエラー信号を判定閾値と比較するコンパレータ(54A)を有し、前記コンパレータの出力に基づいて前記フォーカスエラーの発生を検出すると共に前記コンパレータによる検出出力をカウントしてフォーカスエラーの検出回数を取得する。
【0034】
前記フォーカスエラーの検出回数を容易に取得することができる。
【0035】
〔11〕<BD判別処理結果の利用>
項1乃至8のいずれかの光ディスク装置において、前記データ処理部は、前記フォーカスエラー信号の大きさとフォーカスエラー信号の検出個数とをメモリに格納する処理と、格納した情報を用いて前記判定閾値及び前記判別回数を生成する処理とを、複数の情報記録層を有する光ディスクが装着されたか否かを判別するディスク判別処理と共に行う。
【0036】
ディスク判別処理の結果をフォーカス引込のための前記判定閾値と判別回数の生成処理の一部に流用することができる。
【0037】
〔12〕<BD判別処理結果を用いたL0層の判定閾値と判別回数の生成>
項11の光ディスク装置において、前記ディスク判別処理は、対物レンズの光学系に最深部の情報記録層に適合する球面収差補正を行い、光ビームを照射しながら光ピックアップを光ディスクに所定時間近づけていってフォーカスエラー信号に基づいて検出したフォーカスエラーの検出回数と、そのときのフォーカスエラー信号の大きさを取得し、取得した情報に基づいて複数の情報記録層を有する光ディスクが装着されたか否か、例えばBDかどうかを判別する処理である。このディスク判別処理で取得したフォーカスエラー信号の大きさ及び検出回数とに基づいて、最深部の情報記録層に係る前記判定閾値と前記判別回数を生成する。
【0038】
ディスク判別処理の結果を最深部の情報記録層に係る前記判定閾値と判別回数の生成処理の一部に流用することができる。
【0039】
〔13〕<情報記録層毎にフォーカス引き込みパラメータを生成>
本発明の別の実施の形態に係るシステムLSI(半導体装置)28は、積層された複数の情報記録層を有する対物レンズに対して光ピックアップを焦点位置に制御するためのフォーカスサーボ制御を行うものであって、フォーカスエラー信号に基づいて情報記録層毎にフォーカス引き込みパラメータを生成し、生成したフォーカス引き込みパラメータを用いて目的とする情報記録層へのフォーカス引き込みを制御するデータ処理部を有する。前記データ処理部は、目的とする情報記録層に適合する球面収差補正を行い、光ビームを照射しながら光ピックアップを光ディスクに近づけていってフォーカスエラー信号に基づいて検出したフォーカスエラーの検出回数と、そのときのフォーカスエラー信号の大きさをメモリに格納し、格納した情報を用いて、フォーカスエラー信号の判定閾値と、当該判定閾値を基準とするフォーカスエラーの判別回数とを当該情報記録層のフォーカス引き込みパラメータとして生成する。
【0040】
項1と同様に、判定閾値が小さすぎることによってノイズを正規の変化として検出したり、逆に判定閾値が大きすぎて正規の変化を検出できなかったりする事態を防止可能になる。
【0041】
〔14〕<フォーカス引き込み>
項13の半導体装置において、前記データ処理部は、前記フォーカスエラー信号が判定閾値を越えた回数が前記フォーカスエラーの判別回数に達したときの前記対物レンズの位置をフォーカス引き込み位置としてフォーカス引き込みを行う。
【0042】
フォーカス引き込みを行うタイミングを容易に得ることができる。
【0043】
〔15〕<判定閾値と判別回数の演算方法>
項11乃至14のいずれかの半導体装置において、前記データ処理部は、フォーカス引き込みを行う情報記録層に対応してフォーカスエラーを生じたときそのフォーカスエラー信号の大きさよりも小さな値を判定閾値に設定し、設定した判定閾値よりも大きなフォーカスエラー信号によるフォーカスエラーの回数を判別回数とする。
【0044】
フォーカス引き込みを行う情報記録層に対応するフォーカスエラー信号の大きさよりも値の小さなところで、他の情報記録層に対応するフォーカスエラー信号の大きさとの関係を考慮して望ましい値に判定閾値を設定することができる。
【0045】
〔16〕<差の大きなFEの間に判定閾値設定>
項15の半導体装置において、前記データ処理部は、フォーカスエラーの検出順で隣同士のフォーカスエラー信号の大きさの差が最も大きなフォーカスエラー信号の間の大きさに前記判定閾値を設定する。
【0046】
判定閾値を越えて検出すべきフォーカスエラー信号の大きさと、判定閾値に達しないフォーカスエラー信号の大きさとの間の差を大きくすることができるから、大きな判定マージンが得られる。
【0047】
〔17〕<振幅比の大きいところで閾値設定>
項16の半導体装置において、前記データ処理部は、前記差が最も大きな隣同士のフォーカスエラー信号の大きさの差の半分に対応して前記判定閾値を設定する。
【0048】
判定閾値を越えて検出すべき側と、判定閾値に達しない側の双方において判定マージンを最大にすることができる。
【0049】
〔18〕<FEの振幅調整後の信号で判定閾値を生成>
項11乃至17のいずれかの半導体装置において、前記データ処理部は、フォーカスエラー信号の最大値を規定値に揃えるための振幅調整を行うことによって得られる振幅調整済みのフォーカスエラー信号に対応して前記判定閾値を生成する。
【0050】
振幅調整を行う場合に、その調整後の値をから判定閾値にも反映させることができる。
【0051】
〔19〕<特定閾値よりも大きく判定閾値を設定>
項14の半導体装置において、前記データ処理部は、特定閾値を用いて取得したフォーカスエラーの検出回数が情報記録層の全てでフォーカスエラーを検出できたときの値か否かを判別し、そうでない場合にはフォーカス引込みパラメータとしての判定閾値を前記特定閾値よりも絶対値的に大きな値に設定する。
【0052】
これにより、フォーカスパラメータ決定時のフォーカスサーチでフォーカスエラーとして検出できなかった情報記録層からの反射光をフォーカスサーボ時におけるフォーカス引き込み動作でもフォーカスエラーとして検出されないことを高い信頼性を持って保証できるようになる。
【0053】
〔20〕<FEの振幅調率を考慮して判定閾値を生成>
項19の半導体装置において、前記データ処理部は、フォーカスエラー信号の最大値を規定値に揃えるための振幅調整をフォーカスエラー信号に対して行ったときの調整率を特定閾値に反映した後の値よりも大きな値に判定閾値を設定する。
【0054】
振幅調整を行う場合に、その調整率を判定閾値にも反映させることができる。
【0055】
〔21〕<A/D変換器でFEの大きさ検出>
項13記載の半導体装置において、前記データ処理部は、前記フォーカスエラー信号をディジタル信号に変換するAD変換回路を有し、前記AD変換回路の出力に基づいて前記フォーカスエラー信号の大きさを得る。
【0056】
フォーカスエラー信号の大きさを測定する処理をCPUから成るようなシステムコントローラ(22)やDSPから成るようなサーボプロセッサ部(20)を用いたデータ処理ユニットで行うことが可能になる。
【0057】
〔22〕<閾値を用いて変化回数>
項21の半導体装置において、前記データ処理部は、前記アナログディジタル変換回路で検出されるフォーカスエラー信号を判定閾値と比較するコンパレータを有し、前記コンパレータの出力に基づいて前記フォーカスエラーの発生を検出すると共に前記コンパレータによる検出出力をカウントしてフォーカスエラーの検出回数を取得する。
【0058】
前記フォーカスエラーの検出回数を容易に取得することができる。
【0059】
〔23〕<情報記録層毎にフォーカス引き込みパラメータを生成>
別の実施の形態に係る光ディスク装置は、積層された複数の情報記録層を有する光ディスクに対して情報の記録再生を行う光ディスク装置であり、前記情報記録層に対して対物レンズを焦点位置に制御するフォーカスサーボ制御のためにフォーカスエラー信号に基づいて情報記録層毎にフォーカス引き込みパラメータを生成し、生成したフォーカス引き込みパラメータを用いて目的とする情報記録層へのフォーカス引き込みを行うデータ処理部を有する。前記データ処理部は、目的とする情報記録層に適合する球面収差補正を行い、光ビームを照射しながら対物レンズを光ディスクに近づけていってフォーカスエラーを検出したときの検出タイミング及びそのときのフォーカスエラー信号の大きさをメモリに格納し、格納した情報を用いて、フォーカスエラー信号の判定閾値と、当該判定閾値を基準とするフォーカスエラーの層判別回数とを当該情報記録層のフォーカス引き込みパラメータとして生成する。
【0060】
ここでは項1のフォーカスエラーの検出回数に代えてフォーカスエラーの検出タイミングを取得する。検出体タイミングの取得数がフォーカスエラーの検出回数になるから、この意味では項1と同様の作用効果を奏する。更に、フォーカスエラーの検出タイミングを取得する場合には検出タイミングの間のインターバルの把握が可能であるから検出されたフォーカスエラーがどの情報記録層からの反射であるかにいついても把握可能になり、複数層の情報記録層のうちの中間部の情報記録層からの反射によるフォーカスエラーの発生を検出できない場合に当該フォーカスエラーを検出できなかった情報記録層がどの情報記録層であったかの判別が可能になる。したがって、フォーカス引き込みを高精度化する上必要なでフォーカス引き込みパラメータとしての判定閾値の設定が行い易くなる。
【0061】
〔24〕<フォーカス引き込み>
項23の光ディスク装置において、前記データ処理部は、前記フォーカスエラー信号が判定閾値を越えた回数が前記フォーカスエラーの判別回数に達したときの対物レンズの位置をフォーカス引き込み位置としてフォーカス引き込みを行う。
【0062】
フォーカス引き込みを行うタイミングを容易に得ることができる。
【0063】
〔25〕<判定閾値と判別回数の演算方法>
項23の光ディスク装置において、前記データ処理部は、フォーカス引き込みを行う情報記録層に対応してフォーカスエラーが発生したときそのフォーカスエラー信号の大きさよりも小さな値を判定閾値に設定し、設定した判定閾値よりも大きなフォーカスエラー信号によるフォーカスエラーの回数を判別回数とする。
【0064】
フォーカス引き込みを行う情報記録層に対応するフォーカスエラー信号の大きさよりも値の小さなところで、他の情報記録層に対応するフォーカスエラー信号の大きさとの関係を考慮して望ましい値に判定閾値を設定することができる。
【0065】
〔26〕<差の大きなFEの間に判定閾値設定>
項25の光ディスク装置において、前記データ処理部は、フォーカスエラーの検出順で隣同士のフォーカスエラー信号の大きさの差が最も大きなフォーカスエラー信号の間の大きさに前記判定閾値を設定する。
【0066】
判定閾値を越えて検出すべきフォーカスエラー信号の大きさと、判定閾値に達しないフォーカスエラー信号の大きさとの間の差を大きくすることができるから、大きな判定マージンが得られる。
【0067】
〔27〕<振幅比の大きいところで閾値設定>
項26の光ディスク装置において、前記データ処理部は、前記差が最も大きな隣同士のフォーカスエラー信号の大きさの差の半分に対応して前記判定閾値を設定する。
【0068】
判定閾値を越えて検出すべき側と、判定閾値に達しない側の双方において判定マージンを最大にすることができる。
【0069】
〔28〕<FEの振幅調整後の信号で判定閾値を生成>
項26の光ディスク装置において、前記データ処理部は、フォーカスエラー信号の最大値を規定値に揃えるための振幅調整を行うことによって得られる振幅調整済みのフォーカスエラー信号に対応して前記判定閾値を生成する。
【0070】
振幅調整を行う場合に、その調整分を判定閾値にも反映させることができる。
【0071】
〔29〕<特定閾値よりも大きく判定閾値を設定>
項24の光ディスク装置において、前記データ処理部は、特定閾値を用いて取得したフォーカスエラーの検出回数が情報記録層の全てでフォーカスエラーを検出できたときの値か否かを判別し、そでない場合にはフォーカス引込みパラメータとしての判定閾値を前記特定閾値よりも絶対値的に大きな値に設定する。
【0072】
これにより、フォーカスパラメータ決定時のフォーカスサーチでフォーカスエラーとして検出できなかった情報記録層からの反射光をフォーカスサーボ時におけるフォーカス引き込み動作でもフォーカスエラーとして検出されないことを高い信頼性を持って保証できるようになる。
【0073】
〔30〕<FEの振幅調率を考慮して判定閾値を生成>
項29の光ディスク装置において、前記データ処理部は、フォーカスエラー信号の最大値を規定値に揃えるための振幅調整をフォーカスエラー信号に対して行ったときの調整率を特定閾値に反映した後の値よりも大きな値に前記判定閾値を設定する。
【0074】
振幅調整を行う場合に、その調整率を判定閾値にも反映させることができる。
【0075】
〔31〕<A/D変換器でFEの大きさ検出>
項23の光ディスク装置において、前記データ処理部は、前記フォーカスエラー信号をディジタル信号に変換するAD変換回路を有し、前記AD変換回路の出力に基づいて前記フォーカスエラー信号の大きさを得る。
【0076】
フォーカスエラー信号の大きさに基づく処理をCPUから成るようなシステムコントローラ(22)などのデータ処理ユニットを用いて行うことが可能になる。
【0077】
〔32〕<コンパレータとタイマカウンタ>
項31の光ディスク装置において、前記データ処理部は、前記アナログディジタル変換回路で検出されるフォーカスエラー信号を判定閾値と比較するコンパレータ(54A)とタイマカウンタ(54B)とを有し、前記コンパレータの出力に基づいて前記フォーカスエラーの発生を検出すると共にフォーカスエラーを検出する毎に前記タイマカウンタのタイマカウント値をフォーカスエラーの検出タイミングの情報として取得する。
【0078】
前記フォーカスエラーの検出タイミングを容易に取得することができる。
【0079】
〔33〕<BD判別処理結果の利用>
項23の光ディスク装置において、前記データ処理部は、前記フォーカスエラー信号の大きさとフォーカスエラーの検出タイミングとをメモリに格納する処理と、格納した情報を用いて前記判定閾値及び前記判別回数を生成する処理とを、複数の情報記録層を有する光ディスクが装着されたか否かを判別するディスク判別処理と共に行う。
【0080】
ディスク判別処理の結果をフォーカス引込のための前記判定閾値と判別回数の生成処理の一部に流用することができる。
【0081】
〔34〕<BD判別処理結果を用いたL0層の判定閾値と判別回数の生成>
項33の光ディスク装置において、前記ディスク判別処理は、最深部の情報記録層に適合する球面収差補正を行い、光ビームを照射しながら対物レンズを光ディスクに所定時間近づけていってフォーカスエラーを検出したときの検出タイミング及びそのときのフォーカスエラー信号の大きさを取得し、取得した情報に基づいて複数の情報記録層を有する光ディスクが装着されたか否かを判別する処理である。データ処理部は、前記ディスク判別処理で取得したフォーカスエラー信号の大きさ及び検出タイミングとに基づいて、最深部の情報記録層に係る前記判定閾値と前記層判別回数を生成する。
【0082】
ディスク判別処理の結果を最深部の情報記録層に係る前記判定閾値と判別回数の生成処理の一部に流用することができる。
【0083】
〔35〕<情報記録層毎にフォーカス引き込みパラメータを生成>
更に別の実施の形態に係る半導体装置は、積層された複数の情報記録層を有する光ディスクに対して対物レンズを焦点位置に制御するためのフォーカスサーボ制御を行うものであって、フォーカスエラー信号に基づいて情報記録層毎にフォーカス引き込みパラメータを生成し、生成したフォーカス引き込みパラメータを用いて目的とする情報記録層へのフォーカス引き込みを制御するデータ処理部を有する。前記データ処理部は、目的とする情報記録層に適合する球面収差補正を行い、光ビームを照射しながら光ピックアップを光ディスクに近づけていってフォーカスエラーを検出したときの検出タイミング及びそのときのフォーカスエラー信号の大きさを保持し、保持した情報を用いて、フォーカスエラー信号の判定閾値と、当該判定閾値を基準とするフォーカスエラーの判別回数とを当該情報記録層のフォーカス引き込みパラメータとして生成する。
【0084】
項23と同様に、判定閾値が小さすぎることによってノイズを正規の変化として検出したり、逆に判定閾値が大きすぎて正規の変化を検出できなかったりする事態を防止可能になる。
【0085】
〔36〕<フォーカス引き込み>
項35の半導体装置において、前記データ処理部は、前記フォーカスエラー信号が判定閾値を越えた回数が前記フォーカスエラーの判別回数に達したときの対物レンズの位置をフォーカス引き込み位置としてフォーカス引き込みを行う。
【0086】
フォーカス引き込みを行うタイミングを容易に得ることができる。
【0087】
〔37〕<判定閾値と判別回数の演算方法>
項36の半導体装置において、前記データ処理部は、フォーカス引き込みを行う情報記録層に対応してフォーかエラーを生じたときそのフォーカスエラー信号の大きさよりも小さな値を判定閾値に設定し、設定した判定閾値よりも大きなフォーカスエラー信号によるフォーカスエラーの回数を判別回数とする。
【0088】
フォーカス引き込みを行う情報記録層に対応するフォーカスエラー信号の大きさよりも値の小さなところで、他の情報記録層に対応するフォーカスエラー信号の大きさとの関係を考慮して望ましい値に判定閾値を設定することができる。
【0089】
〔38〕<差の大きなFEの間に判定閾値設定>
項37の半導体装置において、前記データ処理部は、フォーカスエラーの検出順で隣同士のフォーカスエラー信号の大きさの差が最も大きなフォーカスエラー信号の間の大きさに前記判定閾値を設定する。
【0090】
判定閾値を越えて検出すべきフォーカスエラー信号の大きさと、判定閾値に達しないフォーカスエラー信号の大きさとの間の差を大きくすることができるから、大きな判定マージンが得られる。
【0091】
〔39〕<振幅比の大きいところで閾値設定>
項38の半導体装置において、前記データ処理部は、前記差が最も大きな隣同士のフォーカスエラー信号の大きさの差の半分に対応して前記判定閾値を設定する。
【0092】
判定閾値を越えて検出すべき側と、判定閾値に達しない側の双方において判定マージンを最大にすることができる。
【0093】
〔40〕<FEの振幅調整後の信号で判定閾値を生成>
項38の半導体装置において、前記データ処理部は、フォーカスエラー信号の最大値を規定値に揃えるための振幅調整を行うことによって得られる振幅調整済みのフォーカスエラー信号に対応して前記判定閾値を生成する。
【0094】
振幅調整を行う場合に、その調整後の値をから判定閾値にも反映させることができる。
【0095】
〔41〕<特定閾値よりも大きく判定閾値を設定>
項36の半導体装置において、前記データ処理部は、特定閾値を用いて取得したフォーカスエラーの検出回数が情報記録層の全てでフォーカスエラーを検出できたときの値か否かを判別し、そでない場合にはフォーカス引込みパラメータとしての判定閾値を前記特定閾値よりも絶対値的に大きな値に設定する。
【0096】
これにより、フォーカスパラメータ決定時のフォーカスサーチでフォーカスエラーとして検出できなかった情報記録層からの反射光をフォーカスサーボ時におけるフォーカス引き込み動作でもフォーカスエラーとして検出されないことを高い信頼性を持って保証できるようになる。
【0097】
〔42〕<FEの振幅調率を考慮して判定閾値を生成>
項41の半導体装置において、前記データ処理部は、フォーカスエラー信号の最大値を規定値に揃えるための振幅調整をフォーカスエラー信号に対して行ったときの調整率を特定閾値に反映した後の値よりも大きな値に前記判定閾値を設定する。
【0098】
振幅調整を行う場合に、その調整率を判定閾値にも反映させることができる。
【0099】
〔43〕<A/D変換器でFEの大きさ検出>
項35の半導体装置において、前記データ処理部は、前記フォーカスエラー信号をディジタル信号に変換するAD変換回路を有し、前記AD変換回路の出力に基づいて前記フォーカスエラー信号の大きさを得る。
【0100】
フォーカスエラー信号の大きさを測定する処理をCPUから成るようなシステムコントローラ(22)などのデータ処理ユニットで行うことが可能になる。
【0101】
〔44〕<コンパレータとタイマカウンタ>
項43の半導体装置において、前記データ処理部は、前記アナログディジタル変換回路で検出されるフォーカスエラー信号を判定閾値と比較するコンパレータとタイマカウンタとを有し、前記コンパレータの出力に基づいて前記フォーカスエラーの発生を検出すると共にフォーカスエラーを検出する毎に前記タイマカウンタのタイマカウント値をフォーカスエラーの検出タイミングの情報として取得する。
【0102】
前記フォーカスエラーの検出タイミングを容易に取得することができる。
【0103】
2.実施の形態の詳細
実施の形態について更に詳述する。
【0104】
《光ディスク装置》
図2には本発明に係る光ディスク装置が例示される。同図に示される光ディスク装置は、例えば、BDステム、DVDシステム、CDシステム、あるいはそれらのマルチディスクドライブシステムに適用され、特にここでは再生のための構成を図示する。
【0105】
光ディスク10は、ターンテーブルに搭載され、再生動作時において、スピンドルモーター11によって一定速度(CLV)方式または、一定角速度(CAV)方式により、駆動回転される。この状態で光ピックアップ(光学ヘッド)12は、エンボスピット形態、相変化ピット形態、色素変化ピット形態などで記録されているデータを光ディスク10から読み出す。
【0106】
光ピックアップ12内には、レーザー光源となるレーザーダイオード、レーザー光の出力端となる対物レンズ13、及びレーザー光の強度を検出するFMD(Front Monitor Diode)14等により、レーザー光が対物レンズ13を介して光ディスク10記録面に照射され、またその反射光を集光するためのフォトディテクタ(PD)9に導く光学系が形成されている。
【0107】
APC(Auto Power Control)回路18は、FMD14から出力される電流を電流−電圧変換し、電流−電圧変換された電圧が一定になるように、レーザー電流を制御し、レーザーパワーが一定になるようにレーザードライバ(LDRV)26を制御する回路である。I−V変換を行う回路は光ピックアップ12内に設けられる場合もある。また、APC回路18は、光ピックアップ12内又はシステムLSI28内に設けられる場合もある。
【0108】
対物レンズ13は駆動ドライバ(二軸機構)16によってトラッキング方向及びフォーカス方向に移動可能に保持されている。チルト方向を備えた三軸機構を備えた光ピックアップを採用してもよい。光ピックアップ12はその全体がスライダー機構17により光ディスク10の半径方向に移動可能とされている。内周側にはSLT−SW(スタートリミットスイッチ)15を備え、スライダー位置の検出が可能になっている。
【0109】
光ディスク10からの反射光は光ピックアップ12内のフォトディテクタ9によって検出され、受光光量に応じた電流信号から電圧信号に変換され、受光信号処理部19に供給される。
【0110】
受光信号処理部19は、マトリクス演算及び増幅回路(MTRXAMP)27等を備え、マトリクス演算処理により必要な信号を生成する。例えば再生データであるRF信号、サーボ制御のためのフォーカスエラー信号FE、トラッキングエラー信号TEなどを生成する。
【0111】
ここで、フォーカスエラー信号FEは例えば以下によって生成される。光ピックアップ12は光ディスク10の表で反射された反射光をメインスポットの領域で受光するフォトディテクタ9を有する。フォトディテクタ9は、メインスポットの4分割部位の個々に対応するフォトダイオードを有する。メインスポットの中心を挟んで対角に配置された夫々一対のフォトダイオードペアの一方は夫々の電流が加算されて電流−電圧変換回路で電圧に変換され、フォトダイオードペアの他方は夫々の電流が加算されて電流−電圧変換回路で電圧に変換される。夫々で変換された電圧は減算回路で減算され、その結果がフォーカスエラー信号FEとされる。光ピックアップ12の対物レンズ13が焦点深度の中心位置に合っている場合にはその光学系の作用によりメインスポットは4個の各フォトダイオードに均一に集光する円形とされるようになっている。近すぎる場合にはその光学系の作用によりメインスポットは一方のフォトダイオードペアに専ら集光する楕円形状とされるようになっている。遠すぎる場合にはその光学系の作用により他方のフォトダイオードペアに専ら集光する楕円形状とされるようになっている。したがって、対物レンズ13が合焦点の中心位置にあるとき減算回路の出力はゼロ(無反射状態と同じ)になることから、対物レンズを合焦点位置の前後に移動すると、減算回路の出力波形は、ゼロから負値、ゼロ、正値を経てゼロに戻る所謂ゼロクロスのS字波形を呈する。サーボプロセッサ部20はフォーカスエラー信号FEがゼロになるように駆動ドライバ16を用いてピックアップ12上における対物レンズ13の位置が情報記録層に対して合焦範囲の中心となるように制御するフォーカスサーボ制御などを行う。なお、前記フォトダイオードペア毎の減算回路及びそれら減算回路の出力に対する加算回路はマトリクス演算及び増幅回路(MTRXAMP)27によって構成される。
【0112】
受光信号処理部19はそのほかに、ウォブル信号を生成するウォブル検出回路(WBL)、フォーカスエラー信号FE及びトラッキングエラー信号TEのレベル調整を行うための電圧制御増幅回路(VCA)を有する。
【0113】
受光処理部19から出力される再生高周波信号RFはデータ復調部29へ供給される。データ復調部29は、再生高周波信号RFに対して2値化処理や、PLL(Phase-locked loop)回路による再生クロック生成処理、記録データフォーマットに対するデコード処理(例えばEFM復調、RLL復調、17PPなど) 、エラー訂正処理等を行ない、また圧縮データが読み出されるシステムの場合は圧縮に対する伸長処理などを行って、再生データを得る。データ復調部29では、処理過程においてデータをデータバッファメモリ21に蓄積しながら逐次読み出し処理を行ったり、ホストインタフェース(HSTIF)24を介して転送出力を行う。データ変調部25はホストインタフェース24からデータバッファ21に供給された書き込みデータをディスク書き込み用に変調する回路であり、変調された書き込みデータはシステムコントローラを22からレーザードライバ26に供給される。
【0114】
サーボプロセッサ20は、受光信号処理部19から生成されるフォーカスエラー信号FE、トラッキングエラー信号TE、データ復調回路部29から生成されるスピンドルエラー信号SPD、スレッド信号SLD等に基づいて、フォーカス、トラッキング、スレッド、スピンドルの各種サーボドライブ信号を制御してサーボ動作を実行させる。即ちフォーカスエラー信号FE、トラッキングエラー信号TEに応じてフォーカスドライブ信号、トラッキングドライブ信号を生成し、駆動ドライバ16に供給する。駆動ドライバ16は光ピックアップ10における二軸機構のフォーカスコイル、トラッキングコイルなどを駆動することになる。これによって光ピックアップ10、受光信号処理部19、サーボプロセッサ部20、駆動ドライバ16によるフォーカスサーボループ及びトラッキングサーボループを形成する。
【0115】
フォーカスサーボをオンとする際には、まずフォーカスサーチを実行しなければならない。フォーカスサーチの際には、サーボプロセッサ部20がフォーカスサーボをオフにした状態で所要のフォーカスサーチ信号を発生し、対物レンズ13を基準位置から光ディスク10の表面方向に強制的に移動させる。その移動過程でフォーカスエラー信号FEのS字カーブが得られる位置を検出したとき、所定タイミングでフォーカスサーボをオンとすることで、以降、レーザースポットが合焦点状態に保持されるフォーカスサーボ動作が実現される。フォーカスエラー信号FEのS字カーブの位置を検出するためには予め生成したフォーカス引き込みパラメータを用いる。これについての詳細な説明は後述する。
【0116】
システムコントローラ22は光ディスク装置による情報の記録及び再生とホストインタフェースに対する全体的な制御を行う。メモリ23はシステムコントローラ22のワークメモリである。特に制限されないが、28で示される回路ブロックは1個の半導体チップに形成されたシステムオンチップであり、主にシステムコントローラ22とサーボプロセッサ部20等で構成される。システムコントローラ22はCPUを中心としてプロセッサコアとして位置付けられ、その他の回路モジュールはデジタルシグナルプロセッサ(DSP)として位置付けられる。メモリ23は、当該システムコントローラ28に対して外部メモリとして構成してもよい。
【0117】
《フォーカス引き込みパラメータの生成》
図1にはサーボプロセッサ部20におけるフォーカスサーボ制御のための構成と球面収差補正機構が例示される。図1に基づいてフォーカス引き込みパラメータの生成処理について説明する。
【0118】
ここでは光ピックアップ12がAPC回路18及びレーザードライバ26を備える。光ピックアップ12の光学系には対物レンズ13のほかに球面収差補正機構30を備える。球面収差補正機構30は光ディスク10の表面から情報記録層までの距離、すなわちフォーカスを引込ませたい層に応じて球面収差補正を行うために光軸方向に変移可能にされる補正レンズ31を備える。補正レンズ31の移動は例えばステッピングモータ32で行われる。
【0119】
フォトダイオード9の出力を受けるマトリクス演算及び増幅回路(MTRXAMP)27は前述のようにフォーカスエラー信号FEを形成し、形成されたフォーカスエラー信号FEはレジスタ34の設定にしたがってバランス及び振幅調整回路33がS字状波形(フォーカスエラー信号)の正側と負側のバランス調整(対称性調整)と、S字状波形の振幅調整を行うことができる。レジスタ34にはバランス調整データFBAL及び振幅設定データLEBELがシステムコントローラ22によって設定される。バランス及び振幅調整回路33は図2の電圧制御増幅回路(VCA)に相当する。バランス及び振幅調整回路33の出力はサーボプロセッサ部20に供給され、AD変換回路(ADC)42でアナログ信号からディジタル信号に変換される。ディジタル信号に変化されたフォーカスエラー信号にも便宜上アナログ信号としてのフォーカスエラー信号と同じ参照符号FEを与える。
【0120】
サーボプロセッサ部20は球面収差補正のために、ステッピングモータ32の駆動量を制御する駆動データがシステムコントローラ22によって設定されるステッピングモータ制御レジスタ(REG_SM)40及び、当該レジスタ40に設定された制御データに基づいてステッピング駆動回路41がステッピングモータドライバ16を介してステッピングモータ32を駆動する。
【0121】
サーボプロセッサ部20はフォーカスサーチのために対物レンズ13を所定位置から光ディスク10の表面方向に移動するための駆動電圧を発生するフォーカス駆動電圧発生回路50を有する。フォーカス駆動電圧の大きさはシステムコントローラ22によって駆動電圧制御レジスタ(REG_FO)51に設定される制御データによって決まる。フォーカス駆動電圧は加算回路52を経て駆動ドライバ16を介して光ピックアップ12に供給される。フォーカスサーチにおいて対物レンズ13は所定位置から逐次光ディスク10の表面方向に移動される。対物レンズ13が移動されると、対物レンズ13の焦点位置が、ディスク10の表面から各々の情報記録面を通るごとに、フォーカスエラー信号FEのS字状の波形が現れる。フォーカスエラー検出回路54はコンパレータレベル設定回路55で設定された閾値を越えるとハイレベルを出力し、フォーカスエラー信号FEの入力を判別する。コンパレータレベル設定回路55が設定する閾値はシステムコントローラ22によって閾値レジスタ(REG_TH)56に設定される制御データによって決定される。フォーカス引き込み回路57はフォーカスエラー検出回路54によるフォーカスエラーの判別回数がレジスタ(REG_Num)58の設定データで指定された所定回数に達したか否かを判別する。所定回数に達したことを判別すると、フォーカス引き込み回路57はスイッチ59を閉じる(サーボループのオン)と共にフォーカス駆動電圧発生回路50が出力する駆動電圧を基準電圧(ゼロ)にしてサーボ引き込みを完了し、フォーカスエラー信号FEが位相補償回路60に依り位相補償された後、加算回路52で加算されて出力される。これにより、フォーカスサーボのサーボループが形成される。
【0122】
フォーカスサーボ引き込みに際してフォーカスエラー検出回路54で用いる判定閾値及びフォーカス引き込み回路で用いる判別回数のデータ、すなわちレジスタ56,58に設定されるデータは、システムコントローラ22によって予めフォーカス引き込みパラメータとして取得されている。例えばディスク判別処理と共に、あるいはディスク判別処理の後に行われるフォーカスエラー信号の振幅調整に際して、フォーカスサーチと同様の操作によってフォーカスエラー検出回路54で必要なデータを取得し、取得したデータを用いた演算処理をシステムコントローラ22が行って、情報記録層毎にフォーカス引き込みパラメータとして前記判定閾値及び判別回数を生成する。
【0123】
《フォーカス引き込みパラメータの生成手法》
フォーカス引き込みパラメータを生成する処理について以下に詳述する。
【0124】
図3には情報記録層としてL0,L1,L2,L3の4層を備えたディスクに対して対物レンズ13を近づける方向にフォーカスサーチを行ったときのフォーカスエラー信号FEの波形が例示される。SFCは光ディスク10の表面を意味する。ここでは球面収差補正が情報記録層L0に対応して行われている場合を一例とする。ここに例示されるフォーカスエラー信号FEの波形は一例であり、必ずしも球面収差補正の対象とした情報記録層L0から離れるほどフォーカスエラー信号FEの大きさが小さくなるとは限らず、ディスク10の反り、更にはデータの記録状態等に影響されて変化する。フォーカス引き込みパラメータを生成するとき前記フォーカスエラー検出回路54は、第1の例として、フォーカスサーチにおいて、フォーカスエラー信号FEに基づいてフォーカスエラーを検出し、その発生回数と発生時のそのフォーカスエラー信号の大きさとをワークメモリ62に格納する。すなわち、フォーカスエラーを検出するためには、例えばレジスタ56に閾値Vth1に応ずる制御データが設定されると、コンパレータレベル設定回路55からフォーカスエラー検出回路54に閾値VTh1が与えられ、フォーカスエラー検出回路54のコンパレータ54Aが閾値電圧Vth1を超えるフォーカスエラー信号FEの入力を検出して、フォーカスエラー検出パルスを生成する。フォーカスエラー検出回路54は、フォーカスエラー検出パルスが発生されるごとにそのときのフォーカスエラー信号FEの大きさのデータをワークメモリ62に順番に格納する。更にフォーカスエラー検出回路54は、フォーカスサーチにおいてフォーカスエラー検出パルスを計数する回数カウンタ54Bを有し、フォーカスサーチが1回終わる毎に、回数カウンタ54Bのカウント値をワークメモリ62に格納する。ワークメモリに格納されるカウント値は1回のフォーカスサーチによって検出されたフォーカスエラーの検出回数を示す。
【0125】
システムコントローラ22はフォーカスサーチにおけるフォーカスサーチの開始を基点とする経過動作時間を管理することにより、対物レンズ13がディスク10に衝突する手前の所定位置で対物レンズ13の移動を停止するようにもなっている。強制的に停止された場合には、閾値Vth1に対して最後に検出パルスが得られた地点が情報記録層L0の位置になる。既にディスクの種別が判別されていれば、システムコントローラ22は既に判別されている情報記録層の層数と回数カウンタ54Bによるカウント値との整合性を確認することができ、層数に対してカウント値が1大きければ当該閾値Vth1はディスク10の表面層SFCの反射によるフォーカスエラー信号FEのS字状変化も検出するレベルであることが明らかになる。層数に対してカウント値が1足りなければ、当該閾値Vth1は、球面収差補正の対象とした情報記録層以外の一つの記録層からの反射によるフォーカスエラー信号FEのS字状変化を検出することができないレベルであることが明らかになる。いずれにおいても、閾値Vth1を用いてフォーカスサーチを行ったとき、情報記録層L0に合焦するときまでに発生するフォーカスエラーの発生回数を得ることができる。
【0126】
一方、未だディスク判別がなされていない場合には、同じ閾値Vth1を用いて再度フォーカスサーチを行って、先に取得した情報記録層L0に合焦点するときまでに発生するフォーカスエラーの回数をフォーカス引き込み回路57が判別したタイミングでサーボ引き込みを行って当該ディスク10の情報記録層L0からTOC(Table of Contents)領域のデータを読み出してディスク判別を行えばよい。
【0127】
図3の場合に従えば、システムコントローラ22は、ワークメモリ62に格納された上記回数カウンタ54Bによるカウント値(フォーカスエラーの検出回数)とフォーカスエラー信号の大きさのデータを用いることによって、装着された当該光ディスク10の情報記録層L0をこの後にアクセスするときに用いるフォーカス引き込みパラメータとして、コンパレータ54Aが判定する判定閾値としてVth1、フォーカス引き込み回路57が判別する判別回数として値4を得ることができる。あるいは、図4のように、判定閾値Vth2、判別回数2をフォーカス引き込みパラメータとして採用することも可能である。判定閾値と判別回数を決めるには、フォーカス引き込みを行う情報記録層L0に対応してフォーカスエラーを生じたときそのフォーカスエラー信号の大きさよりも小さな値を判定閾値に設定し、設定した判定閾値よりも大きなフォーカスエラー信号によるフォーカスエラーの回数を判別回数とすればよい。したがって、フォーカス引き込みを行う情報記録層L0に対応するフォーカスエラー信号FEの大きさよりも値の小さなところで、他の情報記録層に対応するフォーカスエラー信号の大きさとの関係を考慮して望ましい値に判定閾値を設定することができる。
【0128】
上述のごとく採用し得るフォーカス引き込みパラメータにいくつかの態様がある場合には、判定マージンが大きくなるフォーカス引き込みパラメータを作用すればよい。判定マージンを最も大きくするには、前記ワークメモリ62に記憶したフォーカスエラー信号の大きさの昇順で隣同士の差が最も大きなフォーカスエラー信号の間に前記判定閾値を設定すればよい。判定閾値を越えて検出すべきフォーカスエラー信号の大きさと、判定閾値に達しないフォーカスエラー信号の大きさとの間の差を大きくすることができるから、大きな判定マージンが得られる。特に、前記差が最も大きな隣同士のフォーカスエラー信号の平均値(差の半分の値)に対応して前記判定閾値を設定すれば、判定マージンは最大になる。判定閾値を越えて検出すべき側と、判定閾値に達しない側の双方において判定マージンが最大になる。例えば図5の場合、昇順で隣同士の差が最も大きいのは、情報記録層L3に対応するフォーカスエラー信号の大きさと情報記録層L2に対応するフォーカスエラー信号の大きさに基づき、双方の負側の差の半分の大きさに相当する値Vth3を判定閾値とし、これに応じて判別回数を3とする。図6の場合は、昇順で隣同士の差が最も大きいのは、情報記録層L1に対応するフォーカスエラー信号の大きさと情報記録層L0に対応するフォーカスエラー信号の大きさに基づき、双方の負側の差の半分の大きさに相当する値Vth4を判定閾値とし、これに応じて判別回数を1とする。
【0129】
判定閾値の設定手法に関しては、上述のように判定マージンを最大にする観点から行う場合に限定されず、例えば、フォーカス引込パラメータ算出前のフォーカスサーチで特定閾値を用いて取得したフォーカスエラーの検出回数が情報記録層の全てでフォーカスエラーを検出できたか否かを判別し、そうでない場合にはフォーカス引込みパラメータとしての判定閾値を前記特定閾値よりも絶対値的に大きな値に設定する。こうすることにより、フォーカスパラメータ決定時のフォーカスサーチでフォーカスエラーとして検出できなかった情報記録層からの反射光をフォーカスサーボ時におけるフォーカス引き込み動作でもフォーカスエラーとして検出されないことを高い信頼性を持って保証できるようになる。
【0130】
《ディスク判別後の振幅調整時におけるフォーカス引き込みパラメータの処置》
フォーカス引き込みパラメータの生成は前述のごとくディスク判別処理時にBD判別処理と共に行ってもよいし、ディスク判別後のフォーカスエラー信号振幅調整時に行ってもよい。フォーカスエラー信号振幅調整は球面収差補正に適合している層のフォーカスエラー信号が最大振幅であると仮定してフォーカスエラー信号FEの最大値が規定値になるようにする処理である。したがって、フォーカス引き込みパラメータの生成をディスク判別後の振幅調整に際して行うときは、振幅調整済みのフォーカスエラー信号の大きさを用いて判定閾値と判別回数を生成することになる。
【0131】
一方、フォーカス引き込みパラメータの生成をディスク判別処理と共に行った場合には、振幅調整に際して、フォーカスエラー信号の大きさを拡張した割合と同じ割合で判定閾値の大きさも拡張することが必要である。例えば図7に例示されるように、SFC、L3〜L0の各フォーカスエラー信号の大きさをα%拡大したとき、閾値Vth2もα%拡大して、判別閾値Vth2eとする。フォーカスエラー信号の大きさと共に判別閾値も拡大することにより、ディスク判別処理と共に生成したフォーカスエラー信号と判別閾値との大小関係を維持することができる。
【0132】
《フォーカス引き込みパラメータの生成時期による相違点》
フォーカス引き込みパラメータの生成をディスク判別処理と共に行う場合には、フォーカスエラー信号の振幅調整処理に際して判別閾値の拡張も行わなければならないが、ディスク判別処理の結果を前記判定閾値と判別回数の生成処理の一部に流用することができる。すなわち、前記ディスク判別処理は、対物レンズの光学系に最深部の情報記録層に適合する球面収差補正を行い、光ビームを照射しながら光ピックアップを光ディスクに所定時間近づけていってフォーカスエラー信号に基づくフォーカスエラーの検出回数及びそのときのフォーカスエラー信号の大きさを取得し、取得した情報に基づいて複数の情報記録層を有する光ディスクが装着されたか否かを判別する処理である。このディスク判別処理で取得したフォーカスエラー信号の大きさ及び検出個数に基づいて、最深部の情報記録層L0に係る前記判定閾値と前記判別回数を生成することができる。このように、ディスク判別処理の結果を最深部の情報記録層L0に係る前記判定閾値と判別回数の生成処理の一部に流用することができる。ただし、ディスク判別に際しては、ディスクの有無判別も兼ね、表面層SFCからの反射拡大し、フォーカスエラー信号としてカウントするためにマトリク演算及び増幅回路27のゲインを大きくする場合があり、その場合にはマトリク演算及び増幅回路27の出力がクリップして複数の情報記録層の間でフォーカスエラー信号の大きさに差が出ない場合が想定される。そのような状態で生成したフォーカスエラーの検出回数とフォーカスエラー信号の大きさとを用いて生成した判定閾値と判別回数とに対する信頼性、更には判定精度が低くなる虞がある。ただし、その場合、A/D変換後に取得したフォーカスエラー信号のレベルがハード的に最大の値となっている場合はクリップしていると判断できる。その場合は、フォーカスエラー信号の振幅調整時にフォーカス引込みパラメータを生成するようにしても良い。
【0133】
フォーカス引き込みパラメータの生成をディスク判別処理後の振幅調整処理に際して行えば、フォーカスエラー信号のクリップの影響はないが、フォーカス引き込みパラメータの生成のために改めて、フォーカスエラーの検出タイミング及びそのときのフォーカスエラー信号の大きさをワークメモリに格納する処理を行わなければいけない。
【0134】
《情報記録層ごとのフォーカス引き込みパラメータの生成》
前記フォーカス引き込みパラメータの生成処理は情報記録層ごとに生成する。すなわち、前述のフォーカスサーチを行いながらフォーカスエラーの検出回数とそのフォーカスエラーの大きさをワークメモリ62に格納して判定閾値と判別回数を求める処理を、情報記録層ごとに行い、そのとき対物レンズ13の光学系には処理対象とする情報記録層に適合する球面収差補正を行う。
【0135】
図8乃至図11には情報記録層毎にフォーカス引き込みパラメータを生成してフォーカスサーボ制御を行うときの波形が例示される。各図に示される方物曲線は、適合させる層における球面収差補正でのフォーカスエラー信号の大きさを最大とし、他層のレベルを相対量で表したときの関係を概念的に示すものである。
【0136】
情報記録層L0に対応するフォーカス引き込みパラメータを生成するときは図8に例示されるように、情報記録層L0に適合する球面収差補正を行ってフォーカスサーチを行う。このフォーカスサーチによって得られたフォーカスエラーの検出回数とそのときのフォーカスエラー信号の大きさとに基づいて生成される判定閾値をVth=V0とすると、判別回数はN=4となる。フォーカスサーボ制御においてフォーカス検出回路54はフォーカスエラー信号FEが閾値Vth=V0を超えたときフォーカス引き込み回路57の検出パルスを出力し、フォーカス引き込み回路57は検出パルスのかカウント値が判別回数N=4になったときフォーカスサーチを終了してサーボループを形成する。なお、フォーカスエラー信号FEのS字状波形に記載された波形の大きさを%で示す値は最大振幅を100%とする場合の割合を意味する。
【0137】
情報記録層L1に対応するフォーカス引き込みパラメータを生成するときは図9に例示されるように、情報記録層L1に適合する球面収差補正を行ってフォーカスサーチを行う。このフォーカスサーチによって得られたフォーカスエラーの検出回数とそのときのフォーカスエラー信号の大きさとに基づいて生成される判定閾値をVth=V1とすると、判別回数はN=3となる。フォーカスサーボ制御においてフォーカス検出回路54はフォーカスエラー信号FEが閾値Vth=V1を超えたときフォーカス引き込み回路57の検出パルスを出力し、フォーカス引き込み回路57は検出パルスのかカウント値が判別回数N=3になったときフォーカスサーチを終了してサーボループを形成する。
【0138】
情報記録層L2に対応するフォーカス引き込みパラメータを生成するときは図10に例示されるように、情報記録層L2に適合する球面収差補正を行ってフォーカスサーチを行う。このフォーカスサーチによって得られたフォーカスエラーの検出回数とそのときのフォーカスエラー信号の大きさとに基づいて生成される判定閾値をVth=V2とすると、判別回数はN=2となる。フォーカスサーボ制御においてフォーカス検出回路54はフォーカスエラー信号FEが閾値Vth=V2を超えたときフォーカス引き込み回路57の検出パルスを出力し、フォーカス引き込み回路57は検出パルスのかカウント値が判別回数N=2になったときフォーカスサーチを終了してサーボループを形成する。
【0139】
情報記録層L3に対応するフォーカス引き込みパラメータを生成するときは図11に例示されるように、情報記録層L3に適合する球面収差補正を行ってフォーカスサーチを行う。このフォーカスサーチによって得られたフォーカスエラーの検出回数とそのときのフォーカスエラー信号の大きさとに基づいて生成される判定閾値をVth=V3とすると、判別回数はN=1となる。フォーカスサーボ制御においてフォーカス検出回路54はフォーカスエラー信号FEが閾値Vth=V3を超えたときフォーカス引き込み回路57の検出パルスを出力し、フォーカス引き込み回路57は検出パルスのかカウント値が判別回数N=1になったときフォーカスサーチを終了してサーボループを形成する。
【0140】
図8乃至図11における夫々のフォーカス引き込み;パラメータの生成処理は、既にディスク判別が行われていればディスクの層数がわかっているため、前述の振幅調整で全層に対して行ってもよい。各々のフォーカス引き込みパラメータの生成処理をディスク判別処理と共に行う場合、ディスク判別処理で情報記録層L0のTOC領域をリードする性質上、図8のフォーカス引き込みパラメータ生成に用いるフォーカスエラーの検出回数と検出時のフォーカスエラー信号の大きさのデータはディスク判別のときのフォーカスサーチでワークメモリ62に格納したデータを流用すればよい。
【0141】
なお、情報記録層毎のフォーカス引き込みパラメータは部位分的に共通化してもよい。例えば図8乃至図11で説明した判定閾値VthにおいてV0=V1=V2=V3としてもよい。その場合には、情報記録層毎に別々にフォーカスサーチを行わなくてもよい。代表的に、情報記録層L0に対するフォーカスサーチで求めたフォーカスエラーの検出回数とフォーカスエラー信号に大きさを用いて、各々の情報記録層毎に判定閾値と判別回数とを求めてもよい。
【0142】
《ディスク判別処理からフォーカスサーボ制御までの処理フロー》
図12にはディスク判別処理からフォーカスサーボ制御までの処理フローが例示される。ここでは複数の情報記録層を持つ光ディスクBDを例とする。
【0143】
光ディスク10がターンテーブルに装着されると、ブルーレーザが発光され(S1)、フォーカスサーチ(フォーカススウィープ)のためのパラメータがセットされる(S2)。例えばレジスタ56に閾値Vth1のデータがセットされ、情報記録層L0に適合する球面収差補正が行われる。この後、フォーカスサーチが開始され、対物レンズ13が光ディスクの方向に移動され、その途中でフォーカスエラーの発生が検出されるごとに回数カウンタ54Bをインクリメントするとともにそのフォーカスエラー信号の大きさをワークメモリ62に蓄積し、当該フォーカスサーチの終了に同期して回数カウンタ54Bのカウント値をフォーカスエラーの検出回数としてワークメモリ62に格納する。システムコントローラ22はワークメモリ22に格納されたデータを読み出すことで、フォーカスエラーFE信号の発生回数及びフォーカスエラーFE信号の大きさを認識する(S4)。その認識結果による情報記録層の総数などにしたがって装着ディスクがBDであるか否かを判別する(S5)。BDでなければ、DVDやCDの判別処理に移行する(S6)。その処理内容は公知であるからここではその詳細な説明は省略する。
【0144】
BDである場合には前述のフォーカスエラー信号の上下バランス及び、振幅調整が行われる(S7)。振幅調整はディスク判別に際してステップS3、S4による取得データに基づいて行う。L0層以外の夫々の情報記録層毎に球面収差補正を行って夫々の情報記録層毎にフォーカスエラー検出回数及びそのフォーカスエラー信号の大きさに係るデータを取得する場合にはステップS8で取得する。次のステップS9では、ワークメモリ62に格納されたデータを読み出し、フォーカスエラー信号の大きさについてはステップS7の振幅調整と同じ割合で値を拡張する。システムコントローラ22は、拡張されたデータなどを用いて情報記録層毎の判定閾値と判別回数といったフォーカス引き込みパラメータを生成する(S9)。生成したフォーカス引き込みパラメータはシステムコントローラ22の内部のレジスタやメモリ23に格納される。
【0145】
フォーカスサーボ制御では、システムコントローラ22は引き込み対象のM情報記録層に対応するフォーカス引き込みパラメータをレジスタレジ56,58にセットして(S10)、フォーカス引き込み処理を行う(S11)。
【0146】
《フォーカス引き込みパラメータの別の生成手法》
上述の第1の例ではフォーカス引き込みパラメータを生成する場合に、前記フォーカスエラー検出回路54は、フォーカスエラーの検出時にその検出回数を回数カウンタでカウントしてフォーカスエラーの検出回数と検出時の個々のフォーカスエラー信号の大きさとをワークメモリ62に格納するようにした。これとは異なる第2の例として、フォーカス引き込みパラメータを生成するとき前記フォーカスエラー検出回路54は、フォーカスサーチにおいて、フォーカスエラーを検出したきの検出タイミング及びそのフォーカスエラー信号の大きさをワークメモリ62に格納するようにしてもよい。すなわち、フォーカスエラー検出回路54は、前記回数カウンタの代わりに、フォーカスサーチの開始によってタイマ動作が開始されるタイマカウンタ(便宜上回数カウンタと同じ参照符号54Bを用いる)を持ち、フォーカスエラーが発生する毎にタイマカウンタ54Bのタイマカウント値をフォーカスエラーの発生タイミングとしてワークメモリ62に格納する。1回のフォーカスサーチが終了するまでにワークメモリ62に順次格納されたタイマカウント値は、フォーカスサーチの開始を基準してフォーカスエラーの発生タイミングを示すことになる。また、格納されたタイマカウント値の数(タイマカウント値の記録回数)はフォーカスエラーの発生回数に対応される。フォーカス引き込みパラメータを生成するためのフォーカスサーチにおいてフォーカスサーチの開始でタイマカウンタ54のタイマカウウント動作を起動し、フォーカスエラー検出ごとにタイマカウント値を記録するものとし、検出回数はタイマカウント値の記録回数となり、記録されたりタイマカウント値の隣同士の値の差からフォーカスエラーの発生インターバルがわかり、途中でフォーカスエラーの振幅が閾値以下のものがあってもどの層からのフォーカスエラーを検出できなかったかがわかるようになる。
【0147】
この場合も、システムコントローラ22はフォーカスサーチにおけるフォーカスサーチの開始を基点とする経過動作時間を管理することにより、対物レンズ13がディスク10に衝突する手前の所定位置で対物レンズ13の移動を停止するようになっている。強制的に停止された場合には、閾値Vth1に対して最後のタイマカウント値が得られた地点が情報記録層L0の位置になる。既にディスクの種別が判別がなされていれば、システムコントローラ22は既に判別されている情報記録層の層数とタイマカウント値との整合性を判別することができ、層数に対してタイマカウント値の記録回数が1大きければ当該閾値Vth1はディスク10の表面層SFCの反射によるフォーカスエラー信号FEのS字状変化も検出するレベルであることが明らかになる。層数に対してタイマカウント値の記録回数が1足りなければ、当該閾値Vth1は、球面収差補正の対象とした情報記録層以外の一つの記録層からの反射によるフォーカスエラー信号FEのS字状変化を検出することができないレベルであることが明らかになる。どの情報記録層からの反射を認識できなかったかは、フォーカスエラーの発生タイミングを示す一連のタイマカウント値から得られるフォーカスエラーの発生間隔を演算することによって認識できる。いずれにおいても、閾値Vth1を用いてフォーカスサーチを行ったとき、情報記録層L0に合焦点するときまでに発生するフォーカスエラーの回数を得ることができる。一方、未だディスク判別がなされていない場合には、同じ閾値Vth1を用いて再度フォーカスサーチを行って、先に取得した情報記録層L0に合焦点するときまでに発生するフォーカスエラーの回数をフォーカス引き込み回路57が判別したタイミングでサーボ引き込みを行って当該ディスク10の情報記録層L0からTOC領域のデータを読み出してディスク判別を行えばよい。
【0148】
また、判定閾値の設定手法に関しては、上述のように判定マージンを最大にする観点から行う場合に限定されず、例えば、フォーカス引込パラメータ算出前のフォーカスサーチで特定閾値を用いて取得したフォーカスエラーの検出回数が情報記録層の全てでフォーカスエラーを検出できたか否かを判別し、そうでない場合にはフォーカス引込みパラメータとしての判定閾値を前記特定閾値よりも絶対値的に大きな値に設定する。こうすることにより、フォーカスパラメータ決定時のフォーカスサーチでフォーカスエラーとして検出できなかった情報記録層からの反射光をフォーカスサーボ時におけるフォーカス引き込み動作でもフォーカスエラーとして検出されないことを高い信頼性を持って保証できるようになる。
【0149】
フォーカスエラーの検出回数の代わりにフォーカスエラーを検出したきの検出タイミングをワークメモリ62に蓄積してフォーカス引き込みパラメータを生成する実施の形態においても、前記「ディスク判別後の振幅調整時におけるフォーカス引き込みパラメータの処置」、「フォーカス引き込みパラメータンの生成時期による相違点」、「情報記録層ごとのフォーカス引き込みパラメータンの生成」、「ディスク判別処理からフォーカスサーボ制御までの処理フロー」の各項目で説明した技術的内容はそのまま適用されるので、ここではその詳細な説明は省略する。
【0150】
以上本発明者によってなされた発明を実施形態に基づいて具体的に説明したが、本発明はそれに限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々変更可能であることは言うまでもない。
【0151】
例えば、上記説明では4層の情報記録層を有する光ディスクの場合について説明したが、本発明はそれに限定されず、2層、3層、5層、又はそれ以上であってもよい。対象とする光ディスクもBDに限定されない。フォーカスエラーの検出タイミングはフォーカスエラー検出回路が備えるタイマカウンタを用いて層数を検出する構成に限定されない。その他のタイマ回路などを用いてフォーカスエラーの検出タイミングを生成するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0152】
10 光ディスク
12 光ピックアップ(光学ヘッド)
13 対物レンズ
9 フォトディテクタ(PD)
19 受光信号処理部
27 マトリクス演算及び増幅回路(MTRXAMP)
FE フォーカスエラー信号
TE トラッキングエラー信号
TEなどを生成する。
【0153】
20 サーボプロセッサ部
RF 再生高周波信号
29 データ復調部
24 ホストインタフェース(HSTIF)」
25 データ変調部
22 システムコントローラ
26 レーザドライバ
23 ワークメモリ
28 マイクロコンピュータ
30 球面収差補正機構
31 補正レンズ
32 ステッピングモータ
34 レジスタ
33 バランス及び振幅調整回路
42 AD変換回路(ADC)
40 ステッピングモータ制御レジスタ(REG_SM)
41 ステッピングモータドライバ
51 駆動電圧制御レジスタ(REG_FO)
52 加算回路
54 フォーカスエラー検出回路
54A コンパレータ
54B 回数カウンタ(タイマカウンタ)
55 コンパレータレベル設定回路
56 閾値レジスタ(REG_TH)
57 フォーカス引き込み回路
58 フォーカスエラーの判別回数レジスタ(REG_Num)
59 スイッチ
60 位相補償回路
L0,L1,L2,L3 情報記録層
SFC 光ディスクの表面
62 ワークメモリ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
積層された複数の情報記録層を有する光ディスクに対して情報の記録再生を行う光ディスク装置であって、
前記情報記録層に対して対物レンズを焦点位置に制御するフォーカスサーボ制御のためにフォーカスエラー信号に基づいて情報記録層毎にフォーカス引き込みパラメータを生成し、生成したフォーカス引き込みパラメータを用いて目的とする情報記録層へのフォーカス引き込みを行うデータ処理部を有し、
前記データ処理部は、目的とする情報記録層に適合する球面収差補正を行い、光ビームを照射しながら対物レンズを光ディスクに近づけていってフォーカスエラーを検出したときのフォーカスエラー信号の大きさとフォーカスエラーの検出回数とをメモリに格納し、格納した情報を用いて、フォーカスエラー信号の判定閾値と、当該判定閾値を基準とするフォーカスエラーの層判別回数とを当該情報記録層のフォーカス引き込みパラメータとして生成する、光ディスク装置。
【請求項2】
前記データ処理部は、前記フォーカスエラー信号が判定閾値を越えた回数が前記フォーカスエラーの判別回数に達したときの対物レンズの位置をフォーカス引き込み位置としてフォーカス引き込みを行う、請求項1記載の光ディスク装置。
【請求項3】
前記データ処理部は、フォーカス引き込みを行う情報記録層に対応してフォーカスエラーが発生したときそのフォーカスエラー信号の大きさよりも小さな値を判定閾値に設定し、設定した判定閾値よりも大きなフォーカスエラー信号によるフォーカスエラーの検出回数を判別回数とする、請求項2記載の光ディスク装置。
【請求項4】
前記データ処理部は、フォーカスエラーの検出順で隣同士のフォーカスエラー信号の大きさの差が最も大きなフォーカスエラー信号の間の大きさに前記判定閾値を設定する、請求項3記載の光ディスク装置。
【請求項5】
前記データ処理部は、前記差が最も大きな隣同士のフォーカスエラー信号の大きさの差の半分に対応して前記判定閾値を設定する、請求項4記載の光ディスク装置。
【請求項6】
前記データ処理部は、フォーカスエラー信号の最大値を規定値に揃えるための振幅調整を行うことによって得られる振幅調整済みのフォーカスエラー信号に対応して前記判定閾値を生成する、請求項4記載の光ディスク装置。
【請求項7】
前記データ処理部は、特定閾値を用いて取得したフォーカスエラーの検出回数が情報記録層の全てでフォーカスエラーを検出できたときの値か否かを判別し、そでない場合にはフォーカス引込みパラメータとしての判定閾値を前記特定閾値よりも絶対値的に大きな値に設定する、請求項2記載の光ディスク装置。
【請求項8】
前記データ処理部は、フォーカスエラー信号の最大値を規定値に揃えるための振幅調整をフォーカスエラー信号に対して行ったときの調整率を特定閾値に反映した後の値よりも大きな値に前記判定閾値を設定する、請求項7記載の光ディスク装置。
【請求項9】
前記データ処理部は、前記フォーカスエラー信号をディジタル信号に変換するAD変換回路を有し、前記AD変換回路の出力に基づいて前記フォーカスエラー信号の大きさを得る、請求項1記載の光ディスク装置。
【請求項10】
前記データ処理部は、前記アナログディジタル変換回路で検出されるフォーカスエラー信号を判定閾値と比較するコンパレータを有し、前記コンパレータの出力に基づいて前記フォーカスエラーの発生を検出すると共に前記コンパレータによる検出出力をカウントしてフォーカスエラーの検出回数を取得する、請求項9記載の光ディスク装置。
【請求項11】
前記データ処理部は、前記フォーカスエラー信号の大きさとフォーカスエラーの回数とをメモリに格納する処理と、格納した情報を用いて前記判定閾値及び前記判別回数を生成する処理とを、複数の情報記録層を有する光ディスクが装着されたか否かを判別するディスク判別処理と共に行う、請求項1記載の光ディスク装置。
【請求項12】
前記ディスク判別処理は、最深部の情報記録層に適合する球面収差補正を行い、光ビームを照射しながら対物レンズを光ディスクに所定時間近づけていってフォーカスエラーを検出したときのフォーカスエラー信号の大きさとフォーカスエラーの検出回数とを取得し、取得した情報に基づいて複数の情報記録層を有する光ディスクが装着されたか否かを判別する処理であり、
前記ディスク判別処理で取得したフォーカスエラー信号の大きさ及び検出タイミングとに基づいて、最深部の情報記録層に係る前記判定閾値と前記層判別回数を生成する、請求項11記載の半導体装置。
【請求項13】
積層された複数の情報記録層を有する光ディスクに対して対物レンズを焦点位置に制御するためのフォーカスサーボ制御を行う半導体装置であって、
フォーカスエラー信号に基づいて情報記録層毎にフォーカス引き込みパラメータを生成し、生成したフォーカス引き込みパラメータを用いて目的とする情報記録層へのフォーカス引き込みを制御するデータ処理部を有し、
前記データ処理部は、目的とする情報記録層に適合する球面収差補正を行い、光ビームを照射しながら光ピックアップを光ディスクに近づけていってフォーカスエラーを検出したときのフォーカスエラー信号の大きさとフォーカスエラーの検出回数とを保持し、保持した情報を用いて、フォーカスエラー信号の判定閾値と、当該判定閾値を基準とするフォーカスエラーの判別回数とを当該情報記録層のフォーカス引き込みパラメータとして生成する、半導体装置。
【請求項14】
前記データ処理部は、前記フォーカスエラー信号が判定閾値を越えた回数が前記フォーカスエラーの判別回数に達したときの対物レンズの位置をフォーカス引き込み位置としてフォーカス引き込みを行う、請求項13記載の半導体装置。
【請求項15】
前記データ処理部は、フォーカス引き込みを行う情報記録層に対応してフォーかエラーを生じたときそのフォーカスエラー信号の大きさよりも小さな値を判定閾値に設定し、設定した判定閾値よりも大きなフォーカスエラー信号によるフォーカスエラーの回数を判別回数とする、請求項14記載の半導体装置。
【請求項16】
前記データ処理部は、フォーカスエラーの検出順で隣同士のフォーカスエラー信号の大きさの差が最も大きなフォーカスエラー信号の間の大きさに前記判定閾値を設定する、請求項15記載の半導体装置。
【請求項17】
前記データ処理部は、前記差が最も大きな隣同士のフォーカスエラー信号の大きさの差の半分に対応して前記判定閾値を設定する、請求項16記載の半導体装置。
【請求項18】
前記データ処理部は、フォーカスエラー信号の最大値を規定値に揃えるための振幅調整を行うことによって得られる振幅調整済みのフォーカスエラー信号に対応して前記判定閾値を生成する、請求項16記載の半導体装置。
【請求項19】
前記データ処理部は、特定閾値を用いて取得したフォーカスエラーの検出回数が情報記録層の全てでフォーカスエラーを検出できたときの値か否かを判別し、そでない場合にはフォーカス引込みパラメータとしての判定閾値を前記特定閾値よりも絶対値的に大きな値に設定する、請求項14記載の半導体装置。
【請求項20】
前記データ処理部は、フォーカスエラー信号の最大値を規定値に揃えるための振幅調整をフォーカスエラー信号に対して行ったときの調整率を特定閾値に反映した後の値よりも大きな値に前記判定閾値を設定する、請求項19記載の半導体装置。
【請求項21】
前記データ処理部は、前記フォーカスエラー信号をディジタル信号に変換するAD変換回路を有し、前記AD変換回路の出力に基づいて前記フォーカスエラー信号の大きさを得る、請求項13記載の半導体装置。
【請求項22】
前記データ処理部は、前記アナログディジタル変換回路で検出されるフォーカスエラー信号を判定閾値と比較するコンパレータを有し、前記コンパレータの出力に基づいて前記フォーカスエラーの発生を検出すると共に前記コンパレータによる検出出力をカウントしてフォーカスエラーの検出回数を取得する、請求項21記載の半導体装置。
【請求項23】
積層された複数の情報記録層を有する光ディスクに対して情報の記録再生を行う光ディスク装置であって、
前記情報記録層に対して対物レンズを焦点位置に制御するフォーカスサーボ制御のためにフォーカスエラー信号に基づいて情報記録層毎にフォーカス引き込みパラメータを生成し、生成したフォーカス引き込みパラメータを用いて目的とする情報記録層へのフォーカス引き込みを行うデータ処理部を有し、
前記データ処理部は、目的とする情報記録層に適合する球面収差補正を行い、光ビームを照射しながら対物レンズを光ディスクに近づけていってフォーカスエラーを検出したときの検出タイミング及びそのときのフォーカスエラー信号の大きさをメモリに格納し、格納した情報を用いて、フォーカスエラー信号の判定閾値と、当該判定閾値を基準とするフォーカスエラーの層判別回数とを当該情報記録層のフォーカス引き込みパラメータとして生成する、光ディスク装置。
【請求項24】
前記データ処理部は、前記フォーカスエラー信号が判定閾値を越えた回数が前記フォーカスエラーの判別回数に達したときの対物レンズの位置をフォーカス引き込み位置としてフォーカス引き込みを行う、請求項23記載の光ディスク装置。
【請求項25】
前記データ処理部は、フォーカス引き込みを行う情報記録層に対応してフォーカスエラーが発生したときそのフォーカスエラー信号の大きさよりも小さな値を判定閾値に設定し、設定した判定閾値よりも大きなフォーカスエラー信号によるフォーカスエラーの回数を判別回数とする、請求項24記載の光ディスク装置。
【請求項26】
前記データ処理部は、フォーカスエラーの検出順で隣同士のフォーカスエラー信号の大きさの差が最も大きなフォーカスエラー信号の間の大きさに前記判定閾値を設定する、請求項25記載の光ディスク装置。
【請求項27】
前記データ処理部は、前記差が最も大きな隣同士のフォーカスエラー信号の大きさの差の半分に対応して前記判定閾値を設定する、請求項26記載の光ディスク装置。
【請求項28】
前記データ処理部は、フォーカスエラー信号の最大値を規定値に揃えるための振幅調整を行うことによって得られる振幅調整済みのフォーカスエラー信号に対応して前記判定閾値を生成する、請求項26記載の光ディスク装置。
【請求項29】
前記データ処理部は、特定閾値を用いて取得したフォーカスエラーの検出回数が情報記録層の全てでフォーカスエラーを検出できたときの値か否かを判別し、そでない場合にはフォーカス引込みパラメータとしての判定閾値を前記特定閾値よりも絶対値的に大きな値に設定する、請求項24記載の光ディスク装置。
【請求項30】
前記データ処理部は、フォーカスエラー信号の最大値を規定値に揃えるための振幅調整をフォーカスエラー信号に対して行ったときの調整率を特定閾値に反映した後の値よりも大きな値に前記判定閾値を設定する、請求項29記載の光ディスク装置。
【請求項31】
前記データ処理部は、前記フォーカスエラー信号をディジタル信号に変換するAD変換回路を有し、前記AD変換回路の出力に基づいて前記フォーカスエラー信号の大きさを得る、請求項23記載の光ディスク装置。
【請求項32】
前記データ処理部は、前記アナログディジタル変換回路で検出されるフォーカスエラー信号を判定閾値と比較するコンパレータとタイマカウンタとを有し、前記コンパレータの出力に基づいて前記フォーカスエラーの発生を検出すると共にフォーカスエラーを検出する毎に前記タイマカウンタのタイマカウント値をフォーカスエラーの検出タイミングの情報として取得する、請求項31記載の光ディスク装置。
【請求項33】
前記データ処理部は、前記フォーカスエラー信号の大きさとフォーカスエラーの検出タイミングとをメモリに格納する処理と、格納した情報を用いて前記判定閾値及び前記判別回数を生成する処理とを、複数の情報記録層を有する光ディスクが装着されたか否かを判別するディスク判別処理と共に行う、請求項23記載の光ディスク装置。
【請求項34】
前記ディスク判別処理は、最深部の情報記録層に適合する球面収差補正を行い、光ビームを照射しながら対物レンズを光ディスクに所定時間近づけていってフォーカスエラーを検出したときの検出タイミング及びそのときのフォーカスエラー信号の大きさを取得し、取得した情報に基づいて複数の情報記録層を有する光ディスクが装着されたか否かを判別する処理であり、
前記ディスク判別処理で取得したフォーカスエラー信号の大きさ及び検出タイミングとに基づいて、最深部の情報記録層に係る前記判定閾値と前記層判別回数を生成する、請求項33記載の半導体装置。
【請求項35】
積層された複数の情報記録層を有する光ディスクに対して対物レンズを焦点位置に制御するためのフォーカスサーボ制御を行う半導体装置であって、
フォーカスエラー信号に基づいて情報記録層毎にフォーカス引き込みパラメータを生成し、生成したフォーカス引き込みパラメータを用いて目的とする情報記録層へのフォーカス引き込みを制御するデータ処理部を有し、
前記データ処理部は、目的とする情報記録層に適合する球面収差補正を行い、光ビームを照射しながら光ピックアップを光ディスクに近づけていってフォーカスエラーを検出したときの検出タイミング及びそのときのフォーカスエラー信号の大きさを保持し、保持した情報を用いて、フォーカスエラー信号の判定閾値と、当該判定閾値を基準とするフォーカスエラーの判別回数とを当該情報記録層のフォーカス引き込みパラメータとして生成する、半導体装置。
【請求項36】
前記データ処理部は、前記フォーカスエラー信号が判定閾値を越えた回数が前記フォーカスエラーの判別回数に達したときの対物レンズの位置をフォーカス引き込み位置としてフォーカス引き込みを行う、請求項35記載の半導体装置。
【請求項37】
前記データ処理部は、フォーカス引き込みを行う情報記録層に対応してフォーかエラーを生じたときそのフォーカスエラー信号の大きさよりも小さな値を判定閾値に設定し、設定した判定閾値よりも大きなフォーカスエラー信号によるフォーカスエラーの回数を判別回数とする、請求項36記載の半導体装置。
【請求項38】
前記データ処理部は、フォーカスエラーの検出順で隣同士のフォーカスエラー信号の大きさの差が最も大きなフォーカスエラー信号の間の大きさに前記判定閾値を設定する、請求項37記載の半導体装置。
【請求項39】
前記データ処理部は、前記差が最も大きな隣同士のフォーカスエラー信号の大きさの差の半分に対応して前記判定閾値を設定する、請求項38記載の半導体装置。
【請求項40】
前記データ処理部は、フォーカスエラー信号の最大値を規定値に揃えるための振幅調整を行うことによって得られる振幅調整済みのフォーカスエラー信号に対応して前記判定閾値を生成する、請求項38記載の半導体装置。
【請求項41】
前記データ処理部は、特定閾値を用いて取得したフォーカスエラーの検出回数が情報記録層の全てでフォーカスエラーを検出できたときの値か否かを判別し、そでない場合にはフォーカス引込みパラメータとしての判定閾値を前記特定閾値よりも絶対値的に大きな値に設定する、請求項36記載の半導体装置。
【請求項42】
前記データ処理部は、フォーカスエラー信号の最大値を規定値に揃えるための振幅調整をフォーカスエラー信号に対して行ったときの調整率を特定閾値に反映した後の値よりも大きな値に前記判定閾値を設定する、請求項41記載の半導体装置。
【請求項43】
前記データ処理部は、前記フォーカスエラー信号をディジタル信号に変換するAD変換回路を有し、前記AD変換回路の出力に基づいて前記フォーカスエラー信号の大きさを得る、請求項35記載の半導体装置。
【請求項44】
前記データ処理部は、前記アナログディジタル変換回路で検出されるフォーカスエラー信号を判定閾値と比較するコンパレータとタイマカウンタとを有し、前記コンパレータの出力に基づいて前記フォーカスエラーの発生を検出すると共にフォーカスエラーを検出する毎に前記タイマカウンタのタイマカウント値をフォーカスエラーの検出タイミングの情報として取得する、請求項43記載の半導体装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2011−258291(P2011−258291A)
【公開日】平成23年12月22日(2011.12.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−133798(P2010−133798)
【出願日】平成22年6月11日(2010.6.11)
【出願人】(302062931)ルネサスエレクトロニクス株式会社 (8,021)
【Fターム(参考)】